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1948/12/08 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 労働委員会 第3号
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1948/12/08 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 労働委員会 第3号

#1
第004回国会 労働委員会 第3号
昭和二十三年十二月八日(水曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体労働関係法案(内閣送
 付)
  ―――――――――――――
   午後二時五十八分開会
#2
○委員長(山田節男君) 只今から労働委員会を開会いたします。昨日に引續きまして逐條審議に入れます。第四章の十七條、十八條に関して御質疑ございませんか。ちよつと私からお伺いしますが、十八條の規定は労働組合法の第一條第二項の規定に相当するものじやないかと考えるのでありますが、この十七條に違反した行爲は全部本刑法によつて処罰するというのでありますか、一般刑法によつて処罰するということの、その限界を一つ示して頂きたいと思います。
#3
○政府委員(西村健次郎君) 御質問の御趣意は、十七條違反行爲はいわゆる労働組合法の第一條第二項の正当なる行爲を認められないか、然らば認められていないとすれば、一般刑法は結局どうなるかというような御質問でと思いますが、十七條違反行爲はこれは労働組合法第一條の二項の、いわゆる正当なる行爲にならないわけであります。然らば一般の刑法はどういうふうになるかというと、これは一般刑法の適用の問題でありまして、この場合によれば公務執行妨害が成立する場合もありますが、或いは威力による業務妨害というのが成立する場合があります。或いは背任罪の成立等も考えられる場合があるのじやないか、これは具体的に関係いたしますことになると思います。
#4
○委員長(山田節男君) そうしますと、今の一般刑法はそういう趣意で適用されるとして、例えば軽犯罪法ですね、軽犯罪の程度のものも一般刑法の適用範囲としてやはり中に入るというのでありますか。
#5
○政府委員(西村健次郎君) 勿論軽犯罪のその行爲自体は、軽犯罪法の違反であれば、その場合にはおいはいわゆる適用がある、但しこれは念のために申上げて置きますけれども、十七條はその爭議行爲の禁止でありますが、團体交渉とかいうものははつきり認められておるわけであります。團体交渉の過程において労働組合法第一條第二項が適用されると、こういうふうに御了承願いたいと思います。
#6
○委員長(山田節男君) そうしますと、ピケッテイングのような場合に一般刑法を適用されることになると、正当なる労働組合の活動と見るべきかどうかという限界が非常な誤まりとなつて來るのですが、ピケッテイングの場合にもやはり一般刑法というものが適用されることになるのですか。
#7
○政府委員(西村健次郎君) ピケッテイング、その実体は法制局長あたりから御答弁願つたら如何かと思うのですが、ピケッテイングにもいろいろ態樣があると思いのです。その場合においては或いは公務執行妨害ということもありましようし、そうでない場合もある。これは実体で、私の方は法律的にどうというお答えはいたし兼ねると思います。
#8
○委員長(山田節男君) そうしますと、公共企業体の労働関係法で決める爭議行爲というのは、いわゆる労働組合法の第一條第二項の刑事の阻却性は全然認めないというのが立法精神と見て差支えないでしようか。
#9
○政府委員(西村健次郎君) この法文を冷やかに見ますと、第十七條に書いてありますような同盟罷業、怠業その他業務の正常な運営を阻害する一切の行爲はしてはならないということになりますと、苟くもこれに該当する行爲については違法性を阻却しないということになります。但し十七條の違反行爲であつて直ぐそれが刑法の罰則に触れるかどうかということは、これは別問題であります。
#10
○委員長(山田節男君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#11
○委員長(山田節男君) 速記を始めて。別にこの四章に関して御質問ございませんでしようか。
#12
○原虎一君 十八條に関してですが、「前條の規定に違反する行爲をした職員は、この法律によつて有する一切の権利を失い、且つ、解雇されるものとする。」これは以前にも質疑が行われておるのですが、どうもこの文章で行きますと、一切の権利を失い且つ解雇されるものに決まつておると解釈できるのですね。説明による解雇は最大のものとして、事前にそれに次ぐ処置が行われ得るという説明があつたと思いますが、併しどうもこの文章から見ると、そういう解雇されるものに決まつておるという印象、又そう解釈するのが正しいとも思えるのです。その点を政府委員に御説明願いたい。
#13
○政府委員(西村健次郎君) この点は解雇されるものとするとありますので、解雇されるという表現と違つております。この意味は当然、例えば失職するとか、必ず公共企業体がその職員を解雇しなくてはならないという意味じやございませんので、ここにありますように、もう少しくだいて申しますれば、解雇され得るものとする、併し解雇され得るという表現も、むしろおかしいというので、解雇されるものとすると、こういうふうにしたのであります。
#14
○委員長(山田節男君) 別に御質問ございませんようでしたら、次に第五章に移りまして、十九條、二十條、二十一條、二十二條、二十三條、二十四條、二十五條に亘りまして質疑をお願いいたします。
#15
○原虎一君 十九條二項、「若情処理共同調整会議の権限及び運用の細目は、公共企業体と職員の交渉委員の間の交渉で定める。」これが若し決まらなかつた場合の処置は、どつかに規定してありますか。
#16
○政府委員(西村健次郎君) 第八條の二項六号に「苦情処理機関」というのがありますが、團体交渉の方としまして……從いましたこれは團体交渉の一つの事項でございます。やはり調停仲裁という手續によつて決められる、こういうことになるわけであります。
#17
○原虎一君 二十一條の二項の二号「公共企業体の交渉委員は、職員又はその組合から提出した名簿の中から委員の候補者一名を、職員の交渉委員は、公共企業体の提出した名簿の中から委員の候補者一名をそれぞれ選出する。」ということになつておりますが、この委員の候補者を職員の交渉委員の方で出す、それが纏まらん場合員予想されますが、これはどういうふうになりますか、纏まらなかつた場合に……もう一度申上げますが、要するに組合若しくは組合ならざる職員の交渉委員の中から、委員の候補者を一名出して來るのでありますが、これが技術的に纏まらん場合があり得ることが予想されるのですが、こういう場合の規定はどこかにありますかしら。
#18
○政府委員(賀來才二郎君) 御尢もな御質問でありまして、この法案を立案中の研究の過程においてはいろいろ考えまして、その場合にはどうするかということまで言つたのでありますが、さようなことをいたしますと、ここに選出した者から双方で交換的に選任するという趣旨は、どこまでも調停委員会がスムーズに運行ができることを予定し、又期待しておるのでありますから、これが纏まらんからとい言つて、別の方法で納得の行かんものを選任いたしましても、うまく行かないだろう。從つてこれはどこまでも纏まらなければ纏まるまでお互いに打合せして行く、かようなことを予定しておりますので、別に纏まらない場合にはどうするという規定は置いていないのであります。
#19
○原虎一君 この調停委員会は、申すまでもなく非常な重要性を持つておる。殊に職員若しくは組合側から申しますと、爭議権というものが禁止されておるのでありますから、その調停委員会に対する期待というものが強い。又それだけにこれは双方折衝の機関として極度に利用を双方共にしようとするのであります。又そうなければならん。そういう場合に善意にのみこれが遂行されることがなくて、いずれかの方において折衝の、闘爭と申しますか、駈引きというようなことが起り得ることが考えられる。從つてそういうことが起らないように、そういう又駈引き等にお互いが考え得ないように規定して置くことが必要であると思うのです。從つてこの法律の條文を見ますと、或る所は組合若しくは職員の自主性に任すが、或る所は労働大臣が、相当に大臣の権限においてやるというようなところがある。終始一貫していない点があると思うのです。こういう点について、もつと具体的な規定の必要性を感じないのかということであります。今局長の説明だけでは、余りに簡單過ぎる感じがするのであります。これで運営に差支えない、又法の運営をした後に不備な点は直して行くという、そういうお考えであるか、その点をもう少しはつきり願いたいと思います。
#20
○政府委員(賀來才二郎君) 御質問の御趣旨なり、御意見は我々といたしましてもよく分るのであります。御承知のように労調法にいたしましても、あれを運用いたしました経驗から申しまして、労働関係を速かに平和的に調整をして行くために、これならば十分だと思い、先ずこれは非常によい條項であるということを当時考えました條項が、運営いたしますと却つてそれが不便でありましたり、不利であつたりすることがあつたのであります。この法案は特別に公共企業体という、我が國におきましても初めて形態を取つておるものでありまするし、更にこの労調法の短い経驗しか持つていないような條項から、特に公共企業体の労働関係の調整のための事務的、主として手續的なことを、ここに出して來まして、而もその内容につきましては相当理想的な考え方が盛られておつたりするわけでありますので、或いは運用いたしますにつきましては、さようなことが各方面に出て來る虞れがないとは申上げられないのであります。御意見のように或るところは労働大臣がこれを非常に詳しく突込んでやる。例えば單位の決定等につきましては非常に詳しくやつておるのでありますが、この二項の二号につきましては、どこまでも自主的に、双方が納得ずくで行くということを規定しておる。これを運用いたしますと、或いは只今申しましたようなことが起らないとは限らないのでありますが、とにかく当局といたしましては、これで運用いたしまして、若しどうしても運用上まずい、或いは却つて逆のことが起るというふうな場合には、國会の御承認を願つて、いつでもこれを是正して行きたいと、かように考えておる次第であります。
#21
○委員長(山田節男君) 二十四條の第五号、國有鉄道の場合に運輸大臣又は労働大臣、專賣公社の場合には、大藏大臣又は労働大臣、こういうように調停の請求権を主務大臣と労働大臣に持たしておりますが、この紛爭、苦情或いは紛爭の調停についての、調停にかける必要があるかどうかという、請求する場合、主務大臣が見た場合と、労働大臣が見た場合とが、場合によつては非常に違いがあるのじやないかと思うのですが、こういうように労働大臣或いは主務大臣、主務大臣或いは労働大臣というようなことになつておると、その点に実際問題として調停に、非常に主務大臣と労働大臣との判定に差があるということが想像できるのですが、こういう場合には第五号の場合には主務大臣がやれば、もう労働大臣はこれに対して、まあ何と言いますか、意見を出すという、そういうことは全然できない立場で、これは制定されておるのですか。
#22
○政府委員(賀來才二郎君) 御尢もな御質問でありまして、この法案の研究の過程におきましては、閣議の統一性、或いは労働行政の統一性、かような意味合からいたしまして、請求できるのは窓口一本の労働大臣ということにするという強い意見がありましたが、一方ではこの際におきまする大藏大臣又は運輸大臣というものは、公共企業体に対しては監督の立場にあり、正常なる運営を常に図つて行かなければならない。かような意味において労働大臣と同格で請求する立場を取る方がいいのじやないか。いろいろ研究せられたのでありますが、最後的には只今御質問のような場合には、閣議の統一性ということもありまするし、さような場合におきましては相当重大な、或いは重要なる問題が起つておる場合を予想せられますので閣議において適当に統一が取れるだろう。さような意味におきまして大藏大臣又は運輸大臣のかような権限も認めて置く方がいいのじやないかということに決定をいたしまして、かような法文になつた次第であります。
#23
○原虎一君 この第二十四條でありますが、「調停委員会は、左の各号の一に該当する場合に調停を行う。」一、二、三、四、五になつておりますが、調停に應じないという場合があり得る。この場合は調停に應じないという、双方が應じないというより、一方がむしろ應じないという場合にはどうなる、應じないことができるのではないかということ、應じない場合においてはどうするかということであります。この点についての御見解を明かに伺いたい。
#24
○政府委員(賀來才二郎君) 現行の労調法におきましても、さような場合がありまして、その場合に労働大臣或いは労働委員会が職権に基いて調停をやる。ところでそれにも應じない、出て來ないという場合には何らかの罰則があるかと言いますと、さようなことはない行き方をいたしておるのであります。これはさような場合には実際的に調定委員会が双方を呼んで納得ずくで持つて行く、こういうことを建前にしております。併し若しそういうことをいたしましても、一方又両方が應じない、その結果公共企業体の企業の運営に重大なる影響を及ぼし、又公益にも影響を及ぼすという場合には、仲裁委員会が強制仲裁に入るというようなことを予定いたしている次第であります。
#25
○委員長(山田節男君) 第五章のうちで外に御質問ございませんですか。ないようでありまするから、次に第六章に入りまして、第二十六條から三十八條まで、この間を御審議をお願いいたします。
#26
○原虎一君 二十八條の「仲裁委員会の委員の任期は、三年といる。」と、こうありますが、これには何か深い理由がありましようか。調停委員は確か一年と思いましたですが。
#27
○政府委員(西村健次郎君) この「仲裁委員会の委員の任期は、三年とする。」、特別にこれに意味があるわけではございません。但し仲裁委員会というのは中央に一つあります。相当これは全体のことに通曉していなくては工合が惡いという点がありますので、余り頻繁に変るということも如何かと思います。又一方余り長くとも工合が惡いということもありますので、大体三年くらいということに考えております。
#28
○早川愼一君 この二十九條ですが、委員を罷免する場合、「内閣総理大臣は、その他の理由により、」とありますが、その他の理由によりというのは、如何なる理由でもよいのですか。これはどういう意味に解釈したらいいのですか。
#29
○政府委員(賀來才二郎君) 御質問の趣旨はよく分るのでありますが、これはもう極めて例外的な場合、万一の場合を予想して書いたのでありまして、例えば著しく中立の立場の失つて來たというふうに認められた場合、これがこの場合に当るのではないかと考えている次第であります。
#30
○早川愼一君 この二十九條の本文の方の罷免の理由が、或る場合に労働大臣、運輸大臣、大藏大臣、こう書き分けてあるのは、これは内閣総理大臣が罷免権があるとすれば、直接内閣総理大臣が罷免するということを書いても差支えないのじやないでしようか。これは何か理由があります。
#31
○政府委員(西村健次郎君) これは実体と符合するように規定した趣旨でございます。労働大臣或いは運輸大臣若しくは大藏大臣というものは、実際の労働関係、延いては仲裁委員会、その構成員である委員というものをよく承知している。從つて本來ならば任命権のある内閣総理大臣は、罷免権も当然行使するわけでありますが、その罷免権の行使については、原則としてはやはり実体をよく承知している主管大臣或いは労働大臣が請求するのを俟ちまして初めて発動し得るということにいたしたのであります。
#32
○早川愼一君 もう一点お伺いしたいのですが、どうも仲裁委員会というのは中立の立場で職務を実行するのですから、無論これは政府の機関でもございません。純然たる仲裁機関ということだとしますと、内閣総理大臣が「その他の理由により」という漠然たるもので罷免権があるということになりますと、仲裁委員会の委員の中立性というものは怪しいものになるのじやないかと考えられるのですが、この点政府の御見解は如何ですか。
#33
○政府委員(西村健次郎君) 御説御尤もでございますが、先程御説明いたしましたように、本來内閣総理大臣が任命権を持つており、從つて内閣総理大臣が普通の場合ならば独自の罷免権があるわけでございます。この二十九條の一項の規定或いは二項の前段の規定によりまして、その内閣総理大臣の罷免権がこういう主管大臣或いは労働大臣の要求があつた場合に限定されておりますから、それだけでありますと、何か外の場合におきまして、やはりどうしても内閣総理大臣として独自の見地から罷免せざるを得ない理由があつた場合に、どうしても動きが取れないという趣旨の規定でございますので、この「その他の理由により」の「その他の理由」が非常に廣く氣儘に内閣総理大臣によつて運用されるというふうにはならないのではないか、かように考えております。
#34
○委員長(山田節男君) 第六章中別に御質問ございませんでしようか……では續きまして附則に移ります。別に附則について御質問がございませんようですが、只今労働大臣は衆議院の本会議に出ておられまして、質疑に対する回答が済んだら直ぐこちらへ來るということになつております。今迎えに参りましたですが、その間全般に亘りまして若し御質疑の洩れたようなことがありますれば、幸い政府委員がお見えになつておりますから、この際お願いします。
#35
○原虎一君 前回の委員会で画然と留保ということにはなつておりませんが、留保の形になつております五條及び十五條について、時間があるようでございますから、お聽きしたいと思いますが、五條の「公共企業体は、組合員であること、又は組合のために正当な活動をしたことをもつて、職員として雇い入れず、又は不利益な取扱をなし、若しくは解雇してはならない。職員は、組合に加入しなかつたことをもつていかなる不利益な取扱も受けない。」、これは先般田村委員からも質問がありまして、職員として雇い入れない、即ち組合員であること、又組合のために正当な活動をしたということを以て職員として雇い入れないということは、この法律で行きますれば、組合の定義が第四條にあつて、職員でなければ組合員ではないのでありますから、この場合における組合員というものは如何なる組合員であるかということが明らかにされなければならないということを先般お伺いして、尚研究の上ということになつておりますが、この点は明確になりましたでしようか。
#36
○政府委員(西村健次郎君) 今の点につきましては、第三條の「(以下組合という。)」というところの読み方だろうと思うのでございます。これは公共企業体の職員に関する労働組合全部をかぶつて、以下組合というふうに読みますと、多少……多少じやない、非常に疑問が出て來るわけでありますが、これは労働組合というものを取上げて言いますと、ただ組合というふうにお読み下されば、第五條は当然組合のために正当な活動をしたというような場合には、如何なる労働組合、職員の組合じやない。如何なる組合のためにも正当な活動をしたということのために雇い入れることを拒絶されることはないと、こういうふうに御了解願いたいと思います。
#37
○原虎一君 續いて「又は不利益な取扱をなし、若しくは解雇してはならない。」、今のお説で行くと、組合活動をした、元組合員であつたことが雇い入れた後において判明したときに、これは適用するのであるとして解釈できない。この点はどうですか。
#38
○政府委員(西村健次郎君) 私の説明が足らなかつたのだと思いますが、第五條に申します組合員であるとか、或いは組合のためにという、この組合は公共企業体の職員の組合のみならず、他の労働組合も含めた意味でここに書いてあるのであります。從いまして從來他のいずれかの労働組合の組合員であつた。そのために雇い入れることを拒絶する、或いは今度その職員として雇い入れた後におきまして、他の組合の組合員であるとか、或いはその職員の組合員であるとかを理由として解雇してはならないということも、ここで併せて申しておるわけであります。
#39
○原虎一君 それではこの組合員又は組合とあるのは本條の労働組合、第三條の公共合業体の職員に関する労働組合、これ以外のものを含むのでありますから、労働組合員又は労働組合のためにと、こう文字を入れればもつとはつきりすると思います。
#40
○政府委員(西村健次郎君) そこの点ちよつと速記を止めて頂いて……。
#41
○委員長(山田節男君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#42
○委員長(山田節男君) 速記を始めて。
#43
○原虎一君 もう一度申上げますと、第五條の終いの方の、「職員は、組合に加入しなかつたことをもつていかなる不利益な取扱も受けない。」、要するにこれはオープン・シヨップから來ておるところの精神がここに來ておると思うのですが、「組合に加入しなかつたことをもつていなかる不利益な取扱を受けない。」ということは、これは極端過ぎると思います。職員が組織するいわゆる労働組合が組合の利益を図ることは当然である。でこれは使用者から、或いは公共企業体から差別待遇を受けないということならば我々も理解できるが、組合に加入しなかつたことを以て如何なる不利益な取扱も受けない。組織を奬励する、團体交渉を助長発達するということは、組織それ自体を政府は保護しなければならん。そういう精神からいうと、これだけの文章では非常に我々は精神が汲み取れない。又労働組合法、或いは極東委員会の労働十六原則等から言つても反する印象を受けるのでありますが、これをもう少し詳しく説明願いたいと思うのです。
#44
○政府委員(西村健次郎君) この第五條一項は、これは全体としまして、公共企業体に対する規定でありまして、この「職員は、組合に加入しなかつたことをもつていかなる不利益な取扱も受けない。」ということも、これを半面は、この意味を申上げれば、公共企業体が、そういう加入しなかつたような職員に対しまして不利益な取扱をしてはならないということに過ぎないわけであります。これは若し今御疑問のごとく労働組合に入つていなかつたというために、労働組合に入つている者と組合から不利益な取扱を受けると申しますか、ちよつと正確な表現でございませんが、そういうことも併せてここに謳つておる趣旨ならば、これは当然二項としてやるべき筋合のものでございます。これは勿論オープン・ショツプが原則でございますけれども、今申上げましたように、この五條一項は公共企業体に対する命令規定でございまして、全部それがこの「職員は、組合に加入しなかつたことをもつていかなる不利益な取扱も受けない。」というところまでかぶつておる。ただ職員の側からこれは表現しておるので、多少その疑問が生ずることがある。こういう筋合なのであります。
#45
○原虎一君 次は十五條ですが、第十五條「公共企業体及び職員を代表する交渉委員の会合は、一方の請求があれば開くことができる。但し、」云々となつておりますが、これの説明書の第三項を見ますと、併し交渉委員の一方の請求があれば開かなければならんことを他の一方に強制し、義務付けているものではないと、こういう説明があるのでございます。だから一方が請求した場合において一方が拒否する権利は勿論あるが、まああるということになつて、年一回は必ず開くが、年一回以外には拒否していいということになる解釈が取り得るのじやないかと、こう思いますが、この点はどうですか。
#46
○政府委員(賀來才二郎君) この交通りに眞直ぐ行きますと、結局一方はずつと拒否し續けるということも言い得るのでありますが、我々の考えといたしましては、先ずさようなことはない。若しさような態度に出て來るということになりましたならば、非常な紛議が起つて來る根本になるのでありますから、場合によりましては調停に付して、そうして團体交渉を解決して行く、かようなことになることと予定いたしております。
#47
○原虎一君 これはどうも労政局長の説明とは思えない点は、総じて労働組合は自主的であり、それから紛爭は労資双方、この法律によりますれば、企業体代表者と職員代表者が直接折衝による解決がなされることが一番望ましくて、調停、それから仲裁にかけることは、その後第二段、第三段の途であるとすべきだと思うのです。從つて拒否できるといたしますならば、交渉を申込んでも拒否できる、申込んだ一方に対し、應ずべき一方が義務付けられないということは、殊に罷業を禁止した法律としてはこれは私は正しくないと思う。今労政局長は説明されましたが、そういうことについて随分経驗されておると思います。極端に申しますれば、むしろ折衝は面倒だ、それよりか早く調停にかけて貰つた方がいいのだから、片一方の交渉委員会の申込みに対しては、一回は会つたけれども、あとは拒否してしまう、こういうことが行い得ると思うのであります。労資間の紛爭というものを、できるだけ当事者間の折衝によつて解決さすという精神から言えば、これは私は非常にその精神に反する條文である。これは私は然るべき方法で直し得るのじやないか。もう一度御説明願いたいと思います。
#48
○政府委員(賀來才二郎君) 私といたしましても、原委員の御意見には、と申しますのは、飽くまでこれらの交渉は自主的に納得付くで双方がやるべきであるということにつきましては同感申上げるのであります。この公共企業体は、特に企業体側の経営者というのは、官吏に準ずる程度の公益性を持つた人達によつてやられますから、まさかさような態度には出ずに、この法全体の精神を汲んでスムーズに行くように努力するだろう、かように考えておりますが、若し仮にさようなものでない、御懸念のように飽くまで拒否し、交渉を嫌がつて直ちに調停に持つて行こう、これは從來私共の経驗によりますと、組合側にもそういうことがないではないのであります。さような場合におきまして、いずれか一方がさような態度を取ります場合に、ここに義務付けて見ましても、果してうまく行くかどうかということも考えたのであります。でそれよりも義務付けてどうしてもいかんということよりも、この程度にいたして置きまして、飽くまで自主的な活動に俟つという態度にした方がいいのではないか、かような考え方がありましたので、この程度の規定にいたしておるわけであります。
#49
○原虎一君 労政局長の御説明で、義務付けて見たところで、実際上うまく行かなければ仕方がないから、こうしたと言つておりますが、これは先程説明申しました労働者側にも政府側にも、この場合においては折衝する権利と、折衝しなければならん義務があるということは、これは明確にすべきじやないか。にも拘わらず説明書の中に、併し交渉委員会の一方の請求があれば開かなければならないことを他の一方に強制し、義務付けているものではないという説明書ですね。これは甚だ私は了解に苦しむのであります。應じなくてもいいのだということが説明されれば應じなくてもいいのだ。むしろ先程局長の説明があつたように、又私も申上げたように、労資双方が自主的に、お互いに折衝する権利と義務があるのだ、にも拘わらず行い得ないという場合には、何かの事情があるから調停にかけ、それでもまだうまく行かん場合においては仲裁にかける、法の建前がこうあるべきでないか、それがどうもこの説明書の第三項を見ましても、その精神に逆行しておる。こういうことは労働組合法の不備の点をここへ持つて來る必要はないのであり、それからこの法律は、成る程公共企業体にのみ適用するのでありまするが、この法律に盛られておる精神は、又これに從事する労働関係に取つて以て使われる、そういう精神が働くということを常に労働省当局は考えて貰わないと、ただこれは公共企業体のみだから、民間労働関係とは別な考えでいいのだということは、これは許せないのであります。すでに先日の公聽会においても鉄道、專賣にするよりか、むしろ石炭、電氣、私鉄にもこういう法律を作るべきだという資本家側の意見があつたことも事実であります。從つて私はそういう点を民間にもこの精神が取つて以て主張され易いという点から考えても、この十五條ばかりではありません。他にもありまするが、ここらは余程明かにするということに努力を拂われなければならん、從つてこれ以上は討論になり、議論になりまするから、いずれ又修正意見を提出することにいたしまして、私の質問は打切りたいと思います。
#50
○政府委員(賀來才二郎君) お答えを無理にしようというのではございませんが、この際御了解を願つて置きたいと思います。原委員の今の御意見、御主張に対しましては、我々全面賛成でありまして、この法案の第一條以降にもありますように、法案全体を支配しておりまする考え方といたしましては、又義務付けておりますのは、双方が友好的に調整するために、労働関係を調整するために最大限の努力を盡さなければならないということが出ておるのであります。若し第十五條にああいうことを書いてあるからと言つて、紛爭処理機関に持つて行く、或いは調停機関に持つて行くというがごときは、これは法全体の精神に反するものと思いますし、運用の関係者は、労資双方は勿論、まあ我々は関係当局といたしましても、只今の御注意の点はその通りにやらなければならん。かようなことは考えております。ただこの際申上げまして一應御了解を願いたいと思いますことは、この逐條説明に書いてありまするあの言葉は不十分であつたとは思いますが、実は極めて事務的に法令の言葉の解釈をああいうふうに書いてあつたのであります。言葉上の解釈から言いますと結局ああいうことになるのであります。併しいよいよ一般に対しまして逐條的な説明をやつて行く、そうしてこれを一般に公布する場合におきましては御意見の点を十分誤解のないように説明をいたしたいと、かように考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
#51
○村尾重雄君 先程審議されました仲裁の開始の第三十四條の四項ですか、「二箇月以内に調停が成立しなかつたとき。」というのですが、御承知のように調停される問題はかなり複雜微妙であつて、二ケ月以内に解決されなかつた問題は、すべてが仲裁委員会に取上げられなければならんのですが、どうかということです。御承知のように非常に問題が複雜なんで、時間的には解決され得る問題が多々あると思うのです。若しこういうすべての問題が仲裁委員会に取上げられるものとするならば、かなり仲裁委員会が沢山の問題をば抱え込むことになると思いますが、これは調停委員会の意見によつて、二ケ月を超しても解決される見込のあるとして場合においては、別に延ばされて構わないと解釈していいのですか、どうですか。
#52
○政府委員(賀來才二郎君) 実はここにこういう條文を入れました趣旨は、労働不安というものをなるべく短期間に解決いたしたい、さような意味におきまして調停委員会で二ケ月以上かかつてもどうにもならんときには、もう例外なく、これが仲裁委員会に自然に辷り込むように規定をいたしておるのであります。で御懸念のように沢山の事件が仲裁委員会に辷り込むかとも考えられますが、これをアメリカの例を取りますと、アメリカの労働委員会が僅か五人の委員で一ケ年に一万何千件というものを扱つておりまする例からいたしますならば、又この仲裁委員会は実際的には殆んど常勤のような形でやりますと共に、各地区にその有能な事務局を置きまして、相当活躍ができるようにいたしますと共に、この調停委員会に二ケ月も掛かつても解決が付かんようなものを、仲裁委員会は速かに公正な立場でやらなければならん、かように意味からいたしましても、やはり自然に辷り込むようにいたして置く方が労働不安を早くなくするゆえんである、かように考えてここに置いた次第であります。
#53
○委員長(山田節男君) この第四條のいわゆる政府委員の言われるオープン・ショツプ・システム、これは前にちよつて質問したと思うのですが、念のために確めて置きますが、このオープン・ショツプ・システムというのは、要するにこれは組合を歓迎しない。それからいわゆるアメリカの実例から言うと、御用組合と言うか、或いは半組合というのが常識になつているのですが、法の趣旨から言つて、これはやはりタフト・ハートレー法のような趣旨で書いてあるのだろうと私は思うのですが、実際アメリカの実例を見ると、オープン・ショツプ・システムを取つているところでは、クローズド・ショツプになつてもやはりオープン・ショツプ・システムという、こういう非常な矛盾が出て來るわけなんですが、若し國有鉄道或いは專賣公社が事実上の管理、監督の地位以外の者がクローズド・ショツプになつた場合は、これは事実上の存在として禁止しない、こういう精神が含まつているかどうか、一遍一つはつきりして頂きたいと思いますが。
#54
○政府委員(賀來才二郎君) こういうふうにオープン・ショツプ・制を取つておりますが、組合が自主的に実際上クローズド・ショツプと同じような形になることを別に禁止しておるわけではありません。ただそれを労働協約でさような形を取るということにつきましては不可能であると考えております。
#55
○委員長(山田節男君) それじやちよつと休憩いたします。
   午後四時六分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時二十三分開会
#56
○委員長(山田節男君) それでは休憩前に引續いて開会いたします。
#57
○原虎一君 労働大臣にお伺いいたします。公共企業体労働関係法、本法案の最も主眼とするところは、御承知の通りに公共企業体の職員の罷業権を禁ずるということであります。この罷業権を禁ずるということは、申すまでもなく、非常な理由がなければならないのであります。これは勿論七月二十二日のマ書簡によりまして指示は受けたのでありまするが、併しながら、マ書簡の精神を汲んでこの法案が出て参りました経過は、お互いに存じておりまするが、労働組合法に関連する特別法として、いわゆる公共企業体の職員の罷業権を禁止するというこの理由が、公共企業体の職員は勿論、國民に十分納得されなければならないのであります。御承知のように、罷業権に関しての制限は、労働組合法と労調法とによりまして制限を受けております。即ち警察官吏、消防職員、監獄に勤務する者は組合の組織を禁じられておることは明らかでありますが、尚これに續いて官吏、公吏等は命令で別段の定めができる、併しこの場合においても、組合の結成及び加入については禁止できない、要するにこういうことが規定されておるわけであります。そこで私は、この法案が民間に影響するところ甚大である、こういう観点からいたしまして、公共企業体に、即ち國有鉄道と專賣公社、この職員に適用するという根本方針を労働大臣から先ず御説明願いたいと思うのであります。
#58
○國務大臣(増田甲子七君) 原さんの御質問は、この公共企業体の從業員に対して爭義権を禁じた理由如何、それからそれに対する労働大臣の所見如何という御質問のようであります。そう拜承いたしまして、お答え申上げます。
 こういうふうに法規が相成りましたのは、お説の通り、マツカーサー・レターに基いて、公共企業体が國鉄と塩、煙草、樟脳の專賣については設けられることを示唆されまして、而も、その公共企業体の事業の運営は、公共の利益が侵害されないように運営されなければならないという文言がレターの中にございまして、その文言が法制化された。あの手紙に則つて法案を提出いたした次第でございます。でございまして、この二つの事業については、特別に公益的色彩が強い、のみならず、國家に類似するような仕事をしておるというようなわけで、一般私企業としての公益事業よりも公益性が強いという見地から、止むを得ず爭議権の禁止をいたした次第でございます。
#59
○原虎一君 公共の福祉及び公共性が強いということのみでこの罷業権が禁止されるということになりますと、今日の日本の経済産業の状態から行きますと、電氣或いは私鉄或いは炭鉱等においても、國鉄はともかくといたしまして、專賣事業の公共性よりかより強いものがあるのであります。これらに及ぼす法の精神の影響というものを我々は虞れるのであります。殊に先般公聽会を開いた場合においても、或る私鉄の会社の重役は、國鉄のみにこれを適用いたして、私鉄に適用しないのは了解に苦しむという意味の開陳があつたのであります。從つて公共性の濃度によりてのみこれが罷業権を禁止するということは、簡單に國鉄と專賣の公共性のみ強調して、その精神を納得するというには余り薄弱ではないか、殊に御承知のように、一昨年の十二月六日に極東委員会の指命で、日本の労働組合に対する十六原則、これの中におきましても、労働大臣に申上げるまでもなく、第一においては、労働組合を組織することを奬励しておる。第二は、組合組織の権利は法律によつて保護されなければならんということと、組合の目的を妨げる一切の法律、規則を即時撤廃しなければならん、そうして罷業その他の作業停止は直接占領軍の目的乃至必要に不利益を持たらすときのみ禁止さるべきであるということが第五項において明示されておるのであります。これに基くところの労働組合法の精神から行きましても、公共性というものが強いということのみにおいて禁止するということは、繰返して申上げますが、これは國民一般を納得するゆえんのものではない。殊にすでに今申しますように、企業主の中には、國鉄、專賣にこれを適用するならば、私鉄にも適用されることを希望するというような状態に相成つておるのであります。そこで私のより一層御説明を願いたいと思うのは、これらの私企業と國鉄、專賣との公共性、その他に罷業を禁止する最も必要な條件があるという御説明がなければならん。私共からいたしますれば、この労働組合法、労調法に規定がありますように、現業以外のものは罷業権を禁止せられており、現業のものは一定の調停期間を置いて終局における罷業権というものは認められておる。これで尚且つ不合理である、或いは日本の現在において不適当であるというところのものが立証されなければならんと思うのであります。で公聽会等におけるところの学者の意見におきましても、社会環境によつて法律は変つて行くのでありまするが、改正されて行くのでありまするが、罷業権という労働者の持つ根本的な権利を剥奪するというのと、それからこれに制限を加えるというのは労資関係においてこれは重大な問題であります。でありますから公共性に対してはすでに労働関係法は制限を加えて來ております。尚その制限によつて普通ならば権利を剥奪すべきでなくして、尚制限の強化によつて労働運動の抑制を考えるべきじやないか。それを超えて罷業権を禁止しなければならんということは、繰返して申上げますが、國民全般を納得させるだけの理由がなければならない。先程御説明においては尚私は了解に苦しむと同時に、然らばそれと同時に、同じ國家の事業であるところの通信関係の事業に対しての法案が今度提出されまして、先般第三國会において通過になりました郵政省とか、電氣通信省におけるところの職員に対する労働組織というものは、公務員法を適用されるので、できない事情に置かれておりますが……。
#60
○委員長(山田節男君) 原委員に、ちよつと御発言中ですが、今大臣が三十五分に本会議に帰つて來る、こう言われたので、それでそれまでにちよつと出て來れば、後は自由になるということですが……。
#61
○國務大臣(増田甲子七君) 二十分ぐらい待つて頂けば、後は非常に自由になりますので、もう十五分お待ち願えませんか。
#62
○委員長(山田節男君) 休憩をいたします。
   午後四時三十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時五十三分開会
#63
○委員長(山田節男君) それでは労働委員会を再開いたします。
#64
○原虎一君 先程質問の要点を御説明申上げたのでありますが、これを要約いたしますれば、労働大臣が言われますように、本法案が公共性、いわゆる公益事業として又國家企業として罷業権を禁止するのが至当だと、この上に立つて立案されておると思うのであります。罷業権を剥奪する、禁止してしまう、爭議行爲を禁止してしまう、それからこれに強い制限を加えるということは、結果的に見れば同樣のように考えられますが、労働法制の制定の上から考えますれば、これは必要な重要なる問題であります。この点について、労働大臣の説明をお伺いしたい、こう思うのであります。
#65
○國務大臣(増田甲子七君) 原さんの御質問は、私同感する点が非常に多いのでございまするが、爭議権を禁止せざるを得ざるの止むに得ざるに至つたということを、どうか御了解願いたいのであります。そこで專賣関係は公共性が低くはないかという御質問でございますが、これは普通煙草の製造とか、或いは塩の製造、樟脳の製造という見地から見ますと、民間産業でも諸外國等ではあり得ることでもありまするし、現に塩のごときは普通の民間人に塩を製造することを奬励した時代もありまして、ちよつと奇異に感じますが、併しこれは國家と同樣な公共企業体が経営しておるという点が一つと、もう一つは公共性が強いということと、その強い理由といたしましては、特に專賣は間接税の徴税機構になつております。その徴税機構という意味においては、一つの國家的機関であるというわけで、鉄道と同樣に爭議権を禁止しようとする次第であります。そこで今度は私鉄と國鉄とは然らば同じような業体ではないか、一方に禁止し、一方に禁止せざるということはおかしくはないかということも、これは誠に御尤もでございますが、今や原さんの御存じの通り、日本のあらゆる幹線なり或いは鉄道網というものは、日本國有鉄道が経営しておる次第でございまして、私鉄は昔と違いまして、極く部分的の営業をしておるに過ぎない。從いまして公益的性質においては、その相違というものが非常にあるということを御認識願いたい次第でございます。要するに公共性の多寡という見地と、それから國家的色彩が非常に強いところの完全國有法人が経営しておるからというような二段の意味合から、爭議権を禁止せざるを得ざるの止むを得ざるに至つた次第でございます。
#66
○原虎一君 労働大臣の御答弁を要約して考えますれば、要するに公共性が強いということ、國家の経営する企業に対して働く職員が罷業権を禁止されるのは止むを得ないとするならば、その理論的根拠というものが出て來なければならんと思います。公共性の強いという点が強調されまして、國家の企業即ち公共企業体の性格いうものが完全國有法人であることによつて、その経営は國民代表の國会及び政府に対する全面的な責任を有するものによつて経営される、この論拠が明らかにされることによつて我々は判断をしなければならんと思う。公共性の強い、弱いという問題を余りに強く強調されまして、それならば民間事業においても、今日非常に公共性が強い、私はむしろ労働大臣から、國家の公共企業体の性格というものから來る罷業の禁止の理由なるものをもう少しお伺いしたいと思うのであります。
#67
○國務大臣(増田甲子七君) まあ要するに、マツカーサー・レターを引用することは余りどうかという御意見もございまするし、私も同感でございます。とにかく政府の責任において出したものであります。併しながらマツカーサー・レターに則つて先だつて通過いたしました五法案及びこの法案が提出された次第でございまして、マツカーサー・レターの精神を遵守いたしまして、これを法文に現わした、即ち事業の経営は、公共企業体の事業の経営が公共の利益に影響のないように運営されなくてはならん、あの條項が法文化されますというと、こういうことに相成つた次第であります。そこで法理論ということになりますれば、これはむしろ第二段の問題でございますが、法理論としてお答え申しますと、今原さんのお話のように、第一に挙ぐべきことは何かと言えば、公益性を強調するというと、一般民間事業においては公益性はもつと強いものがあり得るというようなお話でございますが、私といたしましては、公共的性質においても、今申上げました通り、民間の諸般の常識的見地から見まして、公益事業と思われるものよりも公益的性質は一段と強い、こういう確信に立つておるのであります。それと同樣に、それ以上のウエートを置いてもよろしいのでございますが、國家と同樣であるところの完全國有法人の経営する事業であるというような意味も勿論あるわけでございます。
#68
○原虎一君 次にこの法律は、罷業をやる、爭議ということは禁止しておりまするが、團体交渉による組合活動、組合組織の上に團体交渉を行うということは奬励されるべきもの、と申しまするのは、説明を要しない、労働組合法及び先程申しました極東委員会の指示するところの労働組合の十六原則に基いても当然なことであります。ところがこの法の全般を総合して見ますると、オープン・ショツプ制を強調するの余り、法の精神である團体交渉というものの事実後退を意味する條文があるのであります。それは第九條であります。職員を代表する交渉委員を公共企業体を代表する交渉委員とが專ら團体交渉をする、即ちここで職員の組織する組合の代表者と團体交渉するのじやなくして、職員を代表する代表者と團体交渉をするということになつておりますのは、即ち労働組合組織の奬励の意思が崩れて、オープン・ショツプ制を余り強調するために、労働組合を作らないものにも同等の利益権利を與えるという精神を強度に発揮いたしておりまするから、労働組合の組織というものを助長発達さすというところが非常に弱められている。現に法制定の今日、現状におきましては國鉄、いわゆる國有鉄道の職員も、專賣の職員も全部が組合を組織している現状において、何故にこれを強調しなければならんかということであります。これはいろいろ檢討をいたしましたが、結論においていわゆる團体交渉の助長発達というものを組織の上に持たせるという考えよりも、無組織でも代表者を選挙して、その選挙したところの代議員と言いますか、組織の上の代表者にあらざる選挙された委員が交渉をすることも團体交渉として認められておるのであります。これは私はどう考えましても團体交渉の精神に逆行するものだ、こういう点につてい労働大臣の所見をお伺いしたいのであります。
#69
○國務大臣(増田甲子七君) 九條、十條ばかり読んで頂くと困るのでございまして、十一條とか、或いは八條とかいうものをお読みになると分りますが、要するに團体交渉をいたしましたその結果でき上る労働協約は、左の事項について締結するのだというようなことが書いてございまするが、賃金だとか、労働條件だとか、労働時間とか、或いは就業規則、或いは懲戒関係の、官吏で言うならば服務規律に関すること、こういうことまで労働協約で締結することを予想しております。労働協約というものは、新公共企業体職員に関する、昔で言つたならば官吏服務規律になるのでございまして、その労働協約を労働組合が作ることを予想しておる。この労働協約は、仮に職員の代表である交渉委員の中に、原さんの御指摘のように、組合員以外の職員があるといたしましても、團体交渉の結果実を結んだ團体協約の当事者というものは、片や労働組合であり、片や公共企業体の使用者側である総裁である、こういうことになるのでございまして、私は組合を決して軽視した思想ではない。ただ併しながら労働協約を締結するに当つての團体交渉には、お説のごとく、組合員外の職員たる交渉委員も委員たり得る、こういう次第でございます。決して労働組合それ自体を排除するという思想ではございません。むしろ労協組合によつて作られた團体協約が殆んど公務員に関する、公務員で申しましたならば、公務員に関する人事院規則だとか、或いは人事院令だとかいうものとひとしいものを作るということまで予想しておるのでございますから、私は余程尊重したことになる、こう考えております。
#70
○原虎一君 組織を尊重する、併し労働組合組織というものを尊重するという建前から行きまして法は生れて行かなければならんのであります。組織以外の人間の意思を尊重するということは、それは自由の原則というような点から考えますれば、労働組合に入らない自由がこの條文にもあるのであります。併しそれは自分の意思を使用者に表明するためには、或いはこれの意思を反映せしめるためには、やはり組織を持つということが前提條件にされなければ、労働組合法の精神に、人間は自由であるから團結することも、労働組合を作ることも、作らんことも自由である、作らないものにも、だから折衝の権利は與えてあるのだと、こういう考え方は、労働組合の組織を助長発達させる精神から申しますれば、退歩である。如何にも自由思想に基く自由のごとく考えられまするけれども、國民は組織の上にすべての権利を擁護し、発達さして行こうという上から、この上に立つところの労働組合組織というものは、組織を奨励する建前に立つ点から言えば、團体協約の條項が如何に組合と使用者との間に廣範囲に結ばれるからと言つて、それによつて團体協約、いわゆる團体交渉というものが尊重されたとは言えないと思うのであります。この点は私は今大臣の説明においては納得いたし兼ねる。できますならば尚御説明を願いたいと思います。
#71
○國務大臣(増田甲子七君) 事実問題として、原さんの御質問のようなことはあり得ないと思います。というのは、國鉄は單一労組を形成しておるわけでございまして、仮に將來できましても、組合員外の從業員というようなこともあり得ないと私は思うのでございます。そこで問題は殆んどないと思う次第でございます。
#72
○原虎一君 大臣が御答弁をされましたように、私もないと思うのです。ないと思う現状、客観情勢にあるにも拘わらず、なぜこれを設けなければならないか。私の見解を以てすれば、團体交渉の助長発達を図るべき労働組合法の精神を汲むこの法案が、これに逆行するごとき條文を、而も現実にはあり得ないということが想像されるのに、なぜ置くかということであります。
#73
○國務大臣(増田甲子七君) これは結局ここに組合員たる職員と、こう書くと仮定いたしますと、結局必ず人は組合員、この從業員というものは組合員にならざるを得ないというような、一つのやはり基本人権に対する一種の強制であるというようなことに私は相成ると思います。かくするならばやはりこう書かざるを得ない。併しこう書いたからと言つて、やはり組合の発達を希つていないという意味表示にはならんと思います。
#74
○原虎一君 かその間的は了解いたし兼ねまするが、尚次の問題を伺いたいと思います。この法案によりまして組織されるところの公共企業体の労働組合が、その類以の組合、若しくは公共企業体以外の労働組合と同盟体、連合体を組織して何ら支障ないと考えるものであります。それと同時にそれらと連合体、同盟体を作つた場合に、この連合体、同盟体が政治活動をいたしますときには、如何なる法的関係において制約を受けるか。或いは受けないか。私は受けるべきものでないと解釈いたしております。この点を明らかに御説明を願います。
#75
○國務大臣(増田甲子七君) 他の一般産業労働組合と連合体を形成することは別に禁止されておりませんから、できると思います。それから組合の政治活動は私に取つて、原さんにお答え申上げました通り、政治活動を主たる目的としないならば、從たる政治活動であるならば、勿論極東委員会の示された十六原則もございますし、できると思います。
#76
○原虎一君 最後にもう一点お伺いしたいと思いますのは、同じ公共企業体に類以するところの郵政省、電氣通信省の職員が、これの適用を受けないという理由を御説明願いたいと思います。
#77
○國務大臣(増田甲子七君) あれはマツカーサー・レターに示されたところに則りまして、ああいうふうに書いてあるのでありまして、即ち郵便の部門は郵便事業そのものと、電氣通信の二つの部門に、政府の機構として二つの部門に分けられなければならないと、こう書いてあるだけでございまして、即ち政府職員である、公務員であるという関係で、而もその公務員の行爲に対しましては、團体交渉権は制約を受けなくてはならんし、爭議権は禁止されなくてはならんと、こういうレターの趣旨に則つてああいうふうに書いてある次第でございまして、國鉄從業員とは違つて來た次第でございます。
#78
○原虎一君 この点は御説明では納得できないのでございまして、國鉄從業員と同樣な、或いは專賣從業員と同樣な職員がなるにも拘わらず、この法の適用を受けないということは、これは非常に重要な問題でありまして、労働大臣として労働行政の上にこれを明確にされる。ただマツカーサー元帥の書簡に基くからであるということだけでは、日本全体の労働行政を担任される責任の位置にある労働大臣のお言葉としては不十分ではないか。非常にむずかしいことであるということは私は承知していながら、敢えてこれを御質問申上げることは、日本の労働運動に取つて重大なる影響がありますからであります。できますならば重ねて御説明を願いたいと思います。
#79
○國務大臣(増田甲子七君) 原さんのお説のように、非常にむずかしい御質問でありまして、難質問を提起されて私も弱つておる次第でございます。事業の性質上の区別というようなことを若し申せば申し兼ねないわけではございませんが、私はそういうことは余り申したくないのでして、要するに要求を含む勧告であるところのマツカーサー・レターにはつきりと区別して書かれてありまする、その通りに我々は法案を作成いたしたのでございます。
#80
○早川愼一君 甚だ遅くなりまして恐縮でありますが、極く簡單に大臣に御所見をお伺いいたしたいと思います。先程の御説明によりますというと、この法案はマ書簡の示唆に基く國有鉄道、專賣の政府事業が公共企業体に編成替えされたために、自然その間の労働組合関係、或いは労働調整関係について特別な措置を講ずる必要があるという御趣旨につきましては十分了承ができるのであります。ところがマ書簡に示唆されておる点は、第一には事業運営に支障を來さないように、或いは爭議権の禁止とか、又強制調停、調停仲裁の制度を設けるとか、こういう点にあると私は考えるものであります。然るにこの法案自体を見ますというと、一般の労働組合関係とは別個な組合関係を規制しておるのであります。それはその中には、むしろこれは現在の労働組合法そのものを改正する必要に迫られておる規定があるので、特別にその公共企業体のために、こういう改正をしなければならんと考えられない点が、規定が含んでおるように思われるのであります。でありますから、私はこの際マ書簡に基くこの法案につきましては、十分了承できるのでありますが、同時にこれは、この特別法は最小限度のものであつて、むしろ一般法を改正する必要があるものがあるのではないか、例えば一例を申しますというと、組合員の範囲の問題であるとか、或いは又組合の役員の選出方法であるとか、或いは團体交渉の会合の方法であるとかいうような問題は、むしろ一般労働組合法の関係であつて、公共企業体に特別に必要なものとは考えられないのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになつておるか、或いは又將来その必要を認められて組合法の改正についてもお考えがあるのかどうか、その点をお伺いして置きたいと思います。
#81
○國務大臣(増田甲子七君) 一般法についてもこういうような問題について考究する余地があるのではないか、國鉄に限つてこういうことを規定した理由如何という御質問にお答え申上げます。國鉄と專賣公社について特別の労働関係調整法というものを作つた理由といたしましては、この方面における労働関係の平和、産業平和ということが特に要求されておるからでございます。
#82
○委員長(山田節男君) 外に御質問ございませんか。それでは大体只今の御質問並びに労働大臣からの御回答によりまして、本法案の逐條審議並びに一般問題の質疑は終了いたすことにいたします。若し委員の中に修正案をお持ちの方がございますれば、明日午前中に労働委員長の下にお差出しを願いたいと思います……。それでは日本は。
#83
○原虎一君 午前中修正案の提出はちよつと無理なんでございます。いろいろなことで……。
#84
○委員長(山田節男君) それでは三時と一應決めて頂きましよう。それでは本日の労働委員会はこれで散会いたします。
   午後五時二十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           平野善治郎君
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           竹下 豐次君
           水橋 藤作君
  國務大臣
   労 働 大 臣 増田甲子七君
  政府委員
   労働政務次官  竹下 豐次君
   労働事務官
   (労政局長)  賀來才二郎君
   法務廳事務官
   (法制第二局長
   心得)     西村健次郎君
ソース: 国立国会図書館
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