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1947/11/07 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第12号
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1947/11/07 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第12号

#1
第001回国会 文教委員会 第12号
  付託事件
○教員養成の諸學校に宗教講座を設置
 することに關する請願(第一號)
○新制中學校の經費を全額國庫負擔に
 することに關する陳情(第十一號)
○日本國起上會設立に關する陳情(第
 十六號)
○岐阜農林專門學校を農林大學に昇格
 することに關する陳情(第二十號)
○新制中學校の經費を全額國庫負擔に
 することに關する陳情(第二十五
 號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔にすることに關する陳情(第四十
 一號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する請願(第十二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第四十
 二號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第四十三號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔にすることに關する陳情(第五十
 五號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第五十六號)
○公立學校人件費を全額國庫負擔にす
 ることに關する陳情(第六十五號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第七十
 八號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第八十
 二號)
○學用品に關する陳情(第八十七號)
○六・三教育制度完全實施に關する陳
 情(第九十號)
○新制中學校舎建築費國庫補助に關す
 る陳情(第九十二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第九十
 四號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第九十五號)
○私立中學校に對し國庫補助金下附に
 關する陳情(第百號)
○金澤市に官立北陸綜合大學を設置す
 ることに關する請願(第三十三號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百六號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百八號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百十
 二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百十
 七號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百二十號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔にすることに關する陳情(第百二
 十五號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百二十六號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百二十九號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第百三十四號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百四
 十一號)
○金澤市に綜合大學設置に關する陳情
 (第百四十六號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百五
 十八號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百六
 十號)
○新制高等學校實施促進に關する陳情
 (第百六十一號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第百九
 十一號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 十五號)
○戰災學校復舊資材の配給に關する陳
 情(第二百十九號)
○盲教育義務制の實施に關する陳情
 (第二百二十一號)
○六・三教育制度の完全實施に關する
 陳情(第二百二十三號)
○ローマ字教育に關する請願(第百六
 號)
○科學勲章制定に關する請願(第百十
 七號)
○ローマ字教育に關する請願(第百四
 十一號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 二十四號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 四十七號)
○山陰大學設置に關する陳情(第二百
 六十號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第二百
 六十九號)
○熊本藥學專門學校の復興に關する請
 願(第百九十七號)
○六・三教育制度完全實施に關する陳
 情(第三百十一號)
○京都工業專門學校を工藝大學に昇格
 することに關する陳情(第三百二十
 二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第三百
 三十九號)
○佐賀縣に學藝大學を設置することに
 關する陳情(第三百五十三號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第三百
 五十七號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第三百五十八號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第三百八十九號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第三百九十八號)
○松江市に山陰大學設置に關する請願
 (第三百二十號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する請願(第三百三十八號)
○實業教育大學實現に關する請願(第
 三百三十九號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第四百二十一號)
○福岡縣に第二學藝大學設置に關する
 陳情(第四百三十三號)
○福島經済專門學校を大學に昇格する
 ことに關する請願(第三百四十一
 號)
○國定教科書北海道誘致に關する請願
 (第三百四十五號)
○東邦産業學園廢校反對に關する請願
 (第三百七十五號)
○へきすう地勤務教職員優遇に關する
 請願(第三百八十一號)
○福岡青年師範學校を實業教育大學に
 昇格することに關する陳情(第四百
 四十二號)
○教科書竝びに學校施設に關する陳情
 (第四百五十九號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第四百六十九號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第四百七十八號)
○水害校舎復舊竝びに教科書學用品配
 給に關する請願(第三百九十二號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する請願(第四百三號)
○新潟縣に綜合大學を設置することに
 關する請願(第四百十三號)
○國立大阪療養所拂下げに關する請願
 (第四百十四號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第五百八號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第五百
 十號)
○新教育制度の標準校指定に關する請
 願(第四百三十二號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第五百
 二十號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する陳情(第五百三十九號)
○六・三教育制度の費用を全額國庫負
 擔とすることに關する陳情(第五百
 四十三號)
○六・三教育制度に對する豫算の經過
 に關する件
昭和二十二年十一月七日(金曜日)
   午後二時三十一分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○派遣議員の報告
○熊本藥學專門學校の復興に關する請
 願(第百九十七號)
○勤勞青年教育の定時制高等學校設置
 に關する請願(第三百三十八號)
○實業教育大學實現に關する請願(第
 三百三十九號)
○六・三教育制度に對する豫算の經過
 に關する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田中耕太郎君) それでは第十二囘文教委員會を開會いたします。御異議ありませんければ議事日程に追加いたしまして、松野委員から先だつて金澤體育大會調査のために出張されました件についての御報告をお願いいたしたいと思います。如何でございましよう。御異議はございませんでしようか。
#3
○矢野酉雄君 簡單にお願いします。
#4
○委員長(田中耕太郎君) それでは松野委員。
#5
○松野喜内君 それでは参議院の方から代表といたして文教委員側から鈴木委員、安達委員竝びに不肖松野委員、三名が派遣を命ぜられましたので二十九日に金澤入りをいたしました。そこで縣廳竝びに事務局方面との打合せがありまして日程を組んだのであります。競技場は二十二ケ所に分れておりますので、その日程の中に先ず三十日には開會式、續いて陸上競技、續いて三十一日には小松竝びに大聖寺方面の競技場、一日には七尾方面、二日、三日は更に金澤市内における競技場の殘り、こういつた豫定を立てたのでありまして、豫定通り首尾よく參りまして、殊に三十日の開會式當日は日本晴れであつた上に、陛下の御臨場があるというので觀衆はその途上會場と言わず滿員の様でありまして、開會式に際しまして、この主たる競技場で行われましたが、スポーツ選手一萬二千からの者が、又觀衆八萬人の者が誠に、いずれも明朗闊達、元氣溌剌とした雰圍氣の下に開會式が行われ、我が國會が體育の方面、殊にこのスポーツの方面に大なる關心を持つていること、竝びにこれが式に臨みましても議長の祝辭を安達委員によつて朗讀することに相成りました。かくて首尾よく開會式が終りまして、この間衆議院の方からの派遣された二人の代表と共に、或いは森戸文部大臣も見えておつた次第でありまして、それぞれこの列に參りました。
 競技といたしましては、金澤市小學校六年生の四千人からのマス・ゲームを初めといたし、自轉車競技等を陛下は御覧になり、續いて野球場の方を初め、金澤市内における各競技場を巡覧いたしました。今囘の競技の中、最も人氣を呼んでいる一つが野球であります。陸上競技場と言わず、野球の競技場と言わず、施設又見るべきものがありまして、近代式の施設を見た次第でありました。更に庭球場竝びに軟式庭球、軟式野球、籠球、ラグビー、蹴球、排球、ホツケイ、擧鬪、レスリング、體操、馬術競技、重量擧、相撲、ヨツト、卓球、登山、次から次へと豫定通りいたしたのでありましたが、野球に續いて人氣を呼んだのは相撲でありました。地方のスポーツ精神の普及にはこれ亦昔からなる相撲の方面等に更に力を入れるべきかということを感じた次第でありました。陸上競技場竝びにテニス競技場におきましてはその走路と言い或いはテニス・コートと言い、最新式の材料を以て施設化してありまして、テニス・コートをその最新式の材料を以ていたしますれば、四十萬圓程度を要すると言われておりました。かくてそれぞれの場面にそれぞれの特色がありましたが、殊に御報告申上げて置きたい一つとしては体操の競演であります。昨年戰後初めて關西に第一囘國民大會が開かれましたが、それから始つたことであり、本年は第二囘の國民大會と思うのですが、昨年に比して一段として現われた一つは文教として考えるべきこの學校の體操であります。これはどういうふうに行くべきか、全國から各學校の體操竝びに一般體操、それぞれ創意工夫を凝らしまして、これが演出演技を競うた次第で、いわゆる競演をやつた次第であります。それぞれの斯道のエキスパートが審判官となられまして、これが採點をされて、この中には誠には或いはデンマーク體操の長所をとり、日本の舞踊のいいところもとり、いわゆる文化スポーツ的な體操といつたふうな特色を出された次第であります。續いてこれが體操の後に、各學校や、一般の外からの競技體が、スポーツ、文化ダンスといつたふうな、學校における遊戯、ダンス、乃至はこれが家庭的にも集團のダンスとかいうふうに、教育的の意味を以てのダンスの競演がありました次第であります。これらもそれぞれ體育研究會とか、或いは體操研究會とか、體操研究會協力會とか、いろいろの名を以て、それぞれ切磋琢磨しておられる。この研究の結果が發表がありましたので、私などにとりましては、大なり小なり參考になつた氣がいたしました次第であります。かくして日本の今後のスポーツがどうあるべきか。體操がどうあるべきかということが、新憲法の下、民主主義の下に、向うところにおいて考えさせられるところがあつたことを御報告申上げます。
 一體文教とスポーツ精神におきましても、選手各位を見るというと、いずれも元氣溌剌、共通的に明朗闊達、産業人として、このスポーツ出の人を採用すれば、誠に成績がいいと言われておる。そうすると、學科以上に、人間價値として、このスポーツを取入れることは、文教上誠に考うべきことであります。或る學校におきましては、學科の方も共々に成績と並行して進めつつあることを聞いて、頼もしい限りと思いました。併しともすれば、選手が或いは無理が起り、過度に陥ることなしとしない場合がありますので、文教における體育方面としての考慮を要すべきことであると存じます。
 かくて我々一行は、この主催者側とも、いろいろ懇談の場合もあつて、いろいろそういつたことの感想を漏らし、意見の交換をいたした次第でありました。今囘の總經費は、國庫から一千萬圓、土地のいろいろ集まつたものが五千萬圓、合せて六千萬圓といわれております。只今も、競技者の氏名とか、競技の種目とか、種目に關する詳細とかいうことにつきましては、ここに印刷物を全部持つて來ておりますから、續いて御覧願えれば結構と思います。
 以上簡單でありますが、派遣されました使命を果す意味におきまして、御報告申上げます。
#6
○矢野酉雄君 ちよつと今のに質問いたします。もう既に第三囘の國民大會について、いろいろな運動が起つておりますが、總豫算が六千萬圓という今の御報告ですが、國庫のこれの大會に對する補助が一千萬圓であるとすれば、五千萬圓の負擔の大體割當はどういうふうになつておりますか、石川縣の縣費としてどれだけの豫算を取り、金澤市なら金澤市、主催地としてどういう負擔をしておるかということについては、御檢討になつてお歸りになりましたか。それが分かりましたり、その點を……。
#7
○鈴木憲一君 非常に私たちも關心を持ちまして、その點を方々で尋ねたのでありますが、とにかく六月頃から着手をしたので、運動各種の競技場の設定等ですね、會計のこの整理をまだ行つてない。今後においてその寄附なども相當貰わなければならないだろうというようなふうで、見當がつかん。大體において五千萬圓は優に要るものと思つておるから、各地方でこういうことを行うことも、費用の點で今後非常に問題が起るのではないか。福岡の如きは、來年貰おうというので、厖大な豫算を考えているらしいようですね。一億ぐらいの、北海道あたりも非常に運動をしておりまして、私の方の神奈川縣あたりも、相當運動に參つておるようであります。併しながらその豫算の實態を聞き、一年ぐらいの計畫で、完全にうまく行うということは、なかなか困難だろうと思います。
#8
○矢野酉雄君 そうすると、視察をしまして、それらのことについても、そういつたような關係官廳に對しても、所信を參議院文教委員會として、報告に兼ねて提出しておくがいいと思いますね。私なんか殊にスポーツには關係の深い男ですが、或いは東京、或いは福岡とか、北海道とか、神奈川とか、今現に第三囘のスポーツ大會の要望しておる地元が大體四つある。有力な候補地としては、今福岡、東京のようでありますが、その豫算などについても、早く相當の程度は要ることを示してやらないというと、結局周到なる準備ができないと思いますね。それで建設的の意見としても、これは非常に大事だと思います。參考までに申上げます。
#9
○委員長(田中耕太郎君) それでは議事日程の第一、熊本藥學專門學校の復興に關する件、内村清次君が紹介になつておいでになりますが、御説明を願います。
#10
○委員外議員(内村清次君) 只今御指名を受けました、紹介議員の内村であります。熊本藥學專門學校の復興に關する請願に對して御紹介をいたしたいと思います。
 熊本藥學專門學校は、熊本縣熊本市にありまして、明治十八年三月に創立せられました。私立九州藥學專門學校がその前身であります。大正十四年一月に昇格したしまして、文部省直轄の學校に加えられまして、今日に至つたのであります。東日本におきまする富山藥學專門學校と共に、我が國唯一一つの獨立の官立藥專といたしまして、多數の藥學技術者を世に送つて、その聲價を謳われて來ておるのであります。
 由來藥專は、藥事法の指向しまする三大目標でありまするところの、調劑に從事する藥劑技術者、精緻醫藥生産を掌る製藥技術者及び榮養衞生を掌りまする衞生技術者の三者を育成して、藥學技能の發展と、純正醫藥の生産竝びに民族優生の向上に資することを以て使命といたしておりまするが、その履修しまする精緻化學の應用せられまするところは、到底他の追從を許さんものであります。本務の藥事以外にも、あらゆる産業に、又研究に、ますますその技能を買わるる状態でありまするが、これが全國に數少い藥專の發展的性格であります。
 而も敗戰日本の乏しき資材を生かしまする精巧技術の將來に備えまして、新學制實施の曉には、大學に昇格されるべき必然性を加えまして、再建日本における藥學教育の存在は更に大きく擴大されて來なければならんと思います。ところで翻つてその現實の姿を見ますと、昭和二十年の七月一日に不幸戰争に罹りまして、學校施設の大部分を失いまして、而もこれら罹災部分が專門教育機關の生命でありまするところの、研究實驗實習室及びその附属の設備でありましたことは、誠に致命的打撃でありまして、教育上重大危局に立つているのであります。勿論戰災以來學校當局、同父兄、同同窓、竝びに地方有志におきまして鋭意この復興に努力しておりまするが、何分資金資材共に逼迫したしまして、又國庫からの補助も極めて僅少のために、八方障害に阻まれまして、なかなか實現の緒につかないのであります。このまま座視しますことは藥學教育を危殆に陥れるものでありまして、特に國家再建の礎でありまする國民保健の將來を考えます時に、誠に寒心に堪えないところであります。願わくば本委員會の格別の御詮議によりまして、熊本藥學專學校の戰災復興が一日も速やかにできますように御採擇の程を希望いたします次第であります。
#11
○矢野酉雄君 ちよつと説明の方にお尋ねいたしたいと思います。内村さん長崎醫科大學には御承知のごとく官立の藥學科を編成しておりまするが、この文教委員會で關係しております請願の中にも、それは有力なる一つの運動として熊本醫大を中心とした綜合大學の計畫が今着々と進行中のようでありますが、そうした場合においては、官立熊本藥學專門學校に、綜合大學の計畫と全然別個に、先ず專門學校としての復活のみを企圖しての御請願でありますか、或いはその熊本綜合大學の中に包含さるべきものとしての御計畫でありますか、その點あの學校は私特によく存じておりますからお尋ねする次第であります。
#12
○委員外議員(内村清次君) これは私熊本の綜合大學の問題につきましても、實は本委員會の方にも紹介議員として説明したような次第でありまして、矢野委員のお尋ねにつきましても、實はやはりこの熊本の藥學專門學校も、その綜合大學の一環としてやつて行きたい。こういうような計畫であると承わつております。
#13
○委員長(田中耕太郎君) 本件を小委員に付託したいと思いますが……。
#14
○矢野酉雄君 その小委員に付託する前に私は所見を述べたいと思います。これは今の御説明の中にもありましたように、今のお言葉をお借りしますと、官立、國家が立てている專門學校に對して、それが國家が戰爭した、強いられたる戰爭において戰災を受けた學校を國家が負擔せずして、その先輩であるとか、在學生、その父兄から、或いは地元の寄附で、そしてその復活に充てるというのが、當然であるかのごとき、今までの慣習を、私は打破しなければならんと思うのであります。いつも私が申上げますように、直に文化國家というものを建設するためには、絶對に今までのような國家の豫算の四分八厘五毛ぐらいの程度で賄うというがごときその根本的概念を徹底的に粉碎して、本當に文化國家建設のためには、少くとも國費の三分の一ぐらいの豫算は當然取るべきものであるという常識を私たちみずからが積極的に國民運動を展開して、そうして先ず政治家、政府、役人の頭、更には國民のその概念をしてそうした概念にまで高めて、これを國民的常識にまで高めて行くというのでなければ、とても一切の文教費の問題の解決はできないと思います。論より證據まだ文部大臣は來ておりませんけれども、あれだけ參議院、衆議院の文教委員會がしばしば打合會、協議會、その他時宜に應じて新たに緊急處置をとつて、適切なる手段を講じたのにも拘わらず、僅かに十四億の豫算が半分しか取れないというような、こんな悲しむべきこの事情をいつまでも持續けて行くとするならば、この熊本の藥學專門學校の官立であつても、その經費を國家が出して行くというようなことについて非常に消極的であると思う。だから私たちは一つ文教委員會みずからが一つの新たなる大きい國家百年の構想に基いて、そうして是非こういう問題を採擇する。而して豫算等についても政府が積極的に支出するというようなことを付託して、この問題を審査して行くというように運びたいと私は附言したいと思うのであります。
#15
○委員長(田中耕太郎君) 他に御發言がございませんか。ございませんければ慣例に從いまして小委員會に付託いたしますことは御異議ありませんか。
#16
○委員長(田中耕太郎君) それではどの委員會に付託いたしましようか。
#17
○矢野酉雄君 委員長が大體豫定せられた委員にお出しになつたらどうですか。
#18
○委員長(田中耕太郎君) 從來これは先程の紹介議員の内村君からも御説明がありましたが、綜合大學の問題とも關聯があるようでございますから、綜合大學の問題を審議せられました同じ委員會に、或いは同じ性質の問題を取扱われた委員會が妥當ではないかと思いますが……。第何の委員會でしたか……、第三委員會に付託したら如何と思いますが……。
#19
○委員長(田中耕太郎君) それではさよう決定いたしました。
 次に議事日程によりまして請願第三百三十八號、勤勞青年教育の定時制高等學校設置に關する請願、それから請願第三百三十九號、實業教育大學設置に關する請願、これを合せて議題にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
#20
○委員長(田中耕太郎君) 紹介議員はいずれも三好始君になつております。三好君の御説明を願います。
#21
○委員外議員(三好始君) 御指名を受けました紹介議員三好であります。簡單に請願の趣旨について紹介さして頂きます。御承知のように舊學制において、國民學校を卒業して中等學校に進學しない、いわゆる勤勞大衆青年に對し義務制の青年學校を設けて、青年期の教育に遺憾なきを期する建前になつていたわけであります。今囘の六・三・三の新學制では、六・三までは義務制となつているわけでありますが、その後は上級學校に進學しない者についても、義務制は豫定されていないようであります。青年教育の前途についていろいろ心配している向きもあるようであります。青年教育の充實を圖るためには、義務教育を終えてから上級學校に進學しない約八割の大衆青年の教育に遺憾なきを期する必要があるわけであります。この際豫定されている定時制高等學校を速やかに設置して、その充實を圖らなければならないと關係者一同考えている次第であります。申すまでもなく新制中學を終えた者は、年齢的には舊制の國民學校高等科二年を終えた者より僅か一年年長であるに過ぎないわけで、その後の教育に缺けるところがあつては、國民文化の水準を高めるということも、到底期せられないわけであります。その點からも定時制高等學校の充實が、我が國民の教育水準、文化水準を高める上に、その必要が痛感されるわけであります。それは教育の機會均等、教育制度の民主化の立場からも十分考慮されねばならないのは勿論であります。以上の如き立場から定時制高等學校を速かに實現し、且つそれに對して教職員俸給の國庫負擔その他の保護を與え、國家として勤勞大衆青年の教育に誠意を以て努力して頂きたいことが、關係者一同熱望して止まないところであります。請願の趣旨はここにあるように考えるのであります。
 第二の實業教育大學實現に關する請願でありますが、これは先程の定時制高等學校設置に關する請願と非常に關聯があるわけでありますが、勤勞大衆青年の教育に關しては、社會人として、或いは國民としての一般的な教育の外に、實業乃至職業教育が一つの大きな重點であることは申すまでもありません。この場合の實業教育も、單なる實業知識教育ではないのでありまして、直接生徒が從事しつつある職場と結び付いた指導が必要である。從つてこれが指導に當る教員は、そうした條件にふさわしい教育關係において養成されることが必要であると考えられるわけであります。實業教育大學は大體そうした趣旨の下に、關係者においてその實現に努力をいたしておるようでありまして、請願の趣旨もここにあるように考えるのであります。極めて簡單でありますが、以上紹介させて頂いたわけであります。
#22
○矢野酉雄君 ちよつと御質問申上げます。新制中學校竝びに定時制高等學校の必須科目たる職業科の教員たらんとするところの者を對象とするいわゆる實業教育大學の設置というのですね。
#23
○委員外議員(三好始君) そうであります。
#24
○矢野酉雄君 分りました。
#25
○委員長(田中耕太郎君) それではこの二件につきまして小委員會に付託したらいかがかと思います。御異議ございませんか。
#26
○委員長(田中耕太郎君) 第一の問題につきましては、すでに同種の請願が出ております。これに第二の小委員會に付記されておりますから、第二小委員會でやつて頂くことにいたしたいと思います。それから第三の問題はこれは新たに生じた問題でございますから、從來の委員會の付託に應じて比較的懸案の少い委員會にお願いしたいと思います。
#27
○柏木庫治君 第二で一緒がいいでしよう。
#28
○委員長(田中耕太郎君) 一緒がいいですか。第二委員會に付託することについて柏木君の動議に御異議ありませんか。
#29
○委員長(田中耕太郎君) それではさよう決定いたしました。
#30
○矢野酉雄君 文部大臣の御出席がありましたので、緊急に御質問申上げたいことがありますが、いかがでしようか。
#31
○委員長(田中耕太郎君) それでは實は前囘の合同審査會の御報告を申上げるつもりでおりましたが、文部大臣が出席されましたからして、それは、後廻しにいたしまして、文部大臣の御説明を願い、又御質問等いたしたい、さようにいたしますことに御異議ございませんか。
#32
○矢野酉雄君 これはお互い衆議院、參議院の文教委員と共に、是非十四億の新制中學校の國庫の負擔すべき豫算を通過さしたいというので、いわゆる立法府たる我々が行政府を非常に全幅的な支持の下に、常に建設的な態度を執つて協力をしたことは、お互い同士が十分分かつておることであります。いずれ文教委員長から御報告があると思いますが、丁度文教委員長御不在のとき、いよいよ問題が急速に惡化の傾向を見ましたときに、本委員會からも河野委員、又私がこの緊急の參議院、衆議院の文教委員會の打合せ會に列席し、後で羽仁君もお見えになりました。そうして最後には參議院、衆議院の文教委員會の名において、政府鞭撻の決議案を作つて、そして直接總理大臣始めその他關係大臣に面接して、その所信を愬えようというようなところまで行きまして、そして羽仁君と私が參議院の方からではその起草委員となつて、そして新聞に發表したごとき決議案を持つて、實は首相官邸に行き、首相竝びに西尾國務大臣、それから笹森國務大臣……、率直に申上げまして、片山氏竝びに西尾氏はこれに對する積極的な好意的意見を發表しませんでした。笹森國務大臣は實に熱烈であつた。日本文教の重大問題である。身命を賭してこの豫算の通過に必らず盡力いたします。而もGHQに對してはみずからおいでになつて、そして進駐軍の豫算に關する問題さえも意見を述べて、そして僅か十四億の六・三制、新制中學の豫算のために、積極的にオーケーを與えて貰いたいというような努力もしておられることは私は他の委員と共に拜承したのであります。文部大臣も恐らくこの問題が、豫定のごとく運ばない場合においては、政治道徳の立場から責任をとるというな御覺悟のごとく私は拜察するし、國民協同黨の松原一彦君は過般の兩院文教委員會の席上において、公の立場から文部大臣が責任をとる覺悟を以てこの問題に當つて貰いたいという次第でございました。然るにあの首相官邸を訪問したときは、豫感しそような首相竝びに西尾君の感じから受けたその豫感のごとく半減されたのであります。鐵道省は大藏大臣の説明のごとく自分で事業を經營して、自分で賄うという特別會計の立場にありながら、驚くなかれ五十億の豫算を一般通常會計から借受けて、而して遞信省更に二十二億のいわゆる赤字なるが故に、一般會計からこれを借入れて、實に變態的な豫算を作るくらい、鐵道通信のこの行政面においては非常なる優遇を受けておるにも拘わらず、我が文教費なかんずくこれは文化國家建設の、殊に講和會議を前にしての日本としては、いかにいわゆる平和文化國家の建設に具體的な熱意を示してやるというこれは實に重大なる一つの豫算である。單なる國内的の問題だけでない。それは決議文の中にも當然謳つてある。羽仁君からの御意見もあつて、それをそのまま實は明かに發表しておるくらいである。然るにその豫算が五十數億のいわゆる公共事費の中に大體運ばれて、そうして遂にに七億の豫算となつてしまつた。勿論GHQにおいてもあのCIEのごとき非常なる積極的な好意を示してあるが、さてそのあとの七億をとらんとする場合には豫備金からとるにしても、或いは新たなる追加豫算からとるにしても、新たなる枠を設けなければならんから、又新たに關係當局との折衝を始めなければならん、そのとき果してそれがオーケーを得るかどうか、ということは實にこれは疑問であります。而もすでに北海道或いは東北地方においては雪を見ておる。ところが全日本の現状を見るというと、よしんば安定本部のいわゆる机上プランの中には現われていないかも知れないが、豫算一錢も貰わないですでに校舎も建つておるところもある。實に四苦八苦して……、だから現實においては物の裏附がない豫算の如く考えていても、實は物の裏附はすでにそれよりも先行しておるところが澤山ある。だから豫算だけ貰えば、十四億の豫算だけ貰えば必らず私は物がこれにおのずから裏附して、そうしていわゆる豫算の完璧を期することができると思つておるにも拘わらず、實に悲しむべき結論に達したのであります。私たち文教委員としても……、複數と申上げることができなければ、私自身非常にこれは責任を感じておるのであります。ことに文部省はすでに前々囘の閣議の大體決定を見ましたその十四億によつて、總計地方費三十一億二千萬圓でありますか、その一つの豫算の内示をして、而も各府縣に對してすでに各縣はその内示を受けて、この豫算を立てて、すでに實行にさへ當つている。我が日本のこの敗戰後の混亂というものの大きい一つの原因は、道義の頽廢である。その道義の頽廢を救濟するところの道は、先ず政府自體がその道義を實踐することである。もしそれ政府が國民に協力するならば、政府自體の内部において打つて一丸となる大調和の美わしの實を示して、そうしてこの難關を突破し、來るべき講和會議に向うというその實踐を示さない限り、或いは單なる言辭を弄しても、國民は斷じてその内閣に随いて行くものでないことを信じておる。と同様に道義の高揚を主張する政府、なかんずくその中心の地位に立つべき文教の責任者は、みずからその道義の實踐に邁進しなければならない。すでに閣議を經て十四億の豫算に基いて各府縣にこれを内示し、それぞれの府縣はそれに應じて豫算を取つておつたのにも拘わらず、これが全く逆轉して、七億の豫算によつて、その豫算の編成替をしなければならんというときに、果して市町村長乃至はその市町村民は、これが果して道義實踐の政府として、この政府を信頼するや否や、又これに協力的の態度を取つて、内閣總理大臣の使命をも……兩院共に同一歩調を取つたところのこの國會に對して、國民は果して信頼を寄するや否や、かかることによつて、果してわが日本の道義の囘復ということは、いつの日にこれを見ることができましよう。これについて最もその責任の重大なる文部大臣は、いかなる善處の態度を取るか、この後に取るべきところの適切、妥當なる一つの計畫について、腹藏なき意見を披瀝して頂いて、そうして私たち文教委員としての取るべき態度の參考に資せられんことを、切に希望して止まないのであります。終り。
#33
○國務大臣(森戸辰男君) 六・三制については、兩院、ことに當院におきましては力強い御指示を頂きまして、心から感謝をいたしておるのであります。然るに私共が目途としておりました十四億が、後に述べるような事情で、差當り先ず七億と決定されたという事態になりました。この點につきましては、私自身としては極めて止むを得ない事態であるにも拘わらず、誠に遺憾と存じておるのであります。御承知のように私共は新しい日本の建設のために、教育刷新ということが、極めて基本的な政策の一つであり、その教育刷新の中で、最も直接的なものが六・三制に現れた新制中學の實現であるということは、度々申した通りであります。勿論私共は六・三制の完遂というようなことを一度も申したことはないのであります。今日窮乏の日本で六・三制の制度が完全に行われると考えることは、これは實は事態の正しき認識でないと存じておるのでありまするから、今日の窮乏の日本に即しながら、できるだけ十分にこれを實現して行こうというのが、政府も亦私もしばしば世間にも申上げたところであります。そうしていろいろ考えがありましたけれども、閣内においても考えがありましたが、結局七月十五日の閣議で三十一億の追加豫算、その中約半額十四億弱が國費で支辨されるということに一應内定されたのであります。勿論これは内定であります。政府も更に審議を續けて行き、それについてはいろいろ交渉する方面もありますので、それが確定的のものでないのは皆さん御事情のお分りの方には説明を要しないことと思うのであります。併しそれにしても冬が近くなりまして、來年の自然増加の生徒のための校舎は、來年になつてから豫算ができたというて建てるのでは勿論間に合いません。殊に二部教授等の子供たち、又假教室のひどいものについては、冬にはなんとか校舎が出來ればしてやらなければならんというような見地から、實はかようなまだ内定の状況にあるにも拘わらず、私共はこれを各府縣に割當を内示いたしたのであります。これは飽くまで内示でありまして、話す者も聽く者もこれが確定的の豫算であるということは考えてはいないのであります。後に決まりましようが、大體こういう方向に決まるであろうというような考えでこれを聽き又これを話したのであります。併し他面先程申しましたような事情から所によつては建設を急ぎますので、府縣においては更に町村に割當をいたし、町村によつては計畫を立て着工している所も寒冷地帶においては存在してるような實情にあつたのであります。かようにして實は内示されまして、一部分はそれに基いて冒險的ではありますが、止むを得ざる事態のために着工しているところもあるのでありましたが、かような事態を一方に持ちながら追加豫算の審議が進められて參つたのであります。ところが丁度不幸にも我々の豫期せざる關東の大水害がありました。これは全く私共の豫期せざるものであり、且つ何十年に一度という大洪水でありまして、その損失、被害というものは特に皆さんの御存じの通りで、而もそれの復舊のためには、いわゆる建設資材というものが全く豫期せざる大量を必要とするという事態が生じて參つたのであります。勿論私共はそれより前からも公共事業というものが、殊に盛られている内容から言つても、もう少し大きな枠を持たなければならんと存じまして、かような考えから豫算についていろいろ考慮いたしたのでありまするが、矢野委員の申されたように、現在統計にとられている材料に基いては、實は五十二億という大體の枠が決まりまして、その中から公共事業も支辨していかなければならないという事態に當面いたしたのであります。これは私共としては殊に六・三制の問題を持つております者にとつて誠に遺憾なことでありましたけれども、併し五十二億の中から支辨せざるを得ない状態になつたのであります。そうしますと、この夏の災害の復舊という誠に緊急な費用と、他面新日本建設になつては缺くことのできない六・三制という費用とが競合するという事態になつたのであります。で私共は實はこの五十二億の公共事業費の割當については、今夏の災害復舊と六・三の制度を優先的に考えて行われるようにと考えたのでありますが、併し公共事業に盛られたものについては皆實は非常に切り詰められたものであり、取られては困るものだけとみてよい事態でありまして、なかなか適當なところに割當を落着けることが困難でありまして、結局總理に案を作つて頂いて、それによるというような事態になりました。そうして今次議會に提出された五十二億の中におきまして、七億というものが先ず取あえず六・三制に當てられてるという事態になつたのであります。これは先程も申しましたように、私共前々から考えておりまする額の半分でありまして、なかなか豫定の通りには六・三制を運ぶことが困難な事態になつたのであります。更に先程申したように地方によつては工事に着手しておるところもありますので、これらの地方についても適當な處置を考えなければならんという事態に當面しておるのであります。これが今日の事態でありまして、この點について私の考えを申上げるならばただ一つ忘れられておることは、政府がこの窮乏な事態にも拘わらず、六・三制はやるという決意を固めたということは、これはしばしば忘れられておるのでありますが、重要なことであると思つております。というのは、世の中には、こう困つておるのだから、資材も足らんのだから、六・三制は廢めたらよいじやないかという意見が相當にあるのであります。それから廢めなくても當分延ばしたらよいじやないかという意見もなかなかあるのであります。併し政府は、それはいかん、六・三制はこういう窮乏の間にもやつて行かなければならんということが示されておる。今年やるということは續いて來年もやつて行くということが表明されておるということは往々にして看過され勝ちでありますけれども、この點は私は重點を置いて今日の事情から言うと考えて頂きたいのであります。併し七億では決して十分なものではないのであります。この事實も亦明らかでありまして、私共は單に私個人でなく、政府が極力努力をして不足の額を充たしていこうという考えに立つておるということであります。勿論それにはいろいろ手續も要りましようし、資材との勘案も要りましようし、只今直ぐその方途を具體的に申上げることはできないのでありますが、そうして、中には資材を伴なわず支辨されるものもあり、又資材が今後いろいろな形で餘計に生産されたり、又他面から出て來るという場合もありまして、そういうような事態を考えながら足らないところを補つて行こう。こういう考え方に立つておるということであります。併し仕事を始めておる者は、どういうふうになるのであるか、そういう人々がそれがために非常な損害を蒙るのでないか、という御心配もあるようでありますが、これを早速事務當局で、今日六・三制はいかなる進捗状態にあるかということを具體的に調べまして、そうしてそれの進捗の度に應じた適當な方策を立てたいと存じております。それがために地方に迷惑を掛けるということは、斷じていたさない覺悟を持つておるのであります。大體これが今日の現状でありまして、私といたしましては、最善の努力は、この得られました七億を更に我々の目標としたところに擴大して行くということであり、そうして閣僚の諸君もさような意圖を持つておりますので、そういう方向に最善の努力を盡したいと存じております。そうしてそれをなすことが、この窮乏の間に六・三制度をどうにかして守り立つて行くということが私の責任である。私の責任を問われれば、そのことが私の責任であると、私は申すより外はないと存じております。
#34
○堀越儀郎君 文相の御答辯によりまして、御苦心の程は分りますが、今御説明頂きましたことについて、二ケ所ばかりお聽きしたいことがあるのであります。それは先ず差當り七億というものを豫算で認めてとおつしやいましたが、差當りということにいたしますると、それ以上のことはどうして賄つて行かれることになりますか、それを伺いたい。それから三十一億ということで各府縣へ内示せられた、それによつて各地方ではすでに工事に掛つておる所がある。その状況を具さに調査して、工事の進捗の工合を見て善處したい。決して地方には迷惑を掛けないとおつしやつたのでありますが、工事に掛つておるという、進捗の状況ということから考えますると、既に地方において資材をなんとか工面をして、經費をどこからか借りてやつておる所が多いのじやないか。地方に迷惑をかけないということは經費を賄つてやる、經費を補助してやるという以外にはないと思うのでありますが、現在十四億を削られ、僅かに七億で非常に苦しみの状態において地方に迷惑をかけないということは、地方に補助をするという以外にはないのでありますが、これをどう賄つて行かれるのであるか。この二點について文相の御意見を承りたいと思います。
#35
○國務大臣(森戸辰男君) 第一の點は、先ず差當りと申しましたのは、七億とうもの、これは資材を伴う七億でありますが、これは確定的なものであり、更にそれ以上に私共が極力七億以外の別途の形でというのは、今日追加豫算に盛られておりまする形とは違つた形で、これを實現することに極力努力いたしたい、こういうように考えております。それは時期もありましようし、又方法もありましようが、これは諸種の事情、資材等の調整状態を勘案して考えられるのでありまして、今日ここで明示いたすことは甚だ殘念でありますが、できないのであります。それから第二の點でありますが、内示されて地方で着手しておる。そういうものに對してどういう形で損をかけないようにするかということでありますが、これは實際の仕事が、これは全國均一に何處でも行われておるというわけではありません。或いは三分の一か四分の一になりますか、そういうようなものが實際に着手しておるかと思うのです。仕方についてもいろいろ違うと思うのです。資金の出方につきましても、資材の出方につきましても、いろいろと違うのでありまして、畫一的に御返事いたすことはできませんが、大きな方向といたしましては、それでその地方に迷惑をかけるようなことはないように處理しなければならん。こういう大きな方針を立てて、これに努めざるを得ない状態に今はなつております。もう少し地方の状況が具體的に分かりましたときには、更にもつと具體的にお答えができると思います。
#36
○矢野酉雄君 一つ非常に嬉しいことが、今文部大臣の御答辯で分かりました。それは現内閣が六・三制を、いわゆる新制中學を實現するために閣僚一人もこれがために反對する者がない。私は森戸文部大臣を積極的に支持してくれるものは、ほんの少數の閣僚ではないかという、非常なる實は心配を持つておつたのでありますが、文部大臣にして文教の最高の地位に立つておる人格者として、現内閣の各閣僚が、これに對して積極的に支持しているという、この公の權威ある會合において發表して頂きましたことを、本日の委員會における最大の収獲として非常なる愉快を感ずると共に、又期待を持つものであります。翼わくばこの私の期待が今堀越委員から適切なる御質問がありましたが、その御質問が具體的の形の上に實を結んで現れるように、こうした全閣僚から受けておられる文部大臣は、大いに意を強うして勇往邁進して頂きたいと、私は激勵する次第であります。それから最前の御答辯の中に、突如として起つた水害問題を御引例になりました。御同感であります。併しながらこの問題に對する私の察知した、又一片の私情を挾まざる私の正しき認識から判斷するところによりますと、これもこの席上において柏木君、堀越君、その他あの新制中學の豫算が危ないぞ、どうもこれは削減の虞があるというので、急遽過日文部省の次官室に參集をいたしまして、鈴木君も神奈川から後で馳せ參じ、その他相當多數の人が集まられ、國民協同黨からは松原一彦代議士も參集されて、そうして文部當局の意向を聽いて、その足で二臺の車に便乘して、安本を訪ね、安本長官の和田君竝びにその折衝の任に當つておる都留君に會つて事情を聽いた、そのときの私が聽取したる事情と、この結論に至つたところの結論というものは、その間突如として水害が起つたからこうした結論に達したのであるからということの、どうも首肯のできないような私は感懐を持つものであります。そうすると最前述べられた文相の全閣僚が全面的にこれを支持してくれておるというのと、あのときに感知したその情勢というものと、何かそこに非常に矛盾があるように感ずる、併しながら何もここで私たちは單なる一片の推論をして、そうしてこの尊い場所で尊い時間を徒らに費そうと思いませんが、翼わくば更に私は爾後の處置に向つて、背景には五十萬の教職員諸君、竝びに多數の今も寒さにすでに震えておる生徒たち、殊に小學校側も中學の生徒が講堂を借り、教室を借り、そのお蔭で二部制度、中には三部制度の迷惑も蒙つておる、そうした新制中學の生徒や、迷惑を蒙つておる小學校のあの可憐なる子供たちがこの實現のために豫算を殖やして貰いたいというので、大いなる怒涛のごとき一つの背景があるし、その上に參衆兩院の文教委員のバツクがあるし、尚閣内においては閣僚諸君が積極的にこれを支援してくれるというような強さがあるならば、何らその間一點の弱體はないわけでありますから、一層の御奮發を願つて、是非内示が單なる内示であろうとも、お役所から頂く内示はもうこれはきつと實現せられるであろうということを豫想するのは、これは人間の私は當り前の感情であると思う、又當時において文部大臣としては、どんな困難があろうとも、その線に沿つて必ずこれを實現するという意思があつたればこそ、その問題に着手し、歩一歩々々と前進しておいでになつて、努力を拂つて下さつた筈でありますから、その文部省を信頼しておつた各市町村が、その信頼を文部省によつて裏切られたという感じを起さないような程度において、後の七億の經費を何らかの適切なる方法によつて捻出するように萬全の方途を講じて頂きたい。それにはしつかりした宗教的御信仰のある文部大臣、その宗教的大信念に立つてこの大いなる聖業のために邁進せられんことを重ねて私は要望してやまないのであります。
#37
○柏木庫治君 いつぞやでありましたが、文部政務次官が皆の激勵に對しまして、必ずやる。これがやれなかつたらと、腹を切る眞似をいたしまして、これだけ覺悟しておるというお話でありました。私はそのときに心の中で、腹を切るということが辭めるとうことであるならば、お辭めにならんでもよろしい、少くとも日本の政治家であつて、森戸文部大臣と自分がこの問題で一番熱意を持つておる、一番やるという決意を持つておるという第一人者であつて貰いたいと念願したのであります。それであるならばその第一人者から辭められたら、その次にはもつと力弱き者かせ出るのでありまして、これは本質的にこの問題のために憂うべきことであると考えたからであります。私は今の大臣の態度と説明を承りまして、次官のあの態度を見まして、出さんとする手はすべて打つた。これが現下日本でやり得る頂點であると考えまして、この點御苦勞でございましたと感謝するだけであります。
 そこで一つ私が申上げたいことは、形の上においてなさんとする全部をすべてがやつたんだ。これを補うのに、さつき矢野君が言われました五十萬の教職員その他の生徒でありますが、これに對する態度と申しまするものは、子供から本がない、本がないとは書いてあつたか覺えませんが、ともかく不自由なる手紙が澤山參つております。教育が十分に行われて行かない現状のことを數々聽かされます。併し缺點は澤山ありましようが、現下の日本でこれが際限である。日本人のなり得る頂點でありますならば、今度は私は五十萬の教職員諸君のこれに對する態度でありますが、これだから政府が冷淡である。これだから文部大臣が誠に熱がないというような、そういう心持を五十萬の教職員が先ず去つて貰いたい。そうして生徒もこれだからやれない、ああして貰いたい、こうして貰いたいという希望を一切止めまして、そうして今の我々としてはこれが丁度いいのだ、形の上においては非常に苦痛で欠點だらけのようだけれども、この欠點の中を修練して行くことが、例えば教えられる點においては足らないところがあつても、修練して行くことによつて鍛えて行くところの心、身體、そういうものが伸びて行くのである。ここ二年三年の間はこうであつても、これが、他日必ずいいのだ。又自分たちの先輩は、學校はあつても勤勞奉仕々々々々でむしろできなかつたじやないか、であるならば自分たちは校舎はなくて野邊であつても、机がなくて石の上であつても、やろうやろう、やろうやろうという、そうした世界にあるだけでも、今の兄さんたちは比して我々は仕合せなんだ、だからこの中からこれを喜んで、これを勇んでこの苦勞をすることそれ自身が、敗戰國民として國に對する大きな喜びある勤めであるというふうに、私は國家としても、當局者としても、物の面において最善を盡されたのでありますから、ここを頂點として、今度はそれを補うのは、教員と生徒との心掛によつて、その缺點を補うて貰いたい。それを補うような態度を文相みずから、文部省みずからが、そういう態度に一面出られるということに對して方策を採つて頂き、みんな心持をしかくさうあつて頂きたいと思うのであります。それが形で當らなくても、本人の心掛と態度においてその缺點を補うただ一つの大きな途である。それに對する文相の態度もここにお尋ねいたしたいのであります。
#38
○國務大臣(森戸辰男君) 只今至極適切な御示唆を頂きましてありがたく存じます。私共は實文部大臣の地位は非常に大事でありまして、そう輕々に職を辭することが責任を取るゆえんではないと考えております。いろいろな困難の中に、この反對の多い中に、六・三制を守り立てて最善を盡して行くということが、私共殊にこの職にある者のなすべきことであつて、場合によつてはその方が重い責任ではないかとすら考えておるのであります。併し不明でありまして、當委員會初め諸方面の強力な御支持に拘わらず、私共の豫定した線に追加豫算の達しませんでしたことは、誠に私としては殘念に存じておるのであります。そうして他面この足りないところを補足して行くということが可能でありまするし、又最善の努力をいたし得るし、又恐らくは内閣としても、恐らくではない必ずいたすであろうと考えておりまするので、私共はこれをいたして行くことが最善の任務でありまして、ここで思い止まるということはいたさないつもりでありますけれども、他面におきましては、今日の窮乏日本の教育は、設備が十分であるということを前提にすることは間違いでありまして、最善の努力をいたさなければなりませんけれども、私共の生活全體を考えまして、なかなか教育の設備だけで萬全を期するということはできないのであります。そこで私共の許された範圍の不十分な設備を以てこの教育をやつて行くということが、實は私共に課せられた任務でありまして、これは先生方に取つても、子供たちに取つても、誠に氣の毒なことであります。文教の責任者としては誠に責任を感ずるのでありまするけれども、併しこれは單に先生と生徒に止まらず、日本の勞働者も、日本の農民も、すべての國民がそういう心でこの敗戰窮乏の日本を建てて行くという心構えがないならば、私は日本の再建は困難であると思うのであります。こういう意味におきまして只今も御示唆あつたように、私共當局といたしましては、客觀的な制度と物的な設備のできるだけ十分な完成に努力いたしますと共に、教育の中心は制度や設備ではなく人間でありますので、先生と子供とがこの事態を正しく辨えながら窮乏の間に、場合によつては二部教授三部教授も忍びながらこの困難な教育を達成して行くという決意を持つて頂きたいと心から念じておる次第であります。
#39
○河野正夫君 柏木委員から非常に示唆に富んだお話がありましたが、本委員會の速記録や何かを全國の教員諸君が讀まれた場合に誤解のないために、ちよつと發言をさして頂きたいと思うのであります。我々國會議員乃至は文部省當局、こういうような側におきましては、飽までも教育の設備、便益というようなことを十分にするように、この限られた窮乏の經濟の中にあつても、この苦難を乘り越えてでも教育優先の原則の下に飽までも勉強しやすいような状態においてやろうという我々の親心というものは、十分に働かせても働かせても足りないくらいだと思うのであります。その意味におきましては、矢野委員も言われたように、我々といたしましても國民諸君に對して今囘の文部省豫算が閣議において只今御報告のようなことに立到つたということは、責任を感ずる一人であります。もとより生徒諸君、兒童諸君、教員諸君は石の上に腰掛けても、教科書がなくとも、次の日本を、いや世界を背負うために、希望のないように見える今日においても尚平和世界の建設のために、正義の實現のために孜々として努めておるということを、又努めるであろうことを我々は確信するものであります。
 さて文部大臣にお尋ね申上げたい點に、この豫定の約半額が今囘差當つて認められた、その差當つて認められたものの配分の具體的な方針を明らかにして頂きたい。と申しまするのは、もとよりまだこの豫算は兩院を通過しておりませんから、差當つて直ちにどうという打つ手はございませんでしようけれども、議會を通過した場合にこの豫算を行使するためにお考えになつておられる方針を明らかにして頂きたいのであります。と申しまするのは、先程お話がありましたように、地方に二囘に亙つて内示せられておる、そうしてすでにそれに基いて越冬的な意味で建築もされておる、或いは濟んでおる場合もあれば、起工しておる分も相當数あろうかと思います。これらの方面に大體最初にこの七億圓を振り當てる御方針であるか、或いは初めの計畫を半減して全國的にばらまかれる御方針であるか、私とすれば前者を採りたいと、こう思うのでありまするけれども、その點の具體的な點をもう少し突つ込んで御説明願いたいと思います。
 それから第二に、殘つた七億の問題でありますが、これはもとよりまだ具體的には御計畫が進んでおりませんでしようし、關係方面との折衝も必要だろうと思いまするが、ここではつきり答辯を要求しましても、それはいかがかと存じまするけれども、とにかくお見込として確實にその殘つた部分を年度内において獲得する御確信がおありなさるかどうか、特に問題は六十一億の公共事業費が五十二億に減つた場合のいろいろな關聯をお伺いしまずと、それは資材の裏附けがあるかないかということにあつたようであります。然らば今問題として殘つておる七億をどういう面でどの方面から支出するということの御明言ができないまでも、この資材の裏附けのなかつたという問題と關聯して再び難點を惹起する慮れなきや否や、その邊のお見通しを伺いたいと思うのであります。
#40
○國務大臣(森戸辰男君) 只今河野委員からの御質問でありますが、或いは追加豫算が通過すれば確實である七億をどう分けるかということでありますが、これは實は地方の状況、着工、完成或いは未着工等の具體的な事情がはつきりした上で決定いたすより外はないと思うのであります。大體の方針といたしましては、すでに著工したものがそれがために非常な損失を蒙むるというような事態は避けなければならん、こういうような大きな方向は持つておりますけれども、詳しいことは具體事實、その事情が判明してから後に致すよりほかはないと思います。只今申したように既に早く仕事をして、したから非常に損をしたというような形には持つて行きたくないと私は考えております。
 それから第二の殘つた部分はどういうふうな形で支辨されるのであるか、それについての方途、その他で確信があるか、殊に資材の問題と關連するので、というお話で、至極御尤もでありますが、一應この七億という額が決定いたしましたので、さような事態を一面に持ちながら併し他面ではどうしても要る部分もありますので、而も或る部分は資材がなくても行けるところもありますし、他面では資材を必要とするものもあり、又セメントの生産のごとく或いは場合によつては増加するという見込のあり得るものもありまして、今直ぐにそれを定めて掛るということは無理であろうと思います。公共事業にいたしましても或は豫定通りに着手し得ない部分もできますと、そういう資材が餘るという面もありまして、そういうような事態を全體勘案しながら資材の調整を頭に置いて決定いたして行くという方向に最善の努力をいたすということを申上げるというほかに今日の事態においてはできにくいと思いますので、この點御了承願いたいと思います。
#41
○委員長(田中耕太郎君) 四時までに文部大臣ちよつと公務上行かれなければならないところがあるそうですから簡單に一つ……。
#42
○羽仁五郎君 本委員會及び文部當局においてすでに十分考えられておつたのですが、この際特にその趣旨を徹底して頂きたいというふうに考えますことは、この六・三制或いは日本の教育の民主化という問題で、どうも私がこの十月三十日の翌日閣議で決定があるという前日に、両院の合同の打合會で決定せられたことを、それに基いていろいろ歩いた場合にも、そういう感じをいたしたのですが、日本教育の民主化の根本的な意義というものが十分徹底していないのではないかという感じがするのです。これは先程からお話もありますが、六・三制豫算の實行の可能性ということが他の様々の政治問題と對等の程度にしか考えられていないじやないか、水害問題その他と……。で文部當局で十分御努力になつたけれども、併しいろいろの事情でこういうふうになつたとおつしやるのですが、私はこの教育民主化の六・三制の實施ということは、そういう他のいろいろな問題と竝ぶだけでなく、パラマウントの意味を持つておるということをもつと徹底されたいということを希望いたします。これは再々私申上げるわけですが、日本の現在の再建は、經濟上の再建にしても文化上の再建にしても、國際世界が日本が民主化したということを信じてくれるかくれないかということによつて、これは全くその再建がどの程度に行われるかということがそれによつて決定されるのでありまして、先般來御承知のような例えば捕鯨事業についても一應許可せられたものが、國際的抗議に遭い、或いは農業生産の上のニトロゲン生産の如き場合にも、これは將來軍國主義化されるという可能性があれば非常に押えられる、又或いは中華民國の講和會議に封ずる態度を見ましても、第一の條件は日本の過去の軍國主義教育が、完全にその影響を拂拭されて、そうして日本が眞に民主教育をやるということが講和會議の第一條件である。この日本民主化ということがなければ、講和會議というものは始まらないのであります。從つて日本の本格的經濟再建ということは始まらないのであります。だから水害その他の問題にしても、或いは經濟問題にしても、講和會議が行われなければ、第一歩を踏み出すことはできない。そうして第一、講和會議が行われるためには、日本が民主化の努力を特に教育の方面でやつておるということで、これは委員各位及び文部當局においても十分御承知のように、國民の間において、長年培つた軍國主義の教育の影響というものほ決して拂拭されておりません。これは我々自身がそう見るわけですから、況んや國際諸國から、日本のそういう過去の教育の影響は拂拭されていないと判断されることは、少しも怪しむに足りない。從つてこの六・三制の持つそういうパラマウントの意味というものを、我々が徹底するならば、文教委員會及び文部當局が、特に現内閣の政策の上で、これに對してもつと全く違う態度を以てこの豫算問題をも解決されなければならないのではないか。やはり講和會議に臨むに當つて、日本がただ口の上で文化國家と言い、或いは民主主義ということでなく、事實豫算面においてどういうふうに現われておるか。今囘提出された追加豫算というものも、これを拜見して忌憚なく言えば、追加豫算面に何等の政治的識見というものは現われていないものではかという感じがするのです。現在日本の難局を打開する上において、教育民主化ということが、國際諸國の、聯合諸國の、日本に對する一番大きな問題である。從つてそういう意味においてこの六・三制の問題を我々はもう一遍立て直して考えなければならない。續いて單に本年度ばかりではない、來年度の年次計畫というものの上においても、そういう決心がなければ到底年次計畫というものも立たないのではないか。先日來伺つたところに依つても、年次計畫というものが困難であるから、今年度も削減するというような御意見すらあるということを聞いておりました。そういう點で來年度においてどれだけの豫算を必ず通さなければならないか。それには今申上げたような教育豫算というものが、日本の民主化ということを、國際諸國に理解して貰うために、絶對的にパラマウントに必要であるということを是非徹底させて頂きたいと考えるのであります。
#43
○梅原眞隆君 いま羽仁さんの仰しやつたことと、ほぼ線が似ているのでありますから、一緒に大臣の御意見を伺いたい。先程から聽いておりますと、極めて率直な感じを申上げると、當局なり、それから現内閣が、この問題に對して十分の苦心をされたということは素直に認められる。けれどもただ私はこれによつて見たことは、現内閣が教育に對する、つまり價値判斷が低級である。こういうことなんです。これは現内閣に對する失望の一つである。そこで先だつてから次官なり或いは大臣に職を賭してもという話が澤山出た。そういうようなことは、何も責めるとか、妙な行動ということを意味しておるのでなくて、これは身命を賭しても、今の日本の、在來の政策に向つて、新らしき觀點を占めなければならないと、こういう私は意味であつたと思う。であるからして、今の場合において止むを得ないのであるという價値判斷は、私は再檢討を要するのである。故に私はこれは現在は丁度日本が宿命的な立場に立つておること、若しくは非常に困難であるということを萬人が知り得ることである。その困難な財政の中において何を重要として取扱うべきかという所に問題の要點がある。そういうことに對して大臣始め、すべての人が盡されたということに向つての、主觀的の觀念には我々は同感するけれども、これは客觀的に見ると少し足りないのじやないか、こういうことになると私は思う。これは私は率直な國民の批判であると思う。だからしで私はこの際、我々は十分にやつたのであつて、今日これを我慢しなくてはならないという論理でなしに、これはここにおる人たちも、我々は十二分にやつたが、我々が足らなかつたために、誠に遺憾な結果にしたのであるということを明瞭に私は聲明すべきものだと思う。第二に今窮乏の間にもやることはあるが、こういう状態における……、これの倍額のものでありましても、私が考えたことは、これだけの豫算で、これだけの新制度施行ということは、これは無謀なことであつて、それは教育の刷新にならずに教育の本質を破壊するものでないかという惧れを持つものであります。これが倍額であつて、更にそれが半減されておつては、乏しきを忍ぶとか窮乏を忍ぶとかいう問題でなくして、文部大臣も教育に關して素人でない筈である。そんなあらゆるコンデイシヨンを否定して不完全な教育を施すということは、言葉を換えていえば、教育の本質を阻害するということになるのである。そういう點におきまして、これだけの豫算で六・三制の問題を運營するというようなことに關しては、これは殆ど私は不可能に近いものであらうと見ておる。私この點においても、これは相當に文教委員にもその責任があると思う。ただそこで、まあ過ぎ去つたことは……、今の豫算を職を賭してもという話は、この豫算のバランスというものを職を賭しても改造しろ、こういうことを要求したものだと私は感じておる。併しそこに至ることができないして、これは百歩を讓るとしても、私は續いて來たるべき通常國會というものは目睫の間に迫つておるのである。どうか願わくば新しき議會において、我々は六・三制というものには、國家としては餘程革新的な財政を持たなくてはやれないのである。而も又それはどうしてもやらなければならない根本的な問題であるのだという重要性を明瞭に認識をして、今から肚を決めてここに償ないを掴むというような決心を以て、我々が今やつたことは文教としては甚だ失敗であつたのだという意思の下に我々はこれを認めるということが、私は穏當なことでないかと思つておるのであります。
#44
○矢野酉雄君 大臣のお答えの前に一言附加えさして頂きたい。同僚委員各位の熱烈なる質疑應答に一つ附加えさして頂きたいことは地方起債の問題です。初めに三十一億のところ、約半分は國庫負擔で、あと半分は地方起債ということを聞いておつた次第です。今囘國會が始まつて陳情、請願多々ある中に、實に驚くべき最も多数なる陳情請願はこの六・三問題の全額國庫負擔でありました。然るにもせよ我々文教委員會といたしまして、最善の努力を拂うべき本委員會委員は、全員決議の下に、全額國庫負擔の陳情を採擇した次第でありました。そしてそれが本會議に行き、これが當局の方にその意が傳わつた次第なのであります。我々といたしましても、努力が足りなかつたといえばそれまででありますけれども、實に國民のそういつた熱意に對して何の面目があろうかと心配している一人であります。文相は一體これに對してもどういうお考か、即ち十四億の半分だけ豫算は取れたけれども、後の半分は善處すると言われましたけれども、一體地方起債に關してはどういうお考えをお持ちになつておるか、序でに伺つて置きたいと思います。
#45
○國務大臣(森戸辰男君) 實は後の説明をするところに參らなければなりませんので、甚だ殘念でありますけれども、簡單にお答えを申上げたいと思います。羽仁委員竝びに梅原委員のお話になつたところは誠にその通りでありまして、教育六・三制に對するもつと高い價値判斷が必要とされると存じます。これは内外いずれにおいてもさような考え方がなければならんと存じておるのであります。殊に日本といたしましては、敗戰の日本、既製の日本については國際的に信用がない。新生日本についてのみアメリカ教育使節團が言つたように、我々の最大の希望は子供にあると言われたように、新らしい日本はそこにあるとすれば、今日の情勢から、教育というものについて非常な高い價値判斷が行なわれなければならず、文化國家を口にするけれども、實際に文化國家に味方をするかしないかは、實は教育刷新、或いは六・三制にいかなる態度を執るかということが、私はそれが一番見易い基準でありまして、文化國家を口に唱えながら、教育、特にその具體的な刷新の途でありまする六・三制度に面を背ける者は、眞實の文化國家の味方ではないと考えておるのであります。そういう點で正しい方向をお示し頂いたことを心から感謝しておる次第であります。
 尚地方債の問題でありますが、國庫負擔は十四億弱のところ七億となりましたが、地方債の問題については、大體今のところ元の通りの状態の枠が認められるものというふうに考えて、その方向に努力をいたしておるのであります。まだ確實なことは申上げられませんけれども、大體そういう方向に進み得ると存じております。
#46
○委員長(田中耕太郎君) 次にこの前十月二十日のことでございました。文教委員會合同審査會が開かれましたことにつきまして、これは常任委員會合同審査會規程第二十條によつて、御報告しなければならないことになつておるので、簡單に御報告申上げます。これは十月八日の委員會で以て、御出席になりました方は御承知でございますが、合同審査會を開いて六・三制の追加豫算の成行について、總理大臣、文部大臣その他の關係大臣の説明を聽取、又鞭撻するということになりましたために開かれましたので、政府側としては片山首相、森戸文相、和田安定本部長官、その他關係官が出席されまして、約二時間以上に亙りまして、熱心なる質疑應答が展開されました。當委員會といたしましては、發言されました順序から申しますると、佐藤、矢野、森下、河野、岩間、松野、堀越の諸君が御質問になりました。その内容は大體文部大臣が先に答えられましたが、今日のお話と符合するのでございます。ただその當時以後の經過につきまして今日附加えられたのであります。要しますのに、文部大臣の説明は、新制中學が最もこの六・三制の急所の存するところであり、困難ではあるが、できるだけ努力しなければならない。年次的に通して來年に對する追加豫算の形で以て現に努力しておるということでございました。それから半分弱の國庫支辨の前提の下に府縣の割當を内示された。これも今日お話があつたところであります。又關東水害の點も、六・三制の豫算の實現に對する大きな障害をなしておるということでございます。併しその時に文教責任者たる自分としては、三十一億は最小限度と思うから、これを守つて六・三制を不十分ながら實施に努力しなければならない。これが中絶することになれば國策が動揺し、私共としては當初の額をどうしても守らなければならないという答辯がございました。尚地方として全額國庫負擔の要求も多々あるから、内閣としても努力しなければならんということでございました。又總理大臣は文部大臣が答へられた通りであるという前提の下ではありましたが、併し總理大臣の方は、産業の發展とか、健全財政に力を注ぐ建前でなければインフレの防止はできないというようなことが附加えられておりました。尚六・三制はこれは是非實現させたとして、あらゆる關係を調節するために目下努力中であるということでございました。その以外にいろいろな問題につきまして質疑應答が繰り返えされたのでございます。その細かいことは省きます。
 最後に合同審査會のこれは決議ではございませんが、審査會は決議をするということはできないということになつております。一委員の提案によりまして、兩院の文教委員長及び理事の諸君がこの問題につきまして、更に一層諸關係方面に對しての了解を求めるというようなことを要望されました。ちよつと速記を止めて下さい……。
#47
○委員長(田中耕太郎君) 速記始めて……。合同審査委員會の經過及び結果と申しましても、これは別に決議等はございません。又なし得ないわけでございます。只今御報告いたした通りでございます。今日はこの程度で散會いたしたいと思います。
   午後四時十九分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           松野 喜内君
           柏木 庫治君
   委員
           小泉 秀吉君
           森下 政一君
           仲子  隆君
           安部  定君
           岩本 月洲君
           梅原 眞隆君
           河野 正夫君
           鈴木 憲一君
           中川 以良君
           堀越 儀郎君
           矢野 酉雄君
           羽仁 五郎君
  委員外議員
           内村 清次君
           三好  始君
  國務大臣
   文 部 大 臣 森戸 辰男君
ソース: 国立国会図書館
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