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1948/12/08 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 本会議 第6号
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1948/12/08 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 本会議 第6号

#1
第004回国会 本会議 第6号
昭和二十三年十二月八日(水曜日)
   午前十時十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四号
  昭和二十三年十二月八日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第四日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 内閣総理大臣より発言を求められております。許可いたします。吉田内閣総理大臣。
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#4
○國務大臣(吉田茂君) 昨日の内村君の質問に対する私の答弁中、日本帝國という言葉を用いたのは日本國の間違いであります。よつてこれを日本國と訂正いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 日程第一、國務大臣の演説に関する件(第四日)、昨日に引続き順次質疑を許します。堀眞琴君。
   〔堀眞琴君登壇、拍手〕
#6
○堀眞琴君 去る四日行われました首相の施政方針演説に対しまして質問を提出いたします前に、私は一應吉田内閣の性格について首相の所見を質したいと思うのであります。
 吉田内閣が成立以來、國際的な輿論の面におきまして甚だしい不評を買つていることは、すでに内村議員も指摘されたところでありまして、我々もこの吉田内閣の國際的な不評が一日も早く拂拭されることを望むのでありまするが、併しながらその國際的な輿論の上の不評というのは、決して單なる吉田首相個人の見解乃至は首相個人の言動の如何によるものではなく、吉田内閣そのものの性格に根ざしている、こう私は考えるのであります。それでは何故國際的な輿論上の不評を買つているのであるか。一口に申しまするならば、吉田内閣並びにその與党であるところの民自党が保守反動的な性格を持つている(「それは間違い」と呼ぶ者あり)というところに帰すると思うのであります。特に吉田首相が労働運動の指導者を目して不逞の徒と呼んだことは余りにも有名なことであります。(「大違い」と呼ぶ者あり)又昨日の内村議員の質問に対する答弁の中で日本帝國という言葉を用い、只今この議場において首相は、日本帝國というのは日本國の間違いであるという工合に訂正されたのでありまするが、それは單なる言葉の問題ではなくて、その言葉を発せられた思想そのものに根拠があると私共は見なければならんのであります。(「大違い」「その通り」と呼ぶ者あり)吉田首相が幣原内閣当時の外相に就任されて最初の外人記者團との会見において、吉田外相は旧財閥解体に対して反対しているのであります。外國新聞記者によつてその報道が日本にも傳えられたのでありますが、その要旨を申上げまするというと、日本の経済機構は三井、三菱その他の古い財閥によつて樹立されたものである。日本國民の繁栄はこれらの財閥の勢力によつてもたらされたものである。これらの古い財閥を解体することが果して國民の利益であるかどうかということは疑問である。各旧財閥は戰時中自己の損失において傘下の各産業を経営していた。それは政府がこれら財閥に対し損害を無視して船や航空機の製造を命令していたからである。軍閥と提携して巨利を博したのはむしろ新興財閥である。古い財閥は平和のときにその財産を築き上げたのであつて、終戰を最も喜んだのはこれらの財閥であるということをはつきり申しておるのであります。つまりこの財閥擁護の思想が今日も尚吉田首相の思想の中に一貫して流れているものであり、(拍手)又その與党であるところの民自党の思想的根拠にもこれがあるということを私は申上げなければならんのであります。吉田首相は、自分は保守内閣は作つておるが反動内閣ではないということを申しておるのであります。併しながら吉田内閣の基盤であるところのものを分析して掘り下げて考えるならば、そこには何があるか。今私が述べたような旧財閥的な勢力とその他の金融資本の勢力、或いは闇資本の勢力、遅れた市民層、これが民自党の基盤を成しているのであります。(「ノーノー」「その通り」「金を貰つたのは誰だ」「選挙をやつて見ろ」と呼ぶ者あり)無論資本家が全部が全部反動性を持つているとは私は申上げません。資本家の中にも進歩的な要素もあります。併しながら日本のこれまでの資本家一般として見るならば、日本の資本主義の置かれた特殊性として、先に藩閥と結託し、又後に官僚と結託して、常に大衆を犠牲にして彼らの巨利を博して來たのでありまして、そこに日本の資本家一般の反動性が藏せられている、こう申上げなければならんのであります。(「質問をやれ」「よく聞けよ」と呼ぶ者あり)從つて吉田首相乃至は吉田内閣及びその支持勢力であるところの民自党は、保守反動的な性格を持つものだ、こう私は考えるのであります。これに対する首相の所見を先ず伺いたいと思うのであります。
 次に施政方針の演説でありまするが、この演説が又方針のない無内容の施政方針演説であつたということは、すでに各新聞紙も指摘しているところでありまして、單にそこに見出されるのは言葉の羅列だけであります。(「選挙演説」と呼ぶ者あり)政治は決して言葉の羅列ではないのであります。示された言葉を如何にして実現するか、それが政治であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)ところが吉田首相の施政方針演説には何らそのような実現の方途に対して示されてはおらんのであります。又泉山長官の演説は、一應財政経済上の諸問題について触れてはいるのであります。併しながらその触れた諸問題について果してどれだけ誠意を以てこれを実現するかという、その誠意が見られないのであります。(「解散をやれ、解散を」と呼ぶ者あり)成る程、泉山長官は有効適切なる措置を講ずるとか、或いは措置の具体化を図るとかいうような意味の言葉を述べてはいるのでありまするが、國民の聞きたいのは、そういう有効適切なる措置を講ずるとか或いはそれを具体化するということではなくて、それの内容なのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)如何なる内容によつて有効適切なる措置を講ずるか、ここに國民の聞きたい最も大きな問題があると思うのであります。
 又民自党が在野時代に國民に公約した政策をこの施政方針演説の中に求めることができるか。私共は民自党が在野時代に約束したそういう政策の少しも実現されておらないことを認めざるを得ないのであります。(「ノーノー」「やりますよ、やりますよ」と呼ぶ者あり)言うまでもなく政党は(「まだこれからだ」と呼ぶ者あり)野に在ると朝に在るとを問わず、國民に公約したところのものについてはこれを飽くまでも尊重しなければなりません。イギリスの政党では反対党を呼ぶにヒズ・マジエステイーズ・オポジシヨン、陛下の反対党という言葉を以て呼んでおります。これは、つまり反対党と雖も、野に在る時代に國民に公約したところは朝に立てば必ずこれを実現するものだ、こういう考え方の上に立つて、反対党は非常に大きな意義を持たれているのであります。ところが日本の政党におきましては、悲しいかな、從來の既成政党においては、民自党も勿論その他の政党においても、私はその点において大変遺憾な点があるのではないかと思うのでありまするが、民自党の内閣におきまして特にそれを深く感ずるのであります。私は國民の聞かんとするところの一二の問題について、これから具体的に吉田首相以下に対して質問を試みたいと思うのであります。
 先ず第一に国家公務員の給與の問題であります。申すまでもなく公務員は國家の公僕であります。その公僕の地位において、彼らは行政事務を忠実に担当するものであります。併しながら公務員と雖も亦勤労者であり、又從つて勤労者として、生活を護るために、公務員も亦その給與問題に対して異常な関心を持つているのであります。マ書簡にも、公務員法を改正するその半面において、公務員に対してはその生活を飽くまでも保証しなければならんと、こう申しておるのも、そのためであると申さなければならんのであります。ところで公務員の給與を如何に決めるか。その基準としましては、大体公務員が実際に生活し得るための実態生活費を基礎として、これを決めなければならん。これが一つの基準であります。第二の基準としては、一般企業におけるところの給與との釣合いを保たせるということが考えられなければなりません。それから勿論財政との睨み合せもありましようが、併しその財源を大衆課税に求めてはならんのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)若し大衆課税によつて公務員の生活給與をなすとするならば、いわば大衆は自分で自分の手足を食うような結果になるのであります。それから職階制についても、今日行われようとしているものについては尚合理化しなければならない面も多々あるのであります。機械的に幾らから幾らまでと俸給を定める、これを幾段階に定めるという機械的な分類の仕方によつては、正しい公務員の給與は出て來ないのであります。こういう基準に基いて公務員の給與を考えなければならんのでありまするが、今回政府によつて提出せられました案を見まするというと、例の五千三百三十円べースであります。ところが、この五千三百三十円ベースの算定の方法を見ますというと、本俸としましては現在の三二%増加、扶養手当としては、家族の生活費が扶養手当だけでは支えられるものとは考えられない。本俸、地域給を合せて生活が維持されるものと考えられる観点に立ちまして、妻については六百円、その他の家族については四百円ということに決められております。更に地域給は最高が四〇%から五%まで、これを九段階に分つ。これが五千三百三十円の内容であります。ところでその本俸でありまするが、政府側の五千三百三十円の新給與に対する資料に見まするというと、一應臨時人事委員会の算定しました成人独身者の実質賃金を挙げられまして、それによつて計算しているのでありますが、併しその算定は実態生計費を何ら基礎にしたものではなく、單に財政の面からこれを振り当てたという、そういう特徴を持つているのであります。それから又扶養手当でありまするが、今申上げたように、政府側の意向によりまするというと、この扶養手当だけで以て家族が生活するのではない。家族の生活は本俸、地域給を合せてこの生活を維持しているものと考えている。ところが本俸は成人独身者の実質賃金を基礎にして算定して、扶養手当は、その扶養手当だけで生活しているものではないということになりますれば、扶養手当から本俸の中に家族の生活分だけが喰込んで行くのであります。こういうような算定の仕方では、科学的な給與の決定だとは申上げることができないのであります。そればかりか、この給與問題に関連して、寒冷地手当、石炭手当があるのであります。これは両院において、第三國会において決議として採択されたものでありますが、これを是非我々としては実現を望みたいのであります。尤もこの石炭手当、寒冷地手当につきましては、各種の方面との折衝もあり、急速にこれを実現することのできない面もあるやに聞いておるのであります。私としましては、できるだけ速かにこの寒冷地手当、石炭手当に相当する部分が、早急に政府によつて提出されることを望んで止まないのであります。又この五千三百三十円ベースの中には時間外手当が含まれておるのであります。從來は公務員の給與に対して時間外手当はその中に含まれておらなかつたのでありますが、これが含まれるということになりますと、それだけ実質賃金の低下を來すということを認めざるを得ないのであります。要するに、この五千三百三十円というものでは到底公務員の生活を支えることはできないのでありまして、今仮にこれを戰爭前の物價指数に計算し直して見ますというと、五千三百三十円は十数円にしかならん。具体的な数字で申しますと、十二円なにがしという数字になるのであります。当時においてすら十数円の金で以て生活することができたかと申しまするというと、全然できないのであります。今日五千三百円で以て生活を支えることができないことは、以上の点から十分明らかであろうと思うのであります。若し実態生計費を基礎としてその給與を定めるとするならば、二十三年四月現在の消費價格、これは東京であります。東京における消費價格平均世帯四・六九人の生計費は九千三百六十四円なにがしとなつておるのであります。これを東京都のCPSの乙地域の平均に換算して、更に世帯を二・五人に直しますと、大体五千二百円となるのであります。これを二十三年四月におけるところの給與水準として私は採らなければならんと思う。更にこれをCPSの物價指数を十一月の給與水準にするとするならば、恐らくは九千円を上廻ることと思うのであります。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)勿調九千円以上に上廻るところの給與をこの際至急に提出するとするならば、財源の問題において問題があるというようなことが考えられますが、併しながら財源というものは、決してそこ、ここに轉がつているものではないのであります。財源は飽くまでもこれを探して、見付け出して來なければならんものであります。財源を見付け出す、これが政治の力である、こう申さなければならんのであります。而も今度の予算を見まするというと、その多くが大衆課税によつて賄われておるということは、すでに内村議員も指摘されたところでありまして、私は重ねてその点を繰返すことを省きますが、ともかく、この給與問題について安定本部長官がどういう考えを持つておられるか。五千三百三十円を飽くまでも強行されようとする意思であるかどうかということについて所見を質したいと思うのであります。
 それから第二の問題としましては、労働に関する問題であります。総理大臣は施政方針の演説の中で生産第一主義を強調された。更に国際社会への復帰の條件として、復興再建を説かれ、労働者の愛國的熱情を要請しているのであります。申すまでもなく我が國の経済再建に取りまして労働者の愛國的な熱情と協力とが如何に必要であるかは、ここにくどくどしく申すまでもないのであります。併しながらインフレ政策を助成し、大衆を生活の窮乏のどん底に陷れ、而も他方では金融資本の擁護のためにその政策を掲げようとしておるこの吉田内閣に、我々は果して労働問題の正しい解決を期待することができるかということになりまするというと、疑問なきを得ないのであります。現に日本再建のための動脈とも言うべきところの電気、石炭の方面においてはすでにストが始まつております。又輸送機関の大宗ともいうべき船舶関係、私鉄関係の方面にもストが始まろうとしておるのであります。これらの問題に対して一体吉田首相は如何なる所見を持つておられるか、これを質したいのであります。政府は労働法規の改定は行わないと、こう言つておられます。これは勿論であります。今日の世界の趨勢から申しまして、労働法規はますます進歩を遂げておるのでありまして、アメリカにおいてすら、昨年の六月タフト・ハートレー法が成立したのでありますが、今度のトルーマン政府によつて、それがやがて廃止されるだろうということがすでに労働長官によつて言明されておるのであります。こういう趨勢の中にありまして、労働法規の改正を行う、改惡を行うというがごときことは断じて探るべきではないのであります。むしろ労働法規の改正ではなくて、我々の望むのは、更に進んで失業対策、生活その他の社会保障、これの措置を具体的に講ずべきではないかということであります。終戰以來現在まで五百万以上の失業者を見ております。この失業者の多くは、從來は或いは闇経済に依存し、或いは農村に職を求めて、僅かにその生活を支えておつたのでありまするが、インフレの破局的な高進と物價高並びに購買力の低下によりまして、農村の疲弊と中小商工業の没落を來しまして、それらの失業者は今や潜在失業者から顯在失業者の変ろうとしておるのであります。而も彼ら失業者を吸收すべきところの企画面の不振と相俟ちまして、彼らは今やルンペン化する、こういう情勢に追込まれておるのであります。勿論日本の企業は戰爭後の打撃によりまして、今日生産設備は恐らく戰爭前の四割程度に止まつておるだろう、こう考えられるのであります。從つて生産設備を拡充し、日本の企業を再建の方途に向わしめるためには、非常の努力を要することは申すまでもないのであります。從つて又労働の生産性も落ちておることも、これも私共は指摘しなければなりません。併しながら企業の整備、企業の整理ということは、決して首切りを意味するものではないのであります。從つて企業の整備乃至は整理に名を借りて首切りを行うというがごとき労働対策、資本家対策というものは、絶対にここで避けなければならんのであります。又行政整理についても同様であります。今日、日本の行政機構は民主政治の確立のために今や改革の途上にあるのであります。これらの行政機構を最も正しい科学的な原理の上に再建するということが先ず先決問題でありまして、その行政機構を整備し、そこで初めて人員の配置轉換その他の方法を講じてこの行政職員の問題を解決すべきである、こう考えなければならんのであります。しばしば人は行政機構の簡素化ということを言うのであります。併しながら行政機構は融合生活が複雜になれば從つて又行政機構も複雜になることは自然の勢であります。從つてこの行政機構を一面においては統合化する、インテグラチオンする、これが行政学上の原理であります。この統合化とそれから複雜化とを如何に調和せしめるか、ここに行政機構の改革の根本問題があり、行政整理問題もこれに関連せしめて初めて意味を生ずるものだと、こう考えることができるのであります。この点については首相の所見をお聽きしたいと思うのであります。
 次に電産スト、炭鉱ストについて労働大臣の所見をお伺いしたいのであります。電産ストはすでに開始されましてから数ケ月を経ているのであります。而も今尚それが解決の曙光すら見出されない。問題は極めて簡單であります。今年の三月協定されたその協定に從つて、七月以降の賃金を物價にスライドさせるということを要求しているのであります。ところが、これに対しまして、この三月協定を無視しまして、資本家側においては飽くまでも労働者側の要求を拒否し、政府亦十億円の融資を復金より認めまして、金融の面からしてこれを支持する、こういう態度を取つているのであります。これに対しまして商工当局としては、どういう見解を持つておられるか。又そのストの前途にどういう見通しを持つておられるか、こういうことをお聽きしたいのであります。最後に炭鉱ストであります。炭鉱ストも始まつてから、すでに数十日になろうとしているであります。この炭鉱ストは要するに、能率給を基準賃金に含ましめるということは低賃金、高能率をもたらすものであり、労働強化をもたらすものであるから、これに対して反対する。低賃金、高能率を強制する結果は炭鉱の災害が増加する。この二つの点が最も大きな原因であります。その外にも勿論幾つかの原因があるのでありますが、この点に村して、やはり炭鉱業主側並びに政府側は飽くまで反対しているのであります。特に災害の問題でありますが、これは前國会以來問題となつているものでありまして、炭鉱を濫掘する結果この労働の脅威が生ずるのでありまして、これに対して労働の保安措置が極めて緊切なる問題となつているのであります。ところが、これが今尚放置されて、何らこれに対して適当なる措置を講じられようとしておらないのであります。この炭鉱保安の措置がぜひとも急速に進められなければならんと思うのでありますが、ところが、この炭鉱保安の措置の所管問題について、労働、商工省の間に対立があるやに私は聞いているのでありますが、そして又このことは炭鉱労働保安の措置の遷延されているところの原因であるという工合に私は考えているのでありますが、これに対して商工大臣が、どういう所見を持つておられるか。炭鉱ストの見通しについてどういう考えを持つておられるか。これをお聽きしたいと思うのであります。これを以て私の質問演説を終ります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#7
○國務大臣(吉田茂君) 堀君の質問に対してお答をいたします。只今御質問のうちに、吉田内閣の性格が保守反動でありますか、又海外の評判甚だよろしくない、この話は方々でしばしば承わるのでありまするが、元來私は余り宣傳等は好まないために、從來外國の通信員等には、求められざる限りは、私から進んで会うて民自党の政策等については説明をいたしたことはありません。從つて或いは反対党の社会党内閣若しくは芦田内閣当時、いろいろ民自党の性格等について話もあり、これ又若しでき上つた場合における吉田内閣等の性格についてはいろいろ話もあつたろうと思います。これは当然でありまするが、併しながら私といたしては、みずから宣傳がましいことを今日までいたさなかつたのでありますが、組閣以來、私の外務大臣としての職責上、日本國の國情の説明、若しくは政情の説明等については、努めて外國の通信員等に対して説明をいたして來ておるのであります。又私が説明をいたした外國の通信員等についての私の感じは、私の説明に対して保守反動であるとか、只今お話のような批判を聞いたことは実は一度もないのであります。快く私に会い、快く私に聽いて…(「それが自己宣傳だよ」と呼ぶ者あり)事実を申すのであります。この事実から考えて見て、私の申しますのは、むしろ我が党の反対の党の説明が因を成しておると考えます。(「保守反動というのは世界のマル公だよ」「黙つて聽かんか」と呼ぶ者あり)私の組閣以來、外國の新聞に現われたところを外務省によつて取調べて見ましても、お話のような点は殆んどないのであります。むしろ進んで日本の政情或いは日本の國情及び吉田内閣の政策等については、相当細かく海外に電報を東京の通信員からは出しており、それに対する反響は相当あるのであります。又先程のお話の財閥伝々、財閥擁護をしたというようなお話であるが、これは私は数年前に、終戰直後に、第一回の外國新聞記者会見の場合に私の言つた説明の一部でありまするが、当時の説明の気持は、或いは行きがかりは、こうであります。当時終戰直後でありまして、日本の社会組織、日本の國情及び日本の産業組織、工業、これは盡く戰いのために、軍用のために作られたものであるかのごとき印象を外國に與えておつて、その説明といたして、日本の産業、工業は、必ずしも專ら戰さをするために始められたのではないのである。いわゆる財閥のごときも、平和産業のために、例えば造船にしても、或いは製鉄にしても、いろいろな平和産業を先ず手初めに著手したのは財閥であつて、日本の工業は勿論のことであるが、極東における産業、或いは極東における必要の輸出のために著手せられたのであるという説明をいたした一端であるので、財閥擁護ではない。日本の國情、日本の工業の性質を説明した一端であつたのであります。これはしばし委員会、議場等において私の説明し來つたところであります。当時の外國新聞記者の会談の 詳細を御覧になつたならば、その眞相が分ると思います。これはお調べを願いたいと思います。
 又施政の方針が甚だ貧弱であると、これは批評は御自由でありまするが、私の施政の演説で申した通り、この國会は、この前、私の施政演説にありました通りに、緊急止むを得ざる、予算に限つて提出いたしたので、その予算の説明をいたすことが私としての義務であると考えて、多くを語らなかつたのであります。徒らに私の考えておる抱負を述べて、そうしてこの國会に提出いたしたところが、予算が伴わない空虚な方針を述べるより、率直に予算に盛られたところの政策を説明いたすことが私の義務と考えて、私の施政の方針は拵え上げたのであります。又述べたのであります。又政策を実現するか。予算に組入れた政策は無論実現する考えであり、最も正直に実現するために最小限度のものを諸君に施政方針として申述べたのであります。
 それから給與の問題でありまするが、官公吏の給與については、私も予算委員会等のおいてしばしば述べた通り、年末に際して官公吏の給與は甚だ懸念すべきものがある、これは如何にしても政府としては考えなければならんということは、予算委員会その他においてしばしば申述べております。そこで給與については今申した通り、政府も財政窮乏の折柄、各種の財源を漁つて、そうして拵え上げたのが緊急予算であります。五千三百円云々ということは、これは当局大臣から説明をいたすのでありましようが、各種の財源及び物價の標準、或いは民間企業に及ぼす影響、各種の方面を勘案いたしまして予算に盛り上げたのであります。委細のことは当局大臣からしてお聽きを願いたいと思います。
   〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#8
○國務大臣(増田甲子七君) 堀さんの御質問にお答え申上げます。
 一般労働対策につきましては、御意見の方が多かつたようでございまして、お答を申上げることは、昨日内村君の御質問に対してお答え申上げた点で御了承願いたいと思いまするが、ただ失業対策につきましては、私といたしましては、消極的な社会保障よりも積極的な受入態勢が大切であるという意味合におきまして、政府といたしましても、又政府の與党でありまする民主自由党といたしましても、むしろ積極的な受入態勢が第一である。その次に大切なのは労務の需給の調節、即ち職業安定の仕事である。第三に、それでも轉落した場合には、失業手当なり、失業保險なり、更に保險金の給付の期限が切れた場合には、生活補助金その他の社会保障制度によつてこれを保護すべきものである、こういうふうに考えております。社会政策ということは勿論力を入れますけれども、第二義的の意味において力を入れる。やはり社会政策、或いは失業保險なり失業手当で人を救済するというようなことがないように、お説のごとく配置轉換によつて、一方の職業から他の職業に轉換して行つたならば、それが一番良策ではないかと存じ、この方面に最も力を入れておる次第でございます。
 それから御存じのごとく、失業保險は、今保險の金額が、フアンドが三十二億ばかりに上つておりまして、而も給付金額は未だ一億に達していない、こういう状況でございます。計算の点から申せば非常な成功でございまして、失業救済という点から見れば、むしろ失敗と言つてもよろしいくらいでございまして、二十万、三十万の給付申請者が現われましても決して困らないだけ失業保險金額は余つておる次第でございます。
 それから電産ストと石炭ストのことについて御報告申上げまするが、これらのストが起きておることは誠に遺憾に堪えない次第でございます。そこで電産ストに対しましては、御承知のごとく中労委が強制調停の結果、調停案を得たのでございまして、この調停案を政府といたしましては大体において妥当と認めまして、これが具体化に努力いたしております。ただその具体化の條件の一つであるところの電氣料金の値上げにつきまして、関係方面と了解がまだできておりませんから、あの調停案の具現化はまだ遅滯いたしておりますが、近く妥結に到達する見込でございます。
 それから石炭ストは御承知のごとく、第一次ストが約一週間、第二次ストが約三日間、部分的ストライキがございましたが、一昨日労資両方面が團体交渉に入りまして、当分ストはないつもりでございます。この團体交渉は必ず成功に導きたい、こう思いまして折角努力中でございます。以上を以てお答といたします。(拍手)
#9
○議長(松平恒雄君) 大藏大臣及び商工大臣は司令部に赴いておりますので、後刻答弁がある趣きでございます。三好始君。
   〔三好始君登壇、拍手〕
#10
○三好始君 私は新政クラブを代表して、國民協同党の立場から吉田内閣の施政方針演説に対して質問いたしたいと存じます。
 第一に、去る四日行われた施政方針演説の性格について、吉田首相にお尋ねいたします。一昨日以來の質問及び答弁を聽いていますと、質問者も答弁者も、今回の施政演説の性格についての檢討を忘れているのか、故意に避けているのか恰かも内閣が存続することを前提とするかのごとき質問應答のように感ぜられたのであります。解散を目前にして、いわゆる選挙管理内閣としての少数党内閣が、そのまま存続することを前提としての遠大な構想を説くには当らないのでありまして、質問者も、内閣が存続するものとしての質問をする必要はない筈であります。それらは総選挙後の第五國会において行わるべきであります。從つて去る四日の施政演説は、從来の施政演説と本質的に異なるのは勿論であつて、正確に言えば、内閣の施政方針演説というよりも、民自党の政策発表演説の性格を持つのであります。即ち演説の冒頭において、予算案提出後二週間を経て解散することになつたと言明した吉田首相並びに泉山安本長官が、多くを語らなかつたとは申しながら、予算案に関するもの以外に、將來に関する各種政策を発表せられましたことは、來るべき選挙に対して國民に判断の材料を提供するために民自党の政策を発表したものと理解せらるべきであります。而してこの演説及びこれに対する質問は、必ずしも一部の議員諸君や新聞の言うごとく党利党略なりと即断すべきではないのであつて、各政党は施政演説をめぐつて政策についての論議を戰わすべきであると思うのであります。それは、むしろ今日の政治的條件における民主政治の本來の姿であると申さねばなりません。そういたしますと、民自党代表の質問は、今回の場合、單独内閣の與党が行う自問自答に外ならないのでありまして、凡そナンセンスと言わなければなりません。これらの点は今回の質問演説の前提を成す問題でありまするので、最初に吉田首相の見解を承わりたいのであります。
 第二にお尋ねいたしたいのは、憲法上乃至政治上の慣例樹立に関してであります。首相は正しい慣例を作らなければならないということをしばしば強調せられたのであります。ところが吉田内閣は、第三國会において施政演説を省略して、法律案その他五十九件を提出したのであります。これら法律案の中には、いわゆる施政演説を行わないことが極めて例外的にあり得る場合の範囲を逸脱した法案が含まれていたことは、十一月十五日、私がこの壇上で指摘いたした通りであります。又泉山大藏大臣兼安本長官は就任直後記者團に語つた際、取引高税廃止に言及して、野党時代の主義主張と現実の施策は別の問題になると思うが、ただこれを実行して行く熱意だけは持つているつもりだと、こう語つております。四日の施政演説においても、野党以來の主張である供出完了後の主食の自由販賣、生鮮食料品の統制廃止、料飲店の再開、取引高税の廃止など、いずれも時期と方法を考慮中であると片付けているのであります。凡そかかる具体的な政策は、時期と方法を拔きにしては單なる思い付きに堕してしまうのであります。吉田首相は、第一党首班の原則だけを抜き出して最も正しい憲法上の慣例と称し、総選挙後の首班問題に先手を打つて置こうとするのかも知れませんが、我々は、より廣汎に亘る憲法上乃至政治上の慣例樹立を考えるべきであります。吉田首相は、現内閣によつて確立せられたこれらの事実が、慣例として後継に残すに足るものとお考えになつておられるのかどうかを承わりたいのであります。
 第三に、自由経済の正当性並びに現実性に対する確信について、泉山安本長官に質問いたします。民自党は野党時代、自由経済を主張し、それが統制に飽き飽きした多数國民の魅力を惹いたことは爭われない事実でありますが、自主経済の主張は、單に不自然な統制乃至使命を終えつつある統制を廃止する意味においては、必ずしも民自党の專賣特許であるとは言えないのであります。問題は、経済の組織及び指導原理としての自由経済、從つて殆んど経済の全面を蔽う自由経済についてであります。我々の見解によれば、今日の日本は所詮十九世紀の日本ではあり得ないのであつて、戰爭によつて破壊せられた四つの島に八千万の國民がひしめく現実の國民経済は、一方において労働の生産性向上のために個人の創意の発揮を最大限に保障すると共に、國民経済の秩序を希求し、経済の総合的発展を図るためには、國民の意思に基く國民経済組織化の必要も否定し得ないと思うのであります。我々が経済再建における組織の側の方式として、独立の中小生産者には協同組合方式を、大企業には從業員の経営参加による生産協同体の確立を図り、民主的な國民経済組織の樹立を主張して來たのも、ここに由來するのであります。單なる自由経済の実践は、恐らく農民にとつては農業恐慌の中に呻吟することの自由を、中小企業者にとつては大企業の圧迫による没落の自由を保障するに止まるであろうと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)それは、すでに経済史の示唆するところでありますが、殊に今日の國民経済の実情において、経済秩序の維持と生産の回復を單に経済の自律にのみ委ねんとするのは、余りにも乱暴であると申さなければなりません。これらの点に関して安本長官は、自由経済に如何なる成算を持つておるかを聽きたいのであります。いわゆる民自党の人氣なるものは、政策的には大半自由経済の主張に帰すべきものと考えられますので、それが單なる素人向きの統制撤廃論ではないことを示すために、國民経済再建における自由経済の正当性並びに現実性について、國民に納得が行くような答弁を願いたいのであります。
 第四に、農業対策について周東農相に質問いたします。時間が極めて少いので全般に亘つては後日の機会に譲りまして、主として先程申しました自由経済との関連においてお尋ねいたします。戰爭中以來、殊にインフレのテンポが急激になつて以來、統制経済なかんずく價格統制機構と供出制度が農家経済に少からぬ犠牲を強要したことは爭われない事実でありますが、今後経済が安定化の方向に進んで、若し民自党の主張するごとき自由経済が農村を支配するに至ることを仮定する場合、日本経済の最も弱い一環である零細農業は、いわゆる恐慌に見舞われざるを得ないと考えられるのであります。即ち統制による犠牲を負担して來た農民は、今度は自由経済機構によつて搾取される危險性が多分に考えられるのであります。それは、ひとり農民の窮乏をもたらすだけでなく、國民経済の大きな負担にならざるを得なかつたことは、すでに我々が自由経済時代に深刻に経驗して來たところであります。これに対して我々は農業内部における資本の蓄積を促進し、技術の進歩を図り、農業の生産性を高める必要を感ずるのでありますが、このためには一方において治山治水を含む総合的な土地改良事業、農業金融、租税政策、農産物價格政策などを中心とする農業助成政策を必要とすると共に、協同組合を中心とする農民の協同組織の発展が欠くべからざるものと考えるのであります。これらは、いわゆる自由経済と同列にあるものとは言えないのでありますが、農林大臣はこのような農業助成政策並びに協同組織の必然性及びその発展策について、どのような見解を持つておられるかを承わりたいのであります。
 第五に中小企業対策について大屋商工大臣に質問いたします。この問題も時間の関係上、自由経済に関連する問題に限定いたします。中小企業者は、現実の経済的苦難が統制の撤廃、自由経済への移行によつて緩和されるものと考え、民自党に期待している者が多いと聞くのでありますが、統制が中小企業の振興を束縛しているということは中小企業の困難性の一條件に過ぎないのであつて、それがすべてではありません。我々は問題を日本経済全体の上から考えなければならないのでありますが、中小企業は、企業の自主性を束縛する統制経済という前門の虎を避けて、自由経済の中に繁栄を求めんとして、後門に大企業という狼がいることを忘れてはならないのであります。我々も使命を終えた不自然な統制は廃止すべきことを主張するのでありますが、それだけで足れりとするものではなくして、中小企業の協同組織による強化を促進して、金融資材などの面の施策と相俟つて、その育成を図る必要を認めるのであります。これに関して民自党は、大企業との関連における中小企業対策を如何に考えているかを承わりたいのであります。
 第六に、行政整理の具体的構想について岩本國務大臣に質問いたします。民自党は野党時代口を開けば自由経済と行政整理を唱えたのでありますが、口の悪い批評家は、統制撤廃を唱えた民自党が内閣を作つて以來行なつたのは「たどん」と「がら」の再統制だけだと言つています。それと同じように、行政整理、行政簡素化を呼号した民自党内閣は、八局、一部、一研究所の通信省を二省に分割して、実に二廳、十八局、二部、二室、一研究所に増加させることになつておるのでありますが、これでは國民が民自党の行政整理の前途に期待をかけるわけには行かないだろうと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)恐らく民自党内閣においては行政整理の時期と方法を考慮中と存ずるのでありますが、今日における一應の具体的構想を承わりたいのであります。
 第七に、我々が最も重要視しておる問題の一つである教育対策について下條文相にお尋ねいたします。教育尊重は常に歴代内閣が口にするところであり、現内閣も施政演説において文教刷新と民主教育の徹底を説き、新教育制度の実質的完成を約束したのでありますが、教育尊重は現実的には予算の上に具現されねばなりません。我が國の文教予算は大体総予算の三―四%であつて、列國に比べて比較的低位にあるのでありますが、教育尊重の立場から、予算編成上一定の枠を設けるとか、特別の考慮を拂う考えがあるかどうかを先ず承わりたいのであります。次に教育の振興は物的施設の充実も必要でありますが、本質的には教育に從事する人の問題が重要であると考えられます。そこで教育者の実力の向上を図り、或いは教育に精進できる條件を整えなければならないと思うのであります。そのために教員養成施設の充実、教育者に対する研究費、研究施設、福利施設などの問題を具体化しなければならんと考えるのであります。これらに対して民自党の内閣として如何なる構想を持つておられるかを承わりたいのであります。更に從來比較的閑却され、冷遇されて來ました大衆勤労青年教育は極めて重要なものと考えられますので、これに対する見解と構想があれば承わりたいと存じます。
 最後に吉田首相兼外相に質問いたします。中華民國における最近の中共軍の進出をめぐる切迫した情勢は、極東に大きな問題を投げかけておると思うのでありますが、これが我が國に影響するところは極めて甚大であつて、事態の発展によつては政治外交上は勿論、対華貿易の前途に大きな影響を及ぼすと思われるのであります。これに対する見解と対策について吉田首相兼外相の所信を伺いたいと存じます。
   〔議長退席、副議長著席〕
 以上を以て私の質問を終ります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#11
○國務大臣(吉田茂君) 三始君にお答をいたします。
 四党協定の内容について私の過日の演説の中に言及いたしましたのは、これは、この第四國会における内閣の立場を説明するのに最も明瞭であると考えたものでありますからして申述べたわけであります。又施政の演説をしないということは憲法上の慣例としてよろしくないということでありますが、これは第三國会の場合においては公務員法改正案を通過せしめ制定するために召集せられた特別議会であつて、これは芦田内閣当時すでに天下に公表せられたことであります。即ち公務員法の議了が先ず第一であつて、この議了のために召集せられた特別議会であるのみならず、私の関係筋から了承いたしたところによると、公務員法の議了ということについては当時の與党との間に公約ができておつて、問題が紛糾する筈がないのである。極く簡單に議了せられるべき筈と、こう私は了承いたしたのであります。その私の了承は果して事実かどうか存じませんが、私の聞くところによると、そうであつたのであります。故に憲法上の好い慣例といたしては、たとい國会において私が首班の指名を受けましても、冒頭解散をして信を國民に問うべきである、信を國民に問うということが憲法上の慣例であるべきであると私は信じたのであります。のみならず、冒頭解散ということをいたすことができなかつたのは、今申すような公務員法が公約されておつて、この議了が第一である、そのために召集せられた特別の議会であるということでありまするから、公務員法の議了に國会の協賛を得たい、こういうことで冒頭解散ということも差控えたのであつて、施政の演説をいたさなかつたのは、特別の議会というその性質からいたさなかつたのであります。敢てこれを回避いたしたわけではないのであります。又憲法上の好い慣例を作るということは、これは民主政治を確立するためには必要欠くべからざることでありまして、憲法の精神、或いは民主憲法を円満に遂行いたすためには、これは單に政府のみならず國会としても相互いに協力して好い慣例を作るのでなければ、民主政治の徹底はできないと考えまするから、政府は勿論のことでありまするが、國会においても、この点については十分御注意下さるのみならず、政府において足らないところについては御忠告は喜んで受けて、好い慣例を作るということに十分努力いたしたいと考えております。
 只今中華民國の現状についてお尋ねがありましたが、何分御承知の通り今日、日本は在外公館を持つておらず、現地からして正確な情報も入らないものでありまするから、政府として承知いたすことは主として新聞その他による外仕方がないのであります。新聞等によつて外務省が收集いたしておるところを総合いたしますると、目下華北一帶より揚子江の北岸にかけて、國民政府軍と中共軍との間に大規模な戰鬪が行われておるようであります。現地の模様についてここに述べる情報は必ずしも正確ではありませんが、併しながら全力を盡しつつあり、又この防衞には相当苦心をしておるようでありますが、困難なものがあるように想像いたされます。中國の内戰の帰趨は、政治的にも経済的にも日本の將來にとつて影響を及ぼすところ大でありまするから、外務省といたしてもその模様については絶えず注意はいたしておりますが、只今のところ、どういうふうにこれがなつて行くか、多分國民政府は相当の期間持ちこたえ得るであろうと思いますが、さてどのくらいの期間持ちこたえ得るか、或いはその將來はどうであるか、或いは中共軍の発展はどうであるかということについては、遺憾ながらここに申し述べ得るだけの正確な資料を持つておりません。これを以てお答といたします。(拍手)
   〔國務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#12
○國務大臣(周東英雄君) 三好さんの御質問にお答えいたします。御質問の内容は、今後における農業政策について、自由経済を行う場合と統制経済を行う場合における行き方は違うのじやないか、それにつきまして治山治水、土地改良、或いは市井金融を中心とする協同組合を活用させる事柄については、むしろ自由経済においては矛盾するのじやないかというような御趣旨の御質問だと思います。私は自由経済或いは統制経済が是か非かという問題に対する議論をする時間はございませんが、御指摘の点につきましては、自由経済であろうが統制経済であろうが、農村政策について変りはないと思います。殊に今日の日本の状態並びに將來の見通しからいたしまして、何と申しましても農村政策につきましては、農業生産力の向上ということと農業経営の安定を図るということが基本の政策となるべきであると考えます。その面におきまして第一に考えられることは、御承知の通り、農地改革によりまして、大体農村は土地の所有権の問題に関しましては農村民主化がほぼでき上つて來ておりまするが、この機会におきまして、この自作自営農化いたしました農家を中心といたしまして、生産力の向上と農家経営の安定を図るために、すべての施策を集中する必要があると存じます。その中心となるものは、どこまでも土地の保全、從つてそれに関連いたしまして、御指摘のように、治山治水のごときは最も力を入れて、重点を入れて、これが施策を集中する必要があるのでありまして、戰時中、過伐によつて山が荒れ、それがために相次ぎ頻発する災害によつて耕地が流れ畑地を失うということを防ぐために、徹底的急速に治山計画を実行することが必要でありまするし、更に農業生産力増強の面から申しますると、御指摘のように既耕地の土地を改良することが重点でなければならんのであります。この間におきまして開墾等につきましては相当再檢討せらるべきであると思います。開墾につきましては適地につきましてこれが開墾計画を進めることは適当でありますけれども、今日までややもすると、未墾地開発等におきましては治水の面からいたしまして考慮が拂われず、又既墾地との関係、灌漑用水等の関係から考えられずに、無計画に候補地が指定されておるということについては、私共は再檢討しなければならんと考えます。尚、御指摘のように、科学技術を農業面に導入するとか、或いは農家経営を安定せしめるために協同組合組織を使うということ等は、これは戰前における自由経済時代においても十分とられた主義でありまして、これは我が内閣といたしましても今後強力に進めて行く考えでございます。
   〔國務大臣岩本信行君登壇、拍手〕
#13
○國務大臣(岩本信行君) 三好さんの御質問にお答を申上げます。
 私に対する御質問は要するに行政整理の問題でありましたが、私の考えるところでは、何といたしましても、日本の再建をするためには国民の一人一人が根限り精一杯働くということ以外再建の方途はないと考えるのであります。而してそういう見地に立ちまして、現在の日本の経済状態から割出して、どうしてもここに相当大規模なる行政整理を実行に移す必要がある。かように考える次第でありますが、只今いろいろの都合から閣議の最終的決定は見ておりません。何故と申しまするというと、要するにこの大規模の行政整理を断行いたすためには、その退職條件及び失業対策という重大な裏付けの問題がございまするので、この点について各方面に問合せ、若しくは意向を調査中でございまするので、これらのすべてが整つた上において政府案として皆様に改めて発表する機会があろうかと存じます。
 而して只今私が行政管理長官事務取扱としての構想を申上げたいと存じます。どうしても只今まで申上げましたような見地に立つてこれを行う場合に、相当の費用を節約することであり、而してそれらを以て現在の困難なる経済情勢の足し前にしようと、こういう考えに立つておりますから、人員整理の構想といたしましても、一般会計から凡そ原則として三割程度、特別会計から二割程度、公團関係でも二割程度、地方公共團体も政府に順應して二割程度整理することを期待するのであります。從いましてその数が相当数になると同時に、只今申上げます何割という構想は、從來行われましたところの予算定員でなくして、実人員に対することとお考えを願いたいと存じます。但しその中には当然として法規の上から或いは実際上の問題として控除のできない部類のものもございます。面して原則でありますからして、中にはそれを超越して数が殖える面もあろうかと存じます。而してこのことを実現する前提といたしまして、この國会に、簡單に申しまするならば職員定員のストップ令とも申すべき法律案をここ一両日中に提案する用意を整えております。而してこういうことをするためには、どうしても仕事を減らさなくちやなりません。從いまして徹底的な機構の簡素化を考えております。即ち各省各廳は原則として局を一つ以上減らして貰う、或いは局は原則として一つ以上の課を減少して貰う、或いは現在設置されておりまするところの次長制度を廃止して貰う、特に出先機関につきましては、これは徹底的な整理、或いは又地方長官に委讓のできるものは委讓をする、原則としては廃止を目途といたしまして、徹底的なる整理をしたいと考えておる次第であります。或いは又諮問的な委員会とか審議会、これらは相当整理する必要があろうかと考えております。例えば委員会にいたしましても、委員の数を減少いたしまして、その委員は実質的に働いて貰うという委員で構成して行きたいと、かように存じておる次第であります。機構の簡素化と同時に事務の簡素化、迅速化というものを、これを組合せる必要がございます。從いましてこの問題については、どうしても一番重大な問題は経済統制制度の問題でありますが、これは他の閣僚からもたびたび申されておりますように、この際今の行政整理と並行いたしまして、むしろ先行いたしまして、眞に止むを得ざる以外のものは大幅に整理をしたいと考えます。而して、又日本は法律國といわれております。法律攻めの現状から割出しまして、法令規則等の徹底した整理減少ということを考えておるのであります。特に多年問題になつておりますところの各省各廳に亘る共管事務を徹底して、責任を持つた一つの省で扱い得るように態勢を整えたいと存じます。更には又これは実際的の問題でありますが。許可認可の問題について、なかなか一遍願いを出しても、半年経つても許可が來ないというこの実情を修正いたしまして、極めて短期間に一定期間に許可とか、認可とかの線をはつきりする。戰時中に行われましたように、一定期間が参りましたらば、許可書が來ないでも、それを認可と認めるというような行き方は、この際強力に採り上げたいと、考えておるのであります。而して又事務的に亘りますけれども、今日の持ち廻りの判という、あの面倒さを、取扱主任の責任制を確立いたしまして、極めてこれは簡單なる方法で、会議者の減少を図りたいと考えます。而して事務の標準化、行政の整理をして、人が減つた、併し仕事がやつて行けるためには機械化ということが絶対必要であると存ずると同時に、官廳の電話の整備及び中央地方を通じますところの無線通信によるところの連絡機関というようなことも十分考えて行きたいと存じます。而してこうしたことを実施するために、その実施の方法としては、これは行政管理廳及び大藏省の主計局等で扱つて行きたいと考えます。而して大規模なことでありますがために、法令を改めて設ける必要がこれがために起るものと存じますが、その点は考慮の上で処置して行きたいと存じます。
 而してこれをいつまでにやるかということになりますが、行政管理職の構想といたしましては、一月末までに具体案を作成して、人員整理の本当の処置は二十四年三月末までに完了することを目途としておるのであります。而して機構及び定員の官制上の改正ということは、四月一日から施行予定になつておりますところの各省の設置法及び定員法の中にこれを織込んで行きたいと存ずるのであります。そういうようなことにいたしまして、そうして費用を極めて大きく節約をいたしまして、そうしたことによつて待遇の改善或いは又生産事業に振り向けるというような再建方式を採つて行きたいと存します。
 お尋ねの中に、逓信省を電氣通信省と郵政省に今の内閣で分けて機構を殖やしつつあるではないかいうことがあつたのでありますが、私の説明中にもありましたように、事務を敏活にするためには、今日遅れておりまする日本の電氣通信事業或いは郵便の事業これらは一つが二つに分れた趣旨がそこにあるのでありまして、これは別段抵触することなく、むしろよい方へ取り得ると存じます。但し全面的整理を行いまする場合においては、つい先般御議決を願つたのでありますけれども、全体の問題といたしてはこれも整理の対象に考えるということを御承知願いたいと存じます。以上極めて簡單でありますが、お答えいたします。(拍手)
   〔國務大臣下條康麿君登壇、拍手〕
#14
○國務大臣(下條康麿君) 三好君の御質問中、文部省関係につきましてお答え申上げたいと存じます。
 第一点は教育予算に関することでありまして、國家財政が誠に窮乏いたしておりまする現状におきまして、教育予算が十分計上せられませんことは誠に遺憾に思うのであります。この点は御同感であります。ただ教育予算を計上いたす場合におきまして、一般予算との間に一定に比率を設けたらどうかというお尋ねでありますが、これは從前から相当問題になつておつた事柄なのでありまして、研究いたしておりまするが、只今のところ、この方法は直ちに採用することは困難ではないかと思つております。
   〔副議長退席、議長著席〕
 第二点は、教育者そのものに関するお尋ねでありました。教育者の資質の向上を図り、その研究が十分にできまして、そうしてその教育が良心的にできますようにしたいという点につきましては、誠に御同感でございます。その方法につきましては、今回新制大学への切替によりまして、教育学部、若しくは教育を主とした学藝学部を設けることになつておりまするが、昭和十九年に專門学校程度となりました師範学校がその内容におきましては殆んど改善されておらなかつたのでありまするが、今回はこの切替の場合に十分そういう点につきまして考慮を拂いまして、從前の轍を踏まないように、質、内容の向上を図りたいということを申上げたいと思います。尚教職員の資質につきましては、内地留学制度ということも明年から採用したいと思つて予算の計上を考えております。その他教職員に対する福利施設の点につきまして現在甚だ遺憾の状態にあることはお説の通りでありまして、これにつきましては、或いは共済組合の援助、教員住宅の問題等につきまして、今後十分努力いたしたいと思つております。
 最後に大衆青年の教育の問題についてお尋ねがありましたが、これは学校教育といたしましては定時制の高等学校によりまして、勤労青年を対象として、從前の青年学校とは異なつた一般高等学校程度の教育施設を設けることになつて、すでに二十三年度から発足いたしておりますが、まだ十分に普及いたしておりません。これにつきましては今後一層努力いたしたいと思つておる次第であります。尚、一般大衆青年教育につきましては、通信教育の方法によりまして、或いは学校と関連した通信教育、或いは学校と関連せざる通信教育というものがありますが、それを更に一層働かして行きたいというように考えておるのであります。その他、学校の拡張、ソシアル・エデユケーシヨン、公民館の施設、或いは青少年團体の活躍等によりまして、社会教育的な活動の振興によりまして、大衆青年の教育について十分努力いたしたいと考えております。(拍手)
#15
○議長(松平恒雄君) 大藏大臣及び商工大臣の答弁につきましては、先刻申上げましたような事情で後刻御答弁がある趣きであります。
#16
○三好始君 簡單でありますから自席からの質問をお許し願います。
#17
○議長(松平恒雄君) 三分間以内に願います。
#18
○三好始君 私の質問に対する首相その他閣僚の答弁はピントの外れた答弁が多くて、答弁になつていないものがありますが、特に次の点を明らかにして頂きたいのであります。
 私の第一問は、四日の施政演説の性格を聞いたのでありますが、首相は少しも答弁せられておらないので、これを明らかにして頂きたいと存じます。第二問は、私が例示したごとき現内閣が行なつて來た事実が、慣例として後世に残すに足るとお考えになつておるかどうかを聞いたのでありますが、これにもはつきり答えられておりません。尚、農業対策についての私の質問は、農林大臣が言われたように、自由経済と統制経済のいずれかを選ばなければならないというような狭い立場に立つた質問でなかつたことは、正確にお聽き取りになればお分りになつた筈だということを特に申上げて置きます。
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#19
○國務大臣(吉田茂君) お答をいたします。私が先程述べた趣意は、第三國会及び第四國会における内閣の性格については一應申述べたつもりでありますが、併し施政方針は、たとえ國会において首相の指名を受けましても、少数内閣であるから冒頭解散をするか、或いは総選挙後において新たに國会の指名を受けた場合にいたすべきものと私は考えるものでありまするから、施政の方針を差控えるべきものであるというのが、私の考え方であります。併しながら、すでに予算を提出し、又議会に提出した以上は、この予算に関する範囲についての政府の諸政策について局限して申述ぶべきものであると考えて、過日の施政演説をいたしたわけであります。
#20
○議長(松平恒雄君) 板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#21
○板野勝次君 私は日本共産党を代表して、吉田内閣の施政方針に対して質問をいたしたいと思います。
 吉田内閣の施政方針演説は、一言にして申しますと、在野時代の單純な人民を欺く公約さえもが実現でき得ないことを暴露しましたものでありまして、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)解散以外には方針のないことを告白しております。戦後三ケ年はすでに過ぎ去りましたが、我が國の経済の再建というものは、復興するどころか、ますます破局の方向に向つて行つておるのであります。終戰後におきまする歴代の内閣の方針は、口に再建を唱えて参りましたが、実は我が國の経済を破壊して参つておるのであります。これは私利私慾に満ちた政治の結果でありまして、人民を收奪して來た必然の結果としての破壊であります。然るに現吉田内閣はどのようにしてこの腐敗と、不正と、そしてこの大破局を克服すべきかの確信ある施策をお持ち合せになつていないのであります。吉田内閣は小手先の政治家であり、人民の生活の安定と向上のために何をなすべきかを知らないのでありまして、言い換えますると、恰かも戸惑いをしておる、理性のない頑固一点張りの老人のごとく思われるのであります。從いまして、この度の施政方針演説は表面やさしく見えるのでありまするけれども、その中には勤労大衆を露骨に彈圧しておるものを窺うことができるのでありまして、これは第一次の吉田内閣のやつて参りました実績がよく物を言つておるのでありまして、一言に申しまするならば、吉田内閣の施策は、ひたすらに大資本家の利益を擁護する屏風にしか過ぎない、このように存ずるのであります。そこで私は時間の関係から、この前の内閣における吉田内閣の破壊して参りました方針から見まして、沢山質問はあるのでございまするけれども、時間の許す範囲において質問を試みたいと思うのであります。
 質問の第一点は、総理は施政演説において、「刻下の疑獄事件に至りましては我が國未曾有の不祥事件であります。政府はこれが究明に努め、再びかかる不祥事の起らざるよう努力したいと思うしということを言つておられるのであります。ところが民自党の多くの諸君が、このような不祥事件に関係しておるのでありまして、どうしてこれを究明しようとせられるのか。例えば復興金融金庫は、一千億円に上る大資本本位の貸出を行いまして、昭和電工事件で明らかに示されましたように、これが不正取引と政治的腐敗の一大原因となつておるのであります。又大資本家が戰爭直後の遊休資材と軍関係資材の大部分を著服しまして、兵器処理事件、キヤラコ事件、繊維局事件等々は、大資本家が資材を独占するために官僚統制を自由に動かし、政界、官界、財界、業界の一大腐敗を招いたばかりか、我が國の再建を困難にし、我が國の経済を破壊して來たのであります。これらは個人々々の腐敗と堕落というよりも、その原因は金融機関、重要産業の機構、官僚統制そのものにあると思うのでありまするが、これらの機構に対して、再びこのような日本経済を破壊に導くことのないために如何なる対策を持つておられるか、又このような不祥事件の起こらないようにするために如何なる努力を具体的に拂われるつもりか、首相の明快なる答弁を望むものであります。
 質問の第二は生産第一主義の問題でありまするが、今日まで採り來つた大資本本位の政策は、第二次の現吉田内閣におきましても何ら政策的な轉換がないばかりか、ますます露骨になつて来ておるのであります。労働者を、安い賃金に追い込めて、そうして生産第一主義を唱えて見ましても、物の増産にはならないのであります。今や生活の窮乏から賃金の値上、最低賃金の確立を要求しまする全石炭、炭労、金属鉱山を初め、電産、日鉄、日立、東芝、理研、全國繊維等、民間産業参加人員は十一月の五日の産別調査にまりましても、これらの諸産業の爭議に参加しておりまする延人員は実に五百七十万の多きに及んでおります。これは明らかに歴代政府の低賃金政策の結果であります。第四回國会に提出されました追加予算を見ましても、公務員の給與ベースは僅かに五千三百円、昭和十二年の実際賃金は五十三円六十二銭になるのでありますが、これをそれに換算いたしますならば僅かに十二円にしか過ぎないのでありまして、これで果して生活して行けるでありましようか。然るに政府は一方におきましては價格調整費、終戰処理費、國債費、船舶運営会補助金等を増額しまして、予算の大部分を独占資本のために只で與えようとしておるのであります。このような状態の中に爭議が頻発して参りますることは、むしろ当然でありますが、この爭議の解決に対して如何なる態度を政府は持つておられるのか。政府は飽くまで安い賃金でやつて行こうとするのならば、これら頻発して参りまする労働爭議に対しまして彈圧を以て臨むより外ないであろうと思う。彈圧を以て臨みますならば、生産は破壊されて参ります。又爭議の彈圧をして参りますならば、必ずこれを合法化するに違いないのでありまして、今のところ労働組合法の改正はしないと申しておるのでありますけれども、あの公務員法の改正の実例に照して見ましても、理論上どうしても労働組合法を改惡して、そうして各種産業の労働者に対して團結権、罷業権、團体交渉権を制限し、若しくは奪う方向なくしては低賃金政策を強行することができないと思うのでありますが、これに対する労働大臣の見解を承わりたいと思うのであります。
 次に質問の第三点は、あの公務員法の改惡によりまして官公吏は労働三法が適用されなくなつて参りました。併しながらこの結果起つて参りまするものは、上級官僚、高級官僚の腐敗と堕落、これは低賃金からは腐敗と堕落が必然生ずるに違いないのでありますが、総理大臣は施政方針演説の中におきましても官紀の粛正を説いておられる。立派な待遇を與えずに置いては、そこに腐敗が生じて参りますることは過去における実績に徴しても明らかであります。この時に当りまして、先だつてから全官公廳の諸君が不正摘発粛正委員会を作りまして、官廳内に、おけるさまざまな不正摘発のために乘り出して参つておるのでありまするけれども、從來この公務員諸君が官廳内における不正と戰うための闘爭に対しまして、政府は絶えず圧迫して参つておるのであります。先日大藏省に参りましたら、大藏省の職員諸君が民自党の代議士にこのことを強く訴えておりました。例えば脱税を追及せんとしても上級の役人がこれを阻止して、我々が脱税のある事実を公けにすることを許さないのであるということさえも申しておるのであります。あのように公務員法を改惡して参りました吉田総理は、この官公廳の正義感に燃えた不正摘発の闘爭運動、不正摘発粛正委員会に対してこれを圧迫して、高級官僚の腐敗をますます増長せしめるつもりか、或いは又この粛正委員会をますます助成して、官廳の中から腐敗と堕落を除かれるつもりなのか、これに対する総理の見解を伺いたいと思うのであります。
 質問の第四は、予算の中に盛られておりますものの中には決して私は建設的な面を見出すことができないのであります。從いまして、時間の関係もありまするので、あの中小企業に対する年末融資の問題、地方財政に対する融資の問題に触れて見たいのであれます。先ず地方財政の問題でありまするが、追加予算によりますれば、地方配付税は官公吏の給與改善のために二十四億円でありますが、地方貸付金の償還金として三十五億円取立てておるのであります。從つて差引十一億の取立てになるのでありまするし、災害復旧費の四十億円は建設省の当初要求四百億円に比較いたしますれば雀の涙程であります。そしてこれ以外は全部地方負担となるもので、又現状でも河川の本流は直轄工事になつておりまするが、支、分流は大部分地方負担になつており、從つて縣から市町村へ行けば行く程この負担は過重されまして、地方住民の寄附、分担金の負担は莫大なものであります。六三制の施設に至つては、全く計上せられず、これを全く地方のなすがままに放置しておるのであります。これら地方財政の破綻の現状に、ただ申訳的に地方融資八十億円を計画しておるのでありまするが、これでは地方財政は破綻するのみであると思うのでありまするが、これに対する所管大臣の所見を伺いたいのであります。
 質問の第五は中小企業に対する年末の融資の問題でありまするが、政府は中小企業の年末融資を三十六億円出すと言つておるのでありまするが、一方では申告課税分の徴收は百三十九億円取立てることになつておるのであります。年末融資は人氣取りの、政策であり、その裏口から百三十九億円取立てまするならば、百三億円余計に取られまするために、三十六億円は結局見せ金にしか過ぎないと思うのであります。又爲替レートの一本建が採用せられまするならば、必然的に淘汰される企業が相当業種出て来ると思うのでありまするが、政府は爲替レ―トをどの程度にしようとしておるのであるか、若し仮に三百円とすればどの程度の採算割れ業種が出ると思つておるのか、四百円としますればどの程度の業種が採算可能なのか、その具体的な内容を示されたいと思うのであります。若し、よう示さないとするならば、その問題について、はつきりした見通しも能力も政府は持ち合せていないと理解してよいのかどうか、(「そんなことは新聞に出ておる」と呼ぶ者あり)又淘汰される業種には現在の業績如何に拘わらず貸出をしないことは決定していると思うのでありまするが、それに対する見解を伺いたいと思うのであります。
 次には、時間がないので簡單に申しまするが、これは文部大臣にお聞きしたいのでありまするが、吉田総理が内閣首班に指名される数日前に、外人記者團に語つておりまするのに、こういうことを言つておるのであります。アメリカは元はイギリスの植民地であつたけれども本國よりも立派になつておるではないか、こういう意味のことを申して、我が國の植民地化は決して好ましくないものではないということを外人記者團に語つておるのであります。併しながら米國は植民地であつたものが独立戰爭によつて独立したから強大になつたのであります。植民地であつたものが独立したのであつて、日本とは歴史的な原因を異にしているのでありまするが、このような米國の歴史的な歪曲は、又日本の歴史を歪曲するであろうと思うのであります。このようなことは教育に関する本質的な破壊であると思いまするし、教育刷新を唱えられる一國の総理にしては誠にふさわしくない談話であつたと思うのであります。この事実に対する文部大臣の見解をお伺いしたいのであります。同時にこの機会に文部大臣に、現在の教育予算を以てしましては、教員の給與が極めて惡い状態にありまするので、師範学校の教育を受ける諸君も段段と少くなつて來ておる。このような状態は誠に憂慮すべき事態であると思いまするので、これに対する文部大臣の見解を伺いたいと思うのであります。
 次に食糧の問題について農林大臣の見解を質したいのでありまするが、問題点はあの前國会を通過いたしました食糧確保臨時措置法、これに対しましては、民自党は衆議院において反対し参議院において賛成しておるのでありまするが、あの食糧確保臨時措置法の持つておる内容は、少くとも農民に低米價と重い供出を強制する以外の何ものでもないのでありまして、これは決して我が國の食糧増産体制を確立するものではないのでありますが、農業破壊を意味するところの食糧確保臨時措置法を速かに撤廃する意思があるかどうか。同時に現在の農産物價格は極めて安い状態に置かれておる。米の價格はあのパリテイ方式によつて極めて安い値段で釘付けにされておる。これは明らかに低賃金の上に立つておりまするために、米の値段を正当な値段に変えようとする意思がないからであります。從いまして、あのような欺瞞に満ちておるパリテイ方式による米價算定の方式を変えて、眞に労力を算定し、生産費を償うところの米價算定の方式に変えられる意思があるかどうかという点、更に農村の民主化を図つて参りまするためには、どうしても農村の土地取上げをなくして行き、そして地主の保有しておりまするところの一町歩保有のあの地主の制度をなくして行つて、そして眞に農村の民主化を進めて行く。これなしには我が國の農村の発展、農村の生産力の発展はでき得ないと思うのでありまするが、これに対する農林大臣の見解を伺いたいと思うのであります。
 最後に、私は欧洲の状態、極東の状態が著しく変つて参つておるのでありまして、中國の内戰は非常なる変り方をして参りました。そこで私は時間がないので今少し時間を頂きたいのでありまするが、(「駄目だ」と呼ぶ者あり)ただ一点お伺いしたい点は、元中國政府の顧問のオーエン・ラチモア博士が言つておられますのに、米國の援助は中国を救うのに手遅れだ、蒋総統夫人の米國訪問は、米國人に國民党に対する同情を起させるだろうが、併し現実の事態は中國政府を建て直させるには遥かに先に進んでおる、とにかく結局は連合政府が樹立されるだろうと言つておるのであります。吉田内閣はこのようなアジアの状態、民主主義の状態に対して、從來のごとく反共政策を提げて対内外政策を探られるのかどうか。吉田首相は、アメリカが蒋介石政権を援助することを望むと衆議院において発言せられたそうでありまするが……(「もういいよ」「時間々々」と呼ぶ者あり)
#22
○議長(松平恒雄君) 時間が來ました。
#23
○板野勝次君(続) この総理の……中國に情勢の変化が起きておりまするときに、世界の世論が吉田内閣に対して反動的だと言つておるときに、このような言辞は日本を孤立化させるものだと思うのでありますが、これに対して……
#24
○議長(松平恒雄君) 時間が超過しました。
○板野勝次君(続)(「時間を守れ」と呼ぶ者あり)吉田内閣の、吉田総理の見解を望みますると共に、あの東欧諸国における戰後復興の状態、中國における最近の状態、ソヴイエトの五ケ年計画が四ケ年を以て完了して来た。(「帰れ」と呼ぶ者あり)然るに日本は戰後三ケ年間、何ら再建の方向に進んで参つていないのは如何なる原因によるのか、あの東欧諸国の発展は何に原因しておるか、この点について総理の明快なる見解を伺いたいと存ずるのであります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#25
○國務大臣(吉田茂君) お答をいたします。施政方針の演説についてはしばしば申す通り、たとえ國会において私が首班の指名を受けましても、更に國民に信を問うべきであるという見解から、総選挙後において、私といたしては諸般の施政についての方針を述べるべきであつて、この第三國会若しくは第四國会においては、成るべく控え目に、緊急止むを得ざる予算についての説明に止むべきものである(「その通り」と呼ぶ者あり)というのが私の信念であつて、これはしばしば申上げた通りであります。又疑獄事件については、本議場の他においてしばしば申した通り、政党政派の如何に拘わらず、檢察当局の決定するままに事件の眞相を十分調査せしむる。その点については政府は協力はいたしても、何らの干渉はいたさない。その実相を、疑獄事件の実相を究明いたしまして、その眞相を暴露する。世間に発表して國民が納得の行くような判決なり始末なりを付けるべきである。これが私の信念で、この信念は私がしばしば申述べたところであります。即ち司法処分に一任して、その実相を明らかにして、世間の、國民の納得の行くように眞相を発表するというのが私の、現内閣の方針であります。又復興金融金庫については將來どういう組織にするか、或いは現状をどうするかという御質問でありまするが、この問題は日本復興再建のために重要な機関であるのであります。政府はこの機関をどうするかについては目下愼重に調査研究いたしております。又労働問題については、政府は決して彈圧のみを考えているのではないのは、しばしば申述べた通りであります。賃金の算定についても、労働大衆の厚生、生活の安定等を考えますると共に、政府としては財政その他の全面的研究からして、現在の予算に組んでおるようなベースに到達したのであります。その他のことは所管大臣からお答えいたします。
 尚、外交問題についてお尋ねがありましたが、今日日本といたしては、御承知の通り外交は中止の状態にあつて、連合國の監視の下にあるのでありまして、諸外國との間の外交関係に外務大臣として言及する自由を持ちませんから、お答はいたしません。
   〔國務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
#26
○國務大臣(増田甲子七君) 板野さんの御質問にお答え申上げます。
 政府は低賃金政策を強行しようとしている、そこで彈圧が必至であるからして、労働三法を改正せざるを得ないであろうという御質問でございましたが、今総理からも御答弁申上げました通り、政府は決して低賃金政策を強行しようといたしておりません。皆さん御承知の通り、今政府の與党でありまする民主自由党は、かねてから高能率、高賃金による労働の生産性の高揚を図つて、急速に経済の復興を図りたい。これが民主自由党の政策でございます。從つて高賃金政策である、こういうふうに考えてよいかと思う次第でございます。從つて前提がございませんから、これ以上お答え申す必要はないのでございますが、從つて彈圧等は考えておりません。又彈圧し得る根拠も全然ないのでございますし、又根拠がありましても、そういうことをすべきでないというのが私の確信であります。それから労働三法に向つて、労働法並びに労働関係調査法につきましては、すでに施行後数年を経ておりまして、各種の貴重な経驗に徴しまして、單に経営者なり或いは國民大衆のみならず、労務者諸君からも、これこれの條項をかくかく改正して欲しいという熱烈なる要望があるわけでございまして、折角改正に向つて考慮中でございます。それから基準法につきましては、原則的に八時間労働は國際労働上の通念であるから、私共としては原則的には、労働基準法については改正ということは考えていないということは、かねて、しばしば言明した通りでございます。(拍手)
   〔國務大臣下條康麿君登壇〕
#27
○國務大臣(下篠康麿君) 板野君の御質問中、教員の待遇改善につきましてお尋ねがあつたのでございますが、この問題につきましては一昨年來、一般官吏並にしたいということにつきまして逐次努力の結果、特に本年四月からは賃金ベースの改訂の際に一般官吏よりもやや有利な状況になりまして、現在におきましては大体一般官吏の給與を上廻つておる実情であります。尚今後ともこの方針に基きまして、教育関係者の勤労の特殊性に鑑みまして合理的な給與基準を設けたいと思いまして、現在研究中でございます。(拍手)
   〔國務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#28
○國務大臣(周東英雄君) 板野さんにお答えをいたします。
 第一点の食糧確保臨時措置法を廃止するの意思なきやというお尋ねでありまするが、この法案につきましては御指摘のようにいろいろ欠陷もあることは認めます。併し一度制度としてできました以上、これを朝令暮改することは今日の食糧政策遂行上妨げとなることも多いのでありまするから、慎重にこの改正等については考慮いたしておりまするが、今直ちにこれを廃止する意図は持つておりません。
 第二番目の、米價につきまして價格が低過ぎるではないか、これに対して適正な價格を構成するようにパリテイ計算、方式を改める意思なきやというお尋ねでありまするが、今日米價決定に対しましてはいろいろご意見のあることは私も了承いたしまするが、只今の段階におきましては、パリテイ計算上用いられるところのいろいろの要素につきまして技術的にこれが適正になるよう改訂をするように努力を続けております。御指摘の生産費等につきましての計算につきましては、これを参考にすることについては努力をいたしております。
 第三番目のお尋ねでありまするが、農地改革に関して、残つておる一町歩未満の地主の土地を取上げることをなさなければ農村民主化は徹底しないという御質問でありまするが、私共は今日、小作農に対して非常な影響力を持ち、いわゆる民主化を妨げておつたところの大地主の土地につきましては、大体御承知のようにこの十月末を以て買上げの目標百八十万町歩近くを終り、尚小作農に対して土地を持たしめるという賣渡しにつきましても約百六十万町歩の実行を終つております。從つて、もはや、それらに対してそう影響力のない小さい地主の土地の所有権を奪わなければ農村が民主化しないという考えは採つておりません。むしろ今日といたしましては、折角自作自営になつたこの農家が、自作自営になつたとしても過小農家であることは間違いありませんので、むしろこの農家をして今後における農業生産力の向上並びに農家経営の安定をなさしむる方向に向つて各種の施策を集中することが最も正しいと存じます。待つて今後におきましては、でき得る限り山林とか既耕地、或いは牧野、原野等に対する総合的利用計画の樹立の下に、農家経営が安定するよう、或いは農地の交換分合等を考えることは、農地政策として正しいと思いまするが、この際飽くまでも小兒病的に小さな影響力のない小地主の土地までも取上げることをなさなければ農村の民主化が行われないとは、私は考えておりません。(拍手)
#29
○議長(松平恒雄君) 大藏大臣、商工大臣の答弁は、適当の時期にせられる趣きであります。山田佐一君。
   〔山田佐一君登壇、拍手〕
#30
○山田佐一君 私は総理の施政方針演説及び安定本部長宮の経済演説に対し、民主自由党を代表して質問をいたすものであります。
 先ず第一に、吉田総理は、現内閣が少数党内閣であるから、自己の信念と党本來の政策とを実施実現するためには、何を措いても解散を断行し、総選挙により絶対多数を獲得して内閣を安定せしめたいというふうに承わりました。そこで、果して希望通り過半数を獲得し得る確信がありまするかどうか、或いは選挙のことでありまするから、不幸にして過半数を得られない場合には、他の政党との連立方式を採るがごときお考えを持つておられるかどうか、先ずこの点をお聽きいたしたいのであります。私がかくのごときことをお尋ねいたしますのは、新憲法下第一回國会以來の片山、芦田両内閣の実情に徴して、総理がすでに予見せられたごとく、政策協定による連立内閣が如何に無力弱体にして無責任なるものとなる虞れのあることが明瞭だからであります。(拍手)即ち片山内閣は、施策の効果は属して國民道義の高揚によると言い、後継内閣芦田首相又、國民道義心の発揚を國民に強要しながら、相次ぐ疑獄事件を作りつつあつた事実が今日明らかとなつておるのであります。財界人の贈賄、官界人の汚職、政界人の腐敗、果ては前総理大臣芦田氏に対し逮捕令状が発せられるがごとき前代未聞の不祥事を惹起し、國民は唖然として言うところを知らず、茫然自失という態であります。吉田首相は先ず第一声に、官界、財界の粛正という宣言をなされましたが、吉田内閣の再現は私はやや遅過ぎた感があるのであります。なぜならば、國民は、政治家というものはこんなにも口と腹が違うのかという感銘を受けましたので、これは我が國今後の政治運営のために誠に遺憾千万に存ずる次第であります。(拍手)即ちこの國民の政治に対する惡印象を拂拭するためには、政府におきましても並々ならぬ努力が必要と考えられるのであります。國民は今や清淨にして且つ強力なる内閣を待望しておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)どの閣僚を見てもどの政務官を取つて見ても安心のできる政府にして、初めて國民の信頼を博し、官界、財界の粛正ができるのでありまして、先ず國民に絶対安全感を與えることが緊要と思考いたしまするが、この点に関する総理の信念の程をお伺いいたしたいのであります。
 次に世上一般の氣風に関してであります。敗戰後、賭博心が盛んになつているところへ、政府みずからが百万円の宝くじとか、スピード三角くじなどを費出して、盛んに宣傳して國民の射倖心を煽つておりまするが、このような氣風の横溢するところ、疑獄事件や各種の犯罪が跡を絶たないのも止むを得ざる次第と存ずるのであります。一攫千金の夢を煽り、闇肥りの成金風を吹くがままに放任して、尚且つ各界の粛正を唱えても、これ百年河清を待つにひとしいと思考するものであります。又一方この時こそ、官界には清貧に甘んずるの気概と無骨を有する人格者を登用して、腐敗官僚を一掃する必要があると考えるのであります。現在のままに推移するならば、第二、第三の疑獄事件の発生も敢て絶無なりと断言することはできないと思うものでありまするが、これらの点に関する首相の御所見を承わりたいのであります。
 次に経済問題についてお尋ねいたします。今日財界の一番重要な問題は爲替レートの一本という問題であろうと思います。内外の情勢より見ましても当然一本レートを設定しなければならないものであり、國民も亦一日も早くその実現を希望しておると思うのでありまするが、ただこれが実施の時期が問題であります。先般の商工委員会における小林政務次官の説明によりますと、一ドル三百円乃至四百円にて來年の秋頃に実現するのであろうとのことでありましたが、それには今からこれが準備に着手いたさねばならんと思います。現在輸入品について一ドルに対し二百二十円より千百円ぐらい、輸出品においては二百九十円より八百円までという、その中に非常な大きな開きがあるものを早急に一本に設定するということは、決して簡單にできる問題でないと思います。即ち現在高率に取引されておる商品の産業は、膨大な利潤を取得しつつあるにも拘わらず、レートの引下げには百方手を盡して反対すると思われます。又低率な商品の産業はレートの引上げを希望いたしまするが、大幅に引上げられれば、國内物價体系に変動を來すと思うのであります。輸入品についても亦同一理由により、業種によつて非常な不公平を生じ、常に業者間の摩擦が絶えないと思うのであります。このでこぼこを調整して一本に引きならそうということは決して容易なことではないと思います。両端より圧縮して或る線に定着せしめるここ、このことが一歩誤まれば、実に敏感な経済界のことでありまするから、直ちに大波瀾を生じ、一大パニックの襲来も決してないと保証することはできないと思うのであります。(拍手)よつて今日から細心の注意を拂い、万全の策を以てその準備に着手せられんことを望むものでありまするが、当局の御所見を伺いたいと存じます。
 次に統制の大幅撤廃もとより賛成するものでありまするが、同時に許可事項の相当程度の廃止と残余のものの手続の簡素化を熱望するものであります。一例を建築に取つて見ましよう。國民挙げて住宅難に喘いでおる今日、住宅を建築せんとしてその許可を臨時建築取締規則によつて申請いたしましても、なかなか許可が得られないのであります。実に怪しからんと思いまするが、実際でありまするから、いたし方がありません。そこで止むを得ず不必要な古住宅を買受け、移轉建築として申請して、その許可を得ておるという方法を随所で採つておられるのであります。これは手続だけの問題でありまして、実際は闇市場から入手した資材によつて立派な新築家屋を建築しておるのであります。ただ申訳的に屋根廻りに古材を少量使用しているだけでありますが、これが又不思議にも古材使用の移轉家屋として落成檢査も無事パスするというのが今日我が國における実情なんであります。かくのごとくいたしますることによつて、そのままに置いておけば五年や十年は住宅として結構使える家屋をわざわざ取り壊し、而もその材料の大部分は燃料として消費されてしまうのであります。一方住むに家なく、未だに地下道生活をしておる者が多数あるということを見受けられる現状において、爲政者たる者大いに考えなければならない問題であると思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私見を申しますれば、住宅建築には認可制を廃止して自由に新築ができるようにしたら如何かと思うのであります。勿論これは外部からの監督も必要でありましよう。又相当程度の新築税を課することも考えられます。かくすることによつて國家財政の一助ともなり、又建築する建築費にしましても、今日のごとく認可を得るためにその道の人に相当の報酬を出したり、或いは不必要な古い家を買つたりすることを思えば、新築税くらい喜んで納入することと考えられます。この辺に関する所管大臣の所見を承わりたいのであります。
 次に商工大臣にお尋ねいたしたいと思います。全國に跨がる繊維業者の経済違反事件と、資材割当に絡む係官の贈賄は、大は一流の紡績会社から、小は五台、十台の織布工場に至り、尚且つ全國の大小指定販賣業者等殆んど挙げてこれに関連なき者なしという状況を呈しておりまして、業界のため、否、國家のため誠に遺憾千万の次第と存じまするが、かくのごとく業者盡くこれ違反者というがごときは、これはひとり業者の不徳行爲としてその責任に帰するものと軽々しく論断することができまするかどうか。その原因は法の欠陷か、行政上の不備によるものとも考えられまするが、この点に関して所管大臣は如何なる見解を有せらるるや、お伺いいたしたいのであります。私の見まするところでは、そのよつて來る原因の一つに、公定價格と闇價格との隔りが余りにも大きい。少量の闇流しによつて膨大な利益を得ることが経済人の心理を刺戟し、挙げて違反に向わしめるという事実も数えることができると思うのであります。又地方、税務署におきましても、当然業者全部が闇行爲をしているとの独断の下に所得更生決定をいたしまするので、たまたま正直な業者がありましても、勢い闇取引をせざるを得ないようなり、所得の申告もごまかさざるを得なくなるのであります。業者はこの重税に苦しみ、心ならずも再び違反を繰返す結果となり、原因と結果との惡循環は底止する所を知らずというのが実情であろうと思うのであります。一例を挙げて見まするに、愛知縣の長坂俊太郎氏のごときは今回二千四十一万円という所得の更正決定を受けたのであります。これは全國第二位でありまするが、長坂氏は余りにも多額の決定に驚きまして、審査の請求をいたしましたところ、直ちに土地の税務署と、名古屋の財務局と、檢察廳と三者が一緒に乘込んで來て、大がかりでこの家宅捜索をいたしたということであります。かくのごとき威嚇的行爲に出るということは、民主主義の徹底を主張する政府の下において如何かと存じまするが、所管大臣の御見解は如何でありましようか、この点を問い質したいのであります。(拍手)実際に純益二千万円で、その通りの更生決定を受けますると、所得税だけでも一千六百万円かかります。その他に事業税やその他の地方税を加算いたしますると、純益よりも遥かに多くなるのであります。かくのごときことが実際の常識で判断して黙視することができましようか。これで事業家の生産意欲の向上を図ることができるでありましようか。大いに考えなければならない現況であると思うのであります。政府は予算編成の際、多額の税收入の増加を見込んでおりまするが、これにも限度があります。課税率も限界を超えているのであります。儲けても儲けても税金を拂うだけで実收入皆無とあつては、業者は一定の生産と利潤を挙げればそれ以上の努力を惜しむというのも、これ亦人情の然らしむるところ、肯定せざるを得ない次第ではありませんか。(拍手)よつて合理的、科学的に課税率を改訂して業者が正直に喜んで納税し得るようにし、且つ一定の合理的な利潤が業者の手許に残るようにいたさねばならないと思いまするが、大藏大臣の所見は如何でありましようか、この点に対してお伺いをいたします。
 次に治山治水の問題でありまするが、周東農林大臣は就任早々、治山治水に力を入れるとの言明があり、甚だその意を強うしているのであります。その具体的方策を承わりたいのでありますが、先ず私の見解を二三申述べて見たいと存じます。先ず第一に、山林の所有権が確保されなければならないと思います。なぜならば、將來も私有権が確保される見通しがあればこそ誰も一生懸命になつて働くのでありまするが、その私有権が確保される見込がなければ、一生懸命に植林しようとする者がないのが人情の赴くところであると考えるのであります。なぜなら、今日植林いたしましても、その成果を見るのは五十年、百年先でありまして即ち眞に百年の大計であります。五年や十年では決してその効果は現れないのであります。或いは一部の人の唱えるがごとく、財産より生をる利潤はすべて不労所得と称して罪悪のごとく嫉視する世相の下においては、かような遠大な事業に熱を入れる者は少いでありましまう。(「その通り」と呼ぶ者あり)六十、七十の老人が喜んで植林するのは自分の生存中にその成果を見るがためではないのでありまして、これは又絶対不可能なことであります。これ、ひとえに孫や曾孫への遺産になることを樂しみといたしまして、或いは励みともいたしまして努力をするのであります。この心理を把握しなければ決して植林事業は成功いたしません。(拍手)山はただ伐採するのみで後に植林する者がなければ荒廃に帰するのであります。勿論これだけで十分であるとは考えておりません。治山治水は國家的事業として、國家の力によつて大規模に且つ急速になされなければなりません。併しながらこれには膨大な費用を必要といたします。一方國家の財源は御承知のごとく枯渇いたしております。國民の担税力も亦限界点に達したと思われます。だからといつて放置すべき問題ではありません。災害亡國と言われている実情に鑑み、この際、治山治水事業のために救國的な特殊の公債の発行を特にその筋に懇請して許しを受け、相当額の財源を得るように計画し且つその実現に努力する意思を持つておられるかどうか。この点に対し農林大臣及び大藏大臣にお伺いいたしたいのであります。
 凡そ政治の要諦は、國民に希望と光明を與え常に人心をして倦まざらしむることにあると思います。業者は幾ら工夫努力をしても利潤は挙らず、勤労者赤働けども働けどもその日の生活に追い廻されるという状態では、前述の希望と光明に危惧の念を抱くようになりはせぬかと憂慮するものであります。かくのごとく推移するならば、経済の復興も文化國家の建設も覚束ない限りであります。これは要するに食生活が未だ安定していないためであると思います。二合七勺への増配によつて多少國民生活の前途に光明を見出したのでありまするが、二合七勺だけでは足りない、どうしても闇食糧に依存しなければならないのであります。そこで勤労者の生活は苦しくなる、そうして賃上げの要求をする、賃上げをすれば企業は赤字となる、そこで物價の改訂が必要となるというふうに、物價と賃金の悪循環が進行するのであります。でありますから賃金経済の三原則を飽くまで固執するならば、勤労者は働けなくなり、延いては基礎産業はその企業の維持が或いはできなくなると思うのでありまするが、少くとも勤労者が必要とする食糧を公定價格で確保できなければ、必ず無理を生ずると思うのでありますが、この点に関する安本長官の御所見は如何でありましようか。この点をお伺いしたいのであります。例えば今度提出されました追加予算を取つて見ましよう。政府は鉄道その他の料金の値上げをせず、ただその大部分は自然増收を以て收支の均衡を維持しまして、その苦心に我々は敬意を拂うものでありまするが、これによつて完全に國家公務員の生活が保証されるかどうか。他方これによつて農民や中小商工業者に対する徴税の強行が憂慮される次第であります。これによつて農民、中小商工業者の生活が極めて重大な脅威にさらされることも予想されるのであります。又この問題とも関連いたしまして、苦境に喘ぐ中小商工業者救済の道は、実に一にかかつて融資問題の解決であります。即ち中小企業に対する融資は有効適切に実行し得る見通しがあるかどうか。この点も併せて大藏大臣の御所見を承わりたいのであります。
 今や戰時中のあらゆる束縛から解放され新たなる思想の下に、新たな金融制度の改革と民主主義による経済機構により、溌剌たる経済活動が許されることを熱望いたしまして、私の質問演説を終る次第であります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#31
○國務大臣(吉田茂君) 山田君にお答をいたします。この前の選挙におきましては、敗戰直後の思想の混乱或いは生活の不安定というような、いろいろな混雜した事情に禍いされて、自然小党分立というような状態を呈したのではないかと思いまするが、併しながら生活が安定し或いは思想が落ち著くということになりますると、自然小党分立という姿が消えて大同に就く、大きな政党になると大政党の対立に自然政情が赴いて來はせんかと、こう私は考えるのであります。少くとも民主政治を完全に、議会政治を完全に行いますためには、お話の通り無理な連立を図るとか、或いは政権に基かずに連立を図るとかいうような無理が政界を混濁せしめるのであつて、私といたしては、希望を申せば、政見を同じうする政党政法が國家再建のために、殊に今日國家再建のために、既往の経過、既往の歴史、既往の経緯を忘れて、そうして大同に就く大きな政党ができ上つて、そうして互いに切磋琢磨するという形になりましたならば、日本の議会政治が完全な、円滑な状態に行われるでありましようし、ここに議会政治の完備が求められ得ると、こう私は確信いたすのであります。成るべくこの情勢を馴致いたしたい、これが私の希望であります。この度の、今後の、或いは近く行わるべき総選挙においての結果はどうなるか存じませんが、又予想もできないわけでありまするが、私といたしては、先ず我々と政見を同じうする保守と申すか、保守派が選挙の結果においては相当多数を取り、私の理想といたすような大政党が対立するというような情勢になりはしないか、又そういう情勢を馴致いたすために我が党といたしては極力努力をいたしたい、こう考えております。(拍手)にも拘わらず、我が党が不幸にして少数の結果を來すといたしましたならば、これは総選挙の結果、即ち國民の総意を尊重いたしまして、その結果に從つて自由党といたしては極く淡々たる氣持を以て進退いたしたい、こう考えております。(拍手)
 その他の問題につきましては主管大臣からお答をいたします。(拍手)
   〔國務大臣周東英雄登壇〕
#32
○國務大臣(周東英雄君) お答えいたします。山田さんの治山治水に関する御所見誠に同感であります。國家のためにいろいろ御心配を頂いておりますことに対して敬意を表します。そのうち、治山治水について最も今日重大な時期において、山林の所有権についていろいろ不安定な状態にあることが、植林その他について民間の施業を妨げることはないかという趣旨の御質問がございました。今日私ども考えておりますることは、一部に言われておりますように、農地改革と同じように、山林の分割開放が行われるのではないかということが言われておりますが、そういうことは考えておりません。殊に山林におきましては、約二千四百万町歩程あります中に、國有林が八百万町余、あとが民有林、或いは公有林であります。これに対しまして御指摘のように、相当に植林をいたしますにいたしましても、長期に資金が寝るのであります。むしろ林業経営の安定をなさしめるということが今日最大の急務であります。一部は植林等について國家の大きな補助的なことを考えますと同時に、一面におきましては森林組合などを強化いたしまして、その計画的施業案に從つて植樹伐採などを進めて行くようにいたし、且つ民間の方面に対して金融などの事柄につきましても目下考究中であります。どこまでも所有権は尊重しつつ、國家の治山治水計画に協力をして行かせたい、かように考えております。(拍手)
 それから治山治水の根本についてのお話であります。お話のように、この点につきましては政府は昨年から五ケ年計画で以て、相当荒廃林地の復旧並びに植栽についての計画を立てております。大体これがその通り行くにいたしましても、約四、五万町歩の荒廃林地の復旧になりますし、植栽林地は約二百八十万町歩になります。これに対して、これを遂行するにつきましては、可なり大きな経費を要するのでありまして、これに対して財政当局と折衝いたしておるのでありまするが、その際に或いは治山治水公債というようなものを出したらどうかという御意見でもあります。誠にその御趣旨については同感であります。効果が後年に残り、今日存在しておる我々民族だけでなくて、子孫に資産が残るものに対して一部後年にその負担をかけるという意集合におきましても、公債の政策が一つ考えられるのでありますが、これらはいろいろ関係方面とのこともございますので、御趣旨に從い愼重に今後これの実現に努力いたして見たいと考えております。(拍手)
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#33
○國務大臣(泉山三六君) 御質問の一点は爲替一本レートの設定に関しまして政府に準備ありや、かようのことでございましたが、お示しの通り、爲替の一本レートの問題は今日内外の関心の的でありまするのみならず、その影響するところ誠に甚大なるものあるのであります。從いまして、政府におきましては、これが準備に今日鋭意当つておりますのでございまするが、その具体的な施策に関しましては今日未だ申上ぐべき段階には至つておらないのでございます。
 次に住宅につきまして、新築住宅に課税をするかどうか、かようのことでございましたが、住宅の新築につきましては、現在登録税の外に地方税といたしまして不動産取得税を課しておるのでございまして、その税率は取得價格の二割に引上げられておるのでございます。かようなわけで、今日國税として更にその上にこれに課税する、さようのことは政府においては考慮いたしておらないのでございます。
 次に所得税の申告に対しまして、これを更正いたします場合いろいろ面白からざる点もありはしないか、かようの御心配でございましたが、政府におきましては、今日その徴税機構の運用によりまして、租税の完納と正確なる徴收と、かようのことには深き関心を持ちまして、いろいろ施策これに集中いたしておる実情ではございまするが、併しながら只今お示しの通り、いろいろ困難な点もございまするので、他の半面におきましては納税者各位におかれましても財政の現状をよく御認識を賜わり、理解ある御協力を賜わりたいと、かように考える次第であります。
 次に治山治水に関連いたしましてその復興乃至は建設方面の費用はこれを公債に求めてはどうか、かようのことでございましたが、只今周東農林大臣よりもお答え申上げました通り、その点につきましては、政府といたしましても切なる希望を持つておりまして、いろいろ、研究中であるのであります。お示しの費目はもとより財政法第四條のいわゆる建設公債の対象と相成るのでありまするけれども、今日におきましては、俄かにその実現を期待する、かようの段階までには立至つていないことを遺憾といたす次第でございます。次に中小企業者に対しましての金融問題につきましてお尋ねがございましたが、政府におきましても、この問題につきましては、如何にして中小企業者の方々の金融の金詰りを緩和するか、円滑なる金融を如何にしてこれらに展開するか、この点につきましては苦心をいたしておるのでございまして、只今御指摘の通り、追加予算におきまして相当の税收入を計上いたしております。もとよりその半面におきましては、只今お示しの通り金融面におきましても十分これを保護せなければならぬ、かように考えておるのでございまして、その金融の具体的な政策は逐次これを展開いたしておる次第でありますが、一例を申上げまするなれば、先ず日本銀行の中小企業特別融資の限度を、これを増額いたしたのであります。日本銀行は中小企業金融の円滑化に資するために、現在勧銀に二億円、興銀及び商工中金に各一億五千万円の資金を特別に融通いたしておるのでございまするが、これら三金融機関に対する中小企業金融資金融通額をば相当程度増額いたすことにいたしたのでございます。尚又復金の中小企業金融に対しまして、懸念措置といたしまして約三億円程度の増額をいたしたのであります。復興金融金庫の中小企業金融特別措置中、その代理貸につきましては、各四半期五億五千万円を予定しておりましたが、第三・四半期におきましては、中小企業の年末金融の状況等をも考慮いたし、これを更に三億円増加して八億五千万円といたすこととしたのであります。尚、從來金融機関は融資準則によりましての丙種の運轉資金は一件の金額三十万円未満のものと、かようの定めになつておつたのでありまするが、これを二十万円増額いたしまして、一件の金額五十万円未満と、かように改めました次第であります。以上申上げましたように、政府といたしましては中小企業者の金融につきましては重大なる関心を持ちまして、從いまして随時随所に適切なる施策を展開したいと、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔政府委員小林英三君登壇、拍手〕
#34
○政府委員(小林英三君) 山田議員の商工大臣に対する御質問に対しまして、私から代つて御答弁申上げます。御質問の御要旨は、繊維関係業者の廣汎なる経済違反は果して何に基因するのであるか、これは行政上の欠陷があるのじやないか、こういうような趣旨の御質問と存じます。現在國民生活の中で衣料の非常に枯渇いたしておりますることは、これは皆さん御承知の通りでありまして、繊維関係業者の御質問の要旨にありましたような廣汎なる経済違反というものは、私共は單なる業者の不当なる利潤追求のみによつて起るものではないと考えておるのでありまして、これは現在の統制機構の上におきまして相当なる改革をいたすべき点が多々あると考えておるのであります。從いまして政府といたしましては、これらの点につきまして十分研究を遂げまして、配給その他不合理なる統制の不備の点につきましては十分是正いたしまして、現在極めて限られておりまする國内繊維製品でありまするけれども、國民生活の上におきまして、できるだけ不便を來さないようにいたしたいと考えて知るのであります。尚、先程山田議員の御質問の中で、先般の商工委員会の席上におきまして私が爲替レートの一本の問題につきましての答弁といたしまして、三百円或いは三百五十円というようなことを御答弁申上げたようにおつしやつたのでありまするが、この爲替レートの問題つきましては非常に重大なる問題でありまして、先程大藏大臣からも御答弁がありましたように、今後過半数の輸出産業に打撃を與えないというところに爲替レートを決定しなくちや相成らんのでありまして、私が先般商工委員会におきまして申上げましたのは、仮にこれを三百円といたした場合にはどうなるか、仮に三百五十円といたした場合には他の産業がどういう打撃を受けるかということの例証として申上げたのでありまするから、誤解のないようにこの機会に申上げて置きたいと思います。(拍手)
   〔政府委員赤木正雄君登壇、拍手〕
#35
○政府委員(赤木正雄君) 山田さんから、住宅新築の許可制を廃して自由にしてはどうか、こういう建設大臣に対する御質問に対して私から御答弁いたします。
 御趣旨の通りに成るべく自由にしたいと思つていますが、主要生産資材の需給状態が、臨時物資需給調整法或いはこれに基きます指定生産資材割当規則をまだ廃止する状態になつていませんから、今暫らく万事を自由にするというところには立至つていません。これに関連しまして、建設大臣が許可をする場合におきましては原則といたしまして六十日域内に、又都府縣知事の許可権に属するものは三十日以内にこれを処理するように、目下関係方面とも折衝中であります。成るべく早く許可をして早く住宅ができるように、こういう方針を採つております。(拍手)
#36
○議長(松平恒雄君) 本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一、國務大臣の演説に関する件
ソース: 国立国会図書館
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