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1948/12/06 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 本会議 第4号
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1948/12/06 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 本会議 第4号

#1
第004回国会 本会議 第4号
昭和二十三年十二月六日(月曜日)
   午前十時三十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第二号
  昭和二十三年二月六日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、國務大臣の演説に関する件、(第二日)一昨日の國務大臣の演説に対し、通告順によりまして、これより質疑を許します。田村文吉君。
   〔田村文吉君登壇拍手〕
#4
○田村文吉君 総理はその施策方針演説の中に、講和会議促進態勢に関してお話になつたのでありますが、終戰以来すでに三年有半、心ある大多数の國民は閉門謹慎の態度を以て、口には出さなくても、一日千秋の思いを以て、平和的な、自由な独立國家の招来を祈念しておるのである。又産業界の人々は賠償問題が一日も早く決定せらるることによつて、過去の不幸は不幸と見とめ、新たなる勇気を奮い起こして再生日本の経済復興を仰望しておる次第であるのに、三年有半の今日に至るも、尚いつになつたら講和会議が開かれるのやら皆目検討が付いておらんのであります。山河敗れたりと雖も、食乏しきと雖も、日本國民はその過ちを悟つて平和建設のために、みずからを自由な平和な民主國家に改変することの判断を、すでに三年有半余を経た今日未だに理解し得ない程、良知を欠いておるとは考えられないのであります。政府は先に衆議院の院議に基き最善の方途を講ぜられつつあると思うが、講和会議の時期に対する見通しを同います。
 次に、人口問題及び電氣事業問題について総理大臣にお伺いいたします。昨年十月の調査による我が國の人口は七千八百六十万となつておりますが、その以後の引揚者及び自然増加を加えますると、すでに八千万を突破しておるのであります。人口の自然増加年々百五十万人とすれば、十年の後には凡そ九千五百万人の人口が予想されるのでありまして、從つて就業可能の人口も凡そ右に比例して増加するものと一應考えねばならんのであります。一方、世界貿易えの参加による必然的な企業の合理化と、次々に必らず行われるであろう各種の統制経済の撤廃に伴う官公吏及び労務者の失業並びに闇商賣の喪失による失職者の数は、恐らくは六七百万人に上り、その家族数を合せれば千五百万人以上に上るものと想像されるのでありますが、これに対しては勿論北海道における湿原地帶の土地改良によつて、將來二百万人程度の農業人口の包容は考えられる。又講和会議ができ上つた上で、若干の平和的海外移民も考えられるでありましようが、併しながらこれらを以て到底一千五百万人の過剰人口の包容の不可能なことは明瞭であります。所詮、日本の人口問題、失業問題解決の方法は、工業、特に高度の製造工業の振興によつて失業者を吸収し、且つ国家収入を増大すること以外に、他に方法がないのではないかと存ずるのであります。我が國の工業就業人口は、運輸関係等の関係事業を含めて凡そ一千万人であります。これによつて扶養せらるる数は凡そ一千六百万人と推定されるのであります。現在の工業生産を三倍とするといたしましても、就業人員は凡そ現在の五割程度増加すれば足りると思います。それにいたしましても一千三百万の人口を収容することができるのであります。但しこれには絶対無二の條件が伴うものであります。それは外でもない、低廉な電力を持つことであります。如何に生産を増加しようといたしましても、原動力を持たなくては方法がありません、と同時に、その製品の値段が摩擦水準より高ければ増産は望めないのであります。そこで先ず第一に石炭の問題が取り上げられるのでありまするが、我が國の石炭は大体老齢期に入つておりまして、低廉なる石炭を増産することは困難となつておるのでありますから、今後は相当多量の輸入に待つ外ない状態になつておるのであります。ただ一つ、我が國の水力電気はその優秀な地形に惠まれて、未だに一千五百万キロの未開発を残しておるのであります。これは我が國に與えられた天與のエネルギー源であり、宝庫であるのであります。これが開発によつてこそ勧めて我が國工業生産を増加し、よつて以て人口問題を解決し、似て平和国家再建を成就し得るものと確信するのであります。飜つて現下の電力事情は果して如何。工業生産が僅かに戦前の四割そこそこの今日において、一年のうち八箇月は完全なる送電もできない。昨今では家庭用電燈電力にさえ極度の不自由なる状態にあるのであります。終戦後の幣原首相が水力電気の開発を提唱されたことは未だに記憶に新たなることでありまして、我々は大いに敬意を表した次第でありまするが、終戦後すでに三年有半、種々の事情もあつたとは申しながら、この一番大切な電力対策が未だに立つておらないのであります。荏苒今日のままに放置せられるならば、國内の工業は遠からずして回復の歩みを止め、近く国際貿易が再開しても、いわゆる飢餓輸出をせねばならんようになることは火を見るよりも明らかなのであります。御承知の通り、昭和五年から昭和十二年に至る電力供給は毎年平均一割づつ増加し、七年間に丁度二倍に増加しているのであります。然るに昭和二十二年即ち昨年度は、十年前の昭和十二年より僅か六%を増加しているに過ぎないのでありまして、これは戦争のためもありますが、この間及び今日に至るまで、官も動けない、民も動けない、いわゆる責任帰趨の極めて不明な、且つ非能率的な最も悪い組織である國家管理を継続しているからに外ならないのであります。私はこの際、飽くまでも責任帰趨の明瞭な、昔の純然たる私企業に分割譲渡するか、將又この際一歩を進めて純然たる国家企業即ちいわゆる公共企業体に移すか、二途そのいずれかを選ばなければならなくなつたと存ずるのであります。仮に今後七年間に現在の設備を倍加するために、水力六百万キロ及びこれに伴う火力百八十万キロを新規開発するためには、約四千四百億円即ち毎年約六百五十億円の資金を必要とするのであります。況んや電気事業の絶対独占性及び公共性から考えますならば、少くも今日の発達過程に達した日本の電氣企業は、今後私企業を以てしてはその発達を期することは到底不可能であると信ずるものであります。
 私は次のごとく提唱したいのであります。即ち五千キロ以下の小発電はこれを民間に移し、より以上の大発電はすべて國家企業に移すべきであると申すのであります。本問題は断じてイデオロギーの上から申すものではありません。社会党の言うような、重要産業はすべて國有に、或いは國家管理にというような単なるイデオロギーの上から論断することも誤まりであると共に、電力を國家企業に移すことを恰かも社会主義であるかのように毛嫌いすることも採らざるところであります。日本の通信事業は遠く明治初年から國営であります。日本の鉄道は明治三十九年から國有になつたのであります。電氣事業の國営についても、すでに明治の末期、時の通信大臣後藤新平氏によつて提唱されたこともあるのであります。眞に國家百年のために、吉田内閣こそ、本問題を解決すべき絶好の機会を有せらるものと固く信ずるものであります。両、臨設会社の買収には、現在自発及び九配電会社資本金合計四十八億円の株式を時價によつて公債を以て買入れ、尚この十社の有する七十二億の借入金はこれを政府に引継げばよいのである。これを五千億の國家財政から見ますれば極めて僅少であると申さねばならんのであります。恐らくは古往今來、電氣国有のために今日のごとき絶好の機会は再びあるまいと存ずるものであります。この問題は一省一局の問題ではありません。総務大臣はこれに対し、先ず人口問題について他に対策ありや否や、並びに電氣事業は純然たる民営に還元されるのか、それとも思い切つて公共企業体に移行される御意向か、それとも將又現在の國家管理のまま若干の分割程度にお止めになるのか、お考えを承わりたいのであります。
 次に賃金給與の問題について労働大臣及び大藏大臣にお尋ねいたしたいのでありまする。労働大臣はお見えになつておらんようでありますが、民自党の政策綱領の中に、高賃金高能率という言葉を挙げておられます。その言葉には私も賛成するものであります。併し足らざるを憂えず、均しからざるを憂うと申す言葉がありますが、今日一般給與の状態を見ますと、一方には標準賃金平均八千円にもなつておるのに、尚、増額を要求したり、甚しきは、すでに一万円以上にも及ぶものがあるかと思うと、官公吏のごときは今度の給與改正案でも漸く五千三百円程度に過ぎないのであります。而もその同じ官吏の中にも、公共企業体における鉄道員と通信従業員とでは今でも実質的の収入の相違がある。今後はその差がますます大きくなる虞れが多分にあるのであります。政府はこれら私企業の中の法外の高額賃金を支拂うものに或る程度の制限を行うおつもりかどうか。将又公務員たる現業官吏と公共企業体従業員との給與の調整を如何になさるおつもりか、お伺いいたしたいのであります。
 次に價格調整金及び物價関係の問題について大蔵大臣兼安本長官に御質問いたしたいと思います。先ず價格調整金についてお尋ねいたします。御承知の通り今年度分價格調整費として五百十五億の金が計上されておるのであります。更に今度の追加予算によりまして百四十億円が支拂われんとしておるのであります。かくのごときは徒らに物價体系を混乱せしむるに過ぎないのみならず、たまたまこれらの業者をして、ややもすれば政府の助成にのみ依頼し、且つその経営を放漫ならしめる慮れなしとしないのであります。今、肥料の中の硫安について價格調整金の内容を申上げまするならば、硫安一トンの政府買入價格は成績優良なる某会社の分は一トン一万四千円であります。最も成績不良なる某会社の分は一トン二万八千百円と相成つておるのでありまして、これらを別々に政府が買上げて、これをプールして平均一万八千八百円、これに運賃その他の諸経費を加えたものが約二万一千円と相成なつておるのであります。然るに政府は一トン一万一千円でこれを賣渡して、その差額約一万円は國民の負担となり即ち價格調整金として予算支出の部に計上されておるのであります。このようなやり方は私の憂うるような経営の放漫、資材の濫費を惹き起す慮れなきや否や、説明を要せずしてお分りのことと思うのであります。かような價格政策も今までは或いは必要であつたかも知りませんが、企業の合理化、健全化が強力に要望される今日の段階においては、速かに傾斜生産による一部産業偏重主義を根本的に改め、すべての企業の自生性を図ることが必要であると思うのであります。予算の点から申しましても六百五十億円は極めて大金であります。これなければ民自党主張の取引高税を全廃し、更に所得税二割を軽減しても未だ百億円のお釣りが來るのであります。速かにこれを廃止して適当な價格改訂を行い、生産の能率化と支出の削減を図るべきであると信ずるものであります。これがために、これら公定價格の引上げも或いは止むを得ないかも存じませんが、これが、國民大衆の生活に及ぼす影響は税の軽減等によつて遙かに有利となるのみならず、企業の合理化、公園の整理廃止、業務費の削減等によつて、價格引上げを最小限に止めることも決して困難ではないと信ずるものであります。
 第二に御質問申上げたいことは、價格差益納付金制度の撤廃の問題でありまするが、これは遺憾ながら時間の関係上理由を省略いたしますが、私から差上げて置きました書面の要旨に從つて御答弁をお願いいたしたいのであります。
 次に安本長官並びに岩本國務大臣から御答弁をお願いいたしたいのであります。それは米、石炭、電力等の主要物資は、生産地の原價に應じて府縣別に消費者價格を定めることが至当ではないかと申すことであります。先ず米價について検討して見ます。二十三年度米の農家からの買上價格は、一俵一千四百三十八円と一應決定されまして、これが消費者價格は一キロ三十五円七十銭、即ち一俵二千百四十二円と決定いたしまして、その差四割八分の高率と相成つておる点については大いに論議すべき点もありまするが、本日はその点には触れません。ただ私の調査いたしまするところによりますれば、政府米が公團の手に渡つて東京まで持つて参り、これを消費春に引渡すまでの費用が、公園手数料を入れないで、新潟縣の中心からの場合では一俵四十三円、秋田からの場合では五十三円を要しておるのであります。言い換えれば東京の消費者は新潟の米を一俵約四十三円新潟の縣民より高く買うべきが至当であり、秋田の米は約五十三円を高く買うべきが当然なのであります。然るにすべてをプール計算で、東京の都会地の眞中でも、秋田、新潟の山村の一部農家でも、一キロ三十五円七十銭という同一値段になつておるのであります。これは都会地が地方の犠牲において不当の利益を受けておるのでありまして、近頃の言葉で言いますれば都会地が地方を搾取していると申すことであります。今これを今年度産米について推定評價いたしますると、新潟縣の縣外移出米凡そ三百二十万俵といたしまして一億四千万円、秋田縣が縣一列移出米百五十万俵と見て八千万円と相成つておるのであります。即ち新潟縣は年々一億四千万円を、秋田縣は八千万円を主として都会地に搾取されておつたことになるので、かようの事実を知つてか知らないでか、農林省も物價廳も主食のごときは全國均一價格の方が面倒がない、それでいいのだと簡単に片付けておいでになりまするが、これは甚だ怪しからんことであります。気候も文化も生活程度もすべてがプール計算にできるならば、それもよろしい。先ず第一にあの軒を埋める半歳の豪雪、冷害、從つて起る単作農業、衣食住の負担、先ずこれから先にプール計算にできますか。これは如何神様でもおできになりますまい。然らばこの搾取となる八千万円乃至一億四千万円は、それだけ生産縣民に米を安く配給するか、然らずばこれを纏めて縣収入に交付なさるのが当然であると思うのであります。
 石炭についても同様のことを言い得るのでありまして、九州、北海道の石炭生産地の消費者は、港に近く且つ立地條件もいい京阪、京浜地区の工場より当然一トン六七百円は安く入手できるものが、全く同一値段で買入れねばならんのであります。漸く北海道の家庭炭に対しては、今年から約一トン当り一千円程度特に安く配給することになつたのでありまするが、工業用炭に対しては何らの差別がないのであります。電燈、電力の問題についても大体全國均一と相成つておるのでありまして、五十キロ未満の動力電燈は全國すべて同一値段であり、五十キロ以上のものに対してのみABC地区に分つて一割乃至二割程度の差等が設けてあるのであります。面して東北、関東、中部、関西の各配電会社区域はB地区としてすべて同一値段であります。越後や東和のごとき永遠に地方民を塗炭の苦しみに陥れている、あの半歳に亘る豪雪と雨天とによつて生ずる水力電気の料金が、その地元でも、將又冬も綿入を着る必要のない関西、関東の都会地でも全く同一であるというごときは、即ち統制による悪平等でありまして、天下かくのごとき不公平はあり得ないと信ずるものであります。殊にこれを実際原價の上がら見ましても、送電線には莫大な建設費を要するのみならず、途中において一割五分、場合によつては二割以上のロスがあるのであります。驚くなかれ、昨年の長距離送電のロスは三十億キロワット時で、この量は日本全国のすべての電燈に要する電力に該当するのである。從つて電源地である地方と電源地に遠い都会地とでは、その料金差は当然三割以上あつて然るべきであるのであります。若し政府が飽くまでも今日のままのごとき政策を採らるるならば、工場と人口はただ徒らに中央都会地に密集し、山村は日を逐うて荒廃に帰すべきは火を見るより明らかなるところでありまして、國土計画の上よりも眞に寒心に堪えないのであります。
 以上、米、石炭、電力の例を挙げて全図均一消費者價格の不修理、不自然を申述べたのでありますが、要は縣内を更に細分して公定値格を定めることはその煩に堪えないと思いますから、凡そ一縣一縣にその生産費に順應して、個々にこれを定めることが、天地自然の理にもかない、且つ國民をしておのおのその堵に安んぜしめ、而もおのおの自立更生をいたさしむるゆえんの途ではないかと存ずる次第でありますが、これに対する政府の御見解、御所懐を頭わりたいのであります。
 次に商工大臣にお尋ねいたしたい。紙が國民の必需品として、將又文化の維持向上のために絶対必要なことは申すまでもありません。日本の過去の紙使用の実績は人口一人当り昭和九年において二十九ポンド、昭和十六年において四十匹ポンドであつたものが、二十二年即ち昨年度においては僅かに八ボンド、今年度において漸く十一ポンド程度にしか達していないのであります。これは参考まででありますが、米國では人口一人当り三百四十ポンドでありますから、その三十分の一にも達していないのであります。これでは折角文化國家の建設を志して見ても、何程学校施設を拡充して見ましても、畢竟、猿猴水中の月を掴むの類いで、遂にその目的を達成することができないのであります。商工大臣はもつと製紙事業を重要視して、資金資材の確保及び一紙業課である今日の省丙組織を、せめて紙業局くらいにまで強化するお考えがないかどうか。、
 最後に綜合燃料対策については、第一國会以来、應急対策、恒久対策共、しばしば政府に御助言を申上げ、安本においてもそれぞれ方策を立てられたのでありましようが、今日に至るも尚その実行策に見るべきものがない。商工省は石炭、電力、鋼材等、それぞれ対策に必要な実行資材の生産配給の実権をお持ちになつておるのでありますから、この際商工大臣が中心となつて思い切つて施策を実行して頂きたいのでありまするが、御見解果して如何でありましようか。以上を以て私の質問を終ります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。講和條約につきましては、政府も絶えず一日も速かならんことを希望いたしまして、関係筋等に対しても絶えず連絡を取つておるのでありまするが、少しく既往に遡りますが、一昨年三四月頃と思いますが、その当時の話でありますると、多分一昨年の秋ぐらいには講和会議が開かれるのではないかという話があつて、実は内心望んでおつたのであります。その後引続いての内閣において、無論講和條約の締結の一日も速かなるように努力しておられたと思いまするが、現内閣が組閣と共に、状況を更に尋ねましたところが、その後のいわゆる國際事情は非常な微妙な状態に入りまして、現に対独條約についても締結ができないというような事態で、国際の事情は爾後更に一層紛糾いたしておるように見えますが、アメリカ、イギリス等の主要な連合國は無論その締結の速かならんことを希望して、そうしていろいろ努力しておるようであります。併しながら中華民國の状態は御承知の通りに紛糾を極めるとか、或いはその他の連合國内においても、必ず日本の講和條約を一日も早くいたしたいというような希望については一致しない事情があつて、今日のところは見通しが付かない。そこで見通しが付かないとすれば、どうすればよいか。結局講和條約に代つて暫定的の條約、規約、申合せ等を適宜拵えて行つて、例えば貿易を再開するか、或いは為替レートを決めるとか………若し今日のように講和條約ができないために、連合國その他とは尚敵國関係にあるというようなことでありまするというと、日本の産業から言つて見ても困りまするが、同時に世界の通商繁栄の復興から言つて見ましても困るのであつて、英米その他については、講和條約、講和関係を成るべく早く打ち立てるようにとの希望は、相当新聞でも御承知と思いまするが、希望は相当に各方面にあるのであります。あるのでありまするが、今申したように國際の関係かち申しまして、連合國が一致して講和條約を速かにということまでにはなつておらない事態におるので、結局は暫定取決めというようなことを、事件々々、例えば通商についてとか、或いは為替についてとか、事件事件で暫定條約を作つて、講和條約のできるまでの暫定措置を講ずるより外仕方がないのではないかと思われるのであります。併しながら、そのために政府は決して講和條約の締結をなおざりにいたしておるわけではありませんが、國際の情勢が右のような次第でありまして、見通しについては申し兼ねるというのが実情であります。
 次に人口問題についてお答えをいたしまするが、お話の通り日本の現在の状況はすでに八千万以上を超えておるので、人口の増加ということは今日まで曽て見ざるような事態におりまするので、失業問題その他から考えて見ましても誠に心配いたすべき事態であることはお説の通りであります。これをどうして救済するかということになれば、結局差当りのところは日本の工業化、日本の工業、産業を増進して行つて、そうして過剰人口を養う以外には途はないと思います。又講和條約についても、できますれば、そうして海外の渡航が緩やかになる、或いは自由になるというようなことになりますれば、別問題でありまするが、差当りのところは日本の工業によつて、産業によつて過剰人工を養うより外仕方がないと思います。そのためには工業資材の輸入を余計にするとか、或いは外資導入をするとかいうことによつて産業の復興を図り、これによつて過剰人口を養つて行くという外に途はないのではないかと思います。
 次に電氣事業でありまするが、日本の電氣事業が一層盛んになり、そうして日本の電力が増加するということは、政府も最も注意いたしてこの点は研究いたしております。そのためには國家事業とする方がいいか、悪いか、この点については、私は政府としても亦國家としても余程考えなければならんと思いますることは、第一、財政の点であります。財政の均衡を得せしむるためには、國営はなるべく少くする、國民の負担はなるべく軽減するということから考えて見まして、政府が直ちに今日以上に國営にするということがいいか悪いかということは、その点から考えて見ましても考うべきことであり、又外資導入という関係から考えて見て、國営にいたして置く方がいいか、或いは民営に移す方がいいか、これも一つの研究の一題目であろうと思います。少くとも今政府といたしては、今日以上に電氣事業の國営を図る考えは持つておらないのであります。尚お説については研究いたしまするが、一應お答えを申し上げます。(拍手)
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#6
○國務大臣(泉山三六君) 私は大藏大臣又は経済安定本部長官といたしまして、一括御答弁いたします。
 お尋ねの第一点にございまする私企業の法外に高い賃金のものには、或る程度の制限を行うのかどうか、又公務員である現業官吏と公共企業体の從業員との給與の調整を如何にするかと、さようなお尋ねでございまするが、前段の私企業のうち法外の高賃金を支拂つておりますものにつきましては、特來賃金安定方策の一環といたしまして、これは十分考慮いたしたい、かように思うのであります。(笑声)後段の公務員と公共企業体の從業員との関係でございまするが、国家公務員の新給與につきましては、今日各位の前に新らしき法案を提出いたしておるのであります。而して公共企業体の從業員との給與につきましては、もとより現在は同一の基礎の上にあるのであります。鉄道、專賣等が今回公共企業体として分離せられましたその後におきましても、少くとも当面におきましては、國家公務員の給與と同一基礎の上に立つてこれを実施せられるものと、さように御了承願いたいのであります。
 次に御質問の第二点は價格調整金、これを廃止する意思はないかどうかと、さようなお尋ねでございました。成程お示しの通り、今日價格調整金は財政上相当の重圧と相成つておるのでございます。徒らに政府の保護に甘んぜしむることは、企業の自主性を回復しその経済性を取戻すためにも甚だ面白からざるところでありまするが、又政府といたしましても、いわゆる三原則の線に沿うては、直ぐこれを元の線に引戻す不健全なる補給金の支給のごときは、これを極力避けたい、かようの方針ではあるのではございまするが、(「はつきりしろ」と呼ぶ者あり、笑声)今直ちにこれを全廃するようなことは、安定帶物資の價格を急騰せしむることに相成り、今日の物價体系を混乱せしむるというので、一時にこれを廃することは困難であるのみならず未だ適当でないと、かように考えておる次第でございます。尚、價格差益金の納付金制度、これを廃してはどうか、さようのお話でございましたが、本制度につきましてはお示しの通りいろいろ議論はあるかと思うのでありまするが、價格改訂の場合に、明らかに價格改訂に伴いまして、企業者努力ということではなしに、價格改訂という原因だけで相当の差益が出ました場合には、この大部分を國庫に納めるのは、現下のごとき事態におきましては当然のことと考えられますので、直ちにこれを廃止する考えはないのであります。以上お答えいたします。(拍手)
   〔國務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
#7
○國務大臣(増田甲子七君) 田村さんの御質問にお答え申上げます。民間企業の法外に高い賃金についてこれを抑制する意思があるかどうか、この点につきましては今安本長官がお答え申上げた通りでございまして、多少これを敷衍いたしますと、一般産業労働賃金につきましては調和のとれた賃金構造を持つということが、政策としては必要だと思つております。そこで各産業、企業の性質の異なるのに從いまして賃金の格差がございますけれども、同一産業同一企業であるならば大体において同じ賃金が行われなければならんと、こう政府は考えておる次第でございますが、同一産業同一企業でありながら、非常に或る企業は法外に高い賃金を拂つておるというようなことがあるといたしますと、これは能率が非常に高いというような関係で高能率高賃金というような特殊のものもございましようが、特に何らの理由がないのにも拘わらず非常な高賃金を拂つておる企業体が同一産業についてあるといたしますと、そこには今の統制経済下においては何か理由がなくてはならんと、こう考える次第でございまして、政府といたしましてはその方面におきまする考慮を拂わなくてはならん。例えば重要資材の配給割当につきましても、或いは消費物資の配給割当につきましても考慮を拂う、その他債務統制についても考慮を拂うというようなことがあるならば、同一産業の同一分業体でありながら、二方の企業体は非常な法外の高い賃金を拂うということは、段々あり得なくなるのではないかと、こう考える次第であります。併しながら、にも拘らず非常に高い賃金を拂つておるというようなことがありますと、これは御承知の通り現在は賃金統制ではございませんが、特來の考慮といたしまして、経済十原則の中にも賃金安定方策を謳つてあるのでありますから、何らか今申上げましたような行政措置以外に立法措置が要るのではながろうかと、こう考えて折角研究中でございます。(拍手)
   〔國務大臣大屋晋三君登壇、拍手〕
#8
○國務大臣(大屋晋三君) 只今の田村君の御質問にお答えいたします。紙の行政の在り方に対する御質問でありますが、田村君のお説の通り、紙が文化國家に非常に重要であるということ、又現在の我が國の一人当りの消費高が、曽て四十数ポンドのものが現在十一ポンドであるという、この貧弱な状態を改善いたしますために、資材、資金その他の面におきましてこの産業を充実いたすということにつきましては、目下鋭意その方策を講じておるところであります。そうしてこれを行政いたしますこの現在の紙業課を局にまで引上げる考えはないかというお尋ねでございますが、御承知の通り、この戰争前まではこの紙業課というものは、繊維局の中の人造繊維課が扱つておつたのを、戰後になりまして二つの課といたしまして独立をいたしたのでありまするが、現在この課は課でございますけれども、ここで執務をいたしておりまする人員が七十有余名もございまして、商工省の課といたしましては正に小さな局に十分匹敵いたすような人員が充実されておりますので、現在のところ、この課の機能を、或いはパルプ乃至紙の生産の面と配給の面との二つに分けようか、つまりこの課を二分いたしまして二つの課を作るというようなことの可否につきましては、目下研究をいたさせておりまするが、これを只今直ちに局に昇格いたすという考えは持つておらないのでありまするが、勿論、さればといいまして紙の行政、紙の生産を十分拡充いたし、万遺憾なく行政を期するという点に対しましては現在で十分だと考えておる次第であります。
 尚、次のお尋ねの総合燃料対策の問題につきましては、これは総合的に安本におきまして計画いたすのでありまするが、この実施面は商工省におきましても十分これを御趣旨に從つて強力なる燃料対策を抽選いたしたいと考えておる次第であります。(拍手)
   〔國務大臣岩本信行君登壇、拍手〕
#9
○國務大臣(岩本信行君) お答え申上げます。プール計算の関係上から地方財政の方に非常な響きが来るということでございまするが、要するに主食の問題等のごときは相互扶助、共存共栄という建前から、この制度を直すということは相当困難であろうと存じます。但し御説のような特殊な府縣が特殊な不利の立場になるということから鑑みまして、地方財政の建前から申しましては、配布税の配付の場合におきまして、米作単作地帶という方面に対しては、配付税の基礎でありまするその算定の中に人口二割を加算いたしまして、それで地域的な特殊性に應ずるような方法をとつておる次第であります。但しその二割が適正かどうかについては研究の余地もございますので、今後の研究に俟ちたいと考える次第であります。
   〔田村文吉君「石炭電力の問題について御答弁願います」と述ぶ〕
#10
○議長(松平恒雄君) 稻垣平太郎君。
   〔稻垣平太郎君登壇、拍手〕
#11
○稻垣平太郎君 私はここに民主党を代表いたしまして、総理大臣並びに大藏大臣、安本、商工の諾大臣に対しまして、経済問題についてお尋ねをいたしたいと存ずるのであります。
 吉田総理が老体を挺してこの難局に当られ、日夜孜々として御努力になつておることに対しては、私は深甚なる敬意を表するものであります。(拍手)(「ときどきは抜けるよ」と呼ぶ者あり)我が党は徒らに反対せんがために反対をするものではありません。飽くまでも健全なる野党として、是を是とし、否を否といたしまして、徐ろに冷静なる批判を加えたいと存ずるものであります。(拍手)今日我が國が最も切実に要求いたしておりますところの関心事は、先程田村君からお話になりましたように、できるだけ講和條約を早く締結いたしたい、同時に又できるだけ早く経済の再建をいたしたいということであります。この点につきましては我が党においては、これがために暫く野党はイデオロギーを棚上げして、すべてが手を握つて難局に対処すべきである、挙國連立の構想に行くべきであるということをかねて論じておつたのでありまするが、この点に関しては不幸にして同調を得られなかつたのは甚だ遺憾とするものであります。併し今日私はこの問題を論じようとするものではありません。暫くこの点は論外といたしまして経済再建についての根本理念についてお伺いしたいと存ずるのであります。
 民自党の経済問題に対するお考え方は結局重商主義的な立場をおとりになつておると存ずるのであります。先般衆議院におきまして我が党の北村君に対する大屋商工大臣の御答弁を承わりましても、純自由主義的な立場をとつておられると存ずるのであります。もとより社会主義的政党がマルクスの唯物史観を出発点といたします以上、結局は勤労者的の階級闘争を第一義的にお考えになることはこれは勿論でありまして、同時に社会全般の利益、社会公共の福祉についてはこれを第二義に考えられるものと私は存ずるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これに対して純資本主義的立場をおとりになる政党は、資本主義の私的所有と社会生産の問題に対して冷厳なる批判を加えらるべきものであろうと存ずるのであります。私は今日現代においては、特に再建途上におけるところの現状におきましては、資本主義的立場をとられる政党は結局これ亦資本家を基盤とするところの階級鬪爭を第一義的に考慮され、社会公共全般の利益というものはこれを第二義的に考慮せられるものと断ぜざるを得ないのであります。ここにおいて我が党におきましては、かねて社会全般の利益、公共の福祉を目標とせる社会連帯の理念に基く修正資本主義を提唱いたしておるのであります。(笑声)即ち我々は資本主義を出発点といたしますが、それは社会全般の利益、公共の福祉に抵触する場合には、社会連帯の理念においてこれに制約を加え、或いは生産経済において或いは分配経済におきまして、計画性を附興するということを必要と信ずるものであります。即ちビツグーの原生経済学のいわゆる生産の増大、分配の公平、所得の能率的均等化の三原則に基く経済政策を採用せんとするものであります。(拍手)殊に今日の経済危機の現状においては、この方策にあらざれば到底日本経済の立直りは不可能なりと固く信じておるものであります。(拍手)総理においては地方大会等の演説会におきまして、しばしば修正資本主義はナンセンスだとか、或いは「ぬえ」的議論だというようなことを唱えられておるように新聞紙上で承わつております。果して然らば本員の甚だ遺憾と存ずるところであります。
 次に現状における日本経済は占領下の経済であり、外資導入に依存しなければならない経済であります。從つてその経済敷策も占領政策の指向するところの一定の方向に同調せざるを得ないと存ずるのであります。故に我々は占領軍各國の動向を正確に把握することが必要である、又同時に十分に海外の情勢を熟知することが必要であると思うのであります。これまで日歩人は往々にして海外の情勢を無視し或いは海外の動向に不案内であつて、徒らに國内感情にのみ囚われて、その結果が彼の支那事変を惹起したのである。続いて大東亜戦争に突入して今日の不幸を招いたのだと私は存ずるのであります。それでありまするからして、この不幸なる大賭博を再び繰返さないということが必要であろうと存ずるのであります。今回の米國の大統領選挙におきまして民主党が勝つたということは何を物語るのでありましようか。私は米國民の多数が、純自由主義的立場に立つておるところの共和党を支持するようも、中正なる政策を行わんとする民主党を支持したことを意味すると存ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)又同時に戰後の国際経済の一環としての米國の賢明なる政策の現われであると私は固く信じておるのであります。(拍手)
 そこで私が首相にお尋ねいたしたいことは、日本経済再建問題について、私は一つには社会連帶理念による修正資本主義的施策にあらずんば今日の経済危局は到底救えないのではないかということが第一点。同時に、海外情勢を正確に把握し、占領政策の指向する一定の方向に進むべきものであり、この枠を逸脱してはならないのではないか、こう考えるのでありますが、これ場に対する総理のお考えを拜聽いたしたいと存ずるのであります。
 次に、総理に対してお伺いいたしたいのでありまするが、経済政策に対する総理の御態度について伺いたいのであります。一昨日の本議場における泉山長官の御演説、経済並びに財政施策に対する御演説を拜聽いたしたのでありまするが、或る部分を承わつておりますというと、これは我が党の政策を述べておられるのではないかな、こういつたようなことを実は感じたのであかます。(拍手)このことは、民自党は野におられる時は、或る場合反対せんがための反対、又人氣取り的の政策を呼号せられておつたのでありますが、一朝政局を担当せられますや、占領下の経済的枠内においては、かねて我が党が主張いたしておりまするところの政策に近寄らざるを得ないのだということを立証いたしたものと私は存ずるのであります。(拍手)かねて民自党が発表されておりましたところの十九政策、私はこれは共感いたしております。私は賛成であります。ただ併しながら、その賛成には條件が付いておるのであります。苟も公党として政策を発表せらるる以上は、一度朝に立てば即時これを実行に移すだけの確信と用意がなくてはいけない。ただ思い付きを羅列したのだ、ただ人氣取り政策を放言したのだ、実行できるかどうかは保証の限りに非ずとあつては、公党の面目いずこにありやと言いたいのであります。一昨日の御演説の中にも、かねて御発表の民自党の緊急決議たる生鮮食料品の統制撤廃、料理飲食店の再開、尤もこの点については料理というところが大衆という字に変つておりますが、とにかく、そういつたように、或いは米麦供出後の自由販賣ということについては、時期と方法を考慮中だと言つておられます。
 又食糧需給の推移とも見合つてと、こう述べておられます。又取引高税の撤廃については、これを廃止するという根本方針には変りがないのであるが、その実施の時期並びに代り財源については引続き研究を進めておると、言葉巧みに逃げておられるのであります。取引高税廃止については、民自党は前臨時國会前、その早期開会を要望せられまして、山崎猛君以下百三十余名の連署を以て十月一日臨時國会を開くべしとなされ、そのときに公務員法並びに取引高税廃止の法案を提出される用意があり、而もそれには代り財源の用意もあるということを言われておつたのでありますから、政局担当と同時に直ちにその提案をなさるべきだと信ずるのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 又生鮮食料品の統制撤廃、料理飲食店の再開、米麦供出後の自由販賣といつたものは何ら法的措置を要しないのでありますから、政令によつてこれを直ちに実施できるのであります。從つて公約を尊重する建前から申しまするならば、組閣後直ちにその実施に着手されて然るべきではないかと思うのであります。若し近い將來これらの事柄が声明通り実施せられないという場合になりまするというと、民自党の在野時代の御声明は徒らに空論である、徒らに人心を煽動するものである、或いは國民を欺瞞するものであるということになりまして、公党として我々は甚だ遺憾に存ずるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)併しながら本員は敢えてこの問題を取上げましてその責任を追及いたそうといたすものではありません。なかなか一つの政局をお引受けになるというと、いろいろな困難があるものでありまするから、敢えてこれを追及いたすものではありませんが、ただ総理大臣にお伺いいたしたいことは、これら民自党の在野時代に発表せられた政策が、政局を担当せられました今日、直ちに実現し難いということを率直に認められまして、而もその政策の変更を余儀なくせられたゆえんを公党として国民に声明せらるることが、かねて吉田総理が提唱せられておりましたところの民主政治確立の根本理念に合するのではないか、こう考えるのであります。(拍手)その点について総理の御所見を承わりたいと存ずる次第であります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
 次に、補正予算について大蔵大臣にお伺いいたしたいのであります。一昨日の本議場の御説明に当りまして、総理は健全財政の方針を堅持すると述べられております。又泉山蔵相は、第一に、一般会計及び特別会計を通じ収支の均衡を保持するのだ。第二には、鉄道運賃、通信料金の改訂その他一般物價に影響を及ぼしインフレーシヨンを促進するような歳入に財源を求めない。第三には、財政資金全体の規模が國民負担の現状から見て苛酷に亘らない範囲に攻める。このようにして補正予算を編成したと述べておられるのでありまするが、併し今回の予算が果してその健全財政の目的に副うて実行せらるるや否や、私は甚だ疑いなきを得ないのであります。政府は今回の予算を編成さるるに当りまして、財源を税の自然増收に求めておられる。これは先般の物價改訂によりまして、國民総所得が五千億円の増である。いわゆる総所得が二兆四千億円に達するので、これに対する自然増收を計上されたものだろうと承知いたしておるのでありまするが、過般芦田内閣の予算審議に当りまして、鉄道運賃逓減の代り財源といたしまして約百五十億円の所得税の増收を見込んだのであります。あのときは我々は鉄道運賃の値下げに反対いたしたのでありまするが、とにかく、それが協定が成りまして、約百五十億円の所得税の増徴を見込んだのであります。すでにこのときに水膨れを第一にやつておる。(笑声)然るに、現在すでに税收は限界点を超え、徴税成績も甚だ芳しくないと存じておりまするのに、尚この上に所得税收を見込むということは、果してこれが確保できるかどうか私は甚だ疑いを持つておるものであります。先程も申上げましたように、泉山大藏大臣は、財政の健全性とは、一般及び特別両会計を通じ実質的に收支の均衡を保持することでなければならんと、かように指摘されておるのでありまするが、かかる水増し歳入によつて果して実質的に收支の均衡を保持せられることができるかどうか、これは私は非常な疑いを持つておるのであります。若しこれを実質的に収支のバランスができるように税を徴收するということに相成りまするならばただでさえ今やその経営の存続の危殆に瀕しておるところの中小工業は殆んど軒並みに私は倒れてしまうであろうと思うのであります。又大企業におきましても、恐らく資本の蓄積はできぬばかりでなく、その手や足を「たこ」的に食つて、そうして税を拂つて行かなければならん状態に相成ると思うのであります。それでは民自党が、又我々が申しておりますところの生産増強は如何にしてこれをすることができるか、これは私はよくよく考えて頂かなければならんと思うのであります。そこで、かようになされますというと、いわゆる泉山藏相の第三の條件として、財政資金全体の規模が國民負担の現状から見て苛酷に亘らない範囲で收めるという原則に対しては、これは全く相反することに相成ると思うのであります。この点については、今私は御当局においても十分認められておるのではないか、ただ在野時代に御主張なすつたその御主張に制約されて敢て個の方途を選んでおられるのではないかということを私は思うのであります。即ち前國会の予算審議に当りまして、民自党では旅客運賃は当時の政府案の三倍半に対して二倍、こういうことを主張され、且つ貨物運賃は三倍半に対して三倍、通信料金は四倍に対して二倍半と、かように唱えられております。又煙草の値上に対しても反対されております。かようにいたしまして、あちらこちらに壁を作つておられる。みずから壁を作つておられる。そこで自分が作つた壁があちらこちらにありまして、それに縛り付けられております。そういうことで、今日收支のバランスができるかどうかということはよくご承知でありながら、尚且つ大藏大臣がかような予算を編成されなければならなかつた。これは新聞の傳うるところでありますから、どうもよく存じませんが、大藏省案としては鉄道運賃の値上を財源として計上されておる、併しながらこれが與党の反対に会つてこれを止められた。こういうことでありまするが、併しこれでは本当に健全な財政はできないじやないか、私はどうしてもこの際大藏大臣が勇氣を奮つて、そうしてこの際在野党時代の主張に拘束せられることなく、日本経済再建のために実質上の健全財政を打ち立てられることを私は熱望して止まないのであります。(拍手)この点について私はそのお考えがあるかどうかお伺いいたしたいと存ずるのであります。
 次に統制の問題について安本長官にお尋ね申上げたいのであります。民自党におきましては、統制を大幅に解くと、かように言つておられるのであります。この統制は代一次吉田内閣時代に始められまして、その後、片山内閣時代にいろいろな規則によつて強化せられ、そうして芦田内閣に及んだのでありまするが、まだ全統制品目を大分類いたしまして千二百種、小分類にいたしますと約六十万に亘るところの統制品目があります。そのうち芦田内閣時代に、お茶でありますとか、或いは高級魚でありますとか、果物でありますとか、いろいろなものを大分類にして約百余種を解除いたしたのであります。の三面から取り上げられたかと思うのでありまするが、もとより需給関係が見合つておるとか或いは又緊急物資にあらざる実益に乏しい統制品でありますとか、統制の技術的困難なもの、或いは他の方法により統制の実益を挙げ得るもの等については、統制は即時撤廃することに私は異論がないのであります。それのみならず社会的明朗性の回復、流通の社会化、又生産増強の面よりいたしまして、進んでできるだけ早く統制は撤廃すべきものだと私らも考えておるのであります。ただそれには解除の段階と時期について考慮することが必要だと思うのでありまするが、ここで私は安本長官にお尋ねいたしたいことは、第一に民生安定に必要なる物資、即ち生活必需物資にして、上記統制撤廃の條件に適合せざるが如き品種に対しても、今直ちに統制の枠を止めようというのであるかどうか、いわゆる大幅解除の意味をそこまで拡めているのかどうか、その点をお伺いいたしたいのであります。もしそこまで拡めるということに相成りますると、いわゆる社会全体の幸福のためにそこまで行かれるかどうかということが疑問になつて來ると思うのであります。
 第二に、統制を解除した場合に、そのままには放置できないと思うのであります。或る場合にはそのままに放置できない。そこで解除物資に対して、買溜めなり或いは又投機なりそういう問題に対して、何らか禁止的な法の処置を必要とするのではないか、かかる禁止的な法の処置に対する御用意があるかどうかということをお伺いいたしたいのであります。
 第三には、企業の自由ということが原則として認められておる関係上、殊に中小工業におきしては、終戰後殆んど中小工業の企業数は約倍以上に亘つておるのではないかと思うのであります。かように中小企業が多くなつておる際、この際にすべての統制が撤廃されるということに相成りますると、却つて中小企業においては一つの困難が起つて來るのではないか。さような時でありまするから、今後いわゆる企業に対する許可について何らかの制限的措置を必要とするのではないか、いわゆる統制の整理というものに関連して、私はこの三点についての措置がおありかどうかということについて御答弁を得たいのであります。
 次に大屋商工大臣にお伺い申上げたいのであります。この前、大屋商工大臣が衆議院で、一にも生産、二にも生産、三にも生産とおつしやつております。私全く同感であります。そこで、これに関連して技術、原料、資材、こういつた面において、民間外資の導入が一日も早く具現されるということは産業界のひとしく要望しておるところでありますることは、産業人としての大屋君もよくご承知のことだと存ずるのであります。日本におけるところの科学或いは機械その他の技術におきましては、戰時中殆んど足踏み状態であつて、この間、他の國におきましては、アメリカあたりにおきましては長足の進歩をなしておる。從つてその間の技術上の開きというものは十年或いは二十年以上の開きを生じたのではないかと、かように推測させられるのであります。例えば私が関係いたしておりまするゴム工業について申しましても、ゴムの出るロールの機械が從來九人かかつておつたものが、向うは一人でやつております。九倍の能率でやつておる、こういう状態であります。從つて今日貿易振興を非常に唱えられておりますけれども、こういつた情勢で、國際貿易場裡の競争に立つて果して我々がこれが競争に堪え得るかどうか、力を持つておるかどうかこれは甚だ一見明らなこかとでありまして、到底これらの競争はやつて行けないのであります。それでありまするから、我々は一日も早く米國業者との資本提携によつて技術の導入を図らねばならないと思惟するものであります。又加工業者としての日本産業は、民間外資の形に起きまして原材料の輸入を得るにあらざれば、到底生産の増強は期待し難いのではないかと存ずるのであります。民間の外資導入の形は、結局日本経済の再建に役立つところの機械、設備、原料、技術等を提供し、又それに伴つて経営に参加するために資金を投下する場合と、日本の工場設備を加工のために利用し、原料、資材を提供する回轉基金設定の場合に分けられ得ると思うのであります。然るに目下いろいろ民間外資導入の噂はよく耳にするのであります。あそこにもできた、ここにもできたというのでありまするが、実際は一向実現されていない。何故実現されていないかというとこれを阻むものは、要約いたしますると次の諸点にあるかと思うのであります。第一には、講和條約未締結の今日においては、導入されたる外資に対してその契約の履行、実施につき不安があるということ、第二には、独禁法集排法等、諸統制法規に対するところの問題、第三には、外資導入会社の資産の貨幣價値と導入される外資の貨幣價値との調整問題、第四は為替レートの問題、第五は労働不安の問題であります。右に対して商工大臣は、民間外資導入助成法とも、いうべき民間外資導入促進の法案を準備されるお考えはないかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。私は右法案において先ず用意されなければならないことは、先程の障碍であるところの第一の問題に対しては、外資導入は許可制といたしまして、許可せられたる外資に対しては、その契約履行実施に関して政府がこれを保証することにしたらどうか。又第二の問題に対しては、政府は速かに独禁法を改正し、又諸種の法的制限措置に対しての手当をしなければならない。又外資受入会社に対しては、集排法或いは賠償措置等の未済の所に対しては、これを優先的に処理するという措置を取らなければならん。こういつた問題に対して研究する必要があるのではないか。又第三のいわゆる外資導入に対しまして、受入会社との資産の調整の問題、これはいわゆる受入会社は、インフレ前の、終戦前の貨幣價値によつて記帳されております。その帳簿價格と今回導入されるところの外資との貨幣價値とは非常な差がある。これでは体受入会社は到底外資の導入はできないのであります。從つて受入会社にはその資産の再評價を許すか、或いは一定の貨幣價値の基準を設けまして、そうして一つのレートを決めるということをいたしまするか、いずれにいたしましても、私は外資受入の民間会社に資産の再評價を認めるという法的措置を取る必要があるのではないか、かように考えるのであります。次には、第四の為替レートの問題でありまするが、これに対しては、私は尚レート自体について、民自党においては單一レートを近い将來に実施するということをお話になつておるのであります。單一制がいいか、複数制がいいか、これは大いに問題がありまして、私は今日單一制を直ちに実施するということは時期尚早ではないかと思うのでありますが、この点は今時間がないようでありますから、この点についての論議は省きます。そこで為替レートの問題、その次に先程の最後の労働問題、これはある一定の労働協約の中に特殊の例外を設ける、こういつたようなことを規定することが必要ではないか、かように考えるのであります。以上述べたことく、本員は民間外資導入につきまして何らかの助成法案を至急お作りになる必要があると信ずるのでありますが、この点について商工大臣の御意見を伺いたいと存ずるのであります。
 尚、商工大臣は生産資材と消費資材に対して、消費資材に重点を置くんだというようなことを新聞などでお伺いいたすのでありますが、これに対して私はやや反対の意見を持つておるのでありまするけれども、先程からもう時間がないようでありますから、これは又後日改めてお伺いいたすことといたしまして、私の質問演説はこれを以て終ります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(吉田茂君) お答をいたします。我が現内閣においては、私の施政演説にも申した通り、生産、増産が第一に考えられることであるということは、即ちこれによつてインフレーシヨンが防止ができる。防止と申しますか、緩和ができる。そのために増産が必要であり、生産が第一に考えられなければならん。ということは結局、社会公共全般の福祉を考えるためでありまして、インフレーシヨンのために社会全体が苦しむのでありまするから、何かその方法を考えなくちやならん。即ちそれが生産第一に考えざるを得ないというのであります。それが修正資本主義なりや否や、これは私は理論鬪爭いたすつもりはないのでありまするから、若しそれが修正資本主義なら、修正資本主義又可なりと言わざるを得ないのであります。又海外の情勢を正確に把握して、占領政策と同じ方向に進むようにというお話のように伺いますが、占領政策と協力することが條約上の義務であるのみならず、すでに占領政策は日本の復興のために全力を挙げてこれを援助しようというのでありまするから、條約の義務以外にも、積極的に現内閣としては占領政策に協力する考えでおります。
 又在野時代に民自党が発表した政策で、政局を担当して以後改むべきものかないかという御質問のようでありまするが、私は今日のところでは、何ら在野時代に提唱したことの政策を改める必要、或いは困難に逢着しておりません。政府としては漸を追つて在野時代に発表いたした公約を実行する考えでおります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手)
   〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#13
○國務大臣(泉山三六君) まず最初に、先程田村ざんのお尋ねに対しまして私は答弁漏れをいたしました。失礼を申上げました。簡單にお答え申し上げます。價格調整金の問題につきまして、石炭、電力についてはどうなるかというような御質問があつたのでございましたが、先程も申し上げました通り、いわゆる経済三原則の線に沿いまして、政府は方針をここに置くのでございまするが、この石炭並びに電力の問題はご承知の通り現下の重要なる課題でありますのみならず、今日そのおのおのが爭議の態勢にあるのであります。これを円満に解決し、我が経済政策の基盤を培い、以て生産の増強に資せんがため、本内閣におきましても、これらの爭議の指導に向つて万遺憾なさを期しておる次第であります。その線に沿いまして、経済三原則の大綱を貫きながら、尚且つ財政上の負担とも見合せまして、かれこれ勘案の上、石炭、電力等につきましては價格補給金の面におきましても適当なる考慮を加えておる次第であります。以上お答え申上げます。(「答弁にならん」「名答弁」」と呼ぶ者あり)
 次に稻垣さんのお尋ねにお答え申上げます。稻垣さんの御指摘は、今回本院に提出申上げました追加予算につきまして重大なる御発言と思うのであります。何となれば、その財源の大宗をなします租税の自然増收につきまして、これを水増しであるとのご判断であるのであります。或いは前内閣当時におきましての百五十九億円の自然増收のプラスは、只今率直に稻垣さんのお述べになりました通りかも知れませんが、本追加予算におきましては決してさようなものではないのであります。先程も稻垣さん御指摘の通り、本内閣におきましては国民所得の概算をいたすことを適当と認めまして、先の六月の物價を基準にして國民所得一兆九千億の算定を、最近即ち十一月の物價水準を元にいたしまして國民所得二兆四千億とかように改めましたのは、先程稻垣さん御指摘の通りであります。從いましてこの國民所得五千億の増加、この面から見ましても、仮に一割といたしましても五百億、本予算に計上いたしましたのは四百何がしでございます。從いまして決して水増しではないのでありまするが、併しながら、成る程今日の徴税機構を以て、そして、これまでの徴税上の熱意だけでは、なかなかこの目標に到達することは相当困難のあることは、本内閣におきましても率直にこれを認めるのであります。從いまして我々は先ずみずからこれを励ましますと共に、この徴税機構そのものにつきましても適当なる工夫を用いまして、何らかの新機構を編み出したいと思い、今日研究を重ねておる次第であります。のみならず他の半面におきましては、かようなる國民諸君に対しましての軽からざる負担をお願いいたしますゆえんのものは、他方におきまして國家公務員法の改正に伴い、官公吏諸君に対して、給與の増額のために少くとも財政止には重大なる重圧と相成つたのでありまして、国民諸君におかれましてもこの事実に対しまして認識を深められ、理解ある御協力によりまして、必ずや徴税の上にも格段の成績を得られるものと確信いたす次第であります。
 尚次に財源の調達に当りまして鉄道運賃或いは通信料金のごとき、さようなものを引上げる勇断に欠けておるのじやないか、かようなお尋ねであつたように思うのでありますが、稻垣さん先般御承知の通り、今日鉄道運賃、郵便料金の引上げのごときは、国民経済の上に殊に物價の上に重大なる影響のあることは認めざるを得ないのであります。かるが故に、苟くも價格改訂の用意なくして、かような重大なる要素に着手せんとする、さようの無謀なる勇気はないのであります。(拍手)
 次にいろいろ御指摘の間に、私が経済安定本部長官といたしまして、経済並びに財政の演説をいたしましたその演説には、全幅的に御賛意を表せられ、私の最も本懐とするところであります。民主党諸君の御同調に対しては、我が國政治の前進の上に誠に意義深きものと思うのであります。而して統制の撤廃につきましても、亦概ねその御意見は我々と全く一つでございます。ただ問題はその統制解除の段階と時期とにある。かようの点を稻垣さんも亦率直に御指摘に相成りましたのでありまするが、この点につきましては本内閣において或いは言うがごとく勇断に富むのかも知れません。我々は今日生活必需物資につきましては、その主食の面におきまして、申すまでもなくアメリカの大量の援助にこれを俟ちます現段階におきまして、これを解除するがごとき考えはもとより持つておらないのであります。併しながらひとしく生活の必需物資と申しましても、例えば今日この際において当面いたします野菜の問題のごとき、かようの問題は、その国民的要望に適應いたしまして速かにこれを撤廃せんとする意図を持ちますものでございまして、只今十分研究を遂げておる次第であります。尚統制の撤廃に関連いたしまして買溜め或いは投機等に対する法的措置を講ずるの用意ありや否や、かようのことでございましたが、苟くも統制の撤廃を断行せんもするものはその建前上、当然不必要なものとか或いは害あつて益なき統制は、もとよりかようの限界にあるのでありまして、統制撤廃の結果といたしまして買溜めその他投機的現象を來すというようなものについてば、これを撤廃いたさないのでありまして、問題は自然消滅いたす次第であります。
 第三には、企業の自由を尊重するも、共食いを避くるため企業許可を行うかどうか、かようのお尋ねでございましたが、企業の許可は企業の自由即ち事業を行うという企業者の企業心を阻害すること甚だしいものと考えるのでございまして、資材、資金の割当を通じまして統制を行い、企業許可的措置は原則としてこれを行わない方針で進みたい所存でございます。併しながら徒らなる国家の保護、さようの点につきましては、御指摘の通り十分この限界を定めたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#14
○國務大臣(大屋晋三君) 只今稻垣君から外資導入、主として民間外資の導入につきまして、縷々の御意見を拜聽したのでありまするが、私も全く同感でございます。言うまでもなく我が國の経済は自力では到底やつて行けない。現在におきましても御承知の通り食糧或いは肥料、石油というようなものから、鉄材その他の復興の資材を政府の関係の外資によりまして、いわゆるガリオア・フアンド或いはエロア・フアンド或いはリヴオルヴイング・フアンドというようなものによりまして、我が國の経済が非常な援助を受けてやつておるということは御承知の通りでありまするが、これに加えまして、まだ物足りないという点を私たちは感じておるのであります。即ちその物足りない点を民間の、民間人による、民間人の投資を日本に導入いたしたいということに対しまして、我が産業界がこれを非常に望んでおる次第でありまして、政府といたしましても、この際民間の外資を一日も速かに導入いたしたいと考えておるのでございまするが、さて、これは簡單にこの政府のフアンドのような工合には参らないのでございまして、いわゆる世間にいいます、資本はその資本を優遇する所に定着するのであつて、現在我が國の現状におきましては、稻垣君御指摘の通りいろいろな法制上の欠陷があるのであります。即ち我が國のいわゆるこのいろいろな経済独占禁止法案であるとか、或いはその他の固定資産の問題、或いはいろいろの法制によりまして、これを撤去しなければならんいろいろな問題が一つにはあるのと同時に、もう一つ根本的には言うまでもなく我が國の経済の基盤が未だ安定をしておらない。いわゆる我が國の物價の点におきましても、或いは通貨の点におきましてしも、企業のいわゆるスタピリテイ、何と申しますか、金業のまだ十分一人立ちができない弱い姿にあるというような現状に鑑みましては、外資が來たいと思いましても、この外資が躊躇いたしまして参らないというのが、これが現状なのであります。即ち敗戰後すでに三年を経過いたしまして、民間会社と米國その他の外國の民間人との間に外資導入の話がしばしばあつたのでありまするが、現在これが確実に成立したというものは殆んどないのであります。目下一二やや有力に進捗中のものがございまするが、さような状態でありますので、さて、この民間外資を強力に導入する方法手段といたしまして、稻垣君はこれが助成をするための一つの法律を作れというお話がございましたが、私の考えますところによりますれば、現在この問題はいわゆる関係方面の意向と、それから法制上の障碍の撤廃と、それから我が國の産業の基礎の安定、産業経済の安定の準備工作、この三つが打つて一丸となつて相当の程度進みましたときに、初めて外資が招かずとも來る、無論招く方法は強力に進めますが……というふうに考えておりまするので、無論あらゆる点に対しまして、政府は民間と協力いたしまして、十分の手段方法を講ずる考えではございまするが、只今稻垣君御注又のような纏まつた一つの法律として作る考えは持つていないのであります。(拍手)
#15
○副議長(松本治一郎君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を似て御通知いたします。本日はこれを以て散会します。
   午後零時十四分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一、國務大臣の演説に関する件
ソース: 国立国会図書館
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