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1949/10/06 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第35号
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1949/10/06 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第35号

#1
第005回国会 商工委員会 第35号
昭和二十四年十月六日(木曜日)
   午前十時五十八分開議
 出席委員
   委員会代理理事 神田  博君
   理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君
   理事 今澄  勇君 理事 川上 貫一君
   理事 永井 要造君
      阿左美廣治君    岩川 與助君
      門脇勝太郎君    高木吉之助君
      福田  一君    森下  孝君
      田代 文久君
 出席國務大臣
        通商産業大臣  稻垣平太郎君
 委員外の出席者
        通商産業政務次
        官       宮幡  靖君
        通商産業事務官 武内 龍次君
        資源庁長官  進藤武左エ門君
        通商産業事務官 中島 征帆君
        一等海上保安正 多田 壽夫君
        專  門  員 越田 清七君
        專  門  員 谷崎  明君
        專  門  員 大石 主計君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 中小企業に関する件
 貿易に関する件
 石炭に関する件
 電源開発に関する件
    ―――――――――――――
#2
○神田委員長代理 これより商工委員会を開会いたします。
 前回に引続き私が委員長の職務を行います。まず中小企業に関する件、貿易に関する件を議題として調査を進めます。質疑を継続いたします。門脇委員。
#3
○門脇委員 昨日の委員会におきましても、中小企業問題並びに貿易問題の質疑をいたしたのでありますが、昨日はどういつた風の吹きまわしか、政府側の御出席がきわめて寥々たるものでありまして、いささか通産省におかれては國会を軽視しておられるのではないか、こういつたような感じを受けたのであります。昨日委員会としましてはこれに対して一應遺憾の意を表したのでありますが、本日は大臣、政務次官初めお歴々が大よそそろつて御出席になりまして、この点非常に欣快に存じます。
 さて中小企業問題につきましては、昨日記内振興部長といろいろ問答を重ねたのでありますが、從來この問題に対しまして、政府側のいわば宣轉と申しまするか、掛声は相当大きい期待を持てるような御発表であつたのでありまするが、現在までの実質的結果を伺いますると、きわめて微温的で寥々たるものである。この点を非常に私ども遺憾に存ずるものであります。昨日お伺いするところによりますと、現在までに決定しました範囲では、從來ありました日本銀行の中小企業者向けの貸出資金のわくが十五億円から二十億円に拡大されたということと、今度日本銀行が國債市場の操作によつて、これを買い上げて、ひもつきで市中銀行を通じて中小企業部面へ二十億円の資金を融資するということ、この二点だけしかまだ今日まで決定しておらぬようでありまして、從來の政府側の宣轉と大よそかけ離れたかのような感じを持つのであります。これにつきましてこういう微温的なことでなしに、もつと積極的に、現在行き詰つておりまするところの中小企業に対しまして、あらゆる施策を講じていただきたいということを、特に大臣に向つて希望申し上げる次第であります。
 なおそれから残された懸案といたしまして、昨日も伺つたのでありまするが、この議会に――それは臨時議会でありまするか、來るべき本議会でありまするか、商工中金の拡大強化に関するところの法律を提案する、これは大体既定事実のようでありまするが、特にそれの内容につきまして、私ども希望いたしますることは、資本金を増強すること、また現在空文なつておりまるところの債権の発行額を拡大して、実行し得るようになすこと、また現在の取引の対象が組合のみに限つておりますが、今後眞に中小企業全般の金融の中枢機関として、組合のみならず、一般の商工企業者各自が直接に、これを取引が開始できるように、こういつたことを中心に、必ずこれが成功するように、私どもは期待するものであります。
 なお懸案中であるように伺つたのでありまするが、現在各地方地方でそれぞれ実行しておりまするところの信用保証協会の制度、これもぜひこの機会に法制化するように御努力を願いたいのであります。以上の諸件につきまして、一應大臣の御所見を伺います。
#4
○稻垣國務大臣 ただいまの門脇委員の御質問に対してお答えいたします。その前に、昨日非常に通産省からの出席が少くて、まことに申訳ありませんでした。これは多少行き違いがありまして、他に当日予定しておりましたことの関係から、昨日は他の省の方をお呼びいただくのだというように考え違いをいたしまして、皆それぞれ所用にまかり出たり何かいたしまして、こちらに間に合わなかつたことをはなはだ遺憾に思います。今後こういう点の行き違いのないようにいたしたいと思います。あらかじめお断り申し上げて、はなはだ遺憾であつたとお詫びを申し上げる次第であります。
 今のお話でありますが、中小企業の点についてお話の点は、一々ごもつともに存ずるのであります。しかしながら諸般の事情よりいたしまして、われわれが当初考えておりましたような線になかなか持つて來られない事情が種種出て参りましたことは、お互いにはなはだ遺憾とするところであります。ただいま門脇委員のご指摘のような融資の方法をわれわれはとることにいたしておりまするが、なおその他におきましても、たとえばわれわれが計画いたしておりまするところの輸出補償の問題にいたしましても、これはひいて大部分は中小企業のためにとられる方法だと、かように御了解願いたいと存ずるのでありまして、その他種々の施策の上におきまして、中小企業のために、われわれは常にこれを念頭に置いて考えておるということをつけ加えて申しておきたいと存ずるのであります。
 それから中金の問題につきましても、また各地方の信用保証協会その他を法文化するという点についても、通産省といたしましては目下研究いたしておるのでありまして、臨時國会にはあるいは間に合わぬかと存じますけれども、本國会におきましてはこれを提出いたしたい、かように存じておるのでありまして、こういう点についても皆様方の御意見も承り、なお御支援を得たい、かように存じておる次第であります。
#5
○門脇委員 現在の政治情勢がいろいろ制約されておりまする関係上、御持論通りに実行が伴わぬということもやむを得ぬかと思いまするが、つらつら感じますることは、重点的産業に対しては政府は相当力こぶを入れて熱意を示されまするが、事中小企業に関しますると、そういつた重点産業に対するような御熱意がとかくないかのように感ずることが多々あるのであります。それは相手が非常に零細になつて來ますることで、自然迫力がないかと考えまするが、しかし今日本の経済事情、こういつたような情勢等を考えまして、中小企業の今後の育成ということは非常に重大でありまするから、今後とも重点産業より以上の熱意を中小企業に対して注がれんことを切望いたしておきます。
 次に貿易の問題につきましても、昨日いろいろしさいにわたつて御質問申し上げたのでありまするが、要路の方の御出席がなかつたがために、答弁等につきましてもきわめて遺憾の点が多かつたと思いまするが、今日は特にその重点的な問題だけについて、一應大臣並びに当路の方の御意向を伺いたいのであります。先般ポンドの切下げがありまして、これが世界的に非常に衝撃を與えたことはもちろんでありまするが、わが國といたしましても、経済復興の道が一にかかつてこの輸出貿易にあるという点から、このポンドの切下げ問題が現在わが國の経済界に非常な衝撃を與えておるのであります。これは私が強調いたすまでもないことでありまするが、これに対してその筋の御意向なりまた政府側の御意見としては、日本の円の為替レートの関係は現状を維持するのだということを、新聞紙上をもつてしばしば御発表になつておるようでおります。ところが最近横濱市場におけるところの生糸の暴騰、あるいは株式市場の形勢等をながめますると、何かしらん、もうすでに為替レートが四百二十円あるいは四百五十円、そういつたことを目標に変化があるかのような示唆に富んだ相場が現に成立しておる。これに対して國内の経済界が非常に迷つておるということが事実であります。これらに対しまして今後政府としてどういつたような方針によつて、この問題に対処されるかということにつきまして、ひとつ大臣並びにその係の要路の人の御意向をお伺いしたいと考えております。
#6
○稻垣國務大臣 ポンド切下げに対して円レートの処置をどうするか、こういう問題はなかなか重大なる問題でありまして、一般の御議論といたしましても、産業界においても、あるいは貿易界においても、金融界においても、種々御議論があると存ずるのであります。大部分の御意見は、せつかく三百六十円のレートを基礎として合理化を実施しつつある今日において、また三百六十円を基礎としてすべての物價その他の線が策定されておる今日において、これをできるだけ改訂しないがよろしい、こういう御意見が非常に強いように私は承知いたしておるのであります。なお政府の考えといたしまして、同時にポンドの切下げが行われましたときに、われわれが考えましたことに、とにかくこの際せつかくわれわれとして合理化の線に進んでおるのであるから、この際ポンドの切下げはいたしたくない。また考えて見ますると実際にポンドの切下げが行われましたが、海外のポンド地域のポンドに関するところの物價價格というものは、この切下げと並行いたしまして、切下げ後には大体二割檢討上つておると思うのであります。また從來日本といたしましてはドルとポンドとのアン・バランスが、日本の貿易の上におきましても、ドル・円、円・ポンドという関係がはなはだびつこであつたという関係が、これによつて是正されたということに、ある意味においてわれわれの貿易上の操作が樂になつたとも考えられるのであります。実際にポンド・ブロツクの價格の値上りが大体二割檢討値上りされておる。そこで差額は一割だという問題に落ち着いておると私は思うのであります。これがわれわれの合理化によつて実際にこの地域に輸出が可能であるか否かということが、一面考えられる問題だと思うのであります。同時に輸入の面におきましては、これだけ安く物が入つて來る。出すべきところの輸出品の原料が安く入つて來るということは、またこの一割の差を縮める大きな要件と相なると思うのでおります。そういつたような点から考えまして、輸出産業の上にそう大した影響はないのだ。むしろわれわれは從來とつておつたところの三百六十円のレートによつて、すべてのものが策定されておるのでありまするから、これを堅持して行く方針の方が、日本の産業界に與えるところの影響は非常に少いじやないか、こういう考え方からわれわれは円レートをかえない、こういうように考えておるのであります。ところが最近門脇委員の御指摘のように、そう言つておるけれども例のクリツプスはポンドの切下げをしないのだ、しないのだと言つて大見得を切つておつたが、あの通り切下げをしたじやないか、だからどうせ日本もまた円レートを変更するだろうというような、一つはよくありまするところの山をかけると申しますか、そういつたような予見から種々なうわさも飛んでおります。また実際にその点がはつきりしていたいために、貿易の上におきましても買付け手控えといつたような見方も現われておる次第でありまして、買付け手控えに対して何らかの措置をとるかどうかという問題も檢討しなければならぬと思うのであります。しかしながらわれわれといたしましては、非常なる大きな変革が起きません限りにおきましては、今日レートをかえるという考え方は持つていないということを申し傳えたいと存ずるのであります。今日あたりの新聞でも御承知のように、ドツジ氏がこの為替レートの問題についても、向うでヴオアリーズ陸軍次官といろいろ協議しているといつたような記事が載つておるのでありますが、近くドツジ氏が來られてこの点についての何らかの示唆があるかどうかに、私はまだ寡聞にして承知しておりません。從つて今日レートをかえるという考え方は、政府において持つていないということを、はつきり申し上げることができると存ずるのであります。
#7
○門脇委員 ただいま大臣の大体論としては、さもあるべきことと私も感ずるのでありますが、しかしここに一つの具体的の問題として、生糸の輸出ということは日本の輸出貿易の大きな分野を占めるものでありますが、この生がすでに横濱市場において十六万円以上しておるということは御承知のことと存じます。從來政府が売渡しを行つておる公定價格をはるかに上まわつておるのでありますが、今後これらに対して実際的にどういう操作をとられるかということについてお伺いいたします。
#8
○宮幡説明員 門脇委員の御質問に対して具体的にお答え申し上ぐべきでありますが、御承知のようにこれは当面の関係省は農林省でありまして、わが省の通商関係の部門はそれぞれ檢討の資料もございまするが、農林省の方から責任ある御答弁をいただく方が妥当であろうと思います。場合によりましては委員会の席をはずしまして、別の機会において当省のながめておりますところの状況、動き等について御説明申し上げることを避けるものではありません。公式の委員会におきましては、その点に対しまする見解は委員長のおはからいによりまして、農林当局の御出席を願つて、はつきりさしていただく方が妥当であろうと考えております。さよう御了承をいただきたい。
#9
○門脇委員 主管の農林省からということでありますれば、これは次の機会に伺つてけつこうでありますが、やはりこれに関連いたしまして、最近の新聞紙の報ずるところによりますると、そういうような操作を担当するために、政府において生糸に関する公社を設定するのだ、こういうようなことが新聞紙に出ておつたのでありまして、これはもちろん新聞の記事でありまするから、政府の御責任ということで追究するわけではありませんが、万一そういうようなことになるとすると、せつかく自由経済に移りつつある情勢を轉向せしむる一つの動機になるのでありまして、これらのことに相当重大問題であると考えるがゆえに、こういつたようなことがもし事実化するような場合におきましては、政府においても相当愼重に考えらるべきであり、またそういうことに関しましてわれわれ委員会に対しても、相当納得の行くようなお打合せをお願いしたいと考えるのであります。なお昨日お伺いしたのでありますが、すでにその決定になつているところのドル貨の留保による海外派遣員の制度、これは商社等の派遣員の立場でありますが、そういうことがきわめて遅々として進まない。わずか一名が許可になつただけで、まだ実行に移つていないということで、これらもめくら貿易を打開するためにというので、新聞紙等で宣轉された行きがかりと大分縁が遠くなつている。あるいはまたその後領事館的性格を持つ駐在員が、海外に派遣されるような了解をすでにかち得たということを新聞で宣轉されているのでありますが、こういつたことは貿易界の伸長に対して非常に大きな影響を及ぼすことでありますから、必ずこれが実行に移るように、政府においても極力その方図を講ぜられんことを特に希望するわけであります。以上の点につきまして、当局の所見をお伺いしたします。
#10
○武内説明員 今お話の海外留保外貨で、人を出す点については、今おつしやいましたように私ども最初予期しておりましたところに比べますと、海外への人の出方が非常に遅い、これにつきましては私どもも御同様に痛感したしておりまして、関係方面に毎日のように督促をいたし、司令官の回答は、これは司令部のみでとりはからうことのできないことでありまして、國によりましては相手國の政府の許可がいる。あるいは通過する國の査証がいる。そういうような問題のために遅延しておる。そのために本國政府に打電しまして、しきりに督促をしていただいておるようであります。米國に行く渡航者の問題につきましても、なかなか國内規則が十分に行かない、そういうような國内規則で、いろいろ前に渡米したことのある人の場合には、前の場合の行動と申しますか、旅行の目的とか、そういうものについて調査をする必要がある。そういうことで遅れておるわけでありますが、これはわれわれも近い打ちにというのは、聞きあきもし、また申し上げる氣もしなくなつておるくらいに遅れておる感じを持つて、焦燥の念を持つておるのであります。なお期間も経過しておりますから、大体二、三箇月と見まして、申請も百件近く出ておりますが、近いうちに出始めれば、相当出るのではないか、そういう希望を持つております。しかしその希望だけで満足はしておりませんので、督促をいたしております。
 領事関係その他のことにつきましても、大体ポンドの切下げ、その他の関係各國の為替の切下げ、これに伴いまして輸出が非常に困難になつて來たということは、もちろんのことでありまするので、これにつきましては今までの不利な貿易態勢を、今の海外渡航、その他めくら貿易の解消の関係のみならず、あるいはその他の方面につきましても、あるいは輸入を民間に移すとか、あるいはもつと日本の船を使うとか、あるいは契約の立て方をもつと自由にしてもらうとか、その他種々の根本的な重大と考えられる問題につきまして、貿易態勢の改善ということを、この機会にされに実現したい。こういうふうに考えて努力いたしております。
#11
○門脇委員 先ほども申しました生糸に関する公社設定のもくろみに対して、大臣の御見解を伺いたいと思います。なお私の質疑はこれをもつて打切りたいと思います。
#12
○稻垣國務大臣 今生糸に対する公社のお話がありましたが、閣議の席におきましてもそういう話が出たこともありませんし、私自身全然存じておりません。農林省内であるいはそういつたようなうわさが飛んだのか、あるいは單に新聞社のひとつの想定から書かれたのか、そういつた点も承知していないのであります。この点は閣議の問題になつていない。問題になつていないどころでなくて、その片鱗だも出ていなかつたということをお答え申し上げておきます。
#13
○川上委員 中小企業と貿易関係のことで、荒筋を御質問したいと思うのでありますが、まず中小企業のことはあとにまわしまして、貿易関係の方を先に御質問いたします。ただいま通産大臣のお答えによると、円の切下げをする考えはない、こういうことであります。ところでポンドの切下げに伴うて、日本経済新聞の本日の分に出ておるが、新聞の書いておることだからあてにならぬ。こういうことだけではなくて、相当心核に触れたことが書いてある。内容をどうこうというのではありませんけれど、とにかく最近においてポンド地域との契約が全然できなくなつた。これはどういうぐあになつたかということを、あとでその数字をお聞きしたいのですが、そのために今後輸出を続けて行こうとすれば、どうしてもコストを一、二割以上下げなければならぬだろう、こういうように調査ができておる。その上になお思い切つた合理化と飢餓輸出をしなければならぬ。こういうことになるだろうということが書いてある。それが政府の中の一部の意向であるというように書いてあるわけですが、これは私実際だろうと思う。円の切下げをする、せぬということは別にして、実際において今までのような輸出計画では輸出ができなくなるのではないか、この点でありますが、それについてまず第一に聞きたいことは、ポンド切下げ以後において契約がどういう形をとつておるか、それを具体的にお聞きしたいのである。
 第二番目の問題は、きのうの本委員会における当局の御答弁では、計算をいろいろしてみたが、輸出が一割五分減くらいだろうと考える、こう言われたんですが、一体この計算というものはどういう基礎で計算されたのか。円とドルとポンドとの割合というような形では計算は出て來ないと思う。というのは、ポンドの切下げというものがそもそもポンド地域の輸出を増大するということがねらいであつて、非常に輸出競爭が行われて來ることは明らかなんです。ポンドを切下げたが、ポンド地域の輸出が増大化しないということになれば、ポンド・ブロツクはおのずから潰滅しなければならぬことになる。そうすると猛烈にポンド地域それ自体の輸出をしなければならぬ。これとはち合せをするわけです。そこで数字の上だけで何割くらい輸出が減るだろうというような問題ではなくて、非常に大きな政治的な立場から、競爭的な立場から、一体輸出が今までのような形で可能かどうかということを考えなければならぬと思う。その点に対してはどうお考えになつておるかということが第二点。第三点は、原料がポンド地域から入つて來れば、これは安くなるのだから、この点では有利だという大臣の御答弁でありますが、從來原料はドル圏から入つて來ておる。ポンド圏から入つて來ておるのは少い。この原料の輸入計画は今後おかえになる考えであるか。言いかえればポンド地域の方へ振りかえになるような方法をおとりになるお考えかどうか、これが第三点であります。
 それから第四番目の点は、今円の切下げは考えておらぬと言われるのですが、これはおそらく日本の國内では銀行資本及び繊維関係の強い要望だろうと思う。なかんずく銀行資本関係の強い要望だろうと思うのですが、この裏には今のままのレートできめておいて、非常に強力な合理化を行つて、つまり弱小企業を振り落してしまつて、投資をするのに安全なものだけをこの円高の間に残しておいて、それから円の切下げなり、その他の形をとり、それから外費導入の形をとつて來る、こういう意向がおそらく金融資本の意向であろうと考える。こういう点についてどうお考えになりますか。結局円の切下げをしなければだめだということは、おそらくお考えになつているだろうと思います。今のところ切下げはない。重大な事件が起らぬ限りはその考えはないという通産大臣の御答弁でありました。その重大な事件という意味がわかりませんが、とにかくこれは、いつか必ず切下げをしなければならぬようになることは明らかである。そうしますと、その間においてこの合理化が非常に進められ、いわゆる飢餓輸出の形が進められるのでありますから、弱小企業そのものがもうその間にどんどんつぶされて、巨大な独占資本的な企業だけが残る。それから円の切下げを行おうという形にぜひなると思うのでありますが、この点に対してはどうお考えになつておるか、まだほかにありますが、とりあえず以上述べました点について、要点でけつこうでありますから、お答えを願いたいと思います。
#14
○稻垣國務大臣 第一の御質問の数字の点については、いずれまた係の者からお答え申し上げます。今ポンドの切下げが行われたために、ポンド・ブロツクに対する輸出が減つておる。これはしかし必ずしもポンドの切下げという問題の数字的な直接な影響ではなくして、先ほども門脇委員から御指摘のあつたような、あるいは將來これがかわるのではないかといつたような先見越しの考え方、それからまた從來の旧レートによるところの整理その他によりまして、さしあたり取引が手ぬるくなつておるという点はあると存ずるのであります。しかしながらそれが必ずしもポンドの切下げによる影響なりという考え方には、私は御同意いたしかねるのであります。
 その次に、今の御質問の金融資本の援護というようなお言葉でしたか、あるいは独占資本の援護というようなお言葉であつたか存じませんが、そういう形で結局合理化をしいるのだが、いずれはそれの済んだあとで円の切りかえをやるのだろう、こういうような御質問であつたと思うのであります。しかしながらわれわれの考えておりますのは、何もわれわれに金融資本の代弁者でもなければ、あるいは独占資本ということがどういう意味か知りませんが、私が大企業の代弁者でもないのでありまして、中小企業が大部分を占めておる日本の企業の構成から言つて、中小企業を度外視してわれわれが円のレートの設定その他について考えるということに、これは非常な間違いであろうと思うのであります。実際に中小企業として、かりにレートをかえるということによつて、輸出の間には非常な困難があつたといたしましても、他の面におきまして、この三百六十円のレートをかえることによつて日本國内の物價の変動、あるいはまたこの円の改訂によつてその他に及ぼすところの種々なる影響、また中小企業が今日行つておりますところの一つの目標、合理化に対する考え方の違い、こういつたようなゆるみ、そういうものを考え会せますときに、むしろこの際なお三百六十円のレートそのままを維持して行くことの方が、中小企業にとつてもけつこうだ、それの方がいいのだ。かような考え方から三百六十円のレートを保持するという考え方を持つておるのでありまして、必ずしも金融資本が云々とか、あるいは大企業が云々というような考え方でないことをお答えいたしておきます。
 それから原料が安く手に入るから、從來ドル地域から原料が來ておつたが、これをポンド地域と振りかえる考えがあるかどうかといつたような御質問であつたと思うのであります。御承知のように、ドル地域から原料がよけい入つておつたということはどういうことかと言うと、從來ポンド・ブロツクにおける原料は、ドル地域から來る原料よりも高かつたということであります。そろばんの上でわれわれは高いものを買うわけに参りませんから、安いものをドル地域から買つておつた。ところが今度ポンドが切下げになつた。それでポンド地域から來る原料が安いという場合には、むろんポンド地域からわれわれは安い原料を持つて來るということが想定されるのでありまして、現在行われておるところの日米のスターリング・ブロツクにおける協定におきまして、おそらくはその協定額と通商の協定額というものは、昨年度の貿易協定額よりもよけいになり得ると考えております。それにいわゆる原料の輸入という面から、原料が安くなればスターリング・ブロツクの方へ原料を振りかえ得られるという立場から來ると存ずるのであります。原料がよけい入るということは、通商産業の観点から申しますると、ことにバーター制の観点から申しますれば、そのブロツクへよけい輸出ができる、こういう面も含んでおるということをあわせて申し上げたいと存ずるのであります。
 なおあとの数字の問題は、係の方から申し上げます。
#15
○武内説明員 一番初めに、今お尋ねのありました契約の概数を申し上げます。まだ数字の整理が終つておりませんし、十月の一日までの数字で、大体の傾向を御承知願いたいと思いますのでこれを申し上げます。
 切下げになりました直後の二十一日から十月一日までの契約の総額は、大体六、七百万ドルになると考えます。これは切下げ前の輸出の三分の一ぐらいに当るかと思うのであります。この内容を分析しますると、ポンド地域に対する輸出が激減をしております。その二週間を合せまして十五万ドル程度でございますが、大体においてポンド地域への輸出が半分ぐらいになりまして、非常な現象であります。その次に貿易協定その他のドル建のオープン・アカウントでやつております各國への輸出の合計が約百二十万ドルぐらい、それから第三番目に米國への輸出の総額が四百五十万ドルぐらい、これはまだ大阪の数字その他が入つておりませんので、これよりややふえておると思いますが、大体三分の一前後、こういうことになると思います。それでこれについてひとつ御説明をしておかなければなりませんのは、ポンド地域への輸出が非常に減つておるということについては、スターリング地域との交渉が今懸案になつておる。これが大きな要素であると思うのであります。この二週間で少しずつふえておりますが、これには今大臣から御説明のありましたように、近く円の切下げがあるだろうということで、買控えということが非常に多く響いておるのではないかと考えます。
 それからなお補足しまして、一割五分減の輸出になるのではないかということの説明がどこかの係官からあつたそうでありますが、これについては、私は承知しておりません。これから先一年間の輸出をそれぞれ計算してみるということは、非常に困難な仕事でありまして、これは安本その他ではそういう計算を一應立てる必要があることはもちろんでありますが、日本のみならずこれからの國際経済がどういうふうになつて行くかということによつて、非常に左右されることでありまして、一割減になるか、あるいはもつとふえるか、あるいはもつと減るかというようなことについては、ちよつと明確な見通しはだれにもつかないのではないか、こういうふうに考えられます。
 それからもう一つただいまの輸出貿易は御承知の通りに輸入しなければ輸出ができないという関係が非常に強く出て來ておりまして、そのために貿易協定その他のとりきめ、あるいはとりきめはありませんでも、名國との輸出入を見合せて、実際の輸出ないし輸入が行われておるという状況でありますので、今度のポンドその他の為替の切下げによつて輸入が容易になつて來た。たとえば南米問題などに輸出しようと思いますと輸入をしなければならない。しかし向うの物價が高いために輸入ができなかつた、輸出もできなかつたというような地域に対しては、非常にやりよくなつたという点もあると思います。
 それから三番目の輸入先の振替えの問題でありますが、これは通商局といたしましても、非常に重大な問題と考えまして、種々立案をしております。場合によりまして今までも多少は行われておつたのでありますが、援助資金による買付をそちらの方に振り向けるというようなこともだんだんいたしたいと思つて計画をいたしております。それだけ追加しておきます。
#16
○川上委員 一割五分という問題は、今日の安本の方の御答弁が非常に正確だと思います。きのうの一割五分減という御答弁は非常に疑問だつたのですが、その点は了解しました。そこで実際どのくらい減になつて行くかということを今からきめてしまうことは、もちろん困難なことでありますが、これは何と言つてもこういう形になつて來ますと、今の貿易の契約が少くなつておるのはただ思感だけではないということは明らかです。そうすると円の切下げをしないということになれば、どうしてもコストの切下げをしなければ実際輸出はできない。どれくらい下げなければならぬとお考えになつておりますか、これは下げぬでもいいというようなお考えでしようか、どうしてもコストはうんと下げなければならぬとお考えになつておるかどうか、これが一つ。
 それから第二の問題としまして、ポンド地域からの原料輸入が期待されるというお話でありましたが、これについて私のちよつと聞きたいことに、ポンド地域における協定貿易、たとえばアルゼンチン、ブラジル、オーストラリア等との協定の内容を察するに、これは非常に抱合せが多いのではないかと思う。実際は日本の國で産するものの、あるいはさしあたりあまり必要のないもの、こういうものも一緒に來ておるのではないかと思う。これが協定貿易の内容のように思いますが、この点についてそういうことがあるのかないのか、私は必ずあるだろうと推測しておるのですが、あればどんなものが來ておるのかということをお知らせ願いたい。言いかえれば協定貿易の内容であります。一例をあげれば朝鮮と貿易をしていろいろなものが來ておる。あるいはアルゼンチン、ブラジルからいろいろなものが來ておる、この内容であります。この二点をお聞きいたしたい。
#17
○稻垣國務大臣 第一点の問題についてお答え申し上げます。先ほども門脇委員の御質問のときに申し上げたわけでありますが、ポンド・ブロツクの價格の切下げによつて、大体二割上つておるということは、二割の切下げに対して差が一割だ、こういうことになると思うのであります。そこでそのほかに輸入輸入が安く入つて來る、その他のいろいろの要素を考慮に入れます場合におきまして、われわれが輸出する場合において一割以内の操作ということに切詰められて來ると思うのであります。一割以内の操作ということはそうでなくても、われわれが現に企業の合理化として目標としておる点であります。ことさらに今日これをあらためて目標として一割下げるんだ、二割下げるんだ、こういつたような考え方で言うべきではなくして、一割という程度の合理化は日本の企業が從來非常に温室的な形で育成されておつた、それがために合理化すべき点が経営能率の上におきましても、あるいは機械技術の上におきましても、多々あると思うのであります。それが一割である、あるいは二割であるというような点はしばらくおきましても、少くとも一割見当の合理化は今日輸出というものから離れても考えておかなければならぬということをお答え申し上げたいと思うのであります。
 それから第二点の問題としては、こまかい一々の協定の内容については申し上げかねるのでありますが、向うが出したいものに、われわれがほしくないものがあるということは当然でありまして、われわれが出したいものを向うがほしくないこともあるのであります。ただ貿易内容の関係上、そこに多少のかけひきと申しますか、われわれがよけい輸出したいために、ある程度向うのものを入れなければならぬという場合も起り得ると考えておるのであります。個々の場合について詳しく申し上げる材料をただいま持つておりませんけれども、そういうようなケースは貿易の面において当然起り得ると思うのであります。ただだんだん日本内地のそういう方面の産業が回復して來た、たとえば硫化鉄鉱なりあるいはその他の面においても、日本内地で間に合うものは、これは從來すでに契約をしておる、あるいはとりきめをしておるものでも、大胆に実はこれをお断りして、そうしてこれを打切つてもらつておるという面があることを、なお申し添えておきます。
#18
○川上委員 通産大臣はそう御説明になりますが、しかし一割くらいのコストの切下げを考えておつたのは、ポンドの切下げは念頭に入れておらなかつた時分に一割くらい考えておられた。ところがポンドの切下げという問題が出て來たわけです。そうして現在契約が以前に比べて三分の一に減少しておる。ドル地域はもつとひどく減少しておる。しかしこれは円を切下げるであろうという思惑の影響だというように簡單に軽く考えるべき問題ではないと思う。一割くらいのコストを下げるのはあたりまえだと言われますが、ポンド切下げの影響を受けて、日本のポンド地域に対する貿易が非常に困難になつたときに、やはり一割でいいというようなりくつは立たぬと思う。もつと切り下げなければいかぬのじやないか、あるいは円の切下げをしなければ輸出に出ないのではないか、この点は重大だと思うのです。特にこれは向うは三割下つて、日本の関係としては差引一割という数字の問題ではなくて、國際的な輸出の競爭、ことに恐慌に入りかかつているというような状態を一緒に考えまして、猛烈なせり合いが行われるのでありますから、それにポンドの切下げ問題を加えると、今までのコストの引下げ方針というようなものでは、とうてい追いつくものではないと考えざるを得ないのですが、この点は大臣はそんなことはない、一向さしつかえないのだ、こうお考えになるのでありますか、その点はつきりお聞きしておきたいと思います。
#19
○稻垣國務大臣 大分川上さんから追究されておるような形になりましたが、私が先ほどポンド地域に出ないのは、先で変更があるだろうということを予想して考えているということも一つの例であると申し上げましたが、その他いろいろな事情があると思います。現在日英会談が進行中であつて、ポンド・ブロツクに対しては、実際出し得ないという状態であるということも、減つておる一つの原因であります。その他にもいろいろな原因もあることと思いますが、それはさておきまして、そこで一割はそういうことがなくても期待しておつたのだ、こういうことを申し上げたのでありまして、私の言いたいことは、実際に一割あるいは一割五分といつたような企業の合理化は、通商産業省といたしましては、そういうものと無関係にも、すでにわれわれは考えなければいかぬ立場におるのだ、これがかりにポンドの切下げがありませんでも、世界の、いわゆる川止さんの御指摘のような貿易競爭というようなものに対する全体的の心構えとしても、それだけのものはやはり下げなくちやいけなかつた。当然これはただいま受けるところの影響というものを、何も事新しく取上げるには当らないのじやないか、こういうことを申し上げたのであります。そこでなるほど川上さんのおつしやるように、英國としてもポンドの切下げというものは、結局できるだけ輸出を振興したいということにあることはむろんであります。從つて競爭ということは当然想定されるところであります。ただそれではその競爭をするために、われわれもまた円を切り下げて、かりにわれわれが樂に出せるということになりますと、今の競爭という観念から言つて、もう一ぺんポンドも切り下げる。ここにおのおのレートの切り下げ競爭が行われるというおそれもなきにしもあらずと思うのであります。先ほども申しましたように、いろいろの観点から今日円の切りかえというものはやらないのだというように、われわれの考え方をまとめたわけでありまして、これについて円を切りかえることがいいのだという御意見も、むろん成立ち得ると私は思います。成立たぬとは申し上げないのであります。しかしながら現税府の政策としては、円の切下げはやらないのだという考え方であることを申し上げたいのであります。
#20
○川上委員 円を切り下げたらよいということを主張するのではありませんが、しかし円を切り下げないで一体やれるかどうかということを私は問題にしておるのだ。通産大臣は心配はないというようなことを言われますけれども、今やつておるところでも厖大な失業者が出ている。中小企業はつぶれようとしている。國内はたいへんなことになつている。この上になお二割もコストの切下げをやらなければならぬということになれば、これは一体どういうことになるか、國内の産業状態というものはまさに混乱に陥つて、中小企業はもちろんのこと、もつと大きな民族産業までも破滅に陥るばかりでなしに、國民の生活、労働階級の生活というものにどういうことになるか、きわめて危險である。しかも失業対策は行われておらぬ。社会保險は一向進んでおらない。國土にどんどん荒廃しつつあるのです。円を切り下げるがいいか悪いかという問題ではなくて、こういうコストの切下げという形でそれを切り抜けようとするならば、一体これに産業の問題ができるのかどうか、この点ひとつ通産大臣のお考えをお聞きしたいのだ。ただ心配がないと言われますけれども、これは心配があるのです。そんな簡單なものではないと私は思うのです。こういう重大な状態になつているときに、政府当局の方々が、きわめて困難である、まことに心配であるけれそも、かくのごとき政策を立ててやるのだというお考えならば、われわれにはわかるが、こういう困難なときに直面しながら、心配はないというような御答弁ではどうしても安心することができない。困難ですから心配なんだし、ほんとうに打明けて、だからわれわれはかくのごとき政策を立てるのだ、こうするのだということを打出されませんと、國内は混乱陥ると思う。ほんとうに心配はないのですか、この点はつきりお聞きしておきたい。
#21
○稻垣國務大臣 私は先ほども申し上げましたように、円の切下げをするという考え方も成立ち得るのであります。また実際に今日われわれがポンドの切下げによつて受けておりますところの影響というもののあることも、もちろんであります。これに対してわれわれに何らか善処しなければならぬ。ただこの善処する場合、このまましートを維持して善処して行くか、あるいはレートの切かえを行つてこれをやるということについての利害を考えまして、先ほどからたびたび申し上げましたように、われわれとしてはこの際三百六十円のレートを維持して行くことが、日本産業全体のために必要である、かように考えたわけであります。
 それから今の川上さんの、企業合理化をやることは日本の産業を破壊に導いてしまうものだ、つぶしてしまうものだ。こういう御議論でありますが、これは私は全然反対でありまして、この企業の合理化があつてこそ、初めて日本の産業はほんとうに軌道の上に乗り、ほんとうの再建の上に立つて行くのだというように私は考えてありますので、この点は川上さんと意見を異にいたしております。
#22
○川上委員 私はここで議論はいたしたくないのでありますが、企業合理化があたりまえだというようなことに、どうしても受けとれない。今日の朝日新聞にも、「中小炭鉱に危機」「業界、閉鎖続出を憂慮」というような、たいへんなことが書いてある。これはわれわれが前の商工委員会において、こうなりますと言つたら、当局の方は、ならぬと言われた。中小炭鉱なんかつぶれるものじやないと思うということを管理局長も言つた。ところがどうです。これはたいへんなことになる。民主自由党の方々も、民主党の方々も、社会党の方々も、これはたいへんだと思つておられるに違いない。これは企業合理化の日本における一つの形です。なるほどりくつの上で企業合理化というものは思いものじやない。しかし日本の現状においては、かくのごとき合理化政策、政府の言われる合理化方策をとつて行くということは、これはあたりまえのことではない。産業の破壊です。國土の破壊です。これははつきり私は言えると思う。明らかに炭鉱でも出て來ている。殊に全國における今の中小企業の状態を、もし通産大臣がお歩きになつて、偉い人ばかりにお会いになるのではなくて、下部のほんとうに困つている企業の方々に会つてごらんになれば、これはたいへんなことになつているということを、身をもつてお感じになると思う。だから、これは議論するのではありませんが、企業合理化というものはやらなければならぬもので、あたりまえだというようなりくつで、今の日本の現実の有様をおつかみになりますならば、これは政治はできない。こういう形でやつたら日本の産業、日本の國土は破壊されてしまう。これは私は大臣の答弁の中にかなりはつきり出ているということを申し上げざるを得ない。しかしここは議論する所ではありませんから、おそらく大臣に、それは見解の相違であるということで一蹴されるだろうと思う。しかしこの問題は実際見解の相違くらいで片づく問題ではないということを私はあらためて言つておきたい。
 時間がありませんから次の質問に移ります。ポンド領域の決済じりを今後外債支拂いに充てる意思があるかないか、この点、簡單でよろしゆうございますからお答え願いたい。
#23
○宮幡説明員 大臣に対する御質問でありますが、私かわつて申し上げます。今の御質問はきわめて簡明でありますので、要旨のこまかいところはわかりませんが、御質問のような程度のことはただいま政府として考えておりません。さよう御了承願います。
#24
○川上委員 ただいまは考えておらぬでも、將來お考えになることはありませんか。
#25
○宮幡説明員 その点につきましては、大臣から大綱につきまして詳しく申し上げてありますので、重複を避けますが、要するにポンドの切下げ、あるいはポンド貿易ということを考えて参りますと、おもにバーター・システムをとります関係で、物の出入りがはげしくなるのであつて、フアンドがそこに幾ら残るということは、ただいま見通しがつかないことの方がほんとうではないかと思います。從つてかつて考えましたようなドル地域からの輸入超過、ポンド地域への出超というようなことが顕著な事実となつて、これによりまして外債償還のことを念頭に置かねばならぬ状況に相なりますれば、川上委員が仰せられるようなことを構想すべきだと思つております。ただいまの状況では必ずしもポンド出超ということが期待できないので、外債にまわすということは構想すべからざる事実と、考えております。
#26
○川上委員 そういう事件が生じたら、私の言うようなことも可能性があるというように承知しておきます。
 その次に財閥解体に作つて新会社設立禁止條項、これによると、旧社員百名、旧幹部二名以上を含むものは認められないことになつておるのでありますが、実際においてはこれが緩和されることを予定されて、たとえば三井物産、三菱商事、これらの営業所が二百もありまして、これが再編成をしておるということを聞いておりますが、かような事実がありますか、ありませんか、このことをちよつとお聞きしておきたい。
#27
○稻垣國務大臣 私はそういうことは全然承つておりませんし、またそういうことはなかろうと存じます。どういう意味でありますか、三井物産なり、三菱商事というものが、あちらこちらに支店を設けて、從來の形に復して來るという意外のように承りましたが、それならば全然私承知しておりません。またそういう考えも持つておりません。
#28
○川上委員 食糧の輸入の問題でありますが、現在月々食糧がたしか三十万トンぐらい入つているのじやないかと思うのであります。それを二十万トンぐらい放出されて、十万トンぐらいは放出されないで残つておるのではないかと思います。そうして現在おそらく四十万トンぐらいは積まれておるだろうと思う。この貿易は來年二月まで行われる計画の予定のように承つておりますが、そうすると九十万トンというものが、そこに積まれて來るのであります。これは一体どういうことになるのですか、一方においてはいもの統制を撤廃する。一方においては輸入した食糧が積まれておる。こういう関係をたどつてみると、政府は日本の農業を一体どうなさるおつもりであるか、いもの統制撤廃の問題だけではありませんが、日本の農業生産とからみ合わせ、この御意見をお伺いしたい。これには肥料の問題も加わつております。肥料会社はフルに動いていない。さらにこれには日本の災害復旧の問題が加わつております。台風その他の災害、水害のために亡失する米は莫大でありますが、これに対する処置が一向とられておらぬ。そうするとどうもわれわれの考えでは、日本の農業をどんどん荒廃の形に放任しておきながら、食糧の備入だけは一生懸命やるような考えを持つておるのじやないか、こういうように思える。現在も輸入食糧が放出されないでたまつておる。これはどういうお考えであるか、この点を簡單でけつこうですから、要点だけひとつお知らせ願いたいと思う。
#29
○宮幡説明員 食糧の問題は農林省からお答えすべきでありますが、重要なる御質問でありますので、通産省の存じております程度のことをはつきり申し上げます。食糧の年間輸入計画の数字については、川上さんのおつしやる程度のものが計画されておつたことと存じておりますが、御承知のような、今御心配になります國内農業というものと見合いしまして、ただいまのところ政府の方針としては食糧の輸入は二百六十万トン程度に抑えていただきたいことを懇請いたしております。かつてはアメリカの援助によつて命をつないで参りましたその恩義に対してまして、お断りするというようなことは非常に行き過ぎたことであるかもしれませんが、國内農業というものを顧みまして、われわれ國民の自立体制を一日も早く整えるという見地から、農業分野を保護する立場におきましては、お断りするのが妥当であろうと考えまして、ただいま二百六十万トン程度にしていだたきたい、かようにお願いいたしておることが事実であります。輸入食糧がたまつておるだろうというようなお尋ねもありますが、これはやはり法定の配給、現在で申せば二合七勺を維持して行きます上に必要な程度のものであります。あまり農家生産に重大な影響を及ぼすような手持食糧はないような状態であります。しかもただいま御指摘されましたいもの統制撤廃、この問題は――ちよつと速記をやめていただきたい。
#30
○神田委員長代理 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#31
○神田委員長代理 速記を始めてください。
#32
○宮幡説明員 以上申し上げましたようなことでただいま進んでおります。これは農林省が專門的立場から所見を申し上げる機会もあろうと思いますが、通産省として申し上げますことは以上であります。
#33
○川上委員 その方針は極力強行されんことを希望いたします。
 さらにつけ加えて、ポンド切下げ、カナダは一割切り下げたと思います。そうするとカナダの小麦は下つて來るわけなのですが、今後小麦の生産國は非常に多くつくり、とうもろこしなどはたくさんつくつておりますが、それで今度小麦協定にもお入りになる形であると思いますが、そうすると四箇年間は現在の價格で買い取らなければなちぬが、將來小麦の値段は下ると思うのでありますが、この点について通産省の方では、貿易に関係しますので、どうお考えになつておるのであるか、これをちよつとお聞きしたい。
 なおそれにつけ加えて、カナダの切下げがあり、ポンド地域が全國的に切下げになつておる。今通産大臣の御答弁でも、原料輸入はポンド地域の方にできる限り切りかえる。こういうお考えでありますならば、明年度の輸入計画というものはかなり大きくかわつて來なければならんことになるのでありますが、これはほとんど根本的にといつてもよいほどおかえになるお考えでありますか、どうでしようか。この点をあわせてお聞きしておきたいのであります。
#34
○稻垣國務大臣 むろん來年の輸入計画その他については実情に應じてかえて行かなければならないと考えております。ただ今なお日英会談を続行中でありまして、まだ結論に至つておりません。お尋ねの点についてもポンド切下げに伴つて全体的に輸出輸入の計画の上において再檢討せらるべきは当然であります。さつき小麦協定に加わるかどうかという問題がありましたが、これは小麦協定に加わることに閣議でも決定いたしまして、大体百二十万トンを申し出ているわけであります。これによりますると、自然從來輸入しておりました價格よりも、相当低廉に輸入し得ることに相なると存じております。これがどれだけ低廉になるかという点については、まだはつきりしたものはありませんけれども、実際小麦協定に入りました國におきましては、從來もらつているところのものよりも一割あるいはそれ以下の低廉になるのではないか、かように考えているわけであります。
#35
○川上委員 現在のところではそうなるでありましようが、今後四箇年の間はやはり小麦協定に加わつている方が安いというわけでありましようか、國内の強行の状態、小麦の生産の状態、なかんずく農業恐慌の状態、こういうことをお考えになつて、協定の期間中協定に加わつている方が安く入るというお考えでありますか。その点はどうでありますか。
#36
○稻垣國務大臣 この点はむしろ農林大臣がお答えいたしまするのが至当であるかと私は思うのでありますが、われわれといたしましては、今御指摘のような考え方で、この小麦協定に加わるべきだ、かように考えているわけであります。
#37
○川上委員 通産大臣はだんだんと本領を発揮して、非常に要領を得ぬ返答をされております。この問題はこれ以上聞いてもおそらくなまずのような返事しかできないと思いますから、最後に貿易についてもう一つだけお尋ねします。それは中日貿易の問題でありますが、香港を通じて中日貿易が一部行われておつたはずでありますが、最近中國の解放地区との貿易が実際上行われているのじやないかというように察するのでありますが、これは一体どうなつているのでありますか、これをひとつ具体的にお聞きしたい。
#38
○武内説明員 中共地区との貿易はどうなつているかというお尋ねと思いますが、中共地区との貿易について種々な困難がありますことは御承知の通りであります。從つてほとんど直接の貿易は行われておりません。しかしいろいろな技術的な問題もありまするが、引合いがありまして、こういう契約をしてこういうものを入れたい、あるいはこういうものを出したいというような話があることに、これまた御承知の通りであります。どういう契約が考えられているか、あるいは契約が通産省に提出されまして、それを司令部へ持つて行きまして、許可されているかという点は、私はつきり覚えておりませんが、二、三そういう直接的な契約が行われているということは事実であります。これにつきましては、また資料をごらんに入れることができると思いますが、先ほど申しました種々技術的な困難がありまするが、両方の國民の経済的な福祉に貢献するような契約ができまして、そうしてそれが実際上行われるという見込みがついておりますものについては実現をいたしたい、こういう方針で事務を処理いたしております。それだけのことを申し上げます。
#39
○川上委員 貿易については、今のことに関連して、いま一つお聞きしたいのですが、かつてわれわれは中共、朝鮮、その他外蒙古を加えての貿易、特に中央との貿易を振興させなければ日本の産業の復興はできないのじやないかということを、たびたび質問したのでありますが、これに対してかつて吉田首相は、共産党は中共と貿易をしなければ日本は困るというようなことを言つているが、そんなことはない。これは共産党の宣轉だということを延べられて、これが朝日新聞にも掲げられたことがある。その後今日ではポンド・ブロツクとの貿易も、きわめて困難になりつつある。いろいろな問題が起きつつあるということは、先ほども通産大臣その他から御答弁があつた通りの状態でありますが、いよいよますますもつて中國と日本との貿易というものは、重大な段階に入つて來たと思う。これについては民間業者も相当考えておりまして、私大阪でありますが、大阪の業者のごときも中國との貿易というものがどうなるかということでは、たとえば扶桑金属にいたしましても、栗本鉄鋼にしても、あるいはその他の大企業が重大な関心を持つている。この問題について、從來のように政府の方ではそんな所とは貿易をしないでもやつて行けるのだ。こういうお考えを持つておられるのでありますか、あるいは中國との貿易はきわめて重大な段階に入つて來たのだ。こうお考えになつておりましようか、この点を通産大臣から特にお聞をしておきたいと思うのであります。
#40
○稻垣國務大臣 これはたびたびこの前にも川上さんから御質問があつて、そのつどお答えいたしていると思いますが、私は対中國貿易は非常に重要で、この点は前からたびたび申し上げている通りであります。從つてわれわれは中共地区との間の取引をむろん希望いたす次第であります。ただ問題は、御承知のようにわれわれは占領下にあつて、司令部のポリシーに從つて行かなければならぬ立場にあります。その観点から考えまして、われわれは司令部のポリシーに從つて行かなければならないのでありますが、しかし一面中共貿易は非常に重要でありますので、具体的に取引が行われる場合におきましては、これを促進しているということも、その当時お答えいたした通りであります。それで從來は香港なり、あるいはその他の地区を通じての取引が行われておつたことは、そのときにも申し上げましたが、それ以外にも直接の取引と申しますか、直後に向うからの要望もあり、こちらもむろん希望があつて、その間におのずから話合いができたものも、先ほど武内説明員から申し上げたように二、三あつたわけでありまして、今後ともできる限り促進いたしたいと思うのであります。ただ武内君が申しましたように、いろいろ抜衛的に困難があり、たとえば船の問題があり、あるいはこれの取引の決済の問題があり、そういつたような船の問題とか、決済の問題になりますと、実際になかなかこれが実行に移せないというような問題があります。ことに向うで船を持つていないというようなことも、大きな問題になつているのでありまして、われわれがこれを無視するとか、あるいは問題にしていないとかいうようなことは絶対にないのであります。われわれとしては、とにかく対中國貿易というものは、從來も日本の輸出入の三割以上を占めておつた観点から見ても、ぜひこれは促進しなければならぬと考えております。ただ先ほどからたびたび申し上げましたように、われわれは司令部の管理下にあるのでありますから、そのポリシーには從わなければならぬ。かように考えているわけであります。
#41
○川上委員 その問題について、やはり重要な点が抜けている。それは中國との貿易はする方が得だということはたびたび言われたので、それはわかつたわけですが、中國との貿易をしないでもやつて行けるのか、そのお考えを聞きたい。中國との貿易は占領下として條件がある、これはわかります。だからしかたがないならば、これはやらないでもやつて行けるのですか、今日の段階にはいろいろな事情がありましようが、通産大臣としては、これはどうしてもやつてもらわなければ、日本の産業の復興はできない。こうお考えになるのですか。やれなければ、これはしかたがない、やはりほかでやられるのだとお考えになるか、この点をお聞きしたいのです。
#42
○稻垣國務大臣 これは私がお答えしているのでおわかりと思いますが、先ほど申しましたように占領下にありまするから、そのポリシイに從わなければならぬ。かりに向うの方でやること絶対相ならぬと言われれば、それに從わなければならぬことはもちろんであります。但しわれわれといたしましてはこれをやることが最も望ましいのでありまするから、できるだけそういつたことでなしに、これとの間の取引を打開するように、いろいろ努力し、工夫をいたしておる、こういうことでありまして、今することは相ならぬという命令を受けてはおりませんし、ただ向うのポリシーといたしまして、正式の取引は行われておりませんが、今みたいな間接的な取引にまで干渉されておるわけでもございませんから、できるだけ打開して行きたい。またこれがあることは最も望ましい。しかしながらどうしてもいかぬということになれば、実際にどうにも相ならぬのであつて、われわれの力の及ぶところでないのでありますから、他の方面においてこれを開拓することを考えざるを得ないのであります。これはもとよりそれだけの補いを他の方面でするよりしかたがないと思うのであります。それはそれの方が困難であり、またなかなかたいへんなことでありますけれども、全然それを禁止されてしまえば、他の方面でやるより日本の立場がないのであります。これは川上君がいくら言つてもしかたがないので、どうもやむを得ない。しかしながらわれわれとしてはできるだけそうでなしに、この方面についての努力もいたしておきたい、かように考えておるわけであります。
#43
○川上委員 つまりそれができなかつたらたいへんなことになるということは、お認めになつておるように私は了承いたします。しかたがないというだけで……
#44
○稻垣國務大臣 それは今申しましたように、われわれはそれを禁止されてしまつたらたいへんなことになると言つて手をつかねて、ばかみたいな顔をして見ておるのではなくて、それならばそれで、また他に開くところの道を考えなければならぬ、こういうふうに考えておるということをなお特につけ加えておきます。
#45
○川上委員 通産大臣だからしかたがないとして了承しておきます。今の中小企業に対する問題は、政府には中小企業の対策はないのだから、中小企業をつぶそうとしているのだから、いくら質問したところでほとんどお話にならぬと思う。
 そこでもう一つだけお伺いいたしますが、産業合理化委員会は、おつくりになる予定でありますかどうですか。これで私の質問は打切ります。この産業合理化委員会を中央、地方につくつて、そしてこれで産業合理化を押し進め、中小企業をつぶしたり、多大の失業者を出してコストを引下げる、このことが具体的になるならおそらくこれは法制化されるだろうと思う。こういうお考えがあるのですか、どうですか。その点の説明をお聞きしておきます。
#46
○稻垣國務大臣 委員会とお話になりましたけれども、多分産業合理化審議会のお話だろうと思うのでございます。それはわれわれの方でそういう計画を持つておりまするし、またそれを実行する場合には、これを法制化しなければならぬかと存じております。今研究中でございます。
#47
○今澄委員 貿易についてはいろいろ承りまして、大体の了解をしました。中小企業の問題については、中金の問題とかいろいろありますが、時間がないので今日は私は貿易の中の密貿易について、一、二点お伺いをしたいと思います。この密貿易は大藏省の発表を見てみると、最近特に増加の一方である。われわれがいつも連絡をとつておる山口縣から九州五島にかけての今日の密貿易船の檢挙の状態と、その数量等を見ると、わが國の経済に及ぼす影響がまことに大きい。特に治外法権的な形でもつて、日本にその経済的地盤をふやした中華民國並びに朝鮮等からの人々の、これらにおける活動の状況等をながめると、わが國の貿易政策の中で、このような密貿易が一体何に原因しているか。今日はこれらの取締の海上保安庁の課長の方が、見えておられるのでありますが、現在どういう状態であるか。
 それから將來の日本の経済と密貿易の檢挙率と数量が、一体どれだけ影響があるか、密貿易に関する現下の状況と、これに対する通産省の方策を簡單に通産大臣からお聞かせ寝返れば仕合せだと思います。
#48
○稻垣國務大臣 密貿易の点につきましては、御指摘の通り非常に遺憾しごくのことでありまして、そういつたようなもぐりがありますことは、全体の貿易の上におきますのみならず、日本の治安の問題におきましても、あるいはまた海上保安の上におきましても非常に遺憾でありまして、この点につきましては運輸省とも始終協議をいたしている次第でありまして、これが防止につきまして十分なる努力をして行かなければならぬと考えているのであります。なお運輸当局と十分連絡をとりますと同時に、また海上保安と申しましても、御承知のように日本の保安船は整備の点から言いましても、その他の点におきましても、非常に貧弱なものでありますので、そういう点につきましても司令部との間に折衝を――これは運輸省の方で重ねておられると存じておるのでおります。保安船の増強その他についても、いずれ保安庁の方からお答えがあると存ずるのでありますが、そういう点についても通産省といたしましては、これが促進力について司令部関係とも十分連絡をとつて、やつて行きたいと考えている次第であります。
#49
○多田説明員 密貿のことにおきましては、私の方と國家警察本部とが主体になりまして、防止につとめているわけであります。私の方といたしましては、今通産大臣からお話がありましたように、非常に船の点が弱体ではありますけれども、一番密貿の可能性のある地点に重点を置きまして警戒船を配置しております。配置の状況を御報告申し上げますと、まず門司保安本部に二十隻、廣島保安本部八隻、神戸保安本部五隻、名古屋三隻、東海二隻、塩釜六隻、北海道五隻、新潟二隻、舞鶴二隻、パトロール・ボートで申しますと大体八十数トン程度、速力は大体十ノツト程度でございます。これをもう少し優秀な新船と漸次かえる計画になつております。
 それから密貿の檢挙でございますが、これはお手元に昨日配付しました資料によりましてごらん願いたい。私の方は御存じのように昭和二十三年五月発足いたしました関係で、ちようど一年間の総数であります。すべて関税法違反として税関に引継ぐことになつておりますから、日本全國の密貿関係の正確な金額は、大藏省の税関部にありますから、そちらからお取り願いたいと思います。しかしながら大体の情勢は、額は小幅ですけれども、これで全貌がわかります。やはり何と言いましても、密輸入の大きいものは砂糖、生ゴムです。それから密輸出品としましては、日用雑貨品、それから医薬品この二つが大宗であります。私の方としては、密貿、密航については、最近月平均十件程度あげて、着々と功を奏しております。從いまして、相手方、密貿をやる犯人の方でも非常に手口が巧妙になりまして、これと競爭をするというかつこうになつております。
#50
○今澄委員 そこで概略海上保安庁の方々の御苦心もわかつたのでありますが、きようは時間がありませんから簡單に質問しますが、全國的な密貿易の組織として、東京へ本部を置き、支部を門司、小倉、下関等に置いて、たとえば下関においては明政会というような名称を持ち、バツジをつけて、それらの密貿易團のしるしとするというような、総員数千名にわたる大きな密貿易團の存在があると言われておるわけであります。しかしてこれらの密貿易の團体が、物資部、連絡部、情報部、輸送部、テロ暗殺部というような組織を持つて、非常に大きな動きをしておる、しかもそれらの末端の情報については、警察署において地方の意見が檢挙され、あるいはそのような投書が行くので、そういう状態が中央へわからなければならぬようにわれわれは思うのでありますが、そういつた大きい密貿易團の実態というものが、海上保安庁の方で今おわかりでございますならば、この際報告を願いたいと思います。
#51
○多田説明員 その点につきましては、私の方は海上保安庁で、海上の防備ということになつております関係上、そういうものの首魁に関する情報等が手に入つた場合は、結局國家警察本部の方に提供して、國家警察本部がそれをつかまえるということになつております。しかしてこの間九月、私の方と國家警察本部の防犯課、法務府、それから税関と三者寄つたけれども、なかなか最後のところはつかまえにくいというふうな、その当時の係官の意向でしたが、鋭意努力して、相当困難は感じつつも追つかけておるのであります。他日そういう大々的な密輸入團は、檢挙されるものと信ずるものであります。
#52
○今澄委員 そこでそういう情報は、海上保安庁が第一線であるから、商工行政並びに國内経済治安の建前から、われわれにそういつた問題についてぜひあわせて御報告願いたいと思いましたが、やむを得ません。そこでこれらの密輸船の、あなた方が前線において見られた装備並びに速力、その他いろいろの問題と、わが國の今の警備艇との比較等実際の状況をあわせてこの際御報告を願いたいと思います。
#53
○多田説明員 その点は、私の現在までにおいて知り得たところでごかんべんを願いたいと思います。
 まず装備でありますが、装備は私の方は通商大臣もおつしやいましたように、法的には武器を持つことが許されておりますけれども、現実の面として何一つ持つておりません。陸は御存じのように、警察官はピストルを携帯しておりますが、私の方は持つておりません。それから密貿船に乗つている相手でございますが、相手の方はたいていの場合において、いわゆる重火器という程度のものを持つているものも、最近まれにはありましたが、一般にはそういうものはなくて、やはりピストルあるいは短刀あるいは刀というふうな武器を持つております。最近大黒丸事件がありました。大黒丸という密輸船が神戸の灘濱という海岸で、あがりましたが、これにいわゆるキヤツチヤー・ボートで、捕鯨砲を載せておりました、しかももりを切つておりましたものですから、向うとしてはいざという場合には、三十ミリと四十ミリとある両方の砲を撃つんじやないかということが考えられました。最近ではまただんだん大きな武器を携帯するようになつて來ております。
 それから速力でございますが、大体機帆船三十総トンから二十総トン程度の船でございますが、速力は大体十五ノツトくらい出ます。私の方の船は、先ほど申しましたように十ノツトでございますから、大体において普通追つかけて行くという点においてはかなわない。從いましてこの点においても、もつと速力の速い船を持たなければならぬと考えております。
 それから人間でございますが、向うは大体密貿船に乗つている船員はやはり日本人、從つてお手元に差し上げました表の日本人というのは船員であります。首魁その他はいわゆる三國人であります。日本人は頼まれてやる場合と、知らずしてやる場合と二つありまして、途中まで行つて初めてわかりまして、結局相手方にやむを得ず巻き込まれてしまうのと二つあるそうでありますが、最近ではほとんど共謀、共犯という関係が成立つております。
 なおこまかい点はもし御必要がありましたら、写眞等もとつたのがありますから、ごらんに入れます。
#54
○今澄委員 時間がありませんから、大体今の御答弁で、今日の海上保安の状態が一体どの程度のものであり、日本における密貿易船の装備がどの程度のものであつて、これはほとんど自由放任の形において密貿易が行われつつあるという現状が、私ははつきりしたと思うのであります。われわれが調査したところによれば、まず整備、装備を対象にして考えてみると、五億円程度の富を持つていると目されるところの者も、わが國に在住しつつある状態であります。それから一億円程度のものは相当あるようである。しかも日本の経済は今後統制をはずして非常に自由経済になり、企業の合理化をはかり、國民は乏しきに耐えなければならぬときに、このような状態が行われることはまことに遺憾千万でございます。ポツダム宣言に、わが國における第三國人の商取引を阻害することはできないというような規定はあるが、われわれは正当な取引を行い、わが國の法律に從うということに最も氣をつけなければならぬ。そこで今の御答弁によつて、現在行われておるわが國の密貿易というものは、日本において、日本のインフレ経済に便乗して活動しておつたこれらの第三國人が、今日の不況下において、その血路をどうしても密貿易によらなければ切り抜けることができないというその必然の運命に追い詰められておるために、私の見るところでは、今後ますますその猖獗をはなはだしゆうすると思うのであります。そこできようは私は海上保安庁の長官と國警の責任者にこの点についてただしたかつたのでありますが、これはまた別の機会に譲るとして、少くとも政府にこれらの海上保安における整備並びにそれらの密輸船に関する取締りについて、いま少しく責任のある態度をもつて國会に報告されることを希望するし、特に私は委員長に対して、これらの密貿易船によるわが國経済への影響を調査し、密貿易の團体が、今私が例をあげた一つの数千名の團体は近く檢挙されるであろうという海上保安庁の方のまことに力強いお話でありましたが、われわれはこの密貿易團についても、大体どういう人がどういうふうに参加して、しかもどういう方面にその金が使われておるかというような状態についても、資料を整えておる次第であります。よつて私どもはこのような問題については、できれば当委員会において、これを取上げ、こういつたわが國の経済に影響を及ぼすような大きな團体が、たといいかなる方面と結んで、いかなる力があろうとも、断じてこれを私どもが摘発して、こういうことの今後発生しないというような強力な見解を、商工委員会においては、できれば皆さんに諮つていただいてとりきめ、それらの勧告をもいたしたい。かように考えてきようは時間がございませんので、次回の商工委員会には、それらの國家警察並びに海上保安の責任者をも、ひとつお招き願いまして、この席上において十分私は質疑をいたしたい、かように考えて質疑を打切ります。
#55
○神田委員長代理 委員長からお答えいたします。ただいま今澄委員から密貿易取締りに関して、非常な御注意がございました。しごくごもつともと考えておりますので、次回の理事会等に諮りまして、適当な処理を講じたいと思つております。以上お答えいたします。他に御質疑ございませんか。
#56
○高木委員 中小企業の金融について通産大臣にお尋ねいたしたいと思います。現在中小企業の助長、発展、育成は一に金融以外にはないと存じまするが、現在におきましては、日銀のわくから出ております二十億以外には、何ら金融の措置が講ぜられておらないと存ずるのであります。最近日銀のマーケツト・オペレーシヨンによりまして、二十億の資金が中小企業の設備資金として放出せられるやに承りました。それ以外に復金の返済金によります保証貸しの三十億、あるいは日銀預金部の資金から百五十億、あるいは見返り資金による五十億等のいろいろの事柄が新聞に傳えられておるのでありまして、今後この中小企業金融に対する対策といたしましては、どういう方法をお考えでございますか、お伺いいたします。
#57
○稻垣國務大臣 先ほども門脇委員の御質問にお答え申し上げたのでありますが、中小企業の対策につきましては、われわれといたしまして、通産省内でそれぞれの係におきまして考えましたことが、新聞その他において種々の形で発表され現われておるのであります。またわれわれといたしましても、できるだけ中小企業の金融措置につきましては、心配をいたしておるのでありますが、さしあたつては御指摘のような点が、ようやく具体化して來た、こういうことであります。なお今度できまする輸出補償法案も、これはある意味において中小企業の輸出に、非常に役立つであろうと考えておるようなわけであります。なおできるだけこの地方の信用保証協会というものにつきまして、これが法文化し、かつこれによつて地方における中小企業の金融の促進をはかりたい、むしろそういつたようなことは、地方の現状を把握されておるところの地方自治体で、お世話をされるということが最も適当ではないかと考えますので、そういう方面の促進をはかりたいと考えておるのであります。なお商工中金等の問題つきましても、目下檢討をいたしておるのでありまして、これは臨時國会にはどうかと存じまするけれども、この次の本國会にはこれが法案化についても、皆様方の御審議を願うことに相なるのではないか、かように考えているような次第であります。
#58
○高木(吉)委員 日銀のわくが二十億でございますが、本年の年末までにおきましては、これ以上にふやす御意向はございませんか。もしふやすならば、なるべく年内において融資をしていただくことが、中小企業にとつて最も大事なことであると思いますが、この点大臣の御意向をお伺いいたします。
#59
○稻垣國務大臣 われわれの希望、慾を申し上げれば、できるだけ多くのものを期待いたしたいのでありますけれども、大体ただいまの折衝の段階におきましては、この二十億の限度において操作いたして行きたい。かように考えておる次第であります。
#60
○神田委員長代理 中小企業並びに貿易に関する件はこの程度にいたしまして、次に石炭に関する件を議題といたしたいと思いますが、時間もございませんので、ごく短い時間と思いますが、やることに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○神田委員長代理 それでは石炭の調査をいたしたいと思います。
#62
○今澄委員 時間がございませんから、三分ばかり石炭の問題をお聞きしたいのであります。この前配炭公園の廃止については、貯炭の凍結とつなぎ資金の問題をあつせんするということで、全國の炭鉱業者が大体了承をしたらしいのでありますが、最近のいろいろの情報から見て、この際私は通産大臣から今の貯炭が、大体当初の予定通り四月一ぱいで打切られる予定であるかどうか、あるいは今の四百四十万トンの貯炭の中で、二百八十万トン見当は年内にこれを処分しなければいけないというような方針で、進まれておるというような意見も伝わつておるが、この点についての御説明をお願いいたしたいと思います。
 第二点は今の中小企業炭鉱へ復興金融金庫の金を貸し出すというようなことを、新聞その他にも政府案として発表になりましたが、関係方面その他と折衝の結果、これらの融資の道がはたして行われるかどうか、われわれはどうもそういうことはまことに実現しにくい問題であろうと、当初より警告をいたしたのでありますが、この点についての御見解とその後の状況を承りたい。
 それから日銀がこれらの炭鉱から掘りした炭の代償について、手形によつて割引をするというような話がございましたが、この点についてはどういうようになつているか、日銀の炭鉱手形の問題についてのその後の状況を御報告を願いたい。
 第四点は配炭公園の職員が、この前大藏大臣が御出席のときに、五千三百数十名は清算事務に携わつて、これは大体予算その他の措置においても、十分保障できるというお話でありましたが、この五千三百いくらの清算事務に携わつている配炭公園の職員に対して、今後どういうふうにされるつもりか、全然解雇して將來どうするか、その具体的数字と、今日配炭公園の職員の措置について政府がとつた態度、今日の就職状況というものについて、関係係の方から以上四点だけこの際お伺いいたしたい。
#63
○稻垣國務大臣 第一の御質問の貯炭の問題でありますが、これは四月までに打切るのかどうかという御質問であります。ただいまの関係筋との折衝におきましては、とにかく四月までにこれが結末をつけるようにということに相なつております。そこでわれわれといたしましては、できるだけ三月末までにこれが結末をつけるような考えをいたすよりほかないのでありますが、ただたびたびここでも私が申し上げましたように、この貯炭を一時に放出するということに影響するところがはなはだ多いのでありまして、この点についてはできるだけその影響を少くすることについて苦心いたしておるわけであります。しかし一應三月末までにこれが結末をつけるということに相なつているのであります。
 第二点の問題、復金を通じて中小炭鉱に金融するという問題でありますが、この問題については、ただいまお話のようにぜひ復金よりの支拂いを認めてもらいたいということについて、関係筋との折衝をいたしておつたのでありますが、復金そのものの業務というものを全然この際やめるというような考え方が、非常に強いのでありまして、從つてこの問題についての大藏当局の努力が成功をいたさなかつたのであります。そこで復金から融資するという頼みの綱は切れたわけでありますが、われわれといたしましては中小企業のつなぎ資金について、何らかの措置をいたしたいというので、目下日銀を通じて市中銀行その他に対して、いろいろ折衝を重ねておるわけであります。これが結果はまだ判明いたさないのでありますが、われわれは毎日これに努力をしていることを申し上げておきたいのであります。
 それから第三点の公團職員の五千三百人は清算事務として、これはその通りに引取つております。ただこれが今後公園が整理がつきまする三月末日までに、どのように推移するかという問題でありまするが、御承知のように大藏省がこれを担当しておりまして、大藏省の手に実は移つておるのであります。從つてここで私がこういう方針で順次整理するというようなことを申し上げましても、大藏省の考えと齟齬いたしますると、またはなはだおもしろからぬ結果を生ずるわけでありますから、その点についてはここで申し上げることを遠慮いたしたいと存ずるのであります。なお從來の整理されました人の問題につきましては、管理局長からお答えさせることにいたします。
 なお貯炭に対する日銀の手形割引でありましたか、その問題は初めから問題にもなつていなかつたように思うのですが、これはいずれにしましても不可能かと存じております。
#64
○中島説明員 公團職員のその後の状況は、ただいま生産法人で調査いたしておりますが、正確な数字はまだ報告ございせんけれども、三千五百人の就職あつせんは大体順調に進んでおります。なお若干その後残つておりますが、これから五千五百人の残置職員を來年三月までには、毎月相当数ずつ整理しなければなりませんので、現在まだ就職のきまつておりません失業者と、今後毎月出て來ます物を含めまして、生産法人に就職あつせん機関をつくりまして、これにはわれわれも参加いたしまして、毎月の就職あつせんをいたしたい。これはどういうふうにやるかということについては、最も有効に働けるように今その案を公團の方で立てております。それに基きましてできるだけ順調に職員の轉職をはかりたい。なお正確な数字は公團の方で統計がまとまりましたら御報告申し上げます。
#65
○今澄委員 時間がないからこの程度でよろしゆうございます。
#66
○田代委員 ただいまの貯炭の点ですが、大臣の話では非常に漠然としております。一應私たちが聞いておりますところでは、本年の十二月一ぱいに現正の貯炭のうち、月大体五十万トノ程度、優先的に、たとえば省用炭とか、あるいは進駐軍用というような方面にまわされるような計画があるのだということでありますが、これは事実かどうか。もしそれが事実であるといたしますと、その價格は大体どれくらいの價格で処理されるつもりであるかということ、それが第一点であります。
 それから第二番目に質問したい点は、配炭公園の廃止の問題を契機といたしまして、大体こういう問題が処理される場合においては非常に不正が行われる、この点に対してはくれぐれも関係当局はこれを監視していただきたいし、そういう問題が起らないようにしていただきたいということをわれわれは絶えず要望いたしておつたのでありますが、先日も読売新聞なんかで見ますと、この配炭公園の廃止の問題について、公團並びに関係当局の間に非常に不正が行われておるというようなことが発表されておるのでありまして、事実こういうことが行われたかどうか、行われておるとすればどういう内容であるか、またそれに対してどういうふうに処理されようとしておるかというような点につきまして、大臣の御答弁をお願いいたします。
#67
○稻垣國務大臣 今の田代委員の御質問の第一点でありますが、これは実はメモランダムが参りまして、進駐軍向けとかあるいは運輸省、そういつたような直接國家の使うものについては、それに貯炭を振り向けるようにという指令が参つているのであります。ただ問題は、たとえばその貯炭の種類その他につきましては、必ずしも先方から指定されたもの、要求されたものがあるかどうかということも、一つの問題でありますが、とにかくそういうような向きに対しては、貯炭を第一に振り向けるべしというお指摘を得ていることは事実であります。それから價格につきましては別に指定はされているわけではありません。ただ價格は、われわれの想定するところによりますと、從來の價格よりも幾分低目になるのではないかというふうに想像いたしているわけであります。
 それから第二の御質問の配炭公園の廃止に伴つて、廃止のときにありがちな不正云々の問題が、読売その他で取上げられておつたというような御質問であります。これについては、清算事務に入りますときに、これは大藏省が清算事務を引受けたわけでありますが、大藏省の係官と公團の人たちとの間にそれぞれ現地につきまして、引渡しに対するチエツクをいたしております。これで調査をいたしておりますので、事実そういつたことがあるかないかは、その調査をしましたときに、はつきりいたすだろうと存じております。
#68
○田代委員 貯炭の問題でございますが、私たちが聞いた話によりますと、大体先ほど申しましたように月五十万トン見当で、十二月いつぱいまでに省用炭五十五万トン、進駐軍五十万トン、輸出向け三万トン、こういうことを承つているのでありますが、この具体的な計画がおありかどうかということについてあらためてお聞きしたい。それから結局こういう貯炭の処理方策自体というものが、申し上げるまでもなく中小炭鉱業者その他関連産業を非常に圧迫するのでありまして、われわれとしては現在四百五十万トンといわれる厖大なる貯炭は、こういう処理方策によつては解決できない。結局これは國家が全面的に買上げて、今は過剰生産という形が現われておりますけれども、実際は炭のほしい工場がたくさんあるのでありますから、そういう工場にむしろ掛売りでもするというような大きな手を打つことなしには、この問題はほんとうに解決しない。また日本産業の復興、中小業者を育成しなければならないのでいろいろ方策をとつている、またとるべきであると考えているということを、先ほどからおつしやいましたけれども、事実上は反対の政策になつて現われているのでありまして、そういう点から申しましても、ただいま申しますような手をどんどん打たれる必要があると思いますが、政府の御所見を承りたい。
 それから第二の不正問題でありますが、これは私たちが現在入手している資料によりますと、たとえば九州の三井化学あるいは三井合成なんかで、大体八月十五日以前の旧價格で、実際は炭を九月後に入手しておりながら、入手しているというような……
    〔神田委員長代理退席、小金委員長代理着席〕そういう不正手段によりまして、大体一万二千トン程度の炭が流されている。その價格は大体二千数百万円という大きな不正が行われ、これに対しましては配炭公園の石炭局の調整課長代理と言われております江波戸というような人も関係しておるし、またこれにつきましては通産省の資源庁の指示が炭をやつてもよろしいということになつており、そうしてまた八、九月になつて流された炭を、八月前の價格で入手するというようなことが指示になつて現われておる。それによりますと一万二千トンを実際上においては九月に荷渡しをしておりながら、八月十五日以前に渡したこととして処理せよというような指示になり、また三井鉱山の貯炭三万トンを買取れというようなことを指示しておる。こういうようなことになつておるのでありまして、これは実に遺憾千万な話であり、しかもこれに対しましてはそういう大業者並びに通産省、資源庁あるいは物價庁というような官庁自体が関連されておるという点が出ておるのでありますが、これの内容を御存じであるかどうか、またこれに対しましてはいかなる調査をやつたか、また今後こういうことに対してどういう防止策をおとりになるつもりであるかということを御答弁をお願いいたします。
#69
○中島説明員 貯炭の処分の問題はただいまお話の通りに進駐軍向け五十万トン、國鉄向け五十五万トン、これを配炭公園の貯炭から拂い出すことになつております。これについてはいろいろ経緯があつたのでありますが、実際上配炭公園の貯炭から進駐軍ないし國鉄に適当するような炭をこれだけ出すということは、非常に困難があるのでありますけれども、これもやむを得ずこれだけの数字を出すということになつたわけでありますが、この期間は進駐軍のものは十一月一ぱい、國鉄はとりあえず十二月一ぱいということになつております。しかし進駐軍の方は別といたしまして、國鉄向けのものを五十五万トン出せるかどうかという問題につきましては、適正炭の問題からいたしまして相当疑問もございますし、また一月以降こういう方式がとられるかどうかということになりますと、すでにこれだけ出してしまえばほとんどそういうふうな適正炭はなかろうというふうに考えられますから、從つて國鉄向けのものはおそらくかりに五十五万トン納入すればそれでおしまいだ、十二月中に五十五万トン納入するのが三月までかかるかもわからぬ、こういうように考えております。それ以外に先般のメモによりまして官庁以外のものは、すべて公團から買えるということになつておりますが、これの関係におきまして、これは主として一般用の暖房炭、ボイラー炭でありますが、約二十万トンくらい今後この方面に向けられると思います。
 それからこれはすでに八月にその措置をいたしておりますが、北海道の官庁及び官公吏の暖房炭といたしまして二十万トンを、貯炭の振りかえのかつこうで振り向けることになつております。これは現在まではまだ全部済んでおりませんけれども、大体二十万トンくらいは行ける。これは十一月になつてから十一月の市價の炭價によつて決済をする。そのときまでには北海道の官庁の官公吏に対する石炭手当も確定するだろうからということで、こういうような措置をとつております。かようなことが大体本年度内に行われますと、百四、五十万トンのものが今年度公團から出ることになるのでありますが、それ以外に一般にこれにプラスして出されることになるわけであります。しかしはたして予定通りやれるかどうかということについては、非常に疑問を持つております。
 それから三池の問題でありますが、そういう事実は私ども承知いたしております。それは先般コークス用の炭の補給金が撤廃になりましたときに、コークス物價改訂をいたしたのでありますが、その際一般のコークス業者はいずれも一箇月ないし一箇月半の貯炭を持つておる。その貯炭については從來の補給金のついた値段でありますので、安いストツクを持つておる。從つて補給金撤廃と同時にコークスの値段を上げるということは、不当に利益を與えるゆえんでありますので、十五日でありますか、二十日でありますか、コークスの値上げの実施期日を若干ずらしたわけであります。ところが先ほどおつしやいました三池の二、三のものは、小口からコンベヤーで自分の工場に運んでおつて、貯炭は持つておらぬという関係から、その方式でやられますと、物價改訂の基礎になつておる今の貯炭がないということで、不利な点がありますので、それを調整するために今のような措置を便宜講じたわけでありまして、これは違法と言われれば違法かもしれませんが、事実上の措置としてやむを得ないと私ども考えまして、こういう方法をとらせたわけであります。
#70
○田代委員 そういたしますと第二点としてはたとえば石炭の品位の低下その他によりまして、赤字ということになりましようが、石炭の赤字というものにどれくらい出るような御見解でありますか。
#71
○中島説明員 これは計算の仕方によつていろいろありますが、ただいま出ております数字では、大体百十億ということになつております。ただしこれに対しまして剰余金その他相殺できる勘定がございますので、最終的に國家から補填する赤字はどのくらいになるか、相当減つておると思いますけれども、一應計算上出ます石炭のマイナスはぶつかけ品、輸送のロス、さらに値引、こういう点を全部勘定に入れましての数字であります。
#72
○田代委員 第二の三池の不正問題でありますが、今も局長自身がおつしやいましたように、違法という点で言えばあきらかにこれは不正であります。どなたが判断なさつても不正であるということは目に見えておるのであります。しかもこういう当局者がこれに関係されて、社会の疑惑を大いに深めております。こういうことが起るからわれわれにこういうことが起らないようにということを、絶えず警告を発しておつたわけであります。今局長自身が言われますように、不正と言われるべきものに対しまして、やむを得なかつたというふうに言われましたが、私はそういう性質のものではないと思う。從つてはつきり不正は不正として処理さるべきであるし、また責任をとつてもらわなければならぬという立場から、今後これをどう処理されるつもりであるか、結局これに正しいという結論で処理される腹であるかどうかという点を、御答弁をお願いいたします。
#73
○中島説明員 その点は配炭公園が自発的にやつたということよりも、むしろわれわれの方と打合せの上でやつたことでありまして、責任は私どもの方にあると思います。從つてわれわれ自身としてはこの措置は適当だと思つておりますが、この点についての問題があれば、われわれの方で引受けるべきだと思います。
#74
○田代委員 大体責任の所在がはつきりいたしましたので、これに対しましてはなお私どもといたしまして、これは非常に社会的な疑惑を深めておりますし、また輿論でも、新聞なんかでも盛んに書き立てておることでありますので、なおあらためてそれをどう処理されたかという点について質問し、また責任があればはつきりそれを追究するということにいたしまして、本日は一應これで打切りたいと思います。
#75
○小金委員長代理 ほかに御発言はございませんか。
#76
○福田(一)委員 電力開発の問題について、第五國会以來見返り資金を使つてやるということになつておりましたが、その後の経過についてちよつと資源庁長官から御説明をお願いいたしたいと思います。
#77
○進藤説明員 電源開発の問題につきましては、御承知のように政府の方から三十三箇地点のアプールヴアルがございまして、その後日本発送量を中心といたしまして、官庁並びに各縣とも連絡をとりながら、逐次その地方地方の地点のあるいは用地問題でありますとか、あるいは土地権問題でありますとか、ごたついた問題をどんどん処理いたしまして、十四箇地点の建設命令を日発に出しております。その後、つい最近になりまして、実は北海道、九州は水力よりも早く火力をやりませんと、電氣の需給が特にほかの地方よりきゆうくつでありますから、昨年以來火力の認可申請をしておりましたことに対して、こちらからも司令部へ促進方をお願いいたしまして、これもごく最近七箇地点の認可を受けております。それから水力の地点も追加で、たしか四箇地点と思いますが認可を受けております。こういうふうにしまして、政府の方でもできるだけ事務的に進めるものは、建設命令をどんどん出す手配を進めつつあります。それから日発におきまして、今一番問題になつておりますものは資金の面でございますが、資金は大部分を見返り資金によらなくちやならぬような状態でございますので、こちらから建設命令を出しました各発電所に対しましては、すでに見返り資金の手続を大体済ませまして、今司令部の方へ書類が行つておりますから、これも早くお願いいたしまして、おそらく今月中には見返り資金が出るのではないかと考えております。なお民間のたとえば昭和電工の発電所、あるいは日窒の発電所、宮崎縣営発電というふうなものに対しましても、同じような進み方をしておりまして、すでに御承知のように、日本産業の熊本縣にあります発電所に対しましては、見返り資金が許可になつております。工事も今進捗しております。ただ初めの予定よりも相当遅れております。ことに北海道並びに東北方面は、あまり着手が遅れますと、氣候の関係上工事が遅れますので、その点につきましては、この間日発の当局にも早く着手してくれるようにということを頼みまして、北海道に対しましては、特にごく最近請負の方へも見積りを徴収するような手配を進めておるという報告を受けております。いずれにしましても、早く建設して電氣の需給状況を緩和しなければなりませんので、われわれとしてはできるだけ促進する手配を進めつつあります。ごく概要を申し上げます。
#78
○福田(一)委員 この問題につきましては、近々のうちにまた商工委員会を開かれて、特に取上げて詳しい御説明を承り、われわれも質問することになつておる予定でありますから、本日は時間もおそくなりましたので、この程度で質問は打切ります。
#79
○小金委員長代理 それでは今日はこの程度にいたしまして、次は大体において來る二十一日の午後一時から本委員会を開くことと予定いたします。お忙しいところを御苦労様でありました。
 本日はこれにて散会したします。
    午後一時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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