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1948/12/10 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 本会議 第8号
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1948/12/10 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 本会議 第8号

#1
第004回国会 本会議 第8号
昭和二十三年十二月十日(金曜日)
   午前十時五十三分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  昭和二十三年十二月十日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第六日)
 第二 道路の修繕に関する法律案(衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。栗栖赳夫君より病気のため十六日間請暇の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
#5
○議長(松平恒雄君) 次にお諮りして決定いたしたいことがございます。大藏委員長より、関西方面の金融界及び産業界実地調査のため大阪府、京都府、兵庫縣に、本月十三日より明年一月三十一日までのうち七日間の日程を以て黒田英雄君、森下政一君、木内四郎君、伊藤保平君及び松嶋喜作君を派遣いたしたい旨の要求がございました。これら五名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松平恒雄君) この際、日程の順序を変更し、日程第二、道路の修繕に関する法律案(衆議院提出)議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員会理事島津忠彦君。
   〔島津忠彦君登壇、拍手〕
#9
○島津忠彦君 只今議題となりました道路の修繕に関する法律案につきまして、建設委員会の審議の経過並びに結果を私から御報告いたします。
 本法案に衆議院提出にかかりまする全文僅か二、三條に止まりまする簡単な法案でありまするが、その目的は、現在我が國の道路は全國的に極めて不良であるから、急速にこれを改善するために國費を以て道路の維持修繕をする途を開かんとするものであります。御承知の通り現行道路法の規定により、道路の新設改修の場合に限り國庫補助をなし、或いは主務大臣が直轄施行することができるのでありまして、道路の維持修繕は專ら地方公共團体の負担に属しているのであります。これに対しまして、本法案第一條におきまして、当分の間道路の修繕に関し地方公共團体に國庫補助の途を開き、又第二條において主務大臣が修理を直轄施行することができることといたしたのであります。道路の維持修繕は戰時中全く放任されておりましたため、その現状は全國的に破損の状況でありまして、著しく交通の能率を阻害しておつたのであります。又これがため交通機関の破損、損耗が甚だ大きく、その額を推算いたしまするときは巨額に上るのでありまして、これは延いては産業の復興にも重大なる影響を及ぼし、國民生活の上に甚大なる損失を與えているのであります。然るに他方、道路の維持修繕の費用を負担いたします地方公共團体の財政は甚だしい窮状にありまするので、これのみに任しては現在の状況を改善することは到底望めないのであります。折も折、その筋の示達もあり、右の事態に対処いたしまするために本法律案が提出いたされたのであります。
 建設委員会におきましては十分の審議をいたしました末、満場一致本法律案を可決すべきものなりと決定いたしたのであります。右御報告いたします。(拍手)
#10
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本法案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#11
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して地方財政委員会法の一部を改正する法律案(岡本愛祐君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。本案は発議者岡本愛祐君外十四名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。これより発議者に対し趣旨説明のため発言を許します。岡本愛祐君。
   〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
#15
○岡本愛祐君 只今上程になりました地方財政委員会法の一部を改正する法律案につきまして、発議者の一人として提案の理由を御説明申上げます。
 地方行政委員におきましては、数次の会合を重ねまして檢討いたしました結果、一同より本法律案を提出することに意見の一致を見たのであります。本法案は地方財政委員会法の一部を改正する極めて簡單な内容でございます。第一点は、同法第四條を改正し、委員会は五人の委員を似て組織しておるのを七人の委員を以て組織することに改め、即ち國会議員の代表者として一人出ておるのを二人に殖やし、一人は衆議院議員の中から代表者として衆議院議長の指名した者、一人は参議院議員の中から代表者として参議院議長の指名した者とし、外に地方財政に関し学識経験を有する者一人を加えんとするのであります。第二点は、右の改正に伴いまして第六條を改正し、委員三人以上の同意を以て、会務を決することにしておるのを、委員四人以上の同意を以てすることに改めんとするのであります。
 次に提案の趣旨につき申上げます。地方財政委員会は、昨年内務省の廃止に伴い、内閣総理大臣の管理の下に臨時に一年間を限り設置せられたものでありますが、第三回國会においてその存続期間を昭和二十四年三月三十一日まで延長されましたことは、すでに各位の御承知の通りでございます。而してこの委員会の組織は、國務大臣一人一人と、國会議員の中から代表者として衆議院議長及び参議院議長の指名した者一人と、知事、市長、町村長の代表者としてそれぞれ一人ずつ、合計五人を以て組織されておりますが、そのうち國会議員の代表者たる委員については、当初参議院側の要望としては、委員長たち國務大臣が衆議院議員である場合は、國会議員の代表者たる委員は参議院議員を以てすべしというのにありました。然るにその要望にも拘わらず、最初から衆議院議員が國会議員の代表者として委員に出ておるのが現状であります。又将来とも衆議院議員を排して参議院議員が代表者として出ることは困難な情勢にございます。かくては衆議院解散の場合におきまして國会議員の代表者たる委員を欠くことになります。これは所期の目的に副わないのみならず、来年三月末日までにこの暫定的な地方財政委員会を拡大強化しまして、且つこれを恒久化する法案の策定を必要といたしまする等の諸般の情勢から考えまして、この際委員会の組織員を充実し、國会議員の代表者たる委員として、衆議院議員から一人、参議院議員からも一人を出すこととし、尚万全を期しまするため、地方財政に関し学識経験を有する者の中から一人の委員を加え、合計七人の委員を置かんとするのが第四條改正の趣旨であります。又從來のごとき委員五人の場合におきましては委員三人以上の同意を以て会務を決することと定めておりましたのを、今回委員を七人といたしまする場合には、委員四人以上の同意を似て会務を決するのを適当といたしまするので、第六條を改正せんとするのでございます。
 以上の理由を以ちまして我々は本法律案を発議いたしました。何とぞ全会一致を以て御賛成を賜わらんことを切望いたします。(拍手)
#16
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#17
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#18
○議長(松平恒雄君) 日程第一國務大臣の演説に関する件(第六日)、昨日に引続き順次質疑を許します。平野善治郎君。
   〔平野善郎君登壇、拍手〕
#19
○平野善治郎君 私は民主党を代表いたしまして、吉田内閣の施政方針の演説に対して若干の質問を呈するものであります。
 先ず吉田総理にお伺いをいたします。首相はその演説において民主政治の確立を強調しておられるのであります。民主政治の確立の基礎なるものは、國民輿論を正しく把握いたしまして、これを尊重することでなければならないのであります。從つて國民輿論の集結でありまするところの國会を極力尊重してこそ、初めて民主政治確立の第一歩が印せられると思うのであります。然るに吉田内閣が第三回國会に驚いて我々に示した政治行動を顧みますときに、これと全く反対であつたことを私は頗る遺憾に存ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)今その行動の二三につきましてこれを顧みるならば、先ず施政方針の演説を行わなかつたという事実があるのであります。内閣が成立いたしまして、國会が開かれますや、首相はその抱負と熱情を國民に披露いたしまして、その主義政策を反対党に批判せしむるこそ民主政治と申さねばなりません。(拍手)されば、このことは我が國の立憲政治の長き慣習でありまして今回も亦國会の多数も國民のすべてもこれを切望いたしましたにも拘わらず、首相はこれを肯んじなかつたのであります。この行動に関しまして、十一月十日の朝日新聞の天声人語欄においては、「懐手のまま物をも言わずに座敷に押し通る吉田氏らしい横着なやり方だ」と書き、更に続いて「行先は沖で言う」と荒海に乘り出した横暴船長でもあると評しております。誠には適評だと考えるのであります。又公務員法の一部改正法律案を國会に提出いたしまするや、この重要法案に対しまして、参議院において十六日までに審議を結了して貰いたいという申入れをなしたのであります。その理由を我々が承わりましたところ、政府はただ諸般の情勢上と何か意味ありげに述べたばかりでありまして、その理由は説明できないという答弁を行なつておるのであります。この答弁については林副総理或いは小澤運輸相、佐藤官房長官の五名が見えられまして、我々はその理由によりましては、政府の申入れに対してはできるだけの協力をする旨申述べまして、これが理由を尋ねたのでありますが、敍上のことを繰返すのみでありました。かくのごとく理由すら説明せずして審議の短縮を申入れるごときは、明らかに國民の代表であり國権の最高機関たる國会を尊重せざる行動でありまして、我々の政治常識を以てしては不可解なことであります。若しも吉田内閣は、終戰前の或る最も誤まりのあつた時代のごとく、内閣が國会よりも以上の力を持つておるという錯覚に陷つておるか、又は國会以上の権力を自分が背負つておるという誤まつた認識の下に立つての行動であるとするならば、これこそフアツシヨヘの道でありまして、我々は断じてこのような行動を許すものではありません。(「同感」と呼ぶ者あり)これらのことは、首相の希望するところの新憲法の運用を全からしめるためによき慣習を作るということにはならないのであります。私は首相が今尚現在、第三國会における政府の態度が誤りのなきものであつたというように信じておられるならば、遺憾ながら総理自身に民主政治の確立というような言葉を語る資格を持つておらないと断ぜざるを得ない。第四國会よりは虚心坦懐に旧態を改められまして國会尊重の模範を示すべきであると、こう思うのであります。これに対し総理の所見を問うものであります。
 質問の第二は、首相は刻下の疑獄を究明いたしまして不祥事の起らざるように努力すると述べておるのには同感であります。吉田内閣成立に当りましては、政治的手腕力量もさりながら、人格の高潔にして疑獄等に絶対関係なき人を大臣及び政務次官に選任せりと言明されておるのであります。誠にこのことは正しいことでありまして、私共も吉田内閣によつてこそ初めて綱紀の粛正がなされると確信をしておつたのであります。從つて吉田内閣の閣僚及び政務次官等には疑獄に関係のあるような人は一人もおらないと國民のすべてが信じておつたと思うのであります。然るに不幸にして十一月二十三日の新聞紙上には、法務政務次官の田中角榮君がその私宅及び事務所を石炭國管法案の疑獄の容疑のために家宅捜索を受けまして、更にその後、田中君が木曾氏より金品の收賄をなした容疑を以て、目下、首相より衆議院に対しまして逮捕の許諾を求められておる次第であります。(「まだあるぞ」と呼ぶ者あり)申すまでもなく炭管問題は、昨年の議会におきまして審議中の法案に反対せる人々が、議院外は勿論のこと、議院の中にまで進出して、院内至る所において運動した、こういう噂のある問題であります。今日のこの読賣新聞には、田中衆議院副議長に関する問題としてこういうことが書いてあります。「炭鉱國管の問題は田中氏の副議長室で行われ、副議長室は炭管反対参謀本部と言われ」云々と書いてあるのでありまして、これを見ましても如何にこの問題は醜惡なる、立憲政治を毒する問題であつたかというような一端が窺われるのであります。多額の買收費を費して神聖なるべきところの議院の審議権を左右せりとの噂ある問題でありまして、若しかかる噂が事実とするならば、新憲法下、民主議会史上に一大汚点を印した極惡の疑獄と言わなければなりません。私は議会人の一人といたしまして、田中君の容疑が誤まりであることを念願するものであります。併しながら事件は田中君の弁明にも拘わらず、その任命者たる首相の名において逮捕の許諾が求められております。今日綱紀粛正を三大政策として掲げまして天下に発表し國民又大なる期待を以て、吉田首相がこの綱紀粛正をなすところの内閣が、その身みずからかかることに関連のないことを信じておつたのでありまするが、併しながら現在の状況において田中法務政務次官が容疑のこの疑いがあるということは逮捕状にも明らかであります。法務総裁は過般の衆議院の壇上におきまして、先般はまだ田中政務次官は容疑の段階に達しておらないから責任を云々というふうに言われたと聞いておりまするが、今日は容疑の疑いは十分であると私は思うのであります。この時に当りまして、みずから田中君を選任いたして法務廳の政務務次官に任命いたしました総理大臣並びにこの法務廳を預かつておりますところの法務総裁が、現在において如何なる責任を感じておられるか、これをお答え願いたいのであります。(「余り責任を感じないよ」と呼ぶ者あり)
 第三は、首相は選挙を近く実行せんとしておられます。私はこれには反対ではありません。併しながら次の選挙に当りまして、先ず國民諸君は疑獄等に絶対関係のない人を選びたい念願を持つておるのでありまして、又現衆議院議員の殆んど全部は首相初め疑獄には関係のないことを私は信じております。併し只今は流説紛々としていずれが眞か僞か、このまま選挙に臨む場合には、潔白なるところの現代議士の中にも疑念を以て見られる人もあるべく、又一方選挙民も徒らに流言に迷つて、正しいところの選挙を行うには多大の懸念を感ずるものであります。從つてこの際多少の日数を延ばされても、目下鋭意調査中と言われておりますところの炭管問題、昭和電工問題、繊維等の疑獄を徹底的に解決の上、解散を断行することが國民諸君にも親切であり、又首相の唱えるところの民主主義政治の実現にも寄與するものなりと信ずるが、これに対する総理の見解を質すものであります。(拍手)
 次に私は安本長官にお尋ねいたします。長官は我が國経済が混乱より脱却いたしまして漸次回復の途を辿つて來た原因は、國民諸君が困苦欠乏に堪えて來た賜物なりと申しておられます。困苦欠乏に堪えて來たということは、國民諸君が我が國経済の実態を正しく認識いたしまして自由経済を規正して來た結果と言わねばなりません。又長官は我が國の経済が安定する途は未だ遼遠なりとも申しておられます。このことは從來通りの困苦欠乏に堪えて自由経済を規正して欲しいと國民諸君に望んでおると承知できるのであります。私は不必要な統制或いはその仕方の惡い面を正すということについては人後に落ちるものではありません。勿論資本主義の基盤に立つ政党は自由主義の経済を望んでおらない人はないと思うのでありまするが現況は末だ過小生産の域を脱せざるところの我が國の経済が、なかなか重要物質の統制を撤廃するの困難なることは長官自身がよく御承知の通りであります。然るに民自党の政策は、供出後の米麦の自由販賣と言い、料飲店の即時再開を叫び、又は生鮮食料品を初めとする統制の大幅撤廃の即時断行等、いわゆる全般的な自由経済復帰の時來れりとするがごとき態度は、ややもすれば一部國民に対し、我が國経済の実態が予想以上に好轉いたしておるかというような誤解を生じ、経済再建に大なる緩みを來す虞れなしとしないのであります。(「牽強附会だよ」と呼ぶものあり)私は我が國経済政策の総合企画廳たる安本の最高指導者として國家経済を最も正しく知つておられる泉山長官は、この際民自党の希望経済は希望経済といたしまして、事実を以て実行できる経済政策の限界或いは時期方法を具体的に明示することこそ、國民をして過まちなく正しい方向に導くものなりと考えるものであります。かかる観点より、昨日までのお話を聽いておりまするというと、抽象的論議でありまして、一向にその限界について明確なものを持つておらない。從つて私は次の点について長官に率直にお答え願いたいと思うのであります。そのお答えによりまして、私は吉田内閣の行わんとするところの統制撤廃の限界程度に対するところの物差としたいと存ずるのであります。一、民自党内閣によつてその内閣成立後今日までに統制撤廃をなせる物品の数及び最も重要なるもの、二、目下準備中にして今十二月中に統制撤廃が可能の見込のあるもの、以上を長官にお尋ねいたします。
 次に私は労働大臣に対しお尋ね申上げます。吉田内閣の施政の結果は、厖大なる失業者の生ずることは明瞭であります。然るに施政方針の演説においては、これに対するところの具体的惜置について何ら言及しておらないことは誠に残念と言わなければなりません。現代政治におきましては、資本主義の基盤に立つ政党と雖も、或る程度の計画経済を織り込むことが絶対に必要であることは、もう世界の通則であります。そうしてこの計画経済を採用する限度の基準は國家の行うところの失業対策の程度にあると承知をしております。從つて只今の我が國経済のごとく、私企業がその貧困なる力を以て吸收不可能な多数の労働力に対し、政府において綿密にして長期的なる計画を立て、大量の失業する人々に対しまして完全雇傭態勢を整えることが喫緊の要事であると信ずるのであります。私も亦我が國産業の再建は、一面資本主義の原則において私企業の自由闊達なる発達を促し、逐次失業者を吸收いたしまして、その発展と生産比例して統制より自由に切替えることには賛意を表するものであります。併しながらその前提條件といたしまして、先に述べました完全雇傭政策を確立し、失業者に生活の安定を與え、その貴重なる労働力を國力の回復に寄與せしむることに万全の努力を傾注する必要があると考えるのであります。從つて我が國現下の政治の最大の問題は、この失業群に対する完全雇傭の政策でありまして、この政策を放擲しておりながら如何なる施政を行なつて見ましても、それは結局砂上の楼閣にひとしい結果に陷るのではないか、こう思うのでありまするが、これに対する労働大臣の御意見をお尋ね申上げます。
 更に私は労働問題について首相にお伺いしたいのでありますが、アメリカのハンセン教授が一九四五年に「戰後のアメリカ経済」と題する書において述べておるところを見ますと、アメリカ経済の円滑なるところの将來の発展は、戰敗國並びに後進國の開発を措いては他にないと論じております。アメリカが戰後においでその経済政策を実行しておるのを私は考えるときに、このハンセン教授の方向に正しく指導されて、これと一致した行動は、西においてはマーシヤル・プランに現われておるのであります。我が國が完全雇傭政策をなすためには厖大なる資金資材が要るのでありまして、これがアメリカのハンセン教授の言うところの、アメリカの資本主義経済が円滑なる発展をして行くというこの線と合致するのであります。又合致せしめなければならないと思うものであります。私はこの点につきまして、長く外交の衝に当られた吉田首相の政治力を以てこの問題を解決いたして貰いたいと思うものでありまするが、これに対して首相のお考えを伺いたいのであります。
 次に農林大臣にお尋ねいたします。戰後最も大なる生産能率を発揮いたしまして我が國経済の破局を救い來つたものは農業であると考えるのであります。併しながらこのことは農民諸君の撓まざる努力と困苦によるものでありまして、若しこのまま放置せんか、長年月の戦争の結果、脆弱なる基盤に立つておるところの我が國農業が救うべからざる苦境に立つことは明瞭であります。食糧自給のない國が民族的な自主性を失いまして世界の平和にも寄與し得なかつたことは歴史の証明するところであります。特に世界食糧事情逼迫の今日、他國の援助を求めておる我が國としては、先ず農業に対し万全の策を講ずるのが絶対に必要であると信ずるものであります。我が國今後の農業は、農家個々の自主性を維持しながら、合理的協同組合の組織を根幹といたしまして、その営農方法に徹底的なる科学技術を浸透せしめ、生産量の向上と農村工業の発達を促すことが刻下農政の基本でなければならないと信ずるが、農林大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。更にこれらの目的達成のために、農林漁業最大の隘路でありまするところの金融難打開のため、農林漁業に対しまして特別融資の機関として農林復興金庫のごときものを創設することこそ、経済破局を救つて呉れた農林漁民諸君に対する義務でもあり、又我が國の健全なる食糧自主性確立の根本であると考えるが、農林大臣のこれに対する御意見を伺うものであります。
 第三といたしまして、我が國の食糧不足の一因は蛋白給源の不足にあることは明らかでありまして、これが充足のため食用有蓄農業の急速なる発展及び漁業の振興に一層の努力をなす必要あることは勿論でありますが、更に我が國の面積、資源と人口の関係より考えたときに、蛋白給源の充足には将來人造蛋白にその補給を求むる外ない結果となるのではないかと考える者であります。英米その他の先進國においては、すでに栄養度の高き比較的價格低廉なる製品が市民生活に大なる貢献を來しつつある時代となつております。醗酵工業においては最も惠まれたる氣候風土を持つている我が國において、食糧面を担当する農林省が國策としてこの工業を取上げまして、速かに実行することが適当と思うが、これに対する周東農林大臣の御意見を伺いたいものであります。
 次に建設大臣にお伺いいたします。政府は災害の復旧に対して極力努力すると述べているのでありまするが、今回の予算に計上されました額は僅かに六十億の少額に過ぎないのであります。如何に應急的とはいえ、今日の賃金、物價等よりいたしまして余りにも少額に失し、復旧の目的を達成することは不可能と思うのであります。これらの災害復旧は單なる財力の消耗にはあらずして、來年度におけるところの生産費なるに思いをいたしまして、この際相当の増額をなし、災害復旧に万遺憾なきを望んで止まないものであります。私の計算によれば、最低百二十億程度の復旧費を必要とするのでありまするが、建設大臣は今回計上せられた予算額を以て果して責任ある復旧ができるかどうか、若し不足なりと考える場合においては早急に追加の措置をなす考えがあるかどうか、大臣の見解をお尋ねいたすものであります。
 最後に私は再び吉田首相にお尋ねいたします、世界情勢は、今や個人の自由と幸福追究を基盤としながら公共福祉の増進に寄與せんとする、いわゆる民主主義と、一部少数の指導者によるところの独善的、公式的急進主義の鋭い対立を示しているように私は考えられるのであります。我が國の現況も亦思想、政治、経済において、今やこの対立が逐次顯著なる姿を展開して來ていることは、首相の熟知せられている通りであります私は、敗戰の一大犠牲を拂いまして、今又経済貧困のために営々としているところのこの國民諸君に対しまして再び独裁的にして過激なる一部指導者にその人権を拘束され、その幸福を蹂躙せらるることを永久に防ぐべきであると信ずるものでありまするが、首相のお考えはどうであろうか。又これら急進独裁者に対しましては、過去において誤まつて行いましたごとく、武器を以て、権力を以て、財力を以て対処するがごとき態度は捨てまして、思想に対しては思想を以て、宣傳に対しては眞理を以て、破壊的煽動に対しましては具体的政策を似て対処してこそ、初めて國民諸君の協力を得て、その目的を完全に達し得ると考えるのであります。今やこの重大なる轉機に当りまして、吉田首相の率いるところの與党民自党が社会正義に立脚し、一大勇猛心を起し、首相が任地として長くおられました自由主義発祥の地英國の保守党のごとく、一大前進をすべきであると思うが、これに対する首相の所見を質しまして、私の質問を終るものであります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#20
○國務大重(吉田茂君) 平野君にお答をいたします。
 私が施政の演説を第三國会の初めにおいて、行わなかつた理由は、しばしば私がこの参議院においても述べた通りでありまするが、私の考えによれば、第三國会においては施政の演説をなすべきものでないと考えておつたのであります。第三國会は、御承知のごとく、公務員法を通過する特別な議会であることは、芦田内閣以來明らかにせられたことであり、且つ公務員法の通過については、当時の政府及び與党において十分その必要を了解して、その通過のために特に第三國会は召集せられ、又それまでに公務員法の性質等については議論が盡されておると承知いたしたのであります。私は第三國会において首班の指名を受けましたが、私の考えによれば、当時の指名は我が党としては少数党の内閣である、故に國会の指名があつても、更に信を國民に問うて國民の判断を一層確かめた後に、眞に政府としては政局に立つべきものである、それまでは公務員法、これはすでに研究し盡された問題であり、且つ現下の労働情勢から申して速かに解決しなければならぬ緊急な問題であるから、これを通過することが第一である、この通過のために召集せられた議会においては、我が少数党内閣として、かれこれ施政の方針を述ぶべきものではないのであつて、國民の輿望が眞に我が党内閣を信頼する事実が明らかになつて後、即ち総選挙後において再び國民の指名を受けて、ここに初めて政局に立つべきものであると考えましたから、施政の方針は述べなかつたのであります。これはしばしば繰返したことであります。
 又十五日とか十六日とか申した訳は、同じような意味合で、與党の諸君、即ち当時の與党の諸君は、すでにこの公務員法の性質については十分研究せられたことであつて、私の承知いたしたところでは、直ちにも公務員法は國会を通過するという手筈になつておつたと承知いたしたから、十五日、十六日という期限を要求して成るべく速かな公務員法の通過を希望したわけで、その他に何らの理由はないのでありますが、その後遷延して、御承知の通り、國会の末日まで議事が引延ばされた、私にはそれが何の理由であるかは殆んど分らないのであります。又私の少数党内閣としては、民自党の性格及び現内閣の性格は、すでに國民の了承するところである。平生の発表いたしました声明とが政綱等において國民がよく了承しておることであて、その了承せられた國民に信任を問うということが、先ず第一に我が党としてなすべきことである。これが即ち民主政治の精神に合致するものと私は考えておつたのであります。(拍手)(「少しも実行してはいない」と呼ぶ者あり)
 それから疑獄事件でありまするが、これは内閣組閣のときに一應検察当局その他に問い質したのであります。その確答を得て然る後に人選に著手したのであつて、私としては相当の研究を積むだけの手続をとつたのであります。その後現われた事件のために疑獄事件に引つかかるというのは、これは止むを得ないことである。ただ私の内閣としては、疑獄事件が起つた場合、嫌疑を受けた者がたとえ、それが我が党であろうがなかろうが、檢察当局の公平なる判断によつて処置すべきものでおつて、内閣としては何らの干渉もしない、希望も述べないということが、即ち我が内閣として公正なる態度を採つたのであつて、又公正なる態度というべきものであります。若しこれがたまたま民自党の党員であるが故に、或いは我が内閣の政務次官であるが故に曲庇いたしたならば、これは甚だ不届きなことでありまするが、毫も曲庇しない。検察当局の判断に從つて処置するというところに、私は我が内閣の公正なる処置を國民は了解せられるであろうと思います。(拍手)
 それからハンセン教授云々のお話がありましたが、私はハンセン教授がどういうことを言われたか存じませんが、併し私共の考えとしては、何にしても今日はインフレーシヨンを防止する或いはインフレーシヨンに対して対策を講ずるということが、社会、國家、國民の生活を安定せしむるゆえんで、これからすべての政策は出発すべきものであつて、先ず第一、今日我々の努むべきことは、國民の生活を安定せしめる、即ちインフレーシヨンの防止に先ず努むべきことである。インフレーシヨンの防止というか、対策といえば、一に増産を図り、又経済再建を図り復興を図るということが第一に努むべきものであつて、これによつて思想も自然健全になり、又國民の生活も安定するということを主眼として、経済復興に邁進するつもりであるということはしばしば申述べた通りであります。その他は所管大臣からお答をいたします。(拍手)
   〔國務大臣殖田俊吉君登壇拍手〕
#21
○國務大臣(殖田俊吉君) お答いたします。田中政務次官に関しまする問題は甚だ遺憾なことでありまして、申しわけないことでありまするが、これは檢察の事務を適正に実行いたしました結果、今日までの経過となつて現われたのであります。先日衆議院におきまして私が申述べましたことは、当時の段階におきまして正にあつた通りのことを極く客観的に申述べたのでございます。その後事態に重大な変化を生じましたので、遺憾ながら遂に衆議院に対しまして逮捕の要求をなしたのであります。綱紀粛正の徹底を期しますればこそ断乎としてこの手続に及んだのでございます。田中政務次官は、私の実は法務総裁の就任前にすでに政務次官に就いておられたのでありまするが、現在田中次官に関する容疑と申しますものは、同君の政務次官就任前の問題であることは誠に明白なことでありまして、同君の過去の行動につきまして、私が責任の問題を考える必要はないと考えております。(拍手)(「そんな責任の取り方があるか」と呼ぶ者あり)
   〔國務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
#22
○國務大臣(増田甲子七君) 平野さんの質問にお答え申上げます。行政整理、或いは産業合理化の結果、多数の失業労働者を出すことは必至である。これに対して政府は失業対策を示していないというお言葉でございますが、先般安本長官が施政方針の演説をいたしました際は、適切なる失業対策を行い云々と、極めて抽象的な言葉を使つておるに過ぎないのでございますが、これはまだ閣議として決定的な具体策がないことと、今一つは時間の関係上省略した次第でございまして、政府におきまして決して具体的の詳細に亘る失業対策を持ち合わしていないといんわけではないのでございます。我々は先だつて新聞等にも見えましたが、経済同友会その他では相当の失業対策を持つておるということを言われましたが私あの新聞も拜見いたして見ましたが、例えば会社等で失業者を出す、その際に或る期間給與の半分を政府に納めて、政府では全額を或る期間失業者に給付するというようなことをしてはどうかというような説もございまたが、こういうことも研究はいたしております。それから失業保險のことにつきましても、或いは給付額を、今のところは本俸なり賃金の六割を半年支給するということになつておるが、これを八割支給することとし、更に期間を一年くらい延ばしたらよいではないかと、こういう示唆もございましたが、これも亦我々研究しておるのでございます。私共といたしましては一般的に申しまして一時に多量の失業者を出すようにいたしたくない、漸次配置轉換によつて、受入態勢を作つて、そうして完全失業者の数を徒らに殖やしたくない、而も産業合理化なり行政整理の実を挙げたいと、こう考えておる次第でございます。そこで私の只今私見ではございまするが、そういうような場合には官民合同の、而も経営者諸君や労働者諸君も入れた大規模な失業対策委員会というようなものを作つて労務の需給を調節する必要があると、こう先ず考えております。
 それから將來の展望でございまするが、我々といたしましては、外資の導入も当増額することを期待しておりまするし、又懇請に努めなくてはならんと思つております。更に終戰処理費等は額においては殖えつつありまするけれども、平野さん御承知の通り事業量は漸減の傾向にございまするから、重要物資等は一般民需産業方面に轉換し得ると、こういうふうに考えております。そうすればその方面で相当の雇傭量の増大が予想し得る。更に私共の考えておるところは、民主自由党のかねての政策でありまするが、積極的の受入態勢としての公共土木事業、電源の開発だとか、或いは治山治水だとか、或いは道路の計画だとか、殊に道路計画につきましては最近関係筋から指令も参つておると、こういう状況でございます。而も平野さん御承知のごとく、今や工業生産力は昭和四――八年を一〇〇といたしまして、十月のごときは六六%まで復元しておる。私は將來の展望といたしましては、こういう見地から見ますと、積極的受入態勢としては希望を持ち得る。そう徒らに路頭に失業者を沢山出さなくても産業合理化なり或いは行政整理の実を挙げ得ると、こう思つております。勿論労務の需給関係の、職業安定の事務等は一生懸命努力させるつもりでございます。更にどういたしましても失業者が出るという場合は、先程経済同友会の示唆にもございましたが、この本会議においてももしばしば皆さんに申上げておりまする通り、失業保險資金は今や三十二億ございまして、支出金額は未が一億に過ぎない。金額の点では非常に成功しておる。見込違いという点ではむしろ失敗でございまするが、金は余つておりまするから、失業者が二十万、三十万仮に出て、而も政府がなすところを知らずという状況と仮定いたしましても、二十万、三十万の失業者に対しまして半年間は少くとも本俸の六割というものは支給し得る。そこで同友会の諸君が八割くらいにして、一年くらいに延ばしたらよろしいではないかという説が出て來るのでありまするが、それでも我我は二十万人くらいは当然賄い得ると、こう考えております。要するにそう余り悲観しなくてもよろしい。もとより我々は一生懸命努力するつもりでございまするが、要するに行政整理なり、産業合理化というものは、産業、企業というものが自分の足で立つ、自立態勢を立てるということが絶対必要でございまして、関係方面でも特にそのことを日本経済復興のために我々を助けようとして力説して下すつておるのでございます。失業群が現われました際は、どうか日本の産業の復興のために止むを得ざる一時の手術でございまするから、而も將來の展望は明るいと私共は見ておりまするから、官民各位の全面的な絶大なる御協力をお願い申上げる次第でございます。(拍手)
   〔國務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#23
○國務大臣(周東英雄君) 平野さんにお答え申します。
 第一点は、食糧の官給なき國は立たないから、いつまでも外國に依存することを止めて、土地改良等の増産政策を採ると共に、協同組合を中心として施策する意思があるかないかという御意見だつたと思います。全くお話の通りでありまして、政府におきましても、これに対しましては、折角農地改革によつてできました自作自営農家を中心といたしまして、一面には農業の基本となるべき土地につきましても、土地改良を中心に、或いは適地における開墾、干拓というようなものを増加いたしまして増産を図りますると共に、お話のように農家経済の安定という立場から見まして、協同組合を中心にいろいろの施策をしたいと思います。お話のように、これらについて將來多角経営ということが問題になりまするが、その一面におきまして農家の生産物に対する加工、これは農産加工、畜産加工等もございまするが、同時に輸出向加工工業を農村工業として協同組合を中心として起させるという方向に向つて考えて、施設をいたしておる次第であります。殊にお話の点の科学技術を農業に取入れるというお話については全く同感であります。現在政府におきましては、農業改良局を中心としてこれらの施策について万全を期して計画をいたしておる最中であります。第二の点は、今後の食糧政策として、どうしても澱粉質食糧ばかりに片寄るとはいけない、蛋白給源を大いに増加して行くことがよろしいが、それについて水産畜産を獎励することも尤もあるが、微生物の研究によつて人工蛋白質を増加したらどうかという御意見であつたと思います。これは全く同感でありまして、現在政府においては、すでにこの「かび」を中心としての研究を今始めております。これは御指摘の点は食糧でありましたが、同時に食糧の元を成す飼料に関して、同様に食糧、飼料を通じて「かび」の研究については政府は総合的に今研究を始めておる次第であります。第三の農林漁業に関する振興に対して、金融の問題についてのお尋ねであります。これは今日一番遅れておりますものが農林漁業に対する金融の問題であります。從いまして政府におきましては、昨年及び今年通りました農業協同組合法或いは漁業組合法等を活用いたしまして、その総合金融による自己資金によつての活動と、これに対して何と申しましても、この繋ぎと申しますか、必要資金の融通をなすべき機関が必要であると思います。目下のところ中央金庫等を活用いたしておりまするが、將來の問題として、長期、中興短期の資金の元をどうするかということについて、お尋ねの農林復興金庫等の設立については金融制度の問題と睨み合せて目下鋭意研究をいたしておる最中であります。(拍手)
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#24
○國務大臣(泉山三六君) 平野議員にお答え申上げます。
 私に対しまするお尋ねは、統制の撤廃或いは又自由経済への移行のごとき表現は、徒らに我が國家経済の苦しい現況において國民の前に誤解を招き、徒らに樂観せしむるのではないか、かようのお尋ねであつたようでございまするが、御指摘の点につきましては、その所見におきまして、むしろ政府とこれを異にするのでございまして、政府におきましては、むしろ國民に今日その光明を與えまして、如何にして愛國的熱情を結集し、日本の経済の復興に熱心に協力せしむるかということこそ政治の要諦であると考えるのでございまして、徒らなる樂観を求むるものではもとよりないのでありまするが、又濫りに耐乏を求むるものでもないのであります。私のたびたび用いまし表現におまして、或いは幅のある財政を唱え、又は弾力に富む金融を口にし、而して周統制につきましては明るい統制と自由な活動とをモツトーといたすものでございまするが、その意図しますところは、むしろ國民にその企業意欲を高揚せしめ、企業の自由性経済性を高揚せんがための意図に外ならないのでございます。かようの意味合におきまして、統制の撤廃は本内閣におきましての在野当時よりの年來の方針といたしまして、直ちにその具体案に着手をいたした次第であります。統制撤廃の具体的物資並びにその数量等につきましてのお尋ねがございましたが、これは取調べをいたしまして、具体的にお答を申上げたいと思うのであります。
 尚ここで一言附言いたしたいと思いまする点は、物資統制の撤廃は單に物資的だけの問題ではございませず、或いは金融の面におきましても、從來嵌められましたその枠が余りに嚴に過ぐるものあるときは、これを多少緩かにするのに吝かでないのでございまして、かようの意味合におきまして、今日金融上におきまして、銀行の資金融通の面におきまして、いわゆる融資準則におきまして種々拘束があるのでありまするが、この点にも尚改善の余地のあることを認めまして、政府におきましては、今回凡そ百五十四業種につきまして從來より各一段階を引上げたのであります。即ち從來乙種のものを甲に、或いは丙のものを乙にこれを格上げいたしたような次第であります。以上お答を申上げます。(拍手)
   〔國務大臣益谷秀次君登壇、拍手〕
#25
○國務大臣(益谷秀次君) 平野君の御質問にお答えいたします。
 近年頻発いたしまする水害につきましては、経済再建の上から眞に遺憾に存ずる次第であります。一日も速かに復旧いたさなければならんことは当然であります。本年の水害に対しましては、御承知の通り蚕業事業費中の支出及び事業資金の融資という処置を講じまして、應急措置といたして参つたのであります。而して緊急を要する地方に対して施工をいたして参りましたのであります。今回補正予算といたしまして、六十億の災害復旧費を御審議を願つておるのでありますがこの六十億ではもとより十分とは申上ぐることはできません。私共もこれで満足いたしておる訳合のものではございません。併しながら私共といたしましては、大体出水期を明年の七月を目標といたして、今回の予算が御協賛が得られまするならば、緊急を要するところの地点を選びまして、その應急措置を講じて行きたいと思うのであります。從つて國家の財政が許すならば、相当金額を予算化いたして、そうして災害復旧に遺憾なきを期したいと存じておる次第であります。ただ災害復旧地の荒廃したる現状を見まして、國家の財政に思いをいたしますると、建設行政を担当いたしまするところの責任の極めて重大なるを痛感いたしておるのであります。でき得る限り、國家の財政の許す限りこの金額を速かに予算化いたして、復旧を一日も早く完成いたしたいと念願しておる次第であります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#26
○國務大臣(吉田茂君) 一松君の御質問にお答えをいたします。昨日は公務のため欠席いたしたために、直接に御意見を伺うことができませんでしたが、第一の御質問は、最近の疑獄事件等にも鑑みて、統制経済の行き方について根本的に考え直す必要がないかということと承知いたしますが、これは只今大藏大臣から答弁もありました通り、政府としてはその不必要な統制は撤廃するに努めると共に、その統制の実施の方法その他については特に政府としては研究をいたしておることは、只今大藏大臣の説明の通りであります。第二は、民主義の建立には自主的精神が必要であつて、主張は主張、意見は意見として十分に述ぶべきであるという御質問と承知いたすのでありますが、これは御趣旨御尤もであります。政府としても主張すべきことはこれまでも十分主張しており、又今後も主張いたすつもりでおります。
 ただここに一言申さなければならないことは、日本政府としては、今日は連合國の占領の下にあるので、政府としては占領政策に反しないことは勿論のことでありまするが、占領軍として始終考えておることは、決して日本を破壊するというのではなくて、日本を盛り立てて行きたい、日本の復興を助けて行きたいというその精神、趣意は甚だ明瞭であるのでありまするから、單に條約上の義務として消極的に協力するのみならず、進んで進駐軍の政策に努めて協力をし、その実行を容易ならしむるということによつて、一層日本に対する同情、日本に対する好意によつて、日本の復興を速かならしめる方がいいという氣持で、常に占領政策に対して善処いたしておるつもりであります。この点は御了承を願いたいと思います。第三には、思想の混乱は経済の不安定に基くものであるから、経済問題の解決が何よりも大切である、今後経済政策について明朗な社会を現出するために諸般の具体案を立てるように、この点も、御同感であります。先程申した通り、思想の混乱、経済の不安定ということは、畢竟するに敗戰の後を受けて一時混乱状態に陷り、又インフレーシヨンのために社会生活が甚だ不安になつておる現状から申して、政府の今後施すべき経済政策については御趣旨に副うように努めて善処いたしたいと考えております。一應御答弁いたします。(拍手)
#27
○議長(松平恒雄君) 小野哲君。
   〔小野哲君登壇、拍手〕
#28
○小野哲君 先ず第一に、我が國経済復興計画の樹立に関する現内閣の基本的態度について伺いたいと存じます。我が國の経済復興が如何なる形において、又如何なる内容を以て計画されつつあるかということにつきましては、國民ひとしく関心を寄せ、多大の期待をかけておりますことは多言を要しないところでございます。特に我が國が置かれておる内外の情勢は、文字通り誠に微妙でありまして、この間に処して速かに経済復興計画を樹立し、内においては國民の復興に対する熱意を高揚し、外に対しては連合諸國の協力援助を要請する機会を積極的に捉えることは、現内閣の担当する重大な任務の一つと申すべきでございましよう。吉田総理はその演説の中において、我が國の経済の復興が世界の繁栄増進の一環を成すことを列國が承認するようにならなければならないと強調し、國民特に勤労者に対して、我が國再建復興に愛國的情熱を持つて協力するよう要望されておるのであります。又泉山長官は、経済復興計画の立案を急がれておるが、この目標として、國際收支の均衡を確保し、國民経済を自立せしめるためには、我が國の置かれている内外の情勢から異常の努力を要する旨を述べられておるのであります。本年五月、経済復興計画委員会が設置されて以來、多数の人手をかけ又七箇月の時日を費しているにも拘わらず、今日尚成案を得るに至らないことは、この事業が如何に困難であるかを物語つておると思うのであります。立案の衝に当つておる関係者の異常の努力に対しては深く感謝いたすものでありますが、一日も速かに成案を得て、これを國民の前に発表されることを切望して止みません。併しながらその立案過程において、人口推計の増大、或いは又安定と再建の矛盾、輸出振興の見通し難、労働生産性同上の困難等、幾多の問題に制約せられて、計画策定を困難にいたしておりますことは、察するに難くないのであります。内外における悪條件の下に、これらの問題の解決の見通しを付けつつ我が國復興への大道を打ち開くことは、未だ曾て経験しない偉大なる國民的努力が要請せられておることと存ずるのであります。経済復興計画委員会としての基本方針は、現在活溌に檢討を加えられつつあり、総司令部よりフアイン博士を團長とする使節團が米國に派遣され陸軍省当局と打合せ中であると報道されておるのみならず、経済復興計画の初年度たる昭和二十四年度はすでに目前に迫り、而も初年度の一計画は、実施計画的性格を與えることが強く要請されておることに鑑みましても、政府としてはその政策の上に具体化すべき任務を持つことに思いをいたすときに、現段階に処するために、政府は泉山長官の言われるごとく異常な努力を傾けるべき時機に直面していると思うのであります。政府は経済復興計画の樹立に対し如何なる措置を探るつもりであるか、政府の基本的態度を明らかにお示しが願いたいのであります。計画樹立の困難なる諸事情に関しましても卒直に國民に公表し、その理解と努力とを要望すべきであろうと思うのであります。特に経済復興計画初年度である昭和二十四年度計画は二十四年度予算編成方針と表裏一体をなさなければ、経済復興計画の実施計画的色彩を薄め、その價値を失うに至ると考えるのでありますが予算編成の責任を持ち計画の執行に当る政府においては、如何なる方針で予算の編成をされるおつもりであるか、御所見を承わりたいと思うのであります。更に吉田総理は、我が國経済復興は列國が承認するものであるべきことを述べられているのでありますが、この目的を速かに達成いたしますためには、我が團の経済復興の速度を高めることが前提でなければなりません。併しながら現下の情勢から考えますときには、我々が希望するように復興のテンポは容易に早められるとは思われないのでありまして、経済復興計画の初期において相当多額のガリオア・フアンド、その他の援助外資の供與を懇請し、経済復興計画の早期実施に資することが望ましく、これと並行して、吉田総理が答弁されているごとくに、講和條約締結に先行する何らかの取決めが行われることを熱望するものでありまして極めて重大な時期に当り、政府の不断の努力を期待すると共に、國際経済に参加し、十分な活動をなし得るためには、思想、経済、政治等の各部門、特に経済に重点を置いて、國際的に活躍し得る人材を把握することのために、國際機関の整備を図る要があると考えております。取分け政府機関たる外務省の運営に関しては旧來の慣例を打破し、新らしい構想の下に再檢討を行い、刷新整備をする必要があると思うのでありますが、政府は如何なる構想並びに準備を持つておらるるか、伺いたいのであります。以上の諸点について吉田総理及び泉山長官の御答弁を煩わしたいと存じます。
 第二に行政整理についてでありますが、この点につきましては、すでに同僚議員からも質問がありましたので、私は一言、かかる重要なる問題を実施されるにつきましては、政府は余程強い決意と政治力とを持つておらなければならない。然らざればぺーパー・プランに終り、公約を果すことができない憂いがある。この点に関して政府の格段なる御留意を促すに止めて、この質問は省略いたしたいと存じます。
 第三点は、海陸輸送力増強施策に関しまして、海運、鉄道、自動車及び道路について伺いたいと存じます。本年六月、本院において輸送力増強に関する決議を行い、政府に対し諸施策の実行を強く要求いたしたのであります。併しながら未だ満足すべき成果を挙げるに至つていないことは誠に遺憾に思います。先ず海運について伺いたい。泉山長官は経済再建の目標として、國際收支の均衡の確保を挙げられております。これが対策はいろいろ考えられるのでありまするが、海運收入に待たなければならん部分が多いということは、過去の実績に徴するも極めて明白であります。戰前、我が國の國際收支のバランスは主として海運運賃及び保險料金で賄つて來たのであります。戰後、國際收支のバランスは非常に逆調となつて、日本経済の自立を達成するために、我が國國際收支の不均衡を是正する方策の確立が極めて必要であります。ところが戰後我が國の貿易尻は遺憾ながら著しい入超を示し、而も年年急増する傾向にあります。政府がこれに対処して探ろうとしておりまする諸般の輸出振興策は極めて重要であると思うのでありますが、輸出産業の実態と不安定な東亞市場の現状に鑑み、今直ちにこれに大きな期待をかけにくいのであります。よつて貿易面における赤字の大部分は戰前の我が國におけると同樣、海運運賃と海上保險を中心とする貿易外收入によつてこれを補償する外に方法がないのであります。これは日本経済の産業構成から由來する必然の帰結であろうと存じます。從つて保有艦腹の増強を図ると共に、先ず本邦船の外國航路配船を許可して貰い、通商航海條約が成立していると同樣の待遇を本邦船に與えて貰うことが必要であります。
   〔議長退席、副議長著席〕
 併し現在本邦船は総ざらいいたしましても、百七十九万トンに過ぎないのでありまして、そのうち遠洋配船への適船は限られており、又大型船の建造にも鋼材記資金事情等から早急には大きな期待はかけられないのでありまするから、その不足分は外國船の裸傭船によらなければなりません。勿論外國船は現在余剰船腹を持つている米國から、そのリバテイ船その他をクレジツトにより貸與せられる外はないのでありますが、その実現のためには船舶回轉基金の設定を懇請することが最も捷径であると存じます。而も船舶回轉基金は、その回轉率の早いこと、外貨取得率の高いこと、外貨取得の、確実なこと等の諸点において、棉花等の回轉基金よりは遙かに効率の高いものであるのであります。日本経済の自立のためには外貨建て海運收入が不可欠であることは、ストライク報告、ジヨンストン報告にも明示されており、ドレーパー陸軍次官は再三繰返しての点を述べておられるのであります。米國内一部には反対意見もあるようでありますが、日本の自立、從つて米國納税者の負担軽減という大局的見地からいたしますならば、米國の輿論はリバテイ型を我が國に貸與することに傾きつつあるものと私は存ずるのであります。次に保險に関しましては、本邦保險会社のために司令部貿易資金の利用を懇請し、これにより外貨建て海上保險を再開させることができれば、外貨獲得に資することができるわけでありまして、かくして國際收支の赤字を克服して、経済自立のための基礎を確立し、以て一日も早く米國の納税者の負担を軽減することが我が國に課せられた最大の責務であると信じます。敍上の目的を達成するため、海運再建に関する政府の所信及び計画を承わりたい。又造船資材、特に鋼材の來年度以降の見通し及び対策はどうなつているか。更に優秀船を建造する素地を堅実に培養するためには、総合技術研究機関等の設置をするにあらざれば、將來國際競爭の落伍者となることは必然であると思いますが、政府の所見を伺いたい。
 第二は、定期傭船への切替えについてであります。海運の民営還元はすでに一致した輿論であります。連合軍の好意によつて制限附ながら一部許容され、十二月以降実施の予定を以て準備されて來たのでありますが、未だその実現を見ないのは如何なる理由によるのか。関係業者の受入態勢の不備によるのか、又は政府の準備に欠くるところがあるのか、現在におけるところの切替準備状況及び將來完全なる民営還元並びにその運営方式に対する政府の用意を承わりたい。次に港湾施設の復旧整備について伺いたいのであります。港湾諸施設の復旧整備の遅延は輸送力増強に重大なるマイナスとなつております。貿易復旧に伴い一層その欠陥を指摘せざるを得ないのであります。港湾の修築及びこれが運営は運輸計画の上から一元的に遂行する要があると思うのでありますが、政府は港湾法のごときを制定する等、港湾経営の合理化を図る意図があるかどうか、この点政府の所見を伺いたいのであります。
 次に特に質問いたしたいことは最近における海員の爭議についてであります。すでに去る十一月二十九、三十両日に亘り二十四時間の出航拒否のストライキ行爲に出で、更に十二月四日午前零時を期して五日間、百二十時間の第二次出航拒否の挙に出ておるのでありまして、海員組合側の第二次スト最終日の八日の発表によりますれば、参加船舶五百五十三隻、関係港湾五十一港でありまして、更に昨日の新聞の報ずるところにまりますれば、明十一日より更に七十二時間の第三次ストに入る旨を組合側では通告したということであります。これがため沿岸の國内物資輸送は停頓し、月間百二十万トンといたしましても一旦平均四万トン、而もその半ばは石炭でありますが、すでに一週間に亘る停船によつて二十八万トンの輸送遅延を惹起しておるのであります。この結果は一日上三千万円の損失を生ずるばかりでなく、更に進んでは列車運轉の削減、ガス、肥料等の生産減は勿論、熔鉱爐、コークス爐等にも重大な支障を生ずる虞れがあると思うのでありますが、今や一日も遷延を許さず、この際、海員諸君の協力を願うと共に、政府は速かに予算的措置その他早期解決を図るため緊急万全の方法を採り、以て冬季海上輸送繁忙期における海上輸送を復元し、経済復興に対する障碍を除去すべきであると思うが、今次海員爭議の経過並びに緊急措置に関する政府の説明を求めます。
 次に鉄道について質問をいたしたい。本年度一億三千万トン計画は、近來実績の見るべきものあるは同慶に耐えないのであるけれども、経営は依然として尚赤字続きであります。然るにに國有鉄道は明年四月一日より公共企業体として経営されることになつたことは御承知の通りであります。鉄道は一面経済事業であり、この点においては私経済の一般原則に準拠すべきものであると共に、他面において國民共同経済に重大な関係を有する公共機関でありますので、公共の利益を擁護すべき國家的責任を持つておるのであります。故に公共利益の保護と企業自体の存立確保との調和が改組の指標でなければなりません。即ち公共企業体に改組することにより、これに自主性を與え、独立採算制を援用して、能率的、機動的運営を行わしめ、その職員にも民間の企業体におけるような國体参交渉権を認める等、從來の純然たる官職経営の欠点を除表し、経済事業たるの特質を生かすにあると信ずるのであります。日本國有鉄道法は右の目的を達成するためには尚幾多の欠陷があり、速かにこれを補正して公共企業体としての正常な運営を行い、國民の要望に副わなければならないと存じます。國有鉄道運営の自主化、能率化を実現するため、人事、業務、財務の各般に亘る管理制度を整備する必要があると思うが、政府自体としてはこれに対して如何なる用意を持つておられるか。運輸大臣及び会計及び財務に関しては大藏大臣の所信を承わりたい。
 更に自動車に関してお尋ねをいたしたいと存じます。本年度自動車輸送計画は、トラツク一億六千万一トン、バス十六億人と決定しておるのであります。然るにタイヤ、燃料その他資材の不足のため、輸送力は減退の一途を辿り、貨物についてはトラツクに依存する物資の滯貨は約一千万トンと称され、仮に一トン平均一万円として約一千億円の物資がトラツクを待つておる実情であります。殊にタイヤの不足は由々しい問題でありまして、政府は昨年八月十五日閣議において自動車タイヤ緊急増産に関する件を決定し、その冒頭に「今にしてタイヤの緊急増産を図り、小運送力の確保に努めない限り、経済危機突破も輸送の面より重大な破綻を來す虞れがある」と率直に認めておるのであります。政府は閣議決定により、自動車タイヤの対策措置として各責任官職を指定して増産対策を立てたのでありますが、殆んど空文にひとしく、実績として見るべきものがないことは誠に遺憾であります。かくては閣議決定に対する國民の信頼を失う結果となることは火を見るより明らかでありまして、特に現内閣に対してこの点については注意を喚起したいと思うのであります。本年五月十八日策定されました輸送計画に関しましても、タイヤの不足を認め、輸送に対する、施策と資材の確保方策を明示しておるのでありますが、満足するだけの成果を得ておらない。タイヤの増産は生ゴムの輸入増加の懇請の措置を採る外、タイヤ産業については特段の措置を探らなければならんと思うのでありますが、同時に特に生産されたタイヤの配給については、これを自動車運送の主務官廳である運輸省において一元的に担当せしめ、その責任の所在を明らかにいたしますと共に、実情に即した行政事務の遂行を可能ならしめる要があると思うのでありまするが、政府はタイヤ対策に関し如何なる措置を採つて來たか、又配給官廳の一元化に関して如何なる方策を用意しておられるか、泉山長官の御答弁を煩わしたいのであります。
 次に、自動車と密接な関連のある道路の整備について承わりたい。最近政府に対して道路の維持修繕に関する計画につき関係方面より指示があつた由を聞いて滯るのでありますが、如何なる計画を立てておられるか、建設大臣の御所信を承わりたいのであります。又政府は新たにガソリン税の創設を研究中とのことでありますが、本税は如何なる目的を持つておるか。巷間傳えられておるごとく、取引高税の廃止に伴う代り財源その他一般財源に充当するものとするならば、実情を無視し、ガソリン税創設の眞の目的を全然没却するものでありまして、関係当局の反省を促したいのであります。特に輸送力増強の重要な一環として道路整備計画が探り上げられた今日、道路の維持補修は、自動車用資材、殊にタイヤの消費、即ちタイヤの耐用命数の延長をもたらすものとして多大の関心を寄すべき問題でありますが現在の自動車使用者は、むしろ道路のための被害者であつて受益者ではありません。最近の東京新聞の社説において、道路が改善された後の受益者によつて支拂われるべきものが被害者によつて支拂われる論理はあり得ないことを指摘いたしておりますことは、十分示唆に富むものとして、政府においても参考とすべき資料ではなかろうかと思うのであります。自動車輸送の経済復興上重大な使命を有するものなるに深く鑑みまして、併せて國民の共有財産である道路の整備が輸送力の増強に対して多大の貢献をなすことに思いをいたし、ガソリン税の創設に関しましては、敍上の趣旨を採り入れると共に、自動車使用者負担の加重を軽減し、負担の公平を期するため、多岐に亘る自動車に関する税制を整理するの外、本税をして道路維持修理を目的とする目的税たる性格を明確にする等、ガソリン税を創設するに当つては尚幾多の問題につき解決を図るに非ざれば、俄かに実施をいたしますことは適当でないと考えるが、政府の見解は如何でありますか。これに対する大藏大臣の御答弁を願いたいと存じます。吉田総理は、第一次吉田内閣の総理として、進駐軍用トラツクの拂下げにつきましては、みずから率先してなみなみならぬ努力を拂われたと聞いておるのでございますが、これに対しましては心から感謝をいたし、且つ敬意を表しておる次第であるが、輸送の弱体が生産活動を制約しておる現状に鑑み、これが増強に関するあらゆる施策を講ぜらるることに多大の期待を持つておるものでありまするが、この際これら輸送力増強関係施策を遂行するについての吉田総理の御決意を承わつて置きたいと存ずるのであります。
 最後に、観光事業は海運收入と相俟つてその振興は見えざる輸出として外貨獲得に関する重要使命を持つておるのであります。欧洲各國は第二次世界大戰後、今や観光事業の振興に対して懸命の努力を傾倒いたしておるのでありまするが、現内閣は果して観光事業を重要なる國策の一つとして採り上げる御意思があるかどうか。これがため現在設置されておりまする観光審議会を更に強化いたしまして、実施官職に対する指示をいたす権能をも與える措置を講じ、又当審議会の報告中に盛られてきたいろいろの施設計画に関しましては、これを経済復興計画に組み込むお考えがあるかどうか、適切なる御答弁をお願いいたす次第であります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#29
○國務大臣(吉田茂君) 小野君の御質問に対してお答をいたします。外務大臣の所管
事項といたしまして、暫定講和條約締結のためにする国際機関、殊に外務省の運営刷新について見解は如何というお尋ねでございますが、終戰後外務省の機構は非常に縮小いたしまして、約三分の一以下の人員を以て只今外務省は運営をいたしております。そうして他面には外交官研修所というものを設けまして新らしい人材の養成に努め、又その養成のために先任外交官がその経験知識等によつて、指導することに頗る努力をいたしております。
   〔副議長退席、議長著席〕
 又新らしく外務省に入つた若い人の中には、相当成績の良い人もありまするから、私どもとしては將來の外交刷新にはこの研修所が相当役立ちはしないか、又役立つようにと希望をいたしておるのであります。又現在の外務省としては、民間貿易の再開とか、或いは又ドル区域以外に、英貨区域との間の連結通商等については、いろいろ関係筋と相談をいたして、その通商を便利ならしむるようにいたしております。相当成績も挙げておるように考えられます。或いは一部民間の貿易業者が海外渡航を許されておりますし、又外囲のバイヤーなども相当参つており、又日本に投資したいという資本家も絶えず日本の実情を視察に参つております。これらの貿易業者、或いは観察、投資を希望する人たちに対しては、外務省として相当の便宜を與え、又説明に相当の努力をいたしておりまして、成績も多少見るべきものがあると私は考えて喜んでおるようなわけであります。又過日この國会において協賛を経ました万国郵便條約とか或いは万国電氣通信條約とかいうようなものに加盟をいたしましたことも、將來に処する、或いは現在の必要に処する処置の一端であると御了承を願いたいと思います。
 それから観光事業のお話でありますが、これは政府といたしましても、私といたしましても、日本の経済復興のためにも必要欠くべからざることであり、且つ例えばホテルの設備であるとか、或いは現在の道路の改善であるとか、これは單に我々日本人のみならず、外國の船会社とか、或いはホテル業者とかいうようなものも相当に注意をいたして、日本の投資方法等について考えておりまするが、何分未だ爲替レートも決まらないとか、或いは講和條約ができないために日本の投資が自由でないとか、いろいろな困難な條件に制約いたされて、十分に実現はいたしておりませんが、併し何とかして日本の観光事業を発達させたいということは、單に日本のみならず、汽船会社その他の利益から考えて見て日本の道路交通なり、或いはホテルの設備であるとか、或いは又外國との間の通信を容易ならしめるとか、或いは航空事業等も発達させて、そうして日本に心持よく旅行もでき、又日本において心よく滯在もできるということを考えておる外國の投資家も相当ありますから、爲替レート或いはその他日本の投資について一層自由になわましたならば、観光事業に対しても相当外國側からも日本に援助を與えるようなことになりはしないか。これは多少希望も加えての話でありまするけれども、話は日々進みつつあるのでございますということを御報告申上げます。その他については主管大臣から‥‥。
   〔小野哲君「輸送力増強施策の遂行についての御決意を承わりたい」と述ぶ〕
 輸送力の増強については、やはり外國の資本化が日本の廣軌鉄道であるとか、或いは電氣事業の発達等について、投資の目的もありましようが、日本の復興のために相当研究をいたしておる事業家も現に参つており、又中央において私の面接いたしたところでも数人の者が参つております。これも今申したような困難な條件に制約せられて実現はいたしておりませんが、併し近く実現し得やしないか、又鉄道当局等において資材等の関係がもう少し自由になれば、今の鉄道交通等の設備も改善ができやしないか、改善いたさなければならんと考えて、関係筋にもその輸入等について相談をいたしております。一應お答をいたします。(拍手)
   〔國務大臣小澤佐重喜君登壇、拍手〕
#30
○國務大臣(小澤佐重喜君) 小野議員の御質疑中、私の所管に属する分を御答弁申上げます。
 先ず第一に、日本海運の再建問題でありまするが、日本海運の再建が我が國の貿易振興に、或いは國際收支のバランスに、日本経済再建に重大な影響のあることはお話の通りであります。從いまして、この日本海運の再建ということは、政府にとりましては重大中の重大の問題でありまするが、先ずこれを船舶問題について考えて見まするに、御承知の通り現在の日本海運における船舶はいわゆる戰標船或いは老朽船でありまして、完全な機能を持つ船舶は一隻もないような状況に置かれてあるのであります。從つて、今後國際関係の回復とか或いは貿易の振興という点になりまするというと、現在のままでは到底この日本の海運の再建ということは困難であるのであります。從つて政府の方におきましても、これが準備態勢を整備いたすため、先ず本年度におきましては約十六万トンの造船計画を立てまして、着々これが実施に当つておりまするが、只今のところでは極めて順調でありまして、当初年度計画通りこの造船が実行される見通しが付いているのであります。更に來年度におきましては大体二十万トンの船舶造船計画を立てようとして、今関係方面と頻りに折衝中であるのであります。尚その後の年度におきましては、お話のような経済復興五箇年計画に十分運輸省の主張を織り込みまして、よつて以て日本船舶増強に邁進をいたしたいと存じている次第であります。殊に小野さんからも御注意がありましたが、こうした計画を実行する場合において、果してこの鋼材即ち資材の見通しがどれ程付いているかという御質疑でありまするがこれは率直に申上げまするならば殆んど困難であります。併し私共といたしましては、この困難だという客観情勢を我々の努力と熱意によつて切り拔けて何とかこの目標を達成いたしたいと考えております。更に造船技術の問題についてお話がごさいましたが、成る程戰爭中におきまして我が國の造船技術が非常に退化いたしております。從つて現在のような状態におきましては到底優秀な機能の艦船を造るということは困難でございます。お話のように総合技術研究機関等を設置いたしたいという考えから、現在ございまする艦船試驗所のような小さな規模を大きく改めて、よつて以てお話の線に副うことを具体的に実施したいと考えているような次第であります。更に海運再建に関する大きな問題は、言うまでもなく日本の海運が民営に還元するという姿であるのであります。民営還元というものを我々は先ず日本再建の大きな要件の一つとして考えておりまするが、今諸般の情勢が直ちにこれを実施するような状態になつておらんことは小野さんも御承知の通りでありまするが、ただこれに進む一つの段階といたしまして從來の船舶運営会の運営の形を大きく変更いたしまして、定期傭船、これに切替えるということによつて民営還元が一歩前進するものではないかと考えております。從つて政府といたしましても、本年度只今御審議を願つておりまする追加予算に大体二十三億程度の予算を計上いたしまして、以てこの定期傭船の切替を速かに、少くとも今年度中に実施しようという考えを持つておりましたが、財政上の事情が許しませんので、遂にこれに上程をすることができなかつたのでございましたけれども、運輸省といたしましては、この財政問題は別に何らか船主の諸君と話合いを付けて、そうしてこの定期傭船というものを少くとも明年一月中あたりには実施したいということを考え、着々その方に向つているような次第であります。
 それから日本海運再建に関するもう一つの要件は、やはりお話のように港湾の修築、これに関する運営、或いは運輸計画上の一元化等が重要な点と数えられるのであります。この問題につきましては、從來これに関する行政措置が非常に断片的な法律で制約を受けておりまする関係上、出先機関等におきましても必要以上の摩擦等が起きまして、何とかこれを統一した法制の下に整備して、こうした運営或いは計画を実施したいと考えておりまして、やはりお話のように、港湾法というような統一された法制の下にこの行政が行われることが望ましいという見地の下に現在運輸省ではこれを立案いたすべく着々準備を進めておりまするから、やがてこれが具体化されまして國会において御審議を願う時期が近きにありと考えておるような次第であります。
 更に進みまして、海員爭議の問題でございまするが、お話のように、現在海員爭議が継続されておるということは誠に遺憾至極と考えておるものであります。即ち先月の二十四日に海員組合の代表者が運輸大臣に宣言を付けまして、十一月の一十九日から一齊にストライキに入ると言うことの宣告をして参つたのであります。その理由とするところは、一つは六月以降十月までの現行賃金の三割増を即時現金化しろということが一項目でありまするし、その第二の要求は、本年の二月運営会との團体協約によりまして決定された退職金規程の認可を運輸大臣が至急にやるべしという問題でありまして、いずれもこれは前内閣当時の問題でありましたけれども、現政府といたしましてもこれが速かな解決を念願いたしておかまして、着々この二項目に亘る実現方を協力して参つたのであります。即ち政府といたしましては、この金額は前内閣がすでに承認いたしておるものでありまするから、これを現金化することによつてこの爭議を未然に防ごうと考えまして、そうして大藏省とも交渉し、現在御審議を願つておりまする船舶運営会の二十五億の中の五億というものはこの要求に充てられる金額であるのであります。從いまして予算が國会の審議が終つて成立をいたしますれば、直ちにこの要求に感ずる用意があるのでございましたので、私は二十八日の日に、少くとも來月の十日には必ず皆さんの要求通り現金で拂うことができるのであつて、而も國会に出す予定になつておるのであるから、忍んで十日間だけ待つて呉れないかと、ねんごろに組合の代表に申上げましたけれども、今まで政府はそういう約束をしてもなかなか実行できないからというので、遂に爭議に入つたような次第であるのであります。從いましてこの要求を表面上から解釈いたしますれば、この追加予算が成立することによつて直ちに要求は充たされるものでありまするけれども更に現をこれに伴いまして問題になつておるのは、かねて船員からの要求にありました九耳から來年の三月分の増額問題でありまするが、この問題につきましても政府といたしましては、爭議の中心問題ではございませんが、当然官公吏の給與ベースの変更によつて海員諸君に対する給與も変更されるということを前提にいろいろ現在折衝し、更にこれを予算化する方面に向つております。從いまして、すでにこの爭議の中心となりました三割増しの現金化は只今申上げた通りで、予算が成立すると同時に支拂が可能であり、又更に一歩進めまして、第二の要求でありました、いわゆる五千三百円賃金にふさわしい賃金の増額の問題も、予算的措置も講じまして正式に組合側と折衝中であります。從つて今明日中には恐らくこの問題は、円満に解決するという見通しを持つておりますから、さよう御了承を願いたいのであります。
 更に日本國有鉄道の運営問題でございまするが、これは御承知の通り、先だつて御審議を願いました日本國有鉄道法の目的は、專らこの國有鉄道の自主化或いは能率化を主眼として立法されたものでありますけれども、甚だ遺憾なことには、必ずしもこうした線に向うような條項が整備されてなかつたのであります。そこで我々といたしましては、できるだけ運営の面において、この目的を達しようというような考えを以て着々その準備を進めておるのであります。即ち人事等の問題につきましては、御承知のように、幸いこの法律に伴うところの從業員諸君は國家公務員法の適用の除外になりまするので、この点、人事の件につきましては國有鉄道特別の立場から人事を管理運営いたしまして、そうして本來の目的に副うような方法を講じながら、御希望に副うような趣旨に進んで行きたいと考えております。業務の問題につきましては、法律が実施されまして、この法人の総裁になるいわゆる人物を嚴選して、この日本國有鉄道の運営に当るにふさわしい人物が出ることによつて、何とか業務の監理制度の整備という方向に向うようになることができるのじやないかと思うのであります。更に会計財務に関する問題でありまするが、この問題はすでに同法の三十六條にも規定してありまする通り、別な法律で極力自主的な或いは能率的な運営のできるような会計制度を制定する順序になつておりまするので、政府はその法案を極力急ぎまして整備をし、成案を得まして國会の御審議を願う予定になつておるような順序であります。
 それから、これは私に対する質問ではないように思われましたけれども、一應関係がありますからお答を申しておきまするが、自動車の輸送の滯貨の問題は誠に遺憾なんでありまして、この問題に関する隘路は、お話のように大体タイヤの配給制度が運輸省と商工省との共管というような形になつておりまするので、ややもすれば御期待に副うように配給ができないというような現状にあることは、特に運輸省といたしましても十分了承いたしましたので、何とかこれを一元化して、そうして需要者の希望に充つるような方法を講じてはどうかというので、たびたび折衝いたしておりますのですが、まだ事務的には解決付きませんので、やがて話の工合によりましては政治問題として採り上げて、大きく期待に副うような線に進みたいと思つております。
 それから観光事業の問題でありまするが、この観光事業の所管も各省に跨がつておりまするが、主として運輸省関係でありまするので、これはどこの省に含んでおるというようなことは別問題といたしまして、運輸省はこの問題を大きく擦り上げて、極力その方向に向つて推進しております。例えば先般の特別寝台車の新設というようなことも、結局は観光事業の一環として進んでおるような状態でありまして、尚この観光事業の一元化につきましては総理大臣等の意見も伺いまして、できるだけ御希望に副うような線に努力したいと考えております。
   〔小野哲君「外國傭船即ちアメリカのリバテイ型の貸與に関して運輸大臣の御答弁がないと思いますので、この御答弁を要求いたします」と述ぶ〕
   〔國務大臣小澤佐重喜君登壇〕
#31
○國務大臣(小澤佐重喜君) 外國傭船の貸與に関しましては、今話が相当進んでおりまするが、ここで直ちに御発表申上げることはどうかと思いまするが、やがて適当な機会を得ましたときに、これが詳細な御報告を申上げることにいたします。(拍手)
   〔國務大臣益谷秀次君登壇〕
#32
○國務大臣(益谷秀次君) お答え申上げます。十一月二十二日附でGHQから日本政府に対しまして、道路及び街路網の維持修繕五箇年計画を一定期間に作成いたして、CTSへ提出しろというメモランダムを発せられたのであります。而してこの計画作成官廳といたしましては、建設省の外に厚生、農林、運輸の各省があるのであります。併しながら建設省関係が最も主要部分でありまするので、計画を建設省で取纒めて出すようにというGHQの意向であります。從つてこのメモランダムの趣旨に副うて、建設省におきましては各省の協力を得まして鋭意計画作成に努力をいたしておる次第であります。五箇年計画の第一年度は即ち本年度第四・四半期でありますが、建設省におきましては、道路改良費といたし第四・四半期において約四億五千万円の予算を持つておるのであります。而してこのメモランダムの趣旨に副うて、四億五千万円中の一部分を、道路補修の方面に振向けて参りたいと思うのであります。來年度以後においては特に保守の費用といたして相当金額を予算化いたし、道路の保守修繕を強力に推進して参りたいと思うのであります。そうして運輸力の増強に資したいと存じておる次第であります。(拍手)
#33
○議長(松平恒雄君) 大藏大臣は止むを得ない事情のため退席いたされましたので、適当な機会に答弁される趣きであります。次に矢野酉雄君。
   〔矢野酉雄君登壇、拍手〕
#34
○矢野酉雄君 私は吉田首相初め関係の閣僚諸君に対して建設的の質問を試みたいと思います。
 吉田首相は頻りに民主政治の確立を主張せられ、而して片山内閣成立の際には身を以てそれを実践せられたことは、民主國家建設のために私の欣快とするところであります。(拍手)而して民主政治をここに確立するためには、その首相の身を以て実践せられましたその精神を今後においても十二分に実践して行くということによつて、日本の前途に一つの明るい見通しを付けることができるのでありまするので、今回予想せられておりまする総選挙の後に、若しそれ民自党が第一党の地位を失墜する場合においては、如何なる覚悟を持たれておるや否や。且つ又片山内閣並びに芦田内閣の計画の実績は昭々として事実の上に現われておりまするので私は政治的節操を無視するがごとき、いわゆる連立混合の内閣は、我が日本を民主化する上に決して採るべき政治のルールではないと思いますが、若し絶対多数党として選挙後の民自党が光栄の地位に置かれなかつた場合においては、如何なる政治構想を有せられるや否や、これも一應お聞きして置きたいと思います。併しながら時と場合においてはそれぞれ政治的理念を大体同じくするものが、そこに連立内閣を組織して、そうして國家のこの非常の時を乗り切るということも亦徒らに排斥すべきものではないと思いまするので、その間の御所信も一應承わつて置きたいと思うのであります。
 更に民主政治確立のためには、最も重大なる役割を果すべきものは我が國会であつて國会自体が民主政治確立を蹂躙するがごときことは、これ正に國民の敵であると言わなければならない。そういう点に考えを及ぼしまするときに、我々國会自体も、國民の前に十二分の反省をしなければならないことが多々あると思う。殊に片山内閣が崩壊した後の政権の授受のごときは何といつても政治常識を以て解することができず、結局無理をせんとするならば必ずそこに金力と権力の不当なる行使が行われて、全國民が如実に知つておるがごとき、この悲しむべき、又忌わしき結果が生ずるのでありまするので、國民全体が常識を以て最も分り易き一つの政権授受の明るいルールを建設するために、政府も、國会は勿論のこと、率先してそのために努力を拂わなければならんと思うのでありまするが、現吉田内閣においても十二分の反省をして頂きたいことが多々ある。民主政治をむしろ破るがごとき事例もある。この点は是非反省して直ちに改めて頂きたい。本日の開会のごときも、すでにこれは十時と明らかに示されておるにも拘わらす、閣議のために、これは公けであつても、これで若しそれ矢野が政権を取つたとしたならば、七時でも八時でもその閣議を繰上げて開会して、そして正しく十時に参議院の本会議に臨むというがごときことは、私は民主政治確立の実践の一つであると思う。或いは第一國会、第二國会の最終日に十数の法案が一度に持ち込まれて、そうして実に忌わしき所作をしなければその法案が通過することができないというようなごときことも、これは國会自体の運営も我々は反省しなければならないが、予算の先議権は衆議院にあるけれども、その他の法律案の審議は参議院、衆議院平等である以上は、政府はよろしくその間の事情をよく賢察して、そうして参議院に向つて法律案の先議を求める等の措置をしたならば、かかる第一回國会、第二回國会の醜悪の歴史を拂拭することが可能であると私は信ずるのである。この第三回國会の終末に当つても、我が緑風会は率先して参議院の審議権を無視し民主政治を蹂躙することなきよう十分に警告を発し、又一昨日も松平参議院議長を通し衆議院議長にその間の問題について申入れをしたのでありますからして、あとは幾ばくもなきやに予想せられるの会期に当つても、この点十二分に考察されて、断じて参議院の審議権を無視し、以てみずから主張する民主政治確立をみずから踏みにじることのなきよう、その間の御覚悟を承つて置きたいと思うのであります。(拍手)
 更に民主政治確立のためには追放及びその解除の問題が明瞭に行われなければならない。
   〔議長退席、副議長著席〕
 然るに前内閣以來の各種の事例を敢て私は固有名詞をことに挙げてその人の人身攻撃のごときは避けたいのであるが、昨日までは大臣であつて國務に精励しておりながら一旦追放に合わんか、正に死刑の宣告を受けるがごときこの実に悲しむべき、悲惨なる境遇に突き落される。昨日までは一口も政治を口にすることのできなかつたものが一旦解除となるや正に天下を我がもの顔のごとく闊歩して、そして恬として恥じざるところの政治家が沢山あることは、私は國民と共に知つておる。(拍手)吉田首相はこの追放、解除に明朗なる一つの制度を設けて、いよいよ民主政治確立に処するの覚悟がありや否や、この点について伺つて置きたい。
 更に首相は講和会議の將來について熱意を示されたのである。我ら日本人の最高の指標は祖國の独立と興隆である。これ以上の日本に取つての最高の理念はない筈である。一切、八千万の國民はここに打つて一丸となつて祖國独立と興隆のために命をかけなければならない。そのためには何といつても我が國自体が自主性を、実力を示すことである。徒らに連合國に常に御厄介になるがごとき態度を早く一掃して、みずから考え、みずから思索し、みずから構想して、而してこれを行政の面に、政治の面に断行し、進んでは外交をそこに円滑に行なつて我が日本の國際的地位をここに顕示するというごとき方向に進まなければならんと信ずるのであります。(拍手)然るにも拘わらず我らが制定した憲法の解釈をみずからの力により、みずからの聡明さによつてこれを判断し得ずして、徒らにGHQの御厄介になるがごときこの態度は徹底的に清算すべき問題であると私は思うのであります。(拍手)而してその祖國の独立と興隆のためには徒らなる対立抗爭を止めて、ひた向きに我らは力を併せて……勿論その間、政治的政策或いはその政治的イデオロギーにおいて違うところがあるでありましよう。これは唯物弁証的立場から言つても、或いはボールドウインの神学弁証法から言つてもそれぞれそこに相反する一つの考えがあろうと思う。我々の願う所はいわゆる産霊の精神でなければならない。生み出す精神でなければならない。單に力を以て他を屈伏し闘爭をするというがごとき態度であつてはならない。然るに全國各地においては、北海道から南は鹿兒島を巡遊するときに、いろいろの組合の本部、会社の本部、或いは官廳にさえも闘爭本部のこの大看板が掲げられておる。ユネスコ憲章の前文には、戰爭の前提は人々の心の中に戰いの意識を持つことから生れるのであるとある。若しその逆説が眞ならば、永遠に戰爭を放棄した我が日本人が、日本人のその心の中に対立と闘爭を捨てることによつて永遠の文化的平和國家を建設することができると思うのであります。(拍手)その対立抗爭を超えて新らしき眞理の國、文化の國日本を創造し、クリエートして行くためには、よし意見の相違があろうとも、侃々諤々、その火を吐くような意見のそこに相違があろうとも、併しその根底には、祖國を愛し民族の興隆を念願するところの友愛の精神に基いておるのでありまするから、必ずその後は互いに莞爾として、双方の意見が違つても肩を叩き合うがごとき、その大いなる襟度を持つことによつて、我が日本民族の世界的普遍妥当性を私はここに養うことができると信ずるのであります。(拍手)私は過般芦田内閣の当時、神戸のあの朝鮮人問題乃至は大阪の朝鮮人問題について、当時矢野が大阪の府知事及び廣瀬副議長を訪ねて事の円満に治まらんことを願つたのである。あの怒濤のごとく押掛けて來る群衆、幼きも、老いも、男も、女も、子を負んぶしておるところの母親までもスクラムを組んで、わつしよいわつしよいわつしよいと大阪府廳の前に押寄せて來る、正に凄愴の感の中に立つて、私はおのずから合掌をせざるを得なかつたのである。その髪の色なり、その皮膚の色なり、その骨格においても日本人と全くの兄弟ではないか。その日本に在住する六十万の朝鮮人諸君に対して、宗教家さえもこれを軽視し、これを憎むごとき若し感情を持つならば、いずくんぞ平和会議を翹望するところの日本のその望みが、単なる利己的主義我がままな翹望であると断ぜざるを得ない。(拍手)断じて我々は我々の心の中に仮想の敵國を作ることはならない。すでに軍國主義、帝國主義を一掃して、本來の眞理國家日本の建設を目指すならば、我々の心の中に、どの國に対しても敵國視するところのその感情を予定することは、断乎としてこれは反省しなければならん。動乱の満州に在つたときに、私はこの満州が、この中國が、この朝鮮が、この日本が、バルカン化することのないよう私は青年たちに訴えた。然る現在のアジアの現況を見るときに、私の胸は傷まざるを得ないのであります。我々こそは先ず以て國内の平和をここに生み出すと共に、如何なる民族に対しても敵対観念を有すがごとき態度を一掃して、以て自主性をここに打立てると共に、戰爭を放棄した平和國家のその本質を十二分に理解するがごときは態度を身を以て示すことによつてのみ、平和國家を招來し、平和会議を一日も早く招來することができると信ずるのであるが、この民族協和、國内和平について吉田首相の覚悟は如何でありますか、承わりたい。
 更に、首相の施政演説の中に文教に関する重点が置かれておりましたが、更に又引揚促進及び引揚者の厚生問題についてのお説もあつて、我が意を得たのであります。若しそれ、その首相の施政方針が、安本長官たる泉山大臣によつて予算的、財政的に処置される肉付けがあり、裏付けがあるならば、吉田首相のその施政方針と泉山安本長官のその施政方針との間に、一貫有機的脈々たるそこに生命の交流があるが、この間に何らの連絡がなかつたことを私は遺憾と思うのであります。これは一つには各省のセクシヨナリズムの弊害の欠点である。室蘭市長の部屋で北海道の事情を聽取した中に、芦田内閣の当時、一千五百万石の木材が三年前から滯貨となつて、三年前の下の方の木材は三分の二は腐蝕して使用することができない。或いは矢野の郷里大牟田では全く粥にもすることができない、芋粥にもすることができないのに、熊本縣においては甘藷は腐敗している。これらの事実は昭々として全國各地に或いは木炭の山となり、或いは宮崎縣に行けば駅の屋根よりも高く薪が積み重ねられている。希くは閣議をなされるそのお部屋には、全國の滯貨の見取図その他一切、一見して直ちにどこに政治的措置を打つべきか、行政的措置をなすべきかのその材料を部下の人に作製せしめられて、それらを眼前に置いて各閣僚が互いに有機的の施策を考究せられることによつて、これらの問題が直ちに解決せられるであろうと私は信ずる。それらの有能の諸君が閣僚に・・・・今回は立派な閣僚が選ばれている筈と私は信ずるが故に、この点について如何なる具体的実行をやろうとのお考えがあるか伺いたいと思うのでありまする。
 文教問題についての御力説、実に我が意を得たのであります。片山内閣の時、六三制の十四億の予算を組ませるために、予算の編成権は政府にありますので、國会にはないために、随分と、これを文教委員として参衆両院の者は力説したけれども、遂に七億となつた。芦田内閣におけるところの文教の予算的措置も我が意を得なかつたのであります。我が敬愛する下條君が、選ばれて文相の地位になつた以上は、今まで伴食大臣の譏りを受けたその文相の地位を、ここに記録的に躍進せしめ、予算的措置が十二分にできるように、殊に教育者の質は敢て私は現在において向上していると思わない。どうしてもこの質の低下しつつある教育界をバツクするためには、生産原價にして年間五百億を突破するであろう三千余種類の教育用品についての政府は温かき親心を以て資材の正式ルートへの導入金融の面を考えなければならないのにも拘わらず、医者の用いる顕微鏡の生産費はこれは甲種によつて借りることができるが、大学の実驗室、中等学校の、小学校の実驗室に用いる顕微鏡は乙の地位に置かれているので、殆んど資金面においても丙の地位に置かれている。何とかして最も良心的にして安き、又いと豊かに教育用品を教育の場に提供して、教育家並びに学生、学童に成るべく豊富な学習資材を提供して、民主政治確立のその中核たる人物の育成のために政府はここに十分なる覚悟をしなければならない。そのために教育金融金庫等の特別の措置を、吉田首相自身率先して文相の施策を援助して貰いたい。この点に対するところの御決意を承わりたい。ペスタロツチは小学校の先生の試驗を受けたならば落第するであろうと言われた人で承るが、私たちは今尚教育界の師父と仰いでいる。それは夜遅くまで子らを見守り、朝早く起き出でては子らを世話をする。而も烈々たる陶冶的精神が不滅の教育者の師父たるその栄誉をかち得られておるのであります。果して祖國をここに独立し、この民族の興隆のために命をかけなければならないこのとき、この際、僕の最も尊敬し、信頼する五十万の教育者諸君は、この烈々火のごとき陶冶的、教育的精神に燃えて教育の場を死守してありや否や。文相はこの陶冶的精神の発揚に如何なる覚悟を有するか。又試驗本位、点数本位の功利主義的な單なる教育の方針では、断じて民主國家を担うところの人物の錬成をすることはできない。どうしても創造的な、実に実際的なその活力ある人物を錬成するために、教育の質の一大革新を私は要望する。更に我々國民としての健康の保持をするためには、どうしても一日二十グラムの動物性蛋白質を攝らなければならない。そのうち魚介の蛋白質は十七グラムであり、この十七グラムを含む蛋白質を攝るためには、一日五二・七匁の魚介の肉を攝らなければならないのにも拘わらず、七千八百万の二十二年度の人口から算定して十五億万貫の魚介の必要量に対して、僅かに七億五千万、必要の二分の一にも達しない。その証拠には資材の面においても、資金の面においても、殆んど政府はこれに積極的の施策を採つていない。大体農林省があつて農林水省のなかつただけでも四百万の漁民諸君の團結の力なきことと、政治家にその明のなかつたために、今に至るまで農林省だけである。どうしてもここに独立した行政官廳を設け、水産省を設け、強力なる行政的なここに施策を行わなければならぬと思う。殊にアイオン台風……殊に海流の異変によつて、これは天変地変と同じである。その海流の異変によつて、本年度は「かつを」、「まぐろ」、「いわし」の漁獲高が激減しておる。國民健康保健の問題、実に深憂に堪えないのである。少くとも設備資金或いは運轉資金について、総計三十億程度のいわゆる特別の金融の措置を複金当局にやらせない限りにおいては、実に私は日本八千万の國民の健康を憂慮するものである。四百万のあの漁民の中には、眞つ裸になつて沿岸漁業で朝早くから雪の日も雨の日もえつさえつさと引揚げているのに、炭鉱労働者諸君の一日七合、家族五合の加配米、それは結構である。一粒も減らす必要はないけれども、沿岸漁業のこれらの諸君が何らの加配米をも貰つていない。リンク制において少量のものを貰つておるがごとき、この制度は正に平等の原則に反する。引揚者の諸君が殆んど裸で帰つて、今尚何らの生業資金にありつかない。職にありつかない。家にありつかない。九億八千万になんなんとする政府の出先機関が貸付けたその金さえもが、これが返されないというようなことのごときは、私は平等の原則に反する。引揚者を國民の水準に一歩でも近ずけて行こうというその熱願であつて、我らは國民の水準の一寸と雖もその上に更に上せて優遇せよと言つたことはないのである。一昨日の新聞を見れば、樺太、シベリアの帰還者が、遂に船、鉄道輸送の杜絶によつて、遂に中絶の形であるという報道に接したが、果してこれは眞相なりや否や。且つ又これが事実とするならば、政府はこれに対して如何なる外交的政策を持つや否や。この点、外務大臣並びに厚生大臣の答弁を要望いたしまして、私の質問を終るものであります。(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#35
○國務大臣(吉田茂君) 矢野君の御質問にお答をいたします。総選挙後において、民自党も第一党にならなかつたらばどうするか。第一党にならなかつた場合には、無論第一党たる政党に政権を讓る覚悟でおります。(拍手)又私は始終申しておるのでありますが、政見を同じうする政党政派と連繋なり提携なりいたして政局に当りたい、こういう考えであります。故に政見を同じうせざるものとは連立はいたさない考えであります。(拍手)
 追放についてのお尋ねでありますが、追放のために各方面において人材が欠乏しておる、有能な人材が國家に対してその識見等を用いるということができない、これは私は追放のために國家が非常に損害を蒙つておるのみならず、各個人としても誠にお氣の毒だという事態が種々現われておるのでありまするから、追放解除の委員会を作るつもりでおります。併しこれはただ政府が、一時の政府の都合によつて或る者を許し或る者を許さないというような國民の疑いを避けるために、委員会の人選については愼重に考慮いたしまして、國民が納得の行くような人を委員に選んで、速かに追放解除の委員会を拵えるつもりでおります。只今準備中であります。
 それから議会の、殊に参議院の審議権を無視するかのごとき行跡があるというようなお話でありましたが、これが若しありとすれば誠に遺憾でありまするが、政府といたしては毛頭そういう考えがないのみならず、國会運営については十分今後も注意いたしまするから、御協力を願いたいと思います。
 それから引揚費については予算に相当組んであるそうであります。でありますから、これはこの度の予算に組んでおらなくても、すでに政府として相当の引揚費を協賛を経ておるようであります。それから又教育費について、お話のように、殊に民主政治に当つて日本の教育を改善いたさなければならんということを深く信じて、殊に教育問題については、殊に文相の選任等については意を用いたわけでありますが、今後教育費について当局者の請求があれば十分に考慮いたす考えであります。シベリア引揚民のことにつきましては、只今新聞の報道云々ということがございましたが、政府としては未だ公報には接しておりませんが、連合國においてもシベリアの方面からの引揚者に対しては相当注意を用いて、氣候その他のために、要すれば碎氷船まで送つて、そうして日本に帰還させることに力を添える。このくらいな注意までいたしておるのでありまするから、連合國においても引揚については十分協力もし、注意もし、熱心に関係國と交渉いたしておることと思います。一應お答えいたします。(拍手)
   〔國務大臣下條康麿君登壇、拍手〕
#36
○國務大臣(下條康麿君) 矢野君の御質問につきましてお答え申上げたいと思います。
 只今総理大臣から教育費につきましてお答えがありましたが、今後六三制の完成、新制大学の問題等につきまして、いろいろ相当な金額の予算を計上しなければならぬかと思うのでありまして、今後議会に提案された場合におきましては、よろしく御協賛を願いたいと予めお願い申上げて置きます。尚、学校用品の問題についてお尋ねがありましたが、この点につきましては段々と御趣旨の通りに改善いたして参つておるわけでありまして、例えば金融関係の問題につきましては、この頃金融優先順位等が幾分改訂されまして、御希望の一端が実現しておるのではないかというように考えておりまするが、尚こういう点につきましても更に努力いたしたいと思つております。又教育の質の改善、教育内容の拡充改善ということは、これは最も私共の任務上重大な点でありまして、この点につきましてはお考えに誠に同感に思いました。十分今後の施設の上に参考といたして改善いたしたいと思つております。(拍手)
   〔國務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#37
○國務大臣(周東英雄君) 矢野さんにお答え申上げます。
 第一点は國民の食糧に関しまして蛋白資源の給源たる水産について徹底的な増殖計画並びにそれに必要な資材資金等を考えなければならんと思うがどうかという御趣旨の御質問でありました。全く同感であります。今日まで食糧問題といえば常に米麦、甘藷、馬鈴薯というような澱粉食糧に偏した施策であつたことは、いろいろな事情がございます。戰時中及び戰後を通じて片寄つたことは事実であります。で、この点はお話のように、私共は外國人の食糧或いは中華民國人の食糧、又そういう外國に例をとらないでも、戰前における日本人の食糧において、澱粉食糧というものは大体平均して二合二勺ぐらいであります。それはその当時における水産物或いは畜産物の生産高が相当多く、御指摘のように、曾て十五億万貫あつたものが今日七億万貫或いは多少殖えておりまするが、二分の一ぐらいになつておる。この現状がよく示しておるのでありまして、日本におきましても、若し水産或いは畜産等の蛋白資源、蛋白食糧が増産されるならば、恐らくは農家の食糧生産に対する負担をもう少し軽くすることもできるのであります。そういう面におきまして、御指摘の蛋白資源としての水産の増殖について考えるということについては全く同感でありまして、私共はその線に沿うて施策を進めておるものであります。從つてそれにつきまして、御指摘の懸念処置として今日「いわし」の問題なり「かつお」「まぐろ」の問題なり、或いはトロール、底曳の問題がいろいろの事情からいたしまして着業資金に悩んでおり、現に漁期を整えてその着業資金を得られぬがために出られない。この問題をどうするかというお話でありますが、三十四億程要るというお話ですが、これらの点につきましては、只今、事務当局とも愼重にその対策を相談であることを御了承願います。
 尚それに関連いたしまして、漁民に対する加配米というものが不公平じやないかというお話でありますが、成る程、特殊の漁業者に対しては特別加配米を行なつております。併し沿岸漁業者に対しては出荷いたしました漁獲物の量に應じてバーター加配がされておるというような事情でありますが、これらに対しましては、根本的に食糧の需給状況と睨み合せて考え直して見たいと、かように思つております。それに関連して第三点は、水産の重要性に鑑みて農林省ではいかん、水産省を設置したらどうかというお話であります。これは誠に重要な問題でありますが、これに対しましては、行政機構の根本的な改革或いは行政整理というような問題と睨み合せまして、愼重に考究いたして見たいと、かように考える次第であります。(拍手)
   〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕
#38
○國務大臣(林讓治君) 矢野議員にお答をいたします。
 海外残留者の引揚の促進の問題につきましては、今日のように嚴寒になりましたにつきましては、政府といたしましても非常に頭を悩ましておるところであります。すでに引揚げて來られました人々の内地に帰還のお世話につきましては、あらゆる点についてできるだけ行届いたような方法を講じたいと非常に努めておるわけであります。そのうち住宅の問題についてのお話でありますが、引揚者の住宅の問題は、特に樺太から引揚げて來られるところの無縁故者の引揚に対しまして主として重点を置いておるような次第であります。從いまして本年度の樺太からの引揚者の約四七%がいわゆる無縁故引揚者となつておりますが、これらの人人を收用いたしますがために、北海道と東北六縣とに現在予算四億七千七百万円で約四万一千人分の住宅を建設中であります。併しながら尚これで十分とはいたしませんので、大藏当局などと折衝いたしまして、目下努力をいたしておるような実情になつておるわけであります。尚就職の問題でありますが、就職斡旋のために、引揚地の援護局内に関係の職業紹介の機関から特に係員を派遣いたしまして、本人の希望を十分に伺いまして、できるだけ懇切な斡旋に努めておるという実情になつております。又引揚者が定着地に帰郷されましてからも職業安定所、職業補導所等におきまして、特に心を配つて万全を期したいと考えておるわけであります。尚お示しになりましたところの生業資金の融資の問題でありますが、誠にこれは思うように参りませんので甚だ遺憾に考えておりますが、今までにおいて政府といたしましては、昭和二十一年から始めた生業資金貸付制度による貸付資金の総額は約二十三億一千余万円となつておりまして、この借受けによつて生活の再建に、大陸などで大いに活躍になつておられました方々というものは、誠に目覚しい活躍をなされておる方が約三十九万世帶あるそうであります。併しながら僅か一世帶につきまして貸付金は七千円ぐらいまでしか出ておりません。これについては誠にこれでこの問題の解決が付き得られるものとは考えておりませんので、これを増額いたしますがために、この引上をいたしますために、関係方面と目下折衝をいたしておるような実情にありますので御了承を願いたいと思うのであります。
 尚終りに越冬資金の問題についてでありますが、これにつきましては、或いは蒲團類等の越冬に必要な品物の入手が非常に困難なるもの、或いは衣料、燃料を無償或いは一部有償で支給するような手筈を整えております。又收容施設につきましては極めてお粗末な建物であつたがためにこれが破損した個所も多いことと考えまして、これの修理、改良をいたしますのに、目下御審議を願いましたところの追加予算に計上いたしておるのでありまするが、どうかこの点を御了承願いまして、御審議の上で御協賛賜わらんことをお願いをいたしまして私のお答えを終ります。(拍手)
#39
○副議長(松本治一郎君) 大藏大臣は後日適当な機会に答弁される趣であります。
 本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、議員の請暇
 一、実地調査のため議員派遣の件
 一、日程第二、道路の修繕に関する法律案
 一、地方財政委員会法の一部を改正する法律案
 一、日程第一、國務大臣の演説に関する件
ソース: 国立国会図書館
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