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1949/05/07 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第10号
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1949/05/07 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第10号

#1
第005回国会 商工委員会 第10号
昭和二十四年五月七日(土曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長代理理事 神田  博君
   理事 澁谷雄太郎君 理事 村上  勇君
   理事 今澄  勇君 理事 川上 貫一君
   理事 永井 要造君
      阿左美廣治君    岩川 與助君
      江田斗米吉君    門脇勝太郎君
      小金 義照君    高木吉之助君
      福田  一君    森下  孝君
      水谷長三郎君    柳原 三郎君
      聽濤 克巳君    河野 金昇君
      中村 寅太君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 稻垣平太郎君
 出席政府委員
        総理廳事務官
        (経済安定本部
        動力局長)   増岡 尚士君
        商工政務次官  有田 二郎君
        商工事務官
        (総務局長)  山本 高行君
        商工事務官
        (機械局長)  武内 征平君
        商工事務官
        (鉱山局長)  長谷川輝彦君
        商工事務官
        (中小企業廳振
        興局長)    小笠 公韶君
        商工事務官
        (石炭廳管理局
        長)      山地 八郎君
        商 工 技 官
        (石炭廳生産局
        長)      田口 良明君
        工業技術廳長官 井上 春成君
        商 工 技 官
        (工業技術廳標
        準部長)    横山 不學君
 委員外の出席者
        総理廳事務官  村田  茂君
        商工事務官   曽根 文二君
        商工事務官   眞瀬  一君
        專  門  員 越田 清七君
        專  門  員 谷崎  明君
        專  門  員 大石 主計君
    ―――――――――――――
五月二日
 臨時鉄くず資源回收法案(内閣提出第一七二
 号)
同月六日
 工業標準化法案(内閣提出第一八一号)(予)
四月三十日
 常盤茨城炭田自立に関する請願(山崎猛君紹
 介)(第七一〇号)
 絹、人絹織物統制撤廃の請願(阿左美廣治君外
 五名紹介)(第七二〇号)
 経済九原則の実施に伴う中小企業対策に関する
 請願(阿左美廣治君外五名紹介)(第七二一
 号)
 絹織物の統制撤廃に関する請願(星島二郎君外
 一名紹介)(第七四九号)
五月四日
 稚内町勇知地内電化の請願(松本六太郎君紹
 介)(第八五四号)
 農民の自給生産する繊維製品に対する統制法規
 適用緩和に関する請願(八木一郎君紹介)(第
 八五五号)
 島根縣下開拓地電化に関する請願(木村榮君紹
 介)(第九二七号)
 燃料綜合國策樹立に関する請願(渡邊良夫君紹
 介)(第九八三号)
同月六日
 衣料切符制度改善に関する請願(林好次君外一
 名紹介)(第一〇〇三号)
 自家発電に対する國家補償制度確立に関する請
 願(福田昌子君紹介)(第一〇〇八号)
 勝田町の日立製作所水戸工場等救済に関する請
 願(池田峯雄君紹介)(第一〇五三号)
 復元又は新規の無登録織機設置許可に関する請
 願(江崎真澄君紹介)(第一〇九一号)
 工業技術廳強化に関する請願(福井勇君外一名
 紹介)(第一一〇二号)
 中小企業協同組合法案に関する請願(清藤唯七
 君紹介)(第一一〇三号)
 炭鉱向機械の賣掛金処置に関する請願(神田博
 君紹介)(第一一二六号)
 復元又は新規の毛織機設置許可の請願)(田島
 ひで君外一名紹介)(第一一五二号)
 南富良野村字北落合に発電所設置の請願(佐々
 木秀世君紹介)(第一一五八号)
 南富良野村字幾寅に國営セメント工場設置の讃
 願(佐々木秀世君紹介)(第一一六二号)
 硫安増産用電力確保に関する請願(神田博君紹
 介)(第一一六三号)
 勝田町の日立製作所水戸工場等救済に関する請
 願(石野久男君紹介)(第一一七四号)
 乳幼児用古着輸入の請願(中曽根康弘君紹介)
 (第一一八四号)
 東北地方送電幹線強化に関する請願(池田正之
 輔君外一名紹介)(第一一八六号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 連合審査会開会の件
 鉱山保安法案(内閣提出第一三八号)
 中小企業等協同組合法案(内閣提出第一四五
 号)
 中小企業等協同組合法施行法案(内閣提出第一
 四六号)
 臨時鉄くず資源回收法案(内閣提出第一七二
 号)
 工業標準化法案(内閣提出第一八一号)(予)
 石炭に関する件
    ―――――――――――――
#2
○神田委員長代理 これより商工委員会を開きます。
 本日は委員長におさしつかえがありますので、私が委員長の職務を行います。まず諸般の御報告をいたします。内閣提出の臨時鉄くず資源回收法案及び工業標準化法案が去る二日、去る六日にそれぞれ本委員会に付託をせられました。前者は本付託で後者は予備審査のための付託であります。
 なお本委員会において審査中の鉱山保安法案につきましては労働委員会より、中小企業等協同組合法案、同施行法案につきましては大藏委員会より、それぞれ連合審査会を開くことについて正式に申出がありました。以上御報告いたしておきます。
    ―――――――――――――
#3
○神田委員長代理 それではただいまより法律案の審査に移ります。まず中小企業等協同組合法案及び中小企業等協同組合法施行法案を一括議題とし、提案理由の説明を求めます。商工政務次官有田二郎君。
#4
○有田政府委員 ただいま議題に供せられました中小企業等協同組合法案について、簡單にその提案の理由を御説明申し上げます。
 わが國経済の再建上、中小企業の維持、育成が不可欠の要締であることは、あらためて申し上げるまでもないことでありますが、このためには、まずもつて中小企業の組織化をはかり、その水準の向上と競争力の強化をねらつて行くことが、ぜひとも必要でありまして、このことを前提として、その上に諸般の中小企業振興策が講ぜられることが、最も適当であると考えるのであります。この趣旨からいたしまして、中小企業に関する協同組合制度の確立は、焦眉の急を要する問題であります。しかして、この制度に関して特に考慮しなければならぬことは、その組織力を十分力あるものとするために、その組織の基礎の安定と拡充とをはかること、及びその組織が中小企業自身の意思によつて、中小企業のために奉仕し得るがごとく運営されるように、その民主化をはかることであると思うのであります。以上の観点から見ました場合、既存の各種の協同組合制度では、なお不十分の点が少くないのでありまして、その組織力の強化と民主化をはかる新立法が、かねてから要望されていたのでありますが、ようやく成案を得ましたので、本國会に提出して各位の御審議を煩わすことになつたものであります。
 本法案の詳細につきましては、御審議に際して逐次御説明申し上げることといたしますが、ここでは本法案の特色といたします数点について申し上げまして、提案の理由を御了解願いたいと存ずるのであります。
 第一は、本法案では協同組合の組織者の範囲を廣くし、かつ次の組織の仕方に融通性を持たせていることであります。本法案では、事業の種類により事業協同組合、保險協同組合、信用協同組合の三協同組合のほか、新しい経営体としての企業組合を認めているのでありますが、これらの組合を通じて、その組織者を廣く中小規模の事業者全般に及ぼしておりますのみならず、信用、保險、企業の三組合につきましては、事業者でない勤労者その他の者をも組合に加入させる道を開いているのであります。この点におきまして、本法案は、農業、水産業、消費生活の三協同組合法を除いて、協同組合に関する包括的な組織法たる体制をとつておるのでありまして、このことによつて從來官廳の所管により分割されがちであつた業種的な隔てを取除いて、異業種間の組織交流をも企図し、さらに勤労者その他の者を加えることによつて、その組織の基盤の拡充をはかつているのであります。この方針に伴い既存の商工協同組合、林産組合、蚕糸協同組合、塩業組合及び市街地信用組合に関する諸法律は改廃せられ、本法案一本にまとめられることになるわけでありまして、このために必要となる過渡的な経過措置につきましては、別途本法の施行法案を提案いたし、御審議を煩わすことに取運んでいる次第であります。
 第二に、本法案では中小規模の事業者、勤労者その他の者の協同組織であることをはつきりさせているのであります。これまでは、戰時中の統制的な組合の時代からの情勢もあつて、協同組合に大規模の事業者が加入し、協同組合という機構の中にかくれて、他の事業者の事業活動を支配し、排除するという傾きがないでもなかつたのでありますが、協同組合はこれをあくまで中小規模の事業者、勤労者、その他の者自身の組合にしなければならないのでありまして、本法案は、その目的においても組合員の資格についても、また独占禁止法との関係におきましても、この点をはつきりさせているのであります。他方、從來は協同組合と独占禁止法、事業者團体法との関係が必ずしも明確でなかつたために、せつかく各種の協同組合制度があつても、協同組合が安定した活動を行い得ないうらみがあつたのでありますが、だれが見ても小規模の事業者の相互扶助組織であると認められるものについては、法律上も明確な線を引きまして、安心して活動ができるというようにいたしたのであります。
 第三に、本法案では組合運営の民主化をはかろうとしているのであります。今後の経済情勢から考えましても、協同組合の活動に自主性を持たせることが何より大切なことであります。そこで本法案では、組合の設立に準則主義を採用して、設立について官廳の認可がいらないことにしますとともに、從來各種の組合法に見られます、廣くて強い官廳の監督権限をなくして、組合の内部的な事項について、官廳があまり干渉することになるおそれをなくす等、協同組合をできるだけ官廳から切り離して、その自主性を確立しようとしているのであります。また組合内部の運営についても、從來ややもすれば外部からする組合の支配、一部の組合員による独裁ということが行われがちでありましたので、これを防止するために、役員の総会決議による選任の方式を選挙方式に改め、出資の口数を制限し、員外理事を廃止し、役員の兼職を制限する等の規定を設けまして、眞に組合員の意思によつて運営される組合のできることを期待しているのであります。
 第四は、本法案では、協同組合の事業の種類により、それぞれの具体的実情に應じて、事業が活溌に、あるいは確実に行われるように配慮していることであります。まず事業協同組合にありましては、從來認められていた事業のほかに、組合員の福利厚生事業、團体協約の締結等の事項を加え、組合員の経済的地位の向上を期しております。一方、信用事業はその機能を確実に果すということに特に意を用いる必要があると認められますので、預金の受入れと資金の貸付をあわせ行うのは、それだけの仕事を運営する信用協同組合に限ることとし、一般の事業協同組合が信用事業を兼営することによつて、資金操作上の危險を招くというがごときことのないように、配慮いたしているのであります。また保險協同組合を新たに設けまして、中小規模の事業者、勤労者、その他の者みずからの力による相互保險の道を開いたのでありまして、かねてから要望されておりました点を制度化しようとするものであります。
 以上をもちまして本法案の要点についての御説明を終りますが、要するに経済九原則の実施により、異常な困難に直面せんとしております中小企業が、今後よつてもつて立つ手段は、基本的にはその組織化と、相互扶助の力による競爭力の培養、増強以外にはないのでありまして、私どもといたしましても、この協合組合の組織を前提として、各種の施策を押し進めて参りたいと考えているのであります。本法案の制度は中小企業界のひとしく渇望しているところであり、中小企業界あげてそのすみやかな実施を望んでいると確信しているのであります。何とぞ愼重御審議の上、一日もすみやかに御協賛を賜らんことを、お願いいたす次第であります。
 引続きまして次に中小企業等協同組合法施行法案について、簡單にその提案の理由を御説明申し上げます。
 本案は中小企業等協同組合法案を施行する場合の経過規定についての法案であります。すなわち、中小企業等協同組合法案は、先ほど御説明申し上げましたごとく、農業、水産業、消費生活の三協同組合を除く他の協同組合を包括する組織法の体制をとつておりますので、その施行に伴い既存の各種組合の中小企業等協同組合への移りかわりを、できるだけスムースにできるようにし、移りかわりによつて財産の不必要な分散や、不自然な課税などということのないように措置を講ずることが必要でありまして、本法案のねらいもまさにこの点にあるのであります。
 第一に本法案では、協同組合に関する制度は、農業、水産業、消費生活の三協同組合制度を除いて、他はすべて中小企業等協同組合にまとめる意味で、商工協同組合法、林業会法、市街地信用組合法を廃止し、蚕糸業法中蚕糸協同組合に関する規定を削除することにいたしております。なお旧塩專賣法に基く塩業組合も、旧塩專賣法が別途提出される新塩專賣法によつて廃止され、組合に関する規定は削除されることになつておりますので、中小企業等協同組合にまとめることになるわけであります。
 第二に、既存のこれらの組合で單位組合的なものは、新法施行後八箇月以内に所要の手続を経て、新しい組合に組織変更することができるようにして、移りかわりをスムースにするように考えております。そしてこれらの旧組合で、新法施行後八箇月を経過したときに現に存するものは、單位組合的なものも、連合会的なものも、すべてそのときに解散することになります。既存の各種の組合で連合会的なものについては、新法の協同組合連合会についての規定は、新法施行後八箇月を経過したときから施行ということにして、新法に基く連合会への移行は認めないことにしてありますが、その財産については、既存の連合会的な組合の組合員である單位組合が新しい組合となり、それらを全員とする新しい協同組合連合会ができた場合には、財産分割の協議をし、その承継をすることができるようにして、財産の不必要な分散を避けるようにいたしております。
 第三に旧組合から新組合への移りかわりの際の財産の移轉に対する法人税、有價証券移轉税及び地方税法による不動産取得税等の適用につきましては、旧農業会から新農業協同組合への移りかわりのときの取扱いと同様とし、法律の改正ということのために起る不自然な課税ということのないように配慮しております。
 大体以上の通りでありますが、最初にも申し上げました通り、本法案は中小企業等協同組合法案と表裏一体をなすものでありますので、両者を一体と考えられまして、愼重御審議の上、両法案ともに一日もすみやかに御協賛賜わらんことを、お願いいたす次第であります。
    ―――――――――――――
#5
○神田委員長代理 次に臨時鉄くず資源回收法案を議題とし、提案理由の説明を求めます。有田政務次官。
#6
○有田政府委員 わが國の重要基礎産業である鉄鋼業を回復し、その自立性を確立することは、他の諸産業の復興と輸出振興の見地からして、きわめて緊急を要することと考えられるのであります。
 幸いにして終戰後は戰災くず並びに兵器、艦艇等の解体鉄くずの豊富な供給と、連合軍司令部の好意による鉄鉱石、石炭の輸入により、鉄鋼の増産は着々進行いたしまして、昨年度は普通鋼鋼材百二十万トンの生産計画を完遂いたしたのであります。本年度においてはさらに目標を五割方引上げ、輸出向け六十万トンを含む百八十万トン計画を樹立したのでありますが、本計画の成否は、一に所要鉄くず百八十万トンの確保いかんにかかつていると申して過言でないのであります。
 これに対しまして、本年度國内鉄くずの供給源としましては、鋼材生産に伴い、新たに発生する鉄くず八十万トンのほかに、市中くず六十万トンと、戰災建物燒損機械、沈没艦船等鉄くずとして利用することが最も適当と思われる、いわゆるくず化物件四十万トンを予定しているのであります。そのうち、くず化物件につきましては、現状のまま放置しますればとうてい所期のくず化は困難であり、從つて鉄鋼生産の目標完遂は不可能となるのであります。
 翻つて世界事の鉄くず事情を見ますに、各國ともに相当逼迫しており、かような情勢のもとにおきましては、戰前のごとき鉄くずの輸入は当分の間見込みなきものと考えられます。元來鉄くずは、鉄鋼の生産に伴い常に一定比率で循環しているものでありますが、今次の大戰により、海陸戰場に消耗された相当量は循環し得ないものでありますから、世界的鉄くず飢饉は当然と考えられるのであります。このような鉄くず事情に対処するため、鉄鋼の生産は鉄くずを極度に節約する方式をとるべきでありまして、本年度より鉄くずの配合率を可及的に減らし、徐々に鉄くず依存から脱却して、製鋼工場等から鉄鋼の生産に伴つて発生する循環くずのみでまかなう体制を整えるべく、努力している次第でありますが、他面積極的に國内鉄くずの回收を強化する必要を痛感する次第であります。占領軍当局におかれましても、鉄鋼増産のため、國内鉄くずの最大限利用をはかるべき意向を持たれているのでありまして、くず化物件の処理促進はその趣旨に沿うものでありますと同時に、國内清掃の目的もこれによりあわせ達成されるものと考える次第であります。
 以上申し述べましたごとく、本年度鉄鋼生産計画完遂のためには、鉄くずの供給確保を目的とするくず化物件の処理促進が、絶対に必要となるのであります。これが本法案を提案するゆえんでありまして、御審議をお願いする次第であります。
    ―――――――――――――
#7
○神田委員長代理 次に工業標準化法案を議題として提案理由の説明を求めます。有田政務次官。
#8
○有田政府委員 終戰後の経済統制が、もつぱらその重点を数量的増産に置いたために、粗製濫造の結果、品質劣悪なる製品が街にあふれ、一般消費者並びに使用者は非常な迷惑を受けているのであります。また輸出振興についても戰前のごとく、メード・イン・ジャパンが安かろう、悪かろうの代名詞であつたごとき事態を繰返すようでは、今後の國際市場において優秀なる外國製品とはとうてい競争ができないのであります。昨年の暮れ、連合軍総司令部より、経済九原則が示されましたが、その第八項に、すべての重要國産原材料と工業製品の生産を増大するということがあります。ここに言われる生産の増大とは、從來のごとき單なる量的増産であつてはならず、そのほかに質的増産が加味されなければならないのであります。また最近為替レートが一ドル三百六十円一本に決定せられたので、大部分の企業はその合理化を行わなければ、企業自体として成り立つて行かなくなるのであります。いずれにしてもかかる情勢に対して、わが國経済の再建が達成し得るかいないかは、わが國産業合理化の成否にかかつていると言うも過言ではないのであります。工業標準化が、鉱工業品の品質の改善、生産能率の増強その他生産の合理化、取引の單純公正化及び使用、または消費の合理化をはかるための最も効果的なる技術的手段であることは、いまさら言をまたないのであります。工業標準化は、近代工業の発展とは不可分な関係にあり、その強力かつ組織的なる実施が産業経済全般、なかんずく生産水準の増大に及ぼす影響力が大なることは、現在のアメリカ、イギリス等の例を見ても明らかなるところでありまして、その重要性は、前述のごとき現情勢下にある日本の工業界にとつて、この上なく増大していると考えるのであります。
 本法案は、わが國における工業標準化の発展に確固たる基礎を與えるものでありまして、まず第一点として工業標準化及び工業標準の概念を明確化している。第二点として、工業標準化の基準としての公正で適正かつ合理的な工業標準の制定と、その統一的整備を促進することを目的としているのであります。これがためには、從來その審議手続等が立法化されていなかつたので、とかく公正を欠くおそれがあつた工業標準の制定が、民主的かつ合理的に行われるように規定したのであります。第三点として、規格該当品に対し、企業体が自発的に表示を付する制度と、表示の許可に伴う工場の審査制度の実施をはかつております。これによつて、各企業体における工業標準の実施を確保し、かつ、この工業標準に基く、科学的な品質管理が促進され、もつて生産の設備、技術あるいは工程等が改善合理化され、優良な品質の製品が確実かつ高い歩どまりをもつて生産され、さらにこのような製品が、生産者の責任ある品質保証のもとに、公正に取引されることにより、まじめで優秀なる生産者と、その製品の使用者との利益が増進されることになるのであります。右の三点のねらいによつて、鉱工業の発達改善と輸出の振興に大いなる効果をもたらし得ると考えるのであります。本法案を今國会に提出したゆえんのものは、実にそこにあるのであります。何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御協賛賜わりたいと存ずる次第であります。
#9
○神田委員長代理 ちよつと速記をとめて……
    〔速記中止〕
#10
○神田委員長代理 速記を始めてください。
#11
○聽濤委員 今鉱山保安法、中小企業協同組合法、工業標準化法、その他の重要法案等、商工委員会としてはきわめて重要な問題が今度初めて一緒くたにずつと出て來た。それをこれから審議しなくてはならないのですが、この商工委員会には、この間一ぺん商工大臣が顔を出したくらいで、ほとんど出て來ていない。こういう重要法案が出たときに、これは各委員会におきましても、必要に應じて大臣は必ず出席して愼重審議しております。これはやはり委員会を尊重し、政府がいずれも法案を提出しておる趣旨の中に言うておるように、ほんとうに愼重に審議してもらいたいというのならば、当然商工大臣が責任をもつてここへ出席する必要がある。今後きようの午後からの会合にも、ずつと商工大臣に必ず出席してくれるようにひとつ請求したい。
#12
○神田委員長代理 私からちよつと申し上げておきます。提案になつております法案は、ただいま聽濤君のお説の通りでありまして、非常な重要法案でありまして、商工大臣初め各関係官の出席を要求しております。商工大臣は通商産業省の設置法案、あるいはリンク制の方の衆参連合会の方へ出ておるらしいのでありまして、そちらの手のすき次第参るということになつております。その他関係官も逐次参ることになつております。なお委員諸君にも私から御相談しておきますが、商工大臣はむろんのこと、あるいはまた物價廳とか安本等の來ることを私どもの方から要求しておりますが、これに関連して他の関係大臣等に質問があるというようなことがございましたならば、委員長としては出席をするように手続をいたしたいと思いますから、あらかじめ要求をしていただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#13
○神田委員長代理 それでは次に石炭に関する件を議題として調査を進めます。本日は特に石炭價格の件に関し調査を進めたいと存じます。
#14
○山地政府委員 石炭の價格の問題につきましては、過般御説明申し上げたと存じますが、その後御説明申し上げましたような方針で目下安本と物價廳と三者集まりまして、いろいろ数字を檢討しておる最中でございます。本日までのところまだ一定の結論に達しておりません。可及的すみやかに一定の結論に達しまして、関係方面の折衝を開始いたしたいと考えている次第であります。
#15
○今澄委員 石炭の問題についてはかねがねいろいろ論議されたのでありまするが、正式な商工委員会として論議するのはきようが初めてでありますので、いささか重複のきらいがあるが、二、三点お伺いしたいと思うのであります。
 その第一点は今度の石炭に関するメリット炭價の問題で七月からメリットによる新炭價で行くというような情勢は、大体やむを得ないものであろうと、われわれ思うのでありますが、五、六月の暫定價格は少くともそれに行くまでの暫定的な処置として、日本の石炭産業全般にわたつて大きく政治的な考慮を拂い、妥当なものでなければならぬと考えておるのであります。しかも復金の貸出しといい、その他石炭関係が抱いておる大きな赤字に関する融資、それらの処置というような問題についても、もとより重大な関心を持たなければならないのであります。しかるにこともあろうに、この暫定炭價の問題が俎上に上るや、三井鉱山あるいは古川鉱山等の株價を見てもわかるように、驚くべき株の騰貴を示しておるのであります。その暴騰は何に原因するかというと、これら大炭鉱に最も有利に價格がきめられるであろうという兜町筋の見解によつて、これらの大炭鉱の株は軒並に――北海道炭鉱も含めて最近暴騰しておることはすでに御承知の通りであります。その反面に、一部の宇部炭であるとか、常磐、九州方面における中小炭鉱の現実は、まこに暫定炭價の成行きいかんによつては、ほとんど崩壞に瀕する。こういうような状態になつておるのでございます。そこで私どもはこの五月、六月の暫定炭價は愼重にきめなければならぬということを考えて、しばしば商工委員会の鉱工業小委員会で私どもは政府委員にただしたところ、安本の、動力局長は今の状態ではわれわれをもつてしては何ともできがたい。もはやさじを投げた形である。いい知惠があるならば貸してもらいたいというような発言が政府側からあつた。そこで私は商工委員会の名において、これらの石炭の問題については、國会は國会としての意思をひとつ明らかにして政府に勧告せん、こういうような意図を持つておることを御了承を願いたいのであります。私は石炭の炭價の問題については少くともメリットというものを含む意味合いの中には、どうしてもそれはカロリーのみではなくて、揮発分であるとか、粘結性であるとかいうようないろいろな要素をこのメリットの中に含ませることが、現下の石炭行政としては最も重大な点であつて、この点をまず第一点としてメリットの暫定炭價の中に織り込まなければならぬ。いま一つは石炭協会で答申したところの一本にまとまつたと言われたあの石炭協会案なるものは、まことに大炭鉱側と小炭鉱側との意見が対立しておつて、これは完全に二つに分れたところの意見である。三十何名の委員の中で中小炭鉱を代表するものは三名しかおらないという現実から判断されても、しかもその後の陳情の模様から判断されても、石炭協会から具申した案は一本のものではない。大炭鉱、大手筋の意見が全面的に盛られたものであるということを、第二点として強調したいのであります。第三点としては、これまで掘れ掘れと言うて國家統制のもとに、まことにがむしやらに掘らしたところのこれらの中小炭鉱を、今日日本の現情から見て、九原則のもとに一氣に振り捨てるということは、まことに情容赦のない行き方であつて、これらの中小炭鉱の労働者並びに、その家族、経営者の立場も十分考慮して、ここにそれらのものが成立つような配慮をして炭價をきめるということが、今日の日本の石炭行政の上に重大なる点であるということが第三点、この三つの点から私は中小炭鉱あるいは低品位炭に與えられんとしている五、六月の暫定炭價の傳えられたところの基礎案というものは、まことに当を失したものであるとわれわれは考えている次第でございます。その間いろいろといきさつがありましたが、今聞くところによると、あるいは政府は四千カロリー以下の炭については、補給金として八十円出ておるものを全部打切るというような意見も傳えられております際であるから、將來七月からの本格的な炭價について、業者並びに組合側が眞劍にこれを案じておるということは、論をまたないところであります。私どもはかような意味合いにおいて今後の五月、六月の暫定炭價はもとより、將來のメリット主義による炭價の決定については、深甚なる配慮をこの際政府に求めたい。そうして私どもは今の四千二百万トンの完遂については、これは見方の相違でありましようが、そういうような状態のもとに四千二百万トンが完遂できるかどうか。しかも関係方面から指示された四千二百万トンについては、何々カロリー以上のものをという指定はないのであつて、おのおの使用の方法さえよければここにそれらの炭も十分使い得るという現態勢から、私どもはこの暫定炭價の問題について非常な関心を持つておる次第であります。そこで結論を申し上げると、この前の鉱工業小委員会において、大手筋の大山炭鉱で、あるいは一つの優良鉱脈を押えて掘らない、あるいはふたをあけさえすれば相当高カロリーの炭が出る。そこでもし政府が四千カロリー以下の補給金を打切れば、その優良鉱も掘つて、混炭するごとによつてカロリーを上げて行くというような縦横なる対策のできるところのこれらの大手筋と、その炭以外には何らないというような小山とを、同一のランクに置いては誤りであるということを私は申し述べて、委員各位の意見を徴し、この際中小低品位炭鉱の今度の炭價については大いに当を失するものであるから、これが引上げについて特別な措置を講ずる必要があるということを申し述べましたが、速記はなかつたけれども、そのときに御出席の民自党、民主党、社会党、共産党各派の代表の方々が一致してこれに賛成されたことは、そのとき委員長席におられた小金君もよく御承知の通りであります。よつて私はきようの商工委員会におきまして、この問題に対するおのおのの見解も申し述べ、あるいはきようは傍聽者として見えておられますが、その中からしかるべき人を参考人として指定して、懇談的に石炭協会の模様なり、あるいは大手筋炭鉱の人々の意見なり、さらにはまた中小低品位炭鉱の方々の意見をわれわれは十分聽取いたしまして、しかして政府の見解とにらみ合せ、この際石炭の暫定價格の問題その他について、手をあげたと言明されたところの安本動力局長その他関係各位に、われわれは商工委員会の名において勧告いたしたいと考えておるのであります。委員長にひとつお諮りいたしますが、この前の委員長とも内々で御相談申し上げたように、本委員会のあとで参考人とわれわれ商工委員との事情の聽取方を、おとりはからい願いたいと存ずる次第であります。
#16
○山地政府委員 石炭の價格の問題につきましては、すでに御承知でありますごとく、現在は二千三百八十八円の價格を、地域別に主としてコストというものを考えて各炭鉱ごとに定めておる、こういうふうな関係であります。それでお説非常にごもつともの点が多多ございまして、從來政府といたしましては、一定の石炭量を確保いたすことを最大の目標といたしまして、資金、資材、價格、あらゆる点で炭鉱に百パーセントの援助を與えまして、ひたすら増産に邁進していただくような体制をとつて來た次第であります。それが最近の九原則下におきまして、日本の経済界一般の問題でございますが、大きな轉換をいたしまして、特に石炭鉱業につきましては、政府としては消費者價格を引上げることができず、また炭鉱に対する補助金も出すことができず、また赤字融資もすることができないという建前の中で、炭鉱業自身の経営合理化をはかつて、そうして四千二百万トンを出炭しなければならぬ。かような至上命令のもとに立つておるような状況でございます。そこで現在の炭鉱業を概括して申しますと、過般も赤字補助について國会の御協賛をいただいたのでありますが、かような状況でありまして各炭鉱とも非常な赤字に苦しんでおるような状況でございます。そのために関連産業の方にも資材の不拂いなどで非常に御迷惑をかけておるということで、何とかしてこの状況を根本的に打開いたしませんと、日本の経済界に及ぼす影響も大きなものだと考えておる次第であります。そこでこの際思い切りまして、いわゆるメリット本位と申しますか、炭質、使用價値、こういういろいろなことを考えまして最も合理的な炭價を考える時期に到達しておるのだ、かように考えまして、石炭協会にも諮問いたしました結果、業者の團体としての石炭協会としては、七月一日を目標として合理的なメリット本位の價格に移行する、こういう意見を持つて來られたような次第であります。このメリット制の價格というものも、お説の通りこれは非常に考えなければならぬものでありまして、單にカロリーだけできめるべきものでないと考えております。いろいろな地域差の問題、その他炭質の問題など、十分に考慮しなければならぬのでありますが、それもどんな数字で取上げて考慮いたしますか、これは技術的にむずかしい問題がありまして、目下物價廳と連絡いたしまして鋭意研究中であります。ところでそれはそれといたしましても、当面現在のような状況を打開いたしますためにも、そのほかにもう一つ暫定的な措置をとる必要があると考えまして、これまた安本、物價廳と相はかりまして、中間的な一段階を刻もうじやないか、こういうような心持で、いわゆる暫定價格を考究しておる次第であります。これはあくまでも暫定價格でありますので、メリット建の價格に今までの一段階を刻むというような心持で数字を考えております。これまたただやみくもに腰だめで値段をつくるわけにも参りません。一應やはり理論を立てまして、合理的な数字と合理的な理論によりまして、妥当な結論が出なければならぬと考えまして、どういつた点に暫定措置としての理論構成を求めるか、その点に物價廳当局も非常に苦心しておられるようであります。そういうような点で目下鋭意研究しておる途中でありまして、これは非常にむずかしい問題でありますので、物價廳並びに安本当局でも、あるいは先ほど今澄委員のお話がございましたごとく、非常に苦しんでおる問題である、むずかしい問題であるというふうな御答弁をいたしたと思つております。私どもも理論的に数字を立てて、だれにも納得できる暫定格價をきめるということ自身がなかなかむずかしい問題でありまして、日夜苦心しておる状況でありまして、かつその理論がすつきりしておりませんと、関係方面の了解もとりにくいということもありまして、苦心しておるのであります。ただ根本的にはこの際申し上げておかなければならぬのは現在の日本の経済情勢から申しましても、低品位の石炭あるいは非常にコストの高い石炭をこれから継続して掘つて行くということは、むずかしかろうと考えるのであります。どうしてもできるだけコストも安く、しかもできるだけ品位のよい石炭を掘つて行く炭鉱が將來とも発展して行く、こういつた形になるのが経済の本体であると私どもも考えております。この本体に向いまして、各炭鉱とも非常な御努力を願わなければならぬと存じておるのでありまして、この御努力を願うまでの間暫定措置というものは、急激な変化がないために大したことはなかろう。かように考えておる状況であります。
 以上お聞き置き願いまして、政府当局の苦衷の存するところも御了解願えれば幸甚と存ずる次第でございます。
#17
○川上委員 今の御説明でたびたび繰返すようにやはりわからぬところがある。良質炭をたくさん掘らせなければならない。これはあたりまえのことですが、それを掘らせるというかたわらで、メリット制によつて今のような形でやつて行くと、質の悪いところは経営ができないということを言つておる。これはできないでもいいつもりでおるのですか。あるいはできるというつもりでおるのですか。いいところを掘らなければならぬから、悪いところはつぶれてもよいという腹があるのか。あるいは悪いところでもつぶれはせぬかというようにお考えですか。
#18
○山地政府委員 何分にも数の多い炭鉱でありますので、各炭鉱によりまして状況が異つておるのであります。それでたとえば低品位炭と申しましても、企業家の努力いかんによりましては、非常に実はコストが安い値段でできる石炭もあるのであります。こういうものはカロリーは少いけれども値段が安いという特長がありまして、消費者から喜ばれる、かような状況もあるのであります。また低品位炭であると同時に非常にコストが高い。それで特別に買取價格を見てもらつてつないでおる山もあろうと思いますが、現在では相当コストが高いけれども、これは企業家においても政府においても力こぶを入れてやつて参りますならば、相当コストが下るじやないか。そうして山としては採算がとれて行く。かようなものもあろうかと思います。これはたくさんの炭鉱でありますので、一概に申し上げられませんが、そういう意味合いで、低品位炭が全部一律に、そういつた價格を直すことによつてつぶれてしまうものだということは、われわれは考えておりません。各炭鉱はそれぞれの創意くふうと、経営者と労働者相互の非常な努力がありますならば、低品位の炭鉱は低品位の炭鉱なりに、しかるべきコストを生み出して、そして生きて行く道がある。これによりまして政府としては総体としての四千二百万トンの生産が期待できる。かように考えておる状況であります。
#19
○川上委員 一トン六百円というような炭價で生きて行く道がありますか。生きて行く道が何とかかんとかあると言われますが、何とかかんとかじやわからぬ。どういうぐあいにして生かして行くつもりですか。これは非常にはつきりしない。何とかしてやつて行かなければならぬというのでは非常にあいまいなんです。聞くところによりますと、非常にたくさんの炭鉱が参つておるということを、ずいぶん業者の人が言つておる。われわれが見てもそうじやないかということが考えられる。そうするとこれは繰返して言いますけれども、大手筋だけは助かるが、そうでない者が非常に打撃を受けるということになりますが、これは打撃を受けてもしようがないと思つておられるか。あまり受けはせぬと思つておられるか。そこのところは、どうですか。
#20
○山地政府委員 一トン六百円と言われるがこれは何かの誤解じやないかと思います。現在私どもが考えておりますのも、石炭協会でやつておりますのも、最低千七百円でありましたかを考えておるのでありまして、一トン六百円という数字はあまり聞いたことがない数字であります。いずれにいたしましても炭價配分の結果におきましては、現在よりも買取價格が安くなりまして、その意味においては相当な打撃を受ける炭鉱が出て來ることは確かであります。私が何とかかんとかと申しましたのは、現在二百円買取價格が下る。それはどうしたらよいか。そこで炭鉱においても経営者と労働者と協議して、何とかして経営を合理化して、コストを下げるということを研究していただいたら、生きて行く道があるのではないか。また政府としてもこういう低品位炭も、販路とかそういうことについて特別に考えて差上げなければならぬ点があるのではないか。そういうことを考えまして、政府なり企業家なり労働者の方々の一致した努力で、窮すれば通ずで、打開する道も何とかできるということがあるのではないか。かような意味で何とかかんとか申したのでありまして、これは各山に應じましていろいろな活路があり、またコストの引下げという道も生れて來るのではないかと考えております。
#21
○川上委員 それではあとから問うことにしますが、やはりこれに関連して炭鉱の経理の状態には赤字があるということを、今も御説明になりましたが、どうもこの赤字そのものもたいへんわれわれとしては怪しいと思つておりますが、最近あなたのところで大きな会社の自立採算に関する報告をおとりになつたことがありますか、ありませんか。
#22
○山地政府委員 報告と申しますか、私の方は大きな会社に限りませんで、各炭鉱に関しまして、できるだけ企業の合理化に努力せよということを常々申し傳えております。そこでいろいろな炭鉱におきまして、自分のところではこんなふうに努力しつつあるというような報告をよこしておるわけでございます。これは具体的にこまかい点までこんなことになつておるという報告をよこしたものもありますし、またこういつた方針で進みつつあるところもあります。いずれにしても各炭鉱は、こういつた企業の経営合理化の案をつくります際には、各炭鉱に経営協議会がありますので、労資双方で非常に熱心な研究をやつて、その上で合理化方針が生れて來ると思います。各炭鉱それぞれそういつた意味合いで、経営協議会を中心にして合理化を檢討しつつあるのではないかと思います。それに應じましてある炭鉱によりましては、現在こういつた方向に進みつつあるということを報告して参つておる状況であります。われわれとしても三月十日のメモランダムによりまして、あの方針に基きまして炭鉱の合理化を促進するということになつておりますので、各炭鉱に鋭意そういつた努力をしていただいて、その努力はなるべく報告していただくように努めておる、かような状況であります。
#23
○川上委員 それは任意の報告ですか。
#24
○山地政府委員 さようでございます。
#25
○川上委員 こちらへ出せという報告ではないのですか。
#26
○山地政府委員 これはいろいろな意味合いから、たとえば現在國家の見返り関係によりまして設備資金の問題も出ております。いろいろな意味で各炭鉱の企業能率ということが絶えず問題になりますので、行政官廳として行政指導の必要上から出してもらいたい、こういつて出していただいておるという状況であります。
#27
○川上委員 それは各社企業の合理化による自立採算の見通しというようなものだろうと思うのですが、これには北炭、三菱、三井、古河等が出ておるはずだと思います。この内容について私は知らぬわけですが、この報告書をひとつ提出を願いたい。よろしいですか。
#28
○山地政府委員 今出ておりますのは、これは各社としてもまだあるいはおきまりにならないものもあろうかと思います。一應こういつたことを考えておるという計画書かと思いますが、委員会から御要求があれば、提出したいと思います。
#29
○門脇委員 石炭の炭價に関しまする問題は、これは非常に重大な影響をあらゆる部面に反映する問題であります。ことに炭鉱自体におきましても、この炭價のいかんによつては、相当多数の炭鉱がその生死の岐路に立つ、こういつたような問題にも直面するわけであります。ひいてはそういつたような石炭の生産の増減が、日本の全生産界に非常な影響を及ぼし、せつかくの再建途上におきましてこれは容易ならぬ問題を生む原因になるのであります。そこでこの問題につきましては相当廣い視野において、総合的に考えなければならぬ。一例を言いまするならば、石炭の生産部面におきましても、大生産者のみを擁護してはいけませんし、また極端に恩情主義をとつてもいかぬ。そういつたことについて相当廣い視野から総合的な判断を必要といたします。この石炭の單價問題は今早急に迫つておりますので、この際速急に政府と國会を代表しまするわれわれ商工委員会、そしてこの石炭の生産者――生産者のうちには大生産者も中生産者も小生産者もありますから、あらゆる段階の生産者を公平に配合しましたこの生産界の代表、この三者の懇談会を速急に開催いたしまして、この懇談会の單價決定の結論を尊重し、これを基礎にする。こういつた希望のもとに、そういう方式においてこの前後措置をとられんことを、私どもは希望するのであります。委員長においてはこの趣旨を体して、すみやかに政府当局に折衝されまして、これが実現をはかられんことを特に希望いたします。
#30
○神田委員長代理 お諮りいたします。ただいま門脇君より、また先ほどは今澄君からもこの問題を提供されておつたのでありますが、石炭の單價の配分、決定はなかなか重大な要素を日本経済再建の方向に持つておりますので、政府また炭鉱経営者側の大、中、小の業者を招致して、当委員会として懇談会を開いて、國政調査をやつたらどうかという趣旨の御発言のようであります。時日あるいはその方法等については委員長におまかせ願うというような御趣旨だと思いますが、いかがでございましよう。さようなことを手まわしよくやるということにおきめ願えますか。
#31
○聽濤委員 非常に趣旨には賛成であります。すみやかにそれをやつていただきたいと思います。ところで大体この單價の問題については、このメリット制によつて、われわれの聞いておるところでは、すでに全國で五百五十くらいの炭鉱が、壞滅の状態にあると言われております。ところが大手筋の炭鉱に対しましては、從來も補給金あるいは復金の融資その他いろいろ國家補助というものがあつたと考えております。しかし今度の單價のきめ方によりましても、ほとんど大部分の國家補助というものは大手筋になされる。こういう單價をきめられては、政府が何と言いましたところで、中小炭鉱は破滅せざるを得ない。こういうところに追い込まれることはだれの目にも明らかだと思います。この点で今の御提案は非常に賛成でありますが、さらにつけ加えましてこういう状態が差追つておりまして、労働者の間には賃金の遅配欠配も起つておりますし、また首切りも起つておるし、それから山自体の運命に対する非常な不安を持つておる。これは労働者にとつて生きるか死ぬかの問題になつておりますから、その中へ炭鉱の労働組合の代表をも加えていただきたい。このことをお願いして今の提案に全面的に賛成いたします。
#32
○澁谷委員 それに関連しまして、ただいまの御提案はまことにけつこうでありますが、單價の決定ということになりますと、やはり石炭を消費する需要家の方面の意見というものが價格の決定に関係があります。價格の決定とこれに関連した生産数量の増減等が、需要家の方面に非常に大きな関係を持つております。ですから石炭を増産するということは、やはり日本の國の産業を発達させるためにするのでありまして、從つて石炭を需要する方面からメリット制によるところの單價の決定を考えますると、單に石炭炭鉱から考えての形ではいかぬと思います。從いまして、この價格の決定にあたりまして、もしそういうふうな委員制度をつくつて審議をするということでありますると、これはまことにけつこうな御提案でありますが、それにはぜひ消費者の代表を加えて、愼重な考慮をしていただかなければならぬと思います。
#33
○神田委員長代理 澁谷さん、委員会をつくるのではなく、当委員会として事情を聞こう、こういうことですから……
#34
○澁谷委員 そういうふうな意味であつても、需要家の声も聞くということは必要だと思います。
#35
○神田委員長代理 けつこうであります。ではお諮りいたします。ただいま門脇君、今澄君の述べられました趣旨についてお諮りいたしましたところ、聽濤君から労働者の代表も加えるように、また澁谷君から消費者の代表も加えて、そうして單價決定の最善を期するようにという御趣旨を述べられて御賛成のようでございましたが、両君の御提案は私委員長としても考えておりますが、今四君のお述べになりました趣旨をくみまして、さつそく懇談会を開く手配をすることに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○神田委員長代理 それでは日時をお諮りいたします。五月十日午後一時からとし、人選顔ぶれ等は委員長におまかせを願いたいと思いますが……
    〔「異議事なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#37
○川上委員 人選その他は理事会でおきめ願います。
#38
○神田委員長代理 承知いたしました。のちほど理事会を開きますから、人選の内定はひとつ皆さんにお諮りいたしまして御相談していただきましよう。
#39
○江田委員 一言これに関連しまして御参考までにお伺いいたします。私の申し上げたいと思つたことは聽濤君から詳しくお話がありましたかもしれませんが、メリット制はけつこうだと思います。政府のお考えは大手筋は何でしようが、中小炭鉱には設備がないのでおりまして、ただメリット制だけを考えまして、減産をするということを考えなくてやられたということは、大いに商工委員としても責任があることであります。大手筋は十分な設備ができておるのでありますが、中小炭鉱にはまだ水洗設備の完成がないのでありますから、かようなメリット制で炭價をきめるということになれば、千円のものなら七百円で出してもいいという結論になります。私も事業をやつておりますが、もう少し御考慮くださいまして、メリット制を出炭量と合せて考えてやるということを含んでおいていただかなければ、今のようなやり方では半分に減産するのじやないかと考えておるのであります。私も中小炭鉱でありますが、水洗の設備もできぬのであります。さつそく帰りまして、水洗設備もいたしますれば、三千トンのいい石炭を出すこともできるのであります。私たちは議員として出ております責任もあり、出炭もしなければならぬという点もございまして、多少今の値段をもう少し段がつかないように、その意見をおくみとりくださるように切にお願い申し上げます。
#40
○神田委員長代理 江田さん、懇談会でまたお述べ願います。政府委員は今いろいろの関係で、呼んではおりますが午後になるようでございます。いかがでございましようか、責任者がいないところでお述べになりますのもどうかと思いますので、午後一時半ごろから本会議になると思いますから、二時から当委員会を再開するということで、ここで暫時休憩いたしたいと思います。
    午後零時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十七分開議
#41
○神田委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
 まずお諮りいたします。午前中の会議におきまして御了承を得ました石炭價格の問題について、関係者を招致して懇談会を開くという件につきまして、先刻理事会を開いて協議いたしましたところ、これは正式の委員会におきまして参考人として出席を求め、意見を聞くことに協議をととのつたのであります。なお参考人の数は十四名とし、その内訳は大炭鉱すなわち大手筋より北海道、九州各一名、計二名、中小炭鉱より北海道二名常磐二名、宇部一名、九州一名計六名、需要者側より大口小口各一名、計二名、労働組合側より四名、以上とし、発言時間は大炭鉱、中小炭鉱、需要者、労働組合各三十分以内とすることに決定いたした次第であります。なお日時は午前中にお知らせいたしました通り五月十日、火曜日午後一時であります。以上理事会の協議決定通りとりはからうに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。ただいま申し上げました理事会の決定通りとりはからいます。
    ―――――――――――――
#43
○神田委員長代理 石炭價格に関する問題について質疑を継続いたします。御質疑はございませんか。
#44
○川上委員 先にちよつとお尋ねしたのですが……。こちらの方から要求があれば出すと言われました石炭事業の方の今後の自立財産の見積り、あれが相当出ておるのだろうと思うのです。その見積りの内容を見なければちよつとわからぬのですが、これは非常に重要な参考になるものがあると思いますので、これをひとつ委員会の方でもらうように委員長の方で取扱つてもらいたい。
#45
○神田委員長代理 川上君よりただいまも重ねて御要求のありました、企業合理化による自立財産による見通し等に関する石炭廳の資料を委員会として要求したい。政府側においても委員会の要求であるならば出し得るという言明のようでありましたが、これを採用いたしまして委員会として資料を要求することを取扱うことに、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは成規の手続にまりまして要求することにいたします。
#47
○川上委員 炭價の問題でありますが、これを懇談会の形式にしてもよいのですが、ここに石炭の方の組合の人が來ておるのであります。せつかく來ておるのでありますから参考のために聞いたらよいと思いますが、お諮り願います。
#48
○神田委員長代理 先ほど來きようは石炭に関する調査をしたい、それが終りましたところで鉱山保安法案の審議をしたい、こういう予定に相なつておりまして、今のところさようにとりはからう考えは持つておりません。
    ―――――――――――――
#49
○神田委員長代理 それでは御質疑がないようでございますので、鉱山保安法案の審議に入りたいと思います。
#50
○小金委員 鉱山の保安に関して、今まで鉱業法から委任された省令その他の規則によつて、鉱山の保安を維持または改善するという方法をとつておられましたが、今回これを單独の鉱山保安法という法律によつていろいろ規制を行つて行く。まことにけつこうなことであると思うのでありますが、これは鉱業を経営して行く上におきまして、経営者側がいろいろな施設をする。その施設によつて経営を合理化し、稼行を続けて行くということのほかに、鉱山は御承知の通り一般公衆に対して非常に大きな関係を持つておりますので、保安施設がいい悪いによつて公益に非常に大きな影響を及ぼすことは、御案内の通りでありまして、社会公共の立場からもこれを十分に檢討しなければならぬ性質の法律案だと思うのであります。さらにまたその鉱山において働く從業員たちの生命その他身辺の保護についても、重大な関係がある法律案であります。そこで提案の理由にもそういうことをいろいろ考えて提案したということであります。その趣旨はまことにわれわれはけつこうだと思うのでありますが、重要な問題につきましてここに二、三の質問をいたしたいのであります。
 まずこの鉱山保安法案を見ますると、第一章の総則においてこの法律の目的というところで「この法律は、鉱山労働者に対する危害を防止し、鉱物資源の合理的開発を図ることを目的とする。」これは非常に簡潔な言葉で表わされておりまするが、これは大体労働関係の法規の性質を帶びていることをはつきり示しております。すなわちこの法律は産業立法であると同時に、労働保護に関する法規である。そうしてまたこの規定の内容から見ますると、大体一般警察法に対して特別警察法の性質を持つておる、こういうふうに考えられるのであります。この三者を大体一体として立案された法律案だと思うのでありますが、その点を明確にしておきたいのであります。
#51
○曽根説明員 ただいまの御質問についてお答え申し上げたいと思います。この保安法の目的を第一條で規定しているわけでございますが、これは從來実施いたしておりました鉱業法におきましては、もつぱら鉱業警察という名目で、特別行政的の性格を主体にした法律の建前をとつてございましたのを、今度の保安法におきましては鉱山の特殊性にかんがみまして、ただいまも御質問にありましたように公益の保講、それから鉱山における労働者の生命の保護というものを合せて、一体として鉱山の保安ということを目的として取扱う、こういう趣旨にいたします意味におきまして、第一條に「鉱山労働者に対する危害を防止し」ということと、それから「鉱物資源の合理的開発を図る」というふうに、合せて目的を明示したわけでございます。
#52
○小金委員 私が尋ねておりますのは産業法規と労働法規と特別警察法規を、総合的に組み合せたものである意味であるかどうか、ということを聞いておるのであります。
#53
○曽根説明員 ただいまの御質問の趣旨の通りでございます。
#54
○小金委員 そうしますと労働法規に関しては、これは特別法という性質のものになることははつきりいたしたのであります。また産業法規としてはもちろんでありまするが、警察法規としては一般警察から離れた特別警察法規、すなわち鉱山に関する限りは、この鉱山保安法がまだ第一に警察法規として適用されるというふうな見解をとつてよろしいのでありますか。
#55
○曽根説明員 御質問の趣旨の通りにお考え願つてけつこうと思います。そういう意味におきまして、たとえば銃砲火藥取締法とかあるいは電氣工作物取締規程というようなものも、この施行細則におきまして全面的に統合するように考えております。
#56
○小金委員 そうしますると、この法律案がもし法律として成立した場合におきましては、鉱山の特殊性を認めたという立場において、まず第一に鉱山関係についてはこれが適用になる。そうしますると、この鉱山法を施行する官廳と申しまするか、この鉱山保安法の所管官廳は、相当に整備されたものでなくちやならないと思いますが、今日は大臣も政務次官もおられませんので、その点については質問を留保いたしまして、次の問題に移りたいと思います。どうか委員長におかれましては、必ず大臣、次官、その他責任ある方々から一つ御答弁あるように、おとりはからいを願いたいと思います。
 次に立法技術の問題になりまするが、第一章の第二條の第三項におきまして、「附属施設」という言葉が出て來ております。第三項の二行目に、「当該鉱物の掘採に係る事業を主たる事業としない附属施設及び掘採場から遠隔の地にある附属施設を除く。」すなわちこの法律はただいま申し上げましたような特別警察法規であつて、また労働保護法である。こういうような見地から見ますると、こういう鉱山の付属施設でも、鉱物の掘採と密接な関連を有しない付属施設、当該鉱物の掘採に係る事業を主たる事業としない付属施設及び鉱物の掘採場から遠隔の地にある付属施設、これが除かれておりますが、はたしてこれでよいかどうかという問題が起るのでありますが、これをどういうふうに取扱われますか、説明を願いたいのであります。
#57
○曽根説明員 この法律は大体鉱山における保安を対象といたしまするのでございますから、鉱業を行う事業者の建前としまして、全般に適用するという考え方でございますが、特に從來施行になりました労働基準法から別に切離して、この鉱山保案法というものを設けて取締らなければならないという主たる理由は、鉱山というものが鉱山の特殊性から見まして、一般の工場とは非常に違う性格をもつておるというところに基きまして、制定されなければならぬ。こういうふうに考えておるわけでございます。從いまして、その適用対象となる事業場につきましては、原則的にはただいま申しましたように、鉱業を行う事業場全部という考えでございますが、実体的に鉱業を行う事業場というものを具体的に分析してみますと、その鉱業が非常に地域的に廣範囲にわたり、また事業的に附帶事業にわたります等の関係上、特殊性の非常に薄い事業が、附帶事業として含まれて來ることになつておるわけでございます。從いましてこの第三項におきまして、特に特殊性の非常に薄い――鉱山として特別に別途取扱わなくても、一般の労働基準法によりまして取扱つてさしつかえないというような事業場につきましては、ここに特に例外を設けまして適用から除外したい、こういうふうに考えておるのでございます。それでこの除外する対象といたしましては、大体三つの点について例外としたいというふうに考えております。その第一番目が当該鉱物の掘採と緊密な関連を有しない事業場――付属施設と申しますのは、鉱山の山元にありましても、病院とか合宿所とか、そういうような施設は特に鉱山の事業として、いろいろ特殊な危險があり特殊な事業があるということはございません。一般の市中における実体と同様でございますので、これを適用除外する。それから第二番目に当該鉱物の掘採にかかる事業を主としない付属施設と申しますのは、たとえば鉱山における修理工場、元はその山の機械の修理を主としておりましたものが、次第に発達発展しまして、外需を取扱うようになる。さらにむしろその方の事業が主となつたというような製作工場、こういうようなものは、やはり市中の機械工場と、何ら実質的にはかわりがないという実情にありますので、こういうものも一應除外したい。第三番目に鉱物の掘採場から遠隔の地にある付属施設と申しますのは、たとえて申しますと、主として金属鉱山の付属精錬所でございますが、これが立地條件との関係から、あるいは瀬戸内海の離島地区に置かれ、あるいは大阪等の市中に置かれるというような関係で、非常に鉱山から離れて、むしろ独立的な性格といつたような地域に設けられ、從いまして今言つた鉱山からは、鉱山としての特殊的の性格が非常に薄くなるというような設備につきましては、この法律から適用を除外する、こういうふうな建前をとつておりますが、ただその中で第三番目の付属精練所につきましては、煙害等の特別な問題がございますので、三十一條に特例を設けまして、特にその特殊の鉱害の防止自体につきましては、この法律を適用するということについて、全面的に第二條第三項において適用除外したために起る支障を、ここで調整をはかる、そういうふうに考えております。
#58
○小金委員 大体趣旨はわかりましたが、ただ距離が離れているからということで、これは鉱業警察法規を適用しない、鉱山のそばであるから適用するということも、ふに落ちない点もあります。しかしその点はそれとして、問題は從業員の場合でありまするが、同じ経営者の職場に働いておりながら、少し遠方の付属設備の方へ行つた場合においては鉱山関係の從業員でなくなる。その逆が行われると思うのでありますが、そういう点について給與の問題その他手当の問題は同じといたしても、勤める場所によつて同じ事業の範囲内の職場の相違によつて、同一事業の中においても、適用される労働法規が違うというようなことが起るのです。その点に対しては技術者である曽根君を追究してもどうかと思われますが、一應曽根君の見解をただしておきたいのであります。
#59
○曽根説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。まず主としてその鉱山に働く從業員労働者との取扱いが、今言つたような付属施設を除外するために別途ちぐはぐになつて、問題が起きはしないかという御質問と思いますが、まず第一番にワン・ブロックという観念で、とにかく山元へ入る者は建前としては付属施設からはずさない。付属精錬所等で特にワン・ブロックにはずれるようなものについては除外するという考えで、一應山の中のものはだんだん一本になる。それから非常にはずれておりまして、実体的に見ましても、それぞれ事業場の職制等もわかれているというような付属施設が大体除外になると思いますので、第三番目に該当する場合につきましてはそういう問題は比較的ないと思います。山にあります付属施設につきましては、若干そういう問題が起ると思いますが、第三項に適用を除外している付属設備につきましては、元々鉱山の労働と云いますか、そういうような性格と違う仕事をする、全然性格が違う仕事に当るというような從業員の方が多いと思いますので、大体におきまして取扱い上から特にちぐはぐになつて支障が起るということは、起らないのではないかと思います。二番目の適用除外の問題につきましては、全面的にこれを適用除外しますと、そういう問題が起ると思いますが、非常に付属施設が大きくなつて、たとえて言いますと九州の三池炭鉱における三池製作所というような会社の職制から言いましても、ほとんど独立分離的な性格に近くなつているようなものを除外することになりますので、やはり実体的には何とか支障なく行くのではないかと考えております。
#60
○小金委員 同じく第二條第五項の「第三項但書の附属施設の範囲は、省令で定める。」ということになつておりますが、これは具体的に何々鉱山の何何付属施設というふうに書くつもりですか。あるいは一定の標準なり、あるいは規格なりを定めるつもりですか。その点を明らかにしていただきたい。
#61
○曽根説明員 これは具体的に個々の事業場の付属施設を指定してはずすことにしております。
#62
○小金委員 第三條の第二項、「前項第一号の鉱山における人に対する危害の防止には、衞生に関する通氣及び災害時における救護を含む。」こういうことになつておりますが、これは一体どの衞生に関するものか、どういうものを含んでおりますか。例示していただきたいと思います。
#63
○曽根説明員 建前としましてやはり坑内の衞生事項はできるだけ一本で、鉱山保安法で取扱いたい趣旨でございますが、特別なものだけを除外する、こういう建前を考えております。この保安法に入ります衞生事項と申しますと、ここに書いてありますように衞生に関する通氣、それから災害時に関する救護ということになりますが、大体鉱山における坑内の保安に関する衞生事項は包括されるものでございまして、それ以外の準衞生事項と申しますと、たとえば坑内には便所をどういうような場所に何個設けなければいけない。あるいは痰つぼを事務所に置かなければならない。あるいは粉塵の発生する作業区域につきましては、特に防塵マスクをつけなければならないというような、特殊な事項だけが残ることになると思います。
#64
○小金委員 逐條審議を行うといういろいろたくさんの問題があるのであります。それは時間がありましたらお許しを願うことにいたしまして、大体の大きな問題をつかまえて一應お尋ねいたしますが、鉱山保安法の第二章の保安という問題は大きな問題で、これを具体的にいろいろ書かれてあるようでありますが、金属山及び炭鉱において、これでよろしいかどうかという包括的な見通しを述べていただきたいと思います。
#65
○曽根説明員 この法案の立案準備につきましては、商工省の正式の決定が昨年の十二月になされまして、その以前から商工省事務当局として原案の準備は著々重ねておつたわけでございまして、一番最初の原案をさつそく各鉱山、各炭鉱その他全國の鉱山に流しまして、できれば試驗実施をしてもらい、またいろいろ法案について十分に意見も出してもらいまして、その上で中央で公聽会等も開催いたし、その後も試驗実施の結果についていろいろ具体的な修正意見を出していただきまして、それらを十分に織り込んでございますので、大綱としましては第二章の保安の各事項が整備されますれば、日本の鉱山における保安状態はよくなると考えております。
#66
○小金委員 これは公益の面にも非常に大きな影響を持つ法律であると同時に、法律にまつ先にうたつておりまするように、鉱山労働者の保護が相当重要な問題であります。そこで保安技術職員とか、保安委員会とかいうような規定があるのは当然でありまして、まず私の伺いたいのは監督の任に当る保安管理者とか、技術者の問題でありますが、これらは資格を省令で定めるようになつているように思うのでありますが、これは具体的にどういうことを規定するつもりでありますか。
#67
○曽根説明員 省令も参考にお手元に配付資料で一應配付してございますが、案としてまず山の最高の保安責任者としては、保安管理者というものを規定いたしたいと考えておりまして、その保安管理者は從來の鉱業法、並びにそれを母法といたしました鉱業警察規則で規定いたします技術管理者よりは、でき得ればよリ高い責任を持ち、高い技術を持つ人になつてもらうということで、從來の技術管理者の專任の基準よりも若干引上げてございます。それからまたこの法案によりまして、これが実施、施行されることになりますれば、國家試驗を課してそれの質的向上もはかり、また公益的の性格もありますので、それに権威を付與する、そういうふうにいたしたいと考えております。それから副管理者は大体それに準ずるような考えでございます。それから第一線の係員につきましても、同様に從來の鉱業警察が規定しておりました係員よりも若干資格の程度を上げる。それから同じく國家試験を課する。また職種別の係員を若干増加する。そういうふうに考えております。
#68
○小金委員 保安に関して保安委員会の設置の條項が第十九條以下にあります。また第三章の監督機関の中の第四十五條以下に保安協議会というのがありますが、これらの保安委員会及び保安協議会の性質と、その職能の大体を説明していただきたいと思います。
#69
○曽根説明員 まず保安委員会について申し上げますと、これはこの條文で規定してございますように、山における保安管理者が山の最高の保安責任者でございますので、その保安管理者に対して協力し、またいろいろ保安委員会として意見をまとめればこれを勧告する、こういうような立場に立つておるように考えております。保安委員会の委員は鉱業権者が選任する。但しその半数は鉱山労働者の推薦による、こういう建前をとりまして、大体経営者側からと申しますよりも係員、職員級から技術的の委員を出してもらつて、それから労働者の側から実際坑内その他第一線において保安を実施、担当しておる労働者の代表を委員として出してもらう、そういうふうにしまして、その代表されました委員が山の保安の実施計画について常に討議、檢討して結論を出して管理者に勧告する。またその実施について協力する、こういう建前になつております。從いまして一種の技術專門委員会というような性格のものであると思います。それから保安協議会につきましては、鉱山保安行政をできるだけ民主的に運営いたしますために、やはり学識経驗者、それから労資の代表から協議会の委員をそれぞれ推薦して出していただきまして、保安行政の重要な事項について監督機関の諮問にこたえる。それからまた意見を出す。そういうことが協議会の仕事でございます。それからさらにこの協議会は中央と地方とにそれぞれ設けるようになつてございますが、中央に設けます鉱山保安協議会におきましては、この法律案に基きます省令案を制定する場合に、協議会の議に付して、協議会の議を経た上で成案となる、こういう建前をとつてその旨四十六條に規定しております。
#70
○小金委員 保安委員会は第二十一條の規定によりますと、議長ができて議事を進めるということになつておりますが、この委員会の決議その他のものは、これは諮問機関という形で取扱うのですか。その点をはつきりしていただきたいと思います。
#71
○曽根説明員 これはいろいろ山の方方からの意見もございましたが、一番大切な問題は山における保安の責任態勢を、明確に一本建にはつきりきめるという点が非常に大事な問題でございますので、あくまで保安管理者というものを、法律といたしましては一本の保安の責任者というふうにいたしたい。こういうふうに考えます関係上、保安委員会はあくまで保安管理者に対する諮問機関であり、協力機関であるというふうに考えております。それから監督行政に対する協議会の立場も、やはり同様な形をとるように考えております。
#72
○小金委員 鉱山の保安に関係して一番大きな問題は、不幸にしてストライキが起つたような場合に、職場を放棄するようなことが起りますると、金属山、石炭山を問わず、保安を放棄した場合においては非常な災害が発生して、山がいたむと同時に人命にも関係するようなことがあるのでありますが、それに対してはどういう対策をとるつもりですか。その点を明らかにしていただきます。
#73
○曽根説明員 保安に関連した保安放棄その他で、もし爭議等がございます場合には、それがために山が水没し、あるいはこわれて再起不可能になるというような場合には、当然これは正当なる爭議行為ではないことになると思いますので、労調法関係の該当の條文に照しまして、これは正当でないということになりますれば、これに関連してこの鉱山保安法としましても、保安法のそれぞれの該当する事項については、各責任者に嚴重にそれを守つてもらわなければならぬという建前になると思います。しかしあくまでこの鉱山保安法というものは一種の技術立法でございまして、今言つた爭議関係、スト等の問題につきましては、まず第一番に前提として労働関係におきまして、またそれを取扱う所管委員会並びに労働委員会等の結論に諮つて、はたしてそれらの行為が正当な行為であるかということを、きめてもらうということが前提條件になると思います。こういうふうに考えます。
#74
○小金委員 そうしますと保安放棄の場合に、鉱山の水没とかあるいは窒息というようなことが起る場合に関する直接の支配法規は、労働調整法というようなものが適用されるとはつきりしておるのでありますか。
#75
○曽根説明員 これは具体的にそういうふうに、特にただいま示されましたような例についてどうこうという規定はございませんが、要するに安全に関する設備の維持、運営につきまして、これを妨害した場合には不当な爭議行為になるというようなことが、労調法の三十六條で規定してございますので、それに具体的の例を照し合せて結論が出ることになつております。
#76
○神田委員長代理 ちよつとお諮りいたします。商工大臣が差繰つて出られたわけでありますが、この際商工大臣に関する御質問をやつていただいて、他の諸君にひとつお讓りして、また継続するということにお願いしたいと思います。
#77
○小金委員 商工大臣にお尋ねいたしますが、この鉱山保安法の性質と申しますか、この鉱山保安法は大体特別警察法である。それから労働保護に関する法律である。産業立法である。こういうことになつて特別法でありますので、一般警察法その他の労働法規に優先して、鉱山に関する限りこれが適用になるということがはつきりいたしましたが、もしそうなりますと、この鉱山保安法案をつかさどる官廳、特に監督機関というものは相当充実した、技術的に進歩した人たちが当らなければならぬ。そういう点について今度の一律的な行政整理というような方面をも照し合せまして、はたして成算がおありになるかどうか、それをお尋ねしたいので、あります。
#78
○稻垣國務大臣 今の小金委員の御質問ごもつともであります。ただ御承知のようにこの鉱山保安法の実施につきましては、一面人の保安、一面物の保安、両面からこれを実施して行かなければなりません。從つてこれを十分にマネージでき得る相当の人たちをこれに当てることが、必要であろうと考えておるのであります。これについては今御審議を願つておりまする設置法の鉱山保安局において、これを担当することに相なるのでありますが、保安局におきましては十分その点の心構えをもつて人の配置を行つて行きたい、かように考えておる次第であります。
#79
○小金委員 あとはおおむね総務局長または保安部長にお尋ねすればいいと思いますので、私の質問はこれで中止いたします。
#80
○今澄委員 せつかく大臣がお見えになりましたので、全体的な問題を三つほどちよつと御質問いたします。
 第一番目には、本保安法案は例をあげれば石炭の四千二百万トンということ、おのおの各鉱山の生産目標というものがございますが、この鉱山保安法の施行とそれらの生産目標との関係について、御見解をひとつ聞きたいと思います。
#81
○稻垣國務大臣 これはもう今澄委員の御質問をまつまでもなく、この石炭の生産にいたしましても、あるいはその他の鉱業の銅なりあるいは硫化鉱なり、それぞれの面についての生産目標については、これに無関係にでも努力いたさなければならぬということはもちろんのことであります。しかしながらなおこの鉱山保安法というものが実施されますれば、その面においても十分に――十分にというか、むしろ生産目標を達成する一つの促進剤となる、かように私は考えておるのであります。從つてこの鉱山保安という問題については特に力を入れております。
#82
○今澄委員 それで当面の生産目標がなかなか達成できない。そこでもし大分成績が悪くなつた場合に、どうしてもそれを達成するためには、これらの鉱山保安法案に盛られたいろいろの條項を無視してやるというような事態は絶対にないわけでありますか。
#83
○稻垣國務大臣 今の御質問の逆のように思うのでありまして、鉱山保安法によつてかえつて私は促進されるということを申し上げるわけであります。從つて目標がなかなか達成されぬから、これはちよつとほうり出してしまえ、こういつたようなことは全然考えられない。目的が達成されなければされないほど、なおさらこの法案を十分に忠実に実施して行かなければならぬ、かように私はかたく信じております。
#84
○今澄委員 それからもう一つ、臨時石炭國家管理法という法規によつて石炭関係の国家管理が行われておりますが、この法律と本法との関係について、大臣の御答弁をひとつお願いいたしたいと思います。
#85
○稻垣國務大臣 それとの間に有機的な関連を持たないだろうと私は存じております。しかしながら実務をやつて行きます上におきましては、それぞれ関連を持つて行くことに相なると思うのであります。ことにいわゆる全管なりあるいは各地方の管理委員会におきまして、自然この保安の問題も議題に上つて参ることと考えております。
#86
○今澄委員 それからこういう保安局によつて今後この保安法を施行されるわけでありますが、大体いつも資金と資材というものがいるのでありまして、法律はできたけれども資金、資材の点において常にこれがカバーできないで成果が上らないというのが、これまでの中小企業廳その他においても定例になつておりますが、本法の施行のためにはどのくらい資金を必要とし、そうしてこれが実を上げるためにはどのくらいの資材を運用されるか。その見通しと量がわかれば大体のところをひとつお願いいたしたいと思います。
#87
○稻垣國務大臣 今その資材なり資金なりの量が、このためにどれだけのものがいるかということについては、まだはつきり数字的に出しておりません。これは檢討中でありますが、ただ問題はいわゆる坑内の保安を維持するための仕事は、ある意味におきましていわゆる生産設備の問題、そういつたものにも関連を持つて参ると思うのであります。生産設備の問題についてはこれは御承知のように、石炭鉱業なら石炭鉱業に対してどれだけの生産設備、資金を用意すべきか。おのおの各種の鉱業についてのそういう問題については、これはできるだけ産業資金として見返り資金の中に繰入れて、これをやつて行くことにいたしたい。設備の問題が解決するということが自然また保安の問題の解決にもなる。かように考えておるのであります。
#88
○今澄委員 大きな点で二点大臣にお伺いしたい点が残つておりますが、その一点は十九條から二十一條までに保安委員会というものがあります。それでさつきも小金君の質問で保安委員会は諮問機関ということになつておりますが、そういうことになりますと、あまりに性格が弱過ぎて労働者の意思、働く人間の意思というものが全然諮問機関で取上げられないということになつて來ます。そうすればさつき言われた生産目標を達成するために労働者が非常にむちやくちやなことになつて來ても、保安委員会というものが諮問機関では困る。それを私は心配したのでありまして、方法によつてはまことにあわれな状態になりはしないか、かようなことをおそれるのでありますが、諮問機関ではなしに議決機関というふうにされる御意思はありませんか。
#89
○稻垣國務大臣 これは私ほんとうに生産を上げ、また保安の実を上げるということのためには、まつたく今澄君の御意見と反対の方が実はいいのじやないか。保安管理者というものが全責任を負わないで、保安委員会というものが決議機関で全責任を負うということは山の実情に適しないので、どうしても保安管理者が責任を負うべきである。但しかつてにやつては困るので、保安委員会に諮問してその意見を尊重してやつて行く、こういう形に持つて行くことが最も実際的であり、そうしてまた能率を上げるゆえんである、かように考えております。
#90
○今澄委員 その反面第三十五條から三十七條までにあるところの鉱山監督官の権限というものは、今の保安委員会のあれから見るとまことに今度は強くなつておる。責任者が責任を持つてやることはいいが、片方の委員会と監督官の建前から見て――監督官は三級官もおれば、あるいは鉱山保安に十分習熟していない者もあるだろうと思うわけであります。この場合私はそういうふうに鉱山監督官の権限を強めるということは、公正を欠くという場合も出ると思いますが、関連して大臣にちよつと伺います。
#91
○稻垣國務大臣 これは御心配の点もごもつともだと存じます。但し鉱山監督官に派遣いたします者は、主として私は二級官だと存ずるのであります。同時に監督官については十分なる訓練を施して、そうしてあやまちなきを期したいと存じますので、その点についての御注意を十分頭に入れまして、監督官について十分なる留意をさすということに、ひとつ御承知願いたいと思います。
#92
○今澄委員 最後にもう一つだけ、委員会は議決機関ということでなくて、諮問機関ということではあまりに意味が弱いと思う。單なる諮問機関でなしに相当なファクターをこれに持たして、これを実行しなければならぬというようなものにされることを希望するとともに、今の鉱山監督官についてはリコールその他の制度を置いて、適当ならざる人間について輿論を反映するというお考えはございませんか。
#93
○稻垣國務大臣 今リコール制のお話が出ましたが、これは公務員でありますから、從つて所管大臣といたしましても公務員に対する処置の方法もあろうと存ずるのであります。從つて今のお話のようなリコール制その他を採用するというふうな考えはもつておりません。
#94
○今澄委員 それではこれで大臣に対する質問はやめます。
#95
○神田委員長代理 大臣に対する御質疑を続けたいと思います。聽濤君。
#96
○聽濤委員 この鉱山保安法の問題は実は炭鉱の全労働者にとつて非常に重大な問題を投げかけておると思うのです。これは終戰後の実績を見ましても、鉱山における災害というものは年とともにふえておりますし、災害の悲惨と強度といつたようなものも、だんだん深刻になると考えておる。こういうふうな状態の中で一方では昨年は三千六百万トンの増産、本年は四千二百万トンの計画が立てられておる。こういうことで鉱山保安の問題は非常に重大化しておる。ここに法案を出された趣旨も当然なことと思うわけであります。これにつきましては、すでに御承知のように鉱山の労働者の間でも、官僚並びに鉱業権者の側の今までの態度に対して不満をもつて、労働者の間で自主的な鉱山確保の運動が押し進められておる。こういうように押し進めざるを得ないところまで追い詰められておるのであります。そうして労働者の中でほんとうに民主的な鉱業法であるとか、保安規則というものを立案しておる。特に労働問題に対しまして、労働省の所管としてこれを実施してもらいたいとの要求が相当強かつたはずであります。こういうふうに非常に重要な問題になつて來ておるわけですが、この法案をおつくりになるときに、当時労働組合とも話合いを進められていると聞いておりますけれども、しかしこういう法案が事実上できたことについては、この内容についても、鉱山労働者は大部分がほとんど何にも知らないという状態であります。こういうことで今ほんとうに身体と生命の危險に全面的にさらされておる労働者の意見を聞かないで、これを審議してしまうということは、手続としても非常に不穏当だと思う。現に労働組合法の問題につきましては、労働委員会においても聽聞その他のことをやつておる。こういうことを私はまず第一にどうしてもやる必要があると思う。これは審議のやり方としまして、まず第一に公聽会をほんとうに開いて、鉱山労働者に十分その内容を知らして、これに対する意見を十分に聞くということがぜひ必要であると思うが、商工大臣はこの点をどうお考えになつておるか、伺いたいと思います。
#97
○稻垣國務大臣 聽濤さんにお答えいたしますが、一月の十四日及び十九日の二回にわたつて、商工省としても公聽会をいたしております。この点を申し上げておきます。本委員会において公聽会をなされるか、なされないかは私の方で言うべきことではありませんから、どうぞしかるべきお話合いを願いたいと思います。
#98
○聽濤委員 一月何日かに二回ばかりやられたという話でありますが、いずれにしても実情は鉱山労働者の大部分はこれを知りませんし、またこういう法案を最後に政府の方でつくつてからは、まだほんとうに鉱山労働者が知らされておらない。これはどうしてもそういうことをやる必要があると思いますが、大臣の答弁の通りこれは委員会できめることでありますから、この点は一つ委員長に私の方からこの委員会で公聽会を開くように申し入れたいと思います。その点はあとで皆さんにお諮りを願いたいと思います。
 その次にお伺いしたいのですが、これは先ほど今澄君からも違つた角度から質問がありましたけれども、これは石炭の増産計画と非常に重大な関係がある問題だと思います。たとえば戰爭後におきましても、昭和二十一年から二十二年、二十三年となるにつれて、その間救國増産運動が行われた。昨年度は三千六百万トンの増産運動が行われた。この中で実際の統計が示しておるところによれば、非常に災害の度数はふえております。これによつて受けておる労働者の被害というものは非常に莫大といわれておるのであります。これは逐年激増の傾向をはつきり示しておるわけであります。これは労働者の労働強化やいろいろな犠牲において行われておる面が、はつきり出ておるのでありますが、そういたしますと、本年四千二百万トン増産の計画とこの保安法との関係は、まつたくうらはらの一体の関係になつて、今までの傾向をたどるとしますならば、当然昨年の三千六百万トンに比べて四千二百万トンの増産計画が強化されれば、災害はおそらく非常にふえる。これまた大きな爆発やその他いろいろな問題がふえるであろうということが、十分に予知されるのであります。しかるにこの委員会におきましても、大分前に委員会に政府から上程される法案の予定としまして、鉱山の企業の合理化法案というものが出ておりました。これにつきましては新聞紙上においても一部内容が報道されておりまして、われわれはそれをただ知つておるだけでありますが、これによりますと、鉱山の労働者に対しまして労働基準法の保護を全面的にはずしてしまう。しかも労働時間を延長する。その他こういう労働強化に関する内容が相当入つておると報道されております。こういうことになりますれば事はきわめて重大になつて來るのであります。一体あの鉱山企業の合理化法案はその後どうなつたのか。傳え聞くところによると、政府においてもこれを法律によつてやるか、行政措置によつてやるかというような考えがあることを当時聞いておりましたが、一体どういうふうになつておるか。その点を明らかにしてもらいたいと思います。
#99
○山本(高)政府委員 お答えいたします。ただいまの問題は連合國司令部から発せられました石炭産業の安定に関する措置の指令のことを、お尋ねだと思うのでありますが、あれはいろいろなことを要望せられまして、要するに石炭業の合理化によつて、特に四千二百万トンの増産を確保するようにというのがあの趣旨でありますが、これに対する法令的の準備が関係部局で行われましたことは、これは事実でございます。またその一部が新聞等に記事としてあつたことも確かにございますが、現在はあそこに要求せられております措置は一應はすべて行政措置で進める、どうしても行政措置で行かない場合に初めて立法措置を講ずるということでございます。その方針で石炭廳が中心となつて今実施中であります。
#100
○聽濤委員 その点重ねてお尋ねしますが、それでは今のところは法案を出すという手はずにはなつていないわけですね。行政措置でやられるということでありますが、それならば一体いずれの手段をとるにいたしましても、政府の方で一定の方針をもつてこれをやつておられる。新聞で今ちよつと引用したようなことを報道せられておりますことは、保安の問題と重大な関係がありますから、これの具体的な内容を詳細に説明していただきたい。
#101
○山本(高)政府委員 お答えいたします。先ほどの御質問及びただいまの御質問で、労働強化に関する問題については立法措置によらずして、行政措置によるというようにお聞き取りになつたかと思うのでありますが、いわゆる労働強化というふうな問題は、あの指令に対する立法措置として考えたこともございませず、從いまして行政措置でやるという場合にも、ただいまおつしやいましたような單純なる労働強化ということを、行政措置としてやろうということは考えておりません。あれでやろうとしておりますことは坑外、坑内夫の率を合理化する問題でありますとか、あるいは時間外の手当に対する問題でありますとか、あるいは経理の合理化といたしまして、賃金及び関連作業に対する支拂いの問題でありますとか、そういうような点が中心でありまして、單純なる労働強化ということは、立法措置としてもまた行政措置としても考えておりません。
#102
○神田委員長代理 お諮りいたします。大臣もあちらの方へ呼ばれているらしいですから、直接大臣に要求する事項はなるだけまとめて御質問願いたいと思います。
#103
○聽濤委員 これは実はまだ大臣に聞きたいことがたくさんあるのです。時間がこういうことになつているのでどういうことになるかわかりませんし、きようは大臣に対する質問は保留して、この次の会に続行してもいいと思います。
#104
○神田委員長代理 すでに提案理由も聞いておりますから、できるだけひとつ――なかなか大臣を引張つて來るといつても大臣は他の方もありますし、やつかいでありますから……
#105
○聽濤委員 これは非常に重要な問題をたくさん含んでおりますから、大臣に念を入れてお聞きしたいと思います。
#106
○神田委員長代理 それは十分委員長も承知しておりますから、あなたに審議の協力をひとつお願いしようと思つております。
#107
○聽濤委員 今の問題でも單純な労働強化を考えてはいないと言われておりますが、第一たとえば炭鉱関係では拘束八時間になつているのが、これは時間外の手当に関連して……
#108
○神田委員長代理 ひとつどうでしようか。鉱山保安法の議題に沿うように行きたいと思いますが――あなたの御意見は他の機会があろうと思いますから……
#109
○聽濤委員 この四千二百万トンの増産計画、それから今まで行われて來たような方式でやられようとしておるとすれば、これは災害をかえつて激増させる結果になる問題があると思う。これと保安法の問題は、非常にうらはらの重大な関係があるから私は質問しておる。これを抜きにしてこの保安法の法案の研究だけでは、保安法の眞髄をつかみとることはできない。だからこの問題を質問しているわけです。これは決してよけいなことを聞いているわけではない。非常に重大である。時間外にしても今度は四十八時間制というものを嚴重にやろうとしているわけです。これはただちにこのことだけでも労働強化になるわけです。さらに労働基準法から全面的にはずしてしまうというような問題になれば、重要な問題を含んでいる。そういう方法でこの鉱山の四千二百万トンの増産が強行されるとすれば、災害がまたふえるばかりである。だから私はこの内容をはつきりとここで十分に明らかしてもらわないと、実際この保安法の審議をすることもできない。そこでこの問題は特に重要視しているわけです。
#110
○山本(高)政府委員 お答えをいたします。ただいま労働基準法との関係で、全面的にその法規をはずすというようなお言葉に聞えたのでありますが、安全と衞生だけがこの法規にとつてかわるわけでありまして、ほかの規定は当然基準法の適用があるわけであります。
#111
○聽濤委員 そうじやないのです。私はこれの内容をほんとうに具体的に知らないから、そういう重大なことが一部の新聞にも報道されているくらいだから、すでに政府は行政組織でやつていることだが、この内容をはつきり具体的に教えてもらいたいということを言つているのです。どういうことをやつておるのか教えていただきたい。
#112
○山本(高)政府委員 お答えいたします。先ほどの石炭業の安定に関する指令に対應する措置として考えておりますことは、先ほど御説明いたしましたことが大きな点でございまして、それ以外に單に労働強化的な措置をとるということは、別に考えておらないわけであります。先ほどのお話で、四十八時間制の問題がちよつとございましたが、四十八時間の問題もこれは何と申しますか、合理化という見地から取上げているわけであります。別に單に労働を強化するというふうな考え方から、問題を取扱つているわけではないのです。
#113
○聽濤委員 それは名前は合理化だろうが何だろうが、まさか労働強化というばかは言われぬでしようから、内容が問題なのです。事実上、拘束八時間制にちやんとなつている。これが所によると十時間も働かせるという所がある。こういうことでありますから災害は非常にふえて來ている。こういう問題について商工大臣は一体どういうふうにお考えになつているか。一体保安法の現在ねらつておる具体的な内容は何によつて起つて來ているか。このことをどのようにお考えになつているか。こういうことを除外して、保安法というものはできるものじやない。一体どういうふうに考えておられるか。
#114
○田口(良)政府委員 今の石炭の生産計画に関連しての御質問のようでありまするので、ごく簡單に申し上げまするが、私はこの三月十日に出ました司令部からの「石炭工業に関する安定の措置」、あの中に言われておりまする四十八時間の問題によつて、昨年度までに比べたら本年度こそ実に労働時間は拘束八時間以内ということになつたと記憶しております。ということは從來九時間あるいは十時間も働いておつた炭鉱も、今度の措置によりまして拘束八時間になり、一週間四十八時間以上を働かせないようにする。天災その他やむを得ぬ事情の場合のみを除いてそれ以上働かせたらいかぬ。それに從つて賃金は時間外の賃金を拂つてはいかぬということにしておりまするから、時間の問題につきましては、本年度からはむしろ時間の短縮になるというふうに考えております。
#115
○聽濤委員 それでは大臣にお伺いしたいのですが、過去の終戰後の実情を調べてみましても、鉱山の災害、それによる労働者の身体、生命の危険というものは、私の持つておる調べによりましても、毎年々々非常にはげしくふえております。これは何も私だけの資料ではなくして、政府の出しておる鉱山保安部の資料によりましても、大体災害の回数というものは、終戰後の昭和二十一年には五万回、二十二年には九万三千回、二十三年には十万回という見込みだ、こういうふうな数字が出ております。またこれに伴う死亡とかいろんな負傷も非常にふえております。特に炭鉱の労働組合関係の調査によりますと、この点はさらにはつきりしておりまして、大体この増産計画が強行されるとともに災害はふえて來ておる。たとえば百万トン当りの出炭についての災害の比率なんかというものも、非常におびただしくふえておるわけであります。こういうことから見まして、今の鉱山保安の問題というのは、設備やいろんな施設やなんかの改善の伴わないところの、実際上労働者の犠牲において行われておるというところに、非常に問題があると私は考えております。このことを度外視しては、鉱山保安の問題をほんとうに解決することは、とうていできない問題だと思いますが、その点は一体どういうふうな方法でもつて、この重大な保安上の問題を解決されようとしておるのか。またどういうふうな方向で、これを解決されようとしておるか。この保安法の内容について具体的に御説明を願いたいと思います。
#116
○稻垣國務大臣 どうも御質問の趣旨が、私にははつきりのみ込めないのでありますが、今の災害が年々ふえておるという点は事実であります。それでありまするがゆえに、実はこの鉱山保安法の御審議を至急にひとつお願い申し上げたい、かように申し上げておるわけであります。この鉱山保安法の御審議を願うと同時に、先ほども今澄さんの御質問に対してお答え申し上げたと思いますが、その保安につきましては、これは人の面と物の面と両方にわたるこの保安法を至急お通しを願つて、できるだけ保安の実を上げて行くようにいたしたいと思うのであります。その実を上げるための物的施設につきましては、先ほど今澄さんにお答え申し上げましたように、これに対する資金その他の面についても、十分考慮いたさなければならぬと存するのであります
#117
○聽濤委員 それは先ほど言われたことでありますけれども、私がことさらにそういうことをお聞きするのは、この鉱山には戰爭後他産業に比して例の價格の補給金にしましても、あるいは復金の融資にしましても、優先的に第一等の順位が與えられておる。その額は相当莫大なものに上つておる。こういうものがほんとうに施設の改善に使われておつたならば――そういう中で施設の改善をやりながら、増産が進められて行つたということになれば、こういう恐しい災害をこんなにまではげしくしないで、おそらく済んだろうと思うのです。しかしながらそういう面が出ていないということが、労働者の災害の率の非常な増加となつて実際上現われている。これをどうするかということが問題になれば、労働者の災害は実際職場において、労働者自身が監督して行くことにならなければならぬと思う。こういう労働者の管理権というものが確保されているかどうか。こういうものがなければ、保安法というものはいままでの現行法のむし返しにすぎない。それによれば大体官僚と炭鉱の経営者とがやはり一丸となつて、この保安の監督、命令すべての権限を持つておる。労働者は何もこれに参加しない。実際の鉱山の現状というものはそんなもので解決できないのです。しかも一方この施設やその他の問題について、今澄君の質問に対して今檢討中であると言われたが、事実は何も成案が出ていないことは明らかになつております。こういうことでは、いろいろな面から実際にいくら法律をつくつてみたところで、現実に現われておるおそるべき災害は救われない。その災害をどういうふうに処置するのか。私はその点を率直に聞いている。これについてはつきりした返答を伺いたいと思います。
 労働者の実際の現場における状態は、今も言つておるように、労働時間は十時間の受持ちがいろいろの労働強化の面で現われている。その中で災害がどんどん起つておる。特にこれは商工省の鉱山保安部をつくつたあの中にはつきり書いてありますが、最近では鉱山の特有の災害よりも、むしろそれ以外の災害がふえておる。たとえば機械、工具による災害なんかがふえておる。これが非常にはげしく出ておるのは、はつきりと設備の不完全によるのだということが書いてある。それから運搬中に起るいろんな災害もまた非常にふえておる。こういうことも書いてある。こういうような状態がどんどん起つて來て、ほんとうに保安を確保し得るような設備や何かの改善をどういうふうにやるのか。それもはつきりしない。しかもこの鉱山の今まで起つた災害に対して、官僚や経営者側が一体いかなる責任をとつて來ましたか。今でもどんどん災害は起つておる。この災害に対して何も責任をとらない当人が監督権を持つている。労働者は何もこれに参加しない。こういう状態で、一体どこを押したら保安法によつて災害の防止、労働者の身体生命の保護ができて行くのであるか。これこそが問題なので、その点を私は具体的に聞いているわけであります。
#118
○稻垣國務大臣 具体的にというお話でありますが、具体的の方法についてお聞きになつているのかどうか、私にははつきりわかりませんが、各鉱山鉱山によつて、保安の処置はただいまお仰せのように、あるいは機械による設備の不完全によるものもありましようし、あるいは管理人によるいろいろな場合もあろうと思います。それは各鉱山鉱山によつてそれぞれの保安の方法を考えるということが最も適切であり、また至当なことであろうと思うのであります。それについていわゆる保安委員会なるものが組織され、この保安委員会において十分労務者側の御意見も、ここに鬪わされると私は思うのであります。ただ責任は管理者がこれをとる。責任の所在がはつきりしないということは、どうしてもわれわれとしてはいけない。というよりも、実際おそらく労務者としても責任の所在ははつきりしてもらいたいのだろうと存ずるのであります。そうして保安委員会においても十分に論議を鬪わされて、どういう方法によつて保安を実施すべきかということは、それぞれの山の特質、坑内の状況によつて判断されてやつて行かれることだろうと、私は考えております。
#119
○川上委員 関連して……。どうも御答弁は私には納得が行かない。今聞いておることは私もこれは聞きたいのでありまして、四千二百万トン計画をするために、きよう問題になつておるようなメリット制を強化して行く。こういうことになりますと、これも午前から問題になつておりますが、実際炭鉱等では非常に困難な状態になつております。これは保安どころのさわぎではない。また行政措置として増産の強行をやる。法律にしようか、行政措置にしようかということで問題になつているように、新聞で承わつておりましたが、どちらになつても内容は同じことなんです。これは時間が少くなると言われましたが、私はそれについて資料を出してもいい。きようは残念ながらその資料を持つて來ておりませんが、今度の会議には持つて來て、それについて意見を鬪わしてもいいと思います。必ず労働強化になることは明らかなんです。決して労働負担が少くなるということはありません。こういうことが一方において行われておる。資金の方はどうかということになると、四千二百万トン計画でありながら、資金がどうなるのかまだわかつておらぬ。しかもこの資金はどこから出るかといえば、全産業資金が見返り資金一千七百五十億円、いつでもこれから出ておる。一千七百五十億円を一体どう使うか。各省の提出したものは二千億円あるいはそれ以上が出ておる。しかもこの一千七百五十億円の中で、産業資金にまわるのが八百億円か八百五十億円であろうということである。これは政府の方々も言うておられる。一体これはどうなるのか。金もろくにまわさぬで、産業家はどんどんやつてくれと言う。こういう中小炭鉱に非常に大きな打撃を與えるような方法を持つて來ておる。炭鉱保安法なんという問題よりも、その前に一体どうして災害を防止するかということをいつも考えていない。むちやくちやに災害が出て來るような政策ばかりやつておる。この四千二百万トンは政府がやつておるような形で行かれるならば、災害がふえることは明らかである。これを一番よく知つておるのは労働者だ。もしも政府にして誠意があるならば、労働組合の意見を聞いてごらんなさい。これは災害がふえるのでありますということを一番よく知つておる。そういうことはないと政府はおつしやつても、おそらく腹の中ではわかつておるだろうと思う。それがわからぬはずはないと思う。この情勢を知つておれば、この四千二百万トン計画というものはいかに災害を來すかということは、われわれしろうとでも知つておるから、政府はもつと御承知のはずだと思う。ここに大きな問題がある。どんどん災害が出るようなことをやつておいて、一方において鉱山保安法をこしらえさえすれば災害がなくなるのだということは、どうも合点が行かない。これに対して商工大臣から今御答弁がありましたが、われわれにはどうしても合点が行かない。この災害をどうして防止するか、どう考えておるかということを聽濤君は聞いておる。もう一つは今度の四百二百万トン計画というものは、災害をどんどんふやすことになるとわれわれは思うのだが、聽濤君が言うたように労働者が参画もできないような鉱山保安法をとられることは、話が合わぬではないか。政府の態度がはつきりしないと聽濤君は聞いておる。その答弁を私が聞いておりましても、どうも合点が行かない。政府の方でこの四千二百万トン計画を、今お考えになつておるような形で御実行なされば、莫大な災害が出るとお思いになりますか、なりませんか。この災害を防止するのは鉱山保安法でとまるのではなくて、四千二百万トン強行計画の中にこそ、莫大な災害があるのだということをお認めになるか、お認めになりませんか。これが第二点。第三点においては、一方に莫大なる災害が出て來るだろうということは、きわめて明らかなるにかかわらず、災害の防止はこれでやるのだと言われております。しかも資金の裏づけが何にもない。そのように、これには労働階級が実際に被害を受けるまでは直接に参画する方法はない。実権は全部鉱山が持つておるのです。これでほんとうの災害の防止ができると思われますかどうか。この点が聽濤君の質問された要点であり、私のお尋ねした要点である。これを明確にお答えが願いたい。
#120
○稻垣國務大臣 今の川上さんの御質問によりますと、四千二百万トンを今のままでやれば災害がよけいふえる、こういうことであるようであります。災害が続出いたしますれば、四千二百万トンは達成できないと私は存じております。從つて災害はあらかじめできるだけこれを防ぐ方法を講ずることが、必要であろうと思うのであります。災害の続出によつては、むろん四千二百万トンは達成することはできないと存じます。從つてこれを予防する一つの方法といたしまして、この鉱山保安法案の御審議を願つておる、かように御了承願いたいのであります。
#121
○川上委員 商工大臣の答弁は実にうまい。私感心した。(笑声)感心はいたしましたが、問題はそうではない。私の言うのは、四千二百万トン計画、その中に厖大な災害ができなければ進まないほどの計画が入つておるのではないか。これを政府はどうお考えになるか、これが第一点。この災害ができたら増産はできない。四千二百万トンはできないと思つておりますが、これは議論になりますから言いませんけれども、われわれの見解では四千二百万トンはできないと思う。ところが政府はいやでもおうでもやろうとしておられる。先日も見込みがありますかと言つたら見込みがあると言う。この見込みがあるという中には、労働強化なくしては実際の見込みがない。そうすれば個々の計画の中にすでに厖大なる災害が出て來ることはわかつておる。これを防止する方法なくしては、鉱山保安法のやり直しになるのではないかという見解を持つておる。われわれのこの見解に賛成、不賛成は別として、御理解くださるならば、これに適應する返答をすべきであつて、われわれの見解と商工大臣の見解が一致するだろうと予想しておるわけではない。こちらが何を言わんとするかを御理解なさるならば、それに合うような返事ができるはずだ。ところがそれに対する答弁が非常にうまい。私はうまくないような返答をしてもらいたいと思う。
#122
○稻垣國務大臣 どうも川上さんといろいろお話申し上げますと、川上さんとの間に意見の相違という問題になりそうであります。私川上さんの御意見に御同意申し上げるわけに参りません。
#123
○小金委員 これは立法技術の問題になりますが、この法律案が國会に出されたのはつい最近であります。同時に今審議中の法律案の中に通商産業省設置法案というものがあるのですが、これは現在でもなお商工省が所管することになつておるのでありましようが、しかも法律の第三十二條のごときは、商工省に一部局として鉱山保安局を置くと書いてある。鉱山保安局並びに地方支分部局に鉱山保安監督部及び炭鉱保安監督部を置く、こういうことになつておりますが、通商産業省設置法案を出して、むしろあとから出て來たようなこの法律にややこしい字句がある。この字句の整理は当然すべきじやないかと思うのですが、この点どういううふうに措置されますか。
#124
○山本(高)政府委員 お答えいたします。ごもつともな御質問でございまして、両方の法律がちようどうまいぐあいに進行しておりましたならば、もう少し手際よく條文の整理ができたのでありますが、その点予想通りの進行をいたしませんために、こういうかつこうで出たのでございますが、最終の整理といたしましては、通商産業省設置法の施行に伴う整理の法律のようなものをただいま提出しております。その中で全部直すことになつております。
#125
○小金委員 この法律案のねらうところは、おそらく一般公衆への安全保障、すなわち土地の陷落だとか鉱毒水の流れ出る問題とか、いろいろなものを取締る問題もありましよう。それからまた同時に資源を能率的に掘鑿して行くというねらいもあるだろうと思います。ただいまいろいろ從業員、ことに鉱山労働者の問題について御議論があつたようでありますが、私はこの法律案で鉱山保安の技術者とか、係員とかいう者の教育とか研修とかいうものについては、いろいろな施設がありますが、直接鉱山労働者自体の教育をよほどしないと、從來何十年にわたる災害の実績等からみましても、これは直接鉱山労働者を教育することが一番いい。これに対してどういう措置をとるつもりですか。ただ技術者、係員だけを教育訓練するだけではだめなんで、技術的にそういうことを習得させると同時に、労働者の災害に対してどういうことをやるのか、またどういう方法でやるのか、説明を願いたいと思います。
#126
○曽根説明員 一應第六條に保安教育として規定してございますが、これを受けまして、お手元にございます石炭鉱山保安規則案の第一章総則の第四節、十七ぺ―ジの「危險教務に関する保安教育」という事項に、大体のわれわれの考えを盛込んでございます。特殊な危險業務に対しては、それぞれ必要な規定に基く保安教育を受けてからでなければ就業させない。それからまた一般坑内作業につきましても一定期間を経たあとでなければ、單独に就業させないというようなことで規定をいたしてあります。さらにそれ以上のこまかい規定は、各山元に設ける保安規定についての織込みなり、あるいは別に就業規則の方で規定するなり、山元について規定してもらうというふうにいたしたいと思つております。
#127
○小金委員 これは第六條の鉱山労働者にその作業を行う必要な保安に関する教育を施さなければならないという規定とにらみ合せて、第五十六條の第一項第一号に罰則をもつてこれに臨んでおりますが、これは小さい鉱山なんかでもなかなか実行ができない。そこでいろいろな災害も起るのでありますが、こまかい点は省令その他で実際監督行政上やらせるということでありますから、それに一應信頼しておきますが、ただ罰則でいろいろ規定しましても、今までの鉱業警察規則の実態から見ましてなかなか実行できない。これはどうしても從業員全般に認識をもたさなければならぬことが大事なんです。そこでそういう方面の施設なり、あるいは相当金を使わなければならぬと思いますが、まずそういう問題はさておいて、根本の問題は保安施設が十分に行われるか行われないか。これが非常に大事であります。そこで保安設備の法律が施行されますと、おそらく前の鉱業警察規則や石炭坑爆発取締規則なんかよりも違つた意味で、保安施設に対して嚴重な命令が出るだろうと思います。そうしますと相当な資金がいる。今資金の問題も出ましたが、炭鉱なり鉱山なりを経営するための資金のほかに、保安設備のための資金が相当いるだろうと思います。この問題については商工省としてどういう措置をとられるか。たとえば風洞を切らなければならぬという問題も起つて來る山があるだろうと思います。そういう基礎的なものはどういう金でやらせるのか。あるいはまた修繕その他のいろいろな措置をしなければならぬものもあろうと思いますが、これについての所見を述べていただきたいのであります。
#128
○曽根説明員 資金の問題につきましては、先ほども御意見が出ましたが、大臣が申し上げた通り、まだ数字的に確定した段階には至つておりませんが、設備資金で計上し得るものにつきましては、やはり昭和二十四年度の設備資金の確定までにはその中にできるだけ優先的に織り込んで、この法案の施行の裏づけをするようにいたしたいというふうに考えております。具体的に申しますと扇風機の増設、あるいは炭塵爆発等の防止のために、扇風機の使用量を相当ふやさなければならぬと思います。また岩粉製造設備の設備資金を設備資金の計画に織り込んで、資金を優先的に確保するようにいたしたいと思います。それから風洞の改修等の問題も山によつて相当あると思いますが、坑道の開鑿の費用は、一應原則的に風洞の掘進に限らず、他の実際の掘進等の経費は、設備資金では見てもらえないような原則になつておりますので、これは各山々で運轉資金の方からやりくりして、風洞の改修等の必要な資金は生み出していただかなければならぬと思つております。
#129
○小金委員 この法律の第四章、すなわち五十五條以下に罰則が規定してあります。この法律はおそらく大部分が強行法規だろうと思います。この法律を犯す者、また忠実に実行しない者には罰則をもつて臨む、こういう建前になつておりまして、これは警察法規である、あるいは労働保護法規であるという建前からやはり当然でありますが、ただいまのように根本的な保安施設を十分にしないでこの罰則を適用されてはたまらぬし、また罰則を適用されたから、災害が起つてもしかたがないというように、從業員が泣寝入りしなければならぬということでも困る。その点は技術者及び鉱山労働者の訓練、それから施設といろいろ相まつて、みんなが歩調をそろえて行かなけばならぬ問題であろうと思います。この点について私は当局の万全の策とは言えなくても、できるだけの措置をとつてもらいたいのであります。その希望を私は強く述べまして私の質問を終ります。
#130
○岩川委員 大分重複する意見もありまするから簡單にお尋ねを申し上げます。この法案は鉱業法の姉妹法ともいうべきものでありまして、一体の関係にある鉱業法もまたやはり改正せなければ衝突する、あるいは矛盾が起るという点が起ると思いますが、鉱業法の改正につきましてはどういう御意見でありますか。
#131
○長谷川(輝)政府委員 鉱業法の改正につきましては、先般鉱業法改正審議会に諮問いたしましてその答申を得て、その点につきましても調節をいたしておりますので、できるだけ早く審議会にかけまして改正したいと思います。
#132
○岩川委員 今の御説明でよくわかりましたが、なるべく早く衝突が起きないようにやつてもらいたいと思います。
 その次にこの法案によりますと、両省との衝突がまた起きて來るようにできているようであります。これは現場においても非常に迷惑をこうむることがあるのであります。たとえばこれを見ましても、同じ坑外でも採掘場と選炭場と精錬所とはすでに違つている。それから坑内でも一方では保安法により、一方は労働法によるということで、現場においては非常に取扱いに困ると同時に迷惑をこうむる。こういう命令が二つ出るところは早く改正をされるか、どちらか一つにまとめられて、命令の二途に出ないことが大事ではないかと考えますが、この点に関してお伺いいたします。
#133
○曽根説明員 ただいまの御質問の点につきましては、立案当初からやはりできるだけそういう御懸念のないようにということで、労働省との事務折衝も十分にいたしまして、その結果両省間の所管の調整をはかり、一應案をまとめたものが今度の法案となつたわけでございます。從いまして運用につきましてはなお一層事緊密な連絡をとつて、同じ問題についてはいやしくも命令が二つ出るようなことがないようにいたしたいと思います。
#134
○岩川委員 今出ているところを見ますと、事実そういうふうな問題が起きて來るように見られますから、そうならないように最大の御注意を拂わぬと、いつもこれが衝突して問題が起る。從つて現場が迷惑をこうむるということがあると思いますから、十分御注意を願いたいと思います。
 その次には労務者及び事業家のみが罰せられて、監督の衝に当る者はいつもその責めをまぬがれるようなことになつておりますが、実際現場の関係から行くと、指導監督しておる者こそ最も大事だと思う。これの処置を誤ると、從つて労働者が災害をこうむる。経営者も影響を受ける。こういうふうになると思いますが、この点何も制裁なくして、監督指導する者を置いてもさしつかえないというのか、どういうふうにお考えになりますか。
#135
○曽根説明員 ただいまの御質問の点は十分公務員法のそれぞれの規定によりまして、公務員として十分なる監督を受ける。忌避懈怠の行為があれば、それぞれ処分を受けるということになりますので、その方で一應原案にもそれに該当するような條文を入れたこともございましたけれども、それと同じ内容のことが十分にありましたので、特にこの法律に規定しないでよろしいというようなことになりまして、今度の法案のようにしたのであります。
#136
○岩川委員 公務員法と保安法とはよほど違うのではないかと思う。公務員法は公務員法で当然あるでしようが、保安法は保安法だけでやはり公訴処分なり、あるいは行政処分なりを受けられるようにしておきませんと、ただ被監督者だけが処罰されるようなことになつては、片手落ちのきらいが十分あると思う。その点にやはりめんどうが起きて來るが、公務員法との関係はどういうふうになつておりますか。
#137
○山本(高)政府委員 お答えいたします。この鉱山保安法にも監督官があり、監督の職務を行つておるわけでありますが、統理の関係でいろいろな行政法の中には監督官、あるいは監督官という名前はついておりませんけれども、監督官の職務を行う者がたくさんあるわけでございますが、これらはいずれも公務員ということについては同一の資格を持つておりますので、これを一括して取締るという考え方でやつておるのが実情であります。
#138
○岩川委員 その際公務員法だけで保安行政が行われるということになりますが、これを見ますと、つまりこの保安法の責任者、指導者、つまり監督官の処置を間違えば、結局保安が完全に行われない。もしこれの制裁がなければ、常に最大の注意を怠るということになるのではないかと思います。指導監督に当る人はその点が非常に大事だと思う。よく現場などでは自分たちだけ罰せられて、監督者は知らぬ顔をしている。また罰せられもせぬということになるので、常に問題になつています。やはりこの法律だけを離してみますと、公務員法によらずに、この法案だけで行けるような処置が必要ではないか。先から申し上げるように片手落ちのきらいがある。片手落ちのきらいがあつては、保安の目的を達成したり、仕事をしたりすることができない。支障があるように考えられます。
#139
○山本(高)政府委員 先ほど御説明を申し上げましたように、もし監督官たるものの行為に不当あるいは不正、不注意等の行為がございますれば、これはそれぞれ相当の制裁があるわけでございまして、管理者の方だけが罰せられて片一方だけが制裁を受けないということはないのであります。また申し添えておきますが、そういう法案がほかの法規にあるということだけでは、十分に効果を期待できませんので、積極的に監督官の服務の準則なり指針なりにつきましては、こまかい訓令なり指示なりにして出します。それから十分教育した上で職につかせることになると思います。こういう積極的な措置を講ずるつもりでおります。
#140
○岩川委員 この法律は罰則が目的ではなくて、保安が目的なのですから、これはだれがやつても当然である。あやまちはしかたがないとしても、ただ細心の注意を拂う意味において、やはり法にそういうことをうたつておる。これだけを見ると、業者及び労務者だけが制裁を受けて、監督者はその責めをまぬがれておるというようなきらいが深いようにも思います。これはそういうふうではなく、あやまちを起した者は全部が制裁を受ける。よつてあやまちを起さないようにするという考えを持たせなければいけないと思う。この点について十分今後御注意を願いたいと思う。一方的ではいけない。全部が同じ責任と罪を負わなくてはならぬ。そして協力してあやまちをなくする、あるいは少くするという方面に持つて行つて、初めて保安の目的が達せられるように考えます。
#141
○神田委員長代理 ほかに質疑はございませんか。――それではお諮りいたします。先刻聽濤君より発議のありました本案についての公聽会開会の件についてでございますが、十六日に終る予定に相なつておりますし、また公聽会を開くことはいろいろの手続きがございますから、ちよつと間に合いかねると思いますので、これは万やむを得ないように考えます。ちよつと速記をやめて……
    〔速記中止〕
#142
○神田委員長代理 速記を始めてください。それではただいまの件は理事会で御相談することにいたします。
    ―――――――――――――
#143
○神田委員長代理 なおこの際午前中の会議において御報告いたしておきました、連合審査会開会の件についてお諮りいたします。本委員会において審査中の鉱山保安法につきましは、労働委員会より連合審査会開会の申出があり、なお大藏委員会よりは本委員会において審査中の中小企業等協同組合法案、及び中小企業等協同組合法施行法案、並びに大藏委員会において審査中の協同組合による金融事業に関する法律案、及び保險組合に関する法律案、以上四法律案について連合審査会開会の申出があります。つきましては、労働、大藏両委員会の申出の通り、それぞれ連合審査会を開くに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは労働委員会とは鉱山保安法案について、大藏委員会とは中小企業等協同組合法案、中小企業等協同組合法施行法案、協同組合による金融事業に関する法律案、及び保險組合に関する法律案について、それぞれ連合審査会を開くに決しました。なお両連合審査会の開会の日時は労働、大藏両委員長と協議の上に公報をもつてお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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