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1949/05/11 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 外務委員会 第9号
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1949/05/11 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 外務委員会 第9号

#1
第005回国会 外務委員会 第9号
昭和二十四年五月十一日(水曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 岡崎 勝男君
   理事 仲内 憲治君 理事 若松 虎雄君
   理事 並木 芳雄君 理事 野坂 參三君
   理事 山本 利壽君
      菊池 義郎君    佐々木盛雄君
      塩田賀四郎君    守島 伍郎君
      戸叶 里子君    松本 瀧藏君
      玉井 祐吉君
 出席政府委員
        経済調査官
        (経済調査廳物
        資調査部長)  司波  実君
        総理廳事務官
        (経済調査廳企
        画課長)    山口鉄四郎君
        外務事務官
        (管理局長)  倭島 英二君
        商工事務官
        (貿易廳輸出局
        長心得)    小滝  彬君
 委員外の出席者
        議     員 足立 篤郎君
        議     員 淺利 三朗君
        経済調査官   関口八太郎君
        專  門  員 佐藤 敏人君
        專  門  員 村瀬 忠夫君
五月十一日
 委員大上司君辭任につき、その補欠として周東
 英雄君が議長の指名で委員に選任された。
四月二十七日
 在外公館借入金等返還に関する請願(足立篤郎
 君紹介)(第五三六号)
同月二十八日
 北鮮残留者引揚促進の請願(淺利三朗君紹介)
 (第六二〇号)
五月六日
 在外同胞引揚促進の請願(松本善壽君紹介)(
 第一〇〇一号)
同月七日
 在外同胞引揚促進等に関する請願(小平久雄君
 紹介)(第一四四五号)
の審査を本委員会に付託された。
同月九日
 在外同胞帰還促進の陳情書(金沢市議会議長鳥
 畠徳次郎)(第三四二号)
 海外残留同胞引揚促進に関する陳情書(長野市
 長野縣廳内長野縣町村議長会長宇都宮支)(第
 三六二号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 閉会中の審査に関する件
 外務省設置法案、賠償廳臨時設置法の一部を改
 正する法律案に関する件
  請 願
 一 在外公館借入金等返還に関する請願(足立
   篤郎君紹介)(第五三六号)
 二 北鮮残留者引揚促進の請願(淺利三朗君紹
   介)(第六二〇号)
 三 在外同胞引揚促進の請願(松本善壽君紹
   介)(第一〇〇一号)
 四 在外同胞引揚促進等に関する請願(小平久
   雄君紹介)(第一四四五号)
  陳情書
 一 在外同胞帰還促進の陳情書(金沢市議会議
   長鳥畠徳次郎)(第三四二号)
 二 海外残留同胞引揚促進に関する陳情書(長
   野市長野縣廳内長野縣町村議長会長宇都宮
   支)(第三六二号)
 外國貿易の求償等に関する件
    ―――――――――――――
#2
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
 まず閉会中の審査に関する件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、今会期の初めに國政に関する調査の承認を得まして、國際経済に関する総合的調査並びに講和会議に関連する諸問題の二項目につきまして、種々調査研究もいたして参りましたが、会期終了も目前に迫りましたので、閉会中もなお継続して審査いたしたいと存じます。ことに賠償問題につきましては、当委員会でも特に関心を寄せており、講和会議に関連する諸問題の調査の一環として、ぜひとも賠償指定工場を視察いたしまして、われわれの認識を一層深めたいと存じます。つきましてはかねがね御相談いたしておきました通り、閉会中を利用いたしまして六月上旬に視察を行いたいと思いますが、委員派遣の承認を申請する前に、國会法第四十七條第二項により國際経済に関する総合的調査、講和会議に関連する諸問題、この二件につきまして閉会中も継続して審査することを院議に諮らねばなりません。從つて此の旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○岡崎委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
 なお申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○岡崎委員長 それではさようとりはからいます。
    ―――――――――――――
#5
○岡崎委員長 次に委員派遣の承認申請の件につきまして、お諮りいたします。継続審査が許可になりましたならば、さつそく委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○岡崎委員長 それではさよう決しました。
 なお派遣の期間は六月上旬の適当な日を選び、何日間とするかは後日決定することにいたし、人選、派遣地及び申請の手続等につきましては、これまた委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○岡崎委員長 それではさよう決しました。
    ―――――――――――――
#8
○岡崎委員長 次にただいま内閣委員会に付託されております外務省設置法案並びに賠償廳臨時設置法の一部を改正する法律案につきまして、去る九日の理事会としての意見について御報告いたします。九日の理事会には社会党の松岡理事と共産党の野坂理事が欠席いたしました以外は全員出席いたしました。なお松岡理事からは、両案については別に意見はないとの御傳言があり、共産党の野坂理事はしばらくお待ちしておりましたが、御出席がありませんでしたので、お二人の欠席のまま理事会を開いた次第でございます。この理事会において、本委員会としては、ただいまお手元に配付いたしました二つの意見、すなわち外務省設置法案につきましては改正すること、第二は賠償廳臨時設置法の一部を改正する法律案、第七條の趣旨は行政官廳の整理統合の意味で規定されたものであるから、その点を体し、特に原案の方針を徹底せしむること。この点につき決定いたしまして、これを外務委員会の意見とすることに意見の一致を見、後日正式に本委員会を開いた上、これを御承認願うということになつたのでございます。そこでただちに同日開会中の内閣委員会打合会に私が出席いたしまして、外務委員会ではこのような意見がまとまつた旨申し入れておいた次第であります。何とぞ御承認願ひたいと存じます。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○岡崎委員長 しからば御承認を得たものといたします。なお本問題につきましては、野坂理事より後ほど相当大規模の修正意見が提出せられたのでありますが、遺憾ながらすでに理事会を開会した後であり、かつ理事会の意見を内閣委員会に申し入れた後でありましたために、これは内閣には通じてありません。ことに野坂理事の意見は非常に大規模な、ほとんど根本的の修正案でありまして、とうてい理事会だけで決定するわけにも参りませんので、これはそのままにいたしておきましたから、御了承を願います。以上をもちまして御報告を終ります。
    ―――――――――――――
#10
○岡崎委員長 次に請願の審査に入ります。
#11
○並木委員 議事進行に関して発言をお許し願います。実はとつさのことで、私どういうふうに発言したらいいかわからないのですが、けさの朝日新聞、ごらんになつた方があると思いますが、これにロイター特約の記事が出ておるのです。見出しは「講和後も駐兵を希望」こういうような見出しで、吉田首相が外人記者に言明したというような記事が載つております。私まだ内容の檢討を詳しくはしておりませんけれども、この見出しにはまたドツジ公使に乾杯するときに、國民の名においてでなく、内閣の名において乾杯した、こういうことが載つておる。あるいは講和後の駐兵の方針、そういうことに関しまして、これはいいとか惡いという問題でない、私はまだ檢討してないのですから。ただ吉田外務大臣が常々、外交には自立性がない、國際情勢に呼應して講和條約をやるのだというようなことを言つておりながら、外人記者に個人の資格かどうかしらぬが、こういうことを漏らされて、知らぬは亭主ばかりなり、われわればかりが何も知らないですつぽかしを食う、これはほんとうに私は、日本の民主化を妨げると思う。きようは外務大臣は労働委員会に出ております。参議院の本会議に出ると言つておりますから、十分でも二十分でもいいですからこちらにおいでいただいて、外務委員会が再開中にどういう趣旨でこういうインター・ビユーをされたのか、その眞相について御説明願いたいと思いますから、さようおとりはからいを願います。
#12
○岡崎委員長 ただいまの並木君の発言につきましては、新聞記事でよく内容はわかりませんが、一應外務大臣の方に照会いたすことにいたしまして、後刻何分の返事を申し上げます。それではただちに請願の審査に入ります。
 日程第一、在外公館借入金等返還に関する請願、文書表第五三六号、まず紹介議員の説明を聽取いたします。足立篤郎君。
#13
○足立篤郎君 私は本件の紹介者である足立であります。実は私自身が終戰後約一年間満州で抑留生活をいたして参りましたので、当時の実情を概略申し上げまして、本請願の趣旨弁明にかえたいと思います。
 この借入金は何に使われたかということをまず申し上げたいと思いますが、すでに居留民がお互いの身を守り、一日も早く引揚げますために居留民会を編成いたしまして、その費用の出どころがありませんので、少しでも余裕のある人は醵金をしていただくという方法をとつたのでありますが、なかなか生活に困窮しております際でありますので、醵金も思うように参らなかつたわけでありまして、加えて各地から避難して参ります避難民がまことに正視にたえないような窮状にありましたので、この人々を救済し、あわせて占領軍当局に対する接待あるいは工作等の費用中には、婦女子を防護するため、暴力から守るための特殊な費用等も含まれておるわけでありまして、まつたく緊急やむを得ざるための費用が相当かさんでおるわけでありますので、やむを得ず代表者相はかりまして、各地でこの処置がとられたわけでありまして、將來日本に引揚げたあかつきには、政府に強く要望をして、当然政府で支拂つてもらうべきものであると考えられると思うので、必ず返還の処置をとるから、三食食べる諸君は二食にしても、この際居留民会のために金を貸してもらいたいという運動を各地で起しております。地区によりまして相当実情は違うと思いまするが、私ども満州におりました者にとりましては、まつたく身を切られるような金をお互いのために出し合つたのでありまして、金額は千差万別であります。私ども引揚げて参りまして、この金が当然政府の手によつて補償されるものと期待しており、かつ代表者の方々がそれぞれ盡力して今日に参つたのであります。御承知のごとく第二回國会におきまして、芦田内閣がこの支拂いの義務があることを確認いたしたのでありまするが、今日なお具体的な対策がとられておらないわけでありまして、引揚者が一般的に見ましても着の身着のままで帰り、この金の返還されることを待望いたしておることは想像いただけると思うのであります。なかんずく主人をソ連に残し、あるいはまた抑留中ないしは引揚げ途中において一家の働き手を失つた、あるいは外地におきましては相当な生活をしておつたけれども、引揚げて参りますれば身寄りもないというような氣の毒な人がたくさんおるわけでありまして、わずかではありますが、この借入金の返還につきましては特別な御考慮をいただき、すみやかに御処置を願いたいと痛切にお願いする次第であります。この借入金の処置につきましては、具体的な問題に入りますと、いろいろ困難な問題もあるのでありまして、各地からの引揚者がそうでありまするが、当時の居留民会の責任者あたりは、何とかしてこの証書、書類を持つて帰りたいと努力したのでありまするが、全部が全部今日内地に持つて帰つておるとは言えないのでありまして、この調査ならびに当時の外地における貨幣價値というものの判定等、いろいろむずかしい問題が伏在いたしておりますので、これにつきましては相当期間調査に日時を要するのではないかと思うのでありまして、これにつきましても相当な準備金が必要と考えられるのであります。今日引揚援護会が――いろいろな援護会がございまするが、自主的にこの問題に手をつけて、相当な経費を使つておるのでありまするが、まことに経済的な基礎が弱体な援護会でありますので、思うにまかせないのでありまして、政府の手によつて一日も早く救済処置をとられるよう切にお願い申し上げる次第であります。以上簡單でございますが、趣旨の説明にかえます、
#14
○岡崎委員長 それでは右につきまして政府側の意見を聽取いたします。
#15
○倭島政府委員 在外公館借入金及び普通難民救済金と称せられておりますところの金の性質については、今御説明のあつたようなことで、皆樣御存じの通りでございますが、この問題も政府といたしましては、何とか早く始末をつけたいということで從來努力をして参りましたが、財政上の関係その他でなかなか具体的に整理の段階に來なかつたわけであります。ただ最近この整理の問題につきまして、いつまでもほつておくと関係書類その他資料を集めることがなかなか困難になるという点をいろいろ関係方面とも相談をいたしまして、ごく最近になりまして、本件借入金の確認をする問題についてようやく話がまとまりました。近くその確認をするための審査会というようなものを設けるために、法案を國会の方に提出する運びになると思います。一應現状を御説明申し上げます。
#16
○足立篤郎君 ただいま確認するための法案を近く提出するというお話で、まことに喜びにたえないのでありますが、どのような準備をなすつておられるか、いつごろになる予定であるか、なおその取上げるべき範囲等いろいろむずかしい問題がありますのですが、大体のお考えがありますれば概略承りたいと思います。
#17
○倭島政府委員 実はただいまこの國会の方に提出いたします法律の案について、閣議でようやく今きまつたところでございまして、この法案についてきよう早速関係方面へ正式に協議をいたしまして、できれば今会期中にこれを通していただきたい、こう考えております。法案の内容につきましては司令部の方と内相談をしておりまして、大体話がついておりますが、正式に國会に提出する前にもう一回協議をすることになつておりますので、この内容は大体かわらないと思いますけれども、まだ確定というまでには行かないわけでございます。政府が現在考えておりますところの要点を申し上げますと、先ほど御説明がありましたように、この借入金関係の行われた当時の状況から申しまして、いろいろな状況のもとにいろいろな証憑書類等があり、またそれが持つて帰れるか、帰れないかというようないろいろな場合があると思います。從つてこれが正式に返還されるということに至るまでに、まず第一にどういう種類の金が支拂われるべきものなのかというところの審査をしまして、政府としましては、こういう種類の金についてははつきり政府が支拂うものであるという一種の決定をしなければならぬ。そういうまだ不確定のものについてのいろいろな審査をしなければならない状況にありますので、外務省にその審査会というものを設けまして、その審査会の中には関係省の係官と、それから大体現地において本借入金に関係の深かつた方々に御協力を願つて、その委員になつてもらいたいと考えておりますが、そういう種類の委員会を外務省に設けまして、その委員会で借入金の確認の請求に対して審査をいたしまして、その委員会の決定なり報告に基きまして、それをしんしやくして外務大臣がその確認をするという仕組みになるだろうと思います。なおこの確認の請求をするのには、ある一定の機関を設けられることになるだろうと思うのであります。この法律がもしも通りましたあかつき、実施されるときには、その実施の日から三箇月以内にその確認の請求を出してもらう。その期間内に請求がない場合は、この権利を放棄したものと認められるような建前になると思います。なお現在政府が考えております法律は先ほど説明しましたように、現地通貨表示のままで確認をすることになると思います。そうして御存じの通りの目下の財政状況でございますので、実際その確認させられた借入金がいつどういう方法で拂われるということのためには、さらに法律で現地通貨を日本金にどういう割合で換算するかというような問題、その他決定せられなければならない問題がございますので、さらに法律によつてそういう点をきめてもらい、予算の都合のつく範囲内においてこれを支拂うということになるだろうと思います。なお今年度においては、この確認書を発給するという関係の事務費も現在の財政状況では困難な状況にありますので、この法律が今会期に通過いたしましても、予算上の都合がつくときまでは、実際に確認書の発給ということは困難であるという関係から、この法律の施行期日は、昭和二十五年五月一日までの間において政令で定める、來年度の予算が組まれましたあと一箇月くらいの間までには、必ずこの法律は実施されるという建前になるものだろうと思います。一應御説明申し上げます。
#18
○岡崎委員長 ほかに御質疑はありませんか――御質疑がなければこれより採決を行います。本請願は採択の上内閣に送付いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○岡崎委員長 それではさよう決しました。
    ―――――――――――――
#20
○岡崎委員長 次に日程第二、北鮮残留者引揚促進の請願、文書表第六三〇号を審査いたします。紹介議員の説明を聽取いたします。
#21
○淺利三朗君 本請願は朝鮮関係の社團法人同和協会の請願でありまして、私も朝鮮には特に関係が深いのであります。北鮮残留者の引揚げ促進に関する請願であります。終戰以來朝鮮からの引揚げに関しましては、当局並びに司令部からも多大の御配慮をいただきました。昨年七月大部分の引揚げが完了いたしたのであります。しかしながらなお北鮮に残留する者は、その数もきわめて少いのであります。残留の理由がいずれも他とは多少異なつております。その帰還も一層困難視されるような現状であります。その上に、一般引揚げ事務処理の上からは、朝鮮はすでに引揚げが完了したもの、こういうふうに取扱われております。帰還船の配船等の点もきわめて困難であり、ややもするとこれは度外視される傾きがあるのでありまして、家族はもちろん、関係者の深く憂慮にたえないところであります。
 残留者の種類は大体三種類あります。第一は司法官、警察官を初めといたしまして、元朝鮮総督府の官吏及び旧日本人有力者でありまして惡質前職者という罪名で刑事犯として刑務所、すなわち人民教化所というのでありますが、そこに拘禁されておる者が約十六名、これらはいずれも在鮮当時は職務を忠実に執行しておつたにすぎない人々であります。
 第二は技術者でありまして、終戰後、現地新政権のために各般の施設に協力いたしておつたのであります。それが昨年の三月、四月ごろまでは形式的の契約で残留してその施策に参加したのであります。それが昨年の六月末、帰還の途中に、判然とした理由もなしに引きとめられまして、あるいは家族と引き離されて、本人のみ帰還を阻止されて、以來消息不明の者が約十六名、これはまつたく恩をあだで返すというような、せつかく向うの施策に協力したということで残つた者がこういう結果になつておるのであります。
 第三は、北鮮内か、あるいは延吉方面に抑留されて苦役を課せられておる者であります。これは主として警察官等でありますが、こういう苦役を課せられておるものと推察される者が数十名あるのであります。これらの家族は、残留の理由が明瞭でなく、しかも消息も一層不明であり、平常の生活の程度も懸念されるのでありまして、また一方には未帰還があまりに長期にわたるので、帰還家族の生活の不安焦燥はまことに目もあてられないほどで、極度に心痛いたしておるような次第であります。これが帰還につきましては、一昨年來しばしば日本政府、連合軍、ソ連代表部の当局はもちろん、衆参両院にも陳情、請願を重ねて來たのでありますが、ここに一般の引揚げ再開の機会を控えまして、関係者の熱望に基き実情を申し上げまして、あらためてこの問題を重要に取上げていただきたい、こういう請願であります。少数でありますけれども、ややもすれば閑却されんとするこの北鮮在留者の実情を洞察せられまして、ぜひともこれらの帰還促進について格別の御配慮を願いたく、ここに請願いたした次第であります。よろしく御採択をたまわらんことをお願いいたします。
#22
○岡崎委員長 それでは右の請願につきまして、政府側の意見を聽取いたします。
#23
○倭島政府委員 朝鮮からの引揚げの問題でございますが、御存じの通り南鮮の方は問題なく帰れますが、北鮮の方の問題が今御説明のありましたような状況にございます。御存じの通り、北鮮の関係は、從來は連合國とソ連との協定によりまして引揚げが行われ、昭和二十一年の十二月から始まりまして昭和二十二年の一月、二月、三月、一番たくさん引揚げて來ましたのは昭和二十二年の一月、それから三月、大体昭和二十二年の三月で一應大きな引揚げが終つたのでありますが、その後昭和二十二年の十一月に一回と、それから昨年の七月に一回引揚げが行われたわけであります。昨年の七月の引揚げでは七月の六日に宗谷丸が舞鶴に千二百八十三名の同胞を連れ、帰つて來たわけでございますが、それが現在までのところ北鮮からの最後の引揚げでございます。その宗谷丸で帰つて來た人の情報によりますと、今向うへ残留しておる人たちについてお話がございましたが、北鮮に残つておる者が現在五十余名ということにわれわれ承知しております。技術者の関係が三名、それから留置されておる人たちが二十九名、それから朝鮮人、支那人あるいはその他の國の者と同居しておる婦人が二十三名という情報になつております。実はこの北鮮からの引揚げにつきましても、政府といたしましては、昨年の七月以來何とか船を向うへ出してもらいたいという交渉をしておるのでありますが、一應北鮮からソ連が引揚げた建前になつておりますので、ソ連の方は交渉の直接の対象にならない趣でありまして、司令部の方に向うへ船をやつてもらいたい、船をやつていただけば、何とか現地におる同胞が帰つて來られると思うからやつてもらいたいということをたびたび頼んでおるのでありますが、北鮮側との間でうまく船をやる問題について話がいまだにつかぬ状況でありまして、結局今日まで引揚げは実現しない状況にあります。しかし今後とも何らかの方法で北鮮とわが國との間に連絡がつきますれば、その機会に引揚げを実施するようにしたいと思つております。何らかの方法と申しますと、一つの望みは、北鮮とわが國との間で貿易関係が始まりますれば、そこで船が往復するようになりますから、主義、主張の建前の問題は別といたしまして、船さえ何らかのかつこうで通えば、現地におる同胞の方々が帰つて來れるようになるのではないか、そういう希望を持つております。
#24
○淺利三朗君 いろいろ御配慮の点は感謝いたしますが、そういたしますと、ただいまやはりこれは司令部を通してソ連との交渉になつておるという形になつておりましようか。あるいは朝鮮の新政権と申しますか、あそこと何か渡りがつけられるかどうか。貿易再開ということもいつのことかわかりませんが、再開にならなければ望みがないということになると、これはまことに前途遼遠なることであります。何かもう少し強力にこれを推進して行く方法はないものでありましようか。その点についてお伺いします。
#25
○倭島政府委員 現在はやはり日本政府といたしましては、この地区の引揚げにつきましても、司令部へお願いするという方法以外にないわけであります。從つて司令部の方にいろいろお願いするときに、司令部の説明では、司令部と現在の北鮮の政権との間に直接話がつかないために、実際船を送るという問題が進まないだろうと承知しております。
#26
○岡崎委員長 ほかに質疑はありませんか。
#27
○野坂委員 ちよつと関連してお聞きしたいのですが、南鮮の政府がアメリカ側から認められておるような関係になつておるが、正式ではないでしようけれども、そういうふうな関係上、南鮮政府の代表などを通じて、北鮮の政府側と交渉するというような手は打てないものでしようか。もう一つ聞きたいのは、すべて今外交関係は正式にはありませんから、正式な手はもちろんとれないでしようけれども、実際上いろいろなやり方がありはしないかと思いますが、この点について政府側ではどの程度努力されているか。その可能性なんかについて、もし御意見があつたら言つていただきたいと思います。
#28
○倭島政府委員 先ほどもちよつと御説明したのでありますが、日本政府といたしましては、この地区の引揚げにつきましても、司令部の方へお願いをする。そしてその司令部の関係筋からはいろいろ考えていただいていることと思いますが、結論といたしましては、船を送るまでに至らないという説明を得ておるだけであります。なお現在の状況といたしましては、本件引揚げにつきまして司令部へお願いをするという以外に、具体的に手を進めにくい段階にありまして、その方面は具体的に政府としては進めておりません。
#29
○岡崎委員長 ほかに質疑がなければ、これより採決を行います。本請願は採決の上内閣に送付いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○岡崎委員長 それではさよう採決いたします。
    ―――――――――――――
#31
○岡崎委員長 次に日程第三及び第四の請願は、いずれも去る四月二十七日採択の上内閣に送付することに決しましたソ連領よりの復員促進に関する請願、第二〇五号とほぼ同一内容の請願でありますので、両請願はやはり採択の上内閣に送付いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○岡崎委員長 それではそのようにとりはからいます。
 なおただいま可決いたしましたそれぞれの請願報告書は委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
#33
○岡崎委員長 次は陳情書であります。これも海外に残留しております同胞の引揚げ促進に関する陳情書であり、ただいま採択いたしました請願と同一内容を有するものでありますので、これら二つの陳情書の趣旨を十分了承することに決したいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○岡崎委員長 御異議なしと認めて、さようとりはからいます。
    ―――――――――――――
#35
○岡崎委員長 ちよつとここでお断りいたしますが、ただいま法務委員会と地方行政委員会ではかなり急ぎの法案を持つております。ところが本日速記がつかないので、非常に困難しておる模樣であります。そこででき得る限り早くこの委員会を終つて、速記をまわしてもらいたいそうでありますので、なるべく簡單に御質疑等をお願いしたいと思います。
 さらに、先ほど並木委員からの外務大臣に対する御質問につきましては、ただいま外務大臣の方に連絡いたしましたところ、時間の関係上今ここへ参ることは困難であるという返答であります。ただし御質問の内容につきましては、新聞記事は自分の言つたことと大分趣を異にしておつて、新聞記事について一々御説明することは困難であるという傳言が参りました。さよう御了承願います。
#36
○並木委員 新聞記事と違いますと、これはやはり國民はこの新聞を読むのですから、非常にミスリードされると思うのです。ですから、違う点はどういうところが違うということを、外務大臣として率直に発表願えるだろうと思うのです。ですから、これは別に討論するというような意味でなしに、こういうことを発表された以上は、私はこういうふうに言つたのだということを、國民の前にわれわれを通じて示されることがいいと思います。ですから、もし午前中おいでになれなければ、この委員会を休憩にして、午後から続開という形をとつていただいて、五分でも十分でもいいから、どういう意図で発表されたかということを説明していただきたいということをお願いいたします。
#37
○岡崎委員長 いずれ外務大臣と相談いたしまして……。
#38
○並木委員 ほかの委員会に速記がとられることは、われわれ淋しい感じがしますので、そういう点からもぜひおとりはからい願いたいと思います。
#39
○岡崎委員長 委員室も非常に一ぱいですから、なかなかとれないと思いますが、いずれその点はよく相談しいたします。
 次に並木委員より外資に関連して、輸入問題その他の経済調査等につきまして発言を求められておりますので、これを許可いたします。並木委員。
#40
○並木委員 それでは簡單に質問の方をいたしますから、答弁の方はなるべく丁寧にお願いいたします。外資の導入がだんだんとその緒につきかかつておつて、われわれは外國の信用をますます高めなければならないのですが、その中で重要部分を占める綿花とか、羊毛あるいは食糧、こういつたものについて最近中央経済調査廳その他の関係方面で相当手廣い調査をされておるようであります。中には今までにこにこしておるのに、急にこわい顔でにらみつけられた、こういうふうに急に方針がかわるために、仕事が非常にやりにくいというような苦情もずいぶん出ておりますが、とにかくわれわれが大切な物資を輸入して、これがどういうふうに國内で回轉されておるか、そういうことはわれわれ外資の導入を取扱う外務委員の一人としても、どうしても知つておかなければなりませんので、一体今までの調査がどういうふうになされて、そして綿花とか、食糧とか、羊毛とかいうものが実際にルールに乘つて消化されておるかどうか、何パーセントくらいが横流れになつておるか、ことに最近漁網の問題が起つておりますので、その漁網の問題はどういうところから足が出てつかまつたのか、どこに欠陷があるのかということもぜひ知りたい。漁網の問題の中で、特に商工省が漁業方面の需要をよく調べないで、実際は需要がないにもかかわらず、いつも通りの需要があるようにあやまつて必要よりも多量の割当をしたために、それがやみ流しの根源になつたのだというようなこともいわれておりますので、そういう点の眞相をお伺いしたいと思います。
 それからもう一つ、食糧の輸入に関連してわれわれがどうしても見のがすことのできないのはやはり今度の料飲店再開という問題に関連して、しからば今後の料飲店再開に対する当局の取締り方針は今までとどういうふうにかわつて來るか、中には急に取締りが嚴重になつて、あの副食券など、かつての取引高税の印紙のような、非常に煩瑣なああいうものをやる以上は、われわれの商賣は上つたのであろうというようなことをいう人もあります。中にはたかをくくつて、どうせ取締りはできないだろう、こう言う人あります。中には今まで全然許可されておらなかつたものでもあのくらいだから、今度料飲店再開となつたら、さらに寛大な処置で大つぴらにやみができるという安易な考えを抱いておる人もある。料飲店を再開されたことは、われわれ消費者の方にも非常に関心が深い問題でありますから、そういうような点にもふれて、取締り方針が今までとどういう点が違うかということも、あわせて御答弁をお願いするのであります。
#41
○司波政府委員 私から綿、羊毛関係の調査に関する部分を一應お答えいたします。実はあらかじめお断りしておきたいのですがこの調査は今日なお続行中でございまして、まだ最終的な結論に達しておりません。並木委員のお尋ねの御趣旨に全面的に沿うような御答弁はできかねると存じますが、今日までわかつておる範囲内でお答えいたしたいと思います。
 御承知のように本年の二月一日から、從來のいわゆる國有纖維の制度がかわりまして、國有纖維をいろいろなメーカーに委託加工するという形式から、民間業者に拂い下げしてやるというふうに切りかわりましたことに関連いたしまして、総司令部の非公式覚書に基いて、一月三十一日現在における綿花、羊毛等の一齊在庫調査を実施したのであります。この纖維につきましては、從來いわゆる原單位に関連して剩余綿、あるいは出目、出ヤールと称するものが相当あつた。それがやみの根源をなしておるというような風評も相当ありますし、ちようどこの制度の切りかえの機会に、計画的にこの関係を調査するということが最も緊急、かつ必要であるというふうにわれわれ調査廳でも考えまして、三月一日から約二箇月間の予定で調査を開始したのであります。その調査のやり方としては、一つはメーカーから販賣業者を通じてどういうふうにやみに流れておるかという動的なやみ取引の面の実態を衝く。もう一つは、一月三十一日の報告において、おそらく大きなメーカーなり販賣業者というものは、從來出ておる出目、出ヤールの類を將來何らかの形でやみ流ししようという意図で、虚偽の報告をしておるだろう。そういう虚偽の申告をしておる、いわゆる報告漏れの物資は、不正保有物資として國に買上げ得る建前に、あるいは國有綿の場合は無償で業者から引取り得る建前になつておりますので、そういう報告漏れの物資を発見して、それを活用面に載つける。そういう二つの面から調査して來ておるのであります。そういう面でまず在庫調査、その面では、主として当初のうちは大きな問屋その他を当りましたが、中間から十大紡績会社に重点を置いて、各工場を、まず調査し、さらに現在、多分きようごろ開始の予定でありますが、大体大阪に集中しておる紡績十社の本社関係の調査を始めております。從來紡績十社関係で、その出目、出ヤールあるいは虚偽申告の点がどうなつておるかということについては、実は大部分の会社は、その出目、出ヤールの処置については全部工場にまかせないで、本社が相当強力に統轄してやつておるという関係で、從來の工場の調査においては、公價にして約二億円程度の報告漏れの疑いがある原綿なり原糸を発見しておりますが、本社の調べを待たなければ最後的な結論は出せない段階であります。もう一つ、この関係で從來の調査で判明いたしましたことは、御承知のように纖維の製造については、いわゆる原單位というものがございまして、たとえば原綿から糸をつくる場合に、いろいろな落綿が出たり、あるいは中途で散出するというような関係で全部のパーセンテージを申し上げることは避けたいと思いますが、たとえば原綿から原糸の段階で申しますと、原綿一俵四百六十ポンドでございますが、それから原糸を四百ポンドとる。大体八七%弱の原單位で、それ以上のものはいわゆる余剩面として残つておるわけであります。ところがいろいろな会社なり工場なりの能率その他によつて、その点で相当剩余綿が当然できて來るわけであります。いろいろな面で、たとえば落綿なりあるいは散出率というような問題に関係して、ことさらにこれにかこつけて、いわゆる表向きの出目でなしに、会社で隠すような出目も出しておる。そういう形が予想されるのであります。いろいろな会社で違いますが、八七%の原單位に対しまして、あるいは八八%、八九%、あるいは九一%くらいの能率を上げておる会社もあるのでありまして、その差に当るところの剩余綿につきましては、これはGHQの経済科学局にも毎月報告しておりますし、また商工省においてもその数字は表向きのものは把握しておるのであります。ところがこれの処分については、とかく司令部と処分方針についての見解が合わないということもありまして、処分が決定しておらないのであります。復元以來昭和二十二年九月に出目の処分について一部各会社から出荷させまして処分させました後においては、ずつと全部大きな紡織会社においては、その余剩綿をそのまま保有しておる現状であります。それ以外にただいま申し上げましたようないろいろなからくりで、表向きの出目以上のものをさらに横流ししておるというような形が推定されるのであります。それに相應するような具体的な事実も若干出ておるのでありますが、全面的に申しまして、どの程度のパーセントのものがそういう方面に流れておるかということは、ただいまの段階では、結論を申し上げられないのであります。
 なお動的なやみ取引の面を重点とした調査におきましては、大体下の販賣業者の段階からたぐつて、上の最後はメーカーに行くという行き方をしておりますが、これらに関連して、あるいは販賣業者、または地方の織屋、その他あらゆる段階において、いろいろな形のやみ取引の事実を発見しておりまするが、これらにつきましてもなお総合的に申し上げる段階に來ておりません。ただいま例にお示しになりました、最近の新聞に出ました東京の中野にある津田纖維の漁網の関係につきましては、これもまだその全貌を発見する程度に至つておりませんが、今までわかつておるところでは、銀行関係の調べから直接には違反の事実の端緒をつかんだのでございますが、この津田纖維というのは、年間八十万ポンドの原糸の割当を受けて、漁網その他をつくつておるのでありまするが、そのうち相当部分を漁網以外のあるいはメリヤスだとか、その他の方面の業者にやみ流しをしているという事実をつかんでおるのであります。漁網につきましては、まだ具体的な結論は出ませんが、いろんな風評によりますと、生鮮水産物の非常措置に伴いまして、リンクその他によりまして、漁業者に対する割当のわくが相当過当に出るんじやないか。從いまして、漁網関係の切符が需要者である水産業者等でもてあまされて、相当やみに流れておる。切符自身がやみに流れる、あるいはそれによつて出たところの原糸がやみに流れておるというふうな風評がいろんな面からわれわれの耳に入つて來たのであります。そういう意味で、特に漁網関係に重大点を置いているというわけではなくて、先ほど申しました纖維の計画調査、それの一環として取上げたものが漁網関係でございまして、津田纖維一つのケースを通じて、ただいま申し上げましたようないわゆる水産資材としての漁網のわくが大き過ぎるという結論をただちに出すのはまだ早いのじやないかというふうに感じられまするが、そういうケースが現われる。またほかにも二、三まだ出ておるように聞いておるのであります。要するにわれわれの目的といたしましては、ただそういうやみ取引を追究して、そうしてこれを檢察廳に送つて嚴罰に処するというのが目的でなくて、調査廳の性格が示すがごとく、綿、羊毛、そういう繊維の生産段階から需要者に渡るまでが、はたしてノーマルに動いておるかどうか、その間にアブノーマルの事態があればその原因はどこにあるか、その原因がそれぞれの統制機関にありますならば、そういう面は改善する。また民間の業者が営利のためにもぐつてやつておるという点があれば、惡質の者に対しては大いに制裁を加えるというような、総合的な観点から現在そういう調査をやつておるのでありまして、残念ではございますが、今月末くらいにならなければ最終的な結論が出ないと思うのでありまして、この程度でひとつ御了承願いたいと思います。
#42
○並木委員 大体わかりました。調査の重点はやはり行政官廳に置かれるべきものであると思うのです。末端のたとえば機屋さんだとか、その他の少さい工場まで調査員というか、調査官が入り込んで行つて、そうして時間と日を空費させるということは、これは非常に國家的にも大きなロスであると思うのです。そういうような重要輸入物質というものは所管の官廳があるのですから、どういうようにこれを割当つて、どういうようにこれが回收されているかということが一目瞭然するのでなければならないはずです。そういう点が一体どうしてわからないのか、何かに弱点があるんじやないかと思うのです。それともう一つ、どのくらいやみに流れておるかということは、正確な数字は調査中だそうですが、大体どのくらいの見当であるかということをお知らせ願いたいと思います。
#43
○司波政府委員 このやみが生ずる原因はいろいろな面にあるのでございまして、たとえば商工行政あるいは農林行政の不手ぎわというようなことも一つの原因ではありまするけれども、他面において、民間業者の非協力という点もまた大いに原因をなしていることは爭えないのでありまして、調査廳といたしましては、特に官廳だけを調べるというのではなしに、一應すべての面から官廳を調べ、民間を調べて、またたとえば例をあげられました機屋さん等におきましても、もちろん非常に、いい業者もありまするけれども、中にはいろいろなからくりでもうけて、これをやみ流ししておるというような業者もわれわれの調査の結果によれば相当あるのでありまして、あらゆる面からその惡い原因を除いて、正常な流通秩序を確立するということを目標に動いておるのでございます。それからごく大ざつぱな数字という御要求でございまするが、その点もまだ全國のいろいろな報告をキヤツチしておりませんし、大見当なこともちよつと言えない段階にありますので、御了承を願いたいと思います。
 それから主食については食糧課長が参つておりますので、その方からお答え申し上げます。
#44
○関口説明員 最初に輸入食糧の関係についてお尋ねがございましたのでお答えいたします。実は経済調査廳といたしましても、昨年の十月、十一月の二箇月にわたりまして、輸入食糧の主として加工の面を調査いたしたことがございます。加工と申しますと結局製粉、精麥あるいは製パンという過程でございますが、その面を調査いたしましたところ、大体精麥、製粉につきましては政府の指定工場が二千六百五十二ございますが、私どもの方の調査では大体この半数の約千二百を調査いたしました。その結果改善を要すべき点を約千件発見いたしました。なおこの調査に基きまして、結局不正保有物資として政府または公團に供出せしめたものが四十三万三千五百三十八キロ、これを邦貨に直しますと約千五百四十七万円となつております。これは單に加工のみの調査でございますので、この結果ただちにどれほど一般にやみに流れておるかというパーセンテージはちよつと申し上げられないと存じますが、將來輸入食糧につきましては、やはり陸揚げから輸送、加工、配給というように総合的に調査をしてみたいと存じております。
 次にお尋ねの料飲の問題でございますが、飲食営業臨時規整法が今般國会を通過いたしましたのは、結局非統制食料品の生産増加の結果、いわゆる料飲再開法として成立したのだと存じます。しかしなお主要食糧は非常に不足をしておりますので、この面につきましてはやはり強力に消費を規正しなければならないと存じております。從いまして今後もこの統制食糧、ことに主要食糧につきましては、やはり依然として取締りを励行しなければならないと存じまして、調査廳といたしましても、目下関係各廳と御相談いたしまして、対策を考究中でありますが、結局從前とどう違うかというお尋ねに対しましては、取締りの重点は、結局無許可営業、主食及び料理を副食券なしで提供する面、それから飲食店において委託加工するというような面、また價格がきまりますと物價統制令違反というような面、こういうところに置いて参りたいと存じております。
#45
○並木委員 方針はわかりましたが、今度は現実の問題となつて、今この現実の問題に皆迷つているわけであります。現実の問題となつて來た場合に、今までとどういうふうに違つて來るのでしようか、その点をお伺いいたします。
#46
○関口説明員 現実の問題といたしますと、從前は非統制食糧を出すことも違反であつたのであります。それからビール、酒というようなものを出すことも違反であつたのでありますが、そういうものを出すことは、今度は違反にならないわけであります。そうして主食を出すことが禁止せられておるのであります。從いまして今度の規整法によりますと、問題は軽飲食店というのにあると思うのでありますが、その軽飲食店において、酒、ビール、非統制食料品を出すことは違反にならないのでありますが、そこに主食を出すということは違反になると思うのであります。
#47
○岡崎委員長 次に玉井委員より外國貿易のクレームについて発言を求められておりますので、これを許可いたします。
#48
○玉井委員 今回の予算案その他を通じまして、日本の自立経済が輸出貿易と非常に密接な関係があるということは、すでに新聞紙上その他において明かになつておりますが、最近において輸出入関係の問題に関していろいろ調査をいたしましたところ、御承知のように輸入もしくは輸出に関して、契約に基いた物品が無傷のまま、契約内容を持つたままの形において到着しなければならないのにもかかわらず、これに関していろいろな問題についての、求償、いわゆるクレームというものが非常にたくさん出ておるということはすでに御存じの通りであります。そこで現在の日本の貿易が御存じのようにGHQとの関係において行われておるのに対して、さらに現在の日本の業者諸君は非常に困つておる。実際どこに頼つたらいいかわからないという状態が少くないのであります。
 そこで昨日までに調査したところによりますと、輸出品に関するクレームとしては、第一に絹製品がドルに直しまして一万七千六百九十三ドル七十五セント、第二にアルミ板が四万五千七百五十ドル、第三にタイル板が二千二百四十九ドル八十三セントというものが向うの業者、いわゆるバイヤー側からの契約の破棄によつて問題が起つております。さらに第四には、貿易の案内書に関して二万八千五百十七ドル七十四セントというものが契約破棄の問題として出ております。さらにそのほかに輸出したものとして、人絹の糸が品質の不良によつてクレームがついておりまして、これが二千三百七十七ドル三十八セント、それから大口のミシンが十万ドル、綿製品として四千二百八十八ドル四十八セント、自動車のおもちやが三千八百八十八ドル、マツチ箱の材料の例の経木のようなものを輸出しましたところ、それの品質が不良であるというのでクレームがついて來まして、これが二千七百五十三ドル二十二セント、それから品物が不足した、いわゆるショーテージの関係としまして綿織物が三千三百八十八ドル、絹製品が五千百八十三ドル三十一セント、綿製品が三万二千百五十六ドル二十五セントであります。最近の返品として、特に輸出したまぐろの関係でありますが、輸出したまぐろが腐敗しておつたというので、向うから返送しておりまして、これに対するクレームが七千六百五十ドル、同じくまぐろが一万七千五百九十六ドル九十四セントというように、非常に多額のクレームがついて來ておるわけであります。そこで日本の業者の諸君は、この問題をどういうふうに解決したらいいかということについて、非常に頭を悩ましておるわけであります。御承知のように一九四六年八月十五日から本年の五月十日までの間において生じたクレームの総トータルが六百四十一件に及んでおります。しかも輸入に関するものが三百五十四件、輸出に関するものが二百六十九件、その他契約のないものについてのクレームが十八件ということになつております。解決したものは総計において百四十四件でありまして、輸入に関するもの五十四件、輸出に関するもの八十六件、契約のないものが四件という形でありまして、現在においても懸案になつているものが四百九十七件存在しておるわけであります。これらのものは全部書類によつての解決がされておつただけでありまして、その後において業者が最も強く要望しておるのは次の点であります。そこでこの点について貿易廳の方から御説明をお願いしたいと思うわけであります。
 それは現在の外國貿易の機構において、もちろんメーカーの方は別として、直接日本の業者の利益を代表する機関は一体何なのであるかということを、まず第一に具体的にお答え願いたいと思います。
 第二に、現在は御承知のようにGHQがタツチした貿易が行われておりますが、これに対してはGHQの中においても二つの意見がある。すなわちGHQタツチすべからずという意見と、日本の貿易業者が非常に困難に陷つているのだから、こういう状態のもとにおいて、GHQがタツチしなかつたならば日本の業者を守ることができないではないかという意見と、二通り出ているということを聞いております。そこで政府としてはどの方面に持つて行くことが最も妥当とお考えであるか、またそれに対する具体的な方法をお伺いしたいと思うわけであります。
 第三に、クレームがついて契約破棄になつた。もちろん日本の輸出業者の方から出ている物に対してのクレームがつけてありますが、それに関して契約書の一切の仕切値段、それにFOBプライス、金利、保險、倉庫料、もちろん庫入、倉敷料全部含んでありますが、この全金額をこの際受取りたいわけでありますが、これに対して政府はどういう処置をとつておられるか。また今後具体的にどういう方針をとられるおつもりであるかということをお伺いしたいわけであります。
 なお第四にお伺いしたいことは、これらがクレームになつておりますと、クレーム決定書が出ておりません間は、品物がありましても他のバイヤーがついても、これを賣るわけに行きません。そこでクレーム決定書をできるだけ至急に出していただきたいということであります。それに対してどういうような方法を講じられるおつもりであるかということであります。
 そのほかにお伺いしたいことは、現在こういうようにして、クレーム決定書をもつて取立てるわけでありますが、取立てるまでの間、やはりかなりの時間があります。そのあいておる時間において、司令部の方の保管でも何らさしつかえないのでありますが、司令部に保管をして、そうして向うから一應取立をしてもらつて、クレームの決定が出た場合に、その後において業者の方に拂い渡すという方法でもよろしいわけでありますが、そういう要求が強くなつております。つまり一應この求償手続をやりまして、日本の輸出業者の方が妥当である。正しいというように決定されましても、資金その他の関係で、最後的な決定を得られない間は、業者自身も非常に大きな金利その他の損失を受けますし、さらにそのほかに信用という問題がある。そういういろいろな面から業者が非常に困難をするわけでありますが、この点について一應向うから取立ててもらうことをぜひとも要求したい。特に現在のところでは一應向うのバイヤーが來ておりますが、こういう間違いが起つた場合、しかもそのクレームについての決定に從わなかつた場合には、日本の國内で取引者としての資格を喪失するということになつておりますが、しかもその資格を喪失するだけであつて、金の担保については何らの保証がなされておりません。この問題に関して、政府側としてはどういうような方法をとつておられるか、簡單ではございますが、ただいま申し上げましたような点についてお答えをいただきたい。そこでごく最近にGHQのクレーム調査課の方に出まして、しかもその際に正式に承認を得たものでありますが、この内容は先ほど申し上げましたうちの、日本の貿易商の人たちのリストをつくりまして、そしてアメリカの方に送つておる。つまり貿易の手引といいますか、そういう本をつくつたわけであります。全部で一万二千部を製造しまして、向うの二世のバイヤー西村という人が関係をしておられましたが、その西村という人自身も、この商品は、私がアメリカに帰る前に、現品を見せられたときに安心もし、またほめたように、確かにりつぱなものである。このことはニユーヨークの銀行、船会社等で、この本はこの種のものとしてはバイブルであると言つていたことでもはつきりわかる。だからこの商品については、私も自信を持つているというように、バイヤー自身もはつきり認められておりながら、他方においてこれが契約破棄をされたわけであります。だから約二万八千五百ドルのクレームが決定されました。ところがこの店も、御承知のように勧銀その他から非常に融資を受けておりまして、この商店があちこちとほかの取引関係において得る收入というものは、手形の関係において全部そちらにほうり込まれておりまして、この手形の問題が解決しない以上は、この店としては、どうにもならないわけであります。從つて取立て要求というものをどういうような形で現実化していただくかということは、現在日本の貿易業者の立場から見て、非常に重要な問題になつておるのであります。
 それからもう一つだけ申し上げておきたいのですが、実は貿易業者の人々から直接に伺つたのでありますが、貿易廳が非常に不親切である、こういうことを率直に言つておりました。ある書類などはストーブでたかれたというようなことを申しておりましたが、とかくそういうようなうわさが出るような状態でありましたのは、非常に貿易廳としても不名誉な話でありますし、現在日本の輸出貿易というものは大切であるという点を考えましても、この点につきまして十分に御注意願いたい、こういうふうに考えておるのであります。今申し上げましたところの数点につきまして、政府のお考え並びに今後これを具体的にどういうように処置されるおつもりであるかという点についての御解答を願いたいと思う次第であります。大体貿易関係の人々も近日中に政府、國会及びGHQその他の方面にも陳情書を出すかのごとく手配をしておるように聞いておりますが、一應國会におきまして貿易廳の方から、政府の御意見を承つておきたい、かように思う次第であります。
#49
○小滝政府委員 ただいまの御質問は非常に廣範にわたつて、クレームについてのわれわれの取引振りについての御質問だつたと了承いたしますが、あるいは部分的に誤解して御返事申し上げるような点がありましたら、御訂正願いたいと思います。
 輸出入の機構において、一体日本の貿易業者の利益を代表しておるものはだれかという御質問だつたと思います。そうしてそれについて、司令部にもいろいろ意見がある。それはその通りでございまして、一面から申しますと、なるべく個人貿易を奬励しよう。統制的な面から離れて個々の業者が責任を持つてやる、すなわちサプライヤーの方も十分にバイヤーの選定を嚴にする。それについては海外へもまだ人が出せないから、非常に困難はありますけれども、なるべくプライベート・ペイシスで商賣をさせようという意味において、司令部なり貿易廳はその面には干渉しないようにしようという一面がありますと同時に、何といたしましても、片一方を閉じて商賣をしてあるようなかつこうであるから、クレームの問題のようなことが起りました際には、ここでやりました上に、また輸出について言えば、各サプライヤーの方から事情を聽取して、それを貿易廳の方に出して、あすこのフアンド・コントロール・クレーム・ユニツトの方で適当と認めた場合に向うと連絡してくれて、それをこつち側で解決するというような方法をとつているのでありまして、一面ではわれわれの手から放すようにすると同時に、現状下においてはエージエントも海外に持つていないし、こちらにいて人を派遣することもできないというような関係があるから、司令部や貿易廳並びに各業者側の希望を傳達して、司令部の方がそういう点についての仲介をしているという実情でございます。これについて今後どうするかという点につきましては、そういう非常に不利な立場に立つて、日本の貿易業者はやつているし、しかも外國人が來て日本で日本人と同じように輸出業を営めるというような際でありますから、ぜひ日本人は海外へ出て行けるようにし、エージエントも設けられるようにして、日本の貿易関係の機関が出張所のようなものを設けるようにしようというので、これまでいろいろ司令部側と折衝して來たのでありまするが、最近におきましては外國為替管理委員会もできましたので、その方とも一諸になりまして、一應の資金をセツト・アサイドして、二千万円かの貿易額の何パーセントというものは、すべてそういう対外的な面に使うというような方法によつて、われわれの貿易業者の代表かあるいは公の官廳の資格を持つた者、それができなければエージエントが代表して海外においてそれを処理して行つたら、もつと満足な結果を得られるだろうというので、主として対外的な方面で足場を持つという方に努力している次第であります。
 それから第二点は、全金額を支給するようにということですが、これは貿易でやつたものに対しての支拂いなのでございますか。ただいまでございますと、為替レートがきまつて、個々の業者がフロア・プライスを割らない限り、できるだけ高く賣つて生産費なりあるいは輸出の諸掛りなりを拂うようになつているのでございますが、どういう点でございますか。
#50
○玉井委員 その点は契約破棄によつて生じたクレームの場合に、このうちあるものが引かれるのであります。そういうことのないように、特にちよつと今時期でありませんので、あとにしたいと思つておりますが、日本の方からクレームを要求する場合の率と向うがクレームを要求する場合の率と違うのであります。これを是正しなければいけないという意味でありますが、そういうふうに申し上げかねるので、今のようにお伺いしたのであります。
#51
○小滝政府委員 仰せの通り実は輸入についてもずいぶんクレームを出しておりますけれども、輸入のクレームについては、どういう関係でありますか、十分われわれの主張が通らなくて、今統計は持つて來ておりませんけれども、たしか三割ぐらいの程度になります。輸出については大体向うの言い分の七割ぐらい聞いているというのが実情でありますが、これについてはもちろんわれわれのとりはからいが十分でないとか、司令部の方がおかしいではないかという御批判も一部にはあるかと思いますけれども、同時にわれわれ振り返つて考えてみなければならない点は、たとえば数量が少かつたとか、あるいは品質が惡かつたというような点も、戰爭中貿易というものから離れていたために、必ずしも満足なものが出たのではなく、向うの言い分にももつともな場合があることも少くないわけでありまして、もちろん根本的には先ほどから繰返し申しましたように、海外の事情がわからない点もありましようが、とにかくわれわれの方面としては、貿易実務者の啓発と申しますか、その辺でも十分注意していただかなければならないし、官廳といたしましては、輸出檢査法によつてそういうことのないように努力いたしまして、ことに檢査所の設置についても、実はわれわれとしては、行政機構と違うのだから、檢査所などは各地に必要な所に出していただきたいという考えを持つておりましたけれども、本國会では行政機構の縮小というような根本方針もありまして、十分認めていただくようにならなかつたのでありますが、この檢査機構の強化をして檢査を嚴正にしたいと思つております。同時に價格の査定については、現在やつております貿易は、ドル價格については、それでは結局向うの言い分もりくつがある、ある程度までは將來の円満な関係を続けて行く上からやむを得ないというので、業者の人が一應納得する線までもつて來て、値段はドルの方でクレームの額を決定して、それに対して商品の、從來でいいますとプライス・レーシオをかけて、それだけで支拂つていただくという方法でやつたわけであります。これにはもちろん業者の方も不満もありましようし、また一面法理論から申しますと、契約書はFOBで從來行つておりますから、こちらのエキスペクテーシヨンがフアイナルということになつておりますにもかかわらず、クレームを出すのは、契約面からいいますと日本の方が弱いではないかということもあるかもしれませんが、何といつても日本品は戰後において遅れて出たものであり、今後の商取引を円満にやるという意味で皆樣の御了承を得て、そのクレームにも應じておる。但しこれは貿易廳が強制してというのではなく、あくまで貿易業者の人に自主的に考慮していただいて額をきめるということになつておりますが、これにはもつと日本の貿易業者の利益を擁護するように組織を考えたらいいではないか、あるいは商工会議所を利用したらいいではないかという議論もありますが、現状においては、日本貿易会も非常に熱心にこの問題を取上げようとしておられますし、またある法律家の連中でも、今中國とかインドに対するクレームについては、自分の方で引受けて解決の端緒を見出すように、それを司令部に申し入れて円満に解決しようというような措置も民間から出ておりますし、われわれの方も、さらに通産省も近くできることになつておりまするから、從來ほとんど動いていなかつた貿易監査課を強化いたしまして、今までただコントラクトができる面だけを貿易廳の役人が見過ぎていたという面に不満があるだろうと思いますので、ただ賣り出すだけでなく、跡始末をよくするという点に努力をして、この点を改善して行きたいと考えております。それからクレームの決定書が來るまでに資金面で非常に困る。そうして品物が返品のあつたような場合に処分できない。これをどうするかという問題だつたのでありますが、この点は御説の通り非常に困つておる問題でありまして、あるいは非常に微温的なやり方かもしれませんけれども、おそらく貿易廳が中に立つて銀行の方にいろいろな申入れをするというような、根本的対策にはなつておりませんけれども、その実情に應じて、できるだけ業者の人が予期しないような損害から破産するようなことのないように、あつせんの道を講じておるような次第であります。それから例にお引きになつたのはジヤパン・トレード・ガイドのお話ではないかと思いますが、この問題もよく私自身も研究した問題でありますが、最初からこれは、サプライヤーの方を責めるわけではございませんが、ほんとうの契約から言えばデポジツト・マネーなりあるいはLCの取引によつて、普通のスタンダード・コントラクトをやつていただけば、これほど大きな損害はなかつたかもしれませんが、前から編集にかかつておりました関係上、本はでき上りかけておる。そこで相手のバイヤーのN氏なるものは、どうもおかしいじやないか、五%のデポジツトも開かないというのはどうもおかしい。ニユーヨークのストリートの名前を見ましても、私の常識から考えてもすみつこの方だし、それも開けない。それを司令部に出すということはおかしいじやないかというように私個人も関係者の方に注意したこともありますけれども、何分生産行程とにらみ合せて契約を急がれたというような点もあるのじやないかと思います。これは非常に氣の毒でありまして、現在もいろいろ方法を考えまして、結局これはキヤンセルになつて、ほかの賣り道について――貿易廳としてもプライベート・トレイドに干渉するわけではないけれども、こういうりつぱなガイド・ブツクに興味のあるような方面に紹介いたしまして、非常な苦境に立つておるサプライヤーの方を助けようということをやつておるのでありますが、これは決して根本的な解決ではなしに、こういう場合にどうするかという大きな問題がありますが、これは一面はもちろんサプライヤーの方でさらに注意していただくと同時に、われわれの方としてはスタンダード・コントラクトないしはこういうものについてのコントラクトのタームについて、これは強制するわけではありませんが、通産省としてコントラクトの内容をもう少しビジブルなものにするために今研究させておるわけでありますが、さらにこういう方面からもこういうものを親切に――今不親切だというお話がございましたが、多勢の役人のうちにはよろしくない点もあつたかもしれませんが、そういう意味で指導というと語弊があるかもしれませんが、プライベート・トレートが原則であるけれども、それに対して助けになるという意味でコントラクト・タームについても、もう少し研究して行きたい。同時にこういう関係がありますので、新聞でも御承知の通り三月三十一日にLCが開かれないようなのは、資材が横流れするかわからないし、またもしこれが進んでいつても、クレームの問題が起るおそれのある種類のものもありまして、五月十三日にLCが開かれないと、契約がキヤンセルせられ、今までのヴアリエーシヨンを取消すようなことの跡始末についていろいろな措置をとらうという考えから、いろいろなアングルからこういう問題に対して措置をせしめておるつもりであります。
#52
○玉井委員 先ほど申し上げたのは、契約破棄などによつて場合、金額を一應クレーム決定書の出るまでに取立ててほしい、総司令部の方でさしつかえないなら、クレーム決定書の出るまで一應保管というような形で取立てておいてもらいたいという点について、業者の方から特に強い要求があるわけです。これはただいま申し上げましたように、クレームにかかつた。ところがこの問題に対して、これが向うに通知されて、向うからそれの反駁書が出ている、さらにこちらの業者のサプライヤーの方からも反駁書が出ている。それに対して最終的なクレーム決定書を出すわけでありましようが、その出す期間がかなり遅れて参りますと、先ほどお話したように、金利その他の面で相当困難がある。そこで貿易廳の方であつせんするというお話だつたのですが、ところが実際は今の状態ですと、なかなかあつせんもできません。御承知の通りなんです。そうするとかなりの金額が寢ることになつて、非常に不利な状態になつて來る。こういうことを言つているわけです。この面について、今後特にGHQの方でも一應取立てていただくような方針でやつていただきたい。そうでもないと、安心して取引ができないのじやないか。こういう点を言つているわけです。
 それからついででありますから、申し上げますが、品質がよくさえあればいいというわけではありません。すぐだめになつてしまうものに対して、特別いい品質の材料などを使いますと、これでもクレームがついて來ております。そういう事件が一件ではありますが、あつた。そういう点で、業者に対しても十分注意をして、よくさえあればいいという問題ではないのであります。こういう面についても貿易廳あたりから十分御配慮願いたいということであります。
 それからもう一点ついでに申し上げておきたいのですが、先ほど貿易廳の中で不親切だということを申し上げたのですが、これはジヤパン・トレード・ガイドでの話ではない、全然別のことであります。その際さらにもう一つ聞きましたのは、手形を貿易廳が受取つておりながら、その期間内にまわしてくれなかつた。そのためにその手形がだめになつたという事件があるのです。それでやはりクレームを受けて、日本の業者が非常に困つた。そのために結論といたしまして、特に手形をさつさとサプライヤーの方にまわしていただけないというような点は、これは初歩的にミスと言うべきでありまして、こういうことがあつてはとうてい日本の貿易が円満に発展ができない。
 それから取引の面、特にコントラクトに対するテイピカルなものをつくるというお話ですが、非常にけつこうだと思います。同時に先ほどお話がありましたように、問題が起きたあと、これを應援してやつていただきたい。取引だけの面ならば、それはバイヤーとサプライヤーと対峠すればとにかくやつて行けるのですが、問題がこういうふうになつて來た場合に、取立てができるだろうかどうか。つまり占領されている國だという、見ようによつては卑屈な考えの者が取巻いておつて、貿易業者に堂々たる一つの要求をなし得ないような面が非常に多い。この面について、特に貿易廳あたりから強力な國民的な立場からの應援をやつていただきたい。こういうことをお願いするのであります。
#53
○小滝政府委員 ただいまいろいろ御懇切なお話を承りましたが、われわれの方も始終制度が変つたり、手続が変つてごたごたして、皆さんにいろいろ御迷惑をかけたこともあろうと思いますが、ただいまのお話のような点はさつそく司令部と話し合う点は、実際の実務の面でそういうふうにいたしましようし、またクレームの取立ての点も、海外に代表者を派遣し得るようになればまた便利になりましようし、十分そういうふうに心がけてやつて行きたいと思います。
#54
○玉井委員 エージエントを出しても、やはりクレームの問題は解決するものではありません。エージエントを出すようになつても、やはり國民的な立場からのバツク・アツプはぜひとも必要だと考えております。その面においてエージエントが開かれれば安心というほど簡單な問題ではない。私はクレームになつている総額をつかんでおりますが、ここでは申し上げませんが、相当のドルになつているということをお考えいただいて、この面の問題の起らないように、また起つても徹底的に日本人の立場から應援してやる、決してそういう立場を忘れておられるというわけではありませんが、さらにそういう面を強く出して應援してやつていただきたいということを、ついでにお願いするわけであります。この問題に関しては、今後においてのいろいろな具体的な問題が出來ると思いますので、そのたびに御注文をすると同時に、またお願いをしたい、かように考えておりますから、一應つけ加えておきます。
#55
○小滝政府委員 ただいまのお話はごもつともでありまして、その点について十分努力いたしたいと存じますから、随時私らの方に直接お話くださるようにお願いいたします。
#56
○岡崎委員長 最後に野崎委員から発言の要求がありますので、これを許します。
#57
○野坂委員 私の問題は時間がないので、簡單に申し上げます。
 これは先ほど委員長の方からここで御報告があつたかもしれませんが、外務省設置法案はこの委員会で通過したのですか。
#58
○岡崎委員長 この委員会は通過いたしました。
#59
○野坂委員 それで実を申しますと、手続の違いから、私の方の意見が理事会に反映することができなくて、また委員会にも反映しないのは非常に遺憾ですが、しかし私の方の意見だけはここで申し上げ、さらに内閣委員会の方でこれを正式に取上げたいと思いますから、この点各位においても了解していただきたいと思います。
 私の方の意見を簡單に申し上げますと、今設置法案が各省にわたつて出ておりますが、この外務省はほかの省と違つた特殊性を持つておつて、たとえば講和会議前と後とにおいて、この外務省のやる仕事の内容、性格、從つてまた機構もかわつて來なければならない。ところで今度出された案によりますと、講和前の仕事も講和後の仕事もここに同樣に一列に並べ、從つてまた機構もこのように組立ててある。私たちはこれは外務省の設置法案としては不適当である。しかも外務大臣は、今專任外務大臣を置かないのは外交がないからだと言われている。從つて今外務省の設置法をつくる場合においては、講和前における仕事を主にしてこの機構を考えるべきであるという建前から、それでは何が今中心の仕事であるかというと、これは私の考えでありますが、まず第一に、講和会議の準備をやること。第二には、通商貿易関係を調査し、またこれを促進させること。第三には、國際情勢の研究調査、これの國民に対する普及、特にまた今アメリカにおいても経済的ないろいろな問題が起つて來ているし、また各國にわたつていろいろ民主的な運動が起つているし、中國においても新しい情勢に來ている。こういう点を十分正確に調査して、これを國民に知らせるというようなことが外務省として今やるべき第三の仕事ではないかと思います。第四には、これはいずれ講和会議が開かれれば、正式な外交関係が結ばれる。これに対するいろいろの準備という点に私は帰しはしないかと思うのです。それがために私の方としては、こういう立場から今國に出されました外務省設置法案に根本的な修正を加えるべきである。それは私たちの意見であります。從つて結論としましては、あの修正案はむしろ撤回してもらつて、もう一度始からやり直す必要があるのではないか、これが私たちの意見なんであります。それは單に共産党の意見だけでなしに、ここの委員全体として深刻に考えていただかなければならぬと思うと申しますのは、あの機構を見ますと、ともかくも厖大なものがある。仕事は何かというと、ほとんどないという形であります。これで機構とか人間を割当てれば、結局政府が今言つておつたような整理の方針にも相反しやしないかと思うし、これが私たちの考えですから、了解していただきたい。
 この機会にもう二つほど政府側に御質問したいと思う。今政府の方がおられませんので、できるだけ早い機会に委員会を開いていただいて、これに対するお答えを願いたいと思います。これは先般本会議を通過した阿波丸賠償請求権の処理のための日本國政府及び米國政府間の協定、この問題、私たちはこれに反対したのでありますけれども、ずつとこれまで研究してみますと、重大な法規上、國際関係上の問題がここに含まれておると思うのです。これは私たちの関係では違法ではないか。いろいろな点から、これについては私たちも申し上げたい点がありますが、委員長としてはどういう機会にその問題について政府の回答を與えることができますか。これをお伺いしたい。
#60
○岡崎委員長 ただいまの始めの御要求につきましては、理事会を開くことは公報に掲載しておりましたし、さらに共産党の控室にも連絡いたしまして、おいでを待つておつた。しかるにおいでがない。片一方においては内閣委員会の方で急いで決定しなければならぬ問題で、至急に意見を出してくれという要求もありましたので、御出席がないためやむを得ず――残りの理事は松岡理事を除いて全部出席されたのであります。しかるに松岡理事は傳言で、自分の方は意見がないから全部他の理事にまかせる、こういうことでありましたので、理事多数の意見によりまして決定した意見を即刻内閣委員会に提出したのであります。それでそれについては本日委員会で追認を得たわけであります。從いましてさらに委員会を開いて、御提案の問題を討議することは困難と思いますので、御意見の次第は記録にとどめるだけにするほか仕方がないと思います。内閣委員会の方は本日ですべての問題を決定することになつております。ことに外務省設置法案につきましては、もはや決定済みだと考える。もつとも外務委員会の意見は、ただ意見として内閣委員会は聞くだけであつて、決定権は先方にあるのでありますから、必ずしもわれわれの意見がそのまま通るとは思つておりません。
 第二の問題につきましては、阿波丸事件は御承知のように運営委員会を通じて本会議に直接提案された問題であります。これにつきましては、当時外務委員会その他の委員会を通ずるやいなやということも運営委員会で討議されたと了解しております。その結果各委員多数の決定によりまして、直接本会議に提出されることになりましたので、これは問題となれば運営委員会の問題であろうと考えております。しかしながら外務委員として御質問があれば、政府に取次ぐことはいたします。
#61
○野坂委員 第一の問題は手続上私たちの方にも欠点がありましたから、これはいいと思います。第二の阿波丸の協定の問題は、國際法の上から言つても問題になるように考えますので、ここで私はぜひ質問したいと思いますから、その機会をできるだけ早く委員長の方でとりはからつていただきたい。國会がもし今週中で終れば、必ず今週中にお願いしたいと思います。それから第三に、これはお願いになりますけれども、並木委員と同じように、私は外務大臣にできるだけ早くここに出ていただいて、今朝新聞に載りましたあの問題の関連して、私の方にもいろいろお聞きしたいことがあります。首相はいつでも新聞の記事を出すと、これは自分の言つたことと違うとか言つて逃げられる。これは非常に無責任なやり方だと思うのです。今日出されたあの談話というものは、外人記者に対するもので、結局首相の言つていることを見ますと、新聞に載つたことはみな新聞記者がいいかげんにつくつたんだということになると思うのです。これは私は吉田総理のためにもあまりよくないじやないかと思います。ですから、私たちの方はこれができれば今日午後、できなければ明日でもよろしいが、並木委員からの要求を私もぜひ支持したいと思います。
#62
○岡崎委員長 御意見は政府側に傳えることにいたします。なお野坂委員の阿波丸協定に関する御質問は、念のため書面でよこしていただけばもつとはつきりすると思いますから、さようお願いいたします。
 それでは本日はこの程度で散会いたします。
    午後零時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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