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#1
第004回国会 人事委員会 第3号
昭和二十三年十二月六日(月曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○調査承認要求に関する件
○國家公務員法の一部を改正する法律
 案に関する件
○淺井清、山下興家、上野陽一を人事
 官に任命することについて同意を求
 めるの件
  ―――――――――――――
   午後三時二十二分開会
#2
○委員長(中井光次君) 委員会を開会いたします。先ず最初にお諮りいたしまするが、前の國会におきまして、國家公務員の厚生福利施設に関する調査承認の要求をいたしました。もう一つ政府における諸事務の能率的運営に関する調査承認の要求をいたしましたのでございまするが、今議会におきましてもこれを同樣に要求をいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中井光次君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
 尚昨日來御相談いたしておりまする修正案の件につきまして、只今打合せ中でありまするので、これが取扱につきましては、先般お決め願つた通り、委員長、理事において交渉をすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中井光次君) 御異議ないと認めて、さよういたさして頂きます。
 次に本委員会に代託になつておりまする淺井清、山下興家、上野陽一を人事官に任命することについて同意を求めるの件を議題にいたしたいと存じます。大体御質疑は終了したものと認めまするが、いかがでございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(中井光次君) 御異議ないようでございまするので討論に入りたいと思います。只今より討論に入ります。御意見のある方は賛否を明かにした御述べを願います。
#6
○小串清一君 政府より提出されました三名の候補者につきましては、いろいろ選考をし、又政府の説明等を聞きまして、この際この三名の人を人事官に任命することに同意することが適当だと思いまして、政府案に賛成するつもりであります。
#7
○佐々木鹿藏君 私は小串委員の動議に賛成をいたします。人事官に淺井、山下、上野の三名を適当と認めまして賛成をいたします。
#8
○委員長(中井光次君) 外に御意見はありませんか。
#9
○木下源吾君 私は反対します。その理由は、成る程現在の三名は臨時人事委員がとして今までやつて來たのですが、これは飽くまでも臨時の処置と私は考えております。今回公務員法が通過いたしまして、この内容を檢討いたしますと、人事官というものの責任、そうしてやられることは非常に重大である。で、これらの選考については、もつと私は廣い視野に立つて、そうして愼重に政府が選考しなければならんものと、かように考えております。そこで現在の諸君はどうかというと、普通の人としては何ら欠点もなし、むしろ優れておると考えまするが、人事行政に関する今日までの知識、経驗というものについては全く未知数と言わざるを得ない、かように考える者であります。殊に或る一部においては、公務員法に明記せられるいる政党的色彩というようなことについても、多少疑わしい点もある。尚又一部には、先般私は思想傾向をお伺いしたところ、資料を出して貰つたのでありますが、こういうことを書いているのがあります。全体主義というものは民主主義と対立するものではない、反対するものではない、反民主主義じやない、こういうようなことを書いております。これは全体を通じて精読したわけでありませんけれども、全体主義はただ個人主義と対立するものである。民主主義とは反するものではない。こういうように書いている一節があるのであります。この一点を見ましても、その思想の大体が分かると思うのであります。御案内の通り全体主義と一口に今日言われているのは、ファシズムでありまして、少数の独裁者が、全体の利益のためにやるのだという、このことが決して今日のいわゆる民主主義には当てはまらないということを我々は考えている。然るにこの著書に現われている彼の説明においては、そういうように民主主義を解釈している。なぜ私はそういう思想を重要視するかというと、例えば公務員が能率を上げなければならないということが、今度の最大眼目でありますが、能率を上げるということは、言うまでもなく、ただ個人がやたらに働くということで、能率が上るものではないことは御承知の通りであります。今日能率を上げる上においては、それは全く科学的見地に立つて、そうして綜合的な面から能率を上げるという方向でなければ、私は能率が上らないものであると考えております。卑近に言いまするというと、今日までの状態では、日本は足し算の五と五を足せば十である程度の日本であつたのでありますが、敗戰後の日本の能率を上げるということは、單なる足し算ではなくして、五と五を掛合せて二十五になるというような方式でなければ、私は飛躍的に能率は上がらない、かように考えておるのであります。そういう観点からいたしましても、只今いう全体主義が民主主義であるというような考え方では、これは決して足し算の域を脱しない考え方である、そういう思想より持つていない、こういうふうに私は断ぜざるを得ないのであります。かくのごとき思想を以て、そうして今三百万の公務員の一切の権限を持つといつても過言でない程の重大な力を持つて、そうして他面においては、これらの公務員の能率を本当に新らしい時代において、新らしき基盤としては能率を上げるということには私は不適当である、かように考えるのであります。更に政府はこの三人を推薦して、全く政府はこれを信頼しておる、こういうふうに言つておりますけれども、現実にこれらの人々が新給與に対して六千三百七円ベースを政府に勧告しておるのでありますが、而もその勧告は決られらた調査の方法によつて、そうして日本の経済力、財政の面、或いは一般民間労働者の生活、又國民全体の消費生活、そういういろいろの面から六千三百七円というベースを決めて政府に勧告しておるのでありますが、政府はこれに対して今これに從わずして、而も明確なこれに理由を附加えることなく、五千三百円という予算案をこの國会に提出しておるのであります。このような実際を私は見ましても政府は口では信頼しておると言うが、決して私はこれを現実には信頼しておるものではない、こう断ぜざるを得ないのであります。で政府は独自の見解に立つて、本当に自分の責任において、日本の公務員のためによき人事官を選考し任命するという、こういう誠実が政府に私は認められない。この点は私は非常に遺憾に考える者であります。で私は今ここに反対するということについては、ここに挙げられておる個人を、私はかれこれ言うのではありません。眞に我が國の公務員が國民の期待に副うような、そうして國民の全体の奉仕者として、最大の効果を挙げること、そのことが今國家の要請であるのであつて、その人々の一切を握るところの人事官として私は適任ではない、かように申上げるのであります。
 以上の二、三の例を申上げまして、私は政府の提案になりました今回の人事官任命に対しては、遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。
#10
○委員長(中井光次君) 別に御発言もありませんか。御発言もないようでありますから、討論は終結したものと看做にして採決に入ります。淺井清、山下興家、上野陽一を人事官に任命することについて同意を求めるの件を議題といたします。本合に対して同意を與えることに賛成の方の挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#11
○委員長(中井光次君) 挙手者多数であります。よつて本件は同意すべきものと決定されました。
 尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりまするが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(中井光次君) 御異議がないと認めます。
 それから本院規則第七十條によりまして、委員長は議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名をお願い申上げます。
  多数意見者署名
    佐々木鹿藏  小串 清一
    宇都宮 登  東浦 庄治
    岩男 仁藏  寺尾  博
#13
○委員長(中井光次君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れなしと認めます。
 明日は連合委員会が午前十時にございますから、人事委員会は午後に開くことになると存じます。本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     中井 光次君
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
           宇都宮 登君
   委員
           佐々木鹿藏君
           寺尾  博君
           東浦 庄治君
           岩男 仁藏君
ソース: 国立国会図書館
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