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1947/09/19 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第8号
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1947/09/19 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第8号

#1
第001回国会 文教委員会 第8号
  付託事件
○教員養成の諸學校に宗教講座を設置
 することに關する請願(第一號)
○新制中學校の經費を全額國庫負擔に
 することに關する陳情(第十一號)
○日本國起上會設立に關する陳情(第
 十六號)
○岐阜農林專門學校を農林大學に昇格
 することに關する陳情(第二十號)
○新制中學校の經費を全額國庫負擔に
 することに關する陳情(第二十五
 號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔にすることに關する陳情(第四十
 一號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する請願(第十二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第四十
 二號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第四十三號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔にすることに關する陳情(第五十
 五號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第五十六號)
○公立學校人件費を全額國庫負擔にす
 ることに關する陳情(第六十五號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第七十
 八號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第八十
 二號)
○學用品に關する陳情(第八十七號)
○六・三教育制度完全實施に關する陳
 情(第九十號)
○新制中學校舍建築費國庫補助に關す
 る陳情(第九十二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第九十
 四號)
○教科最竝びに學校施設に關する陳情
 (第九十五號)
○私立中學校に對し國庫補助金下附に
 關する陳情(第百號)
○金澤市に官立北陸總合大學を設置す
 ることに關する請願(第三十三號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百六號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百八號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百十
 二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百十
 七號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百二十號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百二
 十五號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百二十六號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百二十九號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百三十四號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百四
 十一號)
○金澤市に總合大學設置に關する陳情
 (第百四十六號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百五
 十八號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百六
 十號)
○熊本市に總合大學設置に關する請願
 (第八十六號)
○新制高等學校實施促進に關する陳情
 (第百六十一號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百九
 十一號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 十五號)
○戰災學校復舊資材の配給に關する陳
 情(第二百十九號)
○盲教育義務制の實施に關する陳情
 (第二百二十一號)
○六・三制教育制度の完全實施に關す
 る陳情(第二百二十三號)
○ローマ字教育に關する請願(第百六
 號)
○科學勳章制定に關する請願(第百十
 七號)
○ローマ字教育に關する請願(第百四
 十一號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 二十四號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 四十七號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第百五
 十五號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第百五
 十六號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第百六
 十號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第百七
 十四號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第百七
 十五號)
○六・三教育制度の經費を全額國庫負
 擔とすることに關する請願(第百九
 十號)
○山陰大學設置に關する陳情(第二百
 六十號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 六十九號)
○第二小委員長報告
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月十九日(金曜日)
   午前十時五十二分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○第二小委員長報告
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する請願(第十二號)
○科學勳章制定に關する請願(第百十
 七號)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田中耕太郎君) それでは第八囘の文教委員會を開會いたします。日程に隨いまして、先ず第一に第二小委員會の勤勞青年教育の定時制高等學校設置に關する請願の審査につきまして御報告を願います。
#3
○岩本月洲君 柏木小委員長が今日差支えがありますので、代つて報告を申すようにという委託を受けましたので、代理して御報告を申上げます。
 文教第二小委員會第二囘目を九月の十七日午後一時三十分に開きまして、柏木、中川、木内、鈴木、岩本各委員出席をいたしまして、説明員といたしましては、文部省學校教育局次長剱木亨弘氏、高等教育課長太田周夫氏出席の上に、勤勞青年教育の定時制高等學校設置に關する請願について議事を進めました。紹介議員の鈴木委員からこの請願に關する趣旨の説明がございまして、それについて岩本委員より、極く最近、いわゆる先來の休會中に地方に出向いた節に、勤勞青年教育についての地方の非常な熱心な聲をいろいろに聞いて參りました。その聲に、とかく勤勞青年の教育が在來繼子扱いにされたような感が多い。殘念なことであるから、今度教育の刷新に當つて、是非ともこの勤勞青年のために定時制高等學校の設置を率先してやつて貰いたいという意見が盛んにあつたということで、特にこの請願を取上げて、これを採擇して貰うようにという希望意見と、それから贊成意見とがございました。續いて中川委員、木内委員も贊成の意見をお述べになりまして、全員一致を以つてこの請願第十二號は、議院の會議に付するを要するものとして、内閣に送付するを要するものと審査決定したのであります。その意見書案をここに朗讀をいたします。
   意見書案
 勤勞青年教育の定時制高等學校設置に關する請願
  請願者栃木縣河内郡大澤村青年學校長 池田惣一郎外三十七名提出
 右の請願は、勤勞青年の教育のための定時制高等學校については、これを明年度に設置できるよう速かに具體案を確立すると共に、定時制高等學校教員としての資質向上のために青年學校教員の再教育を圖り、又この學校の教職員の俸給、給與は全額國庫支辨とし、速かにこの實現に努力されたいとの趣旨であつて、參議院は、願意の大體は妥當なものなりと思う。よつて内閣は鋭意これが實現に努力せられたい。ここに國會法第八十一條により別册を送付する。以上であります。右報告を終ります。
#4
○委員長(田中耕太郎君) 只今の御報告につきまして何か御發言なり、又文部當局も出席しておりますから、御質問なりございますでしようか。
#5
○河野正夫君 只今の小委員會の御報告至極尤もだと存じまして、今贊否を言うという時期でありまするならば、贊成の旨を明らかにしたいと思います。
 ただ、今ちよつと文部當局にこの際明確にして置いて頂きたいと思うことは、定時制高校乃至は夜間高等學校というようなものを來年四月から實施する意圖があるということは伺つておるのでありますが、この點を明らかにして置きたい。と言うのは、定時制を主にするのか、又勤勞青年のためとういので、都市などでは夜間制を正しく認めるのか、定時制だけにする意味なのか、その點がまだ私にははつきりしておらないので、伺いたいと思うのであります。文部當局の御意見を伺いたいと思います。
#6
○説明員(太田周夫君) 勤勞青年の教育のために從來の夜間中學はやはり夜間課程の高等學校になります。それから勤勞青年の、職場の關係で夜間部の課程に行けない者も澤山おりまするので、そういう者のために定時制の課程を置くことを考えておるわけであります。兩方設置するわけであります。
#7
○河野正夫君 ちよつと序でにもう一つ伺いたいのでありますけれども、大體從來の夜間中學なるものは獨立のもあつたでしようけれども、大體は晝間の中學の附屬のものが多かつた。最近新制中學の設置については、特に獨立の教員組織、できるなら校舍までも獨立というような希望が多く、大體その方向に動いておると思うのであります。夜間高等學校の設置というような場合には、それは獨立を本體とするか乃至は晝間高等を中心として考えて行くのか、その點を序でにちよつと伺いたい。
#8
○説明員(太田周夫君) お答え申上げます。夜間課程の高等學校は、晝間の全日制高等學校に併置することを本體としておるのであります。それはなぜかと申しますと、晝間の學校は、校舍の設備もその他の施設も完備しておりますので、これをまず十二分に晝間も夜も活用するということが、いろいろな立場から見まして非常にいいことだと考えますので、晝間の學校に併置する。これを本體としております。こういうふうに考えております。
#9
○松野喜内君 この前の小委員にも出て、大いに希望、贊意を表したいと思いましたが、差支えがあつて出られなかつたことを殘念に思つておりましたが、幸に第二小委員會の方でそうした意向のあつたことを多とする者ですが、文部當局にお伺いしたいのは、新時代に相應わしい勤勞青年教育をして欲しいと思いますが、小學校の方面において、いわゆる文部の新方途、新教育に對する實驗學校というようなものを指定しておられる。この勤勞青年教育の方面に、なにかそういうお考えがあるかないかをお伺いしたい。
#10
○説明員(太田周夫君) 定時制の高等學校につきましても指定校というものを設けまして、ここで實驗學校を經營して行こうと考えております。
#11
○松野喜内君 意のあることを多として、大いに期待申上げたい。尚我々國會に參與する者が、殊に文教委員が手近で常に情勢を實地に見ることができるようなふうに早くして頂きたい希望がある。もつと具體的に申せば、この國會議事堂の近くにもそれぞれ學校が設けられたおる。そこらにおいてこういつた勤勞教育は、どんなふうにしておるかということを手近に見たいと思つておるわけであります。小學校の實驗學校でもすぐその傍にやはりあつて欲しいと考えております。單り小學校のみでありません。幼稚園然り、新制中學然り、高等學校然りと考えます。ましてやこの勤勞青年教育においてはと考えます。併せて希望を申上げて置く次第てあります。
#12
○岩間正男君 この請願の趣旨は從來の青年學校のような形でなく、もう少し今要求しておるところの、勤勞者を中心にした教育體系を確立すると、そういうような請願の趣旨に見受けるのであります。それに對して文部省の現在持つておる案というものが、殊に來年、二十三年度から實施する案というようなものが、この程度まで果して行つておるかどうかというところに、本委員會としては研究する問題が殘つておるのじやないかと思います。でこの前の日高局長の説明乃至新學制實施についてという案件について、文部省から全國にすでに囘付されておりまする文書によつて見ますというと、新制高等學校の實施についての要綱は相當詳しく述べられておりますけれども、定時制の高等學校については、最後に附足りのように非常に簡單なものが加えられておるに過ぎない。こういうようなやり方について、六三制が非常に全面的に浮上つて、今混亂しておる最中で、結局裏附としている豫算が問題で、この段階においては結局暫定案だということをこの前私が質問したのでありましたが、それについて暫定案だというような日高學校教育局長の答辯でありました。その點について暫定案で十分かどうか。それからこれはこの前の六三制の請願のときにも決定を見たのでありますが、統一的な體系と、それから何を先にし、何をあとにするかというような方針の大體でもいいですから、文部省がそういうものを持つておられる構想についてちよつとお話が頂けたらと、こういうふうに思うのであります。
#13
○政府委員(太田周夫君) お答え申上げます。定時制高等学校につきましては、從來の青年學校を定時制高等學校に切替えるということは全然考えておりません。それは何故かと申しますと、從來の青年學校は舊制中等學校に比べると設備、教授法も非常に貧弱であることは事實でありますし、社會からもさように見られておりますので、中等學校につきましては、そのまま高等學校に切替えますが、青年學校については、定時制高等學校になるということを考えないで、定時制高等學校を新たに作る。そうして普通の高等學校と同じ程度の教科課程によつて教育をしますし、同じ資格を持つた先生によつて授業を行いまして、その間に何ら差等を設けない、こういう構想の下に只今考えております。
 それからそういうような考え方でありますので、從來の青年學校は、組合立等を除きましては殆ど校舎等も二、三教室あるのが普通でありまして、設備が非常に不完全でありますので、定時制高等學校におきましては完備した全日制高等學校に併置するか、或いはこれを中心校といたしまして、附近の町村に分校を作る。それから定時制高等學校に行きます勤勞青年の大多數は、大學へ進學をする者は極く少數でありますので、全部の勤勞青年がこの高等學校の課程を終えるということは必要でないのではなかろうか。定時制、全日制の高等學校におきましては、修業年限は三年であります。夜間課程においては二年、定時制になりますと、全部の課程を終えるために四ケ年以上を要しますので、勤勞青年が五年或いは六年かかつて高等學校を卒業するということになりますると、學習意欲を失う虞れもありますので、勤勞青年が職場で必要とする實業課目を主といたしまして、二年乃至三年で四十單位なり四十五單位なり取れば、それで一應高等學校を終了することにいたしまして、それらの青年が將來是非高等學校卒業の資格を得たいという場合には、足りない單位を附け足して行けば、高等學校が卒業できる、こういう考え方をいたしております。
#14
○岩間正男君 私の質問いたしておりますところは、結局その新しい構想については一應分りますが、今豫算の裏付けがどの程度まであるかということが一番問題だと思うのです。構想は描くことができますが、結局裏付けがなければ定時制の普通高等學校に併置して、それでこれが結果においては、今までの青年學校のようなものに實體としてはなるのじやいか、そういう心配があるので、これをもつと強力に、むしろこの要求は高等學校の最も中心的なものとして勤勞者の教育を確立するというところに、この請願の趣意が私はあるように見受けるのです。それに對して經濟状態が許さないし、段階があるからというような方向で文部省がそう考えていられるなら、それはまだ一應諒とされる點もありますけれども、勤勞者の教育がいつでも甚だ刺身のつまのような扱い方をされるというところに、これは今からの新しい教育の根本的な方向としては、ものの考え方に立ち遲れのところがあるのじやないか、そういう考え方が文部省の教育體系の中に殘存するとすれば、これは相當新しい時代の批判を大きく受けなくちやならない、こういうことを私は考えております。だから結論と言いますと、いつの機會において、勤勞青年を中心とする方の定時制の高等學校を全面的にどれだけ押し出すような方策を持つておられるか、この點をお伺いしたいのであります。
#15
○政府委員(太田周夫君) 豫算につきましては、普通の高等學校につきましては、すでに先生、校舍等もありますので、これについては豫算的措置は全然講じないで、これを高等學校に切換えて行くことに方針が決まつておりますが、定時制高等學校につきましては、勤勞青年の教育がうまく行くかどうかということは、日本の再建に非常に關係のあることでありますので、教員給全額國庫補助を要求するつもりで今案を立てております。それからいつになつたら全面的に本格的に定時制高等學校を始めるかという御質問につきましては、今直ちにお答えはできないのでありますが、青年學校につきまして從來在籍者の數は非常に多いのでありますが、出席率が誠に微々として振わないのであります。在籍者のどれだけの數が果して平素學校で授業を受けておるかということが的確に掴めないのであります。今各縣に係りが行きまして資料を纒めておるのでございますが、的確な數字がまだ纒まつておりません。それで來年度いよいよ定時制高等學校が發足するに當りましては、先ずよい學校を作りまして、勤勞青年に定時制高等學校については非常に魅力のあるものだ、立派な學校だという印象を與える、將來青年逹の全部が定時制高等學校に入學して來るように仕向けて行きたい。そうして漸次定時制高等學校の數を殖やして行きたい、かように考えております。
#16
○委員長(田中耕太郎君) 他に御發言がありませんければ、採決に移りましてよろしゆうございますか。
#17
○高良とみ君 ちよつとお伺いしたいのですが、岩本委員の先程の御報告の中に從來の青年學校の教師の再教育をこれに關連して徹底するということが附け加えてあつたかと思います。私そう伺つたのでありますが、それがやはり根本的に大きな問題だと思うのでありますが、要するにこの勤勞青年教育というものは、從來の青年學校の教育と全然切り離して考える考え方でないと、本當の教育にならないと私共は思うのであります。今囘の請願の趣旨が勤勞青年の教育のことでありますならば、その青年學校の教師がそこの先生になるということはあり得ないとさえ考えたいのでありまして、今度の新制中學校の先生になられることはあるだろうと思うのでありますけれども、一段上の高等學校になり、定時制高等學校になり、そうして一層重大な使命のある勤勞者の教育のために、青年學校の先生を再教育するということは、そこに出て來た關連が私は了解できないのでありますが、私の了解するところによりますれば、從來の青年學校という考を一應私共御破算いたしまして、それを離してしまつて、いわば青年學校教育というものは、この戰爭と共に葬り去つて行きたいというような思考が、相當に強くあるのではないか、それはただ願望としてだけでなく、そう行かなければ本當の新らしい教育はできないと考えておるのでありまして、先程岩間委員のお話にありました通りでありますので、その點を取除いたらいかがかと考えております。
 それから勤勞青年の教育について申しますれば、先程文部省より御説明がありました通りでございましようけれども、できるだけ校舍その他は今新らしくできる新制高等學校を使うといたしましても、十分にこれを使用を伸ばして、ただに職業教育を目的とせずに、やはり將來の大多數の國民の八〇%を占める勤勞青年が、たとえ年限は五年かかり六年かかつても、眞面目に定時制で勉強いたしまして、そうして十人なり二十人なり集まつたところには規則的に學科を設けて、そうしてその學科の内容はただに必須科目の外に教養に屬する音樂とか、或いは政治、經濟その他の市民としての教養をつけまして、成るべく早く大學に行く人がその資格を得ますように、又この勤勞青年の課程を經たものが割合に困難なく大學の課程に入つて行けるように準備して頂きたいという希望を持つておるのでありますが、これは文部省側の御説明に對する私の希望であります。そういうふうに考えますので、先程のその點の御修正ばいかがかと思います。
#18
○岩本月洲君 あれは案になつておりますので、皆樣の御意見を反映いたしまして、訂正いたして提出することにいたしたいと思います。
#19
○羽仁五郎君 今小委員會の御報告を伺い、又各委員の御意見を伺つていると、私はむしろ小委員會の御趣旨も、それから各委員の御趣旨も勤勞青年の教育を重視しなければならないという點を小委員會もお認めになり、又各委員もお認めになつておるわけですが、それをどういう方法で實行するかということについては、この請願の提出者の構想というものは、必ずしも小委員會でそれを全面的に支持せられるもでもないようですし、又我々現在、只今伺つた各委員の御意見も、非常に請願者の考えとは違つて、もつとずつと發展しておられるようですし、且つ今文部省の方からの御説明を伺つても、その程度で、新らしい時代の勤勞青年の教育をやつて行くということは、まあ忌憚なく言つて我々としては信頼できないのではないかというふうに思いますので、私がこの本委員會に訴えたいと思いますことは、第一に勤勞青年の教育というものを從來とは全く違つた高いレベルで考えなければならないという點については、皆さんの御意見が一致しておることでありますし、それをどういう方法でやつて行くかということについては、又各委員に可なり具體的の御意見がおありのようでありますので、この請願を、ここで採澤するよりも、むしろ本委員會に、この勤勞青年に對して高い教育を與える、その構相全體を文教委員會が特に小委員會を以つて、この委員會の立委をせられた方が目的に適うのではないかというふうに考えます。現にこの勤勞青年に對する教育の重大性ということは、この請願者の考えておられるところ、或いは又文部省の考えておられるところよりも、もつと堀り下げて考える必要があるように思います。さつき實例に擧げられた青年學校の出席率が非常に悪い、従來の青年學校の出席率は非常に悪くて、勞働組合關係の青年學校を引受けて續いてやつておるところの場合は、非常に出席率がいいという、そういう事實もありますし、この請願の趣旨を我々が支持して、むしろその趣旨を一層具體的に、目的に適うように實現するために、本委員會が主體となつてこの勤勞青年に對する高等教育を實現の方策を考えて頂く方がいいのではないかというふうに考えます。そのために本委員會の方が、文教委員會が中心になられて、それで殊に勤勞青年がどういう希望を持ち、又勤勞青年の現状がどういうものであるか、例えば今までのような高等學校の設置方針では勤勞青年がそこで學ぶということは不可能であろうと思います。これは地域的に不可能ですし、場所的にも困難ですし、又教科内容も相當離れておりますから、勤勞青年がどういう條件の下に高等教育を具體的に實質的に受け得るかという點については、やはり勞働組合關係の意見などを十分聽いた方がいいのではないか、今までの高等學校ですと、大體大都市などに作られるわけですが、それよりもむしろ地方を中心に作つて行かなければならんということを考えなければならない。教師の關係も、さつき文部省側の御意見も、一般高等學校を同じというふうに考えておられるようですが、私の知つておる多くの例は、勞働組合關係の、つまり職場の先輩がその青年學校で教えておる場合が非常に成績が上るということもあるし、今までのような考えを全然離れて、新らしい、意味の勤勞青年に對する高等教育というものは、特にこの委員會がこの請願者の趣旨を一層擴大し、且つ充實させる、そうして各委員の具體的の御意見をこれに反映させて急速に、ただこの請願を取次ぐというだけでなく、むしろ文教委員會が勤勞青年に對して成案を立てるという方向に進んで頂きたいというふうに考えます。
#20
○説明員(太田周夫君) 私の御説明が不十分でありますために、いろいろ誤解を招きまして誠に恐縮でございますが、定時制高等學校も全日制高等學校も教科内容は同じでございまして、私共といたしましては定時制高等學校に行く者も、全部が高等學校の課程を了えてもらうことを希望しておりますが、只今の状態から考えまして全部の勤勞青年が高等學校を卒業しなければならないというふうに拘束しますと、學習意欲を旺盛にすることができないという状態にありますので、差當り二箇年ぐらいで、職場で必要な實業教育を中心としたならば、勤勞青年が學校に就學するのじやなかろうか。將來におきましては全日制の高等學校と同じような、全課程を卒えるような勤勞青年が澤山できてくれることを私共は希望しておる次第であります。餘りに從來の青年學校が只今お話にありましたように、慘めな状態にありましたので勤勞青年が學習意欲を失つておるのじやなかろうか、
 それから職場における私立の青年學校は只今お話のように、非常に成績が好いようでございます。こういう職場におきまする私立青年學校は來年度におきましては、定時制高等學校として新らしい發足をして貰らうように考えておりまして、最近大きな會社工場等から、しばしば私共の方に定時制高等學校設置について、御相談に與かつておりますので、そういう大きな各種の工場等が積極的に定時制高等學校を設置されまして、新らしい高等學校の教育を勤勞青年にして頂きますれば、高等學校の効果も相當擧がるのと私も共確信いたしております。
#21
○羽仁五郎君 今の御説明で大分愼重にお考えになつておることが分つて非常に喜ばしいのですが、これは例えば現在の官廳民主化などの場合にも、先日もそういう問題がありましたように、例えば税務官吏の場合でも、長年實際の第一線に立つて税務をやつておつた人が、學歴がないために相當の地位に就くことができないで、非常に貧弱な待遇で長年仕事をされておる。その一方大學を卒業して來た人が殆ど何ら實務で苦勞することなく、非常に高い地位に就かれる、そのために大藏省の財務關係の職員組合で、その税務官吏に高い教育を與えるということを要求しておられる。それに對して高等税務講習所というものができておるということを、私の質問に對して現在の大藏大臣も答辯されたわけですが、それは又極めて規模の小さいもので、極く少數の人しか入れない。全體の勤勞青年に高等教育を與えるということは、必ずしも現在直ぐできることではない、併しそれに無方針でそういう高等教育を受ける機會もあるという程度にして置いたんでは、希望が非常に少なくて、多くの勤勞青年に希望を與えることはできない。そうするとどうしてもそこにつまり無價値のスカラーシツプといいますか、それを近代的に生かして勞働組合がスカラーシップを持つて、勞働組合の中で優秀な勤勞青年にスカラーシップを與えて、それを高等學校或いは大學にまで送る。從つて大きな工場、大きな職場でその職場に高等學校を設け得る所は、そういうこともできましようし、そうでない場合には、或いはその高等學校を卒業した場合には、大學における場合には、職場なり何なりに大學をつくるということはできない場合にはスカラーシップをもつぱら與えて、それが大學に行く。そうすると今度は大學なり高等學校の方も今までのような世間で普通に言うような官僚を養成するような大學ではなくして、やはりもう少しそういう勤勞教育というもの、例えば勞働組合に關する講座であるとか、そういうものを大學の方にも充實していなければならないわけなので、この請願者の請願された勤勞青年に對する高等教育ということは、實際非常に大きな問題であり、而も急速な問題であり、現在敗戰後の状態にあつて的確な希望を掴むことのできない勤勞青年、私の所にも隨分そういう勤勞青年から手紙が來て學びたい。自分は今日の風潮の墮落というものと共にしないで向學心に燃えておるけれども、さればといつて現在の高等學校なり大學に行つて自分が學べるとは思わない、同時に又自分たちの勉強する場所もない、多くの青年が結局墮落して行く、そういう重大問題がある。そういう勤勞青年の多數に希望を與えて、そうして彼等の向學心というものをいよいよ高めて行くということは隨分大きな問題でありますので、私としてはこの請願の囘付という程度のことでなく、又文部省當局の方にいろいろお願いし注文を付けるという程度でなく、この文教委員會自身が勤勞青年に對する高等教育についての法案を整備せられるという方向に是非進んで頂きたい。而もそれをできるだけ急速に各委員の具體的な御意見、又特に勞働組合方面の意見を聽いて立派な法案をこの委員會で作つて頂きたい。どうもやはり今までなんでも政府の方でやつて頂く或いは請願を囘付するという程度だけでは新しい國會に對する國民の期待に報いることはできないので、勤勞青年が今ダンスをやつたり或いはもつといろいろな煩悶がある勤勞青年がやはり勉強したいというふうに非常に希望しておるわけなのです。その期待に國會が應えるためには、文教委員會が勤勞青年の高等教育について特に急速に特別委員會を持たれて、そうして法案を整備して、本格的なものを國會が中心になつてやつて頂いた方がよいのではないかというふうに各委員に訴えたいと思います。
#22
○河野正夫君 今文部當局の方の羽仁さんに對するお答えなど承つてみますと、どこか少し私に疑義が出て來るのであります。勤勞青年に對する教育ということを羽仁さんの言われるように、やはり勤勞青年という特殊の事情から考慮した高等學校でなければならないのでありますが、在來の青年學校が興味を持たれなかつた。現在尚開店休業の青年學校が殘存しておるということの理由を考えてみますると、戰時中のあの兵營の延長のような教育ということが禍はしていましようけれども、それ以上に二つの點があるのぢやないかと思うのであります。一つい青年學校が普通の中學のような教科課程を持つていない。教える人も不熱心な人が多い、というと青年學校の教員諸君に怒られるかも知れませんけれども、青年の希望にマツチするような制度にもなつておらなければ實際の運營もできなかつたという點が一つだと思うのであります。そういう意味におきましては新しい定時制の高等學校が全日制の高等學校と教科課程を同じうするということは一つの意味がありましようけれども、なぜそれならば工場や職場の青年學校が繁昌するかというと、そこではそういうような意味の教育が用意されておるからじやないのであります。むしろその職場において教育を受けると、その職場における働く位置が上進するとか、或いはその知識技能がそこにおいて一層向上するとか、こういう意味の勤勞教育というものがそこに行われるからであります。ところが今の文部省の方の御説明によりますと、教科内容は同一にしてやつて行く。それだけでは今言つたように勤勞者のための勤勞の教育という意味がどこか抜けておる。かといつてそれならば單に職業教育ということになると、これは勿論高等學校の實業科的の中心のこともありましようけれども、不十分である。更に羽仁さんの言われるように、青年の向上心というものが、大學まで行きたいという氣持のある青年たちを吸收する上においても不十分でありますから、そこは十分考慮しなければなりませんが、教科課程が全く同一である。同一でなければ高等學校の資格を與えないという考え方には私は贊成できない。それは教科課程が違つてもよい。さつき羽仁さんの方からスカラーシップの話がありましたが、課程が違つてもとにかく或る意味の條件が、上級學校へ行きたい子供についていえば、資格を認めてやる。それから先きは本人が入つて伸びて行くだけの實力さえあればいいわけであります。そこに特殊の考え方を要する。そういう意味において上級に進ませる場合にも、或いはそれで終らせる場合にも、勤勞教育としての特段の考慮が要る。そういう考慮の上において定時制の高等學校というものを建設するのでなければ意味はなさんと私はそう思うのであります。それはまあこの請願の件に關聯したことでありますが、もう一つ一體勤勞者の教育という意味でいうならば、勞資關係調整法というようなことに關連いたしますが、勤勞者に本當に勉強するだけの餘裕を與えられる情勢を作つてやらなればいけないわけであります。これを夜間課程についていうならば、例えば午後五時から始まるとすると、必ず午後五時から暇を與えてやるのでなければならない。定時制であるならば、一定の地域に高等學校の授業が始まつておるときには、それだけの便宜を與えてやるのでなければならない。こういう方面の顧慮をどうするか。勿倫羽仁君のようにして、委員會においてそれらの意見を決定し、いろいろな方法でこれを實現するということもありましようけれども、行政當局としても、この點をお考えになつて、單に青年學校の昇格とか、或いは新らしい學校を設立するといつても、そういう方面のことを何ら考えないということになると、不深切も甚だしいと私は思うのであります。特に先程の御説明は、現在の暫定方法としては名案の一つと思うのでありますが、來年度ですか將來今の中學が昇格したとか、或いは新らしき高等學校になつたとして、その全日制の完備した高等學校を中心に、定時制の高等學校を行い、分校を作つて行くという方針は、暫定的には非常に結構ですが、それは當然全日制の高校の教員の勤勞過剰、勞務過剰ということを招來するに違いない。非常に負擔が重くなる。分校にも出張する。本校においてもいろいろやる。それでなくてさえ今のように教員の不足のときであります。ところがその教員の養成は、青年學校の教員は少しばかりなんと言いますか講習をやつただけでできるものでもないと思います。特に勤勞者教育というものの趣旨を徹底させた意味の教員を養成するということになると、なかなか困難じやないか。そこらの配慮をしなければならんのじやないか。現在まで暫定のままでやるための一つの切拔け策としては了承いたしますけれども、それにしてもそこらの用意がやはり必要であるとこう私は思うのであります。
#23
○森下政一君 私は羽仁委員のお説に贊意を表します。先刻來文部當局の御説明を承つておりまして受けます印象は、從來同樣に文部當局が口に勤勞青年教育の重要性を説いておられるのであるけれども、その實際の實施面を見て見ますると、如何にもこれで勤勞青年の教育をやつておりますという申譯的なところが少くなかつたというのと同じような經過を辿つて同じような結果に陷るのでないか、本當に申譯的な高等學校教育に終るのじやないかということを恐れざるを得ないのであります。先刻のお話の中にも、現在各府縣に照會して、從來の青年學校における出席率の状況等を調べておるなどというお話がありましたが、これは只今河野委員が指摘されたように、公立の青年學校は殆ど有名無實の存在で、開店休業の状態であつたが、職場はこれに反して比較的出席率がよかつた。但し職場に設けられた青年學校の出席率がよかつたということは、その學校が非常に優秀であるとか、或いは教育内容が非常に優れておるとか、言い換えると、職場に働く青年達にとつて本當に彼等の向學心を満たすに足るだけの施設内容を持つておるが故に出席率がよかつたとは言い難いのでありまして、これは輕率にはそう考えることはできない。殊に又公立の青年學校が出席率においていよいよ振わなかつたのは、みずからの力においてそういつた青年を教養するだけの設備をすることのできない比較的小規模の工場主、或いは中小商店の商店主等あたりが據んどころなく公立の青年學校にその雇用しております職工、或いは徒弟を送つたに過ぎないのでありまして、從いまして比較的それらの惠まれない條件の下にありますところの勤勞青年は、學校に通うことすら雇主に對して遠慮がちでなければならなかつた。又その日の仕事の都合では、主人の顏色を見てたつて學校へ行かせてくれということができない、頼むことができない。加うるに公立の青年學校なるものが、小學校の校舍の一部分を間借をしておるその校舍も本校舍よりは、附設されておりますようなバラツクに過ぎない分教場といつたようなものが青年學校に割愛されておるような状況で、如何にも環境の惡い、而かも教壇に立つておるところの先生達の素質それ自體がもう一つ感服できないというような状況にありましたために、みずからの生活の環境が學校に通いにくいだけでなく、如何に向學心に燃えておりましても、その向學心を滿たすに足るだけの魅力を持つた學校ではなかつたということが、公立の青年學校の出席率をして非常に惡からしめた、開店休業の状態に陷らしめた、こういう状態にあつた。こういうことを考えて見ますると、出席率のよかつた職場における青年學校も、出席率の比較的問題にならないと言われておる公立の青年學校も、共に私は先刻高良さんの仰しやつた通りに、この際御破算にしてしもうべきものでありまして、この新時代の勤勞青年の要望に副う高等教育を施すところの機關とうものは全然新らしい構想によつて私は計畫されなければならんものだと思うのであります。若しそれ羽仁委員の指摘されたるように、この文教委員會が一丸となつて鋭意この問題の解決のためにみずから立案をするというだけの熱誠さを以て具體案を編み出すことができますならば、恐らくはこの請願者は只今の請願の趣旨が通るということよりも更に一層の喜びを感ずるのではないかということさえ私は感ずるのでありまして、この意味におきまして、どうも在來通りに有名無實な申譯的な高等學校教育に終りそうに憂慮される文部當局の御計畫を更に面目を一新せしめるという意味からも、この文教委員會が鋭意新になる構想の下に、眞に勤勞青年の向學意欲を滿たすに足る高等學校というものを立案する、少くともその努力を拂うということは、新國會に寄せておる國民の期待にも、勤勞青年の期待にも報い得るものであると思いますので、羽仁委員の御提案に全幅の贊意を表しまして、皆さん方の御同意を得たいと思うのであります。
#24
○河崎ナツ君 この問題が初めに出ました時に、確か岩間委員が非常に重大な問題だと言つて提唱なされ、私はそのあとに本當にそうだ、今度の新學制におきましてこの勤勞者青年の高等教育におきましてのこの問題は、今度の新學制におきまして非常な大きな幅で又非常に正式な立場から考えて行かなければならん。この委員會で採り上げる大きな問題であるということを私も確かその意味で是非採り上げて行きたい。この小委員會には自分が屬しないでも進んで屬したいというぐらいに私は申上げたのですが、それにつきまして當時文部關係の方から、それについては、自分の方が考えておるということがございました。どういうふうなお考えの所かと實は待つておりましたが、今日伺いまして、今のような御答辯におきましての内容でありましたならば、本當に羽仁委員の仰しやいましたように、文森下委員の御贊成のように、新たに構想をこの文教委員會が熱意を持ちまして、誠意を持ちまして、そうして適當な部面との協力によりまして、無論いろいろ又實際家としての文部の方にも考えがありますが、そういうふうな方面とも協力して、それこそ新たにこの法を拵えます場合におきまして、この委員會の使命が本當に果せるのだと思うのでございます。恐らくこの委員會におきまして六・三制の完全實施に力をいたしましたと同じに、新たに又この勤勞者教育に期待いたします、この二つが、……外にも教育關係のことはございましようけれども、この二つは一番しつかりしなければ、外の方に力を分散して行かなければならんと思うぐらいに重大なことと存じますので、羽仁委員の仰しやつたような方向にこの委員會はありたいと、私もその一人として贊成いたしたいと思います。
#25
○河野正夫君 議事進行について……。羽仁君の御提案は新らしい提案とも考えられるのでありますが、この請願の取扱いにつきましては、高良委員からの御指摘のように、聊か青年學校をそのままに定日制にするような嫌いのある部分が、そのままに殘存しておるような氣持がするのであります。そこでもう一遍この請願そのものの取扱い方について小委員會で練り直して頂くということを私は提議いたしたいと思うのであります。それから羽仁君の話は、その次に又皆さんで御論議を願いたい、こう思つております。
#26
○岩本月洲君 河野委員の御意見のように、この請願者は、青年學校長外三十七名ということになつておりまして、その請願のいわゆる原文が第十二號に出ております。その原文のままを小委員會で取扱つたのでありまして、この委員會に出まして高良委員その他の御發言によりまして再度小委員會において尚この案を練り直したいと思います。今日の御採擇は暫く延ばして頂きたいと思います。
#27
○委員長(田中耕太郎君) それでは河野君の發言されましたように、もう一度練り直すということを御提案になつたのですか。
#28
○岩本月洲君 そうです。同時に羽仁委員の御意見もこれを第二小委員會がこの件を取扱つたのでありますから、尚委員會として大いに考究したいと考えますので、その點も御了承願いたいと思います。
#29
○委員長(田中耕太郎君) 只今岩本さんから御發言されましたように、もう一度この案は今日は決は採らないで、もう一遍練り直したいという御趣旨でありましたが、さようにしてよろしうございましようか。
#30
○委員長(田中耕太郎君) それではさように決定いたします。尚補足的に文部當局からちよつと御説明を加えたいということであります。
#31
○説明員(太田周夫君) 只今御意見を承りまして、私非常に心強く考えております。定時制の高等學校につきましては、從來の高等學校に囚われることなく新らしい構想の下に發足したいというので、私共非常に苦心を重ねて來た次第でありまして、今の先生方の御意見につきまして非常に心強く感じた次第であります。先程勤勞者に就學の機會を與えるようにというお話がございまして、現在こういう事實がありますので御報告申上げます。勞働基準法の中には技能者教育のために教育する時間は勞働時間に通算すると規定してありますので、私共團體協約の中でそういうことを現定することはできないだろうかということを考えておりまするが、大日本印刷におきましては團體協約の中にはきつりと規定しまして、大日本印刷の組合員の方々は牛込青年學校に皆さん打ち揃つて通學いたしておられまして、その時間は勞働時間に通算して貰つている、こういうことでございます。こういうよい例が見つかりましたので、今後各勞働組合におきましても定時制高等學校通學についていろいろ便宜を圖つて頂きますならば、勤勞青年の教育は一段と效果が擧がるのじやないかと、こういうことを考えておりますので、御報告申上げます。
#32
○岩間正男君 只今の教育改革の根本案というものはこれは昨日の本會議において本院を通過しまして、内閣に送付されたわけでありますが、勤勞青年の教育の問題をやはりセクシヨナリズムでなく、文部省の係だけでそういうことを考えるということをすると、いつも教育のセクシヨナリズムに陥る。こういうことでなく、小學校から大學まで統一的な體系の中でこの問題を解決するように是非御努力を願いたい。それからやはり教育改革の根本的切替えをしなくてはならないということは、今まで勤勞というものは何か刺身のつまのように扱われて來たが、そうでなくて、むしろ新らしい時代の教育改革は勤勞を中心とするところの教育であり、勤勞による教育だということであります。この點をむしろ積極的に文部省は推進すべきではないか、新らしい時代の教育的な要望に對して現在においては勤勞のことを考慮するというようなそれくらいの取上げ方でしかないように思われますので、この點一つ、今六・三制の決議に附隨して擧げられました統一的な體系の中で是非この問題を積極的にお考えを願いたい、こういうことを併せて要望したいと思います。
#33
○高良とみ君 先程請願書の扱いについては濟みましたのですが、併せて御異論の出ましたことについてでありますが、勤勞者教育という面でこの定時制をこの委員會で考慮するということも大變結構でありますが、私共は全日制の方の高等學校の人は特別に大學へ行くのだからこの方はいいというふうに考えることはできないと思うのでありまして、勤勞しつつ勉強する人も又十分に全日制で勉強する人も、共に勤勞者たるべきものであり、共に大學へ行くものでありますので、そこを從來のように勤勞者というのは特別な運命なのだから勤勞教育だけで後は勞働組合の指導というふうに、人間の發展を幼少の時の環境によつて規定してしまわずに、全日制の高等學校を出る人にも勤勞の教育或いは勞働組合の指導も大事でありましようし、又定時制の方の人にも人間として市民として又世界人としての教養も大事なんでありますから、その點私が先程申上げたのでありまして、若しもこの委員會で教育改革をお採り上げになるとしますならば、どうか一つ片手落ちになりませんように、兩方の高等學校制度と言いますか、まだ外にもいろいろ成人教育も入つて來ると思いますが、そういうものを全面的に、ここからこつちは勤勞者で、ここからこつちは教養ある文化人の教育だというふうなことの觀念が一般的にはあり易いのですから、そうでなく行きたい。その點で只今岩間委員からお話がありましたように、豫ねて教育根本法ができ、新憲法が制定されましたけれども、教育改革は國民の食生活及び産業の復興における石炭問題に竝んで三大重要の一つだと私共考えておるのでありますが、それについて立法の府である所が本當に教科内容なり教育目的なり殊に最近出ておりました教育行政のことについて私共みずから立法しなければならないという責任を痛感しておるのであります。併しながら今のところでは、私共了解する範圍では、關係方面が專ら文部省とのみ交渉して、或いは文部省がその面に當つて立法を強制されておるような形であられることは結構でありまするが、私共も教育改革の根本について常にもつと、請願を受付けるばかりでなく、今後の高等教育はどうするか、或いは教科課程はどうするか、どういう目的でどういう教育をするかということを今すべき時であつて、文部省に向つてこういう制度をしろとか、ああいう財源を見つけろとかいうことを言う前に、その責任を私共はとりたいという念願を持つておるのでありまして、これは希望として、先程御發言がありましたので、申上げる次第であります。
#34
○委員長(田中耕太郎君) 尚いろいろ定時制高等學校設置につきましては御意見もおありになると思いますが、次囘にも機會があることでございますから、御異議がなければこの程度にいたして置きまして、次の問題に移りたいと思います。
#35
○委員長(田中耕太郎君) 請願第八十六號熊本市に綜合大學設置に關する請願、これは紹介議員の田方君と連絡がつきませんでした。その次の請願の第百十七號科學勳章制定に関する請願、松村眞一郎君が紹介議員になつておられます。御説明を願います。
#36
○委員外議員(松村眞一郎君) 私はこの科學勳章制定に關する請願の紹介者といたしまして趣旨を説明申上げたいと存じます。元來この平和日本をどういう方向に建設して行くべきかということをはつきり國民全體が把握することが必要であろうということが要點になつておるわけでございます。それは日本が何故に戰爭したのであるか、何故戰爭した後に負けたのであるかということをよく考えて見ますというと、非科學的であつたということの結論に參ると思います。戰爭中如何に日本が科學的において劣つておつたか。それでは科學的に進んだら日本が戰爭を始めるのかといつたら、そういう意味じやありません。科學的にいろいろ考えたならば、結局平和でなければならないということに落著くだろうと思います。そういう意味におきまして、ここに新らしく國を建設して行く場合には、目標をはつきり揚げるのがよかろう、そういう意味において科學に非常な重點を置くという趣旨の何らかの國家としての意思表示が必要である。いろいろな經費もそれは要るかも存じませんが、この表彰制度、或いは勳章であるとか、褒章であるとかというようなことを科學というものと結び付けて、新らしく政府がここに標榜いたしましたなれば、國民の注意を喚起することが非常に大きいであらう、こういう意味からここにこの請願に對する紹介をいたしたのであります。今日文化勳章というものはございます。併しながらこれは廣く文化全般に亙つておるのでありますから、從來この文化勳章をお受けになりました方々を見ましても、西洋畫であるとか、日本畫であるとか、和歌であるとか、文學であるとか、能であるとかといつたような方面の方、出版であるとかというような方面の方も文化勳章はお受けになつておる。私共のここに申しますのは、必ずしも自然科學に限る意味じやありません。併し重點を自然科學の方に置いておるのでありまして、人文科學も勿諭科學と見てよろしいのでございますけれども、文化勳章と科學勳章なり科學褒章というものに關係して、對立的なものにするか、或いはそれよりももう少し廣汎な意味、例えば勳章に對しまする褒章というような意味で考えてもよろしいかと思います。從來藍綬褒章とか緑綬褒章とか、或いは紺綬褒章というような、いろいろな目的から出ておりますが、ここに科學を目標とした何らかの表彰制度を樹立するということは適當でないか、こういう趣旨からこの請願を適當なりと考えて、ここに御紹介いたした次第であります。
#37
○委員長(田中耕太郎君) 科學局長が出席されておりますが、尚御質問等がございましたら御發言願います。
#38
○松野喜内君 今松村紹介議員からのお話しのごとくに、私共も日本のこれまでの教育、文化なるものが、ややもすれば法文系の方のみに多くの學徒、時間、科目というようなものを傾けた過去を顧みる次第であります。仰せの通り全面的に見て確かに科學、なかんづく人文科學に比して自然科學の方面の足りなかつたこと、列國に比して殊にそうであると痛感しておる一人であります。新時代において政治方面の改良改革は固より必要でありまするが、これを學問という方面からも又變えねばならん。或いは科學院というようなものの設置とか、これを又官學のみに偏しないで、私學の方面にも、すべてこの自然科學方面の學究の深い者、すべてが發言權なり代表者を送るなりというようなふうにいたしまして、國家がこれを科學院なり、或いは從來の學士院を改良するなり、衆參兩院議員にも比すべくように、學問方面においてのそういつたことと共に學界の方、科學の方も切磋琢磨して、もつと人類國家に貢獻する場合があらねばならんと痛感しておる一人であります。さような意味で、これを奬勵する策の一つとしてここに科學勳章制定に關する請願が出たものと解するので、私は戰爭を放棄して、眞に文化國家を建設するというのならば、從來の文教の方面にありし缺陷をば思い切つてこれを改める必要がある、促進する必要がある、獎勵する必要がある、こういう意味から政治方面の新建設、改良と共に學問の方面においてもそういつた科學のなにがしかの機構を新たにすることが必要であると考えまするので、これは徹底的に贊成を申上げる次第であります。
#39
○羽仁五郎君 皆さんの御承知のように文化、或いは科學が非常に榮えた古代のギリシヤの時代に、國家が表彰する、或いは勳章を與えるという問題について、學問とか文化とかそういう最高の意義を持つものに對して國家がこれに勳章を與え、或いは表彰するということはできない。結局ギリシヤにおいてはオリンピツクの選手に對してだけ賞が與えられたわけなので、學問や文化に對して賞を與えるという考え方については、そういうような點からも若干考えなければならないのじやないかというふうに私は考えるのであります。で、現にこの文化勳章ができたときに、どなたでしたか、岡本綺堂さんでしたか、或いは誰でしたかが、文士が勳章を貰つて何になるということをいわれたことがあるので、實際私は自然科學者は勳章を貰つてどうするかというふうなことになつては、折角本委員會で若しこの請願を採擇した場合に、その結果からもそういう點も考えられまするので、どうも日本では何かいいことを奬勵するという場合には、法律でこれを奬勵する、或いは勳章をやると怱ち奬勵できるというふうに、只今の請願者の趣旨はそういう點には勿諭ないでしようけれども、そういうふうになる。そうなると、又そういうふうな科學者やそういうような文士が養成される。これはそういうギリシヤの例もありますことですし、又そういう文士が勳章を貰つて何になる、文士は立派な藝術を作ればそれが最大の榮譽であるのであつて、これは幸田露伴先生が文化勳章を受けられたときにも、屈原の例などを引かれて、古來文學は政治權力によつて表彰されて榮えた例がない。屈原は泪羅の淵に身を投じてといつて、勿諭自分は迫害されることを歡迎し、迫害して欲しいというのではないが、そういうふうな言葉まで使つておられるので、私はその御趣旨、即ち日本の文化國家としての建設、又科學の奬勵という點には全幅的に贊成をするわけですが、その方法として表彰、或いは勳章という方法は餘り妥當ではないのじやないか。やはり科學を振興するにはもつと根本的に、もつと我々が立法者としての責任を感じて、表彰などによつて科學を…。我々は日本の文化國家を建設し得るというふうには考えられないのではないか。さつきもちよつと御意見がありましたようにもつと新らしい時代の中から、そうしてもつと新らしい層の方面から文化、或いは自然科學の方面研究が與えられるように、つまり結局やはり今までの學者は順境に育つて、大した苦勞もしないで學問をして、自然科學をやつたのですが、併しこれからは少年時代から勤勞生活をし、そうしてそういう中から新らしい科學者が出て來るということが必要でありましようし、そういう意味では國民全體に今勉學、或いは研究の機會及びその條件を與えるということの方に本委員會は主力を注いだ方がよいのではないか、即ち六・三制の完全實施、更に六・三・三・四制の完全實施、その中で或いは女子教育、或いは勤勞教育という方面に、その多数の勤勞青年が良家の子弟よりも遥かに豐富な體驗を持つて、從つてある場合にはもつと優れた天才を持つておつても、科學的研究に從事できないという、そういう條件を勞働契約の上で、或いは教育制度の上で、勉強する時間、又勉強する餘裕、又それだけの機會というものを與えるという、その勉學的な方面において努力をせられることが、本委員會の責任ではないかというふうに感じますので、只今の請願の趣旨に贊成をいたしますと同時に、その方法としては私はその方法は餘り適當ではないのではないかというふうに考えます。請願に對しては結論的に反對いたします。
#40
○委員長(田中耕太郎君) 尚ちよつと申上げますが、この請願は一應御質問が終りましたから、前例によりまして小委員會に付託して、尚檢討をお願いをいたしまして、そうして更に本委員會に懸けまして、そこで討論なりをやつて頂きたいというふうに思いますので、御質問の範圍だけにお止めを願いまして、そうして小委員會に付託したいと思います。
#41
○委員外議員(松村眞一郎君) 委員長、ちよつと補足させて頂きたい。只今の御趣旨には私は全然贊成はしておるのであります。元來この褒賞というものは、本人は餘り望まないだろうと思います。眞の科學者、國家の功績者は私はすべてそうだろうと思います。國家に功績を立てたその人は、純眞に國のために御奉公をしておるのでありますから、勳章は望みではない天爵を皆尚ぶ。この勳章の意味は、本人即ち科學を奬勵するというその外に、世間に對しましてあの方を尊敬しているのだという意味が、私は勳章というものであるだろうと思います。およそ徹底した人には勳章は要りません、却つてそれがために墮落するような科學者ができては困る。併しながら眞の科學者であるならば、眞に國家に功績ある者はそんなものに重きを置いていないのであります。むしろ何故こういうことが必要であるかということは、世間一般の人がそういう方は尊敬せられるものであるということの理窟が私はあると思う。それはすべて勳章の制度は根本はそこにあると思う。今の制度から申しますると、およそ國家に褒賞の制度の必要はない。親孝行する者は親孝行者として賞せられるから親孝行しておるものではない、むしろ親孝行の方が先だ、それは社會が尊敬するという意味であつて、本人を表彰するという意味ではない、我々が尊敬しますということが勲章の趣旨であります、私はその意味において、決して幸田露伴先生はそういう意味で排斥されておるのじやないと思います。自分は勲章に釣られておるのではない、これは當然の話である。それは科學者の立場から言うのであつて、およそ表彰の制度というものは、國民全般の理想から考えられなければならん。こういう思想で、私は制度として、唯これに何らか考えたらいいだろうという意味でありまして、勲章に釣られてどうこうということは毛頭あつてはならん、そんなことでは尊敬されません。褒めようが、くさそうが或は罰を受けても、自己の信念に徹底するのが、私は眞の科學者だと思います。これはその理窟は分つておるのです。即ちローマ法皇から何と言れても、地球が囘轉するのだというので毅然としてやるのでありますから、そんなことで科學者は仆れるものではないと思います。およそこの褒賞制度というものは、一般國民全體の人が尊敬するという、その人に對する尊敬という、外の方を御考慮願いたい。こういう趣旨で私は紹介したのであります。私は勲章ということは實は好まないのであります。ただその精神を買つてやるという意味であります。どうぞ御了解願いたいと思います。
#42
○岩間正男君 いろいろ御質問があると思いますが、小委員會の方に委託されまして、いろいろ私達の希望もありますから……。
#43
○委員長(田中耕太郎君) 御意見がございませんければ、本案は小委員會に付託したいと思いますが、どの小委員會に付託いたしましようか。すでにまだ懸案になつておるものもありますから、委員會の負擔を顧慮いたしまして、決定いたしますか、それとも機械的に……。
#44
○岩間正男君 第一に……、第三は三つあるのですから……。
#45
○委員長(田中耕太郎君) それでは若し御異議がございませんければ、第一の小委員會に本案を付託いたしたいと思います。
#46
○委員長(田中耕太郎君) では左様決定いたします。本日は御異議かございませんければ、この程度で……。
#47
○委員長(田中耕太郎君) それではこれにて散會いたします。
   午後零時十八分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           松野 喜内君
           岩間 正男君
   委員
           河崎 ナツ君
           小泉 秀吉君
           森下 政一君
           中山 壽彦君
           高良 とみ君
           安部  定君
           岩本 月洲君
           河野 正夫君
           中川 以良君
           羽仁 五郎君
  委員外議員    松村眞一郎君
  政府委員
   文部事務官
   (科學教育局
   長)      清水 勤二君
  説明員
   文部事務官
   (學校教育局高
   等教育課長)  太田 周夫君
   文部事務官
   (學校教育局大
   學教育課勤務) 春山順之輔君
ソース: 国立国会図書館
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