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#1
第004回国会 大蔵・人事・労働連合委員会 第4号
昭和二十三年十二月十一日(土曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年十一月以降の政府職員
 の俸給等に関する法律案(内閣送
 付)
  ―――――――――――――
   午後二時九分開会
#2
○委員長(櫻内辰郎君) それでは只今より大藏、人事、労働組合委員会を開会いたします。
#3
○大山安君 給與局長さんにお尋ねしたいのでありますがお出でになつておりますか。
#4
○委員長(櫻内辰郎君) 局長の代りの第一課長が見えております。
#5
○大山安君 課長さんでもお分りになるでしようからお伺いいたします。この級別俸給額表でありますか、別表の第一という表でございますが、これはこの間給與局長さんにお尋ねしたことに関連してでございますが、一級、二級、三級、十四級まであります。この中で、例えば五級から六級に上進した場合に、五級の八号、九号、十号の者は上進したために少い給與を受けることになります。上進して給與を少くなるということは不合理ではないか。何人も上進すればその給與も共に上進すべきものであるに拘わらず、一級進んで給與が少くなるということは納得行かないのでありますが、この点をお聞きしたいのであります。
#6
○政府委員(酒井俊彦君) 今のお話の趣旨がどの点にございましたか、或いは私の伺つたところが違つたのかも知れませんが、一級進んで額が少くなるということはないようにできておるのでございますが、どういうお尋ねでございましようか。
#7
○大山安君 それでは六級七級を対象としてお話しましよう。六級の六、七八、九、十号が一級進んで七級の一、二、三、四、五号とひとしくなつております。進んでひとしくなつております。
#8
○政府委員(酒井俊彦君) 分りました。その点は例えば六級の六号が七級の一号と同樣になつておりますが、今後昇級昇格等に関することは、法律第四十六号、即ち政府職員の新給與実施に関する法律に基きまして、昇級昇格等に関する政令を公布することに相成つておりますが、この政令におきまして、例えば六級の六号の者が七級になりました場合には、七級の一号に行くのではなくて、一号上つた所で七級二号に行つてよろしい、つまり六級から七級に上ります場合には、必ず現在受けております号俸よりは一号上の号俸を貰える、こういう政令が出る予定になつております。ここに重なつた所がございますが、六級から七級に上つたときに、必ず七級の一号から進むのだということではございません。
#9
○大山安君 そうしますと、六級から七級になられた場合には、つまり六級の六、七、八、九、十というものはないものという解釈になりますか、或いは七級の一、二、三、四、五号がないもの、どちらがないものということになるわけですか。
#10
○政府委員(酒井俊彦君) ないものというのはちよつと表現がそれでよろしいのかどうかわかりませんが、要するに只今申上げましたことは、六級の者が七級になりました場合に、現在六級で七級の一号俸よりも低い俸給額しか受けていない者は、必ず七級の一号までは俸給を貰える、それから、それ以上に、六級の六号から十号までは七級の一号から五号までと重なつておりますから、例えば六級十号が七級になりますと、六級十号は四千九百九十円、七級の五号が四千九百九十円でありますから、それより一号高い七級六号の五千百六十円という俸給を貰える、こういう仕組でございます。ですから七級の一号から五号までは飛びまして、いきなり七級の六号が貰えるというわけでございます。
#11
○小川友三君 すでにこの法律案は相当審議されておりまして、大体國民の中にはこの原案でまあいい、早く通してくれという意見も沢山ありますので、大体國会の状況も非常に緊迫しておりますので、簡單にこの案の何とか修正できるだろうというところを一つ政府にお伺い申上げます。
 この税務職員及び経済調査官の俸給額表ですが、警察官より税務官吏が安いというこの紛れもない事実に対しまして、政府側の御高見を拜聽いたしたいと思います。現在税務職員が日本の財政收入の根源をなす第一線の國家公務員さんであるということは、政府は認めるかどうか。その点につきまして御答弁を願い、又税務職員は現在國民が税率が高い、それに対していわゆる新憲法に基いたところの公平なる課税をするというので、想像以上に苦労している、そうして非常な努力をしているというのは、全日本の國家公務員の中で直税の税務職員、間税の税務職員、法人税の税務職員の努力というものは、涙ぐましいものがあるのであります。特に東京に二十七か三十ある税務署の中で、欠員が現在四〇%前後ございます。それを補いまして能率を上げているこの事実、並びに六大都市の税務署におきましても、やはり平均四〇%前後の欠員がございます。これは徴税技術と申しまして、專門の勘と專門の経驗を要するのでございまして、この人々が現在四割前後の欠員を補うて納税に敢鬪していらつしやるというこの点につきましては、本員は満腔の敬意を表するものでありますが、而も警察官よりももつと、日本の財政面において一番労力を費しておるのでありまして、心血を注いでいるのでありまして、これを警察官と同じ待遇にしたらどうか、或いは警察官とあべこべにして、警察官を低くして、税務官吏の方をこれと名前を入換えたらばどうか、成るべくならば同一にして貰いたいが、予算の関係だつたらば、入換えて貰うような方法を政府はお考えにならなかつたか。徴税の問題は、今度の給與ベースを決める当りましても最も重要なる問題であるのであります。國民の中から税金を上げて行く、担税力が果してどのくらいあるのだということを掴んでいるのは税務職員であります。政府にあらずして、第一線の税務職員であるともいえる程に、この税務職員は自分の担当区域の商会が、ここはどのくらい儲ける、このうちはどのくらいの能率を上げているかということを絶えず注目をしまして、帳簿の誤差を発見し、いろいろな方面で活躍しているのでありまして、最も予算面におきまして職意を表さなければならない税務職員を、警察官よりも下に置くという理由をお伺いいたします。
#12
○政府委員(酒井俊彦君) 只今税務職員に対しまして、非常に御理解のあるお言葉を頂きまして、我々非常に有難く拜承いたした次第であります。税務職員並びに経済調査官の給與表と警察職員の俸給表とを比較いたしまして、税務の方が低いではないかというお尋ねでございますが、この税務とそれから警察における一級一二級或いは五級、六級というこの級の当嵌め方は、実は税務の六級がそのまま警察の六級であるということはないのでありまして、この税務の六級にどういう資格の人が入るかということと、いれから警察の六級にどういう人が入るかということとを比較して見ないと、その点はどちらが高いか、安いかという議論ができないのでありますが、これを当嵌めて比較いたしますというと、全体といたしましてほぼ警察と税務とは同じくらいの割合になつております。ただその形といたしまして税務の方は四、五、六、七という、いわゆる中堅クラスというところに非常に厚くいたしております。これに反しまして警察の方は第一線でありますところの一級、二級、三級という巡査なり、巡査部長なりその辺の第一線の官吏に非常に厚くいたしております。それから尚税務職員におきましては、この勤務時間が官廳執務時間と同じように相成つております。ところが警察職員の方は、相当勤務時間が長いのでありまして、六十時間くらい違つておりましようか。從いまして、税務の職員といたしましては相当欠員を抱えて奮闘しておる。從つてそれは自然超過勤務を相当沢山いたすであろうということで、超過勤務手当を相当予算額に計上してございます。そういう時間差がございますが、税務の方が、殊にこの初めの一級、二級、三級あたりでは一見警察より低くなつておるという事情を御了承願いたいと思います。
#13
○小川友三君 関連しまして、そこで大体その点はそういう工合に配慮していて下さるということは分りました。そこで又再び税務職員に移りますが、税務職員に政府は今、日当旅費を四十円前後拂つております。
 そこで、埼王縣の川口の税務署の管内に越ヶ谷というところがありますが、そこへ徴税に行く、調査に行くと往復百二十円かかります。そうすると職員は八十円損をする。こういう場合に政府はどういう処置をとるかということになりますが、そこで税務職員が、そうした地方の税務署は距離の遠いところに徴税に行く、調査に行くということになりまして、非常に苦しみ泣いております。行く度に八十円損をした。それからもう一つ場合が変りますが、税務職員という者は勤労大衆のところへは殆んど行かない。皆大会社、大資本家、大商人というところに参りますので、服装などの点におきましては見すぼらしい恰好をして行く、労働服を着ちや行けない。大体三つ組の服を着て行くというところから被服費が大変かかりますが、そこで調査しながら調べられる方は進駐軍の煙草やマドロスパイプで、或いは安くともピースを喫つておる。調べる方は袋の中から、紙へ入れてある配給煙草を唾で丸めて喫つておるというわけで、そういうところに非常に誘惑のチヤンスがありますが、まあ先にさあピースをと出される。そうすると、がたつと税額の訂正を肯んずるというような誘惑の魔の手が非常に多いのです。全國の税務署の署長さんや、総務課長さん連は実は困つた。税務職員をやるのはよいが、とにかく自分の子供をやるのと同じような氣がして、徴税、調査に行くのに皆見すぼらしい恰好をして行く、手巻の煙草を喫つておる。それが向うでは…………何十万、何百万という收入の人を調べに行くんだから、とにかく向うは絹布の布團に坐り込んでやる。こつちは靴はぱくぱくのを履いて行く。そうして遠いところえは損をして行く。それで能率を上げろ、能率を上げろといつて叱言が來る。いつ何日までにはこれだけの統計の帳簿を整理しろとがんがんと会計檢査院から來る。汽車賃は足りないし、課長なり、税務署長は金がないということで、非常に困つております実情をすつかり御調査賜わりまして、とにかく必要なだけは出して頂きたい。それから税務官吏に対しましては……お巡りさんは制服があつて汽車賃は只です。税務官吏は制服がなくてそうして汽車の切符を買わなければ全然乘せて頂けません。そこで現在大英断を下しまして税務職員に対しましては、その税務署管内だけでいいのです、税務署管内だけでもパスを政府は出さなくちや能率は上りません。それで出して頂く方法があるか。明治初年税務職員は全部官服を來ておつた。その官服は粗末と雖も出して呉れないか。この問題で実は徴税に非常にこれは影響しておりますので、このことにつきましては人情溢るる政務次官から一つ御所見を伺います。
#14
○政府委員(酒井俊彦君) 便宜上私から……、只今税務署職員のいろいろ徴税に当りまして、待遇が必ずしもよくないというお話がございました。現在の税務職員が相当待遇を受けてることは考えられないのでありますが、ただこれは官吏一般、或いはそれを更に考えますと、國民一般が敗戰後のこの乏しい経済力の下に生活をいたしておりますときに、税務職員も或る程度耐乏の生活をして頂く、國民の一般水準程度に耐乏をして頂くということは、これは或る程度止むを得ないと思うのであります。併しながら税務署の仕事というものはおつしやるように非常に困難な事務であり、誘惑に陷り易い、又相当危險な面もあるということはその通りでありまして、そういう意味であれは昨年でございましたか國会の御支持といいますか、御要望によりまして税務職員に手当を出したわけでございます。その手当が結局本俸に繰込まれまして、ここに提出いたしてございます俸給表にように、相当一般職員より優遇された俸給になつたということでございます。
 尚旅費の点でございますが、これは税務署の職員につきましては、管内は殆んど毎日出張いたしますので、普通の旅費でありますならば実費弁償という観念で、汽車に乘つた場合は汽車賃、宿泊した場合は宿泊料、そのときは別々に出しております。毎日管内に出張がございますためにそういう精算ができませんので、管内の日額旅費というので渡しております。その金額がおつしやるように非常に足りない場合もございます。これは昔からそういう事例はあるのでございまして、管内でも汽車に乘りますとすでにそれだけで足りないという土地もございます。これは又一方非常に近いところに出張いたしますと或る程度余るという実情にもございます。ただ旅費の観念といたしまして飽くまで実費弁償でございますからこれを通じまして、とにかく出張旅費は相当に足が出るというようなことでありますならば、この旅費の決め方が惡いのでございます。その点は我々といたしましてもう少し実情を調査いたしまして、適正な本当の実費弁償であるという程度まで旅費の改善をいたしたいと思います。
 それから制服の点でございますが、これはいろいろ從來から問題もございましたが、現在の繊維製品等の需給状況その他も考慮する必要がありますし、それから又他の官吏との振合というようなことも十分研究する必要があると思います。尚御趣旨の点はよく承わりまして、更に関係方面とも打合せして研究はいたして見たいと思つております。只今のところ制服を直ぐ税務官吏に支給するということは、相当困難じやないかと思います。
#15
○波多野鼎君 この政府の職員の給與につきまして人事院と政府と両方の案が出ているわけなんであります。この二つの案を我々が審議するについて、いろいろ從來疑問の点が問題にだんだんなつて参りましたが、我々としては政府職員を眞に國家の、人民の公僕として働けるような地位に置いてやる、できるだけその待遇をよくしていきたいという見地から、この二つの案を眺めておるわけなんでありますが、段々話を聞いていると、五千三百三十円の政府案の方が六千三百七円の人事院案よりも却つて政府職員のためにいいんだというような意見が、大分高まつて來ておるように聞くのであります。例えば大藏省案によると、勤務時間が六・六時間である、この六・六時間を基礎にして算定しておるので時間外手当が相当出ることになる、或いは被服その他の支給をこれ以外にやるものだから、実際の政府職員の受取る受取額というのはうんと殖えて來るのだ。他方人事院案では、例えば被服その他のものは控除しなければならんということになつておるとか、まあいろいろ細かいものを差引いたりなんかしますと、却つて政府案の方が職員のためにいいのだというようなことになつておるような意見が大分出ておるようでありますので、それで私はこういう点を一つはつきり確めて置きたいと思うのであります。
 先ず大藏省案につきまして、この五千三百三十円をベースとする予算の総額、それから時間外勤務手当の予算総額、それから被服その他現物給與と申しますか、官費で支給しておるもの、これは各省に亘つておりましようが、そういうものの大体三つの総額を合せたものが一体何億になつておるのかということを一つ承わりたい。且つ人事院案の方につきましては、この六千三百七円の……人事院の方おいでにならんですか。
#16
○委員長(櫻内辰郎君) いないです。
#17
○波多野鼎君 それじじや大藏省の方にその点を一つお伺いしたいのですが、つまり政府職員の生活のために國庫としては総額どれ位のものを出すことになるのだという、五千三百三十円であると、その総額を一つはつきり承わりたいのですが。
#18
○政府委員(酒井俊彦君) 只今お尋ねの件でありますが、手許にちよつと正確な資料を持つておりませんので、今調べまして直ぐお返事をすることにいたします。
#19
○天田勝正君 先ずこれは委員長に要求しますが、いつも一つこの審議をやる間中は人事院の方からも必ずどなたか來てもらいたいと思いのです。それから実は人事院に質問してから大藏省に質問しようと思つたのですが、順序がくるいますが、この政府案と人事院の案とは大約千円の違いがあるわけです。そういたしまして家族手当を見ますると、一方は千二百五十円、一方は六百円並びに四百円と、こういうふうに二通りになつております。そこで家族数はと見れば、これは人事院で書いて來た書類でありますが、平均一・五人であると、こういうことなんです。そうすると家族の第一は大抵妻でありましようが、その外にコンマ五人がある、このコンマ五人というのは政府案で換算しますと、先ず妻が六百円、それから他のコンマ五人が二百円とこうなつて、八百円、そうすると大体全体のベースの違いの千円のうち、八百円まではこの家族手当で違つてくるのであります。こういうふうに考えられるわけです。そこでこの家族手当以外の手当でどういうところが最も違いがあるか、これを一つ伺いたい。
 それから勿論予算面から歳入の面で所得税のはね返り、このベース改訂によるところのはね返りというものを見ておるわけでありますが、これが一体実際の手取面にどういうふうに現れて來ておるか。
 第三には、これは少々古い例でありまして、昭和二十年の暮から二十一年の三月頃までにかけの当時五百円以上は現金では貰えないという、ベースではありません、そうした当時の話でありますけれども、その当時何ぼ勤労者が名目賃金を貰いましても税金を引きますると、手取は千円の線に無限に近寄つて行く、仕舞には百円殖えても、五銭か六銭しか実質的には殖えない、こういう一つの線があつたわけです。それで今そうした現在の税率からいたしますると、どの点までは要するに上昇して、つまり一定の限度を、その当時の千円と同樣の線というものが今どのくらいになつておるか、こういうことをお調べになつておると思うので、一つお話願いたいと思います。
#20
○政府委員(酒井俊彦君) 只今のお尋ねの点でありますが、人事院の案とそれから政府が提案いたしました法律案との差は、おつしやるように一番大きなものは扶養手当即ち家族手当であります。尤もこの家族手当の計算は人事院の方では一・五人と御計算になつておられますが、最近段々扶養家族数が殖えて一・五四、一・五五人ぐらいに殖えております。そのうち妻は大体〇・五、その他が一・〇四乃至一・〇五という平均になつております。從いまして政府の案で計算いたします場合には、一・五五人といたしまして、〇・五を妻、一・〇五をその他といたしまして、丙地における扶養手当平均が七百二十円、こういう算出をいたしております。それから尚六千三百円案の中には特殊勤務地手当というものが約百四十円ばかり入つておるわけであります。從いましてそれを差引くと六千百六十七円でございますが、これが人事院の六千三百円案の内容でありますが、政府の五千三百三十円案の方は今の特殊勤務地手当が含んでおりませんので、この五千三百三十円と比較すると六千百五十三円という数字になるのであります。
 その次に大きな違いは勤務地手当でありまして、この算出方法が人事院の方は現在の特地は五割にする、その代り現在甲地は二割貰つております。これを一割に下げる。それから乙地は一割貰つておりますが、これを丙地と合せて勤務地手当は附かない、こういうやり方になつております。これを全体平均して見ますと、それは人事院の方から各種のお示しがあるかと思いますが、我々の方で計算して見ますと、大体勤務地手当が全官吏の平均で一割ぐらい附くようになつておるのじやないかと推算されます。これに対して政府案の方は勤務地手当は最高四割といたしまして、それから五分刻みにして三割五分、三割、二割五分という計算で九段階に地域差を設けまして、それで極く大まかな金で計算して貰いますと、全國平均で勤務地手当が一割六分見当になつております。この点が大分違うと思います。
 それから人事院の案によりますと、現物給與、例えば制服、或いはパスでありますとか、宿舍というものは全部この金額に換算しまして、給與から差引くということになつておりますが、これは先程波多野委員の御要求もありまして只今その計数を調べておりますが、要するにそれだけは引かれる。これは幾らになるかちよつと只今計算しておりませんが、それが差引かれる。
 それからその次の違いは人事院の案によりますと、官吏は毎週の休憩時間を除いた実働時間が四十一時間以上四十八時間の範囲内で決める、こういうことになつております。これに対しまして政府案におきましては、勤務時間というものは從來通りということになりますので、平均をいたしますと、一日六・六時間、即ち一週間に直しますと三十九・六時間になりますか、これはあの八時間労働、それから官廳執務時間の労働を全部含めまして、三十九・六時間くらいにその勤務時間の差がある。大体そういう点が差異があるんじやないかと思います。
 それから手取りの問題でありますが、これは一應考え方といたしましては、政府案も人事委員会で御調査になつた四九一五の標準で、小都市における独身成年男子の生計算をとつて計算したのでありますが、この場合には所要の生計費に必要な税金をプラスいたしまして、その結果を俸給額といたしておりますので、大体この俸給額から税金を差引きまして、いわゆるCPS等の生計算と比べますと、先ず先ずこれでカバーできるんじやないかとこういう数字になつております。
 それから最後の現在の税率表で、これ以上は幾ら取つても殆んど税金に持つて行かれるという線がどこかという点でありますが、これは勿論扶養家族数によつて税率が違いますので、はつきり何円ということは申上げられないと思いますが、私詳しいことは余りよく分りませんが、ここで税率の月額表は見ますと、最高の所で二万二千百円を超える場合には、源泉課税としては、この超過額の五〇%を引くと、こういうことになつております。それでそれに総合所得税の方を加味いたしますと、どういうことになりますか、ちよつと手許の資料がはつきりいたしかねるのでありますが、直ぐ主税局の関係の者を呼んで参りますから……
#21
○天田勝正君 これはお調べになつて御返事を頂けばよろしいのですが、実例を以て申上げて置くとよく調べるのに御都合がいいと思つて申上げて置きます。それは、例えば私共の税からいたしますと、大体家族が一人、ここに書かれてある一・五人程度の家族数として、一万八千円の收入があるものとすれば、四千三百円位税金がかかつて参ります。そこで休会中にここへ出席して参つた場合には一日当り三百円の手当が出るとこういうことになります。そうしますと、その三百円が殖えたが故に元の一万八千円に対しても、要するに税率が変つて参ります。変つて参つた分だけをこの三百円から引くということになると、一日出て來たために百三十五円が引かれるということになります。これも人によつて違いますけれども、一・五人程度だつたらそうなるのです。そこで一日では百三十五円引かれて、手取りが百六十五円という勘定になるのでありますが、じや十日出たらどうなるかというと、一日当りが八十一円の実收にしかならない、こういうことになるのです。今度はでは休会中一月ぶつ通しに出たということになるというと、これは五十五円か、六十円くらいになります。これはやはり家族数で違いますけれども、先ずそういうことになるのです。その外に総合所得税がかかつて來ると、こういう勘定になるのです。であるから更にこれに対して地方税がかかつて参りまするので、そこで一定の限界、先程申した昭和二十年の暮ならば千円という限界がありまして、五百円くらいまでは幾ら所得税を引かれましても実質收入がぐつと上昇するのです。ところが八百円くらいからになりまするというと横這いになつて、今度は千五百円くらいになつても依然として千円の線に一銭か二銭づつ近寄つて行くという、その限界線がある。こういうことを一つ主税局等はお調べになつておく方が、自分でも便宜であろうし、そういう点を一つお調べてになつて貰いたい、こういう要求であります。
 もう一つこれは質問でありますが、人事院の方にも同樣に質問しなければならんと私は思つていますが、政府といたしましても、人事院としても、勤務地手当制度を設定いたしまして、それぞれ大都市ほど余計にして規定しておりますが、私の勘定からいたしますと、これは全く逆にならなければならない。これは常に私は労働委員会でも主張しておるのでありますけれども、同じ文化的な生活をいたす場合にも、どう考えてみましても必ず田舍の方が余計かかります。これは昔でも今でも変りはありません。卑近の例を申上げれば、都会で二十銭で刺身が食べられる場合に、田舍でそれを取寄せて食べるということになつたら恐らくこれは十倍でも手に入りません。その他同じ映画を見る場合に、到底そのような三十銭、五十銭という……昔でありますが、廉い値段では見られないのが当然であります。今でもそれは一向変りがないのであります。どういうわけで一体この勤務地手当をただ都市が重く見られておるのか。その根本が私にはどうも分らない。これはいつも答弁を聞いておりまするが、田舍では実際にそういう支出をやつておらない、かからない。これは一体見ることができないからそうなのであつて、若し村なら村でそうした映画でも何でも呼ぶということになれば、必ずそれは余計かかるに決つている。そこでこれは若し勤務地手当という制度を作るならば、実は逆にしなければ、全國民が同じような水準の、要するに文化生活なんかできない、こういう答えになつて來ると思うのです。そうでないからこそ昔でも現在でも、この食糧困難なときですらやはり都会に出たいという欲望が強くあつて、これがもつと自由に物が買える時代ではもう都会にばかり人口が蝟集して來る、こういう現象が現実に現われて來ているということが何よりも証拠立てていると思うのです。そういう観点で政府も人事院もただ都会方が騒がしいから、要するに都会の方を重くする。人事院のごときはこれを五〇%……都会の人には甚だ喜ばれるでありましようけれども、もうこういうことでは田舍へ勤める、不便な所へ勤める官吏はなくなつてしまいます。都会ではちよつと歩くにしても直ぐ電車という便利なものがあるが、田舍ではこれを一々歩かなければならない。こんな苦労しておる方が、薄くなるという一体給與の考え方という根本の点、そうでなければ文化的な生活を営むということができないというこの点を一体どのようにお考えになつておるのか。
#22
○政府委員(酒井俊彦君) 先ず第一の点でありますが、前段のことにつきましては、早速関係の方に連絡をいたします。
 第二の勤務地手当の率の問題でありますが、これはおつしやる通りCPS等の生計費を比較いたしますときに、一体それがどういう生活内容を現わしておるものかということを十分に檢討した上で、生活費が高いとか或いは安いとかいうことを考える必要のあることは勿論であります。ただ現在の官公吏の給與におきましては、この程度の給與におきましては、やはりこの給與の中の大部分というのが、生計費の中の絶対に必要な飲食費、その他日々の生活に必要な経費に充当するということになります。それ以外の文化費の分は或る程度切詰めざるを得ないというような状況にあります。つまりそういう飲食費なり、その他生活上の絶対に必要な経費に、相当なウエイトがかかつておるということであります。從いまして、勤務地域の差を付けます場合にも、それらの点を或る程度重視することは、止むを得ないことではないかと考えておる次第でございます。現在それでは各地間の生活費の差をどういうふうにして見るかということになりますと、いろいろ御議論はあると思うのでありますが、やはり一番信憑し得る資料といたしましては、現在CPSというものしかございませんので、一應これを基礎にいたしまして、内閣の下に地域給審議会というものを設けまして、これが今年の初夏以來五ケ月に亘りまして、いわゆる政府側と組合側とが熱心に檢討いたしました結果、やはりこれは最高四割にし、そうして小刻みにした方がいいんだと、こういう結論に達しましたので、その結論を尊重いたしまして、生活費の計算では、最高四割の九段階という方針を採つたのであります。
#23
○天田勝正君 このCPSというものは一体書けなかつたから、結局そこに現われて來ない、書けるといつても例えば我々にしても田舍から通つておりまするから、映画一つ見れない、こういう見れないという現実がそこに支出面として現れて來ないのです。併しそれは平等な文化的に生活をするとすれば、都会の人が十回見るには十回見るものと書かして算定しなければそれは妥当では、どうしてもないと思うんです。
 勿論あなたの御答弁にあるように、労働組合側とも委員会でも審議された結果が、こうして政府案となり、或いは人事委員会の五百四十一円となつて來たと思うんですが、私は常に、労働組合側でも都会中心に牛耳られておるからそういう始末なんだということをしよつちう申しておるわけなんです。根本的にはどうしても逆でなければ算盤が合いません。これは現実に政府がやつて見られれば氣付かれることです。
 それで若し文化面だけは取除く、今の日本の実情からして幾ら憲法にどう書かれてあつても考えに入れることはできない、こういうのならば、食事面でもよろしいです、おやりになつて御覧なさい。その土地でとれる例えば「ねぎ」の産地なら「ねぎ」だけは確かに安いです。それ以外のそこでとれないものは全部都会より高いです。この点を一体どういうふうに考えておられるのか、それは田舍の人だから肉も買わない、卵も買わないとこういうつまり実際に書き得られないからCPSに現われないので、こういう点から算定されたのは甚だ杜撰ではないかと考えます。
 そこで現実がこう現われて來て、提案した以上は、いろいろと説明されるでしよう。だがこれは根本的に一つ考え直す余地があると私は思うのですが、そういう点に対する政府側の御意向はどういうものでしようか。
#24
○政府委員(酒井俊彦君) お話の点は御尤もでありまして、実は理想的な形から申しますならば、給與の形は、こういう雜多な扶養手当であるとか勤務地手当であるとかいうものの占める割合というものは、極く小さくならなければならん、そうして平常の状態においては、これはどこに住んでおろうと、一体の給料を受けるというのが給與の理想であります。勿論我々もそういう理想的な形態に一歩々々近寄つて行きたいというふうに念願しておりますが、ただ現実におきましては、現在の日本國民全体の所得と申しますか、こういう勤労收入は、昔のようにそれほど余裕のあるものを與えるこどができない、從つてその中の絶対必要経費というものが非常に大きな部分を占めるということは止を得ないのでありまして、その点から考えまして妥協して、ある程度生計費の差というものか、勤務地手当が補つておるのであります。その場合に、おつしやるようにCPSと雖も生活内容が完全に同じものとして現れておりません。從つて不完全な点もございますが、併し現実に日々各地の各消費家計において支出をいたしました今のお話の「ねぎ」であるとかその他野菜であるとか、卵とか肉とかいう支出を記入いたして、それの総平均を出しましたCPSというもの以外に、現在、より信憑し得べき資料がございませんので、一應これによつて結論を出した次第であります。勿論方向といたしましては、只今申述べましたように、こういうものが段々少くなつて、最後には、如何なる官公吏もどこに住んでおろうとも、一本の形の本俸で行くということが理想であるということは、私も全く同でございます。
#25
○大山安君 政府委員にお尋ねいたします。現在問題となつておりまする点は、政府案の五千三百円ベース、それから人事評の勧告案の六千三百円が問題になつておるようでありますが、五千三百円政府案は、経済情勢からいいまして絶対にこれ以外出し得ないという案でありましようし、又人事院の方の案といたしましては、これは生活問題より檢討されたところの一人独身者を基準として出されたようであります。その点から考えますときにこれはいずれも動かし得ないところの五千三百円であるし、又人事院の計数につきましても、生活上動かすことのできないという案であるという上から考えますときに、この賃金ベース案を見まするに、官公職員の多くの者が生活に堪え得られないという段階に給與ベースが定められておるように見受けられるのであります。この場合に、これを全般の予算から五千三百円ベースを官公労職員の全体に適当に配分したならば、生活は安定というわけには行かないでしようが、やや六千三百円人事院案にひとしき俸給ができるのではないか。その根拠はどこにあるかと申しますれば、上級の十二、十三、一四というのは非常に給與に惠まれておる、この点を何とか勘案して、実際に六千三百円に満つる程度に下の方へ廻すというような考えを持つたならば何とか解決が付くものと、こういうような考えを持たせられるのでありますが、政府としてはどういう考え方でおりますか。
 尚話を戻しまして、ここに一給より十二級まで三割二分、これを一本に増額するということが、極めて不合理である。何故不合理であるというと、一級、二級というものは増額しても百円か二百円にしかならない。而も四級の六号ですか、二千円以上も増額される、これは二千円以上でもきかないでしよう、人事院案と比較するところで、こんなに増額になるというようなことになつておるのでありまして、これは増額のみによつても独身者ならばやや生活ができるというような極めて余裕のある算定になるのであります。でありますから、こういう方面を、苦しい中ですから、いずれもいいでしよう。一方は財政上五千三百円ベースしか出せない、一方は死活問題に対して六千三百円なければならないという間際ですから、こういうところはつまり助け合うという意味において、ざつくばらんに言えば、差引いて廻してやるというような案にしたならば、又そうしなければ、ここにおいてすでにもう官公労の下級者は不満を抱いておるのですから、又明日からでも死活問題について、この問題が繰返されることになる。結局結論とすれば、只今申した通り、上級の官吏の手当をつまり割引をして下へ廻してやるというような考えはあるかどうか、その辺を承わりたいと思います。
#26
○政府委員(酒井俊彦君) お尋ねの第一点でありまするが、こういう俸給で以て最低生活を維持できるかどうかというお尋ねでございます。これは一應人事委員会におきまして、本年七月の生計費を基礎として、その七月における所要の生計費を賄うに十分な金額を彈き出して、これを基本といたしております。これに対しまして政府の案におきましては、更に七月から今日までの物價の上昇というものを考え、更に十一月以降本年度内に多少の余裕を見まして、結局四級一号を二千五百八十円というふうに決めたのであります。御承知のように、最近消費者價格、いわゆるCPIは、八月を頂点にいたしまして段々下つて來る傾向にあります。これらを考えまして計算をして見ますと、七月を基礎にとりましたこの数字で、すでに本年の一月に比べますと、実質賃金は三割向上した計算になつております。つまり賃金の上り方よりも物價の上り方がそれだけ遅かつたということでありますが、実質賃金がそれで三割、それから七月以降にそういうふうに見て参りますと、大体一割七分やはり更に実質賃金が向上しておるというような見当に相成つております。それらの点を加味いたしまして二千五百八十円、これは必ずしも理想的な満足すべき額ではございませんが、或る程度実質賃金の向上から見ましてこういう案に決つたわけであります。
 それから次のお尋ねの俸給表の形を一級、二級の方にずつと厚く、上の方に積ち方を少くしたらどうかという点でございます。これは俸給表の作の方につきましては、いろいろ御意見もあるだろうと思います。又この俸給表が、絶対にこれが正しいので、あとのものは駄目だというような議論はできないと思うのであります。ただこの俸給表というものは、御承知の本年初め二千九百二十円ベースというのが決りましたときに、臨時給與委員会におきまして、組合側と政府側とが眞險な檢討を續けました結果、こういう形で行くのがよろしいという結論を得まして、お互いに納得をした上でこういう形を作つた。つまり一給の最低と十四給の最高との間に一対十の開きがある、その間の金額の飛び方も、こういう飛び方で飛んで行くのがよいという一應の結論を得ておりますので、政府といたしましては、從來の研究の結果を尊重いたしまして、そのままの形で全部に三割二分をかけて行つたと、こういうことになつております。
#27
○大山安君 この表を作られたのは、組合と政府が協議の上、組合の同意を得て作られたと、併し現実が收まらないとしたならば、組合としても或いはそういう考えが起きなかつたか。起きなかつたから、たとえ辛くても、生活に困難でも、それを呑み込まなければならないということはあり得べきものでないと私は考えます。これは組合がこれで呑み込んだからといつてこれで押付ける場合には、それこそ基本人権の上から、つまり生命にもかかわることであるから、爲政者として、届かない者は届かしめて保護するというのが政府の責任じやないか、こういうような考え方を持つております。これでこの賃金問題ばかりでなく、すべてにこういうような含みを以て下級の官吏を扱うということになつておると私は思います。そうしまする場合には、この賃金ベースが正しいという精神で政府がおられるというときにおきましては、これは実際に國家の再建の上において非常にその進捗を阻害するものである。というのは、食わなければ働けないから、阻害するものである。こういう場合には、どうしても結論としては、ある者、余る者、といつても生活関係上、現在から見れば、上級の官吏は、経済状態からいえば、余るものとして然るべきだと私は思います。下級官吏に対しては、こういうところが政策でなくちやならん。政府でなくちやならん。実際に組合が納得してとしても、それだけにいたわらなければならないものであつたというふうななるんだろうと私は思います。その上に組合と仮に対立したものであつたら、これを実行するのは正当なものであるというときにも、これは國家が立つて行かない、立つて仮に行くとしても、早く施行することができないという結果が生ずる。こういうところは十分考えてやらなければ、國家の重大問題になると、いわなければならんと私は考えます。然る上においてこれは期間があれば、私は修正案を出します。併しながら時局切迫しておりますから、とにかく一歩一歩、組合もこれでよろしいとすればよろしいでしよう。併しながら私が國民の代表として、國家のつまり再建を望んで來た限りには、こういうものは呑込まれないものであるからして、政府にその御所見を承わる次第でありますが、これは法案です。これは法律です。法律は、実際に國情に副わないものは法律にはならない。無理な法律です。正しいものなら、これは喜んで受けるわけです。受けないところ、受け入れられないところが何であるかといえば、生命にかかわる問題であるから受け入れられない。そういう問題でありますから、これはひとりこの問題にかかわらず、仮に今回五千三百円でよろしいと、納得させたといたしても、すでにこれは無理が生じている。官公働労働者の不平がもう起きている。法律は、國情に照して、何人も納得行くように、我々が審議に当つて、労働者の下級の者が不平を言えば、何を言うか、これは仕方がないではないかというだけの審議をしなければならん。その結果として法律を作らなければならん。これでは納得させられない。國民の代表者として、國民が騒ぐ場合には、我々が立法をするには、手紙一本ででも、君らは何を言うのか、いたし方がないじやないかという言葉が出ない。その点をよく政府では、改めて今日限り、こういう法案には、檢討に檢討を重ねて、國民何人も、どこへ出しても、仕方がないという、自然に頭を下げるような法案を作るようにお願いします。これは人事院の方も來ております。どうしてもそういうような、上の方を削つて、下へ厚くするという法律を作つて行かなければ、國家の建設の進捗に障りますから、その法案を人事院の方でも研究して、政府の方でも勘案して頂きたい。お願いします。
#28
○森下政一君 昨日別の委員会の席上で、上野人事官から、人事院の勧告案についての信念、或いはその内容等につきまして、可なり詳細な御説明を承わりました。若し私の聞き間違いでなければ、上野人事官の御意見では、若しその勧告案を下廻るような賃金ベースが決定されるというのであれば、それは貧乏線ボヴァティー・ラインを下廻るものだというお話があつたのであります。そこで私はこの大藏省側にお伺いしたいのですが、人事院の勧告案というものは、一々財源に照して、これだけの給與が可能であるとか、可能でないとかいうところまでの考慮は拂われていないようであります。大きな枠におれる國の経済力で養い得る政府職員に対する給與の妥当性はここにある。この点だという計算のようでありまするが、そこで私は大藏当局に特に確かめたいのは、大藏当局に場合においては、財源がこの賃金ベースの決定の際に、人事院のそれに比較いたしまして、遥かに詳細に考慮の中に加えられたものに違いないと思います。そこで若しこの財政事情が許すならば、人事院の勧告案を呑んでもいいだという考え方があるかどうか。人事院の勧告案というものは、科学的な調査に基くものであつて、妥当性は認めるけれども、國の財政の状態が、これを直ちに、政府当局としては呑み難いというのであつて、從つて五千三百三十円という案が政府によつて勘案されたが、若し財政事情が許すならば、人事院の勧告案をそのまま呑んでもいいと、それ程の科学的の根拠のある、妥当性のある勧告案だとお考えになつているかどうか。財政事情がこれを許すにしても、人事院の勧告案なるもののいう程の科学的の根拠ということが認められないとか、或いは甚だしく、給與ベースとしては、現下の一般的な國の経済力というものに比較して考えて見て財政事情が許す場合においても、人事院の勧告というものは妥当性を欠く点があると、こうお考えになつているか。これは非常に本質的な問題ですから、大藏省側としての考え方を一つ承わつて置きたい、こう思います。
#29
○政府委員(酒井俊彦君) 只今のお尋ねでありますが、政府がこの法案を提出いたしますに当りましては、勿論現在の民間給與の水準ということも考えました。それから又現実の一般國民の消費水準がどこにあるかということも十分考慮いたしました。尚それと併せまして、まあ重要な点として、現在の財政事情がどの辺まで許すかということを考慮いたしました。それらを彼此勘案いたしました上で、結局この程度が妥当であるという結論に達したわけであります。然らばお尋ねのように、若し財源が許すならば、人事委員会勧告案をそのまま呑むことができるかどうかということでありますが、これは相当重要な問題でありまして、私自身の考えでこういうお答えをすることは甚だ如何かと考えますが、勿論人事委員会の案も一つの考え方だと思います。殊に内容はともかく、水準それ自体としては、どこがいいかという点になりますと、人事委員会の考え方も一つの考え方であるということは考えられると思います。ただその体系、その内容自体におきまして、若干現在の実情からいたしますならば、今監ちにこれを実行に移すには可なり困難な点がありはしないかということは、考えられます。從つてこれをそのまま呑むであろうかどうかということは、これは事務当局としては、何ともお答えしかねる点でありますが、必ずしもそのベース自体、五千三百円でなければならんとか、或いは六千三百円でなければならんとか、そういう、そのどれか一つしかないというような余裕のない考え方を取る必要はないのじやないかと、そんなふうに考えております。
#30
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと御審議に途中ですが、今人事院総裁から参議院議長に当てた通牒が参りました。先に本院において内閣に提出した給與改訂の勧告は、すでに國会の関係委員会にも資料として提出されている。然るにこの勧告を内閣に提出した後において、國家公務員法の一部を改正する法律が施行され、人事院は公式に國会及び内閣に対して、同時にこれを提出する責任を持つこととなつた。故に本院は、この規定に基きここに重ねて政府議員の給與改訂に関する本院の勧告を正式に提出する。曩に提出した勧告は科学的基礎の方の立つ最も妥当なる給與水準及び体系である。給與の基準については多くの異論が起つているが、いずれも合理的なものとは認められない。若し國会又は内閣若しくは関係委員会において、これらの異論について檢討される場合、本院は本院の勧告及びこれらの異論についてその是非の御判断を願うために、できるだけ御協力いたしたいと思う。」こういう通牒であります。この通牒が発せられた法律上の根拠はどこにあるかということで、議院運営委員会で只今まで質疑をされたそうでありますが、公務員法の第二十三條によるのが、六十三條によるのか、六十七條によるのかということの質疑に対して、未だ明確な解釈が下されておらんそうでありますので、その解釈はいずれ明日の議院運営委員会で人事委員長が來られて説明を求める、こういうことになつておるそうでありますが、こり通牒は一應本委員会に提出それましたので、ここに御報告だけ申し上げて置きます。
#31
○木内四郎君 私は参考のために二、三の点について人事官にお伺いしたいと思います。人事院から政府及び國会に対して勧告案を提出されましたが、それによりまするというと、非常に科学的であるという点について、非常に深い自信をお持ちになつてお出しになつたように、御書面から拜見いたしております。又御説明によつてもそうであつたように記憶しております。同時に今の書簡によりますと、併し自分たちは非常に科学的だと思うけれども、十分に批判してくれ、こういうお考えであるからして、そう独善的に、人事官の方々が科学的であると考えたから、直ちにそれは科学的であるというふうに断定しておられるものではないように思うのであります。私が伺いたい二、三の点を一つずつ伺いたいと思うのですが、非常に科学的にいろいろのことをお考えになつたとお考えになつたろうと私も思うのでありますが、その基礎としてとられたいろいろの指数が、この間の説明によりますと、あるようでありますが、私今はつきり記憶もしておりませんが、いろいろの指数、各方面の調査の指数をおとりになつた、その指数自体が非常に科学的にできて來ておるものであるというふうにお考えになるかどうか、その点を一遍お伺いして置きたいと思います。
#32
○政府委員(上野陽一君) 人事院がこの給與の問題を取上げましてから結論を出すまでに、非常に短い時間に仕上げなければならないので、自分自身で調査する時間もなく、又スタッフもなかつたので、今まで総理廳の統計局、厚生省、運輸省、経本、大藏省、その他入手し得る限りの材料を集めまして、その中でどうしても得られない材料だけを人事院において調査いたしまして、結論を出しましたので、まだ使いました材料が果して正確なものであるかどうかということの檢討はいたしておりませんけれども、併しながら今日得られる材料の中では最も科学的な正しい材料であるという予定の上に、結論を出したのでございます。
#33
○木内四郎君 そこで大体問題は段々分つて來たんですが、人事院では非常に科学的であると思われておつたけれども、その資料を科学的であるかどうかということを十分詳細に檢討する余裕はなかつた、併し仕方がないからして、現在あるところのものを使つた、こういうことでございますね。それはまだあなた方のお使いになつた基礎が科学的であつたかどうかということを檢討する時間がなかつた。その点をはつきりして置きたいのです。そういう御答弁ならば、それで結構なんです。
 尚續いて伺つて置きたいのは、この勧告をされる場合に、國家の財政というものについてどういう程度の御考慮を拂われたか拂つたことがなかつたかどうか、拂わなかつたら拂わなかつたでいいのです。そういう点についてお答を得たい。
#34
○政府委員(上野陽一君) 財政上の考慮というお尋ねでありますが、財源問題については一切考えませんでした。併しながら大体公務員の生活の水準をどの辺に置くかという問題を決めますためには、日本の現在の経済力というものを考えて、そうしてこの程度の生が水準を賄うのに足るだけの給與を出そうという立場から計算いたしましたので、その点から申しますと、財政問題を大きな枠に置いて考えたと言えると思います。併しながら個々の財源については何ら考えておつたわけではございません。
#35
○木内四郎君 日本の経済力ではこのくらいのものを國家の公務員に対する給與として出していいということは考えた、併し財政的には具体的には考えたことはない、こういうお考なんですか。
#36
○政府委員(上野陽一君) さよう……。
#37
○木内四郎君 とにかく國民が非常にいろいろなことで租税の負担が重くなつて來ておる今日において、ただ漠然と科学的ということを言われても、人事官の方々が、統計とか計数とかなしに、ただ漠然とこれが國家の経済力から見て負担し得るもんだとか、当然だとかいう判断を下されることは、少し非科学的のように思うのですが、そういう点についてはどうですか。
#38
○政府委員(上野陽一君) 生活の水準を決めます場合には、一般に用いられておりまする公式はエンゲルの指数というのでありまして、御説明申上げるまでもなく、生活費全体の中に食糧費の占める割合が五〇%以上になるともう貧乏という階級に入るんだから、私共はこの食糧費が全生計費の五〇%以上にならないためには、せめて五〇%で間に合うように給與を出すには、どうしたらいいかということから割出したのでありまして、ただ漠然と日本の経済力を考えて決めたわけではありません。
#39
○木内四郎君 そうしますと私は実は驚いたんですが、國家の財政については具体的には考えたことはない、又國民の負担に耐え得るものであるということは考えたかどうかというと、國民の負担に耐え得るもんだということを言われたんですが、今人事官の御説明ですと、單に給與というものを一つ独立して考えて、給與の中で食費が半分以上になるようであればそれはいかん、給與の中で半分以上にならんように考えた、單にそれだけのことですか。
#40
○政府委員(上野陽一君) 生活の水準はですね。
#41
○木内四郎君 そうするとそれはどうして國民の負担には堪え得るものだという結論がそこから出て來ますか。
#42
○政府委員(上野陽一君) 國民の負担に堪え得るということは申上げたつもりはないのであります。
#43
○木内四郎君 いや、國家の経済でもいいのですが、あなたの言われた……。
#44
○政府委員(上野陽一君) いやその意味は今日本は非常に生産も下り、敗戰後経済力の低下しているときであるから、これは昔のように、先程の御質問にもありましたように、或る程度の文化生活を営み、十分に健康を維持し、慰安を得、裕りある生活をさせるだけの経済力はないから、それでそれらの要求から食費五〇%というところまで下げて來て、せめてこれくらいは公務員に上げなければならん、こういう立場から計算したのであります。
#45
○木内四郎君 そうするとどうもそういうふうにして給與のことを決めることが、國の経済力に合つているという御説明にはならんように私は思う。そのことをこれから先問詰めても意見の相違で仕方ありませんから、これは私はこの程度で止めておきます。
 次に他の問題ですが、給與を五千三百円、或いは六千三百円、或いはこれが七千円でも八千円でも一つの金額に決めた場合に、それが日本の他の財政或いは経済の現象と独立に考え得るというふうにお考えになつておりますか。それが直ぐに給與を急に引上げた場合、それが直ちに物價の改政を必要とする。從つて又更にそれが今一度給與の引上をしなければならん虞れがあるというようには考えられない、ただ單にこれは金額を高くも一應あなた方が科学的であるというのを決めれば、それだけで済むというふうにお考えになつている、その影響ということについてお考えになつたかどうか。六千三百円というものをお決めになつた場合に、影響ということについてお考えになつて、この案を決められたか。
#46
○政府委員(上野陽一君) 一番先に考えなければならない影響は、公務員の俸給が上ると同時に民間の産業界の一界の賃金を上げるという運動が起るということを眞先に心配いたしました。若しそういうことが起りますと、これは又賃金と物價の惡循環が始まつて、民間のものもそれから又折角給與の水準を上げて貰つた公務員も、又元の木阿彌になる危險がありますので、私はこの給與案が出ると同時に、民間の産業人、労務者は、一体どういう態度をとるだろうかということをいろいろ考えもし、研究もし、調査したのでありますが、到るところ公務員の水準引上げを待つておる、それが出たならば一齊に自分たちも上げようという期待をしておる。一体いくらになるのか、いくらになるのかと非常な熱心を以てこれを知ろうと努めておる氣配が十分に見えたのであります。で、私は、公務員の水準を上げるということは民間の水準を近ずけるということであつて、公務員の水準が上つたから諸君のも上げる理由にはならないので、こう申しますというと、民間の人は、そうじやない、大体民間人の働き振と、公務員の働き振とは勤務時間の点においても非常に違う、それでその少い勤務をしておる公務員が給與を上げるならば、当然自分たちも上げて貰わなければならない筈だ、今まで官と民との間に相当の開きがあつた理由は、それは官の方が勤務時間が短いからだ、ところがその官の方が上げるならば、相対的に我々の方も上げなければならな、こういう論拠であつたのであります。そういうような点をいろいろ考慮いたしまして、そういう再び民間労務者の給料値上げの口実であるところの勤務時間、この口実が成り立たないようにすることが、この惡循環を防ぐ一つの方法だと考えまして今度の給與案におきましては、公務員は一週四十時間乃至四十八時間、相当今までよりは勤務時間が殖えることにいたしまして、なんとか民間の勤労時間と釣合をとり、同時に給料も釣合をとる。こういうふうなことを一應考えて立案した次第であります。
#47
○木内四郎君 ちよつと先き伺つたのですが、物價に対する影響はこの程度なら無いというふうにお考えになるということであり、更に六千三百円ベースになつた場合には、先は財源の問題、殊に予算との関係については考えられないということでありましたから、或いはお考えにならなかつたかも知らんと思いますが、念のために伺つておきたいのですが、六千三百円のベースにした場合には、政府は財源を調達するために相当租税或いは料金というようなものを引上げなければならん。その結果物價の改訂を余儀なくされることがあるだろうということはお考えになつたかどうか、伺いたい。
#48
○政府委員(上野陽一君) 人事院といたしましては正確な資料で公務員の給料の標準を決め、その支拂の体系を立案するのが仕事でございまして、これが物價の上にどういうふうに影響するか、どこから財源を持つて來るかということは政府の他の機関の仕事である、こういう考え方で、私共は財源も考えない、物價の問題も考えないで、單に白紙の上に公務員の給料はこの程度であるべきであり、かくの如き体系に從つて支拂うべきものであるということを立案したのであります。
#49
○木内四郎君 そうしますというと、財政或いは財源の問題については考えなかつて、物價に対する影響は考えなかつた、單にこの案を白紙の上に考えた、これは全く財政経済その他とは分離した、或いは極端な言葉では遊離した一つの單に給與の案として考えたに過ぎないということですか。
#50
○政府委員(上野陽一君) そうです。
#51
○木内四郎君 分りました、尚一つ伺つておきたいのは給與の体系につきまして、これを決める場合に、英米その他の國の給與の体系についてどういう御研究になつたか、そのことを一つ伺つておきたいと思います。
#52
○政府委員(上野陽一君) 給與は御承知の通り、経済が安定をしておる場合には、その本俸の中に家族を扶養する費用は無論のこと、或る程度まで地域差の部分もカバーしなければならない性質のものであります。日本の現在は非常に特異な状態にあるのでありまして、給与の殆んど全部が生活費であるという立場から、これは独身の男子の職員が独立して生活するためにいくら要るかということから割出して、それに家族一人増すごとにいくら要るか、地域別にどれだけの割増をしなけれじならないかということを計算して出した数字でありまして、これは給與体系及び水準としては、実に一時的な、現在の日本の経済事情に即應した案でありまして、これは早晩経済事情の回復すると共に、この水準も、それから体系も根本的に改められなければならないものである。殊に家族手当のごときは、できるだけなくさなければならない性質のものであると考えております。
#53
○木内四郎君 そうしますと、お答えはありませんのですが、そういうお考えであれば、從つて給與の体系は、いかなるものがよいかということについての研究はなさらなかつたのですか。或いは英米、その他の給與の体系については御研究なさらなかつて、こう了解してよろしいのでございますか。
#54
○政府委員(上野陽一君) 研究は常にいたしております。
#55
○木内四郎君 そうしますというと、御研究になつたが、今日この場合に、我が國としては止むを得ないというお考えでありますか。
#56
○政府委員(上野陽一君) そうです。
#57
○木内四郎君 そうしますというと、経済の状態は絶えず動いておりますが、これを御立案になつたのは夏ですが今日においても尚同樣であるというふうにお考えになつておりますか。
#58
○政府委員(上野陽一君) これを立案いたしましたときの資料は、本年七月の資料でございますが、その後の推移を見ましたところ、物價指数は多少上る月もあり、下る月もありまして、大体において七月と現在とは余り変らない。その下つて行くのも今後下る傾向にあるのか。或いは一時的にちよつと下つたかはつきりいたしません。先ず七月の数字を使つて差支ないと考えております。若しこれが非常に大幅に違つて参りました場合には、第二十八條の規定によつて、又私共は別の勧告をしなければならん、こういうことになります。
#59
○木内四郎君 そうしますと、これは経済がどのような段階になつたら、今お話になつたように、こういう制度を止めてあなた方のお考えの、理想的な給與になさる方がよいというお考えでありますか。
#60
○政府委員(上野陽一君) 物價が安定するということと、それから日本の経済力が向上するということ、安定することによつて給與の体系というものも今のような一時的な間に合せの体系でなく、昔のような本式の給與体系ができる、こう考えております。
#61
○波多野鼎君 人事院にお尋ねしますが、先程野内委員に対するお答弁の中に、今度の六千三百七円のベースを算定した場合の、官公吏の勤務時間を一週四十時間乃至四十八時間というようにした、それによつて算定したという御答弁であつたと思いますが、それで間違いないのですか。
#62
○政府委員(上野陽一君) その通りでございます。
#63
○波多野鼎君 この問題は相当重大な問題でありまして、從來大藏省が給與を考える場合に平均労働時間を六・六時間と算定して、そうして給與を作つておる。今度五千三百三十円という大藏省案を出した際にも、六・六時間というのが勤務の平均時間として出されておりますが、而してかように勤務時間を短く取つております関係上、超過勤務手当というものが相当出ておるわけなんです。この超過勤務手当が大体東京においては、月平均手取の一〇%見当、地方においては大体五%見当、これが超過勤務手当として出ておるわけなんです。それでベースは五千三百三十円となつておりますが、この超過勤務手当をこれに加算いたしますと、人事委員会の案に相当近いものになつて行くというようにも、いわれておるのですね。人事委員会の方では超過勤務手当の問題は、どんなふうにお考えになつておいでになるか、これを一つ伺つて置きたい。
#64
○政府委員(上野陽一君) 超過勤務手当は定規の時間以上働いた人に支給すべきものでありまして、これが総收入の一部として皆に均霑する性質のものでないのであります。実情はよく知りませんが、公務員の給與が非常に惡いので、この超過勤務手当を均等に皆に附けてやつておるというような、甚だ不明朗な噂も聞きますので、人事院といたしましては、そういう不明朗さを一掃するために、超過勤務手当は本当に超過して勤務した人にのみ支給するものであるという建前を、取りたいと思つて立案した次第であります。
#65
○波多野鼎君 勿論定規の時間を超過したものに拂うのは当然な話なんですが、定規の時間というのを、大体平均六・六時間に今まで決めておつたようですね。今度人事院の方では八時間ということを、はつきり算定しておられるのですか。
#66
○政府委員(上野陽一君) 一週四十時間乃至四十八時間でありまして、その間の開きはその官廳の事情によつて上下する、こういうことになつて來ます。ですから八時間としますと月曜から金曜日まで八時間……。
#67
○波多野鼎君 その点をちよつと伺いますが、そうすると官廳によつて超過勤務手当を出す基準になる労働時間は違つて來るわけですか。
#68
○政府委員(上野陽一君) 違います。
#69
○波多野鼎君 官廳によりまして、例えば現業を持つておるようなところは別なんでしようけれども、そうでない事央官廳のようなものになつて参りますと、この基準の労働時間を或る官廳は八時間、或る官廳は七時間だというようなことはどうなんです。妥当なんですか。
#70
○政府委員(上野陽一君) 勤務時間はその職務の内容によりまして一概に、一律に決めることができないのであります。例えば非常に過重な労働になりますというと例えば火夫のような者は到底八時間連續してはできないというようなことから、職務の種類、及びその内容によつて相当勤務時間というものは変る方が公平なのでありまして、いろいろ違つた勤務時間が標準になつて、超過勤務が計算されることになるのです。
#71
○波多野鼎君 それからもう一つお伺いしますが、この人事委員会の政府に対する勧告の中に、総説の終りの方、十の一番終の方に「逆に職員が特殊のサービス又は便益を得るような場合には、むしろそれだけを給與から控除しなければならない場合もある。」こう書いてあるわけなんですが、特殊のサービス又は便益を得るような場合ということの中には、どういうことを具体的にはお考えになつているでしようか。
#72
○政府委員(上野陽一君) それは具体的に申しますと、実物給與、その中にはサービスと申しますのは、物ではありませんが、例えば運輸省に勤めている人が、通勤のパスを貰う、これはサービスを無料で貰つているわけでありますからして、それを金銭に換算して給與から差引くと、こういうことになります。
#73
○波多野鼎君 それは具体的に各人に対する給與を決める場合に、そうしろということなんですか。
#74
○政府委員(上野陽一君) 給與は別にこの職階制で以て決まつているわけなんでありまして、その職階制によつて決まつた給與の中から無料で提供したサービス及び物品に対する費用を差引く、こういうわけなんであります。
#75
○波多野鼎君 そうしますと、例えばパスを貰つた場合には差引かれるわけだから、パスがパスでなくなるわけですね。
#76
○政府委員(上野陽一君) パスはパスであります。
#77
○波多野鼎君 それはそうだけれども、その人にとつては何ら利益にならないわけですね。
#78
○政府委員(上野陽一君) ええ。
#79
○波多野鼎君 有料パスというわけですね。
#80
○政府委員(上野陽一君) 有料になる……。
#81
○波多野鼎君 そういうふうにいろいろ伺つて参りますと、衆議院の委員会でも大藏大臣が言つておつたし、こちらの委員会でも大藏大臣が言つておつたようですが、実際五千三百三十円ベースによつた場合と六千三百七円ベースによつた場合とで政府職員が受ける給與の総額といいますか、これは変らないのだ、或いはむしろ五千三百三十円によつた場合の方が実質的には職員の方は利益になるのだというような意見が出ているわけなんですが、人事委員会としてはどうお考えになりますか。
#82
○政府委員(上野陽一君) そういう一種の宣伝もあるようであります。ベースからいうと千円の開きがあるが、実物給與をしないのだからそれを差引くとやはり同じようなことになるという、まあ一種の反対論でありますが、これは二つの点から考えたいと思います。それはたとえ実物給與の額を差引きましても、一ケ月に千円とは違わない、政府が支給する物でありますからして全部マル公又はマル公以下の物でありまして、これは決して千円の差額を受ける程重大な負担にはならないということが一つと、それからもう一つは、私共はできるだけ給與の水準を引上げたい、そうして公務員の生活を保障したいという心からの念願を持つておりますので、今度立案しました六千三百七円のベースも、それぞれ專門の係のお方から檢討して頂いて、或いは適当なる財源を見つけて頂いて、そうしてこれを國会において通して頂きたいと思うのでありますが、それは給與の水準に関する私共の責任、と同時に私共はこの甚だ種かならざる誠にお氣の毒な程度の給與を、せめてこれを分ける場合に公平に分けたい、依怙贔屓のないように各公務員にお分けして差上げたい、これは私は工場の生活を長くやつた者でありますが、工場の中に割のよい仕事と割の惡い仕事とあるくらいに從業員の士氣を衰えさせるものはないのであります。政府の勤務におきましても、どこに勤めると何が貰える、それは鉄道は運輸省がみずから運轉しているものでありますから、只で乘せてやる、そうすると逓信省の職員はそれなら俺の方では切手を少しよこせ、造幣局に行くと金を少し分けてくれということにもなりかねまじき話なんです。そういうふうに勤め先によつて割のよい所と割の惡い所とあるということは、人事院としては甚だ無責任なやり方であるからして、これは是非公平にこの僅かな給與をお分けして差上げたい、これが人事院の一つの義務だと私は考えておりますので、それで上げるものは上げて、取るものは取る、どこからいつても文句の出ないようにいたしたいというので、実物給與を差引くという案を作つたのであります。
#83
○波多野鼎君 実物給與だけの問題ではなくて、先程申した時間外手当の問題なども含めまして、大体大藏省案の方が実際的には政府職員の利益になるのだ、私も人事院と同じ意味において、できるだけ政府職員の待遇をよくして、國民の公僕としての職責を果し得るような状態に置いてやりたいという熱意においては、決して人事院のお考え以下ではないのですが、私問題として聞きたいのは、人事院としては給與の体系だけ、この混乱した時代と先程も言つておられますが、この混乱した時代に、給與の体系を整備することに急なるの余り、逆に政府職員の待遇が却つて落ちるようになりはしないかということを恐れるのであります。それを聞いておるのでございます。六千三百七円の方が五千三百三十円という額よりも多いから、この方がよさそうに見えるが、併し内容を洗つて見ると、五千三百三十円の方が却つてよかつたというようなことになりはしないかということを心配する、その点を聞いておるわけです。
#84
○政府委員(上野陽一君) 無論私は五千三百三十円のほうが皆により幸福であるとは考えておりません。
#85
○木内四郎君 関連して、今現物給與を差引くというその現物ですが、月千円にもならんというお話だつたように聞いたのですが、例えば官服の給與というような場合において、それを今十一月から直ちに施行という考えですか、どうなんですか、そこを一つ。
#86
○政府委員(上野陽一君) それは私共の立案しました給與案には大分ゆとりがありまして、そういうものを実行する場合には各官廳の判断に委せる部分が相当多いのでございます。実行し得られる程度の途を通つて行くようにしたいと考えております。
#87
○木内四郎君 この頃いろいろ傳えられておるのですが、人事院の案によると、官服その他のものを差引くようになつておるが、今おつしやつたように、実際に実行し得るようにするために差当りは全然引かないのだ、こういうような意見もあるのですが、そこはどうなんですか。
#88
○政府委員(上野陽一君) 引かないという意味は申上げないのですが、例えば制服のごときは、支給はいたしますけれども、その制服は一カ月で消耗してしまうものではなしに、年に一着とか二着とかいうものでありますから、そは例えば月賦で差引くとかいうような方法は無論とるべきである、こういう意味であります。
#89
○木内四郎君 今のに関連してですけれどもそうすると、國庫の負担からいえば、官給品の代金を差引くから、五千三百円よりも六千三百円の方が國庫の負担が少くて済むというような説を唱える者もあるのですが、そういう計算はなさつたことはあるのですか、まだ今引くか引かんか分らん、併し伸縮自在の方法で引くというようなお話ですから、そういうことはお考えになつたことはないのじやないかとも思うのですが、そういう点はどうなんですか。
#90
○政府委員(上野陽一君) これは人事院として原則を決めたのでございまして、これを実行した曉、どれだけ國庫の負担が軽くなるかというような計算はいたしておりません。
#91
○波多野鼎君 その点なんですよ、國家の負担という見地から見ないで、私は政府職員の実際の待遇が、五千三百円の場合と六千三百七円の場合と、どうも六千三百七円の場合の方が却つてよくならないじやないかという氣がするのですよ、その点を伺つておるわけなんですが、先程大藏省の方にお願いして資料を纏めて貰うため、一應大藏省から答弁をして頂きたいと思いのは、この五千三百三十円ベースによる賃金総額、それから第二は時間外勤務手当の総額、今年の十一月から三月まで、それを一つ出して頂いて説明して頂きたい。
#92
○政府委員(酒井俊彦君) 只今お尋ねの計数でありますが、実は今度の追加予算は、一方において即定予算の節約額を財源に充て、そうして更に一方では、五千三百三十円に必要なる金額をとつておりまして、その結果十一月から三月までの計算においては、各種の俸給なり手当を分けて申上げることがちよつと困難でありますが、二十三年度全体といたしましては、一般会計におきまして、補助職員、公團職員、教育職員を除きまして、一般職員につきましては総体の給與予算額が二百六十六億四千六百万になつております。そのうち超過勤務手当が二十億、尚この二十億でございますが、この他に超過勤務手当の額といたしまして、給與特別措置費の中に超過勤務手当の所要額が計上されておりますので、それは正確に後ほど彈いて貰いまして、資料をお手当まで差上げたいと思います。全額補助職員の給與額、これは地方團体の職員でありまして、全額國から補助している職員でありますが、これが二十二億六千五百万、教育職員の國家の負担分が百二十五億一千三百万、公團職員の分が三十二億九百万、合せて一般会計といたしましては、四百四十六億三千五百円の給與予算が計上してあります。
 それから特別会計におきましては、これは補助職員及び公團職員を除きまして、全体七百二十七億円に相成つております。そのうち超過勤務手当といたしましては百三億三千四百万円、ただこれも先程申上げますように、給與特別措置費の中に、若干又超勤過務手当に相應する額が計上されております。從つてこれらの点は更に後ほど計数を揃えてお手許まで差上げたいと思います。その他に特別会計におきまする全額補助職員、これは殆んど問題にするには足らない額でありますが、公團職員の関係で七十九億、合計いたしまして、特別会計といたしましては八百六億八千五百万円、この一般会計と特別会計を通算いたしまして、会計の給與予算額は二十三年度全体といたしまして千二百五十三億二千万に相成つております。
 序でに定員を申上げておきますと、予算定員といたしましては、二十三年四月には、一般会計が四十万四千八百九十六人になつております。それがこの九月では四十五万一千四百三十二人、二十四年三月におきましてはこれが四十五万一千六百三十八人と相成つております。特別会計におきましては、本年四月の予算定員が百十六万二千九百七十八名、九月におきましては百二十万ずつと飛びまして六百三十九名、來年の三月には、これが百二十万二千百二十三人、会計して申上げますと、一般会計と特別会計で、本年四月には合計百五十六万七千八百七十四人、九月が百六十五万二千六十八人、今度の二十四年三月が百六十五万二千七百六十一人に相成つております。その外に公團職員といたしまして、二十三年四月に十二万八千四百七十九人、九月、三月とこれはずつと同じに相成つております。次に地方團体の公務員の内容を詳しく申上げますと……
#93
○波多野鼎君 それはいいです。今の総額千二百五十三億というのは、十一月から五千三百三十円にした場合、それから予算定員と実定員の違いから節約した分がありますが、あれを差引いての計算ですか。
#94
○政府委員(酒井俊彦君) その通りです。尚この予算額は、今年の四月、五月が一千九百二十円ベース六月から十月までが三千七百九十一円ベース、十一月から三月までが五千三百三十円としての計算であります。
#95
○波多野鼎君 そこで大藏省の方に一つお願いしたいのですが、大事院の方では、勤務時間を大体八時間見当に見て六千三百七円というものを組んでおられるわけなんで、この勤務時間を八時間にした場合に、特別の先程例に挙げられたボイラー焚きなどには時間外勤務手当を出さなければならんかも知れんが、その他余り出さないで済むというものが出て來るのじやないかと思いますが、そういうものを差引きながら予算を組んで見ると、総額が一体どれくらいになるかということを調査して頂きたいのですが、今までの時間外勤務手当の出し方から見て行けば、八時間勤務の時間にすればそう出さなくてもいいということになるのじやないかと思いますが、一つこれは重大な点だと思いますから、参考のために大藏省で作つて頂きたい。
#96
○森下政一君 刷物にして廻してくれませんか。それでは給與局長が見えましたので、もう一遍お尋ねしたいと存じます、人事院の勧告案は科学的な基礎によつて調査をしたもので、政府職員の凡そ生活を保持するためには、この水準までにしなければならんというふうに人事院が押えて六千三百円となつたのでありますが、先刻私は若し財政事情が許すなればそのまま呑んでもよいと大藏当局は考えるか、こういう質問をしたのですが、これは相当重大な問題で、事務当局では答弁できないということでありますが、それは尢もなことだと思うのであります。尚且つ敷衍してこういうお話を承わつたのです、給與ベースというものは六千三百円とか、或いは五千三百円とか必ずこれでなければならんというわけのものではないのでございます、こういうことであつたのです。それもよく分ります。もう一つの線をどうにも動かせないものだという絶対的なものだというふうには考えないので、そこで國会が人事院の勧告案と政府案とを睨み合して判断をしなければならんところがあるとこう思うのですが、事務当局に更にお尋ねしたいのは、この人事院の勧告案なるものが財政事情その他のために今直ぐ呑むということはできないということであります。財政事情というものを離して考えられて、事務当局としては、この勧告案も妥当性を欠いておると思われるところがありますでしようか。若しあるならこういう点において妥当性を欠いておると、それを指摘して頂きたいと思います。
#97
○政府委員(今井一男君) お答えになるかどうか分りませんが、私共としてとにかく呑み込み難い、或いは現在の我が國の状態から見てまだ適当しないのではなかろうかという、そういつた点は多々ございます。主な点を一、二申上げますと、先ず一番基礎になつております政府職員の二千四百七十円を基礎に計算される方法は、確かに一つの新らしい行き方として、私共も衷心から敬意を表しておるのでありますが、ただこれが厚生省の栄養調査を基礎としておられますだけに、現在の日本の食糧に関する國民の消費水準がその基礎になつたように見受けられるのであります。從いましてこれを以て直ちに最低の生活であるということに結び付けるところに私共疑点を持ちます。尢も食費以外のものにつきましては密度のもつと高いところを使つておりますので、この点は或る程度緩和されますが、それにいたしましてもこれを以て最低生活につきましては疑問がございます。それからそれにいたしましても下の二千四百七十円は生活の上から計算し、上の一万五千円は民間賃金から計算して両者の結び付きということについても、政府として非常に疑問を持つのであります。若しも本人の生活だけを見るという考え方で本俸を考えるのでありますならば、むしろ日本の現在の國民の消費水準からいたしまして、憲法の精神等を参酌して、一番下の許される最低限、又日本の國内事情からして、これ以上の生活は本人一人当りとしては相成らんぞ、そういつた線から結び付いて來るという考え方であればそういう考え方になりますし、又両者とも民間賃金或いは能率價置から行つた線から結び付いたこれも一つの考え方でありますが、両者の全然違つた線から見たものを結んでおられるといつたところに、私共は基本的な疑問を持つわけであります。それから更にこれを等比級数線で結んでおられる点からいたしましても、技術的に若干の疑問を持ちます。又民間に一万五千円というものが時間と比較する場合に適当な食費であるかどうかということにつきましても、これも非常に疑問であるわけであります。
 それから最も大きな問題であります家族手当の点でございますが、家族手言が本人給は一切本人だけをカバーする、その他の家族は別に考える。これも確かに一つの考え方に違いありませんが、併しながら確か家族給というものは現在のCPSの計算によりますと逓減しておることは明瞭に実績が出ております。こういつた官公吏のような極めて複雑な家族構成を持つております、即ち何百万という職員に当嵌める際に單なる二人目は夫婦、三人目はどうという一定の構想の下に出しましたものを、そのまま当嵌めることは私共の実情に副わないと思います。のみならず現在のこの臨時的な給與体系は、結局はいずれ近い將來におきまして全面的に本格的な職階級に切替わるべきことは申すまでもございませんが、この臨時的な家族手当はやはり成るべく早く止めるという考え方をいたしますことを、組合側も望み、経営者側を望んでおる。本人給への統合という一線は、方向としては誤つておらないのみならず、結局その方がより本格的な職階級を早く我が國に確立する途であろう。大きな金額を外に出して置きますと、結局それを急に切落すことはできませんから、結局において廻り途になりはせんか。
 のみならず現在の職階級は、無論非常に未熟な不完全なるものでございますので、日本の從來からございます勤續級的な、いわゆる意味のない昇給法、勤續年数に應ずる昇給が多分に採入れられております。その点は勿論議論の余地は私は多いと思います。今の行き方が正しいものとは決して考えておりませんが、とにもかくにも現在は現実との妥協から労働價値が余り上りませんでも、或る程度の昇給ということを現実に認めております。これは官民共にそういう方向に走つております。從つていわゆる終身職、一生一つの職種に從事いたします場合においても、やはり初任給に比べまして、二倍とか三倍に必ず上げるような仕組みになつております。のみならずここに今のやり方として、本人給の中に家族級が含まれておるという建前が採られたわけであります。從いましてそれを全部止めまして、本人給は本人だけということになるのも確かに考え方でありますが、そういうしますれば本人給を全部やり直して、今の職階制度を基本的に格付けを仕直さないとできないのでございます。そういたしますと、これは半歳以上の日数を要しましようし、且つ又恐らく組合とも間にも非常な摩擦を生ずるだろうと思います。
 のみならずこの家族手当というものは民間給與との権衡を取ることは私は一つの重点だろうと考えます。民間におきましても家族手当が大体今日の政府案の線に來ておることは事実であります。やはり優秀なる人を官界に入れる本旨から申しましても、やはり民間の家族手当というものも或る程度頭にありませんと、本俸だけが民間とバランスがとれましても、家族手当の方が非常に役人に方が多ければ、結局家族持ちが官界に來て、若い者が民間に行く、こういうような恰好に相成るようにも考えられます。この点から申しましても私共として納得し難い点であります。尚地域差につきましては、計算の基礎がいわゆる生活水準の差を全然調整しません。現在に必要だつた金だけを基礎にしてやつておられますので、この点も私共として適当と考えられません。のみならず全官公といたしましてはどの町村にも必ず職員がおりますので、道一つ、川一つ隔てまして四割も変わるような制度は、私共の体驗からいたしまして実施は不可能かと考えます。
 尚以上の体系に関する意見につきましては人事院のこちらに発表のあと、政府部内の関係、労働省、安本、大藏省等の事務局が集まりまして協議いたしました結果、すべてが一致しました意見がございます。ただベースにつきましては、その間三者の間に相当の意見があつたことは率直に申上げます。その点はいろいろと見方がございまして、民間の労働者に全部引写しに行くべし、実質賃金維持の線に行くべし、或いは官公吏は特殊な立場をとるべし、こういつたようなことから三者の意見は、率直に申しまして一致しませんでした。結局最終の予算が決る際に閣議におきまして決定されたような次第でございます。
#98
○森下政一君 只今非常に興味あるお話を承わつたのでありますが、上野人事官、どうでしようか。今のような給與局長の持つ、人事院の勧告案に対し妥当性を欠くと思われる点を指摘しておられるのでありますが、これらに対して人事院側の見解において反駁される点がありますでしようか。ただ單なる意見の相違だけでしようか。
#99
○政府委員(上野陽一君) ちよつと二人並べておいてやられると非常に困るのですが、下を生活費から割出し、上の一点を民間給與との釣合から割出す、これは二つの違つた原則を使つておるじやないか。こういう局長のお話でありましたが、人事院としては、非常に特異な事情の下における給與体系であるから、これだけの金を出さなければこの程度の人は來ないといういわゆるマーケツト・プライスの考えを採るより外いたし方がなかつたのであります。ですから若い男の子、或いは女の子はこれだけ出せば手に入る、それからずつと上の位置の人は、せめて民考の給與と釣合を取らなければ得られない、或いは止まらないという点を二とこ押えまして、その間に繋いだ次第であります。
 しつかり覚えておりませんが、あとは地域給のお話でありましたが、これは成る程一〇%から五〇%に一足飛びに飛ぶということは、たとえこれは私共の調査いたしました数字に基いておるものとは言いますけれども、地域的に物價の変動というものは相当著しいものでありまして、この点は私共も多少反省をいたしております。ということは、もう少し地域的に実情を正確に把握して、地域差を附けて行きたい。それまでは今までの三十%を最高とするというような方法も一つの方法ではないか、こう考え直したので、差出しておりまする給與案には、そういうふうな臨時的の措置を講じまして、今後尚一層地域的の物價差を詳細に調査して、そうして正確なる割当を出して決めて行きたい、こう考えております。
#100
○波多野鼎君 これは質問でもないのですが、ちよつと申上げて置きたいのは、先程木内委員の質問に対して、國の経済力とか、財政状態とかいつたようなことは、一應考えないでこの案を出したということを言つておられますから、こういうことを申上げるのも甚だ何でありますが、ただ私共心配しますから、一言注意のために申上げて置くのは、人事委員会が六千三百七円という案を発表しましたが、これが日本の農民に対して與えた影響は相当深刻であります。と申しますのは、農民が現在の米價で以て大部分は買上げられるのですが、そういたしますと、六千三百円程度の実收入ある生活を営むのには、農民としては大体八十俵見当を政府に買つて貰わなければならない。ところが年間に八十俵の米を賣るというような農民は、大体一町五六反耕作する農民でなくちやならんが、日本の農民はそんな廣大な土地を平均しては耕作しておりません、うんと小さい。そういうことから日本の政府は、官吏だけを優遇するのじなないか、我々をどうするのだという氣持が相当強く入つております。こういう点などは、人事院は國の経済財政の問題は考えんでもいいとはいうものの、やはり政府の一機関として、そういう点は考えなければ私はいけないと思う。でそういう点などについては十分御考慮を願い、全体のバランスというものが非常に大きな問題なんでありますから、私はこの案を発表された根拠といいますか、決意し申しますか、非常に科学的なものだということをひどく力説されておるようでありますけれども、その科学的ということにもいろいろ意味があつて、いわゆる森を見て木を見ないような科学的というものもあるので、給與だけに集中して、それだけを如何に科学的に論じましても、これは政治にはならないということも十分御注意を願いたい、まあ注意なんです。
#101
○天田勝正君 ちよつと今の波多野さんのおつしやつたことに関連してですが、私共は社会党といたしましては、これよりも高いベースの一つの案として持つておりまするし、それに対する財源を又考えております。ところが一般の大衆は極めて素朴でありまして、私は農民運動をやつておつて、始終村の噂を聞くのでありますが、少し百姓が寄ると、今の給與体系などは大抵社会党の功罪にしてしまいまして、社会党の連中は六千三百円だの七千二百円だの飛んでもないとこを言つておるけれども、一体そんな馬鹿なことは、我我が拂うのだけれども、拂えるかどうか、それが素朴な農民の私共に間接に聞かしてくれる聲なんです。
 そこで今も御指摘がございましたが、我々の方としては勿論六千六百円を主張いたしておりますが、それに対するところの米價、農産物價というものは又別に一つの政策を持つて臨んでおります。ところが人事院絵によりますれば、これは單に官吏の給與だけを考えておるのでありまして外の分は一向に考えておらない。
 そこで私はお聽きしたいのは、この算定になりました基礎になる食糧費でありますが、これはすべて現在の三千五百九十五円の米價を基礎としてこうした算定をされたのかどうか。されたとすれば、今度の農民側の税負担をするという場合には、自分と同等な生活を官吏に保障するということでなくして、自分たちの大部分を犠牲にして官吏に奉仕する。こういうロジツクになつて來るわけですが、この関係をどのようにお考えになつておられるか。
 それから先程あなたがおられたときにも政府委員に質問申上げましたが、地域給者問題はいろいろ長く言か必要もないので、同じ文化水準を保つという上からいたしますならば、どうしても田舍の方が余計経費がかかるのであります。このように都市に重きに失するということは、実は全官行労組におきましては、都会に人によつて、殆んど指導権が握られてあるが故に、どうしてもやはり同じように都会を重しとする結論が出て來るのじやないか。その結果がそれじやどういうことになつておるかと申しますれば、やはり現在のような食糧事情においてする都会に集中する傾向があるのは、これは否定し難いのであります。これというのは要するに都会の方に重きに失する、田舍の方が見捨てられておる、これがそういう答えになつて現われて來ておるのでありまして、ここに見ますると、実に特地の五〇%は都会におればこそ余分に貰える、田舍に行けば丸つ切り貰えない。こういうことは計算上現在の新ベース等からすればそういうものが出たとおつしやるかも知れませんが、それは田舍では掛けないからそれは一体新ベースにも現われて來ないのであつて、これは同じように掛けると算定して計算しなければならないと思うのですが、そういう点については如何なお考えであるか、もう一遍人事院の方の意見としてお伺いいたしたいと思います。
 それからこれも政府側に質問したのでありますが、政府案と人事院案との一千円の開きの主なるものは家族手当であります。これは一軒五人と勘違いたしますると、政府案の妻が六百円、更にあとのコンマ五が子供といたしまして三百円と見れば、そこですでに九百円というものが一千円の開きの中に出て來る。そこでこれはどうしても本人給、つまり当人の生活というものと、家族というものを別個に一人々々千二百五十円ということになつて來る方式というものは、今労組側で唱えておりまする同一労働に対する同一賃金というものとむしろ逆行する傾向があるのです。私共は総額からいたしますれば、先申しましたように六千六百名の案を持つておりますので、それには又予算措置ができると確信はいたしておるのでありますが、政府案と人事院案を私共が比較檢討して、その基礎になる考え方というものから割出して参りますと、どうも政府案の方が根拠がある。額においては政府案の方が不満足であるけれども、ものの考え方は政府案の方が妥当ではないか。それは今今井給與局長がいろいろ述べて行かれた、すべてそうである。こういう点についてどうしてもかような算定をしなければそれが妥当を欠くという根拠を一つお示し願いたいと思うのであります。
#102
○政府委員(上野陽一君) 米價の問題につきましては、すべて私共の調査は品目別に何パーセントがマル公で買つて、あとは闇で買わなければならないといういわゆる実効價格から割出して立案をいたしましたのでありますから、結局においてマル公の米價と闇の米價が両方含まれておるわけでございます。
 それから都会と田舍は地域手当においてはむしろ逆ではないかという御質問でありますが、私共の立案いたしました給與水準は、先程も申上げましたように、その半ばの率は食糧費のために費さなければならない程貧弱なものでありまするからして、殆ど文化費というものは考えられないのであります。殆んど全部が食べてしまつて、そうしてほんの應急の繊維品を買うという程度の程しかできない給與水準でありますからして、むしろ東京のようなところの方が遥かに余計費用がかかる。何故かといいますると、僅かな主食を闇で買うにいたしまして、田舍から旅費をかけて非常な危險を昌して運んで來ましたものですから、非常に高い。そういうものを買つて食べなければならない都会においては、田舍に比べてどうしても高くなる。これがもつと給與水準が高くなつて、そうして慰安もできる。裕りも文化生活もできるというくらいに給與水準が上つた場合には、地域差というようなことは殆んど考える必要がなくなる、こういう立場から立案したのであります。
 それから第三のお尋ねは本俸と家族手当の関係でありますが、これも私共は本法を純粹な生活給、生計費から割り出しました関係上、家族の数に應じて相当の手当を出すのでなければ家族手当という意味をなさない。本奉の方に相当余計やつておる場合には家族手当を考える必要がないし又あつても多少おまけをする程度で済むのでありますが、私共の作りました案において、本奉というものが本人一人の生活費であるという建前から、ああいう家族手当の案を出した次第であります。職階制が完成いたしまして、本奉の中に職階の等級によつて、メリツトの報酬が相当加わつてきました曉には、家族手当というものは当然無くさなければならないものであります。その場合に移り変りのときに便利だから、家族手当を低めておいたらどうかということも一つの考え方ではありますけれども、私共といたしましては、この給與体系が全く一時的の應急的の臨時の考え方であるという建前からいたしますというと、家族手当と本人給とを全然別にしてしまつて、はつきりと立案の意味を体系の上に現わして置いた方が、却つてよくはないかとこういう考え方であります
#103
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。外に御質疑がございませなければお諮りいたします。大藏、人事、労働三委員会の連合委員会は、本日を以て打切りたいとこう考えますが、御異議ございませんか、
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(櫻内辰郎君) それではさよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
 出席者は左の通り。
  大藏委員
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           波多野 鼎君
           黒田 英雄君
           九鬼紋十郎君
   委員
           天田 勝正君
           森下 政一君
           松嶋 喜作君
           木内 四郎君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           高橋龍太郎君
           小川 友三君
  人事委員
   委員長     中井 光次君
   理事      宇都宮 登君
   委員
           赤松 常子君
           大山  安君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  労働委員
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           田口政五郎君
           門屋 盛一君
  政府委員
   人  事  官 上野 陽一君
   大藏政務次官  平岡 市三君
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   大藏事務官
   (給與局第一課
   長)      酒井 俊彦君
ソース: 国立国会図書館
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