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#1
第004回国会 本会議 第9号
昭和二十三年十二月十一日(土曜日)
   午前十時十九分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和二十三年十二月十一日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第七日)(委員長報告)
 第二 科学技術行政協議会法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 水産金融に関する決議案(木下辰雄君外九名発議)(委員会審査省略要求事件)(委員長報告)
 第四 國民健康川保険の診療施費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)
 第五 社会保障制度立法に関する請願(委員長報告)
 第六 社会事業基本法制定に関する請願(委員長報告)
 第七 社会保障制度の実現に関する請願(委員長報告)
 第八 戦争犠牲者遺族の援護強化に関する陳情(委員長報告)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。
 この際、日程の順序を変更して、日程第三、水産金融に関する決議案(木下長雄君外九名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とする」とに御異議ございませんか。
   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。本案は発議者木下辰雄君外九名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通わ委員会審査を省略することに御異議ございませんか。
   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○(松平恒雄君) 御異議ないと認めますこれより発議者に難し趣旨説明のため発言を許します。木下辰雄君。
   〔木下辰雄君登壇、拍手)
#6
○木下辰雄君 只今上程と相成りました水産金融に関する決議案につきまして提案の理由を説明いたします。先ず決議案を朗読いたします。
   水産金融に関する決議案
  戦災により甚大な打撃を受けたにもかかわらず眞先に立ちあがつたわが水産業は、政府の金融対策不充分なため、今や深刻なる金融難に直面し、中小漁業の如きは、出漁不能に陥るものが続出するの現状にある。
  かくては國民の主要なるたん白質給源を不能ならしめ國家再建の基礎を危うする恐れがある。よつて政府は、この際緊急対策として、復興金融金庫の債務の引受又は保証の制度を活用して、即時生産方面に金融の途を開くと共に、漁業災害補償制度と業界の相互援助機関たる漁業信用保証制度を確立し、その経営を安定せしめ、以て国民保健に遺憾なきを期することを要求する。
  なお政府は、本要求に対し一週間以内に具体案を策定して、本院に報告することを併せて要求する。
  右決議する。
かようであります。
 次に、その趣旨を簡単に説明いたします。御承知の通り我が水産業は、戰事のため非常なる打撃を蒙つたのであります。殊に漁船の損害は最も甚大でありまして、その隻数において約二〇%、トン数においては四九%、殆んどその半数を失つたのであります。それで政府は昭和二十年十二月に漁船建造に関する閣議決定をいたしまして、三十三万二千トンの補充をすることに相成つたのであります。その後逐次建造を進めまして、本年八月においては殆んど三十万トンに近い漁船が建造されたのであります。現在動いております漁船は、発動機船が約九万隻、無動力船は三十七万隻を数えるのであります。もとより戦争中修理その他が不十分であつたため、その三分の二は老朽船ではありまするが、その陣容は戰前とほぽ匹敵するのであります。従つて漁獲も漸次増加いたしまして、戰争前には十五億貫を数えておりました漁獲が、戰争中段々減りまして、昭和二十年、即ち戦争終結の年には五億五千万貫、殆んど三分の一に減じたのであります。それが漁船の建造に従いまして漸次増加をいたしまして、昨年には七億七千万貫、殆んど五割の増産に相成つております。更に本年は九億五千万貫の生産を予定しておつたのでありまするが、遺憾ながら今年は漁業界において非常に大きな打撃を蒙むることに相成つたのであります。殊にその主流漁業、花形漁業をなすトロールその他の以西底曳網漁業、「かつを」、「まぐろ」漁業並びに関東北のいわし」揚繰網漁業のごときは、不漁のため非常な打撃を蒙つております。これらに従事する漁船はいずれも優秀船でありまして、その数四千隻を超え、乗組員の数は十万以上に相成り、平常時における漁獲は二百数十億円に達するのであります。その漁業が現在非常に不況に陥つておりまして、これを、このままに放置いたせば壊滅の外はない状態であります。これらの漁獲物は、國民の動物性蛋白質の主要なる給源といたしまして重要なる役割を担うものでありまして、國民保健の上に重大なる影響を與えることを非常に恐れるのであります。然らば何故にかようなる苦境に陷つたかと申しますと、一つは潮流の異変のために、魚族の廻遊が非常に例年と異なつたというためでありまするが、その主なる原因は、この不漁時に対する金融の措置がなかつた金融難に陷つたという結果であります。
 御承知の通り豊凶常なきは漁業の特異性でありまして、豊漁の際に不漁時の備えをなさなければなりません。然るに近年の非常なる高税は、次の漁期に対する仕込資金を残すことさえもできない状態であります。利益の七割以上は税金に取られるという有様でありまして、次の出漁にさえも非常な支障を來すというのが現在の状態であります。先程申しました通り、主流をなすところの漁業は、今日魚が見えましても、仕込資金の調達ができないために出漁が不可能になるというようなのが多数ありますので、それらの船は金融の措置さえ付けば、その困難を打開することも決して不可能ではないのであります。大漁期において、不漁時の準備ができない程の高率の税金を課しながら、これらの漁業をかくのごとき苦境に追込んで金融難打開の施策をなさないのは、政府当局の失態であり、非常な怠慢であると申さなければなりません、よつて政府においては、取敢えず復興金融金庫の保証制度を活用して、一般金融機関に対して支拂保証又は損失保証を與え、現在絶対必要とするこの十七億円の緊急資金調達の途を開いて、今最も苦境に陷つております「いわし」揚繰網漁業、以西底曳網漁業、定置漁業並びに「かつを、「まぐろ」漁業の急場を救つて、正に崩壊しようとしている我が漁業の基盤を安定させる方策を即時断行されんことを強く要望するものであります。
 次に、又沿岸漁業を主なる対象とする相当額の水産金融の新たな枠を復金り中に設定されんことを希望するものであります。沿岸漁業は総漁獲高の九〇%を占める我が水産業の根幹を成すものでありまして、これが消長盛衰は我が食糧問題に絶対的な影響を與うるむのであります。然るに従来の金融状況を見ますと、この沿岸漁業の金融は殆んど置きざりにされておるという状態であります。殊に水産協同組合法が透く施行の運びになつておりまするが、本法施行と相俟つて金融のしつかりした裏付けがなければ、折角の漁業の民主化も漁民の生活安定も画餅にひとしく、多数の漁民の協同体による食糧増産も不可能と相成るのであります。更に又金融の裏付けとして必要なるのみならず、漁業経営を安定せしむる方策といたしまして、漁業災害補償制度及び漁業信用保証制度を至急制定する必要を痛感するのであります。これら一連の方策が完成して初めて漁業経営が盤石の礎の上に安定することと相成るのであります。
 以上が大体この決議案の内容であります。我々は従來政府の施策が水山産業に離して極めて冷淡であつたことを痛感いたしておりますが、今重大なる関頭に立つ我が水産業のために、政府全体の責任において、この決議案の趣旨を速かに実行に移されんことを切望する次第であります。何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。(拍手)
#7
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#8
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)
 只今の決議に対し、大藏大臣「農林大臣より発言を求められました。泉山大藏大臣。
   〔國務大臣泉山三六君登壇、拍手〕
#9
○國務大臣(泉山三六君) 水産業に対しましての金融の重要性につきましては政府におきましても十分認識いたしておるのみならず、その緊迫いたしました事情についてもこれを認むるところでございます。よつてごの方面に対しましては、一般金融機関からの融資を促進せしめると共に、その特殊性に帥應するため、すでに農林中央金庫から必要な資金を特別に融通する等の措置を講じておる次第でございまするが、本決議の御趣旨を尊重いたしまして、今後一層の努力を傾けたいと存ずる次第であります。尚、漁業災害補償制度、漁業信用保証制度等につきましても、十分研究をいたす所存でございます。(拍手)
   〔國務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#10
○國務大臣(周東英雄君) 國民食糧の増強確保に関しまして重要な役割を占めております水産業が、資金の枯渇或いは不円滑のために着業が不可能となつたり、或いは操業を短縮しなければならないということになりますことは、今日の食糧問題の重要なときにおきまして誠に由々しい問題であると考えます。只今の御決議の御趣旨を尊重いたしまして、主管大臣といたしましては、只今財政当局のお答えの通り御趣旨を尊重いたしまして、その実現に努力いたすつもりであります。(拍手)
     ―――――・―――――
#11
○議長(松平恒雄君) 日程第一、國務大臣の演説に関する件(第七日)、昨日に引続き質疑を許します。中平常太郎君。
#12
○中平常太郎君 総理大臣は如何いたしました。まだ見えないのですか。
#13
○議員(松平恒雄君) 総理は間もなく見えるそうでございます。
#14
○中平常太郎君 それでは総理の分を後にしまして他の閣僚の分をいたします。
   〔中平常太郎君登壇、拍手〕
#15
○中平常太郎君 丁度総理大臣がお見えになりませんから、総理大臣に対する質問は見えまして後にいたしまして、時間の空白を置かない意味におきまして、他の閣僚の分を御質問いたします。
 泉山安本長官は生産増強のために企業の合理化を強調していられますが、企業の合理化のために必然起きて乗るところの失業者の援護方策については何ら四日の施策の方針に言及されなかうたことについては、昨日平野議員からも指摘された通りであります。企業の合理化は生産の基盤であると言うておられますが、その反対に労働者の労働意欲は生産の基盤であると言つたらどうなさる。否定されますか。企業の合理化は、企業に利潤を得せしめるために労働力ある人間をその企業から掃き出すことを意味するものであります。政治の根本は民生の安定にあります。その民生安定を招來せんために今、目の前の何百万という人間を飢餓に追込むという考え方でありまするか。高能率、高賃金ということは、誠に私なども年祭の主張でありまして、賛成いたします。が、その方法を誤られておりはしないかということであります。例えば百人の工員が八〇%の能率しか上げない場合において、二十人を切つて能率の八〇%を出すというのであるなれば、その八十人は又六〇%の能率しか上がらない。だから百人のときの八〇%の能率に合理化するなれば、八〇%に下つた八十人を高能率、高賃金に切り換えなければ、元の八〇%の生産は上がらない。だからその筆法から言いますというと、百人のうち二十人切らずして、百人のときの高能率、高賃金でやるなれば、従來の八〇%の生産能力が一〇〇%になるという理論が成り立つのであります。而もそれは総掛り費がそれだけ減少いたしまして、二十名を整理して得られる利益よりも百人になつて一〇〇%の能率の方が利益率は多大なものがあるのであります。かかる方式こそ生産増強、完全雇傭と正比例するところの生産増強ではありませんか。現在においてさえ、失業者は潜在と顯在と合計概略六百万人と称せられております上に、ただ一方的な企業利潤増加のために多数の失業者を掃き出すという以上は、不安状態に置かれておる國民大衆に何故十分安心の行くような説明をなされなかつたか。ここに一つお尋ねする。一、企業合理化と労働者の配置轉換は同時に行わるべきものであると思うが、御所見如何。
 次に泉山安本長官にお尋ねすることもありますが後に残しまして、國土計画問題について、盆谷建設大臣にお伺いする。丁度差支があるそうでありまして、赤木君がおられますが、現在我が國土は、他の議員も申されました通り、非常に荒廃しておる。戰争中十年の間、森林は濫伐に濫伐、河州は土砂の堆積著しく、河床を浅めて、少し降り過ぎると直ちに洪水になり、田畑、道路、橋梁の破損は挙げて数うることができません。政府は毎年相当の補修を行なつており、又本予算にも六十億を計上してありまするけれども、その工事請負事情、人夫賃など、マル公と闇との開きのあるために、到る所工事に支障が起きております。誠に進捗していない。そのうちに又々破損を招來しておるというようなことでありまして、人間の弱さを天は笑つておると思うのであります。又戦災家屋は引揚者増加という特殊事情を加えまして、ますます逼迫告げて、現在四百万戸の不定に対しまして、ここ数年粗雑な建築の破滅率或いは将來の増加率などを計算に入れまするならば、今後十五ヶ年の完成計画にいたしましても、約八十万戸毎年建築しなければ完成できないのであります。然るに現在のように二十万や三十万戸なれば自然増加と自然破滅補充の域を脱せない。四百万戸は依然として不足をすものであります。今にして十分な予算を計上し、本格的に國土計画並びに建築計画を樹立しなかつたなれば、國土といい、國内の思想といい、禍いは加速度的に加わつて参りまして、將來恐るべき状態に相成ることは火を見るよりも明らかであります。而もマ司令部から道路五ヶ年計画の勧告も参つておりまして、これも差迫つた問題となつているのであります。幸い日本にば労働力は余りあります。森林も四十億石あると言うております。年々七千万石の輪伐は可能であります。政府はこの際本問題を進捗せしめるために特別なる機関を作り、労務の大量配置轉換を行い、費用は建設公債など有産階級に割当てる方法を考慮し、大幅の予算を以て直ちに実行に移す考えはないか、この点をお伺いする。
 第四、インフレ対策問題、政府はインフレを抑制するために、経済三原則によりまして先ず賃金統制を強化してこれを抑え、一方企業の採算性を唱えて生産増強を図らんとする方針りようであるが、それではその日の生活に喘ぐ勤労大衆の犠牲においてのみこのインフレを克服せんとするのであるか。何故に予算処置か通貨処置かの方法によつてインフレの防渇をしないか、それでは有産階級に障るのであろうかどうか。生きた人間の生活を押えてインフレの防渇をやるのでは、大体労働者を何と心得ておられるのであります。労働者こそ生産性の基盤ではありませんか。労働者に圧迫を加え、先ず沈黙せしめつつ企業の採算を期せんとするが、それで労働者の生産意欲が出ると思うのでありますか。一方経済再建に当りまして外資の援助は絶対に必要であるが、これを確保するためには先ず自主的の対策を樹立して計画的にこれを進め、労働者の生産意欲を根幹として、労資相俟つて組織的に積極的な方策を示すべきでありましよう。経済再建の担当者が勤労大衆である以上、本格的再建の基礎條件たるインフレの克服は労働者、農民、一般市民、中小企業者など大衆の手によつて遂行せらるべきは申すまでもありません。その生産意欲を阻害して先ず企業の採算性を主とするなれば、決して今後の労働攻勢を防ぎ得るものではありません。ついては三つの質問について泉山安本長官に御明答願います。政府は、労働賃金を抑制して勤労者の生産意欲が旺盛になると思惟せられるや、次に、賃金対策は当然労働力の再生産を可能とする賃金を以て最低水準とすべきであると思うが、政府の所見は如何。次に、インフレの処理は人間を出血せしめず予算処置か通貨処理によつて行うべきであると思うが、政府の所見如何。
 次に厚生問題。吉田総理は……林厚生大臣おられますか。まだ見えていないのですか。(「総理大臣も厚生大臣もいやせんじやないか」「空氣に質問したつて駄目だよ」と呼ぶ者あり)それじや厚生問題は後にする。引揚問題も後にする。引揚問題は外務大臣、やはり吉田が出なければいかん。
 第三次農地改革問題、泉山安本長官は第三次農地改革は行わないと言明されました。現在全図の耕地は二百六十万町歩ありまして、うち約二百万町歩は整理されまして、あと六十万町歩くらいが今尚封建制の残滓としてボス的に温存放置されているのであります。民主主義を根本とせられるなれば、何故農村民主化のために働く農民に土地を與えよという民主的原則を破られるのであるか。又第二次改革の進行に伴い、零細な土地所有者のばらばらに散在せる耕地の交換分合は、その生産能率から言つて絶対に行わなければならないのでございます。又日本人口増加の現状に対し、必要な耕地の絶対面積は増大していない。日本は現在耕地としては全面積の一六%を占めるに過ぎないのであります。未だ耕件可能の原野が廣く未利用のまま放置せられております。最近帰還せる数百万の青年は徒らに手を空しうして農閑期などは随分風紀も紊れておる状態であります。食糧増産のために農村の余剰労力を傾注し、治山治水と睨み合せまして画期的なる開墾を実施すべきであります。農林大臣にお伺いする。第三次農地改革は農村の民主化を完遂せんとするものであるが、これを行わぬことは封建制度を温存して置くということになるが、農村民主化の精神に反しはしないか。
 次に中小企業振興問題、商工大臣見えているな。従來の中小企業は大財閥の下請工場であつたが、この財閥がなくなつた以上、中小企業は貿易する方法さえ十分に知得せず、資金、資材に窮しまして、今や破滅に瀕しておるのであります。これに対しまして、政府は先に中小企業廳を設置し、苦情聞取りに当つておるが、日本將來の貿易は全く中小商工業に課せられている現状から、如何にしてもこれが発達助成を図らなければなりません。政府の説明によると約二十五億円の融資の枠を取つておられるのでありまして、一應その重要性を認識せられておりまするのであるが、貿易の中枢を担当する立場にある中小企業に対しては少くとも当分五十億程度の融資を必要とするように考えるのであります。これまで大財閥に何十億と苦もなく融資せられたことから考えるなれば、全國のために、全民衆のために、五十億ぐらいは当然と思われるのでありまするが、政府の所見は如何。又日本労働力が余つておる手工業は世界一の好評を博しております。然らば貿易廳の斡旋で許されたる可能の範囲の外國から商品のサンプルを蒐集いたしまして、各縣持廻り展示会その他などを開き、業者にその適品を選択せしめ、資金、資材の援助を矢幅に與え、業者の生産意欲を高あ、貿易の進展に資せしむる方策を行うお考えがあるかどうか。
 次に補正予算と徴税問題であります。政府はこの度の補正予算五百八十六億円のうち三百七十億円は所得税の自然増収として計上しておられるが、かかる予算の計上は、他の議員も申された通り、いわゆる水増し予算であると思われる。その証拠には、十一月二十二日には六百二十五億円の時にさえ自然増収を二百二十億と計上なさつておつたのに、五百八十六億に圧縮されたなれば、所得税自然増収も二百億くらいになさるべきでありましよう。それに何ぞや三百七十億に増額されておるのは水増しと言わずして何ぞや、又徴税ができるとすれば、現在でさえ苛斂誅求で、正直な納税者は遂に廃業し又は轉業しておる。一方闇成金は自家用の自動車で風を切つて飛ばしておる。大衆の生活困窮は空吹く風と世間を跋扈しておる。それは戰争成金であり敗戰様々の徒輩であります。政府はかかる現状を直視しておられるか。二つの質問を発する。善良なる納税者の衷情を酌んで、所得税の更正決定に対する審査請求については実情に即して是正を行い、追徴税についても正直なる者には相当考慮を拂う考えがあるかどうか。一、一方新興階級の増加財産の臨時調査を行い、不当収入を摘発して以て課税の公平を維持する考えはないか。
 林さん見えたな。それでは厚生問題をやりましよう。吉田総理はその施政方針演説の中に、厚生問題については引揚者問題以外については殆んど触れられていなかつたのであります。凡そ政治の要諦は民生安定にあります。これを第一義とすべきでありましよう。然るに悩み拔いておる民生に何を與えんとなさるか。ただ生鮮食料品や料飲店の開業を調い、これも今にも実行するがごとく宣博して業者を喜ばせ、國民に飲めや歌えの廃頽的空氣を作り、人氣を煽り、(「そんなことはないですよ」と呼ぶ者あり)ボスと富者と階級に媚を賣つておるような政策を大言壯語しておる。勤労者は低賃金に甘んじて、インテリは子供に着物一枚さえ買い得ない悲惨な生活、いわゆる日本再建のために耐乏生活をしておる中に、所構わず絃歌湧く酒池肉林の巷を作り、困窮せる大衆に指をくわえて見せしむるような方策を喜んで採らんとするのでありますか。さなきだに悪化の一途を辿つておる青少年の風紀は尚更に悪化を助長し、滔々として堰を切つた水のごとく止まる所を知らんでありましよう。政府は將來を託すべき青少年の悪化防止には如何なる方策を持つておられますか、お伺いする。今度の補正予昇に刑務所の予算の追加六億五千万円計上なすつておられるが、悪化せる青少年は手取り早く一方から刑務所にぶち込むお考えなりや。
 次に國民の医療問題についてでありますが、英國やアルゼンチンのごときは医療設備が完備して國民のために全額無料であります。然るに我が國においては、一度病に罹らんか、中産階級と雖も一朝にして轉落する者が多い。この國民の家庭経済から医療費だけでも無料にするなれば如何に喜ばれることでありましよう。この問題に対して如何なる方策をお持ちになつでおられるか、お伺いする。國立病院、國立療養所の建設も少く、又戰争以來、腐朽荒廃も次第に目立つで参りました。待遇費か少額のために癩療養所とか肺療養所という所は待遇問題で医者も看護婦も大欠乏を告げておるが、これに対してどうなさるお考えか。又昨年実行期に入つた児童福祉法は先ず全國に施設を建設しなければならない。本補正予算に一億五十万円計上してあるが、これは必要量六十億の五%にも達しない。併しこれも林大臣のお骨折りで補正に計上せられたものと思うが、二十四年度に十分計上せられるお考えがあるかどうか。又生活保護法も物價にスライドいたしまして補正に十五億五千五百万円計上をいたしておりますけれども、これでは無論不足であります。二十四年度に増額をせられますお考えがあるかどうか、これもお伺いする。
 厚生省は、とかく從來伴食大臣などと称せられまして、閣内でも割合軽視される傾向がありましたが、民生安定ということが政治の根本であるという以上、十分な予算を計上せられなければならないのであります。英國などでも非常に大きな予算で活動している。文文化の進むに從つて厚生の予算は大きくなるのであります。英國などは社会保障制度のごとき実に完全で、一家に如何なる出來事ができましても、盡く政府の施設によつて保障されております。いわゆる生活が安定いたしております。日本にも数種の社会保障制度もありますが、皆区々まちまちで統一を欠いておる上に、到底あらゆる方面に社会保障ができていないのであります。この度マ司令部が日本のために米國よりその筋の権威ある五名の博士を招かれまして、調査の結果が廣汎なる勧告書となつて政府に渡されております。政府におきましてもこれを動機といたしまして審議会設置法案を提出されております。又議員側といたしましても、強力なる調査機関を設けることにつき、すでに厚生委員会を通過し、決議案を上程することに相成つておるのであります。これは社会立法といたしまして最高の民生安定の理念を表現するものでありまして、相互扶助の原理を織り込み、是非とも実現しなければなりませんが、政府は審議会を作りお座なりで日を暮し、実行を遅延するのではないか、この点お伺いする。
 引揚問題は、昨日矢野委員が相当述べられたということを聞いておりますから、この点は省いて、ただ引揚問題が如何に深刻であり、すでに十二月は結氷期のためにソ連の方からは配船の通知が來ていない。して見れば又明年四月まではもはや帰還はないと思われるのでありますが、四十万になんなんとする未帰還者がソ連において又々三十度、四十度の零下の寒さで強制労働に服さなければならない、誠に断腸の思いがあるのであります。大体敗者は正義を主張することができないか。ソ連の未帰還者問題はそれ自体が正義と解されるか。これをお伺いする。世界の輿論に憩え、世界赤十字連盟、國連、或いはユネスコ、或いは世界婦人各國体等に愬え、その輿論と道義力によつて側面的に帰還を促進する考えがないかどうか。吉田総理大臣の演説……お出でになりませんから進行しておつて呉れといつことでありまして、後から答弁があるそうですから申上げます。吉田総理大臣の施政方針は誠に抽象的で平凡、政策の面よりも組閣当時の事情やら解散問題に重点を置かれて、施政方針に対しては誠に簡單である。この困難なる日本再建の中に耐乏生活をしておるところの國民に固い覚悟と希望とを持たしめる何らの施政もなかつたのであります。又現政府の性格が如何に保守的であるかは世界の現代流れている思潮の動向に何ら触れていられないとさえ感じさせられたのであります。ただ日本古來の封建思想の惰性と、無反省にして旧式的な表面口先は別として、精神の上において嚴粛なる民主主義に付に徹することを喜ばざる旧來の保守派を満足せしめんとする一部の國民、それらの方から起つて來る人氣を温床とせられておるようであります。この敗戰日本の困難なる再建途上におきまして、國民に一種の弛みを見せるがごとき甘つたるい放漫政策、施政方針に高度の眞実性と、國民に反省を求め自粛自戒せしめる高き指導性の見えなかつたことも亦当然と思われるのであります。組閣当時の世界の論調は、他の議員からも述べられました通り、日本政治の逆轉と断じ、後退と評し、かかる情勢では日本の民主化はここ百年もかかるのであろうとか、実に講和会議を一日千秋の思いで期待している心ある國民に暗い悲観的な考えを持たしめたことは、争うべからざることであるりであります。
 そこで第一に思想問題についてお伺いいたします。我が國はポツダム宣言り受諾によりまして平和的民主主義に切替えなければ根本的な思想の樹て直しはなし得ないのでありますが、法の上では極めて簡單でありますが、事実國民の心の中に民主主義を徹底せしめることについては、政府は如何なる方策よりも政策よりも、第一番にこれを取り上げ、みずからその範を示し、以て國民に臨まなければなりません。然るに吉田首相は、ただこの点を言葉の綾に又他の言葉の枕言葉ぐらいに止められまして、何ら、改まつた嚴粛な氣持で一つの重要事項として民主主義の徹底の極めて重要なるゆえんを議会を通じて國民に呼びかけられなかつたのであります。これは吉田首相に望むのか或はこちらが無理であるかも知れませんが、苛くも一國の首班として國民の思指を指導せられる立場として、誠に遺憾であつたと思うのであります。民主主義は申上げるまでもなく、個人が個としての尊嚴の中に社会的共存の理念を理解し、人間の生存権を尊び、個人の権利、全世界にも替えられない一個の生命價値、かかるものの集團が高度の社会思想となり、民主主義はここから生れて來るものであることを十分に理解しなければ、民主政治の根本理念とはならないのであることは、賢明なる首相の十分御承知のことでありましよう。然るにこの理念より生ずる民主主義を、厳粛に日本再建の眞諦だとして國民に呼びかけられなかつたのであります。民主主義は大衆を閑却しておりません。有産階級は國民の五%もないのであります。九五%は勤労大衆でありますが、資本家の喜ぶような政治を行い、以て大衆を第二義的になされるお考えのごとくに感ぜられるのであります。勤労者の一家のことを御承知でありましようか。恐らく総理には一生御幸福に上流の御生活をなさつておられまするから、吉田首相には到底勤労者の家計のことはお行りになりますまい。勤労者は一生かかつても貧乏は食つついておるのであります。闇をやるか不正をしなくては容易に金持にはなれない。親子数代生れ替り死に替つても貧乏は付き纏つておるのであります。額に汗して終日働き、如何に職場を変えようと思うてもその暇さえない、疲れ切つた身体で狭い暗い一間に帰つて雑炊を啜る気持を、一日でも首相がお味わいになつたなれば、一遍に画期的な政策の変更があるであろうと思うのであります。さなきだに終戰のどさくさの中に六百万の帰還者を迎え、戰災家屋と併せ四百万戸の住宅は不足し、思想は動揺し、節制を必要とする民主主義の育成途上において、却りて刹那主義、利己主義に陷りつつあることを痛感するものであります。首相においては民主主義を國民に徹底せしめる方策についてお伺いいたします。
 又ここに改めて、首相がお見えになりましたから首相にお伺いすることがある。本日附の夕刊東京日日新聞の一面に、吉田氏百万円貫うという二号活字の見出しで、加藤女史が、繊維事件のうち他にも梅村清氏から献金を受けておる者があるとし、吉田首相も同氏から百万円を受取つた事実があり、その確証を握つておるということを記者團に発表しておるということであります。誠に青天の霹靂と申しましようか、私は、少数党内閣となつておる吉田首相に、こういう問題が今日出たことは誠にお氣の毒で、(笑声)少くともこういう問題は今大事な場合に出なかつたらよかつたと思うのでありますが、(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)この綱紀粛正は現内閣におかれても重要政策の一つでありまするから、こういうことが発表せられましたることは誠に遺憾に堪えんのであります。これにつきまして首相の答弁を、弁明をお願いいたします。終り。(「お手柔らかに願います」と呼ぶ者あり)(拍手)
   〔國務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#16
○國務大臣(吉田茂君) 中平君にお答えをいたします。お話の問題のことは、我が党に献金があつたから、それで私から礼状を出して呉れということで、礼状を出したことはあります。併し梅村という人も会つたこともありませんし、直接交渉は何らないのであります。(拍手)
   〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#17
○國務大臣(泉山三六君) 中平さんのお尋ねにお答えを申上げます。
 先ず企業合理化と労働者の配置轉換は同時に行わるべきではないか、かようのことでございまするが、企業合理化に伴い生じます失業者の配置轉換につきましては、公共事業その他の面にでき得る限り適正なる労務配置を行うことが必要と考え、具体的に対策を考究いたしておる次第であります。次にインフレの処理に関連いたしまして種々御質問があつたのでありまするが、第一点、政府は労働賃金を抑えて勤労者の生産意欲がそれで向上することができると思うか、かようなお尋ねでありますが、労働賃金を不当に抑えることは勿論生産意欲の同上には相成らないのでございます。企業の能力を越えて、或いは他企業とのバランスを考慮せずに、名目賃金を徒らに引上げることは、我が國経済の現段階におきましては必ずしも望まないものではなく、その意味におきまして、賃金は一定の企業能力とバランスのとれました実質賃金を元にしなければならないものと思うのでございます。尚、生産意欲及び企業能率の向上によりまして支拂能力が増加いたした際におきましては、企業の自主的責任によりまして能率賃金が支給せられることは、もとより当然と認めらるべきものと考える次第であります。
 第二点といたしまして、賃金対策は、当然労働力の再生産を可能とする賃金を最低水準とすべきであると思うが如何と、かようのことでございましたが、賃金の最低水準の決定につきましては、種々の議論があるのでございまして、一概にこれを決し難い事情があるのでございますが、経済の現状に照しまして、要請いたされまする生活水準を支持し得るに足るだけのものであることにつきましては、もとより異論のあるべき筈はないのであります。
 第三点、インフレ処理は人間を出血せしめぬ予算措置、通貨処理等によつて行わるべきであると思うが如何、かようのお尋ねでございましたが、インフレ処理の方策といたしましては、均衡の取れました健全財政の確立、企業の経済性、自主性の回復による生産能率の向上、勤労者家計の樹立等によりまして、経済の安定を図ることが急務と考えられるのでございまして、その過程におきましては、企業の合理化により失業者を出す等の止むを得ないこともあるかと存ずるのでありまするが、それには、もとより適切なる失業対策を同時に考慮いたし、その犠牲をなからしめることに努力いたす所存でございます。この際、通貨処理のごときは、現在の経済、金融各般の情勢に鑑み、適切なる方途とは考えられないのでございます。
 尚、納税に関連いたしまして、所得税の更正決定に対する審査請求については、その実情に即して是正を行い、追徴税についても同様考慮を拂う考えがあるか、ということでありますが、更正決定につきまして誤謬が認められました場合には、又不適当であると認められました場合には、政府はこれを是正するにもとより吝かではないのであります。能う限り速かに必要なる訂正を行いまして課税の公正を期したいと存ずる次第であります。尚、追徴税につきましては、税法の規定によりまして、これを徴収いたすものでございまするが、その実行に当りましては、納税の実情に即するように行わなければならないものと考えておる次第でございます。
 尚、新興階級の増加財産は、概ね公正とは言えないと思うのであるが、よつて財産の再調査を行い、不当收入を摘発して以て課税の適正を維持する考えはないか、かようのことでございました。もとよりその御所見に対しましては同感の意を表する次第でありまするが、その新興階級に対しまする課税につきましては政府もあらゆる努力を拂つておるのでございまするが、これらのものは、その所得の把握はなかなか困難なる事情がございまするので、先般國税査察官制度を設けまして、所得の著しく増大いたしたものなどにつきまして集中的なる調査決定を行うと共に、悪質なる脱税者に対しては國税犯則取締法等によりまして徹底的にこれを摘発することにいたしておる次第であります。以上お答を申上げます。
   〔國務大臣大屋晋三君登壇、拍手〕
#18
○國務大臣(大屋晋三君) 中平君の御質問に対しましてお答えいたします。
 第一点は、中小工業の金融難に対して、すでに決定されておりまする二十億の融資の措置は過少に失するが故に、五十億見当までこれを増額する意思はないかという御質問のように拝聴いたしました。誠に中平君の御提案の通りでございまして、中小工業全体の要望は優に六、七十億にも達しておるような実情でございますので、政府といたしましても五十億見当ぐらいまでは是非これを増額いたしたいと考えておる次第でございます。尚、中小工業が輸出の方面に非常に重点を置いた生産であるが故に、速かに世界各地の見本を蒐集して展示会を各地に設けるような施設を考えていないかという御質問でございましたが、これも誠に御尤もな御提案でございまして、在來も中央並びに地方に対しまする展示会に対しましてへ多少の予算を取つていたしておりまするし、又各業者の團体のかような催しに対しましては援助をいたしておりまするが、更に將來に対しましては十分この点に留意いたしたいと考えておる次第でございます。
   〔國務大臣周東英雄君登壇、拍手〕
#19
○國務大臣(周東英雄君) 中平君にお答えいたします。
 第一点は、一町歩未満の地主の土地を開放しなければ、農村の民主化は徴底しないではないかという御意見であります。私共は只今のところそういうことを考えておりません。いわゆる小作農というものに対して非常な影響力を持ち、いわゆる封建的な、非民主的な行き方であると考えておつたものは、主として大地主の問題でありまして、それらに対しましては御指摘のように第一次、第二次の農地改革を経まして、今日大部分その所有土地が小作農家に移轉せられ、又移轉せられつつある段階にありまして、これで大体自律自営農家の建設については目的を達して来ておるのであります。待つて今後の問題におきましては、むしろこれら折角できましたところの自作自営農家につきまして、その農家経営の安定と農業生産力増強の方向が探れるように、あらゆる農地施策を考えて行くことが喫緊の要務だと考えております。第二点のお尋ねでありますが、今日土地の開墾政策を強力に進める必要はないか、こういうお尋ねであります。勿論適地につきましては、或いは引揚者に対して土地を與えるという点からいたしましても、食糧増産の立場からいたしましても、これは必要であると存じますけれども、今日まで行われておりました未墾地買上等り行き方は、ややともいたしますると、その土地の候補地につきまして科学的の研究はされず、ただ机上において割当買上が決定されておるような状況であります。この点は中平さんも御指摘のように、今後の日本の國土保全という立場からいたしますと、どうしても治山治水上、そこを開発して差支ないか、又は屯田屯地との関係において何らの影響を持たないか、或いは開きましても灌漑用水について考えられておるかというような面を考えて、適地を嚴選しで行くことが正しいと思います。その上におきまして、これは政府といたしましでも開墾につきまして力を入れて行くべぎだと、かように考えております。もう一つのお尋ねは、土地の交換分合ということについて、どういうふうに考えておるかということであります。これも第一に申しましたように、今後における農家の経営安定、経営の合理化というような点からいたしまして、是非考えなければならん問題であります。理論的にも土地の交換分合を進めて行くことが正しいと思います。ただ実行上におきましては地方の問題等いろいろの問題がございますので、目下それらの実行問題を考慮しつつ成案を急いでおりますから、立案ができますれば、いずれ御協賛を得ることになると思います。(拍手)
#20
○議長(松平恒雄君) 大藏大臣より発言を求められました。これを許します。大藏大臣。
   〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#21
○國務大臣(泉山三六君) 途中で失礼でありますが、昨日私にお尋ねがございました点につきまして、小野議員、矢野議員に簡單にお答を申上げます。
 先ず小野さんのお尋ねの第一点、國有鉄道の会計制度は速かに公共企業体に帥慰した制度に改むべきではないか、かようのお話でございましたが、國有鉄道の会計間度は差当り國の会計制度についての諸原則によることになつておるのでございますが、御承知のように今回の改組によりまして、鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体に朗應した会計間度をば樹立する必要を認める曉におきましては、これを改むるのに吝かではないのでございます。質問の第二点、観光事業振興につきましてのお尋ねでございましたが、観光事業は貿易外收支を稼ぎます上にも大きな事業の一つでございます。そこで資材と資金の許す範囲内で大いに振興いたしたいと考えておるのでございます。次にタイヤの配給官廳の一元化についてお尋ねがございましたが、政府といたしましては、先般來自動車輸送力の適切且つ重点的なる運用を図るため、自動車等輸送資材等の有機的、総合的な運営を期する方途を考えておるのでございます。それから自動車に関連いたしましてガソリン税のお話がございましたが、ガソリン税は現在のところでは、かようの新税を設けます考えはないのでございます。
 尚矢野さんのお尋ねは、第一点、教育用品の生産、荷受機関等に対する融資に特別な金融機関を設ける意思はないか、かようのことでございましたが、教育用品の生産、配給に対しまして、これを円滑にするために適切なる金融的措置が必要であることは御指摘の通りでございます。政府といたしましては御趣旨に副い得るように努めて参りたいと考えておるのでございますが、ただ御要望の特別な金融機関、かようのことになりますると、現在ではその考えは持つておらないのでございます。尚、引揚者の現地におきましての政府貸上金の返済を早急に実現されたい、かようのお話でございました。この問題につきましては関係方面等の意向もございまして、又講和條約との関係、財政上の関係など各般の関連が非常に多いのでございまして、目下これが解決に鋭意研究を重ねておる次第でございますが、遺憾ながら早急なる解決は当面困難な事情があるのでございます。尚、最後に水産金融に対しまして切なる御要望とお尋ねがございましたのでございまするが、水産金融につきましては、水産金融の当面の切迫した問題につきまして先刻本院の御決議がございまして、私より政府としての決意を被瀝いたした次第でありまするが、尚更に先刻私の申上げました以上に、復金からの漁業関係への直接融資、この点につきましても、実は積極的に目下これが実現をせしむべく努力をいたしておる、かように御了承を願いたいのでございます。
   〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕
#22
○國務大臣(林讓治君) 中平議員にお答えいたします。先程兒童の福祉の問題についての中平議員のお説御尤もでありまして、今日全國的にその機構の十分でないということを政府といたしましても認めております。現在のところでは兒童福祉施設が、公私合せまして二千五百四十六ケ所、これは本年の七月現在でありますが、一懸平均いたしますと五十ケ所の程度でありまして、未だ全國の町村中においても何らの設備のないようなものが尚存在いたしておるという誠に残念な実情になつておるわけであります。それで不良兒であるとか浮浪兒等の保護を要すべきところの兒童が尚昨今においても増加をいたすような傾向にあるのでありますから、これに対しましては、兒童福福法による兒童の保護等について十分考慮いたして見たいと考えております。從いまして地方からの非常な要望もありまして、昭和二十四年度におきましては、この新設或いは拡張のために相当の経費を予算に計上いたして、そうして兒童福祉の増進に一段の努力をいたして見たいと考えております。尚御参考までに申上げますと、養護施設、精神薄弱兒施設等に約五億七千万円ばかりのものを計上いたしております。それから保育所、母子寮、兒童厚生施設などに十五億足らずのものを計上いたしておりまするし、尚、乳兒施設、助産施設、虚弱兒施設などにつきまして六億五千万円と、それから兒童相談所、一時保護所というようなものに対しましては約三千二百万円ばかりのものを計上いたして、明年度の予算におきまして、できまするだけその筋とも了解を得まして、これらの施設を完全にいたしたいと考えております。
 尚、医療施設の問題につきましては、本年五月医療測度審議会の答申があり、又先に社会保障制度の実施に関するところの連合軍総司令部からの勧告もありましたので、致府といたしましては、これらの点を勘考いたしました上、第二回國会に医療法案を提出いたしまして御審議を願つたのでありますが、すでに医療法も施行せられましたが、同法においては今後都道府縣を中心とする公的医療機関の整備に努力することになつております。併しながら医療法の趣旨は決して本來の医療機関の経営主体に変更を加えようとするものではないのでありまして、各経営主体が從前の通り國民の医療確保のためにお互いに協力をして行くことが望ましいのでありまして、公的医療機関の運営に関し相互の連絡調整を図るがために、各都道府縣に運営審議会を設けることとしておるのでありまするが、從いまして政府といたしましては、医療のすべてを國営で行うというような意味における医療國営というものは今日のところ考えておらんわけであります。尚、國立病院或いは國立療養所に対するところの問題でありまするが、國立病院は元の軍の病院をそのまま移管されたものでありまして、一般病院用としての設備が完全しでおらない。又戰時中より十数年間補修しないがために、各病院とも一時に補修せねばならない状態に実はなつておるのであります。又國立療養所の場合も、旧療養團より移管されたものでありまして、建物も古くなつておりますし、新設のものでも未完成のものなどがありまして、いずれも至急に完備する必要があると考えております。一方、予算は補修用といたしまして、本年度においては公共事業費或いは営繕費等合ぜまして、約一億三千万円ばかりのものでありまして、これによつて逐次整備をいたしておるわけでありますが、明年度におきましてば約二十九億八千万円を計上するように目下予算の要求をいたしまして、これが準備をいたしておるようなわけであります。次に待遇費につきましてはい新給與の切換に際しまして、一般共通の職員より優遇をいたしまして切換を行なつて、又癩であるとか、或いは結核、精神病等の療養所の勤務の看護婦その他直接患者に接しまするところの職員に対しましては、更に特殊勤務加俸を附加することに一應の了解を得ております。外に結核病棟であるとか或いは病理細菌検査室勤務者に対しまして、特殊勤務手当或いは往診手当、救護手当などを設けまして、目下その関係方面と折衝中なのであります。
 次に社会保障制度の問題でありまするが、これは去る七月の十三日に先程もちよつと申上げたように連合軍最高司令部からの要望もありましたのと、アメリカ調査團の報告に基きまして、日本においても是非共にこれが実施をいたしたいという点から、社会保障制度の調査研究をいたしまする一つの機関といたしまして社会保障制度審議会を設置するの法律案を本議会に提出いたしたわけであります。従いまして今明日のうちに皆さんの御審議を願うようになると考えるのでありますが、これは多額の費用も要しますることでありまするから、その審議会の答申等を十分検討いたしまして、その厖大なるところの社会保障制度の完全を期したいと考えておるわけであります。
 尚中平議員から御質問の中に、日本が敗者たるが故に正義を主張して残留者の帰還を促進することができないのかという御質問もあられたように伺いましたのでありますが、そ連関係の地区におきましても、亦或いはその他の場所からも、尚帰還のできない方々のあることは誠に御同情に堪えないばかりでなく、私共も残念なことと痛感いたしておるわけであります。政府といたしましては、連合軍総司令部に今後も引続き帰還を促進いたしまするように懇請をいたしたいと考えております。次に赤十字、ユネスコ、國連に想えて残留同胞の帰還を図る意図はないかというお話でありますが、御尤ものお話であります。先に万國赤十字その他の團体で、今次大戦の俘虜を速かに帰國させることに大いに御努力をして頂いたということは、常々誠に政府といたしましても感謝をいたしておるわけであります。今後におきましても、かような團体に一層の御同情を願いまして、速かに帰して頂くような工合に、この上とも努力をいたして見たいと考えるわけであります。(中平常太郎君「青少年の悪化問題」と述ぶ)昨今におきましては、青少年が次第に悪化する傾向にあるようでありますが、これらの点につましては、いろいろ保護を加えますとか、或いは里親制度というようなもの等も設けまして、その兒童の悪化せざるように、今後努めて見たいと考えております。(拍手)
   〔政府委員赤木正雄君登壇、拍手〕
#23
○政府委員(赤木正雄君) 建設大臣に対する中平さんの御質問に対して、私からお答えいたします。第一の災害復旧が非常に不備で、これでは水害を防ぐことが困難である。こういうお話でありますが、御尤もであります。災害復旧は原則といたしまして、このまま放置して置くと又交通に直ぐ支障を來し、或いは耕地に非常に害を及ぼす。であるから取敢えず原形にこれを復旧するというのが災害復旧の原則であります。でありまするから災害復旧だけでは決して治水の完全を期することはできないのであります。もとよりこれに対しては、種々の根本計画を樹立して、ぞの結果災害を防ぐ、こういうふうに持つて行かなければ本物にならないと思つております。でありますから建設省といたしましては、今後は治水の根本計画によつて仕事を重点的にやつて、その結果自然に災害をなくする、こういう本道に持つて行くという方針であります。次に戰災その他に関しまして、住宅の建築は、非常に少い。本年九月までに建てましたものは百三十七万戸であります。併し今以て三百余万戸の直ぐ建てねばならん家があります。殊に庶民住宅或いは重要産業労務者の住宅、これに非常に急を要するのであります。取敢えず本年といたしまして四十万戸を建てることにしています。この資材は十分確保する見込があります。この資金といたしまして、或いは國庫の補助金もか、地方の起債とか、或いは復金融資、これらを似て先程申上げました庶民住宅或いは引揚者、或いは重要産業の労務者住宅、これに充てますが、約それが十二万戸であります。ところがあとの二十八万戸は殆んど自分の資金で建てる、こういう情勢であります。ところが、こういうインフレの傾向にありまするからして、この自分の資金が段々欠乏する故でもありましよう、むしろこの許可を申請して來るんが毎月減つている。こういう状態であります。でありますからして、この資金の面をどうするかということを我々は非常に研究しております。尚、今申したように四十万戸では非常に不足でありますから、來年度はこれをもつと建てたいという希望を持つております。以上お答えいたします。
#24
○議長(松平恒雄君) 中平君の残余の御質疑に対する総理大臣の答弁は後刻いたされるお申出であります。
   ―――――・―――――
#25
○議長(松平恒雄君) 日程第二、科学技術行政協議会法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。
   〔河井彌八君登壇、拍手〕
#26
○河井彌八君 科学技術行政協議会法案の内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申上げます。
 この案は前回の國会におきまして相当精細な審査を行いまして、最終の目に委員会の可決報告書を議長に提出して置いたのであります。然るに不幸にして同日の会議に上程することはできませんのでありました。そこで今期國会におきまして、昨日委員会を開きまして、前回における委員会の審査そのままを踏襲いたしまして、直ちに採決に入りまして、全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。
 これより大体の説明を申上げます。科学技術の面上と普及とは一我が國再建の上において最も必要な條件であります。そこで科学技術の向上のために、先きに第二國会におきまして可決せられましたところの日本学術会議法、これは去る七月十日に法律として公布せられておりますが、それによつて科学技術の向上をはどこまでも進めて行くという、この構想であります。而してその科学技術の向上をば行政面に徹底的に行わせる方法といたしましては、政府との間に立ちまして特殊の機関の必要があるのであります。即ち科学技術行政協議会、これがその役目を勤めるものであります。我が國の科学水準というものは、まだ先進國に比べまして遺憾ながら甚だ低いと言わなければなりません。殊に戰争におきまして大いに進歩が妨げられた観があるのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 又その科学技術も、行政面において或いは又民間等におきまして本当に徹底して利用せられておるかと申しますると、そういうことは遺憾ながら甚だ不十分であります。即ち科学の向上と、それから科学の実施ということが、ばらばらになつておるというのが今日の実情であるのであります。そこで、その欠点を補いまして、どうか行政面において先ず以てこれが徹底せられるようにするために科学技術行政協議会が設けられるのであります。
 そこで科学技術行政協議会はどういことをするのかと申しますと、日本学術会議から勧告した事項、或いは行政廳から学術会議に諮問をいたしまして、その諮問に基いて答申を得たその事項をば、政府各省各官廳等の行政機構に十分に反映させるような必要ね措置をとるという事柄、それから次には行政機構相互の間におきまして科学技術の連絡をいたし、十分なる調整をなすということ、又その外、政府が行うべき科学技術に関する國際的の事業を実施する方法などを審議する機関であります。審議機関でありまして議決機関ではありません。而してその実行者は政府或いは行政廳等がこれの実行に当るものであります。
 協議会の組織は会長、副会長各一人、委員二十六人以内といたしまして、委員は関係行政官廳の官吏及び学識経験者の中から内閣総理大臣が任命することになつておるのであります。尚これに幹事二十人以内を置きまして、委員と同様、各行政職の官吏及び学識経験者から内閣総理大臣が任命することになつておるのであります。そしてこの委員にいたしましても幹事にいたしましても、いずれもその半数は学識経験者より選定せられるものとなつておるのであります。更にごの事務を取扱うために事務局を置きまして、総理廳の所管とするのであります。尚この協議会を設置するところの経費につきましては、すでに第二回の國会において議決せられております総予算、即ち二十三年度の総予算に計上せられておるのでありまして、本年の六月から明年の三月まで十ヶ月分百二十万円を計上いたしてあります。而うしてその主要なるものは人件費であるのであります。又その法律の施行期日は明年一月二十日であります。これは、この協議会と不可分の関係にあるところの日本学術会議が明年一月二十日から出発するのであります。それと同時に施行する必要があるからであります。現に日本学術会議の議員の選挙は來る二十日にこれを行うことになつておることは諸君の御承知の通りであります。
 委員会におきましては行政機構の簡素化、能率の増進、又同時に経費を節減するという等のことを最も大切に考えておりまして、この点がら本案を考重に審議いたしたのでありまするが、すでに予算も通過しておることでありまするし、その経費も意外に謹少であるのでありまするので、これを認容いたしたのであります。又科学技術の研究に関することは最も今日の國策の根本として必要なことである、而してそれを行政面に十分に延ばして行くということは、又最も大切なことであるという点から、本案は全会一致を以て可決すべきものと決めたのであります。委員といたしましては、かように審議会の重要性を認めて、そうして積極的に更に活動をするようにという希望を述べた委員もおありになつたのであります。その予算上の経費は割合に少額であるけれども、どうかこれは國民の負担をできるだけ少くするという意味において、少い経費であるけれども、十分なる活動を希望するという考えが強かつたのであります。大体かような意見を以て全会一致可決したのであります。この段御報告申上げます。(拍手)
#27
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君は起立を請います。
   〔総員起立〕
#28
○副議長(松本治一郎君) 総員起立とめます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
   ―――――・―――――
#29
○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費至急額改訂に関し議決を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)を議題することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長山田節男君。
   〔「早く頼みます」と呼ぶ者あり〕
   〔山田節男君登壇、拍手〕
#31
○山田節男君 只今議題となりました職業安定湛第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件につきまして、委員会におきます審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず本議案の内容につきまして申上げまするが、先に第二國会に提出せられました職業安定委員会委員の旅費支給額は、本年六月三十日國会の議決を得まして直ちにこれを実施いたしましたのでありますが、最近の経済事情、特に現在進行中の物價改訂等による影響によりまして、甚だしく低額に失するに至りました。これがため支給額の改訂につきまもて、職業安定法第十二條の規定に基き、これを両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会の議決を得なければならないことになつておりますので、ここに提案せられたものであります。その改訂支給一顧は一應官吏の旅費額を基準として定められたのであります。即ち今回官吏の旅費支給額につきまして、暫定的の改訂が行われましたので、職業安定委員会委員に対する支給額も、それに準じて改訂しようとするのでありまして、その増加額は一律に官吏の相当額の増加と同等に増加ぜしめた次第であります。その改訂旅費額はお手許に配付せられました印刷物の別表によつて御覧願いたいのでございます。次に、本議案の目的とするところは、職業安定委員会の委員が委員会に出席する場合、又は実情調査等公務のために本邦内を旋行ずる場合におきまして、それに要する鉄道賃、船賃、車馬賃、日当、宿泊料等の旅費を増加支給して、職業安定委員会の機能を十分に発揮せしめんとするものでございます。
 本委員会は十二月六日予備審査を行いまして、愼重に審議をいたしたのでございまするが、次いで十二月八日、衆議院との合同審査会を参議院において開催いたしまして、衆参両院双方の労働委員会理事が当該議案に関しましてそれぞれの労働委員会における審査の模様を報告したのでありますが、別段に質問もなく、討論に入り、採決の結果、右議案は合同審査会におきまして、全会一致を以て原案通り可決せられたのであります。次いで十二月十日、衆議院より本院に送付せられましたので、即日、本審査を行なつたのでありますが、本議案は趣旨内容が極めて簡單明瞭でございますので、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決せられたのでございます。以上御報告申上げます。(拍手)
#32
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#33
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
   ―――――・―――――
#34
○副議長(松本治一郎君) この際、日程第四より第七までの請願及び日程第八の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。
   〔塚本重藏君登壇、拍手〕
#36
○塚本重藏君 只今上程せられました請願四件、陳情一件に関する厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。
 請願文書表第七号、國民健康保険の診療施設費國庫補助増額に関する請願、右の請願の要旨は、和歌山縣下は既設医療機関の乏しい山間海辺部である関係から、充実した國民健康保険による診療施設が必要であるので、これら施設の建築を計画いたしまして、創設費の三分の一の國庫補助を申請したのであるが、本縣のように災害が多くて財政の貧弱な縣では、地元の三分の二の負担は困難であるから、これら創設費については二分の一を國庫より補助せられたいというのがその趣旨であります。本委員会におきましては審議の結果、第三國会におきましても、すでに同一の趣旨の請願十二件と陳情二件を内閣に送付したのであります。本請願の事項は、地方財政法第十三條によつて当然必要な財源についての措置が講じられなければならないのに拘わらず、これが実行できないことは甚だ遺憾であります。併し政府は二十三年度追加予算及び二十四年度予算において努力する旨の言明がありました。委員会は重ねて政府にこれが善処を要望し、本件は本会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表第十一号、社会保障制度立法に関する請願並びに請願文書表第十三号、社会保険制度の現実に関する請願、右の請願二件は、いずれも社会保障制度に関する請願でありますので、一括してその要旨を申上げます。健康にして文化的なる国民生活の保障を図ることは、民主國家建設の必要な要件であつて、憲法に明記せられたる我が國家の基本方針の一つであります。然るに現下の國民生活は辛うじて旧態そのままの救貧的立法による部分的施策に依存しているのでありま事。ために、國民は常に暗濃たる状態のままに放置ぜられていることは誠に痛歎に堪えないところであります。よつて速かに國民の最低限度の生活を保障し、その福祉の増進を図るため、社会保障制度を樹立し、諸般の立法化を促進せられたいにいうのがその趣旨であります。これに対する政府の意向は、只今中平議員の質問に対し厚生大臣の答弁がありました通りであります。本委員会においては、すでに第一回國会以來、本制度確立促進に関する各種資料の蒐集を図り、逐次その調査研究をいたして來たのでありますが、その結果といたしましてう國会内に強力なる調査機関を持つべきであるとの強い要望が起りまして、目下その実現に関する手続を進めておる次第であります。よつて本請願は、委員会の審議の結果、現下の日本における民主安定の方策としましても、國民最低生活の保障を目途とする融会保障制度の速かなる実現を図ることの必要を痛感いたしまして、本件はいずれも妥当なものとして、議員の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 請願文書表第十二号、社会事業基本法制定に関する請願、右の請願の要旨は、現行の社会事業法が死文化されているために社会事業施設の運営が困難になつているから、新時代の社会情勢に即應して、斯業の強力なる推進を図るため、あらゆる社会事業を網羅して、その基本的憲章たるべき社会事業基本法を制定し、例えば厚生、司法両省の保護事業等ま、これをすべて社会事業としての一元化を図ると共に、一切の公私の社会事業に適用し、その民主的運営を図るようにせられたいというのが、その趣旨であります。これに対しまして政府の所見を聴取いたしましたところ、本法制定に対しては、かねて現行の社会事業法の改正についても研究しおり、適当なる法案の提出を考慮している旨の答弁がありました。本委員会においては、第一回顧会以來、我が國社会事業振興に関する調査研究を続けておりまして、すでに一懸の成案を得て、その結果を諸君に御報告いたしましたところであります。かような次第でありまするので、議院の会議に付して、これを採択し、内閣には送付を要しないものと決定した次第であります。序でに申上げまするが、委員会におきましてはいこの問題について姫井議員、山下議員を中心として、本件の立法措置が相当に進んでおられることを申し博えたいのであります。
 次に、陳情文書表第四号、戰争犠牲者遺族の援護強化に関する陳情について申上げます。この陳情は青森縣、茨城縣、福島縣、山梨縣、神奈川縣、静岡縣、大阪府、兵庫縣、岡山縣、山口縣、福岡縣、宮崎縣の各縣の遺族代表者から、一万六千六百十五名の署名を添えて陳情せられたものであります。その要旨は、戰争犠牲者中最も惨めな境涯にあるところの遺族に対し、その生活保護が公平を欠き、或いはその取扱に不徹底を極めていることは甚だ遺憾に堪えないから、これら遺族の生活実態を調査して、その援護対策の強化を確立せられたいというのが要旨であります。本委員会におきましては、審議の結果、第三回國会におきましても、すでに同一の趣旨の請願一件、陳情一件を内閣に送付しておりまするが、重ねて政府にこれが対策につき善処を要望いたしまして、本件は議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。以上簡單でありますが、御報告を終ります。(拍手)
#37
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、社会事業基本法制定に関する請願の外は、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#38
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらり請願及び陳情は全会一致を以て採択し、社会事業基本法制定に関する請願の外は内閣に送付することに決しました。
 これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第三、水産金融に関する決議案
 一、日程第一、國務大臣の演説に関する件
 一、日程第二、科学技術行政協議会法案
 一、職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件
 一、日程第四乃至日程第七の請願及び日程第八の陳情























ソース: 国立国会図書館
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