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1948/12/13 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 法務委員会 第7号
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1948/12/13 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 法務委員会 第7号

#1
第004回国会 法務委員会 第7号
昭和二十三年十二月十三日(月曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○司法警察職員等指定應急措置法の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○少年法を改正する法律等の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○裁判所職員の定員に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○罰金等臨時措置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○議案の提出に関する件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
 を改正する等の法律案(内閣送付)
○檢察官の俸給等に関する法律の一部
 を改正する等の法律案(内閣送付)
○刑事補償法を改正する法律案(内閣
 送付)
  ―――――――――――――
   午後一時五十二分開会
#2
○委員長(伊藤修君) それでは法務委員会を開会いたします。本委員会に付託となりました司法警察職員等指定應急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続き質疑を継続いたします。別に御質疑がなければ、本案に対するところの質疑は、これを終局とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(伊藤修君) それでは質疑を終局いたします。それでは討論は、これを省略して直ちに採決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(伊藤修君) それではさよう決定いたします。本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#5
○委員長(伊藤修君) 全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、予め御了承をお願いいたします。尚多数意見者の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    松村眞一郎  星野 芳樹
    宮城タマヨ  遠山 丙市
    鈴木 安孝  松井 道夫
    岡部  常  鬼丸 義齊
    齋  武雄  大野 幸一
#6
○委員長(伊藤修君) 次にこれも同樣本委員会付託となりましたところの、少年法を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題に供します。前回に引続き質疑を継続いたします。
#7
○宮城タマヨ君 少年審判所は改正されました少年法が施行されますについて、地方少年保護委員会の行います職権を行う機関として、暫定的にその代行機関として、権限を與えられることになつておるのでございますが、そのときに職員の組織はどういうふうになるのでございましようか。只今の少年審判所との関係はどうなりますでしようか。
#8
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。今度法律案の第一條の第二項で、「この法律の施行と同時に改正され、又は廃止される法律」、この改正されるのが少年法でございます。廃止されるのが矯正院法であります。その旧少年法と廃止される矯正院法の中で、「仮出獄、仮退院及び観察に関する規定、仮出獄中又は仮退院中の者及び観察中の者の監督に関する規定並びにこれらの規定」即ち観察とか、仮退院、仮出獄、こういつたことの実施について必要な規定は、「前項の日まで、なお効力を有する。」こういうことになつておりまして、結局実施について必要な規定というのが、少年審判所の組織に関する法律がその一つでありまして、この第二項によつて、少年審判所が当分の間、保護委員会ができるまで存続する、こういうことでありますから、結局少年法の第四章、少年審判所の組織という條項は、この仮出獄、仮退院又はそれらの仮出獄、仮退院になつた者の観察のために存続するわけであります。從いまして少年審判所は依然として存続する。ただ、その機能は、審判の機能は持たない。こういうことになります。それで、審判をしない少年審判所というのはおかしいじやないかということになりますが、これはやはり官廳を作りますのには、法律はどうしても必要でございますし、又実施するというのが、極めて最近に決りまして、新らしく法律を準備する暇がなかつたので、止むなく少年審判所を使うということになつたわけであります。そして今度政令を出します際に、少年審判所令という政令を出します際に、できれば法律上は少年審判所でありますが、丁度監獄法によつて、監獄が現在刑務所という名前を持つておりますように、生れ出るこれの名前は東京地方少年保護局といつたような、そういつたような、実体に合うような名前を付けるようにいたしたい、かように存じております。
#9
○宮城タマヨ君 そうしますとパール法ができますと、地方少年保護委員会ができて参りましたときには、その少年審判所はそのまま消えるのでございますね。
#10
○政府委員(齋藤三郎君) 左樣でございます。
#11
○宮城タマヨ君 それではそうしまと、その職員でございますけれども、その暫定的な少年審判所というものの職員と、それからこの家庭裁判所の方の少年の裁判官は、どういう関係でございますか。
#12
○政府委員(齋藤三郎君) 現在の少年審判所の審判官の中で、家庭裁判所の方に移られることを希望の方は、そちらへお移りになるようにしたいと思います。それから依然として少年審判所でやつておりました実施面の方をやつてみたいという方は、このままで少年審判所の職員としてお残りになる、発令も何にも要らないでそのままやる。それで家庭裁判所は、四十九廳を作られるような予算でございますので、その執行を担当いたしまする新らしい少年審判所は、やはりそれと対應すべきものだと考えますので、この四十九廳を作りたい、かように考えております。
#13
○宮城タマヨ君 実は今度の少年審判所から家庭裁判所に変つて行きますということの当然なことは分つておりますけれども、これは社会的に考えて見まするというと、以前この四十五議会でございますが、少年法が通過いたしまして、審判所ができました当時から、随分その少年審判所というものに対しても、世間に分つて貰うことが困難であつたのであります。それが今度この家庭裁判所というふうに、名前が裁判所となれば、実質はちつとも少年審判所と変らないし、そこで子供の保護をし、それから相談に應ずると申しましても、なかなかそれは困難なことではないかと思うのでございます。で、それについて非常に心配いたしまして、この宣傳方法、或いは宣傳に要します費用をどのくらい計上されておるかということを前々回に質問したのでありますが、政府は相当にそのことを考慮しているというお話であつたのでございますけれども、ここに又以前通りの少年審判所というものがある。そしてそれは決定権は裁判所が持つて、その施行面の方だけということになりますというと、非常に私は混雜しないか、世間的に分りにくくはないか。そして殊に今度も少年審判所時代から引続いて保護の面で担つておりますことは、警察に参ります少年というよりも、むしろ通告を受けるところの少年を担わなくちやならないし、殊に今のこういう時代で、犯罪少年、不良少年が殖えております時代には、最も私は通告事件を重んじたいと思いますときに、この少年審判所という名前が、もう一遍活きて、両立しているような形でございますということは、大変に私は問題じやないかと思うのでございますが、その点如何でございましようか。
#14
○政府委員(齋藤三郎君) さような点を考慮いたしまして、法律の上ではいたし方なく少年審判所は存続いたしまするが、具体的に世間に出るときには東京地方少年保護局とか、保護観察所とかいうような、実態にふさわしいような名前を政令で、法律に抽象的に決つたものを具体化するときには、一、名称は左のごとく定めるというような、政令が出ます際に、丁度監獄法で監獄を何々刑務所という立法をいたしておりますようにいたしたい、かように考えております。
 尚又宣傳につきましては、予算その他不十分でございまするが、幸い関係方面の示唆もございまして、來月あたりラジオ、その他いろいろな方面で一つの綜合的な宣傳をいたすことをいたしまして、司令部はその方面の方の御了解も得ておりますので、さような際に十分この強制保護の新らしい機構なり、運営なりについて國民の方々に知つて頂くように努めたい、かように考えます。
#15
○委員長(伊藤修君) ほかに御質疑ありませんですか。
#16
○鬼丸義齊君 非常な短日月の間に審議して行かなきやならん今度の議会の場合には、突如として迫つた折に、いろいろな法案をどんどん出して來られるというと、いつもながらなんだか私共は、咀嚼もなんにも一切できつこなしに、鵜呑みにして行くということは、非常に良心的に我々は堪え得ないのですが、本当の緩急の度を図つて、審議の急を要する止むを得ないものは別として、然らざるものに対しては、もう少し審議に対して余裕を貰わなけけば事家上非常に私共も困るのです。であるからできるならば、もう少し審議には余裕を貰うような進行をして頂きたいと、こうお願いしたいと思います。
#17
○松井道夫君 提案理由書を拜見いたしますと、今の少年院法、それから少年法、共にこの問題の機関を設置する運びになつておらない。今の両方の地方少年保護委員会、及び地方成人保護委員会、それでこういう應急の処置ですが、必要になつたという趣旨に拝見できるのでありますが、その運びに至るのに遅れる理由はどういうことなんですか。
#18
○政府委員(齋藤三郎君) 速記を止めて頂きたいのですが……。
#19
○委員長(伊藤修君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて下さい、他に御質疑はありませんか。
#21
○鬼丸義齊君 先程私が申上げました通り、これだけ山積しておつて、それが僅か今日一日の会期とか、明日一日というようなことになつておるときに、急にパツと持つて來られてしまつて、どれがどれだかさつぱり分らなくて、うろうろになつてしまう。こういう我々が何を聽こうとしても分らないようなやり方は、如何にも我々は良心的に堪えないんです。ですから本当に急を要するもののみを成るべく整理して頂いて、その方を一つ先に審議して行きたいと思います。今の少年法を改正する法律等の一部を改正する法律案などは、最も急を要するものであるかということもこの際伺つて、そうしてその他の法案についても、万止むを得ないようなもので、非常に急を要するものであるならば、その趣旨を述べて貰つて、そうして成るべく整理して、委員会としてもう少し我々良心的に一つ諾否を決めて行きたいと思います。それを一つお諮り願いたいと思います。
#22
○委員長(伊藤修君) 只今鬼丸委員の御意見もありますが、当委員会に継続中の各法案について、いわゆる急速を要する程度を政府委員において一つ御説明を願いたいと思います。この法案のみでなく、他の法案につきましても……。
#23
○政府委員(齋藤三郎君) 少年法を改正するこの法律案についての必要のゆえんを申上げます。只今申上げましたように、一月一日から家庭裁判所が発足いたしまするが、家庭裁判所がより多く決定いたしまする保護処分の一種である檢察ということができなくなりまして、家庭裁判所の運営が不十分になりますので、少年院におりまする少年が、この法律が通りませんと、何ケ月でも目的を達成しましても、言葉は惡いのでありますが、満期になりましても出せないというようなことになりまして、現在も少年院が超満員でございまするが、その後更に收容して教育しなければならん子供を、新規に入れることができないというような、甚だ困つた事態が生ずるので、これは緊急を要するものと私共は考えます。
#24
○政府委員(岡咲恕一君) 裁判所職員の定員に関する法律案の緊急なゆえんについて御説明申上げます。この法律案は提案理由を御説明申上げました際にも申上げましたように、刑事訴訟法の改正に伴なう職員の増員と、家庭裁判所新設に伴なう職員の増員、それから更に民事訴訟法の改正に伴なう職員の増員でございまして、これはいずれも明年一月一日から施行されるところの、この法律の施行に基きます必要な職員の増員でございますので、是非共速かに御審議を願いまして、御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
 次に裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案、檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案、この両案の緊急御可決を願わなければならんゆえんにつきましては、別段申上げるまでもないかと存じます。
#25
○政府委員(高橋一郎君) 外にまだ当委員会に付託されております案件で、刑事補償法の改正に関する法律案と、罰金等臨時措置法案とかございますが、この中では罰金等臨時措置法案の方が緊急なものと考えております。刑事補償法の方も、事人権に関する問題でありまして、極めて急を要するものでありますが、万一場合には、遡つて適用するというような方法で救済する途もあろうかと考えております。罰金の引上げの方は、そのような便宜の手段は勿論許されない性質のものでありまするのみならず、毎日々々実際の裁判、檢察に当りまして、極めて不合理な現象が起きておりますので、一日も早くこれを是正する必要がございます。よつてやはり緊急なものとして御了解を願いたいと思うのであります。
#26
○委員長(伊藤修君) 尚その点につきましては、後に法務総裁、若しくは政務次官に出席を求めまして、重ねて御答弁願うことにいたします。では本案に対するところの質疑はこれを終結することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(伊藤修君) では質疑はこれを終局いたします。つきましては、討論はこれを省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(伊藤修君) それではさよう決定いたします。では本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#29
○委員長(伊藤修君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚委員長の本会議におけるところの口頭報告の内容につきましては、予め御了承を願つて置きます。尚多数意見者の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    鬼丸 義齊  星野 芳樹
    宮城タマヨ  鈴木 安孝
    遠山 丙市  岡部  常
    松井 道夫  齋  武雄
    大野 幸一  松村眞一郎
#30
○委員長(伊藤修君) 次に裁判所職員の定員に関する法律案を議題に供します。前会に引続き質疑を継続いたします。別に御質疑ありませんですか……。では質疑はこれを終結することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(伊藤修君) では質疑は終局いたします。討論は省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○委員長(伊藤修君) ではそういうことに決定いたします。本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#33
○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容については、予め御了解願つて置きます。尚多数意見者の御署名を願います。
  多数意見者署名
    星野 芳樹  宮城タマヨ
    鬼丸 義齊  遠山 丙市
    岡部  常  鈴木 安孝
    松井 道夫  大野 幸一
    齋  武雄  松村眞一郎
#34
○委員長(伊藤修君) 次に、罰金等臨時措置法案を議題に供します。前会に引続きまして、質疑を継続いたします。
#35
○鬼丸義齊君 これは私ら、まだ十分に調査ができておりませんので、打切りをするようにお計らいを願います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○松井道夫君 附則についてお尋ねしたいと存ずるのでありますが、この提案の理由、或いは逐條説明書によりますと、從來の條例におきまして、この科料、或いは千円以下の罰金を規定しているような條例は、この法律が出ることによりまして、附則の第二項ですか、さような規定がございませんと、無効になるという趣旨に了解したのでございますが、この無効となる根拠をお伺いしたいのです。
#37
○政府委員(野木新一君) 條例につきましては、御承知のように、地方自治法第十四條第五項に置きまして、「普通地方公共團体は、法令に特別の定があるものを除く外、その條例中に、條例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料又は沒收の刑を科する旨の規定を設けることができる。」この規定によりまして、罰金、科料等の罰則が設けられておるわけであります。そうしてこの罰金、又は科料の刑を科することができるという罰金、科料は、刑法総則の罰金、科料の規定を受けておるものでありまして、從つて、若し、刑法総則の方の罰金の價額又は科料の價額等が変更になれば、おのずから地方自治法第十四條第五項の規定によつて定め得る罰金、科料の額を変更して、内容が変つて來るわけであります。ところでこの罰金等臨時措置法によりまして、正しく刑法総則の罰金及び科料の額等が、臨時的に変更を見ましたので、從つて今後におきましては、地方自治法十四條第五項の罰金、科料の額も、これに從つて変更して行くわけであります。ところが御質問のように、すでに適法に、地方自治法十四條第五項の規定によつて、制定せられた條例の罰則の効力はどうかという問題になるわけでありますが、この点につきましては、條例は、法令の範囲内において効力を有するものでありまして、從つて刑法総則の罰金、科料の規定に臨時的な変更を受けた以上、それに從つて、その効力がなくなつて行くという見解が有力に出て來るわけであります。併し條例というものは、地方公共團体の自治権に基いて制定せられるものでありまして、これを國家の法律で、直ぐに内容まで変更してしまうのは、政策的にもどうかと思われる点がありましたので、罰金等臨時措置法第四條におきまして、「條例の罪を除く」といたしまして、條例については除外例を設ける。而してこの附則の第二項で、六ケ月間は、この臨時措置法案の第二條の規定を適用しないことにして、從つてその期間は、これを有効として存続させ、その間に実際の自発的の意思によつて、これを臨時措置法案の体系に合致するように改廃をして頂く、そういうような構想であります。要するに條例は法令の範囲内において効力を有するものでありますから、この臨時措置法案が成立いたしますと、それに矛盾する限度の條例の罰則はおのずから効力がなくなる、そういうような考え方であります。
#38
○松井道夫君 そうしますと、只今の御説明で或る程度分つたと思われるのでありまするが、そうしますと、單に條例のみでなく、他の法律で今の罰金と臨時措置法の内容と違う罰金等の規定があり、その規定が第四條のような規定がなければ、これも無効となるというように御解釈になるのですか。尚補足いたしますと、只今政策的の考慮から條例を除いた、こうおつしやるわけなので、政策的の意味でなければ、この四條から條例を拔く必要がないという結論に達したのでありますが、無効になるということは、單に條例だけでなく、他の法律についても同じことになりますか。
#39
○政府委員(野木新一君) 前法後法の関係によりまして、結局この罰金等臨時措置法案が施行になる以前に施行になつておる法律は、この罰金等臨時措置法案と矛盾する限度で効力を失ない或いは変更されて來る。そういうふうになろうと思つております。
#40
○松井道夫君 それで、私は只今の政策的考慮ということについては、疑問を持つておるのであります。成るほど條例というものは、地方自治体がこれを作るものであつて、國会でこれを作る権限はないわけなのでありまするから、個々の限定された條例について、とやかく申すのではないのでありまするが、國家の大局から言いまして、罰金並びに科料の制度を変更するという場合におきまして、その変更の理由が地方自治体の刑罰法規にも共通のような場合、勿論今回の場合は共通であつて、何らインフレは地方自治体にしても同じことなのであります。それで國全体の公器という点から見て、こういう改正が必要なのではないかと存ずるのであります。それで國家といたしまして、罰金、科料を変更する必要があるならば、條例についても同じことが言えるのでありまして、何もこれを除外する理由がないかと存ぜられるのであります。むしろこの四條の、「條例の罪を除く。」というのを削りまして、そうして地方自治体で條例を作つたときにいろいろな経緯があると思われるのでありますが、そういつたことの上で、少しこれは重過ぎるというようなことがあれば、附則の六ケ月間適用しないでその間に改めて貰えばよろしいのであつて、この附則第二項の後段のような規定は敢て必要としないのではないか。要するに條例についても、一般の法律と同じにこれを取扱うというただ六ケ月間の中に、地方自治体で必要時において、調整をするという余裕を與えれば、それでいいのではないかと思われるのであります。そのことについて御意見を伺いたい。
#41
○政府委員(野木新一君) 先程の説明が多少盡さなかつた点があるかとも思いますが、要するにこの罰金等臨時措置法が成立して、施行されますと、これと矛盾する條例の罰則は効力を失うわけであります。併しながら條例というものの性質上、又地方自治というものの本質上、法律で以て條例の効力を失うという点までは、法律と條例との優劣の関係上差支ないと思いますが、更に進んで法律を以てこの條例の内容を変更して行くという点まで行きますと、地方自治の本質とか、條例の性質からいつて面白くないし、むしろそういうことができないのではないかという意見も、非常に有力なのであります。御意見のように若し第四條第一項の括弧内の「條例の罪を除く。」というのを削つてしまいますと、この第四條の規定によりまして、條例で決めておる罰則が單に失効するだけではなくて、積極的に内容的に変更を受けるという形になりますので、只今申上げたような理窟から、それは妥当かという見解に到達いたしまして、四條からは一應條例を除く。即ち國家的法令についての罰則のみを、ここで積極的に変更して行こうという見解を採つたのであります。そうして條例については先程も申しました通り附則第二項におきまして、六ケ月間はこの第二項の規定を適用しないで、從つて條例の罰則はその効力を有して置く。そうして第二項の後段は六ケ月間経つて、この法律に適合するように條例の罰則を改廃いたさないと、それから失効する。その條例の罰則が効力を失うわけであります。而して附則第二項の後段を置きませんと、効力を失つた場合に、尚條例の効力があつた当時犯した犯罪について、これを罰するわけには行きませんので、この附則第二項の後段を置きまして、條例の効力のあつた当時行われた違反行爲については、仮令條例が施行し又改廃された後においても亦、臨時措置法第二條の規定に拘わらず、元のように罰金又は科料の金額の範囲で、これを適用して行くという趣旨であります。
#42
○松井道夫君 私の見解は決して現在熟しておる、こういうわけではないのでありまするが、研究中なんでありまするが、要するに政府側とは見解の相違であつて、私は條例の罪を除く必要ない、四條から條例の罪を除く必要はない、そうすればこの附則の第二項は前段だけでよろしい、さような見解なのであります。
 それから第三項でありますが、第三國会で成立した法律の罰則についても適用するということなんであります。現在においてはさような第三項は必要ないのではないかと思われますが、その点を……。
#43
○政府委員(野木新一君) 実はこの罰金等臨時措置法を立案しておつた頃は、第三回國会に提出するつもりで立案しておつたわけでありまして、その当時法制局等において調べましたけれども、第三回國会提案の法律案の中で、罰金、科料、罰金の額は千円以下というようなもので、即ちこの罰金等臨時措置法の体系に合致しないものは、具体的にどの程度あるか、どんなような法案があるかということははつきりいたしませんので、この附則第三項のような抽象的な規定を置いたわけであります。それがいろいろの関係で第三回國会に、これは提案されず第四國会に提案する運びになつたわけであります。第三項は当時のものはそのまま残つておるわけでありますが、具体的に今調べて見ますと、これに該当するものといたしましては、水産業協同組合法という法律は、第三回國会で成立しておりまして、それには千円以下の罰金に処すという規定が含まれておるのであります。そうしてこの法律が、若しこの罰金等臨時措置法が施行される以前に、即ち來年の二月一日以前に水産協同組合法が施行になれば、この法律が後法の関係に立ちますので、第四條の規定によりまして、当然千円以下の罰金というのも、二千円以下の罰金に処すというように変えられて行くわけでありますが、どうもこの水産業協同組合法というのは、いろいろ準備の関係上二月一日以前に施行になるのは非常に望みないというような話でありますので、依然としてこの附則第三項以下を存置して置いた次第であります。
#44
○松井道夫君 今の逐條説明書の中にもあるようでありますが、私は國会で成立しておれば、それでよろしいので、施行は幾ら遅れても、成立しておれば、当然この法律によつて受けると解して、少しも差支えないのではないかと思うのであります。そういたしますと、三項は不必要になると思う。その点についてどうして施行ということが必要でありますか。
#45
○政府委員(野木新一君) 御指摘のような議論も、一應私共の間で話題に上ぼりました。ところがいろいろ意見を戰わした結果、やはり法律は公布して施行すといつたときに外部的の効力が生ずるものであるから、やはりこの施行という方で抑えて行つた方がよろしいという説も亦非常に有力に主張されたわけであります。この点は尚それぞれ両説が有力に主張され、理窟づけられると思いますが、少くとも現在の段階においては施行期で見て行つた方がよいのではないかという非常な有力な説もある関係上、この法案といたしましては疑を避ける意味におきましても、やはり附則第三項の規定は存置しておいた方がよろしいという趣旨に考えておる次第であります。
#46
○松井道夫君 そうしますと、ここでは第三國会で成立した法律ということになつて、三項に書いてありますが、結局第三回國会で成立して、施行期が本法の施行期より後の遅れた法律について適用するという趣旨になりますが、それでよろしいのでしようか。
#47
○政府委員(野木新一君) 第三項で非常に心配し、特に第三項の規定を置いた趣旨は、この御指摘の点を考えまして、そういうような法律を、頭において規定したわけであります。
#48
○委員長(伊藤修君) 法務総裁が出席されましたので、先程鬼丸委員の御発言がありました事項について、御答弁願うことになつております。
#49
○星野芳樹君 先程鬼丸委員より熱烈に指摘されたのですが、鬼丸委員が見えていないので、代つて質問いたします。この会期が終りになつてから、ばたばたと幾つも法律案が出て参りまして、法案の名前さえも覚えきれないという状態で、我々が良心的に法案を審議するのに、誠にどう取扱つてよいか分らんような状態であります。これが多少の法務廳の慣例のごとく毎回閉会間際に幾つも出て來る。これでは、我我も良心的に審議し得ない。言葉を換えて言えば、法務廳が議員を愚弄しておるとも言える。議員を愚弄しておることは、即ち國民を愚弄することになるので、この点を法務廳として何か適切に、こういうことが絶対にないような方法をとられる御意思があるかどうか。これを伺いたい。
#50
○國務大臣(殖田俊吉君) お尋ねの件は誠に御尤もでありまして、決して愚弄を申上げたわけではありません。各般の情勢のために、実は法案が終りになりまして、一遍にこれも出せ、あれも出せというようなことから止むを得ず出ましたのが沢山ございます。そのために、例えば刑事訴訟法の施行の如きは、実は到底十分な準備が整いませんから、延期を願つておりましたが、どうしても延期を許されないということになりまして、そうなればというので、多分それに随伴しまして、いろいろな問題が一遍に出て來たこともあると思います。これはどうも実は甚だ好ましからざることでありまして、そういうことのないようにと思つたのでありますけれども、どうも目下のところ止むを得ざる事情もございましたので、それは御了承願いたいと思います。
 それから衆議院の、外の院のことを申しては甚だ何でありますけれども、やはり御都合があると見えまして、なかなか思うように運びませんで遅くなりますのもございます。我々の怠慢もございます。まあいろいろなことでかように差迫つて沢山ここに出ましたような次第でございます。勿論法案のでき次第こちらの方へも、衆議院に出ておりましても、こちらへ出ておりませんものは、こちらでは予備の審査を願つており、或いはこちらで本審査を願つておりますものは、衆議院でも予備審査を願つておりまして、両方が一時に一遍に重り合わないように心掛けたのでありますが、いろいろな都合でそう行き兼ねまして、昨日今日になりまして俄かに沢山出て参りましたが、甚だ恐縮に存じておるのであります。無論今後もこういうことがあるかも知れませんが、我々といたしましては、法務廳だけといたしましては、できるだけ手を盡しまして、さようなことのないように努めたいという念願でございます。ただ諸般の情勢上、その通り行かないことがありますので、予め御了承願つて置かなければなりません。只今のところ昔と違いまして、一層困難な状態にありますものですから、それに決して責を帰するわけではありませんが、そういう場合もあることを御了承願いたい。無論今後御意見の通りに、一生懸命努力をするつもりではございます。そういう決心の程を申上げまして御了承願います。
#51
○星野芳樹君 只今の説明だと、諸般の事情によつて止むを得ないから御了承ということに落ちるので、これに関しては委員会として何らか意思表示をする必要があるのではないかと思いますが、只今の法務長官のお答えでは、なるべく努力するけれども、事情によつて止むを得ないかも知れない、何ら將來に対して保障がされていない。これに対してむしろ法務委員会として、こういうことのないようにしたいという意思を表示すべきじやないかと思うのですが、如何でしようか。
#52
○委員長(伊藤修君) 先の法務総裁時代にも、再三非公式には申上げたことでありますが、大体法務委員会にかかるところの法案におきまして、予算を伴うものは衆議院に先にお出しになる、然らざるものは参議院に先に出す、そうして交互に審議を重ねて参りますれば、ムースに行くのじやないか。又法審議も速かに進む。そういう方式にお願いすることは、再三政府に非公式に申上げておる、にも拘わらず、私の記憶する範囲におきましては、第一國会から本國会に至るまで、参議院先議は確か四件ぐらいだと思います。悉くが衆議院先議になりまして、極く簡單な法律でもいわゆる会期末までこれは持たれまして、会期末になつてから参議院に送付される。参議院におきましては、意見があつてもそれを十分討議することもできない。勿論修正のごときは思いも及ばん、時間的において不可能である。こういうことになりまして、参議院の審議権がその点において無視される。こういう点は参議院の委員会として常に不服であるから了承できないのです。ですからその点を將來どういうふうになさるか。法務総裁の御意見をはつきり伺いたい。
#53
○國務大臣(殖田俊吉君) 若しそういうふうな便宜な方法が採れれば、なるべくそれによりたいと無論思います。どういうわけで衆議院の方へ余計先議になつておりますか、恐らく私は衆議院の強い政治上の要求でそうなつておるのじやないかと思いますけれども、併しながら若し單に私共の取扱いの上において、さようなスムースな方法がありますれば、私は無論それによりたいと思います。できますれば、今後そういう御趣旨に副いますように努力して行きたいと思います。
#54
○委員長(伊藤修君) それは旧憲法時代におきましては、御承知の通り法務委員会に属するような法案につきましては、貴族院が悉く先議であつたそうでありますが、新憲法になりましてから、衆議院が予算については先議権がある。こういう点から概念的に先議という方針が採られておるのですが、併しそれは予算が伴う場合において然りであつて、然らざるものについては、便宜法案審議の促進を図るために、参議院で先議さしても、敢て法案審議においては差支ないと、こう考えますが、そうすることがこれを運行する上においては好ましいことではないかと、こう考えるのです。
#55
○國務大臣(殖田俊吉君) 全く御同感に思います。ただ如何なる法案が予算を伴いますか伴いませんか、そこに或いは多少のデリケートな問題があるのじやないかと思いますけれども、よく御趣旨は分りましたから、成るべくその御趣旨の線に副うて努力したいと思います。
#56
○委員長(伊藤修君) では鬼丸さんは大分強い意見ですが、おられませんから、他に御意見ありませんですか。
#57
○松井道夫君 只今星野議員から発言されて、法務総裁も了承された件に関連しまして、現在当委員会に継続しております案件、並びに將來継続される案件、これはないと思いますが、來國会にどうしても讓れないと考えておられる法案とその重要度をお尋ねしたい。
#58
○國務大臣(殖田俊吉君) 今残つておりますのは、只今御審議を願いました罰金等臨時措置法案、それから刑事補償法を改正する法律案、それから裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案、それから檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案、この報酬の方は大体両方ございますが、同じものでございます。
 それで今のところ罰金等臨時措置法案、これは関係方面の要望がございまして、是非お通しを願いたい。その次は只今の裁判官檢察官の報酬の件でございます。これも是非お通しを願いたい。それは今度の公務員法の改正によりまして、給與ベースが上りますにつきまして、自然こういう法案が出て参りました。実は昨晩の中にでも衆議院を通して頂きまして、もうこの際本審議を願うつもりでおつたのであります。衆議院におきましていろいろな事情で遅れましたので、もう衆議院の委員会は全部終了いたしておりますから、本会議で直ぐ通過して参りますから、この三つだけは是非お願いいたしたい、刑事補償法を改正する法律案は、これは無論お願いをいたしたいのでありますが、十分の審議の期間が或いはおありにならんかも知れませんので、これは十分に御審議を願いまして、敢えて御審議を途中で打ち切つてまで御通過を願わんでも止むを得んのではないか、こう考えております。
#59
○委員長(伊藤修君) 法務総裁がおいでになりますから、只今議題になつておりませんが、一言お伺いして置きたいのですが、いわゆる裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして、この法律に定められたる給與ベースは、いわゆる現在政府提案の給與ベースであるのがどうかという点と、それから若し衆議院においてそれ以上の給與ベースに変更せられた場合におきましては、次の國会に、速やかに改められ給與ベースに変えられる御意思があるかどうかという点を伺います。
#60
○國務大臣(殖田俊吉君) 今の委員長の御意見の通りであります。これは五千三百円ベースでできております。五千三百円より高いベースでございますけれども、五千三百円ベースでできております。從つて六千三百円に変わるようなことがございますれば、直ちに次の國会で又これを変えて頂きたいと考えております。
#61
○松井道夫君 今の給與ベースでありますが、これは問題となつておるのは、國会でありまして、尢も本國会は通常國会でありますから、通常の状態ならば、もつと続くわけなんであります。若しもこの案件につきまして、衆議院で修正にならないで、而も給與ベースの方の法案が修正されたという場合には、当然参議院におきまして、新ベースに合うようにこの案件を修正いたしまして、衆議院に廻するのが当然であると思われるのでありますが、その点について……。
#62
○國務大臣(殖田俊吉君) その問題は衆議院の委員会でも問題になりまして、若し給與法案が修正になりますれば、この判檢事の方のは参議院で御修正を願いまして、そうして衆議院に御廻し願えば、衆議院は参議院の修正の通りにそれに賛意を表するつもりであるというお話でございました。
#63
○委員長(伊藤修君) ではこの程度にいたしまして、一旦休憩いたしまして、休憩中に理事会を開きまして、進行について協議することにいたします。
   午後三時三分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時十五分開会
#64
○委員長(伊藤修君) それでは休憩前に引続きまして開会いたします。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案、並びに檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案、以上二案を一括して議題にいたします。大藏関係の政府委員にお尋ねいたします。政府提出の昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給等に関する法律案によれば、政府職員の俸給月額を三千七百九十一円ベースによる俸給月額の十三割二分、二千九百二十一円ベースによる俸給月額の十七割二分増としているが、この法律案、即ち裁判官の報酬等の一部を改正する等の法律案によれば、裁判官の報酬月額は二千九百二十一円ベースによる裁判官の報酬等に関する法律別表の額の平均十六割五分九厘となり、政府職員の俸給月額の増加率より著しく下廻つているのは何故か。一般官吏の俸給その他の給與が増額せられた場合には、裁判官の報酬その他の給與を、一般官吏の例によつて増額することが、裁判官の報酬等に関する法律第十條に明定されている。
 かくの如き規定は官吏のうち、裁判官についてのみ認められたものであつて、これは新憲法下裁判官の職責が重且つ大なるため、その地位にふさわしい待遇を確保せんとするの趣旨に出でたものに外ならない。ところがかような規定のない一般官吏については十七割二分の増加率を認め、この規定によつて強力にその優遇が保障せられている裁判官につき、それより下廻る増加率しか認めないのは、極めて不当ではあるまいか、政府は次の國会においてこの不均衡を是正し、その間の裁判官の受くる不利益を補正する法律案を提出する用意があるか、國会では目下先に述べた政府職員の俸給原案に対する修正案が準備されつつあり、而もこの案による政府職員の俸額月額は、政府原案による俸給月額より、その増加率においてはるかに上廻るものと予想せられる、從つて若しこの修正案が國会を通過した場合においては、この法案による裁判官の報酬月額は、政府職員の俸給月額より著しくその増加率において下廻ることとなり、前に述べた第十條の精神は完全に蹂躙せられることになりまして、政府は次の國会において、第十條の精神に則り、裁判官の報酬月額の増加率を少くとも政府職員の俸給月額の増加率と同一ならしめるために、この裁判官の報酬法案の別表の月額を改訂すると共に、その改訂までの間に、裁判官がこの法律案によつて受くる不利益を補填する立法的措置を講ずる用意があるかどうか、以上の三点について大藏当局の御意見をお伺いいたしたいと思います。
#65
○政府委員(今井一男君) 申上げます。今回の一般官吏の待遇改善は、最も一般官吏と申しましても、認証官以上は全部特別職になつておりますが、認証官以上の分につきましては、二千九百二十円ベースの六割増と、それから、いわゆる認証官以外の一般職につきましては、只今委員長のお話にありましたような十七割二分という数字が使われております。政府におきましても、只今委員長の御指摘になりました第十條の規定は、勿論十分拜承しておる次第でございまして、從いまして認証官につきましては、裁判官、檢察官を通じまして、一般と同様六割増の手段を執つたのであります。ただ裁判官の判事以下、檢察官の檢事以下の方につきましては、一部と申すより或いは大部分かも知れませんが、十七割二分に達しない号俸の部分が出ております。この点が恐らく御指摘の一番中心をなすものであると思います。実はこの前第二國会で御審議可決頂きました裁判官の報酬及び檢察官の給與に関する法律案では、当時いわば從來の俸給の刻みの頭をそのまま適用いたしまして、例えば五号俸が一万円であれば、四号俸が一万一千円、一万二千円、一万三千円、こういつたように等差級数的に刻んで御決定を願つたのであります。從來の日本の慣例から申しますれば、これがいわば常識的と認められたのでありますが、ただ理論的に考えますと、千円づつ上るということは、決して公平ではございませんので、やはり今貰つておる本俸に対して、何割上ると同じように、一割なら一割づつ上る、こういつた仕組に、いわば等比級数的に上らないというと、昇給としての、昇格としての意義をなさない。こういつたような議論が從來もございましたけれども、私共はその議論よりは、前申上げました立場に從いまして、当初現行法を御制定願つたのでありますが、今回十一月の初めに人事院から勧告案が政府に示されました。その際に御存じのように、成人職員二千四百七十円、最高の一万四千五百円を、等比級数の理想曲線で継ぎまして、そうして從來の一般官吏の号俸の仕組をこういつたような形に、等比級数の線によつて昇給を考えろといつたようなことが、強く要請されるようになつたのであります。勿論裁判官につきましては、これは何と申しましても、特別職でございますので、人事院の直接所管の範囲外にも属しますので、如何ように俸給の表を作りましても、差支えないわけでございますが、併し國会の御意見に、又一般の常識から申しましても、現在におきましては裁判官と檢察官とを少くとも、概ね同等に扱うことが適当であるといつた建前が確立されておりまするし、且つ又檢察官は純然たる一般職という規定にも相成つておりますので、今回人事院が示されました参考資料の法律案によりますというと、檢察官の特別の單行法を廃めて、一般の号俸の方に入れてしまえといつたような建前になつておるくらいであります。ただ政府は人事委員会の勧告を適当を認めませんで、政府の原案を提出したような次第でありますから、そういつたことから判事の給與につきましては、一番最高である一号、及び一番最低である判事補の六号、これを押えまして、これを一般官吏と同じ高さだけ上げる、ところがそれも端数の関係から、これが仮に六号が三千五百円として、十七割二分掛けますと、六千二十円という数字になりましたので、二十円だけ削る。上の方は一万四千円に十七割二分掛けまして二万四千八十円と出ましたので、八十円という数は從來の関係上好しくないというので、これを削つて二万四千円としました。從つて私共は事を好んで下げようというのではないのですが、ここに若干結果的にはちびつた結果になつておりますが、全くそれは他意がないのでありまして、上下の柱は完全に頭を揃えまして、ただその中間を只今申上げました線に副いまして、等比級数的に列べる。即ち最初が七百円、九百円、千四百円、こういうふうに上つて行くように直す。ただこれも純粹の等比級数にいたしますと、もつともつとこれは妙な恰好になるのでありますが、そこに從來の線を成るべく尊重する意味におきまして、関係方面等の意向も酌みまして、こういつた妥協的な線に落着かした次第でございます。從いまして、その精神におきまして、決して判事なり檢察官なりを一般官吏の待遇と別な待遇をしようという頭ではございませんで、全く技術的の観点から甚だ遺憾でありますが、こういつた結果が一部出て参つた。それ以外の何ものでもございませんので、委員長御指摘の十條に対する考え方につきましては、是非御諒察を願いたいと存ずる次第でございます。
 尚現在一般官吏のベースにつきまして、改正案が一部進行しておるかのような話を伺つておるのですが、その見透し等は私共無論分りませんが、万一それが変りました際には、無論十條の精神に從いまして、裁判官も檢察官も当然その方が上廻つておれば、それと権衡を取つた措置は、政府の責任において考えなければならんことであることは、これは申上げるまでもないところと存じます。
#66
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑ありませんですか。それでは先程の罰金等臨時措置法案と、只今議題に供しました二案並びに刑事補償法を改正する法律案、以上四件を議題といたしまして質疑を継続いたします。
 それでは罰金等臨時措置法案について資料の提出を求めます。本案についての資料として、制定時の区別による刑罰法令の罰金の法定額の表を提出願いたいと思います。
#67
○政府委員(佐藤藤佐君) 只今御要求を受けました表につきましては、大体重要な刑罰法令について資料が整つておりまするので、手許にある分を至急お手許に差上げたいと存ずるのであります。
#68
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑がなければこの程度にいたしまして、本日は散会いたしたいと思います。明日は午前十時から、本会議と併行をして委員会を開会いたします。
   午後四時三十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           齋  武雄君
           鈴木 安孝君
           遠山 丙市君
           岩木 哲夫君
           深川タマヱ君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
  國務大臣
   國 務 大 臣 殖田 俊吉君
  政府委員
   大蔵事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   法務廳事務官
   (檢務局長)  高橋 一郎君
   法務廳事務官
   (檢務局総務課
   長)      野木 新一君
   法務廳事務官
   (調査意見第一
   局長)     岡咲 恕一君
   法務行政長官  佐藤 藤佐君
   法務廳事務官
   (矯正総務局
   長)      古橋浦四郎君
   法務廳事務官
   (少年矯正局
   長)      齋藤 三郎君
ソース: 国立国会図書館
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