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1949/05/14 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 外務委員会 第10号
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1949/05/14 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 外務委員会 第10号

#1
第005回国会 外務委員会 第10号
昭和二十四年五月十四日(土曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 岡崎 勝男君
   理事 安部 俊吾君 理事 仲内 憲治君
   理事 若松 虎雄君 理事 松岡 駒吉君
   理事 並木 芳雄君 理事 野坂 參三君
   理事 山本 利壽君
      菊池 義郎君    佐々木盛雄君
      守島 伍郎君    橋本 龍伍君
      戸叶 里子君    木村 俊夫君
      玉井 祐吉君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣
        (賠償廳長官)山口喜久一郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  近藤 鶴代君
        外務事務官
        (管理局長)  倭島 英二君
 委員外の出席者
        專  門  員 佐藤 敏人君
        專  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
五月十二日
 在外公館等借入金整理準備審査会法案(内閣提
 出第二〇三号)
 講和会議開催促進等に関する請願(野坂參三君
 紹介)(第一六二一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 在外公館等借入金整理準備審査会法案(内閣提
 出第二〇三号)
 賠償問題に関する件
    ―――――――――――――
#2
○岡崎委員長 これより会議を開きます。
 去る十二日内閣提出の在外公館等借入金整理準備審査会法案が本委員会に付託に相なりましたので、これより本案を議題といたしまして審査に入ります。まず政府より提案理由の説明を聽取いたします。
    ―――――――――――――
#3
○近藤(鶴)政府委員 ただいま議題になりました在外公館等借入金整理準備審査会法案について、提案理由を説明いたします。
 本案を提出するにあたりまして、政府が考慮いたしました点は次の通りでございます。本法案の対象となつている在外公館等借入金とは、終戰に際して日本より外國へ送金ができなかつたため、東亞各地における在外公館、居留民会等が外務省の訓令に基き、在外邦人の救済、引揚げ等に要する資金を、各地において居留民から借入れたものでございまして、右関係の債権者は約二十八万名、借入金額合計約九億円と見積られているのでございます。
 本件借入金の返済については、國会においても請願、陳情等を採択し、内閣に対して適当に処置ちするようにと要求されたるいきさつもございます。また引揚同胞対策審議会も本件借入金のすみやかなる決済を要望し、特に少くともこれを政府の債務として確認する措置をとるよう、政府に勧告されたのでございました。
 今般政府が本件借入金を調査確認し、もつてこれが整理の準備を進めることにつき、関係筋との間に話がまとまり、本法案を國会に提出する運びとなつた次第でございます。從いましてすみやかに御審議の上、可決されますよう希望いたす次第でございます。
#4
○岡崎委員長 これより質疑を許します。
#5
○松岡委員 この事由によりましても、関係筋の了解を得てということがありますが、これに関連して外務当局にお聞きしたいことは、政府の公館が借入れたのではなくて、民間人相互の間に、終戰直後、たとえば私の知つている限りにおいても、満州などにおける日本の相当の大事業会社がその職員のサラリーを拂うことができなくなつて、満州土着の日本人から金を借用して、それによつて職員のサラリーを支拂つておつたという事実があるのであります。たまたまそれらの人々が引揚げて参りまして、支店長の借用書を持つているのであるが、拂つてくれない。そこで私は私の子供がせわになつておつたような関係上頼まれて、その会社に交渉してやつたことがある。ところがその筋から支拂うことを禁ぜられているということを理由に、なかなか拂わなかつたのであります。私は会社の金をもつて支拂うことがその筋から禁ぜられているためにできないというのならば、どういう方法をもつてなされようと、非合法なことを要求するわけには何かないが、少くとも支店長が困つたときに、事情を訴えて金を借りた、その行為に対して、何らか報ゆるところがあつてしかるべきである。いわんや借りている金を返さぬなどということは、礼はしなくても、はなはだ不都合であると思うので、何らかの方法を講ずべきだということを強く勧告しておつた。さいわいにして全額はもらえなかつたらしいけれども、七割程度、十万円の金を七万円かもらいました。私から交渉してやつたおかげでもらえたと言つて、たいへん喜んでおつたのでありますが、その他にも多くのそれらと同樣の関係にあるものが、その筋が支拂いを禁止しているという理由のために、多くは泣き寢入りで返済してもらうことができないという事情を、その人から私は聞きました。実際はどういうことになつているか、一々調べたわけではないが、ちよつとありそうなことであります。
 そこで私はこの際聞きたいことは、同樣の性質の金であるが、政府在外公館が民間人から借入れた金を支拂うという方針のもとに今から審査を始められるということである限りは、民間人の貸借関係に対してこれを決済することを、その筋が認めるようなぐあいにさしておくことが必要じやないかと思う。このことについて外務当局はどういう見解をお持ちであるか。またそういうことについてどういう交渉を今までやつておられるか、それらの点をお聞きしたいのであります。
#6
○倭島政府委員 本案で直接対象となつておりますのは、先ほど説明がありましたように、政府の出先が引揚者の救済のために借りた、それも当時の事情で直接政府が金を送れなかつたために、現場で借りてまかなえという訓令を発して借りた金、またそれに準ずるものを扱つております。外務省といたしましては、外務省の出先公館が取扱つた金でございますし、これをできるだけ早く政府としては、一種の事後承諾、事後においてこれをはつきり確認するという措置になるわけであります。この件について交渉を進めたわけでありまして、今お話の一般の会社と個人との間の関係という問題については、在外資産並びに為替管理の方の現在の規定の問題でありまして、大藏省の方から從來交渉されておるかもしれませんが、その交渉経緯については今よく存じません。外務省はその限られた範囲のものだけについて交渉いたしたのであります。
#7
○野坂委員 私はこの法案の條文についてはあとで質問したいのですが、その前にお聞きしたいのは、先ほど次官の方からも、これによつて約二十八万名が債権者としてあげ得る。それから借入金が約九億円というわけで、相当多数の人員と額に登つておりますが、これはどういうふうなやり方で調査されたのか、その調査の根拠をまず第一にお聞きしたい。
 それから第二としましては、こうして大体数字がわかつている以上は、どこの方面で――場所ですね。それからどういう人々か、それからまた公館が借りた場合における金の性質、何のために借りたのか、それからできたら、いつ、どこで、だれが何のために幾ら借りたかということ、非常にこまかいことはわからないでしようが、全体的に見たある統計的なものをわれわれに知らせていただきたい。それから返済するという條件だけれども、そのほかどういうような條件を付してこういう人々から借りたか、これをまずお聞きしたい。
#8
○倭島政府委員 先ほどの提案理由の説明に言及せられてのお話でございますが、約二十八万名と九億円というのは大体の見当でございます。今までこの二十八万名と九億円という見当をつけます方法は、実は外務省としては在外の公館の責任者が帰つて來ておりますし、そのほかの地方における大体同種の借入金を取扱われた民團、民会等の責任者も帰つておられまして、大部分はそれらの記録を持つて帰つて來ておられます。その記録が一應の標準でございまして、その記録に基きまして大体の見当を立てたというのが、調査のこれまでの方法でございます。なお本件は何しろとつさの間に、終戰時及びその直後の相当混乱した状況のもとに在外公館及び現地の自治團体等で借りられたものでありますので、その形式、資料等は一樣ではございません。從つてそういう理由のもとになおこれを審査いたしまして、どういうものを政府の債務として確認すべきかということをはつきりしなければならないというのが審査会の目的でございます。なお本法案の関係の対象になつておりますのは、満州、関東州、朝鮮、中國及び南方、大体こういう地域が対象に考えられまして、それから今申しましたような、直接現地で関係された責任者が持つて帰られました資料に基いて、大体の見当を立てた次第でございます。
#9
○野坂委員 そうすると二十八万名とか、九億の金が出ていますが、これは大体いつごろまでに終つた調査を基礎にされたかということが一つ。これは大体東京でつくられたことになつておるだろうと思うが……。
#10
○倭島政府委員 その時期は、大体海外に出ておられた同胞の方が、先ほど申し上げました地域から日本に引揚げられるに從つて、いろいろ資料を持つて帰られましたが、昭和二十一年の終りくらいまでには、大体今申し上げました地方からおもなところは帰つて來られましたので、一應その当時までの資料がこのおよその見当を立てる基礎になつております。
#11
○野坂委員 そうしますとそれ以後でも、たとえば新しい記録とか新しい人が帰つた場合には追加されることがあるのですか。
#12
○倭島政府委員 追加されると思います。ここに申し述べました二十八万名、約九億円の――九億円というのはちよつと御参考までに申しますと元々借入金は各現地の通貨で借入れられておりますので、そう簡單に日本金との換算率は出て來ないわけでありますので、当時一應妥当と思われる換算率をはじきまして、九億となつたわけでありまして、個々の借入金は現地通貨の標準になつておるわけであります。
#13
○野坂委員 そうしますと、いろいろうわさもあるし、あるいは一部新聞にも載つておつたと思いますが、いわゆる戰犯的な者が引揚げる場合に、こうした手続を経て、公館が借りたというふうなこともやつたといううわさもあります。実際にこれはあるかどうかわからないけれども、こういう疑いのあるような者を、今までの調査で政府側としては発見されているかどうか。それに関連して政府が債務として認める対象の人の性格について、政府は何かお考えですか。つまりだれが見ても戰犯的な人であるといつた者でも、それから金を借りたら返すのか、あるいは一個の商賣人から借りた場合と政府は区別しておるか、全然区別しないでやられるのか、この二つの点をお聞きしたい。
#14
○倭島政府委員 第一の点につきましては、まだはつきり政府の方としても調査が進んでおりません。それから第二の点につきましても、政府が借入金を最後的に確認するまでにいろいろ考慮せられるべき條件その他がございましようし、はつきりしなければならない問題がありますので、そういう問題もすべて審査会において考えられると思います。
#15
○野坂委員 そうしますと條文について少しお伺いしたいと思います。この法案自体の性格は大体はつきりしておるようですけれども、念のために多少疑いもありますので、はつきりしていただきたいと思うのは、この法案自体は在外公館等借入金整理準備審査会をつくつて審査をやるというのがこの法案の性格のように思うのですが、この点どうでしようか。
#16
○倭島政府委員 今の審査会をつくるというのがこの法案の趣旨でありますが、この條文でごらんの通り、それに関連した事項も書いてございます。
#17
○野坂委員 第一條の第二項に「借入金を、法律の定めるところに從い、」云云とありますが、この法律というのは別個にお出しになるのか、どういう内容ですか。これができなければ審査の基準ができないように思うが、どうですか。
#18
○倭島政府委員 「法律の定めるところに從い、」という今の御指摘の点は、將來返済するというところにかかるわけでありまして、現在議題になつております審査会が通りますれば、審査会は発足するわけであります。
#19
○野坂委員 そうするとこの法律というのは、どの法案をさすのですか。
#20
○倭島政府委員 それは別個の法律をまた……。たとえばこの返済の関係につきましては、現地通貨で表示されておりますから、現実にこれを政府から返すという問題が具体的に考えられる際は、たとえば換算率とか、返済の方法だとか、返済の時期だとかいうことがはつきりきまらなければならぬと思います。從つてそういうことのためには、別の法律をまた通していただくことになると存じます。
#21
○野坂委員 今金額とかいろんな点を言われましたけれども、これ以外に、たとえばどういう性格の人には拂うとか、拂わないとか、こういうことも、この法律に盛られるべきようにわれわれは思いますが、この点どうでしようか。
#22
○倭島政府委員 現在政府のこの法案提出に関連して考えておりますことは、先ほど申しましたような、地方に出ておられた在留邦人というのを対象に考えております。
#23
○野坂委員 私の質問にまだはつきり答えられておらないように思います。「法律の定める」というこの法律という意味は、たとえば現地における通貨の問題とか、あるいはいつ拂うとか、こういうふうに言われましたけれども、それ以外にだれに拂うかということについての基準のようなもの、これをこの法律に当然規定されるべきであろうと思います。それがこれに入るかどうかという点、もしこれに入らないとすれば、こういう基準はどこでつくるのか、審査会でつくるのか、法律に全然よらずにやるのか、これが私はこの法案の生命だと思います。もしこれをはつきりしなければ、いいかげんな人にいいかげんな形で、どんな醜惡な事件が起らないとも限らないと思います。だから私はこれは法律ではつきりすべきだと思います。
#24
○倭島政府委員 この法律の建前は第五條にもちよつと出ておりますが、借入金を提供した者が借入金の確認の請求をせられるわけであります。從つてその請求して確認せられた人が確認証をもらう。將來は法律及び予算の範囲内において、この確認証に対する支拂いというものが別個の法律できめられるというふうに考えております。
 なお第四條の第二項のところにございますが、本件借入金の整理に関して、いろいろ考慮し考えなければならぬことがあれば、この審査会がそれを審査いたしまして、外務大臣に意見を申し出るようになつております。
#25
○野坂委員 しつこいようですが、この点、私はこの法案の中心ですから、もう一度はつきりしておきたい。ここにたとえば第五條の「借入金を提供した者」とあります。借入金を提供した者が二十八万あると思うのであります。これらにいろいろな種類の人があると思います。先ほど申したように、戰犯的なものも明らかにあり得る、それを「借入金を提供した者」というので、区別なしに政府はこれを支拂われるのかどうか。そうすればわれわれの税金を戰犯にわざわざ渡してやるような結果になる。ですからこれをどういうふうな基準によつて政府は判断されるのか、これは当然法律によつてきめるべきだと思います。この点をお伺いしたいと思います。
#26
○倭島政府委員 実際支拂いの際には、別の法律を定めなければならぬだろうと思つておりますが、その次の法律を定めますときには、今御意見のありましたような点も考えて定められるものと存じます。
#27
○野坂委員 この点政府としてはどうでしようか。これは当然やられるべきであるというふうに承ることはできないものでしようか。やるかやらないか、ちよつとはつきりしないのですが、そうしなければ私はこういう法案は承認できないと思うのであります。
#28
○倭島政府委員 今戰犯その他の話がございましたが、この法律は審査会を定めることが主になつておりまして、この審査会に対して借入金を現地で提供された人が請求権の確認を要求せられる。その要求されました請求に基きまして審査し、それから外務大臣がこれを確認しましたときは確認証を出すというのがこの法律の趣旨でございます。この法律によつてはつきり確認せられないものも、別に権利が失われておるわけでも何でもありませんし、なおまたこの法律は戰犯とか、あるいはそのほかの関係のあつた在留邦人の権利関係を、あるいは確認し、あるいは喪失させるという趣旨になつておりませんので、その問題は、この法律の直接の対象にならぬものと考えております。
#29
○野坂委員 先ほどの私の質問に対しては私が言つたようなそうした判断の基準なども別個の法律に盛られるのであろうというようにお答えになつたと思う。私が問題にしているのは、この法案の問題ではなく、別個の法案の中にこうしたものが当然盛られるべきであると思うがどうか、この点に対して、先ほどは多分盛られるのであろうとお答えになつたが、念のために押したら、今度は違う回答なんですが。
#30
○倭島政府委員 先ほど申し上げましたが、本件借入金はとつさの間に行われた金でありまして、確認するまでにいろいろ考慮せられなければならぬ問題があると思います。從つてさつきお答えいたしましたのは、審査会においてその当時のいろいろな事情を考え、それからさらに第四條にございます借入金整理に関する事項というものが十分考慮せられて將來の支拂いのための法律の中には、そういう考権せられたものが盛られて出るだろうということを先ほど申し上げたのであります。
#31
○野坂委員 それでは大体そういうものが盛られるだろうというように了解いたしました。そうしますと、第六條に「審査会がした審査の結果の報告に基き借入金の確認をしたときは、政令で定める手続に從い、借入金確認証書を発給する。」とあります。そうするとこの法案自体は、單に審査会をつくつて審査しただけではなしに、さらに進んで確認証というものを発給するというようになつておりますね。そうしますと、別個の法律ができない限りは確認書は與えられないと思う。そうすると、これと並行して新しい法律を別におつくりにならなければ、これは実際委員会ができたところで何らの権限はないことになりはしないかと思う。この点の事情はどういうようにお考えになりますか。
#32
○倭島政府委員 審査会ができますと同時に、この第六條によつて、外務大臣が確認証を発給する権限を與えられるわけであるということであります。
#33
○野坂委員 発給しますけれども、発給する前に、基準が別個の法律においてきまるということを今お答えになつた。だからこの法案と並行した別個の法案というものがつくられなければならない。そうしなければ、確認を與えることはできないと私は思う。
#34
○倭島政府委員 確認については、この法律が通りますと、確認証を発給し得るわけでございまして、その確認証に基く支拂いということは、別個の法律によるという趣旨でございます。
#35
○野坂委員 そうすると、やはり問題が前に帰るのですけれども、たとえばこういう一つの事件があつた、これを審査会で調査する。その場合における調査の大体の基準というものがあり得ると思うのです。これは実は法律によつておつくりになるのか、あるいは政令によつておつくりになるのか、あるいは審査会内部の打合せというような形でおつくりになるのか。
#36
○倭島政府委員 今の御質問の基準は第一條に基準がございますし、なおその他は政令によることになると思います。
#37
○野坂委員 それからこの審査会において審査する場合、この事件がみな海外で起つて、しかも相当前の事件であり、とつさの場合に起つたということを今繰返しておつしやつたのですが、これを審査するのには、ただ東京へ帰つた人とか、あるいは記録によつてお調べ願うのですが、しかしほんとうの眞相を調べるためには現地に行つて調べなければ、実相はつかめないようにわれわれは思います。もちろんはつきりするものもありましようけれども、相当大きなものについては、現地に行つて調べなければならないと思う。そうしますと、結局これは講和会議後ということにならなければならないのでありますが、こういう調査のやり方について……。
#38
○倭島政府委員 現在の状況といたしましては、大体当時現地で借入金をするにあたつての責任者並びに関係者がほとんど全部こちらの方へ帰つておられますので、政府といたしましては、現状においては、その関係者を通じ、あるいは関係者に相談に乘つていただいて調査を進めるというより仕方がない、こう考えております。
#39
○野坂委員 そうしますと、この調査というものは、私はいろいろ今後問題が起ると思いますが、この点についてはこのくらいにしておいて、第三條に外務大臣が命ずる委員六名以内とありますが、この委員六名というものは、どういうふうな準備でどういう人を政府は任命されるか。
#40
○倭島政府委員 これは大体現地において借入金を取扱われた一番関係の深かつた方々に委員になつていただきたい、こう考えております。從つてこれは政府の官吏ではなく、大体現地において当時――あるいは現地の官吏であつた人も入るかもしれませんが、大体現地で借入金を取扱うのに一番関係の深かつた、あるいは責任者の地位にあられたというような人から、この六人の委員になつていただきたいと思つております。
#41
○野坂委員 そうしますと、確認書を得た場合においては、実際に政府の債務の支拂いというものは、一体いつごろになるのですか。またどういう條件で支拂われるのか。
#42
○倭島政府委員 それは先ほども第一條第一項の説明で申し上げたと思いますが、將來法律の定めるところに從い、予算の範囲内において將來支拂われるという建前をとつております。
#43
○野坂委員 そうしますと、たとえば大体の政府の見通しとしては、審査が始まる、すぐ確認証ができるという場合には、すぐ支拂われるか、あるいは講和会議後に支拂われるか、われわれとしては当然講和会議後になるだろうと思うのですが、この点について。
#44
○倭島政府委員 その具体的の支拂いの問題は、その支拂いについての法律が通りまして、予算の都合さえつけば、そのときから支拂いに入るようになると思うのです。
#45
○野坂委員 そうしますと、政府の方では、たとえばいわゆる在外邦人の財産とか、ああしたものがほんとうに明確になるのは講和会議後だと思います。その確認証を與えればどんどん支拂うというふうにおやりになるのか。そうするとこれは相当危險がありはしないかと思います。
#46
○倭島政府委員 これは借入金を提供された人の持ち帰りました証拠書類がございますし、なおまた特に現地の同胞の引揚げ及び救済に、相当苦しい中の所持金をさいて協力せられた方々に返すわけでございますから、そういう一種の意味も含めて、講和会議後というようなことでなしに、今申し上げました法律が通り、予算の都合がつけばすぐ拂うことになると思います。
#47
○野坂委員 最後に一言つけ加えておきたい。それはわれわれも在外においてこうした犠牲を拂つた人に対して、当然國家の拂うべきものは早く拂うべきだと思います。しかしながらそこにわれわれとして、はたして正当に政府の方が借りたものであるかどうか。こういう面についての判断というようなことは相当むずかしいと思います。特にこの委員を現地にいた人がやれば、またそこにいろいろなつながりもありましようし、はたして公平に、公正にやられるかどうかという点についても、相当の問題がありはしないかと思います。だからこの六名の委員をもう少しふやして、必ずしも今言つたような現地の人だけによつて六名をつくるということでなく、もう少し廣い範囲を入れられて、民主的な委員会にしてしまう。こういう制度にする御意見はないのでありましようか。これで私の質問を打切ります。
#48
○倭島政府委員 本件審査会の性質等にかんがみまして、政府といたしましては、大体現地で関係せられた人が六人以内加わつていただけば適当ではないかという考えから、六人以内になつておる次第でございます。
#49
○並木委員 私の質問したいと思つたことは大体野坂委員からされましたので、私は一つだけお聞きします。大体九億円という金額は、むろん関係筋の御了解のもとであると思いますが、これはふえるような場合もあると思います。そのふえたときに増額が可能であるかどうか。その見通しと、それから予算的の措置としてはどういうふうに取扱つて行くつもりであるかどうか。これをお伺いいたしたいと思います。
#50
○倭島政府委員 今御指摘になりました九億円の額については、これは先ほど説明申し上げましたように、一應の限度でありまして、この九億円については具体的に関係の方面の了解を得ておるわけではございません。この法案について了解を得ましたのは審査会を設けて、各條に書いてあるような確認の措置を講ずる。そうして準備をするという点について了解を得たわけであります。なおその予算措置の問題でございますが、借上げ金そのものの支拂いについての予算の内容は、まだこの法案に関連してつくられておりません。なおこの法案が通りますと、実際問題といたしましては、約二十八万の確認証を発給するという問題が起きますし、なお外務大臣の任命する六人の方々の手当とか、あるいは旅費とかいう問題が起きます。実は予算の措置は、現在までの予算上では金がありませんので予算上都合がつき次第、この委員会が実際に具体的に動き出すといあ建前でございます。從つてその附則のところへ書いてございますが、昭和二十五年五月一日までの間において政令でこの施行期日を定める。これは來年度の予算の始まる時期をも考慮に入れてこうなつておるわけでございます。
#51
○仲内委員 この第一條の入金の性質ですが、定義と申しますか、説明によりますと、終戰に際して、そして地域は東亞各地とあるのですが、この時期と場所について、東亞以外の欧米方面の場合はどうなるのですか。つまり在外公館全部に及ぶのか。また時期は終戰に際するばかりでなく、例の為替管理の関係、凍結の関係で、戰爭前ないしは戰爭中においてそういうことの不可能なために、あるいは借入金というものもあるわけですが、そういうもの含まれるわけですか。その時期と地域を御説明願いたいと思います。
#52
○倭島政府委員 時期の問題で「太平洋戰爭の終結に際して」としたのは、これはほとんど全部が終戰後のものでございますが、たとえばフイリピンなどにおいては終戰直前のものもございます。從つて「終結に際して」としたわけでございますが、なお地域の問題は、これもほとんど大部分、いわゆる大東亞地域と言われておりました先ほど申した各地域を考えておるわけであります。この第一條にもありますように、引揚費及び救済費というのがその趣旨でありまして、なおそれを借りましたときには、在外公館の関係では外務省からの訓令でこれを借入れております。訓令の行きました地域は主として中國及び南方でございますので、そういうふうに、地域の問題もほとんど全部先ほど申した地域に限られておる。まれにそのほかの地域がございましたならば、それは一体これに準ずるような経費として考えるかどうか、そういう問題については、さらに審査会でこれを審査するという建前になると思うのです。
#53
○仲内委員 そうすると必ずしも時期や場所をこの法案に明示されたものに限定するという意味ではなく、それに準ぜられるものは同樣適用されるというふうに了解してよろしゆうございますか。
#54
○倭島政府委員 この法案の中には從つて時期の問題も多少今説明したように動きがある。多少の余裕がある、つまり「終結に際して」となつておりますので、あまり終結から離れた時期では困るわけでございます。それから地域の問題につきましては今御説明申し上げました通りで、この法案自体については地域をはつきり明示していないのであります。
#55
○木村(俊)委員 確認する際にも資料は十分お集めになつておると思いますか。と申しますのは、借入れせられた場合に、外務省の訓令を出しております。その外務省の訓令の内容を承知いたしたいのでありますが、その際返済の條件等について、外務省の訓令の中に規定しておられますか。その点についてちよつと……。
#56
○倭島政府委員 外務省の訓令では、後日返済するという心組みでということになつております。それから資料の集め方の問題ですが、これは外務省の方ですでに持つている資料もございますし、それから從來現地において責任をとられた民会、民團、その他関係者の方でまだお持ちになり、整理を続けられておるのもございます。
#57
○木村(俊)委員 そうしますと、訓令をお出しになるなり、返済條件についてははつきりした條件をおつけになつておらぬ。というのは個人の利益の問題でありますから、政府の保障においてただ後日に返済するというだけでお借入れになつたのか、あるいはどういう借款の形式を踏んでお借入れになつたのか。その点……。
#58
○倭島政府委員 御承知の通り当時この訓令の出ましたのは、はなはだごたごたしたときで、政府の電報も、長い電報は外へ出かねる状況でありまして、その際にとにかく何とか遺漏のないように現地でまかなえということでそれに今言つた、後日に返済するという心組みでということがあるわけでありまして、当時といたしましては從つてそういう点をはつきり詳しくは言つていないし、また言えなかつたわけであります。
#59
○木村(俊)委員 大体その点は了承いたしますが、ただ審査をなさいます際におきまして、今おつしやつたような非常にあいまいな環境の中でおやりになつておられる。從いまして貸した方の側から言えば、非常にあいまいな條件で貸した。審査の際はその点について十分愼重な態度をおとり願いたい。この点だけをお願いいたしたいと思います。
#60
○戸叶委員 借りたお金を返すことには何も異存はございませんけれども、その返済方法で、二つの点に私は心配な点があると思います。一つの点は貨幣價値が異なつておりますから、その基準をどこに置くかということに対しましては、今の説明によりますと、後に別途考えるという建前をとつておると書いてありますから、心配はないと思いますけれども、もう一つの点は、外地から引揚げて來る人たちは、引揚げに際しましてはみなまる裸になつて帰つて來ております。その人たちの中には営々として毎日働いて、ようやく何とか生活が樂になつた、幾らかの資産をためたという人も、まる裸になつて帰つて來ておりますけれども、この公館とか、あるいはまた自治團体に貸したということによつて、もしもそこに巨額な金がその人たちにのみ支拂われるといたしますならば、全部残して來た人たちと比べまして、そこに不公平が起るのじやないか。一部の財閥のみを利するという結果になりはしないかと私は懸念いたします。まる裸になつてしまつた人たちに対する方法は何も考えないという点で、私は非常に不公平になるような氣がいたしますけれども、そういう点に対してどうお考えになるか。またそれに対する措置といたしまして、支拂いをする場合に、最高額に対しての制限を加えるとかなんとかいう処置を、法律の中に盛られる意思があるかどうかということを、お聞きしたいと思います。
#61
○倭島政府委員 今の御指摘の点は、將來の支拂いについての法律で十分考慮せられるだろうと思います。なお從來関係方面と話をしましたときにも、この借上金の支拂いの問題について、当時戰後いろいろとられましたほかの法律とのつりあいの問題等も話が出ました。從つて將來支拂いが具体的に考えられる法律においては、今の支拂方法、その各限度、そういうようなことについても具体的に考慮し、また規定せられることになるだろうと思います。
#62
○山本(利)委員 ちよつとお伺いいたしますが、二十八万名はわかりますが、九億円という金額は大体現在の評價でございますか。二十一年ごろの評價でございますか。
#63
○倭島政府委員 それはさきにも御説明申し上げましたが、借上金は現地表示になつております。それをかりに一定の当時の関係者の適当と認められた換算率をきめまして、それでかりにはじいた概数でございます。
#64
○山本(利)委員 大体こういう法律は予算に関係することでありますから、現在の予算に盛るとすれば、九億円というふうに解釈してよろしうございますか。これは多少のからりが新しい法律で出ると思うのですけれども、現在およそ九億円を拂わなければならぬものと思うという意味でございますか。
#65
○倭島政府委員 これをはじきました換算率等につきましても多少問題があると思います。從つてその換算率を、大体当時の関係者の意見で適当だというふうに認められて、一應出した数字でございますが、現在これを拂う際にはどうなるかという問題についても、この法案の審査会でもいろいろ考慮せられ、さらに將來の法律できまる。それ以上どうもどういう額になるかということは、ちよつとここで申し上げにくいと思います。
#66
○山本(利)委員 その点はよく承知しておるのでありますけれども、われわれが問題として考えるのに、きようこの場合において九億円の問題として考えていいのか。これは時期がいつであるか。終戰当時であるとすれば、それから推算して現在ははるかに大きな金額、これの十倍、あるいは百倍とかいうふうにわれわれは考えて審議にあたるべきかということが、私の質問のねらいになつておるのですが、今の金で九億円ぐらいの問題と大体見ていいのでございますか。そこがはつきりしないのですが。
#67
○倭島政府委員 当時の債権債務関係は、ほかの関係でもほとんど動いておりません。本件についても大体当時の状況を標準にして考えるというのが適当ではないかと考えるわけであります。政府の一應の見当といたしましては、大体現在も九億という標準を持つております。
#68
○山本(利)委員 そうすると現在の約九億の問題とすれば、人員が二十八万名でありますから、割つてみれば平均はすぐ出ますけれども、この資料をお集めになりましたときの最高、最低、大体どのくらいでありますか。承りたいと思います。
#69
○倭島政府委員 今の最高の問題ははなはだ申しかねますが、例の九億円のうち、九割以上は一口大体三、四千円という程度のものでございます。
#70
○山本(利)委員 わかりました。
#71
○岡崎委員長 ほかに御質問はありませんか。
#72
○野坂委員 ちよつと一言――いろいろ今の質問の中からでも、例の最高額がわからないとか、人がどうだかわからないという。政府の方としてはこれについてのもう少し詳細な材料を提供していただきたいと思いますが、この準備がありますかどうか。いつ出してもらえるか。それから第二は別個の法律ということでありますけれども、あれはいつお出しになりますか。
#73
○倭島政府委員 そういう資料を集めたいというのが、この法案の一つの目的でございまして、第五條に九十日以内にその借入金を提供された人から、確認の請求をしていただくという建前になつておりますが、先ほども申し上げましたように、外務省の在外公館が直接関係しました資料は外務省で持つておりますが、そのほか民團等の自治團体で関係いたしました資料はまだその関係者の手元にあり、また調査中であるものが相当あるように存じております。從つてこの審査会がいよいよ発足しますれば、今のお話のような資料がだんだん出て來るようになつております。
#74
○野坂委員 法案の問題ですが、別個の法案はいつお出しになりますか。
#75
○倭島政府委員 それは今ちよつと見当がついておりません。この審査会が出発しまして、確認をされるというのが第一の準備過程でございますが、その後だろうと思います。
#76
○岡崎委員長 それでは大体質疑も出盡したようでありますから、これにて質疑を打切つて、なお討論を省略して採決を行いたいと思いますが、不幸にしてこの法案は急に提出されまして、印刷が間に合つておりません。それで後ほど採決の前に約十分ほど休憩いたしまして、各党で御協議を願つた上、採決を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○岡崎委員長 しからばさよう決します。
    ―――――――――――――
#78
○岡崎委員長 それでは並木委員から賠償の制限について質疑がありますので、これを許します。
#79
○並木委員 昨日からのアメリカの対日賠償工場撤去の中止という情報について、当局に御質問を二、三してみたいと思います。実はいろいろの報道がございますので、そういう情報を総合して一つの結論を出すということは、なかなかむずかしい状態にありますが、その点は昨日も山口長官が語られておりますように、はたして今度の賠償撤去が三割の中止であるか、あるいは全面的の中止であるかということもはつきりしておらない。こういうことでございましたが、その後の当局の集められました情報ではどうなつておりますか、まずこの点をお伺いいたします。それから順次質問いたします。
#80
○山口國務大臣 政府といたしましては、何ら公式に情報も受取つておりませんし、まだ完全に集まつてもないわけでありまして、あくまでもわれわれも、新聞等によつてその概略を察知する以外には方法はないのでありますが、しかしきようあたりの新聞を見てみますと、昨日私が内閣委員会で答弁したときよりも、相当アメリカ側の意思が明らかになつたようであります。從つて昨日は三割賠償、いわゆる中間賠償の程度においてという考えでありましたが、本日のマツコイ・アメリカ代表が極東委員会の会議で声明するという案文から察知いたしますれば、われわれが想像しておつた以上に、相当つき進んで全面的に賠償の解除をも意味されておるやに解釈しておるような次第であります。
#81
○並木委員 そういたしますと、私どもとしてはまことに喜ばしい情報でございますが、今まですでに日本から中間賠償として撤去を実施した分が相当あるように報ぜられております。たとえば三十億ドルに相当するもの、こういうようなことがありますが、その点どうなつておるのでありましようか。もしこれが撤去になると、今までたまたま賠償に充てられたところは、賠償を中止されるところから見ると公平でないわけなんです。個々の問題としてそういうものに対して、一應賠償の指定を受けた工場で、撤去されたものと残されたものとの間において、当局として何らか――たとえば公平な見地に立つて取扱つたか、こういう問題が起ると思いますが、そういう点に対する所見をお伺いします。
#82
○山口國務大臣 御承知の通り今まで指定されたのは約八百五十工場でありまして、中間賠償はそのうちの三〇%、そうしてこれは國内の問題ですが、その三〇%のうちですでに撤去されたものがその一割、一〇%ということになりますと、國内の全部で撤去されたものが約三%、こういうことになります。ただいま御質問の三十億ドル云々ということは、これは内地以外の工場の問題でありまして、これは現在賠償廳においてはタツチいたしておりませんから、お答えする限りではありませず、また不可能であります。今取扱われている問題及びわれわれがタツチできる範囲は、内地の指定工場賠償物件、こういうことに相なる次第であります。
#83
○並木委員 その後段の質問に対して……。
#84
○山口國務大臣 從つてただいまの御質問は公平、不公平ということでありますが、これが民間の工場の場合においては公平、不公平ができますが、今まで撤去されたものは全部軍工厰のものになつておりますから、それでその御疑念等はなかろうかと思う次第であります。
#85
○並木委員 それから平和産業の方面に対しては、これから無制限に使用が許されるであろう、こういうふうに言われておる。昨日の大臣の予想では、なるべく工場その他の責任において、撤去中止後再編成をしてこういう方面に使いたい、こういうふうになつておりますが、はたしてこれで撤去が中止になりますと、ただちに無制限に使用されるようになるでしようか。それともその間に必要な手続があるものでしようか。政府の御意向とともにお知らせを願いたいと思います。
#86
○山口國務大臣 もちろんわれわれといたしましては、無制限に生産の復興増強等の面に、平和産業の面に切りかえるようにお願いしたい次第でありますが、ただ三割賠償以外のものに対しましては、なお極東委員会に相当権限があるものと解釈しなければならぬかと思いますので、われわれの方で無制限に使用ができる、できないということを明確にこの場合お答えすることは許されてない次第であります。しかしわれわれどもといたしましては、あくまでも本日のマツコイ声明全文にのつとりましても、今後日本が自立経済に進む場合においては、これが全面的解除を強くお願いしなければならぬかと、かように思つておりまして、あくまでもわれわれとしては朗かな情報であると考えておるような次第であります。
#87
○野坂委員 ちよつと関連質問を……。私のお聞きしたいのは、この結果まず予算面で賠償撤去費、それから維持費、これが削減されるわけになると思いますが、これ以外に今賠償のために予算面に盛られているような金があるかどうか、あればどのくらいありますか。
#88
○山口國務大臣 維持管理費に二十六億六千万円盛られておるのでありまして、今野坂委員の御質問から私もヒントを得た次第でありますが、維持管理費を二十六億六千万円、二十四年度にも盛られておりますし、何としてもこれが轉用あるいは再轉用――ということは、われわれの用語としてはその同一工場内において使用する場合、また同じような製品をこしらえる場合、あるいは他に持ち運んでこれを使用する、再轉用ですね。そういうことをすみやかに実施するようにすれば、政府の努力次第では可能であろう。從つて維持管理をする必要がなくなれば、二十六億六千万円というような維持管理費がただちに削減される。こういう結果に相なるであろうと思います。
#89
○野坂委員 私のお聞きしたいのは、こうして予算面に現われた以外に、賠償のために賠償関係の費用がまだ含まれているかどうか、この点。
 それから今おつしやつたように維持管理費二十六億が削減されるということになれば、これはいつになれば決定するものでしようか。今日の新聞に報ぜられているようなアメリカ政府側のあの声明によつて、たとえば予算面から二十六億を他に流用することが今だだちにできるかどうか。できるとすればいつそれができるか。できないとすればいつになつたらそれができるか。こういう見通しを伺いたい。
#90
○山口國務大臣 二十六億六千万円の維持管理費は賠償廳関係のほとんど大部分の経費でありまして、その他は御協賛を願いました。今年度は百七十二名に対する人件費、いわゆる行政費がこれに追加されるだけであります。しかしてただいまの第二の御質問の、いつからしからばこの維持管理費が低減されるかという問題は、われわれといたしましては、きようからでもこれに向つて全力を傾注しなければならないと考えておる次第でありまして、それぞれのアメリカ側のセクシヨンと御相談をいたしまして、なおまた指定工場等にもそれぞれの通達をもいたさなければならぬし、そうしていずれは講和会議によつてこれは決定するのですから、それまでのいわゆる轉用といいますか、借用といいますか、その機械器具をフルに各工場の責任において維持管理して、それを平和産業へフルにまわして行くというようなことにいたしますれば、維持管理費だけが削減されるわけでありますから、そういう面に向つては、政府といたしましては、この厖大な二十六億六千万円がすみやかに全部他の方へ轉用できるように努力しなければならぬと、せつかく目下考えておるような次第であります。
#91
○岡崎委員長 それではこれにて質疑を打切ります。
 先ほど申し上げましたように約十分休憩いたしまして、十二時から委員会を再開いたします。
    午前十一時五十六分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後零時三十分開議
#92
○岡崎委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 先ほど討論は省略に決しましたが、改めて討論を行いたいと思いますが、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○岡崎委員長 御異議なしと認めます。それではただいまより討論に入ります。若松虎雄君。
#94
○若松委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意思を表する次第であります。
 第一回國会以來、本案に盛られたような融通しました資金について、一日も早く返済方の陳情を私どもは非常に多く受理したのでありまするが、今回の審査会の法案は、これらの希望者に対して一歩前進を示したのであります。いろいろ本委員会につきましても異論があつたようでありますが、要するに一日も早くこの債権を確定して、そうして安心を與えるということは目下の急務と存ずるのであります。しかも非常に件数が多いのに金額が案外少い、言いかえれば非常に大衆的な要求に対するこの審議会の措置でありまして、しかもいよいよ支拂うまでにはまた別個の法律が出ます。また現実の貨幣と、これを邦貨に換算することや、あるいは支拂いの方法等は、追つて提出さるべき法案できまるのでありまして、私はこれはその支拂うまでの予備行為としての審査会でありますから、この点は無條件に賛成いたしたいと思います。
#95
○岡崎委員長 松岡駒吉君。
#96
○松岡委員 先ほど質問しました通り、民間人相互の間における貸借関係なりその決済が、その筋によつて禁ぜられているという事実、これは本來同一な性質を持つ貸借関係でありますから、本案は言うまでもなく債務を確認するというだけのことではありますけれども、債務はこれを支拂うということを前提として大体確認されるわけであります。從つてGHQで禁止されているところの民間相互間の決済は、この審査が終り、かつ別個な法案ができるまでにも、必ずこの問題が解決することのために、政府は責任をもつて努力するということを條件として、かつもう一つは別個につくられる法律の中に、これは無制限でなくて一定限度を設けて最高額を規定するという條件づきで賛成することにいたします。
#97
○岡崎委員長 並木芳雄君。
#98
○並木委員 民主党を代表いたしまして、この法案に対して全面的に賛成の意を表するものでございます。私たち関係当局、あるいは國会その他國民の皆樣とともに今まで努力を拂つて参りました者といたしまして、遅まきながらとにかくここまでこぎつけて來たということに対しましては、ほんとうに心からの喜びを表するものであります。こういうような法案が出ましたときに、かつまた今回の外務委員会の審議の唯一の法案としましたときに、外務大臣が見えなかつたことは、はなはだわれわれさびしい氣持はしますけれども、おそらく委員長の方からもこの点を外務大臣に傳えて、今後こういつた努力の結晶になるような法案が出たときには、必ず外務大臣も出席されるようにお願いいたしまして、私の賛成討論を終ります。
#99
○岡崎委員長 野坂參三君。
#100
○野坂委員 簡單に私にちの意見を申し述べたいと思います。戰爭犠牲者を救済しなければならぬ点においては、われわれはもちろん賛成であるし、積極的にしなければならないと思います。この法案のその意味における精神は、われわれまつたく賛成でありますけれども、しかしきようの質問及び答弁を見ましても、政府の方の提出される材料というものは、非常に漠然たるものであつて、われわれにとつてはまだ一体どういう條件のもとに、だれがどういうふうな犠牲を拂つているかという点について、正確な材料を提供されていないと思うのです。この意味では私は、この法案についての審議はきよう当然打切るべきでないと思います。もう少し愼重に審議すべきではないかと思います。と申しますのは、これは全然うわさですけれども、二、三年前に聞いたところでは、ある外國から終戰後すぐ引揚げるときに、その在留邦人が貴金属を領事館の役人に託して、これを領事館側の借金にした、そうしてこの託されたものは安全に日本に送り返す、その託したものはこれを債権として、証書を持つて帰つた、こういうようなうわさもあるのであります。こういうような点も十分われわれは審議しなければならぬ。当然支拂うべきものは支拂わなければならぬし、これは國家の債務であるから、われわれは責任を持たなければならぬと思う。
 第二には、この法案を見ますと、別個の法律によつて條件をきめるということが言われておりますが、その法案が全然まだ出ていない。つまり別個の法案というものが現在もこの法案の精神になつて來ると思うのです。これを並行的に審議しないで、ただこれだけをお出しになる。この点においてもわれわれは政府側のやり方について了解に苦しんでおる。これがない限りは、これにわれわれはそのまま賛成しにくい。
 第三に申し上げたいことは、この法案を確認するということは、先ほど松岡君が言われたように、政府が債務を持ち、そうしてこれを支拂つてやるということを意味しておる。その意味において、われわれとしては現在の今言つたような段階のもとでは、確認ということをこの委員会の権限に與えるのは行き過ぎではないか、この委員会としては審査するという程度にとどむべきである。その結果において新しく確認するような権限を持つた委員会をつくつても、別個の方法があり得ると思う。だから確認するということはここでやるべきではない。審査にとどめるという点が第三の点であります。
 第四点は、この委員会に六名の者を外務大臣が任命するということになつている。これは政府側の御意見では、海外の事情を知つているような人を六名任命する。こういうふうに言われておりますが、この点においても、よほど運営をうまくやらないと、いろいろ問題が起りはしないか。むしろこれよりも今各種の在外同胞の同体がありますが、こういうようなところから民主的に選んだ者を、この委員会に六名ではなくて、もう少したくさん出して、ほんとうに公平に現実に即したような審議をやつて、この賠償をやるというふうにすべきである。もつと民主的な委員会にするのでなければ、遺憾ながらこのままこの法案を受入れることはできないわけです。私たちの方としては、具体的に修正案を出したいのですけれども、時日の問題、手続の関係上きようこれができませんので、簡單に申し上げれば、第一條の二項を全然削除したらよろしい。それから第三條の外務大臣云々とありますが、それ以下を削つて、そのかわりに引揚邦人その他民主的團体より選出された委員若干名で組織する、つまり民主的委員会でやる、こういうふうに修正すること。それから第六條を削つて確認ということを削る。手続上これは正式に今提出するわけに行きませんので、政府側としてはそういう趣旨に基いてこれを修正されて、もう一度起草し直してもらうということを私たちは要求したいと思います。
#101
○岡崎委員長 山本利壽君。
#102
○山本(利)委員 私はこの案に賛成いたしたいと思います。ただ先ほど來の質疑應答によると、この借入金の支拂いが講和会議終了後になるのではないかという樣子でありましたけれども、債権者の大部分は三、四千円とのことでありますから、かかる少額のものに対しては引揚者救済の意味において、講和会議終了を待つまでもなく、でき得る限りすみやかに支拂い得るように今後政府において御努力を願いたいと思います。
#103
○岡崎委員長 安部俊吾君。
#104
○安部委員 私は民主自由党を代表いたしまして、先ほど賛成の御意見を発表された同僚の御意見を補足したいと思います。それは先ほど松岡君のお話もありましたが、これは在外公館等借入金整理の問題でありまして、民間のことはこれを切り離してやるべきである。そこでそういうような條件を特に付する必要はないと思うのであります。それからまた野坂君の御意見でありますが、ここに他の法律ということは單にこれは細則であつて、返済の額とか、あるいは方法、換算の率等に関する細則であつて、これは本案にほんとうは関係するのでありますが、この法案に対して相扞格するような細則はできないのでありまして、その必要がないと思われます。また不公平であるとか、あるいは縁故関係であつて、うわさによれば在外公館の借入金は、官憲が民間の金を安全に本邦に持つて來る便宜を與えるために借入れたというような御意見のように拜聽いたしましたが、そういうことはうわさであつて、その当時の情勢にかんがみればやむを得ないことであつた。外務省から金を持つて來ることができないから、どうしてもこれはやはり便法として在留邦人の金を借入れるということは、最も適宜な方法であつたと思います。その点からもやはりこれは返済すべきであつて、そういうような杞憂は必要ないと思います。それからまた審査会がありますれば、やはりこれはそこに当然その結論が生まれるものであつて、この法律は確認を與えなければこの法律の意義をなさぬのであつて、審査会があれば確認するのは当然でありまして、それでよろしいと思います。それからまたいろいろ御意見がありましたが、これはあらゆる方面から見ましても原案はその通りでよろしい。先ほど政府委員の説明もありましたが、その説明で私どもは全國的に満足するものでありまして、この原案をここで採決いたしまして、そのまま通過いたすように希望するものであります。
#105
○岡崎委員長 これにて討論は終局いたしました。採決を行います。原案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#106
○岡崎委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決いたしました。ただいま政府側より発言の要求があります。これを許します。近藤政務次官。
#107
○近藤(鶴)政府委員 在外公館等借入金の問題につきましては、終戰以來非常に懸念されておつたのでございますが、直接担当いたしております外務委員会なり、引揚対策委員会なりでは、特にこの問題について関心を持つて非常な御努力をいただいたことと思います。このたびここに在外公館等借入金整理準備審査会法案を提出いたす運びになりましたことは、皆樣方の非常な御努力と感謝いたす次第でございますが、法案の審議に対しましても、いろいろな角度から十分な御研究をいただきまして、ここに採択になりましたことを、所管省といたしましてお礼を申し上げる次第でございます。
#108
○岡崎委員長 なお委員会報告書の作成は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○岡崎委員長 それではさよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#110
○並木委員 これはただいまの法案とは別問題ですが、もう一つ内閣委員会にかかつております外務省設置法案、これにつきまして、私たちは理事会を開いて委員会の皆さんの御承認を得て、希望條件を向うに申し送つておるわけであります。ところが私の方から出ております内閣委員から話を聞きましたところ、岡崎委員長は非公式ではあつたと思いますけれども、内閣委員会の方にひつぱり出されて、そうしてわれわれの修正点に対する意見を聞かれたときに、あえて固執しなかつたということを聞いたのですが、これは眞偽のほどは本人から聞いてみなければわからないから、私はきようは外務委員会があるから、そのときに直接お聞きしてみますといつて、けさ出て來たが、こちらの空氣を当然そのまま傳えるのが委員長の役目だつたと思いますが、どういう空氣であつたのですか、御報告願いたいと思います。
#111
○岡崎委員長 私は内閣委員会に参りまして、外務委員会の修正の諸点を書面にして提出いたしまして、なおこれについて外務委員会の経過を口頭で説明いたしました。その際これを採用するかどうかの決定の権限はむろん内閣委員会にあるので、外務委員会は関與するところではない、適当におきめ願いたい、これだけのことを申し上げた次第であります。それ以外には何も言いません。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
    午後零時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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