くにさくロゴ
1948/12/10 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 予算委員会 第6号
姉妹サイト
 
1948/12/10 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 予算委員会 第6号

#1
第004回国会 予算委員会 第6号
昭和二十三年十二月十日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年度一般会計予算補正
 (第二号)(内閣送付)
○昭和二十三年度特別会計予算補正
 (特第二号)(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十一時一分開会
#2
○委員長(黒川武雄君) これより委員会を開会いたします。文部大臣に対する質問をお願いしたいと思います。山下委員。
#3
○山下義信君 先般本会議におきまする総理の一般施政方針の御演説の中に、文教刷新、民主教育の徹底ということに、特にこの内閣の政策として一段の力をいたしたい、これは國家再建の根本であるということを演説しておいでになるのでありますが、先ず文部大臣は右の問題に対して如何なる具体的方策をお持ちになつておいでになりますか、先ずこの点を飼いたいと存じます。
#4
○國務大臣(下條康麿君) 文教刷新は実は從來文部当局でたびたび申述べているところでありまするが、特に終戰後新らしい理想に基きまして、新教育制度を確立するという段階になりまして、この文教刷新の意義がいろいろ重大を加えたものと考えられるのであります。從いまして只今この面に副うております大体のことを申上げますというと、先ずすでに車が動き出しました六・三制、これを速かに完成したいという点が第一であります。それは無論設備とか、不足の教室を十分にするということもありまするが、何と申しましても教育の中心は、この教育を実際に取扱いますところの教育者自体の素質の向上ということが、極めて大切であるというふうに考えまして、この点につきましては別途提案中の教育公務員特例法案の中にも揚げてありまするが、特に研修制度ということにつきましては、格段な努力を今後拂いたい、例えば内地留学、研究費設置というような問題につきましては、昭和二十四年度におきましては相当な予算を計上して、教員の素質の向上ということにつきましては、十分な力をいたしたいというように考えておるのであります。
 それから新教育制度の最後の段階でありまするところの大学の問題でありますが、これは目下大学設置委員会というものが設けられておりまして、ここで相当多数の人が手分けして調査いたしておりますが、まだ実は完成しておりません。併しながら遠からずその方の調査も済むことと思いまするので、これと対應いたしまして、昨日文部省内に大学推進本部というものを作りまして、この組織によりまして文部省の力を全幅的に結集して、そうして新教育制度の最後の段階である大学制度の完成ということに努力いたしたいというように考えておるのであります。御承知の通り大学は非常に新らしい構想の下に今度の新制度の大学というものはできますので、從來の大学とはいろいろの点におきまして内容が異なつておりまして、これが完成には相当の期間がかかると思うのでありますが、これにつきましてはいずれ又別途予算の上でいろいろ御協賛を願いたいというように考えておる次第であります。
 その外学校を通じての國民的教育ということの外に、学校を外にしていわゆる社会教育の面におきまして又文部省の任務が大きいのじやないか、殊に御承知のように文部省の任務は、從來学校が中心であつたような感があつたのであります。ところが民主化の線に副いまして、高等学校以下の学校は地方に分権されて教育委員会の所管になることになります。又大学法ができますというと、大学関係の方面の仕事も或る管理機関的なものができまして、そこで一應の大体の方針並びに人事権を取ることになりますから、結局文部省といたしましては、それらの各地方間の連絡、又各種の教材、資材の世話をするとか、サービスのような面において努力するようなことになりますので、從いまして從來よりもその面における手がすく関係から、いよいよ社会教育という方面に重点を置くような時期が來るのじやないか、更にそれらに関係しまして昭和二十四年度の劈頭に文部省が改組せられるというようなことを考えておるのでありまするが、まだそれについての具体的なことは申上げる時期に達しておりませんけれども、大体そういうような構想の下に進んでおります。その他私共の所管といたしましては、今申した社会教育の面を通じまして今日最も憂えられておりまするところの道義の頽廃というような面に関するいろいろの施策というようなことにつきましては、これは今後とも一層力を注いで参りたいというように考えております。
 当面学校関係におきまして心配しておりまする点は、何分にも学校の授業料が相当値上りいたしまして、その関係で受けます学生生徒の出費が相当多額になりましたので、大学は年額六千円、高等専門学校になりますというと五千円から六千円の間で決められております。これは私立大学とか私立専門学校の例でありますが、そういうような関係で十分に資力がないと教育が受けられない、教育の機会均等ということの原則が教育基本法に揚げてありまするが、その機会の均等ということが困難になるような状況が現出しつつありますので、從いまして育英資金というようなものを成るべく廣くして、そうしてその金額等も現在は、大学でありますと月額千二百円でありまして非常に少額であります。こういうようなものを増額してやりたいというようなことを考えておりまして、この面も目下財務当局の方と相談しております。
 その外今考えておりますのは、日本が敗戰後いろいろ物資不足の関係等から見まして、科学の振興によりまして、その補いをする。こういうような点が強く考えられて参りました。逐年科学研究に対する研究費の増加ということは、段々増額されておりまするが、併しながら非常に廣汎に亘る問題であります。現在の科学奨励費程度では十分でない、こういう点につきましても、いろいろこの増額ということが必要を感ぜられ、いずれ又そういう点につきましても御協賛を願いたいというように考えております。大体右のようなことで御了承願いたいと思います。
#5
○山下義信君 本会議ではどういう質疑がありましたか存じませんが、恐らく当院におきまして文相の文教に対しまる御抱負を聴きますのは、本員は初回なんでございますが、六・三制の充実のことにつきましては、他の同僚議員からの御質疑もあろうかと存じますから、これは私は省略いたしまして、文相にお伺いいたしたいと思いますのは、最近の東大の粛正の問題でございます。この事件が暴露されまして、学界と教育界に大きなシヨックを與えましたことは、申すまでもございません。先頃は東大の附属病院の梅毒菌の移疾事件もありました。続いて文学部の不正入学事件が起きまして、想像を逞ましくいたしますれば、まだ何が出て來るか分らないような感じがいたすのでございます。我々は東大病院の事件から、どうも大学の内部に何かあるか知らんと思つておりましたところが、果せるかないろいろと事件が続出して参りましたのであります。この問題は反響も大きくありまして、何分東大と申しますれば、自他共に許しておりまするところの学術の最高の府であります。而も大学自治の輝かしい傳統は戰時中もずつと持ち會えて参りまして、文部省と雖も絶対に干渉はできないような状態にあつたのでございます。この学府の中心も、表面は立派でございますけれども、内容が少々怪しくなつて來ておりますような感じを私たちは持つております。その一端が本回の不正入学の一件で現われておるのでありますが、大学の当局者は学生の民主化運動に対しましては制限いたしておりまするけれども、その当局者自体はいろいろ政治的な行動もいたしておる。例えば東大の総長は天皇の政治責任の問題に対してでも、相当世界的に反響を與えるような言行もいたしておる。或いは東大の教授の中には進んで種々なる政党に参加する教授も沢山あるのでありますが、一面には学生の政治行動に禁止彈圧を加えておる。もとより学生は学問いたしまするのが本分なのではありまするが、併しながら立派に選挙権も與えられておるのでありまして、そういう矛盾の点も多々いろいろ問題に相成ると存じます。東大の粛正の問題は恐らく学生の手によらなければ、その目的が達成できないのではないかというような、批判さえも只今起きております。東大の粛正の問題、延いては京都の大学にも問題が起きておりますが、一般官学大学の粛正につきましては、文相はどういう考えを持つておいでになりますか、その御意見を聴きたいと存じます。
#6
○國務大臣(下條康麿君) 東大が最高学府として多年その名誉を誇つておつたにも拘わらず、今帰文学部の入学事件におきまして不正な事実が発見されたことは、曽てない事柄であります。誠に遺憾に存ずる次第でございます。この問題につきましては、東大内部に調査委員会もできまして、いろいろ究明の対策を講じておるようでありますが、若しその措置が誤つておりましたならば、それに対しては適当な考慮を又拂いたい。大体は大学自治の本旨に則りまして、干渉は避けたいと思いまするが、その結果、措置につきましては十分にこれを監視して行きたいというように考えておる次第であります。外の大学につきましても、同様の事件が起りましたような場合にも、同じような態度を取りたいというように考えておる次第でございます。
#7
○山下義信君 甚だ微温的な御答弁で、恐らく文部大臣としては手が出ないのであろうと推察いたします。殊に文相は私学関係の立場においでになるので、尚一層拱手傍観の外ないお立場であろうとは存じまするが、この問題は私は非常に文教上重大でありまして、この適当なる処置ができないようでは、恐らく文教の刷新は不可能であろうと思います。又恐らく將來文部省というものの在り方が、先程大臣がおつしやいましたように、段々と教育の実権から遠ざかつて参りまして、大学自治法或いは地方の教育委員会法などができたのでありますから、恐らく何をなさる役所になつて來るのか、結局これは行方不明の文部省になつてしまうと思うのでありますが、私共は先ず文相の御手腕の腕試として、東大の粛正問題並びに東大の学生の政治行動の制限問題、これに対するところの御対策、これから如何ようになさるか、十分にお腕前を拝見いたしたいと存じておるのであります。只今の御答弁は不十分でございますが、一應その程度で私はこの問題は質疑を止めて置きます。
 次は新制大学の問題でありますが、まだすべての認可が十分できていないのでありまして、すでに明年の四月に差迫つておるのでありますが、それに対しましては只今御説明の中に一部お触れになつておいでになることであります。この新制大学の新設費につきまして、各地方におきまして非常に地元から寄附金の募集をいたしておる。而もそれが多少逸脱いたしまして、強制的な割当で以て相当重い負担を地方に掛けておる。殊に甚だしきに至りましては、学生一人に対しましてそれぞれ寄附の責任額を課しまして、募集をいたしておりますような事態があるようでございますが、そういうように余りに寄附を強制いたしましたり、殊に学生がその寄附のためにいろいろ奔走いたしまするようなことは、只今学生のいろいろ政治運動を禁止いたしておりまするような建前から照應いたしましても、適当でないと存じまするが、これらに対しまして文部省におきましては相当御注意なさる御意思がありますか、如何でありますか、この点を承わりたいと存じます。
#8
○國務大臣(下條康麿君) 新制大学につきましては、大体既存の建物並びに既存の施設を利用いたしまして、成るべく経費をかけないような方針の下に切替えをして行きたいというような線で、大体の方針を立てておるのであります。從いましてそういうようなことでいろいろ寄附などのことがありまして、そのためにいろいろの問題が起るようなことは、実は余り望ましくないように考えておるからであります。
#9
○山下義信君 新制大学の新たに総合式連合式の大学を作りますその総長の人選問題につきましては、文部省はどの程度まで御盡力御心配になつておりますか、その点承わりたいと思います。
#10
○國務大臣(下條康麿君) 実はまだそこまでの段階に達しておりませんで、いろいろお世話したいと思つておりますけれども、まだそこまで達しておりません。
#11
○山下義信君 次は夜間大学の認可の問題でございますが、私立の夜間大学は御許可にもなり、段々とできておりますのでありますが、官立の夜間大学というものにつきましても、御認可になります御方針でありますか。如何でございますか。この夜間大学の設置は、殊に勤労階級の学徒が非常に熱望いたしております問題でございますので、この際文相の御方針を承わりたいと存じます。
#12
○國務大臣(下條康麿君) 御承知の通り、夜間大学の設置は、勤労青年に対する教育の必要から申しまして、誠に妥当なる措置であると思いまして、実は夜間大学は時間が夜間でありまして、自然的に制限があります関係上、晝間の大学とは、相当内容等が異なるので、例えばその在学年限なども、或いは延長するということも必要かとも思われるのであります。例えば四年制に対して五年制ということも考えられ、目下大学設置委員会において、その基準を研究中でありまして、基準ができ次第そういう夜間大学につきましても許可せられるようになるように、取計らいたいと思います。
#13
○山下義信君 育英事業につきまして、只今お説明の中にもお触れ下さいましたのでございますが、今回の追加予算の中にも二百四十余万円出ております。併しこれは育英会関係でありますか、職員の給與の増額の予算でありまして、実際の育英資金の増額ではないようであるのでありますが、いろいろ戰災遺家族の子弟、或いは全國の孤兒、その他非常に育英政策によらなければなりません子弟が全國に多数ございます。これは十二分に一つ御盡力願わなければならんのでありまして、殊にこの際文部大臣のお耳に入れて置きたいことは、生活に非常に困つております者が、御承知のごとく生活保護法で援助を受けますその子弟が、中学に入り高等学校に入りますると、どういうものでありますか、生活保護費の支給が止まるのであります。これは是非一つこういう子弟を只今では各学校から推薦をして、そうして育英会でありますか、その方で査定になり、文部省でお世話になるようでございますが、十分子弟の育英事業につきましては民主的に、その選考方法、或いは育英学費の支給方法につきましても、大々的の改善を加えられまして、戰後弟が、十分教育が受けられますように、この面に積極的な御施策を加えて下さいます御意思がありますかどうか、一應念のために伺つて置きたいと思います。
#14
○國務大臣(下條康麿君) ちよつと速記を止めて。
#15
○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#16
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて。
#17
○國務大臣(下條康麿君) 只今山下委員のお尋ねになりました経済的な理由によりまして、就学が困難な者に対する奨学金を支給するものの増員と、奨学費の増額ということにつきましては、今後とも御趣旨に副いまして、十分努力して、さような面の改善ができるようにいたしたいと思います。
#18
○山下義信君 いま一点最後に伺います。道義高揚の問題がこの内閣の重要政策として謳われておるのでありますが、これはどなたの御所管でありまするか。道義高揚と文部大臣とどれだけの必然性の関係があるか存じませんが、これは時間を要しますので総理に伺いまして、尚はつきりいたさねば文相に更にもう一度伺わせて頂きますことを保留いたしまして、これは本日は除きまして、最後に伺いますのは、只今も御説明の中にございましたが、教員の素質の問題、これに関連いたしまして文部大臣は、学校教員の中に共産党の党員がおる。この共産党の党員が今日官公私立の各種の学校の教員であつて、一向差支ないとお考えになつておりまするか。これは共産党の教員に対しましては何らかの処置方法をお取りになるお考えでありますか、この点伺つて置きたいと存じます。
#19
○國務大臣(下條康麿君) すべての國民は憲法の規定によりまして、その信條によつて差別を設けられないのであります。從いまして共産主義を信奉するからといつて、教員たることから排除せらるるということはないのであります。ただその共産主義を奉ずる人が、若し具体的の行動におきまして学校の秩序を乱るということがありますれば、それは別の関係即ち教育基本法とか、或いは教育公務員特例法というような関係から、制約を受けることはあるかも知れません。全体の問題としては別に何ら制限はないわけでございます。
#20
○山下義信君 文部大臣に対しまする私の質疑は一應終了いたしました。
#21
○堀越儀郎君 文部大臣に一つ簡單なことでありますが、お尋ねしたいと思います。只今山下委員の質問に対してお答えになりました新制大学推進本部を文部省内に設けられたそうでありますが、その機構、内容或いは権限というようなもの、或いはどういう意図で以て運用されるか、それに包含されるものは官公立大学のみであるか、私立大学も含めるのであるか、大学を育成して行くという意味で運営されるのか、そういう点を伺いたい。
#22
○國務大臣(下條康麿君) お尋ねの、昨日作りました新制大学推進本部というものは、これは文部省内で便宜作りました組織であります。その中には四つの部門がありまして企画部、法制部、財務部、施設部、企画部は大体設置委員会との連絡を図る部門であります。法制部はそのでき上つたものにつきまして、これを立法化する。それから必要な財政処置の関係で財務部、その裏付けをする資材の関係を施設部、そういうような四つの部門ができまして、別に新たに人を使うのでなく、現在おる人がこれに当りまして、殆んどこれは全省を挙げてここへ集中して、とにかく大体二月頃までには大学設置に関する事項を極めたい。無論そのうちにつきましては、相当部分立法化されて國会に提出されるという段階になると思います。その取扱う大学は國立、公立、私立を問わず、全部それにかかるということになつております。
#23
○委員長(黒川武雄君) それでは人事院に対する高瀬委員の質問を始めたいと思います。
#24
○高瀬荘太郎君 私は予算委員会で、人事院に対する御質問と、大藏大臣に対する御質問をいたしたいと思うのでありますが、大藏大臣御出席がないようでありますから、先ず人事院に対する質問だけいたしまして、大藏大臣に対する質問は、大藏大臣がお見えになつたときにいたしたいと思いますから、そう御了承願いたいと思います。
 先ず公務員の給與決定に関する、人事院の権限、義務及び責任の問題につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。
 公務員法によりまして公務員の給與に関する問題は専ら人事院の所管に属する事柄で、公務員給與水準に関します立案及びこれを内閣に勧告いたしますことは人事院の権限に属しますと同時に、それは人事院が負つております重要な義務であると解釈をいたします。殊に今回の改正によりまして、はつきりと公務員の團体交渉権、罷業権などが否認されることになりました以上は、公務員の給與に関する人事院の責任は極めて重大なものとなつたと言わなければならんのであります。從いまして人事院が諸般の事情を考慮して最も妥当なものとして作成をされた給與案が内閣或いは國会におきまして否認されということは、若しそういうことがあるといたしますれば、非常に重大なことと言わなければならんのであります。この点人事院の権限、義務、責任の上からいたしまして、いろいろ疑問を持ちますのでお尋ねをいたしたいのであります。人事院は公務員の給與標準につきまして單に立案、勧告をなすに止まるもので、これに関する最高の決定権は國会にあるのでありますから、たとえこれが否認されましても人事院の権限、義務、責任等は十分に全うされたものとはつきり解釈してよろしいのでありますかどうか、この点につきまして人事官の御意見を伺いたいのであります。
#25
○政府委員(上野陽一君) 高瀬委員の御質問にお答えいたします。人事院は、只今お話のありました通り、給與水準その他について内閣に勧告する義務を負うておるだけでありまして、この義務を果しました上は一切のことが内閣及び國会の手に移るのでありまして、たとえ私共の勧告が否決いたされましても、人事院としては人事院としての権限及び義務はこれで完了したものと解釈いたします。
#26
○高瀬荘太郎君 若しそういうことでありますといたしますと、人事院の公務員給與に関する権限、義務及び責任というものは極めて形式的で、事務的なものとなりまして、給與を立案する單なる事務局のような性格のものとなると思うのであります。それでは新公務員法で、人事院が公務員の生活を擁護する重大な責任を負わされ、特に強力な機関として設けられました精神を没却することになりはしないかと思うのであります。人事院は公務員の給與に関しましてもつと高い権威のある強力な機関でなければならないと思うのでありますが、如何でありましようか。併しながら給與予算と当然に関連がありますので、給與予算の編成が大藏省の所管に属して、その予算の決定権が國会にあります以上は、人事院の給與立案権が十分の権威を持つことは又実際において非常に困難があると言わなければなりません。若し給與に関する予算につきましては、その編成権を人事院に與えるということにすれば人事院の権限は強化されることになりましようが、給與予算のみを切り離してこれを人事院に與えるということも予算編成上甚だ不合理な結果となるでありましよう。ですからこれを如何に解釈するか、解決するかということにつきましては、まだ未解決の問題が残されておるのじやないかと思うのであります。人事院と大藏省とのこの給與に関する予算の問題につきましてもつと十分に檢討をして、研究して解決すべき問題があるのじやないかと思うのでありますが、それにつきまして人事官の御意見を伺いたいのであります。
#27
○政府委員(上野陽一君) 御尤もな御質問であります。私共といたしましても、自分のところで立案いたしました給與案が徒らに葬り去られるということは、自分の生んだ子供を育てることができないということになりますので、この点は甚だ心許ない次第でありますが、只今の公務員法の規定によりますれば、それ以上のことは私共に何ら権限が與えられていないのであります。その点から考えましても、國園において十分人事院の勧告案を尊重下さいまして何分の御審議を願いたいと申上げる外、私としては外に言うべき術を持たないのであります。
#28
○高瀬荘太郎君 只今のお答えでありますと、まあその点についていろいろ遺憾に思う点もあるけれども止むを得ないというようなお考えのようでありますが、もつと突込んで十分に御研究になつて頂きたいと思うのであります。
 尚人事院は給與水準の立案に当りました只今お話がありましたところから考えますと、その財源につきましては少しも考慮しないで決めてよいのであるというふうに解釈されるのでありますが、そう承知してよろしいのでありましようか。
#29
○政府委員(上野陽一君) 具体的に財源については私共の方で考慮する訳合いのものではありませんが、併し今日の日本の経済状態全体から考えまして、大きな枠の中で財源問題を考えるということはこれは当然のことでありますからして、今度提出いたしました政府に対する勧告案は公務員として最小限度の必要な給與であるという意味合いがあるのであります。若し絶対に財源を考えないで正当なる給與ということを考えますれば、もつと違つた勧告案が出る筈でありますが、一般的に大きな枠を考えまして、あの程度の最小限度の給與案を提出した次第であります。
#30
○高瀬荘太郎君 財源についても或る程度はお考えになつて立案をされたというふうに只今の御答えについて考えられるのでありますが、併し具体的に実際財源をどうするかというようなことについては、人事院としては一切関與しないで決めるのだ、こういうふうに解釈されます。若しそうであるといたしますと、内閣が具体的な財源をいろいろと工夫をいたしまして、その工夫の結果財源を理由としてこれを否認をし、或いは修正をするということは全く自由であると考えられるわけであります。併しながら財源と思しましても、内閣がこれを工夫する場合にいろいろな考え方もあり、努力の方法もあるわけであります。從つて現内閣が財源の理由からこれを否認し、或いは修正したといたしましても、必ずしもその決定が絶対のものであるとも言えないと思うのであります。從つて人事院として内閣のそういう主張をよく檢討をし、これに対して又いろいろ協議をし、抗議もするという必要が実際上あるのではないかと私は思うのでありますが、つまり人事院みずからも具体的な財源に立入りまして、その立案したものの実現の可能性につきまして十分檢討をなさる必要があるのではないかと思うのでありますが、この点については如何でございますか。
#31
○政府委員(上野陽一君) 人事院としてはその財源の問題まで立入ることはその権限外であると考えます。たとえ人事院の勧告案が否定されましても、私共としましては公務員法の第二十八條に、現在の給與水準が物價の実際と照し合せて百分の五以上の増減を必要とする場合には、早速内閣及び國会にこれを勧告する義務があることになつておりますので、若しこの度の勧告案が否決されました場合には、直ぐ引続いて第二十八條によつて、私共はこれでは公務員の生活を保障することができない。現在の物價からはもう少しこれだけ上げなければならんということを勧告する業務を持つておるわけであります。
#32
○高瀬荘太郎君 只今の公務員法の規定の形式的解釈から申しますと、今人事官から御回答のあつたようになさることが、まあ形式的には人事院としての責任を果す途であるといつてよかろうと思うのであります。けれどもそういう形式的にだけお考えになつておられると、先刻申しましたように、人事院というものは形式的には非常に強い機関で大きな権力を持つておるように見えますけれども、実質的には殆んど力がないということになるのではないかと私は思うのであります。で只今おつしやいましたように、國会で人事院の案を否認し、或いは修正いたしました場合に、人事院としては直ぐさま後で引続いて又同じような勧告をなさる必要があるのだとこういうふうの御解釈でありますが、私も今の人事官の御説明から当然そうなるべきだと思うのであります。この場合内閣は又直ぐさま追加予算の編成を考えなければならない、それが又できない。又人事院が直ぐさま勧告をする。幾らそういうことを形式的にやつておりましたところで、埓の明かない問題になるのじやないかと思うのであります。ですからやはりこれはもつと実質的に考えまして、人事院が本当に公務員の給與について強力な力を持ち、公務員の待遇に対して本当に力を持つた機関になるということをお考えになる必要があるのじやないかということを痛切に感じます。尚本会議における私の質問に対しまして、淺井人事院総裁は給與水準の立案につきました國の経済力というものをも考慮して決めたと、こうお答えになつておられます。又只今の上野人事官の御説明でも、まあ一般的に日本の財力と申しますか、経済力それは考えながら今日の衰えた経済力の下で適当な水準ということを考えられた、こういうお話でありました。で國民の所得と國民の生活水準との均衡を図る、これが給與水準をお決るになるにつきまして一番根本的な重要な問題になると思いますが、そういう点につきまして何か具体的な資料に基いてお考えになつたのでありますか。若しそうであるといたしましたならば、その関係はどんなふうの関係でお考えになりましたか伺いたいのであります。又これと関連いたしまして給與水準の決定ということと、又インフレーシヨンとの関係につきましてもお考えになりましたか。國の経済力と給與水準との均衡を考えます場合には、当然給與水準とインフレーシヨンとの関係も考慮されるものと思うのであります。この場合に公務員個々の給與水準が、問題となるのではありませんで、公務員全体に対する給與総額が問題となるのであります。つまり公務員総数に対して支拂われます給與総額が國の経済力と均衡を保持しなければインフレーシヨンを促進することになるわけであります。
 人事院では今回の給與水準で支拂われます給與総額が國の経済力を超えるものでないと認められて、水準をお決めになりましたかどうか。又國の経済力と給與総額との均衡を保持しながら適切な一人当りの給與水準を決めるにつきましては、公務員の総数ということが当然考慮に入らなければならない筈であります。給與の総額、全体の公務員に拂われます給與の総額を一定いたしまして、一人当りの給與水準を決めますためには、公務員の雇傭数を考えなければならないわけであります。給與水準を高めようとすれば雇傭数を減らさなければなりませんし、雇傭数を増そうといれば給與水準を下げなけけばならないというような関係になるわけであります。從つて國の経済力と給與水準との均衡を考えまする場合には、当然雇傭数ということも考えられなければならないのでありますが、人事院では公務員の雇傭数の問題をも考慮されましたかどうか。人事院が公務員の給與水準を決めるにつきまして、公務員の雇傭数をも考慮しなくてはならないといたしますれば、公務員の雇傭を合理化するにつきましての発言権を人事院が持つて、公務員の能率の増進、或いは行政事務合理化という立場から、公務員の人員整理の問題についても関係を持つわけでありますから、そういう人員整理の問題につきましても勧告権というものを人事院に與えられるのが必要ではないかと思うのでありますが、こういう点についての御意見を伺いたいのであります。
#33
○政府委員(上野陽一君) 國の経済力を考えたかという御質問でありますが、私が先程総体的に國の財政力を考慮したと申上げましたのは、給與水準を公務員の如何なる生活水準に置くかということを考慮する上の考えた、こういう意味でございます。それはもう少し具体的に申しますと、今度の給與水準六千三百七円ベースで給與をいたしますというと、独立した成年男子の中等度の労働をしておる者の生計費の内訳は、丁度エンゲルスの係数で申しますと、食糧費は生計費全体の五〇・三%になつておりまして、これ以下の生活は公務員としては堪え難きことである。最小限度の生活水準を維持するのに必要な給與を計上いたしたのでありまして、これは國の財政力、経済力如何に拘わらず、これだけは最小限度に保障しなければならないという意味で考慮いたしたのでありまして、個々の具体的の財源についての考慮ではございません。
 それからインフレーシヨンについての問題も、これは人事院の考えなければならない義務を持つている問題ではございませんが、併し公務員の給與がベースが上りますというと、民間の給與が必ず上る形勢になる。これは私がこの新給與案を作りますときに民間の事業家と連絡いたしまして、いろいろその情勢を研究いたしたのでありますが、それに比例して民間の給與も上げるという運動が、組合から必ず起るということがはつきりいたしました。その理由は人事院の方では公務員の給與を民間給與に近付けると言つていますけれども、併し労働條件が全然違う。第一勤務時間からして民間と公務員とでは違うじやないか。今の勤務條件のままで給與を上げるならば、当然民間の給與も上げなければならないということを主張しておるものが大部分を占めておるのであります。そこで今度私共の作りました給與法案につきましては、勤務條件が違うということを口実に、民間の賃金を上げるということになりますと、これ亦物價と賃金との惡循環を誘致して、そして又インフレーシヨンを昂進させることになるのであるから、これはどうしても民間の給與を上げる口実を與えないようにしなければならんという見地から、あの勧告案の書出しのところも、これは公務員の給與を民間の給與に近付けたのであつて、これを理由として民間給與を上げることにはならない筈であるということを書いて置きました。同時に公務員の勤務時間も、これを民間の勤務時間とほぼ同樣にいたしまして勤務時間が違うからという理由で民間の賃上げの理由にならないような手配をいたした次第であります。
 第三の御質問は雇傭数と給與給額との関係について行政整理等の考え、或いは権限は人事院にないかというお尋ねの意味に解釈いたしましたが、この公務員の定員を取扱つておりまするのは行政管理廳でありまして、私共の所管事務ではないことになつております。私共の給與案を段々押し詰めて行きまするというと、結局そういうところにも落付いて行くのではないかということは考えておりますが、私共のなすべき仕事の範囲になつておりません。
#34
○高瀬荘太郎君 只今の御説明で日本の経済を考慮に入れたという意味の一つの主要なポイントはエンゲルスの法則等を考えて食糧費、最低の食糧費というものを土台にして段々考えられたというお話でありますが、その場合に食糧についてはどの程度のカロリーをお考えになりましたか。ちよつとお答えを願います。
#35
○委員長(黒川武雄君) 速記をちよつと止めて下さい。
   〔速記中止〕
#36
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて……。
#37
○高瀬荘太郎君 先程のお答えのもう一つの点についてお尋ねをいたしますが、丁度人事院と大藏省との関係につきまして給與の予算の問題について非常にむずかしい問題があつて、合理的に十分解決についておらない。同じようなことが人事院と行政管理廳ですか、それとの間にあるように私には思える。つまり人事院というものは給與だけの問題を扱われるのでありませんで、行政事務の能率化、合理化についても十分にお考えになる責任、仕事を持つておられるお役所であります。ですからその点から言いますと、やはり只今のお話の行政管理廳でやられるそのパーソナル・アドミニストレーシヨンの問題も、どうしてもお考えになければならないのじやないかと思うのでありますが、形式的に法規の上から言えば、今お答えがありましたように、その問題は行政管理廳の管轉だ、こう言つてしまえるのでありますが、実際問題として実質的に考えまして、人事院が責任を以て、良心を以てその課せられておる義務をお果しになるにつきましては、そういう形式的なお考えだけでなく、やはり行政管理廳でやつておられますパーソナル・アドミニストレーシヨンの範囲までお入りになる必要があるのじやないかと私は思うのであります。併しそれは先程の大藏省と人事院の関係と同じように、行政管理廳と人事院との関係について、まだ未解決の問題として残されておるのだろうと思いますから、その点につきましては今後人事院としても十分御研究になつて、適当に御解決になることを希望するわけであります。
 で、次に今回の人事院の公務員給與案の作成方式を見ますというと、只今の御説明もありましたように、先ず公務員の生活ということを考える、公務員の生活水準というものを考えまして、それを前提として算定、立案するという方式が採られておるわけであります。で、まあこれも一つの方式であると言えるのでありますが、國民の生活水準というもは國の経済力に制約をされ、規定されるということから申しますというと、その方式が逆になるようにも思うのです。ですからこの方式でどこまでもおいでになりますというと、結局その前提とされました生活水準というものが、國の経済力を無視するような結果になり易いと思うのであります。で、國民所得は名目的には昨年に比べて二倍以上になつておると推定されるのでありますけれども、実質的には精々昨年の二〇%か三〇%の増加に止まつておると思うのです。今度人事院が立案されました六千三百七円ベースというものは、昨年七月の千八百円ベースに比べて見ますと、名目的に約三倍半に当るわけであります。この点を國の経済力と公務員の生活水準との均衡を図るという見地からして、どう御解釈になりますか。これによりまして公務員の生活水準の実質的向上がどのくらいの割合になるとお考えになりますか。又その引上げが如何なる理由でシャスティファイされるとお考えになりますか、これを伺いたいと思います。
#38
○政府委員(上野陽一君) 私共の算定の基礎は、たびたび他の委員からも説明いたしました通り、成年男子の独身者の生計費から割出したものでありまして、大体は理論生計費的の考え方でありますが、実態調査の材料をも加えまして、最小限度これだけの給與が必要であるという立場からだけ立案したのでありまして、それが國民所得と如何なる関係にあるかというようなことは、何ら考慮をいたしておりません。お答えいたします。
#39
○高瀬荘太郎君 今のようなお答えでありますと、実は私が本会議で淺井人事院総裁に、人事院が公務員の給與水準を考えます場合に、國の経済力をも考えたかという質問をいたしましたのに対して、それを考えたというお答えは実は当らないと思うのであります。ですから私といたしましては、人事院がたとえ具体的な財源を考慮しないで決るるといたしましても、とにかく日本の國内経済の一般的状況、つまり現在の置かれております我が國の経済力というものを十分に考慮に入れながら妥当な水準をお考えになる必要があると思うのであります。その点については今回の人事院の御決定のやり方について実は甚だ遺憾に思う次第であります。その点もつと一つ國の経済力というものを人事院が給與水準を決める場合には突つ込んで十分にお考えになつて頂きたいと思います。
 最後にこれは先程上野人事官からお答えがありましたところで大体分つておるのでありますが、もう一度よく念を押して伺つて置きたいと思います。國会が、今度提案しておられまする人事院の案を否認し、或いは修正をしたという場合に、人事院は國会の決定を公務員の給與水準といたしまして妥当なものと御承認になりますかどうか。若しそうだといたしますと、人事院の立案が妥当でなかつたということになる。そうして人事院の権威が傷けられるということになると思うのであります。又若し國会の決定は決して妥当でないとして承認されないといたしますれば、公務員法第二十八條の規定によりまして、國会の決定と同時に時を移さず更に重ねて給與の改訂を勧告しなければならない責任があると思うのでありますが、その点はつきりとお答えを願いたいと思います。そうすれば政府は直ぐ又追加予算を考えなければならないことになりますし、先程も申しましたように、いつまでも解決がつかないことになると考えますが、それでも差支がないとお考えになるのでありますか。その点を念のためにはつきり伺つて置きたい。
#40
○政府委員(上野陽一君) 先程の、御質問ではありませんでしたが、御意見に対して連関しておりますことでありますからちよつと申上げますが、國の経済力を考えたと申しますのは、考えましたればこそ、家族手当のごとき、給與体系としては邪道に属する方法が採用されておるのであります。本來給與なるものは、家族を養うに足るだけのものが保障されていなければならんのが原則であります。併し今日の敗戰日本の経済力を考えますと、これは最小限度せめて総收入の半分を食糧に費やすくらいで生活ができる程度の給與を保障したいという考えから、あの給與法案を作つたわけであります。ですから経済力から考えると、成るべく給與の水準は低くなければならん、その要求を容れるために今の五〇・三%の食糧費を辛うじて保障する程度にいたしましたのであり、又公務員の側から申しますというと、いわゆる貧乏線、ボヴァティ・ライン以下に下らないだけの給與を保障しなければならないというので公務員を保護する側から申しますというと成るべく高くなければならない、その二つの要求の間を行つて決定いたしましたのが今度の給與水準であります。ですから若し、これが不幸にして、否決されますれば、これは國会か、或いは内閣がこの水準以下でも公務員としての体面を保ち、その生活を全うすることができるという論拠の上に立つたものと考える外はないのでありまして、若し、それで一般公務員及び一般國民が満足すれば、それは私共としては、それ以上何ら手を打つべき権限はないことになると思います。
#41
○高瀬荘太郎君 只今のお答えで國民がそれで満足をすれば、國会が人事院提案の給與案を否決し、或いは修正しても、人事院としては、構わないのだと、それでいいんだと、こういうふうに聞えましたのですが、それでよろしいですか。
#42
○政府委員(上野陽一君) 構わないのだという意味ではありません。私共としては、これは、相当科学的根拠の上に立つて作つた案でございますから、人事院としては、飽くまで、これが通過することを希望し、又私共の力の及ぶ範囲において、通過するように努力するということは、これは当然なことでありますが、併しみんな人間のしたことでありますからして、例えば六千円ベースよりも、五千円ベースの方が、正当であるということが若し立証されるようなことがあれば、そうして、それが成る程尤もなことである、人事院の考え方は間違つておつたと私共を納得させるような説明なり、理論なりが出て來ますれば、私共も自分たちの考えを改めるに少しも吝かでない、こういう意味でございます。
#43
○高瀬荘太郎君 只今のお答えでありますと、仮に五千三百三十円ベースが國会で決定された、こういう場合も、人事院としては、必ず直ぐさま新たな勧告案を作つて出すのだということにはならないのだ、五千三百三十円ベースについて十分の檢討をし、方々の意見も聞いて、納得が行けばそれでいいのだとこういうふうに聞えましたが、それでよろしうございますか。
#44
○政府委員(上野陽一君) それは特別の場合を申上げたのでありまして、私共としては、六千三百円ベースを確信し、非常な研究の基礎を以て作つた案でありますからして、私共の説を覆えすに足るだけの新らしい給與案というものは、今のところ出し得るものはないと、こういう確信を持つております。(「大したものだ」「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)
#45
○高瀬荘太郎君 非常に自信のあるお答えでありますが、じや、それに関連して、もう一つ質問をさせて頂きたいと思います。人事院の案によりますと本俸としてお決めになつております部分には、家族扶養の費用というものが含まれておらないのだと、こういうように御説明になつておつたと思うのでありますが、その通りでありましようか。
#46
○政府委員(上野陽一君) その通りであります。
#47
○高瀬荘太郎君 そういたしますと、私として一つ疑問になる点が出て來るのでありますが、本俸をお決めになります場合に、先ず四級一号、独身者の給與として二千四百七十円というものをお決めになり、それから最高としては認証官の俸給及び民間の最高職員の俸給というようなものを斟酌して、一万五千五百四円というものをお考えになつて、その間に適当な系列をお作りになつたのが本俸になつておる、そう思うのであります。ところが最高の標準としてお考えになりました認証官の俸給及び民間の職員の俸給というものはそれが初めに決められた場合に、家族扶養の費用も含まれておるというのが常識ではないかと思うのであります。だからこそ今まで家族手当は一般的に官公吏は二百五十円、民間におきましても先ず五百円か六百円が高いところであつたと思う。そういたしますとこの最高の標準としてお取りになつたものが、人事院の方では扶養家族に対する経費を含めないことにするための標準とお考えになつておる。ところが実際その最高の標準をお決めになるときに参考にされたものには扶養家族に対する生計費も含まれて決められておると私思う。そこに非常な矛盾が起きはしないか、この点について伺いたい。
#48
○政府委員(上野陽一君) 最高の職階給の第十四級の給與水準を一万五千五百円に抑えました理由は、民間との釣合いを取るためにいたしたことでありまして、民間に家族手当という制度がある限り、この本俸一万五千五百円の中には家族を扶養するための費用も入つていないという根本観念の下に立案したのでございます。
#49
○高瀬荘太郎君 民間の家族手当というのは、私の知つておる範囲におきましては、先ず大体五百円じやないかと思う。組合方面からの要求といたしましても先ず八百円くらいが高いところであつたと思う。実際におきまして先は五百円くらいが普通であつたと思うのであります。そういたしますと、民間で五百円出すというのは、決して家族一人当りの生計費全部を出そうというつもりではないので、やはり本俸の中に家族を養う費用も入つておつて、それでは併し今日のような経済状態では足りないから、それを補助する意味において三百円、五百円というものを出しておつたと私は思うのでありますが、そうなりますと、釣合いのためにお考えになつた標準というものが、実際は家族に対する費用も入つておるものとお考えになつて、そうして人事院ではこれを家族に対する費用は入つてないのだということにお取りになつた、そこに矛盾があるように私は思うのですが、如何ですか。
#50
○政府委員(上野陽一君) 内情を申しますと、民間給與の調査をいたしましたときに痛切に感じましたことは、公務員の給與のようにはつきりしていない。民間給與の調査だけは私共人事院みずからの手でいたしたのでありますが、いつでも或る程度の一段下の数字を言う。これはまあ役所から行つて調べます関係上、何か税務署との関係があるようにまあ考えるせいかも知れませんが、私共の得た数字は実際より遥かに下であるということは、これは間違いないことなんでありまして、一般國民の中から優秀なる公務員を吸收するためには、少くとも私共の調査した民間の給與を、家族手当を含まないものと見て計算しなければ、私共としては優秀なる公務員をアトラクトするだけの力がない。こう考えて立案した次第であります。
#51
○高瀬荘太郎君 どうも只今の御説明では、私ははつきり納得が参りませんので、一万五千五百円というものをお取りになつた、その基礎には、実は家族に対する扶養費も入つておつたのを、人事院としては、これは入つておらないと御解釈になつておるように思える。そのところに矛盾があるように思うのですが、認証官との釣合いということも人事院の御説明の中にあつたかと思うのです。認証官につきましては当然に家族に対する扶養費というものは、考えて決められておつたと思うのです。その証拠には認証官に対して決してその家族を養うだけの十分の家族手当を今まで出しておらなかつた。まあその問題は矛盾がどうしてもあると、私共に思えるのでありますが、先ずそれはそれといたしまして、今度総理大臣の俸給等が引上げられるということになるようでありますが、当然認証官の俸給も引上げられて三万円になりますか、もつとになりますか、そうなつた場合に、先に認証官との釣合いを考えたときに、認証官の俸給は二万円ぐらいじやないかと思うが、今度又それに應じて本俸の改訂をなさる必要が生じはしないかということを考えますが、如何ですか。
#52
○政府委員(上野陽一君) 御質問は、公務員の本俸の引上げと解釈いたしますが。
#53
○高瀬荘太郎君 そうです。
#54
○政府委員(上野陽一君) 実は公務員の手取り総額を二万九千円と押さえましたのは、若しそこで押さえて置きませんというと、認証官以上の手取りになる。こういう矛盾がありますので二万九千円で押さえたのであります。若し今度認証官の俸給が上がるとなりますと、いわゆるシーリング、天井も又変つて來なければならないと私は考えます。
#55
○高瀬荘太郎君 その場合に天井が変つて來ると、又改訂をする必要はお認めにならないのですか。
#56
○政府委員(上野陽一君) 必要が起ると思います。
#57
○高瀬荘太郎君 私は余りに長く時間を質問に取りまして、甚だ恐縮でありましたが、一應この辺で人事官に対する質問は終りたいと思います。尚大藏大臣の御出席を得ましてから、又大藏大臣に対する質問をさして頂きたいと思います。
#58
○岡田宗司君 上野人事官にお尋ねいたしますが、只今高瀬委員からいろいろ詳しい御質問がございましたので、私は重複を避けまして質問いたしたいと思います。
 先ず第一に、お伺いいたしたいことは、吉田内閣ができましてから、國会を開いてそうして新給與について國会に諮る。こういうことになつたのでありますが、そのときに人事院から六千三百七円ベースの給與案が発表されておる。これは非常に大きなセンセイシヨンを起しまして、そうして政府におきましては、この人事院の発表につきまして内閣官房長官の名を以ちまして、一つの声明が出た事実は、これは私が申上げるまでもない。勿論先程の上野人事官のお話によりますれば、人事院は内閣と独立して内閣に対して給與についての勧告をすることができる。こういう立場でなされたのでありましようが、この内閣ができまして國会が開かれます間に、人事院が突如として人事院の案を発表された。それが政府との間に何らかの摩擦のあるような印象を與えたことは事実であります。その発表の経緯について人事院側の御説明をお願いしたいのであります。
#59
○政府委員(上野陽一君) 当時御承知の通り新聞記者は人事院の案が、どういう数字に落着くかということに非常な関心を持つておりまして、新聞記者諸君は八万手を盡してやつと六千三百円台であるというところまで、突止めて新聞に発表しておつたのであります。そういう関係もありますし、人事院が給與ベースを発表するということは、社会全体が非常な期待を持つて待つておつた問題でありますので、内閣に勧告したままで、これを社会に発表しないで置くということは、いろいろな誤解を生み、又不安を釀す虞れがありますので、これはむしろ発表してしまつた方がいいと、こういう私共の見解でた発表しのでございます。
#60
○岡田宗司君 その当時は、まだ政府においては如何なる給與ベースを以て臨むかということの檢討はできておらなかつたように私い思うのであります。何故に人事院は政府において、そういう新らしいベースの檢討をしないうちに、先にこれを発表したか、この点についてお伺いしたい。
#61
○政府委員(上野陽一君) 人事院が内閣に勧告すると同時に、これを一般に発表していけないということは、どこにも規定がないと思います。これは人事院が自由意思によつて発表して差支ないものと認めて、私共は発表したのであります。
#62
○岡田宗司君 そこでお伺いしたいのは、この人事院が六千三百七円のベースを決めるときに、先程高瀬委員に対するお答えの中で、國民経済の上から見る考慮もやられた。尚予算の財源の面について個々の財源については考えなかつたが、大きな枠という見地からは考えた。こういうお話であつたのでありますが、その大きな枠で考えられた財源というものは、何であつたか。それについて大藏省と何らかの打合せがあつたのか、その点をお伺いしたいと思います。
#63
○政府委員(上野陽一君) 財源と申しましたのは、個々の財源ではなくして、日本は非常に貧乏である。だからお金がないのだ。だから公務員としては最小限度のつまり生計費の半分を食糧に使わなければならない。貧乏線に近い生活で我慢して貰うという立場から、即ち日本の経済力を考えたということになりまして、若しそういうことを考えないで立案いたしますれば、もつともつと公務員のために高い水準の生活を保障してやらなければならない筈であつたのでありますが、現下の状態においては、それができないからあの程度のもので立案をした、そういう意味でございます。
#64
○岡田宗司君 そうすれば先程の財源の大きな枠ということは、財源については具体的には何も考えなかつた、こう解釈してよろしいのでございますか。
#65
○政府委員(上野陽一君) その通りであります。
#66
○岡田宗司君 そういたしますと、財源については全然考えないで、公務員の給與の水準をお作りになつてこれを発表せられた。こういうことになるわけでありますが、人事院ができまして、第一回にこういうような問題が起る際に、人事院といたしましてかくのごとく財源について何ら具体的に考慮されないものを発表されたということになりまして、而もこれが大きなセンセーシヨンを巻き起す、そうして又一方において政府の方では財源の方から五千三百三十円のベースしか拂えないということになつて、二つの大きな案が同じ政府部内から発表せられて対立を起している。そういうことから來るいろいろな政治的な問題は起つているのでありますが、その点についての人事院の政治的責任というのはどういうものであるか、お伺いしたいと思います。
#67
○政府委員(上野陽一君) 一方から申しますと、政府部内に二つの対立した意見があるように見えまして、甚だ不都合なような感じもないのでありませんが、一方から考えますと、そこが又非常に面白い組織で、人事院としては事実を述べる、一体公務員が公務員として最小限度の生活を維持するために、幾ら費用がかかるかというフアクトを発見してそのフアクトを発表する。そうしてそれに対して政府がどういう態度をとるか、國会がそれをどういうふうに処置するか、ということを國民が監視する、こういう形になる点は、非常に面白い組織じやないかと私は考えております。
#68
○岡田宗司君 面白い組織であると言われたのでありますけれども、政治は面白い組織ということでは困るのでありまして、やはり具体的な結論を出して行かなければならん。然るに面白い組織である、勧告はしつぱなしでいいというこういうことでありましたならば、何のために強力な権限を持たす人事院なるものを國家の機関として作るかという根本問題に遡つて檢討しなければならぬことになるのであります。私共といたしましては、人事院なるものが発足いたしまして強力な権限を持つてその仕事をいたすのに当りまして、かような單なる面白い組織である、而もその勧告はしつぱなしであるというようなことでは非常に困ると思うのでありますが、今後も人事院の運営の上におきましても、今まで取られましたような人事院の運営の仕方でいい、こういうふうにお考えになるのかどうか、その点をお伺いしたい。
#69
○政府委員(上野陽一君) この人事院の設立は最近のことでございまして、今の公務員法の規定によつて運営して見て、果してうまく行くかどうかということは、この数ヶ月間に分ることだと思います。できるだけ只今の公務員法によつてうまく運営して人事院としてもその目的を達し公務員の保護も全うしたいと考えますけれども、若し今の公務員法でこれがうまく行かないようなことでありますれば、又あなた方の御協力を願つて、國家公務員法の再改訂をしなければならないときも來るんじやないか、そのときには何分よろしくお願いしたいと思います。
#70
○岡田宗司君 甚だ心細い話なんでありますが、私共にはどうも今までの経緯から見まして、一向うまく行つておらん実証をすでにされた、こういうふうにしか考えられないのであります。まあその点はそれといたしまして、先程高瀬委員からの御質問に対するお答えによりますというと、政府が人事院の勧告を容れない、更に國会も又この勧告を容れない、こういうことになりますというと、人事院としては公務員法の第二十八條によつて更に勧告をする。而もその勧告をなさる御意思があるように承つておるのでありますが、政府は財源の点において更に追加予算を組む意思はない、國会に更に提出する意思はない、こういうことになりますならば、折角の人事院の勧告も再び無慚に拒否されることになりまして、人事院というものは、或いは成る程上野さんの言われましたように、人事院の権限はそういう勧告をするだけである、それを採用するしないは、それは別問題だ、こういうことであるのでありますけれども、実情は人事院が天下に醜を曝らすことになる。そうして國家公務員は人事院によつて何らの保護も受けん、こういう結果になるのでありまして、人事院はその際において全く権威を失うことになると私は考えられるのであります。その点につきまして再勧告をなさり、それを拒否せられた場合には、現在の人事院の最高幹部の方々は如何なる処置をとられるが、それについてお伺いしたいのであります、
#71
○政府委員(上野陽一君) この度の公務員法の改正が各委員会に、殊に人事委員会に付議されましたときにも、それから又本会議におきましても、人事院の権限が強大に過ぎるという非難はありましても、まだ人事院に與える権限が足りないという御批評は一つもなかつたのであります。只今のお話によりますというと、もつともつと人事院を強大にしなければならん、それでなければ十分に公務員を保護することができないのではないかという御質問でありますが、若しそういうことでありますれば尚更適当な機会において人事院というものをもつと強大なものにして頂くように私からお願いして置きます。
#72
○岡田宗司君 私がお尋ねした点は、そういう点ではないのであります。よくお聞きになつて頂きたいと思うのでありますが、二十八條による勧告が拒否された場合、現在の六千三百七円ベースにつきましては、先ずこれをそのままといたしましても、若し更に人事院で公務員法二十八條による勧告をいたしまして、政府が財源その他の関係でこれを拒否するというような場合が起りましたときに、つまり再度拒否されるような場合が起りましたときに、現在の人事院の幹部はその際にどうお考えになつてその責任を取られるであろうかという点についてのお答えを願いたい、こう思つて質問したのであります。
#73
○政府委員(上野陽一君) その点は私は法律屋でありませんので、よく分りませんが、人事官としてはそういう政治的の責任を取る必要はないのであると解釈しております。
#74
○岡田宗司君 私はこういう問題は單に法律的な問題だけではなくて、政治的の問題が多く含まれておる、少くとも國家の機関であり、而も責任ある地位にある者がみずからのその機関の仕事が何ら行えない。こういう場合に政治的責任を取らない。それで留まつておられるものではないと思うのです。それで留まつておられるといたしましたならば、誠にこれ又不思議なことであると思うのでありますが、当然そういう場合には人が変るのが当り前である。私はその点につきまして、若し何遍となく人事院の案が拒否されても任期だけお留まりになるつもりであるかどうか。それをはつきりさして頂きたいと思います。
#75
○政府委員(上野陽一君) それはそのときの個人的の進退でありまして、今私がそれをどう処置すると申上げることは困難だと思います。
#76
○岡田宗司君 先程上野人事官のお話でありますと、極めて確信に満ちた主張をされておるようであつたのでありますが、その確信が盡く打ち碎かれても、尚それについて政治的責任がお取れになれないということでありましたならば、これは私共の考えますところでは、公務員としての重要な責任をお持ちにならないことになるのじやないかと、まあ考えるのでありますが、これは質問ではございませんので、お答えを別にこれ以上頂こうとは思いませんが、六千三百七円を御決定になりました際に、財源は御考慮にならなかつたと、こういうことでありますが、この六千三百七円ベースを取りました結果、十一月からそれが支拂われるものといたしまして、年度内に総額幾らの予算になる、給與予算になる、この点についてお伺いしたいのであります。
#77
○政府委員(上野陽一君) それは一つ大藏当局に御質問願いたいと思います。
#78
○岡田宗司君 少くとも人事院がこれだけの六千三百七円という案を立てて、而も一方において人数は分つておるし、その職階も分つておる、業種も分つておる。それで人事院がこの案を発表するときに、それが十一月から支給されて、年度末までに幾らになるということが分らないような、そういうことで一体人事院として権威を持つたその勧告ということができるかどうか。私共はそれは甚だ権威のない勧告でしかなかつたというふうに解釈せざるを得ない。今後人事院といたしまして、やはりこういう事態にぶつかるであろうと思うのでありますが、何ら財源も考えない。而もその給與総額についても考えない。こういうようなことで、一体本当に人事院の発表されました給與水準というものを実現できるかどうか、非常に疑問に思うのであります。この点につきまして、今後もやはり單に人事院のいわゆる理論生計費からだけ給與水準を決めて御発表になるおつもりであるか。それとも今後は財源の点、或いは又給與総額の点についても十分に御考慮になつてこれを発表するつもりであるか、その点をお伺いしたいのであります。
#79
○政府委員(上野陽一君) 財源については將來とも人事院としては考えません。それから総額については、先程申しましたのは、只今手許に数字を持合せませんので、若しお入り用であれば大藏当局の方がより正確な数字を持つておるからと、そういう意味で申上げたのでありまして、若し人事院からその数字を必要とされるならば、後刻事務当局をして提出させることにいたします。
#80
○岡田宗司君 只今の数字につきましては、人事院の方から一つ刷物にして配付して頂きたいと思います。それから先程この六千三百七円の給與水準を決めるにつきまして民間側とのバランスを考慮いたし、その際には上野人事官が民間の事業家と連絡をしていろいろこれをお決めになるのに努力されたというお話を聞いたのであります。かように民間側とのバランス等については御考慮なすつてあるのでありますが、それならばなぜ大藏省側ともいろいろ連絡をされ、或いは又安本側ともいろいろ連絡なされ、人事院において決められました案がかような無慚に無認されるようなことにならないような、そういう御考慮を拂わなかつたのか。その点についてお伺いしたいのであります。
#81
○政府委員(上野陽一君) 民間の給與に関して連絡を取つたと申上げましたのは、少し意味が違いますので、民間給與の実態を調べることは事務当局をしていたさせましたのでありまして、私はただこの公務員の新給與ベースが発表された場合民間の職員組合若しくは労働組合としてはどういう態度に出るだろうかということを二、三の会社に当つて見たという程度でございまして、特に連絡を取つたという意味ではございません。
#82
○岡田宗司君 只今までのいろいろお話を伺つておりますと、人事院の運営の上におきましていろいろな欠陷が私共には見られるのであります。恐らく上野人事官が人事院の内部から考えました場合にも、人事院で給與を決めます場合にそれが実現できない上においていろいろな制度上の欠陷、運営上の欠陷が認められたことと思うし、又それが今後の人事院の機構改革なり、或いは又運営の改革なりになつて行くと思うのでありますが、今までのところにおきまして如何なる欠陷が露呈されたか。その点人事官の方から見ました点をお答え願いたいと思うのであります。
#83
○政府委員(上野陽一君) 何分人事院出発以來僅かに数日でありまして、それまでは臨時人事委員会として專ら研究準備の階段にあつたのであります。本当に人事院としての権限を行使するようになりましたのは去る三日からでありまして、私共が両院の御承認を得、天皇の認証を受け、そして最高裁判所の前に宣誓をいたしましたのが去る八日でありまして、御質問に対して適切なお答えをするだけの時間がまだ経過いたしておりませんので、又この次の機会にお答えいたすことにいたします。
#84
○岡田宗司君 尚私は人事官の方に対しましていろいろお伺いしたいことがあるのでございますが、この六千三百七円のベースが人事院では公正妥当なるものであるとして発表された。政府の方で五千三百三十円が妥当であると、或いは國会においてもそれが公正妥当であるとするならば、人事院はこれに承服すると、こういうことであつたのであります。で、人事院側が六千三百七円が妥当である、こう考えられました場合に、政府案の五千三百三十円というものは、先程上野さんの言われましたボヴティ・ラインを遥かに割るものであるかどうか、そういうふうにお考えになつておるかどうか、その点をお伺いしたい。
#85
○政府委員(上野陽一君) 御説の通り五千三百円であれば、遥かに貧乏線を下廻るということを確信しております。
#86
○岡田宗司君 只今上野人事官が、政府案はボヴアティ・ラインを遥かに下廻る、こういう御批評がありましたので、これは後に政府案が妥当であるかどうかということについて討議をして見なければならんと思いますので、私は質問をここで打切まして、尚その六千三百七円、並びに五千三百三十円につきましては、人事院の方と大藏省の方と御同席を願いまして、そこで討議をしたい、こう考えておりますので、さようにお計らいをお願いいたしたいと存じます。
#87
○政府委員(上野陽一君) ちよつと先程の御質問に答弁漏れがございましたので、一言差加えて置きます。人事院案が通らなかつたときに、それでは仕方がないと、人事院は承認するということであるが、というお話でありましたが、この勧告というのは一方勧告であります、ワン・ウエイ・レコメンデーシヨンでありまして、勧告すればそれで終るのでありまして、それを私の方でそれなら仕方がないと承認すべき筋合いのものではありませんから、若し私がそういうような意味のことを申しましたようでありましたら、取消いたします。
#88
○岩木哲夫君 大体時間も大分経過いたしましたし、お尋ねいたそうと考える点は、両委員よりそれぞれお尋ねがあつたように承知いたしまするから、重複を避けまして、ただ一点お伺いいたしたい点は、現在人事院が、或いは臨時人事委員会当時でありましようか、参考案として、政府をして國会に提出せしめられた六千三百七円ベースの基本的考え方及びその内容等は、現在でも人事委員会が法的に出発成立された今日においても、同樣の方針、見解を持つておられまするかどうかをお尋ねいたしたい。
#89
○政府委員(上野陽一君) 多少細かい点において訂正すべき、或いは修正すべき個所がないでもありませんが、全体としてやはり只今でも確信を持つております。
#90
○岩木哲夫君 人事院は、今回の國家公務員法改正法律で成立されたのでありますが、その第六十三條及び第六十八條によりますれば、内閣及び國会に給與準則を立案して提出せねばならんということになつておるのでありまするが、今日まだ提出されておりませんが、いつ提出されるのでありますか。
#91
○政府委員(上野陽一君) 私もそれを疑問に思いまして、專門家に尋ねて見ましたらば、あれは公務員法改正以前に勧告したのであるから、今度は國会には進んで勧告する必要がないというように解釈しておりました。併し無論國会から御請求があれば、喜んで一切書類を提出したいと思います。
#92
○岩木哲夫君 これは國会が求められれば、進んで提出いたしたいという筋合いのものではないのでありまして、法律によりまして明らかに提出すべきことを規定しておるのでありますから、当然人事委員会が提出すべきものと解釈いたしますが、如何でありますか。
#93
○政府委員(上野陽一君) 尚その点は私素人でありますから、よく研究いたしましてお答えすることにいたします。
#94
○岩木哲夫君 これは素人、玄人でなく、凡そこの法律の文案をお読みになつたならば一目瞭然のことでありまして、これは研究の余地がないと思いまするが、私は人事委員会が國会に対して給與準則の法律案を提出すべきものと確信いたしております。よつて人事委員会がこの法律案を提出せん限り、我々國会におきましてはこの大藏省案と申しますというものと対比し、両方を研究錬磨して、初めて予算の本格的討議に入るものと思うのでありまして、かような一方的な政府案のみで、この給與水準並びに予算の内容に当ることは極めて困難と思います。よつて人事委員会はこの法律案を速かに御提出願わなければ、我々は審議は進められないと、かような解釈を持ちますが、如何でありましようか。
#95
○政府委員(上野陽一君) 早速善処いたします。
#96
○岩木哲夫君 もう一つお尋ねいたしたいのは、政府職員の俸給等に関しまする法律案は、これは大藏省所管として出されたものと了承いたしておりますが、人事委員会はこれに対してどういう見解を持つておられますか。
#97
○政府委員(上野陽一君) 人事院としましては、人事院立案の給與法を支持するものでありまして、これと相当の開きを持つ案に対しては反対であります。
#98
○岩木哲夫君 人事委員会の説明の通りといたしますれば、殊更人事委員会がこの第六十三條並びに六十八條に準拠せる法律案を提出せん限り、公正妥当な審議な國会といたしましてはできない。かように解釈いたしますから、私はこの提出後に、又改めて大藏省並びに人事委員会に質問をいたしたい。以上を以て終りたいと思います。
#99
○委員長(黒川武雄君) それでは二時から再開いたすことにいたしまして、休憩をいたします。
   午後一時七分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十一分開会
#100
○委員長(黒川武雄君) それではこれから委員会を開会いたします。労働大臣に対する質問。堀越君。
#101
○堀越儀郎君 私は労働大臣にお飼いいたしたいのでありますが、日本の再建という問題から考えまして、産業の復興ということは重大であります。それには外資というアメリカ資本の導入、勿論アメリカのみでなくてもいいのでありますが、外資の導入が最も緊切であると存じます。ところが曾てドレーパー一行が日本に來られましていろいろ調査せられました。その視察團は政府にも警告を與えられたのでありますが、民間企業者にも、非常に我々に対して重大な警告を與えて行かれたのであります。それは何かというと労働不安という問題を一番大きく掲げておられるのでありますが、極端に申しますると日本の労働者は働かない。これは我々が考えて働かないのか、働けないのか、そういう点について労働大臣はどうお考えになるか、労働不安を除去しない限りは、外資の導入ということが十分の成果を挙げられない。向うの視察團の意向は、こんなふうじや自分たちが安心して資本を投ずることができないじやないかということを非常に極言しておられるのであります。この点について、労働者は働きたくても働けないのか、働くように政府が仕向けないのか、こういう点を労働大臣はどう考えるか。この際に最低賃金制というものを布く必要がありはしないかというふうにも考えられますので、一にかかつてこれは日本の産業の復興、延いては再建ということはこの問題にかかつてするとまで我々は考えられるのであります。これは以前のことでありまするけれども、北海道の炭鉱における稼働時間は五時間と一三分であつたり、以前の関西において開かれた経済懇談会でも以前の政府があけすけに発表された自由労働者の稼働時間は五時間ぐらいというような発表を聞いているのであります。現在の日本の情勢から考えて、こういうようなことでは到底再建はむずかしいのじやないか。それにはもつと働くように指導するのが労働行政を担当される方の責任でありはしないかと私は痛感するのであります。單に精神的方面からのみ責めても無理であろうし、働け働けということのみの掛声では到底この成果は得られないのであります。日本の再建というような上から考えて、最も根本的に考えて頂かなければならないことはこれだと思うので、労働大臣に対してその御所見を伺いたいと思うのであります。
#102
○國務大臣(増田甲子七君) 堀越さんの御質問にお答え申上げます。ドレーパー視察團の報告によつて各種の示唆が日本の政府に與えられておるのでありますが、そのうち、労働不安というものを特に強く指摘してある。これについての労相の所見如何というような御質問でございましたが、労働不安はどうして起きているか、又労働者はなぜ働かないかということについては、私は根本的には敗戰による虚脱ということが精神的の原因になつておると思つております。敗戰後の虚脱状態は全國民を蔽つた一つの現象でございましたが、労働者諸君も、その國民の一部として又虚脱状態に陷つた。そこで一部の思想方面の過激な分子が、破壊とか、或いは擾乱とか、そういうことを余り喜びはせんでしようが、そういうことによつて何らかの目的を達しようという極く一部の者の煽動に躍りまして、終戰後は、あの直後におきましては、思想の混乱が私はひどかつたと思つております。全國民を挙げて戰爭のときには相当働きましたが、戰爭に敗けたからしてプライドを失つたというような関係もございましたし、折角働いたけれども何にもならなかつたというようなわけで、張合いが拔けたというようなこともございましようが、私はあのときこそは、本当に日本が民主化に更生すべきときである。今こそは働くべきときであるというように、指導者も実はもつと強い意氣込みの下に國民を指導して欲しかつた。私もその指導者の一人で誠に慚愧に堪えない次第でありますが、各方面とも私は思想の虚脱状態があつたと思つております。北海道のごときもその例に漏れないで、或いは堀越さんが今多少御指摘になりましたが、特にひどかつたのではないかと思われる節もあつたくらいであります。先ず私は思想的の関係が第一の原因であると思つております。この第一の原因は、その後どういうふうになつておるかと申しますと、私は漸次よくなつて來ておると思つております。欧米各國においては経済復興運動というものが非常に盛んでありまして、先ず名目賃金ばかり追求して喜んでおつても賃金を購買力が段々落ちてしまう。結局生産しなかつたならば、労働者諸君の生活が樂にならないのみならず、自分の首を自分で絞める結果になつてしまうというようなことに、欧米各國の國民大衆は目覚めて來ておる……(「馬鹿いえ、でたらめ言うな、黙つて聽いていればいい氣になりやがつて」と呼ぶ者あり)そこで私は欧米の各國の、この本当に眞劍になつて國民大衆が國を挙げて生産復興運動に從事しておるこのことは、深く学ぶべきではないかと、こう思つておりますが、ところが終戰後三年経ちまして、漸次私はこの思想の虚脱状態というものは復元しつつある、段々よくなりつつある、こういうふうに考えておる次第であります。そこで今度は思想の方面を一應離れまして、その國民全部が、勤労大衆を含めた國民全部の生活状態を見たいと思う次第であります。御承知のごとく終戰直後等は工業生産力は僅か二〇%になつてしまつた。これは今や漸次復元して、十月のごときは昭和四年乃至八年を百といたしますと六六%まで復元しております。食糧その他の関係は、農業生産力のごときは九〇%以上である。こういうようなわけでございまして、段々復元しておりまするからして、労働大衆を含めた國民大衆の衣食住という生活條件は段々緩和されつつある、こういうふうに私は考えております。そこでそういう方面からして物質的勤労意欲と申しまするか、物質の裏付けがなければやはり勤労意欲というものはそう高揚できないものでありまして、この方面は段々緩和されると共に勤労意欲は高揚されつつありはせんか、こう思つております。
 それから堀越さんの、御質問の最低賃金制度を早く確立する必要があると思う。これは誠に同感でありまして、今労働三法による最低賃金委員会というものは設けなくてはならんことになつておるのでありまして、遅くとも來年一月頃には最低賃金を設定すべき賃金委員会を設けまして、そうして勤労大衆の最低生活を保障して参りたい、その方面からも勤労意欲の高揚を図りたい、こう思つております。要するに我々は破壊だとか、或いはサボだとかいうことによつては勤労大衆を含めた國民大衆の生活は断じてよくならんということに、全勤労大衆が著々と目覚めつつある。又私共がそういうふうな方面に労働者の教育をするというのが労働省の目的でもある、こう思つております。即ち健全なる組合運動の確立という線に向つて一生懸命努力しておる次第でございます。
#103
○堀越儀郎君 只今の御答弁について労働意欲の低下は戰後の虚脱状態によるという御答弁であつたのでありまするが、勿論お言葉の中に、段々それは回復するというようなお話でありましたが、その虚脱状態というものは恐らく終戰直後だけの問題ではないかと思う。すでに三年半も経過しております今日は、恐らくそれは問題でなしに、もつとそれ以外の深い原因がありはしないか。つまり生活の不安というようないろいろ根柢になるものがあるのではないか。そういうものに対してもう少し労働大臣として御答弁を願いたいと思います。
#104
○國務大臣(増田甲子七君) 堀越さんが思想方面において勤労者の労働意欲が高揚しない深いものがありはしないかというお尋ねでございますが、私はやはり虚脱状態は終戰直後ばかりではないと思つております。日本の國民性として、過激性だとか、雷同性とか、便乘性だとか、こういうようなことを指摘されておりまするが、これは平時においてすら過激性、……徒らに過激な議論を好む國民性がある。これは何も勤労大衆に限つたことではありません。全國民を挙げての一つの民族的の欠陷であると、こう言われておりまするが、そういうような欠陷が戰爭のときには時にひどく発揮された。その状態は私はなかなか終熄していない、こう思つております。併し一面において、そればかりではないというようなお考えに対しても私は同感でありまして、よく識者の指摘しておりまする通り、民主主義の穿き違えというような思想はありはせんか、というような点にも私は先程触れたかつたのでありまするが、ちよつと触れることを忘れておりましたが、民主主義の思想の根柢には個人の人格の尊重、権利の尊重というようなことがあるのでありまするが、この権利思想というものを私はよく育てて行けば非常によい思想であると思つております。ただ併し非常に誤解をしておる向きも極く一部にはある。即ち権利思想というものは必ず義務が裏付けされておる立体的の幅のあるものでありまして、権利だけがあるという平面の世界ではない。即ち二次元の世界には権利というものが存在しておらない。我々人類の社会は三次元の立体の社会であつて、必ず義務がある。でありまするから権利思想といえば即ち義務思想である。こういうふうに私は考えております。義務思想のない権利思想というものは、それ自身実存し得ない矛盾を含んだ欠陷のある思想である。眞の権利思想ではない。こういうふうに思う次第でありまして、でありますから本当の権利思想によく國民大衆が目覚めて頂きたい。殊に勤労大衆が目覚めて頂きたい。でございまして、若し本当の権利思想に目覚めたならば、権利は大いに主張して欲しい。例えば労働協約等に書いてありまする労働條件の維持改善についての約束はどしどし使用者側に(「権利を皆奪つているじやないか」と呼ぶ者あり)責めて行つて欲しい。そうして労務省が自分の権利を主張し、要求すると共に、その裏付けになつておる一方の條件である義務は、大いに充実した守り方をして欲しい。即ち勤労時間等は精一杯働いて貰うと同時に、権利は大いに主張して欲しい。こういうふうに私は考えておる次第でありまして、眞の意味の権利思想の普及徹底ということについては、我々はもとより職責を感じておりまするが、この点にやや欠くるところがあつたということも、一つの労働不安の原因ではないかと思つております。
#105
○中西功君 今労働委員の答弁を聞いておりまして、私は憤慨に堪えない。
#106
○委員長(黒川武雄君) 労働大臣です。
#107
○中西功君 労働委員でも余り変らん。ところでこの下で一体何が起つておる。この無所属クラブの控室の中で今何が起つておる。これは大屋商工大臣を呼んで商工省の職員諸君が押し掛けて來ておる。そうして越冬資金、或いは補給金、その問題でもう必死の叫びを挙げておる。若い女の人も青年も來ておりますが、一月二千円ぐらいの、而もそれが分割拂いで一体どうして食つて行ける。今出ておつた話は実に聞くに堪えないことであるけれども、もうすぐに副業が非常に発展しておるし、而もその副業の中には、実際には闇の女と変らないようなことさえ起つておる。もう食つて行けないのです。それがあんたたちの使つている職員の現状じやないですか。そうして今回答書を受ければ実に漠然とした、訳の分らん回答を受けておる。もう全く、君たちは勝手に死ね。職場放棄とか何とか、そういうことをやれば公務員法で縛り付けられることになつておりますが、もうこの回答は、職員諸君が勝手に自分自身で生活の途を見付けるより外ない。そういうことをこの回答者は言つておるのであります。そういうふうに理解していいのか。実に悲痛な叫びです。こういうことをして置いて何が増産ができる。何が仕事ができますか。寒冷地手当の問題に対しても同じことです。殊にこの五千三百円ベースの問題は実にインチキです。三千七百九十一円のときはとにもかくにもまだ数字上のインチキはなかつた。この今度の六千三百円は、これで四割上げたとか何とか大いに宣傳しておる。飛んでもない話です。これはこの間の公聽会にもあつたと思いますけれども、超過勤務手当なんて、全部今度はぶち込んである。もう超過勤務をして本当に働いたところで貰えないことになつておるのです。だから、役所で居残りしてやる人は殆んどいなくなると思うのです。こんな処置をとつておつて何が働く。勤労意欲がないとか……これは自分たちがこんな政策を採つてやつているのじやないですか、戰爭の虚脱だとか、或いは一部の指導者が過激的なことをやつた。大体戰爭の虚脱は、そもそも我々日本國民は惡い戰爭をやつて來たのだ。不正義な侵略的な戰爭をやつて來た。その惡い戰爭をやつて來たということを教えずに、國民が非常な反省期に入つているのを一つの虚脱だ、こういうふうな言葉でごまかして、そうして自分たちの戰爭責任というものをごまかそうしている。それだけじやなくて権利と義務の穿き違いをやつている。そういうことによつて今日どんどん民主的な國民の権利というものを奪つているのじやないか。現実にそういうことをしておつて働けないのが当り前です。そうしてそういう人たちが止むを得ずに自分たちの職場を守り生活を守るために、いろいろの労働運動をすれば、これは不健全である、或いは行き過ぎである、実に勝手なことを言つていると思うのです。私は労働大臣に具体的に聞きますが、今度の五千三百三十円ベースと三千七百九十一円ベースを比較して、一体どれだけ上つているか、これを具体的にはつきりと実は言つて貰いたいと思います。
#108
○國務大臣(増田甲子七君) 中西委員の御質問にお答え申げます。今度の五千三百三十円というのは、実はいわゆる五千三百三十円でございまして、六千三百七円と比較いたしますと、一千円ばかり低くなつておりますが、どういう点で低くなつたかと言いますと……。
#109
○中西功君 そうじやなくて三千七百九十一円との比較は……。
#110
○國務大臣(増田甲子七君) これを三千七百九十一円と比べますと、C・P・S、C・P・Iの実質生計費の指数の関係を考慮に入れて、実質賃金といたしましては、三割余の向上ということになつております。
#111
○中西功君 その三割余の向上ということは、政府から出した説明書にそう書いてある。その実質賃金が物價関係から今政府が作つている数字からそういうことを出しているということになつています。併し私もそういう意味で政府或いは公に出された統計を使つて見れば、詳しい数字は面倒臭いから言いませんが、この三割ということは大きな見地から見ても、こういうことを看過している。即ち総理廳統計局が出しているいわゆる攝取カロリーの統計があります。これはC・P・Sですが、それによりますと、今年の一月は統計で國民は一千五百十九カロリー取つておつた。今年の八月は一千九十六カロリー取つておる、いわば五〇%減つておる。こういうふうに現に栄養はこれだけ減つておる。その上に立つた数字を持つて來て、そうして実質賃金が三〇%上つたとか上らんとか、全く無意味です。現に非常にはつきり示していることは、あなたたちが今日使つている職員が如何に困つているということだけ見ても……実際何も向上してはせん。実質賃金が三割上つたなんて飛んでもない話です。これは欺瞞も甚だしいです。こういうふうなカロリー量が五〇%減つておるということを一体考えてやつたのかどうか、それを聞きたい。
#112
○國務大臣(増田甲子七君) 今の厚生省でしたか、どこかの調査の数字か私は存じませんから、それについてのお答えを申上げかねますが、実質賃金は三割余の増ということになつておるのであります。殊に今の数字のうち、千五百カロリーが千九百カロリーになつたということは、これはどういう調査か、後で調査すれば直ぐ裏付けて申上げ得るのでありますが、御承知の通り十一月からは二勺の加配になつておるという点につきましても、カロリーが減つて來るということがあり得ない筈であります。
#113
○中西功君 今度の五千三百三十円ベースの中には超過勤務手当というものはぶち込んである。今までは三千七百九十一円のときはこれが除外されておつたわけです。そういうことで、超過勤務でともかくもこんな一時を凌いで來ておる。今後政府としてはこの超過勤務手当というものをどうして出すのか、或いは全然やらないのか、それをお聞きしたいと思います。
#114
○國務大臣(増田甲子七君) 超過勤務は三千七百九十一円のときと同樣に外してあります。
#115
○中西功君 それはどういう項目で外してありますか。
#116
○國務大臣(増田甲子七君) 今手許に細かい書類がございませんが、とにかく五千三百三十円の中にないとこは明瞭でございます。
#117
○中西功君 序でに賃金問題について一つ聞きたいことがありますが、この間私は運輸大臣に海員の問題についての質問をいたしましたが、この問題も懸案事項になつておるのです。若し組合側と妥結がついたならば、当時の運輸大臣の話では予算の修正案でも出すというふうな話であつた。実に考えておかしいのですが、ともかくもそういうふうな話です。更に寒冷地手当の問題についても、今非常に揉めておると思う。ともかくもその項目がこの我々に出された予算案の中には組んでいないということは、これははつきりしておるわけです。未だにそういう問題が解決しない。そういうふうないろいろ未解決の問題が沢山まだ残つておると思うのです。我々はここで質問してももう暫く待つて貰いたいというふうな回答ばかりで、商工大臣においても同どことである。石炭の問題について解決ついたらどうするのだと言えば、いやその中にはつきりしたことを出して、そうして又御審議願う、こういうようなことばかりである。とにかく今度の予算全体、この組み方というものはこれは項目やそうしたことを言つても、実におかしなことがあつちこつちに入つておるのです。折角我々に提出して置きながらまだ未解決の問題が沢山ある。而も一方に政府はこの予算の審議を非常に急いでおるということをよく新聞に出しておる。実は私は無責任だと思う。我々に返答することを一つも返答しないで、從つて一方においては非常に急いでおる急いでおると言つておる。具体的に聞きますが、その寒冷地手当の問題は一体どういうふうに解決するつもりなのか、大体いつ頃にその問題がはつきりするつもりなのか、それをお聞きしたいと思います。
#118
○國務大臣(増田甲子七君) 寒冷地手当並びに石炭手当のことは、私は労働大臣として特に職責上責任を感じておりまするから、一生懸命に今折角、從來もそうでございまするし、現在のところも心配させて頂いております。これが支出方その他に関しましては、これは大藏大臣からお答えをいたしたい、こう思つておる次第でございます。
#119
○中西功君 労働問題を、これは大きな労働問題だと思うのですが、それを組合側との折衝において佐藤官房長官が当つておるというように聞いておるのでありますが、以前の内閣は大体労働大臣が責任を以てこの解決に当つたと思うのであります。我々の質問にも責任を以て答弁したと思うのでありますが、併し今度の労働大臣がそれ程権限がないというならしようがない。敢えてそういう問題は聞きませんが、具体的に労働省の職員諸君に対して今度越冬資金をどれだけやるつもりであるか、それをお聞きしたいと思います。それはあなたの責任の問題です。
#120
○國務大臣(増田甲子七君) 中西君が予算書で御覧の通り、越冬資金はこれに計上されたものではないのであります。というのは、これは予算、政府の議案並びに法律案は関係筋の御了解の下に出すということになつておりまして、その了解が得られなかつた関係からそういうことになつたのであります。私共は年越しの場合に何らかの金を以て年を越すということでないと、到底この年の瀬は越し難いのであります。全官労一致した配慮をいたしたいと、こう思つて折角努力中であります。できれば一ヶ月分位は是非普通の月の一ヶ月分だけ余計支給いたしたい、こう思つておる次第でございますが、どうなりますか。まだ御協賛を経ないと分りませんが、是非そういうふうにいたしたいと、こう思つております。
#121
○中西功君 その一ヶ月分は非常に結構だと思うのでありますが、御協賛というのは誰ですか、議会に出すつもりでおるのですか。
#122
○國務大臣(増田甲子七君) 今出した予算書を御協賛下されば、その中で何とか工面をいたしまして三千七百九十一円と五千三百三十円との鞘というような関係から普通の月の、從來上らない月の月給の二ヶ月分位になるようにしなかつたならば、なかなかこの年の瀬は越し難いというわけで、もとより公務員関係につきましては労働省の所管は離れておりまするが、併し一面は公務員はやはり勤労者でありまするから、勤労者の利益を保護するという見地から折角配慮をさして貰つておる次第であります。
#123
○中西功君 そうするとこの予算書を横々が通過させれば、この予算書の中で何とか工面をつける、そういうふうな式に受取れるのでありますが、併しそれは我々といたしましてはそういうふうに言われるならば、一体どういうふうな工面でやられる所存かということも、やはり聞いて置かないとおかしいことになると思うのであります。実は寒冷地手当の場合の問題においても、予算人員と実人員との差額の点を何とかやるというふうな話も聞いておるし、或いはその他の場合におきましても、それによく似たようなことを聞くのです。これはこういう点で私は先にも言つたように一つ予算の組み方が、もう政府自身が非常に融通性のあるような、即ちどういうふうにこれを使おうと後は勝手だというような、そんな前提に立つてここに出しておるということが非常にはつきりするのであります。それは民主自由党の性格を示すものとして、そういうふうにやられるという手もあるでしようけれども、併し我々として、審議する者にとつては非常に困つたことだと思うのであります。ただ普通私はこの際越冬資金的なものとして一ヶ月近く、とにかくやるということなら、併しそれは非常に賛成です、やつて貰いたいと思います。併し先にもちよつと話を聞いておりますと、十一月、十二月のこの二つの給與の間の差額は大体三千二百円あると思うのです。その差額で充てようというふうなことになれば、これは実にごまかしだと思うのであります。更にもう一つはこういうふうに融通性のあるような予算を作つて置くという、そして何とかやつて工面しようというようなことは一つは首切りによつてこういう問題は解決しようとそう考えておる、若しそれならばはつきり三割なり四割首切る、それなんだからこれでけは浮きますとこういうふうに我々にはつきり言うべきだと思う、そういうこともはつきりさせずに内心はうんと首を切ることによつて何とか解決したいんだというふうな全く私はすべてがごまかし的な行き方だと思うのであります。こういうことは私は今までの予算では聞いたことがない、今度初めて聞くのだ、こういう意味の予算は、ですから私はちよつとお聞きして置きたいのだが、十一月、十二月、差額三千二百円、それで充てようという見通しなのか、それとも何とか工面するという意味は首切りによつて浮かすのであるということ、どちらかと思うのでありますが、それをはつきり聞いて置きたい。
#124
○國務大臣(増田甲子七君) 今申しましたのは一ヶ月ぐらい是非私といたしましては、即ち労働大臣といたしましては全公務員が以て年の瀬を送るようにいたしたいとこういう方針で一生懸命努力しておりますということを申上げた次第でございまして、まだそうなるとも何とも限らないわけであります。そこで十一、十二月の鞘が出ておることはこれは中西さんも御認識になりましたからまあそれはよろしいのでございますが、その他の関係で後の五百円なら五百円を若し浮かすのであるならば経理のやり方は民主自由党の性格から來るものであるとおつしやいましたが、決してそういう経理の仕方は民主自由党の性格から來るものでも何でもありません。今御指摘のような欠員もございますれば、欠員を余るようにいたすような経理をいたしておると言われましたが、経理ということは純事務的、技術的なもので良心の命ずるままに從來の慣行通りやるわけであります。それで出なかつたものはもう致し方がない、こういうわけであります。そこで若し何か金があれば首切りということを前提にしておるということをお聞きになるのは当然であります。中西君御存じの通り行政整理の場合には当該予算の上に出るくらいお金はいるのであります。当該予算が儉約して黒字が出るということは絶対ございません。行政整理をした結果どういうような利益があるというと、翌年か翌々年の予算を皆様の下に協賛を求めるとき、提出するときに数が多少減つて來ると、これだけでございまして、皆さんの御協賛を得て從來例えば百億円なら百億円が九十九億円になるということは絶対ありません。若し百一億、百二億円になりまして、暫定的手当を出すということになりますれば百二十億円になりますというのが從來のあらゆる行政整理の場合の慣例でございまして、そういうような首を切ることによつて金は絶対に捻出し得ない、若し行政整理によつて益がありとすれば翌年か、翌々年の予算に計上して皆様の下に予算案として出す、こういうことになると思うのであります。皆様の下に出す予算の数字が黒字であればごまかして使うというようなことのために首を切つても決して金は出て來ないのであります。
#125
○中西功君 そうすると、今度の予算案には行政整理の分は全然見込んでないと、こういうふうに見ていいわけでありますか。
#126
○國務大臣(増田甲子七君) さようであります。
#127
○中西功君 一つ具体的に私は労働者の諸君に代つて……一月位やりたいと労働大臣が考えておる、努力しているというのですが、現実の問題として、もう今日明日の問題に迫つておる。だから一体いつそういうことを解決するつもりでおるのか、私聞いて置きたい。いつまでにね。(笑声)
#128
○國務大臣(増田甲子七君) これも予算の経理の技術的の関係でございますから、大藏大臣がお答えした方が適当でございますが、大藏大臣の言つているところを私がお傳えだけを申上げますが、十三日頃までに予算を議決して下されば幾ら遠隔の地でも、年内には支給することを滯りなくやり得るというのが、大藏大臣の先日の参議院の或る委員会における弁明でございました。
#129
○中西功君 それは具体的に幾らやると言わなければ問題にならん。そんな技術的なことではなく……今現に商工省でも農林省でもどこの省でも、職員があの通り詰掛けているじやないか。実際問題として……。
#130
○國務大臣(増田甲子七君) 中西君の御質問御尤もでございます。私共も幾らやるという返事を本当ははつきりいたしたいのでございますが、國権の最高機関である國会の協賛を経た後に、算盤をふんで見て、先ず一ヶ月位出したいという方向で進んでおるし、又……。
#131
○中西功君 冗談でしよう。予算が通らないですよ。
#132
○國務大臣(増田甲子七君) 大藏大臣がやつておりますけれども、まだ意思決定をしておりません。大藏大臣がまだ意思決定をしていない位ですから、私が意思表示をするまでの運びに至つておりません。私としてはそういう方針通りにやつて欲しいと大藏大臣に要望しておりますが……。
#133
○委員長(黒川武雄君) それでは價格調整費予算につきまして、阪田主計局次長から御説明を願います。
#134
○中西功君 実際おかしいよ。我々に幾らやるということを言えないなんて馬鹿な話はない。それじや矛盾案に協賛することができんじやないか。
#135
○委員長(黒川武雄君) この表を先日お配りいたしましたから……ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#136
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて下さい。
#137
○政府委員(阪田泰二君) 先般價格調整備の予算に関します資料を一枚刷りにいたしたものを、御配付いたしましたが、それにつきまして簡單に御説明申上げて置きたいと思います。價格調整費の当初予算に計上されました額は五百十五億でございまして、これに今回百十億の追加がなされましたので、合せて六百二十五億の予算と相成るわけであります。それで御配付いたしました資料の六百二十五億の内訳ということになるわけであります。第一の安定帶物資に要する調整費の分でありますが、これは当初予算に計上いたしました額に比較いたしまして、増加した分、減少した分でございますが、ここに掲げました石炭、鉄鋼、非鉄金属、肥料、曹達それを合計いたしまして、増加いたします額が十億五千七百万円、こういうことになつておるわけであります。内訳について申しますると、石炭については当初見込んでおりました額は百六十四億八千八百万円という額でありましたが、この予定では百六十億ということに減少いたしておるわけであります。これは大体石炭の補給金は特定産業向け、その他交通の関係等に出るものでありますが、その方面に向けられる石炭の量が減少したというところから、さような結果に相成つております。それから鉄鋼の方でありますが、これは当初予定しておりました百九十一億七千五百万という数字がここにありますように二百八億というふうに増加いたしております。これは大体生産が増加いたしました関係上、補給金も殖えた。こういう関係になつております。非鉄金属におきましては、当初の二十六億という予定が二十五億余に減少いたしております。肥料におきまして、当初の百五億という予定が百二億に減少いたしております。曹達におきましては、当初の八億五千という予定が十億というふうに増加いたしておるわけであります。いろいろ生産の関係その他の関係によりましてさような増減がありまして、これを纏めましたところで、総体で十億という増加に安定帶物資についてはなつておるわけであります。
 それからその次に雜件という分でありますが、これは安定帶物資以外のいろいろの特殊な関係の補給金でありますが、前年度以前に属する分の未生産であつた分でありますとか、或いは農家報奨用の酒、飼料、繊維、味噌、そういうようないろいろの物につきまして、特殊の事情によつて出すもの、或いは前年度或いは今回の物價改訂以前の補給金でありまして、まだ出ていなかつたもの、そういうものの分として見込んでありました分でありますが、これがここにありますように十三億二千九百五十八万余円ということになりました。これはいろいろそのように必要と認められてありましたものの中で、出さなくてもいいものが出て参りました。生産の結果数量を減じたものもありますし、当初予定いたしておりましたが、実際には必要となるに至らなかつたというような費目もありまして、合計におきまして四億六千五百四十一万八千円、それだけ減少いたしまして、これだけの額になりましたわけであります。
 それから第三に新規として挙げておりますが、これは二の雜件の系統に属する分でありまして、新らしく出て参つたものであります。北海道暖房用炭十二億五千六百万円と申しますのは、これは北海道に家庭用として配給されまする石炭の中で、二トン二分ばかり配給量があるわけでありますが、一トンだけを安い旧公價で配給するということになつて参ります補給金の増加であります。その次の炭鉱労務者賃金はね返り、これはまあ俗な言葉で表現してあるわけでありますが、先般の物價改訂の際におきまして、炭鉱労務者の賃金を一應四千円と予定いたして多少のマージンを見込みまして單價を決めたわけでありますが、実際に決まりました賃金との差によりまして、更に採算上開きを生じて來た。その分を埋める金額であります。北海道地区炭鉱從業員手当、これは北海道炭鉱労務者に対しまして、今年の四月以降一人当り五百八十円というものを支給いたしましたものでありまして、これも炭鉱の採炭をやるために補給いたした分であります。
 それから石炭業生産奬励金及坑内夫特別措置税金、これは石炭労働者に対しまして、生産奬励金として支給しました金額に対しては、税金を引かないで、手取りの奬励金を與える。又坑内夫の賃金につきましては給與が増せば増す程所得税の税率が高くなるわけでありますが、それが余り高くなりますと、勤労意欲を阻害するというような意味から、源泉課税の税率が三十五%以上になる場合にも、三十五%以上になればそれは会社で負担して労働者には三十五%までの税金しか取らないような特別な措置をいたしたわけでありますが、そのために結局会社は税金を自分の負担で拂わなければならない。給與から引くことでなしに別途の会社の計算から出さなければならないということになりまして、必要と相成つて参りまする金額は二十五億円ということになるわけであります。これはそのまま國庫に税金として戻つて來るという勘定になります。
 その次の農業共済再保險保險料、これは食糧管理特別会計におきまして農業共済再保險の保險料を拂つておるわけでありますが、これは当初消費者の米の値段その他食糧の値段に織込むべきものであるとして計算いたしておりましたわけでありますが、今回の米價の決定に当りまして、これは織込まないことに決定いたしましたので、一般会計においてこれを負担する必要があります。價格差の関係上生ずるものでありますので、價格調整費からこれも支出することにいたしたわけであります。この金額は総体の所要額といたしましては九億程度になりますが、実際問題といたしまして、食糧保險の特別会計におきましてこれを消費者價格に割掛けて回收するといたしましても、大体この年度内に五億程度回收されるという計算に相成つておりますので、その五億円の計算そのままを一般会計で今年度としては負担する、來年度におきまして残りの分を更に負担する、こういうような計算にいたしたわけであります。これらを合せまして四十五億、以上全体を差引きまして尚五十九億の金額が残つておるわけでありますが、これは現在石炭、電産、私鉄、金属、いろいろそういうような関係におきまして問題が起きておりまするし、その外今後いろいろな事態が予想されますので、金額としては決めかねるわけでありますが、そういうような事態に対する予備といたしまして五十九億をその外に計上いたして置いたわけであります。
 以上を合計いたしまして、予算額の全体の内訳というようなことになるわけでありますが、簡單でございますが以上を以ちまして……。
#138
○田村文吉君 五十九億の問題について祕密会でお話ししようという話もあつたのですが。
#139
○中西功君 僕はやつて貰つた方がいいと思うな。
#140
○委員長(黒川武雄君) 後程……。次は建設大臣に対する質問を行います。
#141
○深川タマヱ君 住宅難の緩和につきましてちよつとお尋ね申上げますが、まだ講和会議が開かれておりませんので、日本の産業計画が明瞭に立てられないと存じます。住宅というものは單に人間が住むだけではありませんで、当然その職業と関係があると存じます。日本の産業計画が立ちましたら、立地的な関係で当然工場の所在地も分るでありましようし、その附近に住宅を建てるという計画も立つと存じますが、これはまだその段階でもございませんし、更にセメントの不足のためにやたらに燃燒の木造家屋を建て、殖やすということも考えものであると存じます。その暫定措置といたしまして、全國に数万あります寺院の開放を私は提案いたしたいと存じます。成る程寺院というものは宗教的な特殊な目的がありますので、森嚴な雰囲氣を保たなければならないかも知れませんが、一方におきまして家がないのでこの寒空に生命の危險を感じておる國民がおりますのに、衆生済度をする寺院がすでに立派な設備を遊ばしておるということは、非常にこの時期にはふさわしくないと存じますので、暫くの間あれを官公吏とか学生の独身者の寮にして頂きたいと思います。お坊さんは宗教を弘めますのには、私共と同樣に街頭に出て墨染の衣を着て説教すれば十分であると存じますし、部落に行つて説教するのも結構だと存じます。先だつても吉原を見学いたしまして、遊女に一体ここに來るのはどういう人間が沢山來るお客さんかと聞きましたら、疎開鰥が一番多いということを聞きまして、私は同性の女性に対して非常な同情を持ちますので、やはり主人公が都会で生活いたしておりますと、妻や子供は夫と一緒に生活をするのは当然でありますので、そういう人のためにもこういうふうな設備のできている家は、どんどん臨機應変の処置で開放して貰いたいと存じます。
 それともう一つですが、昨日の新聞に東京都では、今議会が賣春取締法を通過するまでの暫定措置といたしまして、賣淫取締に関する規則を制定いたしております。その内容によりますと、勿論賣淫をした者は処罰されますが、賣淫を目的として相手を誘惑した者及びそれをとり持つた者は処罰されることになつておりますので、吉原の遊郭とか玉ノ井そういうのが沢山東京到る所にもありますが、一体ああいう所は明らかに賣淫を媒ちするために建てている怪しげな住宅でありますので、どんどんこういう住宅を開放して、今のような不幸な人に提供して貰いたいと思うのであります。その外に住宅についてはもつと沢山お聞きしたいと思いますが、先ずそれからお伺いします。
#142
○國務大臣(益谷秀次君) お答え申上げます。今日住宅難を解決いたすということは、最も緊要なことであります。住宅に寺院を開放するということでありますが、御承知のごとく信仰と密接不可分の関係にある寺院でありますから、今日政府といたしましては、これを住宅方面に開放するという意図はございません。併しながらこの住宅は速かに解決いたさなければならんという緊要性から鑑みまして、十分に考慮いたして参りたいと存ずるのであります。尚吉原その他の住宅のことでありますが、あの建築物のことでありますが、これは今日政府といたしましては、御趣旨のように開放するということの考えはございません。將來の問題になるかと存じております。尚附加えて申上げますが、今日この余裕住宅であります。これに対しては最近政府といたしましても、各地方廳に対して勧奬いたし、住宅に開放するように努めているのであります。
#143
○深川タマヱ君 余裕住宅のことでございますが、それにつきまして、一人平均八疊の間以上の部屋は貸すように奬励するし、まだ貸していないところは是非貸すようになつたことはもう数ケ月だつたように存じますが、その新財源が今回の補正予算の方に少しも現われていないようでありますが、その金は一体どこに納まつたのでございましようか。
#144
○國務大臣(益谷秀次君) 私の方では分りません。
#145
○深川タマヱ君 それからもう一つ。罹災者と引揚者には住宅建築の優先権があるようでありますが、一樣にいずれも金を持たないのでありまして、家を建てられる能力のある人はやはり持つている階級でなければならんのに、住宅の建築にいろいろ制限がありますので、それがためにうまく行つておりませんので、自由に誰でも木材を持つている者に建てさして、それに使用の制限を與える、暫くの間住宅に限るという制限を置く。或いはそれに課税するということをいろいろ民主自由党の方々から聞いたのでありますが、それに対してはどういうお考えを持ちますか。
#146
○國務大臣(益谷秀次君) お答え申上げます。住宅建築制限に関することは御承知の通り國家の産業再建のために、開発のために、必要欠くべからざる資材即ち木材でありますとか、セメント、鋼材、鉄鋼二次製品でありますとか、ガラスこういうものを最も多く使うのは建築物並びに附帶の施設であります。從つて重要資材を最も緊要なる用途に充当する建前から、制限を止むを得ずいたしておるわけであります。今日尚重要資材の需給状況から見ますると、直ちに住宅の建築制限を撤廃して、自由に建築するというようなことは至難かと存じております。併しながら努めて事情の許す限り運用を滑かにいたして、國民の不便を緩和いたすために努めておる次第であります。引揚者、罹災者という点には特にこの方面に意を用いてやつておりますが、これも引揚者のみを対象といたして、これに対して住宅をということは、先般本年の予算におきましては、これは厚生省の所管でありまするが、樺太引揚者に対する住宅は戸数は失念いたしましたが、これに対する住宅の建設に対しては、適当なる措置を講じてやつておるのであります。
#147
○深川タマヱ君 それともう一つ最後に……木材は大変高いようでありますが、木材は一つ供出制になすつたら如何でしよう。やはり濫伐は勿論惜しむべきことでありますが、一つ適当に調査なさいまして、供出制になさつたら如何でございましよう。
#148
○國務大臣(益谷秀次君) 戰爭以來今日まで木材の濫伐ということは、治山、治水の方面においても非常に弊害があるのでありまして、建設省といたしましては治水の方面からもこれに対して非常に憂慮をいたしております。これはひとり私の所管ではありませんが、開墾についても從來のような開墾のやり方では、國土を保全いたし産業を再建いたすためにふさわしいものではないという観点から、事業については今度余程しつかりした計画の下に実行いたして参ろうという政府の考えであります。木材の供出制度ということはひとり私の所管に属しないのでありますから、木材の需要と供給の立場から勘案いたしまして、十分に研究いたして参らなければならんと存じておる次第であります。
#149
○高橋啓君 建設大臣にお伺いしますが、今の質問に関連しておるのでありますが、この住宅建設がうまく行かないという隘路は、やはり今の許可制がその原因をなしておるのではないかと思つております。これは絶対に許可を追つ放してしまえということではなくして、許可の方式に欠陷があるのではないか、こう思うのであります。私の得たる資料によればセメントは非常に生産が高まつて緩和して來た。ガラスも相当間に合う。それから無論材木は……私は材木に関係して、全國の資料を持つておりますが、十分政府の計画を充すだけの材木はできておる、建設省の計画による所要材よりもずつと多く使つておる。尚依然として山の工場や駅とかに滯貨しておるという状態であります。そうすると何故に制限するかということは、これらの資材がないからであるということになるのでございますが、そこでこの建設はどうしても早くやらなければ困つておる人が非常に多いのであつて、これは國民等しく早く復旧することを望んでおるのであるが、今これらの制限に基いてそれぞれ許可をする。許可をされた人たちが、果してその人たちが建築するいわゆる資金とか或いは土地とかの処置ができるかどうかということが今日非常な隘路になつておる。むしろ資材の面よりも資金と土地の獲得に私は隘路があると思うのです。そこで今までのように一位、二位、三位というふうに順位をつけて、そうしてこの住宅の申込に対して許可をするという方式では、それらの順位の対象になつた人たちは今資金が枯渇しております。ただ空切符を貰つてその切符を横流ししたり、或いはその他の人たちに賣拂つて、そうして実際の許可目的に副うような実際の建築が行われていないというふうになつておると思います。実例は私が知つているところで多いと思いますが、これをもう少し作りたい人には作らせる。家だけできれば何とかとにかく利用價値がある。作りたい意欲を持つた人には、又作りたい人で自分が十分に作るだけの條件を持つておる者には許可するという方法で行つた方がよい、そのためには一定のいわゆる坪数を境としてその上の沢山の坪数を建築する場合には、それを税金とかその他の制限の方法で抑えるという方法を採つて、或る一定の坪数以下は殆んど届出程度のことで許可してやらせるという方法がよいと思うのであります。それに尚どうしても今資金措置をとらなければ私は四十万戸の一年計画もむずかしい。併し四十万戸でも足りない、少くとも六十万戸を建設しなければ社会不安状態を除去することができないのだが、今十二万戸かそこらの資金措置については、政府でははつきりした見通しを以てこれを処置しておるようですが、更にこれに加え、二十万戸について特別な建築に要する金庫のようなもの、例えば建設復旧金庫というようなものを設けて、特に建築に最も大きな隘路となつておる資金の心配をするようなことを政府で考えておらないかどうかをいろいろ伺いたいと思います。
#150
○國務大臣(益谷秀次君) 今年度は資材の方面等を勘案いたしまして御説のごとく四十万戸の建設見込を立てたのであります。これは幸いにいたしまして年度内に四十万戸が完成するものと見ております。否むしろ上廻るのじやないかという見通しをつけておるのであります。そうして只今仰せのごとくこの四十万戸中十二万戸は資金の裏付けのある建築物であります。即ち庶民住宅であるとか、只今お話申上げました樺太引揚者の住宅でありますとか、政府職員の住宅、炭鉱労務者に対する住宅というおのおの資金の裏付けのあるものが十二万戸であります。これも大体に順調に目的が達せるように見通しをつけております。残る二十八万戸がいわゆる自己資金による住宅であります。これに対しても前段申上げました通り予定の数は建つて参ります。参りますが今日最も住宅に苦しんでおられるのは、御承知の通り都市在住の勤労者階層及び重要産業を担当しておるところの労務者諸君であります。そうして今日の物價高その他の関係上住宅新築は非常に金が嵩んで参ります。最も必要とする都市の勤労者といたしましては、收入から見まして、自己資金で建物を建てるということは不可能であります。
 又一面公営の賃借住宅でありますが、半ば國庫において補助いたして、地方公共團体が経営をいたして参る公益の住宅であります。これに対しても建築物の費用の嵩むにつれ、家賃すら納めるのは困難な人が多い立場になつております。從つて政府におきましても、御質問のように、勤労者の階層と、又必要方面の産業労務者に対する何か資金の面を考慮してやらなければならんと存じておるのであります。從來は資材難もあつたのでありますが、今日幸いにしてやや資材方面においては緩和いたしております。住宅建築の隘路は資金であります。又敷地の方面に対しては、住宅の性質上長期低利の金を相当多量に融通いたさなければ、目的は達成することができないのでありまするから、特殊の住宅に対する資金融通の機関を設定いたして、そうして住宅難を緩和いたそうという企図の下に今金融機関設定のことについて愼重に研究をいたしておる次第であります。
 又敷地については、特に困難をいたすのは、都会若しくは都会の周辺であります。権利関係が非常に錯綜いたしております。一連の権利者の同意がなければその敷地を取得することができないのであります。任意契約による場合はできないのでありますから、公営住宅のごとき、一單位地を得るためには余程困難をいたしております。取得することができましても、非常に敷地が高價になるのであります。それに対しても、政府においては敷地に方面においての対策といたし何か適当に補助の途を考えたいと今研究いたしておるような次第であります。
#151
○高橋啓君 大変政府の方針に対して私はよいと思うのですが、尚許可に問題ですが、私が実際に経驗したことなのですが、二坪ばかりの既成家屋に建増しをするために、手続をしたところが、約半年、而もそれを対して図面とか何かの関係手続を要する関係費用が約二千円、折角地方に委讓し、できるだけ早く許可の始末がつくようにという大きな目的もあつたと思いますが、実情をよく見るのに、都合のいいようにというので地方に委讓してと思うのですが、やはり依然として許可の時期が非常の遅れておる。折角少しばかりの種銭というか基本となる金を持つておつても、その間どんどん値段が上つて公價も改訂されて行く。こういうことで折角大体の準備をして建築しようとする者もこの許可が長いために参つておる。これはもう非常に沢山の例を持つておるのですが、この許可をあんな面倒な手続で、而も細かいところまで政府が、或いは当局官廳が指示して行きまするということが大きな隘路になつておると思うのです。それでこれを或る大きな標準だけを決めて、大きな枠だけを決めて、それら対しては一定の樣式の届出だけすればいい、こういうことにしなければ依然として建て様る人が困るのじやないか、こう思うのです。そのようなところまで実情に即した飛躍した方策を政府が採る考えがあるかどうか、これを承わりたいと思います。
#152
○國務大臣(益谷秀次君) 御承知の通り、本年の八月三十一日までに建設省の地方の出張所を廃しまして、この際におきまして地方長官に――各都道府縣知事でありますが、これに対して大幅に許可権限を委任いたしたのであります。從つて現在十五坪以下のものは全部地方長官の許可で建築できうるようにして参つたのであります。これに対しても、更に資材等も睨み合して段段徐々に建築の制限を緩和して参ろうと考えておるのであります。
 手続の問題でありますが、誠に御趣旨御尤ものことであります。私自身も経驗があるのであります。非常に煩難で、そうして許可に至るまで、或いは不許可に至るまで非常に日数を要するのであります。誠にこれは國民にとつて迷惑千万なことであります。從つてこれを緩和する建前から建設大臣の認可権に属する建物に対しては二ケ月、地方長官の認可権に属するものは一ケ月、この期間を定めて、そうして今これを実行するべく各方面と交渉中であります。
#153
○高橋啓君 私の質問はこれで終ります。
#154
○委員長(黒川武雄君) 建設大臣に何か御質問ございませんか。
#155
○堀越儀郎君 私のお聽きしたいとこは、ちよつと速記を止めて頂きたい。
#156
○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#157
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて下さい。
#158
○山下義信君 これは大藏省へお尋ねするつもりでいたのでありますが、便宜所管が建設省でありますから、この機会に簡單に伺つて置きたいのですが、今回の予算の歳入の中で雑收入の中に、あなたの方の御所管で特殊物件の收入代金十二億計上しておいでになる。どういう程度に大体特殊物件の整理状況がなつておりますか。どういうふうな收納の仕方をいたしますと、この十二億というような回收ができるお考えでありますか、その辺をちよつと伺つて置きたいと思うのです。私の見るところでは、とてもこういうような回收はできないと私は考えておる。たかだかできましても一億乃至二億程度ではないかと思うのでありますが、十二億という特殊物件代金の回收のできるというのはどういうやり方をして、こういうお見込が立つのでありますか、その点伺いたい。尚念のために、現在未回收の中で回收可能であると建設省の方で認めておられまする未收代金はどのくらい見積つておいでになるか、こういう点を伺つて置きたいと思います。
#159
○國務大臣(益谷秀次君) お答え申上げます。只今の御質問中、数字の点は今ここに記憶いたしておりませんが、未收納方面は主として閉鎖機関の関係だろうと思いますので、この点は、どういう方面を收納できるか、どの方面は收納できないかという点については、調査の上はつきりした数字をお答え申上げたいと思います。
#160
○山下義信君 それでは数字に関しまする資料はあとで御提出願いたいと思います。この特殊物件の代金の回收は各地方廳にさせておりますことは大臣も御承知だろうと思うのでありますが、それの取扱いの経費の殆んど、殆んどではない、地方廳の負担になつておるのでありまして、実は地方廳も非常に、それがために財政困難な今日、迷惑をいたしておる。これが取扱いの経費は全部國庫の負担として、この回收代金の中から差根きをして取扱いをいたしたいと、かような希望を殆んど全國の地方廳が持つておるのであります。建設大臣はこの点大藏省と御相談になりまして、御善処なさるお考えがありますかどうか伺つて置きたい。尚この機会に私は、先般特殊物件の調査をいたしました関係がありますので、当該所管のあなたにこれ又一つ希望的にも申上げて置きたいと思うのでありますが、この特殊物件の代金の回收を完全にやろうといたしますと、國税を徴收いたしますると同じような手続を特に取るような処置をいたしません限りは、到底回收は不可能である。これは又別の機会に大藏省の主計局とこの点研究いたしたいと思うのでありますが、その点を何か御配慮をされなければ、代金の回收は到底これ以上不可能である。取れるだけのものは殆んど取つておる。言い換えますとこの十二億の特殊物件の收入という今回追加予算の見積は殆んど、これは実行不可能であると私は思つておるのでありますが、この回收につきまして、十分御考慮に相成りたいと思うわけであります。その点大臣はどうお考えになりますか、念のために承つて置きたいと思います。
 それから只今住宅問題にお触れになりまして、拜聽いたしておつたのでありますが、庶民住宅の関係で建設省の方で補助をお出しになります、その補助をお出しになります際のいろいろ事務の運びが、只今高橋委員から意見が出ましたように許可の手続の煩雑と同じように今度は補助金の交付に際しまして、相当に嚴重に、嚴格に調査いたしますることは結構でありますが、僅かな地方公共團体の手続の不備でありますとか、或いは了解が足りなかつたというようなことに乗じまして、本省において補助金の交付に非常に難色を示しまして、そうしてそれがために日子も要し、いろいろ交渉をするというようなことをいたさなければならんという不便が非常に大きいということを随所に聞くのでありますが、すでに家は建ててある、半額以上はいろんな金を工面をいたしまして、起債ができないような場合には、いろいろな金を工面をいたしまして、半額は作つて、すでに約束通り補助金を家ができたから本省へ貰いに行こうとすると、なかなかその額が順調にできないということを聞くのでありまして、こういう点、大臣は、そういう細かい事務当局の過失を一々御承知ではないと思いますが、住宅政策の上におきまして非常にこの点は重大な影響があると存じますから十分関係部局に御注意に相成つて頂きたいと思いますが、その点どうお考えになりますか、併せて御回答を得たいと思います。
#161
○國務大臣(益谷秀次君) 特殊物件の費用の收納については地方廳が非常に迷惑をしておられることを私も承知いたしておるのであります。從來の仕來りでやつて参つておるのでありまして、この点は現内閣といたしましては財政当局とも十分に連絡協議いたしまして何とか迷惑にならないようにいたしたいと思うのであります。更に國庫補助住宅の補助金の交付についての問題であります。私は十分手続上のことは承知いたしておりませんが、住宅難を解決いたす一助といたしまして速かに交付すべきものは交付しなければならんという考えを持つております。從つて只今仰せのごときことがありますれば、この方面に対して十分留意いたまして参りたいと思うのであります。
#162
○田村文吉君 私も少し希望的な意見になるか知れませんが、大臣のお考えはどうかと思いましてお伺いしたいのであります。今年の夏くらいからは大体資材の問題は割合に潤沢になつて参つたことは先程委員の皆さんからお話があつたようであります。要するに金が無くなつて参りまして、家を建てたいが金がないというような現在の結果になつておるのでありますから、この場合に如何にして家を多く建てるかということが大臣としても御苦心のあるところだろうと思います。そこで私は少し考えております点は、今お話のごとく十五坪以下の家は府縣知事に委してあるというのでありますが、又非常に資材が窮屈になる時代が來たら格別でありますが、先ず十五坪以内の家は無許可で自由に建てるということを一つお許しになつたらよろしいじやないか、若し木材にいたしましてもその他の資材が又非常に窮屈な状態になつたら、又そのときはそのときの手をお打ちになつたらいいじやないか、こういうふうに考えております。
 もう一つ、今ちよつと山下委員からお話がありましたように庶民住宅の問題であります。これは少し話が違うのでありますけれども、北陸、越後の方面等におきましては、大臣も御承知のように冬に建築ができないのであります。ところが家の割当が参りますのは大体夏過ぎお盆近くになつて來る。御承知のように東北方面の建築というものは前年の冬計画いたして置きまして、日の長い時に建築に掛かる、こういう段取で最も経済的にやれるのであります。冬の十一月からは全く建築できない、こういう状況になつておりますので、予算の関係で或る程度の決まりは遅れるのでありますが、大体割当等をもつと早く一つなすつたら余程雪國の人たちは便利をするじやないか、こう考えております。
 それからもう一つは、今金がなくなつて参りましたから、或る特殊の金融、融通のつく人が三十坪、五十坪の家を建てるということはあるかも知れませんが、これは又私は精々お止めになつたら結構だと思います。併し昔に比べて我々の生活が一番困つたことは何かというと、借家がないことであります。借家というものは全くないのであります。これは一方に家賃の問題というような点を或る程度合理的に解決してお上げになるということが必要であると同時に、どうしても今おやりになつておるような庶民住宅式のものを國なり公共團体が建ててやる。こういうことになるだろうと思うのでありまするが、その建てておやりりなつた家はできるだけ早く拂下げておやりになる。希望がなければこれは無理に拂下げるというわけに参りませんが、希望がありましたならばできるだけ早く拂下げてやつて、その金で又新規に建てる。こういうふうに、十のものが五つになり五つものが二つ半建つわけでありまするが、そういうような順に、順次に家を建てる方法をお考えになつたら如何か。
 もう一つ、庶民住宅の問題ですが、今工場の住宅が建て易い。というのは事業会社は自分の從業員を入れなくちやならんから、そういう福利施設の上から言つても何とかして家を建てたいという希望を持つておりますが、今の庶民住宅は府縣のいろいろのお取扱いが違いまして、そういう工場関係には余りやらない。こういうふうのところもありますし、そうでない精々家を建てて貰つた方が便利だから工場でも何でも庶民住宅割当をいたしますからやつて下さい、こういうようなところもあるようでありますが、その見解がはつきりしないためにときどき問題を起しておるところがあるようであります。でありますから、これは一つ工場でも何でも庶民住宅の一つ割当をしと、精々余計建てさせるようになされた方が家が建つのであります。所銓は家が建ちさえすれば、その工場の人が自分が住宅に入れば、今までの家が空く、こういうことになるから、住宅難が緩和して來る、こういうことでありまするから、山の中の一軒家を建てられるのは困るのですけれども、そうでない限りはできるだけ一つ工場でも会社でも、建てようと言つたら精々それを援助してやる御方針でおやりになつたらば、私は案外に家が建つのではないか、こう考えるのですが、そんな考えにつきまして大臣一つどんなふうにお考えになつておられますか、お伺いいたしたいと思います。
#163
○國務大臣(益谷秀次君) 住宅問題についてはいろいろの面から考究いたさなければならんので、建設省といたしましても、熱心にいろいろな方面からの角度から見まして、結局一般庶民に適するところの住宅を速かに作るということなんですから、それに副うように種々考究をしたしておる次第であります。今日の庶民階級と申しまするか、勤労者階級でも、大体建築費三分の二を政府が長期に貸し付けるとか、長期低利に貸し付けて、年賦償還させるというような方法を採りますると、相当数戸数が殖えるものと見ておるのです。又最近問題となりましたのは貸家の民営、貸家企業であります。この方面に対しても貸家企家を將來助長するようにという声も頻々として私共は聞いておるのであります。そうして戰前においては御承知の通り都市の住宅の七割が貸家であつたのでありまして、貸家企業の経営者がやつて参つたのであります。これにつきましても建築費の増嵩という、そうして借家人の実際支拂い得る家賃或いは賃金統制という関係から、非常に極端に平衡を失しておる関係上、貸家企家の方面に投資をするというようなことは今日殆んど絶望に近いのであります。これに対しても、結局隘路は資金であります。資金でありますから、先刻も申上げました通り、何とかして長期低利の資金を供給するという方法を講じなければ所期の目的を達することができないという考えから、先般御承知の通り総司令部においても金融機構に対する根本的改革の指針がありましたので、こういう線に副うて、住宅專門の金融機関を設置いたしたい。こういう考えから、愼重に各方面と連絡を取つて研究中であります。もとより政府においても、財政の許す限りにおいて、國庫の補助による住宅を一戸でも多く作りたいという考えで、本年度は約四万二千戸の公営住宅、庶民住宅を作るように計画を立てたのでありますが、本年は財政の許す限り都会における庶民住宅をこれ以上に多く建設いたしたいという考えで、目下計画を進めつつある次第であります。
#164
○委員長(黒川武雄君) 予備費について秘密会を開きます前に松村委員から御質問の点があります。
#165
○松村眞一郎君 私はこの度の予算を見まして、一番如何かと思います点は、予備費が極めて多額であるという点であります。それは参考書に纒めた表が出てやるのでありますが、その中で予備費が昭和二十三年度本予算におきましては二十億でありまするが、それがこの度の追加予算だけで四十五億というものも要求いたしておる。それのみならず、價格調整費の内訳を見ますというと、新規の要求が百十億でありますが、その中に五十九億というものが予備費である。凡そ予算の中に、或る費目の中で予備費の方が多いということは、これは私は予算として組んでいないものであると申上げてよいも思います。百十億の中で五十九億と申しますと、これは半分より上なんです。いろいろ予算に計上してある用途の決まつた方の金額が少いのであつて、用途の分らない金額の方が、半分よりも多いというような予算の組み方は、私は他に例がないだろうと思います。これでは予算が組んでないことになる。元來予備費の予算の不足を補うものでありますから、或る費目が計上されて、それの不足があるだろうというので予備費をとるのである。ところが予備費の方が多いということであれば、これは費目の計上ができてないということを証明するのであります。價格調整費の追加予算というものは、予算として体をなさないものである。百十億のうち、五十九億が予備費というのでありますから、これでは体をなさん。殊に予備費というものは元來事後承諾になるわけでありますから、成るべく少くすることが、予算審議に対して國会を尊重するゆえんであると思います。政府においても内閣で相当と認めるものを計上し、そうして国会がこれを議決するのでございますから、政府の出し方が不相当であるならば、國会はこれを議決することが、甚だ國会としては審議権をみずから放棄したということになり、政府としては國会の審議権に対しまして事前に審議すべきものの事後の方に廻しておるという状態になるのでありますから、私はかくのごとき予算は甚だ体を成さないものであるのみならず、これをこのまま無條件に承認するということは、國会自身が審議権を放棄するということになるということを私は痛感するのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それから先程申しました四十五億と五十九億を合計して百四億というものは、予備費なんです。百四億の予備費を即ち費途の分らないものを政府が提案しているというがごとき予算を我々がただ黙認して通すわけには私は行かないと思う。少くとも災害復旧のために六十億というものを計上しておる。それよりも多いこの予算は何の予算であるかというと、予備費予算であると言われても仕方ないと思う。政府は初めにおいてこの予算の二大支柱として給與費の問題と災害の復旧、この二つであると言つておる。この二大支柱の一つは僅かに六十億である、片一方において五十九億というものが價格調整費の中に載つておるのであつて、これはもう一億入れれば六十億になつてしまう。そういうようなことであるならば、用途の分らないものであれば、これを削つて、例えば五十九億を十九億にして、この中から四十億を災害復旧費に廻すならば、災害復旧費は百億になるのであります。用途の分らないものを五十九億認め、大事な予算については六十億しか認めないというがごときことは、私は納得が行かないということを申上げます。政府がどういう説明をされるか分りませんが、かくのごとき形において我々がただ協賛するということはできないのでありますから、何らかここに理由がなければ、この予算を國会として承認するということは私は納得ができないということを申上げます。例えばどんな説明がこれからあるか存じませんが、とにかく形の上においては、予備費の多い予算であつて、事後承諾に廻すという予算が大変に多いということであるから、私はこれは賛成しないということを申上げて置きます。説明は伺います。併しながら予算として体を成さない、こう思います。私は國会としては、或る費目を削つて他の費目を増額するということをやつていいと思います。前の古い明治憲法においてはともかくとして、新らしい憲法においては、そういうことをして一向差支ないと思いますから、むしろ用途の決まらないものは、災害復旧費の方に廻して我々もその配分を査定するということの方が適当じやないかというふうに考えます。一應この点について意見を申述べて、政府は如何なる考えを持つているかということを伺いたい。ところが予備費について四十五億の方の一般会計の全般的のものについていろいろ初めの説明にもございましたが、まだ決まつてないものがあるから、研究中に属するからそういう金額が計上してあるのだというのでありますが、それはできるだけ予算の方に早く決定して計上されるのが当然だと思います。大藏省内においていろいろ審議されておつて、そうして遅れているがために決定しないというものがこの中に計上されてないということになると、これは職務の方を早くなされたならば決定し得るのでありますから、そういう関係でこの予算が予備費において増額しておるというのであれば、これは甚だよろしくないと考えるのでありますから、予めそのことを申上げて、政府はどういうつもりでこんなような予算を組まれたかということの概括的なお話を承つた後に御説明をして頂きたいと思います。
#166
○山下義信君 関連して私も政府の答弁のありまする前に申上げて置きたいと思うのでありますが、この問題は今朝も私共も社会党におきまして予備費の問題をいろいろ話したのでありますが、ともかくも大臣の出席を求めてその説明を聞かなくちやならんからというので、大臣の出席を待つておつたのであります。言うまでもなく財政法の第三條は予備費の性質を、予見すべからざる費目に置くのでありまして、事後承諾に関しますことは只今松村委員のおつしやつた通りであります。この予算の予見すべからざる費目であるか、予見し得られる費目であるかという点につきまして、私共も問題に持つておりまして、然るに聞くところによりますというと、それがはつきりできないのは、まだ閣議で金額の決定ができないのであるから、予備費の中にこうして置いてあるんだということを聞いておるのであります。これは決まれば当り前に款項目によつて正式に組むべきでありまして、費途が決まればそうするべく、決まらざるものでありますなれば、正当な予備費でありませねば財政法の第三條の牴触する虞れがある問題であります。これは事務当局からその内容の費途をここで御説明をなされまするか、或いは大臣の責任ある政治上の御答弁になさいますか。これも関連いたしまして、この点を併せまして委員長のお諮らいに待ちますか、どういたしますか、一應の意見を申上げて置きます。
#167
○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#168
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて……。終戰処理費につきまして木村委員。
#169
○木村禧八郎君 主計局長が丁度お見えですから、この終戰処理費の内容についてもう少し詳しく伺いたいのです。非常に簡單に説明されまして、終戰処理費についてはいろいろ問題があると思うのです。金額も非常に大きいですし、もう少し詳細に御説明伺いませんと我々は簡單に承認できないと思うのです。
 先ず第一に、終戰処理費が殖えた理由として給與、終戰処理関係の労務費の増加、その他今まで予期しなかつた物價騰貴、そういうような理由を聞いたのですが、そのうち労務費はどのくらい上つたか、最初の見積りから見てどのくらい労務費が上つたのか、それからその他の物價騰貴、物件費についてどのくらい余計に見積つたのか、その点先ずお伺いしたい。
 それから第二には、これまで終戰処理費はもう法律も出ておしまして、マル公を嚴守しなければならんということになつておるわけですが、実際問題として、それはまあ困難なものであるもか知れませんが、從來マル公で六割とか閣で四割とかそういうような調達をしていたように聞いておりますが、現在それはどのようになつて、マル公がどの程度に嚴守されておるか、それで第二点。
 第三点は、終戰処理費の今後についてどういう見通しであるか、新聞なんかに傳えるところによりますと、段々終戰処理費関係の費用は、終戰処理費が段々減つて行くような、減らされるような傾向にあるやに報ぜられておりますが、この終戰処理費の今後の見込ですが、この見込の点についてお伺いしたいのです。
#170
○政府委員(阪田泰二君) 只今の御質問にお答え申上げます。終戰処理費の内訳につきましては、別途資料を御配付して置きました筈でありますから、それによりまして御覧願いたいと思いますが、只今御質問のありました点について申上げますと、労務者の給與は当初見積りが違いました関係と、尚今回政府職員の給與水準の引上げに伴いまして、終戰処理費の労務者につきましても給與引上げをすると、こういうような関係から当初予算で約百八十億円を見込んでおりましたが、二百四十八億、差引きまして六十八億余の増加に相成つております。それから物件購入費につきましても同樣購入の物件の内容に当初計画と変つて來ておる面もあります。それから物件ごとの値上り率がやはり当初の見込と大分狂つて來ておるような面もありますので、物件購入費として当初見込んでおりました約百五億の金額が、今回の改訂予算におきましては百八十二億と、約七十七億の増加とこういうことに相成つております。
#171
○木村禧八郎君 総額を聞いておるのではない。一人当り労賃どのくらいに上がつておるか。そういう意味なんです。
#172
○政府委員(阪田泰二君) 終戰処理費で雇傭しております職員の給與でございますが、これにつきましては大体いわゆる事務系統の職員の給與、それから特殊の技能系統の職員の給與、その外家事使用人と、こういうふうに分けて給與を考えておるわけであります。事務系統の使用人の給與につきましては、大体官廳の職員に準じた形で考えて参つておるわけであります。ただいろいろの事情、今日までの実際のベースの関係、いろいろ考え合せまして、大体におきまして、これは極く大体のことでありますが、一般の官廳職員の水準よりは一割程度の上のところに実際上決まつておるような次第でございます。今回官廳職員につきまして給與改善をいたしますれば、当然この分も同樣の割合で引上げられると、こういうようなことに相成ります。それからそれ以外の技能者、大工とか、そういつた式の特別の技能を以て勤務しておる者の給與でありますが、これにつきましては大体一般のプリペーリング・ウェーヂによりましてこれを定めて行くと、こういうことになつておりまして、このプリベーリング・ウェーヂは労働省の方で調査いたしまして発表するものでありまして、その発表せられた賃金通りの給料を支給して行く。それを基準とした給料を支給して行くということに相成るわけであります。それでそのプリベーリング・ウェーヂにつきましても、大体これは今後の見込が入つて來るわけであります。併し大体におきまして官廳職員の給與水準が上がつた程度の引上りがブリべーリング・ウェーヂにおきましてもあるだろう、こう見込みまして、大体現状に対しまして官廳職員が上がる程度の率で上がるというように見込んで、今回の三十億の増加の中に入れたわけであります。
#173
○木村禧八郎君 そうすると幾らになりますか。例えば大工なら大工が幾ら、人夫が幾ら……。
#174
○政府委員(阪田泰二君) プリベーリング・ウェーヂは非常に細かく地方的に決まつておりまして……。
#175
○木村禧八郎君 平均幾らぐらいになりますか。
#176
○政府委員(阪田泰二君) 一番簡單な雜役に服する者が、大体普通の地方におきましては二百円程度というふうに決まつておるわけであります。それが今後官廳職員の給與水準が上がるということになりますれば、こういうものも実際において或る程度上がつて來るであろう。こういうような見込みの下に、大体官廳職員が上つたと同じくらいそういうプリベーリング・ウェーヂというものも実際上つて來ます。
#177
○木村禧八郎君 というのは予算を見ればはつきり幾らということが單價に出て來るわけですね。例えば土建業なんか人夫賃がどのくらい見ているか。幾らくらい上がつたのか、幾らになつたと單價が出て來る筈だと思います。積算して幾らになると、全部出と來る。
#178
○政府委員(阪田泰二君) その積算の内容でございますが、余り詳細に亘つて発表することの自由は持たないわけなんでございますけれども……。
#179
○木村禧八郎君 この前終戰処理費については占領政策に支障がない限り詳細に檢党すべきであるということをむしろ言われたわけなんです。そういう意味で終戰処理費については占領政策に反しない限り詳細に檢討しなければならん義務があるのです。ですからその点についてはもつと詳細に説明して頂かなければ、金額が非常に大きいですし、予算の上に占める地位が非常に大きいのですから、この点詳細に我々は檢討しなければならんと思います。政府はもつと詳しく御説明が願いたいと思うのです。
#180
○政府委員(阪田泰二君) 只今の具体的の、終戰処理費の技能系統の労務者でありますが、この分の給與の平均がどの程度に相成るかというような点につきましては、それでは尚詳細に取調べました上で後刻お答え申上げることにいたしたいと思います。
#181
○木村禧八郎君 それは資料ですね。資料としてですね。
#182
○政府委員(阪田泰二君) はあ、それからその次のお尋ねの点であります終戰処理費の支出はマル公によつて行われておるか、こういうようなお尋ねの点でありますが、これは御承知のように政府に対する不正支拂の防止に関する法律という法律が公布されまして、今日におきましては終戰処理費の支拂はそういうものに基きまして行われておるわけであります。それで公價のありますものにつきましては当社その公價によつて支拂が行われるわけでありまするし、公價のないものにつきましてはその内容を分析いたしまして公價によつて計算したもの、或いはブリベーリング・ウェーヂ、その他認められた労賃によつて計算したものというような内容の構成に分解いたしまして、適正な價格を認定して、それによつて拂うと、こういうような建前になつておりますので、お話の点は大体現在におきましてはマル公によつて支拂われておると、こういうふうに申して差支ないのではないかと考えます。
#183
○木村禧八郎君 大体とおつしやいますが……。これはちよつと速記を止めて下さい。
#184
○委員長(黒川武雄君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#185
○委員長(黒川武雄君) 速記を始めて……。
#186
○田村文吉君 大藏省から出ましたこの給與に関する基準の問題でありますが、大体人事委員会の勧告から出ました二千二百四十円をベースにしてお組立になつておりますが、私はかようによくお作りになつていらつしやるということに敬意を表したのでありますが、ただ私が局長にお伺いいたしたいのは、実質賃金が三割大体上がる、こういうようなことの御説明になつておりますが、さような場合に、この家族手当の方は十割約殖えまして本給が三割二分増加する。こういうふうに在來よりは家族手当の方にウエートを多くお取りになつたことだけが、私としてちよつと合点の行かない点でありますが、これはどういうお考えで、或いは人事委員会の勧告が余りに家族手当に多くウエートを置いて來たからそれこれ参酌した意味でありますか。然らずして大藏省としては別の観点から、在來の本給の比率と家族手当の比率をもつと多く家族手当にウエートを見た、こういう何かのお考えがあるのでありますか、それを一つお伺いいたします。
 もう一つ簡單な問題でありますから伺つて置きたいのですが、公團の人たちの給與というものは可なり在來でも高いのでありまして、この公團の監督をしている官吏の方々がすでに監督されている公團の人たちに比べますとその率は下がつて來るというような実情にあるのでありますが、この際の給與の三割二分の上げ方はどういうような率でお上げになるのでありますか。又公團だけで見ました場合には大体どのくらいになつておるのでありますか。それを一つお伺いいたします。
#187
○政府委員(今井一男君) 申上げます。最初のお尋ねの本俸の増加割合に対しまして、政府案におきましては家族手当の割合が余りに大き過ぎやしないかという点につきましては、確かに一つの從來の政府の給與体系の行き方から考えますというと、若干方向轉換のような形に御覧になるのも当然と考えます。今まで政府の採つて参りました官公吏の給與体系におきましては、成るべく家族手当のようなものを早い機会に止めるために、この全体に占める割合を漸次減らして行く、こういつた方向で進んで参つたことは御承知の通りでありまして、大体先だつて來朝いたしました米國の労働調査視察團の勧告、人事委員会の勧告の線を踏襲して参つた次第でありますが、この二千九百二十円から政府が職階制というものを採用いたしまして、むろん現在の職階制は本格的な職階制とは申し難いことは人事委員会の勧告にございます通りでございますが、併しそれにいたしましても、その方向へ一歩踏み出したわけであります。今回の人事委員会の勧告案は、私共この趣旨を酌んで見ますと、家族手当を思い切つて大きくすると同時に、本格的な職階制を成るべく早く導入したい、こういつたところからああいつた勧告が出ておるのではなかろうか。関係方面の意向等を忖度するのでありますが、即ち仕事の性質上全然長い間勤めましても、労働價値が上がらないような仕事の者は、殆んど勤続いたしましても僅かな昇給しかない。その代り生活費が殖えるから、その面は家族手当でカバーしよう、こういつた考え方が入ることによつて、初めてあの案の合理化が肯けるのでありますが、併しながらその点も非常に尢もなところもございますが、併しながら現実の職階制からいたしますと、この点についてはやはり日本の從來の勤続による昇給、これは勿論議論の余地がございますけれども、これを或る程度織込んでおります。即ちどんな労働價値の比較的上がらない者でありましても、一生勤めますれば初任給の二倍半なり三倍程度には上がるような仕組に持つて行こう、こういつたのが現在の職階制であります。即ち本人給の中に家族給の分子を入れておる、こういつた観点が入つておるのでありますが、併し人事委員会のそういつた考え方も誠に尢もな点もございますので、ここで彼比勘案いたしまして、やはり家族給というものも或る程度認めると同時に、労働價値の差がないのに、漫然たる昇給をして行く面は成るべく減らして行く方向に行く。そうして彼此両方共に歩調を揃えて参りまして、本格的な職階性を早く導入するような前提を拵えることが、この時代には必要であろう。こういつた観点から、その外にも民間の例を参酌した点もございますが、主たる技術的な点はそういつた観点から、この割合を從來より殖やす、こういつたところが重点に相成つております。
 それから第二の公團のことでございますが、公團につきましては御存じと思いますが、公團法によりまして特例を設けることができることになつております。給與につきましても、特例が設けられることになつております。公團はいわば大部分の人は民間から採用されまして、特にこれが強制徴用的な形で採られまして、前職給と申しますか、前に受けておつた給與をできるだけカバーする、こういつた約束で人を集めました。ところがそういつた者をそのまま置いて置きますというと、新らしい人との間に非常に不均衝が起りますから、昨年殆んど一年掛かりまして、研究に研究を重ね、且つ又公團の職員、或いは理事者側と協議を重ねました結果、昨年の十二月末の閣議決定を以ちまして、一般の政府職員よりは三掌だけ公團手当として余計に割増を附ける、こういつたことになりまして、現在に至つております。但し普通のいわゆる職階的な何級何号、こういうことは、これは官吏の場合と全く同じようにいたしまして、その前職給を確保するという建前、並びに公團の臨時性、或いは恩給がない、或いは福利施設等において官吏に比して遅れておる、こういつたような点を加味いたしました三割というものが現在に及んでおります。ところが三割をそのままずつと持続させるか、或いは前職給との問題を解決したのだからして、更にこの幅を縮めるかということにつきましては、若干問題がございますが、今のところではそういつたようなことに相成つておりますので、別に公團の特殊性だけを特にカバーする。即ち外の、例えば税務官吏でありますとか船員でありますとか、警察官でありますとかいうような者につきましては、一般官吏と同じように仕事の價値につきまして評價いたしまして、その上に若干の割増を附けると同じような考え方をこの公團にも附けまして、現在やつておる次第でございます。
#188
○田村文吉君 もう一つ今の問題で……そうすると公團はやはり同じ率でお上げになる御予定でいらつしやいますか。
#189
○政府委員(今井一男君) そう私共予定しておるのでございますが、ただこの問題につきましては、只今の三割のことは、関係方面と完全に割切れてない面がございますので、我々としては、そういつたことに考えておりますが、全然はつきりしておるということを、確定しておるというところまで、今ちよつと申上げかねるのであります。
#190
○田村文吉君 今大藏省案の給與の立て方について、家族手当のウエートの問題を承つたのでありますが、人事院でも極めて早く職階制を決めると同時に、家族手当のようなものを廃めたいということを勧告の中に書いておられますのですが、ただ実質賃金が減りつつあるような場合においては、これは当然家族手当の問題をウエートを多くしなければならんが、実質賃金が三割も殖えておるという場合、ますます家族手当を殖やす形が今後も行くということは、これはやはり民間に一つの示唆を與えることになりますので、今後はこれは大藏省の案も又人事院案と対立して出る場合もあると思いますが、お考えはどうなんでありますか。やはり或る程度のパーセントでもお置きになる御予定か、そうでなくて、できるだけ実質賃金が上がる場合は、一つ家族手当は減らすのだという御方針であるのでございますか。
#191
○政府委員(今井一男君) 今までの家族手当の比率は、凡そ月收の十一%、三千七百円ベースでは十%になつております。今回のが十四%でございます。で普通民間の労組の諸君の言われますのは、大体家族の生活費の実額を、半分は家族手当に出し、半分は本俸に織込む。こういつたラインが電産の方でもそうですが、こういたしますと、大体十五から十八ぐらいに入るわけであります。從來は民間も二十%に近い、ものが相当ございましたが、最近はむしろ十%の方に近くなつておりますので、今回の政府案は、民間の高い部分の方にむしろ属するかも知れません。尚人事委員会案によりますれば三十%であります。
 私共の技術的な面から申しますと、今回の割合ぐらいを維持して行つて、そうしてお話のようにあらゆる機会に本人給の方に財源があれば繰込んで行きまして、そうして成るべく早い機会に本格的な職階給に織込むという体制が適当であろう、かように存じます。
#192
○中西功君 実質賃金三割の引上だというふうな説明があるのでございますが、その実質という意味ですがね、それは多分物價の指数関係から見たことだと思うのですが、ところが別のC、P、Sなんかを見ると、今年の一月と八月と比較すれば、即ち攝取カロリー量がそれは五十%減つております。内閣統計局の調査で、具体的な数字は面倒くさいから出しませんが、大体が一月が千五百カロリー、それから八月が千九十カロリーぐらいになつております。こういうふうに攝取カロリー量が減つておるのですね。減つておる状態を全然考慮せずに、ただ生計費調査の関係で、指数だけで三割上がつたとか何とか言うのですがね。一体これで実質賃金三割上がつたということが、大きな顔して言えるかどうか、それを聽きたいと思います。一体実質ということは何なのか。
#193
○政府委員(今井一男君) 申上げます。確かにこの実質賃金を何で計るかということは、御指摘のように極めてむずかしい問題でございますが、現在におきまして一番信用のあります指数といたしましては、例の消費者價格指数のC・P・Iを考えるんですが、C・P・Iは中西委員には、もう申上げる必要はないと思いますけれども、要するに量の関係を織込みまして、そうして物の値段を出したものでございまして、いわゆる実効價格でございますので、それだけ消費者として物の値段が上がれば上がつただけ、とにかくC・P・Iは上がりますので、C・PIを以ちまして賃金を割りますれば、とにかく現在のところにおきましては、一番実質賃金に近いものが出ると、ともかくもこれ以上の資料は今のところ発見し難い、こういつた意味におきまして、私共賃金をC・P・Iで除しまして、その差異を檢討いたしまして、そうして三割或いは一割になるという数字を出した次第でございます。
#194
○中西功君 それで今度の五千三百円ベースなんですが、それは三千七百九十一円のベースの実際なんかに比較して、これはまあ数字では四割とか何とか言えますですね、上がつたということは。併し実際に私たちがそういう職員の人に聞いて見ますと、四割も何も上がらんというんですね、精々上がつてこれは二割五分くらいしかしがらんじやないか、実際にですね……こういうふうなことを言うんですよ。それはいろいろ超過勤務手当の問題もありましようし、或いは寒冷地手当の問題もこれに入つておる計算であるでしようし、或いは又例の七十七億減らしましたですね、そういうことをいろいろ勘案して考えると、額面通り五千三百円じやないというんです。これはもう実質から言えば、二割五分くらい上がつたんではないかということを言つておりますですが、そういう点どうですか。
#195
○政府委員(今井一男君) 現在の三千七百九十一円ベースに対しまして、本俸を三割二分引上げた号俸、その号俸に切替える、こういつた建前を取つております。更に家族手当、勤務地手当につきましても、御承知の方法を採つております。これを突包めますれば四割五厘という増加率に相成りますので、全然問題のないことかと思うんです。ただお話のような疑問等が出ますのは、或いは一部、全体の中の一部でございますが、打明けますと、三千七百九十一円ベースの時代に、法律的に申しますれば、新給與実施本部長の承認を得ないで、一斉昇給等をやつた向きが若干ございます。そういつたところにおきましては、それをそのままに放置して置きますと、結局その官廳だけがずつと高いベースで続くことになりますので、切替えの機会に正しいベースに直さなければならんという問題が起つて來る向きがございます。そういつたところでは四割だけの差が上がりませんで、若干縮められるということは起りますが、それは全くの例外でもあり、又元々のベースが高過ぎたのでございますので、まあそれが誤解されまして、中西委員のお耳に入つたのではなかろうかと、かように思います。
#196
○中西功君 実際にこういうことがあるわけでしよう、二千二百二十円から、三千七百円に切替えるときに、大体一律に最初三割ぐらい出しましたですね。ところが同時に職階制とか、当時いろいろなことがありましたけれども、特に中、下級の方に行きますと、いわばそのとき貰い過ずておつたので、返さなければならんというふうな計算になるところもありましたですね。ところが実際貰つてしまつて、使つてしまつておるんです。そう沢山いいつ余裕のある生活じやないですから、貰うと直ぐ無くなつとやうわけです。それで、実際にその問題について、確か現場では相当いざこざといいますか、いわゆる労働組合側からいえば闘爭が起つておると思うんです。ところがこの七十七億節約されるということは、むしろこれを取上げるということになる部分が多いんです。そうすると、現実にこれはもうそんな紙の上の計算のことじやなくて、現実に組合員の生活から見れば、まあ減るのと同じことになるわけですがね、そういうのが非常に多いんじやないかと思うので、この七十七億を減らしたということは、私は結局実際上の七十七億減つたと同じことになるんじやないか、実際生活から見ればですね……。そう思うんですがね、これはまあ実際職員の生活から見れば、こうなつちやうと思うんですが、どうですか。
#197
○政府委員(今井一男君) これは私の方よりむしろ主計局の方でお答え申上げる筋かと思うのですが、私共の承知しております七十七億の節約額は、主たる部分は、要するに当初予算にはこれだけの定員を入れる予定であつた、ところが十月末までそれが埋つておらない、こういつたものが当然あるわけです。こういつたものが大きく入つておると思います。外に御指摘の面も無論入つておりますが、その面は金額的に申しますというと、決して大きなものではないんじやなかろうか、從來ならばそういつたものを年度末まで持つて行くのでありますが、今回は予算の性質上、それを殘らず浚いまして、又そういう金が外に廻るということは、予算の本質から申しましても適当でございませんので、これを財源にいたした。これがまあ一番大きな原因だと思います。尚先程お述べの組合の点は、私は恐らく國鉄の関係の諸君じやなかろうかと思うのでありますが、國鉄につきましては、序ででございますから申上げますと、こういう問題がございます。四月の全官公廳との交渉の妥結の際に、いわゆる十六割を確保するという約束が前にございました。これは政府の方でも極力尊重いたしたのでありますが、ただ非常に何級々々で現在貰つておる俸給が高過ぎたために、級の枠の外に出る連中が沢山出て來たのです。これを本來から申せば、直ぐその級の最高号俸で打切るべきでありますのを、約束の趣旨に基きまして、ずつと上まで認めたわけです。これも一律に認めませんで、段々上に行くほど逓減いたしました。各省共に各級ごとに若干ずつ出て参りました。ところが國鉄だけは切替樣式が、これは前から作業をしておりましたために、実際は変つたやり方をしたのです。即ち國鉄では何級々々で打切りませんで、例えば駅手が二級から五級まで、連結手が三級から六級まで行くと、こういう筆法にいたしましたので、或る者は枠外に出るということから、各省の方におきまして非常に不平が起つたのでありますが、併しながら二千九百二十円ベースにおいては、とにもかくにもそれ以外に方法がないのであるからして、國鉄のその方式を認める、併しながら三千七百九十一円ベースにおいては、若干その調整を図つて貰うといつた建前から、その全部の人が三千七百九十一円のときに三割上がるのを止めまして、少しばかり――まあ二%ばかり――上がり方の少かつた向が……全部じやございませんけれども、一二の級につきまして起つたのであります。そこへ持つて來まして、これは本当に事務的なことでありますが、共済組合の掛金を一度に取つたりいたしますから、そこで非常に十月に非常に問題を起しまして、私もよく承知しております。これは毎月取るべき共済組合を纏めて取つたことの関係があるだけであります。その結果両者の間の調整が行われました。今後こういつたことは起らないことに相成つております。
#198
○中西功君 それは六千三百円というベースを、一應ベースにおいて、それから給與の支給の仕方は、今の政府の五千三百三十円のやり方にしまして、数字を大体標準といいますか、ここに渡されたような、非常に下の方の人で、大体どのくらいの一月の收入になるかという計算がありますか。
#199
○政府委員(今井一男君) それはまだやつておりません。要するに家族手当と勤務地手当は政府案においては、残りを本俸に持つて行くわけであります。後は本俸にいたすわけであります。それは簡單にできるんですけれども、実はまだ取紛れてやつておりません。
#200
○中西功君 一等上の方と下の方と、中間とをやつて呉れませんか。
#201
○政府委員(今井一男君) それは簡單でございますからできます。
#202
○木村禧八郎君 ちよつと今井給與局長にお伺いしたいのですか、今度の五千三百三十円には超過勤務手当というのは入つていないと思いますが、これを入れまして大体どのくらいになりますか、この前の三千七百九十一円のときは、超過勤務手当その他を入れて四千円を超えていたように思つていますが、今度五千三百三十円になつた場合、超過勤務その他を入れますと、大体どのくらいになりますか。
#203
○政府委員(今井一男君) 超過勤務の計算は、極めてむずかしいのでございますが、五%乃至十%というふうに、私共は全國を通算いたしますと、二百六、七十円で、五千三百三十円ベースに対しまして大体五%乃至十%であります。
#204
○中西功君 それじや足りません。今千円くらい貰つておりますよ。
#205
○政府委員(今井一男君) 全國を総平均いたしますと、中には貰わない者もありますし、それから特殊勤務地手当、これが六千三百七円の方では内掛になつておりますが、私共の方では外にしております。それを加えますと七、八百円になりますがね。
#206
○木村禧八郎君 給與はこの予算の中に組まれておるわけですか。二百六十二億の中に……。
#207
○政府委員(今井一男君) 今度の給與の追加の中には含まれておらないのであります。
#208
○木村禧八郎君 今度の二百六十二億の中には、それから外の予算の費目の中には、この超過勤務手当及び特殊勤務手当ですか、それも入つていないのですか。
#209
○政府委員(阪田泰二君) 超過勤務手当の計上の関係でございますが、超過勤務手当は御承知のように現実の超過勤務に應じて出すものでありまして、各省間別の仕事なり職種なり、そういうものの実情において算定の仕方が極めてむずかしいわけであります。年度当初予算におきましては大体そういうことにお構いなしに一律に超過勤務手当が本給の歩合によつて出た。それを各省の仕事の実情に應じて調整いたしまして、不足なものは予備費で出している。こういうような建前で只今進んでいるわけであります。それで今回の予算でも七十七億という給與の節約を出しております。超過勤務手当はそつちが節約で減ればそれに應じて減つて來るわけでありますが、それは減らさないでそのままでもやつて行くのもあります。只今申しました実態に應じた計算をし直しまして、大体その範囲内で收まりますものは、それで参りますし、又病院とか刑務所の看守とか、そういう方面においては超過勤務が長いために收まらないと思いますが、そういう分は今回の四十五億の予備費の中から出すということをいたしまして、只今計算をいたしております。
#210
○岡田宗司君 給與局長にお伺いしたいと思います。今度の五千三百三十円の計算されました基礎は三千七百九十一円のときをそのままC・P・Sによつて増加して行くか。そういうふうに考えてよろしいのですか。
#211
○政府委員(今井一男君) そうではないのでございます。民間賃金が確かに名目賃金、実質賃金共に上がつているという実情を政府も率直に認めますが、併しながらこれをこのままで同じ行き方で民間賃金と同じバランスで行くことは、これは適当でなかろう。と申しますのは、官公吏というものは増産と必ずしも見合わない。利益と必ずしも見合わない建前がございますので、或る場合は民間賃金が下がつても、官公吏はそう下がつては工合が惡い、上がつてもいけないのじやないか。いわば独自の足取りを考えるべきじやないかという観点と、一方におきまして國民の消費水準の上がり方、これを下廻つてもいけない。要するに國民の消費水準の動きと民間の賃金の動きを睨み合わせまして、そうしてその眞中ではございませんが、眞中より多いのです。或る程度の実質賃金の向上を認めるという考え方であります。純粹のスライド的の意味合いではございません。
#212
○岡田宗司君 そういたしますと、民間の方では生産の増加ということを認めて、生産の増加があるので賃金の上昇率がよくなり、官吏の方はそういうわけには行かん。從つてそれよりも上昇率が下廻つておる。こういうことになりますと、今後ずつと生産の方は増加して行く。これは当然今日の趨勢からそうなつて行く。そうなつて参りますというと、民間の賃金というものの上昇率は更によくなつて参る。官公吏の方の昇給の方はそういうわけに参らんということになつて参りますというと、今のような考え方を進めて行くと、ますます官公吏と民間の給與との間の開きというものが大きくなつて行くように私には考えられます。それについていつまでもそういう方法をお採りになつて計算を進めて行くつもりであるか。例えば二十四年度の予算の編成の際にもそういうつもりで御編成になるのか。ちよつとお聞きいたします。
#213
○政府委員(今井一男君) 見方はいろいろあると思いますが、二千九百円ベースは、一應民間の給與を基準にして考えられたものでございまするが、それをその後民間の足取りのまま移さないということもお話の通りであります。行政機構維持の面と、それから更に國民負担の面、こういつたことから出て参るものと考えますので、お話のように民間の方は利益が上がつて行くから三倍も五倍も上がつて行く。官公吏の方は全然無視する。こういつたふうには無論なりませんが、ただ國民の消費水準の上がり方よりは、今回の官公吏の上がり方の方が殖えておることは事実であります。その両者を睨み合せて更にそこに財政関係というもの、更に行政機構の維持という、そういつたことがひつくるめられて決定されて行くものとさように只今のところ考えております。
#214
○岡田宗司君 只今のお話、私がまだ腑に落ちないのでありますが、生産が漸次上昇して行つて國民の生活水準が漸次高まつて行く、これに照應して官吏の給與も引上げられて行く、それ以上上廻る。併しながら、その個々の生産者、生産に從事するところの労働者の給與水準程には行かないというそれがずつと持続されて参るということになりますというと、同じ労力の提供者でありながら、漸次その開きが出て來る、こうなつて参りますというと、今日人事院等ができまして國家公務員というものの、質のいい國家公務員を作り出して行こうということと非常に矛盾して來るのではないか、こういうように考えられるのですが、その点について大藏省としては、そういうことを今後御考慮になるかどうか、その点をお伺いしたと思います。
#215
○政府委員(今井一男君) 確かに御指摘の通り、優秀な人間を官廳に吸收する面を考慮する必要があることは申すまでもないのでございますが、又一面この民間の賃金の上昇と申しますものは、必ずしも常に上昇ばかりもしない、最近の傾向は上昇ばかりでございますが……併しながらこれとC・P・Sの足取りを考えますというとC・P・Sの足取りの方を上廻りするといつたような場合がこれは近い將來におきましても必ずしも考えられないことではないのではなかろうかと思われますが、特に昨年度におきましてはそういう足取りが見受けられたことは御承知の通りでありまして、本年度になりますとそれが逆になつておるのであります。その國民の消費水準、それから消費水準の動きと民間の賃金の動きとを適当に勘案して参ります限りにおきましては、官公吏に対しまして少くとも行政機構を維持するに足る職員の確保ということは必ずしもそうむずかしいことではないと思います。ただそこをどの点に求めるか両者の幅の間に殆んど民間賃金の動きと違わないところに求めるか、或いは更により下がつたところに求めるか、或いはもつと更に下がるかといつたような点は、そのときどきの情勢なり或いは又財政の関係なりは考慮さるべきだと思いますが、その際の一つの大きな対策としまして御指摘のような官公吏に相当の人物を吸收するといつた頭がなければならんことはそれは御指摘の通りでありますけれども、かれこれそういつた事情に立ちまする以上は先ず御心配なくやつて行けるのじやなかろうかとかように考えております。
#216
○岡田宗司君 先程人事院の上野氏がお示しになつた際にいろいろ伺つたのでありますが、その際に上野氏から六千三百七円を出した経緯を伺い、これは内閣ができてから間もなくのことでありまして、恐らく大藏省としてはまだ正式に新給與の算定には從事していなかつたのではないかと思われるのですが、若し大藏省側がその当時まだ正式に新給與の算定をしていなかつたとするならば当然当時の人事委員会から出されました六千三百七円の勧告を本にしてこの給與の計算をすべきではなかつたかと思うのであります。その点果して大藏省としては六千三百七円なるものを基礎にして案を作る、そういう努力をされたかどうか、それとも或いは大藏省としてはそれ以前にすでに事務的に五千三百三十円というような案が、腹案があつて、それがすでにあつたために六千三百七円というものを一顧もせずしてこれを不問に付して今日に至つたわけなのか、その間の事情をお聞きいたしたいと思います。
#217
○政府委員(今井一男君) 私の存じております限りざつくばらんに申上げたいと思うのですが、八月に人事委員長談といたしまして、政府職員は新ベースに関する意見の発表を遠慮して欲しい、こういつたこともございまして、大藏省の特に給與局のスタッフは関係方面に八月、九月に少しはお手傳いに参りましたけれども、全体の考え方、又ベース等は全然想像がつきませんでしたし、そういつたような考えるなという式のお指図もありましたので勧告になりますまで政府部内いずれの部局におきましても新らしいベースの問題としては研究しておるところは皆無だつたと思います。この点は確信を持つて申上げられると思います。十月の末頃から一方追加予算の問題を関係方面と折衝を始めておりまして、その際には一体どういつたベースになる、どのぐらい赤字になつてどのぐらい歳入に影響がありかといつたような事柄の取上げによりまして、可なりの折衝が行われておつて模様であります。人事院の勧告案が発表されまして、これは十一月の九日でありましたが、十一月の十六日に私共特別の内容をお示し頂きまして、その後閣議の御指図によりまして、大藏、安本、労働三省の事務当局が集まりまして、このベースに対する檢討をいたしまして、ベースを幾らにするかにつきましては、第三者の間にもいろいろの意見がありまして、殆んど纏まらんという形でありまして、一方体系につきましては、そのとき率直に申しますと、全面的に否定の意見が強く、それを更に閣議の方でもいろいろと議論をされております。結局におきまして予算折衝最終と同時にベースが決まつた。從いまして、決して六千三百七円というものを全然歯牙に掛けなかつたというわけでは毛頭ございません。
#218
○岡田宗司君 先程人事院の上野氏のお話では、六千三百七円というものは人事院としては確信を持つてこれが公正妥当なる給與ベースであるとして発表したのである、こういう御意見であつたのであります。そこでその際にいろいろ私も質疑いたしたのでありますが、人事院側から政府の五千三百三十円をどう見るかという点で二、三お伺いしまして、その結果上野氏がはつきり言われましたことは、五千三百三十円はボヴァテイ・ライン以下である、こういうことを言われた。私共といたしましては、少くとも今日日本の國務の重要なる仕事を担当する國家公務員がボヴィテイ・ライン以下、而も上野氏に言わしむれば、相当下廻つておる。こういうものが大藏省において強く主張され、人事院案が一顧もされず、少しも顧みられないということは誠に奇怪なことと思うのでありますが、大藏者側はやはりこの人事院側の六千三百七円案について、單に財源の面からの御檢討だけでなく、六千三百七円そのものの根拠ということについてもいろいろ御批判もあろうかと思いますが、大藏省側は財源以外の点について六千三百七円に対して如何なるお考えを持つておられますか。
#219
○政府委員(今井一男君) それは私共納得の行くところまでは御説明を伺つておりませんので、若干は想像も入ると思いますが、これの特に体系は尤もでありますが、体系の外にも計算方法につきましていろいろと疑問点、或いは賛成し難いという点は多々ございます。まあ今頭にあります思い付いたところだけを並べますと、先ず二千四百七十円の計算方法でございますが、この計算方法につきましても技術的に可なり私共として批判したい面がございます。厚生省の栄養調査を基礎にしている点につきましては、これが國民の消費水準で押さえているという点は賛成でございますが、その食品構成を以ちまして直ちに現在における最低賃金、最低生計費につきましては疑問がございます。更に東京を基礎にいたしまして、而もその食品構成が厚生省の栄養調査自身はもつと古い材料を使いながら、七月のC・P・Sを使つておるということも問題でありますし、更にそれを乙地に直す際の系数等につきましても、技術的な問題があるかと思うのであります。尚食品以外の種目につきましても、その種目はモードを採用しておるのでありますが、このモードが東京のモードをそのまま利用されている点につきましても問題があるかと思います。それよりももつと根本的な問題といたしまして、二千四百七十円というものを生活費で御覧になりながら、一方上の一万五千五百円はこれは民間給與で御覧になつておる。そこに論旨一貫しない点があろうかと思うのでございます。両方とも民間給與で並べられるならば意味が分ります。又これが本人給であるならばむしろ二本に置いて、本人一人当りどれだけの……憲法の精神というと言葉は大きうございますが、とにかく本人がどれだけ働いたという今までの本人の生活費を認めるかどうかといつた見地から、上の方を押さえられまして、カーブを作るというなら意味が分りますが、そこが中途半端であつて、上は能率給、下は生活給というようなところに繋がるという点に私共は合理性を感じません。のみならず、この間を等比級数で結ぶということにつきましても、私共賛成できないのであります。これは職階制の級というものを無視された論かと思います。
 尚更に一万五千五百円を採られる際も、聞くところによりますれば、七百人乃至二千人の工場の社長を持つて來られて、それを次官並と比べたというに至つては私共絶対に納得できないと申上げざるを得ないかと思います。尚且つその際におきましても、一体本俸というものをどうして押さえるかといつた点がちよつと説明されておりません。
 家族手当につきましては、私共といたしまして、先程田村委員に申上げましたように、今の職階制は勤続給的なものを含ましております意味におきまして、全面的に全額を傭主の負担に帰するという考え自身に賛成し難いものがございますし、且つ又この本人と同じ割合を以て、同じ筆法で家族手当を計算するということは、二千四百七十円の額でない基礎が厚生省の栄養調査による意味におきまして、私は標準生計費とまでは申しませんが、最低生計費よりもとにかく若干上廻つておる線のものをそのままに同じ筆法で持つて來て、家族給に持つて來ているといつた点も疑問がございますし、況んやC・P・Sの調査によりますというと、家族一人増すごとに生計費の減つておりますことは、これは顯著な事実でありまして、具体的な数字もございます。それを全官公のように、極めて家族構成の複雜な際に、一定の理論的な樣式で、二人目はどれぐらい、三人目はどれくらいというような仕組みでやつたことにつきましても実情に合わないものがあろうかと思います。更にその地域手当につきましては、これはC・P・Sでおやりになつたのでありまして、全然生活水準の差というものを無視されまして、余計食つた所、贅沢をした所、それが高くなるという方式で地域手当を算出されておられますので、これに至つては、私共全然大きな欠陷だと、かように考えておりまするし、又全官公のように、各町村に残らず人がおります際に、どの村にもどの町にも職員がおります際に、川一つ、道一つ距てまして四割も差が出るということは実施不可能な案としか考えられないのであります。のみならず七月の生計費を以て十一月に当てこむということにつきましても、私共として納得できないものがあるのでございます。勢いベースそのものと高さから申しますれば、ベースにつきましては、確かに特に御承知のようにいろいろと計算方法がございますので、一概にどの線が一つ正しい、こういつたことも技術的に申しますと、言われん場合も多いのでございますが、それにいたしましても民間の賃金、特に電産や石炭その他の重要産業賃金等と比べますれば、これが明らかに高過ぎることは私共として先ず明瞭と申上げられるかと存じます。
 尚序ででございますので、余計なことでございますが、私共実質賃金が非常に上がつておるということをとかく強調いたしますが、上がりましても勤労者の絶対的な生活水準が現在國民の消費水準に比べて、絶対額においてどの程度かということが確認されません限り、傾向だけが如何に高くてもそれを以て直ちに実質賃金を上げることを止めろといつた議論ができないことは申すまでもないのでございますが、最近の発表になりましたF・I・S等によりますと、勤労者の消費水準というものは概ね國民消費水準に達しておるということは、C・P・SにF・I・Sの線が來ておるということが申上げられるのでございまして、尚又一般のF・I・Sにおける民間の工業労働者の賃金收入と、それから更に官公吏或いはその他の團体等の勤人と比べて見ますと、無論決して上の方ではございませんが、それ程の開きが全國的にいたしまして、大してないというような数字も出ておりますので、私共といたしましては六千三百円が惡いとも申上げませんが、五千三百円の方がより適当と、こういつた結論になつた次第でございます。
#220
○岡田宗司君 六千三百七円案が妥当でないということについてはこれはいろいろ今御説明になつたところでありまして、私共もそれにつきまして尚議論もしなければならん点もあるのでありますが、それは別といたしまして、全面的に六千三百七円を否認された、公正妥当でない、こう否認させたというふうに了解して差支はないわけでありますか。
#221
○政府委員(今井一男君) 先程申上げましたように、政府の今回の立場は、工業労働者のカーブと民間消費水準のカーブ、國民消費水準のカーブと睨み合せたものでございまして、その決定要素は財政の要素が入つていることは、仰せの通り事実であります。從いまして六千三百円が現在のところ適当でないということは、勿論申上げ得ると思うのでありますが、併しこれを全面的に否認、結果において否認でございますけれども、否認という言葉の使い方でございますが、如何に他の情務がどう変つてもこの数字がいけないというところまでお取り頂くと、或いは言い過ぎかも知れませんが、まあ公式のお答えとしましては六千三百円は妥当にあらず、五千三百円が妥当である、こうお答え申上げたいと思います。
#222
○岡田宗司君 六千三百円案は妥当にあらず、そこで五千三百円案が妥当である、こういうお話であつたのでありますが、これは妥当であるかどうかということの議論を繰返すことになりままと、これ又いろいろ面倒なことでありますので、それはここで止めるといたしまして、五千三百円案で参りますというと、二百六十二億の追加が必要である。先程六千三百七円で行くと、一体十一月から年度末までに幾ら追加額が必要なのかということに対しまして、上野氏は今その数字は持合せておらんが、大藏省の方にその数字は示してあるから聽いて貰いたい、こういうお話であつたのでありますが、六千三百七円で計算いたしますと、十一月から三月末までの間の追加額は何程計上されることになりますか。
#223
○政府委員(今井一男君) 直接の給與費といたしましては、百五十億を超えますが、二百億までには至らない金額になります。ただこれがやはり外の方面に響きまして、結局予算全体に響く面では三百億を超す、こういう見通しを主計局の方では立てております。
#224
○岡田宗司君 そうしますと、六千三百七円案と五千三百円案の開き、この予算上の開きというものは約四十億であると主計局では計算したという、こういうふうに考えてよろしいのでありますか。三百億になるということですが……。
#225
○政府委員(今井一男君) 月額四十億と申しますのは、官公吏関係の給與費、官公吏の外に進駐軍要員その外政府の賄うものがありますが、それだけではなかろうかと思います。それだけが月額四十億ちよつと切れやしないかと思います。
#226
○岡田宗司君 尚この問題につきましては、單に数字上の問題ばかりでなく、いろいろ政治的な面もありますので、本日はこれを以ちまして給與局長に対する質問を打切ります。
#227
○委員長(黒川武雄君) それではこれを以て本日は散会いたします。
   午後五時三十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     黒川 武雄君
   理事
           油井賢太郎君
           飯田精太郎君
           島村 軍次君
           田村 文吉君
           東浦 庄治君
           中西  功君
           木村禧八郎君
           岩男 仁藏君
   委員
           岩崎正三郎君
           岡田 宗司君
           森下 政一君
           山下 義信君
           岡田喜久治君
           西川 昌夫君
           西川甚五郎君
           一松 政二君
           岩木 哲夫君
           小杉 繁安君
           高橋  啓君
           深川タマヱ君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           西郷吉之助君
           高瀬荘太郎君
           伊達源一郎君
           玉置吉之丞君
           帆足  計君
           堀越 儀郎君
           松村眞一郎君
           池田 恒雄君
           栗山 良夫君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   文 部 大 臣 下條 康麿君
   労 働 大 臣 増田甲子七君
   建 設 大 臣 益谷 秀次君
  政府委員
   人  事  官 上野 陽一君
   大藏政務次官  平岡 市三君
   大藏事務官
   (大藏大臣官房
   次長)     河野 通一君
   大藏事務官
   (主計局次長) 阪田 泰二君
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   建設政務次官  赤木 正雄君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト