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#1
第004回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第6号
昭和二十三年十二月十七日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○未復員者給與法に関する件
○特別未帰還者給與法に関する件
○「ナホドカ」よりの引揚者の私刑事
 件報告書に関する件
  ―――――――――――――
   午前十一時七分開会
#2
○委員長(草葉隆圓君) これより在外同胞引揚問題に関する特別委員会を開催いたします。先ず未復員者給與法の改正について岡元委員から関係御面と多大の御苦労による御折衝の経過を御報告願つてその問題を御協議願いたいと思います。
#3
○岡元義人君 昨日來の経過を御報告いたします。昨日皆さんのお話により政府当局からこの二点を他にこれをば振向けないということに対しましては、ESSに十分反映いたしまして、本日は交渉経過は非常に樂に進んだわけであります。
 先ず第一案といたしましては、昨日來提案されております六百、四百円、それから第二案といたしましては、六百、六百、四百いわゆる六百円が妻、長子がこれは娘であろうが男の子であろうとも六百円、他の子供が四百円、六百、六百、四百。それから第三案が六百円均一、この三案を以て交渉いたしましたのですが、いろいろ全部の方々が予算課長のミスター・リードも出まして協議した結課、三案いずれでも可なりというのが予算課長の答えであつたのであります。そこで委員会はどれを採るかというので、先ずいろいろ考えました結果、できるならば二案がよいんだ、併しながら二案は危險性である、いわゆる非常に技術的にこの会期中にこの法案を通せるという見込に対しては、危ぶまれるとこをが沢山ある。それで四月以凍の値上をば確約して呉れるならば、いつそ政府職員等の俸給に関係なく観念を切換えて、いわゆる考え方を新しい考え方で五百円というものも考えられるのであるということを申上げたのですが、そうすれば五本円という問題は、結局政府の賃金ベースの改訂とは別個の考え方で、君の方は要求するのだね、こういうお話がありましたので、これは考える必要があると思いまして、とにかく政府職員等の改正案に準じて行くというのが、飽くまで委員会の建前である、こういう工合に話をば変えまして、結局それならば六百、四百の行き方でいいのじやないかという向うの方からの指示があつたわけであります。それでいろいろ考えました結果、委員会に帰りまして一應各委員の意見を聞きますが、できるだけ六百、四百の線で話をつけまして、今日中にオーケーを頂くようにいたしたいと思いますと、こう言つて帰つて來た次第であります。
 以上経過のあらましでありますが、委員にお諮りいたしたいことは、私見を申上げて決めて頂きたいと思うのですが、六百、六百、四百というのは、まだ暫定的な噂に上つているだけでありまして、果してどこの線で決まるかということが、まだ見極めがついていないのであります。それで第一案の六百円、四百円という案で行きますと、これは政府職員等の手当改正ごとに、未復員者の給與もスライドして行くことができるものだということが、ここにはつきり條件がつけられるわけであります。ところが第三案の五百円を取りますと、五百円というのは全然違つた観念で行くということになりますから、ベースの改訂ごとにこの五百円を必ずしも改正されるということは、今度はいえないという理窟が成立つのであります。そこでできますならば、急を要しますから、本日中に向うがオーケーを與えるという第一案の六百、四百という案を取りまして、そういて逐次ベース改正ごとにこちらもそれについて行つて改正案を出す、こういう工合にしたならばどうか、これは私見でございます。以上御報告をいたしまして皆さんにお諮りしたいと思います。
#4
○矢野酉雄君 これはもういろいろと公式の委員会の席以外においても考えられ、考慮せられた問題でありますから、どちらでもそれぞれが、理由は成立ちますけれども相当急も要しますので、やはりスライドの利く六百円、四百円という一本筋で委員会は確立したらよかろうかと思いますがね。それに確定すると同時に、希わくば今も関係当局との方面の予算処置についての大体の理解は得ておりますが、結論的には日本政府の大藏大臣がこれに対してオーケーを與えなければならないので、昨日の議院運営委員会において、矢野の要望に対しては、大屋大藏大臣は、断じてこの帰還者を迎える予算を他の財源として流用することはない、必ずこの未帰還者給與法の一部を改正する法律並びに特別の帰還者の給與法の財源にするとは言つたものの、これは特別委員会として責任のある一つ申入れをしておく必要がある。これは委員長から、ここで今三つの案の一つが確定したと同時に、大藏大臣に一分間でもよろしいから会つて、正式の委員会を代表しての意思を十分に申入れて頂く必要があると思いますから、念のために申添えて置きたいと思います。
#5
○岡元義人君 今矢野委員から大藏大臣をお呼びになる御要求がありましたけれども……。
#6
○矢野酉雄君 呼ばなくてもよろしい、ここには……
#7
○岡元義人君 非常に私はそれに賛成なんです。それは何故かと申しますと、厚生省は政務次官が見えておりますが、実はこれで結局当委員会が努力されました改正法案がここでピリオドを打たれるわけでありますが、今日で問題は一切解決ということになるわけであります。未復員者給與法の改正法案をめぐりまして、委員会の各委員に了解して頂きたいことは、今度のスライド制をば各セクシヨンの当局が認めて頂いておるということをば知りまして、政府当局に対する委員会の鞭撻の努力が足りなかつたということを私は感ずるのであります。新予算処置をめぐりまして、單に家族手当というものだけではなくて、外の方の本給に対しても亦いろいろな手当に対しては、予算処置の当初において、十分委員会が政府当局を鞭撻して予算を取らしておく、そうすれば向うには反対はないのだということをばこの際併せて報告しておきたい。而も時期は迫つておりますから、若し大藏大臣が出席できるとするならば、この点を非常に強調をしておきまして、特に主計局当局に対して、各委員からこれを切望しておいて頂きたい。そうしますと四月の新予算処置に対しては、もつと大幅な飛躍的な平等の原則に副つて、十分に特別委員会が目的を達成し得るというような私は改正案が実現するということは、明白であるということをば申上げておきたいのであります。
#8
○委員長(草葉隆圓君) 給與局長、主計局長は連絡して出席する予定でございます。それから大藏大臣は只今連絡いましたから、もう暫くお待ちを願います。只今矢野委員、岡元委員の御発言のように、三案ありまする中で、第一案の妻を六百円、その他の子供を四百円とする案と、第二案の妻を六百円、その長子は六百円、子を四百円にする案と、第三案の平均五百円づつ扶養家族に與える案との中で、政府職員の扶養手当とスライドする意味において、第一案の妻を六百円、子を四百円、これによつて関係方面の了解を得、且つ日本政府、大藏省の十分なる了解を得て、これによる改正案を採用することを、委員会としては決定することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(草葉隆圓君) それではこれから更に岡元委員にこの案によつて御折衝をお願いすることにいたしたいと存じます。なお只今岡元委員のお話のように、結局問題の中心は、予算がありますると、予算的処置及び関係方面の了解は十分あります関係から、新年度の予算において十分これに対する委員会の処置を強力にやつておく必要がありはしないか。これは誠に皆さん御同感と存じます。主計局長、給與局長も見えまするから、この点につきまして各委員からどうぞそれぞれ御熱心に御主張を願つておきたい。
#10
○千田正君 ちよつと速記を止めて下さい。
#11
○委員長(草葉隆圓君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて……。
#13
○岡元義人君 じや皆さんのお決めになりました方向で進みますれば、今日中にこの問題はオーケーを得られますから、解決ついたことになります。でもう一度委員長からお諮り願いたいことは、お諮りよりも了解を委員に求めて頂きたいと思うのですが、実は先つきの特別未帰還者給與法の施行に伴いまして、地方自治法の一部を改正しなければならないということになるのでありますが、これは特別未帰還者給與決自体に手を加えて、これの取扱実務をどこでやらせるかということをば法的に決めることもできるわけであります。併しながらできますならば、地方自治法を改正いたしまして、特別未帰還者というものが殖えたのだから、而してこの業務は地方自治体において十分に取扱わなければならないということをば強く反映させるためにも、地方自治法を改正して頂くという工合に御了解をして頂ければ非常に幸いだと思います。この点委員長からお諮り願いまして、直ぐ処置を取らなければならんと思うのであります。お諮り願います。
#14
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡元議員のお申出にありました特別未帰還者給與法の施行に関しまして、地方自治法の一部を改正しないと、地方自治体に対する事務の取扱い方が困難ではないかと、こういう御意見によりまして皆さんにお諮りする次第でありますが、地方自治法の附則第十條には「都道府縣及び特別市は、軍人軍属であつた者の身上の取扱に関する事務及びその家族等に対する俸給その他の給與に関する事務を処理しなければならない。2前項の事務の処理に関しては、政令で特例を設けることができる。3第一項の事務は、都にあつては民生局、道府縣にあつては民生部、特別市にあつては市長の定める局部においてこれを掌る。4第一項の事務を処理するために要する経費は、國庫の負担とする。」となつております。從つてその中に「都道府縣及び特別市は、軍人軍属であつた者」というその次に、「及び特別未帰還者給與法という特別未帰還者」と、これだけを加えますると、府縣及び市町村、特別市、町村は別でございますが、そういうところで事務が執行ができると存じます。幸いに地方制度の岡本委員長がお見えになつておりますから、この委員会といたしましては、皆さんにお諮りして地方制度の岡本委員長の方において、議員発議といたしまして、只今申上げました「軍人軍属であつた者」の下に「及び特別未帰還者給與法という特別未帰還者」という、こけだけをお賀え願いますると、昭和二十四年一月一日からの実施に行政的措置が円滑にできるのではないか。この地方自治体の取扱が可能になるのじやないか。そうでないと、地方自治体としては取扱が困難ではないかと、こう考えられますので、各委員にこの点をお諮り申上げます。
#15
○星野芳樹君 岡元愛祐委員長が出ておられるので、事情はよく御存じのことと思いますが、念のためちよつと加えますが、今まで軍人軍属でまだ在外にあつて帰らなかつた人には、特別給與及び家族扶助が出ていたわけです。ところが同じ條件でシベリア等におる、例えば開拓移民などで行つて、軍籍になかつた者があるのです。これに対しては今までの法律は何ら給與がなくて甚だ不公平であつたのであります。現状においては全く軍人軍属と同じに扱われておるわけです。同じ境遇にあつて同じ労苦を甞めておる。これに対して何らの給與もなかつた。非常に不公平であつた。この点を本委員会は一年以來の懸案として、これがこのたび特別未帰還者給與法というので解決することになつたのであります。その事務的の手續として地方行政委員会においてこれの一部を改正する法律案というのを成立させて頂けると、これが解決するわけでありますから、是非とも急速に御解決をお願いしたいと思います。
#16
○岡元義人君 賛成。
#17
○委員外議員(岡本愛祐君) この度の特別未帰還者給與法は岡元義人委員よりもお示しを願つて、それは非常に結構なことだから全面的に私も賛成すると申しておつた次第でございますが、今日突然この地方自治法の一部を改正する法律案について御相談ございまして、これも御尤ものことでございますから、それではお申出によつて私共が発議者になりましようと申しておる次第でございます。ただ、今檢討をいたして見ますと、少しこの案文を変えたいと思うのでございます。それはこちらでお示しのありましたそれと意味はちつとも違わないので、ただ地方自治法の附則の第十條の入れ方の問題であります。どういうふうにそれじやそれを変えて頂きたいかといいますと、その第十條の「都道府縣及び特別市は、軍人軍属であつた者の身上の特扱に関する事務及びその家族等に対する俸給その他の給與に関する事務……」その下に入れたいと思うのでございます。その下にどういうふうに入れるかといいますと、「並びに特別未帰還者給與法(昭和二十三年法律第何号)の施行に関する事務」とこういうふうに入れたいのでございます。「事務と処理しなければならない。」こういうふうに入れまして、で但書を付けまして、「但し政令で特例を設けることができる。」といたします。これは、この地方自治法の附則の第十條の第二項になつておりますが、それを技術上の問題で但書にしまして、それから第二項にこの「特例」とありますのを「必要な規定」と改めたいと、こういうのでございます。これは從來この地方自治法の附則の第十條に対しまして多少疑義がございました。第二項について疑義がありまして、それをこの際同時に解決すると、こういう意味でございます。
 それからなぜそれじや「並びに特別未帰還者給與法の施行に関する事務」というような表現にいたしましたかと申しますのは、この「身上の取扱に関する事務」というのに特別未帰還者がかかりますと、非常に面倒なことになりますので、こういうふうに「並びに特別未帰還者給與法の施行に関する事務」というふうに変えたい。これでこちらのお申出の点はすべて解決いたします。
#18
○岡元義人君 ちよつと具体的な條文の方を一つ岡本委員長にもう一回御説明願いたいと思います。
#19
○委員外議員(岡本愛祐君) 第十條の改正案を申上げます。「都道府縣及び特別市は、軍人軍属であつた者の身上の取扱に関する事務及びその家族等に対する俸給その他の給與に関する事務」、ここまでは今まで通りでございます。その次にもつて來まして「並びに特別未帰還者給與法(昭和二十三年法律第何号)の施行に関する事務を処理しなければならない。」こうなるのでございます。
#20
○委員長(草葉隆圓君) 只今岡本地方行政委員長からのお話のありました点は、こちらの持つておりまする内容と全然同一でございまして、ただ條文の取扱上、只今のように整理をする方が適当であるというお話でありまするが、本委員会といたしましては、只今岡本委員長のお話に全然同感と存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(草葉隆圓君) それではどうぞ岡本委員長に、この委員会といたしましては、速かにこの案を御発議願いまして、本國会を通過いたしまするよう特別の御配慮を心よりお願いを申上げる次第であります。
#22
○委員外議員(岡本愛祐君) 只今の御申出は承知いたしました。尚老婆心のために申上げて置きますが、都道府縣及び特別市が特別未帰還者のこういうような事務をいたしますことになりますと、その中央官廳はどこにあるかという問題であります。これは外務省か厚生省の援護廳であるのか、この点はつきり官制ができておりませんでしたら、若しこちらが厚生省の援護廳にその事務を取扱わせられる御希望ならば官制上の措置が要ると、こう思いますから、念のため申上げておきます。
#23
○岡元義人君 今委員長のおつしやる通りであります。これは直ぐ今政務次官がここにお見えになつておりまするから、至急中央行政の方と一應お打合せ願いまして、これと併せて解決するように一つお骨折を願いたいと思います。
#24
○委員長(草葉隆圓君) それでは只今岡本委員長のお話のありました中央官廳の取扱につきましては、政府の方で速かにその処置を御決定願うよう、官制上の取扱の改正等を必要といたしますると、これ亦速急にお取計いを願うように政府の方へお願い申上げて置きます。それではこの問題は以上を以て打切りといたします。
#25
○岡元義人君 今給與局の慶徳課長がお見えになつておるのですが、先程矢野委員からも御発言がありましたし、又私からも特にお願して置きたいと思つて申上げたのですが、新年度予算措置につきましては、單に家族手当という問題だけではなくて、外の方面をも一應いろいろ計画を樹立された範囲内において、予算尊置の要求をするということを、厚生省と、特に給與当局にこのことをばお願いをして置きたいと思うのであります。この点一つ慶徳課長から御回答をこの席で願つて置きたいと思うのです。
#26
○説明員(慶徳庄意君) 只今の点につきましては、外務省の方とも緊密な連絡をとりまして、でき得る限り御期待に副うように、給與局といたしましては努力いたしたいと存じます。
#27
○岡元義人君 先程私が申上げたように、とにかく單に扶養手当だけでなくて、向うの方の意のあるところははつきりしておるのですが、日本政府部内における責任が僕は大だと思うのです。だから給與局におきましては、もつとこの際、例えば本給百円を二百円に上げるのじやなくて、本給自体も、もう少し考え併せる。それから遺族保障の問題も、向うとしては完全にいけないということを言つたわけじやないのですから、この際多少の日にちが、四月までにはございますので、この間において相当努力をやつて参る、こういう工合に一つお願いするというよりも、そうして貰いたいと言つて私はこの委員会の席で課長に申上げたわけであります。
#28
○委員長(草葉隆圓君) 新年度の予算措置につきましては、御案内のように、現在の俸給は改正になりましてもやはり百円になりますし、遺族保障は、予算的な関係から全然今回は取られてしまつております。扶養手当の関係と共に、この委員会といたしましても、予算措置までに、相当やはり委員会の意見を纏めて政府の方へ要望をし、且つ鞭撻をする必要もあろうと存じますから、この上ながら一つ議員各位の、この点に対しまする、総意の結集等につきまして、よろしくお願いを申上げたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)
#29
○説明員(慶徳庄意君) 速記を止めて頂きたいと存じます。
#30
○委員長(草葉隆圓君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#31
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
#32
○岡元義人君 御尤もな今の慶徳課長の御注意なんです。この点は先程來当委員会で御説明申上げました通り、時間的な技術的運営ができないと非常にまずいものになるから特に衆議院の解散を目前に控えまして、折角の附いて行くスライド制が実際この会期中にできないということになりますと、非常にこれは申訳ないことですから、取敢ず六百円、四百円というものは政府職員等に準じたものである、だから三ケ月間はこのままで行かれる代りに、新予算と同時にもう一回これの改正案を出すという條件を具備して結局交渉は終つたのであります。この点はまあ本当を申しますと技術的に操作ができる。千二百円幾らの人事院案が示しておりますところのその線に近付いて行くものと思われますので、その線に直ぐ持つて行けばいいのでありますが、実際に技術的にでき得ないのじやないかと考えられますので、止むを得ず三ケ月間の暫定措置みたいなことで行くことになつたと、こういうことになつたわけであります。
#33
○委員長(草葉隆圓君) この点はこの委員会といたしましても只今の慶徳課長の御意見御尤もだと存じます。政府案として配遇者が六百円、子が四百円になつておりますが、これは衆議院においても可決いたしておりませんから、案に過ぎませんわけでありまするが、今のお話のようにこれを根本から本当にスライド制にしますと、今度できました、衆議院、参議院を通過した國会の扶養手当を中心にしてやつて行かにやならないことはよく分つておるわけでございますけれども、併しそれが今技術的に、時間的に間に合わないから、一應でき上つた政府案を基準にしたスライド制を考えながらやつて行こうという点で御了承を願つて置きます。從つてこの六百円、四百円というものは理論的な根拠ではないわけでありますけれども、この点は今千円或いは千二百円という人事院案が必ずしも通る通らんは時間的になかなか困難でありますから、ただ少くとも未復員者家族の扶養手当は政府職員並びに、それにスライドするような方向に、この委員会で強く要望して置くという現れの一つだということで、これをやつて行くことに御了承願つて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(草葉隆圓君) そういう意味であつて、從つて四月になりますると時間的余裕もありまするから、根本的に変えて行かなければならん。
#35
○岡元義人君 これは紳士協定を向うと結んでおりますから、まあできましたならば、今私は非常に面白くお聞きしたのですけれども、今までは議員が上げろ上げろということを要求しておつた、今度は政府から反対にこれではもつと足りないじやないかというようになつたことは非常に喜ばしいことじやないかと思うのですが、だからむしろ政府の方で議員の案に不服があるときは、政府の出せるのですから幾らでも高く出して貰いたいと思うのです。ただ三ケ月間だけは紳士協定というものを結んでおりますから、政府と委員会とが協調して頂きたい。だから四月になつたら一つ政府の方からも、遥かに優秀なものを出して頂く、尚又議員の方からもそれに歩調を合して行くという方がいいのじやないかと思います。
#36
○委員長(草葉隆圓君) それでこの改正絵を國会に委員会として出します場合には、今の点を説明の中に徹底するように一つ申して置かねばならないと存じます。同時に昭和二十四年度の予算編成に当りまして、政府の予算的原案としてはいずれ政府委員の扶養手当は、それまでにははつきり決まる筈でございますから、それにスライドして未復員者の家族の扶養手当を未復員者給與法の財源に十分織込んで、一つ予算を御計上願いたいことを、この機会に給與局長にお願いをして置きたいと思います。
#37
○淺岡信夫君 併し今の委員長のその問題に対しましては、これは私先程おりませんでしたので一体これをどこで扱うかということは問題であつて、これは外務省にすべきか、或いは厚生省にすべきかというような問題に対して、先ず根底的に決めると同時に、そこにおいて今委員長の向われましたような点をはつきりと確保され、そうしてそれを大藏省に推進するという段階に一つお運び頂きたいと思います。
#38
○委員長(草葉隆圓君) 只今淺岡委員の御意見御尤もでありまして、この前の委員会におきましても、未復員者給與法は、現在はつきりいたしておりますけれども、特別未復員者給與法をどこで所管をしているかしいう問題につきましては、外務省にも関係をし、厚生省は勿論でありますし、大藏省にも関係いたしまするので、所管官廳をはつきりして欲しいということを政府にも申入れてありますけれども、更にこの委員会といたしましても、尚強力に申入れて、只今地方行政委員長のお話にもありましたように、官制等の改正を必要とするのがあるやにも考えられますのでこの点も申入れて置きたいと思います。
#39
○岡元義人君 今淺岡委員の申されることは当然なんです。これは昨日私は、政府がGHQに呼ばれてセクションが決つたらしてと聞いていますが、係りはPHW、ミスター・ネーフの方ですね。そういうことから当然こちらで分つた筈ですから、厚生省でこの委員会でこういうふうになりましたということが報告がなければならん。今政務次官おらけたのですが、一應そういう点をはつきり聞く必要がある、正式に決つた筈ですから……。
#40
○淺岡信夫君 それを今岡元委員が言われました一点ですが、この点をはつきりとこの委員会で明確にしておきませんと、実はこの今の外務省の、引揚者の調査事項を、そうした問題なんかと関連して非改に輻湊すると思うのです。これはただ單なる役所のセクト主義に終つてしまうと、結局不幸を見るのはこうした未引揚者の人たちでありまするから、どうしてもこの問題につきましては、この委員会において、委員会自体が明確にする、そうして政府にかくなさしめるという段階、方向にはつきりとした頂きたいと思います。
#41
○説明員(岡林諄吉君) 私が昨日聞きましたことを申上げておきます。今岡元委員からもお話がありましたが、昨日援護局長等から私が聞きましたところでは、これらの主管は外務省及び厚生省とGHQとの協議の結果でありましよう、大体所管は援護廳でやるということに確定をいたしましたか、確定する方向に行つておるようであります。從つて現在まで外務省でやつております調査関係も、この法律と共に援護廳の方に移すという……、これはまだ確定じやありません、そういう方向に今進めておるようであります。それだけ私は知つておりますので……。
#42
○淺岡信夫君 只今の説明で了承いたしまするが、これは政府の説明を委員会が求めることなくして、一應そのまま聽取するという段階におきまして、参考として聞き置くというところにいたしまして、委員会自体員これは一つ援護廳の所管にすべきだというふうに、一つ断案を下して頂きたいということを私は重るて要望するのであります。
#43
○穗積眞六郎君 今のお話は結果軍人軍属にあらざる未帰還者の事項全体をという点なんでございましようか。
#44
○委員長(草葉隆圓君) そうでございます、特別未帰還者の問題でございますから……。今の淺岡委員の御発見は特別未帰還者の事務的所管を、この委員会としてはここの方が最も妥当ではないかということを委員会で政府へ申出ることが適当ではないか、こういう御意見と拜承したします。
#45
○千田正君 そうするというと、特別未帰還者に関して起きたもろもろの問題は、今後において援護廳において引受けて十分なる処置を取られるような方向に進まれますかどうか。そうなりますと外務的な問題もありますし、いろいろ外地において起きた問題も当然含まれる問題と思いますが、この点を明確にしておきたい。將來の問題がありますから……。
#46
○説明員(岡林諄吉君) その点は昨日私の意見を援護廳には話しました。そしてこの際援護局としては、全面的に特別未帰還者に対しては受入れてやるべきであるという意見は申しましたが、援護局として、又援護廳として、先程申しましたように確定したところの案にまで行つておりません。
#47
○委員長(草葉隆圓君) ただ問題は特別未帰還者給與という点に関しましては、援護廳において取扱うことは妥当でございましようが、給與以外の特別未帰還者の一般邦人として生活をしておられた事時の在外資産、その他に関しますると、当然これは外務省関係になつて來ると思うのです。
#48
○岡元義人君 今の委員長の御説明は少し私疑連義があると思います。というのは丁度帰つて來るまでに死亡した者、これに死亡埋葬金が貰える、それから負傷した者にも療養費を支給しなければならん。帰つて來てからの状態だけのものじやなくい、向うにおる場合の状態ということがある。これは全然外務省は関係ないということも、これは一つの疑義がある。
#49
○千田正君 今の岡元委員のような疑義は私も存すると思います。私の言うのは今の特別未帰還者の給與法を適用する事務取扱は、当然援護局が軍人、軍属並びにその家族と同樣の方法によつて、國内においてやるということについては、聊かも我々は疑念を持ちませんが、外地ではいろいろ相当これは重大な問題が今後起きると思う。その点の取扱い方に対する方針をはつきりして置かんというと、將來又つぎつぎといろいろな紛爭を釀す虞れがあるので、お引受けある場合は、この点にはよろしく十分なる線を引いて貰いたいと思うのであります。
#50
○岡元義人君 これはいい機会でありますので、各委員の方々から今までのいきさつがあると思います。このいきさつを水の流して、もう法律で行つた以方は過去の責任をどうこうしいうのではないから、外務省も厚生省も虚心坦懷に、お互いにこの問題を協力的な方向に向つて行かせるように、各委員は過去のことを問わないで、どうかやつて行きたい。このことを委員長に申上げます。(「同感と」呼ぶ者あり)
#51
○淺岡信夫君 そこで線の引き方ですが、私は先程千田委員の言われた、そうした線けそこに引けばいいではないか、その取扱いについて外務或いは厚生当局において、どういうふうかということを一應聞かして頂ければ聞きたいと思います。
#52
○委員長(草葉隆圓君) この問題はいずれ外務省関係も必要でありますので、後刻課務省関係の出席を求めて、その上で厚生省及び外務省ともどもに立ち会つて御意見を御檢討願いたいと思います(「同感」と呼ぶ者あり)その前に大藏省の銀行局の特別金融課長がお見えになつておりますから、どうか同局関係についての御質疑をして頂きたいと思います。
#53
○岡元義人君 私この間発言いたして置きましたが、この問題そのものの経過を知りたいのです。私愛知局長にもお願いした置きました。多少会期は伸びるから、まだ少し見込がありそうだから、何とかその間に工作ができないかということをお願いした置きましたが、あなたの方からその後、あれから向うとの関係、折衝の経過並びに今後の見通しをこの委員会にお知らせ願いたい。國民金融公庫のことです。
#54
○説明員(磯田好祐君) 國民金融公庫のその後の司令部との折衝の経過について御報告申上げます。先般こちらに参りまして後数次に亘りまして、司令部のミスター・リードと折衝したのでありますが、この前御報告いたしました通り、一番現在問題になつておりますのは、國民金融公庫を、いわゆる專賣公社或いは日本國有鉄道と同じように公共企業体にする。從つて公共企業体にするならば、この企業体には國の会計法が全面的に適用される、この点が運営上一番難点であると申上げておつたわけでありますが、併しその後大藏省部内で、私共とそれから主計局といろいろと研給いたしました結果、非常に困る点はいろいろあるけれども、ミスター・リードの言われるのも亦、全額出資の公庫ということになるならば、今まで例もあるので或る程度の不便を認めることがあつても、國の会計法を全面的に適用するというふうに、折れていいではないかという結論に到達いたしまして、そうしてその案を先週の末に送りまして、すでに向うと折衝の過程にあるわけでございます。ところが今度の会期が今までのところ日曜までに終るということに大体なつておりまして、一方司令部の方も予算の関係で非常にミスター・リードが忙がしい。從つて今第一読会を終りましたのですが、第一読会が終つてこういうふうに修正して貰いたいという司令部の注文のあつた点で修正いたしまして、そうして更に向うに提出いたしたのでありますが、まだそれに対する向うの意見が來ていない状況でございます。來週の初めこれに対する意見を大体こちらに渡すということを言つておりましたので、今度の会期中はちよつとやはりむずかしいのではないかと思います。
#55
○岡元義人君 それで分りましたが、まあ会期は多少延びておるのですが、それでもう一つ伺いたいことは、恩給金庫との関係は完全に切離されて行くのか、そのまま含めたもので白紙に還すつもりで、向うの言われる通りに一緒にやつて行くのか、この点を明らかにして頂きたい。
#56
○説明員(磯田好祐君) 恩給金庫の問題につきましては、政府部内におきまして、完全な意見の一致を見ておりませんが、併し大藏省といたしましては、恩給担保金融の面を落して先方と折衝いたしております。向うで現在審議して頂いておる案は落した案で審議して頂いております。
#57
○岡元義人君 もう一つ課長に、この問題に一つ委員皆樣からお願いしておられる特に困つているということは、ミスター・リードにも状況をよく話してあるのであつて、向うから今会期中に大藏省さえ納得するならば、この法案は通すということを私との間にお約束されておるのです。この点は一つ政府当局も含んで頂いて、岡元がこう言つたときに、こういうことを言われたのではないかということも一つ言つて貰つて、そこまで行つてこの会期中に速かに出して上げて貰うということを、今日あたり一つ講じて貰えないか、これは各委員の方々は御同感であると思う、上げられないことはないと思います。向うの方は政府当局さえ納得すれば、自分の方は差支ないということを言つておりますし、又運営委員会にも國民金融公庫法案は、この國会中に出すのだということを言つて、佐藤長官もしばしば言明して來られた。最近になつてどうもあれは怪しくなつたというので、あのままになつておるのでありますが、政府の権威にも拘わる問題でありますし、大体もう一歩努力して頂ければいいと思います。この点を一つ伺つてみたいと思います。
#58
○説明員(磯田好祐君) 只今岡元委員のお話の通り、本日の午後でも早速司令部に参りまして、でき得るならばこの國会に提出し得るように努力いたしたいと思います。
#59
○矢野酉雄君 速記を止めて下さい。
#60
○委員長(草葉隆圓君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#61
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて下さい。それでは午前中はこれを以て休憩いたします。
   午後零時一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十八分開会
#62
○委員長(草葉隆圓君) 午前中に引續いて委員会を開会いたします。つきましては特別未帰還者給與法の実施につきまして、午前中地方自治法の一部を改正する法律案を、議員提出として提案方を地方行政委員会にお願いをし、地方行政委員長岡本愛祐君が御出席になりまして、一部改正を御協議申上げました結果午前中にも話がありましたが、附則第十條第一項中に「その家族等に対する俸給その他の給與に関する事務」の下に、「並びに特別未帰還者給與法の施行に関する事務」を加えて、本日中にその手續を済まして議員提出として提案される運びに至つておりまするから、この点御了承を願います。
#63
○千田正君 この特別未帰還者給與法が施行されるに当りまして、この行政処置に対する所管の官廳が外務省において所管されるか、或いは厚生省援護廳等において所管されるかという点において、はつきり政府としての態度を聞いてみたいと思いますが、幸い本日は外務省側から次官、局長、厚生省からは援護廳の局長が見えておりますので、明確に政府の今後のこの法案が通過した場合にとるべき処置に対しての御答弁を頂きたいと思います。
#64
○政府委員(田邊繁雄君) 特別未帰還者給與法の施行事務をどこで担当するかというお尋ねでありますが、この点につきましては私共の方と外務省の方といろいろ打合せをいたしまして、関係方面の意向を確めました結果、引揚援護廳の援護局で担当することに決定いたした次第であります。尚この仕事は未復員者給與法の施行事務と極めて密接な関係があり、又事務も大凡そ類似しておりますので、復員局で実施した方が便利じやないかという考えもあつたのでありますが、御承知の通り復員局は元軍人、軍属であつた者の復員及びこれに関連する事務ということに限定されており、特殊の性格を持つておることから考えまして、その点も考慮して引揚援護廳の援護局で担当することに決定いたしたのであります。引揚援護廳の援護局がこの事務を担当することについて引揚援護廳設置令を改正して、その点をはつきりしたらどうかという御意見もあろうかと思いますが、引揚援護廳は御承知の通り臨時の役所でありまして、この引揚援護廳の設置を見ております引揚援護廳設置令は御承知の通り「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」に基いて定められた政令でございます。從いまして極めて臨時的な政令であります。尚この政令は非常に特殊な事情の下にできた政令でありますので、これに手を入れることがいろいろややこしい困難な問題があります。近い將來において國家行政組織法が制定せられますと、厚生省設置法も制定せられるわけでありますが、その際には引揚援護廳設置令もそれに吸收されるかとも思いますので、從つてその点から考えても極めて民主的な政令ということになるわけであります。私の方といたしましては、あれやこれや考えまして、できればこの政令をいじらずに解釈してこの中に包含せしめたいというので、引揚援護廳で担当しております事務は應急援護ということになつておりますが、これは極めて廣範囲に解釈しております。現在やつております定着援護の仕事も、この應急援護に一貫してやつておりますので、その中に含ましたい、さように考えております。尚引揚援護局に担当するものは、分課規定の中にはつきり書くようにいたしたいと思つております。この点につきましては、前例もございますので、そういうふうな取扱にしたらどうか、かように考えております。以上お答え申上げます。
#65
○千田正君 今のお答えにおいて大体はつきりしたのですが、この特別未帰還者即ち曾ての軍人軍属にあらざる人たちが、現在海外において殆んど軍人軍属と同じような立場に置かれてあるのでありますが、これにつきましては外務省としましては、國内におけるところの処置は特別未帰還者給與法のことは、引揚援護廳において担当して遺憾なきを期して頂けると思いますけれども、外地におけるところの状況その他調査或いはこうした面におけるところの將來の外交折衝をやる面においては、勿論外務省が担当されると思いますが、その点においては外務省としては、どういうふうに今後処置されるか、その点をお答え頂きたいと思います。
#66
○政府委員(倭島英二君) 今の御質問でございますが、このたび決まりました特別未帰還者も今お話のありましたように、在外同胞、一般同胞の一部でございまして、それの帰還促進、或いは現在甚だ困難な状況にありますが、これの保護の問題、それから更にその状況の調査という問題につきましては、從來も外務省で担当主管をしておりましたし、今後もその調査、保護、帰還促進という問題については、相変らず外務省が主管をし、努力をする方針でございます。
#67
○千田正君 これについてはいずれはこうした調査費用、若しくはこの給與法が施行されるについてのいろいろな予算面の問題等において、大藏省との折衝事項があるでしようが、この点は恐らく各原局においてはダブらないで行かれると思いますが、その点も明確にできるわけでございますね。
#68
○政府委員(倭島英二君) その点でございますが、このたび特別未帰還者の問題の所管を援護局の方といろいろ協議しました際にも、今御質問の点についても我々いろいろ考えたわけでありますが、外務省の所管しております調査が結局將來の給與の方へ合理的に利用せられるように、その点は又ダブらないように事務的に協議をし、又お互いに協力をして行くという考えでおります。
#69
○政府委員(田邊繁雄君) 只今倭島管理局長からお話になりました通り、外務省として在外残留一般邦人の調査をなさつていらつしやるし、引揚援護廳といたしましても特別未帰還者給與法の施行に伴いまして、いろいろと調査する必要があろうかと思います。これはそれぞれの必要から行いますので、ダブる点はできるだけ省きまして調願を加えて行きたいと思つております。併し援護廳といたしましては、外務省で御調査になつた資料も十分活用するようにいたして行きたい、かように考えております。
#70
○委員長(草葉隆圓君) ちよつとこの機会に私からも援護局長に伺つて置きたいと思いますが、地方自治法の改正によつて、地方廳の民生部或いは民生局において取扱うということに相成るのであると思いますが、それの経費は全額國庫負担となつて、今回の予算にも四百数十万円必要視されておりますが、結局この仕事の円滑なる運行は、早くそういう事務的な人々を置く必要の所は、置いてやつて行くというようなことに相成つて來ると存じますが、そうしてこれが施行は一月一日となつておりますので、それまでの処置としてはどういうふうにお考えになつておりますか。
#71
○政府委員(田邊繁雄君) この事務を実際に開始するために必要な段取りといたしましては、予算上の措置が必要であります。又法律の施行規則を決める必要があります。予算上の措置につきましては、目下大藏省と事務的に相談中でございます。施行規則の点につきましては、何分にも未復員者給與法の規定を準用しておる関係上、未復員者給與法の施行規則それ自体に倣う必要が多かろうと思います。その点につきましては、併し來年一月一日までにはその規則を制定できるようにいたしたいと思つております。目下頻りと勉強中でございます。
#72
○委員長(草葉隆圓君) 他に御質問ございませんか。それでは特別未帰還者給與法関係につきましては、以上を以て一應の御質問を終ることにいたします。ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#73
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。ナホトカよりの引揚者の私刑事件報告書が参りましたから朗読いたします。
  ナホトカよりの引揚者の私刑事件について
 一、日時 昭和二十三年十一月二日
      自午後五時頃
      至翌午前九時三十分頃の間
 二、場所 舞鶴引揚援護局第三、第四、第五寮及びその周辺
 三、加害者 埼玉縣兒玉郡原道村道同六二〇
      針谷豊次 当二十六年
      外五名
 四、被害者 北海道石狩郡遠別村五三
      高橋利夫 当二十五年
      外三十八名
 五、事件発生までの経過
  1 ナホトカよりの引揚者は英彦丸、惠山丸、高砂丸に乘船ナホトカを出港するや、曾て抑留中苛酷な作業を強制し、民主運動を強要した民主委員、青年行動隊員等に極度の反感を持つ一部のものは機会を捉えて報復せんとして船中において計画した模樣であるが、航海中は事故なく英彦丸は十一月一日、惠山丸、高砂丸は十一月二日舞鶴に入港した。
  2 英彦丸の引揚者は第二、第三寮に收容されたが、二日午後五時頃引揚者間において、前記のような理由で寮の内外において些細な暴行事件が二、三発生し、整理員はこれが防止に努力していたところ
  3 その頃高砂丸の上陸が開始せられ、第四、第五寮に收容しつつあつたが、その中に民主委員青年行動隊員であつた被害者等を発見したので大挙して暴行するに至つたものである。
 六、事件の概要
  1 午後七時頃民主委員青年行動隊員に反感を持つ第二、第三寮の收容者約二千名は、大挙第五寮に押しかけようとしたので整理員は全力を挙げてこれが防止に当り、午後七時四十分頃一應解散させた。
  2 併し第三、第四寮内外においては、尚些細な暴行事件が各所に発生しつつあつたので引續きこれが防止に当つていた。
  3 その整理員の隙に乘じ、一旦解散した前記第二、第三寮の二千名は再度第五寮に押寄せ、内五、六百名は寮の内部に侵入階上階下において前記極左分子を捕えて暴行を加え(手挙、足蹴等)入院加療を要するもの二十名隔離保護を要するもの十九名
     合計     三十九名
    に対し傷害を與えたのである。
 七、警察処置
  1 事件発生と同時に舞鶴市警察局では舞鶴市警察職員並びに東署員を動員し局長以下五十五名が現場に到り、事件の鎭圧と犯人捜査に着手した。
  2 從來この種事件の加害者の措置は現地リーガル・セクシヨンにおいて直接取扱つていたが、今回は加害者の措置は日本警察において措置するよう指示があつたので、警察独自の処置を取ることとし、翌午前九時三十分までには平靜に復することができた。
  3 捜査の結果加害者六名を檢挙し五名を傷害罪として、一名を暴行罪として書類のみ送檢した。
  4 被害者の処置としては重傷者は國立舞鶴病院並びに援護局檢疫病院に入院せしめ、軽傷のものは援護局保護室に收容手当を加えた結果入院者も十一月十九日を最後に全部退院それぞれ帰國した。
 八、この種事件の取扱その他について。本事件処理は舞鶴市東警察署において実施した。從來この種事件は発生したこともあるがその程度はいずれも小規模でいわゆる引揚者間の喧嘩程度で加害者の処置等も現地LSにおてい直接処置した來たものであるが、今回の事件の発生原因等を研究して見ると次のようなことが挙げられる。
  1 引揚者中に共産党の幹部教育を受けた民生委員、青年行動隊員が多数いたこと。
  2 抑留中作業、給與等について苛酷な取扱をした通訳が担当多数帰還したこと。
  3 これらのものから直接圧迫を受けた引揚者が同時に多数帰還し、一時に收容されたこと。
  4 收容人員が從來と比し多かつたこと。
 九、参考事項。引揚者の上陸に際しては乘船者名簿と対照しておるので船中で死亡、或いは事故があれば少くとも上陸の際は発見できるもので、曾てこの種事件で船中で行方不明になつた事例はない。
 以上であります。それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     草葉 隆圓君
   理事
           三木 治朗君
           岡元 義人君
           星野 芳樹君
   委員
           天田 勝正君
           淺岡 信夫君
          池田宇右衞門君
           水久保甚作君
           穗積眞六郎君
           矢野 酉雄君
           千田  正君
  委員外議員
   地方行政委員長 岡本 愛祐君
  政府委員
   外務政務次官  近藤 鶴代君
   外務事務官
   (管理局長)  倭島 英二君
   厚生政務次官  團  伊能君
   厚生事務官
   (引揚援護廳援
   護局長)    田邊 繁雄君
  説明員
   大藏事務官
   (銀行局特殊金
   融課長)    磯田 好祐君
   大藏事務官
   (給與局第四課
   長)      慶徳 庄意君
   厚生事務官
   (引揚援護廳業
   務課長)    岡林 諄吉君
ソース: 国立国会図書館
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