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1949/05/28 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第24号
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1949/05/28 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第24号

#1
第005回国会 商工委員会 第24号
昭和二十四年五月二十八日(土曜日)
   午前十一時三十分開議
 出席委員
  委員長代理 理事 澁谷雄太郎君
   理事 小金 義照君 理事 村上  勇君
   理事 川上 貫一君
      阿左美廣治君    岩川 與助君
      江田斗米吉君    門脇勝太郎君
      高木吉之助君    多武良哲三君
      福田  一君    森下  孝君
      柳原 三郎君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 青木 孝義君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       有田 二郎君
        通商産業通商監 小滝  彬君
        資源廳長官  進藤武左エ門君
 委員外の出席者
        議     員 石野 久男君
        外務事務官   松平 康東君
        外務事務官   吉川 重藏君
        通商産業事務官 松尾泰一郎君
        通商産業事務官 佐久  洋君
        通商産業事務官 武内 征平君
        通商産業技官  豊島 嘉造君
        專  門  員 越田 清七君
        專  門  員 谷崎  明君
        專  門  員 大石 主計君
五月十四日
 電氣小委員中村寅太君委員辞任につき、その補
 欠として同月二十八日衞藤速君が委員長の指名
 で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員の補欠選任
 閉会中の審査に関する件
 貿易に関する件
 繊維に関する件
 九州地方の電力需給状況に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○澁谷委員長代理 これより商工委員会を開きます。本日は私が委員長の職務を行います。
 まず小委員補欠選任の件を議題といたします。五月十四日に電氣小委員中村寅太君が委員を辞任せられて、電氣小委員が一名欠員と相なつておりましたが、この際その補欠選任を行うことといたしまして、その選任の方法は、先例によりまして委員長において御指名申し上げたいと思いますが、これに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。それでは衞藤速君を電氣小委員に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○澁谷委員長代理 次に、閉会中の審査に関する件を議題といたします。本件に関しましてはすでにたびたび御協議を願つた上、去る五月十九日の本委員会の決議によりまして、鉱工業生産状況に関する調査の件、貿易産業及び中小企業振興に関する調査の件、電原開発に関する調査の件、以上三件につきまして閉会中も継続審査を行いたい旨の申出書を、議長に提出いたしておきました。また本件につきましては院議による決定を見るに至つておりませんが、去る二十六日の議院運営委員会におきまして、次の通り從來の閉会中の審査に関する基準を再確認するに決定いたしました。すなわち、
 一、閉会中の委員会の開会日数は十日以内とすること。但し法規により閉会中もなお開く義務のある委員会はこの限りでない。
 二、閉会中の委員の派遣については、派遣日数は十日以内とし、一人一回に限ること。
 三、各委員会は定足数のないため開会のできないことのないよう、出席可能の小委員を選任してこれに当らせること。
 なお閉会中の審査にあたつては、法律案の審査または必要やむを得ない場合のほか、速記を用いないで懇談の形で議事を進めること。
 以上であります。
 つきましては、この際、まず閉会中の審査が院議をもつて決定した場合の閉会中の審査のための委員派遣について、御決定を願つておいた方が便宜かとも存するのであります。委員派遣につきましては、すでにたびたび非公式に御協議を願い、その大体の案も御承知の通りでありますが、先刻御報告いたしました通り、一人一回限り、期間も十日以内と相なつておりますから、その基準に從うこととし、すでに御協議を願いました通り、派遣委員は三班にわかれまして、商業、鉱工業、電氣各小委員を各班に振りわけ、各班長はそれぞれ小委員長かこれに当ることとし、なお他の委員会より正規に派遣される方は本委員会の正規の派遣委員としては除きまして、近畿中部班は商業小委員が当り、六月六日より向う十日間に愛知懸、京都府、大阪府、和歌山縣下の輸出産業及び中小企業の実態について調査していただくこととし、北海道班は鉱工業小委員が当り、八月三十日より向う十日間に、北海道地区、札幌、平稲、歌志内、砂川、美唄、夕張、輪西、函館各地の石炭鉱業、金属鉱工業の化学工業の生産状況並びに生産施設を実地調査していただき、九州中國班は電氣小委員がこれに当り、六月十五日より向う十日間に福岡、熊本、鹿児島、宮崎、大分、廣島、岡山縣下の電源開発並びに電力事情について実地調査を願うこととし、これらの議長に対しまする委員派遣承認申請その他、委員派遣に関する手続は、あけて委員長に御一任を願いたいと思いますが、以上の取扱いに御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。以上申し述べました通り決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○澁谷委員長代理 次に貿易に関する件を議題として調査を進めます。まず最近の極東情勢について外務省調査局長より御説明を願います。松平説明員。
#7
○松平説明員 私より中國の政情を中心といたしまして、極東情勢を御説明申し上げます。以下私の申し上げますことは、各方面の観測者の判断を単にひろう紹介するものでありまして、その趣旨でお聞き取り願いたいと存じます。
 國共の問題に関しまして、以下四点につきまして、でき得る限り簡潔に御説明申し上げます。
 第一に國共抗争の根本原因につきまして御説明いたし、第二に國民政府軍が敗退した理由、第三に中共の持つておる成果、第四に中共と、蒋介石との関係と中共の貿易政策、ことに日華貿易政策について御説明申し上げたいと思います。
 第一の國共抗争の根本原因でありますが、中共の要望いたしておりまするいわゆる新民主主義は、現段階におきましては、これは共産主義革命を標傍するものではなくして、一應資本主義を是認いたしまして、現在支那の工業化促進のために、これらの資本主義活動の擁護を根本の態度としておるのであります。從つて重要産業を國営にいたしておりまするが、一般企業につきましては民営を原則といたしまして、土地も私有を許しておるのであります。この点から見ますと中共のいわゆる民主主義というものは、最終目標におきましてはこれは共産主義の実現ではありまするけれども、現実の政策の面におきましては、國民党のいわゆる三民主義と大きな相違を認めないのであります。もちろんこの両者の間にはそういう事情によりまして、施策における根本の相違はないのでありますか、ただ両者間にとうてい妥協のできない点があるのであります。それは國共双方が武力を持つておりまして、一方が中國を支配し、その場合に相手はこれを滅ぼさなければおかないという態度でありまして、これは政党政治の國とは根本的に異るものであります。從つて先般の和平八條件の國民政府軍を中共軍に改変するという條項のごときは、國民政府にとつてこれはいかに致命的であつたかということはわかるのであります。国民政府から武力をなくしました場合には、次の瞬間に中共が国民党政府を滅ぼすことは、これは明らかでありまして、こういう條件のもとに國共の全面的和平が成立できなかつたことは、おのずから明らかであるように思うのであります。それならば李宗仁首相代理が和平の努力をした眞因は、どこにあつたのであろうかという問題が次に起るのであります。これは結論的に申しますると、双方とも和平を成立させる決意かあつたわけではなくて、お互いにときをかせいでいたにすぎなかつたように思われるのであります。すなわち中共側といたしましては、軍事行動によらずして政治攻勢によつて、國民党政府の勢力を屈服せしむるねらいがあつたわけでありますが、しかしそれにまじめな希望をつないでおつたわけではないのであります。そうして中共軍が予想以上に早く進出いたしましたために、占領地域の整備と、江南への進出に対する軍事行政経済対策等の準備を整えるために、ここに時間をかせぐ必要かあつたわけであります。ここに中共側か和平に努力した理由の一つがあるわけでありますが、一方李宗仁の側といたしましても一時中共と和平をいたしまして、將來何か政府の窮境打開のチャンスをとろうとした含みがあつたのでありますが、中共の態度から見まして和平には大きな期待をかけてはおらず、最後の腹といたしましてやはり江南地区における軍事政治経済の態勢を整えるために、ときをかせぐ手段であつたように思われるのであります。それから一方和平交渉は、國民に対する双方の思惑であつた点もあるのでありまして、すなわち内戰は國民にとりまして非常に不愉快な事実であり、從つて國民が戰いを欲しておらない事情は、双方において考慮しなければならなかつたという事実があつたように思われるのであります。これが私が説明いたしました第一点に関するものであります。
 第二の点は、国民政府軍は何ゆえかくも急激に敗退し去つたかという点であります。世界の東亜問題の研究家も、政府軍の予想以上の急速なる敗北に驚いておるのでありますが、敗因についてみなのあげるところを総合いたしますと、大体次のようなことになるのであります。それは中共が勝利を得たというよりも、政府軍が勝利を失つたという方がより当つておるのでありまして、すなわち政府側が総くずれになりまして、その結果生じました眞空に中共側が入つたのだと言えるわけであります。政府は抗日戦後何ら適切なる施策を行わなかつたのみならず、インフレーシヨン、内戰の継続、官僚の腐敗等ことごとく民衆の苦しみを招來いたしましたために、民衆は政府から次第に離反して参りました。中共は土地政策によりまして一應中農貧農の満足を得ましたに反しまして、政府側の土地改革は机上のプランを出です、また官僚資本という公共の形をとりながら、一部高級官僚軍閥の利益を奉仕する資本か、抗日戰から終戦にかけて次第に強大になつたわけであります。これが民族産業資本家、中小資産階級への圧迫となりまして、さらに政府の右翼反動派が民主的勢力を弾圧し、学生初めインテリ階級は政府から次第に離反して行つたのであります。現在の國民政府は民衆の利益と関係のない少数軍閥、官僚地主層の政権に轉落したと言われておるのであります。また政府軍にいたしましても政府を守る信念に欠け、これが中共の宣傳に乗せられるところとなしまして、政府軍の武器を携えての投降、戰意喪失の事態を招來いたしました。これらが政府側をして予期以上の敗退に至らせた原因となつたのであります。蒋介石は敗北は点と線に配置して、各個撃破を受けた作戰的な拙劣によるものであると言つておりますが、根本原因はやはり今申しましたような心理的、政治的な敗北にあるよりに思われるのであります。
 次に中共の政策について申し上げます。中共の政策につきましては、これは世界の各方面にいろいろな見方があるのでありますが、中共を眞正の共産党であると申しますものと、いわゆる農業改革を主義とした一種の農民運動であるという見方とであります。しかし結局中共は彼ら自身も眞正共産党であると主張しておるようでありまして、農業改革派であることをみずから否認しておる文献があるのであります。しかし現在の中共指導者はマルクス、レーニンを信奉する眞正共産主義者であるとは思われぬのでありますが、中国が共産社会になるかどうかは、これは中共の指導者の意図とは別箇の問題でありまして、中國の遅れた経済社会段階におきまして、中共の予定するコース通り順調に施策か進行するかどうかは、將來の事態を見るほかはないわけであります。また当面の問題といたしまして、これまで中共は都市経済を破壊することを内戰上有利としたわけでありますが、今後中共の責任といたしまして、都市に対する施策が重要性を帯びて來たわけであります。この場合に米國の援助がなくしてはたして施策が満足に行くかどうか。また將來の問題といたしましても抗日戰、内戰に荒廃したあとを受けて、都市の商工政策をいかに発展させて行くかというところに、難問があるわけであります。また國民政府のもとに、ほとんど破局に瀕しましたインフレーシヨンをいかに中共がこれから処理して行くか。そのほか急激に膨脹いたしました中共党員の中には、國民党の分子を初めといたしまして、種々の分子を包含しておるわけでありますが、これらをいかに粛清し、いかに党内の統一をはかつて行くかという過程におきましても、種々問題があるように思われるのであります。
 次に第四の点につきまして、これは中共と諸外國の関係、それから中共の貿易政策に関する点でありますが、第一に、アメリカは中共との関係におきまして、ここしばらくは現実的な事実上の関係を維持して行くであろうと考えられるのでありまして、中共政府の承認の問題は、ここしばらく簡單には解決しないように考えられるのであります。アメリカの政策は、今後中國において民主的勢力を育成することを目指し、またできるだけ中共をソ連陣営に入れないようにするのが、そのねらいであろうと思われるのであります。中共といたしましても、從來アメリカに対して深刻な非難をして参つておるのでありますか、昨年十月、満州を占領いたしまして、軍事上で決定的な有利を占めた以後におきましては、むしろアメリカを含む第三國の権益はこれを保護することを声明しておる次第であります。その経済施策上、ソ連からの援助が期待できず、從つてアメリカその他と、通常の関係を維持することは、中共としても希望するところではないかと考えられる次第であります。中共とソ連との関係につきましては、終戰後ソ連が中共軍に自國の工業力を動員いたしまして、武器援助を與えたということは、現在確認されておりません。しかし両者は精神的にはむしろ一体と見るのを至当とするように思われるのでありますが、中共がソ連の利益に反する行動に出ることは、予想できない次第でありまして、北大西洋條約の調印にあたりましても、中共は米ソ開戰した場合には、ソ連陣営に入つてアメリカと戦うと声明しておる次第であります。
 最後に中共の貿易政策を考えてみますると、中共は米國に対しましても、日本に対しましても、貿易を行う方向に向つておるようでありまして、また他の諸外國との貿易も望んでおるようであります。しかし中共の貿易政策は國家管理でありますから、輸入品は中國復興に役立つものに限られると思うのであります。從つて中共が全中國を支配するようになりますれば、輸出入品は戰前の日華貿易の量よりもあるいは増加はするでありましようか、日華事変前のような自由貿易への回復は、さしあたり望むことは困難ではないかと考えられるのであります。それに中共が中國の支配権を握りました場合の日華貿易の回復は、米國側でもこれを認める方に傾いておるという情報があります。この最後の点は重要な点でありまするので、ここに少しく詳細にわたりまして御説明申し上げたいと存じます。中共の貿易政策、廣く交易政策は、本年初頭、中共が華北を支配いたしまして以来発布いたしました種々の法律があるのでありますが、この法律は最初山東地区において発布せられました山東区交易弁法、それから最近華北を中共が制圧するに伴いまして、華北区弁法という法律が公布せられました。このうちに中共の交易政策が宣明されております。そうしてこの問題が廣く一般の関心を呼び起しまして、論議の対象として大きく取上けられ、中共下の交易問題につきましては楽観、悲観の二つの観測が行われておる次第であります。しかしながら中共の交易政策は、実を申しますればまだようやく正常の段階に入りかけたばかりでありまして、きわめて初歩的な段階にあるにすぎないのであります。満州、華北、長江の大部分が中共の支配権に入つたとは言え、またその政治経済建設の実態、その他が判明いたしておりませんので、にわかに断定的な結論を下すことは、非常に危険であると言わなければならないのであります。中共の場合におきましては、これはソ連圏の諸國と大体同一と見ていいのでありますが、経済は政治の支配を受けておる。從つて中共の経済政策の動向につきましては、ソ連あるいはソ連圏の諸外国の持つております貿易関係、これは一應参考になるわけでありまして、ソ連圏の諸國が現に英米諸國と貿易関係を結んでおります。そしてソ連政府成立後米国との貿易関係は、ある時代には相当厖大な量に上つた次第であります。これらの事実と、現在におきましても北鮮は南鮮と相当量交易を行つておるようで、そういうところを見ますると、中共のイデオロギーと貿易は、一應別個の問題であると認めていいように思うのであります。從つて中共の交易を論ずるにあたりまして、その政治的性格は必ずしも百パーセント拘泥する必要はないようにも思われるのであります。こういうような考え方からいたしまして、次に大体六つの点につきまして、検討を加えてみたいと存します。
 第一に、中共の交易経営方式の幅という点であります。中共の交易は、原則といたしまして大体國営方式をとるのであります。重要品目の輸出入につきましては、完全に政府の掌握するところとなつておりますが、若干の分野におきましては、なお私営を認めております。中共の交易を一貫する対外管制、いわゆる管理の方針にいたしましても、輸入面におきましては建設に必要な生産手段を求め、奢侈品及び麻薬等を禁止品としておりますが、それ以外におきましては大体自由になつております。しかし経済建設のテンポを考え合せますると、國営貿易の管理は國内の通商工業に対する管理と同様、相当な幅があるわけでありまして、その統制ぶりを國民政府のそれに比べまするとはるかに厳重でありまするが、東欧諸國ソ連圏の諸國の場合に比べますると、はるかに寛大なように思われるのであります。ここに中共の経営方式の特異性――他のソ連圏の諸國と比べましての特異性があるように思うのであります。
 第二に、中共の貿易の相手國はどうなるであろうかという点であります。ある一部の考え方といたしましては、中共の貿易の相手方は主としてソ連、東欧及び北鮮等のいわゆる社会主義国家群に限られるであろうという見方もあるのでありまするが、しかしどうもこの考え方は中共の支配的な方針ではないように認められるのであります。中共にとりましては、外國貿易は帝國主義的な侵略を防止するという政策的な要請に反しない限りは、やはり平等互惠の原則に立ち、中共の原則に從つて軍需品及び復興建設資材等を供給いたし、國内の経済建設を助ける國でありますれば、それが何國であろうとも別に毛ぎらいする理由がないことは、現実の取引がこれを立証しておるように思われるのであります。
 第三に、輸出入品目はこういうことになるであろうかという問題であります。中國の経済産業の構造から考えまして、またきわめて低い資本主義発展の段階から考えまして、中共はやはり原料品、半製品を輸出して、精製品を輸入するという從來の貿易商品の基本的な構成内容は、当分の間依然としてかわらないであろうと考えられるのであります。中共の場合におきましては、ただ工業原料品につきましては、内地における土地改革を基盤といたしまして、できる限り自給を目指して、これが確保に努めるであろうと思われるのであります。一方工業製品、特に復興建設資材につきましては、さしあたり戰時戰後を通じて荒廃に瀕しました都市の工業、それからマイニンクの再興をはかる上に、これは欠くべからざるものでありまして、これらの品物は、何をさておいても優先的に外國から輸入することになるであろうと思われるのであります。これは先ほど申しました山東區弁法、華北區弁法の過程から見ましてもはつきり看取できるのでありまして、將來中國の工業化が本格的に中共の政策となりました場合には、この傾向がさらに助長されるであろうと考えられるのであります。中共の政策的の要請から見ますると、中共はでき得る限り多くの生産手段を輸入しなければならないわけでありまするが、しかし中共の交易政策はバーター制を採用いたすであろうことから、このバーター制ということの制約と、それから中共の貨幣でありまする人民券の價値を維持する必要等からいたしまして、どうしてもこれに見合うだけの輸出をいたさなければならないわけであります。ここに中共の交易政策の一つの大きな問題があるわけであります。それからその次に交易品の数量は一体どういうことになるであろうかと申しますると、國民政府の場合におきましては、官僚資本が交易を独占いたしまして、もつぱら入超を続けておつたのでありまするが、中共の場合におきましては、独自の管理統制制度の條件が強くなつておりまするので、この交易量の面におきましては、量的に國民政府の場合と比べまして減少することが予想される次第であります。
 第四の点は、船腹の問題であります。中共は現在その対外交易に必要とする船腹を持つていないようであります。民族商業保護の立場から、政策的には沿岸及び近海におきまして優先的に自国船舶を利用し、保護する方針をとつている次第でありまするが、現在船腹がほとんどないのであります。外國船舶に対しましても、ほとんど制限を加えていないように見受けられるのであります。
 次に第五は、関税の問題であります。中共の関税は從價税主義をとつておるようであります。それから関税につきましては、次のような原則が行われておるようであります。すなわちいわゆる解放区内の余剰土産品、つまり解放区内にある余剰物資、それから日用品、農村の副業品、こういつたようなものの輸出につきましては、大体において免税または低率課税をいたしておりまして、輸出を大いに奨励しておるわけであります。すなわち輸出品は、今申しましたように、原則として免税もしくは低率課税であります。それから輸入につきましては、軍需品、生産基材、医藥衛生材料等の輸入につきましても、やはり免税あるいは低率課税となつておりまして、ただこれら優先的の資材でないものに対しましては相当量の税を課しておるように見受けられるのであります。
 第六の点は決済方式の問題であります。中共の貨幣である人民券の対外為替レートは最近まできめられておらなかつたのでありますが、現実の取引が遅滞なく行われておりましたのは、中共がいわゆるオープン・アカウント方式をとりまして、たとえば六箇月に一回とか一年に一回とかまとめて決済することになつておつたからであります。最近交換レート決定か報道されましたが、その運営の実情についての詳細な資料はまだ入手しておりません。中共の交易政策及び通貨制度、それからソ連の貨幣制度等から考え合せますと、中共は独自の見地から人民券に有利に決定せられるのではないかと思うのであります。なお交易決済手段として金銀外貨の蓄積がどの程度中共側にあるかと申しますと、これはまた不明でありますが、これらの蓄積の増加が將來可能であるように考えられるのであります。いずれにいたしましても中共はバーター制の原則に立ちまして、入超を極力抑えることに努めるであろうと思われるのでありますが、現実の取引の必要上からいたしまして、決済手段としての金銀外貨の需要は決して少くないもののように思われる。從つて外國のクレジットの必要も漸次考えられるのではないかと思われるのであります。
 以上は中共自体の公益の限界を決定する側面でありますが、総合的に見まして中共にとつて樂観的な要素は決して多いとは思われないのであります。本年三月の二中全会、すなわち中共の総会議において、從来の農業重点主義から都市の工業建設中心へと、経済政策の転換を決定したということであります。解放地区の土地改革が一應完了いたしました今日、これは当然の帰結であろうと思われるのでありますが、この都市の工業建設はその前途なかなか容易ならざるものかあるように思われるのであります。日本の対中共交易は、従来正常のコースでは若干の物資が香港経由で解放地区に流れたようでありますし、そのほか密貿易の形で多少のものが流出しておるように思われるのであります。中共地区には大豆、石炭、塩等日本の必要とする物資は少くないのでありますが、ここ当分はやはり今までのような行き方が続くのではないかと思うのであります。交易は本來相対的なものでありまして、双方の條件ないし利害によつて決定せられることはきわめて明瞭な事実でありますが、中共の交易については、少くとも中共側の諸條件がより大きな決定力を持つものと見るべきであろうと思われるのであります。從つて中共との貿易の発展性は、主として中共側の諸條件の改善にかかつておると言つてよいのではないかと思われるのであります。そして中共経済建設の現段階、國共関係の前途及び今日の微妙な國際関係の推移を考慮に入れますならば、中共の交易が急速に発展するだけの基本的な條件は、当分の間なお少いものと見てよいのではないかと思われるのであります。以上簡單でございましたが、一應私の説明を終ることにいたしたいと思います。
#8
○澁谷委員長代理 次に將來の貿易の見通しについて通商産業省通商監より所見を承ります。小瀧政府委員。
#9
○小瀧政府委員 四月二十五日に新しく為替レートが設定せられまして、その後の貿易はどういうように動いておるかということは、皆さん関心の非常に深いところでございますが、実際の船積の状況についてはまだその後資料がまとまつておりませんので、この点については申し上げにくいのでありますが、何分にもレートの設定を見越しまして、契約が平常状態よりもはるかに多くあつたということ、加うるに海外の市況もあまりおもしろくないし、大体五月、六月ころは例年貿易がどつちかと言うと緩慢になる時期であります。そういうような関係もありまして、契約の数はこのレートの設定以後相当減つて参つております。それを御参考まで申し上げますと、われわれの力もすべての輸出品については申し上げにくいのでありますが、最も重要な綿布、綿糸の関係から見ますと、この四月までに綿布については約三倍ヤール、綿糸については千四百万ポンドという量が出ております。これはわれわれのこれまで持つておりました年間の計画に比して、それを月割にいたしましたものについて相当上まわつておる。たとえば綿布については月四千五百万ヤールを見込んでおりましたが、それが現実に月八千万ヤール平均で、また綿糸についても月平均二百万ポンドを見込んでおつたのに対して、三百五十万ポンドという数字を示しております。その後一体どうなるかということについては、今申しましたように契約の方は減つたけれども、何分輸出については二、三箇月先の契約がございますから、前半期についてはかりに輸出目標を六億ドルと見込みましても、大体その数字に達するのじやなかろうかというように考えております。それから先ほど申しました契約の減少の点について、最も為替レートによつて影響を受けると見られる雑貨関係を見ますと、特に影響の大きかつた陶磁器だとかガラスだとかいうような製品をとつてみますと、この一月には契約の件数が千五百件、二月には千四百件、三月には七百五十八件あつたのが、四月になりますと百九十件に落ちておる。ガラスに例をとりましても、二月には五百件もあつたのが、四月には四十六件というようになつておりますが、さらにこれを四月二十五日から五月の二十四日までにおける雑貨関係の契約月数を見ますと、あらゆる雑貨の商品を全部合計いたしまして、千六百件ということになつております、これはこの一、二、三月に比しては非常な減少でありますけれども、ただ昨年の十二月の件数に比べますと、大体とんとんというところになつております。この点は、われわれがおそれておりましたよりは、結果的に見まして、比較的状況がよろしかつたというように申されるのではなかろうかと思います。
 なお重要な商品であります生糸につきましても、本年は非常に状況が悪くて、輸出の実積から申しますと、一月に一万五千俵、二月に七百俵、三月に千四百俵、四月に千五百俵というように、海外市況にも非常に影響されまして、状態が悪いのでありますが、最近生糸関係の方で調べてもらいますと、この六月から十二月ころの間にわたつて、大体四万五千俵くらいは見込まれるであろうということでありますから、全体としては六、七万俵は出ると思いますが、最近においては非常に実情かよろしくないというような次第であります。しかし他の商品につきましては、大体既契約もありますので、全般には先ほど申しましたように、大体予定の数量が出ると見てさしつかえないだろうと思います。それでは一体後半期、ことしの七月から十二月まではどういうふうに見ておるかと申しますと、これにつきましては、輸出の市況がおもしろくないとか、中國か輸入制限をする。ことにスターリング地域に対しましては、日本の輸入が予定ほどに進まなくて、輸出が非常に進んで参りましたために、出超の状況になつておりますので、御存じのようにインドではOGLと申します。一般の許可のライセンスも、この四月から停止になつておるというような状況でありまして、われわれとしては今度の通商産業省の設立と同時に、さつそくこれが対策につきまして、あくまで輸出最優先主義で、あらゆる産業施策、あらゆる金融政策を考えて行きたいというように、目下いろいろ協議中でありますが、また対外的に見ましても、現に南米の方へミツシヨンを派遣して、各國との協定をつくつて、バーターのような制度によつてでも、少しでも輸出をふやそうという努力をいたしておりますし、また海外への人の派遣についても、関係の当局と話合いを進めており、また國内で為替相場が決定いたしましたために、生産面が非常に困難になつて來たのに対しましては、海外へ出します商品について、ほんとうから申しますれば、なるべくドルの値段を上げなければならない。その点については人を派遣するとか、いろいろな方法で施設を講じなければなりませんが、同時にまた他方市況か非常におもしろくないので、これまでわれわれが採用しておりました、これ以下で賣つてはいけないという最低價格制度についても、現実に即したような修正を加えたいというように考えておる次第であります。
 こういうようにあらゆる施策を総合して輸出の振興に努める。しかし同時にわれわれが戰前経験して参りましたように、不当競争を起すというようなことがあつて、海外からダンピングを、日本は実行しておるというような非難を受けないように、その点についても十分注意をいたしまして、とにかく輸出の振興、輸出目標の達成ということに最大の努力をして、輸出目標を達成したいと思つております。また海外においては、先ほど申しましたような、非常な悲観材料がありますと同時に、また他面御承知のように、朝鮮とも最近八千万ドルに達する貿易協定というものかできましたし、そのほか米國の経済協力局の責任による買付というものが、單に朝鮮のみならず、欧州諸國においても利用せられる、また蘭印でも利用せられるというような点がありまして、いわゆるECAの資金による買付というものは、後半期において相当増加するように期待いたしております。さらにまた先ほど例に引きましたインドの一般輸入のライセンスの一時停止ということはあつても、何といたしましてもインドでありますとか、パキスタンであるとかいうような新しい國では、基礎資材、建設資材を欲しておるし、工業化というものには非常な努力を拂つておりますので、ちようど日本の機械類あるいは金属類の必要というものが、それに対應して今後も増加して行くだろうということも考えられますし、また再建を急いでおるフィリピンについても同様なことが言えると思いますので、われわれとしては、あらゆる施策によつてこの貿易の振興ということをはかつて、目標を達成いたしたいと考えております。非常に抽象的でありますが、見通しということになりますと、はつきりしたことを言えないので、大体以上で説明を終らしていただきます。
#10
○澁谷委員長代理 本件に関して御質疑はありませんか。
#11
○川上委員 時間がありませんので、私は要点だけを簡単にお聞きしますから、御答弁の方もごく簡單に答えていただきたいと思う。
 まず第一の点は、アメリカその他における恐慌に関して、当局の方はどう考えておられるか。二月以來のあらゆるものの暴落。株の暴落から始まつておるのでありますが、これの將來の見通しは一体あるのかどうか。今の御説明のようなことでは、次にも問いますけれども、これでは将来の輸出の問題などに対しては、一向結論は出て來はしない。簡単でいいですから、はつきりと御見解をお聞きしたい。
#12
○小瀧政府委員 アメリカにおける市價というものが、相当なカーヴをもつてだんだん下つておるということは事実でありますが、これは從來の價格というものは、民需が戰争中に十分充足されていなかつたから、それで相当戰後民需物資というものの要求があつたために、正常以上な價格を保つておつたのであつて、現在はそれが平準化する。ノルマライズする階梯に達したものではなかろうか。しかもヨーロッパや極東の情勢が非常に満足な階梯に達しておるならば、あるいは軍需的な需要というものが急激に減つて、そこに恐慌を招來するというようなおそれもあるかもしれませんが、現在の私どもの見通しでは、またそこまでは達していないというふうに考えております。あるいはさらに多少市價が下つて行く、状況が惡くなつて行くということは当然覚悟いたしておりますけれども、それが非常に大きな恐慌状態になるものとは予期しておりません。
#13
○川上委員 その限りにおいては見解を聞いたのでありますが、第二にアメリカには鉄の生産が非常に足らない。今度のマーシャル・プランその他を加えましても、実際は約六百万トンくらい鉄が足らない。ところがアメリカの製鉄業者は決して設備を増大しておらぬ。大きい生産設備を増しておらぬ。これに対して日本では鉄をつくつて、どんどんこれを賣り出すということを考えている。しかし恐慌が來るとやられるのは日本である。向うは設備を増しておらぬのだからたえられる。アメリカが鉄が不足しておるにかかわらず、この生産の増大を資本家がしない。これはどういうわけと考えておられますか。この御見解を聞きたい。
#14
○小瀧政府委員 アメリカの方で鉄材が足りないということはわれわれも承知いたしておりますが、アメリカの詳細な事情はわかりません。あるいは御説の通り先行きをおそれて、そういう警戒的態度に出ておるかと思いますが、ただ日本といたしましては、なるべく相手國の欲する商品を海外に出して、とにかく生き抜くためにあらゆる手段を講じて輸出をして、必要品を買い入れるという立場から、相手方の最も要求するものを提供しなければならないというような実情もありますので、これまでのような輸出計画によつて商賣を続けておることを御了承願います。
#15
○川上委員 それでは恐慌が來ることを向うの資本家は知つておるということを御承認なさるのですか。あなたの方では恐慌はないだろうということで、どんどん計画を立てておられる。ところで外國の資本家は恐慌があるものとして非常に警戒しておる。こういうかつこうで、しようがないから輸出するのだというような計画を立てておれば、これはえじきになるのはあたりまえで、ここに非常に大きな貿易政策上の問題がある。そこでアメリカに恐慌がないと思いますというようなお答えが矛盾して來るのである。ほんとうにそこを突かなければ、日本の貿易政策というものは、上半期がどうなるとか、下年期がどうなるとかいうことをいじくつておつたのでは、合点が行かない。しかしこれはひよつとしたらりくつになるかもしれぬから、あなたのところでも御答弁できないであろうが、腹の中では恐慌が來るかもしれぬ、これは困つたもんだと思つているかもしれない。だからこれは問いません。およそあなたの腹の中はわかる。
 第二の問題はダンピングの問題だが、なるほどダンピングしないようにも考えられますが、実際はダンピングだ。輸入に対する尨大な補助金を出し、それから日本内の生産においては價格調整費というものを出している。これじやもうりくつはとにかく、実質において繊維品のごときは、ダンピングである。これは国際憲章違反でもあるし、あるいはこういうことをやつておれば極東民族から大反撃を受けることは当然だ。ことに御承知のようにイギリスなんかもすでに非常に警戒しておりまして、インドのごときは今おそらく千五百万錘くらい持つていると思いますから、ここには日本の繊維品はなかなか輸出できないであろう。そこで実質的に、タンピングをやつております。こういうことをやつておつて東洋の諸民族から反撃を受けると思わないか。これが第一。第二の問題は、中國の貿易は大したことはないという外務当局のお話でありますが、そんな中國との貿易をいいかげんに見ておつて、一体この貿易をけつこうやつて行くつもりがあるかどうか。中国貿易をどうしても日本としては強力に再開しなければ、綿製品にしてもその他の貿易にしても立ち行かぬと考えておられるのか。あるいは眞正共産主義がどうとか、こそこそ言つておつておかしな話です。一体日本の貿易をどう考えているかということを正直に言うてもらいたい。どうもここの答弁はよくない。いいかげんのことを言つて、言い抜けさえすればいいと思つているのか。共産党は政府委員の答弁に腹が立つている。日本人同士が話しているのだから心配ないから、ちつとはほんとうのことを腹の底から言つてもらいたい。
#16
○小瀧政府委員 ダンピンクの問題でありますか、なるほど價格調整金というものも出ておりますけれども、これは直接輸出保護という目的でなしに、價格の調整でやつておるのであります。國際憲章にも違反するのではないかとおつしやいますけれども、今ちようど憲章を持つて來ておりませんけれども、戰後の特殊の事態についての例外的措置は、当然認めるという規定もあつたように私は記憶いたしております。もちろん正式には反するかもわかりませんか、現在の繊維を例にとりましても、直接補助金を出して輸出をやつているというように解釈するのは、多少過酷ではないかと思います。一面またおつしやいますように、そういう点はなるべく縮小いたそうとして、價格調整金をはずすとか、あるいは今度の為替レートの設定の場合にも、從來五百円対一ドルとか八百円対一ドルとかいうようなことで出していたのを、三百六十円に引きもどし、輸入品に対しては百六十円ないし百七十円対一ドルで配給、ないしは拂い下げていたものを、今度は三百六十円にして、特定の民生のものはすみやかに全部三百六十円一本レートでやるというようにやつておりますので、これはダンピングの解釈にもよりますけれども、ただちにこれを全面的にダンピングといつて東洋の諸民族が反撃するというようなことに、私はないだろうと思つております。と言うのは今出しておるものは向うが欲しておるもので、鉄の例も出ましたけれども、アメリカの方から來ないような種類の品物が出ておる関係上、東洋民族が日本はダンピングをしてわれわれに品物を賣つておるというような気持で、反撃することはなかろうというように考えております。それから中国との貿易についてはどうかというと、これは非常に大事でありまして、日本など隣接國として一日も早くこれが正常の状態に帰つて、物資の交流が行われるということは、地理的に近くて、お互いに不安心が少くて済むというだけでなく、日本に必要な原材を持つており、向うでは日本の製品を出すと歓迎されるような関係にありますから、私どもは一日も早くなるべく大きなスケールで、貿易がほんとうに実行されるようになる日を期待しておるのであります。
#17
○川上委員 もう二点ほどあるのでありますが、委員長は時間を大分御心配のようでありますから、その御意思を尊重しまして簡単に質問します。硫化鉱の問題ですか、硫化鉱は昨年の生産は九十八万トンであつて、今年の生産はわずかに百万トン。ところが硫安肥料の生産能力は百四十万トンある。これに少し奨励を加えれば百七十万トン程度の増産はできるわけです。ところが百万トンよりつくらせない。つくらせないと言うと語弊がありますが、百万トンの計画で資材、資金を何とかしようということになつておる。ところがこれをフルに生産させますならば、どうしても三百五十万石以上の米の増産ができるわけです。これをやらないでおいて小麦粉を入れて來る。そうしておいて物を入れるから飢餓輸出をしなければならぬという答弁をしておる。その上に硫化鉱を輸入しておる。硫化鉱を幾ら輸入なさるおつもりか。また硫化鉱の輸入値段は幾らであるか。なぜこんなことをするか。日本には掘らせれば硫化鉱は幾らでもある。戰争以前にはわずかながら輸出しておつた。これを抑制して、米をつくらせぬようにして、そうして小麦を入れるようにしておる。その上に硫化鉱を入れ、肥料を輸入しておる。塩を輸入しておる。この貿易のやり方はわれわれ合点が行かない。なぜこんなことをするのか。この点を簡單でけつこうですから明らかにしてもらいたい。
#18
○松尾説明員 ただいまの硫化鉱の問題でございますが、肥料の増産のために硫化鉱もまた増産しなければならぬということにつきましては、御説ごもつともでありまして、その方向に向つて努力されておるのでありますが、現実問題といたしましては價格の問題がございまして、増産がはかばかしくないということなんであります。従いまして價格の問題につきましても関係方面のせつかく御協力をいただきまして、何らかの解決を見たいというふうに進んでおりますことを、御了解願いたいのであります。從つて輸入問題も、硫化鉄の輸入というものは、今も御指摘がありましたように元來輸出品でありまして、輸入することのばかばかしいことはわかりきつた話でありますが、さしあたりの問題といたしましては、若干の輸入をいたさなければ硫化鉱を増産するといつても急には行かぬということで、つなぎといたしまして若干の輸入が行われておるわけであります。
#19
○川上委員 硫化鉱の生産者價格は一千五百円、消費者價格は二千六百円、輸入價格は七千円だろうと思う。つなぎと言つたつて、こんなばかな話はない。それならなぜ硫化鉱の増産をやらないか。價格の問題ということでありますが、石炭や鋼鉄に対してはあれほど雄大な價格調整費を使うておる。一方においては飢餓輸出をするために厖大な人民の血税をお使いになりながら、食糧の輸入を防ぐために、硫化鉱をつくるために、なぜそういう金を使わないか。この税金をどうせ使うなら、この方面に使つたならば輸入は抑制され、飢餓輸出しなくても済む。それだけ労働者が助かる。そういう輸入対策をやらない。そうして高くて、農家の嫌う硝安を非常に莫大に輸入しておる。こういうばかな輸出入政策をやつては日本が立ち行かぬことはあたりまえで、私は今硫化鉱だけをとらえたのですが、これだけの問題ではない。日本の全貿易計画がこの手です。だから共産党は飢餓輸出だということを言つておる。今の御説では價格の点があるというが、價格などすぐふつ飛んでしまう。あれほど厖大な價格調整費を出しておる。硫安を少しくらいふやすのには、ほんの少しで済む。今のは少し違うところがあるのと違いますか。ほんとうに國民を助けるというのじやなく、何か知らぬがおかしな貿易をするものがあるのじやないですか。これはそうだというような顔をしておられると私は思う。正直に言つてください。
#20
○松尾説明員 川上さんの言うのは、われわれも事務的に同感でございますが、先ほど申しますように價格の問題につきまして若干の論議がある。かようになつておるのでありまして、われわれとしましてそういう問題か解決されれば、今申されましたようにばかなことをしないように、その方向に行くべく努力いたしておるわけであります。
#21
○小金委員 硫化鉱の問題は今御説明がありましたけれども、われわれにもどうも納得が行かない。五億円も輸入するというのですか、それだけの計画があるならば、何故に價格の調整をして早くこの問題を解決しないか。ストライキは何故に今起らんとしておるかということは、きようは大臣がおられませんけれども、資源廳の長官もお見えになつておりますから、至急省議なりお開きになりまして、政府としての態度をすみやかに決定しなければ、銅との関連もありまして重大な問題でありますから、特に警告を申し上げておきます。
#22
○川上委員 最後にいま一つ。きよう資料がなければあとで出していただきたい。貿易上で実際は契約が済みまして、これはある一國だけでなく全体に対してですか、業者かあるいはバイヤーとのおおよその話合いが済んで、しかもそれがある事情で現実に成立しなかつた数字がほしい。これを各品目というと非常に小さくなりますから、各種目にわたつて、当事者間の話合いは済んだけれども、その他の理由によつてこれが成立することができなかつたという、この資料がほしいのであります。これを御提出願いたい。これは委員会の名においてお願いしたい。
#23
○澁谷委員長代理 承知しました。
#24
○小瀧政府委員 ちよつと私お聞きしたいのですが、話合いが済んで成立ができないというのはどういう御趣旨か存じませんが、私どもで今調べておりますのは、契約ができたけれども、向うが信用状を開いて來ないというために、せつかく契約ができて市中銀行が承知した場合には貿手を割つて得たけれども、さて出そうとしたときに、船積みの一箇月前になつても信用状を開いて來ないというので、ひつかかつたのが非常にあるのであります。ことに為替レートがかわるのを見込んで非常にたくさんの契約はしたが、向うの情勢もいろいろかわつて買う氣がなきなり、いろいろな事情のために信用状が開かれないので、だめになつて損害をこうむつた人が相当ありますが、そういうのでしようか。それとも当時者間の話合いはついたけれども、関係当局の話合いがついてなかつたという手続上のことですか。
#25
○川上委員 後者の方です。
#26
○小瀧政府委員 これは極力調べるようにいたしますが、それを数字的に表わしますことは、われわれの方へ直接持つて來られない場合があるのです。向うへ様子を伺つてこれを整理しないということはあるわけですか、努力いたしまして、そういう実際の具体的な場合を調査いたさせますけれども、どの程度まで数字ではつきりできますが。この点は約束しかねます。
#27
○澁谷委員長代理 この際お諮りいたします。石野久男君より委員外の発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。それでは石野君の発言を許します。
#29
○村上(勇)委員 どうか簡單にお願いいたします。
#30
○石野久男君 発言を許していただきましてありがとうございます。特に村上さんからの御要請もありまして、時間を非常に詰めてというお話でありますし、また川上さんから同じような問題についての御質問もあつたので、簡單にお尋ねいたしたいと思います。
 先ほど川上委員からも御質問がありましたように、硫化鉱の問題にしましてもあるいは硝安の問題にしましても、國内におけるところの生産をすれば、別に輸入しなくてもいい見通しが立つものを、しかも非常に高い輸入値段と思われるようなものをもつて輸入をされ、それに対して非常に多額の補給金を出されるというふうにも聞き及んでおるわけであります。ことに一昨日の新聞報道などによりますと、硫化鉱の問題については、さきには三億五千万くらいの補給金だと思つたものが、四億五千万の補給金に訂正されておりますし、また硝安のごときは三十万トンの輸入計画をしておりますと、それに対する補給金は約六十七、八倍になるのではないかと推測されるのでありますか、こういうような輸入計画がはたして國内の産業を進行させるゆえんになるのかということ。これは先ほど川上委員の質問に対しまして、政府当局からも、事務的には質問者である川上氏の言つておるようなことに同意見であるけれども、その他の事情によつてというような、あいまいな御答弁がありましたので、これはよくそのことについての確実な貿易計画上の問題について、御答弁を得られないかと思いますけれども、今一應この点について私としましては、ほんとうに今日立てておるところの貿易計画というものは、日本経済再建の方途から考えて、鉱石類、あるいはまた肥料生産等についての眞劍な考え方を持つておられるのか。それともやはり外国、特に連合國との関係におきまして、それがはばまれておるのかということについての問題を、もう一度お聞きしたい。
 それからいま一つはこの硫化鉱の輸入計画に対しまする一般の労働者、これに関連する金属鉱山労働組合の諸君の今日もつておるストの問題、またこの問題を中心としまして、おそらくは硫労連の諸君も、これに同調するようなストライキの計画があるやに聞いております。それだけではなくして、特に硫労連の諸君がこの計画に関係して、ストに参加するような形が出て参りますと、必然的に全繊維関係の諸君もまたこのストに同調するような傾向になつておる。これはただごとではないのでありまして、決して好んでストに入つておるのではありません。実はやはり硫化鉱を中心にして起きて來るストのために、やはり硫労連関係の諸君は仕事を停止しなければならないような状態になつております。從つて繊維の関係も仕事ができないという状態になつておりまして、あらゆる産業がこのために停止するような状態ができて來るわけであります。このことに対して政府はどのように考えておられるか、またどのように処置する所存でおるかということをお聞きいたしたい。もしすぐに御返事がいただけないとすれば、午後引続いて行われるまでに、それに対する御答弁をいただけるように御手配を願いたいと思うのであります。これはぜひひとつ委員会の皆さんにもお願いいたしたいのですが、非常に差迫つた問題でありますし、すでに金属鉱山労働組合の諸君は二十八日にストライキを警告しておりましたのを、現在は他産業の関係におきまして、二、三日延ばしておるやに聞いておるのであります。われわれの聞き及びますところによると、三十日、三十一日ごろから、これらの一齊ストの形に入るのではないかと思われますので、一日もゆるがせにできない問題だと思いますから、ぜひひとつ本日の午後の委員会で、引続いて御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
#31
○小金委員 政務次官がお見えになつておりますから、お答え願いたいと思うのでありますが、伺うところによりますと、漁網の問題については、生産も農林省の所管に移すという運動が猛烈に行われておるという話でありまして、これにつきまして通商産業省の政務次官から御意見が承れれば幸いだと思います。
#32
○有田政府委員 小金委員の御質疑にお答えいたします。漁網の生産を農林省にとるという運動は、以前からずつと行われておつたのでありますが、最近非常に熾烈になりまして、現段階は当時商工大臣であつた稻垣氏と、農林大臣であられる森氏との間に、安本長官に決済を一任することに決定して、月曜日の閣議にこれが出るというような状態であると聞いておるのであります。通産省としての所見といたしましては、先般來漁網の業者を呼んで私が意見を聞きますと、結局は通産省にあると金融が思うように行かない。あるいはまた通産省におると輸送切符を必要とする。農林省に行くとこういつたものがなくなると農林省の者は言つておる。あるいはその他いろいろな業者側の希望があるわけでありますが、御存じの通り通産省は生産を担当しておるのでありまして、いずれも計画あるいはその他の金融の面の仕事は全部安本の仕事であります。安本の計画、安本の仕事の不手ぎわをすべて通産省の責任であるかのごとく、業者の一部ではこれを誤解しておる。しかも農林省の方ではこれは安本を中心として農林省、通産省が集まつて一年間の漁網の計画を立て、そうして通産省はその生産を担当するのであります。もしも通産省に遺憾な点があるとするならば、これは通産省として是正するにやぶさかではないのであります。しかしながらここで通産省と農林省の役人のお互いのなわ張り争いが如実にここに現われて來て、そうして大臣間の争いになろうというような現状にあるのでありますが、こういつた生産は当然通産省の繊維局が担当すべきである。しかも今度は商工省がかわりまして通商産業省になり、しかも繊維局が通商繊維局になりましたことは、皆様が御存じの通りでありまして、特に漁網の輸出という面がこれから大きくクローズ・アツプして來る現段階におきましては、國内の生産は農林省がやる、輸出は通商産業省かやるということになりますると、業者としては両面に連絡をとらなければならぬようなことになるのであります。根本から行きますと、当然これは通産省がその生産を担当すべきだ。生産の面においていけない点があるならば、これを是正するにやぶさかでないのであります。しかるに農林大臣が強硬にこれを押すというようなやり方は、はなはだ遺憾に思うのであります。当然配給は農林省が担当し、生産は通産省が担当する。しかも漁網の輸出という面が今日大きく問題になつて來ました現段階においては、あくまでもその必要を私は痛感するものであります。從いまして通産省の方針といたしましては、この官吏の間におけるなわ張り争いというものははなはだ解せないのでありまして、あくまでも通産省においてこの生産をやるべきである。かような見解を持つております。
#33
○澁谷委員長代理 他に御質疑はありませんか。なければ次に移ります。
    ―――――――――――――
#34
○澁谷委員長代理 次に九州地方電力状況の件を議題といたします。村上君。
#35
○村上(勇)委員 資源廳長官も電力局長も信任早々のことでありますが、長官は特にその方面の権威者でありますので、私は遠慮なく質問をいたしたいと思います。電力の危機はひとり九州地区のみならず、全國的な大きな問題でありますが、特に九州地区は離れ島でありまして、この電力危機によつて、ほとんど民生の安定もできないというような状態になつておるのであります。経済九原則の線に沿うてあらゆる産業が強度の合理化、企業の努力によります能率的な経営が叫ばれております。いかなる産業もその原動力であるところの電源がなくては、何ともしがたいのでありますが、御承知のごとく九州地方はわが國経済再建の上に絶対不可欠であるところの鉄鋼、石炭、肥料等を中心とする重要産業の大半を占める生産基地であるにもかかわらず、これらの原動力である電源不足のために、その生産に多大の支障を來しておることはまことに遺憾千万であります。申すまでもなく、九州地方は傾斜生産用電力、すなわち第一種甲需用の電力がほかの地区の約二倍、他の地区はわずかに三四%でありますが、九州地区は七〇%ということになつておりますので、一般産業はもとより、民生の安定に絶対必要なる家庭用の電燈までも、容易にこれを保持しがたい実情にあるのでありまして、この制限強化のために、ひいては重要産業の生産に一大支障を來すことはやむを得ないのであります。これが打開について政府はいかなる対策を考えられておるか。この点を資源廳長官にお伺いいたしたいのであります。
#36
○進藤政府委員 九州の電力需給状況についてお尋ねがございましたが、需給状況の見通しとこれが対策、それから関連する問題につきましてお答えいたします。今村上さんからお話のありましたように、九州の、電力需給状況は、電源の面からいたしまして、本州中央部よりきゆうくつでございます。ことに火力発電所が大体六割近く占めておりますために、從來火力発電所の復旧、それからもう一つは石炭の獲得、石炭の質の低下という問題で、九州はほかの地方よりも非常に電力の不足を來しているのであります。そこで終戰後約三年でありますか、九州の火力発電所の復旧に全力を盡しまして、本年の渇水期におきましては、大体三十八万キロ程度までは復旧いたしたいと考えております。言葉をかえて申しますと、應急復旧に対しましては、九州の火力発電所は完成とは申しかねるのでありますが、ほぼ予定通りいたしまして、需給の逼迫を緩和するというよりも、何とかして需給のつじつまを合わせたいと考えております。しかしこれをいたしましても、まだ本州よりも九州の電力は悪いのであります。これに対して今後対策を講じなくてはならぬわけでありますが、安本で今つくつております復興五箇年計画におきましても、当座は九州の火力発電所の改善に全力を盡し、また水力発電所もできるだけ短期間に落成するように主力を盡すということで、ここ二、三箇年間を切り抜け、將來は貯水池を持つた発電所の建設も早く完成するというふうに、いずれにいたしましても、九州の電力は電源の状況から逼迫いたしておりますし、また産業方面から見ますと、今お話のように重要産業がたくさんございますので、政府におきましても、九州の電力状況を何とか需要につじつまを合わせるために、力を盡すということを申し上げておきます。さしあたり本年はどうするのかと申しますと、また実は第二・四半期の電力割当量か決定いたしておりませんから、はつきりした数字を申し上げるわけに参りませんが、本年の火力発電所の所用炭は、事業用四百六十五万トンであります。これを水力発電所の出力を想定いたしまして、第二・四半期に九州へは七億四千万キロワツト時くらい行くように、その手配を進めつつあるわけであります。石炭の割当と申しますると、これは、今年一年間のでありますか、大体全國四百六十五万トンの発電用石炭のうち、九州に対しまして百五十万トンを予定しております。それから火力発電所の復旧の状況であります。これは実は四十三、四万キロの設備がございますが、終戰当時におきましては、非常な酷使と修理不足のために、一万キロ程度まで出力が低下したときもございました。しかし本年はこの二月の渇水期までに、大体日本発送電所有のものは三十八万キロ程度、それから九州配電の所有が二万キロ程度、火力四十万キロ程度までは復旧いたす方法を講じつつあるわけであります。これに対しまして実は補修費と申しますか、火力の修理費が全國で二十四年度に大体二十億くらいの金額になつておりますが、そのうち九州におきましては、今の想定では十四億五千万円でございます。その内訳を申しますと、改良費、つまり設備資金でいたしますのが大体八億円、それから改修修繕が六億五千万円というふうになつております。これの資会の調達の問題でございますが、これは実は一部料金でいただきしまして、一部は一設備資金で達しなくてはならぬのであります。現在電力料金は御承知のように四月以降すえ置きでございまして、一般改修費は一部電力料金からこれをまかなわなくてはならぬ状況でございますが、これ先般來電力料金の適正化をはからなくてはならぬということで、目下手配中でございます。それから設備資金の調達は、これも從來主として復興金融金庫から借入れておつたのでありますが、四月以降復興全融金庫の貸出しがとまりましたために、これに対しましても、五月に至りましてはつなぎ資金と申しますか、結局設備資金の融資を市中銀行から受けまして、今この改良に努めております。それから設備資金の調達に対しましては、将来いろいろの処置を講じなければならぬ。あるいは事後の資金の調達も必要でありますし、それから今問題になつております対日援助見返資金の問題もございますが、それらをあわせて研究中で、できるだけこれを確保いたしまして、今日の渇水期の修理をいたしたいと考えておる次第であります。それからなお最後に自家用火力の問題でございますか、九州は電氣事業者用の所有しております発電所だけでは、今申し上げましたように電力が逼迫いたしますので、自家用の発電所にこの火力発電をお願いいたしまして、従来事業者の方でその費用を負担しておつたのでありますが、これはやつぱり各経営の自主性からいたしまして、どういうふうにするかということが問題になりました、電気事業は電気事業としての適正料金、それから自家用火力は事業者から離れて、その所有者がこれを負担するということが、原則ではなかろうかというふうな考えを持つておるのであります。しかし電力にいたしましても、石炭の價格にいたしましても、十分これから検討しなくてはならぬという問題がありまして、もし自家用火力をその所有者の発電所でお立てになる場合には、やつぱり單價の問題なり、補給金の問題なりに関連いたすのでありますから、この点につきましてもできるだけ検討いたしまして、できるだけ早く解決いたしたい、こういうふうに考えております。
#37
○村上(勇)委員 たいへんありがたい御答弁をいただいたのでありますが、これは資源廳長官としての責任ある御言葉であるというように、私は思いたいのでありますけれども、御承知の日本発送電は、独立採算制をとつて行かなければいかぬという考え方から、九州で百五十万トンの石炭を、九州の火力を動かすためにたいてくれるかどうか。また修理費の二十億円のうちに、九州の火力その他の復旧に十四億もかけてくれるかということについては、私どもは非常に不安があるのであります。もちろん産業の原動力は私どもの考えとしては、水主火從でなければいかぬということは当然でありますけれども、九州の場合は今速急に水主火從になるということは不可能でありまして、何としても今のところでは火主水從というより道がないのでありますから、中國方面から受電を相当多量に受けない限り、どうしても火主水從というようなことになつております。従いましてただいまの長官の御答弁の通りに、ぜひとも本年度は年度末までに三十八万キロの火力の充電が見られるように、また十四億という金によつて、必ずこれが復旧を急速にやつてもらうようにということを、私は強く要望する次第であります。次にいつまでも火主水從ではいかぬのでありますが、私は九州の地域的な事情から、将来も火力と火力と相まつて並行的にやつて、この原動力を確保しなければならないということはやむを得ないと思います。しかしでき得る限り一刻も早く水力電氣の開発をしていただきたい。特に未開発地点の多い九州を――聞くところによりますれば、電源開発五箇年計画という全國的な電源開発を行われることになりそうでありますが、その中でも九州を最優先的に開発してもらいたいということと、九州におきましては火力に肩がわりするような上椎葉に人貯水池を設ける計画もあるのであります。この上椎葉の大貯水池を一刻も早く着手してもらいたい。そうしてこれが建設を急いで、これによつて相当火力をカバーすることができる、こう思つておりますが、上椎葉の着工につきましは、政府は今日どういうようなお考えを持つておるか。これを最優先的にやつてくれるかどうかということについて、私は詳細に長官の御意見を聞きたいのであります。
#38
○進藤政府委員 お答えいたしたいと思います。ただいま御指摘のありました日本発送電の経営の自主性から、なかなか火力発電も困難であろうというふうなお話がございました。現在の料金を適正化しなくてはいかぬということが今検討されつつありますので、料金を適正化するのと一緒に、電氣事業のいろいろの経営を合理化いたしまして、経営の自主性をぜひ確立して、公共事業の生命であります電源の確保をいたすようにいたしたい、こういうふうに考えております。それから第二点の椎葉の問題でございますが、お話のように、九州の電源は本州、中國に比べまして、実は水力方面も非常に貧弱でございまして、唯一の残された水力の宝庫でございますから、これは最優先に取扱いたいと考えております。
#39
○村上(勇)委員 二十四年度の第二・四半期の九州地区に対する電力割当は、まだきまつていないということを聞きましたが、大体いつごろそれはきまるのか、お伺いしたいのです。
#40
○進藤政府委員 先ほどちよつと申し上げましたか、二十四年度の第二・四半期の電力の割当は、安本で実は電力の割当をやつておりましてまだきまつておりません。想定といたしましては、四百六十五万トンの火力をたく場合、われわれとしては九州に自電として、七億四千万と想定いたしております。これは安本できめることで、いつごろになるかちよつとわかりませんが、できるだけ早くおきめ願うように、こちらからも手配をいたしております。
#41
○村上(勇)委員 昨年の火力用の石炭三百六十五万トンのうちに、九州の火力に幾ら割当てられたかということをちよつと……。
#42
○進藤政府委員 お答えいたします。大体百二十万トンであります。
#43
○村上(勇)委員 昨年が百二十万で、ことしが百五十万、どうもわすか三十万トンくらいでは、昨年はわずかに火力は二十万円キロくらいしか、私は送電しなかつたのじやないかと思つておりますが、本年度約三十万以上三十八万キロまで修復できるということになると、本年度の石炭の割当が非常に少いのじやないか、こう思いますが、その点について御意見を承りたいと思います。
#44
○進藤政府委員 昨年の火力の復旧は、大体二十四万キロ程度であります。大体日発で三十二万五千、配電会社の方で一万五、六千から二万キロくらいで大体三十四万キロでございます。
#45
○小金委員 青木國務大臣がお見えになりましたので。いろいろ御質問したいことがありますけれども、お急ぎのようでありますから一つ二つ具体的の例について、通商産業委員会として非常に関心持つておる問題について、お答えあるいは御所見の披瀝をしていただきたいと思うのであります。その一つは、まだ確固たる情報は出ておりませんが、よりより先般來漁網の問題につきまして、それは生産から配給まで農林省の所管にすべきだというような運動があるやに伺つておるのであります。ところが御案内の通り、商工省を廃止して通商産業省という新しい省を設けて、これでわが國のいろんな生産業を、輸出あるいは輸入に直結させる機構をとつた。そこで通商産業省としては従来ももちろんそうであつたと思いますけれども、一層その生産の能率をあげる。そして輸出に非常な重点を置く。聞くところによりますと、漁網に相当な海外輸出も考えられておるようであります。そういうような関連からいたしまして、國内で使用する漁網については、農林省が生産からこれをつかさどる。輸出の方面については通商産業省かこれをつかさどるということになりますと、業者は非常に困る。これはひとり漁網ばかりではないのでありまして、そういう問題は多々ほかにもあるようでありますが、特に漁網の問題については、最近いわゆる官僚のなわ張り争いと言いますか、こういう点からか、業者の中にはたいへん迷惑に思つておるが、これを口に出して言えば、もし農林省に移つた場合にはひどい目にあうというような関係から、大きな声では言えないのだがというようなことさえ耳に入つておるのであります。この問題は一事が万事の例になるおそれもありまするので、通商産業省の設置を機として、いろんな資金、資材の生産から配給の御計画の衝に当られる青木國務大臣の御所見を、ひとつお伺いしておきたいと思います。
#46
○青木國務大臣 ただいまの小金委員の御質問でございますが、これはおつしやる通り従来の商工省が担当して来られた部分を農林省の管轄に移すとか、そういう問題はなかなかこれはむずかしい問題でありまして、私の方でもかねてから研究をいたしておるのであります。しかし私どもといたしますると、公平な立場に立つてこれを考えなければなりませんし、またそのほかに物價等その他関連事項について十分検討を遂げまして、一應の結論を出したいというふうに考えております。お言葉のこともきわめてごもつともな点でありまするので、それらの点も十分検討をいたしまして、善処いたしたいと存じております。

#47
○小金委員 ひとり漁網ばかりの問題ではございませんで、これはいろいろ例になるおそれもあります。ただ漁網について申し上げれば、日本の漁業家に十分な注文を出させて、こういうふうな質のこういうものをつくれということを申し出させて、通商産業省がそれに適應するようなものを指導してつくらせる。こういうふうにすれば農林省に所管を移すとか、あるいは所管争いをさせないでも済むように、通商産業委員会の皆さんもこれは考えておられると思うのであります。どうかその点をひとつ十分國務大臣においてお考え願いたいと思うのであります。同時に有田通商産業次官もお見えになつておりますから、その御所見をひとつ伺いたいと存じます。
#48
○有田政府委員 安本長官がおられますから、この際ひとつ通産省としての考え方を安本長官にもお聞き願いたいと存じますが、実は單に漁網の問題でなく、農機具の問題も今日非常に問題になつている。しかも農林省の最近の動きというものは、まつたく軌道を逸した感があるのであります。この農機具も野かじあるいはそういつた程度のものは、当然農林省に移管されることはわれわれ異議ないのでありますが、精密機械にまで農林省がその生産に進む。漁網の問題にいたしましても大体業者の意向なり農林省側の話を聞きますと、計画の点においてあるいは金融の点において、あるいはたとえば輸送切符は農林省に行つたらなくなるというようなことを、業者の方々に言つておられるようでありますが、こういつたことはいずれも安本の所管に属することであります。通商産業省の以前の商工省におきましては、単なる安本からの御指示によつて生産の面を担当しているにすぎないのであります。もしも、この生産の面において至らない点があるとするならば、これは安本長官からの御指示によつていかようにでも是正し、またこれを改めることかできるわけであります。今度の農林省にこれが所管がえになるという理由は、通産省としてはどうしても解せないのであります。しかも今日商工省がなくなりまして、新しく輸出立國の建前から通商産業省が二十五日から発足したのでありますけれども、その建前から行きましても当然この生産を農林省に移すということは、國家全体の立場から考えましても妥当でない、かような見解を持つのであります。従いまして、安本長官がただいま公平厳正にこの処断をしたいというようなお話でありますけれども、これは大体のお仕事の全部がほとんどあけて安本にあるのであります。農林省はその配給をつかさどり、生産については通産省がその担当をやるという今日の段階において、もしも至らない点があるとするならば、安本にも私は大きなる責任がある、かような見解を持つものであります。従いまして、聞くところによると月曜日には安本長官がその断をお下しになるというお話でありますが、この断に対しましては十分通産省といたしましては、大臣の愼重なる御態度を願いたい。ただ農林省がうるさい、やかましい、農林大臣が強引にこれを押すからやるのだというようなやり方では、日本のために、また通産省の新発足の今日の状態から考えまして、賛成しかねるのであります。安本長官のさらに御賢明なる御協力を、私は通産省を代表してお願いする次第であります。
#49
○村上(勇)委員 安本長官がお見えになりましたので、先ほどから引続いておりまする九州の電力事情について、私安本長官に特にお願いいたしたいのであります。先ほど資源廳長官のお話では、第二・四半期の電力需給については、これは安本がその計画を立てるということを聞きましたので、特に安本長官にお願いいたしたいのは、九州の電力事情は日本で一番悪い。どう悪いかと申しますと、一般産業は週に三日の休電日、また家庭用電燈でさえもこれをつけることができないという状態であります。その状態はなぜかと申しますと、石炭とかあるいは肥料とか鉄鋼とかいうような、重点産業に対するいわゆる要確保電力が、他の地区は三四%くらい、九州はこれが七〇%でありますから、民需にはわずかに三〇%しか行かない、こういう状態で非常に九州の電氣事情が悪いのであります。すでに第二・四年期の計画が着々と安本で樹立されつつあるそうでありますが、ぜひとも安本長官から、九州の第二・四年期の割当を他の地区と大差のないように、御指令をお願いいたしたいのであります。
#50
○青木國務大臣 ただいま御希望なり御質問の形で、村上委員からお言葉がございましたが、この点は先に政府委員が述べておりますように、第二・四半期の電力の配当計画につきましては、なお経済安定本部として検討中に属しておりまするし、これも間もなく決定せられると存じますが、おつしやるところはまことにごもつともでございまして、できるだけ公平に適当量を配給するよう努力いたしたいと存じます。
#51
○澁谷委員長代理 他に御質疑はございませんか。――ありませんければ次に移ります。
    ―――――――――――――
#52
○澁谷委員長代理 次に繊維に関する件を議題といたし調査を進めます。質疑を継続いたします。阿左美君。
#53
○阿左美委員 私は繊維調整に関する問題につきまして、お尋ねをいたしたいのであります。長年の間統制に苦しんでおりますところの織物業者も、昨二十七日をもちまして絹織物に対しましては一應統制の解除を受けまして、非常に全國的に業者は喜んでおる次第でありますが、これに反しまして絹、人絹の交織織物がやはり依然として統制から解除を受けませんで、現段階におきましては、今まで通りの統制を受けることになつております。それがために全國の扱い業者は、一齊に交織物に対しましては買入れを中止するという状態に昨日からなつておりますので、一般の業者から電報とかいろいろのものによりまして、これらの問題を善処してもらいたいという非常なる陳情、要望がただいま全國から集まつております。その理由を聞いてみますと、絹織物は統制解除になりまして、何らの拘束を受けず需要者も手に入れることかできますが、交織織物はやはり切符を要します。また割当その他の今までの統制事務を経ませんければ扱うことができませんので、何も苦んでそういうような織物を扱うよりも、統制のない絹織物を扱う方が非常に簡便であるし、また一般の消費者もかようなことに対して非常な関心を持ちますので、扱い業者が仕入れ中止というような状態であります。全國の産地は現存非常に金融的に困つておる折柄、なお現在の交織織物をストックいたしまして、それが処分ができないということになりますると、金融的に破産をする状態に現在なつておるのでありまして、これは先般の商工委員会におきましても、この問題に対しましては質疑をいたしたのでありますが、近いうちにこれも何とか善処するという御答弁は伺つておるのでありますけれども、いろいろお聞きいたすところによりますと、この問題もそうむずかしいのではないのでないか。すでに関係方面におきましてもOKはあるのだというようなことも聞いておりますし、日本政府におきましてこれを善処いたすことならば、容易であるというふうにも聞き及んでおるのでありまして現在の実情を考えますときには、もはや一刻を許さずこれを解除していただきませんと、中小企業は立ちどころに金融的に行き詰まるのではないか。ことに現在の織物産地は夏に際しまして、夏物はこれは例年交織が多いのでございます時期的に織物は交織織物というのが夏物に適しておるのでありまして、絹物の産地でありましても全産地に交織が多いのでありまして、それを季節的に今つくりまして、夏物として現在処分をしなければならない時期に際しておるにもかかわらず、それが取引にならぬということで、非常に経済的に業者は困つておるのであります。これは一日も早く、一刻を許さず、絹織物と同様、絹、人絹織物、交織に対しては統制を撤廃していただきたい。こういうふうに業者から強い要望かあるのでありますが、これに対しましても政府御当局はいかなるお考えを持つておりますか。一應お聞きする次第であります。
#54
○青木國務大臣 その点は御承知の通りに、私どももいろいろと努力をいたしておるのでありますが、先ほどおつしやいましたように、この点ははつきりとお許しがまだ出ないのであります。これは私どもとしても何とかして早く御要求のようにしたいというので、努力を続けておりますので、それさえできますれば、すみやかに御希望のような結果か出ると存じますから、今後とも努力をいたして善処いたす考えでございます。
#55
○阿左美委員 御努力に対しては感謝をいたしますが、見通しといたしまして、季節の織物でありまして、その時期を失しますると、業者は一箇年間これをストックしなければならぬというような運命に立ち至るのでございますが、いつごろまで待ちましたらお許しをいただけますか。そのお見通しをひとつお伺いしたいと思います。
#56
○青木國務大臣 ただいまのところ、今すぐ何日ごろとか、同月ごろとかいうことを申し上げるわけに参りませんが、なお私も事務当局も努力をいたしまして、なるべく早い機会においてそれが解けますようにいたしたいと存じております。
#57
○阿左美委員 繊維局の佐久さんにお伺いいたします。聞くところによりますと五〇%以内のものは了解を求められたということでありますが、その後かわつて参つたのですか。ちよつとお伺いいたします。
#58
○澁谷委員長代理 ちよつと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#59
○澁谷委員長代理 速記を始めてください。
#60
○阿左美委員 先ほども申し上げました通り、これは夏物でありますから、いつになつても処分ができるというものではありません。ここに一箇月以内くらいで夏物は消費者の手まで渡らなければならぬというような段階に入つておりますので、研究とか調査とかいうようなことで手間どりますと、業者は経済的に非常に行き詰まるわけでありまして、もし何らの対策もなしに進むということになりますれば、これは相当社会問題になるのではないか、こういうふうに考えます。これは御意見は一致しておると思うのですから、事務的に一日も早く解決していただきまして、即時交織織物の統制を撤廃するように御準備を願いたいと思います。
 重ねてお伺いいたしますが、何日ごろまでかかつたら解決がつけていただけましようか。もし解決がつかぬということになりますと、事態は容易ならぬことになるのではないかと思うのであります。現在業者がつくつておりますものは全部交織なのでありまして、絹織物はほとんど夏物はつくつておりません。その織物が全部取引できぬということになりますと、大問題であります。これは研究の余地がないと思いますから、即時撤廃していただきたいということを強く要望するわけであります。
#61
○佐久説明員 目下折衝中でありますので、何日ごろと明確にお答えいたしかねる点、御了承願いたいと思います。
#62
○阿左美委員 もし日本政府の手のみではできないというならば、全國の業者はやはりその筋の方へもいろいろ陳情いたさなければならぬと思うのですが、その点はいかがでしようか。
#63
○佐久説明員 業界の意向として意見を申し述べられることは、ちつともさしつかえないと思います。
#64
○阿左美委員 これは捨ておくことのできない問題でありますから、そういうような方法も講じなければならぬことになると思いますが、政府におきましても、感情や行きがかりということなく、眞に業者のためとか一般の消費者ということに重点をお置きくださいまして、誠意をもつて解決してもらいたい。そうして事態が険悪に陥らないようにお願いいたしまして、私の質問を終ることにいたします。
#65
○澁谷委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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