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1948/12/20 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 厚生委員会 第4号
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1948/12/20 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 厚生委員会 第4号

#1
第004回国会 厚生委員会 第4号
昭和二十三年十二月二十日(月曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会保障制度に関する調査の件
○京都におけるジフテリア予防接種禍
 の問題等に関する件
  ―――――――――――――
   午前十時五十二分開会
#2
○委員長(塚本重藏君) 只今より委員会を開会いたします。社会保障制度に関する調査を議題に供します。速記を止めて。
   午前十時五十三分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時十二分速記開始
#3
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて、それではこれにて休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十三分開会
#4
○委員長(塚本重藏君) これより午前に引續き委員会を續行いたします。
 先ず午前中の委員会で皆樣の御要望のありました京都のジフテリア接種禍の問題等に関連しまするその後の厚生省の取られました前後処置並びに責任の所在等につきまして、爾後の御報告を承りたいのであります。この前に本会議で、厚生大臣から一應のその当時の報告があり、私から更に質問して答弁を得たわけでありますが、その後の状況は余程惡化して参りましたし、情勢も余程変つて來ておりますし、日にちが経ちましたので、政府の方でもこの責任の所在も明らかにせられたことと考えまするし、その責任の所在に対いる処置等も如何ようになされましたか、御報告を願いたいと存ずるのであります。
#5
○政府委員(團伊能君) 先日大臣から御答弁申上げました、京都予防接種の極めて悲惨なる事件に関しまして、その後不幸にしてこの事件が次第に発展いたして参りました。勿論これはすでに原因がございまして、いろいろ技術的な各般の手当をいたしましたが、病氣それ自身の非常に深刻な性質といたしまして、死亡者も、その後おいおい殖えておりまして、又これを極力治療いたしましても止め得ない、又將來も多少殖えるというような危險な状態にあるものもございますし、この点は京都市、府、その他からもいろいろ要求もございまして、厚生省といたしまして、できるだけこれに應えまして、只今予防に懸命になつております次第でございます。この数字につきまして、これより総務局長及び防疫局長から御報告を申上げたいと存じます。
#6
○政府委員(濱野規矩雄君) 京都府並びに島根縣におきますジフテリア接種禍につきまして、大変御心配をかけることになつて私共もこれに対して恐縮に存じております。昨日までに來ました数字によりますと、亡くなつた方が五十八名、最近は十四日の日が一番多うございまして、六人亡くなりまして、十五日は二人、十六日二人、十七日三人、十八日二人、昨日が一名という数字で総計五十八名亡くなりました。只今患者に対しまして取つております処置は、ジフテリアの血清並びに虹波という新陳代謝を高めます藥が戰時中にございまして、この虹波が神経の痳痺、潰瘍が早く直りますので、その虹波を虹波研究会から求めまして、現地にこの間持たせてやりまして、成るべく血清を早く要望に應じまして送つております。尚京都府並びに京都市両方の会からたつての希望もございまして、本省といたしましては、逐次御希望に副うべく努力しておりますが、本日までのところは先般申上げましたように、死者一人に対しまして一万円、重傷者三千円、軽症者一千円、このお金は先般すでに持たして出しましたが、その後國庫金額負担のたつての希望もございますし、又私たちといたしましても、この際全く未曾有の出來事でありますので、できれば全額國庫負担を希望しておるのでありますが、それと同時に將來にこういうことが二度と起りませんような方策を講ずべく努力して欲しいのであります。先般いろいろと大藏関係当局と話合いまして、取敢ず一千万円の國庫補助額を例外的な補助にすることにいたしまして、一千万円取敢ず御送付申上げることにいたしております。尚本省におきましては、逐次次官の下に会議を開きまして、今申上げました將來に禍根を再び残さない方法を取るべく、只今鋭意考究中でございます。何とか禍いを轉じて福となしまして、將來に再びこういうことができませんよう、あらゆる考られる手段を全部講じて、惡い点は全部改めまして、そうして徹底的にいたしたい、こういうので只今眞劍になりまして、努力いたしておる次第であります。
 尚ワクチンの製造に関しまして、各業者を係官を以ちまして再檢討いたし、並びにその製藥のスタンダードを挙げまして、そうしてその規格に合わないものはこの際遠慮して頂く、並びに國家でこれを作ることの要望もございますが、國営の製造ということもいろいろの点につきまして、一應考究はしておりますが、一つの規格の下におけるいいメーカーばかりにこれをいたしまして、それに常任の監視官を置きまして、不側の間違いをも未然に防ぎたい。そうして製造技術を上げて行くというふうに製造の部面におきましてはより以上改良いたしたい、こういう線で只今大体結論に達しておるのであります。議会が閉会と同時に厚生大臣も京都に直ちに赴かれまして、先般衆議院本会議で御報告がありましたように、氣の毒な方々にお詑びと、お見舞、御慰問をされまして、そうして一層この問題が起きませんように私たちも努力して行きたいと存じておる次第でございます。
#7
○中平常太郎君 只今濱野局長から御報告がありました。これは大変重大な問題に相成つておりますので、今日五十八名と言つているけれども、まだ重症者が百何人ありますし、殊に後の手当が不徹底である以上、まだまだ犠牲者が出るものと予想されなければならんので、又そのことも予想しておられるようでありますが、大変な問題であると思います。これは当時私が帰りまして、報告並びにその後当局に向つて要望いたしましたときに、この前の問題は、よく中毒が判明しなければ、それだけの手續はできないということを言われたのでありますけれども、現在それ程の腫瘍がすでにできて、難儀をしている者が二百名もあるのに、それがまだまだジフテリアの中毒でないか、あるかが分らないというようなことを言うて、本省で悠々としてそれらの残つた藥を試驗なさつておられるという問題は、許すべからざる問題と思う。当時私が言うていたところが、中毒であるかどうか分らないから仕方がないと言われる。分らなければ分るようにしなければならん。すでに腫瘍ができておるではないか、それはあなた方が分らんと言うのは、学理的においては或いは徹底した考え方には行かんかも知れませんけれども、事実そうなつておるということは、如何にも藥の中毒であるかが常識上分つたようなものでありまして、直ちに高痳痺ならば高痳痺が來るものと予想してかからなければ、それが高痳痺が來るか來ないか分らないようなときには漸次に殖えて來てますます慌ててしまう。島根縣なども一つも出ないと言つておつたのがあれだけ出て來た、あとの処置が誤まつておる。つまり中毒ということが、過ちがあつてから起きて來たところの後の工作が、これが極めて微温的であつて、不徹底であつたということは免れないと思う。濱野局長は元來まだ京都においでにならんと思うのですが、おいでにならんのですか、なつたのですか。
#8
○政府委員(濱野規矩雄君) 参りました。
#9
○中平常太郎君 この事件が起きてから後に……
#10
○政府委員(濱野規矩雄君) 参りました。
#11
○中平常太郎君 一遍、いつ頃でしたか。
#12
○政府委員(濱野規矩雄君) 十一月の二十八日に立ちまして参りました。
#13
○中平常太郎君 それならばまだいいが、とにかくあとの処置というものが全然、余りにイデオロギーに、机上の空論に捉われてしまつて、実際の問題を閑却しておつたというごとき容易ならん問題であります。だから次々とあとへあとへと連續できて來て、今日誠に重大な事件となつてしまつたのでありまして、これは責任の所在というものはただに工藤製藥などの責任者だけというような問題でなくして、これは監督不行届という非常に大きな問題が厚生省に課せられた問題として我々は考えなければならんことになつたのであります。当時であつたならばまだまだ手の付けようがあつたであろうと思う程付けていない。而もここで私が中毒かどうかこれは分らないことはないと言つたところが、あのように分らんと言つて強弁された。分らんといううちにどんどん死んで行く、実にどうも遺憾に堪えないのであります。それでこの問題はすでに過失による製藥工程の責任者はどういうふうになさつておられるか、又それぞれのどの程度までその責任の所在を明らかにしておられますか、乃至又これは上司の問題でありますけれども、厚生省の係官、局長初めただべんべんと説明なり報告なりしておられていいのか、この問題はそういうふうに誠に不行届であつたとか、或いは手落ちであつたというようなことだけの問題では閑却できないと思うのであります。今日は林大臣がお見えになれば、林大臣がどういう処置を取られるか、具体的なことを聞きたかつたのでありますけども、おいでになつておりませんので、團次官がよくこの点はお考え願つて置きたいと思うのであります。これは一身上の弁明という程度では済まされない問題でありますから、その点はよく御承知置きを願いたいと思うのであります。
 尚お尋ねしたいこともまだ外にありますが、他の方からお話がありましたようから、一應これで私は打切つて置きます。
#14
○山下義信君 今予防局長のおつしやつた一千万円見舞金をということでありましたが、可なり金額を御奮発になりまして、その点了承しますが、大体どういう見当で一千万円という計算をされましたか。
#15
○政府委員(濱野規矩雄君) 一千万円は京都市並びに京都府におきまして使いました患者の大体の費用の、向うの要求が二千何百万円でありましたか、これをまあ大藏当局におきまして査定をいたしますと、千万円内外になる、少し千万円から多くなる程度の査定になるのでございますが、續いて患者もそういう状態でありますので、取り敢ず一千万円を例外的な補助としまして先に送りました。そうしてそれをあと次々とまだ國庫金額にするきどうかという問題が残つております。それで決定次第送る、こういう恰好で取り敢ず一千万円を現実に送る、こういう補助費として送る、こういう形を取つたのであります。
#16
○山下義信君 私は予算委員会で簡單にお尋ねしてあの程度に止めて置いたのでありますが、その一千万円を大藏省が査定して送つたということの事情は了承いたしましたが、大体要りました費用を國家が負担をするという建前で、査定は一千万円ですが、それが要りました費用の三分の一とか二分の一というのを負担するのではなくして、一應國家が全額を見てやろう、よく査定して見るというと、二千五百万円と言つておるのが、先ず今のところでは一千万円と査定した、こういう建前でその一千万円という金額が出たものである、かように了承してよろしうございますか。
#17
○政府委員(濱野規矩雄君) 要するに、市と府では全額國庫補助を熱望しておりますし、大藏当局としては、まあそういうことはできん、こういう話なんであります。又新らしく予算を取りますこともなかなか困難でありまして、傳染病予防費の補助の残額を集めまして、そうしてこれを決済して補助するのでありますが、そうでなしに先拂として、残額を向うへ送るものでありまして、そうして、これで統当して頂く、今の全額國庫補助になるか乃至はどれだけのパーセンテージの補助になりますか、これはもう少し先へ行つて相談しよう、こういう一應建前であります。丁度災害がありましたときに、災害費として、先に災害補助費を出します形を、特に初めてこの防疫の場合に取つて頂くこができました。千万円例外最に補助を出す、こういうことで手續を決定した次第であります。
#18
○山下義信君 そうしますと、新規にそういうものの支出を予資金なりから出すのでなくして、厚生省の方に持つておるところの予算の中から取敢ず見舞金としてという程度の意味で一千万円出す、こういうことになつたということになるのでありますか。
#19
○政府委員(濱野規矩雄君) 見舞金は先般申しました一万円、三千円、一千円というのが大臣からの見舞金、あとの一千万円はそれにかかりました治療費、防疫のいろいろの費用がかかりますその費用の補助費として送つたのであります。
#20
○山下義信君 その費用の補助費というのは、何分の一というような見方をされたのですか、補助というのは、どういう率で補助するという建前を取られたのですか。
#21
○政府委員(濱野規矩雄君) これは何分の一という式ではまだ決つておりませんで、普通申しますと傳染予防費として、三分の一、三分の一、三分の一になるのでありますが、京都府が一を持ち、京都市が一を持ち、厚生省が一を持つということになるが、そういう比率でありませんで、もつと大きな比率で、災害に準じて大きな比率を出す、こういうのが今の一千万円を出しましたときの大体の状況であります。
#22
○山下義信君 結局私がさつき言つた見舞金というのは、死者、負傷者への見舞金でなく、これは経費の補助になるのでありますか、下世話で申しますと、金一封包み金で持つて行つたということになるのですか。別に基準を、こういう場合の費用の補助はこれからどうするということの一つのルールを立てて、それによつて一千万円という金額を出したのでなくて取敢えず、まあいわば、前後の情勢から見て、これだけの金額というものを、いわば包み金、つまみ金のように出したと、かように了承してよろしうございますか。
#23
○政府委員(濱野規矩雄君) 今の山下委員のおつしやつた前段の方の話でありまして、一つの今度新しいルールができる、こういう災害のときの、在來の防疫費用ではなくして、國家がより以上負担をする、こういう主義の下において、一千万円という率を上げて先に出したのであります。ですからして、まあ一千万円は包み金という意味になるかも知れませんが、私たちはそう解しませんでした。將來こういうようなことは二遍と起らんと思いますが、あつた場合には今の率を格段に上げて頂く、乃至は私ちたの希望しておるのは全額國庫補助にして頂きたい。この線において一千万円を包んだのであります。
#24
○山下義信君 私は一千万円が多いとか少いとかいうことを今は言うのではないが、將來同樣の事態が発生したときの費用の出し方というものの一つの研究をなさつてそのルールを出されたのか、取敢ずその一千万円というのは何も基準はないけれども、言わばそれだけまあ包んで出したということになるのか、今後のこれが先例になりますから、一千万円という金額の彈の方がどういうふうに彈かれたか承つて置きたいと、こう言うのであります。
#25
○政府委員(團伊能君) 山下委員のお考えは実は一、一、一という災害の場合の実際問題といたしましては、これで出しましても、從來は非常にケースが小さかつたので、地方がこれを納めましたが、厖大な使用になりましたこういう事件におきましては、到底地方でその負担力もありませんし、尚且つこの事件の特殊性といたしまして、國家として非常に責任があるので、ただ單なる一、一、一の比例における出費においてはこれは済まない。と申して又これを全額國庫補助ということは決定いたしておりません。そこで或いはこれは全額補助になりますか、或いはこれが半分持つか、或いは四分の三を持つかということを今決定中であります。そのときその一千万円はその支出の中に入るものだ、併し時を非常に急ぎますから暫定的支出をいたしたのであります。
#26
○山下義信君 分りました。次にお尋ねいたしたいのは、新聞紙にも傳えられておりますが、この事件の責任について、或いは予防局であると言い、或いは藥務局であるとも言う。いわば局で申せば最高の責任の局はいずれであるか、いろいろに取沙汰がある。かようなことが傳えられておりますが、その事件の処理或いは責任の取り方、今後の対策、それらにつきまして、厚生省部内に何か調査会でもお設けになりましたかどうか、どういうふうなそれが計い方をなされましたか、次官から承つて置きたいと思います。
#27
○政府委員(團伊能君) 先刻新聞に出ました藥務局と予防局の間に云々という問題、これは厚生省内部には絶対にございません。新聞記事といたしまして、この問題がとにかく両局に亘つておるのでありまして、又その責任のあり方がちよつときつきりいたさないところがございまして、新聞記事として、面白く書くという意味も加わりまして、ああいう記事も出ましたが、中では聊かもそういうことはございません。只今は調査会は作つておりませんけれども、主として次官室を中心にこの問題を專門に扱つて調査をいたしております。
#28
○山下義信君 責任の局はそういたしますと、何局でありますか。
#29
○政府委員(團伊能君) この責任の所在局は予防接種という仕事をいたしております限り、予防局にあると思います。併しその採用された藥がそういうことになりましたこと自体につきましては、その範囲を出でておることは、御了承願つておきたすと思います。
#30
○山下義信君 分りました。こと乳幼兒の問題でありますが、かかる悲惨な事態が発生いたしましたが、兒童局長はどう考えておりますか、將來とも子もに対しまする保健衞生上、こういう事態の発生を防ぎまするために、何かお考えを持たれましたか、承りたいと思います。
#31
○政府委員(小島徳雄君) 只今ジフテリアの今回の不詳事件につきまして、兒童局長としての考えについて御質問でございましたが、兒童の問題につきましては、いろいろ兒童福祉法におきましても、保健衞生の問題につきましていろいろ考えておるのであります。從いまして、或いは傳染病の問題もありますし、或いは結核の問題もありましよう。それらの一般の乳兒の疾病の問題は兒童に関する限りにおきましては、我のといたしましても非常に関心を持つております。ただ今回の事件といたしまして、かようないろいろの不詳事件というものが起りましたことにつきまして、どういうふうに考えたかという問題につきましては、たまたまいろいろ予防接種法の関係問題がございます。或いは藥泉の檢定問題があります。兒童局だけといたしましては、この問題はなかなか困難な問題もあるのでありますが、厚生省の関係局と一緒になりまして、いろいろこの問題につきまして、將來もこういうようなことが再び起らないように、我々といたしましてもできるだけ努力いたしたいと思います。この点は我々といたしましても、十分厚生省内の者が一体となりまして、この問題の二度ここういうことのないように、お互いに関係当局がよく協議いたしまして、そういうことの將來再び起るということのないように関係当局一体となりまして、こういう方面に努力する。そういう所存でおります。我々といたしましても、この問題につきまして、兒童の面からいたしまして相当深い関心を持つて、実はこの前五大都市の民生局の会議がつい最近大阪にございまして、この問題が持上つたのでありますが、その際におきましても、我々といたしまして、民生部といたしましても、その民生部の兒童課もできておりますが、衞生関課方面とも十分連絡を取つて、かようなことのないようにできるだけ努力するということで会議が終つたわけであります。
#32
○山下義信君 私は兒童局長にお願いするのでありますが、馬鹿の一つ覚えでありますが、兒童福祉法をやるときに、これは特殊の兒童を対象とする福祉法ではない、兒童の心身を健やかに育て上げる。この福祉法は子供全般を対象とするという積極的な意図を持たなければならんということが、相当同僚諸君によりましても力強く叫ばれたのであります。でありまするから兒童局とされましては、ただ收容施設の兒童、特殊的なる兒童ということでなくして、全國一般の乳幼兒、兒童問題に深い関心を持たれまして、こういう事園が起きましたならば、子供の保護の上に職責を持たれるあなたの局としては非常にこれはお考えにならなければならん。例えば兒童相談所というものがありましたならば、直ぐ所長に指令を下して、乳幼兒その他兒童の保健衞生の問題で余程注意せよ、こうせいということを御指示になつて、こういう事件があれば直ぐ厚生省の中に、これを契機とされて、この事件の善後処理の会を持たれて、そうして各関係局長が集まられたならば、直ぐ具体的ないろんな対策なり、お考もあると思う。それが一つも持つておいでにならんから、これだけの人命を損じた大事件が、一つの教訓として何にも厚生省に残つていなければ、更にそれを契機としての対策も積極的にお立てになつてないということが現実に暴露して來る。私はこれ以上申上げませんが、厚生省の從來のやり方というものが、悉くこういう状態では甚だ私はいかんと思う。それだけ申上げて置きます。
#33
○谷口弥三郎君 私はこの前視察に行く当時でありましたが、その当時の話を聞きますというと、京都における被害者の死亡した方には、國家は一人に対して十万円くらいは出す予定である。大藏省と交渉する予定であるというようなお話を聞いたように思うのですが、只今のお話によると、非常に薄くなるようであります。これはどういうような関係でそう薄くなつたのですか、それを先ず第一にお伺いして置きたいのです。
#34
○政府委員(濱野規矩雄君) 十万円というのはどこから出ましたか、京都で交通事故で亡くなつた方に市としては十万円出したい、こういう話があつたのであります。それで先般ここの委員会のとき申しましたのは、進駐軍関係で亡くなつた方、その他五千円であつたのを一万円にする。國家としては今一万円が最高である、こういうことで一万円にする。こういう話を次官からされたと思うのです。御了承願いたい。
#35
○谷口弥三郎君 先刻のお話を聞きますと、或いは傳染病の場合とか、或いは災害の場合を比較して、或いは一、一、一とか、又はもう少し多くとかいうようなふうのお話を聞いておりますが、今度の事件は、私は災害方面とか、傳染病と非常に問題が違うと思います。何故かと申しますと、國家が予防接種をしなければならない。予防接種をしない者には、三千円以下の罰金まで取るということを國家がやつておるのである。第二には國家が檢定試驗をやつて、その品物に対しての不良品の結果、こういう大事件を起したのでありますから、國家として全責任を持つべきものである。從つて被害者に対しましては、國家がもつと十分に、これは大いに補償というような方面に進んで行かなければならない。從つて一、一、一というような問題とは全然これは違う問題であるというふうに思つておるのであります。これに対して当局の御説明を願いたいと思います。
#36
○説明員(葛西嘉資君) お呼び出しがありましたが、丁度給與問題で今次官会議をやつておりまして、遅くなりまして恐縮でありますが、尚只今のお尋ねの後半から承りましたので、或いは若干喰違つたことを申上げたらお許しを頂きたいと思います。不足がございますれば、又もう一回お尋ねを頂いて、お答えさして頂きたいと思います。今度の被害者の方々に対しましては、実際申訳のないことでございまするので、國といたしましても先ず第一にお見舞を差上げるという措置をとりましたのは御承知の通りでございます。尚その外に被害者の方々の医療費或いは入院費、或いは入院のために移送いたします費用というようなものにつきましては、これはまだ金額ははつきりいたしませんのでございますが、相当高率な、從來より異例な補助を以てするという点までは、財務の当局とも実は打合せができているわけでございます。かような意味におきまして取敢ず内渡金と申しますか、概算拂いと申しましようか、京都府に対しまして一千万円を概算渡しして、取敢ずやつて頂くというふうなことにいたしましたのも御承知の通りでございます。今伺つておりまするというと、そうでなくて、その外に亡くなつた方、或いは重症者の方、或いは高痲痺による身体障碍の方々に対しまして、國家が一定額を補償することはどうだと、こういうふうな御質問のように承わつたのでありますが、私共といたしましては、まだこれは十分財務当局とも打合せをしていないわけでございます。併しながら只今お述べ頂きましたように、私共といたしましてはかような異例な事態につきましては、責任とか何とかいうふうなことでなく、民事上の問題ということになると極めて複雜な問題になつて参りまするが、まあ無過失損害賠償とでも申しましようが、何とか國家補償というふうなものをしたいものであるというふうに実は思つているわけでございます。と申しますのは、私共はこの問題につきましては日夜苦慮しておりまして、どうしたら一番よいかというふうなことで、殊に國会の方面におきましては現地にもおいで頂いて、そうしていろいろ御調査になつて頂いております。異次いろいろな御意見も聞かして頂いております。それらの点を基礎にいたしまして、実は一昨日午後から私の所に大臣の御命令によりまして、関係の局課長集まりまして、いろいろ後の善後処置につきまして相談をいたしたのでございますが、そのときには只今申しましたように、今の弔慰金並びに医療費等の異例の補助の外に、國家として補償をするというふうなことをして貰いたいものであるというようなことを実は決定いたした次第であります。併しまあいろいろな関係がありますので、まだ政府部内ではつきりしてかようにいたしましたと言う段階には至つておらないのでありますが、極く何と申しますか、その考えの途中、経過的な意味にお聞き願いたい、かように御了承願います。
#37
○谷口弥三郎君 只今のお話を聞いて可なり安心いたしたのでありますが、とにかく今回の問題は、普通の傳染病みたいに一、一、一というふうな考えは全然のけて、今度は特殊な、國家が実際に責任を負うべき大問題であるというところを主眼といたしまして、いろいろと方途を構じなければならんと思つております。尚その外関係した質問がございますれれども、この部分ではこれだけで私の質問を終ります。
#38
○小杉イ子君 私はこの事件の根源はただ一注射によつたものであるとこう考えます。それにつきましては、注射液として厚生省が檢査して、その使用方法を許可した藥と判断しなければなりませんときに、その責任は製業者にも責任はございましようが、これらを檢査許可したところの厚生省当局には最も責任があると私は思うのであります。若しも責を受ける場合、厚生省はどのような取扱いを受けるのでございましようか、これを伺いたいと思います。現今でもいろいろインチキの避姙藥などが許可されているようでございますが、どうも当局の責任の点を私は思わんわけには行きません。
#39
○説明員(葛西嘉資君) 只今御指摘になりましたように、ジフテリアの注射液につきましては、國家檢定をいたしております点は小杉委員御指摘の通りでございます。それでありまして、そういうことでありまするから、この責任につきまして、私共は先般も大臣も仰せられましたように、責任を感じております。ただこれは申訳みたいなことになりまして非常に恐縮でございますが、責任と申しますうちにも、嚴密な冷嚴な法律的な責任というようなものと、それから又道義的と申しますか、精神的と申しますか、かような責任と申すようなものとおのずから区別があろうかと思うわけでございます。その後者につきましては、これはもう私共何とも申訳はございませんのでございます。ただ法律的ないろいろな責任というもの、殊に民事上の責任、或いは刑事上の責任、或いは行政上の責任ということになつて参りますると、これは非常にデリケートなことになつて参ります。と申しましても、私はここでそういう意味の責任がないと申上げるつもりはございません。今御承知のように、この事件につきましてはすでに檢察当局ももう調査を進めておられます。私共の行政上の面におきましても、もうすでに申上げたかと思いまするが、すでに技官等も数回も向うへ参りまして、現地について実地を調べ、或いは又そのプロトコールと申しますか、工程を書いたようなもの等を取寄せるなどいたしまして、或いは医学的にこれを檢討するために斯界の方方にいろいろ鑑定とでも申しますか、して頂いております。又有力な大学の先生等にもその材料を基にいたしまして、法律的な点についても檢討して頂いておるわけでございます。ただ私共の調べますことになりますと、檢察当局が調べておるようなふうに、喚問をしていろいろするというようなことには行政的にはどうも多少行き渡らない点もありまするし、相当これらにも深入りを檢察当局もしておられるようでございます。これらと、それから行政上のいろいろの調査というふうなものとは実は微妙な関係がございますので、今俄かに我々の得ております材料を基礎にいたしまして、こうだという断定を実はいたし得ないのが現状でございます。現にいろいろ細かく調査をいたしました結果、現地について、或いは又その製造工程の記録につきまして、もう一回法律的にも調べる必要があるというふうなことで、すでに先般係の法律の方の專門家を派遣いたしまして、資料を集めておるのが現在の状況でございます。繰返して申上げますが、実は右申上げましたことが、決して私共が責任を回避しよう、殊に法律上の責任を回避しようというふうな意味で申上げておるのでないので、本当に法律ということになりますれば、極めて冷たい而も冷嚴な解釈が必要であるように思います次第でございますので、何遍もくどいようでございますが、申上げた次第でございます。併し一般的に申しまして、この事件が私共が責任がないのだというふうなことを実は申上げようと思つた意図でない点は繰返して一つ御了承得たいと思う次第でございます。
#40
○小杉イ子君 御説明は分りましたが、一方製藥の方はその藥を以て殺した、死なしたということは、これは確かで明らかに分つておるのでございますが、これに対して厚生省又は政府は製藥廃止とか或いは営業停止とかいう言明をなされるのでございましようか。
#41
○説明員(葛西嘉資君) その点は実はあの事件が起きますと同時に、あの製藥所は事実上仕事を停止いたしておつたのでございます。併しこれはそれではいけないというふうなことで、先月の二十七日だと思いまするが、藥事法に基きまして閉鎖命令を出した次第でございます。その外藥を作りましたことが藥事法に違反するというふうな解釈に基きまして、藥事法違反ということですでに今月の四日附を以ちまして大阪地方檢察廳におきまして、厚生省の名において告発をいたしたわけでございます。
#42
○岡元義人君 私は簡單に一つだけお伺いして置きます。今まで厚生省で、この問題の見舞金或いは療養費等に対する処置について、これは行政処置以外にないのだというふうに結論を得られておるのか、それとも今までの法的な、例えば災害補償だとか、いろいろな法的な処理ができるのだ、できないのだというふうなことを檢討されて、実際において法的には方法がない、だから止むを得ず行政措置以外にはないのだという結論に達しておられるか、その客を伺つて置きたいのであります。
#43
○説明員(葛西嘉資君) 岡元委員にお答え申しますが、只今のところは右申しましたように、法律上いろいろな点について未だ結論に到達しておらないわけでございます。從いまして、或いは國家賠償によるかどうかというふうな点についてまだ結論に到達しておりません。併し分るまで待つというふうなことはいたしませんで、見舞金或いは医療費等の処置を取るというふうなことは、極めて緊急を要しますので、別途措置をする。それから先程申上げましたように、谷口委員にお答え申上げましたように、國家補償、國家賠償と申しますか、こういうものをその國家賠償法に基いてやるか、或いはそれに基かないでやるか、両道かけたような恰好で今私共考えております。どうもできないというふうな結論に到達しておるわけではございません。
#44
○山下義信君 さつき葛西次官の御答弁の中に、やはり関係者の責任問題でありますが、もとより我々は刑法上の責任について追求する、そういう立場のものでない、さようなことも考えておりません。徳義上の責任問題は言うに及びません、問題は行政上の責任の帰趨如何でありますが、それも我々の考えるところは二つあると思う。当然所管事項の上におきまする行政上の責任者の範囲内、並びに事件発生後に取りました当局の処置が果してよかつたかどうであつたかという問題、この二つに私はなると思います。後者のことはこれは我々の又考えもありますから、そこで本日の午後の委員会が開かれたと思うのでありますが、取敢えず責任者のいわゆる行政法規上の監督上の責任の範囲内はどこまで及ぶのか、法規上の建前でありまするが、その点を次官から御説明願いたいと思います。
#45
○説明員(葛西嘉資君) 山下委員にお答え申上げます。極めて論理的と申しては失礼でございまするが、事柄を分けて今日まで、この事件を起きましたについての行政上の責任並びに監督上の責任についてのお尋ねでございました。便宜一應私は三つに責任問題を分けて考えることができると思うのでございますが、その第一はこの行政上の監督といたしまして、製剤所に対する行政上の責任、第二はこれを檢査、檢定、拔取りなどをいたしました大阪府廳の吏員に対する責任、並びにこれを監督しておりまする大阪府衞生部長、大阪府の知事に対する責任、それから第三はこれを更に監督いたしておりまする厚生省の責任、この三つに分けて考えたいと思います。
 第一の方につきましては、只今まで申上げましたようなふうに、製藥所が非常に製造の過程におきまして非常な間違いがありまして、國家檢定をして誤らしめた点につきましての責任につきましては、閉鎖処分或いは藥事法違反を以て告発することが適当である、こういう結論に到達いたしまして、それぞれ行政処分をいたしたのは以上の点を申上げた通りでございます。
 第二のそれの拔取り檢査乃至は國家檢定をいたしました予防衞生研究所、拔取つて行きます、それを監督いたします大阪府の責任でございますが、この点につきましては、先程もちよつと小杉委員の御質問に対してお答えを申上げましたように、実は事柄が極めてデリケートなところがあるわけでございます。具体的に申しますというと、一体そういうふうなプロトコールと申しますか、プロトコールというのが一つの中から掻まぜてできたかどうかという点、これが善良なる注意をして発見できたかどうか、それを発見できたとか発見できなかつたということになりますれば、過失上のいろいろな責任、そうすると監督責任というふうなことに、私ラフな言い方でありますが、なるように思います。こういうふうなことになりますというと、先程も申上げましたように、実は非常にデリケートでございます。当時のいろいろな状態、或いは又それに見に行つた時の状態、それからプロトコール等の状態というふうなものをいろいろ総合判断いたして、これならば善良なる注意を以ていたしますれば発見すべかりしものなりという結論を得まして、初めて出て來るのではないかと思います。私共の調べましたところは、まだそこらの点については、実ははつきりした確信ある結論を実は得られないわけでございます。小杉委員にも申上げましたように、もう一回というふうなわけで、実は現地に法律を專攻いたしております事務官等を派遣いたしております。現地について結論を得べく今努力しておるわけであります。はつきりいたして申上げることにいたします。先程申上げましたように過失の有無というふうなことで檢察当局においてもすでに調査を開始いたしておられるようでございます。責任者についていろいろ聽取書等もできたように漏れ聞いておりますが、こういうものと実は非常にデリケートな関係がございますので、これらとも睨み合せまして、私共としましてはそこらの事情をも取り纏めまして、医学的、法律学的にはつきりした結論を以て行政上の処置をいたしたい、こういうふうなことでございます。非常にそこらが諄いようでございますが、デリケートなものでございますから、今私共だけで集まつた資料で只今かようま結論であるというふうな現在のところ結論を得ていないような次第でございます。
 第三の厚生の責任ということになつて参りますれば、自然今申しました第二の大阪府のインスペクターならばインスペクターの責任、工場の取締に関する責任というふうなことで、その基礎の上に又論じらるべきものでなかろうかというような点があるわけでございます。私共が只今までに大学の或る教授に意見を求めたのでございますが、ああいうふうな或る一定の仕事を法規によりまして、地方の第一線の都道府縣知事に委任をいたしました事項についての監督上の中央政府、大臣の責任というものについての行政法上の解釈につきまして、或る教授あたりに実は意見を求めておるのでございますが、これによりますと、その委任行爲等に違法がない場合においては、監督上の責任というものの追究がどうであろうかというふうな否定的なような御意見を実は拜聽いたしておるわけでございます。併し私共はそればかりに捉らわれませんで、尚そういうふうな準行政法上の問題だと思いますから、これらの問題についても十分廣く意見を聽いて、これだけの大きな事件でございますので、本当に責任を負うべきものであるならば、厚生省と雖も関係者に責任を負わせるということを、これは吝かでないというふうに、これは大臣初め私共も深く心に期して檢討を進めておるようなわけでございます。大分日が経つたにも拘わらず今申上げましたような、いろいろな研究調査に日を要しまして結論に到達しておりませんことを甚だ遺憾でございますが、有り体に申上げまして、只今申したような次第でございます。
#46
○山下義信君 大分よく分りましたが、いろいろの行政上の責任の問題につきましては、それらの基礎になる資料が正確に判明いたしました後に、問題にもなると思いますが、それらの調査とか、こういうことに関連いたしましてのいろいろ心配をされまする係官はどなたが厚生省ではやつておいでになりますか。
#47
○説明員(葛西嘉資君) 技術的な点につきましては、これは予防局長、藥務局長というようなものが責任者になりまして、それぞれ所管の課長等に調べをさしております。それから医学上の意見とか何とかということになりますと、予防衛生研究所等の專門の技官等にも鑑定を求めております。主として法律的ないろいろの点につきましては、大臣官房の人事課長並びに総務課長がいろいろ取調べをいたしております。勿論今回の事件は極めて重大でございまするので、すでに今までに数回私の下に局長、課長等が集まりまして、今までの調べた結果等を持ちよつては相談をいたしておるような次第でございます。
#48
○山下義信君 事件後におきまして、関係局、課長その他係官の取りました善後処置の行動その他につきましての調査は、総務課長できておりますか、されつつありますか、いつでも御説明ができますか。
#49
○説明員(安田巖君) できます。
#50
○山下義信君 承知いたしました。
#51
○姫井伊介君 法律上のことからでなしに、國民感情の点からお尋ねいたしたいと思いますが、それは谷口委員の御質明に対して関連し、それを補足する意味でありますが、殊にその中で弔慰金の問題におきまして、ただ予算関係に縛られて思うように行かない。特例を設くるにしても十分でない。併しこれは國民の立場から考えますと、百万円やるから命を出せと言つても出せるものじやない、誠に悲痛な問題であります。そこで、そういう点から離れて眞に政府を通じ、又は國民の同情心というものがそれに加わつて、現状の國家財政の上からすれば、どうもこれより何ともできません、その誠意の限りを盡くしてこれで一つお許しが願いたいという、その身にとりましても涙ながらに慰めるその程度並びにその方法を取ることに、それこそ誠意を籠めて御心配が願いたい、それならでただ法律上どうであるとか、規定がどうであるとか、國家賠償がどうであるといつた冷たいことだけでは、この問題を本当に解決されたとは言えないと思うのであります。その点についてのお考えを承わりたい、と同時にもう一つ、予防接種をしなければ制裁まで受ける規定がありますのに、こういう事件が起きまして、將來予防接種をしなければならんといつたときに、國民がどういう態度に出るか、やはり政府を疑う、注射を疑う、言い換えますというと、死んでもいいから、病氣になつて死んでもいいから、この疑わしい、恐ろしい注射はもう受けないといつた態度に出るのではないか、本当に國民に安心をさして、喜んで自分が病氣に罹らない、健康増進をすることができるという氣持で受けるようになればいいのでありますけれども、非常にこれに恐れおののいて來る、受けなければ処罰する、ここに非常に國民感情の悩みがあるわけであります。この点について今までのは止むを得んが、これから先は、これこそ本当に安心して受けられるのだ、過ちはないのだ、政府を信頼して呉れというその信用を國民からかち得るための方策を、どういうふうにお取りになりますかということをお尋ねいたします。
#52
○説明員(葛西嘉資君) 只今姫井委員御指摘の第一の点は誠に御尢もでございます。深く心に刻みました次第でございます。殊に誠意をこめてやるべきものであつて、決して賠償だとか、金で生命をどうこうということは然るべからざることである点を御指摘頂いたのでございますが、私共も心底からその通りに存じております、ただもう氣毒な、亡くなられた方々に対しましては、我々といたしましては、もう如何に悔いましても、何とも取返えす術もないわけでございます。從いまして、そのやる瀕のない氣持を現します方法といたしましては、勿論誠意を以てやることは当然でございますが、國家の賠償或いは又僅かではありまするが、お見舞を差上げるとか、或いは医療費を公に國で負担するということで表わすより外よすががない。これは何ともそれだけに又極めて大事なことであり、私共としましては、本当に心からお詑びの心持ちを持つような次第でございます。この点は今後ともこの問題に対しまする厚生省全体の心持ちでございますが、今お述べ頂いた点は全くその通りでありまして、お示しの氣持ちを体してやつて参りたいと存じております。
 第二の予防接種に対しまする、國民自体の予防接種というものをやつて参りまするにつきましてこの將來どうするかというふうな点についての御指摘であつたようでございますが、要するに安心をさせてやる、過ちがない、信用させるというような点についてどうしてやるか、これ亦予防接種というものは、この前の國会において御審議を頂きましたのは、傳染病の予防というためには欠くべからざる制度でございます。この制度によりまして、忌わしい傳染病を撲滅できる制度でありますことは、もう國会の各位御審議を頂いて御存じの通りであります。ただ今御指摘になりましたように、実は安心ができないのだという國民の心持ち、全くその通りでございます。私共としましては、その後或いは製藥のもの、或いは関係のもの等を集めまして、いろいろ注意をいたしておりますが、今後も機会あるごとに注意をいたしたいと思つておるのでございます。ただこの問題につきましても、実は安心をさせてやる。今御承知のように、予防接種は全國にまだ実施中でございます。予防接種ということは、嫌であつてもやらせなければならん。やらなければ谷口委員先程述べられた通り罰則を以て臨むという制度になつております。そこらのことを考えまして、私共としましても、過ちはありません、どうか安心してやつて下さいというふうな、実はジフテリアの血清につきましても、そういうふうな制度を取りたい、措置を取りたいというふうなつもりでございまして……。
#53
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#54
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
#55
○姫井伊介君 これはただ希望として附加えますが、第一の問題につきましては、私は精神第一主義を取つてわけではないので、やはりそれを表わすために一つの贈り物というものの必要があるわけで、それは國家予算がどうとかこうとかいうようなことでなくして、大藏当局にも十分理解させまして、今日の貨幣價値で言うならば、十万円ぐらい当然だと、誠意を表わす一つのやり方として一人に対して十万円どらいは当然だと思うのであります。だからそこに努めてそういう方面にも御盡力願いたい。
 それから第二のことにつきましては、これは少し変な言い方かも知れませんけれども、京都の衛生部長ですか、局長ですか、電話がかかつてお前はまだ生きているかという話があつたということですが、若し不都合だつたらこれは速記から拔いて下さい。関係者が自分なり、自分の子供にでも先ず注射をして、適当な経過を見て、もうこれで大丈夫だといつたくらいまで、これはまあ譬えなんですが、そこまでやつて、これだからもう安心だというぐらいまでの誠意だけを示すという御心配が願いたいと願います。
#56
○中平常太郎君 今葛西次官のお話でありますが、法的の根拠というものは、主務官廳には適法に処置をしなければ、その問題については或る学者などはまあ否定的な話があつたということでありましたが、私はこれはちよつとおかしいと思うのであります。それは文書を以て法的に指図をなさるだけのものであつたなれば、何も偉い人を置く必要はない。監督権というものは末梢までも責任を持つておるというところにこの中央の主務省の責任がある。分担さしておるものの取扱いがどこに取扱いの惡いところがありましても、帰するところ主務省に責任の帰着点が集中さるべきものと思うのであります。それは法的におきまして、事物につきましてのみ考えますと、それぞれの責任者がありますが、併しその末梢の綱紀の粛正、いわゆる官紀の粛正というような問題、何人をも手落ちのないように仕事をなさしめるという責任が主務省にあります以上は、その手落ちがあつたということに対しまして平生の監督よろしきを得ないということに相成るのでありまして、部長が監督よろしきを得ないというならば、その部長を監督する主務省が、その部長をしてなぜ監督不行届ならしめたかという責任があります。だからそれは決してその責任を逃れるということではないと言うておられますから、何もその点を問うのではないが、責任ということに対しましては、ただ適当な処置をしてあつたから、それから後の問題は主務省には責任が軽いのだという結論はお出しにならなしのがいいと思つておる。もう一つはその点はやはり一番深い責任をお考えになる必要があるということを私は申上げたい。もう一つは三月までという問題がありましたが、現在の注射藥を抜き取りで御檢査なさるということはこれは危險千万であると思う。私が要望したいのは、國民のために現在あるもの全部破毀する、全部破毀してしまつて新らしく嚴重な監督の下に、責任のある監督の下に新らしく製藥をして、それを國民に使用せしめるというところまでこの際おやりにならなければ、残つている藥が何万円、何十万円あろうともこれは断然破毀するというところまで主務省においてお考えにならなければいかんと思うているのであります。その点も一つ御参考までによろしくお願いします。
#57
○説明員(葛西嘉資君) 中平さんの責任の問題について何か私の申上げ方が少し惡かつたので、ちよつと工合惡がつたかと思うので、もう一遍申上げさして頂きたいと思いますが、中平さん御承知の通りに私共まだ結論に到達したわけではないのであります。それから責任を逃れようというような意味で私共議を進めているものでないことも只今お聞きの通りでございます。ただ私が申上げましたのは、法律上、府縣に法律に基いて委任をいたしましてございます仕事についてでございますが、委任事項とでも申しますか、実際やるものは市町村でございまするが、そういうふうなものについての行政法上の責任というものについての純法律学的な極めて冷い議論としましては、右のような結論の行政学者もあつたと、それだけのことを実は申上げたつもりでございます。それから再決定の点でございますが、これも実は今ありますものは実はそんなに沢山もないようでございます。ちよつとこれは今朝聞いて來たんでございますが、実は三万五千本ぐらいが残つている。それですから、或いは中平さん仰せのように破毀をするということも一つの案だと思いますが、実はそうしなくてもよろしいというふうな結論が科学的に出るそうです。それと申しますものは、大体各製造所はもうできているものは決つております。それでその製造所についていろいろ主任の抜官等に作業記録を調べましてやることを一つやります。そうしてこのできましたものは一ロツトなら一ロツト抜いたものをもつと精密に抜取りまして、一應同じ品質のものが出ますので、その抜取り檢査によつてもう一遍やつて行く、或いは姫井委員のおつしやつたように自分の子供にでも射して見る、それくらいにしてやるというようなことでありますれば、安全であるというふうな結論だそうでございますので、これはもう特に注意をいたしまして、今度できたらそれこそ生きておれんくらいのことでございますので、それだけ申上げて置きます。
#58
○中平常太郎君 今のお話ですが、それはその注射藥を一遍移してしまつて、全部割つて一器に移してしまつて、それから一遍精密檢査をしたりしてつめかえたらよい。全部一緒にして、それなら間違ないと思う。どうも抜取りはいかん。抜取りで皆失敗しておるんだから……
#59
○谷口弥三郎君 只今の予防液の檢定の方法でございまするが、これに対しまして現在やられておる抜取り式は、これはどうもああいうようなためにこういう失敗を起したのであるからして、今度は檢定制度を変えて、どうしても汲取式にする。併し尚更に分注しましてから後に又抜取檢査をするという方法を取らん限りは國民は安心して今後折角又、いよいよ安心だからというので、大臣が放送し、新聞に書きしたところがなかなかそれは本当にせんことがあるのじやなかろうかと思いますので、どうしても國家檢定方法を変えんければいかんじやなかろうかと思いますが、それに対しましてお考えを一つ伺いたいと思います。
#60
○説明員(葛西嘉資君) 私は專門でありませんから、專門の人からお答え願つたら如何かと思いますが、実は一昨日この問題の善後措置について相談をしました中の一項目に、今谷口委員の御指摘の項目が入つておるのであります。私共の意見といたしましては、これはちよつと……
#61
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#62
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
#63
○谷口弥三郎君 只今の檢定制度を変えて頂いて、尚その上に今後は製造所というものを、これを大いに整備する必要はなかろうか。これを整備しまする場合に、從來でもああいう製造所ができますとか何か、このような場合には、とかく評判もあつたりなんかいたしますので、今度はどうしても製造所の整備を新たにやるとかいうような場合にはしつかりした調査機関のようなものを作りまして、それに民間やら各方面の人を入れて、そこでいよいよ大丈夫というような所のみ、今のあの多数ある中から立派なものを残すというような、整備いたします場合に、必ず調査機関でも作つてお定めになるような方法を取ることが必要であろうと思つておるのでございます。これに対して何かお考えございますか。
#64
○説明員(葛西嘉資君) 谷口委員今御指摘の点も実は一昨日私共厚生省の内部では大体そういうふうな線で意見を纏めたわけでございます。と申しますのは、今非常に、或る程度数が多いのでございますが、これはどうしても先ず第一には人的な組織が非常によいものでなければならないという点、それから物的な設備の方面でもよいものでなければならんというようなことで、或る程度一つその人的、物的両方面から見た或基準に合致するものでなければいけないというようなことにして、相当高度の設備のあるもののみに許可する。それ以下のものは他のいろいろな方面に轉じて頂くというふうなことにしたらどうか。それから更にこういう難かしい生物学的製剤をいたしまするものにつきましては、その製剤所に專任の製剤監視官というようなものでも置きまして、常にこの製造の過程を監督しながらやつて参りたいというふうな措置が必要じやないかというようなことで、これはまあ内輪だけのことでございまして、いろいろ関係の方面、或いは又若干の予算等も必要でございますので、はつきり今ここで申上げるわけには参りませんが、先程から申しておりますように、昨日までに得ました事務的な結論を経過的にお話申上げる次第でありますが、大体右のようにいたしたい、こう思つております。
#65
○谷口弥三郎君 只今のように製剤監視員とかいうようなものをお設けになることは、非常に結構でございますが、尚そういうふうな製造所に対しましては、今後は國家が特に必要な資材だけは絶対にそれを確保してやる。例えば今回の事件にいたしましても、私共の外からの想像によりますというと、或いはこの品物がよくなかつたのじやないか、ホルマリンの無毒化ということができなかつたというようなことも考えられますので、どうしても必要な資材だけは絶対に國家が保証してそれを渡してやるというような方法を取つて、必ず立派な優秀品を出すということになれば、國民も大いに安心するだろうと思いますから、それに対するお考えがございましようか。
#66
○説明員(葛西嘉資君) 誠に御尤もな御意見でございます。私の專門でありませんから、ホルマリンの質の点については今ここで知りませんのでございますが、こういう必要な資材は人命に影響する極めて大事なことでございますから、いろいろ資材等むずかしうございますが、万難を排して必要欠くべからざる資材については是非國家の方から準備して行くような万全の努力をしたい、こう思つております。
#67
○小杉イ子君 私は当局に、今後採られますところの処置の内に注意の一つを附け加えて貰いたいことがございます。
 事ここに及ぶ程時期を長くしたことは実に魯鈍過ぎると思いますが、ここで今このようなことが起らない方法の一例となることを一つ申上げます。簡單なことでございますけれども、あの髪染粉等でございますが、これなどは染める前に先ず皮膚に塗布して見てから使用すべしと書いてございます。こういうことは今度の藥は当局の檢査或いは許可を得たものといたしましては、何も間違いないものであつたかも知れない。又あとで使用したものがああいう事件を起すところのいわゆる贋玉であつたという解釈もできるのであります。それでこういう事件を起す藥に対しては注射する人が先ず試みてから実行する。先程から申されたようでございますが、私も是非そういう方法を取つてして頂きたいという希望でございますが、注意でもございますが、それを申上げて置きます。
#68
○委員長(塚本重藏君) 外に御質疑ございませんか。
#69
○谷口弥三郎君 これは只今のジフテリア問題とは違うのでございますが、最近新聞紙上などにおきましても、ストック藥品の惡いために人命を損するというふうなことがよく見られておりまして、尚現に一流の有名藥品が非常に中が混濁しておりますとか、或いは夾雜物が入つておるというようなものが非常に多いように思われる。これは衆議院の医務室におきまする注射をする前に、自分の見付け出しました藥の中にも夾雜物が入つておるのが非常に沢山ある。そのために、或いはそれを知らずにやるために惡感戰慄が参りましたり、高度の発熱を起して数日間仕事もできずにおるというような者が頻頻と出ておるのでありますが、これに対しまして厚生省も不良藥品をお調べになつておるだろうけれども、どうも全國的に非常に多いと思います。例えば昨日の新聞あたりにありますように、アルバジルで回收ができずにおるもので、人命を落したというような例もありますから、こういう方面に一つ格別の御注意を願いたいと思うのですが、どういうような方法でこういう方面に対しての御注意をされておりますか、それを一つお聞きしたい。
#70
○説明員(葛西嘉資君) 谷口さんの御指摘、実は私共非常に困つておるのでございますが、これは先般藥務局ができまして、審査課というものができまして、この不良藥品の取締を実はやつておるというようなことであるわけでございますが、是非一つやらなければならんと思つております。具体的に一つの方法につきましては、或いは間違うといけませんので、業務課長の方から……。
#71
○説明員(星野毅子郎君) 只今の医藥品に対します取締の点でございますが、医藥品につきまして、製造業者の下におきましても、製造の許可を得ましたものにつきましては、自社檢査をいたしております。併しながら医藥品のアンプールの製造工程におきまして、粗惡なものが一時出たことがございます。從いまして、半年なり一年の中に檢出をして、夾雜物が混つておるということもあるものと思つております。從いまして、藥務局といたしましては、厚生省、地方におきましても、藥事監視員を任命いたしまして、藥事監視員をして監督を十分やらせ、不良藥品の取締りに努めております。製造業者と、販賣を取扱つております各種の販賣業者につきましても、取締をいたしておるのであります。先般八月、九月取締りをいたしまして、その結果が出たのでございますが、更に全國一斉の取締りを來年早々行いたいというふうに考えております。中央の厚生省におきましても、藥事監視員をして地方の状況を十分に監督いたしまして、取締の実効を挙げたいと思つております。先般新聞紙上に出ましたネオ・アルバジル、ズルフアチアゾールの注射液でございますが、この注射液も新旧二製品ございまして、旧製品は多少の副作用を持つという批評がありまして、メーカーであります山内製藥株式会社におきまして、医師会を通じましてお医者の手許にありますものは回收に努めております。更に府縣を通じまして、販賣業者の手許にあるものの回收を努めたのであります。併しながらたまたまこの販賣業者の手許を離れておりまして、或いは医師の手持になつておりましたというような製品がありまして、それが一年以上経過して現在或いは使われたのではないか、それにつきましては係官を大阪に派遣いたしまして、現状をよく注意いたしまして、かかることのないように一層努力をするよう示達いたした次第であります。
#72
○谷口弥三郎君 只今のことでよく分りましたが、製藥をいたします場合に、この藥品に対して、先刻申しましたように惡寒、戰慄が來るとか、或いは熱発しますというような、生物学的の檢査をやはりして置いた後に、発賣させるということが必要じやなかろうかと思いますが、一般に製藥されておるのは、ただ藥を拵えて、それを規定によつて合格しておればそのまま出すというような方法を採つておるのみですからして、もう少しこれを医学的に檢査をして、その上に発賣をさせるというところまで、なかなかこれは面倒でございますけれども、やるというような將來の御計画か何かありますでしようか、その点。
#73
○説明員(星野毅子郎君) 御指摘の國家檢定をいたしまして、檢査をいたしました上で販賣を許すという制度を置きまして、ジフテリア等のむづかしいものにつきましては、檢討をいたしておるのであります。ズルフアミン剤につきましても、錠剤と粉末につきまして國家檢定をしておるのであります。注射藥につきましては、未だこれの國家檢定までに至つてないものがございますが、漸次範囲を及ぼしまして、檢定品目を殖やして参りたい。それには衞生試驗所、或いは予防衞生研究所等の檢定施設を整備しなければいけないのでありまして、一概には参らないかも知れませんが、漸次必要な物から殖やして参りたいという方針を採つております。
#74
○谷口弥三郎君 段々と漸次にお進めになるということは結構ですが、少くとも靜脈内注料というような藥品だけは、急いで一つそういうような方面にまで進んで行くことが必要でありますが、特にその点を急いでやるというふうに行かんものでございますか。
#75
○説明員(星野毅子郎君) 十分に御意見を取り入れまして、いたしたいと思います。
#76
○委員長(塚本重藏君) 外に御質問ございませんか。本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           谷口弥三郎君
           姫井 伊介君
   委員
           中平常太郎君
           山下 義信君
           紅露 みつ君
           井上なつゑ君
           岡元 義人君
           小杉 イ子君
           穗積眞六郎君
  政府委員
   厚生政務次官  團  伊能君
   厚生事務官
   (兒童局長)  小島 徳雄君
   厚 生 技 官
   (予防局長)  濱野規矩雄君
  説明員
   厚 生 次 官 葛西 嘉資君
   厚生事務官
   (藥務課長)  星野毅子郎君
   厚生事務官
   (総務課長)  安田  巖君
ソース: 国立国会図書館
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