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1949/05/12 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第13号
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1949/05/12 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第13号

#1
第005回国会 商工委員会 第13号
昭和二十四年五月十二日(水曜日)
    午前十一時四分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 神田  博君
   理事 澁谷雄太郎君 理事 村上  勇君
   理事 今澄  勇君 理事 川上 貫一君
   理事 永井 要造君
      阿左美廣治君    岩川 輿助君
      江田斗米吉君    門脇勝太郎君
      小金 義照君    高木吉之助君
      多武良哲三君    福田  一君
      永谷長三朗君    柳原 三郎君
      聽濤 克巳君    田中伊三次君
      河野 金昇君    中村 寅太君
 出席政府委員
        商工政務次官  有田 二郎君
        商工事務官
        (総務局長)  山本 高行君
        商工事務官
        (中小企業廳振
        興局長)    小笠 公韶君
 委員外の出席者
        商工事務官   小山 雄二君
        専  門  員 越田 清七君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 大石 主計君
    ―――――――――――――
五月十一日
 関西配電会社淡路送電第三号線架設に関する陳
 情書(兵庫懸議会議長加薦秋一)(第四四六
 号)
 油脂中小業者の保護に関する陳情書(名古屋市
 西区澤井町三十二番地中京油脂工業所取締役伊
 藤三郎外一万二千五百名)(第四七五号)
 中小企業振興に関する陳情書(東京都港区之田
 町一丁目十二番地森永ビル内日本中小企業連盟
 会長豊田雅孝)(第四七六号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 中小企業等協同組合法案(内閣提出第一四五
 号)
 中小企業等協同組合法施行法案(内閣提出第一
 四六八号)
 水力電源開発に関する決議案の案文に関する件
    ―――――――――――――
#2
○神田委員長代理 これより商工委員会を開きます。
 前会引続き、私が委員長の職務を行います。ただいまより中小企業等協同組合法案、及び中小企業等協同組合法施行法案を一括議題として審査を進めます。質疑を行います。小金義照君。
#3
○小金委員 ただいま議題となりました中小企業等協同組合法案及び同法施行法案を見ますると、非常に雄大な法律案でありまして、しかも提案者の提案の理由を伺つてみますと、わが國経済の再建上中小企業の維持育成が不可欠の要諦であることはもちろんであります。このためには、まずもつて中小企業の組織化をはかり、その水準の向上と競争力の強化をねらつて行くことがぜひとも必要である。このことを前提として、その上に諸般の中小企業振興策が講ぜられることが最も適当であると考える。この趣旨から中小企業に関する協同組合制度の確立は焦眉の急を要する問題である。さらにこの制度に関して特に考慮しなければならないことは、この組織力を十分力のあるものとするためには、その組織の基礎の安定と拡充をはかること、及びその組織が中小企業自身の意思によつて、中小企業のために奉仕し得るがごとく運営されるようにその民主化をはかることである。これらの観点から見た場合に、既存の各種の協同組合制度ではなお不十分の点が少くないのであつて、その組織力の強化と民主化をはかる新立法が、かねてから要塞されて來たのであるが、ようやく成案を得たので第五國会に提出した。こういう説明があるのであります。
 こういう前提からこの二つの法律案を拝見いたしますと、どうも提案者の考えておられることとぴつたり來ない点がたくさんあるのであります。まず第一に政府委員にお尋ねいたしたいことは、何ゆえにこういう新立法の形式をとらなければならないか。この提案者の提案理由だけではのみ込めないところがありますので、何ゆえにこういう新立法の形式をとらなければならないかについて、そのいきさつを説明していただきたいのであります。
#4
○小笠政府委員 お答えいたします。お話の今度の組合法案の形をとりました第一の理由は、中小企業の協同組合といふうな見地から見まして、協同組合自体の一般的な考え方というものを、廣く包括的にまとめた法制をつく要である。すなわち業種別に個々のほう制をつくるよりも、できるだけ包括的な協同組合の法制をつくるということが適当であるということを考えたことが第一であります。第二はこの組合法をつくる理由といたしまして、先ほど申しました既存の組合が、いろいろな意味において、今日の経済諸情勢から見て適当ではなかつたというような点に合わせてつくるのには、相当廣範囲な改正を要するというふうなことに相なつておりますので、まとめてこの際新しい法律をつくつて行くという形をとつたことであります。
#5
○小金委員 現行の諸般では不十分であるから総合的な普遍的な中小企業等に関する協同組合法をつくるのだという趣旨でありますが、この法律の第一掲げてありますように「中小規模の商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う者、勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織について定め、こう言つておりますが、これは業態から見ましても、工業とか鉱山業というものとサービス業というようなものを、全部一つの法律で協同的な仕事の基準を定めるということに、相当まだ考慮すべき余地があるのではないかと思われるのであります。ことにわが國では大体において、もうほとんどすべてが中小企業の形態をとつておるのであります。ことに戦後はそういう傾向が著しい。從つてわが國の産業経済の再建をするということになりますと、中小企業の再建ということにほとんど重点が注がるべきものではないかと思うのであります。たとえば製鉄業だとか石炭鉱業だとかいうような大きな組織と力でやるものは別として、機械工業で中小工業が非常に多い。その他のものでも同樣であります。そうなつて來ると、大体に提案者が説明されたように、中小企業の維持ということはさておいて、育成が不可欠の問題だと言われるのでありますが、中小企業の組織などを見ましてもきわめて規模が小であつて、育成ということを政府が言う以上は中小企業衆なんかについて、相当私は機構を考えてもらわなければならぬと思う。それからまた育成という以上は、予算的措置なんかについても考えてもらわなけれげならぬと思うのでありますが、それらの点について政府ではどういう措置をとつておるか。またとらんとするかを御説明願いたいのであります。
#6
○小笠政府委員 お話の通りに日本の現在の産業構造から見ますと、昭和二十一年現在の統計によると、常時從業員百人未満の工場数が九九%に及んでおるわけであります。その中で五人以下のものが七十何パーセント、約八〇%に及んでおるという状況であります。そういうような状況から見ますと、日本の産業の構造というものは、今お話の通りに産業育成、産業振興というものが、中小企業部門の育成に結局かかつて來るということになると思います。從いましてただいまのお話の中で、問題は二つあつたように考えるのでありますが、第一点は一般的な概観から申しますと、今のような状況でありますが、その中でも業績によつてそれぞれ中小と大とで関係が違つて從はせぬか。從つて業種別に違つた基準を設けてしかるべきではないかというお話が、一つあると思うのでありますが、その点はもつとだと思うのであります。本法の一つねらいといたしましては、そういうような中小規模の企業を、具体的にできるだけ競争力を強めて行く。その競争力を強める一つの前提として、できるだけ組織化によつて相互扶助の形で、見て力をつけて行くというふうな考え方から、この法律を準則的な共通的な一つの組織にして、各業態の実情に應じて、また業態の中におきましても、これを構成する企業のグループの状況に應じて、適当に自由なる活動がとられるような方針の方がいいのではないか、こういうような考え方をいたして來たのであります。すなわちここで中小企業というようなのを一般的に想定をして、その中で具体的な適用の問題については、業績の状態に應じて考えて行こうというのであります。礎つて業種別にそれぞれ違つた基準を設けるといたしましても、特に煩わしいという問題がありますし、他の傾項につきましては大体同一の方向であるというので、ここで一本にまとめて中小企業一般の観念から把握して行つたのであります。そういうような考え方からこの法案をつくつた次第であります。
 それからお尋ねの第二点の問題といたしまして、中小企業がわが國産業構造の中で、先ほど申しましたように、大きなウエイトを持つておる数が九九%に及ぶかに、労働力、從業員総数においても、わが國雇用総数の大体五十四、五パーセントの数をかかえておりますほか、生産力約五〇%に及ぶような状況に相なつておるわけであります。そこでこれらの各業種に対する育成の問題として、実態的な行政としてどういうふうに考えておるか、こういうお話でありますが、これに対する私どもの、基本的な考え方といたしましては、中小企業に今申しましたように非常に数が多い。しかも柔順が非常に多数であるというような状況で、具体的な共通的な問題といたしましては、まず第一にこれらの資本力の中小なるがゆえに、從來ともすればいろいろな制度政策の上における扱い方が、ともかく低順位に置かれがちである。そういうようなことに対して中小企業の立場を、大企業に対すると同じようにイコールのチヤンスをできるだけ與えるような方向に、諸般の施策を持つて行くように努力するということが、基本的な考え方であるべきであると思うのであります。第二点といたしましては中小企業は今申しましたように数は多いが、それ自体の内容が資本力の弱いがゆえに、何と申しましても経営なり。いろいろな面が非常に進んでいないと申しますか、合理化されていないのであります。從いまして中小企業自体の内部における合理化、その経営の改善というふうな面をみずから改善するように指導して行く。すなわち企業体自身の強さを増して行くように持つて行かなければならぬのではないかと思うのであります。そういうような趣旨から具体的な問題といたしまして、前者の一般的な基本的な考え方に対しましては、極力共通の問題、たとえば金融というふうな問題に対しまして、大企業中心の考え方をできるだけ是正して、中小企業にも同じようなチヤンスを與えるという方向に、努力して行きたいというふうに考えておるのであります。
 第二の中小企業自体の経営の改善というふうな問題は、まず第一にそれ自体の弱さを補強して、競争力を強める意味合いにおきまして、組織化の問題、もちろん本法案のねらつておりますような制度をすみやかに與える。御承知の通りに現在商工協同組合というふうなものがございますが、一方独占禁止法、事業者國体法というような民主化立法がおりまして、それとの関連におきまして、現在の組合制度は非常に不安定な状態に置かれておるのであります。從つて安定した根拠をすみやかに與え、協同の力によつて経営を合理化して行くというふうなことが考えられますし、第二の問題といたしましては、中小企業等でやつておりまする指導、診断の問題を考えて行かなけれげならない。そこでこれを強めて行くようにいたしたいと考えております。なお中小企業一般の問題といたしまして、日本の現在の産業構造における一番弱点と考えられますものは、小小企業の部門と流通経済部門との連繋が欠除いたしておることであります。從來問屋、卸屋というような制度によつて、小小金業はある程度連繋がついておつたのでありまして、それらの制度につきましてはいろいろな問題がありますが、それによつて流通経済部門との接触がついておつた。これが戦時中の統制あるいは戦争の直接の被害というような関係から、切断されて來ておるのであります。物の売れ行きが少くなるに從いまして、この問題が中小企業との関連において、最も重点的な問題になると予想されるのであります。これらに対してできるだけ流通部門との接触その他の連繁を保持するような指導方針で、具体的に指導して行くということが、結局中小企業の指導上行くべき方法ではないかと実は考えておるわけであります。その他中小企業自体につきましては、いろいろ具体的な問題に應じてこれを買上げて行くということが必要であろうと考えております。
#7
○小金委員 國家の機構と予算はどうですか。
#8
○小笠政府委員 中小企業廳は昨年八月一日に本廳千五百万円という予算で発足いたしました。人員は用員まで入れまして百三十三人であります。内容といたしましては一級官が三人、二級官が二十六人、事務官が十九人、技官が六、七名、あと臨時職員、雇員等をもつて構成せられておるわけであります。その編成に長官を中心にしまして、振興局と指導局という二局を置き、それぞれ三課を置いて指導をいたしておるわけであります。そういうふうな状況でありますが、なお地方の商工局に対しましては、若干の経費を配付して指導診断事務を商工局を中心に動かしているというふな状況でありまして、商工局は管下の都道府縣の御協力を得て仕事をしておるという状況であります。本年度は大体予算が二千四百万円ということになるわけであります。これは昨年度の予算をいわゆる標準予算に引直して、若干の削減をいたしているような状況でありますが、本年度は昭和二十三年程度を盛つておる状況であります。なお新しく中小企業廳の予算として、別に一千万円の協同組合に対する補助金が計上されるいう状況であります。役所の方の構成といたしましては、別途本國会で御審議願つておりますように、現在の制度の局制を部制に改めますとともに、一般の通則に從いまして、三割の減員をするという予定で進んでおるわけであります。
#9
○小金委員 今の御説明でわかりました通りに、日本の工業、企業の実態が企業主体制から考えると九九%の中小企業がある。日本の産業行政の非常に大きな問題がこれにあるのでありますから、根本問題については私は大臣に伺うことにいたしまして、政府委員に対しては、さらに具体的なことを伺つて行きたいと思うのであります。まずこの日本の中小企業の問題は、産業構成の上から見ますとそういうふうになるのでありますが、社会構成の上から見ましても、社会を構成している日本の人口の非常に大きな部分が中小企業である。こういうふうになつて來ると、これは産業行政であると同時に、非常に大きな社会問題を取扱うことになります。これらについて、中小企業額の組織は必ずしも私は十分でないと思う。一体行政機構がいたずらに厖大になるのはよろしくない。これに対してはもちろん私は非常に警戒すべき問題であると思うのでありますが、こういう日本の現下の情勢から見て、最も大切な中小企業に対する行政機構を、他の行政機構と同様に三割でお茶を濁すというようなことは、私は時勢に逆行するもはなはだしいものがあると思うのであります。これらはしかし商工大臣の責任でありますから、いずれまた追及することにいたしまして、労働者や中小企業者の保護、維持、育成というようなものを考えないと、産業計画というものは実行できないのではないか。そういうことから考えまして、幾多の重要な問題をはらんでおるのであります。そのことは政府委員も十分承知しておられると思うので、大臣に私はあらためて追究いたします。ただ今この協同組合の関係で一千万円ほどの補助金を予算に組んでおるという話でありますが、中小企業、特に中小工業の方面から見ますと、これは技術の振興をはからなければならない。今おつしやつたように資金の方面の助成とかあるいは協同的な施設とかいろいろありましよう。資材の配給とか、こういう協同的にやることがあるが、しかし問題はやはり大工業と中小工業を問わず、技術改善進歩をはからなければならない。それにはどうしても試験研究機関なんかを十分に利用しなければならない。ところが民間の、インステイチユートは、ほとんど経費の関係などで壊滅しておるような状況である。そこでどうしても國家の工業試験所その他を利用しなければならない。これはごく限られた都会にあるのみでありまして、中小企業が利用することについては非常な不便がある。そこで他の行政機関と違つて、中小企業樹のようなものは、この方向に対しても、十分な指導と保護を與えなければなろない。それに対して小笠政府委員の考えはどうでありましようか。
#10
○小笠政府委員 さしあたりの中小企業の技術の向上の問題でありますが、私は率直にこういうふうに実は考えておるのであります。中小企業の技術は一般的に申しまして相当低いのでありますが、これを改前するには、何と申しましても中小企業個々の力ではやり得ない。從つてこれに対しまする改善の措置は、中小企業のいわゆる組織化を中心として考えて行く。その際に組織化されたものの技術の改善その他設備の関係に対しましては、政府は國力の許す範囲において援助をして行くというふうな態勢を、一方でとるべきであると考えておるのでありますが、別に中小企業の一つの弱点は企業が中小であります関係上、一般のインフオメーシヨンが十分でないのでありまして、廣く技術の動向なり、市場の動きに対する目を、常に見張ることが困難であるのであります。從いまして行政的な問題といたしましては、できるだけ講習会なり何なりの技術の向上の措置をはかるチヤンスを、多く持つて行くような方法をとるべきであろうと実は考えておるわけであります。中小企業廳もこの点から昨年度は数回そういう催しをいたしたのでありますが、たとえばレンズのコーチングをやるとか、あるいは輸出漆器の生地の指導をやるとかいうような制度を実際にやつてみますと、非常に効果が多いし、希望も実に多いのであります。それほどに技術の向上に中小企業の方面におきましての意欲が動いて來ておると考えられますので、こういうような整備の制度をしいて行くことが第一であろうと思います。第二の問題といたしましては、日本中小企業大きな方向としては、日本の現在の情勢から見まして、中小企業形体をとるということは将來においても当然考えなければいかぬし、輸出貿易という面におきましても、特にそう考えられますので、外國における商品需要の実際に、できるだけ接し得るようなチヤンスをはかつて行くということが、直接的に中小企業の技術の向上に寄與するものではないか、こういうような考え方をいたしておるわけであります。
#11
○小金委員 商工省を廃止して通商産業省をつくる。これはとりもなおさず輸出貿易を振興しようというねらいであります。わが國の産業措置の立場から行きまして、中小工業が多い。今小笠政府委員の説明せられたところによると、数回の講習会というようなことをあげられましたが、経費の都合でいろいろできない点もありましよう。しかしこの問題は眞劍に政府として取上げらるべき性質の問題でありますので、あらためて大臣にその眞意を伺うつもりであります。私はこの組合法案を見て、はたしてこれでいいのかと思われる点が数点あります。まず第二條に保險協同組合、信用協同組合というものがあげてあります。日本の保險業というものは相当発達いたしておるはずであります。また信用については銀行だとかあるいは現在の市街地信用組合、あるいは農業協同組合というようなものも、農業の方の信用事務をつかさどつておりますから、それにならつて入れたということになるかもしれませんが、こういうことははたして中小企業等協同組合法に規定しなければならぬかという疑問があります。それらを一應御説明願いたい。
#12
○小笠政府委員 御承知の通り信用協同組合について組合制度を設けます理由は、中小企業の金融の問題は、中小企業が零細であり資本力が小さいということである。從いまして担保力が小さいというようなこと、そういうような点から見て一般の銀行等の金融機関の立場から、いわゆるビジネス、ぺースに立つて考えた場合に相手になりにくい。資金需要額も一件ごとに見ますと比較的少額であるのに、調査費用ばかりかかるというような事情があつて、金融対象としてはなりにくいということが中小企業金融の一つの特色であるわけであります。從いまして現在中小企業の金融が非常に困難をきわめておりますのは、一般的な資金梗塞の問題もありますが、今申しましたような点から見て、一般市中銀行の対象となりにくいというところにあるのであります。こういう状態に対しまして、できるだけ中小企業の中に相互的な金融をつけて行くというふうな意味において、信用組合をつくつて行く、そういうような考え方は古くからとられておりまして、現在の商工協同組合におきましても、事業組合と兼営的に認めることにいたしております。ところが今回は信用事業だけは別の法人格を持たした形にするということにいたしたので、目立つてかつておりますが、実際は從來もそういうふうな制度をしいております。中小企業自体の性格から参ります金融力というものはそう多くはないのでありますが、一方におきましては中小企業の中で業種、業態によりまして、資金需要の時期またはその量のずれがありますので、そこらをねらつて相互の金融をはかつて行くというふうな必要があるのではないか。それによりまして困難な中小企業の金融を、少しでもゆるやがにして行くというふうなことを考えておるわけでありまして、そういうふうな見地から見まして、信用事業を中小企業の組織体の中から排除するということは適当ではないので、ぜひ協同事業と並行的に考えて行く必要があると考えておるのであります。保險の問題につきましては、今回初めて設置された制度であるわけでありますが、保險事業につきましては、從來の法制におきましては保險事業の関係もあり、組合法が認めていないというふうな状況から、保險制度を実質的に実施しておるものが多々あるのでありますが、それらは匿名組合の形かあるいは組合の附帶業務として、陰で行つておるというような状況であるのであります。そこで今後中小企業の中で相互的にやつて行くならば、それをはつきり出して行つた方がいいのではないかという考え方で、保險協同組合という制度をしいたのであります。この保險は火災保險だけに実は限つておるのであります。現在各地に発達しております商店街、マーケツトというようなものを例にとつてみますと、これは保險会社の対象にならぬのであります。從いまして匿名組合的な保險制度類似の行為が、現に行われておるというような状況であります。それらが相互の負担においてその運営よろしきを得るならば、こういう制度を利用することもはつきりさせてよいのではないかというような考え方で、保險組合というものを認めて行くことにいたしたのであります。
#13
○小金委員 信用協同組合のことについては、從來もあるが、これはこの法規に統合したのだというような趣旨の説明であります。これにはなお疑義がありますが、保險協同組合は損害を対象としたものだけである。第三章の保險協同組合を読んでみますと、「組合員が不慮の事故によつて受けることのある損害をてん補するため保險事業を行うものとする。」そこで次に組合員以外の利用をも認めておる、こういうことになつておりますが、今小笠政府委員の御説明になつたように、從來保險事業の監督の重要な一点は、今説明されたようないわゆる脱法的な組合的な保險をやつていやしないかということを取締まるのが非常に多かつた。そういう実情をとらえて、これをむしろゆるやかな法制とした方がいいという趣旨でありまして、その意図はまことにけつこうであります。しかしはたして政府かあるいはこの立案者がねらつておるように、うまくその運営ができるかどうか。一昨日小田原の商店街に火事があつて、私は今現場を見てそこから挿つて來たのであります。商店街が二十三軒焼けて、その損害だけでも五千万円を下らないという焼け方をしておるのであります。そういうものをこの保險組合ではたして救済し得るかいなかについては多大の疑問があります。これらについては國家が再保險をして、十分な手当をするというならば別でありますが、單なる運用論だけではこれはいけない問題である。この点についても私は多大の疑義を残しておきます。
 次にこの中小企業等協同組合法案の六條の問題でありますが、これによりますと、組合員たる資格の制限と申しますか、排除の問題を規定しております。その中に大体組合員たる資格は、常時從業員を百人以上使つておるものというのであります。わが國の実情から見まして、百人以上のものだけしか入つてはいけない。百人を越えたものにこの法律から排除される。せつかく中小企業等協同組合法をつくつて、ただいま御説明なつたような趣旨の行政をやる。そうして中小企業者のためをはかろうというのに、百人で切つてしまうというのは非常に私は立法の趣旨を没却するものではないか。日本の実情から見ますと、機業とかいうようないろいろな関係から見まして、少くとも二百人くらいを單位しないとむりではないか。私はこれはすベからく二百人とか、あるいは二百五十人くらいにふやすべきものではないかと思います。商業またはサービス業を主たる事業とする事業者については、二十人を越えてはいけない。これもすいぶんひどいものでありまして、二十人くらいの使用者を使つておるところはたくさんある。これは中小企業でないということは言えない。これらもすベからく五十人くらいまでふやしていいと思うのでありますが、その点は政府当局はどう考えておるか。
#14
○小笠政府委員 お答えいたします。ただいまお話になりました点に本法案の基本的な点でありまして、中小企業等協同組合法案を適用する対象をどの範囲にするか、こういうふうな基本的な問題であります。また民主化立法としての独占禁止法第二十四條関係、事業者閣体法との関係において、これらの適用から排除して、眞にそこに相互組織によつてやらせる分野をどう見て行くかというような問題であるのであります。なぜ工業について百人にしたかということを申しますと、お話のように業界の状態によりまして、特に製品の種類によりまして、この業界における大と中小との相対的な観念は、それぞれの違いを持つものであると私も考えております。たとえば纖維の関係で織布のような工程になりますと、百人というふうな数字でも綿布産業企業体から見て、中小でなくてもつと小の方に近くなるということも言えようかと思います。と同時にまたマイニングにおきまして常時百人の從業員というような山は、比較的少いのであります。そういうような状況から考えますと、非常に不合理であるわけでありますが、一般的な個々に中小と、しからざるものとの区別を切るのに、便宜どこで切るのかというようなことでいろいろ考えました結果、先ほど申しましたような日本の経済産業の構成から見て、百人で切ると大部分のもの一應カバーできるというようなことで、百人にいたしたのであります。なお百人にいたしますでの経緯について、簡單に申上げて見たいと思うのであります。
#15
○神田委員長代理 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#16
○神田委員長代理 速記を始めて……。
#17
○小金委員 いかなる点で中小企業者としからざる者との間に線を引くかということについては、これは今始まつた話ではなく、前々からこの問題は組合法でなくていろいろな施設をする場合に行われて來たのであります。從來員を、あるいは機会設備等を基準とするというような標準があつたのでありますが、百人でも私は十分でない。また商業またはサービス業については、二十人ではこれもまた除外されるものが非常に多くなり過ぎる。これでは本法のねらいが相当はずれてしまうということを感ずるものであります。そのほか立法的に見てもいろいろな問題が私はあると思うのでありますが、まず組合に対する課税の問題とか、設立手続の問題、員外理事の問題、また組合員の数非常に多くなつた場合における総代会というような問題とか、あるいはまた事業協同組合が他の事業を運営するというような問題、それから連合会の経済事業を行い得る地域の問題、また企業組合の事業と組合員との関係、連合会の問題、いろいろ法律的にお尋ねしたいことがあるのでありますが、他の皆さんもこの中小企業協同組合法及びその施行法案については、いろいろ御貿疑になりたい点もありましようし、また御意見もありましようから、一應私の質問はこの程度で中止いたしまして、時間がありましたらさらに引続いて質疑をさせていただきたいと思います。
#18
○今澄委員 今の小金委員の質問であらかた基本的な観念は明らかになりました。私は殘余の要点を小時間でありますので、簡單に質問をいたしたいと思います。第一番に会御説明の経緯によつてここに百人という原案が出ておりますが、私どもにこの一番重大な生産部門、特にその中の百人以下というのはこれでもなお少い。これは公正取引委員会において認可をするにあたつて、やはり弾力性を持たすべきではないかと思つておりますので、その点意見を披露しておきます。その次に個人の企業、資本家、経営者の同一人に近い同族会社あるいはまたごく親しい人間ばかりでできている株式会社が、課税の都合上あるいは企業組合に登録がえをする懸念がある。そういつたような脱法的な一つの行為が、この中小企業の法案で考えられないこともないと思うのでありますが、これに対する御処置はどういうことになりますか。
#19
○小笠政府委員 ただいまお話になりました企業組合の運営際して、特に脱法的な運営が可能ではないか、こういうお話でございましたが、この企業組合は新しい経営形態をここに創設しようというふうな考え方でありまして、資本と労働が合体してそこに経営規模を高めて行こう、こういうふうなことでありますので、その点は特に脱法的な考え方は少いのではないかと実は考えておるのであります。ただ考えられますのは課税の問題におきまして、企業組合の組合員が組合で働いた場合に受取る給與に対しまして、勤労所得者の勤労所得とみなして行くというふうな形にいたしまして、組合のいわゆる企業主体に対する事業税のようなものを排除しておるわけであります。ここで実質上組合が企業の存立を残しつつ、別に企業組合という形をとるというふうなことが一應は予想されるのでありますが、本法のねらいといたしましては、企業組合員はそれ自身において、もうすでに経営者の地位を去つておるわけであります。從いまして経営体としては一つであるわけでありますので、税法上の問題としてあるいはそういうことが考えられるかもしれぬのでありますが、そういうふうなことは実際上行い得ないのではないかと実は考えておるのであります。企業組合以外の協同組合につきましては、そういうふうなことは考えられない。從來と大体同じような形で動いて行くのでないかというふうに見込んでいるのであります。
#20
○今澄委員 今日大藏省の方はおられないので、午後連合審査で大藏省の方に聞きたいと思いますが、企業組合は特別法人として百分の三十五の特別法人税を課せられることになつている。これは企業組合本來の趣旨にかんがみまして、一般の協同組合並びに普通法人税百分の二十五ぐらいまで引下げるのが、私どもは妥当ではなかつたかと思つております。これは大藏当局が非常に強硬な態度であつたということでございますが、こういう点はまことに中小企業としても強力にひとつ主張していただきたい点でございますが、これが大藏省との折檻経過並びに御見解をひとつ承りたい。
#21
○小笠政府委員 企業組合に対しまして、特別法人税百分の二十五を課すというふうにいたしたい希望を実は持つておつたのてありますが、正直に申しますと、組合員でこの組合に働く方々の給與の上において、先ほど申しましたような制度をとる。それと組合自体に対する課税の問題と、両方をこれにかけて行くということによつて、日本の零細企業をできるだけ高めて行くという形をとりたかつたのでありますが、御承知のように一般の経済情勢でもありますし、また税法上から申しますと、この企業組合は先ほど申し上げましたように新しい経営体であり、組合と会社との中間形態的なものになりますので、別に税法は会社か組合かというふうな二社択一の見地をとるというような形から考えますと、会社と同じような形をとるのが至当ではないかというような議論も一應あり得るのでありまして、一應原本のようにいたしたわけであります。
#22
○今澄委員 まことにどうもその点については中小企業関係は形式は常に整うけれども、実質においてこういうところが常に骨抜きになつて、まことに発展がせられないという点を十分銘記してもらいたいと思う次第であります。われわれはこの問題について後ほど皆さんの質疑が終つてから、また十分つつ込みたいと思つているのであります。
 その次は元來独占禁止法第二十四條の規定の除外されるべき小規模なる経営企業というものの範囲、それから定義というものが明瞭でない。これが判定は先ほどもいろいろあなたからお話を聞きましたが、公正取引委員会という一個の官僚機構で片づけてしまうことは、越権行為のように思われる。いま少し公正攻引委員会の認定、権限というものを今度の中小企業のこの問題についても、私どもは大いに検討しなければならないと思うのでありますが、忌單のないところをひとつ聞かせていただきたい。
#23
○小笠政府委員 本法案におきまして公正取引委員会で独禁法第二十四條第一号の小規模事業者に該当するか、どうかの線を認定する場合が二つあるわけであります。一つは原案で参りまして、百人を越えた場合が一つ、一つは五十人以上百人までにおける第百九條に規定いたしておりまする排除措置の場合があるわけであります。第百九條に規定いたしておりまする排除措置の場合には、いわゆる公正取引委員会におきまする審判手続を準用いたしておるのでありまして、ここで公聽会その他で慎重な手続を経てきめるというふうなことをいたしておりますので、外部の関係者の意見も聞いてきめて行くというふうなことになろうかと思うのであります。それから前者の場合におきましても、一應今申し上げましたような愼重な手続をとりますので、公正取引委員会の一方的な意思で簡單にそれをきめて行くということは、なかなか困難であろうと思うのであります。特に百人を越える場合におきましても、当該産業に置きまする本法がねらつているような、また独占禁止法自体のねらつておりまする観点から見て、はたして市場支配なりあるいは特殊の支配的な力を持つような企業体であるかどうかということは、その業界全体の立場から見て、その実態から当該企業の位置というものを判定するのでありまして、そこに公正な結論が出るというふうに実は見ておるわけであります。
#24
○今澄委員 あともう一、二点。員外役員の禁止の条項が第三十五条にありますが、これは業績によつては一律に行うことは実情に沿わねおそれが多分にあると思います。少くとも三人以上の役員を廣くを要するとあるからには、その中の一名くらいは員外役員を認めてはどうかと考えるのですが、この点に関しての御見解をひとつお願いいたします。
#25
○小笠政府委員 日本の組合制度の発達の経緯を見ますと、組合の実際の常務をいたしておりまするのは、専門的な員外役員を利用して動いて來ているのであります。ところが本法におきましては員外役員の制度をやめているわけでありますが、員外役員の問題につきましても二つの見方があると思うのであります。一つの問題は組合員が直接自分の経営に専念しておつて、全体的ないわゆる協同組合としての組合を見るほどの余裕がない。從つてその道に通暁している人を入れて常務を見てもらつた方が、組合の発達上いいのではないかという意見が一つの見方であります。も一つの見方は從來の組合制度におきまする動きといたしまして、この員外理事が実際上牛耳つて、いわゆる組合ボスというものがここから発生している、こいうふうな見方と二つあるわけであります。本法は提案理由にも誓いておりまするように、中小企業者の自発的な意見に基いて、直接組合員の経済的地位の向上を保持するということをねらつているわけでありまして、みずからの手で経済的地位の向上をはかるというふうな考え方をいたしておりまするので、組合自身が組合にできるだけ関心を持つてやつて行くというふうな形から申すしますと、員外理事制度を認めない方がかえつていいのではないか。ただ組合運営上の特別の知識、あるいは特殊な技能を要するような場合には、いわゆる顧問としてその人の援助を仰ぐという制度しいたらどうかと、いうふうな考え方をいたして、本法案に顧問制度を置いているのであります。この顧問制度というものは從來のわれわれが使つておりまする用語における顧問制度というよりは、それぞれ特殊なる技能、特殊なる経験を組合運営上必要とする場合におきまして、そういう人々の援助をはかつて行くというふうな道を開いたのであります。同時に從來の商工協同組合と違いまして、いわゆる参事という制度を置いて支配人の資格を持たして行くという制度にいたしておりまするので、員外理事の問題はこの際新しい形に振りかえて、組合員をして、組合は自分たちの組合だという緊迫感をできるだけ強めて行くことが適当ではないかと考えて、実は本案のようにいたしたのであります。
#26
○今澄委員 あとは市街信用組合の問題の質問でありますが、市街地信用組合を独立した別個の組織法で制定しないで、本法案によつて廃止することにしたその根拠と、それによつて起る影響並びに大藏省の方は見えられませんが、金融界に及ぼす影響というようなもののあなたの方の見解について、ひとつ詳細御説明願いたい。
#27
○小笠政府委員 基本的な考え方といたしまして、市街地信用組合の経営体というものは御承知の通りあるわけであります。今後の日本の経営体の形として考えてみまする場合にはまず法人組織いわゆる商法に基いた会社形態のものと、それから個人経営のもの、また別に組合制度――組合制度も主として協同組合的なイデイオロギーに立つた制度、こういうふうなものが一應経営形態として考えられていると思うのであります。今回の法律は農業と水産と消費生活の三部門を徐いた以外の部門に対する協同組合法の準拠法規、根拠法規としてこれをきめたわけであります。提案理由にも御説明いたしましたように、今後の日本の中小企業の組織としてできるだけ相互扶助の組織によつてやつて行く、そしてその相互扶助の力によつて自分たちの競争力をふやして行くという考え方をとりました場合におきまして、市街地信用組合の問題は、組織制度といたしましては先ほど申し上げたように、ある意味の特殊な形態をとつているわけでありますが、協同組合の理論から申しますれば、一應協同組合の形に補つて來てしかるべきではないかという考え方ができるのであります。そういうふうな趣旨で、本法案は三部門を除いた包括的な協同組合の基本法規というような形にいたしましたので、他の森林会法によりまする林産組合等々、あるいは蚕糸葉の業法に基きまする蚕糸業組合というふうなものと同じように、日本の組合組織を間々に協同組合の理念のもとに、統一して行くというふうな考え方を実はいたしたわけであります。そういうふうな考え方から個々に信用協同組合制度に移りかえて行くということにいたしたわけであります。
 第二点のしかるべくそういう、ふうなことをやつた場合に、金融界にどういう影響が起るかという問題でありますが、これに本法案が施行されたといたしまして、既存の組合が本法律案に基いて組織がえすることを、御承知の通りに施行法で簡易にいたしているわけでありまして、簡單に移りかわりができるわけであります。從いましてそのまま移れるというふうなことになろうと思うのであります。その間におきましてはただ一定の手続と名前が若干かわつて來るというふうなことたけで、信用組合が信用組合という形になる点に相違があるわけでありますが、実質的に制度の変更に伴いまして、いわゆる預金者なり債権者にどういう影響を與えるであろうか、こういう問題につきましては私は金融の事情ははつきり存じませんが、現在までこの問題が世間に出ていろいろ動いているという状況から出て、実体的に金融界というものに対しては、影響ないのではないかと実は見ているわけであります。それから今後この信用事業というふうな廣く預金者から預金を受け入れるようなものについては、比較的自由なる組合形態というふうなもので行つた場合に、公共の利益の保護という点から不十分ではないか、また本制度を悪用する者が新しく出て來やしないかという問題が、次に考えられるわけであります。この点につきましては別途協同組合の金融事業に関する法律案というものを、御審議願うことになつておるのでありますが、これによりまして信用協同和合の事業に許可制にすることにいたしておるわけであります。なお銀行法の準備をいたしておりますとともに、また自己資本の限度を定めておるのであります。外部負債の百分の三を下つてにいかぬというふうな規定を置いておるわけであります。從いましてその面から申しますると、從來の市街地信用組合法に広くものと、今世の監督法令、本組合とのコンビによる制度とどう違つて來るか。一般論としてに大体同じであろうと考えておるわけでありまするが、ただ一つの問題はさつくばらんに申しますと、信用協同組合の金融事業の監督方針が、從來よりは若干違つておるのところに問題があると言えば、あるのではないかといふうなことが考えられるのでありまして、その点につきましては私は協同組合による相互金融制度、相互組織による金融制度というふうな形から見ると、そういうことが、一應自然に出て來るのではないかというふうにも実は考えられるのであります。
#28
○門脇委員 本法案は國民の相当大きな分野に影響を與えるものでありまして、非常に関心を持つて待望されておつたのであります。現実にこの法案をながめますと相当不徹底な点もありまするし、またむり点もあります。今日のあらゆる角度から制約されておりますこういつた政治情勢下でありますから、あながち政府当局のみを責めるということもあるいは妥当ではないとも考えますが、しかしとにかく何といいたしても、当面の責任の対象は政治にあるのでありまするから、われわれは國会独自の立場において、やはり批判すべきことは批判し、また見直すべきことは是正してはつきりとしたいと考えます。いろいろ基本論その他につきまして、前二者の方々から御質問がありましたが、なるべくそれと重複することは避けたいと考えます。と申しましてもある点重複するところもあるかと考えますが、この法案によりますと協同組合の分野が、事業協同組合、保險協同組合、信用協同組合、こういつたぐあいにわかれているのであります。事業協同組合は別にしまして、保險協同組合でありますが、先ほど小金委員からの質問があつたように、今日経理上の金高いわゆる金の高が非常に膨張しております。一つの小さい火災がありましても何千万、何億万、こういつた厖大な損害が発生する。ことに終戦後現在の建築物が、特に密集した地帯でありますところの大都市においては、ほとんどバラツク建てのものである。こういつたことによつてその損害が一層上つているわけであります。こういつた現状に即してこういう零細な企業がが相寄つて、こういう大きな数字を生するところの損害に対処できるか。できないということにはつきりわかつている。先ほど政府委員の御説明によりますと、現在マーケツトでもあるとか、そういう保險会社が取扱い得ないものを、大体対象にしておるということでありますが、保險会社が対象にし得ないものほど、この危險率が非、常にかさむわけでありまして、そういう危險率のかさむものに対して兒戯に煩するというとたいへん失礼な言葉になるかもしれませんが、まつたく兒戯に煩するこういう組織をつくつて、そういう大きな損害に対処しようということに、どういうわけでそういうことをお考えになるかとこつけいに考える。少しく目を開けて実会社をごらんになれば、こういう兒戯に煩するような仕組みが、かえつて國民にどれだけ大きな迷惑をかけるか。そういう不完全な組織に依存して、火災保險がかかつているという観念を持たしておいて、そうして一朝火災があつた際に何らそれが効果をもたらさない。先ほど申したように國家が再保險制度をとつて、無制限にその責任を負担するというならば別でありますが、國家が再保險制度をとつて無制限に負担しないなら、こういう兒戯に煩する仕組みは、実にずさんな結果を招來することははつきりしている。そういつたことを知つておつておやりになるのか。その辺が失礼な言葉になるかも知れませんが、立案者はどういう考えであつたかということについて非常に私は疑問を持つ。こういうことはもう少し実際に実情を御勉強になつて、こういう兒戯に煩するような仕組みを、いやしくも政府の立案として國会に提案されることは、お控え願つた方がよいと思う。私たちは民主自由党で與党の立場であつてもそう考えますから、與党でなければおそらくそう考えるだろうと思う。これは政府の方に対しての御相談でありますが、こういう兒戯に煩する仕組みのものは御撤回になつて、もつと世間に対してはずかしくない文面にかえていただきたいと考えるわけであります。
 それから信用組合でありますが、先ほど政山委員の御説明によりますと、現在の市街地信用組合の制度と、そう別に大きな実際上の開きはないのだ。ただ一つの思想的に系列を正す、こういうような意味が多分に含まれているようでありますが、現在市街地信用組合が相当発展をしておりまして、これに関連する人員が五百万人、これに流用されております資金も百数十億というぐあいで、現在の日本の市街地信用組合の情勢はある程度成功している。こういつた情勢にあるのであります。こういう実地をながめてこれに一つの法規的な基本を変更して、手続を始めあらゆる角度から大きな衝動を與えることは、よほど何か現在の制度に欠陥があり、また不都合があるということなら別でありますが、大して不都合がないのだという現状において、それほど大きな迷惑を國民にかけて行かなければならぬか。それがそういつたぐあいに一つの法理論からしまして、法案を整理するという意味から言いますと、たいへんその方がきれいになるので、そういうように感ずるのかもしれませんが、單にそういう程度のことのことで、國民に非常に大きな迷惑をかけるということは大体遠慮されてほどうか。これにわれわれ國民側の立場といたしましては為政者に対して忿懣にたえね。何か現実に即してどうしてもかえなければならねというよほどの重大な原因がここにあるのか、ないのか。單に一つの形式的な立場のみでそういう大きな迷惑を國民にかける。こういつた迷惑千万なことを國民のために政府がやることは、御遠慮なさるべきではないかと考えます。これもひとつ御相談でありまして、むしろこの際御研究を願いたい。保險協同組合と信用協同組合の二つを合わせて御答弁願いたいと思います。
#29
○小笠政府委員 お答えいたします。保險挙動組合の問題につきまして、実体的な経済的な採算の取れないような考え方をするのは兒戯に類するのではないか、こういう御質問兼おしかりであつたと思います。実は組合制度における保險制度は、日本においても大分前から言われておつたのであります。そういうような制度の立案が、本法案の起草に関連して新しく起つて來たというよりも、その前からすでにその嬰陽が強くて、大藏省においても研究を進めておつたわけであります。從いまして日本の今後の保險業界の行く形として、保險公社のほかにこういうふうな組合制度による保險制度を認めて行くという方向にあつて、たまたま一致して本制度に乗り換えて來た、本制度に統一して來た、こういうようなことであるわけであります。具体的にそういうようなことから、ただ保險が被保險者に対する保護を、できるだけ尊重しなけれげなられという意味から見まして、これは先ほどちよつと申し上げたと思いますが、保險組合に対する監督法令が別途審議せられておるのでありまして、お話のような心配を極力除くという方針になつておるのであります。すなわち保險業法をほとんど準用いたしているわけであります。從いまして基本経営体としての組合自体は非常に自由に作れるが、事業自体はそう言うふうになつているわけであります。
 それから借用協同組合につきましては、先ほど申し上げましたような考え方でありまして、私どもといたしましては信用協同組合制度をつくる必要があるというふうに、実は考えている次第であります。
#30
○神田委員長代理 どうですか門脇君、みなさんにもお諮りいたしますが、十二時二十五分ですし、今の問題はきわめて重大なことでありますから、午後の連絡会議において大藏、商工両大臣の出席を要求しておりますので、もつと大きいところでお尋ねなすつた方がよいのではないかと思います。一應休憩いたしまして、午後連合懇談会を開いて、その後また余裕がありましたら本委員会を続行して、主管大臣のお答を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○神田委員長代理 それではそうします。
    ―――――――――――――
#32
○神田委員長代理 この際昨日の懇談会におきまして、一應御諒承をいただきまして、水力電源開発に関する決議案の案文起草に関する件について、暫時御審議を願いたいと思います。本件に関しましては、御承知のとおり本委員会の実施してまいりました商工行政に関する事項についての國勢調査のうち、電氣小委員会が担当して鋭意その調査を進めて参りました電氣部門における電源開発に関する議論の一つとして、ここにこの種の決議案を本商工委員会において起草し、商工委員各位の賛同を得て本会議に上程し、廣く院の内外、國民各界に呼びかけるとともに、強くこれを政府に要望する必要があると認められ、その旨村上電氣小委員長より申出があつたのであります。從いまして、昨日の懇談会及び本日の懇談会におきましてこれを報告するとともに、一應の御諒承をいただいたのでありますが、関係方面に対する手続の関係もありますから、この際正式に案文を御決定願いたやと存ずるのであります。
 なお、これにつきまして電氣小委員より発言を求められております。電氣小委員、多武良哲三君。
#33
○多武良哲三君 御承知の通り経済九原則によりまして、輸出の振興をはかるとともに生産を増強いたしまして、一日も早く自立経済を確立することが要求されております。この責任を全うするためには、わが國の天然資源を最も能率的に利用することが、先ず第一に実現されなければならないと思います。しかるにわが國は國土狭小で、水力資源以外の天然資源は極めて貧弱であります。この比較的豊富に惠まれており、ます水力資源を合理的に開発いたしまして。現在無駄に放流されておるエネルギーを生産財にかえて、アルミニユーム、肥料その他の科学製品の生産を増強するとともに、農村電化の普及発達をはかり、食糧の増産と農村生活の文化的向上を促進することは、目下の急務であると存じます。よつて、この際商工委員全員の御賛同を得て、政府に対しましてすみやかに電源開発の具体案を樹立して、着々工事を実施することを要請し、平和日本再建の日が一日も早く招來いたしますよう、決議案を提出いたしたいと存じます。どうかお手元に配布いたしました案文を御審議くださいまて、全員一致御賛成をお願いいたします。
 なお参議院におきましても、同様決議案を提出するとの御連絡がございました。では決議案を朗読さしていただきます。
   水力電源開発に関する決議案(草案)
  平和日本再建の道は、まず貿易の振興を計り、自立経済を確立し、民生の安定を期する以外になく、貿易の振興は動力と燃料の確保によつて始めて実現し得るものである。
  工薬用原材料の輸入は、連合國の援助により好轉を期待されるが、勤力及び燃料は本質的に國内資源に俟たねばならぬものでしある。幸に我が國は豊富な水力資源に惠まれているので、これが急速なる開発を行い、電力不足に悩みつつある我が國鉱工業生産の増強を計ることが強めて重要なことである。
  然るに輸出振興を目前に控えて水力電源開発が未だ本格的に着手されていないことは、洵に遺憾に堪えない。然かも水力電源開発に、相当の年月と多額の資金を必要とするものであるから、比の際政府は速かに具体的水力電源開発計画を樹立するとともに、電力事業の健全な運営を図り、所要資金、資材の優先的割当を行うべきである。依つて本院は政府が電源の開発及び電力事業の発達のために左の各項に対して連かに必要な施設を講じ、その結果を本院に報告することを要求する。
 一、綜合エネルギー源の中核として、施設電力設備の改良と、新水力電源開発の開発とを強力に推進するため開発計画の具体化、資金、資材の手当を緊急に措置すること。
 一、電氣事業の経済的基礎を確立し、自力再生産力を保持せしめるために電力の合理的決定、企業の能率的運営及び労働意欲の昴掲に対して必要なる措置を講ずること。
 一、電力事業の主体性を確立してその発展を困るため運営責任の所在を明確にすることとし必要なる措置を講ずること。
 一、電力の効率的利用及び電力配分の適正化につき有効なる措置を講ずること。
 一、電力行政の運営につき諮問機関として民主的審議機関を設置すること。
  右決議する。
 以上であります。
#34
○神田委員長代理 多武良君の御説明に対しまして、何か質疑なり御意見はありませんか。
#35
○聽濤委員 私は共産党としまして、この電源の開発という趣旨には賛成であります。ところでこういうものは、もちろん提案された方も全会一致できめたいという御趣旨であろうと思うのであります。ところが、貿易の問題だとかそういうことになりますと、これは御承知のように、言うまでもなく民自党の考え方と共産党の考え方とには、まるで白と黒のような対立があるのです。そういうものをやはりまる出しで持ち込まれると非常に賛成しにくくなる。それで具体的に申しますと、決議案の非常に技術的な問題になりますけれども、電源開発という一本の線でずつとやりてもらいたい。たとえば書出しの「まず貿易の振興を計り」というような文句を削つてもらいたい。またその次の「工業用原材料の輸入は、連合國の援助により好轉を期待されるが」こういう言葉は共産党はまことにすかんのでありますから、こういうのもひとつ削つてもらいたい。それからもう一つ、ありますのは、最後の項目別の中で「電力事業の主体制を確立して」云々という條項ですが、これはどうも少し民自党的考え方が強過ぎるように思う。これはひとつ削除をしてもらいたいということ、それからその前の項目の「企業の能率的運営及び労働意欲の高揚」というのに対しまして、労働力の培養というふうな文句にかえてもらいたい。一番最後の「電力行政の運営につき諮問機関として民主的審議機関を設置する」というのも、これはいろいろ意見ももちろんありましようが、これは非常に漠然としたもので、電力行政の民主化に勤めるというふうな程度にしてもらいたい。そうすれば私たちはこれもたつた一つの条件をつけて賛成したいと思います。その条件と申しますのは、ついでに申しておきますが、われわれの態度はこの電源開発計画の樹立や運営にあたつては、これは電産の労働組合は死活に関する問題で、非常に重要な意見を持つておりますから、電産の労働組合及びその他の民主的諸團体と協議してもらうことという条件を加えて、これに賛成したいと思います。
#36
○神田委員長代理 ちよつと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#37
○神田委員長代理 それでは速記を始めて……。電源開発に関する決議案文作成の伴についてお諮りいたします。ただいまお手元に配布いたしてあります案文通り決定するに御異議ありませんか、
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#38
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。よつてお手元の案文の通り決定いたしました。
 午前の議事はこの程度にして、休憩いたします。
    午後零時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三十三分開議
#39
○澁谷委員長代理 休憩前に引続き商工委員会を開きます。
 本日はこれを、もつて散会いたします。
    午後四時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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