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1949/04/18 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第6号
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1949/04/18 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第6号

#1
第005回国会 運輸委員会 第6号
昭和二十四年四月十八日(月曜日)
    午後二時十一分開議
 出席委員
   委員長 稻田 直道君
  理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君
   理事 關谷 勝利君 理事 佐々木更三君
   理事 佐伯 宗義君 理事 田中 堯平君
   理事 橘  直治君
      岡田 五郎君    尾崎 末吉君
      鈴木 明良君    高橋 定一君
      松本 一郎君    滿尾 君亮君
      柄澤登志子君    飯田 義茂君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 大屋 晋三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  坂田 道太君
        運輸事務官
        (官房長)   芥川  治君
        運輸事務官
        (鉄道総局長
        官)      加賀山之雄君
        運輸事務官
        (同総務局長) 三木  正君
        運輸事務官
        (同主計第一課
        長)      田中健之助君
        運輸事務官
        (同業務局長) 藪谷 虎芳君
 委員外の出席者
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
四月十六日
 委員黒澤富次郎君辞任につき、その補欠として
 平澤長吉君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
四月十六日
 荒海、瀧の原間鉄道敷設促進の請願(菅家喜六
 君紹介)(第三六三号)
 出石鉄道復活に関する請願(佐々木盛雄君紹
 介)(第三六五号)
 人吉、渡両駅間に停車場設置の請願(福永一臣
 君外一名紹介)(第三六六号)
 長崎より茂木を経て喜々津に至る間に鉄道敷設
 の請願(岡西明貞君紹介)(第三八三号)
 旭川、幌加内間並びに和寒、上士別間國営自動
 車運輸開始の請願(松本六太郎君外一名紹介)
 (第三八六号)
 城端、北濃間鉄道敷設の請願(平野三郎君紹
 介)(第三八七号)
 石巻、女川間鉄道電化の請願(大石武一君外二
 名紹介)(第三八八号)
 仙石線の複線化並びに石巻、女川鉄道電化の請
 願(大石武一君外二名紹介)(第三八九号)
 上濱村に停車場設置の請願(村上清治君紹介)
 (第三九〇号)
 南豫線拂下反対の請願外二件(高橋英吉君外八
 名紹介)(第三九一号)
 稲荷山、姨捨両駅間に停車場設置の請願(倉石
 忠雄君紹介)(第三九四号)
 石廊岬に國際ホテル建設の請願(畠山鶴吉君紹
 介)(第四三四号)
 若江線拂下反対の請願(福田一君紹介)(第四
 四三号)
 一戸より鳥海、浄法寺を経て好摩に至る間に鉄
 道敷設の請願(野原正勝君紹介)(第四四四
 号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十四日
 阪和線拂下反対の陳情書外十件(和田市加守町
 三百七十五番地山本勝治外二百五十二名)(第
 一七五号)
 雲藝線並びに大田線拂下反対の陳情書(島根懸
 飯石郡町村長会長廣田力直)(第一九五号)
 青梅鉄道並びに奥多摩鉄道拂下反対の陳情書(
 東京都西多摩郡西多摩村会議長石川未平外二十
 一名)(第一九七号)
 大畠駅に準急行列車停車の陳情書外一件(山口
 懸大島地方事務所長中原幸六外五名)(第二〇
 三号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 鉄道運賃の改正に関する件
    ―――――――――――――
#2
○岡村委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長がお見えになりませんので、私がかわつて委員長の職務を行いたいと存じます。
#3
○田中(堯)委員 ちよつと、大臣も見えておりますので、緊急に二つほど質問したいことがあります。第一は、三月末から四月にかけまして、國鉄では三月中に任意に退職すれば、現行制度で相当な退職金を出す。ところが四月になれば、退職金の問題はどうなるかわからぬぞというような、非常に從業員に対し不安を與える、惡く言えば官側の方で一種の詐術を用いて、そういう態度に出て、中には張紙をやり、あるいは正式に訓示のような形で從業員に示したりして、相当の退職者を自発的に――形式的には自発的にですが、退職者が出ておるようです。こういうことははなはだ遺憾ですが、これに対する御答弁を大臣にお願いしたいと思うのです。
#4
○大屋國務大臣 今の田中君の御質問に、当局で詐術を用いて伝々ということがあつたのですが、さようなことは絶対にないのであります。國鉄の從業員で三月中に退職を願い出た者が相当あるのは事実なのでありますが、それはおそらく、ただいま田中君の御発言の中にもありました通り、目下行政整理が行われるということになつておりますので、三月中にやめた方が、あるいは行政整理が四月後に行われる場合に、給與されるであろう退職手当が、三月中にやめた方が有利であろうかというような動機で、三月中に退職の願出をしたというような從業員があるかもしれません。しかし今言うように、運輸大臣といたしましては、三月中にやめろというような、そういうことは言つてないのでありまして、それはさように御了承を願いたいのであります。ところでもう一つ、この退職手当の問題ですが、行政整理の場合にどういう率の退職手当をやるかという問題につきましては、閣議においては從來の基準を尊重して、またさらに最低が四箇月を下らないという程度にしたいという方針を定めまして、目下関係筋にそれを協議しておるような始末であります。
#5
○田中(堯)委員 そういたしますと、今の御答弁では、やめたのは職員の完全な自発的なことであつて、官側の方から勧誘をしたということは、全然なかつたという御趣旨と思いますが、実は私の方ではいろいろな事実の報告を受けているのです。たとえば福島管理部では、三月二十八日に管理部長から現場長に対して指令が出ておりますが、それによると、四月一日以降退職者の退職賜金はどういうことになるかわからぬ、三月三十一日までの申出に対しては現行制度で退職金をとりはからうからというような、また現場長はこれに尾ひれをつけて、盛んに退職を勧誘したというような報告が来ております。また東鉄管内でも、これに類した事実が報告されて來ておりますが、こういう事実は全然否認なさるのでありますか。
#6
○大屋國務大臣 今の問題は、ただいま申し上げました通り、運輸大臣としては、さような指令も、命令も、何も発しないのであります。各所におきまして、いかようなことがあつたか、少くとも運輸大臣はそれに関知しないのでありまして、あるいは先ほど申し上げました通り、心理的に、三月にやめるのと四月にやめるのとでは、退職手当に何らかの差があるであろうというような気持で、三月中に相当の人が退職を願い出たというようなことはあるかもしれません。
#7
○田中(堯)委員 三月末から四月初めにかけて、相当数というと、大体どのくらい退職しておりましようか。
#8
○大屋國務大臣 大体一万二千名くらい申出があつたと覚えております。
#9
○柄澤委員 このことに関連いたしまして、実は人事委員会におきまして土橋委員から御質問申し上げたのでございますが、神奈川電車区の角田悦次郎という五十六才になる二十三年間勤続いたしました者が、ただいま田中委員から発言がありましたような形で、一旦辞職の決意をいたしましたが、この辞職を申し出ましてから、この事実が相違していることを発見いたしまして、ただちに辞職を取消したのでございます。ところが、もうすでに本省側にこの届出が済んでしまつたのであるから、やむを得ないというような報告になつて、そのまま現在に至つている事実があるのでございます。それに関連いたしまして、國鉄労組の方からの情報によりますと、大体八千名くらいの從業員が、こうした形によつて辞職の届出をしているというような事実が、私どもに漏らされているのでございまして、ただいま運輸大臣の御返答では、運輸省としてはそういう指令を出した覚えはないというようなことでございましたが、明らかに官側の方針として、現場に――神奈川電車区におきましては、四日の朝二時間ぐらいは掲示が張り出されていたそうでございます。このことにつきまして、運輸大臣はどうお考えになりますか。御意見を承りたいと存じます。
#10
○大屋國務大臣 ただいまのようなことは、運輸大臣においては何ら関知しないのでございます。
#11
○田中(堯)委員 どうもそういう事実があつたのがほんとうではないかと私ども考えるのであります。そこで運輸大臣に最後にお答え願いたいことは、かりにそういう事実があるとするならば、これに対して十分に考慮をされたい。これをお約束願いたいと思うのですが、その点について一言お伺いしたいのです。
#12
○大屋國務大臣 その考慮というのはどういうことか知りませんが、とにかく運輸大臣の方針としましては、三月中にやめた者も、四月にやめた者も――いわゆる四月中に行政整理におきましてやめた者も、また三月中に官の都合という名目でやめました者も、それに対する退職手当は、三月も四月もかわりなしに扱うという方針にしておりますから、ことさらに三月中にやめる必要はないと思つておるのでしたら――特に考慮するというのは、どういうことを考慮するのか知りませんが、そこのところはどういうことですか。
#13
○田中(堯)委員 その考慮という意味は、そういう錯誤に落ちて辞表を出したが、実は官側の方からの勧誘、惡く言えば指図ということは言い過ぎかもしれぬが、そういう工作によつてつい辞表を出したという事実があつた場合には、辞表の撤回を受入れていただきたいということであります。
#14
○大屋國務大臣 それは思い違いで辞表を出したが、何もそうあわてて役所としても辞職させる必要がない、本人もまたそれが思い違いであつたというときには、私は本人の希望を聞いてやるのが適当ではないかと思つております。
   〔岡村委員長代理退席、委員長着席〕
#15
○柄澤委員 ただいまの運輸大臣の御証言によりまして、そうあるべきであろうと思うのでありますが、最後にこのことは、重要な労働者の生活権の問題でもございますから、念を押してお願いしたいのでありますけれども、官側の都合で首を切られる者よりも、自分の理由で首を切られる者が退職手当が多いということは、これは当然おかしなことでありまして、官側が行政整理という方針をもつて労働者の首を切る以上は、みずから申し出た者によけいやるというような條件をつけて、辞職を勧告することは当然ないだろうと思います。ですから、もしこの角田悦次郎という神奈川電車区の人の申し出たことが事実でありましたら、これに類似するところの、國鉄労組が取扱つておりますこうしたたくさんの人たちの辞表提出に対しましては、ぜひただいま運輸大臣の御証言にありますように、その辞職を取消していただくことを切望する次第でございます。ただいまの運輸大臣の御証言は、それをお認めになつたものと考えましてよろしゆうございますか。
#16
○大屋國務大臣 それは個々の事情によりまして、三月中に辞表を出した者が、ほんとうに何か考え違いをして、今の退職手当の問題なんかでやつた場合と、ほんとうに自分の意思でやめたという場合と、いろいろ差があろうと思います。ですから、それを一括して、一様にそれを私が訂正するということも、これは言い過ぎだと思うのですが、ほんとうに間違つた、つまり錯誤というか、誤りで、やめたくない者が、やめたという場合には、個々の事情をそれぞれの地方の長において聞いてやるのが、私は当然だと思います。それからもう一語つけ加えますが、三月中にやめました者も、必ずしも自分の都合という以外に、官の都合で行政整理の部類として扱うということも、在來しばしばやつております。今回もそういう取扱いをすべきものがたくさんあろうと思いますから、それも御了承願います。
#17
○柄澤委員 ただいまの運輸大臣のお話の中の、間違いであつたものは取消すという御証言は、田中委員から御提案になりました、三月中に退職を申し出た者は、四月になつて行政整理の処分によつて首になる者よりも退職手当が多いという、当局側の個人的な説得あるいは掲示によりまして、それを眞実といたして辞表を申し出た者ということに、こちらが判定いたしてもよろしゆうございますか。
#18
○大屋國務大臣 それは個々の場合につきまして、一々当つてみませんとわからないと思います。早い話が、非常に惡い札つきの者で、いつか処分しようと思つておつた者というのが、多少あるかもしれません。四月に入つたら処分をすべきものであるというふうに、かねて目星をつけられておつた惡い人間で、たまたま三月中にやめた方が得だというような人は、私はそうよけいないのじやないかと思いますから、要するにおしなべて、三月にやめても、四月にやめましても、官の都合で行政整理という案ができますから、退職手当は同じというように考えていいのです。もしそこにほんとうに間違いでやめたという人があつたら、それは当然交渉のし直しをしてもいいじやないかと思つております。さように御了承願います。
#19
○田中(堯)委員 それではいま一つの問題でありますが、これは本会議で大臣が御答弁になつたところですけれども、車両等の注文代金の未拂いのために、関係労働者が非常に困つている。約二十七億の未拂い代金がある。これは何とか早急に善処するということでありましたが、その後のこの未拂い代金の善処の経過を御説明願いたいと思います。
#20
○大屋國務大臣 この二十七億円のうち、ほんとうに未拂いに属するものは二十一億円くらいです。それでこれはいろいろな理由がありますので、この昭和二十四年度の予算が通過いたしましたあかつきにおきましては、私は五月一ぱいに、この二十四億の未拂いを全部拂いたいというつもりを今いたしておりますし、ほとんどそれができると思つております。
#21
○松本(一)委員 関連しましてちようど幸いな機会ですから……。この國鉄の行政整理と人員整理の問題について、予算委員会でお尋ねをしたいと思いましたが、あいにくかけ違つて機会を失したのですが、國鉄がコーポレーシヨンとか、独立採算制をある筋から強く言われます以上、これはやむを得ないことでありまして、この独立採算制の問題については、適当な機会に意見を申し述べたいと思います。その整理について、予算の説明書に、また当局もしばしば言われております十二万人整理、その中で一万人余りが本人の希望によつて退職するとすれば、あと十万人余りというもの、これはむりにも整理を願わなければならぬということになるのです。そこで問題は、この重大な問題を控えて当局のお考えを伺いたいと思うのは、整理の対象をつとめて非現業に置かれるのか、あるいは現業に置かれるのか、この点を一應伺いたいと思います。
#22
○大屋國務大臣 それは現業は二割、非現業は三割やるべしというのが大体の基本観点でありますから、現在おります人間に対しまして、非現業は三割、現業は二割というのが一應の目標になつておる。前國会のときは岩本案で、今度は本多君が管掌しておりまして、目標はそういうようになつておりますから、それに應じて一應の目標を立てるということであろうと思います。
#23
○松本(一)委員 政府の根本方針はそういうことであると承つていますが、これは所管する廳によつて大分違うのじやないか、こう私は考えております。大体運輸省は現業本位の官廳であつて、現業は労働基準法を嚴格に施行する場合において、実際問題として、そうむりな整理はできぬのじやないか。むしろ他の官廳とは異なつて、非現業の三割のところを、あるいは四割にする、現業は二割をむしろ一割にとどめるということに、運輸省事だけはお考えを煩さぬことには、輸送は増強せなければならぬ、旅客にはサービスをしなければならぬ、過失を少くしなければならぬという、実際問題の解決が困難じやないか、こう私は考えるのです。
 それともう一つお伺いしたいと思いますことは、整理の対象を普遍的に考えられて、たとえば能率の方から、出勤時間の惡い者とか、あるいは退職年齢に近寄つておる者とかいうようなことは一應考えられるのですが、今日家庭の中心となつて、その者でなければ一家がささえて行けないという從業員を整理することは、あまりにも忍びないのでありまして、地方に行きますと、農家の子弟であつて、家庭において保有米を持つており、都合によつて家に帰れば、農業の手助けもできるような立場にある人、そういうような人は、ここ当分配置轉換、あるいはかりに職場がなくともがまんもできましようけれども、しからずして、引揚者あるいは戰災遺家族、そういうような地位に置かれた人が整理されますと、さしあたりの家庭生活に非常な打撃を與え、一家が枕を並べて自殺をしなければならぬものができて來やしないかと思います。こういう場合においては、原則的なことよりも、実際問題に即して整理をする。その人を個々に鑑別しておやり願わなければならぬのじやないか、こう私は思うのですが、その点とくと承つておきたいと思います。
#24
○大屋國務大臣 ただいま松本委員の仰せられた点はごもつともなので、そういう点をひとつ考慮して、十分取入れてやりたいと思つております。第一の点ですが國鉄の現業、非現業の割合は、六十二万人ほどおりまする総員のうちで、非現業というのは大体七万程度じやないかと思つておるのです。それですから、非現業の方の三割標準を、かりに率を上げて三割以上四割くらいやつて、現業の方の率を二割よりも少くするというのでは、数のバランスからいうと――そういうお考えもけつこうなんですが、どうかと思うのです。
 第二問に、いわゆる一家の支柱である働き手を整理の対象にすることは、避けなければならぬというような御意見もあつたのですが、さような点もよく考慮いたします。そこでお説の中にありました能率の惡い者とか、あるいは成績の上らないというような人間を一應目標にする。それからまた、病氣その他で出欠の常でないというようなグループも、ひとつ優先的にこれを整理の対象にあげる。それから先ほどのお話で、すでに眞実自発的に退職の希望者もあるようですから、そういうような者をまず先に差引きまして、あとはなるべく実情に適した方法を加味してやりたいと思います。しかし配置轉換といいましても、住居その他の関係がございまして、昔の自由経済時代のように、仙台で余つた人間を札幌へ持つて行くとか、九州で余つた人間を東京へ持つて来るというふうに、自由自在に行かぬのが今日の非常な難点でございますので、整理をするのに非常に難渋を來すのですが、いかにしてどういう方法でやるかということは、目下行政整理本部と運輸省におきまして、綿密な考慮のもとに計画中なので、まだ結論が出ておりませんが、御注意の点は十分了承いたしまして、やることにいたします。
#25
○高橋(定)委員 六月一日から日本國有鉄道が発足するにあたりまして、この鉄道法の三十六條の「鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体の会計を規律する法律が制定施行されるまでは」という問題に関連しまして、目下公共企業体の発足に間に合うように、大藏省とある部面の改正について折衝中のように聞いておりますが、その経過をちよつとお話願いたい。
#26
○大屋國務大臣 これはこの前の國会で日本國有鉄道法が成立いたしますときに、國会におきましても、修正をすべき意見が非常に多数あつたのでございましたが、当局と関係筋の希望がございまして、とにかく通すことを急ぎました関係がございますので、私たちといたしましても、それらの事情にかんがみて、國有鉄道法の中のいろいろな金融措置というような方面に対して、この原案を修正する意見を持つておりますが、目下本議会にはそれを提出するに間に合わぬので、次の第一の機会にひとつ提出したいと思つております。
#27
○高橋(定)委員 万一間に合わぬといたしましても、現在までの審議の状況を次の委員会に説明していただいて、あらかじめ当委員会においても、次の國会まで持ち越すか、あるいは強行突破するように持つて行くかということを考えたいと思う。
#28
○大屋國務大臣 それは次の委員会でやつてけつこうでございます。しかしもし今日時間がありますれば、資料もあるそうですから、今日済んだ後にやつてもよろしゆうございます。
#29
○稻田委員長 本日は鉄道運賃の改正に関する件について議事を進めることにしておりますので、爾余の質問は他日に移したいと思います。
    ―――――――――――――
#30
○稻田委員長 この際御報告申し上げますが、去る十六日黒澤富次郎君が委員を辞任いたされましたので、その補欠として平澤長吉君が運輸委員に選任いたされました。右この機会にお知らせいたします。
    ―――――――――――――
#31
○稻田委員長 それではこれより日程に入ります。すなわち鉄道運賃の改正に関する件につきまして会議を進めたいと思います。鉄道運賃の改正につきましては、近く法律案として提出されると思いますが、委員会といたしましては、その法律案が付託になりましてから審査をいたしますのが建前であります。しかしながらなお関係万事面との交渉で提出の運びになつておりません。それを待ちますと、多少時間もかかりますし、この際國政調査という権限が與えられておりますから、それによりまして、あらかじめ運賃の改正問題について検討いたしておく方が、あとのために便宜かと思いますので、さよういたした次第であります。先般当局から運賃改正の要綱を発表になりまするや、各方面より種々批判の声が聞えております。運賃の値上げは國民生活に影響するところがまことに多いのでありまして、運輸委員会としてはこれに最大の関心を拂つておるのであります。從つて本日は、当局より法案提出の見通し並びに現在までの経過等を簡單に御説明を願い、今次改正の基本方針等について説明を願いまして、しかる後委員各位の御質疑なり御意見なりを伺うことにいたすつもりであります。それでは政府当局よりこれについて御説明を願います。
#32
○大屋國務大臣 ただいま委員長から御発言のありました通り、今回政府におきましては貨物運賃はすえ置いて、旅客運賃のみ現行の六割を上げるという方針に決定いたしまして、目下その法案及び施行法をただいま委員長御発言の通り、関係筋に持ち込んでございますので、後日御審議を願えると思いますが、その前提として、本日はその内容について御説明を申し上げたいと存じます。政府委員より詳しく御説明を申し上げます。
#33
○藪谷政府委員 それでは私から今回の運賃改正について御説明を申し上げます。
 御承知のように、運賃を修正いたします際には、まず九原則に基いて收支均衡、独立採算制の立場から見て、輸送原價の観点からいかほどにすべきかという観察をいたします。第二には、國民の負担力なり、あるいは物價に対する影響の観点からこれを檢討いたします。第三には、経済政策あるいは他の國策上の見地から、これを檢討いたすのであります。從つてこれらの三点から総合的に観察して、結論を出さねばならぬと思うのであります。そこでいろいろとデータがありますが、お手元に差上げた運賃関係資料という表のうちで、まずおもだつたものだけ簡單に御説明をいたします。お手元に差上げた表の中で第六表をお開き願いたいと思います。経済諾指数の表の一番左に、國民所得がどうなつているかということがあります。この問題でありますが、昭和十一年の指数を一〇〇といたしまして、二十三年十一月現在における指数の欄をごらんになつていただきますと、百四十八倍近くになつております。それから通貨発行高は大体百九十倍程度、それから物價指数を見ますと、卸賣においては百九十一、小賣においては二百十、ます平均して二百倍程度に上つております。これに対して給與指数を見てみますと、官公吏の例として國鉄を見ますと、大体八十六倍でありますが、工業勤労者の場合においては、百三十七倍程度になつております。これは二十三年九月現在であります。
 第八表をお開き願いますと、運輸機関別の運賃指数が載つております。これによりますと、國鉄の場合においては昭和十一年を一〇〇といたしまして、五七六九、すなわち五十八倍程度、しかしながらこれは一番上の欄に書いてあります通り、旅客最初の一キロ当りの運賃でありまして、平均の旅客運賃から見ると、約五十倍程度であります。実質運賃から言いますと、すなわち物價の値上りの指数で割つたものによると、二十五倍程度のものとなります。これに対して同じ陸上の関係から言いますと、自動車がトラツクにおいて百五十倍、バスにおいては八十三倍、小運送費が九十五倍、一番右の方の下の欄にございます。まん中の海運と比較いたしてみますと、まず汽船の運賃は、例を若松――横浜にとつて、石炭一トン当りの運賃を基準にして計算してみますと、二百十三倍、機帆船は四百五十倍、はしけが百二十七倍程度になつておりまして、各運輸機関別の運賃を比較いたしましても、國鉄の旅客及び貨物の運賃は非常に安いということになります。物價指数の中で、一般には先ほど申し上げたように三百倍近くになつておりますが、その中で鉄道の使用いたします資材の値上りは、大体三百六十倍程度になつております。
 かような関係で、鉄道の会計においては、戰時中を通じて、いまだかつて赤字を見なかつたのでありますが、物價の値上りに遅れて、しかも低率に運賃改正が行われて來ました結果、非常な赤字を戰後において見ることになりまして、本年度においても経費の思いきつた節約、あるいは不用品の財産の処理、あるいは増收対策といつたようなものをできるだけ考えても、なお現行運賃においては二百三十億の赤字が出るのでございます。この赤字を埋める方法といたしまして、運賃値上げ以外にはないのでありまして、まず先ほどお示しいたしました第六表の経済指数から見まして、旅客は三倍ないし四倍程度上げれば、物價並びに國民所得とバランスがとれるということが言い得るのであります。
 次には第七表をお開き願いたいと思います。第七表の收支予定表でありますが、これは昭和二十三年の第二・四年期における原價と收入の比率を示す現状の姿でありまして、鉄道の運賃におきましては、旅客定期は支出一〇〇に対してわずか二六%の收入しかない。定期外は一三一、これを合計しまして八八%の收入しかないのであります。荷物におきましては三六、郵便車は四七、小口車扱いの貨物におきましては四三、こういつたような原價計算に相つております。これを見ますと、理想的な形から申しますれば、原價計算の面からのみ見ますと貨物は三倍程度、定期は四倍程度、定期外はむしろ下げるべし。こういういろいろな議論が出ると思いますが、これに対してもし六割値上げをした場合には、本年度の予算面においていかなる收支の予定になるかということが第七表に書いてあります。
 それからあとは第十表、第十一表について御説明申し上げます。第十表は総理廳統計局において、二十二、二十三の両年にわたりまして調べたものでありますが、東京、名古屋、大阪の三都市における生活費に占める交通費の割合を摘出したものであります。この総理廳の調べによりますと生活費に占むる交通費の割合が、一・二ないし一・三という非常に少い率になつております。これを幾分上げましても、生活費の雑費が一四%ないし一六%、こういつた比較的余裕のある部分に吸收し得るのではなかろうかということが看取されるのであります。第十一表について御説明出し上げますと、昭和十一年における官公吏の賃金は大体五十六円七十二銭でありましたが、その当時定期の平均乗車キロが十二キロで、その運賃が四円七十銭でありますから、運賃の貸金に占むる割合が八・二九%であります。爾來賃金ベースが上昇いたしまして現在の六千三百七円の場合におきまして運賃は二百八十円、その比率が四・四四でありますから、戰前のノルマルな状態における八・二九あたりまで上げるといたしますと、まだ約三倍程度上げ得ることになるわけであります。工業労働者についても大体同様な比率かと思いますので省略いたします。
 ついでに貨物についてやはりこうした観点から、いかなる事情になつておるかという問題があろうと思いますので、簡單に御説明を申し上げます。鉄道にかかります全貨物の一トン当りの價格に占める通賃の割合は、第九表にあります通り、わずかに〇・七七%、ところがこの総貨物のうちで二十七品目を摘出いたしましたものが十六表でありますが、昭和十一年のノルマルの時代における價格に占める運賃の割合は、米について見ますと、当時二百七円二十三銭のうちで二円二十八銭が運賃である。一・一%が運賃になるわけであります。かようにしてずつと二十七品目の生活物資あるいは基礎物資、重要物資等の平均をいたしますと、四・六一というのが、價格に占める運賃の割合でございます。ところがこれに対して二十三年九月においてはどうなつておるかと申しますと、現在においては、價格に占める運賃の割合はわずかに二・六七%であります。これを大体七割程度増加すれば、戰前の姿になるわけでありますが、ここに問題となりますのは、この運賃の價格に占める割合の大きい石炭石とか、硫化鉄鉱、あるいは石炭、銑鉄、砂利、こういつたものについては、七割ないし倍というような値上げをいたしますと、これらの價格については改正を要するというのがほんとうであります。しかしながら補給金だとか、あるいは一次製品に吸收されずしても、二次製品、三次製品に吸牧されて、國民の生活の消費償格において上らなければよい、こういう結論になるわけでありますが、そこが一番論点の中心であろうかと思います。そこで國民といたしましては貨物において――生活においてこれを負担するか、旅客運賃として負担するか、こういう問題になろうかと思いますが、政府当局といたしましては、今回は物價を上げない、低物價政策をとるといつたような建前をとりました関係上、もつぱら旅客においてこの二百三十億の收入不足を補填するという立場になつたわけであります。そこで今御説明申し上げましたような表から見まして、鉄道の輸送運賃、國民の負担力あるいは政策運賃といつたような総合的な見地からして、旅客六割、しかも三箇月、大箇月の定期の割引率を廃止して一箇月並にするという結論に相なりました。旅客列車で輸送せられ、かつ従來から旅客運賃とともに上げて参りました手、小荷物の運賃においても、この際同様の値上げを試みたいと思うのであります。その内容につきまして、お手元に差上げました「旅客及び荷物運賃、料金改正要綱」に從いまして、簡単に御説明申し上げます。
 第一、旅客運賃及び料金につきましては、まず鉄道普通旅客運賃は現在二地帶制をとつております。一キロから百五十キロまで三等が九十銭で、百五十一キロ以上は遠距離逓減制を加味いたしまして、單價が六十五銭となつております。これをおのおの六割上げることにいたしますと、第一地帶が一円四十五銭、百五十一キロ以上の第二地帶が一円五銭と相なるわけであります。これはもちろん現在と同様通行税が含まれております。一等、二等の運賃は、三等の六倍、三倍と現行通りにいたしたいと考えております。最低運賃は現在三円でありますが、これを六割上げまして、ラウンド・ナンバーで五円にいたしたいと考えております。
 第二は、航路の旅客運賃であります。現在省営航路は青函、宇高、仁堀、宮島口、大畠線、関門間、こういつたものを経営しておりますが、これらの現行運賃をみな六割増にいたしましたのが、お手元の表の数字になつております。ただ一言お断りしなければならないのは、青函の一等現在の八百円が千三百六十円になりますのは、現在の八百円は寝台料金二百円、運賃六百円であります。それが寝台料金は二倍になりまして四百円、六百円の運賃は六割増で九百六十円、この四百円と九百六十円とを足して千三百六十円といたしまして、二等の寝台との均衡をとるとともに、また一等の寝台列車をそのまま北海道へ航送いたします料金とのバランスをも、とつたのであります。
 第三には、定期旅客運賃でございますが、普通旅客運賃との均衡を保つために、一箇月定期運賃ついては約六〇%の値上げを行いまして、三箇月、六箇月定期は廃止することにいたしたいと思うのであります。その結果、三箇月の分は、場所によりましては二倍一、二分、六箇月定期の分は、場所によりまして二倍五分程度の値上りを來すのであります。御承知の通り、現在日本の定期は通学と通勤とありますが、これを概して申し上げますと、六割弱から九割四分という諸外國に例のない大幅な割引をいたしておるのであります。諸外國におきましては、二割程度のものが普通であります。輸送コストの面から見まして、定期券の支出に対する收入の割合がわずかに二六である。こういつた観点をも加味しまして、非常に割引率の多い三固月、六箇月の定期割引を一箇月の程度にとどめたいというのが、今回の改正の趣旨であります。定期旅客運賃の負担は、現在におきましては八〇%程度までは雇用主が負担している現状で、あとの二割の方々に、二倍あるいは二倍五分になるような負担をかけることは、事情察するにあまりあるところでありますけれども、先ほどのいろいろの表から総合いたしまして、まず負担は不可能ではなかろう、つらかろうが、しんぼうしていただきたい、こういうふうにわれわれとしては考えているのであります。
 第四点は料金でありますが、急行料金につきましては、フラツトに六〇%値上げをいたしたいと考えております。特別急行は今まで規定にはございませんが、この八月から東京、大阪間にできれば運轉いたしたいというので、目下準備を進めております。そのためにあらかじめ御審議を得たいと存じますので、戰前の例にならいまして、急行料金の倍額といたしたいと考えております。準急は現在通りで、急行券は六百キロが最低でありますが、準急は停車駅が多いことと、比較的近距離の旅客の利用を多くするために、今回百五十キロまでの料金を新設いたしまして、六百キロ地帶の急行料金の半分といたしたいと考えております。一等の寝台料金及び入場料金等につきましても、六〇%程度の値上げを行いたいと考えている次第であります。
 小さい問題でありますが、ついでに御報告申し上げたいのは、始発駅において、着席券というものを今度新設いたしたいと考えております。と申しますのは、たとえば東京、上野等の始発駅におきまして、急行、準急の座席をとる優先権の券でありますが、十円の安い入場券を賣りますと、やみ行為が非常に行われますので、たとえば十両編成のうち、一等、二等が一両とか、あるいは三等が二両とかいうふうに、車を指定いたしまして、着席券というようなものを設けて、地方から中央に経済的な所用で來られた者、あるいはそのほかの旅行をされたような方で、発車五分前まで、その着席券さえあれば、十分仕事ができるような便宜なものをつくりたいと考えておるわけであります。しかしながら全部そうしたものをやるのではなくて、一部の車両に限るわけであります。その料金は大体三等が急行、準急にかかわらず五十円、二等は百円程度にいたしたいと考えております。將來設ける特急は、從來の特急と同じように、指定席制度にいたしたいと思いますから、問題はなかろうと思います。
 次には荷物運賃及び料金について御説明申し上げます。普通小荷物は現在五百キロまでが十キログラムの目方が大体五十円でありますが、その五十円は、分析いたしますと、十五円は配達料でありまして、ネツトの運賃は三十五円であります。その三十五円の六〇%を上げまして、これを六十円とする。配達料は外にはみ出して十五円としまして七十五円、結果におきましてお客が拂うとすれば、五十円が七十五円になるのでありますから、五〇%増ということになります。しかしながら裸運賃におきましては六〇%増であります。なお小荷物は、貨物運賃の小口運賃とバランスをとらなくてはなりませんので、現在におきまして貴重品は普通の品物の二倍とつておりますが、動物とか、レントゲン機械、眞空管、家具、空容器等、非常にかさ高品で、しかも運賃負担力のあるもの、これらをやはり貴重品と同様二倍に値上げいたしまして、貨物の小口運賃とのバランスをとりたいと存ずるのであります。手荷物は現在七十円でありますが、これはやはり百円にいたしたいと存じます。一時預かり料金が現在七円のを十円、荷物保管料につきましても同様であります。かように小荷物につきましても、旅客列車で運ばれるものは、從來旅客運賃とともに上げて來ました経緯にかんがみまして、かつ貨物の小口運賃、あるいは郵便の小包料金ともにらみ合せまして、この程度の改正が適当かと思います。
 以上、要綱につきまして御説明いたしましたが、最後に國有鉄道運賃法の改正はどうなるのかという問題でございます。運賃法は前回の國会で昭和二十三年法律第十二号として制定されたものでありまして、目下関係方面と協議を続けておりますが、いまだ所要の手続が相済みませんので、不日正式に本委員会に提出しなければならないと思つておりますが、本日は事前審査の意味におきまして、御説明を申し上げたいと存じます。それは今回の改正は法文としてはしごく簡單でありまして現在法律の第三條第一号に、現在営業キロ一メートルごとに百五十キロメートルまでは九十銭、とあるのを一円四十五銭、百五十キロメートルを越える部分は六十五銭、とあるのを一円五銭とするというだけの改正であります。
 第二点は現行法の六條の見出しに、急行及び準急料金とありますのを、先ほど御説明申し上げた通り、特別急行をこの八月から動かすために、その特別急行料金というものを表題の中に加える事だけであります。別表の第一及び第二を次のように改める、この内容は先ほど御説明した通りでありまする。これを予算の関係から見まして、ぜひ五月一日から実施させていただきたいと考えておるわけであります。以上簡單でありますが、要点だけ御説明申し上げたのであります。
#34
○滿尾委員 私は運賃値上げをなぜかように必要とするに至つたか、運賃値上げの必然性ということと、今回の運賃値上げに含まれております政策ということにつきまして、大臣から御答弁をいただきたい。さらに数字的なこと、技術的なことは、政府委員から御答弁を願いたいと考えまして、お尋ねをいたすわけであります。
 第一の値上げの必然という問題でありますが、この根底になりますものにつきましては、赤字を一挙に埋めるわけでありますが、半面におきまして、経営合理化というものが値上げに先行するであろう。少くとも並行して行かなければならぬ。運輸大臣はどの程度の経営合理化を一面において御計画になり、かくして運賃値上げを御提案になつたものであるが、ごく大綱でよろしゆうございますから、この点について伺いたい。
#35
○大屋國務大臣 今回は御承知の通り、特別会計の鉄道会計が、独立採算制をとるという大きな政策を実行することにいたしました関係と、それからドツジ声明、並びに経済九原則の線に沿いまして、國鉄の特別会計の損益勘定並び工事勘定に、われわれ運輸関係の当事者が期待しておりましただけの金額が、どうしても計上できないという二つの面から、そもそも問題が出発いたしまして、――今回の特別会計の損益勘定は千百五十二億でありますが、その総額がすぽつときまつてしまいましたので、好むと好まざるとにかかわらず、この予算の中で國鉄の事業を遂行して行くということに追い込まれた次第であります。そこで私といたしましては、この金額で泣いても笑つても、なるべく損失を出さないように経営の合理化をはかるという点に重点を置いて、なるべく損失を軽減しなければならぬということに、追い込まれて参つたのであります。そこで経営の合理化をいたしましても、どうしてもその補填のできない赤字が二百三十億出るということになりましたわけで、從いましてこの二百三十億の赤字を補填いたしまする方法は、いろいろ考慮いたしました結果、ただいま申し上げた運賃を大体現行の六割程度を値上げして、これをもつて補填をいたすということにいたしたわけであります。そこでこの國鉄の合理化の内容いかんという問題につきましては、目下この所要の経費とにらみ合しで、その範囲で輸送量の今年の目標一億四千万トンを完遂するという点に目標を置きまして、その限られた予算で経営の合理化をやつて行く、こういうふうに考えておる次第であります。
#36
○滿尾委員 結局、今回の旅客運賃の大巾値上げで、これだけの負担をかけるのでありますから、鉄道当局は経営の合理化について、ほんとうに眞劍にやられて、なるほどやむを得ないと國民をしてその内容について納得せしめるものがなければならぬと思うのであります。從つて今日、この席ではこの二百三十億の赤字がやむなきに出た、まことにやむを得ないものだという半面の合理化の内容につきましては、他日詳しくお伺いすることにいたしまして、この点の質問を打切ります。
 さらに値上げの政策の問題であります。ひつきようするに、独立採算制と、國有鉄道というものの國家的性格からする政策との調和の問題だろうと思うのでありまするが、私はまず大臣に、鉄道が國有主義をとつている、なるほどパブリツク・コーポレーシヨンでありますが、その実体において、わが國は鉄道の國有主義をとつていることにはかわりはないと思うのでありますが、かくのごとく幹線鉄道を國有にしておるということが、運賃政策の上にどういうふうに現われるとお考えになつておるのか、純粹に経済的に運賃政策に現われるのか、相当に鉄道國有主義の政策性というものが、運賃に現われて來るとお考えになつておるか、伺いたい。
#37
○大屋國務大臣 御説のように鉄道は國有で國家の経営なのでありますが、その半面におきまして、やはりこの独立採算制という点をこれから堅持し、実行して行くということになりますと、どういたしましてもやはり輸送の原價、輸送のコストという観点をまず第一に考える。そして國民の負担力がいかように相なつておるかという点を第二点として考えまして、最後に政府の政策といたしまして、これをいかような方向に導き、持つて行くかというようないろいろな観点が私はあると思うのであります。そこで今回はかような物價騰貴の折柄、國有鉄道は國有でありまするが、やはり独立採算制をとつて自分の事業の中から收支をまかなう以外に、一般会計からの補助は一厘も仰げなくなつたという関係から、鉄道のいわゆる輸送の原價という点、しかし先ほど御説明申し上げましたように、しからばこのコストの点から考えて、めちやくちやに運賃を上げていいかというと、それは決して許されないのでありまして、はたして鉄道を利用します國民――お客様の支出能力が那辺にあるかという点も、十分考えなければ相ならぬと思のであります。そうしてまた関連的に最後には、それらのフアクターを考えまして、どういうふうな政策を大きくとるかというふうな諸般の要素を勘案いたしまして、私は現下のところ、まず六割程度の値上げをして、また経営の合理化をはかり、さらにサービスをこれでうんとよくいたしまして、國民に國有鉄道の認識を願いたい、さように考えております。
#38
○滿尾委員 独立採算制を根本原則として考えて行くというお話はよくわかりましたが、そのいわゆる独立採算制なるものは、鉄道全体として総合的に独立採算がとれればいいのであつて、各部門別には相当に独立採算制の考えからはずれてもいいとお考えになつているのであるかどうか。私の考えでは少くとも鉄道の二大收入部門であるところの旅客なり、貨物なりにつきましては、そのおのおのにつきまして、独立採算をお考えになることが最も独立採算制をとることの趣旨に合致すると考えておるのでありますが、今回の御提案を見ますると、貨物はそつくりそのままにして置いて、旅客だけにこれをおつかぶせる。まことに独立採算制の精神を蹂躙した御政策のように私どもには見受けられる。もちろん一面からは國民経済的に言つて、たとえば物價のコストは上げたくないのだ、それでむりをしておるのだ、こういうようなお話がさきにあつたのでありますが、私はこの御説明は非常に近視眼的御説明だろうと思うのであります。なぜかと申しますと、旅客運賃は物價に関係がないという前提で、政府委員のお話があつたかのごとく聞えるのでありますが、わが國の今日の物價の構成につきましては、決して貨物運賃だけが構成の要素ではない。一番典型的な例で申せば、定期券の大巾の値上げのごときは、勤労者のコストの増額になる。それはめぐりめぐつて賃金の値上げになり、物價の不可欠の要素を構成しているものだ。またわが國は遺憾ながら統制経済をとつておりますから、日本全國からいろいろな人が、その統制事務に携わりまして、東京に出て來なければならぬ。その往復の旅費その他はすべてコストを高くして行く。從つて旅客運賃だから物價には影響がないのだというような御見解を、もし政府御当局がおとりになつておるものであるとするならば、私は非常に近視眼的だと思う。この点についての御見解を伺いたいと思います。
#39
○大屋國務大臣 ただいまの御説はまことにごもつともであつて、鉄道の收入の二大主眼点であります貨物の面におきましても、また旅客の面におきましても、バランスがとれた運賃を策定するということが一番望ましいのでありますが、しかしながら一面から考えますと、國鉄の総合いたしまして、そのときの財政の事情、國民経済の事情、こまかく言いますならば、さらにいろいろ國民各自の所得その他の点を勘案しまして、ときにより、総合的にどういうバランスのとれる政策をとるか。あるいは貨物も旅客もともにコストにミートした收入をそれでとつて行くかということは、ときの財政、経済の事情に應じて、私はおのおの異なる取扱いをすべきものと考えておりますので、今回はそれらの点にかんがみまして、滿尾さんのおつしやる通り、むろん完全ではございませんが、一方的に旅客のみを値上げをいたす処置をとつておる次第でございます。さように御了承願います。
#40
○滿尾委員 旅客運賃がわが國の物價のコストに入つておるかどうかという御見解については、あらためて御返事をいただきたいと考えます。なおまた貨物運賃をすえ置きましたことによる影響が、海運及び自動車の運賃のバランスの問題にかかつて來るのでありますが、運輸大臣は陸上、海上全部の運輸の責任者でありますから、この点はどういうふうに考えておられますか。ここにいただきました資料で申しますと、私は自動車なり、船の関係の運賃というものは、漸次コストが上つて行つたことを、ごく自然に、率直に申せば成行きのままに、大体お認めになつておるのじやないか、しかるに陸上の國有鉄道の貨物運賃についてのみ、これをくぎづけにするということの、わが國全体の運輸政策の見地からするアンバランス、それははたしてこの跛行的状態でよろしいかどうか。この点について大臣のお考えを伺いたい。ことにわが國は、四面海であつて、貨物輸送につきまして、陸上の輸送と、船による輸送とは切つても切れない競争関係にある。全体を総合して輸送効率を考えなければならぬのに、この運賃政策が著しく跛行的であるために、非常に変態的状態が今日輸送界に行われているのではないか。この点について大臣はいかなる是正策をお持ちになつておるか、お伺いいたしたいと思います。
#41
○大屋國務大臣 海上と陸上の運賃に対しましては非常なアン・バランスがただいま出來いたしておりますので、これは何らかの早急な機会において是正をいたしたいと考えております。
#42
○滿尾委員 結局旅客運賃の値上りが物價に影響しないという御見解なのか、まだその点についてのお答えがいただけないのであります。それからさらにもつとつつ込んでお尋ねいたしたいのでありますが、かりに大局から見て今回の値上げがやむを得ないものであるといたしました場合に、私はこの値上げの技術的な面について一言御質問したい。その場合をとつて見ましても、旅客運賃のわが國の歴史から見まして、ぜひ遠距離逓減をとるべきではないか。現在は百五十キロを境にして二つの区分を設けておる。なるほど二階段の遠距離逓減ということも考えられるのでありますが、かつては國有鉄道は七段階にわたつて遠距離逓減をいたしたのであります。それを今から数年前に二階段にかえた。わが國が鉄道國有主義をとつておるその政策の必然的な結果として、どうしてもこの遠距離逓減をとる実質的な理由があると思うのであります。これはドイツあたりと違いまして――ドイツあたりならば國のかつこうは大体四角で、ベルリンに参りますのに、どの國境から行きましてもあまり差がないのであります。ところが同じ面積をかりに持つておるといたしましても、わが國の場合は非常に細長い、北は北海道の果て、南は九州の果てから東京に参る。しかるにわが國の國民経済というものは統制経済であつて、一應東京に行かなければ用が足りないようにできておる。これは政治といわず、経済といわず、また文化といわず、あらゆる面において、わが國民はそれぞれの辺境の地から東京に行かないと用が足りないようにできておる。そうしてかような細長い長距離な國の場合に、國家が幹線鉄道國有で経営いたしておりますというその氣持からいたしますならば、当然すべての國民に機会均等の主義で運賃政策をお考えになるべきじやないか。私は國有鉄道というものを道路にひとしからしめよう、極端に申せばただでもよい、そうしたいのでありますけれども、そこは特定者の利用ということもあり、いろいろ事情がありますから、運賃をとるのはいたし方がない。しかしとるにいたしましても、なるべくすべての國民に機会均等にこれを利用させるように制度を考えて行かねばならぬ。たまたま自分は鹿兒島の果てで生れたのでありますが、鹿兒島の果てで生れたために、えらく大きな運賃を負担しなければならぬということは非常に困つたことであります。鉄道を國有にしたその精神から申しまして、すべての國民に機会均等という意味で、ぜひ昔のような――必ずしも七階段とは申しませんが、少くとも五階段、六階段にする、現在の二階段ではない、もつと程度の高い遠距離逓減の方策をおとりになることが必要ではないか。ことに今回の値上げをスムーズにいたす意味においても、この方策が絶対に必要である。八百キロ、千キロ以上を旅行いたしますものは、ほとんど頭数にいたしまして言うに足らぬ、おそらく千分の五とか六というようなものだろうと思うのであります。そういたしますれば、遠距離逓減をとりました際に、運輸省が予定しておられる收入の面においては、ほとんど痛痒を感じない。しかも今日の旅客運賃の値上げによつて最も深刻なる痛痒を感じますものは、これら非常な長距離の客であります。從つて一番深刻な影響を受けるものの苦痛を軽減しつつ、しかも運輸省は予期した財政收入において何らのけががないのでありますから、今回のような大幅の運賃値上げをせられるにあたりましては、絶対に遠距離逓減をとられることが、値上げの技術の面から見ても――私は先ほどは政策上、理論上から申しましたが、また値上げの技術の面から見ましても、当然御考慮になるべきではないかと思いますが、大臣の御意見を伺います。
#43
○大屋國務大臣 ただいまの御意見なり、御質問はまことにごもつともなところがあるのであります。御説のように從來は多数の区分に從いまして遠距離逓減の方策をとつておりましたが、最近は御承知の通りに百五十キロまでを一区分とし、百五十キロ以上からを一つの区分として、この二つの区分で逓減をしておるわけでございます。しかしこれでは不十分であるから、滿尾君はさらに五なり六なりの区分にこまかく刻んで、逓減を運賃の上に織り込む、こういうのでありますが、実は明治年代からこの数区分の逓減を次第に縮小いたしまして、現在は百五十キロまでと百五十キロ以上と、二つにわけました。その根本の理由といたしましては、昔はたとえば東京の始発から近い方のコストが非常に高くかかつており、遠距離に行くに從いまして輸送のコストが非常に逓減される、コストが逓減されるに從つて運賃が逓減するという理論の実際の面から來ておりましたが、今日はアライバル、ターミナルにおけるコストがユーニツクになつて來て、初めの方が安くて次第にコストが逓減されるという点が非常に稀薄になりました。初めの駅からターミナルに至るまで輸送のコストが、あまりかわらぬという状態に相なつて参りました関係上、今の二つの区分にいたした次第でございますが、御所論は日本のようなこの細長い島國の運賃の性格の上においては、ごもつともの節が多々ございますので、将來はよくこれを研究いたして行きたいと思つております。
#44
○滿尾委員 旅客運賃の理論構成につきましてターミナル・コストと遠距離逓減の関係の御説明がありましたが、この点についてはなるほどそういう学説のあることをよく存じておるのでありますけれども、わが國の鉄道國有主義をとつておる運輸大臣として、かような御意見をお持ちかどうか伺いたい。これは外國の鉄道の例においても、旅客運賃の構成について、同じくそういうかつこうをとつております。しかしながらこれらは私経済的見地に立つての会社経営の場合で、パブリツク・コーポレーシヨンの形をとつておりましようとも、わが國においては國有鉄道という政策を適当に加味すると仰せられた、その國有鉄道の形態において、私は單なる旅客運賃の構成理論をもつて運賃制度をお考えになるのは、これは失礼ながら、非常な短見ではなかろうかと考えるのでございますが、大臣はその点について、やはり運賃構成理論の建前から、遠距離逓減をとりがたいとおつしやるのでございましようか、これを伺いたい。
#45
○大屋國務大臣 今回鉄道は画期的な姿でコーポレーシヨンとして再出発をいたしますので、いろいろの面において從來の観念をさらに検討いたさなければならぬ点が多々あると思いますし、そのうちただいまの運賃構成の問題も最も重要な問題かと思いますので、御所論は將來十分研究いたしたいと存じます。
#46
○橘委員 今御質問のありましたうちで、私も非常に心配をいたしております事柄は、陸上運賃と海上運賃の相違点の問題であると考えております。「國有鉄道経営健全化への途」というデーターを拝見してみましても、戰前における若松、横浜間の石炭運賃の陸送運賃と海送賃の比率は、陸送賃に対して海送賃が二三%である。これが今日の現状からいたしまして、逆に鉄道運賃に比較いたしまして海送運賃が一四〇%となつておる。ここにわが國の海運界の今後を左右する大きな命題があるのじやないかどいうふうに考えておるのであります。どういたしましても、先刻大屋運輸大臣からいろいろ御説明もあつたのでありまするが、この海送賃と陸送賃とのアンバランスを修正いたさなくては、わが國の海運界の再建といつたようなことは、とうてい期しがたいというふうに考えておるのであります。先刻運輸大臣は具体的な方策を考慮中であるというふうな御答弁であつたのでありまするが、本日その具体的な御構想に対しまして、若干御説明を願えるものがありますれば、この機会において御説明願いたいと思います。
#47
○大屋國務大臣 それは非常に重要問題であることをよく承知いたしておりますので、目下研究中であります。次の機会までひとつ御留保願いたいと思います。
#48
○橘委員 問題は別個でありまするが、先般の新聞紙によつて見ますると、このたびの旅客運賃の値上げに関連をいたしまして、私鉄運賃は競争路線、並行路線を除いては、その値上げを認めない。こういつた意味の新聞記事が書いてあつたのでありますが、眞相のほどを説明願いたいと思います。
#49
○大屋國務大臣 これは大体妙なことですが、私鉄運賃の関係は物價廳がやることになつております。もしなんでしたら政府委員から御答弁いたさせます。
#50
○藪谷政府委員 現在國有鉄道の最初の一キロ当りの運賃は、先ほどから御説明し上げました通り、九十銭であります。それに対して私設鉄道の最初の一キロ当りの運賃は、関西で一円三十銭、國有鉄道の四割四分増し、関東におきまして一円二十銭でありますから、三十三%高であります。そこで現在私設鉄道は、並行区間につきましては、省と同額にまで割引して特定運賃を設けておりますが、今回省が六割増しになりますと、その割引をはずしまして、民間運賃の程度まで私設鉄道の運賃が是正されることは当然であります。この結果並行区間において見てみますと、たまたま線路の延長の関係でありましようか、省と同一または一、二円の差のところが多いのであります。ひどいところでも十円程度の差であります。また定期運賃についても同様のところはありますが、大体輸送力あるいはスピード、その他の点から申しまして、まずまず今回の値上げ程度ならば、私設の鉄道と國有鉄道と、現行運賃、改正運賃をながめまして、輸送力の配分につきまして、支障がないものと思つております。
#51
○橘委員 再び海送運賃と陸送運賃との差額の問題に関しまして実例をあげまして当局に御質問いたしたいと思つております。これは本年度の省用炭の輸送計画でありまするが、われわれの聞いておりまする点から申しますると、昨年の実績に比較いたしまして、大部分を陸送に御轉移なすつたというふうに承つております。しかるに日本海方面におきましては、この陸送強化の結果、非常な憂慮すべき事態を惹起しつつあるという事例があるのであります。すなわち西の方におきまして舞鶴港のごときは、今日鉄道の省炭の海送が一トンも御計画になつておらない。北の方は船川方面までもほとんど海送の省炭がないというふうな事柄に関しまして、ことに舞鶴、船川等におきまして、非常に地元としても大恐慌を來しておるのであります。おそらく日本海諸港は、当然朝鮮がああなり、あるいは満州がああなり、樺太がああなつたという今日におきまして、最も大きな取扱いの荷物は省炭であつたのであります。省炭をこういうふうに陸送に全部お振りかえになつて、海送に全然よらないということに相なりますると、今申しましたような日本海諸港は、非常な恐慌を來すのであります。これらの関係の諸港の港湾労働組合の諸君も、先般この問題をひつさげまして上京して、係官に御質問を申し上げたはずであります。これに対しまする直接の係官の御答弁は、これは実は上の方からの命令であつたのであつて、おれたちは單に事務をやつておるのだ。質問があればどうか上司の方へ言つて聞いてほしい、こういつた答弁であつたそうであります。こういうような事態になりまして、これら省炭が一トンも入らないという諸港湾におきましては、町民大会あるいは市民大会等を開催いたしまして、目下活発な海送による省炭輸送の実現の署名運動を展開しておる。かような実例もあるのであります。当局としてはどういうようなお考えで、こういつた海送を全部おやめになつて、陸送に御轉移になつたか、あるいはそれは経済上の点も非常にあるとは考えまするが、わが國の運輸という大きなわく内から考えてみた場合には、これらの港湾をいかにして維持保成して行くかという責任も運輸御当局にあるわけであります。そういつた点に関しまする御当局の説明を承りたいと思います。
#52
○加賀山政府委員 ただいま橘さんの御指摘になりました点は、われわれも非常に頭を痛めておる問題でございまして、われわれ御承知のように、陸上輸送のみの責任を持つておる者でありますけれども、國全体といたしましてはやはり海運の立場をよほど考慮しなければならぬ。特に運輸省としての性格からいえば、その点が一番大切な点であろうと考えられております。ただ今年度の國鉄の経営から申しまして、先ほどから大臣が申し上げましたように、いやおうなしに、非常に強い独立採算制で経費を極度に切り詰められまして、その経費の中でぜひともやつて行かなければならない。かような状態でございます。その経費のうちの特に大きな部分を占めておりますのは石炭である。この石炭についても極度に節減をしなければならない状態に立ち至つておるわけであります。そういう点からいたしまして、山元のコストによる石炭費はいたし方ないといたしまして、その後配炭公團が扱つておりますところの取扱い費等におきましても、國鉄がそれを山元でとる、そうして配炭公團の取扱い費用の中にプールされておるものの経費につきましても、極度にこれを減額してもらうという方策を一部とつた次第であります。山元でとつた石炭は、しからば何によつて運搬するかということでありますが、從來は山元から港湾まで鉄道で運搬いたしまして、そこから機帆船あるいは鋼船によるもの、それから特に九州炭で申しますと、関門遂道を通つて鉄道で陸送いたしますもの、この三通りあるわけであります。そのうち機帆船によつて運ぶものも相当の数量があつたわけでありますが、御承知の通り、先ほどから御意見が出ておりましたように、機帆船の運賃と國鉄で運びます運賃とでは、非常な差があるわけであります。運賃自体として差があるばかりでなく、國鉄の使います石炭は、海岸で使うと申しますよりは、機関区等で使う石炭が主でありますので、さらにこれをはしけからとつて貨車に積みかえて、そうしてまた陸地深く機関区に貨車で運ぶ、こういう取扱いをいたしますために、取扱い費用全般として見ますと、山下からその機関区まで直送をいたしまする陸送に比べて、非常な差が出るわけでございます。こういう経費の節減をするために、輸送力の上から、一般の営業貨物を断つてまで省用炭を運ぶことの愚なることはもちろんでありますが、営業用の貨物に対しましても、國鉄としては相当の力が出て参りました今日は、その余力をかつて國鉄みずからの手で運ぶということが、この経費を少しでも減らすゆえんであるということになるわけであります。のみならず、また一般物資購入並びに工事の請負、それからこういつた運搬等の役務等につきまして、ぜひとも競争入札と申しますか、全部公開をして、その最も適当であつて、しかも安い経費のものによつてやるようにということは、これは関係方面からのメモランダムとして強く要請を受けております。ただいまの省用炭自体の運送につきましても、このことは適用があるわけでございまして、そういう点から申しまして、われわれは一面においては背に腹はかえられないということと、もう一つはやむにやまれぬ要請、この点によりまして、國鉄で使います石炭の陸送を計画しておるような次第であります。この点を解決いたしますのは、一にかかつて、先ほどからのお話にも出ておりますように、現在の貨物運賃に対する政策運賃を、やはり経済的基礎に置く経済運賃に建て直すということが、非常に重要なポイントになつて参ろうかと思います。またこれ以外に今後適当した解決方策はないのではないかというように、私どもとしては考えておる次第であります。
#53
○橘委員 大体そういうことだろうと考えておつたのでありますが、先に申しました通り、日本海諸港の港湾の労働力の維持と、荷揚げ力の維持というふうな面から考えまして、この日本海諸港に対しまする分には、これは運輸大臣としても、相当の大幅な政治力を発揮していただきまして、どうかひとつ問題の解決を何とかうまく妥当な方法に再考慮願いたい。具体的な問題等に関しまして、あとでゆつくりと御懇談を申し上げたいと考えております。本委員会の席上といたしましては、これだけのことを要望いたしまして、質疑を打切りたいと思います。
#54
○關谷委員 ただいま橘委員からもお話がありましたので、なるべく重複を避けたいと思いますが、この旅客運賃のみによつて赤字を補填し、貨物運賃を値上げしない、こういうふうなことのために、その及ぼす影響は非常に大きいのでありまして、なかんずくこれで最も打撃を受けますのは、機帆船界であります。このままで長らく放置をいたしておきましたならば、機帆船界は壊滅状態に陥るのでありまして、國内輸送の大部分を担当いたしまする機帆船界といたしましては、再び立ち上ることができないような状態になつて來ると思うのであります。先ほど大臣におかれましては、何らかの方法によつて海運関係についてはこれを解決する、こういうふうに言われたのでありますが、何らかの方法というようなことで荏苒日を過されました場合には、現在の機帆船界は壊滅に瀕してしまうのであります。たとえば燃料に対しましても、鉄道の方におきましては、石炭を満度に與えられているのであります。そして十分に動き得る状態でありますが、この機帆船界の燃料というのは、わずかに必要量の三分の一、あるいは四割程度しか與えられておらないのでありまして、たださえ壊滅に瀕しようとするものに、なおさら拍車をかけるような状態で、聞くところによりますと、この燃料がまだ一層低減せられるというふうなことを、うわさかどうか、聞いているのでありますが、この機帆船界の燃料の見通しはどういうふうになるのか。そして大臣はこの機帆船界を救済するために、この燃料あたりを、現在の事務官僚の事務的の関係方面との折衝等にまかせておいたのでは、とうてい解決はでき得られないと思いますが、大臣が先頭に立つて、この燃料のわく拡大のために、機帆船界救済のために、努力せられる御意思があるのかないのか、お尋ねいたしたいのであります。
 なおまた資金関係におきましても、機帆船界は今まで國家から一銭の援助を受けたこともないのでありますが、資金関係等につきましてどういうふうな氣持を持つておられるか。機帆船界に対する金融ということについての御見解も承りたいと思います。
 なお運営会方面におきましては、本年度も五十五億というふうな莫大な業務経費と申しますか、そういう名目をもつて補助をいただいているのでありますが、機帆船界に対しまして、将來こういうふうな補助を與えて救済するようなことを、お考えになつているかどうかも、お尋ねいたしたいと思います。
#55
○大屋國務大臣 ただいま關谷君からお話の、運賃のアンバランスで機帆船界が非常に困難に階つているというのは、これはただいま橘君に申し上げました通りなので、また油がこの五月から從來の支給量の半減をするということも、これは事実としてこちらに通告受けております。さなきだに運賃のアンバランスに、油の供給量が減るということは非常な大問題で、この点につきましては、もちろん私みずからも大きな問題として取上げまして、目下関係筋にこの油の増配方を懇請しているわけであります。
 さて、さらに資金の問題に対してどう考えているかという点であります。なおまた運営会のように補助金を國家として出すかという問題でありますが、運営会式の方式は漸次やめて行きたいというふうな考え方もございますので、機帆船界に対しまして補助金を出すという考えは毛頭ないのであります。さらに事業が不振に陥つた場合の資金問題につきましては、実際の問題として取上げて考慮いたすつもりでありますが、何分にも目下は油をよけいもらうということと、運賃のアンバランスをなるべくすみやかに是正するという問題、これが焦眉の急なのでございまして、これは目下懸命に努力中であります。
#56
○關谷委員 燃料の問題について非常に御盡力を煩わしているということを聞いて、感謝にたえないのでありますが、この事柄につきまして、この委員会あたりの声を國民の声ということで、関係方面へ通じて、大臣先頭に立つてこのわくをふやすような交渉を行われて、そして國会の代表者も引連れて大臣みずから行かれるような気持があられるかどうですか。
#57
○大屋國務大臣 あらゆる経済問題に対して、当局がまず関係筋にいろいろな交渉なり請願なりをすることは当然でありますが、また業者の面においても、それぞれ熱心におやりくだすつたら、けつこうだろうと私は思つております。
#58
○關谷委員 私考えますのに、事務官僚の事務的折衝というようなことでは、とうていできませんから、政治折衝によつてわくをふやすということにしなければなりませんので、どうしても大臣が先頭に立つて、議会のそういうような関係者を引連れて、國民の声として先方へお百度を踏むように当つてもらいたいのですが、どのように考えておられますか。
#59
○大屋國務大臣 それはけつこうであります。いつでも國会の運輸委員諸君とともに、私自身がそれぞれの関係筋を歴訪して、実情を是正してもらうように懇請することも、一向さしつかえないと思いますから、いつでもやりましよう。
#60
○尾崎(末)委員 先般予算委員会でも大臣から御答弁を伺つたのでありますが、特に関連する二、三を簡單に伺つておきたいのであります。それは機帆船に対する燃料が半減せられるという事情は絶対的にやむを得ない事情であるのかどうか、やりようによつて相当増加して行ける見込みがあるのかどかという点が一点。もう一点は先ほどの石炭輸送の問題についての関連でありますが、昭和二十三年度は一億三千二百万トンの貨物輸送の計画であつたのでありますが、二十四年度は一億四千万トンと伺つております。現在國鉄の持つ輸送力というものは二十三年度一億三千二百万トン、二十四年度一億四千万トンというものに対して、完全にこれを輸送するだけの能力を持つておるのか、持たないのか、もし持つておるとすれば、それ以上輸送する能力があるのかないのか、この二点を伺つておきたいと思うのであります。
#61
○大屋國務大臣 第一点の機帆船に対する油の供給量が多量に減つた事情というのは、汽船の稼働率が今十分でない、汽船をしてフルに稼働さすという意図のもとに、機帆船に在來出ておつた油をその方へまわすから、從つて機帆船にまわす油が減つたというふうな関係もあるやに聞いております。しかしながら一面機帆船界にとりましては、非常な死活問題でございますから、これは百方この問題に対して目下処置を懇請中であります。
 第二点の御質問は、はたして現在の國鉄が、昨年は一億三千二百万トンで、今年は一億四千万トンの輸送が完遂できる輸送能力を持つかどうかということでございます。これは御承知のように、國鉄に対する予算の大削減の面から考えますと、一見はなはだ危惧の念を抱くのでありますが、わが輸送当局といたしましては、予算が削減されたから、輸送量が減るのは当然であるとか、あるいはその他の設備の補修保全をないがしろにしてもいいということでは、断じてわれわれの任務が済まされないのでございまして、泣いても笑つても、一億四千万トンの輸送を昭和二十四年においては完遂するという意味合いにおいて、各從業員はその覚悟でおるわけでありまして、まず申し上げれば輸送力ありと申し上げたいと思います。
#62
○尾崎(末)委員 第一点でありますが、これも予算委員会でちよつと伺つたように思うのですが、鉄鋼船の持つ輸送の使命、早く申しますと寄航の港、輸送先、こういうものと、機帆船の持つ使命、寄航の場所及び輸送先、こういう点は非常に特異性を持つものでありますから、從つて汽船の方に燃料を多くまわすために、機帆舳の方を犠牲にするというやり方では、現在再建途上にある産業の再建に大きな支障を來すのは当然だと思うのであります。むしろ考えようによりますれば、産業が振興されましたあかつきにおいては、汽船の方に重点を置くのが当然でありますが、現段階におきましては、機帆船を十分に動かすことが最も適当ではなかろうかと私ども考えておりますので、そういう点について、ただ聞きおかれるという程度でなくして、十分考慮を拂つておきたいということを申し上げておきたいのであります。
 第二点につきまして、質問を申し上げました趣意は、先ほど橘委員から御質問のあつたことに関連をしておるのでありますが、いわゆる山元から石炭を送るために、鉄道自体が自分の汽車をもつて送るということでありましたが、昭和二十四年度一億四千万トンを完全に輸送ができ、なお余力ありといたしますならば、先ほど大臣が御答弁になつたように、省用のものに対して省の汽車を動かすことはむろん当然でありましようが、辛うじて計画輸送ができるかできないか、もしくは計画輸送の量に足らない程度しか産業輸送ができないということであるならば、むしろ一般の貨物輸送の方に重点を置いて、そうして從來通り機帆船等の海を利用するという面に向つて、努力しなければならぬのでははいか、こういうことに関連しての質問であります。その点を重ねて伺つておきたいのであります。
#63
○大屋國務大臣 昨年度の一億三千万トン、今年の一億四千万トンの輸送量の中に、すでにこの省用の石炭を省線で輸送するという計画は含まつておるのでございますから、さよう御了承をお願いいたします。
#64
○松本(一)委員 まず第一に運輸大臣にお尋ねしますが、國鉄が昨年六月、あの運賃値上げの大問題のとき、旅客、貨物を三倍に上げると言われたが、旅客だけは二・五倍半、貨物は三倍にしました。あのとき民自党としまして、旅客は二倍、学生定期はすえ置きということを強く主張しまして政府に反対し、そうして芦田内閣は結局ああいう値上げを決定したのであります。ところがあの当時、一般会計からたしか百億だつたと思いますが、繰入れて、そうして運賃値上げで運輸省関係、國鉄の收支のバランスをとるということであつたと思うのです。しかるに、はからずも最近の状況を見ますのに、ともかく一般会計から三百二億繰入れる。それが二十三年度である。そうして二十四年度はこのままで行けば四百数十億の赤字が出る。從つて國鉄が持つておる不用財産あるいは物品を拂い下げて、なおかつ足りない二百三十億を運賃値上げでまかなおうということになつておりますが、わが党内閣でもそう簡單には今度はやめてもらうわけにも行きますまいし、いずれにしても今度の決算当時、われわれが拝見して、来年、再来年の予算を組むときに、また前の芦田内閣の見そこないのような違算ができて來たら、われわれ運輸委員会で連日審議したのが意義をなさなくなり、國民に対して申訳がないと考えますので、今度はこういう数字にはたして間違いがないかということを、一應納得の行くように御説明願いたいと思うのです。大体この前も申し上げたのですが、五%滅と見られましたが、私どもは少くとも一〇%乗客は減りやせぬかと思つたのです。正確な数字のことはまだはつきりしませんけれども、大体一〇%は減るということを考えた。しかしいただいておる資料から見ると、そうも減つておらぬようですが、ともかくも今度ははたして間違いのない計数で收入があがるのかどうかということを、一戰承つておきたいと思います。
#65
○大屋國務大臣 この見積りが正確かどうか、後日になつて間違いを起しやしないかという御質問でありますが、この六割の値上げに対しましては、利用減を一割と見込んで計算を立てておりまして、その結果二百三十億増收になることになつておりますので、これくらいに押えておきますれば、六割の値上げで二百三十億円の増收はまず間違いない、こう思つて実は組ましたわけでございます。
#66
○松本(一)委員 今いただいた資料によりますと、大体今度運賃値上げをいたしますと、定期と普通旅客との合計したものが、政府の案では六百十五億の收入となつております。ところが二十三年度末の旅客收入は実績見込みの最近の数字は四百二十三億余りになつておる。そこで四月一箇月は前の運賃のままとして、五月一日から値上げすると見て、私が計算したところによると、まず四月で四十億借出しておる。そうすると四百二十三億、まず去年並の、いわゆる上げないものとして、乗客が乗るものと仮定して、この四百二十三億から四十億を引いて、これに一・六をかけたものは六百十三億となる。それに四十億という四月分を足して六百五十三億、この六百五十三億と、貨物運賃は今度の輸送トン数はふえておりますが、大体かわらぬものとして、二百九十一億、両方を合しますと九百四十四億となる。ところが政府の案によりますと、すでに一千百億というものが出ておるのですから、ここにはや百五十億という食い違いができておるのです。結局年度末になつたら、また百五十億という穴が明いてしまうのじやないか。こういうふうに私は考えます。昨年のときも、とうてい一般会計から百億や百五十億の繰入れでは國鉄は行けないと思つたのが、はたせるかな三百二億という厖大な繰入れが行われているということであります。結局こういうことが違算のもとになりはせぬかと思います。ことに乗客の一〇%減と言われるのが、一五%減になつて來るという危險がありはしないか。こういうことを心配するのですが、このお見通しのほどを承つておきたい。
#67
○加賀山政府委員 ただいまの松本さんの御指摘になりましたことに対してお答え申し上げます。まず昨年度のことから申し上げますが、事情を御承知になつておいでになりますように、当初は両方とも三倍半ということで出たわけでございますが、その後いろいろな事情によりまして、本委員会等で例の御修正がございまして、旅客の方は二・五五倍ということに納まつて、それはいわゆるフラツト・インクリースと申しますか、従来の割合で全部上つた。制度には何ら変更なく、割合だけ上つたというかつこうであります。その場合予算上はどうなつたかと申しますと、二百九十一億というのが当時予想された赤字であつたわけであります。ぞれが三百二億となつておりますのは、いわゆる陸運関係費と行政監督費が一般会計から繰入れられるというかつこうになりまして、特別会計で支出はするが、その分は一般会計から繰入れるというものが出ておりますために、計三百二億というふうになつておる次第でございまして、当初の赤字に対して見積り額の違いはないわけでございます。本年度といたしましては、実は五月から運賃が改正になるものといたしまして、四月は現行通り、五月から新しい賃率が適用されるということになつているわけでございますが、その場合に利用減を一割と見ております。それから旅客数におきましては、ほとんど昨年度とかわらないのでございますが、旅客の数におきまして多少推定をしておるのであります。大差はございません。本年度も二十三年度の数字と大差ない数字を基礎といたしております。その見方は、今後における経済事情なり、社会情勢なりに大きな変動があるということは予想しないで、ただ運賃値上げの結果一割程度の利用滅がありはしないかというふうに見積つておるわけでございます。從いましてそこに非常に大きな変動がございます場合には、その見積りに対して変更を加えなければならぬ点が出て参るということでございます。一割の利用減も從來の考えで行きますと、割合に大きく見積つておる数字であります。昨年度は御承知のように二・五五倍という大巾の引上げにもかかわりませず、利用減としては五分を見たにすぎませんでしたが、本年度は〇・六の値上げでございますけれども、そこに一割の利用減を見ておる。平常から見れば、むしろ数字の予想においては手がたいということを申し上げられると思います。その点については御心配いただかなくてもいいのではないか、かように考えております。ただ繰返して申しますが、そこに非常に大きな経済的な変化がございました場合には、もちろんこれは單に旅客の推定のみならず、一般の予算につきましても変化が出て來るわけでございまして、その場合をも予想したものではないということだけを申し上げる次第であります。
#68
○松本(一)委員 本年の予算では、一般会計からの繰入れの費目がありませんから、おそらくそういうことはあるまいと思いますが、六・三制の学校だとか、あるいは土地改良、または災害復旧までせにやならぬのに、仕事のできない日本の現状でありますので、そうどしどしとあとから一般会計を利用されるということになると、國民として迷惑千万であります。よろしくお願いしたいと思います。
 その次は建設改良公債を、これまで日銀の借入れとか、あるいは公債発行によつてまかなつておつたのを、今度は米國の援助資金で百五十億借入れをするということに計画がなつておりますが、はたしてこの対日援助資金を國鉄に注入することによつて、將來の日本の國鉄の事業に重大な影響を與えはしなかろうかという懸念を私どもは先日來持つておるのです。これらにつきまして運輸大臣の確固たる御方針を、この機会にお伺いしておきたいと思います。
#69
○大屋國務大臣 その問題は、大体が対日援助の見返り資金の性質が、わが國がこれをアメリカから拝借したのか、いわゆるアメリカの投資が、あるいは日本が惠まれて、もらいきりになつてしまうのであるかという点につきましては、まだ何らの定説がないのであります。從いましてその資金が國鉄に使用される面に対しまして、いわゆるその資金による影響が、わが國の國鉄経営上に重大なる障害を來すやいなやとい点に対しましては、私は現在こうも心配はないものと確信しております。
#70
○松本(一)委員 その点に関しましては、先般吉田総理大臣からも予算委員会で御答弁がありましたので、大体私ども政府のお言葉を信頼して、今後この見返り資金を日本の復興のために、また将來に重大な影響のないように御活用願いたいと思いまして、くれぐれもお願いいたします。
 その次に旅客運賃値上げと関連して、貨物運賃の値上げもこの際考えられたらいかがか。この点は先ほど御質問もありましたけれども、大体貨物運賃を上げれば物價に影響する。物價に影響すれば、たちまちインフレが高進して、生計費に影響するということを懸念されておるのだと思いますが、昨年三倍値上げのとき、私どもは相当指数の上で心配をいたした。ところが幸いに大した影響もなく、少々の値上りでとまつたのであります。ところが今度貨物だけはまるきりすえ置かれる。しかもこれを旅客運賃の値上げに轉嫁するというのは、いささか片手落ちではないか。そこで貨物運賃を少々上げることによつて物價に影響しても――帰するところ家計に影響して來ることは明らかですが、旅客運賃を上げればこれはたちまち家計に影響して來る。結論において影響することはかわりないのであります。今日の報知新聞の記事にも載つておりまして、詳しい記事はごらん願つたと思います。大体全國で百二十有余の都市が爆撃を受けて、今なお住宅は拂底しておる。官廳や会社は大体都市にある。ですから、大方の人が郊外、遠方から通勤しておる。また学校も都市にあるので、子弟はそこに通学しておるということで、交通費がかさんでおるのでありまして、あるいはドツジ公使が日本の乗客の姿を見られて、むだな遊山旅行が多いとお考えになるかもしれませんけれども、おそらくそれこそ一部であると思う。大事多数はやむを得ぬ用事か、あるいは通勤、通学等ではないかと思う。そういうときに、今度旅客運賃は六割上げた、しかも定期は一色の一箇月だけにしてしまつたということになると、一軒の中で通勤者が一人と子供を二人学校に通わしており、かりに五人家族として、月割七百円程度、交通費がかさんで來る。これは区間によつて大分違いますが、そういうことから考えて、六千三百七円の官公職員の賃金ベースについても平均七百円家庭で交通費がかさめば、賃金を上げなければならぬという問題が必ず起きて來ると思う。政府がこの旅客運賃だけを一方的に上げて、貨物に轉嫁させないというならば、賃金ベース引上げの御決意がなければ、やれないことだと私どもは考えております。ついてはこういうことを未然に防ぐためにも――いずれ生計費に影響を與える。しかし貨物運賃も上げる程度によるのでありまして、あるいは倍額、三倍といえば、これは相当影響するでしようが、五割や六割程度でとめておけば、大したことはないじやないか、こう考えましたとき、計算してみますのに、まず旅客は三割くらいの値上げにしておく、そうすることによつて大体百十億の予定よりも減收になる、すなわち六割上げるより減收になる。貨物をかりに五割の値上げと仮定して約百三十億、さいわい一億四千万トンの増送計画が成就するとすれば、約百五十億、百十億の減收をカバーして十分余りある。そうなればまた定期券も一箇月というものを三箇月程度に抑えて、ここで二十四億の予定減收になるかもしれませんが、それは貨物運賃の、値上によつてまかなうことができる。どこから考えても旅客を上げる倍率をまず三割程度にして、貨物を五割程度にしたら該案とのバランスがとれる。どこから考えても、これは当然であるのでありまして、このことを日本國民の総意であるという意味から、その筋との御折衝を今後政府におきまして一段の御考慮を願いたいと思うのであります。私の意見を加えて失礼でありましたが、運輸大臣のお考えをお伺いしたいのであります。
#71
○大屋國務大臣 ただいま松本君の御所論の筋は、よくわかるのでありますが、私たちといたしましても、貨物のみを上げて旅客の方はすえ置きをしようか、あるいはあなたの御説のように、貨物と旅客をともに適当の率で上げて、それでもつて処理をいたそうか、あるいは旅客のみをもつて貨物をすえ置きにしてやろうかと、あらゆる角度から実は檢討をいたしました結果、ただいま政府案として提案いたしました旅客六割を上げるという案を御提案申し上げた次第でありまして、これにいたりまする道行きにつきましては、その筋ともしばしば政府といたしましては折衝を重ねて参つた次第でございますので、もはや政府といたしましては、その筋に御提案のようなお話を再び持つて行く意思はないというように御了承願いたい。
#72
○松本(一)委員 最後にこの独立採算制云々の問題であります。これはもう何もかもよく御存じの運輸大臣にお伺いするのはどうかと思うのですが、近ごろアメリカの方からの御指導によつて、独立採算制を云々されたのですけれども、わが國の鉄道建設の歴史を見ますと、第一には産業開発、第二には附近の人々の福利民福いわゆる文化開発、第三には採算、こういう観点から敷設されて來ている。これが日本の國鉄の歴史である。アメリカあたりは最初から営利を目的とし、独立採算からスタートを切つて來ておる。それにかかわらず、近ごろになると、國鉄だけに独立採算制をとれ、いわゆる九原則の均衡予算と言われますけれども、私は均衡予算というものは、運輸省だけ切り離しての、均衡予算ということはむりなことである。國全体の均衡予算、総合均衡予算でなければならぬ。ですから、かりに運輸省だけが少々赤字が出て、一般会計から繰入れなければならぬとしても、他の面で黒字を出せば、これでよいということが実は考えられるのであつて、結局日本の國鉄の使命と歴史というものは、アメリカにおける考えと大分違うのではないか。実はこう私は考えておるのでありまして、それでなければ、毎年この問題を繰返さなければならぬのではないか、これを実は心配いたすのであります。先般の五十キロ未満の路線――数にしますと全國五十八線あるかと聞きましたが、それで採算をとつて見て、五〇%以上の赤字の出る線は、廃線としたらどうかという話も出たようでありますが、幸いにその問題は立消えでありがたいと思つております。そういう路線は、今申しましたように産業開発、福利民福ということから出たのであつて、採算ということは眼中に置かずに最初から建設された。でありますから、この根本の考え方が幾分違うのではないかと思うのです。くどいようですが、もう一度運輸大臣のお考えを承つておきたいと思います。
#73
○大屋國務大臣 松本君の御所論でありますが、やはり日本経済をこの際再建するためには、総合的均衡予算であることはもちろんでございますが、その個々においても、あらゆる産業、あらゆる企業体というものが、それぞれ國家なり、あるいはその他の財政経済からの援助を受けずして自立するという建前が、絶対的に必要なのでありまして、一昨日衆議院を通過した今回の予算編成の大精神も、そこに立脚しておるわけでございます。由來國鉄のいろいろな歴史過程は、松本君の述べられたようなことでございますが、今回はやはり國鉄も苦しいのでございますけれども、この画期的の経済再建のときにあたつて、敢然として独立採算制をとつて参る。しかしてまず第一に企業性の確立をはかり、次いでいろいろな面からゆとりが出て参つたあかつきには、そこに國有性というようなものも徐々に加味して行く。まず第一に企業の独立採算制を確立するのが、日本の経済を再建する上の最も重要なる点と私は考えまして、今回は予算をうんと切り詰められて、一ぺんに大きな仕事――独立採算制を樹立する衝にたまたま私が当り、非常に苦しいのでありますが、これは日本のために非常にいいことと考えておるので、この点については、松本君といささか所見を異にする次第であります。
#74
○松本(一)委員 運輸大臣のお考えもよくわかりますし、また民主自由党の政策もそこにあるのですから、私はくどく申しませんが、ともかくもこの運賃値上げの問題については、私どもは相当強い反対の意見を持つものでありまして、いずれ詳しいことは、今後の委員会においてまた御質問もし、御意見も申し上げたいと思います。今日はこれで打切りたいと思います。
#75
○關谷委員 先ほど機帆船の燃料不足を國民の声として、運輸大臣が先頭に立つて陳情する。これは運輸大臣も御了承くださつたのであります。早急行いたいと存じますが、それに先だつで、この機帆船の燃料不足は機帆船界を壊滅に陥れるもので、日本海運の再建の一大がんであるということから、どうしても関係当局より燃料の増配をしてもらわなければならない意味におきまして、当委員会といたしまして、現在のこの窮状を訴えて、委員会で燃料増配要望に関する決議とでも申しますか、そういう要望というふうなものを文書にして、委員長を通じて関係筋へ傳達をしてもらいたいと思うのであります。なおこの決議文と申しますか、その文案は委員長に一任する。こういうことで全委員の方々の御賛成を得たいと思うのであります。
#76
○稻田委員長 ただいまの關谷君の御動議でありますが、橘君の御意見なり、關谷君の先回以來の御意見なり、尾崎君の御意見もありまして、この海運の運賃問題は、現段階において相当重大であると委員長も思います。特に機帆船の油の供給が、大臣のお話によると五月から半減されるということであります。そうなりますと、これは機帆船界の重大なる問題であると思いますし、ただいま闘谷君の動議は相当考慮すべき重要なる動議であると私は思います。委員各位の御反対の御意見がないならば、その方法は委員長において適当に文書をもつてやるか、あるいは口頭をもつてやるか、いたしまして大臣はすでにお聞き及びの通りでありますから、大臣の方では、いかようにいたすかはわかりませんが、その筋の方に対しまして、わが國の機帆船の死活浮沈の問題であるということを一應意見を述べまして、何らかの救済策を講じた方がいいのではないかと委員長も思います。御異議がなければ、その方法等については委員長に御一任願つて、さようすることにいたしたいと思いますが、いかがでございますか。
#77
○滿尾委員 私は機帆船の立場について同情し、その動議については異議はありませんが、ただこの際これを出すことについて、一應御考慮を願いたいことがある。それは陸上の運送においても、ガソリンの増加は切実な問題である。さらにそれ以上に陸上運送について問題になるのは、自動車のタイヤの問題、生ゴムの輸入の問題、これらの切実な問題がある。從つて自動車のガソリン問題も、機帆船の油の問題も同じ油であります。性質は少し違いますが、そこらの調整をどういうふうにお考えになつて行くか、追つかけてそいうものを続けて出されるのであるか、あるいはそこまで間口を廣げてやろのか、その前後の事情を委員長においてとくと見きわめた上で、処置をとられることが必要だと思います。そのことだけ御考慮をいただきたい。私は動議そのものについては反対は毛頭ない、賛成いたすものでありますが、前後の振合いといいますか、委員会の名においてその筋へ持ち込むとすれば、その間の事情を一應念頭に入れて、どう調整するかという見通しをつけていただいた上で、運んでいただいた方がいいのではないかと思います。
#78
○田中(堯)委員 關谷君の動議に賛成であります。ただ一言注文をつけたいことは、この運輸委員会でいろいろなことを決定をして、たとえばこの前も道監委譲反対ということを、決定というわけではありませんが、圧倒的な反対意見を関係筋へ申達しようと決定を見たのですが、そういうふうに再々決定なり決議なりを行つてみましても、これが全然効果を持たずに終つたということにならないように、場合によつては代表を選ぶ、あるいは理事会がそこへ持ち込んで行くというような、適当な処置をとられんことを希望いたします。單にこういう話があつたから、という程度に済まされないようにお願いいたします。
#79
○稻田委員長 滿尾君並びに田中君の御意見はとくとしんしやくいたしまして、その方法は委員長におまかせくださいまして、さような委員会の決議ではなく、そういう要望があつたということをその筋に傳えるということに御異議がなければ、さようにいたしますが、いかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○稻田委員長 御異議なしと認めまして、委員長より適当な方法をもつてさよういたすことに決定いたします。柄澤君。
#81
○柄澤委員 運輸大臣にお尋ねいたします。独立採算制につきまして、松本委員からも御発言がございましたが、十分あらゆる方面の考慮を拂つて、今度の予算が実行可能であるという御答弁ではございましたけれども、運輸当局から当初予算として私どもの承つておりますところでは、損益勘定として千九百三十九億、工事費として四百六十六億、合計二千四百五億が要求されたということを承つておりますところが今度の予算の決定におきましては、予算委員会におきまして、野党側の質疑が実は打切られてしまいまして、私どもといたしましては、まつたく不服な予算が、返上するところの予算が、通過してしまつたのでございます。千三百十八億という、一千八十六億の巨額な削減をもつて通過しておるのでございます。この点につきまして、運輸当局では、私の聞いておりますところが間違つておるかどうか、御答弁を賜わりたいと思いますし、さらにできますならば、各費目にわたつて、支障なく貨物一億四千万トンの輸送と、三十五億人の輸送が実施できるかどうかというお見通しについて、承りたいと思うのでございます。
#82
○加賀山政府委員 柄澤さんの御質問は事実問題と思いますし、先ほど大臣から、貨物輸送並びに旅客輸送は、予算が減らされてもやつて行くのだという御言明でありましたので、この点については、もうすでに御答弁があつたものと思いまして、私からはその事実問題だけを御答弁申し上げることにいたします。当初いろいろ考えまして、損益勘定において千九百何億、それから工事勘定において四百五、六十億何がし、これを最初われわれが作案いたしましたことは事実であります。しかしながら当時としては、すでにもう九原則も出ておりました次第でございます。欲を言えばやつて行きたいことが非常に多い。從つて昭和二十三年度の状況そのまま引延ばし、なおかつ新規の事柄とか、そういうものを相当手廣くやつて行こうといたしますと、それくらいの金額は使えないわけはないわけであります。御承知のように、これは実は予算折衝上の技巧もございまして、從來ともに大藏省に折衝いたします場合に、第一回といたしましては、そういつた見地から、当然そういうものは通らないということは承知しながらも、まあ欲ばつたと申しますか、非常に積極的に、こういうこともやりたい、ああいうこともやりたいということで、一切合財入れまして、持つて行くのが例でありまして、今年は実は九原則も出ておりますし、状況もわれわれ十分判断がつきますので、そういう手数を省いて、最初からぎりぎりの予算で持つて行つた方がいいとも考えたのでありますけれども、そういつた從來の慣行と申しますか、そのままそういうことで出たのであります。從いましてそれを今度衆議院において御審議願いました予算の額と比較いたしますと、相当の開きがありますが、それだから、これではとうてい輸送にたえられない予算であるということは申せないと思うのでございまして、先ほども大臣が言われましたように、われわれといたしましては、現状の施設を極力維持することに努力いたしまして、この予算をもつて既定の輸送力の遂行に進んで行くという決意を持つておる次第であります。
#83
○柄澤委員 ただいま余裕のある予算を計上されたというお話でございましたけれども、そういう予算の組み方をされますから、当局の予算の要求がいつも山をかけているのだというような見解から、関係当局が削減されることになるのではなかろうかと思うのでございます。こういう前の予算を檢討いたしましても、私どもといたしましては、現実に國鉄が山田線の奥地の状況がわからないというくらい線路がいたんでおるということも聞いておりますし、また新津の管理部では、今度の予算において人員が整理されるならば、総員辞職するというような決議さえも行つておるというようなことを漏れ聞いております。こういう日本の運輸全体にとりましては、重大な問題を引起すような予算が組まれております現状におきまして、私どもとして追加して承りたいのは、先ほど田中委員からも質問がございまして、途中でこれが打切られましたので、そのままに終つておりますが、なぜ暫定予算にでも、運輸省当局の責任のために未拂いになつて、関係産業が今つぶれようとしておるような車両の関係労働者に対する賃金の未拂いなどを組まれなかつたか。こういうものはやはり國鉄の予算の組み方そのものに、そうしたずさんな点があつたからではなかろうかと思うのでございます。関係当局、関係当局ということを、よく運輸大臣も、加賀山総局長官も仰せられるのでございますけれども、関係当局の意見と申しましても、何と申しましても、運輸の実態を知つておりますのは國鉄の当局であり、さらに現場の労働者自身がこれを知つておると思うのでございます。この前の運輸委員会におきまして、当局との打合せの際に工作局長からこういう御答弁があつたのでございます。これは車両の関係でございますが、昨年度一億三千万トンの輸送を実行するために、十二月までに車両を絶対につくらなければならないという達しによつて労働強化をさせて、三月までの予算を十二月までに使つてしまつたというのでございます。それができ上りましたあとで、そのあとの一月、二月、三月の間生産設備並びに労働者を遊ばせることができないから、二十四年度の予算を見越して車両をつくつたということでございます。ところが二十四年度の予算は、車両におきましては昨年度の三〇%でございます。こういうことを御当局から答弁になつておるのでございますけれども、これはその関係産業の労働者にとりましては、生死にかかわる問題でございます。また日本産業の上におきましても、非常に重大な問題だと思うのでございまして、ただいまのような御答弁では私どもには納得行かないのでございます。当然四月十五日まで組まれた暫定予算には、こういうものが組み込まれてしかるべきものであつたと思うのでございますが、これが今日の運輸大臣の御答弁によりますと、五月の末までに支拂いが結着するというような御答弁で終つておるのでございますけれども、その間その産業に関係する労働者並びにその家族、またその産業を経営しております事業主というものは、どうしてその経営を、生活を、生命を維持するか。これについて当局の責任を、ぜひはつきりと承りたいのでございます。できますならば、すぐにもこれらは支出されてしかるべきだと考えるものでございます。これら今までの運輸当局のやつて來られましたところの無責任なやり方で、この一千八十六億も減少された予算が、独立採算制として実行されますことにつきまして、私どもとしてはまつたく信頼することができないというふうな懸念を持たざるを得ないのでごいます。ぜひその点御答弁願いたいと思います。
#84
○加賀山政府委員 本年度の予算と昨年度の予算のことについてのお話と思うのであります。昨年度も予算上は、確かに車両の新造並びに修繕費は相当十分にあつたわけでございますが、それについて島工作局長が言われたように、國鉄の輸送力というものから、とにかく昨年度中において二億三千万トンをやらなければならなかつたのでありまして、それにはぜひとも車両を早く完成いたしませんと、それが昨年度の輸送力にはならない、そういうことから車両工業を非常に鞭撻いたしまして、急がせたということは事実であります。從いまして、労働強化かどうか私どもとしては存じませんが、車両工業といたしましては、工場の設備を十分に使いまして、そうしてその実績をあげたのでございまして、その結果、一月から三月までの間は手を明けざるを得ないというかつこうになつたわけでございます。それは事実であります。從いまして國鉄としては、事実は十二月までに、もう昨年度の予算上に見込んだ責任を果したわけでありまして、もし國鉄といたしまして親切でなかつたならば、それではあとは來年のことと、さよならしてしまえば、あるいはそれでよかつたのかもしれませんが、それではみすみす車両工業が手を遊ばしてしまうということになりますので――今日になりまして車両工業にしてみれば、ありがた迷惑であつたと言われるかもしれないのでありますが、われわれとしては親切な氣持ちで、來年度としても一億四千万トン輸送が予定されている、從つて相当の車両もいるのであるからということで、ごく最小限度の数を見積りまして、内示をいたした点はあるわけであります。この内示した車両につきましては、もうほとんどこの三月までに完成をしてしまつておる。そのほかに会社自体の氣持でもつて見越し生産をした車両も一部ある、これは実は予算上も、あるいは道徳的に申しましても、國鉄としては責任を持たなければならぬ性質のものでないかもしれぬ、かように考えておるわけでありますが、ともかくも現在において未拂い額が二十億ちよつとございますので、これは暫定予算でというお話でございましたが、もう本予算も間もなくきまるのでございまして、これは性質上暫定予算というわけには参るまいと思うのでありまして、本予算が通過の上は、ただちにとりかかりまして、先ほど大臣からお話申し上げましたように、今月と來月の間にぜひとも完済をいたしたい。それでただいま柄津さんが御指摘になりました点は、今月と來月で解消をするわけでありますが、私どもの心配しているのは、実はその後の問題でございまして、ただいまこの四、五月といたしましては、一應車両会社につきましても金融的の措置がとられているわけでございますが、これが國鉄の支拂いによつて、そういつた金融機関に返済してしまうと、その後のつなぎがとれなくなるということであります。それにつきましては、もちろん國鉄といたしましても、できるならば、まだ相当の車両がほしいということも事実であります。いわんや車両会社におきましては、もつと仕事がなければやつて行かれないのじやないかと考えておりますけれども、とにかく國鉄といたしましては現在の與えられた財源――つまり金がなければ何にもできないのでありまして、與えられた財源の以内において発注をいたしまして、そうして仕事をして行くという状態であります。そういつたものができましたのは、予算のずさんではございませんで、そういつた予算に関係のない見越しを行つたというところにあつたわけであります。予算のずさんとは、関係が違うということだけを申し上げておきたいと思います。
#85
○柄澤委員 ただいま御答弁になりました長官のお話によりますと、賃金の遅配の原因は、運輸当局におるのではなく、見越し生産を行つた業者の側にあるということになるのでございますか。
#86
○加賀山政府委員 國鉄といたしまして内示した面につきましては、確かに國鉄に責任がある。見越し生産については責任を負わぬと逃げるわけではありませんが、これは会社がそれを見越してやつたということであります。しかしながら会社といえども、國鉄の車両をつくることを最も主たる使命とする会社でございますので、國鉄としては決してそれの逃げをはるつもりはございません。予算が成立次第、ぜひとも早く措置をとるという決意でおります。これだけを御承知願いたい。
#87
○田中(堯)委員 一言申し上げます。大臣は五月一ぱいには、ということでしたが、それにはまたいろいろわけがありましようけれども、何とか五月一ばいといわず、みんなもう生きるか死ぬかの問題なのですから、予算の確定もしたことだし、すぐさま拂うということでお骨折りを願いたいのです。この点についてもう一度大臣から何とか保証を願いたいのですが……。
#88
○大屋國務大臣 それで一應金融をつけてある面もありますし、たくさんの何で、困る程度の緩急もございましようから、そういう点もよく調べまして、田中君の御趣意を尊重いたします。
#89
○田中(堯)委員 二つばかりお尋ねしたいのです。一つは独立採算制の問題で、もうすでに各委員からいろいろな問題が出ておりますが、独立採算制というからには、これは收支とも正当なるものをあげてやつて行くということでなければならぬと思うわけであります。ところが政府御当局の御説明の通り、運賃はコストの半分か、あるいはせいぜい六割程度のものでやつて行こうということになるから、やはり赤字になる。そもそも独立採算制――ことに鉄道事業というものに独立採算制を採用することが、私どもの考えからすれば時代錯誤であります。米國を除いてどこの國でも、鉄道のごときを私経営、あるいはコーポレーシヨン経営などということは、ありはしないはずであります。というのは、もうすでに全世界の資本主義経営が老衰期に入つている現状におきまして、とても運賃を計算通り拂う力は、どこの國においてもないわけです。だからちようど、運輸事業が必要とするだけの運賃をもし拂おうということであるならば、これはもうみな資本主義経営は壊滅せざるを得ないという状態になつておるわけであります。日本においては資本主義は老衰期どころではない、まるでひつくり返りそうな現状において、せつかく國有國営になつているものを、わざわざ独立採算制に切りかえてやつて行こうというところに、根本的な矛盾があると思うのであります。これは時間がないので、いろいろな矛盾があるけれども、一々指摘はいたしませんが、あらゆる矛盾がその点から続出しておるわけであります。そこで大臣にお伺いしたい事ことは、これは私もう專門家の大臣であるので、おわかりでしようから説明は省きますが、独立採算制のことは、條理を盡してその筋に話をすればわかると思います。アメリカの頭をもつてすれば、独立採算制が日本によいということになるかもしれないが、そうでない事由を十分に條理を盡してお話になれば、なるほど日本においては、これはだめかもしれないということがわかると思います。われわれも大いに協力をしますから、もう一ぺんその筋に出て行つて、これはとてもだめだということを納得させるように、努力をする意思はないでしようか。それをまず第一に伺いたい。
#90
○大屋國務大臣 前段の田中君のお話は、御意見として承つておきますが、これから出かけて行つて、独立採算制の不可能なゆえんを説く意思はございません。
#91
○田中(堯)委員 それではやむを得ぬが、第二段にお伺いしたいのは、今度の予算などを見ますと、先ほど來再々御説明になつたように、独立採算制においてすらも二百三十億の赤字が出た、そこでその赤子の穴埋めをするために旅客運賃六割の値上げというようなことをやつておる。私どもの考えからするならば、この二百三十億の穴埋めということを、こういう方面に持つて來ることははなはだけしからぬと思います。というのは、これはいうまでもなく、汽車に乗つて見ると、三等はいつも超満員で、始終鉄道事故を起しておるような状態でありますが、だれも物見遊山で汽車に乗つておる者はありはしない。その日の生活のために、しかたがないので、命がけで汽車に乗るわけであります。生活確保のために汽車に乗るわけでありますが、それに対して六割の値上げをするということになると、家計に響いて、生活が破綻するという状態になる。言いかえれば大衆課税、大衆に負担を持つて行く、それによつてこの鉄道の穴埋めを、しようということになると思います。こういうことは私はいかぬと思います。それから経費を大いに節減するということで――これは今日の運賃値上げ問題とは別個の話でありますが、関連事項でありますから、ついでに触れますが、最初組まれた予算のときから、今度決定した予算になりますと、総人件費からいたしまして、五百三十二億から三百六十六億に激つておる。約三一%減つておるわけでありますが、これが大体二割、三割の首切りといことになつて來るわけでありましよう。そういうふうに経費の上から見ても、今度は労働者の首を切る。それによつて何とか急場をしのごう、結局國鉄の経営の困難ということを一方では大衆課税に、一方では勤労者の首を切ることに持つて行く。そうして残つた労働者では今の業務量はとてもやれませんから、結局労働強化ということで、何とか押して行こうということになつて行く、こういうよな行方をしなくとも、私どもの考え方からすれば、増收政策は別にいくらでもあるはずです。たとえば占領軍は始終からの車みたいなものを、あつちこつちひつぱりまわしておるようですが、どのくらいの割になるかわかりませんが、おそらく一割以上二割近くになるのではないかと思います。そういうものに対する経費というものは一体十分に取立てられておるかどうか、おそらく取立てられておらないのではないかと思います。それからまた國鉄はこれまでは不採算制のものをみな抱き込んでおる。こういう鉄道を賣收したところで、引合わないということがわかつておるにかかわらず、産業的な、社会的な必要上、わざわざ不採算制なものをかかえておる。これは独立採算制の建前からいうならば、抱きかかえる必要がない。國家的、社会的必要からやはりかかえ込んでおる。私どもの調査によると、そういう赤字というものは――收支において支出の二割ぐらいしか收入がない。文出の二割をまかなうだけの收入しかない。二十四、五パーセントしか收入がない。しかもそれを産業的、社会的、國家的必要上から経営せざるを得ないということであるならば、これは明らかに公益上の必要であるから、そういうふうな赤字は当然國庫からもらわなければならない。一般会計からもらわなければならないということになる。國家から莫大なる助成金、補助金をもらわなければならないことになる。そうすればどうしても税金は上るわけです。また石炭も全物件費の莫大なる部分を占めておるが、その六割か何かを占めるような石炭にしましても、私ども調べたところによると非常に高値で買つておる。マル公以上という意味ではありませんが、一般の資本家の買つておる分には、莫大な助成金がついて格安に手に入るものが、鉄道はそういうものを省いているために、たいへん高い石炭が入つておるわけであります。そういうものは工作の仕方によつては、うんと安い石炭が手に入るようになる。まだいろいろありますが、ともかくもまだまだ経費を節減し、收入を増す方法はいくらもあるわけであります。そういうことを一つも努力をしないで、いきなり首を切り、一般勤労階級に対する汽車賃の値上げというような、まるきり大衆いじめの方向に持つて行かれようとする運輸省の今度の予算のきめ方に対して、根本的に私どもは賛成ができないわけであります。そこでお伺いしたいことは、まず私どもに賛成していただくことはできますまいけれども、こういう案でなしに、もう一ぺん案を練り直してみよう、もう一ぺん考え直してみよう、こういうことはできますまいか、お伺いいたしたい。
#92
○大屋國務大臣 田中君の前段の御発言は大いに傾聽いたしましたが、あるいは運賃を上げないでも、ほかに能率改善とか、よいものを安く買う、あるいは國鉄の不採算制の経費は、國庫から補助を受けるというような御発言でありましたけれども、これは御意見として承つておきます。ともかくも私も絶対に運賃を値上げする以外に手はないとは申しませんが、現在の段階におきましては、少くともさようせざるを得ないわけであります。さらにこれを再考慮いたすという考えはございません。
#93
○柄澤委員 今度の改正は運賃の率だけに関するものと考えられます。この國有鉄道運賃法の本案については、全然改正がないものと考えられますけれども、その点もう一應はつきりしていただきたいと思います。
#94
○藪谷政府委員 先ほどの御説明で、第一点は表にして事情を御説明申し上げ、第二点は今回の運賃改正の内容について要綱を御説明申し上げました。最後に第三点といたしまして、現在の國有鉄道法の一部改正に関する法律の内容について三点の修正の御説明を申し上げたはずであります。現在の第三條の一、これは現在百五十キロまでは九十銭であるのを一円四十五銭と直す。百五十キロメートルを越ゆる部分は六十銭を一円五銭と直す。つまり要点は賃率だけかわる、こういうことでございます。
#95
○柄澤委員 國有鉄道運賃法はたしか四項目がその原則となつていたように考えられます。第一に公正妥当、第二は原價を償う、第三には産業の発達に資する、第四は賃金物價の安定に寄與するということがその原則であつたと思うのであります。この点につきましては、何ら変化は行われないという御答弁になるわけでございますね。
#96
○藪谷政府委員 第一條の今柄澤さんが指摘されました原則にはかわりはございません。あれは理想でありまして、理想に行くまでには、やはり十分にあの條項に満たない点もありますけれども、あの原則、理想はかわりはございません。
#97
○滿尾委員 私は先ほどの質問で、大臣に旅客運賃の変更だけやられることにつきまして、旅客運賃の変更は、一般物價のコストに影響がないかということを重ねて伺つたのでありますが、どういうふうにお考えになつておるか、御答弁がなかつた、これはぜひ委員会の名誉のためにも、一應の御答弁をくださらねばならぬと考えます。
 それから今度は事務的な話でありますが、政府委員の方に申し上げる。今日いただいたこの資料はすこぶる不完全であると思う。なぜかというと、これだけの赤字を出した、それをどうするかというところから、運賃値上げが來ておるのでありますから、二十四年度の大体の支出予算の項目をつけるべきである。前回説明会のときにいただいておりますけれども、今御説明によると、その筋の関係で相当削除されておる。われわれは削除された決定的な予算の項目については、あまりはつきり認識しておらぬわけです。これはぜひその資料を添付すべきであります。遅れたりといえども、追加してお出し願いたい。それから私は最初に大臣に申し上げた。これだけの大衆負担を課するについては、どうしても当局においても、できるだけの合理化をしてみて、しかもなおかつ及ばなかつた、この値上げのやむなきに至つたのだということを説明される必要が非常にあると思う。そこでその合理化の内容について、当局はわれわれのことをやつて、これだけの節約をやつて、なおかつ足らぬという明細を資料としていただくことが必要であると思う。これを私は御要求申し上げたいと思います。
 第三番目には非常にこまかいことでありますが、第七表の收支予定表の中の貨物運賃の原價に対する收入割合、これは二十四年度、二十三年度も出ておる。ところが二十三年度では、四割三分しか事ないようになつておるのが、貨物の運賃に値上げがないにもかかわらず、二十四年度は五割六分に上つておる。大体五割見当になつておる。どうしてこの数字の差が出たか、これはあとで私個人にお答え願えばよろしい。
 もう一言申し上げますが、この運賃の改正は五月一日から御実施の予定になつておる。これを今ごろわれわれに御相談があるということは、やはり時期のとり方として妥当でないではないか。私どもはやはり運輸の專門委員会といたしまして、運賃値上げの技術的な面に立ち入つていろいろ檢討もし、御説明も伺い、われわれの建設的な意見もぜひ聞いていただきたい、かように考えておるのでありますが、実施時期がわずかに旬日後に迫つておる。何といつても鉄道の制度の改正は、切符の印刷からやらなければならぬ。これは準備にたいへんな手間を要するのであります。してみると、運輸大臣が本委員会にこれをおかけになつて御相談になつたということははなはだ適切な時期でなかつた。少くとも委員会を尊重する念において、十分でなかつたというような誤解を生ずるおそれがある。この点についても十分お考えをいただきたい。私は委員長に御相談いたしますが、委員長はこれをどういうふうにお扱いになるお考えであるか、私の私見を委員長に申し上げれば、もう一ぺんこれはもつと微細にわたつて、テクニツクの末に至るまでわれわれ目を通す必要がある。大体予算のわく内において、いろいろ技術的な修正をすることの必要な場合も、委員会としては起つて來るのではないか。從つてこの次はいつそういうことをやるか。それには必ずしも大臣の出席は必要としないが、事務当局以下そろつて、十分な資料を持つて來て、徹底的に私どもが納得行けるまでの論議を闘わしたい。どうも微細な点に至つては、どうしてもうのみできかねる感じを持つておる。その質疑の時間があるか、そのお見通しを伺いたいと思います。
#98
○大屋國務大臣 滿尾君の第一点の御質問にお答えいたします。旅客運賃を値上げいたしますることは、全然物價に影響ないとは申されないかもしれませんが、價格形成の形式上においては、旅客の運賃は取上げておらないわけでございますから、さように御了承を願います。
 なお第二点の、かようかようの合理化をやつたが、どうしても方法がつかないから、旅客運賃を上げるのだという、やつた檢討の結果を報告しろという件と、それから、いよいよ最後に緊縮して組んだ予算の内容に盛られた仕事の明細を報告しろということ、それから次の、二十三年度の数字が脱けておつたという問題ですが、その問題は次の委員会でとくと説明を申し上げてけつこうでございます。それだけお答えいたします。
#99
○稻田委員長 滿尾君の委員長に対する御意見でありますが、政府の今御答弁のような資料は、いずれ出されるだろうと思います。この委員会の促進ができないのは、いまだにこの運賃六割値上げの議案がかからないからでありまする。かからないけれども、日にちが切迫いたしておりますから、國政調査という名をかりて、本日開いておるようなわけであります。決して委員長は怠慢をしておらぬわけです。でき次第、かかり次第、早急にこれを運んで、大臣の言われる通りに五月一日に間に合うようになるか、あるいはどうなるかわかりませんが、極力委員会を開いて審議したいと思うております。本日は運賃値上げの問題を主として御討議願うわけでありましたが、それに関連していろいろ行政整理その他の面の御質問がありまして、時間がよほどたちましたが――田中君まだありますか。
#100
○田中(堯)委員 二十日ほど会期延長ということですが、それにしても日にちがない、この運賃値上げだけの問題でないので、ほかにも重要案件が一ぱいあると思いますから、願わくば連日委員会を開いていただきたいと思う。
#101
○稻田委員長 ただいま官房の方からの達しでありまして、運賃の方は出せることになつたそうであります。実は私鉄並びにバスの拂下げに関する特別の審議を、ちよつと專門家を頼んでやつておりますので、明日はかけません。また理事諸君ともお話合いいたしまして、明後日以後からでも、引続いて運賃その他に関する運輸委員会を開きたいと思つております。いろいろ御意見もありましようが、本日はこの程度で終りまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。
 これでもつて散会いたします。
    午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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