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1949/05/14 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第15号
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1949/05/14 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第15号

#1
第005回国会 商工委員会 第15号
昭和二十四年五月十四日(土曜日)
    午前十一時七分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 神田  博君
   理事 今村長太郎君 理事 澁谷雄太郎君
   理事 村上  勇君 理事 今澄  勇君
   理事 本橋 金一君 理事 川上 貫一君
   理事 永井 要造君
      阿左美廣治君    岩川 與助君
      江田斗米吉君    門脇勝太郎君
      小金 義照君    高木吉之助君
      多武良哲三君    福田  一君
      水谷長三郎君    聽濤 克巳君
      河野 金昇君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 稻垣平太郎君
 出席政府委員
        総理廳事務官
        (経済安定本部
        動力局長)   増岡 尚士君
        石炭廳次長   渡邊  誠君
        商 工 技 官
        (石炭廳生産局
        長)      田口 良明君
        工業技術廳長官 井上 春成君
        商 工 技 官
        (工業技術廳標
        準部長)    横山 不學君
 委員外の出席者
        総理廳事務官  村田  繁君
        專  門  員 越田 清七君
        專  門  員 谷崎  明君
        專  門  員 大石 主計君
五月十四日
 委員中村寅太君辞任につき、その補欠として衞
 藤速君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 工業標準化法案(内閣提出第一八一号)(参議
 院送付)
 配炭公團法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第二〇〇号)
 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き大
 坂工業試驗所四國支所並びに電氣試驗所新潟支
 所及び金澤支所設置に関し承認を求めるの件(
 内閣提出、承認第一号)
    ―――――――――――――
#2
○澁谷委員長代理 これより商工委員会を開きます。
 委員長におさしつかえがありますので、私が委員長の職を行います。
 まず昨日に引続さ工業標準化法案を議題として審議を進めます。御承知の通り本案に、政府原案を参議院において修正し、参議院送付案として本委員会に付託されたものであるまして、政府原案につきましてはすでに予備審査の際に説明を聽取し、参議院修正部分につきましては、昨日参議院商工委員長より説明を聽取いたしておりますから、ただいまより質疑に移ります。今澄君。
#3
○今澄委員 この工業標準化法は、今日初めて審議に相なつたのでありまするが、簡單に御質問申し上げたいと思います。
 第一番に、この標準化法でいろいろ規格を設けられるのでありますが、それらの規格を設け標準を付することについて、何らかの特典なりあるいは援助を政府の方でお與えになるかどうかということと、それからこの標準化法を施行する目的が載つておりますが、將來いかにしてこの法案に盛られた全目的を達成すのか、そのためにどういう構想を持つておられるか、あわせて御質問いたしたいと思います。
#4
○横山政府委員 ただいまの今澄委員の御質問の第一は、この工業標準化法によりまして規格が制定された場合に、何らかの保護、援助があるかどうかという御質問のように承りますが、本來工業標準をきめます場合には、その生産者、使用者あるいは場合によりますと販賣者も加わりますが、利害関係のあります者と、純技術的な立場におります研究機関の者、それから行政関係の者が寄り集まりまして、およそその製造品種等がもたらす経済的効果がどうであるかということを細大となく檢討いたしまして、すベての関係者にとりましてこれが一番いいのだというところで、工業標準がきまることになると存じます。從いましてその工業標準を実施されること自体によりまして、生産性が低下しあるいは品質が向上する。その結果市場が開拓されるということで、結局それ自身関係者に利益をもたらすということが原則でございます。從いまして特に工業標準がきまりましたために、特典を考えることはしていないのでございますが、今度の法律によりまして、もし生産者自身が自発的に自分の製品が規格に該当しておるのだということを、十九條の運用により申請いたしまして許可になります場合には、そこにおのずから正当な競争力が多少オーソリテイーによりまして裏づけられるということによつて、まじめな生産者の利益が増大される。それからなお使います方の人にとりましては、安心して品質のしつかりきまつておる、内容のはつきりわかつておるものが手に入るということによりまして、使用者の利益が増大される、そういうように考えております。
 それから第二の御質問に対しましては、工業標準化ということは、結局近代工業発展のためには、まつたく欠くべからざる問題でございまして、個々の一つ一つの企業にとりましても、これは合理化の手段として技術的に当然なされなければならない問題でありますが、市場によりまして各産業がつながつております関係、あるいは技術が各産業ごとに関連しております関係で、当然これに國民経済の問題として取上げらるべき問題でございまして、すべてそういう方向へ御承知のように発展しておるのであります。從いまして、これに日本が工業國として立つて行くためには、どうしてもなければならぬ條件でございます。日本でも過去二十数年にわたりましてこれをやつておるのでございますが、御承知のような日本の産業の状態、あるいはいろいろな工業標準がそれ自体の中に丙在しております合理化それ自身のために、工業標準化が推進されるような條件が、比較的十分に備わつていない日本のような工業國では、なかなかこれが発展しなかつたような状況でございます。今度の標準化法によりますと、その点が促進されると考えております。その理由は、まず第一に工業標準が制定されますときに、この法案によりまして、非常に公正で民主的な制定が確保されることになると存じます。それからその工業標準が実際に有用で具体的であるということが、常に再檢討されまして、その工業標準の実用性と申しますか、合理性と申しますか、そういうものが常に確保されることと存じます。それから十九条のような自発的な工業標準に合つた品物について、マークをつけますような制度が行われますことによつて、企業体の中において工業標準が実施されることが確保され、それから非常に科学的な技術管理が促進される、そういうようなことでこの工業の標準化法が運用されることによりまして、日本の工業の工業標準化というものが、総合的に発展するということを期待いたしております。
#5
○今澄委員 この趣旨は非常にけつこうのようでございますが、これによつて中小企業のいろいろの部面に、この工業標準を当てはめるために、非常に困難を來すものが出はしないかという点についてのお見通しを承りたい。
#6
○横山政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいまの御質問はまことにごもつともな御質問だと存じますが、先ほども申しましたように、工業標準そのものをきめますときには、必ず利害関係者と生産者、使用者、それからときには販賣者が加わりまして、愼重に工業標準が檢討されるわけでございます。從いましてその製造品種が中小企業に関係がある場合には、もちろんその委員会の構成員の中には、中小企業の代表者が、大企業と同等の立場において参加することになると存じます。そうしてその工業標準がきまります内容といたしましては、すべてそういう実質的な利出関係人にとりまして、不当に差別されないように、しかも全体といたしまして合理化が実施されるように、規格というものが審議されます。そうして特に日本の産業構造というものは、中小企業が大部分を占めております関係上、むしろ規格の内容に、中小企業に適用されるような形においてきまる場合が非常に多いと存じます。
 それから産業界にいろいろな設備あるいは資金その他の関係で、生産能力に対しまして当然差があるわけでございますが、こういうものは品質の等級になつて現われると存じます。規格は單に品質を一つに統一することが目的ではございませんで、むしろはつきり等級標準が公正にきめられることが正しいのでございまして、そういう場合には品質の等級がきめられることになると存じます。それから委員会を通じまして、委員会の席上で非常に具体的に、技術的に檢討されます結果、むしろ大企業などの、あるいは優秀な企業の中の技術というものは、その委員会の席上で公開される形になると存じます。それからまた研究機関がこの委員会に協同いたします結果、研究成果が誘導されまして、中小企業としてはむしろこの委員会の過程を通じまして、技術が向上される機運が與えられます。それから規格がきまりました場合には、その規格の水準よりも水準の低い中小企業に対しましては、当然に技術指導などが有機的に、技術指導の方のいろいろな施策と関連いたしまして、なされることになります。從いまして中小企業にとりましても、これは当然なければいけないし、非常に有利になるのではないか、そういうふうに考えます。
#7
○今澄委員 この標準化法で標準がいよいよ出る。それまでにできていた、この標準に合わない製品の処分、あるいはこれを三年ごとに審査することになりますが、その間にかわつてストツクのできた品物については、どういう処置をとられますか。
#8
○横山政府委員 今の規格に合いません品物につきましては、販賣禁止は全然されておりませんので、これに規格外品として賣ることももちろんかまわないわけでございます。その規格品を買うか、規格外品を買うかということは、需要者の選択の自由にまかされておるわけでございます。
 それからもう一つ、三年ごとに規格が再檢討されるということは、必ずしもこれで改正をするという意味ではございませんで、いろいろな経済條件、生産條件がかわりましても、なおきまりました規格が有効に現実性を持つておるかどうか、リブルなものであるかどうかということを検討いたします。その檢討も、もちろん工業標準化委員会で檢討されますので、その委員会に関係業者が全部参加いたしておるわけでございます。実際工業の実体その他が規格よりすでに進歩いたしまして、あるいはその他の條件がかわりまして、その規格の実用性に変更をする必要があるというときに限りまして、改正がされることになつております。從いましてその規格がかわりましたために、産業界がそう影響を受ける、あるいは損害を受けるということはないと考えております。
#9
○今澄委員 最後に、この中で第二條に、指定農林物資檢査法による指定農林物資を除く、ということになつておりますが、これを含めてこの工業標準化法の中に入れた方がよかつたか、こういうふうに別にした方が実際に標準をつける上にいいのかという点について、どういう御見解であつたかお伺いします。
#10
○横山政府委員 ただいまの御質問につきましては、農林省の方で農林物資檢査法に基きまして、農林物資に関します規格の調査機関がやはり置かれることになつておりまして、これは工業標準調査会に匹敵する機能をもつことになつております。從いましてこちらではもつぱら農林省のそういう部面で扱います物資を除きました工鉱品を扱うことになつております。從つて規格の名前も日本工業規格という名前になつております。農林省の方は農業規格になるのではないかと考えております。やや二本建の形になつておりますが、そういうことでございます。
#11
○小金委員 この工業標準化がきわめて大切であるということに、御説明をまつまでもなく、おそらく工業に関心を持つ者みな承知しておるところでありまして、ただこれをどう実施するかが、メーカーについても需要者の方から言つても、非常に大事な問題であつて、この適用いかんが非常に関心を持たれる点だと思うのであります。そこで一つお伺いいたしますが、この工業標準化法の附則の第三項に、工業標準調査会官制に廃止するということがありまして、これがそのまま第三條の日本工業標準調査会に大体移るのかどうか、その点をお伺いいたします。
#12
○横山政府委員 ただいまの御質問は参議院の修正に関連いたしますので、その点を御説明しておきたいと思いますが……。
#13
○小金委員 簡單に……。
#14
○横山政府委員 実は現在は行政官廰法の十二條によりまして工業技術廰設置法の中に、その附属機関として工業標準調査会というのが書き込まれております。ところがこの行政官廰法は五月三十一日に失効いたすことになつております。しかしこの法案が施行されますのはまだ先になりますので、ここに工業調査会官制をこれで廃止いたしますと、間に穴があいてしまうことになりますので、これから削られたことになるのでありますが、その場合には行政組織法の八條によりまして、新しく通産省の設置法ができるわけでございますが、その中に工業標準調査会を、こちらに出ておりますような新しい日本工業標準調査会という名前で置くことになつております。從つてこの法律が施行されましたときに廃止政令を出しまして、通産省の他の設置法の中のものを削るという手続になつております。
#15
○小金委員 それじやこの工業標準調査会官制に基いて任命された標準調査会の委員と申しますか、その方々は大体前の日本工業標準規格調査会ですか、十何年前にあつたもの、あれとちようど同じような構成メンバーが委員会を組織しておるのですか。その点をお伺いいたします。
#16
○横山政府委員 実は終戰と同時に、二十五年間の歴史を持つておりました工業品規格調査会が廃止されまして、工業標準調査会が昭和二十一年の二月に勅令できまつたのでございます。そのときに新しく人員が全部発令がえされたわけでございます。と申しますのは、戰爭中はほとんど航空、軍需関係を中心にしておりましたので、戰後は平和産業を目途といたしますために、構成人員が当然かわらなければいけない。それから非常にインデイペンデントなものにつきましては、かわらないものももちろん残つておりますが、そのほかは相当大幅にかわつております。
#17
○小金委員 昔のジエスといいますか、あれはいろいろなこまかい標準を揚げておりまして、しろうとにはなかなかわからなかつた。今度は規格をつくられたならば、大体相当な教育を受けた人ならばわかるように発表して、普及をはかつてもらいたい。これは度量衡と同じように、いかにりつばな標準をきめても、実行が伴わないと何にもならない。メーカーは一應わかつたとしましても、需要者の方から行くとずいぶんごまかしがあるという批評を受けております。その点について用意かございますか、お尋ねしたいのであります。
#18
○横山政府委員 ただいまの御心配はごもつともだと思いますが、戰後におきましては、法律は御承知のように文章を非常に平易化いたしております。從つて文章を平易比いたしまして、極力むずかしい文章を避けるようにいたしております。それから必ず規格表には同時に解説文をつけるようになつております。また規格をきめましたときにおきましてはできるだけ発表会、技術講習会をいたしております。さらにそれに基きまして檢査規格がきまりました場合には、審査会などを催しております。今の御意見の中で一番の要点は、使用者の方と申しますか、注文者の方に対しまして認識がないと、メーカーの方で実施しようといたしましても、それが保たれないわけでございますので、特に使用者の方につきましても、最近は普及に力を入れておるような次第でございます。もう一つは、これに國民全体の認識が非常に大事でありますので、教育面に対しまして最近工業專門学校、大学を通じまして非常に思想と内容と、これの教材への採用等につきまして努力いたしております。文部省が非常に注意をして協力していただいております。
#19
○小金委員 大変けつこうな御答弁で満足するのでありますが、ただいま今澄委員からも質問の形で御意見を述べられたのでありますが、中小工業者をこれによつて圧迫するようなことのないように、むしろ答弁によれば、これによつて利益を得るのだということを言われましたが、この点は十分注意していただきたいと思うのであります。
 それから標準のいろいろな表示がメートル法中心になつておりますか、その点をお伺いします。昭和十年ごろ私はメートル法の普及の仕事をしておつたのでありますが、メートル法はフランス革命前後に起つた制度であるから、これを振りまわす小金のごときは、國際主義者で國賊であるという非難を受けたのであります。今は世の中がかわつておると思いますけれども、新しい尺度あるいは標準を普及する場合にはなかなか入りにくい。そこでこの標準は大体メートル法を中心にするか、あるいはまたヤード、ポンド法も取入れられるか、その辺の事情をひとつ説明していただきたい。
#20
○横山政府委員 中小企業の問題につきましては、われわれも十分その点に氣をつけまして、中小企業廰の中小企業に対する技術指導と関連をもちまして從來もやつておりますが、今後一層注意したいと考えます。それからメートル法の問題に関しましては、工業標準化に関しましては原則として徹頭徹尾メートル中心でやつておリます。ただ産業設備その他で急速に切りかえのできないものがございますが、そういうものはやむを得ず一應換算値で――とにかく表現はメートルを主体といたしまして、それを換算値を入れました形でやつておりますが、努力といたしましてはできるだけメートルで行く予定でございます。但し最近アメリカ等の関係がございまして、輸出品に関しましてはやむをえずインチ、ポンドを取入れざるを得ないというものがございますが、尺貫はできるだけ避けるようにいたしております。輸出その他でやむを得ないものに限りましてインチ、ヤードを採用いたしております。
#21
○小金委員 ものさしの標準が幾つもあるのはきわめて困るのでありまして、メートル法ならメートル法を中心にしてやつていただくということはきわめてけつこうであつて、政府も輸出その他需要者の方の立場を考えて、しばらくその換算したようなものをつくつて当てるということでありますが、その点は私は満足いたします。
 次に具体的な問題として構造、品質、成分、耐久度、あるいは安全度等詳細にわたつて基準を制定する際、優秀品はなくなつてしまつて並品と下級品のみがある。一般的のものだけが幅をきかして、独創的な考案が出現する機会が少くなるという心配がありますが、政府ではどういうふうにお考えになりますか。
#22
○横山政府委員 規格をつくります場合に、先ほど申しましたようにたとえば構造あるいは品質、性能というような品質規格であります場合には、必ず等級が入る場合が多いのであります。その等級を入れます場合に、現在現実に行われております等級を入れますほかに、当然技術的に見まして近い將來実現されるはずの一段高い品質、等級、それから輸出の点などから日本産業をその水準に引上げなければならないという、当然要求されます一段高い品質、等級をも規格に加えるようにいたしております。この目標的な標準はむしろ産業界の技術水準を上げる規格をつくつて、そういうものがきまりました場合は、そういう標準によりまして技術講習会、指導等をいたしております。もう一つは工業標準化の委員会活動には、研究機関が全部協同いたしておりますので、研究成果がすぐ生産に移せるものは、できるだけこれを規格の中に取入れまして、その実施をはかるようにいたしております。規格をきめることによつて品質の低いものになつてしまうという心配は、絶対にないようにいたしております。それからもう一つは工業標準化によりまして、発明特許というようなものを制限いたしますようなことは何らございません。そういう点も心配はないと思います。
#23
○小金委員 規格を定めることによつて技術を平凡化することのないように、十分氣をつけるということはまことにけつこうでありまして、規格を定めることがすなわち日本の工業技術の水準を高める方に持つて行くのだという方針なのでありまして、この点はきわめてけつこうなことと思います。
 次に長期にわたる耐久度の実際上の判定はどうして定めるか、特に需要者の判定というようなものについては、どうお考えになつておられるかお尋ねいたします。
#24
○横山政府委員 長期にわたります耐久度は、その製品の品質を損耗いたします原因を分析いたしまして、それを物理的あるいは化学的な試驗方法で試驗するわけでございますが、実際には非常に長期を要するものは、それをアクセラレートいたしました試驗方法によつて、実際の耐久度を推定いたすことにいたしております。そういうような試驗方法に必ず規格の中に取入れられておりまして、できるだけ簡易な試驗方法によつて、その目的を達するようにいたしておりますが、その標津化されました試驗方法によりまして、各メーカーは社内檢査をすることになると存じます。それから一般消費者はそういうものにつきまして、試驗する設備を持たないわけでございますが、別に大量に買うような場合には試驗所に依頼檢査をすることによりまして、そういう性能がはつきり具体的に保証された上で、取引ができるということになつております。
#25
○小金委員 もう一つ使用方法に関する規格の制定ということの御説明を願います。
#26
○横山政府委員 使用方法につきましては、何でも使用法につきまして標準をつくるという意味ではございませんで、時と所のいかんにかかわらず同一な方法が保たれなければいけないように、使用方法が標準化されることが多いと思います。お手元にお配りいたしておりまする資料の中にもいろいろあげてございますが、その操作を間違いますと危檢を件うものにつきまして、当然標準化されなければいけないという意味であります。あるいは使用方法が適正に保たれませんと、それを生産いたしましたときにもくろまれましたその製品の有用性が阻害されるおそれあるものにつきまして、あるいは使用方法が妥当でない、非常にいかぬ、そこでそれが早くいたみましてむだになるというような経済的影響の大きいものにつきまして標準を定めまして、それを普及いたすことにいたしております。
#27
○小金委員 日本工業規格製品は政府からどういう取扱いを受けておりますか。すなわち優遇を受けるのか、保護優遇を受けるのでなければなかなか普及しないおそれがあるのではないか。この点について政府の御所見を伺います。
#28
○横山政府委員 規格品はそれが制定されますときに、先ほどちよつと申し上げましたように、製品品種の経済的効果というものが檢討されることになりますので、それを業界が採用いたしました場合に、ただちには効果が現われないといたしましても、必ず生産費の低下あるいは品質の向上を伴いまして、その結果は市場が開拓され、使用者にとりましても生産者にとりましても、有利であるという原則に基いておりますので、一般的に規格品であるがために、特に政府が優遇するということは考えておりません。但し今後の法案の十九條の適用によりまして、生産者の自発的な申請によりまして、これが格づけられる結果になりますので、むしろ中小企業なるがために大事業から資本的に彈圧されていた、圧迫を受けていたというようなものでも、純技術的な立場からはつきり認められますことによりまして、需要者の選択が生産面に公正に反映いたし、その結果正当な競爭力が伸長されるという効果がある、そういうふうに期待いたします。
#29
○小金委員 少くとも三年を経過するごとに再審議をして、その結果改廃することになつているようであります。それに伴つて業者が損害を生ずるような場合があり、また半製品なんかについてはとまどいするようなことがあると思いますが、これに対する政府の御処置はいかがでございますか。
#30
○横山政府委員 改廃されます場合もやはり工業標準調査会の委員会にかけられますので、そこには関係業者の方がやはり参加いたしております。規格がきまりますことにあくまでもリアルでなければいけないので、飛躍することは絶対にございません関係上、その規格がきまりましたために非常に大きな可能性のないような設備の改造その他を伴うような規格は、むしろ避けられるのが多いと思います。その点ははなはだまどろつこしいのでありますが、非常に高進的になると思いますので、そのために仕掛品その他につきまして損害を受けることはないと思います。
 もう一つは日用品その他は、規格がかわりましたために販賣禁止に全然ならないのでございますから、その点も大丈夫だと思います。
#31
○小金委員 そうしますと二十三條によつて不合格なり、また指定商品の販賣停止を命ぜられた場合に、商品を規格外品として販賣することができるのですか。これをお尋ねします。
#32
○横山政府委員 その通りでございます。
#33
○小金委員 第十九條によつて見ますと、製造設備、檢査設備、技術的生産條件等を審査し、不合格となつた場合に多額の費用を投じて設備しなければなららい。この場合に必要な資金、資材等については政府は一体めんどうを見るのか、また特殊な技能者について政府はどうしてこれを求めようとするか、その点を説明していただきたいと思います。
#34
○横山政府委員 不合格になりました場合に、設備を改善いたしたり適正な技術者を雇うというような問題につきましては、原則といたしましてはやはり企業体が当然これは企業競爭の立場において、みずから解決しなければならない範囲が非常に多いと存じますが、生産行政関係の各方面で可能なる範囲におきましては、そういう審査に落ちましたような水準のものでも、できるだけこれを育成いたしまして、水準の上るような努力がされると存じます。特に技術指導につきましてはその点十分にいたしたいと考えております。
#35
○小金委員 日本工業標準調査会の專門委員というのがあるようでありますが、これは委員の中から任命されますか。それとも委員外から任命せられますか。もし委員外から任命せられるとするならば、どういうふうな取扱い、待遇をされますか。その点を伺いたいと思います。
#36
○横山政府委員 專門委員は二百五十人の正規の委員以外の委員でございまして、やはりこれは調査会の会長の申請によりまして、通商産業大臣が任命することになります。その場合の待遇につきましては予算の範囲内で出ます旅費、手当が支給されることになつております。
#37
○小金委員 これは製造業者も相当利益――と言うと語弊がありますが、技術の水準を高めるとか、あるいは改良的に統一ある規格のものをつくれるという有利な点もありますので、おそらく整合業界があげて協力することだろうと思うのであります。そこで優良なりつぱな委員、あるいは專門委員を選ぶことは私はできると思います。要は先ほど総括的に申し上げましたように、これをいかに定めるかということについては、日本の工業技術水準を上げることに格段の力を注いでもらいたいと同時に、これを普及することについて、ことに私は需要者あるいは一般大衆が規格を十分認めて、これを尊重するようにして行けば、この標準化というものはどんどん進んで行く。そういう点について通商産業省と申しますか、工業技術廰と言いますか、その方面の方々に格段の努力をお願いいたしまして、私の質問は一應打切ります。
#38
○川上委員 事務的なことからちよつとお聞きしたいのですが、ただいま中小企業その他のものも、工業標準化について討議をやつてやるのだからと言われましたが、これはどの法文によるのですか。
#39
○横山政府委員 十二條、十三條でございます。まず規格を制定いたします発議は主務大臣だけでございませんで、一般利害関係人からも、原案を具してその発議をすることができるようになつておりますのが、その第一点でございます。第二点といたしまして十三條に「調査会は、省令で定める公正な手続にしたがい、工業標準の案を審議し、その結果を主務大臣に答申しなければならない。」この「省令で定める公正な手続」というのが大事なのでございますが、これに実質的な利害関係者であるところのグループの代表が、必ずこれに参加しているような適正な構成によつて、委員会が構成されなければならないことが原則になつております。そうして今省令案といたしましてわれわれの考えておりますものは、その定足数も議決も三分の二以上の贊成がなければいけない。それからその議決いたしますときの三分の二というのは各利害関係のグループであります。たとえば生産者グループ、販賣グループ、使用者グループ、おのおの三分の二以上の同意がなければ規格がきまらないというような法律手続を考えておるのでありますが、公正な手続ということについて十分考慮いたしまして、その点に遺憾のないように考えております。
 それから十一條の二の「主務大臣は、調査会が制定すべきものと答申した工業標準の案がすべての実質的な利害関係を有する者の意向を反映し、且つ、その適用に当つて同様な條件の下にある者に対して不当に差別を附するものでなく、適当であると認めるときは、これを工業標準として制定しなければならない。」この條項によりまして主務大臣が認定いたすわけでございますが、もしこの認定に満足できないというものがあります場合には、今度は公聽会が開かれることになつておりまして、十八條の二の方で調査会または工業標準に実質的な利害関係を有する者は、前の大臣の認定について疑義があります場合、公聽会を開くことができるというような手続になつております。
#40
○川上委員 それが何にもならぬのです。公聽会というものを今まで開かれておる。これは開かれなければならぬわけですが、これは聞き置くだけであつて、実際は政府はこれを取上げたことはない。たとえて言えば労働委員会でも公聽会では全部反対している。全部反対しているけれども一つも採用されておらぬ。公聽会というものは逃げ道であつて、なつてはおらぬ。またここのところで工業標準調査会というものは学識経驗ある者と、関係官廰の職員できめてしまうのである。こうきまつている。これが武器なんである。これに全部お手盛りなんである。口では中小企業を入れるとか何とかおつしやるけれども、これに入りつこありはしないのです。それでこれはいいかげんなことになつてしまう。省令でやるというけれども、省令にどんなものを出すかわけがわからぬ。ろくなものしか出さぬにきまつておる。とても中小企業の意思を反映するような省令を出したためしがない。ことに今の内閣はそんなことをなさる心配はない。それほど重要なものであるならば、なぜこれを本法に入れないか。本法を見ますと、結局決定権を持つておる者は、通商産業大臣が委嘱するところの学識経驗ある者と各省関係の職員です。これがもうほんとうの権力を握る。これが調査会です。こういう規則は、御答弁とは非常におかしい。この点は一体どういうことですか。
#41
○横山政府委員 ただいまの御質問まことにごもつともと存じますが、これが非常に簡單になつておりまして、たしかにただいまのような御意見があると存じます。実際工業標準と申しまするものは、あくまでも産業の実体に朗しましたリアルなものでなければならないということと、それからそれに関係しております自主的な利害関係者が参加していなければならないということは、日本だけではございませんので、各國とも原則的な問題でございまして、当然工業標準調査会のもとにおのおの規格を制定いたします委員会をこしらえまして、その構成は必ずそういう実質的な利害関係者と、それから研究面が十分に誘導されますために必要な試驗研究のような、非常にデイペンデントなエンジニヤー、それから行政面との関連がありますので、行政機関の人たちが必ず参加いたします。行政と試驗研究、産業と使用者の方、これだけの四つの協同によりまして問題が檢討されまして、これが全体として一番いいのだという協定に基きまして、工業標準がきまることが原則になつておりますが、この委員の問題は非常に簡單になつておりまして、確かにご指摘の通り不備だと思います。
#42
○川上委員 この工業標準調査会に非常に大事なものですが、ここに今御答弁になつたような技術家その他が必要があるとすれば、これはやはり官廰の職員ではいけないのじやないか。各会社に技術員がおる。議会関係者の中にも技術員がおる。役所の技術員よりこの方がほんとうのことをよく知つておる。これが一つと、いま一つはこういう形で、たとえば省令で多くの人の意見を聞くと言いましたが、多くの人の意見を聞くということは独占資本の意見を聞くということである。これは石炭協会の形を見ても明らかである。決して中小企業などの意見を聞きはしない。これが独占資本吉田内閣の本質だ。このことについては実際どうお考えになるか。口では中小企業も聞くと言われますが、こんなことをしたためしが今まではない。当局の方は政治的にはうまいことを言われますが、実際にはなかなか中小企業の意見なんかは聞かれぬと考えておられるに違いない。ここだから言えぬのかわからぬが、ひとつ正直に言うてもらいたい。
#43
○横山政府委員 ただいまの御質問の第一段の政府職員というのは、政府職員に違いないのでございますが、前の産業界の、たとえば技術家の方などは全部学識経驗という名前で出ておる。これは不備でありますが、実はこういう委員会の習慣に從つたわけであります。それから実際において中小企業などを尊重しないのではないかとおつしやいますが、議案の制定される限りにおいては、過去においても中小企業の意向ができるだけ反映するような努力を私どもいたしております。ただ一番困りますのは、特に小企業につきましては、これを代表するような機関が從來備わつていない場合が多いのでありまして、今度中小企業の協同組合等が発達してこの点が非常にやりよくなつたのですが、今後も正直に申しまして必ずそういう点は注意して、十分反映するようにいたしたいと思います。
#44
○川上委員 その点については非常に考えの相違がございますけれども、しかしこれ以上御答弁を願つてもしかたがないから、この程度で打切ります。
 第十二條に、利害関係人とありますが、この利害関係人はどういう範囲ですか。
#45
○横山政府委員 十二條にございます利害関係人は、およそ工業標準化の発展のために関心を持つておる人は、全部この場合は入ると思います。あとにほかの條で、実質的な利害関係人と書きわけておりますが、これは工業標準によつて直接利害に影響をこうむる人でございますが、十二條の利害関係人は、たとえば楽器協会のような技術團体も廣い意味で入る、そういうふうに御了解願います。
#46
○川上委員 外國のパイヤーは入りますか。
#47
○横山政府委員 入り得ると思います。十分研究しておりませんが……。
#48
○井上政府委員 外國のバイヤーからこういう案を提出した場合に、それを入れるかどうかという問題でありますが、外國のバイヤーの提出する案というのは、大体今までの例によると、向うの規格が列記されるだけであります。從つてその規格については、こちらの方で初めからそういう外國の協会あるいは調査会と密接に連絡いたしまして、文書のとりかわしも現在すでに始めております。それによりまして向うの状態を調査して、そういうことのないようにして行きたいと思います。
#49
○川上委員 りくつはそうなりますが、実際はこの問題はなかなかそうならないと考えますが、この質問はこの程度にいたします。
 それから規格の範囲が非常に廣い。先ほども質問がありましたように、生産の方法から、使用の方法、作業の方法、包裝の種類、性能から包裝の方法まである。そのほかあらゆることがきまつておる。たとえば使用方法というようなものは非常に廣い。この規格の使用方法以外に、使用したら非常によく行くということがあり得るとしたら、それをやつておつた場合に、第二十三條によつて調べたら違つておつた。そこで指定製品の発賣を停止する。二十三條によるところまで行くのですが、使用方法を間違つたら、その商品の内容がよくても発賣をとめることができるものですか。
#50
○横山政府委員 そういうことで発賣を停止することはないと存じます。この法文によつては、それはできないしまたあり得ないと思います。
#51
○川上委員 法律上できるかどうか。
#52
○横山政府委員 十九條のようなものは、もつぱら生産品でございまして、その取引の対象になるようなものでございますから、使用方法などの規格について十九條が適用されるようなことばございません。そのほかにつきましては、規格が強調されます場合のものは、安全とか衞生の立場から、ほかの取締規則に規格が採用された場合にだけそういうことが起りましようが、この法律の範囲内ではできないと存じます。
#53
○川上委員 次にはこの法案を制定した結果の問題になりますが、これについてひとつ御見解を承りたい。こういう法律をつくつて一体今の日本の生産状態に合うかどうか。御説明によると、この標準化の法律によつて規格が促進されるし、日本の生産そのものがいいコースに乗つて來る、こういう御説明であつたのですが、今の実際の日本の生産状態そのものから考えて、こういうものが一体いるものかどうか。たとえて言えば、電氣通信機の檢査を非常に基準を引上げられて最近やつておられる。これは電氣通信機の問題ですが、これには通信研究所内に対策本部を設けられて嚴重に檢査をしておられる。これはこの法律と関係が直接あるのじやないということになるかもしれませんが、考え方は同じであります。この結果安立とが東洋通信、沖とかいうところは不良品が続出して、工場閉鎖の危險に陷つておる。これは事実なのであります。この電氣通信機の檢査の基準の引上げによつて、中小企業だけじやなくして相当大きな企業が非常に困つておる。労働者が非常に困る。のみならずそこの附近の全住民が、その工場が隆々発達しないために非常に困つておる。こういう事実がある。これは現実であります。また一方においては、これは鉄鋼ですが、輸出用のパイプの規格ができておる。この輸出用パイプというのは、六インチ管で長さ六メートル以上の規格と八メートル以上の規格がある。八インチでは八メートル以上と九メートル以上と十メートル以上の規格があるのでありますが、これがために今年の三月十五日のデーターを私は持つておりますが、それによると製品二百八十本のうち二百二十五本が不合格になつておる。それで大体三月中に、毎日の製品で五〇%以上か全部不合格だ。このために鉄鋼輸出用パイプの生産に非常に困つておるのが一つ、いま一つは、これは規格外製品として、これの厖大なるやみ流しが出ておる。しかしやみ流しの方はこの場合重要ではない。はねられたら金が入らない。こういうような非常な矛盾がここに出て來ておる。こういう場合にこの規格を非常に急いでおつくりになる――。りくつを言いましたら、こういうものはあつた方がよろしいというが、りくつは幾らでも立つのです。これはりくつなのである。現在日本のような状態においてこういうものを急いでおつくりになる。このことがほんとうに日本の民族を復興し、日本の民主を安定するような、産業の発達を期するゆえであるかどうか。この点についてどうお考えになつておるかということをお聞きしたい。
#54
○横山政府委員 ただいまの御質問の第一段の問題につきまして、まずお答え申し上げますが、今の時期においてこういう法律をつくつて標準化を普及することが妥当であるかどうかという御質問に対しましては、日本は工業標準化という問題に対しまして、産業界におきましても、これは中小企業が多いせいとも存じますが、非常に普及が遅れておりまして、これに対します理解あるいは協力――と申しましてもむしろこれは企業体自身当然必要な問題でありまして、古い時代の工業経営ではもちろんいけないのでございますが、少くとも諸外國の工業に競爭いたして行きますためには、工業標準化に一段と促進されなければならないと考えております。特に日本は長い戰爭の間の外國との情報交換が遮断されておりましたために、このたび諸外國との情報が交換されてみますと、この点につきましての日本の工業は著しく標準化の面で立ち遅れておるような情報を、私どもは聞いておるような次第でございます。それから過去におきましては、その手続を民主的に運用いたしますことがその線に沿つていたわけでありますが、成文化されておりませんためにとかく公正を欠いておるおそれがあつたのであります。今度はこの法案によりまして、その点が確保されまして、実質的に利害関係のあります関係の人々が、みずから自分のために有利な、しかもそれに國民経済全体の立場で当然あるべき工業標準というものが整備されまして、その整備されました規格に基きまして、各産業、企業体がその規格に合つた製品をつくる生産努力をいたすことになると存じます。そういう意味でこの法案は現在の工業がことごとく新しく組みかえられまして、日本の新しい戰後の工業を組み立てて行く段階におきまして、最も重要な問題であると解釈いたしております。
 それから第二番目の御質問に対しましては、おそらく御質問のございましたものは輸出品に対します輸出檢査の問題だと存じますが、これは外國品と競爭しなければならないという非常に冷酷なと申しますか、嚴酷な競爭に打勝たねばならないという一つの現象が、非常に好ましくない現象ではございますが、それが起つたのではないかというふうに感じております。輸出品を出しますためには、輸出品取締法によりましてどうしてもものによりますと最低基準、そうでないものは等級標準をきめまして、檢査されなければならない状態になつておりまして、輸出品取締法に基く規格はもちろんわれわれの方で從來もつくつておるのでございます。從つてその規格が不当である場合には、これにあらゆる機会にその規格を改正しなければならない。再檢討されなければならないと思うのでございます。今の御質問がございました問題につきましては、規格がそうでございましたら、われわれといたしましては至急に調査して再検討いたしたいと考えております。
#55
○川上委員 どうも政府の答弁というものは、実にその要領を得ぬのが非常に上手な答弁らしい。まつたく要領を得ぬ、言葉の上ではまことにりつぱな答弁でありますが、実際においては少しも答弁になつておらぬ。大体これは全部の製品をことごとく輸出に向けるのじやないか。通商産業省をつくつて飢餓輸出を強行する。これが政策である。つまり輸出が目的なんです。われわれはもちろんこれに反対しておる。反対しておるが、全日本の工業は輸出に持つて行こうとしておる。だから輸出の問題は別だというのではない。これが問題なんだ。これは標準を合せるに違いない。そうではないと言われるだろうが、必ずこれはそうなるに違いない。また外國と競爭すると言われますが、今は競爭状態に入つておりません。今度の為替レートというがごとき、これはノーマルなレートではない。その價格というものに與えられたる價格である。何も競爭できまるものじやない。そこで競爭上必要があるからとおつしやいますが、外國との競爭が行われておるわけではない。また近き將來に行われるだろうということはお考えになつておらないと思う。從つて規格に政治上頭から持つて來られるものに違いない。そうすると、輸出問題は切り離すことができない。輸出の規格が合わないようなものをとんとんつくつてどうするのか。それを國内に向けるかと言えばそれはしない。こんなことをしたら資材をくれない。資金を確保してくれない。こんなものはつぶしてしまつてもよいということになる。そうすると輸出に向く規格でなければならない。標準法をおつくりになる目的がそこにある。そうすると私が今質問いたしましたような問題が必ず出て來るわけです。だから中小企業には一つも影響はあり得ないなどということは全然言えない。このことは明らかなんで、そこで私はこれについて質問したいのですが、この法案は一見合理的に思われるようなかつこうをとつている。しかしほんとうの日本の産業の状態を当局がごらんになるならば、今日の産業の状態がいかなる状態になつておるかということはわかる。施設に摩滅している。戰後の長い間の独占資本によつて、全体の施設は決して復旧はしておらぬ。特に古い施設を使つて、ありもしない資材を使つて、苦労してやみなんかでやつておる。施設は非常に荒廃しておる。資材の品質はきわめて惡い。この惡いということは、鋼材にしても石炭にしても同様に惡い。そうして不均一である。それから製罐機械のごときはきわめて古い。粘結性の石炭は不足である。実際は不良コークスを使つているが、輸入炭の品質は惡い。日本で使う人間はこう言つておる。それから平炉のれんがの質が非常に惡い。インゴツトに溶け込む。こういう状態で生産しておる。こういう生産をしておる時分に規格をつくつて、規格に合せると言われるが、合せる金が一体どこから出るか。生産資金はないじやありませんか。
 本年に全額でたつた八百五十億と言つておる。こんなもので石炭その他の生産資金にまわすというても出るはずはない。資材はどこから來る。これもありはせぬ。この時分に規格に合うようにかえて行けというようなことは、実にむごたらしい。実に日本の民族産業に残忍酷薄な問題をあてがうものです。なぜこんなことをするか。これは輸出なんだ。われわれの考えでは外國の規格に合わるに違いないのだ。こういう性格をこの法案は持つている。こういう点について、一体どうお考えになりますか。
#56
○横山政府委員 ただいまの御質問にございました、ことごとくが輸出であるから輸出で逃げては困るということにつきましては、輸出の問題であるとして逃げるつもりは全然ございませんし、たしかに最終製品は非常に多くが輸出に向けられると存じます。しかし工業標準化の問題はあくまで技術の問題でありまして、最終製品としての工業製品ができますまでには、原材料の生産から、あるいは資源の開発からということになるかもしれませんが、体系的に技術の問題がございます。工業標準化の対象は、單に最終製品の規格をきめますだけでございませんで、その生産の全工程を通じまして、その中にある技術的問題を合理化して行くことが目的でございます。從つてこれはほんとうに科学的に技術的にこれをやつて参ります場合に、生産が全然できないような、條件を無視して飛躍した製品規格ができるはずは実はないと考えております。もし誤つてそういう規格ができておつたとすれば、それは非常な間違いを犯したことになりますので、この法案の精神あるいはこの運用に関する限り、当然原則といたしましては、縦の各段階の技術というものは相互に関連がございまして、おのおのの段階において標準化が実施されなければならないと考えております。もう一つは、日本はたしかにあらゆる惡條件がそろつておりまして、その惡條件の中でいかにして技術的にこれを解決して行くかということが、日本の工業標準化の眞劍にやらなければならない問題だと思います。規格を定めます場合は、必ずそういう問題が檢討されるわけでございまして、技術的に解決できる面はできるだけ解決して行くという建前が、日本の工業標準化の中では大きな役割をして行くのではないか、そういうふうに考えております。
#57
○川上委員 どうしても政府の答弁はなつていない。この規格の中には品質もあれば全部ある。ところでこの規格、工業標準化をやろうとしているが、今これと同じことが石炭に出ている。石炭をごらんなさい。四千カロリー以下みなやめてしまおうとしている。これが規格なんです。これが標準化なんです。四千カロリー以上のものは規格に合つているから、これは生産している。四千カロリー以下は統制のわくからさえはずしてしまう。こういう炭鉱はつぶれてもいいというやり方をやつている。これだけではありません。例をあげれば幾らでもある。石炭にいたしましても、大手筋のA級にはその所要資金の九〇%、B級には一〇%、C級には一つもやらない。これはこの法案の性格と同じだ。これは規格から來ている。またメリツト制を強行する。これもまた規格である。このことを必ず全部の鉱工業にやる腹であるに違いない。この点については実は商工大臣に徹底的に聞きたい腹を持つている。もつともこの点は政府の答弁を聞いたところで、役に立たぬかもしれぬ。そうでありますと、政府委員が言つたら首になるかわからんから、これはなかなか言いはしない。しかし腹の中では、これはわかるに違いない。そこで結果はどうなるかというと、石炭では大手筋が残る。ほかのところでは独占企業だけが残る。この規格に合うような生産をするものは独占企業だけだ。ほかのものはやられてしまう。この大きなものが小さな法案、工業標準化法といういかにももつともらしい法案の中に出て來ておるということは明らかだ。これが正しい解釈なんです。この点についてもう少し誠意のある御答弁をお願いしたい。この法案は、ほんとうに日本の民族産業の発達のために必要だと思つてお出しになつたのか。そうも思わぬけれども、どうもしようがなしに出したのですか。どうです。
#58
○井上政府委員 私どもとしては、こういう規格をつくることによりまして産業を助長し、また輸出を盛んにするということが骨子であります。從いまして今お話のような氣持は毛頭ないのであります。ことにこの工業標準をきめますことによりまして、國際間の連関性ができて参ります。先ほど外國の標準の問題をお取上げになつたのも、多分そうだと思うのでありまして、外國と取引する以上は、この標準によつてやつたのだということがはつきりいたしますれば、向うの買う方も非常に楽になる。またこちらの製品を出すのにも都合がいい。こういうことを考えまして、先ほども横山政府委員から御説明申し上げましたように、輸出を別にするというような考えもありませんし、結局輸出を盛んにし、産業を盛んにして、そうしてできるだけ日本の再建をやつて行きたい、こういうふうにかえている次第であります。別段何もほかに考えているわけではありません。
#59
○川上委員 政府の答弁はその通りでありますから、これ以上の私の質問は打切ります。御心中は推察いたします。
#60
○福田(一)委員 工業標準化法に直接の関連はございませんけれども、私は度量衡の問題について一言御質問いたしたいと思います。終戰後量目に対する正義観念というものが非常になくなりまして、たとば炭にしてもその他の品物もそうでありますが、四貫俵が三貫五百くらいでも取引されているというような事態があり、われわれの生活の面で非常に不当な圧迫を受けている事実があるのでありますが、その原因を考えてみると、戰時中に度量衡の檢査を行わなかつたということである。終戰後は賣つてさえもらえばいい。買う者が頭を下げて買うというような、やみの横行がはなはだしかつたというようなことや、あるいはまた不良な度量衡が氾濫しているというようなこと、いろいろ原因はあるでありましようが、この際われわれといたしましては、どうしても度量衡の問題を戰前に引きもどし、さらにまたわれわれの念願する平和國家をつくる上においても、もう少しこの問題を大きく取上げて行くべきものであると考えているのでありますが、政府はこの問題についていかようにお考えになつておられるか、お伺いいたしたい。
#61
○井上政府委員 ただいまの度量衡のお話は、工業標準化法とは少し離れていると思いますが、度量衡の檢査は戰時中もやつているのであります。ただお話のように、それに対する人間の良心の観念が薄れたというようなことで、いろいろな不良品が氾濫しております。不良品の氾濫についても、その取締りの問題は各地方廰に委任してありますので、そちらの方で取締ることになつておりますけれども、取締りがやはり手薄になつているような点があるのだろうと思います。お話のようにます目が足りないというようなことは、よくわれわれも聞いておりますが、それはまた物が足りないところへもつて來て、良心の欠陷という問題があつてそういうことになつておると思います。度量衡の檢査というものはこれをますます拡充いたしまして、私どもの方でもそういう点のないようにして行きたいというふうに考えまして、現在行政整理の際でありますけれども、むしろふやしても、一員も整理していないという建前であります。
#62
○福田(一)委員 その場合において販賣業者が店頭に立つておるところの度量の檢査をされておりますか。
#63
○井上政府委員 それは直接関係しておりませんから、度量衡法の改正をしておりますが、改正後にどういうふうになるか存じませんけれども、現在ではそういう取締りは地方廰に委任いたしまして、地方廰のどちらでやるか存じませんが、そちらの方で発見しますれば、すぐ適当な処分をするということにたしかなつておると思います。
#64
○福田(一)委員 私の聞いておるところでは、このような取締りはあまり励行されておらないやに聞いておるのでありますが、ぜひとも政府においても、その点を十分御注意願いたいと考えるのであります。次に度量衡の生産指導の方針を承りたい。
#65
○井上政府委員 実は度量衡についての御質問があると思いませんので、その準備はしておりませんが、私の聞いておるだけを申し上げまして、それでごかんべんを願いたいと思います。度量衡の生産につきましては、これは機械局の所管になつておりまして、私どもの方は工業技術廰でありますが、機械局の方に願い出ますと、それによりまして適当の生産者であるかどうかを認知しまして、――たしか許可制になつておると思いますが、許可いたしますれば、それによしまして資材の配給をいたしまして、生産をしてもらうということになつておるやに聞いておるのであります。私当局でありませんから間違つておるかもしれませんが、その点あしからず御了承願いたいと思います。
#66
○福田(一)委員 先ほど度量衡行政については、行政整理に当つてもこれを減員しないというようなお考えであられることを聞いておるのでありますが、むしろ減員しないというよりは、この際増員してでもこの思想の普及並びに國民生活の標準化というか、規正をするというお考えはありませんか。
#67
○井上政府委員 お話のようにあまりたくさんの増員でもなかつたので申訳なかつたのでありますが、本年度は減員よりもむしろ若干でありますけれども増員をするというように拡張いたした次第であります。
#68
○福田(一)委員 度量衡の販賣は今免許制度になつておるとお伺いいたしたのでありますが、これからはだんだんと度量衡の生産もふえて來る。またふやして行つて、一軒に一つのはかりがあるというくらいにして行くべきものであると私は考えますけれども、販賣免許制度がありますために、なかなか買おうと思つても買えないというような不便が随所にあると思います。われわれがますを買うとか、はかりを買うとかいつても非常に不便な点が多いのであります。この販賣制度を自由販賣の制度に改められるお考えはありませんか。
#69
○井上政府委員 これは私所管外でございまして、お答えしてかえつて間違いますといけないので、この御答弁は機械局から参りましたときにお願いいたしたいと思います。
#70
○福田(一)委員 それでは今主管局長が見えておられぬようでありますから、私の質問はこれで打切ります。
#71
○澁谷委員長代理 これにて通告のありました質疑は全部終了いたしました。これにて本案の質疑を終了するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。質疑は終了いたしました。なお本案の討論採決は本日午後に行いたいと思いますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。本日午後に討論採決を行うことにいたします。
    ―――――――――――――
#74
○澁谷委員長代理 次に昨日に引続きまして地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、大阪工業試驗所四國支所並びに電氣試驗所新潟支所及び金沢支所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 この際お諮りいたします。本件は別に問題もないようでありますから、質疑及び討論を省略してただちに採決を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。ただちに採決を行います。本件に承認を與えるべきものと決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。よつて本案は承認を與えるべきものと決定いたしました。
 次に衆議院規則第八十六條による本件の委員界報告の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めまして、委員長に御一任願つたものと決します。
 これをもつて暫時休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時十三分開議
#78
○神田委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
 内閣提出参議院送付にかかる工業標準化法案を議題とし審議に入ります。ただいまより討論に入ります。討論は通告順によつて、これを許します。小金義照君。
#79
○小金委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本法案に贊成の意を表するものであります。工業標準化は鉱工業品の品質、生産能率の増強その他生産の合理化、取引の單純公正化並びに使用または消費の合理化をはかるための手段としては、最も効果的な技術的の手段方法であります。ただこの工業標準化を普及するに際しましては、中小企業をも含めて生産の技術水準の引上げに万全を期してもらいたい。また採択せられた諸般の工業標準については、國民大衆にも十分普及徹底せしめる処置を講じてもらいたい。これらの点を要望いたします。
#80
○神田委員長代理 今澄勇君。
#81
○今澄委員 私は日本社会党を代表して、この工業標準化法案に贊成の意を表するものであります。一國の工業水準は何と言つてもこれが標準をきめ、そうして規格を統一し、その國工業の発展に盡さなければならないことは同感でございます。ただ私は日本の現下の状態にかんがみまして、中小企業を圧迫するがごとき非民主的な規格の決定をすることは反対でございまして、あくまでも規格標準の決定にあたつては、民主的な方法により、これが妥当性ある決定をいたしていただきたいということを一言申し添えまして、贊成をする次第であります。
#82
○神田委員長代理 橋本金一君。
#83
○本橋(金)委員 本案には民主党として贊成をいたします。但しそれぞれ意見がありましたように、法律がいかに施行せられましても、結果は運営の問題でございます。ことにそれを誤らないために、規格の制定あるいはそれぞれに対する調査委員会が設けられることになつておりますが、特に調査委員会におきましては、各層の專門家をその構成員に求められまして、遺憾なきを期していただきたい。これを要望いたしまして、本案に贊成をいたします。
#84
○神田委員長代理 川上貫一君。
#85
○川上委員 私は日本共産党を代表いたしまして、この法案に反対をするものであります。反対の理由は、第一に終戰以來日本の産業は言うまでもなく独占資本の食い荒らしほうだいにまかされておつた、これが事実であります。歴代の内閣がまたこれを助長する政策をとつて來たのです。その結果実際において産業施設は非常に磨滅しております。主要材料は品質が低下しておる。政府の独占資本に対する莫大な補給金政策と相まつて、この事実はますます著しくなつて來たのでありますが、この政策がすなわち生産を荒廃させながら、國家予算を通じて莫大なる收奪政策を遂行する。この政策が今日での原点に達して、この方法をもつてしては独占資本の野望を全うすることができない段階に來た時分に、ここにいろいろな政策が出て來たのであります。その一つとしてここに鉱工業品の規格を統一して、その面から弱小企業を押える法案が出て來ておる。これがこの法案のねらいだとわれわれは考えておる。そこで第二にこの規格は根本において何を目標にしておるか。まず第一に輸出でなければならぬ。すなわち政府の全政策は今日輸出重点主義だ。しかもその輸出は実際において飢餓輸出である。その内容はここでは申しません。党はあらゆる機会にこのことを申しておるのでございまして、完全に飢餓輸出であるということは間違いない。そうするとこの規格は必ず飢餓輸出本位に決定されることは明らかである。これによつて助かるものは民族産業ではなく独占資本であることは申すまでもない。ことにここに注意しなければならないことは、第十二條によつて、利益関係人は原案を具して工業標準を制定すべきことを主務大臣に申し出ることができる。この申出があつた場合、主務大臣に工業標準を制定すべきものと認めたときは、この案を調査会に付議しなければならない。調査会はこれを討議いたしまして、実質的には利害関係を有する者の意向を反映せず、また同様な條件のもとにある者に対し、不当なる差別をせず、不適当と認めない限りは、これを拒否することはできない内容になつておる。法文にはこうなつておりませんけれども、しかもその上に利害関係人は何かという質問をいたしましたところ、それは國内及び國外における一切の関係人であつて、たとえば外國バイヤーのごときもこの利害関係人の中に入るという御説明であります。ここに本案の性格が鋭角的に現われておると思う。これについては、これ以上具体的に申しませんが、その本質が政府の買弁政策の鋭角的な現われであるということは、私が今申し上げました説明の中に現われておる。第三には本法案は独占資本以外の企業に重大なる影響を與える。これは現代の日本の産業状態の実情を反映しておらない。今日の実際の状態では施設はきわめて荒廃しておる。使用材料は非常に品質が低下しておる。たとえて言いますれば、鋼材の品質が不良である。機械は非常に古くなつておつて改められておりません。石炭の品質も非常によいとは言えない。独店資本は良質石炭をむしろ掘つておらない。そうして非常に品質も不均一だ。輸入炭の品質も決してよくない。その他施設の面、資材の面、あらゆる面において非常に不良な状態に陷つておる。このときに飢餓輸出を中心とする企業方針をどんどんとられて來たらどうなる。弱小資本はひどい打撃を受けることは明らかである。規格は統一せられないでもさしつかえないが、この規格に合うものにまず國家的な保護が行われることは明らかである。資材の面においても、資金の面においても、これが飢餓輸出と表裏一体するものであつて、これはまつたく今の日本の産業の実情には沿わない。こういうことを言わなければならぬと思う。もし政府において、日本の産業をほんとうに愛し、日本の現状を認識し、國民の生活を幸福ならしめるためにあらゆるものを生産しなければならぬという見地に立たれましたならば、今日急いでかくのごとき法案を提出なさる必要はない。まつたく裏側の法案を提出されておる。この法文の上ではまことに一見合理的に思われるように書き表わしてありますけれども、その根本的な性格においては、以上私が申し上げましたようなものを持つておるのである。これが今日政府が國内産業破壞の上に内外独占資本に奉仕し、飢餓輸出一点張りの性格がこの一つの小さな法案の中にも歴然として現われておる。二十四年度における予算、この予算の收奪政策、賣國的政策がこの一つの工業標準化という小さな法案の中にも歴然として現われておる。こういう立場において、党はこの法案に絶対に反対しなくちやならぬ。こういう考え方を持つておるのです。
#86
○神田委員長代理 永井要造君。
#87
○永井(要)委員 民主党を代表いたしまして、私は本案に贊成するものであります。産業の合理化並びに経済再建上欠くべからざるこの工業標準化法案に、まことに適切妥当なものと考える次第であります。ここに生産の増進をはかり、取引の單純公正化を期する意味におきまして、また使用の合理化等においても絶対にこれは必要な法案だと考えますので、全面的に贊成の意を表します。
#88
○神田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。引続き採決をいたします。本案に贊成の諸君の起立を求めます。
    〔贊成者起立〕
#89
○神田委員長代理 起立多数。よつて本案は可決せられました。
 この際本案の委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、街異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決しました。
    ―――――――――――――
#91
○神田委員長代理 次に配炭公團法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。本案につきましては昨日事務的な質疑を終り、商工大臣に対する質疑のみが留保されておりますから、ただいまより商工大臣に対する質疑を行います。小金義照君。
#92
○小金委員 この配炭公團法第一條に公團取扱いから除外される規定があります。その規定がうしろの別表第一に「第一条第一項の規定による石炭及びコークスは、左の通りとする。」ということが一から六まで明記してありますが、この列挙したものの中でやや明確を欠くものがあります。たとえば三の「微粉炭(沈でん微粉炭を含む。)」とありますが、これはカロリーがどうであるとか、灰分がどうであるとかいうことはわかりませんが、事務当局の説明によりますと大体取引の通念によつて定める、こういうことになつておりますので、これらはこれで了承いたします。その次の四に「発熱量四、〇〇〇カロリー以下の石炭」。すなわちこの公團取扱いに入れるかあるいは入れないかを、発熱量によつて区別しておりますが、発熱量だけで区別してはたして適当であろうかどうかということについて、多大の疑問を持つものであります、この点について、商工大臣に発熱量だけでよろしいかどうか、御意見を承りたいと思います。私はむしろ発熱量のほかに、わが國の石炭についてそれぞれ特徴のある灰分だとか、あるいは揮発分というようなものを考慮してお考えになつた方がよろしいのではないかと思うのですが、御意見はいかがですか。
#93
○稻垣國務大臣 今の小金議員の御質問、むろん灰分、揮発量その他を標準にして決定することはごもつともだと存ずるのでありますが、ただ一應の標準といたしまして、ここに四千カロリーという数字をわれわれは考えたのであります。というのは揮発量あるいは発熱量についてもいろいろそこに問題がありますので、一應標準として発熱量四千カロリー以下という数字をあげたことを、御了承願いたいのであります。
#94
○小金委員 御説明は一應ごもつともなように存ずるのでありますが、わが國の石炭事情から申しまして、元來ならば石炭の統制はきらつております。ところがいろいろな情勢の変遷から、今日の公團組織にまで日本石炭株式会社を経て進んで來たのであります。約十年この方日本では石炭の販賣組織というものはなくなつて來ております。公團の取扱いからはずされますと、あたかも自由な天地を與えられたように見受けられるのであります。自由経済になればもちろんそれを希望するのでありますが、さしあたつて金融の方面やまた販賣網の点から考えまして、ただちに、公團からこれを除くというころになりますと、生産者はもちろん販賣の手段に苦しみ、また金融並びに、その貸金の取立て等についても、幾多の問題を生ずるのであります。この点について政府は十分お考えをいただかなければならぬと思うのですが、大臣けいかようにお考えになつておりますか、承りたいと思います。
#95
○稻垣國務大臣 ごもつともの御質問と存じます。これにつきまして即時これを公團取扱いからはずすということでありますと、御説のように金融の面におきまして、あるいは販賣網の面におきまして、いろいろな支障が起きると存ずるのであります。その意味におきまして、これを公團からとりはずすにつきましては、四千カロリー以下のものについては、七月一日以降にしたいというようにとりきめたわけであります。
 なお金融の面についてのお話でありますが、從來公團取扱いによりまして、利息期間を除きますと、大体四十日から四十五日間の金融を、業者は受けておつたと思うのであります。そこで四十日から四十五日間、言いかえれば一月半といつたような期間をどうするかという問題でありますが、これが実は七月一日までに実施を延ばして來たゆえんでもあり、またこの間の金融につきましては、大体これを四千カロリー以下のものと、全体の煽石、無煙炭その他を合せますと、月に約十億弱であろうと存ずるのでありますから、一月中にすると十五億ということになろうと思うのです。そういつたような金融につきましては、政府においてもできるだけ便宜を與え得る方策を講じたいと考えておる次第であります。なおこの間におきまして、販賣網その他についても十分御検討をわずらわしたいと思うのでありますが、ただできるだけ公團の取扱いをはずすと同時に、いわゆる地域々々の産地における需要の喚起、あるいは地域々々における工業に特殊の低品位炭を向けるというような工作をすれば、いわゆる販賣の手数料あるいは運賃についても、業者にとつてに從來よりも非常によい立場に置かれるだろうと考えております。從つて割当という場合においても、こういつたものにその地域における需要に振り向ける。こういう形で割当の方策をとりたいと考えておる次第であります
#96
○小金委員 私どもは石炭の問題を研究して行く途上において、熱量を四千カロリーという標準において取扱うべきものか、あるいは取扱いからはずすべきものかを一概にきめることについては相当むりがある。從來の公團の取扱いについていろいろな段階があります。その等級あるいは等外別等を勘案いたしまして、私は從來の等級に入れたものと、等外と申しますか、格外と申しますか、これの境くらいをねらつて、九北炭については四千カロリー、そのほか常磐炭については三千七百、あるいは宇部炭については三千五百、こういうふうに三千三百から四千の間に適当な段階を設けて、その他はさしあたり取扱いからはずす。すなわち自由に近所に市場を見つけて、すぐ賣れというような取扱いでもいいが、今までの石炭行政のいきさつから見まして、その程度に線を引くのが私は妥当ではないかと考えるのであります。これらの点について、もしわれわれの意見がそこに帰着することになりましたならば、商工大臣はどのような態度をおとりにかりますか。たとえばそれは絶対に商工大臣として承服できないとおつしやいますか。その点をお聞かせ願えれば仕合せに思います。
#97
○稻垣國務大臣 今の小金委員の御質問につきましては、先ほども私申し上げましたように、そういつたような考え方もあり得ると存ずるのでありまして、ごもつともな説だと思います。ただこの標準をどうとるかということが問題でありますので、もし本委員会において多数をもつてそういつたような御決定に相なり、また本会議においてもそれが通過いたします場合においては、商工大臣としてはそれに対して別に異存は持つておりません。但しいろいろ関係筋との関係もありますので、なおこの点については檢討いたしたいと存ずる次第であります。
#98
○小金委員 商工大臣のお立場なり御苦衷はよくわかつたのでありますから、その次の問題に移ります。私は今回のこの改正法律案は、配炭公團を廃止することに数歩前進されたものと思つております。すなわち非常に早い機会において公團を廃止する。そうして石炭に生産者及び御賣商、小賣商によつてできるだけ銘柄別に、合理的に配給をして消費に向ける、こういう前提であることははつきりわかつております。そこでまず配炭公團の中の配炭局は比較的早く廃止されるように承知しておるのであります。そうすると提案の御説明の中にも約一万二千人ばかりの從業員があつて、この配炭局を廃止すると約五千ないし六千人が失業すると言われております今日において、いろいろな合理化の措置をとりますと失業者が出るのもやむを得ない。國民経済全般が生きて行くためには、また國民経済全般を構成するためにはやむを得ないことでありますが、失業者を出すことはきわめて痛ましいことであります。そこでこの配炭公團、特に配炭局に働く人たちを見ますと、おおむね石炭の販賣についてのエキスパートが多かつたのであります。ただそれが日本石炭株式会社及び地方石炭株式会社に吸收されて、今その業務を行つていない。すなわち資金のルートも絶えておるし、施設等もおおむねほかのものに轉用されてなくなつているはずであります。この際に私どもはこれらの配炭公團の職員の措置につきまして、あるいは生産者の販賣機構に吸收されるなり、あるいは販賣業務に民間人として仕事を見つけるというふうなことについて、十分お考えを願いたいと思うのでありますが、これに対して商工大臣はどういう御見解をお持ちになりますか、御説明を願います。
#99
○稻垣國務大臣 小金委員のお話の通りに、まずこの配炭公團はできるだけ早い機会において、これを全部廃止をしてまいりたいという考えをもつておるのであります。從つてその第一段といたしまして、機帆船にいたしますれば沖渡し、あるいは汽車にいたしますと貨車渡しという形になりますので、今後御賣業のあるいは小賣業の機構を至急に結成いたさなければならないのであります。そこでそういつたことをする場合に、説明のときに申し上げましたように、現在一万二千名の配炭公團職員のうち、配炭局に属しておりますところの約五、六千名、これはまだ正確な数字ではございません。これは統計事務その他に振り向ける面もあると思いますが、大体五、六千名の人はここに職を失うということに相なるので、これが措置につきましてはできるだけ商工省当局といたしましても、これの就職についてあつせんをいたしたいと考えておるのであります。その方法といたしましては、小金議員の御指摘に相なりました通りに、生産業者が直接つくりますところの支店と申しますか、販賣店と申しますか、そういつた方面へのあつせんを依頼する。あるいはまたそういつた大口の生産者でない人たちの共同の一つの卸賣業なりあるいは小賣業を結成する、こういうことが望ましいのでありまして、そういつたような小賣業あるいは御賣業の結成につきましても、商工省としてこれが援助あつせんをいたしたいと、かように考えておる次第であります。
#100
○小金委員 これは昨日事務当局から伺つたのでありますが、現在の配炭公團從業員がそこをやめまして、結集して御賣業を営もうといたしましても、生産業者のバツクがなければ、なかなか石炭御賣事業の運営はうまく行かない。だからそういうものには、許可制度になつた場合には許可しないでほしいという要望があります。同時にまたわれわれはかつてエキスパートであつたから、卸賣業務をさせてくれという申請もありますが、これらについては十分愼重なる態度をもつて、俗な言葉で申しますればうまく取扱つていただきたいと思います。ただ小賣業にいたしますと、地方には石炭商がなくてずいぶん困つております。ですからそういう経驗者で小賣業務を営むようた場合については、特に御留意を願いたいのであります。商工大臣に対しては大体同僚諸君の御質問もありますので、私はこの程度で打切りまして、経済安定本部の政府委員がお見えになつておりますから、むしろ経済安定本部の方に伺いたい問題がありますので、これをひとつお尋ねいたします。
 この配炭公團法を改正いたしまして、これを実施する場合において、七月一日までの猶予期間しか置かないようになつておりますが、これは今日から勘定しますと、すでに四十五日ぐらいしかないから、ただいま大臣のおつしやつたように、いろいろ政府当局としてはお心づかいをしておるとおつしやつても、これが法律になつて施行されたのちには、おそらく一月余りということになるかもしれません。そういうような場合には少し酷ではないか。この七月一日を九月一日として適当なところまで延ばすことはできないかどうか。経済安定本部はいろいろな他の産業政策との関係もありますので、その方から伺いたいと思いますが、いかがですか。
#101
○増岡政府委員 お答えいたします。御承知のように各物資の需給計画を樹立いたしますについては、大体四半期ごとにやつておりまして、ちようど七月一日というのは第二・四半期に入る切れ日であります。御承知のように石炭は格物資の基礎資材でありますので、格物資の生産計画を立てますのに、一番基礎的な割当をやつて行かなければならないのでありますが、その際に公團の取扱い、すなわち配当割当をするものがはつきりすることが、そのほかの資材割当をするものについて非常に重大な関係がありますので、これを公團の取扱いからはずす場合にはやはり期の初めからはずすことがよい。そうでなければ非常に割当上複雑な手続を要する結果にもなるわけであります。かりにこれを延ばすとすれば、そういう関係などを勘案いたしますと、さらに三箇月延ばさなければならぬことになりますが、そういうことになりますと、公團の手持ちの関係がさらに増大して行くことも考えなければなりませんので、法案の審議が多少遅れました関係上、現在では時間がないといううらみはありますけれども、先ほど商工大臣からお話もありましたように、一箇月半ほどの間にぜひ準備をしていただいて、七月一日からこれを解除する方がよいというふうに考えております。
#102
○小金委員 これはまさに法案の審議が遅れたのではなくて、法案の提出が遅れたのであると訂正してもらいたいのであります。事務当局あるいは経済安定本部としては、切りかえることは非常に困難であるということをはつきり言われますが、この点をもう一つお願いしたいと思います。
#103
○増岡政府委員 法案の審議ではなくして、提出が遅れまして、そういう結果に事実上なつておるのでありますが、やはり先ほど申し上げましたように、これを切りかえることは不適当だと考えます。
#104
○神田委員長代理 岩川與助君。
#105
○岩川委員 きのう事務的のことは事務当局にお尋ねをしましたが、今ちようど私もお尋ねしたいと思つておりました金融問題については、一應大臣のお話を伺いまして了承いたしたのであります。御案内の通りに今度の四千カロリー以下のせのをはずすということは突然のことであつて、業者としてはこの短い期間に整理をし、さらに事業を継続して行くことは非常に時間的に困難が伴うと思うのであります。どうかその点については特別の御配慮を願いまして、業者が混乱せずに、またこれ以上の混乱をきわめずに、次の業務をやつて行けるような金融措置を一つお願いいたしたいと思います。
 それから今も小金君からお話がありました四千カロリーの場合には、從來の事実によりますとやはり常磐が三千五百から三千七百、宇部が三千五百というような程度でありますが、その点特に御心配いただきまして、小金委員から御注文申し上げました通り三千七百あるいは三千五百というように御変更をお願いしたい。それからその次に公團の取扱いをはずされるなら、販賣を自由にさしていただいた方がよいのではないか。その点販賣を自由にさしていただくことができるのかどうか伺いたいと思いす。
#106
○稻垣國務大臣 この公團の取扱いということと需給の割当規則とはおのずから別個なものでございまして、割当の制度をはずすかどうか、あるいは價格の統制をはずすかどうかという問題につきましては、これは実際問題として割当並びに價格というものについては、なお統制のわくをはずすわけには行かないことになると思います。ただ問題は先ほどもお答え申し上げましたように、その割当に際してできるだけ地域の需要、現地の需要というような面に対する勘案をいたし、そうしてむしろはずされたことによつて利益を得られるというような方策を講じて行きたいということを、御了承願いたいと思います。
#107
○岩川委員 これをはずしますと、すぐにあとに残りますところの復金の融資関係の問題が生じて來ると思いますが、この復金融資の関係はすでに返済の期限もぽつぽつ到來して來ると思うのですけれども、その点について何か御考慮しておられるかどうか伺いたいと思います。
#108
○稻垣國務大臣 ただいまの御質問でありますが、私御質問の趣意がはつきりいたしかねますけれども要するに復金の融資に限らず、融資についての問題とこの問題とは直接関連がないものと存ずるのであります。なおおそらく今の御質問はこういつたつまり過渡的な措置をしている間において、復金の融資期限が來たということでは困るという意味のお話じやないかとお察し申し上げるのでありますが、それにつきましてはなお先ほど申しましたように、金融的にそういつた問題も考慮の中に入れて十分研究さしていただきたいと思うのであります。
#109
○岩川委員 大臣に対する質問はこれで打切ります。
#110
○神田委員長代理 今澄勇君。
#111
○今澄委員 この配炭公團の一部改組に関する法律案につきましては、いろいろ代表の業者の意見あるいは委員会における質疑において大体明らかになりました。私は商工大臣にお尋ねしたい二点を残しておりますので、この二点をもつて質問を終りたいと思います。
 第一点は今の日本の石炭配炭業務において、大体公企業がいいか私企業がいいかという問題があると思います。私は日本の統制経済がどのようなあり方を示すかということによつて、このような公團なり公社なりの組織の根本問題が考えられなけれげならぬと思うのでありまして、少くとも日本における公團組織を全般的に一体どういうふうに持つて行つたらいいかという大きな構想と規格の上に立つて、その一環として配炭公團の問題が考えられたものであるかどうか。それらのものとは別個に、ただ配炭公團は現下の石炭の生産需給並びに新しく発生しつつある九原則、その他いろいろの点から切離して考えられたものであるかどうか。この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
#112
○稻垣國務大臣 ただいまの今澄委員の御質問にお答えいたします。私は今例示された両方の場合であると申し上げたいのであります。
 第一にはできるけけ公團組織は廃止いたしまして、言いかえれば統制というものは、一面日本の戰後のまだ秩序が立ぢません時代の経済界においては、こういつた手続が必要であつたと思いますが、少くとも経済が旧に復するに至つております今日におきましては、できるだけ自由な形において取扱いをいたさせたいと考えるのであります。從來ありました御賣業者あるいは小賣業者をこの際復活することは、一面におきましてまた失業対策にも相なると考りえておるのであります。
 第二段におきましては、根本的にはさように考えるのでありますが、今申し上げました低品位炭を除外するという問題につきましては、いわゆる今澄さんが御指摘になりましたように、需給関係その他の点を勘案いたしまして、むしろ早きにわたつてこれをとりはずす方が、業者にとつてもなお利益であろうと考えたわけであります。
#113
○今澄委員 質疑でございますから私の見解を申し述べることはやめます。そこで第二点としては今一歩も二歩も譲つて、現下の経済情勢のもとにおいて配炭公團法の一部が改正されたとしても、この法案には二箇所の何人も納得し得ないところの大きな誤りがあることを指摘いたしたいのであります。
 第一点の誤りはいわゆる四千カロリー以下で打切つたことは、小金委員からの質問にもありますように、わが國石炭界の実情に詳しき者ならば、何人がながめてもこれは日本の現状を知らざる者が裁定を下したところの案としか思われない節があるのであります。それから第二点としてこれも指摘せられて済んだことでありますが、七月一日を期して行うということは、これまたわが國の現在の状態とこの法案の提出月日から考えてみますならば、これも何人が考えても了承できないところであろうと思います。商工大臣の御意見もわかりますが、私は敗戰下にある今日、日本の國民が希望するところのものが占領政策下において全部達成せられようとは思われません。さりながらこのような國民の生きて行く上に眞劍にして妥当性のある、わが國産業界のあらゆる面から見ましても、これが適当であると論断せられるところのものは、私は國会の商工委員会の権威とそうして國民の信頼に対しても、これを断固として修正してやるこが、最もわれわれの任務達成の上の重大な責任であると考える次第でありまして、私はどのようなことがあろうともこの二点については、最後までこれを貫徹する決意をいたしておる次第であります。そこで私は商工大臣に、この二点についてもしこの商工委員会において訂正を加えるとすれば、小金委員からも質問がありましたが、これに対して政府においても御協力くださる意思があるかどうか。われわれは立法府であるから立法府において行政府の大臣にこれを実行させるだけでありますが、この際あわせて大臣としてはどういう見解であるかということを、もう一ぺん重ねて伺つておきたいと思います。これで質問を終ります。
#114
○稻垣國務大臣 ただいまの今澄議員の御質問は、先ほど小金委員に私がお答え申し上げました通りでありまして、純発熱量四千カロリーといつたような標準がはたして妥当であるかどうかという問題について、委員会において御議論がありまして、適当な一つの標準をおつくりになるという場合において、委員会がこれを御決議なされ、本会議においてもそれを通されるということでありますれば、私どもといたしましては先ほど申し上げましたようにこれに対して異存はございません。ただ関係筋との問題もありますので、この点について十分お打合せを願いますならば、それによつてわれわれは行動をいたしたいと存じておるわけであります。
#115
○川上委員 関連してちよつと商工大臣にお聞きしたい。商工大臣の答弁はいつもぬけぬけしい。このことはたびたびこの委員会で言つておる。今御答弁になつたところによると業者の利益になると言われたが、どういう利益になるのか。業者は非常に騒いでおる。この業者とはどういう業者をさしておるか。これが一つ。第二点は失業救済になると言われるがこれは非常に驚くべき答弁だと思う。公團を廃止して今のようなことになると公團の職員はどこへ行く。どこで失業救済になるか。いつも商工大臣はのうのうとした実にぬけぬけしい答弁をする。今後共産党が質問をすることになつておりますが、まずこの点を聞いておきたい。そうでないといつまでも商工大臣はほんとうにぬけぬけしい答弁をしてしまうに違いない。失業者は一体だれが救済するか。これは明らかにしてもらつて、それからだんだん共産党の質問に入りたいと思います。
#116
○稻垣國務大臣 ただいまの川上さんの御質問にお答え申し上げます。川上さんからぬけぬけといつも答弁するとおしかりをこうむつたのでありますが、私はぬけぬけ答弁しておるつもりでもないのであります。ただ私が申し上げましたのは今の需給関係におきまして低品位炭が特に需要が少い。しかして公團の手持がだんだんふえる情勢にある一方である、こういう情勢にあるのであります。そこでこうなるといわゆる低品位炭の業者の問題が、ここに大きく浮び上つて來ると思うのであります。そこで地域的にたとえば宇部なら宅部地区においては、主として低品位炭をもつて工業を起しておる地区であります。そこで現地におけるところの低品位炭の需要はむしろ他の地区と違いまして、それぞれ工業設備がそれに適するようにでき上つておりますので、そこへ向けることになりますと運賃の面におきまして非常な利益になります。また現地でさばくのでありますから、今まで公團に拂つておりました手数料がなくなりコストが安くなる。そういう意味におきまして私はある業者にとつてはそういつた地域を目的として考えるならば、利益になると申し上げたのであります。業者の方のお困りになつておるのはこういう問題にあらず、結局は先ほど申し上げました通り公團取扱いがはずされることになると、從來公團は約二箇月の金融をいたしておるのであります。公團の手において業者のために六十日の金融をいたしておる。その金融がなくなるということが大きな問題であります。その大きな問題につきましては私はごもつともであると思います。それで先ほど申し上げましたように低品位炭ばかりではありません。ほかの●石炭、無煙炭も入れまして大体一月半と見て十五億ぐらいになるのではなかろうか。それについてできるだけこれに対するところの便宜を與えるような考慮を拂いたいということを、先ほどどなたかの御質問に対してお答え申し上げたのであります。
 それから失業の問題でありますが、これは川上さんのお聞き違いではなかろうかと思います。公團の職員が一万二千名あるのが、わくをはずして現地渡しにいたしますと配炭公團の人たちが五、六千名失業される。それに私が申し上げたような御賣あるいは小賣業者に轉換していただいて、その失業をわれわれは救済できるのだと申し上げたわけでありますから、その点は誤解のないようにお願いします。
#117
○神田委員長代理 聽濤克巳君。
#118
○聽濤委員 改正案という名前に至つてやさしいが、中身を調べるとなかなか恐ろしい内容を持つている。特に四千カロリー以下を統制からはずして行くということの問題がありますし、それから新しい販賣機関をつくる。それから結局公團は將來廃止して行く。それに伴ういろいろな人員整理の問題と失業の問題がある。大体三つの主要な特徴を持つておるのであります。これらの点について御質問をいたしたいと思います。
 今度の四千カロリー以下を統制からはずすということにつきましては、前からの質問に対するお答えもあつたようでありますが、政府の説明を聞きますと、大体需給関係がだぶついて來ておるということを大きな理由にされておる。ところで一体これは現象としては確かにそういう状態が出ておることは、私もかねて聞いて知つておりますが、一体これに実際需要が減つたからこういう関係になつたのかどうか。その点をまず第一にお聞きしたいと思います。
#119
○稻垣國務大臣 需要が減つたと言えば、低品位炭に対する需要が減つた、かように見てよいと思うのであります。大体終戰直後のころには御承知のように石炭の生産が少くて、各方面でひつぱりだこでまるで半分泥が入つておるような石炭も各地で消費された。亞炭も大いに利用されたのでありますけれども、最近におきましてはだんだん石炭の需給がマツチしかけて來たので、自然まず石炭の需要者といたしましては高品位炭のものを要求する。これに低品位炭よりも運賃において第一もうかる。高品位炭は低品位炭よりも少量で済む。こういう点から高品位炭に対する需要がまず第一に考えられる。そこで低品位炭はだんだん残つて行く、こういうことであると思うのであります。もう一つの原因は、公團で扱つておる関係上割当をやつておる。そこで先ほど申し上げましたように、近地でこういうものに対する設備ができているにもかかわらず、高品位炭がそこへ行く。そうして低品位炭はごめんこうむるということになつておる。そういつた諸種の事情が固まつて低品位炭がふえておるということが言えると思うのであります。
#120
○聽濤委員 公團でどういう操作を実際にやつて來ておるか、私は素人でよくわかりませんが、公團では計画的に配炭する建前でやつて來ておる。公團についていろいろ世間の批評も聞いておりますが、しかしながら実際に必要とする炭を必要なところへ配つて行くことは、やはりよかれあしかれ計画的な配炭がなければ実際うまく行かない。これを普通の需給関係でやつて行くとすれば、それこそ実力のあるところに一方的に固まつて行くことは当然であります。要するに需要が実際減つて來ておるという答弁だと思います。ところでその低品位炭に対する需要が実際減つて來ておることを政府が主たる根拠として、四千カロリー以下の石炭を統制からはずそうとしておるのでありますが、一体それならばこの需要をどういうふうにして政府では測定されるのか、それをお伺いしたい。
#121
○稻垣國務大臣 ちよつと御質問の趣意は、低品位炭の需要はどういうふうにして査定するか。結局公團の割当も引取り手がないというようなことでも残つておるのでありますから、それがおのずから一つの尺度になると存じておるのであります。ただはずすことによつて、たとえば現地においては業者の方が、自分のいわゆる販賣意欲によつて現地において現地需要を満たす。しかもそれで利益が出るところへやや運賃においてももうかる。あるいは販賣手数料においてもうかる。そういう意欲によつてその地域に対する需要を喚起するという非常な利益があるだろうと、私は思うのであります。
#122
○聽濤委員 私は今度の新しい方法による効果を聞いておるのではない。私の言つておるのはこういうような改正案を出されておる。その根本理由は低品位炭は実際上需要がだんだん減つて來てだぶついて來ておる。それでこれを統制からはずした方がよいという政府の提案理由だろうと思います。それでは低品位炭に対して実際需要がほんとうに低下しておるのかどうか、そこのところをどういうふうに把握されておるかということを聞いておるのです。あなたの今言つておるような効能書を私は聞いておるのではない。これが根本問題でそもそもの出発点になつておるのであるから、はたして低品位炭に対する需要が減つておるのか、その実情はどうなつておるのか、その点どういうふうに政府は把握されておるのかということを聞いておるのであります。
#123
○稻垣國務大臣 御質問の趣旨がどうもはつきりわからないというのは、それを申し上げるのであります。どういうふうに把握しておるかということに、実際の数字を示すより以外にはなかろうと思います。実際において低品位炭の数字がふえるということは一つの数字として取上げられる。あとはどういう石炭が需要があるかということに、ここではちよつとわかりにくいと思のであります。
#124
○聽濤委員 さつきから聞いておると、需要がだぶついておるからこういう改正をやろうとするならば、政府は数字をはつきり握ることが絶対に必要である。ところで私が聞くところによつても、たとえば製糸工場なども七〇%ぐらいは代用燃料を使つておる。実際は低品位炭の石炭を使いたいのだが、價格の関係で代用燃料を使つた方が今のところ割安だというので、やむを得ず代用燃料を使つて來ておる。あるいは私の聞いたところでは今年の三月でありましたか、熱管理指導官全國会議の結論では、低品位炭といえども價格さえ操作すれば、需要は十分にあるのだという結論を專門家がはつきり出しておる。あるいは東京都の需要者協議会では、実際今のところトン当り五百円くらいの値引きをすることによつて、現在の低品位炭を十分消化することができるという結論を出しておる。こういうことをあなたは勘定に入れておるのかどうか、無視されておるのかどうか、この点をはつきり聞いておるのであります。
#125
○稻垣國務大臣 無視いたしておりません。それがためにメリット制の問題も起きておると私は存ずるのであります。むろんそういつたような面もあります。低品位炭より亞炭――亞炭は御承知の通り公團取扱いをいたしておつたのでありますが、この取扱いをはずしたのであります。初めは亞炭業者がはずしてもらいたいというのではずしたが、今度ははずされては困るというので大議論になつておる。その点はどういうことかというと今あなたが御指摘になつたように、たとえば價格の方面において低品位炭よりも安くする。それがためにそろばんの上で今例にあげられました製糸業方面で使われるという面も起つたのだろうと思います。そこで私は先ほども申し上げましたように、需要の面から地域的に考える場合は安くなり得るのですから、こういう面の需要を喚起する可能性がある。かように申し上げたわけであります。
#126
○聽濤委員 この問題はもう少しあとから取上げたいと思いますが、私が考えますところでは、この需給関係のだぶついておる事情はもう一つ問題があると思います。これは商工大臣が十分御承知のことだと思いますが、それは先ほど違つた言葉で表現されております。つまり配炭公團で統制しておつたから、そのために行くべきところへ行かなかつたり何かしておる。こういうことを言われたが、私はこれはどういうことかもつとはつきりお聞きしたい。というのは実際上配炭公團では低品位炭を需要しておるところへ、実際上クーポンを発行していないという実情があることははつきり聞いております。それでこういうことからいろいろな産業に当然行くべきものが行つていない。それでやはりだぶついて來ておるということは、この間この委員会で炭鉱の業者を集めて参考人として意見を聞いた場合にも、いろいろな業者の方から低品位炭の中には非常に廣い需要があるということを、みんな訴えておりましたが、こういうことを商工大臣はどう考えておるか。
#127
○稻垣國務大臣 これはもうお話のように、業種によりましては低品位炭を希望しておられるところもあります。あるいは塩用業者で低品位炭を希望しておるという面もあります。それでありますから実際から言うと全國の公團取扱いをはずして自由になりますれば、從來の需要のあるところに石炭が行くことになります。それが最もいいと思いますが、今の段階においてはいろいろな支障があるので、まず第一段階として四千カロリー以下のものからはずして行く、こういうことに考えられておるのであります。
#128
○聽濤委員 私が考えますのには、とにかく現在の統制をやつていることが、今日中小炭に対してこういう不結果を來しておるというふうに、商工大臣は言つておられるのですか。
#129
○稻垣國務大臣 先ほども申し上げましたように、現在までの段階においてはこれが必要であつたが、今日の段階においてはできるだけこの公團取扱いをやめたい。これは今澄さんの御質問に対してお答え申し上げましたが、できるだけ需要者と販賣業者との間の自由な動きによつて、言いかえれば需要者の希望するものが、希望するところへ行くという形に置くことが、最も望ましいことだと私は考えておるのであります。ただ今日の段階では一度にそれができないので、順を経てこれをやつて行こうという考え方であります。
#130
○聽濤委員 大体商工大臣の言われることは、どうも中小炭鉱の実際業者が言つておることとは、まるでうらはらのことを言つておられるので、まことに了解に苦しむのであります。大体私たちが聞いておるところでは、宇部であろうが常磐であろうが、あなたは公團の統制は今までは心要であつたけれども、今日においてははずしてもいい時期が來ておるのだということを言つておられるが、業者はそう言つていない。今日これをやられると中小炭鉱はみなつぶれてしまうと大騒ぎをしておるのである。議会にたくさん陳情に來ておるのはそのためではありませんか。これはりくつよりも事実が証明しております。第一炭鉱の労働組合までも自分たちの炭鉱がつぶれはしないかとおそれておる。現にあすこでハンガー・ストライキが起つておる。あなたはこういう事実を見て、今こそ低品位炭の統制をはずした方が実は中小業者のためになるのだ。そういうふうにお考えになつておるのですか。
#131
○稻垣國務大臣 私はたびたび繰返して申し上げますように、これをはずすときに困るのは金融問題である。これについて、できるだけの御盡力を申し上げれば、業者にとつてはむしろ利益になるのではないか。かように申し上げておるのであります。
#132
○聽濤委員 それほどあなたが断言なさるならば、どういうふうな措置をとられるかはつきり聞いておきたい。
#133
○稻垣國務大臣 ただいまそれをお答えするわけには行きません。まだ相手があることでありますし、いろいろ交渉してみなければなりませんから……。
#134
○聽濤委員 どうも死活に関するような問題について、いろいろ研究中であるとか、これから何とかするとか、とにかくその場に当つてこれから実際やつて行くのでありましようけれども、しかしながらそれに対する案を持つていなければならぬと思う。ところが必ずやりますというから証文だけもらつて、こんな大それた内容の案をのむということは、たいへんなことだ。あなたは成案がないということを自分で語つているのではないか。それほど断言なさるならば、それを言つていただきたい。
#135
○稻垣國務大臣 先ほどもお答え申し上げました通り相手があることでありますので、何度それを言われましても今それを申し上げるわけには行きません。その場限りで確信がないではないかとおつしやいますけれども、私はさようなつもりでおりません。十分確信は持つております。
#136
○聽濤委員 それではこの点はそれくらいにしておきますが、ついでいお聞きしておきます。今まであなたのおつしやつたところによると、段階的に統制からはずして行く時期が來ておると言われたようでありますけれども、今度四千カロリー以下を統制からはずす。そういたしますと四千カロリーに線を引いたということは、実は近い將來にこれを四千五百とか五千、そういうようにだんだんラインを引上げて行く。これが出発点であるということを証明するものでにありませんか。
#137
○稻垣國務大臣 公團取扱いについてはカロリーの問題もありますし、あるいは今申し上げましたようにこの法案自体の中にも、今までは直接届けておつたのが現地渡しに変更する、あるいは山元渡しに変更するかもしれません。とにかくだんだんはずすという意味でありまして、カロリーの問題だけではありません。今はさしあたりこの問題が起つておるのでありまして、あるいは今後は現地渡しから山元渡しにしたらいいか。できるだけ業者の利益になる形について行きたい。かように考えております。
#138
○聽濤委員 この問題は中小の炭坑業者にとつては政府の方針をはつきりする必要があるのでございまして、それが拔打ち的に出されて非常に困つておる。今度も政府が新しい政策をとろうとしておるようでありますから、將來政府がこうやろうということを、この際國民に対してはつきり言つておく義務があると思います。そういう点で、この点をはつきり聞こうと思つておるのでありますが、もう少しすなおにお話できませんか。
#139
○稻垣國務大臣 すなおにという話は変な言葉ではなはだ私は不満であります。私はすなおであろうがどうであろうが、少くとも自分の考えておることをそのまま率直に申し上げておるのであります。それで今申し上げたのは、いろいろな点があることを私は例示的に申し上げたのであつて、あなたの御要求が一体どういう要求か。それがわかれば要求通り申し上げます。四千カロリー、五千カロリーという問題ばかりではありません。私が申し上げるのは現地渡しの問題、山元渡しの問題もあろうとお答えいたしたのでありまして、これはすなお、すなおでないというような問題ではなかろうと思うのであります。そこで私が大体の方向として今申し上げましたのは、いわゆる消費者直接渡しでありましたのを現地渡しにし、その次には山元渡しというふうに順順になつて來るのではなかろうかと思うのであります。そこで山元渡しになれば、全部はずされて仕事がなくなることになると思うのであります。そういう順序をおのずからとつて行くべき性質のものであろうと考えるのであります。
#140
○聽濤委員 ついでにそれに関連してお聞きしておきたいと思いますが、大体五月からやることになつておりました今度のいわゆるメリツト制は、やはり七月一日からやられるつもりですか。これはどうなつておりますか。
#141
○稻垣國務大臣 これはできるだけ早く実行いたしたいと思つておるのでありますが、なお目下関係筋と折衝中でございますので、まだ発表する域に達しておらぬのであります。
#142
○聽濤委員 そうしますと政府が今交渉しておられる方針というものは、例の石炭協会あたりできめましたいわゆる純炭式のメリツト制ではないですか。
#143
○渡邊(誠)政府委員 ただいま御質問のメリツト制の点について申し上げます。炭價の問題だと思うのですが、それに物價廰からあちらの担当の方に提出いたして、目下あちらの許可を得られない状態にありますから、ただいまのところにいかなる形かお答えできないのであります。
#144
○村田説明員 ただいまの問題につきましては、石炭廰次長からもお話がありましたように、かなり從來の生産者價格の建て方に対しまして、メリツト制の考え方を織り込んだ線で関係方面と折衝中でございます。どの程度になるか今のところ折衝中でございますので申し上げられたいのですが、さよう御了承を問題願います。
#145
○聽濤委員 それでは少し観点をかえましてお尋ねしたいと思うのですが、大体昨年は三千六百万トン、今度は四千二百万トン、大体こういう目標を建ててやるのでありますから、一種の計画生産そやつておると思うのですが、そういたしますとこれに対して、石炭に対する全國の需要を幾らくらいに政府の方では測定されておるのかお尋ねしたい。
#146
○渡邊(誠)政府委員 これは人の見方のよつていろいろ異るところでありますけれども、現在の段階におきましては年間四千五百万トンぐらいの需要が、現状の日本における最大の需要ではないかと考えております。
#147
○聽濤委員 もしかりに大体四千万トンぐらいといたしましたところで、現在の水準ではまだそこまで達していないことは明らかで、昨年は大体三千五百万トン程度でなかつたかと、私はしろうとではありますが、新聞で了解しておるわけであります。そうするとこういう計画生産を実行して行くには、品位のいかんにかかわらず、あらゆる種類の石炭が入つておつて、そうして三千六百万トン、四千二百万トンという計画を立てておられるものと思うのでありますが、その場合に計画配炭の中から低品位のものをはずすということは、実際四千二百万トンという計画をくずす一つの大きな穴をつくることになるのではないですか。
#148
○渡邊(誠)政府委員 低品位の石炭と高品位の石炭と二つにわけて考えます場合に、高品位の炭の中で特に粘結炭、高粘結炭のような種類のものにつきましては、これは國内の需要に対して生産はとうてい及ばない。かくのごときものに輸入をいたすよりいたし方がないという状態に現存あるわけであります。そのほかにガス発生炭その他の高級炭は、当分のうち不足をいたすという状態にあるのであります。しかしながらいわゆる低品位炭と称せられておるもの、あるいは一部の低品位の無煙炭あるいは煽石は、現在の需要から見て過剰な状態にある。なお一般家庭において炭をたくという問題もございますが、そういう方面の需要を考えましても、現在の貯炭は低品位炭が三月までで約二十一万トンございましたが、これが漸次増加しておる状態から見ますと、今度現在配給をされていない部門に対して配給をいたしましても、現段階においては余るということが言い得ると思います。
#149
○聽濤委員 私のお聞きしたい点は、つまり三千六百万トンとか四千二百万トンとかいう生産計画を立ててそれを実行して行くためには、國内にある國内資源としてのあらゆる石炭をほんとうに動員してやつて行く。それに從つて配炭の方も高品位炭、低品位炭を適当に配合して計画的な配炭をやつて行く。そういうことがこれに伴つて必要になつて來るのじやないか。そういうことが私たちの常識で考えられることなんですが、しかしここではつきり四千カロリー以下は別の扱いにして行くということになれば、結局計画配炭もくずれるだけでなく、四千二百万トン増産という計画自体もくずれて行くのじやないかということを、お聞きしたいのであります。
#150
○渡邊(誠)政府委員 四千二百万トンの計画の中には低品位炭も入つておるわけであります。もちろん低品位炭だけを使うという場合もありますが、それは非常に苦しいことでありまして、高品位炭と抱き合せてたくというような措置をとる。もちろんそのほかに低品位炭を特別に使つて行く措置を、新たにボイラーにつけて使つて行きたいということも考えております。それで四千二百万トンの一つの計画を立てましたからには、需給を考えて計画を立てておるのでありまして、その中には低品位炭が約三百万トンほど入れてあるわけであります。
#151
○聽濤委員 この問題ももう一つだけ聞いて、次に移りたいと思います。結局私がお聞きしたかつた点は、とにかく日本の産業復興のために、石炭の計画的な生産が必要であるということが前提になつておるので、それならば配炭の面においても計画的な配炭がこれに伴わなければ、実際上くずれてしまうと私たちは考えるのであります。結局そういう意味で今の配炭公團の統制のやり方がいいとは、私たちも決して思つていない。しかしながらこういう統制を今日の段階においては明らかに必要としておると思うのであります。結局今度の四千カロリー以下を統制からはずすことは、つまりこの統制をくずして行くことと私たちは考える。そこで具体的な質問を一、二してみたいのは、たとえば四千カロリーというところでありますが、特に同じ山で四千カロリー以上のものと、それ以下のものと掘られているような場合、実際上どういうふうにして区別するか。実際上の問題としては非常に困難だと私たちは思うのでありますが、どう考えますか。
#152
○渡邊(誠)政府委員 炭鉱から出ます炭は現在でも同じカロリーの炭が出ておるわけではございませんで、平均して六千カロリーの炭が出るところも、七銭カロリーのものが出るところも、六千五百カロリーのものが出るところもあるが、それを平均いたしまして六千カロリーと申しておるのでありまして、それを銘柄にして販賣しておるのであります。カロリー別に販賣されておるわけではないと思うのであります。
#153
○聽濤委員 その点炭は貨車に積み込んで同じ貯炭場に違つたものを同時に置いてある。実際上はつきりと区別するためには、一貨車積むごとに檢査しなければ実行できないと私たちは聞いておるのですが、そういうことが事実できるかどうかということを聞きたいと思います。
#154
○渡邊(誠)政府委員 やはり大体現在の價格がカロリーによつてきめられておりまして、取引をするのに一々その貨車に乗つて品質、数量をきめなければ取引かできないので、それぞれ違つたものをまぜて取扱つておりませんから、現在と特にかわつた点はないと考えます。
#155
○聽濤委員 この問題はこれくらいにしておきまして、もう一つお聞きしたいのは、先ほど商工大臣は今度の措置をとると、中小炭鉱にとつて問題になるのは資金の問題だけだということを言われておりましたが、しかしこのほかに実際上やはり價格の問題もあるのじやないか。今月実際上低品位炭を使用しておるところもあるが、割高で買えなかつた。あるいは購買者の方が金詰まりで非常に困つておる。こういうようないろいろな状態が相まつて、そのためにほしいものも買えないという状態が出て來ておる。こういう中でもうすでに公團の手持の貯炭が相当な額に上つておる。そこで統制を撤廃されれば貯炭場合の炭もおそらく賣れない。それにかてて加えて今まで公團で買取つてもらつておつたのが、中小炭鉱業者が直接買い手を見つけなければならぬという状態であれば、今までもコストの比較的高い中小炭鉱の炭はだんだんコストを割つて、價格の面でも中小炭鉱はくずれて行きはしないかと思うのですが、どう思つておられますか。
#156
○稻垣國務大臣 聽濤さんの御質問は公團の統制をはずすという問題と少し違いまして、要するに價格決定の方針についての問題のように私は存ずるのであります。これはかりに掘つておりましても、掘つていなくても、價格のきめ方いかんによつては、御質問のような問題が起きると思うのであります。要するに價格についてこの間から問題になつておりますメリツト制についての考慮というお話だと、私は考えておるのであります。ただ問題は今申し上げましたように低品位炭だけの面を考えますと、需要が余つておる。そこで実際にメリツトによつてむしろ需要を喚起する。こういつた考え方が今考えられると思つております。それが業者自体についてもある程度手持石炭の賣りさばきという面において、かえつて矢立つのではないかという考え方を持つております。
#157
○聽濤委員 中小炭鉱に対して輸送の方はどういう状態になりますか。
#158
○渡邊(誠)政府委員 先ほどから大臣の御答弁にあるように、なるべく近い所へ向けることが理想でございまして、そのほかに遠いところへ貨車積みする場合は貨車をつけるようにいたします。
#159
○聽濤委員 もう一つ資金の問題では、統制される高品位炭の方は公團で買取つてもらうわけですから、大体即金で金をもらえる。金はそれだけ入つて來て運轉できる。しかし今度のような措置をとられれば、低品位炭の方に直接需要家から入るまでは金が入らない。ところが今日相当の未拂金もできて一、二箇月間では回收不能な状態も出ておる。こういう状態では運轉資金のまわらない中小炭鉱は、この面からもくずれて來るのではありませんか。
#160
○稻垣國務大臣 話が先へもどつたようでありますが、先ほどお答えしたように実際資金の問題が中小炭鉱にとつての一番の問題だろうと思います。統制をはずされることによつて一月半の金融が苦しくなる。それを考慮いたすように考えておる。こういうことをさつき申し上げたのであります。
#161
○聽濤委員 今度つくられます販賣機関についてお尋ねしたいのでありますが、一方では公團が残つていて一應の統制をやることになつておる。他方では販賣機構をつくつて行く。大体統制機構と販賣機構とが分離した状態になつて來る。こういうことは実際上過去において戰爭中にすでに少し形は違つていたかもしれませんが、日本石炭の賣もどし制が行われて、これは明瞭に失敗に終つてしまつている。こういう実際の経驗があるのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
#162
○渡邊(誠)政府委員 これは一つの大きな考え方からいえば、問屋にいろいろな段階があると同じでありまして、現在地方の配炭局などで扱つておる仕事を、公團と違う民間の手によつてやるという形になるわけでありまして、特別の支障があるとは考えられないわけであります。
#163
○聽濤委員 さらに話を飛ばしまして、公團自身の問題について最後にお伺いします。大体各委員からこの措置によりまして、公團だけでも五、六千人の整理される人間が出て來ると言われておりますけれども、これにこの措置がとられてすぐ起る問題だけでありまして、政府の措置の中には、將來公團を全部廃止してしまおうとしておるが、実はこの法案を審議する前に貿易公團その他の廃止の問題が出まして、これを審議しましたときに、各党の議員が一致してみな眞劍に対論したのは、この廃止に伴う從業員のあとの処置をどうするか。これに対してどういうふうな保障をしておるか。これについては與党の人も非常に熱心に討論されたわけでありまして、あれが通りましたときに特に附帶的に善後措置を責任を持つてやつてもらうことによつて、與党の人も贊成しておつたようであります。もうすでに今度は二度目、三度目で相当の成案を持つておられると思うのでありますが、これについてお話を願いたいと思います。
#164
○稻垣國務大臣 商工省におきまして、この前貿易二公團を廃止いたしましたその御審議のときにも、今お話のような問題があつたと思うのであります。幸いにいたしまして商工省のわれわれのあつせんによりまして、貿易公團の失職者は全部他に轉職されました。また先ほどの問題につきましては、今申し上げるよな方向について今できる配炭局の五、六千名の方については、そういうことも一つの案といたしまして、あつせんいたして行きたいと思いますし、今後出まするところの配炭公團の人たちにつきましても、ちようど貿易公團のときにありましたような意味におきまして、できるだけあつせんをいたして行きたいと考えているわけであります。
#165
○阿左美委員 それでは事実上の問題として今度は販賣機関ができる。そうしますとたとえば小賣業者や何かに、整理される從業員を吸收するというようなことをお考えになつていると思いますが、事実上大体販賣業者というのは、ほんとうの大手筋の炭鉱が事実上押えてしまうと思いますが、それで一体ほんとうにこれを吸收できるかどうか。そういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。
#166
○稻垣國務大臣 もちろん大手筋は大手筋で、おそらく多く收容される土地にはそれぞれ支店を設けるとか、あるいは出張所を設けるとかいたすであろうと存じております。またしかしながらそういつた大手筋以外の人たちも、石炭を賣るための取扱人が必要であるのでありまして、それぞれの地域にこれもまた取扱店、小賣店といいますか、そういつたものを設けなければならぬだろうと思うのであります。そういうことの組織化につきましても、商工省といたしましてはできるだけあつせんをいたしたい、かように存じているのであります。
#167
○聽濤委員 たとえば今の從業員を小賣業者に指定する場合があるわけでしようが、しかしそういうものをやつても実際上運轉資金や何かというものは、政府がほんとうに援助するか何かしなければ、これは何もできないと思うんですが、そういつたことまで考えておられますかどうか。
#168
○稻垣國務大臣 これは私は先ほどもたびたび申し上げましたように、組織化についていろいろ心配しようと、かように申し上げているのでありまして、それじや運轉資金も考えてやる、何もかもやるといつたようなことは考えておりません。しかしながら組織化について考慮いたそうということは、できるだけこの人たちが独立して小賣人といいますか、あるいはそういうようなものになり得るような足場をつくつてあげたい、こういう意味と御了解願いたいと思います。
#169
○聽濤委員 それじや大分時間がたちましたから、もう一つだけで終りたいと思います。実はこの問題についてもはなはだ納得の行かない点がたくさんあるんですが、これにいつまでも執着しているわけにはいきませんから、最後におそらくノーと言われるかもしれませんが、私たちが非常に危惧している点をお聞きしたい。これでは結局中小炭鉱に非常な壞滅的の状態が來て、事実上常磐あたりでは炭鉱がつぶれる、あるいは町がつぶれると言つて、相当大騒ぎをしておると私たちは聞いている。事実これは公團の從業員だけの問題でなくして、ひいて中小炭鉱もつぶれることになれば、実際の炭鉱の労働者の大量の失業者も出る。これはこの間の中小業者の代表の方もみな指摘しております。これを今の四千カロリー当りの計算で行くと、人によつて見方は違うかもしれませんが、九万人ぐらいの失業者が出るんじやないかということを言つておりますが、そういう点は全然御考慮には入つていないのでありましようか。
#170
○稻垣國務大臣 どうも私はおつしやることがわからないのですが、四千カロリーをはずすと、みなつぶれてしまつて、今の聽濤さんの御推定では、九万人の労働者が職を離れるようになるというお話ですけれども、四千カロリーをはずすということは、これは四千カロリーの山をすぐやめてしまえという意味では決してないので、むしろ全体的に他の山があとで一度に統制からはずされる前に、これをはずすということでありまして、自由にするんだという意味であります。從つて私はこれがために山がつぶれる、あるいは失業者が出るということを予測することはできないと思うのであります。かりにそういうような場合があつたといたしましても、労務省に御承知のように一体炭鉱の坑内、外部の割合はまだ予定の坑内夫と坑外夫という割には達しておりませんので、その面における配置の轉換もできるであろうと、かように考えている次第であります。
#171
○神田委員長代理 留保されておりました質疑は全部終りました。これにて本案の質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。次会は明後十六日月曜日午前十時より開会いたします。
    午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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