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1949/10/20 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 災害地対策特別委員会 第12号
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1949/10/20 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 災害地対策特別委員会 第12号

#1
第005回国会 災害地対策特別委員会 第12号
昭和二十四年十月二十日(木曜日)
    午後二時十八分開議
 出席委員
   委員長 大内 一郎君
   理事 青木  正君 理事 小金 義照君
   理事 鈴木 明良君 理事 田中織之進君
   理事 小林 運美君 理事 小平  忠君
      岡延右エ門君    甲木  保君
      川端 佳夫君    菅家 喜六君
      黒澤富次郎君    小峯 柳多君
      澁谷雄太郎君    野村專太郎君
      前田  郁君    三浦寅之助君
      青野 武一君    加藤 鐐造君
      佐々木更三君    門司  亮君
      床次 徳二君    中西伊之助君
 委員外の出席者
        農林事務官   山添 利作君
        農 林 技 官 林  眞治君
        労働事務官   中島 寧綱君
        建 設 技 官 目黒 清雄君
        建設事務官   賀屋 茂一君
十月二十日
 委員福田昌子君及び川崎秀二君辞任につき、そ
 の補欠として佐々木更三君及び藤田義光君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会談に付した事件
 災害対策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○大内委員長 これより会議を開きます。
 本日の日程は、災害対策に関する件及び派遣委員より報告聴取の件であります
 まず派遣委員より報告聴取の件を議題といたします。
 本委員会としては、さきに議長の承認を得てキテイ台風の実地調査のために、各地に委員を派遣して、その調査に当つて参りました。また北海道の旱害についても、その調査を行つた次第てあります。各班とも調査を終了いたしましたので、これより各班の報告を聴取いたします。第一班青木正君。御報告を願います。
#3
○青木(正)委員 私どもは、今回の北海道の旱害につきまして調査を命ぜられ、先月二十四日に東京を出発いたしまして、今月の三日まで正味七日間ほど、北海道の旱害地のうち、特に著しい石狩、空知、上川、後志の各支庁管内の市町村を視察して参つたのであります。詳細の点につきましてはお手元にも調査報告書を差上げてありますので、私からはごく概略を申し上げたいと思うのであります。
 私どもの視察いたしましたのは四支庁管内のうち、十三、四箇町村でありまして、日取りの関係上、もつとはげしいところをよく調査したかつたのでありますが、そう奥地にもゆれませんので、大体私どもの許された日程内で、歩ける範囲内において、できるだけ広範囲に調査をして参つた次第であります。その概略を申し上げますと、北海道におきましては本年の五月の中旬から八月の上旬にわたり、約三箇月ほど、ほとんど雨がなかつたのであります。もつとも中部の地方、あるいは太平洋岸の方には、若干の雨があつたのでありまして、主として西海岸地方が最も旱魃に見舞われたのであります。旱魃を受けました詳細の面積とか、あるいは被害というような数字は、お手元の表をごらん願いたいと思うのでありますが、概略を申し上げますと、北海道の耕地四十三万町歩のうち、約二割三分の十六万八千町歩というものが旱害を受けております。また被害農家の戸数についてみますと、全農家十九万三千戸のうち、その四割強に当る七万九千戸というものが旱害を受けておりまして、損害の額は道庁の調査によりますと、約二十四億五千万円ということになつておるのであります。
 しかしてその旱害の状況を見ますと、水田におきましては、全然作付不能に陥つた土地も少くないのでありまして、私ども拝見したところによりますと、厚田村とか、あるいはまた石狩町であるとか、相当作付不能に陥つた水田があるのであります。また辛うじて田植を済ませたところにおきましても、その後の雨がないために、田の華もとることができない、従つてもちろん稻は分葉いたしませんし、成長もほとんど停止してしまつて、現物も実は持つて参つたのでありますが、草丈わずか五、六寸というのが、相当広範囲に見受けられるのでありまして、従つてもみはわずかに三粒あるいは四粒、多くついても十粒程度しかついていないという稻作が少くないのであります。また畑作につきましては、なるほど一応作物としての形を整えておるものも見受けられるのでありますが、しさいにその内容を検討いたしますと、ほとんど完全な結実をしていない。これは私どもは道庁の案内を受けた方々によつて見本を見せられたというわけてはなしに、行き当りばつたりに畑に入りまして、作物を抜き取つて見たのであります。そういたしますと、たとえばばれいしよのごときは、一旦成長しかけて、それが旱魃のために成長を停止して、九月になつてまた成長し始めたというのて、いわゆる二次成長をしておるじやがいもが相当多いのであります。またそばのごときは、私どもの参りました九月の末、十月の初め、すでに降霜季に入つているのでありますが、そのころになつて辛うじて花が開いている、従つてこれは収穫皆無になることば当然のことと思われるのであります。あるいはまたデントコーンのごときも、従来デントコーンといえば、皆さん御承知のごとく七尺なり一丈なりになるのでありますが、それがわずか三、三尺程度にとどまつておる。大豆あるいは小豆のごときも、ほんの四、五寸伸びておるのでありまして、粒が一、三粒しかついていないというようなのが、相当広く見受けられるのであります。
 しかして、こうした旱害を受けました原因について、私ども現地を調査してしみじみ考えさせられた点があるのであります。それは今回の旱害は、もちろん日照りが続いたというのが根本の原因でありますが、それにも増して、その日照りの結果こうした予想外の被害を受けたということは、土地の旱害に対する抵抗力が著しく弱つておるということが、私は最も大きな原因であると思うのであります。おそらくもつと地味の肥沃な、保水力のある土地でありますならば、あの程度の旱害ならば相当持ちこたえたのではないか。ところが北海道の現地をつぶさに見ますと、戦争以来いわゆる掠奪農業を続けておりました結果、ほとんど地方がやせておるのであります。御承知のごとく北海道では有畜農業を奨励しておりまして、あらゆる農家に大家畜の二頭程度の飼育を奨励しておるのであります。またそういう見地から、いわゆる牧草地帯を奨励しておるのでありますが、その牧草地帯までも食糧のためにとつてしまつたというようなことから、有機質の肥料が非常に欠如しておるのであります。生米北海道農業といたしましては、当然、輪作をしなければなりませんのに、極度に食糧供出に追われた結果といたしまして、連作を繰返しておる。はなにだしいのは、ばれいしよを毎年つくつている。御承知のごとくばれいしよは、少くとも三年ごとにつくらなければなりませんのに、毎年つくつておる。従つて地方が非常にやせておりますので、植物の生育力が衰えている。さらにまた有機質の肥科が入つておりません、保水力がない、そこへ旱害を受けたために、ああした予想外の被害を受けたとります。従いまして今回の旱害の対策といたしましては、そういつた点に瀞眼して、当面の問題を処理すると同時に、今後の対策も立てなければならないのじやないかと思うのであります。
 さらにまた、いわゆる貯水池の問題、灌漑施設の問題、これも何と申しますか、ありていに申しますと、北海道農業が單位面積の収量を上げるよりも、いたずらに面積を広げることによつて、収量を上げるというような傾向に陷らしめられた結果といたしまして、水源地も濫伐されている、極端な例を申しますと、丘の上に水田をつくつている。本来はその周辺には樹木があつたのに、現在は樹木がなくて、丘の上に水田をつくるというようなことから、貯水池を設けましても水はなし、また灌漑すべき水源もないというような状態に陷つているのであります。従つてそういつた観点から、私どもは今回の旱害に対する当面の問題、あるいはまた今後の対策を立てなければいけないと思うのであります。
 旱害の特徴としては、なるほど北海道の米作なり、あるいは麦作なり、ばれいしよの作柄なりを全体から見ますと、大した減収にはなつていないのであります。ところが旱害を受けたその土地に入つてみますと、全然収穫不能に陷つた農家も少くないのありまして、局部的には非常な被害を受けている。それが全体から見るとそう出ていい、隠されてしまつている。他の水害とか風害という場合は、全般的に数字が出て来るのでありまして、従つて救済の対象になりやすいのであります。ところが旱害は局部的であるために、被害農家が隠されているという点に思いをいたしまして、私どもはそういつた不幸な農家のために、できるだけのことをしてやらなければいけないのではないかというように考えるのであります。大体見まして、三万五千戸ぐらいの農家が、ほとんど収穫皆無、あるいは三分作以下ということになるのでありまして、少くともこれらの農家に対しては、早急に何らかの対策を立ててやらなければならない、かように考えるのであります。もちろん土地の保水力の欠如した問題とか、あるいは水源涵養の問題、こういつた問題は北海道の総合開発審議会の問題といたしまして、国土計画として対策を立てていただくほかはないと思うのでありますが、そういう恒久策は別といたしまして、とにかく当面の旱害に対する救済策及び緊急な農家の生活維持のための対策だけは、この際に急速に立ててやる必要があると、私どもはかように考えるのであります。従いまして今回の旱害に対しまして、われわれ調査班といたしまして、結論的にその対策をまとめてみますと、以下のようなことになるのであります。お手元にお配りしておりますが、ごく概略を申し上げてみたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、約三万五千戸ほどの農家が三文作以下の状態に置かれておる。これらの農家はただちに生活資金に困るのであります。そこでこういつた農家に対しては、緊急に救済の事業を興してやる必要があるのじやないか。熱田村に参りましたときに、村長がしみじみ言つておつたのであります。このままにしておきますと、農業放置が非常に多くなる、炭鉱の方に出て行く者がだんだん出て来る。また北海道農家として欠くべからざる馬を売る農家が出て来る。それにつけ込んで悪徳商人と申しまするか、そういう商人が入り込んで、農家の当面の急につけ込んで、馬をしきりに買いあさつておる、こういうこともあるということを聞かされたのであります。また劍淵村に参りまして農家の畑で働いておる人にいろいろ聞いてみたのでありますが、農業手形を一戸七万ないし八万、多いものは十万くらい借りてやつておるのであります。こうした農家の今年の生活のために、何といたしましても救済事業を興してやる必要があるのであります。その救済事業と申しましても、旱害に役立つような救済事業、たとえば灌漑用水を導くほりを掘るとか、あるいは貯水池の問題であるとか、あるいはまた土質改良の客土事業でありますとか、そういつた事業を興して水田収入の道を立て、本年の差迫つた冬をしのぐだけの資金を與えることを考えなければいけないのじやないかというふうに思うのであります。極端なる被害農家三万五千戸ほどに対して、少くともこの次の時までの生活維持になる収入の道を考えてやる必要があるのであります。かりに一農家一万円とすれば、十億程度のそういつた事業を国なり道なりで興してやる必要があるのじやないかというように考えるのであります。
 また緊急の旱害防止の事業といたしまして、揚水機を備えつけて旱害に対する対策を立ててやる必要がある。北海道庁におきましても、揚水機によつて水の掲げられるところは、相当の費用を出して本年実施いたしたのであります。しかしながらもうちよつと手を加えれば相当広範囲に旱害を防止できる地域も少くないことを、私どもは現実に拜見して参つたのでありまして、こういつたところに対しましては、揚水機の新設、または増設をしてやる、また貯水池の築造、そういつたことをやる。さらにまた今回の旱害によつて被害の著しかつた点が、要するに土質を悪くしたという点にありますので、何といたしましても、もう少し土質を改善するように、あるいは心土耕をするとか、あるいは混土耕をやるというようなことによつて、土質の改善をはかることが非常に必要だと思うのであります。
 そのほかさしあたりの問題といたしましては、種子の配給――ほとんど種が取れてない農家が非常に多いのでありまして、こういつた農家に対しましては、種子を確保してやらなければいかぬと思うのであります。また事前割当の補正であるとか、あるいは食糧の配給確保、また家畜に対する飼料の対策の問題、こういつたことももちろん急速に実施してやる必要があると思うのであります。さらにまた先はど申し上げましたように農業手形を非常に多く借りている農家が多いのでありまして、こういつた農業手形を借りておる農家に対しましては、何とか営農資金の確保の道を考えてやる、融資の道を考えてやる必要があると思うのであります。
 さらにここに列挙しておりますように共済金の支弁の迅速化であるとか、旱害農家に対する租税減免あるいは延期、旱害応急施設に対する助成、旱害農家に対する冬期間、就業の斡旋、旱害農家に対する衣料等の対策、開拓農家に対する救済、こういつた面も急速に実施してやるべきである、かように私どもは考えるのであります。
 開拓農家の実態も拜見いたしたのであります。せつかく北海道に入りまして土地を開墾したものの今年旱害にあいまして、ほとんどもうどうにもならぬというような農家も少くないのであります。悲惨な話はたとえば樺太から引揚げました女主人の農家を、私ども畑の上でいろいろ事情を聞いて見たのでありますが、家族七、八人をかかえて、ほとんど稻が五寸ぐらいしか伸びてない。これで一体どうして食つておるかというよな悲惨な農家も、私ども見たのであります。こういつたことを考えますときに本委員会におきましても、どうぞ私どもの調査に基きます対作についてできるだけの御援助をお願いしたいと思うのであります。
 なお恒久対策といたしましては治山治水の問題、ことにダムの建設であるとか、あるいは北海道農業のあり方について、もつと有畜農家を広く深く取入れて、今までのように單に土地を広げることによつて収穫を上げるという行き方でなしに、もつと單位面積の収獲を上げるというふうに切りかえる必要があると思うのでありますが、そういつた問題につきまして建設省の方の関係者、あるいはまた総合開発審議会の関係者等におきまして十分取入れて、今後の旱害に対して根本的に将来の憂いないようにする必要があると思うのであります。
 これを要するに北海道の旱害に対しましては、旱害そのものということももちろんでありますが、同時に、北海道農業が戰争以来掠奪農業によつてやせておつたというところに、大きな原因があると思うのでありまして、そういつた面に十分の考慮を拂われて対策を立てることが必要であるということに、私ども調査班の一致した意見でありまして、そういつた面に対して御考慮をお願いしたいと思うのであります。詳細の点は時間がとれますので省略いたしまして、お手元に配付いたしました報告書によつてごらんおき願いたいと思うのであります。
 なおキテイ台風の災害につきましては、私どもの直接の調査の目的として派遣されておりませんので、詳しくはキテイ台風の関係は調査して参らなかつたのであります。もちろん若干の点は拜見して参りましたが、この報告の末尾にキテイ台風の被害状況並びにこれに対する対策といつたものも、復旧費の所要額等も掲げておきましたので、ごらんおき願いたいと思うのであります。
 はなはだ簡單でありますが、以上をもつて第一班の報告といたします。
#4
○大内委員長 第二班、菅家喜六君に御報告をお願いいたします。
#5
○菅家委員 第二班の調査の結果を概略説明申し上げます。
 災害地対策特別委員会派遣委員第二班、すなわち小平久雄君、長谷川四郎君及び私の三委員は、九月十九日委員派遣を議長に昇任いたされましたので、群馬、栃木、福島、茨城の四県におけるキテイ台風の実情調査のため、予定通り九月二十六日朝上野を出発、同日の午後からただちに群馬県の実情調査のため視察を開始し、それから十日間連日早朝より日没後に至るまで、視察を行つたのであります。群馬県に次いで九月二十八、二十九、三十の三日にわたり栃木県、九月三十日、十月一日、二日、三日と福島県、十月三日から茨城県を視察いたしまして、十月五日に調査を終つた次第であります。
 十日間でありますが、各県の関係各位の熱誠なる協力により、最大限の詳細な調査ができ、査するところすこぶる大なるものがあつたのであります。しかしながらこれらの実情を一々詳細に説明、報告いたしますことは、時間に制限もあり困難でもございますので、ここでは土木、農林、社会厚生の三つの問題について、概略のみを申し上げ、その他は報告書を委員長に提出いたしたいと存じます。なお委員長に提出いたします報告書は、委員各位の了承を得て速記録に載せるよう、委員長よりおとりはからい願いたいと存じます。
 土木関係の問題、農林関係の問題、社会厚生の問題等を説明いたします前に、これら四県の気象状況を簡單に申し上げますと、キテイ台風は、八月三十一日午後八時三十分に相模湾に上陸いたしましてから、東京、埼玉を経て群馬県の中央を時速約四十五キロで通過しつつ北上、十月一日例示には上越の境附近を通過して柏崎、山形沖合を経、九月一日七時ごろ北海道西海岸に去つたのであります。このため関東、東北の南部、西部等の各地は豪風雨をこうむり、ことに山奥の各河川の上流地域は二百ミリないし四百ミリ以上の特にはなはだしい降雨量を示し、各河川ともにその水位は急激に上昇、各地において氾濫その他による厖大な被害をこうむつたのであります。
 第一にこの災害の根本原因となりました土木関係について被害の概略を申し上げます。事災害に関しましては、まずその根本対策を土木関係に置かねばなりませんことは明白でありまして、各県は全力を土木関係の復旧に注いでおるのでありますが、これらに関する河川、道路、砂防、橋梁等の復旧なくしては、すべての復旧も何ら意味をなさないと申しましても過言ではないのであります。これら災害の原因を探求して参りますと、戰時より日本の木材の必要量が大幅に急増した結果、山林を濫伐するところとなり、今日に至るも山壌続出し、加うるに近年の雨量は例年に比し多量であり、降雨とともにおびただしい土石流を押し出すのであります。一方各河川とも戦時中よりの維持工事の不備及び復旧工事のこうやく張り的施工のため、河状悪化し、各所に溢水、決壊等を見たのであります。これによつて受けた各県の被害は甚大なものであり、これを土木関係について見るならば、群馬県二十一億四千六百万円、栃木県十八億三千三百八十万円、福島県十二億百十三万円、茨城県十億四千十三万円の巨額に上るのであり、これらは九月四日現在ないし九月五日現在のものでありますので、事実はより多額に上る模様であります。
 次にこれらの災害を河川及び砂防、道路、橋梁の四項目にわけて説明の後、その対策を検討したいと存じます。
 まず河川関係及び砂防の問題でありますが、主要河川について申しますれば、前にも申し上げた通り、上流からの土砂の硫化がはげしく、その河床は著しく隆起しておりますので、堤防は年を経るに従つて増大かつ強固にせねばならなくなるのであります。しかるにこれらの護岸堤防は、大正から昭和の初期に築工したものが多く、すでに堅牢性を欠いておるものが多い関係上、年々甚大な災害をこうむるのは当然なのでありまして、これには河川の維持費が絶対、必要であります。しかるにこの維持費は現在県が負担しておりますので、これではとうてい維持し切れぬ結果となるのでありますから、少くも一部は国庫で補助するよう愼重なる考慮を要する問題であります。さらに決壊のやむなきに至つた護岸提防については、原形復旧に満足することなく、一歩進んで防災的見地から、さらに河状に適した復旧をいたさればなりません。原形復旧を原則として無計画な堤防をつくり、年々の災害により復旧とか決壊とかを繰返しておる状態では、あたかも貴重な国費をどろ沼に捨てる感を受けざるを得ないのであります。
 次に小河川についてでありますが、今回の災害は、小河川ないし沢に多いのであります。その例として、群馬県渋川町附近の平沢川、午王川、福島県田島町附近の大門川、茨城県水海道町附近の八間堀等、その犯濫による被害も相当大きいものがございます。しかしながら、現段階においてはこれら小河川に対する綿密なる調査も行われておりませんので、その復旧工事の設計も河状に即さないものもあり得ると考えられ、施工を希望すると同時に、これら小河川の調査に力を入れる必要があると考えられるのであります。
 次に砂防の問題でありますが、このたびの災害の原因を考えますれば、その根本の一つが山地の荒廃による土砂の流下によるものであり、従つて砂防の重要性は言をまたぬところでございます。どの地方に参りましても、陳情とかその他の希望の中で、砂防ダムをつくつてもらいたいという声が多いのも、その現われであり、災害復旧と相並んで貯砂堰堤の築工に努力せねばならぬことを痛感いたした次第でございます。これを放置するならば、土砂の流下はますますはげしくなり、下流地域の河床はいよいよ隆起の一途をたどり、毎年必ず災害を免れないことは火を見るより明らかであります。
 次に、水防法の実施状況について一言申し添えておきますと、この施行状況はおおむね良好であります。ただ資材器具購入の具体策及び後に述べ乙無線による通信網の強化等に、今後力を注がれたいのであります。
 次に道路の問題でありますが、中央その他都会地における交通の便なる地域と異なり、地方においては道路が交通の主要地位であることは明らかであり、道路の決壊は交通不能となり、経済面に及ぼす影響も大なるものがあるので、これを放置することは、それだけ経済復興を遅延させるのであります。もちろん各県ともに非常な努力をもつて応急復旧工事をなしておるのでありますが、国道の復旧等に関しては、復旧にとどまらす、幅員拡張、強化に意を注ぐことが肝要であることを痛感した次第であります。
 次に橋梁の問題でありますが、今回のキテイ台風による橋梁の被害は、群馬県百七十四箇所六千二百万円、栃木県百三箇所五千百万円、福島県百一箇所五千四百万円、茨城県九十六箇所二億七千八百万円であり、橋梁の被害は茨城県が甚大であり、中でも那珂川大橋の被害は、同橋梁が竣工寸前であつたのを決壊されたため甚大であります。橋梁の被害も道路と同様、交通機関に直接影響する関係上、周密な調査の上、適当なる処置を施すことが肝要と認めるものであります。
 第二は農林関係の問題でありますが、御承知のごとく群馬、栃木、福島、茨城の各県は、全国的に見ましても、主穀の主要なる産地であるとともに、タバコ、生糸、果樹等の特殊の生産地帯であり、それに加えて蔬菜魚利の豊富な県であります。従つてその被害もまた莫大なものに上り、被害の現状も実にさんたんたるものがあるのであります。試みにその被害額を申し上げれば、群馬県においては耕地の七億九千九百万円、林業の十億五千八百万円、農作物の二十六億八十万円、合せて四十四億六千五百万円、栃木県が農作物十七億七千三百万円、林業関係が一億七千二百万円、耕地関係が一億二千三百万円、計二十億六千八百万円余となり、福島県は農作物十二億千三百万円、耕地関係七億五千四百万円、林業関係が二億八千万円、合計二十二億四千八百万円、茨城県は耕地関係二億二千四百万円、漁業千四百七十万円、農作物十七億千三百五十万円、合計十九億五千二百万円に上つておるのでありまして、この数字を見ただけでも、被害がいかに甚大であるかを如実に物語つておると思うのであります。
 これら被害地の農民は生計の根本となる田畑を侵害され、あまつさえ流失、埋没のうき目を見るに至つては、その日の生活を脅かされるはもちろん、再起の意気すら失いかけておる現状であり、これに対し国としては河川の防災に全力を注ぐとともに、農地の復旧にも絶大なる努力が必要であり、しかして農民の再起を補助しなければならないものと考えます。
 これらの結論といたしまして、第一に災害復旧費の全額國庫補助、あるいは融資の調達、第二に蔬菜の被害により再度播種を行わなければならぬ地方及び桑園の被害地方に必要な肥料の特配、第三に病虫害駆除用の薬品及び燃料の特配、第四に被害農家の免税及び供出の軽減、第五に応急食糧の特配、第六に灌漑設備の復旧のための資材資金の補助、第七に農業薬品購入費及び桑園等改植用の苗代金の補助、第八に崩壌林地林道の復旧費の補助、第九に建物流失に対する資材の特配及び補助、第十として海岸地の漁業用資材の特配の十項目の至急実施であることを考えられるのであります。前にも申し上げました通り、これらの各県に重要な農産物供給県であることをあわせ考えるならば、絶対軽視できない問題であるのであります。
 農林関係の問題でもう一つ残る問題に井堰の問題を取上げなければならぬかと存じます。これは建設委員会の方でも問題にされたと存じますが、水利、灌漑の面において利用するのがよいと考えられるのであります。現在の井堰は各県の水利組合が県の土木部から数々の條件をつけられてやつているのでありますが、資金の面でこの条件が満足されず、脆弱なものも数多くつくつております関係上、栃木県田川、福島県久慈川において多くの河川決壊の原因となつておりまして、この対策としては、強固なものを要所々々に数多くつくる方針をとるべきであり、また当局の嚴重な監督を必要とするものであると考えられるのであります。
 第三は社会厚生の問題であります。今次のキテイ台風でこうむりました社会的な面を見ますと、まず人的被害は、群馬県は死者四十四名、行方不明七名、負傷者百九十八名、栃木県においては死者十二明重傷五名、軽傷五十一名、福島県においては死者四名、行方不明十名、負傷その他五百五十三名、茨城県、死者三名、行方不明一名、負傷者百名を出しております。その他罹災者は相当の数に上る模様であり、さらに家屋の被害、学校校舎の被害等、これらの被害もはなはだ深刻なるものがあるのでありまして、その精神的影響もまたすこぶる大たるものがあることを見のがしてはならないのであります。しかるにこれら被害地の罹災者は孔々として再建のために食うものも食わず働いており、さらに復旧工事に献身的努力をいたすに至つては、国家としても何らか救済の手を打つべきであり、災害救助法の拡大強化、あるいは新しい法の制定等の必要性を痛感せざるを得ないのであります。
 なお第二項の調査した四県は、いずれも衛生に関してひどい伝染病の起らなかつたことは、まことに不幸中の幸いであります。
 以上をもつて大体第二項の調査の大要を御説明申し上げたのでありますが、さらに一つ予報設備の強化――これは災害時における上流地域と下流地域の連絡あるいは台風の通過状況の連絡等をいたすものでありますから、有線では用をなしません。無線で、しかも移動性、活動力に富むだけのものが必要であります。二つには災害の根本対策である上流地域における植林の積極的対策、並びに現在においても見られる濫伐防止対策の確立、いま一つは災害地において復旧その他の工事を施行することは、失業救済面にも非常に大きい貢献をなすことを考えあわせての予算の徹底的増額及びその支拂いを早くすること、これはいくら予算が割当てられましても、支拂いが数箇月以上も遅れるのでは、工事がはかどるわけははないのであります。
 以上の三つを附言いたしまして簡単ながら第二班の報告にかえる次第であります。
#6
○大内委員長 第三班、黒澤富次郎君の御報告を願います。
#7
○黒澤委員 昭和二十四年九月十九日、衆議院規則第五十五條により、キテイ台風による災害その他の災害の実状調査のため、小林運美、井出一太郎、黒澤富次郎の三委員が現地に派遣されたのであります。九月二十七日より十日間にわたり、山梨、長野、新潟、富山の諸県を詳細に調査いたして参りましたので、ここにその概要を御報告申し上げます。
 まず山梨県について申し上げます。本県はデラ台風により四千五百万円キテイ台風により二億三千万円、さらに九月二十二、二十三日。の豪雨により一億円、計三億八千万円の土木被害をこうむり、従いましてこれら土木災害の影響による農耕地の被害も相当の面積に及んでおるのであります。本県の災害は、單にあげられた数字の上では、他府県に比べまして小さいのでありますが、県自体の面積の小なる木県におきましては、その被害比重は、他府県のそれに比し、決して少いものとは考えられないのであります。
 本県における災害河川は笹子川を含む桂川水系と、日川、笛吹川を含む富士川水系とに大別できるのでありますが、特に本県は東京、神奈川等の大消費地に近接いたしておりますため、これらに対する建築用材、薪炭の搬出供給による、戰時以来のこれら両水系水源山地に対する濫伐は著しいものがあるのであります。のみならず、それらの山地は本県特有の御坂層、小仏層のごとき特殊の風化地質でありますため、各河川とも土砂の堆積はなはだしく、年々災害をこうむつておるのであります。すなわち笹子川におきましては、二十二年度の災害以来の被害額は、河川、砂防を含めて、七千二百万円、笛吹川においては、今年度災害約二十万円を初め、九千五百万円に達しております。
 さらに富士川につきましては、支派川よりの土砂流による乱流はなはだしく、今年度災害一千万円、二十二年災よりの被害累計は一億三千万円に達しております。ことに本川におきましては、笛吹川合流点より大柳川合流点に至る間は、河床隆起し、また河幅狭少にして、洪水の流下を阻み、さらに付近を流れる天井川の影響をも受けまして、沿岸二千四百町歩に及ぶ広大な地域はいわゆる濕田地帶となつておりますため、土地肥沃なるにもかかわらず、一毛作にすぎない状態であります。またこの濕田地帶の北側に続いて、御勅使用にの流砂砂礫によつて形成された広袤二千町歩に及ぶ扇状台地におきましては、逆に水利に乏しく、ほとんど水田を見ず、衛生状態もまた不良の現況であります。従いまして、富士川鵜ノ瀬狭窄部の開幣による濕田地帯の改田、また野呂川よりの送水による扇状地帶の田化は、地元における久しき要望でありまして、この点に関し国庫の援助を賜わりたき旨、るる陳情があつたのであります。
 次に長野県につきましては、本県はキテイ台風及び九月二十三日の豪雨により、再度にわたつて災害をこうむつたのであります。今次キテイ台風は、本件地内においても、広汎な地域にわたる未曽有の豪雨出水をもたらし、千曲川流域を主とし、南北佐久郡における風速は三〇・一メートル、降雨量は軽井沢において三百四十八ミリ、特に南佐久郡内山村においては、五百十七ミリに達し、軽井沢測量所における既往の最大降雨三百二十ミリをはるかに上まわり、また長野県全域のおうむね三分の一に及ぶ地籍は二百ミリ以上の降雨量を示しております。これがため、土木施設被害二十四億円を初め、耕地関係被害八億六千万円、農作物被害八億三千万円、林産物被害四億二千万円、計約四十一億円に達する災害をこうむつておるのであります。
 今回のキテイ台風は上信越国境線を中心に通過いたしましたるため、これら山地を水源とする湯川、志賀川、滑津川等北佐久、南作久両郡下における千曲川東支流の氾濫による災害は最も甚大でありまして、これら両郡下における被害総額は、北佐久郡において九億六千万円、南佐久郡において十三億六千万円に及び、全県下被害総額の五割六分に達する被害をこうむり、ことに土木関係被害額におきましては、全県下におけるそれの六割にも達しておるのであります。これら両郡における災害の特徴といたしまする点は、いわゆる大河川の氾濫による災害と異なり、山林の濫伐過伐による影響が、大河川のそれに比しましてより大きく現われますところの派川あるいは緩流程度の小川の氾濫による災害が、各地に頻発いたした点でありまして、おのおのの災害箇所における被害の僅少なるにかかわらず、これを全体的に集計いたしますと、その被害額は意外に大きいのであります。
 またこれら両郡下におけるのみならず、長野県全般にわたりまして注目いたさねばならぬ点は、いわゆる用水施設の災害についてでありまして、本県耕地施設被害累計八億六千万円余のうち、約七割に当る五億六千万円は、井堰を初め、用水施設における災害であるのであります。この件に関しましては、後ほど所見の項におきまして、いま少し申し述べたい思います。
 次に女鳥羽川並びに本川の氾濫による松本市の被害状況について申し上げます。今次キテイ台風に伴う豪雨は、武石三万山各峠を中心といたしまして、北方山嶺一帶におきしても、百九十二ミリの降雨量を示しましたるため、これら山地を水源とする女鳥羽川におきましては、一・七メートルの増水を示し、本川に架せられたる橋梁はことごとく流失いたし、堤防護岸等の工作物は決壊寸断されまして、本川における土木関係の被害は、箇所数にして約三十箇所に及び、その復旧費は約四千万円と見積られておるのであります。また、松本旧練兵場横における本川堤防の決壊により、松本市街は約五十五万壺にわたつて浸水をこうむり、浸水家屋五千戸、農耕地の流失冠水三十五町歩に及ぶ災害をこうむつたのであります。本川は土砂の堆積はなはだしく、また松本市内田川合流点附近における河道の狭窄著しきため、昭和二十年における水害以来、再三にわたつて災害をこうむつておるのでありまして、地元におきましては、本川改修に関し、これが促進方を要望いたしておるのであります。
 次に千曲川水系による上田市を中心とする上小地帶の災害について申し上げます。キアイ台風による八月三十一日以来の豪雨は、間断なく続き、十九時ごろにおいては、昨年のアイオン台風時における水量を突破し、依田川、神川を含む千曲川水系の増水により、当地方は近年になき災害をこうむつたのでありまして、その被害額は、土木関係一億五千万円、耕地関係林務関係おのおの四千五百万円でありまして、農作物損失額七千四百万円を加えますと、実に三億二千万円に達する水害をこうむつたのであります。さらに当地区におきましては後に述べますところの旱害により、約二億一千万円に及ぶ被害を受けたのでありまして、これら両災害の合計被害額は約五億四千万円に達しているのでありまして、南北佐久郡に次ぐ災害をこうむつておるのでございます。
 次に九月二十三日の豪雨による災害状況について申し上げます。本豪雨によりまして、本県は長野市を初め、南北信四市七郡にわたり、土木関係被害七億三千万円を筆頭に、農地、山林、農産物等の被害を加えますと、実に約二十億円余の巨額に及ぶ災害をこうむつたのでありますが、なかんずく犀川水系の増水著しく長野市、上水内郡下に流れる袖花川は、上流上水内郡鬼無里村において雨量二百七十ミリに及びましたるため、長野市附近においては四・五メートルの増水を来し、長野市地籍三箇所における堤防の決壊により、長野市南部の中御所、荒木、母袋等の各町一帶が裾花川の奔流とかわりましたるため、流失家屋二十九戸、浸水家屋千五百戸、田畑の被害四百三十町歩、道路、橋梁、堤防の決壊九十三箇所に及び、被告総額二億五千万円に達する災害をこうむつたのでありますが、われわれが現地に参りました九月三十日現在におきましても、中御所町地先における止水工事未完成のため、河水はいまだに当市南部一帶を流下いたしつつある状況でありまして、被害は、なお増加するものと思われるのであります。
 次いで、上水内郡下の災害について申し上げますと、本郡は地勢きわめて複雑でありまして、あたかも長野県の縮図のごとき感があるのであります。従いまして、災害も部分的には年々発生いたしており、本年もデラ、キテイと相次ぐ災害をこうむつたのでありますが、特に今回の豪雨による被害は甚大をきわめまして、災害救助法を適用されたもの四箇所に及び、浸水家屋千七百戸、罹災者八千七百名に達し、堤防の決壊、道路、橋梁の破損流失等、今夏以来の災害総額は七億一千万円余に達しておるのであります。しかしてこれら相次ぐ災害の郡民に與えた物心両面の負担は、きわめて大なるものがあり、これが負担の軽減に関し、特別の御配慮を願いたき旨の熱烈なる陳情があつたのであります。
 次に旱害による農作物の被害状況について申し上げます。本県におきましては、今春以来六月に至るまでの気候は比較的順調であり、従いまして、水稻の植付も、順調に行われたのでありまするが、七月七日以来、八月中におきましてもほとんど降雨に恵まれず、この二簡月間における全降雨量は、わずかに三十一ミリ程度に過ぎない状態であつたのであります。特に八月中旬以降の高温により、農作物は相次いで枯死の状態に陥り、旱害による損失見積額は上田市、小県郡地方における二億一千万円余を初め、長野県下全般にわたり十一億六千万円余に達しておるのであります。ことに桑園の旱害被害二億四千万円に及んでおりますこは、蚕糸産業の本県において占める重要性にかんがみましても、その及ぼす影響は甚大なるものがあると思われるのであります。
 以上総合いたしまするに、本県における災害は、キテイ台風により四十一億六千万円、九月二十三日の豪雨により二十億一千万円、旱害により十一億六千万円、計七十三億三千万円余に達しておるのでありまして、県財政の極度に窮乏いたしておる折柄、これら災害の復旧に関し、何分の御援助をいただきたき旨、るる陳情があつたのであります。
 次に新潟県について申し上げます。本県におきましては、台風が上越国境を通過、柏崎を経て日本海を北々東に進行いたしましたるため、信濃川上流流域、中魚沼郡及び南魚沼郡における被害が最も甚大であり、阿賀野川流域蒲原三郡における被害が、これに次いでおります。
 県下全般の土木関係の被害といたしましては、河川九億三千万円、道路一億四千万円を初め、海岸砂防等の被害総額約十三億円であり、また農耕地関係の被害といたしましては、これに附随する公共施設の被害をも含めまして約三億二千万円。ほかに国営農業水利改両地区において約一千五百万円の災害をこうむつております。本県は台風の通路に当りましたにもかかわらず、台風の通過速度が比較的早かつたため、被害は割合に少かつたのであります。
 今回のキテイ台風に伴う豪雨の、信濃川流域における総雨量は三百四十ミリに達しておりますが、この豪雨による清津川、中津川、魚町川の急速なる増水により、信濃川本川の出水を見るに至り、永岡の量水標では警戒水位二〇・五メートルを越え、最高二二・四四メートルを示しております。今回の水位は昨年度のアイオン台風の時に比し、幾分水位は低かつたのでありますが、前記三支川の出水に細く千曲川のいわゆる連続出水によりまして、量的には昨年をはるかに凌駕いたしておるのであります。従いまして、浸水による流域の被害の僅少なるに比しまして、河道自体の損害はなはだしく、目下工事中でありました中魚沼郡十日町地先の築堤竣工部分約二百メートルの決壊、水制の流失を初め、下流部護岸水制及び堤防根固めの決壊等、これが復旧費は建設省直轄改修区域内のみにても九千八百万円、さらに全水系にわたる県工事、市町村工事を合せますと、二億一千万円を越えるものと推定されるのであります。なお出水が長時間にわたりましたことは、寄州を発達せしめ、著しい乱流が認められる現況であります。
 次に阿賀野川につきましては、本河川中蒲原郡川東村馬下地以下海に至る三十五キロの間において、対象四年より昭和八年に至る間において行われた改修工事は、いわゆる高水工事に主眼がおかれ、低水工事はほとんど放置されたままの状態でありまして、加うるに戰時中の維持管理の不足は寄洲の発達を促し、ために今回のごとき中位洪水における流心の変動による低水路の乱流はなはだしく、高瀬村嘉瀬島地先における護岸水制九十メートルの流失を初め、腐朽せる水制二、護岸根固め二は破壊流失し、堤脚護岸は、ほとんど今回にわたつて危險な状況であります。ことに本川流域に当る蒲原三郡約四百六十平方キロにわたる沃野は、本県最大の穀倉地帶でありまして、来春融雪出水期までには、少くとも満願寺、横瀬、嘉瀬島の護岸水制を復旧せしむべく、地元におきましても早急なる予算措置を要望いたしておるのであります。
 最後に富山県につきましては、現在までに判明せるキテイ台風による本県下の被害総額は、土木関係被害十一億八千万円、田畑、山林等の被害七億七千万円を主とし、その他水産船舶等の被害を加えまして、約二十億円に達しているのであります。本県下におきましては、婦負郡南部地帶における災害が最も甚大であつたのでありますが、特に本郡卯花村におきましては、村内を貫流する久婦須川、別壯川及び茗原川の同時氾濫により、道路、橋梁、農作物等、被害総額約八千万円に達する災害をこうむつております。このうち土木関係被害の復旧のみにても約三千万円を要するものと思われ、窮迫せる村財政をもつてしては、とうていこれが復旧はできがたく、特別の配慮を賜わりたき旨、るる陳情があつたのであります。
 また同郡野積村におきましては、山腹崩壌と、村内を貫流する野積川の土砂流を伴う出水により、現在までに判明せる被害のみにても、堤防流失二十五箇所、被害延長約二キロ余にわたり、さらにがけくずれによる道路決壤十八箇所に及びましたるため、村内の交通はまつたく杜絶の状態を余儀なくされ、いまだに被害の正確なる調査もでき得ざる状態であります。特に本村は木炭の産地として有名でありますが、村内道路交通の杜絶により、約三万俵の木炭が同村南部の山地に、搬出不可能のまま滯荷されている状況でありまして、何よりもまず道路の復旧に対し、格段の援助をいただきたいとの熱心なる陳情があつたのであります。
 次に常願寺川本宮堰堤の災害状況について申し上げます。本堰堤は、新川郡大山村本宮地先に築造せられた高さ二十二メートル、水通路八十五メートルの粗石コンクリート造りによる砂防堰堤でありまして、昭和十一年竣工以来現在に至るまで、約四百五十万立方メートルの土砂を貯溜いたし、本川治水上、甚大なる効果を発揮いたしておつたのであります。しかるに、今回のキテイ台風による出水のため、本堰堤下流河床が極端に洗堀低下いたしまして、遂に第二副堰堤が倒壤いたし、さらに第一副堰堤も倒壤寸前の危險状態に陥つているのであります。よつてこれが復旧対策といたしましては倒壤せし、第二副堰堤の復旧をいたしますと同時に、第一副堰堤につきましても、将来再び第二副堰堤に故障を生ずる場合に備えまして、在来のコンクリート方塊に接続いたしまして、延長十メートル、厚さ一・五メートルの水たたきを設けることにより、本堰堤の安全を期せんといたしております。しかして、これに要する工費約四千万は、すにで第三、第四、四半期予算の繰上げ流用を承認され、来春融雪出水期までにこれを完成せしむべく、すでに段取り工事に着手いたしております。
 次に井田川改修計画につきましてでありますが、本川は中流部より神通川本川との合流点に至る間は、河道狭窄し、さらに上流部よりの土砂流下による中洲の発達は、本川の河積をして著しく狭少ならしめておるのでありまして、年々降雨量に比し、その出水位は上昇の一途をたどつている状況であります。従いまして、本川流域における町村におきましては、中洲の除去により狭窄部の河積の増大をはかる一方、狭窄部上流の婦負郡宮川村地先より排水路を設け、神通川、井田川合流点をサイホンで通しまして、同郡八幡村地先より神通川本川に排水いたすべく改修計画を立案中でありますが、これに要する工費は約八億円と見積られ、かかる巨費はとうてい地元の負担いたしかねるところでありまして、國庫の援助を鶴首いたしているのであります。
 以下が、各県の災害の概要でありますが、次に今回の調査に際しての所見を簡單に申し上げます。
 今般、山梨、長野、新潟、富山の各県を視察いたしたのでありますが、長野県を初め、流域面積の小なる河川の氾濫による災害の頻発いたしましたことは、注目すべきであります。これが原因といたしましては、これら小派川に対する維持管理が十分でなかつたことにあることは、もちろんでありますが、特に林道の完備いたしておらぬわが国の現況におきましては、山林の濫伐が、伐木の搬出に便なる流域面積の小なる小派川流城の出地にのみ集中される傾向があるのでありまして、今後林道の開設普及の必要性が痛感されたのであります。
 第二に、短期融資等のいわゆる累急措置に関する問題であります。デラ台風以来のたびたびの災害に対し、政府においてとられた短期融資等の緊急措置は、まことに時宜を得たる措置でありまするが、これが各県への割当額が決定いたしましてより、実際に地元に到達いたしまするに、はなはだしきは数箇月の時日を要しおるのであります。しかるに一方極端に窮乏いたしておりまする今日の地方財政の現況におきましては、この間における応急工事に対する地元立替金の捻出等は、すでにでき得べくもなく、今年度のごとく短期間に相次ぐ災害をこうむりました際におきましては、地元においては前回における災害に対する金融措置がつかず、これが応急復旧への着手もでき得ざるうちに、次の災害をこうむり、ために災害を倍加いたしている状況であります。また市中銀行等より借入れによりまして復旧工事に着手いたしましても、中央よりの融資が地元に到達いたしまするまでの、この数箇月の間における期間の市中銀行等への金利額だけが、これら復旧に対する中央よりの融資額中よりマイナスされるのでありまして、個々の災害地におけるこれら金利額は少額でありましても、これを全国的に集計いたしますれば大なる数字に上ることは想像に難くないのでありまして、これら貴重なる災害復旧に対する国庫の金が、單なる事務手続の煩雑さのために多大なるロスを生じつつあることは、まことに遺憾にたえない次第でありまするがゆえに、これが促進方に関し、大蔵、安本、建設各当局に対し強く要望いたしまするとともに、これら各当局の所見を承りたいのであります。
 第三に、これら地元におきましては、これが復旧に際しまして、部落請負の件に関し、今般施行になりました建設業法の了解に苦しんでいるようであります。本法の解釈につきましては、さらに地方に普及徹底せしめる必要が痛感されたのでありまして、この点に関する建設、労働格闘局の御見解を承りたいのであります。
 第四には、井堰に関する問題であります。長町県を初め各地におきまして、井堰の脆弱が原因となつて、附近堤防が決壤いたしている例が隨所に見受けられたのであります。これは貧弱なる井堰が数多くつくられたことによるものであります。井堰の計画に対しまして、各県の土木部において数々の嚴格なる條件を付して許可いたしておるのでありまするが、これが施行が水利組合でありまして、資金の点においてその條件を満足し得ない状況にあるのであります。従いまして、今後においては各所に脆弱な井堰を数多く設置することを避け、強固な井堰を設置すべく、監督を嚴重にいたすべきであります。
 第五には、水防活動についてであります。過般の水防法の制定に伴いまして、各地ともいわゆる水防態勢が整い、新潟県を初めこれが効果は顕著なものがあつたのでありまするが、ただ長野市のごとき水防訓練の未熟のため、防ぎ得べき水害を防ぎ得なかつたことは、今後各地方への水防活動に対する国庫補助の問題とともに、一考を要すべき問題と思うのであります。
 次に考慮いたさねばならぬ点は、いわゆる洪水予報の連絡設備の問題であります。すなわち今般の予報連絡は、ほとんど優先による連絡でありましたため、暴風時における停電あるいは送電線の切断等により、最も連絡を必要とする暴風時における連絡が不可能となつたのでありまして、今後無線による連絡設備の必要性が認められたのであります。
 第六に、農耕地復旧に対する國庫補助の問題についてであります。今回の災害の多くは、いわゆる小派川による災害とはいえども、これら小派川流域の耕地面積の小なる部落にとりましては、そのこうむつた被害の比重は大きいのでありまして、自力による復旧は不可能と思われるほどの災害をこうむつているのであります。しかるにこれら農耕地の復旧に対する國庫補助の規定は、今年度より廃止されたのでありまするが、米国等における大農経営と異なり、そのほとんどが小農耕地による個人経営の形態をなしておりますわが国の現状におきましては、これら農耕地復旧に対する國庫補助の規定は、これを復活いたすべきものと考えるのであります。
 第七に災害対策と失業対策に関する問題であります。今般のキテイ台風のみならず、デラ台風以来の相次ぐ台風により、全國各町村のこうむつた被害は甚大なるものがありまして、ことに長野県のごとく各部落における所有耕地の小なる所におきましては、その耕地は全滅的な被害をこうむり、これが復旧に至る数箇年の間は、まつたくその生業を失う状況であります。従いましてこれが災害復旧に際し、いわゆる失業対策と連携をとりつつこれを行うことは、まことに当を得たることであろうと思うのでありまするが、現在生業地居住者は、たとい耕地の壤滅によりその生業を失うに至りましても、これを失業者とみなさざる点において、当局の見解は当を得たものとは言いがたいのみならず、これらに対する生活保護法は、まことに貧弱なるものがあるのであります。よつてこの際政府におきましても、災害復旧に際しまして、これを失業対策とあわせ行うべく、検討の必要があると考えられるのであります。
 以上御報告申し上げます。
#8
○大内委員長 第四班、小金義照君から御報告を願います。
#9
○小金委員 第四班が調査いたしました経過並びに結果について、御報告を申し上げます。
 第四班は神奈川、静岡、千葉、埼玉の四県下における被害の状況を調査のため、私始め門司亮君、砂岡一良君の三人が派遣せられたのでありまするが、そのうち都合によりまして、砂岡君のかわりに中西伊之助君が参加せられ、九月二十七日に出発いたしまして、神奈川県、静岡県それから千葉県、埼玉県を調査いたしたのであります。
 まず神奈川、静岡両県下におきましては、横浜港を初めといたしまして、主として相模灘、太平洋に面する海岸線を全般にわたつて調査し、千葉県におきましては、利根川の開発地区、それから浦安町等を中心にいたし、埼玉県下におきましては、北足立郡、入間郡、その他荒川関係筋を大体中心にいたしまして、利根、荒川の増水がいかに災いをなしたかを調べたのであります。ところが、限られた日数で、ことに秩父方面に非常に雨が降つて災害を起しておるのにかかわらず、その方面を十分に調査することができなかつたのは、はなはだ遺憾であります。しかし大体まわつて歩いたところだけを見ましても、ほとんど全般が完全に推察することができるのであります。
 その被害は概して一般に予想されたものよりも、はるかにひどいものでありまして、海の方では高潮と風によりまして、倒壊、流失、浸水等の罹災家屋、河川、橋梁、道路、海岸、港湾、砂防施設等、あるいはまた漁船、漁業施設にいずれも甚大なる被害を受けておるのであります。水陸の稻を初めといたしまして、農産物の減収も相当量に上るものと想像できるのであります。神奈川県下におきましては、大体約二十四億八千余万円の損害が見積られております。これを横浜港等の公共施設を除いて、それだけの損害が計算されております。千葉県におきましては、約三十七億四千三百万円、埼玉県におきましては約二十四億千六百万円という予想外の大きな被害をこうむつております。静岡県におきましては、農林関係の損害の調査は、まだできておりませんでしたが、土木だけを見ましても、七億七千三百八十万円、それから漁業施設の方面から見ても、約四億二千万円を下らない損害を受けているのであります。これに加えまして、昨年来襲したところのアイオン台風による被害の復旧も、三割から五割程度という状況でありまして、各県ともこれが復旧に応急の対策をいろいろ講じておりますが、いずれも恒久的な対策を樹立して復旧に当らなければならぬので、その点にも大いに留意して工事を進めている模様が、はつきりわかるのであります。しかしながら現在の窮乏した地方財政では、とうていこれが完全復旧を望むことはできない実情であります。漁業施設等の壤滅による漁民の困苦欠乏の状態は非常なものでありまして、また一生懸命働いてようやく取入れようとした稻が、全滅せられている所がありまして、それらの農民の絶望のありさまは、実に気の毒であります。こういう状態でありますから、一日も早く科学的かつ総合的な対策を樹立いたしまして何とかしなければならないことは、これまた皆様のすでに御承知の通りでありまして、三班までの御報告にもあつたこととまつたく同感であります。民生の安定、食糧の増産等に及ぼす影響は、非常に大きなものでありまして、日本再建の基礎がようやく固まりつつある際に、こういう災害が起つたことは、非常に遺憾であります。
 さらに具体的な困窮の状態を申しますと、たとえば船着場あるいは船たまり場に非常な損害を受けておりますので、他の方面から漁船が来て、そこで網を引き、盛んに魚をとつておるにもかかわらず、その魚をとるべき場所の漁民が、船引場とか荷揚場の破壤によりまして、そこから船を出すことができない、漫然と他人が自分の漁場でしておるのを見ておるというような、実に気の毒な状態であります。
 さらに神奈川県の国府津から酒匂方面にかけましては、決壤して波に洗われた堤防やら、防波堤の破片が海底に沈みまして、一切網を引くことができない、こういう悲惨な状態を惹起しておるのであります。
 さらに埼玉県方面におきましては、水稻はりつぱに立つておるのでありますが、陸の田はことごとく、穂がたれ下つて、いわゆる黄金の波を打つておるにもかかわらず、そこでは数日間の冠水のために穂が枯死いたしまして、ただ雑草のごとく稻が生えておる、これが見渡す限り続いておるという悲惨な状態であります。
 また千葉県の浦安町のごときは、全町が水浸しでありまして、全戸数三千百戸のうち、床上床下の浸水合せて二千九百二十戸という数字が出ております。流失倒壤の家屋が百八十三、同じく家屋以外の建物が四百四十四も波によつて損害を與えられており、流失漁船も六百隻という多数に上つております。さらにあの地方の重要物産の一つであるのりの製造業者は、ほとんど工場、器具とも全部流失しておるような有様で、のりの生産が全滅に瀕しておるのであります。また利根川開発地区におきましても、納期日の入植者のうち、引揚者が六十一戸でありますが、これらの人々がつくつておりました地区は、土砂によつて埋没いたしまして、耕す土地が全然なくなつております。こういう農民の完全失業も出ておるのであります。こういうような状態を見ますると一日も早く応急の措置をとり、そうしてまた恒久的な対策も立てなければならないという現状をわれわれはつぶさに見て来たのであります。
 各県ともこれははなはだ残念なことでありますが、災害なれがいたしまして――応急対策などについては、ずいぶん気のきいた措置をとつておるところもありまするが、なにせ地方財政が非常に窮乏いたしておりますので、どうしても十分なことができない。全額の国庫負担あるいはまた高率の國庫補助の支出とか、あるいは起債の認可、融資のあつせん、資材の割当等が強く要望されておるのは、まことにもつともでありまして、われわれ現地を調査いたしまして、非常に痛々しく感ずるのであります。これから各県別にいろいろ調査の実情を御報告申し上げまするが、神奈川県を初め、各県とも、いずれも今日ではすでに相当な整つた調査が印刷されて、各委員あるいはそれぞれ当局に提出されておりますので、きわめて簡單にその全貌の一部をここに御報告申し上げたいと思います。
 まず神奈川県におきましては、被害総額が先ほど申しましたように約三十四億円、降雨量は箱根地方約三百六十ミリ、丹沢で二三五・五ミリ、横浜二百八十五ミリ、こういうような降雨の状態でありまして、死者が三十二名、行方不明が二名、重軽傷者が八十七名、死者あるいは傷ついた心が計百十一名というような数字が出ておりまして、昨年のアイオン台風の被害に比しますると、六十三人でありますから、約二倍になつております。住宅も全壤別五百八十四戸、流失が八十戸、半壤が千五百八十三戸、床上浸水が一千二百八十七戸、床下浸水が一万三千七百十四戸、計一万九千二百四十八戸というような厖大な数字が出ておりまして、昨年のアイオン台風のときに比較いたしますると、五倍近い数字が出ておるのであります。
 こういうような厖大な損失が起つておりますが、土木関係では、道路は至るところ破損いたしております。ことに横浜港は横浜港開港以来のさんたんたる被害を受けたのでありまして船で校内をまわつて見ると、すでに一箇月近い日時を過ぎた九月の下旬におきまして、いまだに沈没船、座礁船が至るところにあります。そして防波堤は日本一の湊と誇るにもかかわらず至るところいたんでおります。こういうような損害は、ただいま申し上げました三十四億の中には入つておらないのであります。その他海岸線は特にひどいのが大磯の漁港、それから国府津から始まつて静岡県に至るまでの間、ほとんど全部がやられております。下田と三崎の間の一番いい湊だと言われる真鶴港のごときは全部いたんでおりまして、その損害だけでも二億円以上になつておるというありさまであります。小さい福浦等の漁港なんかも、ほとんどこれは壤滅にひとしくなつております。こういう状態でありまして、神奈川県におきましては、まれに見るきつい損害を受けております。
 さらに静岡県は、ことに伊豆半島の東海岸が軒並にやられておりまして、熱海は国道がほとんど全部破壊され、そして旅館にどんどん波を打込んでおる、埋立地の家屋は数十戸さらわれてしまつたというような状況であります。それから下田に至るまでの東海岸は、船たまり漁港ほとんど全部が傷つけられております。ことに小さい船たまり――その漁業のみによつて立つておる村落、部落等は、ただいま冒頭に申し上げましたように、全然漁ができない、そして高い食糧を買つて自分の船揚場、船着場の修築にかかつておるというようなありさまであります。まことに悲惨な状況であります。西海岸にも相当な被害があります。さらにまた農作物、山林等についても相当な被害もございますが、これらは静岡県庁から報告が出ておるはずであります。
 さらに千葉県について簡單に申し上げますると、在宅の被害としては、全壊が二百二十七戸、半壊が四百六十九戸、流失が二百五十四戸、床上の浸水が二千九百六十九戸、床下の浸水が二千四百八十九戸、住宅以外の建物で全壊が六百五十九戸、半壊が九百九十六戸、建物の総被害が二億五千九百九十二万円というような数字になつております。農作物関係でも、水稻――これは利根川方面が多いのでありますが、まず水稻の作付け計画面積の九十五万九千六百五十八反に対して、被害面積が六十七万四千九百七十四反というような数字が出ております。そのほか千葉県下におきましても、道路の破壊と土木関係、河川の堤防、橋梁の損害が、非常に大きなものになつておりま
 さらに埼玉県の一般状況を申し上げますと、何といつても秩父の出獄地帶に三百二十ミリの降雨がありまして、これが利根川、荒川の各河川に氾濫して参りまして、警戒水位の二倍以上の最高水位を示しております。幸い防水団等の活動によりまして、堤防の決壤は大きなところは免れておりますが、南部におきましては、降雨による被害よりも、むしろ風害によるものが大きかつたようであります。こういうような状態でありまして、それぞれ各県から書面で各委員に配付され、またそれぞれ陳情等に詳しく数字が出ておりますので、この報告は一応省略させていただきます。
 結論といたしましては、今回のキテイ台風による被害は、冒頭に申し上げましたように、各地とも最初われわれが予想しており、また新聞等で伝えられておるところよりも、はるかに大きいものでありまして、従つてこれが対策については、急迫に、そして科学的に総合的にこれを取上げなければならぬのでありまして、来る年も年も日本のような国柄では必ず台風がやつて来るのでありまして、毎年巨額の国の富が失われて、同じような災害を繰返すのは必然的であります。従つてこの自然暴威を手放しにしておくということであれば、国土の保全ができないのみならず、食糧の確保、民生の安定は、とうてい望めないのであります。そこでまずわれわれは各府県当局及び市町村当局においてやつているいろいろな施設を見て、国が思い切つた援助なり支出なりをしない限りは、この災禍をとうてい防ぐことができないという結論に到達いたしました。地方の財政は極端に窮乏しております。そこでわれわれはまず応急的な措置として、すでにただいま三地区の報告がありましたが、いずれも同じありさますなわち共通しているところのものでありまして、特に申し立てるほどのことはありませんが、まず地方財政を十分考慮して、災害の復旧補助費を増額してやる。また地方の起債発行額をできるだけ拡張してやる。第二に、資金の融通の拡允をはかる。とりあえず国の短期融資を増額するとか、あるいはすでに使つた融資の返還方法について財政的な措置を別途考慮してやるとか、また融資を受けながらこれを現金化することができない状態もありますが、これらをすみやかに現金化するような方法を講じてやる。第三に、耕地の被害程度には、特に甚大なものがありまして、食糧増産の見地と供出制度との関連から考えまして、何らか特別の條件のもとに、耕地災害復旧費補助の制度か何かを復活するか、あるいはまた適当にその方面の援助をしてやらなければならぬように考えております。第四番目に、地方配付税等の増額を至急考えて実施する。これらはいずれも国の財政と関係がありますが、被害地を見て来ると、どうしてもこういうことを強く叫ばざるを得ないのであります。第五番目に、米麦、かんしよ等の供出割当の是正をどうしてもすみやかに処置してやる。第六番目は、税の軽減あるいは免除をすみやかに実現してやる。第七番目には、いろいろな必要な物資の特別配給あるいは割当を考えてやるというようなことでありますが、一般的な恒久対策として、まず二つの観点からこれを考える必要があります。
 その一つは、台風が来れば、どうしてもたくさんな雨が産地に降りますから、治山治水は、根本対策としては、どうしても山から治めて行かなければいけない、徹底的な砂防工事あるいはダムの建設等を計画しなければならぬと考えるのであります。もちろんその下流の堤防の補修、あるいは完成を急がなければならぬのでありますが、特に山獄地帶に心をいたさなければならぬと確信するものであります。
 もう一つの問題は、これはまことに新しい現象でありまして、大正十二年の関東大震災以来相模灘と申しますか、太平洋は南の方に引下つておつたのであります。ところが今回のキテイ台風がもたらした災害のありさまを見ますと、ちようど大正十二年の関東大震災の前よりも、さらに太平洋が陸地に近く迫つて来て織る、この大きな問題であります。これは容易ならざることでありました、今まで二十数年来、海が遠くなつたという観点から、いろいろの施設をなし、また施設をそのまま放擲しておりましたが、大震災前のように太平洋の波がもつと近くなつたということになると、これは根本的な防波施設をしない限りは、民生の安定はできないのみならず、農業、工業の生産が安んじて行われない、こういう大きな課題がここに発生しております。でありますから、この災害防除の点については、特に今の山岳地帶の砂防から始めると同様に、海が近づいて来たということを念頭に置いて、いろいろな防災施設を考えていただきたいのであります。そのほかいろいろな施策がありますが、おおむね今各調査班長が述べられたことと重複いたしますので、これを省略いたします。
 はなはだ簡單でありますが、私の担当いたしました災害地の現場調査の報告を終ります。
#10
○大内委員長 以上をもつて派遣委員の報告聴取を終ります。
#11
○大内委員長 次にこれら災害対策について政府当局に対する質疑を行います。本日お見えになつておる方は、農林省農地局長山添利作君、建設省河川局長目黒清雄君、同じく防災課長賀屋茂一君、水産庁漁港課長林真治君、労働省職業安定局雇用安定課中島事務官の方々であります。質疑の通告がありますから、まず門司亮君の発言を願います。
#12
○門司委員 私は水産庁関係についてちよつとお伺いをしておきたいと思うのであります。先ほど小金班長からもお話のありました通り、神奈川県の酒匂の海岸から国府津の海岸にかけましては、海岸にありましたコンクリートの道路、あるいはプールというようなものが破壊されて参りまして、これらのコンクリートの固まりが大きいのは大体一トン以上あると思いますが、無数に海の中に流れ込んでおりまして、先ほども報告にありました通り、地引網が引けない。災害の復旧も非常に緊急ではありますが、現実の問題として、毎日の魚をとることができないような状態になつておる。ところがこれらのものを取片づけるに対しましては、やはり相当な規模の施設がなければできないのでありまして、海中ではありますが、一トンあるいは二トンというような大きいものがころがつておりますと、これを陸に揚げることもなかなか困難でありますし、事実上の問題といたしましては、これをやはり何らかの形で非常に深いところに沈めることがよいと思いますが、それにいたしましても、それを取片づける機械器具というようなものが地元にはなかなかございませんので、土地の漁民は非常に困つているようなわけであります。漁網を多く流されておりまして、ごく少い資材でつくろい、あるいは古い網を持ち出してその日の稼業に従事いたしておりますが、こういう障害物がありましてはそれもできないということで、きわめて難澁したしておりますので、これに対して水産庁としては、この取片づけに何らかの便宜を與えてくださるような意思があるかどうかということであります。具体的に申し上げまするならば、これは御存じのように、そういう機械器具も必要でありましようし、もし機械器具を他から借入れて来るということになりますると、費用も非常にかさんで参りますので、單に地元の負担だけでは、なかなか困難かと考えられております。これは非常に速急を要するのでありまして、長く置いておくと、大きなものが砂に埋もれて、ちようど氷山のようになつて参りまして、永久にその漁場は使えないというような形が出て参ります。ことにプールのごときは鉄筋を含んでおりまするので、なかなか容易に片づかないで、非常に大きい障害になつておるというようなことが考えられますので、以上申し上げましたことについて、水産庁として補助金なりあるいは機械器具の貸與なり、そうしたことが行われるものであるかどうかということであります。これを第一点として水産庁の方にお願いしたいのであります。
 それから先ほど政府当局の方がおいでになつておりますことを、委員長からもお話になりましたが、ついででありまするから申し上げておきます。明日の委員会でよろしゆうございますから、ぜひ政府当局の官房長官なり、あるいは責任ある建設大臣になり、お出かけを願いたいと思うのであります。もしできますれば委員長から質問の内容を通じていただきまして、確固たる御返答を承りたいと思うのであります。私の質問しようとする内容は、大体今回のシヤウプ勧告案によつて、災害の復旧は全額国庫で行うようにというような勧告がされておりますときに、われわれ仄聞するところによりますると、政府当局におきましては、耕地であるとかあるいは農の関係であるとか、あるいは林業であるとか、あるいは学校というような公共建築物、あるいは市町村の土木事業に属するようなものに対しては、補助をしないというようなお考えがあるやに承つておるのであります。それからまた現在工費の基準を十万円單位に置いておりますのを、大体三十万円に引上げようというようなお考えがあるように聞いておりまするが、もしこういうことが事実といたしますと、災害復旧に対しまする地元民の負担は、せつかく勧告案で国庫が全額負担せよということになつておりますのが、逆に非常に大きな地元の負担になつて参るということになりますので、その点、実際政府はそういうことをお考えになつておるかどうかということについての質問でありまするので、あらかじめ委員長から出席をお願いするときに、ひとつ当局にお話を願つておきまして、あまりにいいかげん――いいかげんというと怒られるかもしれませんが、承服しがたいような答弁でなくして、御親切な答弁をお願いしたい、こういう意向を持つておりますので、明日の委員会にはぜひ官房長官なりあるいは責任のある大臣なりおいでを願いたいというふうに考えております。従つて今日の質問は一点だけについて御答弁願いたいと思います。
#13
○林説明員 ただいまの問題につきましては、私漁港関係をやつておりますので、的確な御答弁は申し上げかねると思います。実は水産庁の長官が参るはずでございましたが、のつぴきならぬ用事でほかに参りましたので、漁港関係といたしまして私が参りました。
 漁場の清掃ということになると考えますが、これにつきましての、たとえばお話がありました器具の問題等につきましては、漁港などて工事用に使つております器具を利用いたしてやれる場合には、当然そういうことを考えて参りたいと思つております。たた漁場の清掃つきまして、全般的に補助金の問題とかいうことにつきましては、十分考慮して参らなければならぬ問題だと存じますけれども、私といたしましては明確なことはちよつと申し上げかねるわけで、その点御了承願いたいと思います。
#14
○門司委員 明確な御答弁ができないということになれば、だれに聞けば明確な答えが得られるのですか、その人を教えていただきたいと思います。
#15
○林説明員 長官なり次官なり、あるいは関係の課といたしましては、沿岸漁業課で扱つておることであります。
#16
○門司委員 それでは委員長からそういう方に御出席を願うよう、御努力願います。
#17
○大内委員長 承知いたしました。なおこの際先ほど黒澤委員の御報告中、政府当局の意見をただされておりますので、これより当局の御答弁を願います。
#18
○目黒説明員 御質問の中に、大体融資関係が非常に遅れる、せつかく金融措置を講じながら、現地の方に金が入るのは五十数日かかるので、非常に地元は困つているというお話でありますが、これはわれわれもその話を聞いております。従つてわれわれは、大蔵省に対してこの点を強く要求しておりまするが、大体において手続といたしましては、融資がきまりまして――例の特別緊急措置を講じたのでありまするが、それから安本とわれわれのところで費しますあるいは資材関係のこともありますが、融資がきまりまして地方に通知を出しますのに、約五日間ぐらいかかるのであります。それから地方に参りまして、地方の財務局の調査が始まりまして、日本銀行、こういうことになりますので、地方財務局の調査が相当長引くというのが事実であります。従つて大蔵省に対して、こういう緊急な災害というような特別な事態の場合に、そう地方財務局の調査を長くしてもらつては困る、こういう主張をいたしておるのであります。大蔵省でも、ある程度これを認めまして、できるだけ短縮しようという意見にはなつておりまするが、とうとう今度の措置には間に合わなかつたという始末で、まつたくお気の毒な次第であります。今後ともこういう措置を講ぜられる場合には、われわれの方から強く要求したいと考えております。
 次に地元請負の問題でありまするが、地元請負には、賛否両論があるのであります。大体においてこの地元請負をやりまする目的は、地元の勤労意欲と言いますか、あるいは奉仕と言いますか、こういうふうな地元の協力を仰ぐために、地元の労務者をもつてその仕事を完成し、従つてそのとりました労賃を地元負担の一部にしよう、こういう目的でこれを行つておるのであります。ところがこれはそういうふうな純粹な目的でおやりになつている地方はいいのでありまするが、たまたまそこに特別な商売人が入りますると、場合によりますると非常な弊害を起すという心配もありまするので、われわれはこれに対しては嚴重に監督をいたしておるのであります。ところでこれと例の建設事業法との関係でありまするが、大体建設事業法は、利益を目的といたしまする業者に適用する法律でありまして、地元請負などはこの建設事業法のらち外であるという解釈をいたしておるのであります。この問題につきましては、農林省の農地局長と建設省の管理局長の名で、府県にその旨を通牒してありますから、府県の方から各町村に行きますれば、徹底すると考えております。
 その次に水防関係でございまするが、水防関係で最も重要なのは洪水を未然に知る、そうしてそれに対する対策を講ずるということであります。このためには、どうしても予報の通信が完備しなければならない。ところが現在ありまするのは、優先連絡以外には持つておらないのでありまして、本年度の災害地区には、これが不通となりました関係で、予報が徹底しなかつたという地方も起つたのであります。従つてわれわれは、今後は無線通信施設を新たに設置したい、こういう気持でおりまするが、問題は無線設置はなかなか関係方面の許可がむずかしいのであります。しかしながら、こういう日本の特殊事情を申し述べまして、本年はできるだけ無線通信施設を設置すべく努力したいと思います。大体以上三点と考えておりまするが、漏れました場合には重ねてお答えいたします。
#19
○山添説明員 耕地の災等復旧に助成を出すべきであるということにつきましては、本年度風水害に関する補正予算の中に、政府としましては、耕地の災害復旧に助成をするという金を含めまして決定をいたしております。これは関係方面の了解を得なければ本ぎまりにはなりませんので、貫徹いたしますように努力をいたしたいと考えております。
 これから乱雑に井堰がございましてその袖の方から堤防決壤の原因をなす事例が多い。こういう点につきましては、災害復旧をいたします場合、またやや大規模に農業水利の改良事業をいたします場合に、そういう点に気をつけまして、できるだけ井堰を統合して参る、こういうふうに考えております。現にそういうことをやつておる次第であります。
#20
○中島説明員 労働省の職業安定局の中島でございます。先ほど部落請負のことにつきましてお話がありましたので、労働省としての考え方を簡單に申し上げてみたいと思います。労働省の方では、労働省供給事業――これはなかなかむずかしい問題でありますが、労働省供給事業というのを禁止いたしております。その中に請負の形、実際に労働者だけでやり得るような仕事、それを請負としてやつておるような場合は実質的に労働者供給事業であるというふうな考え方をとつております。それで作業自体を一つ一つ判断しまして、堂々社供給事業であるかどうかということを判定いたしておるのでありますが、先ほどお話のありました部落請負については、この労働者供給事業の関係から、次のように考えております。と申しますのは、部落請負がほんとうにその部落だけで請負われて、その地域にある農民だけで請負われており、そして共同にその人たちが実際にその請負事業をやつておるということになりますならば、これは労働者を使うとか、あるいはある特定の人が労働者を使つて請負つてやつて行くという考え方になりませんので、労働者供給事業の概念には当てはまらぬ。でありますから、職業安定法の規制を受けない、かういうふうに考えております。けれども、その部落請負あるいは地元請負という名前だけのことであつて、実質的にはある別の人が、あるいは簡單にいいますと、ボスあたりがその請負をやつて、そうして中間搾取をし、利潤をあげておる、あるいは労働者供給事業に該当する場合が出て参りますので、そのときは職業安定法の適用があつて、労働者供給事業に該当するということもあると思います。けれども、先ほど申し上げましたように、純粹の部落請負あるいは地元請負で、結局部落民または地元民が共同してその作業を請負つておるという形なら、何ら安定法に触れるところはない、こういうふうに考えております。簡單に部落請負について申し上げました。
#21
○黒澤委員 先ほど融資関係について、地方財務局の調査が非常に延びる、それは甘い調査をしては困るということを局長が申されましたが、それほどういうわけでありますか。
 また水防関係についてでございますが、各県に行つてみますと、地元がほんとうに直轄河川に対する水防について資材を出しておるような状態でございます。地方が非常にお困りのような点が数多いのであります。これに対する国としてのこうした地方に対する関係をどうお考えになつておりますかどうか。
 それから災害復旧と失業対策問題でございますが、これに対する労働省あたりの御見解はどんなふうであるか、この三点をお尋ねいたしたいと思います。
#22
○目黒説明員 卒直に申し上げますと、大蔵省にまわりましてからの手続が相当時間をとる。その内客を調べますと、大蔵省は大蔵省の立場においてやはり災害の程度を認識しなければならぬ、これが地方財務局の仕事である。責任上それをやらなければならぬというのが、大蔵省の実情であります。しかしながらわれわれとしては、災害がもう現実に起り、各人が認識しておつて、その事実ははつきりしておるのではないか、そういう事実をさらに調査をする必要がどこにあるか、こういうふうに見ておるのであります。そこにやはり融資関係の責任上の立場から、地方財務局ではある程度調べなければならぬ、こういうことを大蔵省が言つておるのであります。それをちよつと言葉が少かつたので、そういうふうに誤解されたと思います。
 それから水防工事の地元の労働力あるいは資材あるいは器具、こういうものは莫大な費用であるということは、われわれも考えております。それは水防法を制定いたしますときには、実はその問題を條項に入れて出したのでありますが、不幸にしてそれが通らなかつたのであります。と申しますのは、今地方で河川を管理しておる建前上、地方長官がある程度の責任を持たなければならぬではないか、地方財政窮迫のときであるからという主張は、ほかの道で講ずベきであつて、水防それ自体において補助をなすべきものではないという議論が相当出ておつたのであります。しかしながら、われわれはいかにも地方財政窮迫の折柄、そういう莫大な費用を地方にごめいわくをかけることは非常に忍びないというわけで、この水防の一部となります。まず洪水予報をわれわれの手でやつて行こうというつもりで、それらに対する施設は国費をもつてやつて好きたい、こう考えておるのでありまS。これが認識されますれば、ある程度財務当局も水防に対して補助の道を講ずるかもしれませんが、現在においては、そういう経過に相なつておるのであります。また今後われわれとしては、できるだけ各方面の了解や得て、水防に対してある程度の援助をすべく努力しております。
#23
○中島説明員 ただいま災害復旧と、それに失業対策の問題について御質問がございましたが、失業対策について簡單にお話したいと思います。
 失業対策は、御存じのように、今年度は失業情勢が深刻でありますので、いろいろ対策を講じておりますけれども、ただいまお話のありました災害、それに伴つて発生しました失業者を、その土地から移動してよそに就職できるような人と、それからその土地は動き得ない人と二つにわけられるのではないかと思います。労働省といたしましては、全國に四百十五箇所の公共職業要定所を持つておりまして、これを第一線機関として就職対策を講じさせております。それで特に公共職業安定所のある地域におられる方、あるいは移動して就職できる方には、いろいろ求人その他開拓をいたしまして、就職のおせわをいたしておりますけれども、移動して就職できない場合がございます、これについて、特にそういう面に安定所がないところでは、特別に事業を興さない限りは、失業対策ということが考えられないのであります。それで今年第三・四半期の後半から第四・四半期にかけまして、相当災害復旧工事が興るだろうと思います。そういうところでは、相当な失業者の救済ができるというようにも考えております。それからまた今年の十一月から、從來の公共事業においては、失業者吸収率というものが設定されておりまして、できるだけ失業者を吸収するようにという規定がございます。これは緊急失業対策法に基いてそういう規定があるのであります。この失業者吸収率を十一月から大幅に引上げまして、都会のみならず、農村方面でいろいろ言われております公共事業にも、失業者が吸収できるような措置を講じておりますので、この方面にもそういう失業者の方を吸収できるのではないかと考えます。もちろんいろいろ失業対策として考えられますけれども、実際に失業対策の事業を興し、あるいは失業者を吸収しても、吸収し切れぬ人員が出て参ります。この面につきましても、生活が困難な者については、厚生省の方でやつております生活保護法の運用で、いろいろ救済して行くというようなことになるわけであります。大体概略でありますが、失業者のための失業対策というものは、そういうふうになつております。
#24
○小平(忠)委員 ただいま今回のキテイ台風及び北海道の旱害につきまして四つの調査班の班長から詳細なる報告がありまして、この被害においては、まつたくわれわれが予想いたしましたより甚大であります。日本再建途上におきまする、特に食糧を増産し、民生の安定を期するという見地から見ますならば、これについてこの具体策を緊急に講ずるということは、重大なる問題であろうと思うのであります。私は今回のこの災害につきまして、北海道の旱害につき調査に派遣を命ぜられたのでありますが、北海道の旱害につきましては、青木班長から詳細なる被害状況、さらにこれに対する緊急対策等についての報告があつたわけです。この機会に簡單に農林省農地局長及び建設省河川局長に対しまして一、二お伺いいたしたいと思うのでありますが、特に旱害というものにつきましては、先ほど青木班長から御報告申し上げましたように、今回のデラ、ヘスター、キテイ等の台風における対策につきましては、政府当局もこれに対する具体策を考究中であるのでありますが、特にこの旱害につきましては、その対策がとかく軽視される向きがあるのであります。特に旱害の実態は、まつたくわれわれが現地を調査した結果において把握いたしました大きな点は、これに対するところの旱害防止とか、あるいは本年度におきまする供出の割当補正、あるいは課税の減免、その他応急になすべき問題は多々あるのでありますが、特に重点となるべき問題は、まつたく収穫皆無となつた三万五千戸以上の農家に対して、一物もとれなかつた。ひどい村におきましては、全村まつたく何もとれないで、どうしようか、今年のこの北海道の嚴寒凍る寒さに冬越しをどうしようかと、村長以下手をこまぬいで、まつたくこれについては一切を国にまかせて、もしこれに対する政府の対策、あるいはこれについて考えてくれないならば夜逃げをしようというような悲惨な数箇町村を現実に見て参つたのであります。これに対して、ただ今年の冬越しをいかにするかという点については、むしろ食糧増産上、受けた旱害を未然に防ぐような事業を興させて、農家みずからが正業によつて得る労賃によつて生活資金を與えるというようなことを考えなければならぬという観点から、われわれ調査班の一行もこれに対する考え方としては、最低限この被害を受けた農家に対して一戸平均三万円の救済資金を與える事業を興す決心を実は持つたのであります。これに対しては、幸いに農林省の農地局長におかれましても、ただちに、これは明年この予算の中に入れるのでは間に合わぬからという見地から、本年度の補正予算にこの応急対策の面を取入れて、農林省当局から今度の補正予算に対しまする考え方を要求されておることを聞きまし’、まことにわれわれ現地を調査いたしました者としては喜びにたえないものがあるのであります。と同時に、この救済事業というものは、どうしてもただちに被害農家を救うという反面に、やはり北海道農業というものは、御承知のように日本で残されたただ一つの宝庫である、この北海道の農業生産力を高めるという面に重点的に持つて行くならば、開拓以来原始河川あるいは原始のままにあるところの北海道の農業開発に役立つところの、今まで災害を受けた道路、河川野の改修、災害復旧を早急にやるというような仕事を、いかにして農家にやらせるかということが緊急必要ではないかと思われるわけであります。この点につきましては、臨時国会の開会も目前に迫つておりまして、今度の臨時国会には、この補正予算につきましても、相当額組まれるという方針であることにつきましては、特にこの北海道の非常にさんたんたる旱害を受けた対策といたしまして、農林省及び建設省におかれましては、これに対するいかなる対策をお持ちであるか、忌憚のない御意見をこの機会にお聞かせいただきたいと思います。
#25
○山添説明員 先ほど方々御視察になりました班からの報告にも、災害をこうむりました人を、一種の実質上の失業者とみなして救済的な方面に役に立つような仕事を興すような意味合いでのお話があつたと思いますが、北海道の旱害につきましては、内地の風水害のように、災害を受けたものを元の形にするという意味とは違つた、いわゆる急農土木的な仕事を興すという観点から、考えなければならぬと思うのでありまして、その意味から申しますると、北海道のようなところ、申すまでもなく單作地帯であり、来年の収穫期までには完全に一年間は待たなければならぬ、あるいは冬の間が非常に長い、こういう地帶に対しましては、やはり特別の考慮をいたさなければならぬと思つておるのであります。従つて農林省といたしましては、食糧増産に役に立ち、同時にまた農家の方々の越冬資金と申しまするか、収入になりますような仕事を、相当程度に興す必要ありという考えをもちまして、そういう予算を要求いたしておるのであります。何分このことにつきましては、私ども不幸にして的確なる状況を知りますのがおそかつたために、時期が非常に遅れ、従つて財源等の関係がいかがなつておるかということを心配いたしておるのでありますが、これは政府の方の高い立場にあります方面で十分考慮をしていただきたいと、こういう希望を持つておる次第であります。
#26
○目黒説明員 北海道の旱害とわれわれの災害復旧費との関係でありまするが、私のところで取扱つておりまするのは、北海道の融雪災害以来の災害復旧費でありますが、そういう災害復旧費と今の救農的な立場で相当多くこの際仕事をやるべきだというお話のように承りまするが、これもただいま農地局長のお話の通りに、不幸にしてその事実を発見したのがおそいのでありまして、そういう意味の要求をいたす余裕がなかつたのでありまするが、現在要求しておりまする補正予算内の災害復旧費の中で幾ばくかを北海道に重点的にさくようにというお話でありますれば、これが旱害の程度の判定をつけていただきますることがはつきりいたしますれば、ある程度われわれは考慮しなければならぬと考えておるのであります。もちろん先ほど農地局長のお話の通りに、すでに補正予算の要求の線ははつきりいたしておりまするので、これをいかに運用するかということは上層部のお考え次第と考えておるのであります。
#27
○青木(正)委員 農地局長にただ一点伺いたいと思います。それは北海道の旱害の状況を視察しまして、私通説に考えましたことは、後志でありましたが、同じ旱害地で、隣の畑は、デント・コーンでありましたが、非常にりつぱにできておる。ところがすぐ隣はわずか二尺程度にしかのびていない。そこで聞いてみると、非常に成長のよくできた土地は、昨年プラウによつていわゆる心土耕をやつた土地だつたのであります。それから心土耕をやつているところも拜見したのでありますが、いろいろ聞いてみますと、心土耕をやるのに費用が反当六百円かかつた。そこで農家としては自分の負担ではとうてい心土耕をやるだけの余力がない。そういうことを考えますると、旱害というものはある程度避けられる災害だ。土地の状態をもう少し改善しておけば、あの程度の旱害は避けられるのであるということを私ども考えられるのであります。ところがそういう心土耕のために反当六百円も金がかかるので、農家としてはどうにもならぬ。そこで北海道では協同組合が中心になつて、何とかしてプラウを入れようという努力をしておるのでありますが、プラウを修繕といいますが、その土地に合うように直すだけでも八万円はかかるというようなことで、協同組合だけではどうにも手がつけられない。道庁の方でも相当努力はしておるようでありますが、土地改良の費用を国庫で来年度から若干見られるというようなことになります場合に、そういつた北海道の土地改良について、いわゆる土地改良事業、昔の耕地整理組合に対する補助というようなことでなしに、プラウというようなものを、国である程度補助してやつて備えつけてやるというようなことが非常にいいのである。そういうふうなことをやつてやれば、北海道の土地改良というものはある程度促進されて行くのじやないかということを私どもは考えるのであります。また泥層耕の問題でもそうでありまして、何にしましても、農家だけにまかせておきましては、プラウなんていうものは経費がかかりますので思うように行きません。国の方でそういつたものに対して補助する必要があるじやないかということを考えるのであります。そこで土地改良について国が補助するような状態になりました場合に、ああいつた土地改良の機具というものに対して国家として特別にめんどうを見ろというような点について、何らかのお考えがあろかどうか。北海道庁としてもやつておりますけれども、国としても、ある程度はめんどうを見てやらなければならぬのじやないかということも考えられるのでありますが、この点について農地局長のお考えを承りたいのであります。
#28
○山添説明員 今までもその心土耕に対しましては、国の補助を出しておるのでありまして、北海道庁に補助しますと、北海道庁は今のように器具を買いまして、これを協同組合に貸しつけて奨励をしておる。ただあまり金が小さいからやつていないように見えるのでありますが、その点は今までは北海道開発費という大きな名前で、実際はその予算の中に入つておつたのでありますが、来年度からは土地改良費の中から出すことになると思います。と申しましても、急に金全体がそうたくさんふえるような様子でもございませんので、大したことはないかと思いますが、今までよりは改善されると思います。
#29
○床次委員 農地局長に簡單に三つばかりお尋ねしたいのですが、第一は農業の生産計画の変更の問題であります。災害がありました関係上、供出その他に影響のある場合、これに対して補正の行われることは当然でありまするが、植付前に災害がありました場合には、当然生産計画そのものに変更を来す。これをもつてしんしやくしたければ、生産農家の立場は非常に影響が多いのであります。これに対しましては、当局においてもいろいろお考えになつておると思うのでありまするが、過般のデラ台風の被害による鹿児島県の災害、これは生産計画を変更せられなければ、地元としては非常に影響が多い、各町村の供出にも非常に困難を生じておるというような状態でありまして、当局はこの点に対する生産計画の変更に対して、その後どういうふうな処置をおとりになつたか伺いたいと思います。第二点は、いわゆる転落農家の飯米の確保の問題であります。こういう災害のありました機会におきましては、非常にその條件が悪いので、実際の取扱上におきまして、実は転落農家に対しては十分な食糧を確保せられないというのが実情だと思う。この点に対しまして御当局の御意見を伺いたいと思います。
 第三の問題は、災害とさつまいもの問題であります。今回はかんしまは統制を撤廃する云々という話が出ておるのでありますが、実はかんしよは災害とはまことに縁の深いもので、災害に対する主要食糧作物といたしまして、そのかんしよの占める位置はすこぶる重要でありますから、かんしよに対して統制が撤廃されるということは、かんしよを栽培いたす者に対しまして非常に影響がありますと同時に、また災害の予防対策上から申しましても、これは大なる影響を與えるものと思います。かんしよの統制撤廃が、災害に関連いたしまして、非常に不利な状況を来すことと思うのであります。特に南方各地の例外あるいは旱害あるいは風水害において。一般の米作の不利な地方におきましてはかんしよというものは非常に有益なものであります。統制の撤廃せられる場合におきましは、特にこれは影響を受けるものでありますから、この点特に当局の御意見を伺つてみたいと思います。
#30
○山添説明員 お話はきわめてごもつともなことばかりでございますが、食糧統制につきましては、非常にもつともであることが、必ずしも全体が正確につかめておりませんといいまするか、あるいは国全体としてのわくがありますために、現地の場合になりますと、合理的に扱われていないような状況にやむを得ずなつておるのであります。これらのことにつきましては、責任当局であります食糧庁長官が参りました場合に、そちらの方からお答えをお願いすることにいたしたいと思うのであります。御質問の種子はよく伝えておきます。
#31
○大内委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたします。明日は午後一時より開会いたします。
    午後四時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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