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#1
第004回国会 本会議 第5号
昭和二十三年十二月七日(火曜日)
   午前十時四十一分開議
  ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  昭和二十三年十二月七日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第三日)
  ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
   ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程に追加して、淺井清、山下興家、上野陽一を人事官に任命することについて同意を求めるの件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長中井光次君。
  ―――――――――――――
   〔審査報告書は都合により第八号の末尾に掲載〕
  ―――――――――――――
   〔中井光次君登壇、拍手〕
#5
○中井光次君 只今上程されました淺井清、山下興家、上野陽一を人事官に任命することについて同意を求めるの件につきまして、その内容及び委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 本件は去る十二月二日の議院運営委員会におきまして人事委員会に付託すべきものと決定され、同日、議長より当委員会に付託せられましたものでございまして、委員会は十二月三日、四日及び六日の三日間に亘り愼重審議をいたしました。
 先ず本件の内容について申上げますに國家公務員法の第五條第一項によりますと、人事官は両議院の同意を経て内閣がこれを任命することと相成つておるのでありまして、これに基いて、内閣より人事官に淺井清君、山下興家君及び上野陽一君を任命することについて、本院の同意を求めて参つたものでございます。
 次に委員会における審議の模様を簡單に申上げます。先ず政府委員より三名の経歴及び選考の事情について説明があり、これに対して委員より、今回同意を求められた三君の外に尚他の候補者があつたかとの質問がございましたところ、政府委員より、候補者は他にもいろいろあつたが、十分檢討した結果、この三名が一番適当であると決定した旨の答弁がございました。又一委員より、この三君は経歴等から見て同一色彩の人のように思うが、人事官には、その権限から考えても、民間のエキスパートで各方面のことに理解がある人物を参加させるべきではないかとの質問に対しましては、政府委員より、今回決定した三君の経歴を見ましても、淺井清氏は慶應出身であつて同校の教授であり、上野陽一氏は東京大学文科出身で、労働、能率に関する研究の権威者であり、又山下興家氏は上野氏と同一の東京大学出身ではあるが、工科の出身であつて、官界というても特殊な技術畑を歩んだ方である。御質問のように三名の人事官ができるだけ異なつた分野から出るのが望ましいことではあるが、上述の三君もその点から見て異なつた経歴の持主と言い得るのであり、三名共その人格、経歴又は人事行政に関する識見等より見て、國家公務員法第五條に規定する資格を具備し、人事官として最も適任であると確信しておるとの答弁がございました。その他、尚本件はその事の重大さ及び將來に対する問題等から見ましても、愼重に取扱うべきであるとの委員全部の一致した見解の下に、種々熱心な質疑がございましたが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。
 かくて十二月六日討論に入りましたところ、一委員より、三君の選考事情その他政府の説明を聞いた結果、この際本件には同意する方が適当であると考えるとの賛成の旨の発言があり、更に一委員より、國家公務員法によれば人事官の任務は重大なものであり、政府はもつと廣い視野に立つて慎重に選考すべきであるが、今度同意を求めて來た三君は、臨時人事委員としての経験はあるが、人事行政に対する、知識、経験の点より見ると未だ未知数であり、而も公務員に対する給與ベース決定の経緯を見ても、政府は必ずしもこの臨時人事委員に信頼を置いていたとは言い得ないものがある。その他種々の点より見て、政府は独自の見解により國民のためになる良き人事官を任命するの誠意を欠いておると言わざるを得ないので、本件には反対するという発言がございました。かくて討論が終局し、次いで採決に入りましたところ、多数を以て本件は同意すべきものと議決いたしました。以上御報告申上げます。(拍手)
#6
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件全部を問題に供します。本件は委員長報告の通り同意を與えることに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#7
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本件は同意を與えることに決定いたしました。
   ―――――・―――――
#8
○議長(松平恒雄君) 日程第一、國務大臣の演説に関する件(第三日)、昨日に引続き順次質疑を許します。内村清次君。
   〔内村清次君登壇、拍手〕
#9
○内村清次君 私は総理大臣及び経済安定本部長宮の施政方針に対しまして、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣、安定本部長官、労働大臣に質問をいたしたいと存じます。
 先ず首相の施政方針演説を聞きまして第一に遺憾に思いましたことは、その趣旨において、眞に國家百年の大計を憂慮して、一國政治の衝に当るという積極的な憂國の熱情が少しも感ぜられず、その言うところは言動不一致で、而も選挙目あての項目の羅列であつたことを感ぜられたのであります。その趣旨は大別して、当面の國会に対する政府の進退と、その弁明から始まりまして、講和会議促進のための民主主義の確立、生産の増強、綱紀粛正その他の項目が羅列されておりました。その項目の一つ一つが、私共の実際に見聞いたしておりまするところとは非常にかけ離れた矛盾だらけであります。私はこれらの各項目について質問いたしたいと存じますが、その前に先ず質問をいたしたい基本的な問題がございます。
 それは首相がみずから掲げておられるところの民主主義の確立という重要な問題についてであります。今次内閣が、組閣より今日までに行なつて來た非民主的な態度につきましてであります。その組閣早々より、党利のため國会多数の意思を無規して飽くまで早期解散を強行せんとし、これがため官公吏給與改善の予算化が、公務員法改正と不可分であるとの國会の決議を、ともすれば無規しがちな、独善的な態度を以て終始せられて來た行爲であります。我々が党はもとより解散を避けるものではありません。國会の権威を尊重し、國民福祉のため、十分なる言論の確保がなさるべきであるとの民主主義の原則よりいたしまして、我々は今まで探つて來た吉田首相の態度を極めて遺憾に思うものであります。又國会解散に関する憲法上の解釈につきましても、去る十一月十二日、我が党の片山委員長が関係方面から聽取いたして來ましたごとく、即ち「第六十九條以外に政府が独自の解散権を持つとの考え方は旧憲法の思想であり、曾ての天皇制の思想とも繋がるものである」と、かくのごとく國際輿論からも吉田内閣の独善的な憲法第七條による一方的解散論に対して手厳しき批判が加えられ、且つ又國会におきましても、第六十九條による解散のみしか認められないという正しい憲法上の解釈によつて、独善的なる政府は遂に屈服したのであります。以上のごとき例でも明白でありまするが、吉田首相は、ともすれば首相御自身、議員であることを忘れて、國会を、軽視し、非民主主義的態度が随所に見られるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)去る三十日、本院本会議における國家公務員法の審議の際における態度然り、各委員会における態度又然りであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)尚、昨日の本会議におきましては、首相の施政方針演説に対しましては、各党各派それぞれの立場から質問をして、その政策を批判檢討することが國民挙つての要望であります。議院運営委員会におきましては、日程を定め、質問順位を決定して、円滑なる議事の進行を期待していたに拘わらず、首相の國会軽視の行動から遂に議事の遅延を來しましたことは、國民に対して甚だ遺憾とするところであります。首相は如何なる用件のために本会議を退場せられたか。この点明確にされるよう要求するものであります。かくのごとき態度において現内閣による民主主義の確立は到底望み得ないと思うのでありまするが、首相のお考えはどうであるか明確なる御答弁をお願いしたいのであります。更にこれらのことは、廣く國民、特にその基幹である勤労大衆に対しても同じことであります。遺憾ながら今までの吉田首相の探られて來た各般の態度は極めて官僚主義的であり、強圧的であります。例えば首相は組閣早々非日活動委員会のごときものを考えておられると言明されましたが、それは何を意味するものであるか。若し或る特定の政党が常識を逸脱した行動を執つたといたしましても、それに対して政府がその基本的人権を妨害するごとき非民主的措置を執ることは、納得と輿論によつて世論を動かす民主主義の原則からいたしまして、行うべきことではないと信ずるものであります。例えば毒を制するに毒を以てするがごときナチス的手法は断じて採るべきものでないと思います。又第一次吉田内閣におきましても、首相はややもすると労働階級に必要以上の刺戟的な断圧態度を似て一貫しておられる。目下世界各國の現状におきまして、労働組合を中心とする民主勢力は、健全なる手段によつて一國の政治を左右する重要なる役割を持つております。イギリスにおいて然り、アメリカにおいて然り、又このことは民主主義の徹底において当然認めらるべき態度であるのに、現に吉田首相のごとく、健全なる労働組合にすらいわゆる保守反動と一言にして表現せられる方が政権をとつておられる。又農民諸君にとつても同様であります。第三次農地改革はおろか、組閣早々の閣僚の言明によると、小作料の値上を放言し、第二次農地改革の成果に対してすら逆行し妨害せんとする言動をなされておられる。國内外の情勢から見て、民主主義の確立が緊急の時に当つて日本の民主化未だ成らず、むしろそれに逆行するがごとき政権があること誠に悲しむべきことであると存ずる次第であります。(「同感」と呼ぶ者あり)首相自身一昨昨日の施政方針演説において、講和会議を促進するためには先ず民主主義政治の確立が不可分の條件であると認められております。それに拘わらず、かかる民主主義に逆行するごとき態度を以て終始せられる政府であつて、何で國際信用が得らるるでありましようか。これらの空気は、講和会議を前にして世界各風の輿論が吉田内閣に対して極めて不評であることによつても明白なる事実であります。このことにつきましては、先に参衆両院の議員諸君によりまして言い盡されておることでありまするが、重ねてこの言動不一致について講和会議を待望する國民が重大なる不安を感じておりまするときに、次のことについて質問をする次第であります。即ち講和会議を前にして、かかる非民主的なる態度を尚も続けられる所存であるかどうか。(笑声)又口先ばかりでなく、この具体的なる講和会議に臨む決意と準備がおありになるかどうかについてお伺いしたい。
 次にその経済財政政策の大綱について質問をいたします。今次の追加予算の編成を見ましても、亦首相及び安本長官の施政方針を聽きましても、私共から見ますると、その財政政策の大綱は芦田内閣のそれと五十歩百歩でありまして、何ら大きな変化がない。それ以上に保守的性格が更に露骨に現われておることが特に目に立つのみであります。(「具体的にやれ」と呼ぶ者あり)これらの点につきまして更に具体的に質問いたしたいと存じます。
 その第一点はこの度の吉田内閣は、芦田内閣より更にはつきりと行政整理、企業合理化を露骨に公約として誇示されております。更に惡いことには、これらについて何らの失業対策も社会保障制度についても言明するところがなく、労働大臣のごときは、無慈悲にも首を切ることを放言なさつておられます。(「心配するな」と呼ぶ者あり)私共は民生安定、労働力の保全という立場から、当然、企業整備、企業合理化が行われる以前に、万全の措置、即ち配置轉換とか失業対策、社会保障制度の計画と準備が確立されねばならないことを信ずるものであります。(「準備はできてるよ」と呼ぶ者あり)無秩序にして、徒らに資本家の思うがままに不当馘首を行わせるとすれば、成る程個個の資本とか企業の採算はよくなり、ただ名目資本の再建にのみ役立つかも知れませんが、馘首された多くの生産的労働者は、結局失業のため非生産的な闇屋に轉落して、一國生産力の向上には却つてマイナスとなるばかりか、又それが惹き起す社会的な不安と混乱は甚だしいものがあると信ずるのであります。(「余りおだてるな」と呼ぶ者あり)又資本家側におきましても、それのみでは何らの機械設備の改新による企業の合理化、生産性の向上をもたらすものでなくして、不当馘首に便乗して、残つた労働者の労働強化のみによつて資本の採算を確保したり、甚だしいのは、闇投機とん積のみによつて、利潤のみを追う結果となり、これでは何らの生産の増強でもなく、却つて縮小であり、社会不安が拡大するのみであります。折角の再建の糸口がこの点から閉されてしまうのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)このような事態を政府ははつきりと予想せられておるかどうか。特に生産の増強と労働能率の向上を基本的な施政方針として高唱しておられますが、今まで述べましたことと政府の探つておられることと矛盾が感ぜられはしないか。その所信の程を伺いたいのであります。
 以上の点よりいたしまして、我々は無秩序な馘首による合理化は絶対に行うべきことではなく、計画的にして而も労組の参加した民主的な委員会によつて秩序正しく行うべきことを主張するものであります。即ち先ずこれらの措置が必要であるかどうかを民主的に確かめた後に、万人の公正妥当だと認める部分についてのみ、先ず労働力の合理的な配置轉換、例えば他の優秀工業とか農村工業、災害復唱、水力電源の振興等の方に振向け、然る後に、止むを得ざる失業者に対しては完全なる社会保障制度を確立して置く。このような態度が必要であると思うのであります。特に爲替一本レートの設定による調整恐慌を予想するときに、この種の計画的な施策が早急に必要であると思いまするが、首相及び安本長官のこれに対する具体案と所信を求める次第であります。
 質問の第十二点は、結局において、この内閣は尚も芦田内閣の行なつて來た中間安定構想に基く経済十原則を、更に加えて合理化三原則によつて強行するもののごとくでありまするが、これらの方針が勤労大衆の一方的な犠牲を強要することによつて大衆購買力の抑制を求めるものであることは明らかであります。これらがただ單に農民には低米價供出を、労働者には低賃金安定を強要し、更に大衆課税の強行とか、中小企業に対する融資の引締め等にのみ意を房いて、復金インフレとか、厖大予算とか、インフレの根因を忘れておる結果、これらの甘い中間安定構想の背後には、勤労大衆の不満と、又尚且つインフレの破局化という脅威が絶えず附きまとつていることをお忘れになつておるのであります。元來インフの結果に過ぎない賃金と物價の値上りのみを抑えて、インフレの原因である復金融資とか厖大な闇所得を放任しインフレ予算をそのままにして置くということは、恰かも大雨のときに屋根に大穴をあけてバケツを持ち廻るのと同じような愚な政策であることを固く信ずるものであります。(「片山内閣はどうした」と呼ぶ者あり)
   〔議長退席、副議長著席〕
 特に爲替一本レート設定による調整恐慌の後においては、インフレの収束棚としては絶好の機会であると思われます。このときに当つて今後計画的に行うべき何らかの根本的な処理方策が必要でありまするが、この度の施政方針を聴きましても、これらの計画については、はつきり明示されてありません。我が党は先にインフレの根本的処理方策として、その根因である復金機構に対する民主的な管理、金融の融会化、大口闇所得に対する徹底的な徴税を行い、通貨増発の根因をせき止めんとする一連の難策を発表いたしております。かくのごとく計画的に、且つ国民ひとしく公正な負担によつてインフレを克服せんとする要求に対して、首相及び安本長官は如何なる見解を持つておられるか、御答弁をお願いしたい。
 質問の第三点は、安本長官はインフレの根本的収束には通貨措置は必要なきものと言われております。(「まだ早いよ」と呼ぶ者あり)本来インフレとは通貨現象であります。平價の切下げも含めまして何らかの通貨処理をなないでインフレを最終的に安定せしむる確信があるかどうかについて、特に明答をお願いいたしたい。
 次に追加予算について質問をいたしたいのであります。第一に、その歳出の中で最も重要なものは官公吏の給與改善費でございます。これはベースに換算いたしますると五千三百円台にしかなりません。遂に吉田内閣は人事委員会の六千三百円べースを強引に否定し通したわけであります。併しこの六千三百円は単なる給與水準ではなく、先に問題を起して漸く通過いたしました國家公務員法改正において、官公吏が公務員という立場から止むなくその生活権の保障とも言うべき労働組合の基本的権利を制限せられたその代償として、不可分の條件であると内外に認められた六千三百円でございます。たとえ後に人事委員会案として現物支給の償却その他の点において批判さるべき点があるといたしましても、我々の問題とする点はそのベースにおける六千三百円であります。とにかく人事委員会案をすら否認した点において、政府は正に勤労階級に対する重大な背信行爲を心したと確信する次第であります。((闇をどうするのだ」と呼ぶ者あり、拍手)政府はこれらのべース改善に対する誠意は全く喪失しておられるかどうかについてお伺いをしたい。
 第二に、この予算全体について見ますると、一言にして申したならば、消費的膨脹予算でありながら而も勤労大衆の一方的負担によるデフレ的側面を持つ、誠に不可思議な性格を持つておるのであります。即ち特別会計を含めたら本年度一兆余の厖大予算になりながら、一方では経済三原則による賃金安定、融資の引締め等を企図しておりまする点において、デフレ的な性格を持つておるのでありまするが、この追加予算純計七百三億余の財源の殆んど八割までが國民大衆の負担によつておるのであります。これは全く昨年度よりの過大なる租税負担を続けて強行するものであり、昨年度の二倍にも上る負担となります。特に最近税金によつて苦しめられておるところの勤労大衆に対する税の軽減について、政府は何らかの考慮がなされたかどうか、具体的にお聞きしたいのであります。
 次に予算の削減を図るためにただ一冊筋に行政整理、大量馘首のみを採り上げておられますが、一体これらの行政整理によつて如何程の経費節減が可能であるか。それだけの節約によつてこの厖大予算がどの程度まで喰い止められるか。その具体的な数字的根拠と行政整理の計画を示して貰いたいのであります。私はそれらの官人員の削減による僅かの経費節減では何らこのインフレ予算を喰い止めるだけの経費節約は浮んで來ないと確信をいたします。それは却つて労働不安を弾圧する警察諸費用その他が加重するのみでありましようし、そのために起る官臨公務員び労働加重による國家公務の停滞しかもたらさないと思うのであります。思うにインフレの根因は、先に指摘いたしましたごとくに、根本的には賃金の上昇などによつては惹き起されるものではなく、政府は厖大な闇大口所得に手を触れずして、徒らに財政の苦しさを訴えで、それをすべて賃金給與の引上げによるかのごとく一方的に宣停しておられる。これほど一方的に保守反動性を陰険に示した卑劣な宣博はないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)このインフレ闇大口所得の徴収については、この度の予算編成及び施政方針には何ら触れられておらないのでありまするが、果してこれを実行なさる誠意と具体案があるかどうかについて御答弁を要求いたします。
 次にこの度の施政方針において一筋に貫かれておりますことは、経済合理化の三原則でございまするが、この三原則というものは、ややもすると民間労働階級に対して、いわば一方的な攻撃的なものとして悪用される虞れがあります。もともとこれら重要企業に赤字が出ておるということは、企業本來の赤字というよりも、官僚統制による低物價政策とインフレの矛盾によつて生れた、いわば官僚統制の碕型見でありまして、これに便乗して誇大に宣博せられておる傾向が強いのであります。かかるときに企業の自主性を目指すこれらの三原則を本氣になつて強行する決意があるといたしましたならば、先ず第一に本格的に官僚統制の民主的改廃と、企業内容の民主的な管理とか監査とかを必要とするのであります。かかる決意がなくして若しこれを強行するならば、ただ一方的に賃金の切下げ抑制という一方的の手段にのみ使われまして、本来の合理化とか自主化とかは全く空念佛に終つてしまうのでございます。官僚統制の撤廃を主張せられる民自党内閣といたしましては、この点まで徹底して行う決意があるかどうか。この決意と具体案について御答弁を求めます。
 次に外資導入と貿易の問題について質問いたしたい。安本長官の施政方針によりますと、輸出振興を強調しておる。又組閣早々において國民に公然と飢餓輸出と耐乏生活を強要しておられる。このように政府が頻りに輸出振興を唱え輸出入のバランスを強調するということは、一説によると経済安定に資すべきクレジットの貸與が望み薄になつたということを言われておりますが、いわゆるクレジットに対する見通しについてお聞きしたいことが一つ。と同時に、吉田内閣も、このように不安定な外資依存一本槍の芦田内閣の方式をそのまま継承するものであるかどうか。経済の自主的復興に如何なる確信があるか。國内外の情勢から見ましてその基本的態度についてお聞きしたいのであります。
 次に労働政策につき、その主要点について質問を申上げたいのであります。國家公務員法の改正が曲りなりにも前國会を通過いたしましたが、この審議の過程におけるその態度につきましても、民自党はやはり労働階級にとつて喜ぶべき存在ではないと痛感いたしました。(笑声)このことによつて更に私は、この内閣がみずから刺戟して起した労働不安に手を焼いて、早速民間労働法規の改悪を行うのではないかという可能性を強く予感したわけであります。そもそも労働組合の諸権利、團結権、團体交渉権、争議権は、ポツダム宣言を初めとした連合國の意思表示にも明らかでありまするごとく、イギリスの産業革命以來発達した少数の資本家の支配に対して、勤労大衆が血と汗とでかち取りました民主主義的な諸権利であり、これが健全なる行使は実に民主主義徹底化の基礎であります。今我が國には繊維工業や土建事業に見られまするごとく、幾多の封建的な慣行が残存いたしておりまして、労働三法の満足な実施用未だ完全ではないのでございます。かかるときに一部の行き過ぎを口実といたしましてこれら労働者の民主的な権利を侵害することは、誠に容認し難い反動的な行爲であります。と同時に、これらの刺戟的な行動が若しもあつたといたしましたならば、もはや健全なる労働組合ですち、國会頼むに足らずという直接的な政治的抗争に起ち上る慮れが多分にあることを憂うるのであります。(「同感」呼ぶ者あり)再び吉田内閣はあの二・一ストの再來を惹起するという結果になることを思いまして、重ねて重要な点でありまするから質したいのであります。国際的に見ましても、現にタフトハートレ法がアメリカにおいて如何にトルーマン大統領の再選という奇蹟をもたらしたか。又フランスにおいて労働争議の一方的弾圧が如何に大きな抗爭と社会的不安を惹起しておるか。これらの実例を、目下労働法規の改悪を否定したり或いは強調したり、いずれとも判断しかねておられるところの増田労働大臣に、特に將來このような反動的企図があるかどうか、明確なる答弁を要求する次第であります。(拍手)
 最後に、生産増強を基本方針としておられる現内閣が、先程言明しましたごとく大量馘首を実行し、労働不安を惹超し、且つ又経済三原則による低賃金と融資の引締めなど一連のデフレ的強行をなすのであるといたしましたならば、徒らに生産を萎縮せしめ、ただ資本の採算のみが再建せられるという、いわば一将功成つて万卒枯れるという悲惨事が予想されるのでありまするが、これらについて矛盾を感じないかどうか、明確なる御答弁を要求いたします。
 以上を以て私の質問といたしまするが、首相初め安本長官、労働大臣の答弁が明確でなく、不十分のときは、再質問を留保することを申上げて質問を終りたいと存じます。
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#10
○國務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私が施政演説その他において申述べた通り、現内閣は首班選挙の投票において現われたことく少数党内閣であります。少数党内閣であるが故に、冒頭解散をして信を国民に問うべきであるということは私の確信であります。これが民主主義に合うか合はないか、私はこれが民主主義と考えるの、であります。(「その通り」「分つたか」と呼ぶ者あり)又早期解散については、私よりもむしろ片山君の方が先におつしやつたように思います。殊に早期解散を主張した免租はむしろ社会党の諸君であると私は了解するのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)又憲法上の解釈云々ということでありまするが、輿論も、学者の議論も、七條でいいということは殆んど一致した議論のようでありまするが、(拍手)暫らくこの学理問題は別といたして、事実、四党協定によりまして不信任案の通過を待つて解散をすることになつておることは、この間申上げた通りであります。
 又非日活動委員会について私が何か言明をいたしたということでありまするが、私の記憶にはこれはありません。
 又労働者に対する非民主的態度とおつしやるけれども、私は労働者に対して非民主的態度をとつておらないのであります。勤労大衆が一致して日本の復興、日本の経済再建について協力するにあらずんば日本の再建はできないのであるから、勤労大衆の福祉厚生については十分考えるということは、私のしばしば本議場その他委員会において言明いたしたところであります。これを似て或いは私の態度が非民主的なりという御批評に対しは、この説明を以てお答えといたします。
 又國際的な吉田内閣に対する不信云々ということでありまするが、私は従来宣博とか或いは自家廣告はいたしたくない考えでありますために、從來民自党の態度もしくは自分自身に対する態度については弁明は曾ていたしたことがないのであります。併しながら現内閣になりましてから、私としては職務上國の新聞通信員その他に努めて接触をいたしておりまするが、私の感じたところにおいては、又私の所においていろいろな議論を戰わしたところにおいては、おつしやる不信なるものは私その形跡を認めないのであります。(拍手)又最近の海外における各新聞記事についての論調について御覧になつたら分ると思いまするが、決して我が党、我が内閣に対して不評などということは私は認めないのであります。むしろ國内からいろいろ、放送をせられて現内閣を誹謗せられる声が、その御自身、言われる諸君においてお目に付くかも知れませんが、場私はこの際諸君にお願いいたしたいのでありまするが、日本國の再建復興は決して容易ならん仕事であります。前途については頗る懸念を持つておるのであります。どうか国民諸君は勿論のこと、議員各位におかれても、この國を、日本帝國…(「日本帝国か」「帝国主義だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)擁護するごとなく、徒らに批評を出されることはよくないと思います。(「速記者よく書いたか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 又講和会議に対する具体的準備、これは私が委員会その他においてしばしば申しておる通りに、この準備は、今日我々が瀕死の状態にあるときにおいて、(「今の言葉を忘れるな」と呼ぶ者あり)滅多に、外交的に積極的に動くことは禁止されておりまするが、できるだけのことは現にいたしておるのであります。(「懲々々」と呼ぶ者あり)又講和会議に代るべき暫定的措置等についても、種々各方面と接触をして、そうして講和会議が、講和條約が、仮に促進されなくても、これに代る暫・定措置を以て講和條約までその間措置をとりたいと、種々各方面に連絡をとつておるのであります。でありまするから、具体的準備の決意があるか、無論決意があるためにかくのごとき措置をとつておるのであります。(「帝国はどうした」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣泉山三六君登壇、「詳細に具体的にやれよ」「泉山節でもよいから」と呼ぶ者あり〕
#11
○國務大臣(泉山三六君) 内村さんにお答えを申上げます。
 先ず第一点は、本内閣は行政整理をやるのであるか、然らば失業対策との関係は如何、かようの点でありましたが、もとより本内閣におきまして、行政整理に対しまて深甚の考慮を用い、目下その具体案につきまして鋭意研究を重ねておりますることは、内村さん御了承の通りであります。「了承していないよ」「誰が了承したのだ」「お前一人で了承しているのか」と呼ぶ者あり)ご心配のように、失業対策その他対策なくして行政整理を断行するがごとき無謀のことは決してやりませんので、(「その通り」と呼ぶ者あり)ご心を願いたいと思うのであります。(「やらないのだな」と呼ぶ者あり)そこで問題は、行政整理によりまして財政上幾ばくの軽減を來すものであるか、かようのお尋ねでありまするが、その具体案の作成と同時にこれを発表いたしたいと思うのであります。
 次に御質問の第二点は、インフレの収束についてどういう計画的な施策があるか、こういう意味に解釈いたしたのでありまするが、インフレの収束のためにはあらゆる部面の経済施策をば総合集中して、強力にこれを推進することが必要である。かように考えておる次第でございます。政府といたしましては、(「どういうひとを強力にするのだ」と呼ぶ者あり)かようの見地に立ちまして、生産の増強を第一義とし、財政、金融、物價、流通、貿易等の各部門に亘りまして強力なる総合的施策を実施いたしまして、又特に輸出の振興と外資の援助を期待して、以て我が剛健済の安定と再建に向つて邁進したい、かように考えておる次第であります。経済三原則の趣旨につきましては、極めて時宜に適したものと考えておりまするが、その具体的適用に関しましては、政府におきましても今日における我が國経済の実情に即應して、以て十分考慮いたし、これを実施面に施したい、かように考えておる次第であります。
 次に、國家計公務員諸君の新給與べースを政府は五千三百円にこれを決めた、が、更に改善の誠意ありや、かようのことでありましたが、政府におきましては、たびたび申上げました通り、官公吏諸君の給與の改善の問題は極めて重大且つ緊急なものであることを認めておるのでありまして、さればこそ、この新ベースの決定に当つたのであります。かようへの意味合におきまして、その誠意については十分御了承のところと思うのであります。
 次に大口の闇所得の徴税等に関しましてのお尋ねでありましたが、この大口の聞所得の捕提につきましては、課税の適正を図る見地から、かねていろいろ努力をいたして参つておるのであります。先般大蔵省におきましては、中央並びに地方部局に國視査察の制度を設けまして、この点について折角努力を集中いたしておるのでありまして、その実積には見るべきものがあるのであります。
 次に、外資の導入に関連いたしまして御質問がございましたが、申すまでもなく我が國の経済安定復興には、当面相当の外資の援助を頂きまげることが非常に肝要でありまして、従來連合軍の絶大なる好意によ力まして、多額の政府援助を受けて参つたのでありまするが、今後も暫らくは引続き食糧或いは経済復興用の資材、輸出用の原料等の輸入につきまして、その援助を受けなければならないのでございます。尚又、目下司令部御当局におかれましても日本の経済復興評画に懸念をいたし三て、今後の計画を更にご検討中であるやに仄聞いたします。國民と共にその好意に対しては深甚なる謝意を表する次第であります。以上お答え申上げます。
   〔國務大臣増田甲子七査登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(増田甲子七君) 内村さんの御質問にお答え申し上げます。内村さんは、先ず吉田内閣が健全なる労働組合方面からも保守反動と言われているというようなことを言われましたが、私はこの際一言いたしまするが、これ悪口であります。悪口というものは、よく戦時中はやりましたが、例えば反國体的であるか、或いは反軍的であるとかいう言葉が非常にはやつた。又その悪口に対しまして、その悪口を述べられた相手方は弁明しようと思つて、自分はそういう立場を執らんということを一生懸命弁解するために、心ならずも軍國主義的行動に走つたというような悲惨な結果をしばしば見たのでありまて、私はよろしく悪口のごときは、これからの民主日本においては放逐すべきものであると思います。(「それは誰だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すべからく、その政党なり、その国体なりの行動の実績を分析檢討いたしまして、その結果、或いは保守反動なり、その他の悪口は、これはその具体的問題において甘受してもよろしい。併しながら一應悪口を人に言うということは、これはその悪口を言う人がずぼらであるか、分析したり檢討することが嫌いであるかというようなことであると思つております。将來着くも知性以つて任ずる民主日本においては、一應何ら人の実績を檢討せず悪口を言うことは止めて欲しいと思う次第であります。
 その次に、労働大臣が企業体の健全性の確立によつて大量の馘首をするということを放言したということを言つておりますが、私はそういうことを放言しておりません。ただ併しながら、民主自由党を與党とするこの政府におきましては、行政整理なり或いは産業合理化については政策の公約があるのでありまして、その公約を実施することについて誠意と責任とを持つということを、私は衆議院の委員会等において、はつきり申上げております。併し内村君のお説のごとく、成るべく血の出ない整理なり合理化をいたすべきでありまして、先ず第一に配置轉換をするとか、或いは配置轉換をする前に、我々が今考えているところは、積極的に受入れ態勢を作りまして、その受入れ態勢を作つて合理化なり整理を断行したいと、こう思つております。それから仮に役人の整理にいたしましても、今、実人員と欠員との、そういう定員と欠員との差異がございますから、先ずそこに一應手を着ける。その次には合理化の見地からいたしまして、役所でこれだけの人しか要らんということにつきましては、冗員については役所に出勤しないでもよろしい。その間、一年俸給を拂いまして、その間において政府なり、主務大臣なり、主務官職において責任を以て配置轉換なり、就職の斡旋奔走をするということを考えている次第であります。
 その次に、労働者の行動権についての制約であるところの労働法の改悪をするかどうかという御質問であります。公務員法以外のことについては、只今私共は改悪ということは絶対考えておりません。改正という点については、労働組合法なり労働関係調整法については、すでに片山内閣、又芦田内閣の時において、労働組合法は終戦直後できた法規であり、労働関係調整法はその後できた法規でございまして、すでに相当年限の経験を持つております。その経験に徴して檢討するのみならず、内村君の、御存じの通り、労務者側からもこういう方面を改革して欲しいという申出があるのでございまして、米窪君なり加藤君も折角研究中でございまして、その研究の成果を私も檢討いたしております。これは大勢に向かつて善処したい、こう存じております。労働基準法につきましては衆議院の本会議におきましても、八時間実労働という原則は、これは國際労働通念でございまして、原則的なものに手を着けたくない、こう考えております。それから合理化なり企業体の健全化なりを図つた結果、一将特功成つて万卒枯るという結果なつてはいかん。これはお説は御尤もでありまして、我々は完全雇傭々々々々と言います。当該企業体から失業者を出さず、冗員であつても抱えて置くということを完全雇傭完全雇傭と言つておりますが、これはフル・エンプロイメントの非常な誤解でありまして、我々は國民八千万の完全庸傭を考えているわけであります。即ち万卒枯るどころか、八千万の完全雇傭を図るために企業体の健全性を確立するということが先ず第一でございまして、例えば身体におできができた。その時に手術をすれば治るけれども、手術をすればちよつと血が出る。或いは血が出なくても痛い目を見る。そこで厭だからして、そのおできを放つて置くというようなことになりますと、身体全体が死んでしまう。即ち一将功成り万卒枯るという結果を惹起しかねない。そこで我々は、このおできは、多少は血が出るかも知れないし或いは痛いかも知れないが、手術をすることによつて、本人自身は再び健康体になる。即ち日本が経済が再建され、産業は復興する。こういう見地から企業体の合理化を考えている次第でございまして、決して内村君のおつしやつたように、一将功成句万卒積るどころか、國民完全雇傭のために一時の産業の合理化を考えている次第でございます。(拍手)
   〔内村清史君発言の許可を求む〕
#13
○副議長(松本治一郎君) あと三分残つておりますから、質問を許します。
#14
○内村清次君 只今の首相及び経済安定本部長官へ又労働大臣の御答弁は、私が答弁をお願いしました項目の中一には、まだ答弁をしておられない点がありますのと同時に、その内容において不明確な点が沢山あります。私はその点に対して不満の意を表明します。同時に重大でありますことは、首相の答弁の中に不穏当な言辞が、ありました。これは新國会といたしましても、新憲法下の國会といたしまして、決して看過することのできない言辞であると思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)その問題につきましては、この問題をお残しいたします。それから議事の准行がありまするかち、私は再登壇はいたしませんが、議長に要求いたしますことは、この答弁不明確、及びまぜ答弁なさつておらない点につきましては、國会法の七十五條によつて、速記緑によつて内閣は「この答弁書を提出するように」、議長からお取計らい頂けることを特に希望いたします。以上。
   〔栗山良夫君「議事進行について……先程吉田首相が内村君の質問に答えられた中において、不穏当の字句がありますので、これの処置につきまして発言をお願いいたしたいと思います」と述ぶ〕
   〔「議長々々「登壇々々」と呼ぶ者あり〕
#15
○副議長(松本治一郎君) 議長から発言を求められております。(笑声)総理大臣から……
   〔「こつちが先だよ」と呼ぶ者あり〕
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#16
○國務大臣(吉田茂君) 今、私の演説中に、(「こちらが発言中だ」と呼ぶ者あり)不穏当の言葉がありましたらば、議長において適当に取消して頂きたいと思います。(「ありましたらばとは何だ」「了解々々」と呼ぶ者あり、拍手、「ありましたらばじやないよ」と呼ぶ者あり)
#17
○副議長(松本治一郎君) 栗山良夫君。
   〔栗山良夫君登壇、拍手〕
#18
○栗山良夫君 終戰後三年有半、(「簡單簡單」と呼ぶ者あり)私共は、日本の一民主的の再建のために、(「それば質問演説か」と呼ぶ者あり)國内を纏め、更に国際的信用を高めるために、偉大なる努力を拂つて来ておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るにこの三年有余を経ました今日、ここに、日本民主再建の先頭を切つて進むと数日前にこの本会議場でその意思を明らかにせられました吉田首相みずからが、明治憲法の流れを汲むところの日本帝國なる言葉を本会議場において述べられましたことは、私は愕然たらざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)これは即ち日本國民の民主的再建の方向を誤またせるばかりではないのであります。(「そんな馬鹿なことはないと」呼ぶ者あり)國際的信用をかち得なければならん極めて重大なる段階において、日本の首班である吉田総理が、かくのごとき誤まてる考え方を本会議場を通じて堂々と國内並びに國際社会に発表されましたことは、重大なる(「何を言うか」と呼ぶ者あり)問題であると思うのであります。終戦以後、労働階級を捉えで不逞の輩とし、或いは又昨日の民主党の稲平太郎君の、民主自由党こそ極右政党である、支配階級の勢力温存のために戰つている致党ではないかと指摘せられた、その言葉そのものにも通用する出与えであると思うのであります。(「そうだそうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)私は、この考え方が民主自由党の考え方であり、又吉田総理の個人的イデオロギーであるならば、一向にここで問題にする必要はないと思うのでありますけれども、現在異常であり、日本國の総理であるところの吉田首相が、この席上において、かくのごとき言葉を使われましたことは、日本の再建の上に、國際社会の信用を失塗すること測り知れざるものがあるということを、私はその点を明らかにせざるを得ないのであります。(「言葉尻だ、言葉尻だ」と呼ぶ者あり)言葉尻ではない。言葉尻ではない。自分の本心に流れているところの一貫した思想である。言葉尻ではないのである。(「揚げ足取りだ」「追放だ」と呼ぶ者あり)私はかくのごとき点におきまして、吉田首相の明快なる釈明一を求めると共に、先程かくのごとき言葉があつたらという話がありましたが、我々は、今この耳で寸刻前に明らかに聞いたことである。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)耳に入つた事実なんである。それを率直に取消しをせられると共に、その釈明を求めたいのであります。(「責任を取らせろ」「單なる失言ではない」と呼ぶ者あり)これは單なる國内問題ではない。國際問題として、極めて重要な問題と私は信ずるが故に、敢えて動議を提出をしたいのであります。(拍手)
#19
○副議長(松本治一郎君) 議事進行についての発言があり、総理からも今発言があつたようで、あつた通りでありまして、事重大と考えますから、議長においては、速記録をよく調べまして、善処いたします。(「了解々々」と呼ぶ者あり)
 議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て通知いたします。本日はこれを以て散会いたします。
   午前十一時四十八分散会
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○本日の会議に付した事件
 一、淺井清、山下興家、上野陽一を人事官に任命することについて同意を求めるの件
 一、日程第一、国務大臣の演説に関する件
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ソース: 国立国会図書館
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