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1949/05/31 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第25号
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1949/05/31 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第25号

#1
第005回国会 商工委員会 第25号
昭和二十四年五月三十一日(火曜日)
    午前十一時四十六分開議
 出席委員
   委員長代理理事 神田  博君
   理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君
   理事 村上  勇君 理事 今澄  勇君
   理事 橋本 金一君 理事 川上 貫一君
   理事 永井 要造君 理事 河野 金昇君
      阿左美廣治君    江田斗米吉君
      門脇勝太郎君    柳原 三郎君
 出席政府委員
        (主計局次長)
        大藏事務官   阪田 泰二君
 委員外の出席者
        総理廰事務官  森  五郎君
        総理廰事務官  佐藤 健輔君
        物價廰次長   福島 正夫君
        総理廰事務官  天野宏太郎君
        通商産業事務官 柿手 操六君
        専  門  員 越田 清七君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 大石 主計君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 金属鉱業に関する件
 閉会中審査小委員選任に関する件
    ―――――――――――――
#2
○神田委員長代理 これより商工委員会を開きます。
 本日は私が委員長の職務を行います。まず金属鉱業に関する件を議題として調査を進めます。質疑を行います。質疑の前に連合審査会閉会の件についてお諸りいたします。
 ただいま調査中の金属鉱業に関する件につきまして、硫化鉱鉱山ストの問題その他で、労働委員会より本日午後一時より連合審査会を開いてほしいとの申出がありますが、右連合審査会を開くに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。本日午後一時より労働委員会と連合審査会を開くに決しました。
 それでは質疑に入ります前に硫化鉱の輸入の経緯につきまして通産省化学局化学肥料部長柿手説明員の説明を求めます。
#4
○柿手説明員 それでは昭和二十四年度の硫化鉱の需給の見通しを申し上げます。二十四年度において化学肥料の生産計称を遂行いたしますために必勝な硫化鉱及び化学繊維、染料等の工業用硫酸を生産いたしますために必要な硫化鉱の必要量は、大約百五十六万九千トンと推定されるのでございます。これに対しまして國内の硫化鉱の生産見込みの点でありますが、これは昨年の七月の物價改訂直後から問題に相なつておるのでありますが、硫化鉱の價格が低過ぎるという点から、生産が思うほど上つて來なかつたというような事情もありまして、その問題がいまだ解決を見ておらぬという事情もございまして、関係当局の方で、現状をもつてすれば大体二十四年度は百三十万トン程度ではないだろうかというように考えられたのであります。そういたしますと化学肥料の二十四年の生産計画、及び工業用の硫酸を生産いたしますために必要な百五十六万九十トンとの間に、約二十六万九千トンの不足という勘定になるのであります。もちろん國内にある資源でございますから、これは極力その不足量を國内の開発によりまして、増資をして参らなければならぬのでございますが、二十六万九千トンという不足が現状では見込まれますのに加えて、先ほども申し上げましたように硫化鉱の生産が思うほど進まないというために、各硫化鉱の需要工場はいわばその日暮しというような状況でございまして、戰前では大体硫化鉱の利用工場は二、三箇月分くらいのストックは持たないと、硫化鉱の山が非常に偏在しております関係上、いろいろ輸送等の支障があると、すぐ工場の操作に支障を來すというような事情でありましたので、その程度のストツクを持つておつたのでありますが、現状では三日ないし一週間という程度の、ほとんどその日暮しの状態でありますので、この際ある程度の硫化鉱の國内生産に手を打ちましても、少くとも一箇月分くらいのランニング・ストックというものを持たないと、さなきだに少い硫化鉱が非常に在庫が少い結果、その操業が不安定になり、さらにその硫化鉱の中に含まれておる硫黄が、非常に効率が悪いという状況になりますので、ランニング・ストツクを見ますと、とりあえず十万トン程度の輸入をしなければ化学肥料の生産、あるいは化学繊維、染料等の輸出製品の硫酸をまかなうもに支障を來すであろうというような点につきまして、関係官廰、商工省各局内はもちろん、安本におきまして十分審査の上で、十万トンはとりあえず輸入をしようということが決定いたしたわけであります。もちろんこの問題を考究いたしますためには、國内の資源を活用して参りますための対策を十分立てて、できるだけ輸入は避けるという方針で十分検討いたしたのであります。先ほど申し上げます通りに、非常に生産計画なり輸出製品の硫酸を支障なくまかなつて行くためには、この程度としては最小限度輸入せざるを得ない結果になつたわけであります。大体硫化鉱の輸入をするということに決定いたしました経緯は、以上の通りであります。
#5
○神田委員長代理 次は物價廰次長福島君より、硫化鉱のその後の價格政策等について説明を求めます。福島君。
#6
○福島説明員 今委員長からお話のありました硫化鉱の價格の問題につきまして、大骨だけをお説明申し上げたいと思います。
 今御説明がありましたしたように本年の需要が百五十何万トンという見当である。生産が約百二十万トンぐらいより出ない。この問題はどういうところにあるかということの原因の一つといたしまして、労銀等の改善を一つの理由といたしまして價格改訂の案をつくつたのでありまするが、そういうふうな措置によりまして、百二十万トンぐらいより出ませんものが、百五十万トンに近づけば非常にけつこうであつた。新物價体系の関係で、賃金の上昇を物價に織り入れることはかたくさしとめられておりますので、その理由をもつて物價を改訂するわけには行きません。三月一日にそういうふうなラインでプライス・コントロールと相談いたしましたけれども、その点は承認になりません。と言つてそのままにいたしますことは、内地の生産増強のために支障があると考えまして、そのほかの理由で價格の改訂をするポイントがないだろうかということをいろいろ検討いたしました。一つの問題といたしましてはいずれの鉱山にいたしましても、増産いたしますには新鉱を掘鑿いたさなければなりません。從つてその探鉱費の問題がすぐついて参ります。これはランニングコスト以外にやはり盛り込まなければ、探鉱の費用というものは出て参りません。ここに價格に繰り込むファクターが一つある。また次の問題といたしましてはやはりよい品位の鉱石だけを掘るわけに行きませんので、勢い低品位の鉱石を掘つて來ることになるといたしますれば、やはり純分計算といたしましてコストが高くなるのであります。そういうふうな理由あるいは減價償却の状況とかいうふうな問題から案を練りまして、そういうふうなラインでひとつ別の観点から、價格改訂のことを司令部と相談をいたしつつあります。それらに関しまする数字的の内容はまだ申し上げるまでになつておりませんけれども、相当なるこまかい資料をもちまして司令部と折衝をしております。さように各山元の生産者價格が改善いたされまして、そこでそれが生産増強に行きますすれば非常に仕合せと思つております。今御説明がありましたように、三十万トンの輸入ということは当然トン三、四千円の輸入補給金を伴う問題であります。一面に輸入いたしまして輸入補給金を出します。また別の面で内地の硫化鉱石の鉱山の開発に金を出します。これはにずれがよろしいか。物價廰問題から多少離れますけれども、その点は十分にいろいろ御審議を願つてやりたいと思います。
 同時にこれは御参考までに申し上げておきたいと思いますが、各位にもむろん御心配のことだと思いますが、銅山の問題であります。含銅硫化の問題が当然ここに響いて参ります。銅の價格におきましては生産者價格と生産原價、それから外國品のCIFプライス、それから日本の銅のFOBプライス、それから現在の消費者公定價格、相当の段階で相違がございます。つまり生産者價格が一番高くて輸入價格が約十四万円、それから輸出採算点が約十一、二万円、消費者價格が十万七千円、こういうふうなことになつております。これは價格差補給金をもつて今日の消費者價格をまかなつております。この補給金が結局國際價格へのさや寄せという問題から撤廃されなければならぬ、撤廃すベしという大きな命題にひつかかつております。同時にこれが実施されたあかつきに銅山の稼行が今まで通りに行われるかどうかについて、非常に心配な点があります。その点からしまして、含銅硫化の供給というものはこの面から非常に押えられるという面があります。これも内部的には商工当局と連絡いたしまして、これにつきましての措置は物價の面だけから参れない関係もありますので、銅山の助成というふうな面からひとつお考えをいただきたい。かように考えております。ごくあら筋だけを御説明申し上げまして、またこまかいことがありましたら担当官がおりますので、お答え申し上げます。
#7
○神田委員長代理 ただいまより質疑に移ります。
#8
○小金委員 わが國の鉱山資源の開発について、重大な問題が今提供されておるのでありますが、硫化鉄は御承知の通り肥料の原料として非常に大事であります。かつて日本ではやはり銅と関連しまして、南米のボリビアから相当輸入しておつたことがあると記憶いたしておりますが、今度硫化鉱を輸入する計画があるとすれば、どこから輸入される見込みでありましようか。
#9
○柿手説明員 私は直接輸入の担当ではないのでありますが、今まで聞くところによりますと、大体カナダ産のものというふうに承知しております。
#10
○小金委員 今御岡君の御説明の中にもありましたが、海外から相当な價格で――四千円以上ですか、補給金も出さなければいかぬというようなものを輸入する。しかも海外から輸入することになると、船賃その他全部こちらから持ち出さなければならないというような事態がある。ひるがえつてわが國の資源状態を見ますと、橢原にしても、松尾にしても、價格政策だけの面から見ましても相当まだここに増産の余地がある。こういうようなときに際して、私にどうしてもそういう計画を立てられておること自体がふに落ちないのであります。今事務当局をこの面でここで責めてもだめかと思いますが、実行に当るのは事務当局でありますから、経済安定本部あるいは物價廰と相談して、何とか國内の生産額でこれを埋め合すような方法をとつてもらいたい。これに対する具体的な御見解があればひとつ伺いたいと思いますが、どういうふうになさいますか。
#11
○福島説明員 今の御質問非常にごもつともなことと思います。物價廰といたしましては、当初この需要と供給の差約三十万トンでありますが、それをできれば價格の面で促進するという方針をとりまして、そうして適当な業界あたりからの資料によりまして、三月一日に実は賃金ぺースということを一つ繰り入れて、そのほか能率の低下によつてのコスト高という問題をひつさげて、司令部に参つたのでありますが、賃金の値上げという面から、賃金の改訂による價格の引き上げということは全面的にけられた。九原則上そういうことに相ならないわけでありまして、どうしても勢い物價廰が考えております價格改定によつて、増産をするという面からいたしますれば、多少むりなりくつがあつても、ほかの面に物價上昇、生産費の上昇という点を求めなければなりません。ちよつと先ほども申し上げましたように、第二次案といたしまして、今の探鉱費の増加とか、品質低下による生産原價の上昇とか、あるいは減價償却費の上昇とかいう問題を実は並べまして、これを何とかその面で解決いたしたい。こういうふうに努力しております。ただ関係方面では初めは物價改訂によつて、この不足を増産によつて補なおうという意思を相当持つておられたようであります。一面十万トンの輸入という問題がラインに乘つて來たものでありますから、輸入してもよいのならば何もむりやりに内地の價格を上げて増産せぬでもよいではないか、かような妙な空氣がちらつと出て來た。この点非常に機微な関係でありますが、そういう氣もありますので、その辺関係方面や各方面と連絡して、よく氣脈を通じましてぐあいのよいところでいたしたいと思いますが、輸入補給金を出すということはどうしてもつまりません。円だけではなく、外貨を使う問題でありますから、どうしても避けなければならぬと思います。價格を上げることに多少むりがありましても、この面で行きたいと思つて、今しきりに作戰を練つておるわけであります。
#12
○小金委員 今の御説明、いろいろ御苦心の点はよくわかりますが、よほどよく考えていただかなければならぬのは、地下費源の開発と工場生産とは根本的に違う。工場生産は集中生産とか、大量生産によつてコストが下るのです。ところが地下資源の場合は、石炭も同様でありますが、一定の限度がある。石炭なら切羽を伸ばして鉱脈の賦存状態いかんによつて、能率がずつと上つて参りますればコストが下るが、日本のような鉱物資源のあり方では、一概に外國の例をこれに適用するわけに行かない。硫化鉱の場合も同様でありまして、橢原、松尾というような大きなものはマス・プロダクションによつてコストが下るということは言えますが、限度があります。一定の坑道を切る。その坑道の運搬設備も十分なことはできない。それで鉱山労働者は疲れる一方である。持ち運びには距離が遠くなる。あるいは大さく多量に出そうとすれば職場がひろがつて、能率が工場とは逆に集中的にできない。むしろひろがつてコストはますます上る。そうなればその点を十分私は認識してもらい、また認識させる必要があると思う。そこに根本の問題が横たわつておるのではないかと思います。もう一つこれは肥料の製造会社との比較でありますが、肥料製造業に從事する労働者と鉱山労働者との賃金が、どうなつておるかということは私は一應疑問を持つ。肥料そのものになると、農家の需要はわが國の食糧事情からいつて、これは飛びつきたいから何でもかんでもそれに行きますけれども、原料の硫化鉱になつて來ると表に立たない。この方の鉱山労働者は、しかも地下の非常に危險が多い重労働である。これに対する貸金の関係もよほど考えてもらわなければならないと思います。そういうことをあれこれ勘案いたしますと、私は根本的にマス・プロダクションによつてコストが下るというような甘い考え方で、日本の資源を考えられるということは、非常に危險が伴うことを認識しなければ、どうしても價格政策というものは妥当なところにおちつかないと思います。これらの点は十分考えていただいて、鉱山労働者、ことに硫化鉱関係の労働者がストライキをやるとかやらぬとかいうことは、一應うなづけるような筋も私はあるのではないかと思います。これらの点については私は格段の努力を願いたい。ことに物價廰の次長は最近御就任になつたので、私はそういうことを責める意思は毛頭ありませんが、その点を十分お考えくださつて、政府都内の意見をリードしていただきたい。これはおそらく國会議員のみならず、國民もその事情を知れば、まことにもつともだと納得すると思う。どうぞその点について、政府都内の思想を統一して、硫化鉱の問題及びこれに関連のある銅の問題についての解決を早くやつてもらいたい。これに肥料の生産時期を控えて、時間の問題じやないかと思うくらいであります。どうぞ御意見がありましたら表明を願いたいと思います。
#13
○神田委員長代理 小金君にちよつと御相談しますが、商工大臣は午後二時から來るそうです。
#14
○小金委員 ではあとで……
#15
○福島説明員 今のお話、まつたく御同感でありまして、第二次案の内容につきまして御説明いたしましたことも、そのラインに沿つておると思います。増産をしようとしますれば品位の高い鉱石まで掘り、また切羽が非常に分散して参るというようなこともよくわかつております。ただ問題は、関係筋にその事情をよくわかつてもらうという点が、一番のポイントであります。鉱山局その他担当の部局におきましても、かような事情はよく承知しておられると思います。私どもの努カは、むしろ関係筋にこの事情をよくのみ込んでもらうこと――なかなかむずかしいことでありますけれども、そこが一番のポイントだと思います。もつぱらそこに力を注いでやつて行きたいと思つております。
#16
○川上委員 商工大臣は二時ごろでなければ手が空かないというお話でありますから、その方の質問は留保いたしまして、事務的な範囲内で聞いておきたい。さつき輸入の問題がちらつ出て來て、輸入ができるなら價格を上げぬでもいいではないかという御説明があつたが、このいきさつをもう少し御説明願いたい。
#17
○福島説明員 今のことは私の想像に類することでありまして輸入ができたら上げなくてもいいじやないかという答案が出て來たのではありません。多少そういうふうな空氣があつたのではないかということを想像するだけでありまして、私の申し上げ方が悪かつたら、さようにお聞き取りを願いたいと思います。
#18
○川上委員 御説明を追求しておるのではないが、これはその面に事情があるに違いない。また御説明の、輸入をするということはもつともな話で、そういうことは普通考えてもありそうなことである。これは質問としてもどんどん逃げて行くだろうと思うが、價格の問題で掘れないということは、商工大臣も前に答弁しておられるわけです。輸入すると補給金は四億五千万円ですね。この輸入補給金を價格調整にまわすことはできないものかどうか。ほかのものはたくさん基礎資材に使つておる。もしも肥料の自給自足ということを本氣でやられるとすれば、振り向けられる二千億の價格調査金がある。價格問題というのは、りくつはつくかしらぬが、國策としてはどつちにもなる。何も労働賃金に持つて行かなくても済む話なのです。どういうわけで賃金に持つて行かなくちやならぬか。
#19
○福島説明員 今の御質問でありますが、三月に準備しておりましたときには、貸金の問題であると思つて持つて行つたのであります。ところが今後はまかりならぬということで、そうならざるを得なくなつたのであります。今後は先ほどから御説明したように、ほかのファクターを盛り込みまして生産費上昇を承諾さしたい。硫化鉱鉱山だけでありましたならば、あるいはそれはよいかもしれませんが、鉱山関係の問題になりますと、補給金をはずしたのでは價格の面でとても盛り切れない。今輸入補給金を出ならば、價格差補級長精勤を出したらよいではないかという御意見ですが、しかし安定帶物資の補助金と輸入補給金の範囲内では出せないのであります。價格を調整するのに補給金を用いることはできるだけよせ。大蔵省の財政当局からも、財政が逼迫しているから補給金はできるだけ險約して、ほかの方に向けられたいというご要望もあり、私どももできるだけ價格の面の審査を嚴重にいたしまして、補給金の額を少くいたしたいと思つている矢先に、補給金の割振りが一應決定いたしましたので、今急にこの補給金の問題を持つて行くことは少しめんどうだと思います。ですから別の鉱山助成金というふうな形でこれを解決していただかないと、物價廰の微力をもつてしては、この大きな問題を解決するのは困難だと思います。補給金の問題はこれ以上に出られない状況にありますので、他の憲法において日本の硫化鉱鉱山の保全を考えて行きたいと思つております。
#20
○川上委員 事務的の御答弁としてはそういうことを言わなければならぬと思う。ところがこつちは政治家ですからもつと大きい。今御説明の百五十六万九千トン硫化鉱は、肥料の百万トン計画にいるに違いない。去年は九十八万トンの生産をしており、ことしは二万トンしかふえていない。これはほかの方から御説明を受けてもよいが、硫安工場の生産能力は百四十万トン、これを助成すれば百六十万トンないし百七十万トンになるのです。ところが一方硫安を三十万トンも輸入して六十八万円の補給金を出している、硫化鉱の二十六万九千トン不足という数字にしたところが、これは百万トン肥料をとるための不足である。そしで肥料をつくらぬ方針を立てている。これは商工大臣に聞かなければむりだが、肥料をつくらないで、米をつくらないで、麦を入れて來て高い補給金を出している。これを飢餓貿易だと言うのです。こういうことをやるから日本はつぶれると共産党は主張しているのです。この肥料の需給態勢を立てるということは、石炭増産、鉄鋼の増産に劣らぬ一大國策でなければならぬ。これをやらぬから、硫化鉱の規格の問題でも、こんなよたよたしたおかしなことができてしまう。これは亡國政策である。國を滅ぼす政策なんである。この肥料をこれだけ増産したら、われわれの計算では三百五十万石ないし四百万石の米の増産ができると思う。米の増産をしたら、それだけ小麦粉なり大豆粉の輸入を防止することができる。これを防止することができたら、政府が一生懸命やつておられる飢餓貿易を押えることができる。ここに問題がある。この問題を考えずに、技術的に補給金は出せぬとか、賃金にまわしたらいかぬとか言つたら、政治にはならない。その点が大事なので、これを事務当局に申し上げるのにむりなことかと思うのですが、大体何ゆえに硫安工場が百四十万トンの生産能力があるにかかわらず、百万トンの生産計画にしたのか、これは御答弁が願えると思う。まずこのことを承りたい。
    〔神田委員長代理退席、小金委員長代理着席〕
#21
○柿手説明員 先ほど昭和二十四年度の肥料の生産計画、並びに工業用硫酸の調達のために必要とする硫化鉱の額を、百五十六万九千トンと申し上げましたが、この計算の基礎は、硫安を百十六万トンと見、過燐酸石灰を百三十万トン、それから工業用の硫酸は四十七万五千トン、これを調達するために必要な硫化鉱の所要量を百五十六万九千トンと計算をいたしたのであります。そうしてただいま御質問の、硫安の生産能力が百四十万トン以上あるというお話であります。それはその通りでございますが、この能力は、硫安以外に硝酸をつくりましたり、液体アンモニアで出しましたり、いわゆるア系製品と申しますか、これを硫安に換算いたしまして、二十四年度は十一万トン生産する計算にいたしております。そういたしますと、硫安生産が百十六万トンと、ア系製品として硫安換算十一万トンを生産する計算でございますから、合計いたしますと百二十七万トンの生産計画になるわけであります。そこで生産能力百四十数万トンの間に差がございますが、これは北海道でありますとか、九州でありますとかが特に顕著な例でありますが、電力事情の関係から、設備能力がここでは十分動かないという事情がありまして、能力に対して幾分計画は下つておりますけれども、主として電力事情から百パーセントの生産計画が立たないという実情になつておるということを、御了承願いたいと思います。
#22
○川上委員 硫安の生産については、硫化鉱とも関係するのですが、三十万トン硝安を輸入しておる。それに六十八億円という補給金を出しておる。これを一体やめなければ、日本の食糧自給の問題も飢餓貿易の問題も、解決しないということを考えておられますか。これはもう考えの中にないのですが。今の数字の上の問題だけではなくして、あらゆる努力を盡して肥料の生産をせなければ、日本の食糧自給体制は立たないという根本政策なり方針、これをどう考えておられるか。
#23
○柿手説明員 肥料の需要の問題につきましては、これは私の所管でなく、むしろ農林省の所管と存じますが、先ほどもちよつと申し上げました通りに、全國的に各工場がフルに動くほどの生産は、遺憾ながら電力事情のためにできないのでありますけれども、その他の点においては、大体能力一ぱいの生産をやりまして、そうしてなおかつ農村において必要とする肥料との差は、暫定的に硝安を入れるという方針を、農林省でもとつておるものと考えるのであります。実は戰前は、硫安とか石灰窒素とか、満洲から入ります大豆かすとか、朝鮮の北部等から來ます魚かすとかを合せまして、窒素肥料は約二百万トン消費をいたしておつたのでありますが、終戰後、担当肥料工場の復旧はありましたけれども、かりに今年硫安が百十六万トン、石炭窒素三十万トン見当でありましても、百五十万トンにはまだ足らない量でありますので、その戰前二百万トン使つておつたものにたいしまして、なるだけそれに近寄せるというためには、次善の策でありますけれども、硝安の輸入をいたして肥料の増産をはかるということを、農林省といたしても計画いたしておるのであります。商工省で化学肥料の生産を担当しておる者とすれば、硝安の輸入をしないで、一日も早く、國内で自給する体制をとりたいと思いまして、いろいろな面で極力努力はいたしておりますが、遺憾ながら現在は、主として電力事情でありますが、その関係で九州並びに北海道においては、設備能力の百パーセントの生産が行われておらないという点は、まことにやむを得ない事情であると存じております。
#24
○川上委員 まことにこれは、何とかつじつまを合せようという御答弁で、むりはないと思うが、硝安の輸入の補給金が六十億を越えておる。これはよそに出てしまうのですよ。この金は外國に出るのですよ。この金をぶち込んでも硫安の増産ができませんか。この増産は、幾ら金を使つてもこれは日本の富になる。しかしこの六十八億という金は、日本の富が――労働者や農民の血の出るような税金が外國に出てしまうのです。この金をこつちに持つて來るだけのことを考えても、肥料の増産、硫化鉱の増産は絶対にできなければならぬ。それについて一体どうお考えになつておるかということを聞いておるのです。電力事情がどうだつてこれは解決をつけなければならぬ。そういうことを言つておつたら、電力が解決すれば、今度は労働者が動かぬとか、理由はなんぼでも出て來る。そういうことを聞いておるのではなくて、根本的にこういうことをやつて、硫安の生産を押えており、硫化鉱の生産を押えておる。これが問題である。硫化鉄の價格の操作がなかなかできぬというのは、口先で言つておることであり、根本的につくらんでよい、こういう政策を立てておる。そうして硝安を三十万トンも入れておる。これを事務当局はどうお考えになるか。これがあたりまえとお考えになるか。日本にとつてたいへん損なことだとお思いになるか。これを聞きたい。
#25
○柿手説明員 お話の点はわれわれも同感でありまして、非常にむだなことだと思つておりますが、さしあたりの現状としては、関係の者がいろいろそういう点を考えまして、この程度しかできないという結論に達しておるのでありまして、私の一存でどうということにも行かない問題でありますので、方向としては、おつしやることにつきましては、私もまつたく同感であリますが、さしあたつての二十四年度の現状としては、この程度の生産計画以上は困難であろうというふうに、われわれは了承しておるわけであります。
    〔小金委員長代理退席、神田委員長代理着席〕
#26
○川上委員 実際の仕事をしておられる事務当局の方としては、これは困難なことである。何かしらぬが、そういかぬので、しようがない。こう承つてよろしいのでありますか。――これであなたの方のことはわかりましたから、あとは大臣に対する問題になりますので、その点はこれでおきます。
 いま一つだけ、ちよつと簡単に聞いておきたいのは、これはあとで大臣にも聞きますが、硫安生産について非常に誠意がない。これは、本氣になつておらぬという証拠は、新潟の東洋合成の問題でもはつきりと現われて來ておる。これは商工大臣にはつきり聞かなければいけない問題でありますが、事務局の方もこれは関係があると思いますから、ちよつと一言だけ触れて御意見を聞いておきたいと思います。あれは生産管理だという名目のもとに、資材の配給をとめるということをやつておるが、もしも当局でどうしても肥料は二百万トン、これだけはいるのだというような誠意があるならば、ただこれは生産管理だというりくつをつけたようなことで、あの硫安工場集をつぶしてしまうというようなことはできぬと思う。何かの方法でこれは続けなければならぬということになる。しかもこの閉鎖は社長の一方的のやり方で、株式総会を開いてやるというけれども、実際開いておりません。もう社長だけでちやんときめてしまつておる。工場閉鎖をやつておる。そこで労働者は自分みずから立つてこの生産を継続させるために闘つておる。そうしたらこれは生産管理というので資材の配給をとめてしまつておる。これはりくつはいろいろありましようけれども、肥料の増産にまことに誠意がない証拠です。いやでもおうでも肥料をつくつて食糧の自給体制を立てて、食糧の輸入をできるだけ防ごうという誠意が事務当局にあるならば、かようなことはできないと思う。それが行われておるのでありますが、これは一体どうお考えになりますか。商工大臣がいないから政治的のことは知らぬとおつしやるかもしれませんが、事務局の方としてはどうお考えになりますか。これだけ聞いておきたい。
#27
○柿手説明員 東洋合成の新潟工場の硫安生産の停止の問題でありますが、これはご承知のように硫安の價格は終戰後工場別にコストのかかる程度の公定價格をきめまして、個別價格で買い上げておつたのであります。今年四月物價改訂によりまして、当時は硫安といえども一本價格ということの必要があつたのでありますが、これは漸進的に價格をきめてもらうということで、われわれ政府当局として本年四月改訂前は一万四千円から二万八千二百円程度までに、各工場別に價格がきまつておつたものを、三本の價格になりまして、最も高い第三のグループでも一万九千五百円というふうな價格になつたのであります。從つて東洋合成の前の價格の二万七千四百円という公定價格が、一挙に一万九千五百円というような價格になりました。さらに現在の東洋合成の経理内容は八千万円近い未拂代金を残し、設備資金その他の運轉資金において一億円以上の借入金をしておるというような状況ありまして、こういう情勢下ではなかなか生産の継続は困難であるというゆえんをもちまして、あくまでも会社側は工場閉鎖を決定いたしました。われされの方に届けて参つたのでありますが、われわれは何とかこの再建の方策はないかということについて再三再四会社を督励し反省を求めたのでありますが、遂にその方途がなくて今日に至つたのであります。しかるに從業員の方としては何とかこれをこのまま操業を続けたいという熱意から、会社経営者の意思を排除いたしまして今生産を続けておるのでありますが、われわれ資材発券の点について、現在工場で行われておる硫安の製造というのが、会社の適法の製造ではないということになりますと、これは政府部内において決定されております資材の発券の取扱方針に基きまして、一應これは割当を停止せざるを得ないという状況になりまして停止しておるのであります。この会社の解散を許可するかどうかという点につきましてには、これは権限は大蔵大臣でございますが、われわれとも十分連絡をとりまして、この会社をこのまま継続させるかどうかという点を、さらに慎重な檢討を加えまして最後の決定をいたしたい、かよに存じておるわけであります。
#28
○川上委員 東洋合成は一本價格によつて一万九千五百円の價格になつておる。労働者はこれでやれると言つて生産を続けておる。これをあなたの方では生産管理と言つておる。そうしてこれはご承知のように一億一千万円の復金の融資を受けておる。これをつぶしてしまえは棒引きになつてしまう。復金の資金は人民の税金です。この会社をつぶしてしまえば苦しみを受けけるのは人民です。だからどうしても操業を続けなければならぬ。それから二百万トンの硫安がいるという御説明ですが、つぶせばこれはぜろになつてしまう。ところが労働者諸君はこれでやれると言つておる。現にやつておるのをなぜとめるのですか。硫安をつくらなければならぬというならばなぜ資材の配給をとめるのですか。立つか立たぬかあとから考える。これでは肥料生産に対してまことに誠意がない。どうしてたくさん肥料を生産するかということを考えるのが政府の仕事です。法律をつつつきまわして、あてはまるとかあてはまらなとかいうのは巡査の仕事です。これは一体どうしてとめるのですか。
#29
○柿手説明員 その点につきましては先ほども触れましたが、現在東洋合成の新潟工場におきまして行われておる硫安の生産が、経営者の意思を排除されておるということである以上、われわれとしてはかかる事態に対する政府の資材発券についての取扱い方針というものがあるのでありまして、その方針に基いて処置を講じなければならないのであります。これはひとり私のところだけで決定したものでないのであります。諸説の事情を十分審議いたしまして、商工省首脳部なりあるいはそれぞれの担当の局と十分協議をいたしまして、大臣の決踐を経てきたわけでありますから、ご了承願いたいと思います。
#30
○川上委員 それではこれ以上お聞きしてもこれはむりだと思います。通産大臣が午後においでになるそうでありますから、そのときに質問することにして、事務当局の方に対する質問はこれで打切ります。
#31
○今澄委員 今のお話で肥料の問題についてはわれわれはいろいろわかりました。それで午後大臣には質問しますが、この際一應東洋合成等の問題については、科学肥料としては調査團を一ぺん派遣されて、そのようないろいろの議論に対しても、十分これを理論的に反駁し得る御処置をおとりになることを希望いたします。ちようどきようは物價廰の次長がおいでになつておるので、物價廰次長へ一つだけお聞きしますが、この硫化鉱の問題については、長い間われわれは國会においても非常に努力をして來たのです。結局この硫化鉱の問題は、化学肥料部においてどうにもならぬ問題で、これは鉱山局の管下であり、價格の決定はあなたのところの責任である。これは大臣にも聞きたいのですが、一應担当者としてあなたに聞くのだけれども、政府は硫化鉱の價格を大体このくらいでやろうという了解を与えられて、その与えられた了解價格で硫化鉱が取引されておる向8き必ずしもなしとに言えない。その方面の問題にいろいろあろうけれども、何ら解決の曙光を見ておらぬことは中村第三部長にも聞いたが、もしそういうことが政府の意向として業者に伝えられて、しかもそれが何らその後行われていないということになると、業者の方にも文句があろうし、硫化鉱の労働者の方にも文句があろうし、一旦そういうことになつたならば、これは責任をもつて物價廰において処理すべきものであろうと思うが、この問題に関する。あなたの御見解をちよつと承つておきたいと思います。
#32
○福島説明員 先ほど御説明申し上げましたように、三月一日に出しましたものは、賃金改訂を繰り込めてやりましたが、賃金改訂をペースにおいて物價改訂をけられたのですから、別に理由を求めて今やつております。その理由は繰返して申し上げますが、探鉱費がどうしてもよけいかかるから、これをコストに織り込まなければならぬ。それからだんだん品位の悪いものが肥料にも行きますから、從つて十分計算して行きますればコストが上ります。それから減價償却をよけいとらなければなりませんし。それからそのほかいろいろ通りそうなりくつを並べまして、しきりと詰め寄つております。すでにやつておりますが、強さが幾らか弱いかもしれません。理由それ自身一つ一つにつきまして、先ほど御説明したように関係筋にそれをよくのみ込んでもらうことが一番大事なことなので、今言つた状況、カーバイトを輸入しなければならないという状況が一面にありますから、輸入なんかしないでもひとつ思い切つて上げてもらえば出るのだという点は、積み上げ式の減價計算から來たのであります。関係筋のプライス・コントロールをして、多少政策面を入れた物價政策に乘り移つてもらいたい。これはカーバイトの問題ばかりではありません。すべてのものが今までのパリティー計算、原價計算の積み上げからお膳立ていたしまして、いろいろ政策の盛り込まれた物價政策に移らんとしております。ここのところは私どもの頭も切りかえなければなりませんが、同時に今までの関係方面の御方針も多少かえていただかなければいかぬので、非常にまだるつこくお感じになるかと思いますが、この点はいろいろな資料を集めまして、まだ申し上げるだけの勇氣を持ちませんけれども、ある案ができておりまして、今折衝中でございます。しばらく時間をお貸し願いたいと思います。これはまごまごしておりますと、硫化鉱の生産供給にギャップがあくと思いますので、これはたいへんなことになります。その点はよく心得ておりますから、私着任早早でありますが、この問題はプライス・コントロールのチーフにじかに説明して、解決しなければならぬ問題だと思つております。
#33
○今澄委員 これは担当のあなたに対して、爭議も起ろうとしておるような状態でありますので、私は御参考までに申し上げておきますが、これらの爭議は恒久的な一つの対策と、緊急的な対策の二つにわけて、こういう緊急対策をとつてやるから、この際そういつたことはやらない方がいい。われわれはこういう誠意ある処置をとるのだという方策を、政府は示す必要がある。そのためには鉱山局長やあなたのところでそういつた打合せをされて、大体いつごろまでにはどうされるんだとか、どだいこういうふうになるんだという一つの見通しを、あなた方から大臣へ献策されて、重大事態の起らぬように御努力をされたいことを希望して終ります。
#34
○福島説明員 重々ご希望の点はごもつともで、また私どもも業界の安定のために、どうしてもそうせればならぬと思います。よく大臣とも、また問題を廣く鉱山方面とも折衝いたしまして、また先ほど申し上げましたように、この問題は物價廰の持つております道具だけで解決できない点が多々ありますので、関連の方面とよく連絡をいたしまして、万全を期したいと思います。
    ―――――――――――――
#35
○神田委員長代理 次に閉会中審査のための小委員選任の件についてお諮りいたします。本件に関しましては、本委員会が議長に申出中の閉会中審査すべき事件が、院議によつて本委員会に付託されました場合のことでありますが、前会御報告いたしました通り、去る二十六日の議院運営委員会におきまして再確認するに決しました。從來の閉会中審査に関する基準に從つて、定足数を欠くため開会できないことのないよう、出席可能の方を小委員に選任して、閉会中の議事を進めていただく必要があると認められるのでありまして、在京または東京市近在の委員の方を原則として各派の所属委員数の比率によりまして、各派に割当て選任することとし、小委員の数は十一名とし、その選任の方法は先例によりまして、委員長において指名いたしたいと思いますが、以上閉会中審査小委員を選任するに御異議はありませんか。
    〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
#36
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは次の方を商工委員会閉会中審査小委員に指名いたします。
  岩川 与助君  門脇勝太郎君
  神田  博君  小金 義照君
  澁谷雄太郎君  村上  勇君
  今澄  勇君  橋本 金一君
  聽濤 克巳君  永井 要造君
  河野 金昇君
 以上でございます。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○神田委員長代理 次に小委員長選任の件を議題といたします。
#38
○今澄委員 小委員長の選任は選挙の手続を省略して、神田博君を小委員長に推薦いたします。
#39
○神田委員長代理 ただいまの今澄君の動議に御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは私が小委員長に選任されました。何分よろしく御協力のほどをお願いいたします。
 なお労働委員会との連合審査会は午後二時よりいたしたいと思います。
 それではこの際休憩いたします。
    午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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