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1949/04/22 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 決算委員会 第9号
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1949/04/22 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 決算委員会 第9号

#1
第005回国会 決算委員会 第9号
昭和二十四年四月二十二日(金曜日)
    午後一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 本間 俊一君
   理事 川端 佳夫君 理事 永田  節君
   理事 清藤 唯七君 理事 井之口政雄君
      大上  司君    中馬 辰猪君
      藤枝 泉介君    南  好雄君
      福田 篤泰君    久保田鶴松君
      畠山 重勇君    金子與重郎君
      小林  進君
 出席國務大臣
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
 出席政府委員
        内閣官房次長  郡  祐一君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総長      東谷傳次郎君
        持株会社整理委
        員会委員長   笹山 忠夫君
        持株会社整理委
        員会常務委員  市川 通之君
        持株会社整理委
        員会経理部長  土井 良一君
        專  門  員 大久保忠文君
        專  門  員 岡林 清英君
四月二十日
 委員岡田春夫君辞任につき、その補欠として中
 原健次君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
 委員戸叶里子君辞任につきその補欠として久保
 田鶴松君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十一事業年度の持株会社整理委員会経費
 收支計算書並びに讓受財産に関する財産目録及
 び收支計算書
 昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経
 費收支計算書並びに讓受財産に関する財産目録
 及び収支計算書
 昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経
 費收支計算書並びに讓受財産及び過度経済力集
 中排除法第七條第二項第五号の規定に基きその
 讓受けたる財産に関する財産目録及び收支計算
 書
 昭和二十二年度予備費使用総調書、
 昭和二十二年度特別会計予備費使用総調書(承
 諾を求める件)
 昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(そ
 の一)
 昭和二十三年度特別会計予備費使用総調書(そ
 の一)(承諾を求める件)
    ―――――――――――――
#2
○本間委員長 これより会議を開きます。
 昭和二十二年度予備費使用総調書、昭和二十二年度特別会計予備費使用総調書、昭和二十三年度一般会計予備費使用総調書(その一)、昭和二十三年度特別会計予備費使用総調書(その一、)以上に件を一括して議題といたします。まず政府当局より提出理由の説明を聽取することにいたします。
#3
○池田國務大臣 ただいま議題となりました昭和二十二年度予備費使用の件外事後承諾を求める件三件について御説明申し上げます。
 昭和二十二年度予備費使用の件外一件につきましては、事後承諾を求めるため第二回國会に提出いたしましたが、審議未了となりましたので、あらためて今次國会に提出いたした次第であります。
 昭和二十二年度一般会計予備費の予算額は二十億円でありまして、このうち財政法第三十五條の規定によりまして、昭和二十二年五月十六日から同二十三年三月三十日までの間におきまして、十九億七千九十余万円を使用いたしました。そのうちおもな事項は、経済安定本部機構拡充に必要な経費、地方経済安定局設置に必要な経費、経済監視官設置に必要な経費、協栄生命保檢株式会社に対する損失金補償に必要な経費、給與措置特別措置費の補足に必要な経費、船舶運営会補助に必要な経費、第二復員局廃止による描海管船業務移管運営に必要な経費等であります。
 次に昭和二十二年度において予備費を使用いたしました特別会計は、地方分與税分與金、造幣局、専賣局、農薬共済再保険、國有林野事業、國有鉄道事業、通信事及び労働者災害補償保檢の八特別会計でありまして、その使用いたしました総額十八億八千九百四十余万円であります。そのうちおもな事項は、葉タバコ購入に必要な要経、農業再保険に必要な経費、キヤスリーン台風災害復旧に必要な経費、給與改善等に必要な経費、建設改良に必要な経費、超過勤務手当ての支給に必要な経費、保険金支拂いに必要な経費等であります。
 次に、昭和二十三年度一般会計予備費の予算額は六十五億円でありまして、このうち財政法第三五條の規定によりまして、昭和二十三年四月九日から同二十三年十二月二十四日までの間におきまして、五十一億千五百六十余万年を使用いたしました。そのうちおもな事項は検察審査会法の施行に必要な経費、家庭裁判所の新設に必要な経費、初任警察官の訓練に必要な経費、徴税費の増加、教員共済施設費補助に必要な経費、震災應急救助に必要な経費、風水害應急救助に必要な経費、鼠族昆虫駆除実施に必要な経費、特殊薬品の配給確保に必要な経費、耕地面積調査に必要な経費、農薬共済保険実施に必要な経費、農地改革に必要な経費、指定生産資材の割当事務に必要な経費等であります。
 次に、昭和二十三年度において予備費を使用いたしました特別会計は、專賣廳、厚生保険、船員保険、耕炭需給調節、農薬共済再保険、漁船再保檢、國有鉄道事業、通信事業、労働者災害補償保檢及び失業保檢の十特別会計でありまして、その使用いたしました総額は、二十二億八千六十余万円であります。そのおもな事項は、タバコ専賣益金確保対策に必要な経費、健康保檢給付費に必要な経費、物件費等の單價増に伴い必要な経費、福井地方浸水害復旧に必要な経費等であります。
 以上をもちまして、昭和二十二年度予備費使用の件外事後承諾を求める件三件の御説明をいたしました。何とぞ御審議の上御承認くださることをお願い申し上げます。
#4
○井之口委員 きようの議題は持株整理委員会の二十一年度、二十二年度の決算を審議することになつており、突然きようの公報で今の予備金の問題がつけ加えられているのであります。それで委員の方といたしましてもこれがきよう審議せられる場合には、十分な準備がないのであります。突然そうなつて来られますと、内容は非常に重要な問題でありますし、これに対してわれわれは責任ある質問をしなければならぬ。この意味におきまして、一應政府の今の説明だけは聞きおくことにして、質問をあとに延ばしてもらいたいと思います。そうして初めの予定通り持株整理委員会の方からやつて行つたらどうかと思います。
#5
○本間委員会 ちよつと私からお答えをいたしますが、持株整理委員会の方と予備費の方と両方きよう審議に入る予定にいたしておりまして、公報にもさよう掲載をいたしておいたのでありますが、本日は当局の時間の関係がありまして、予備費の説明を先に聽取いたしたのであります。井之口君の御意見もありましたが、本日は説明を聴取いたしまして、御質疑があれば次会に譲る。その点はどうかご了承を願いたいと思うのであります。
 ただいま大蔵大臣から説明をせられました提案の理由をプリントか何かにしてお届けを願いたいと思います。
 それでは予備費の審議は、本日は当局の説明だけを聽取することにいたしまして、次会に皆様の御質問があれば御質疑を許す、こういうことにいたしますから、さよう御了承を願いたいと思います。
 なお御参考に皆さんに申し上げておきますが、二十二年度の予備費を会計檢査院が檢査いたしました結果、二十二年度決算檢査報告という会計檢査院の報告の中に檢査報告が出ておりますが、そのページ数を今申し上げますから、お控えを願いたいと思います。二十二年度の檢査報告の中で四十二ページ第四十四と第四十四、百十四ページ第二百五十二、百五十六ページの第三百四十に、それから昭和二十一年度の決算報告の中で百四ページに一件あります。以上でございますから、お調べの御参考にせられたいと思います。
 引続いて昭和二十一事業年度の持株会社整理委員会経費収支計算書並びに譲受財産に関する財産目録及び收支計算書、昭和二十二事業年度前期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産目録及び收支計算書、昭和二十二事業年度後期持株会社整理委員会経費收支計算書並びに譲受財産及び過度経済力集中排除法第七條第二項第五号の期に基きその譲受けたる財産に関する財産目録及び收支計算書、以上三件を一括議題といたします。
 右の三件は、第三國会及び第四國会に提出せられたものでありましたが、諸種の事情のために審査未了となつておつたものでございます。委員の各位もほとんど新しくなられたのでありますから、本件の審査をいたすにあたりまして、一應内閣の方から同委員会について簡單な説明を聽取して、それから審議に入りたいと思いますから、さようにとりはからいます。
#6
○郡政府委員 持株会社整理委員会は整理委員会令に基きまして、企業の所有及び経営の民主化をはかりますために持株会社整理委員会令で指定せられましたいわゆる持株会社と、個人の指定者の所有いたしまする証券その他の財産を譲り受け、これを管理処分する等によりまして持株会社の整理を促進いたし、及び個人である指定者の企業支配力を分散いたしますこと、並びに民主的にして健全な国民経済再建の基礎をつくりますために、過度経済力集中排除法の定める所によりまして、過度の経済力集中を排除いたす目的をもちまして、公の機関として内閣総理大臣の監督に属しているものであります。本日内閣より提出いたしました同委員会昭和二十一年事業年度、すなわち昭和二十一年八月から昭和二十二年三月、並び昭和二十二年事業年度、すなわち昭和二十二年四月から昭和二十三年三月の決算書類について御審議を願う次第であります。
 まず昭和二十一年事業年度決算書類の提出理由から御説明、申し上げますと、本件決算書類は、持株整理委員会から、改正前の委員会令の規定によりまして、昭和二十二年の五月二十三日に、内閣総理大臣及び檢査委員会に、改正後の委員会令附属の規定によりまして、昭和二十三年一月二十三日、会計檢査院にそれぞれ提出されたものであります。会計檢査院におきましては、同令第二十三條並びに附則の規定するところに從いまして、同委員会の会計について、同年二月二十六日から一箇月にわたりまして綿密に会計檢査、証券檢査を実施いたしました。その檢査結果について、同條第三項の規定に從つて、内閣総理大臣及び持株会社整理委員会委員長に対しまして、お手元の書類の冒頭に記載して置きました通り、特に通知すべき意見はない旨の通知をいたして参つたのであります。内閣では同令第六項の規定に基きまして、同委員会から提出いたされました決算書類に、右会計檢査院の意見を付しまして、昨年六月十日第二國会に本件書類を提出いたしたのであります。
 次に昭和二十二年事業年度決算書類でありますが、本件書類は持株会社整理委員会令第二十三條第六項の規定によつて、昨年十二月七日第四國会に内閣から提出いたしものでございます。本件決算書類のうち前期すなわち、昭和二十二年四月から九月の決算書類は、同令附則第四項の規定によりまして、持株会社整理委員会から昭和二十三年一月二十九日会計檢査院に、同三十日内閣総理大臣に提出いたされたものであります。後期、すなわち昭和二十二年十月から二十三年三月の決算書類は、同令第二十三條の規定によりまして、同年六月九日内閣総理大臣及び会計検査院に提出されたものであります。会計檢査院においては、同令第二十三條並びに附則の規定するところに從いまして、同委員会の本件前期及び後期の会計につきまして、同年五月二十五日より六月末日にわたり会計檢査を実施いたし、その檢査結果につきまして、同條第三項の規定に從いまして、内閣総理大臣及び同委員会委員長に対しまして、前期後期ともに特別の意見はない旨通知されたのでございます。その通知につきましては、これまた提出書類の冒頭に添付いたしておきました通りでございます。
 以上が本件書類を内閣から国会に提出いたしまして御審議を願います理由並びにその経過でございます。同委員会の業務状況なり、本件書類の内容につきましては、ただいま同委員会の委員長も見えておられますので、その方から必要に感じ御説明申し上げたいと存じます。
#7
○本間委員長 持株会社整理委員会の笹山委員長が、きよう当委員会に出席する予定になつておりましたが、関係方面からの呼び出しがありましてその方へ行つた関係で、当委員会に欠席をいたしておりますから、常務委員の市川氏からその整理状況の説明を聽取することにいたします。
#8
○市川説明員 簡單に委員会の業務の大要につきまして、近況の概略を御説明申し上げます。
 当委員会の業務は、持株会社整理委員会令第九條に詳細に規定されておりますが、大別いたしますと、指定者並びに持株会社の監督、それから譲受け有價証券の管理及び処分、管理有價証券並びに委任を受けました株式に関する議決権の行使、それから昭和二十一年勅令第五十六号、これは会社の証券等保有制限令でありますが、この関係の業務、すなわち株式処分計画書の承認並びに変更をなすこと及び過度経済力集中排除法関係の業務、こういうことになつております。
#9
○本間委員長 笹山委員長が見えましたから、かわつて委員長の御説明をお願いいたします。
#10
○笹山説明員 私笹山でございます。たいへん遅参いたしましてまことに申訳ございません。ただいまの市川委員からの御説明に引続きましてそのあとを御説明申し上げることにいたします。
 業務のうちのまず第一の、指定者並びに持株会社の監督という点でございますが、指定者並びに持株会社の指定は、委員の意見に基きまして、内閣総理大臣からなされることに相つておりますが、これには期限がございまして、委員会設立後一年六箇月の間に指定をしなければならないことになつております関係上、昨年の二月二十二日をもつてその期限と相なつております。その後は新しい指定ということはないわけであります。当然今後もそういうことはあり得ないわけでございます。この期限までの間に個人で指定せられましたのは、三井高公氏等五十六名でありまして、これは一昨年昭和二十二年三月十三日に総理大臣から指定がございました。その後中島喜代一氏、浅野総一郎氏が死亡せられましたし、その他多少の変動がございました。現五十四名であります。こういつた指定者につきましては、法令の定めるところに從いまして、その所有しております有價証券、これは拂込みにいたしますと約五億五千万という数量に相なりますが、その有價証券を譲り受けまして、これを管理し、処分いたしております。それから有價証券以外の動産、不動産、たとえば美術、骨董品、家屋といつたようなものにつきましては、当人に管理はせしめておりますが、委員会の監督のもとに随時処分せしめておる次第であります。それから持株会社として指定せられましたところは、第一回は昭和二十一年の九月六日でございまして、このときは三井、三菱、安田保善社、住友本社この四社に富士産業を加えて五社を第一回に指定いたしたわけでございますが、その後も、前後五回にわたり、合計八十三社が内閣総理大臣から指定せられて爾來委員会の監督のもとに整理を進めて来ておる次第であります。こういつた持株会社は、それぞれの会社の性格、業態等にいずれも差異がありますので整理も一律には参りません。それぞれの実情に沿つ整理を促進いたしておりますが、ただいまのところこの八十三社のうち二十一社は解済を済ませまして、目下清算過程に入つております。二社は整備法によつて、解散手続を進めております。残り六十社は大体解散せずに再編成をする見込みでありまして、すでに第二会社を設立して、旧会社は解散済みのものもありますが、その他は再建整備法、集中排除法等によつて目下手続中または檢討中のものであります。清算中の持株会社の清算の進行状況もそれぞれ区々でもありますが、すでに清算を完了したところも最近一社出て参つておりますし、今年内には相当生産の完了するものが出て来る見込みであります。
 次に第二の譲り受け有価証券の管理及び処分という件でございますが、指定者並びに持株会社が所有しておりました有價証券は、拂込み金額で申しますと、合計七十六億二千二百万円という数字に相なります。これを順次委員会の方へ譲り受けておる次第でありますが、今日までにこの七十六億の九割強に当ります。拂込み説明にしまして、六十九億といつた数値のものの譲り受けを終了いたしまして、あと残つておりますものは焼失した証券で再発行がまだできていないもの、また未拂いを株式で担保で拂つておるものというような特殊事情のあるものだけでありますが、こういつたものもそれぞれ今申し上げたような特殊事情がなくなりますれば、ただちに委員会に譲り受けることに相なつております。一方この譲り受けた証券の処分の方法でありますが、これは証券処理調整協議会を通じて行われることに相なつております。昨年六月当協議会の発足とともにこの証券の処分を進めて参つておるわけでありますが、幸い昨年の末から今年にかけて証券市場が好轉いたしました関係で、最近は処分がよほど進捗して参つて来ております。今日まで処分の進みましたものは拂込み金額にいたしまして二十一億円であります。その処分金額の方を申し上げますと、最近の株式市場の好轉のおかげで、処分代金は四十五億八千七百万円という数字に相なつております。その処分いたしました代金は、別に現金を交付することのできる場合の基準をきめておりますが、その基準にかなつております場合は指定社並びに持株会社に対して現金を交付するようにいたしております。残りのものは銀行預金として委員会で管理いたしておる次第でありますが、その中から委員会の経費を差引いて、終局において残つたものは元の持主へ國債で渡す建前に相なつております。三月末現在で委員会の銀行預金の残高は御参考までに申し上げれば約二十三億円に相なつております。
 次は践決権の行使という点でございますが、持株会社から譲り受けました株式また指定社から譲り受けました株式、これは全部委員会の名義に書かえておるのでありまして、その株主権を行使しておることはもちろんでございますが、なおそれ以外の勅令第五百六十七号によつて委員会では管理をいたしておりませんが、株主権の行使だけを委任せられておるものがございます。この分も委員会として管理証券と同様に議決権を行使いたしておるわけでありまして、三月末現在でこの両者を合わして議決権を行使しております相手方の会社の数は約三千六百社に相なつております。議決権を行使します方法としては株主総会前に当践会社から議案を提示していただきまして、その内容を審査した上で別に支障がなければ委任状を交付する、こういう形式でやつております。
 次は勅令第五百六十七号関係等の業務でありますが、この勅令第五百六十七号では一定の会社、すなわち制限会社、從属会社、関係会社というようなものがこの勅令で定められております。そういつた会社の持つております株式、この勅令に規定せられております範囲のものは必ず処分をしなければならないことになつておりますが、その処分をします場合にはあらかじめ処分計画書を委員会の方へ提出して委員会の承認を経なければならないことになつております。つまり委員会としてはその処分計画書の承認、または場合によつては変更をすることができるということになつておりまして、そういつた仕事を受持つてやつておるわけであります。この五百六十七号で処分を要します株式は株数にして約三千三百四十万株ばかりになります。拂込金額にいたしまして十四億八千万円といつた数字に相なつております。そのうち三月末までに委員会の承認を得て処分の済みましたものは約二四%でありまして、拂込み金額にしまして三億五千一百万円という数字に相なつております。
 最後に集排関係の業務でありますが、集中排除法による指定は昨年の二月に二回にわたつて三百二十五社に対していたしたわけであります。これも期限は昨年の九月三十日まで指定の期限があつたわけでありますが、できるだけ早く指定を完了して一般財界の不安を終熄したいという考えで、昨年の二月に二回にわたつていたしましたが、それと同時に声明いたしました。これで指定は終つたということを申しました。まだ期限は相当ありましたけれども、その他の会社に対する不安を一掃した次第であります。この三百二十五社についてはそれぞれ法令できめられております資料の提出を求めて、その後慎重に審査を進めていたのでありますが、その結果過度の経済力集中に該当していないという限定をいたしまして、指定を取消したものか昨年の五月四日にまず五十社ありました。
 その後今日までに九回にわたつて合計二百七十三社ほどございます。現在まだ指定会社として残つておるのは五十二社であります。しかしこの五十二社の中に決定指令を通達いたしまして集排の措置のすつかりきまつたものが六社ございます。それから指令案を通達はいたしておりますが、まだ決定指令に至つていないものが一社ございます。それから指令案も出していないという会社が結局残りの四十五社ということに相なるわけでありますが、その四十五社のうちの十四社につきましては機構の再編成はようしないということが昨年の秋表せられております。結局残りのものだけかまだ機構の再編成を要しますかあるいはそれに及ばないで取消しされるか、全然未定のわけであります。しかしこれも本年度上半期中には全部方針を決定することのできるように仕事を進めて行くつもりにいたしております。なお集排関係の仕事はある程度まで進捗いたしましたら、この仕事を公正取引委員会の方に移譲するように相なつております。私どもの考え方としては、今年の秋にはそういう段階に到達し得るのではないかと思いまして、これに対する立法手続を実は別途お願い申し上げておるような次第であります。なお委員会の経費は、先ほどちよつと申し上げましたが、法令の定めておるところに從つて、指定者、持株会社等に負担していただくのが原則に相なつて降ります。譲り受け財産の処分代金の中からこれをまかなうことに相なつておりますが、集中排除関係の仕事とか、あるいは勅令第五百六十七号関係の仕事といつたような、ただ財閥関係だけに範囲の限られておらない仕事については國庫から交付金をいただくことに相なつております。
 大体委員会の業務の大要は以上申し上げたところで一應御説明を終りたいと思つております。なお御質問がありますれば、できるだけ詳細御説明申し上げたいと思つておりますが、本日御審議願うことに相なつておる書類についての説明は、担当の経理部長から御説明申し上げる方がよろしいように思いますので一應経理部長から大体の御説明を申し上げさせることにいたしたいと思います。
#11
○井之口委員 少しく質問さしていただきたい。会計檢査院は、持株会社整理委員会に対してその事業内容までも監督し得る権限を持つておりますか。
#12
○東谷説明員 会計檢査委員会令の命するところによつて、委員会の会計経理について檢査をすることに相なつております。
#13
○井之口委員 しかしこれが買取り株券が適法であるか、あるいは賣るのが適法であるか、あるいはその株主権の行使が適法であるかということまでは全然檢査なされないのですか。
#14
○東谷説明員 委員会令の二十三條を見ますと、整理委員会の会計は、これは会計檢査院の檢査に付すとございまして、檢査に参つて、いろいろな事情、内容についてお聞きいたしますが、檢査の対象そのものは会計に限られておるのであります。
#15
○井之口委員 それでは持株会社整理委員会の予算というものはきまつておりますか、その予算の範囲内で会計檢査院は檢査されるのでありますか。
#16
○東谷説明員 お答えいたします。予算は定められておりますので、その範囲で経理ができているかどうかということについて檢査をいたしますと同時に、先ほど委員長から御説明がありましたように、有價証券を持つておられる状態が、正確にその持株会社から受け継がれたものを持つておられるかどうかということについては、実地に参りまして、一々その有價証券について枚数その他を檢査いたしているような状態でございます。
#17
○井之口委員 事業内容についての決定的な監督権は、総理大臣に当然あるのでございましようが、今まで何か持株整理委員会にいろいろな勧告、なり何なり政府から受取つたことはありませんか。
#18
○郡政府委員 内閣は持株整理委員会から時々状況等について委員長から聽取は受けておりますけれども、今日まで特に委員会の方に勧告をいたすような必要を認めませず、從つて勧告いたしたことはございません。
#19
○井之口委員 持株整理委員会にお尋ねいたしますが、株主権の行使にあたりまして、これが非常にその会社に重大な影響を及ぼすものであることは明かであります。そこでたとえば日野原氏の例の昭電社長の就任の場合のような問題に対しまして、実にこれは監督不行届というか、不当であると思いますが、その場合どうお考えになりますか。
#20
○笹山説明員 一般の場合は先ほどちよつと申し上げましたように、会社のほうから総会にかける議案を事前に御提出願いまして、これを審査しまして、別に不当でない場合は委任状をお渡しすることにいたしております。大体において各会社のできるだけ自主的な立場を認めるような方針で行つて來ているわけであります。
 ただいま御質問のありました昭和電工の問題につきましては、これは非常に特異な例であつたわけでありますが、当時の事情は昨年の秋、不当財委の方にもお呼び出しを受けまして、詳しくその経過については御説明申し上げました。当時のことをまた申し上げておりますと、大分時間がかかるように思いますから、そのときの速記録等をごらん願えれば、一應当時の事情は詳細おわかりくださるのじやないかと思います。できればさようお願いいたします。
#21
○井之口委員 ごく簡單でよろしゆうございますから、御説明願います。
#22
○笹山説明員 財閥解体関係の仕事は、そのときどきのいろいろの情勢で動きがあるわけであります。今日の情勢と一昨年の当時の情勢とは大分一般的に趣のかわつている点もあります。当時まだ財閥の指定といつたものも、先ほど申し上げました五十六人の個人指定者の指定が第一回としてあつた直後でありまして、あと地方財閥の問題とか、いろいろ厳格な空氣が漂つていたときであります。たまたま当時の社長長森曉氏は追放に該当しておられた。その法的手続は終つておられませんでしたが、当時の追放例からみますると、それに当然該当しておられるような状態にあつたのであります。いろいろそういつたようなことが関係方面で問題になつておりまして、また昭和電工は当時すでに数億の資金を復興金融金庫から受けておりまして、なお当時内定しておつた残りの融通予定も数億に上つておつたように聞いております。そういつた特殊の会社でもありまして、かたがた社長の資格問題等が関係方面でいろいろ問題にされておつたようであります。そういつた事情のもとにわれわれ委員会に対しても要請がございまして、それに基いて措置したような次第でございます。その辺の事情は昨年具体的に詳細に申し上げております。
#23
○井之口委員 今のお答えで將來の株主権の行使についての危惧が非常にわくのでございます。問題は將來の株主権の行使の問題でありますが、そういうふうにこの持株会社の本来のわくを曲げるような、外部からの政党的、あるいは官廳的な指示によつてこれが曲げられるようなことが將來もまた起るのではなかろうかと考えますが、それに対してどうお考えになりますか。
#24
○笹山説明員 將來さようなことはないと思います。この点の御懸念は拂拭していただいてけつこうではないかと思います。
#25
○井之口委員 それではもう一つお伺いいたしますが、従来の持株管理委員会で処分されました株券に対する対價は、今までなされましたのは時價でなさるのですか。買つたときの相場でなさるのですか、ここに上つておりまする金額は買い入れたときの金額になつておるのです。これは額面ですか。どういうぐあいになつておるのですか。
#26
○笹山説明員 先ほど申し上げましたように額面でございます。今までに譲り受けた数量六十九億という数字をさつき申し上げましたか、これはなお御説明申し上げた方かおわかりくださると思いますが、持株会社または個人指定社から譲り受ける場合は、買い取るわけではない。現金を渡してい買い取るのではなくて、受領証書というのを渡しまして譲り受けるのであります。ですから名義は書きかえます。所有権も移つた形になつておりますが、実質的に言えばこれは保管しておるのです。ただ占有を移すだけでなく、はつきりと所有も移した方かよろしいという考えで名義は書きかえております。このときには受領証書にその額面の金額を記載したものを渡して、それと差しかえで委員会の方へ渡してもらつてこれを保管しておるわけであります。そのときには別に買取り價格といつたものがあるわけではありません。これを処分しますときは、そのときどきの時價のあるものは時價により時價のないものは適当に評價いたしまして処分しておるわけであります。これは大体持株会社整理委員会で一應原案をたてますけれども、証券処理調整協議会の方に持ち出しまして、そこでさらに慎重に檢討された上で價格をきめて賈出しておるわけであります。
#27
○井之口委員 買つたのと預かつたのと、まあ中間みたいな性質と理解されるのですか、今度はいずれ決算で元の所有者に代金を支拂う場合は、將來公債で支拂われるのでしようがその金額は賣り上げた代金の金額でなされますか。ここに出ている初めの委託ですか、買入れですか、それの金額でなさるのですか。
#28
○笹山説明員 もちろん売り上げた金額が基準になるわけでありまするが、それから委員会の経費を差引きまして、その残りを國債で元の持主へ渡す、こういうことに相なつておるわけであります。
#29
○井之口委員 この放出いたしました株券帰属か、またまたもとの方へ帰つて行くと、当然これは放出したものを買い受ける人は現金をもつて支拂うのでありまするから、それだけの資力を持つていなければならぬ。しかるにそういう資力を持つている人たちは元のような大きな人たちでなければならぬというふうなことになつて、またまた元へ帰つて行くような傾向はないのでありましようか。この今まで放出した株券の帰属の点も、これはいずれあとで詳細に資料をひとつ提出していただきたいと思いますが。大体のところはどうなつておりますか。
#30
○笹山説明員 持株会社及び個人指定社は、この資産の取得、それからその処分といつたようなものは委員会の承認を得なければできないことになつております。個人指定社等がそういつた株式をまた再取得するということは、もちろん委員会の承認がなければできません。なお財閥の同属支配力排除法にもその点が明かに規定せられておるわけであります。從つて個人指定社はそういつたことができない建前に相なつております。一般のそういつた特殊の法律で縛られていない方は、独占禁止法等に支障のない限りにおいては持てるわけであります。しかしこれもできるだけ廣く一般に分散するというのが目的になつておりますので、その点はこの証券処理調整協議会の方で処分した株の落ちつき先といつたものは、一定の会社に限つてはこれをずつとあとずけをして調べる建前に相なつております。証券処理調整協議会で今そういう仕事をいたしております。
#31
○小林(進)委員 今のお話に関連するのですが。先ほどの御説明で、拂込金額で二十一億万円の株を処分して、その売上代金八十五億八千四百なんぼを入れられた。それに対して、規定に基いて二十億の現金は最初の株の所有者に出すか、あとの金は國債で拂うのだというお話でございました。私どもが聞いておると、最初の人は二十一億万円の額面の全額を持つていて、証券処理調整協議会が何かホールデイング・カンパニーみたいで、株主の株を時價に操作して、うまく高値で売つて、最初の取上げられた株主は、このお話でも二十一億万円の金額が四十五億なんぼになつて、差引二十四億ばかりの利益を上げさしてもらつたことになります。だから株は手から離れて行くけれども、利益は依然として時價に基いて懐ろに帰つて來るというような形に見えて、やはり株を持つてた人は、株を持つておる楽しみを將來とも長く持続しておられるというふうに考えられるのであります。そのことが私ども腑に落ちませんのと、いま一つは、この処理調整協議会というものが、どういうメンバーでできておるのか知りませんが、ここと最初に株を提供した方々がなれあいで行けば、さらにみずからが働かずしておもしろい利益が懐ろに入つて来るのではないかということも考えられる。こういうことに対して、御答弁をお願いいたしたいと思います。
#32
○笹山説明員 証券処理調整協議会と申しますのは、一昨年の一月に國会で決定と相なりました有價証券処分の調整等に関する法律に基いてできておるのであります。いわゆる放出株といつたものを持つておりますのは、われわれの委員会以外に、閉鎖機関整理委員会というのがございます。満鉄とか銅管とか外地会社、または戦時中の統制会社、これが皆御案内と思いますが閉鎖期間に指定されております。その閉鎖機関が持つておつた株は一般に放出されておるわけでありますが、そういつた仕事を閉鎖期間整理委員会のほうでやつておるわけであります。なおもう一つの口は国であります。財産税その他で物納されたものを大蔵省の國有財産局で扱つておられます。これが三つの大きな放出株を出す先であります。それにもう今日は全部完了しておるので拔けておりますか、当時日本銀行も若干そういつた放出株を持つておつたわけであります。これは台湾銀行、朝鮮銀行の整理事務を日本銀行か引受けておつた関係上、この両方の持つておりました有價証券は、日本銀行で整理したわけであります。これは分量としてはごくわずかであります。しかしそういう関係のあります証券の処分を無統一にやらないで、これを一本にまとめて適当に調整して処分をして行つたらよかろうかということで定められたのが、ただいま申し上げました法律であります。その法律で、その四つの機関が証券処理調整協議会の協議員として構成メンバーになつているわけであります。その代表がそれぞれ協議員として出ておりますが、実際の事務は別個の専属の事務局かできておりまして、関係方面からも担当の人が出て参りして、そこでその処分の方法、價格等最後的に決定して証券市場に出しているわけであります。しかしこの証券処置調整協議会は、この四つの機関から処分によつて出したものを、窓口を一本にして処分する仕事をやつているだけでありまして、額面との間の差額が別に利益とか損失ということになる建前だけをこの四つの構成機関からそれぞれ処分した額にあんばいして出しておるわけであります。持株会社整理委員会の場合におきましては、國の場合と違いまして、別に委員会に利益というものは出て来ないのであります。國の場合でしたら物納されたものは物納されたときの評価額、財産税等査定價格で物納されておりますから、それがそれより高く売れた場合は國としてはそれだけ利益になると思いますが、しかし整理委員会の場合は、ただいま申し上げましたように、買取つたということになつておりませんで、ただ一時持株会社及び指定者から株を持つて行つて自分の金庫へ保管しているというだけであります。そうしてそれを処分しまして、その処分した金額は、原則としてそこから持株会社整理委員会の一般の経費を差引いた残りものを全部國債で渡すという建前になつておるのであります。しかし先ほど申し上げましたように、一部現金で渡すこともできるような建前になつております。そういつた基地にあてはまつたものだけは現金で渡しているわけであります。残りは皆預金として保管しておりまして、その持株会社または個人指定者から譲り受けたものの処分が全部完了したあかつきに、それまでに要する費用を差引いて残りを國債で渡す、こういうことになるわけであります。
 もう一つは、そうすると、最近では相当株式の時價が上つておりますので、この額面との差額を持株会社または個人指定者に利得させるのは不都合ではないかという御質問でございますが、これは別に財産を没収するといつたような意味は、持株会社整理委員会の中には含まれておりません。財閥の機構を解体するということになつておるわけであります。その資産は、われわれの方として一應善良な管理者の注意をもつて保管しなければならない。むしろ義務があると思つております。また一應この拂込額と、売出した処分價格との間では相当開きがある場合も出て参りますけれども、逆に資本金を九割切捨てるといつたようなものも相当あるわけであります。五十円の額面のすのが五、二十六円にしか処分できない場合があります。結局その辺を総合しまして、ただいまのところでは、先ほど申し上げたように、額面の約二倍強の金額になつておるわけであります。しかしこれは譲り受けた当時の通貨價値と昨今の價値とではよほど違つておりますので、実質上それだけのものを非常に利得したという形には相なるまいと思つております。
#33
○井之口委員 今附帶的に質問してくださつた小林委員の感を私も深くするものでありますが、持株会社整理委員長の今のお答でもまだまだ納得しかねる点が多いのであります。非常に高くなつた價格で公債で拂つてやつて、結局は元の株権の所有者。大財閥というものを國家がむしろ保障してやつて、國家がむしろこれを総体にまとめて大きなホールデイング・カンパニーをこしらえてやつたような感じがするのであります。同時にその放出されるところの株券も、もとよりこういうりつぱな大きな株でありますから、これを零細な人たちが買うことはなかなかできない。これがまた担保というふうな形でもとの三井とか三菱とか、大銀行に入つていくというふうになつたならば、形の上ではなるほど株券は民主的に分散されて、こまかな人たちに渡つたようでありますが、その実はやつぱりもとのものに残つて行つたというふうな感じを非常に受けるのでありまして、得たところの数百億の現金でありますが、当然こんなものを遊ばせておられるはずはないので、これが運営されていろんな財閥銀行のかせぎ高の資金になつているというふうなことも感ぜられる。こういう持株会社整理委員会が株券を民主化するという根本的な方針は、今のやり方では結局よい意思を持つていても、そう実行されなくなるのではなかろうか、こういう疑問を非常に除くするのであります。そうしてみると、これに多くの費用をかけてわれわれが保存するのはまつたく無用の長物のような気がするのでありますが、それに対してどういうお考えでございましようか。
#34
○笹山説明員 この対價の弁済として、持株会社または個人指定者に將來渡すことになる國債は、普通の國債ではなくて、十年間勅結された國債ということに相なつております。その譲渡とか、担保に入れるという場合は、ことごとく委員会または委員会の承継者の許可をとつた上でなければできないような建前になつておりまして、それをもつてただちに元関係のあつた会社の株券の買入資金に充てるといつたようなことはできない建前になつております。そういう関係にもありますので、ただいま御懸念になつたような点は万々あるまいと私は信じております。
 なおその他この委員会の行き方等についていろいろ御意見もおありかと思うますが、われわれはこの持株会社整理委員会令、その他勅令五百六十七號、あるいは有價証券の処分の調整等に関する法律、そういつて法令の定めてあるところに基きまして運営いたして來ておるわけであります。今の法令に定められていない点までは持株会社整理委員会としてもやれないことになります。法令に定められてあるところに從つてわれわれはできるだけ忠実にこれを運営して來ておる、こういうふうに御承知おき願いたいと思います。
#35
○井之口委員 持株会社整理委員会の直接のことではございませんが、放出されるのに、その株が何株以上とかいうような規定があつて、非常に制限されておるのじやないでしようか。大きなものでなければ渡らないような規定になるんじやありませんか。
#36
○笹山説明員 さようなことはありません。ただし一般の証券市場では、今日の日本の慣習として大体取引單位が百株單位になつておるようでありますから、証券業者がたとえば入札しましたものを他に処分するといつたような場合は、そういつた制限を設けておりません。一人十株以下というのは、実際上手続関係が非常に價遂になりますので、これはなるべく裂けておるかと思いますけれども、十株以上のものは從業員諸君の場合に限つては扱つております。
#37
○井之口委員 それはほかの問題に移りまして、この集中排除法によつて最近東芝が整理されようとしているが、ほかにもこういうふうなところが出て来るだろうと思う。その他理研等でもこういう問題がやはり起つて来ると思うのでありますが、せつかくよいと思つて集中を分散させようとしておるにもかかわらず、実際やる場合には成立たぬような工場だけを切捨ててしまつてそれをそれを別個に切り離す。從つてその結果といたしましては、あべこべに新しい形で見どころのいい部分だけが集中されてしまつて、あとは成立つても行かないようなところだけが切り離されるし、その結果は会社が自分自身の責任を負わずして、政府の名において不当な整理をやられて首切りその他が起るという現象をみるおそれが十分あるのであります。東芝なんかの場合でも、いろいろ聞くところによりますと、向こうの従業員組合の方々がこの点を非常に憂えて、持株会社整理委員会がもし今のような方針でこれを二つにされるならば、切り離された不良工場というものはみなつぶれてしまう。そこに働いておる従業員が首切りになる場合、かえつて会社で首を切られる場合であつたならば、手当てとか、いろいろなものが十分もらえるのに、非常な不利な状態になるということを非常におそれておるのでありますが、こういうことはとりやめる意思は持株会社整理委員会の方にないでございましようか。
#38
○笹山説明員 集中排除の措置につきましては、これはそれぞれの企業々々よつて、個々の実情に即するように、という立場からやつております関係上、それぞれ異なつております。企業の大体を分割する場合もありますし、あるいは一部の資産の処分を指令するという場合もあります。東芝の場合は、ただいまお話のように、四十三工場のうちの二十八工場を東芝から切り離すという一應の案をだしておるわけであります。これは先ほど申し上げましたように指令案であつて、まだ決定指令に至つていないのが一社あると申しましたのは、東芝であります。これはまだ指令案でありまして、最後決定ではございません。指令案としては、そういつた措置をとつております。この場合、その二十八工場の処分処分という言葉は必ずしも閉鎖ということを意味しておるものではありません。要するに東芝の能力が現状では大きすぎる、過度の経済力集中と認定せざるを得ない。その集中を排除する方法として、どういつた方法が妥当であるかということをいろいろ檢討しました結果、二十八工場を東芝から切り離す。それだけの能力を減らすということが一番妥当ではないかということを考えたわけであります。ですから、この措置によつて、東芝がかえつて大きくなるということではないと思います。もつとも集中排除で分割等をいたしました場合でも、將來それより大きくなつてはいけないということを法の精神としてきめておるわけではありません。一應現在の段階の能力を、あるいは分割し、あるいは減殺する、それから先、新しいスタートに立つて、公正な自由競争のもとに大きくなつて行かれようと、これは独禁法に反しない限りは、自由なわけであります。將來のことまでは十分この能力の点で押さえるわけには行かないわけでありますか、とにかく現状としましては、二割に相当する能力が減殺されることに相なつております。但し、処分される工場、つまり東芝から切り離される工場も、あるいは第二会社として立つて行くなり、あるいは他の企業と合体するなり、そういつた工場が閉鎖ということでなく、できるだけ続いて働いていけるように個々の問題は措置していきたい。こういうふうに考えておる次第であります。会社が自由に整理した場合よりも、不利ではないかというお話がございました、自由に整理した場合でありますれば本社の方へみな移してしまうといつたようなことも自由なわけでありますか、集中排除の措置として東芝から切り離された場合は、その処分工場の設備を本社の方へ移すことは、原則としてできない建前であります。それだけ切り離される工場としては、設備に移動かなくて済むわけです。第二会社として独立するなり、あるいは他の企業と合体するなり、いずれの場合においても、その方がかえつて有利ではないか、こういうふうに思つております。
#39
○井之口委員 この問題は、もう断行することに決定しておるのでありますか。
#40
○笹山説明員 ただいま申し上げましたように、指令案が出ておりまして、まだ決定指令は出ていないわけであります。目下聽聞会の席で述べられたいい意見等に基きまして慎重に檢討を進めておる次第でありまして、決定指令をいつどういう形で出すことになりますか、その辺はまだ未定であります。
#41
○井之口委員 決定のいかんによつては、これを中止することもあり得るのでありますか。
#42
○笹山説明員 委員会として、中止ということはないわけであります。集中排除法に定められていないわけでありますが、決定指令が出た場合に、なお利害関係人で不服のある場合は、内閣総理大臣へ不服の申立てができることに相なつております。それで内閣総理大臣がその不服の申立てに理由ありと認めた場合は、これを委員会へさしもどす、あるいはその理由なしと認めた場合は、その申立てを却下することになつておりまして、そういつた法的手続が残されておるわけであります。持株整理委員会の方へ内閣総理大臣からさしもどされた場合は、これについてこの方の定めておる範囲での再檢討をすることにはなりますが、そうでない場合、委員会の方から中止といつたような措置はとつてないことに相なつております。
#43
○井之口委員 一般的の場合もお聞きしたいのですが、とりわけ今問題となつておるところの、この東芝の問題につきましては、持株整理委員会の委員長といたしまして、これはもはや決定して総理大臣の認可を得る予定になつておるのでございますか、それとも今から聽聞会その他によつて、あるいはこれを分割することは不適当と思う場合もあり得るのでございますか。どちらでございましようか。
#44
○笹山説明員 決定指令を出すのは、別に総理大臣の認可を要しないのであります。集中排除法の手続といたしましては、委員会の方で、これは過度の集中力である、認定いたしました場合、それに対する排除の措置を一應委員会として案が立つた場合は、それを指令案として出しまして、そうしてそれに対する利害関係者の御意向を聽聞会によつて詳細に拜聴することになつております。その聽聞会によつて拜聽した点を十分檢討しまして、別に指令案に変更を加えるなどの重大な理由もないと思う場合は、指令案通りの決定指令が出る場合もあります。またそこに変更を要すると認めた場合は、その点を修正したものが決定指令として出されるわけであります。その段階においては、別に内閣総理大臣の認可はないわけであります。それで委員会で決定指令として出したものについて、先ほど申し上げましたように、なお不服のある場合に、内閣総理大臣に不服申立てをする、こういう手続になつております。
#45
○井之口委員 聽聞会の結果、一部の修正はあり得るが、しかし東芝の問題について分割の指令をやめるということはあり得ない、そう承つておいてさしつかえございませんか。
#46
○笹山説明員 東芝の問題については、先ほども申し上げましたように、ただいま慎重に檢討しておる最中であります。見通しの点につきましては、まだ今の段階では私から具体的に申し上げかねる状態であります。
#47
○井之口委員 東芝はそれならそれでいいといたしまして、そのほかにも五十三社ほどかなり今日こうした運命の前にあるような会社があるのでありますが、それらのものに対するいろいろな調査とか、あるいは委員会でこういうことを考案中というふうな資料は得られませんでしようか。
#48
○笹山説明員 先ほど申し上げましたように、残つておりますものの中でも機構上の再編成は憂しないということを、これは別途その方針だけを昨年の秋発表したものもあります。そういつたものを差引きまして、機構の分割を要する要しなしか全然未定で、今残つておりますものは二十九社あります。その二十九社について今後さらに檢討を進めていくことになるわけであります。これの見通しについては、まだ責任のある御説明はできかねます。指定を取消されるものもこの中から相当出て来るだろう。こう私個人としては考えております。
#49
○井之口委員 それからここに譲渡、つまり譲り受けされたところの株券は、財産税の賦課からのがれておるのでございましようか。
#50
○笹山説明員 そういつたことはないわけであります。財産税は財産税で、もちろん別途納付されております。
#51
○井之口委員 なお財産目録中に外國人所有の株式がございまして、それが管理されているということが書かれておりますが、これは將來一体どうなるのでございましようか。この点承りたいと思います。
#52
○土井説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。外國人の分は、名義書かえを行わないで、保管物件として保管していることになつておるのでありまして、これの処分につきましても、民間財産管理部と申しますか、その承認を受けることになつております。
#53
○井之口委員 これは方針はきまつておるのですか。民間財産委員会が現に組織されておつて、それのやる方針がきまつておるのですか。これから講和後になるのでありましようか。またこれの評價というものがどうなつておるのでございましようか、あるいはいよいよこれは日本で買受けて、外國人には為替で返金するというふうになるのでございましようか。
#54
○笹山説明員 ただいま経理部長から御説明いたしました民間財産管理部とは、これは司令部の方のCPOのことです。関係方面から委員会に対して、こういつた証券の処分はCPOの承認のないものはやつてはいかぬという指図が来ておるわけあります。そういつたものの処分の方針がどういうことに相なつておりますか、私どもの方ではそこまでは承知いたしておりません。これはいずれ日本政府の他の機関と関係方面との間で方針を御決定に相なる筋合いのものではないかと思つております。
#55
○井之口委員 政府における見通しはどうですか。
#56
○郡政府委員 ただいまのところなお持株整理委員会等がCPOと折衡いたしました結果をまちませんと、政府といたしましても、いかなる態度に出るかということは決定いたしておりません。
#57
○本間委員長 会計檢査院の方から会計檢査をいたしました結論と申しますか、簡單に報告いたされますから、その報告を御聴取願いたいと思います。東谷事務総長。
#58
○東谷説明員 会計檢査院は持株整理委員会の檢査をするのでありますが、ただいま御審議になつております二十二事業年度の前期及び後期の会計檢査実を施いたしますにつきましては、同委員会経査收支計算書あるいは譲り受け財産に関する財産目録と同收支計算書につきまして、書面上の檢査ばかりではなくて、先ほども申し上げましたように、同委員会の東京の本所及び大阪の支所に会計檢査院の職員を特に派遣いたしまして、会計檢査をいたしまして、厳正に行つているのであります。その経費の会計経理についてでありますが、領收書その他一切の証拠書類を一々調査いたし、また株券等の譲り受け財産の保管及び出納の状況につきましても、その保管の現場及び書類について十分な調査を行つたのであります。
 その檢査の結果について申し上げますと、委員会におかれましては、会計檢査院の檢査範囲であります会計経理に関する限りにおきましては、非常に堅実な経理を行つておられるのでありまして、その決算の整理も法律の命ずるように的確に処理されているのでありまして、大体その成績も良好のように見ているのであります。從いまして、会計檢査院はその檢査の結果を昨年の十一月十八日附をもちまして、内閣総理大臣に対して、前期、後期の会計檢査を終えまして、その檢査の結果については、特に通知するほどのことはなかつたというふうに意見を述べたわけであります。ただここで特に通知すべき意見はなかつたということだけを御説明しておきたいと思うのでありますが、整理委員会の会計経理が妥当でないと認めた事項が全然なかつたというのではないのでありまして、いくらか注意すべき事項はあつたが、それらのものは比較的軽微でありましたし、あるいはただちに是正できまして、收支の決算に影響のないものでありました。そういう意味で特に総理大臣に対しまして意見を述べなかつた次第でございます。しかしながらただいま申しました二、三の注意すべき事項は、会計檢査院から整理委員会に対して別途に文書でもつて注意を與えまして、將來の経理の改善を期し、是正をはかつた次第でございます。以上をもちまして、会計檢査院からの説明といたしたいと存じます。
#59
○本間委員長 それではこれにて質疑を終了することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○本間委員長 それでは質疑を打切りまして、討論に入りたいと思います。井之口君。
#61
○井之口委員 私はこの議案に反対するものであります。
 第一、これだけの費用を使つて、たとえその費用の使い途の中には、経理面においては、会計檢査院によつて証明されている通り、何らの不正はないにいたしましても、持株会社整理委員会というものの活動の状態を承りますと、整理委員会が今まで取得いたしました株券によつて行使された株主権はきわめて会社に重大な影響を與えるにかかわらず、とかく外部から整理委員会の目的に沿わないような方向へ曲げられるおそれが今までずいぶんあつたのです。たとえば昭電社長に日野原氏を就任させるような場合のごときそれでありまするが、そういうふうなことが今まで起つてまいりましたし、これからとても十分にこれが目的通りに株主権を行使されるという保証がないのであります。この意味におきまして不充分なものだと思う次第であります。
 第二番目に、これは株式の所有の民主化を目的として、廣く株券の散在をはかるということが目的でありますが、しかしながら実際これが放出せられる場合には、その放出が一部の財閥にまたまた還流して行く傾向がある。その還流の超勢は防ぎ得ないと思うのでありますが、なおかつこれを委員会が譲り受けるときの價格は額面價格をもつてするにいたしましても、將來その所有者に政府公認として返還する場合には、時價の高いものをもつて返してやる。言いかえてみますと、今までの個々ばらばらになつていたホールデイング・カンパニーがむしろ國家の手によつて集中されて、大きな大きなホールデイング・カンパニーになつたというふうな形になつてします。これでは決して目的を達しないと思う次第であります。のみならず、この放出の操作がきわめて緩慢であつて、株券の値上がりがどんどん行なわれて来ている。そうして売拂い代金が一部の金融資本家によつて営利方面に運営され、遊資をかせぐことに運営されているというようなすきが與えられておる。こういうものも早く処理して、持株会社整理委員会の任務を早く達成すべきものであるにかかわらず、未だにその放出が遅れているという点が不満の点であります。さらに集中排除法に名をかりまして、東芝に対して今日委員会がなさろうとしておる状態を見ておりますると、東芝を分割して、片方は黒字になるような会社と、片方は赤字になるような会社に分けてしまう。そうしてまたほかに経営の非常によろしい部分は、たとえば車軸なんかも合弁するというふうな方針からとられておつて、実は集中排除をやつたのではなくて、あべこべに新しい形で集中方針をとつている。ちようど昔海軍の軍縮を名として、かえつて新しく軍縮の拡張が行われたような形になりまして、その目的に沿わない点が現れて来ていると思うのであります。立ち行かなくなる一部の会社は失業者を出しそれらの人たちは元のようにまとまつておればかえつて会社経営も成立つていくにかかわらず、切り離されたために会社経営が成立たなくなつて失業者として街頭に出て行かなければならないという悲惨な状態になつて来る。もはやここまで行きますと、持株整理委員会の仕事が初めに期待したものと全然反対な方向に進んで来ていると断定せざるを得ぬのであります。
 以上のような理由を総合いたしまして、これのなした仕事が日本の株券の所有を民主化するようなものではなくして、あべこべに集中化するという反対の結果に立ち至つている。これを参酌する場合にわれわれは今日反対せざるを得ないのであります。
#62
○本間委員長 これにて討論は終局いたしました。これより三案を一括して採決をいたします。右三件はいずれも異議なく議決するに賛成の委員の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕

#63
○本間委員長 起立多数。そたではさよう決定いたしました。
 議長あての報告書はただいまの決定の通り委員長において作成いたしたいと存じますから、その点は御了承願いたいと思います。
#64
○井之口委員 先ほど申しましたが、今証券処理調整協議会から放出しました株券の帰属関係がどうなつているか、それの調査資料を一つ出していただきたいと思います。
#65
○本間委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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