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#1
第004回国会 法務委員会 第8号
昭和二十三年十二月十四日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
 を改正する等の法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○檢察官の俸給等に関する法律の一部
 を改正する等の法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○罰金等臨時措置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○檢察及び裁判の運営等に関する調査
 のため議員派遣に関する件
  ―――――――――――――
   午前十一時十分開会
#2
○委員長(伊藤修君) ではこれより法務委員会を開会いたします。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案並びに檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案、両案を一括して議題に供します。前回に引続き質疑を継続いたします。
#3
○大野幸一君 この報酬に関する両案において第二條以下を削つたのでありまするが、衆議院におきまして、これは六月から十月までの分につてい予算の関係上できないということを漏れ承わつておるのですが、一應働かして置いて、予算がないからということは甚だ不体裁のことであつて、甚だ好ましからざることであると思いまするが、この点については、予算ができれば更にいつの時期においても支給するという考えがあるかどうか。いつまでも貧乏ばかりじやなく。時には余裕のできるときがあるから、この点について勤労の代償として、遅くとも貰つて方がいい、與えるべきであると思いますから、この点について放棄したのじやなくて、予算のできる次第、いつにおいても支給するという政府の意思があるかどうかを今承わりたいと思うのであります。
#4
○政府委員(岡咲恕一君) 只今大野委員のお尋ねに対してお答え申上げます。実は只今御披露になりました修正の点は、政府みずから修正いたしましたのでございまして、その点につきまして政府の修正の理由を申上げます。すでに御存じのように第二國会におきまして政府職員の給與、月收二千九百二十円の基準を三千七百九十一円の新らしい基準に改めまして、昭和二十三年六月以降の政府職員の俸給等に関する法律が制定せられたのでございまするが、それに伴いまして認証官である最高裁判所の裁判官及び高等裁判所の長官及び認証官である檢事総長、次長檢事及び檢事長を除くその他の裁判官及び檢察官につきましては、昭和二十三月六月以降の判事等の報酬等に関する法律及び昭和二十三年六月以降の檢事等の俸給等に関する法律が制定せられまして、昭和二十三年六月以降の、只今申しました裁判官及び檢察官につきましては、三千七百九十一円をベースにいたしました報酬及び俸給が定められたわけでございまするが、認証官である最高裁判所裁判官及び高等裁判所長官及び檢事総長、次長檢事、及び檢事長にきましては、三千七百九十一円を基準とする報酬府びに俸給は定められなかつた次第でございます。從いましてこのたび提案いたしました政府の原案におきましては、只今申しました認証官である裁判官及び檢察官につきまして、六月に遡りまして十一月まで御三千七百九十一円を基準とする報酬及び俸給を支給する旨の規定を定めた次第でございます。それが本案のそれぞれ第二條の規定でございます。
 ところが特別職であるところの政府公務員につきまして、今般新らしい俸給に関する法律を提案いたした次第でございまするが、その特別職の中で内閣総理大臣及び國務大臣、その外の認証官につきましては、いろいろ研究いたしました結果、六月にまで遡つて支給することを不適当と認めまして、これは十一月以降につきまして、このたびの新らしい政府職員の月收基準でありまする五千三百三十円を基準といたしまして、その報酬月額を定めた次第でございまするので、この認証官たる内閣総理大臣及び國務大臣その他の認証官の給與の基準に從いまして、第二條を削除することを適当と認めた次第でございます。從いましてこれは数額から申しましても極く僅かな範囲でございますし、勿論予算上その支給に堪えないという次第ではございませんで、別の観点から遡及して支給することを取止めることにいたしました次第でございます。將來改めてこれを支給するということは、政府としては現在考えておらないところでございます。
#5
○大野幸一君 不適当という言葉で説明されたのですが、不適当という言葉をもう少し何故大適当か、根拠がどこにあるのかを御説明願いたい。
#6
○政府委員(岡咲恕一君) ちよつと速記を御省略願いたいと思います。
#7
○委員長(伊藤修君) 速記中止。
   〔速記中止〕
#8
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて下さい。政府委員にお尋ねいたしますが、檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案のうち第一條の第九條について、「檢事及び副檢事の俸給月額は、特別のものに限り、当分の間、第二條の規定にかかわらず、檢事にあつては二万四千円、副檢事にあつては一万四千八百円とすることができる」。こういうように先の法律を改められたんですが、この第九條は御承知の通り、いろいろないきさつから当参議院におきまして新たに設けた規定でありますが、その際にいろいろな事情によつて本当に特別のものに限る、こういう趣旨からいたしまして、この法律の内容には謳つておりませんけれども、実質的には十一名というものに限つてこの特別な取扱いをすると、こういう趣旨から第九條が置かれておるのですが、それに便乘してこのたびその特別のものの中に副檢事が含まれて來たということはどういう理由ですか。且つそう副檢事の俸給を一万四千八百円と定められました理由、これは判事の方にこれを比較すると、判事の相当なところに匹敵すると御えられますが、その理由と、二点伺いたいと思います。
#9
○政府委員(岡咲恕一君) 第九條が定められました点につきましては、只今委員長の御指摘通りの理由によりまして改正前の九條は規定された次第でございます。このたび副檢事につきましても、特別のものに限りまして、一般副檢事の一号は一万三千二百円であるにも拘わらず、特に一万四千八百円とすることができる旨を定めましたのは、副檢事任用の現状を見ますると、社会的な、或いは職業の性質におきまして、非常に廣い深い経驗を持たれている方を、副檢事に任用するのが適当であるという場合がしばしば存在するわけでございまするが、如何にも一号の一万三千二百円ではお氣毒である、そういう人に対して多少優遇の道を講ずることが適当であるし、そういたしますことによつて副檢事の任用をますます強化して、檢察の使命を達成するのに遺憾なきを期し得られるとかように考えまして、特別のものに限りまして、この範囲は極く限定されて少数とは考えますが、一万四千八百円という特別の俸給を支給し得ることといたした次第でございます。でその特別の人はと申しますると、いろいろございまするが、いずれその檢察の陣容のことにつきましては、檢事当局から御説明をお願いした方が適当かと思いまするが、行政官或いは司法官で、非常に高い地位まで上つた人を任用いるということも十分考えられる次第でございます。
#10
○政府委員(木内曾益君) この点につきましては、実際の問題といたしましては今現に採用をされておるのでありまするが、行政方面等において相当の経驗者で、相当の地位まで行つた人とか、或いはその他檢事でもうすでに退職した古い人でそれを希望する人もありまして、そういうような点も考慮したわけであります。
#11
○委員長(伊藤修君) それは現在あるのですが、又今後予定するのですか。そうして何名くらいというお考えですか。
#12
○政府委員(木内曾益君) 今予定はありませんが、現に元の勅任檢事をやつた経驗の人を副檢事に採用したというのはあるわけでございます。
#13
○委員長(伊藤修君) それじや予定はないのですか。
#14
○政府委員(木内曾益君) 今のところちよつと人事委員がおらないものですから、なんですが、どの程度の予定をしておるかということは今ちよつと私お答えできません。
#15
○委員長(伊藤修君) いや、私の問いたい根本の趣旨は、第九條が立案された根本趣旨が、非常にこれは嚴格なものとして非常な難物であつたのです。その規定に便乘してこういうことを知らん間に入れて來られるということは甚だ困ると思うのですが、これは將來又普通の檢事の方も、すると一般になつて來ると待遇が崩れて來るのですね。これは特別にできるというので、そのときに本当に特別の事情によつて十一名だけを救済するために設けた規定ですから、それでいろいろなものが便乘して來るということは九條の趣旨が崩れてしまうと思うのです。
#16
○政府委員(木内曾益君) ちよつとお待ち願いたい。人事課長が……。
#17
○政府委員(岡咲恕一君) 基本たる改正前の九條が、委員長の仰せの通りの趣旨によつてできたことは正にその通りでございます。ただこれは檢事につきまして特別の者に限つて、一号が一万三千円であるのに、これを特別に一万四千円の俸給を支給することができると定めたわけでございますが、人事課長から実情を伺いますと、副檢事でも、例えば行政官として相当高い地位にまで上つた、然るにそれだけでは檢事たる資格がございませんので、むしろそういう人は副檢事として檢察の補佐と申しますか、行政官として重ねられた高い経驗を捜査の面において活用して頂くというような人が現実にありますので、その副檢事の最高給では少しお氣の毒なんで、丁度檢事におきまして特別の者を認められましたと同じような趣旨において、副檢事においても特別の者をお認め願うことによつて、そういう行政的な高い経驗を積んでいる人をも吸收し得るようにいたしたい、こういう人事課からの切なる要望もありまして、この副檢事につきましても特別のものに限つて副檢事の一号よりもやや高い報酬、俸給を支給して頂くというふうに訂正いたした次第でございます。
 尚そういう具体的な、本当に必要があるか、又そういう見通しがあるかということにつきましては、人事課長がやがて参りますので、人事課長から説明して頂きたいと思います。
#18
○委員長(伊藤修君) 若しこれせ是認することになりますと、判事長の一号やなんかと権衝を失しやしないかと思うのですが……。
#19
○政府委員(岡咲恕一君) これはまあ判事補の方は年数によりましてそのまま判事に昇給いたしまするので、実は余り問題はないと思いますが、問題は簡易裁判所判事の俸給、報酬の点だと思います。でその点につきまして裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案の第一條に、特別の者に限つて、第二條の規定に拘わらず二万円とすることができる、即ち通常ならば一号、一万八千二百円なんですが、特別の高い経驗を重ねている人に対しては二万円を支給することができるという特則を設けておるのであります。
#20
○委員長(伊藤修君) 凡そ何名ぐらい予定しておるのですか。
#21
○政府委員(岡咲恕一君) その点も人事課長が参りましてから……。
#22
○委員長(伊藤修君) かような規定を余り御利用にならないようにお願いしたいと思います。それからその数は極く限定したものにお願いしたい。
#23
○政府委員(佐藤藤佐君) 副檢事の俸給につきましては、別表に示すように一号から八号までの待遇を認めておつたのでありまするが、將來副檢事となつたものがいつまでも副檢事の身分で昇進するような人も出て來ますので、殊に三年たつて國家試驗に合格しない、或は國家試驗をしないでそのまま副檢事で長年進もうというような人を待遇するには、どうも一号だけでは足りませんので、更にそういう老練の副檢事を遇するに特号の待遇を以てする方が適当ではないか、こういう考の下に今回改正の序でに副檢事の老練な者に対しては將來特号として待遇することができるような途を開きまして、從つて副檢事にも優秀なものが採用できるようにその点を期待して号表を追加いたしたのであります。
#24
○委員長(伊藤修君) その見込をお聞きしたいのですが、現在あるのですかないのですか。
#25
○政府委員(佐藤藤佐君) 現在はありません。
#26
○委員長(伊藤修君) 將來は……。
#27
○政府委員(佐藤藤佐君) 將來は副檢事として段々進んでいつて優秀なもので永年勤務したものは待遇したい。併し新らしく採用する場合でも、例えば行政官で永年経驗を経たもの、或いは法律事務を長年経驗したものを迎えるに特号を以てするという場合もあるかもしれませんが、この表を作るときには現在の副檢事が將來に進む途を開いた、そういつたつもりであります。
#28
○委員長(伊藤修君) それならば副檢事の特号を設けたらよいではないでしようか、こういうところは第九條に便乘するということはないでしよう。普遍的にそういうものを採用していくという御趣旨ならばむしろ特号を設けて置くべきじやないですか。九條に便乘するということは九條の立法趣旨に反しはしませんか。
#29
○政府委員(佐藤藤佐君) 前には檢事の方も一号の二として掲げてあつたのですが……。
#30
○委員長(伊藤修君) 九條の立法趣旨はそういうのではないのですよ。特号の意味でないことはあなたも御承知の筈です。九條は当委員会において立案をいたしました法律でありまして……。
#31
○政府委員(佐藤藤佐君) 現在の特号はやはり一号を以て遇するには余りに優秀なもの或いは経驗の深いものを一号以上の待遇をしよう、それは特号という名前で俸給を割当てよう、さういうので特号を設けたのであります。それを別條文として第九條に掲げたのであります。
#32
○委員長(伊藤修君) 特号を設けるということは、そのときではこの法律案は成立しなかつた状態にあつたのです。この成立した当時の爭いというものは、微妙な点が織込まれて九條というものは成立つておる。法務廳の考えのように特号を設けるという御趣旨、なら根本的に違つて來る。そうなると問題は遡つてその点に爭いが出來ると思うのです。その点をはつきりして置いて頂きたいと思います。
#33
○政府委員(佐藤藤佐君) お説のように檢事に特号を設けましたのは、現在の一号を以て遇するには程度の高い経驗の深い優秀な檢事がおられるので、その檢事を遇するに一号以上の待遇をしようというので特号を設けたのであります。副檢事の特号を申しますのは、將來一表以上に副檢事で優秀なものを待遇する途を開こうという考えで作つたのであります。確かにお説のように同じ特号といいましても、九條には二通りの特号がある。即ち現在の檢事で特号に値いするものを待遇する、又副檢事の特号は、將來の優秀な副檢事の待遇を途を開く、こういう二通りの意味があります。
#34
○委員長(伊藤修君) でありますから九條の場合は、今のお説の通り、檢事の優秀な人を救済しよう、そして判事との権衡を保とう、こういうので立案されたものであつて、あなたの言われる後段の部分は將來の問題でありますから、これは普遍的に行われるべきと考えますから、これは別表に特号として設けるならば正しいか知りませんが、ここに持つて來られるということは不都合だと考えます。若しこのままで法案を成立させる場合におきましては、副檢事の場合の特号的の取扱は、嚴にこれを行われるようにお願いします。
#35
○政府委員(佐藤藤佐君) その点はお説のように嚴重に選考したいと思つております。
#36
○大野幸一君 成る程それは今、委員長の質問の通り、この特号を設けることは、この前、裁判官と檢察官との間の意見の相違で非常に問題になつたのを、すでにお忘れになつてしまつておるので、今政府委員の答弁では、一政府委員は行政官から特別な人を任用すを場合のように、特に考える、こう言うかと思えば、後から來た一委員は、いやこれは檢事から優秀なる人を採用する、とこういうのであつて、これでは我々は何を聞いていいか分らない。そうすると、いや両方だと言い出す、こういうことでは我々委員会が何だか甚だ時間が迫つておるところを利用されるような感じを受けるのですが、嚴重にやると言いましてもそれは駄目です。よつてこれは何人ぐらいを予想するか、人数を述べて貰いたい。無茶苦茶にここでやられては判事との権衡を保たれないことになりますから、一体何人ぐらいですか、予想がつきませんか。そんなことが決まらないでこの予算に伴うところの特号を設けることは、甚だ不都分だと思うのです。それも答えられないのでしようか。
#37
○政府委員(佐藤藤佐君) 只今申上げましたように、副檢事の特号というのは、一号まで進んだもので更にその人の進むべき待遇の道を開くという趣旨でありまするので將來特号を以て遇するものが何人かということは、今直ちに予想はできないのでありまして、それでは來年度の特号は何人あるか、こういうお尋ねでありまするならば、今のところ本年度特号は別に予想しておりません。
#38
○委員長(伊藤修君) 今一つお尋ねいたしたいのですが、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する等の法律案中、やはり簡易裁判所の裁判官の報酬は特別のものに限り二万円とするといふ趣旨の御規定がありますが、この二万円とするものの範囲及びその理由を一つお伺いいたしたいのですが。
#39
○政府委員(岡咲恕一君) これは、現在簡易裁判所の判事に任用されておる方で、曾て大審院の部長クラス、或いは大審院判事をしていたような判事の方もございまするので、その人達を遇するには、この簡易裁判所の判事の一号の俸給では少し低きに失するのではないか、そういう特別の人に対する優遇として、当分の間二万円を支給するということにいたした次第であります。で今現にそういう裁判官が任命されておりますのみならず、將來におきましても、曾て大審院の部長或いは部長に準ずる程度の高い経驗を持つた裁判官で、先般裁判所法の一部を改正する法律案の中で、停年を特に七十才に引上げて参りましたので、將來は裁判所の判事として退職をせられた方で有能な方を迎え得る余地が非常に開けたわけでございますので、この新しい十五條を設ける必要は十分存在すると考えておるわけでございます。その人の数につきましては、最高裁判所から説明員もお見えでございますので、その方から御説明をお願いいたしたいと思うのです。
#40
○大野幸一君 ちよつとお伺いいたします。先のことに関して、本年度は、特号を運用する者は予定していないというくらいですから、來年度、再來年度、將來もそれに準ずるがごとく少数なるものと承わつて置いてよろしいですか、どうですか。
#41
○政府委員(佐藤藤佐君) 副檢事の制度を採用いたしましてからまだ年も経ちませんので、本年度は副檢事のうちで特号を以て遇しなければならんという程度のものはないのでありまするけれでも、明年以後になりますれば、現在の副檢事が段々経驗も積みまして、そうして一号を以ては足りない、特号を以て遇しなければならんというような事情になるかと存じます。併しながら一号になつたものは当然全部特号になるというわけではありませんので、その点は先程委員長からの御注意もございましたように、一号のうちで優秀なものを嚴選しまして、特号の待遇をしたいと考えておりまするので、從つてその数は極く少数であろうということが予想されるのであります。
#42
○説明員(五鬼上堅磐君) お答えいたします。この十五條の簡易裁判所の判事の規定を設けたのは、実は裁判所の考えといたしましては、從來簡易裁判所の判事の給與が少し低かつたがために、簡易裁判所の判事としての適任者を得るのに非常に困難をいたしまして、現在でもまだ六十八名くらいの欠員があるのです。これをどうしても簡易裁判所の判事の欠員を埋めるのには、退職司法官、停年で退職されたり或いは控訴院長を辞められたり、或いは大審院の部長や大審院の判事を辞められた人で、まだ年は七十才未満で有能な方が相当沢山ある、こういう人々を裁判所の方にお迎えして、直接民衆に接する簡易裁判所というものを立派にして行きたい、こういう考えから実はこういう人々を迎えるために二万円程度の特号を作りたいということを政府の方に申入れたのであります。
 ところがその点は承諾を得たのでありますが、結局法文を作るときになつて、大藏省方面からどうしてもこの十五條のような法文がなければいけない、こういうわけで十五條ができたのでありまして、從つて檢察官の俸給に関する九條の本院で定められた趣旨とは少しく異なるのであります。「当分の間」ということは入つていますけれども、これはやがて特号というような名前を以て、結局將來相当長く実施されるつもりでおるのであります。從つて大体この数については將來何名と制限して考えてはいないのでありますが、現在のところでは檢事長から簡易裁判所判事になられた方が一人、それから大審院の部長若しくは大審評の判事からなられたのが、ちよつとはつきりした数は分りませんが数名ございます。その他所長をされて辞められた人とか或いは元控訴院の判事をして辞められた方が簡易裁判所に來られたのがあります。それから弁護士をされた方で、相当年を取られてすでに功成り名を遂げられて、尚民衆のために働こうという人が、この特別の二万円を設けることによつて相当迎えられることができるのではないかという希望を持つております。
#43
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんですか……では質疑はこれを終局することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(伊藤修君) 両案とも質疑はこれを終局いたします。両案に対して討論を省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。先ず裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案について御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#46
○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決するものと決定いたします。
 次に檢察官の俸給等に関する法律の一部を改正する等の法律案、これを問題に供します。本案に賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#47
○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決すべきものと決定いたします。両案についての委員長の本会議における口頭報告の内容については、予め御一任願つておきます。尚多数意見者の署御名を願います。
  多数意見者署名
    遠山 丙市  齋  武雄
    大野 幸一  岩木 哲夫
    宮城タマヨ  深川タマヱ
    星野 芳樹  來馬 琢道
    鈴木 安孝  岡部  常
#48
○委員長(伊藤修君) 罰金等臨時措置法案を議題に供します。……七條の第一項は不権衡に思いますが、これについて政府側より説明を……。
#49
○政府委員(野木新一君) 七條の第一項でありますが、刑事訴訟法第六十條第三項と申しますのは、被告人を勾留する規定でありますが、五百円以下の罰金、勾留又は科料については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り勾留することができる、そういう趣旨の規定であります。百九十九條第一項、これも同じような趣旨の規定でありまして、被疑者を逮捕状によつて逮捕する場合の規定であります。五百円以下の罰金拘留又は科料に当る者については、住所が定つていない場合、又正当な理由なく出頭の求めに應じない場合に限つて裁判官のあらかじめの発する逮捕状によつて逮捕することができるという一種の規定であります。それから二百十七條、これも同種の規定でありまして、現行犯に関するものであります。即ち「五百円以下の罰金、勾留又は科料にあたる罰の現行犯については犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合、又は犯人が逃亡する虞がある場合に限り」、現行法の規定を適用するという一種の規定であります。この五百円以下の罰金と申しますのは、現行刑事訴訟の、一月一日から改正になる前の現在行われている刑事訴訟法におきましても、五百円ということになつておりまするが、これは現在の刑事訴訟法ができましたのは大正十一年頃でありまして、大体現在の刑法の罰金体系系を頭において五百円というように定められているものと思う次第であります。新刑事訴訟法を立案する際におきましても、この五百円以下ということをどうしようということを種々考えてみましたが、やはり刑法の罰金体系がまだ動いておりますので、特別法などにおきましては、いろいろ高い罰金もできておりますが、やはり一應この際刑法の罰金の額を基準にして考えて行つたらどうかということで、新刑事訴訟法におきましても一應五百円以下としておつたわけであります。ところがこの罰金等臨時措置法によりまして、刑法の方は五十倍になつた次第であります。それでこれをそのままにしておきますと、少くとも刑法の罪で、今までならば勾留や逮捕されなかつたような者も、勾留や逮捕されるようになつて不穩当でありますので、少くとも刑法の罪につきましては、今までと同じように取扱つたら、どうかというので刑法並びにそれと同じように上の方が多額が五十倍になりました。第三條に掲げる罪につきましては一律に五十倍として二万五千円以下の罰金ということにいたした次第であります。併しその他の罪につきまして、即ち多額の変らない罪につきましてはどうであろうか。これも一律に刑法の場合と同じように五十倍にしたらどうかという議論も一応あつたわけではありますが、いろいろ関係方面に折衝等の際におきまして、それはそこまで上げる必要はない。この点は大体第四條で、罰金の低い方が、二千円以下の罰金というのが多額の低いものになつたのであるから、それはそこで止めた方が至当であろうというような議論が非常に有力になりまして、この点はそういうようにいたした次第であります。
#50
○大野幸一君 今の委員長の聽かれたのもそこだろうと思うのですが、執行猶予の方は、この間作つた法律、それが五千円が五万円になつて十倍になつた。やはりこの間作つた刑事訴訟法の、今度國民の権利の方からいつて、勾留逮捕状というところの五百円を二千円、これは四倍で均衡がとれないということを聽かれたと思うのですが、その点が一口に関係方面で賛成しないと言われるが、どういう意味か、私の申上げるのは義務を規定するときは五万円以下でなければ執行猶予ができない。國民に対しては義務を多くした。今度は引つ括る場合、或いは勾留するような場名に二千円、これは四倍、こういう点の権衡、こういう点を関係方面でそういうことであなた方は説明されたのか。一口に関係方面と言わないで、合理的に説明されたい。
#51
○政府委員(野木新一君) 今の御質問ですが、執行猶予の方は十倍にして置きながら、他の方は五十倍或いは四倍等であつて、その間が不均衡ではないかという御趣旨を拜承いたしますが、この第六條の執行猶予の方はいろいろの罪を勘案しまして最後に宣告する場合の刑が考えられるわけでありまして、それで五千円以下ということになりますわけであります。ところが七條の方は、これは法定刑で宣告刑でない。法定刑を頭に置いておりますので、その間差別を設けるに至つた次第でございます。七條の一項の問題でありますが、ちよつと速記を止めて下さい。
#52
○委員長(伊藤修君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#53
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて下さい。他に御質疑ありませんですか。(「質疑は打切りにして下さい」と呼ぶ者あり)
#54
○委員長(伊藤修君) では質疑は終了することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(伊藤修君) 直ちに討論に入ります。岡部君。
#56
○岡部常君 貨幣價値の変動に対しまして罰金額が過少であるということは常に唱えられておりましたところで、本委員会においても夙にそのことが論ぜられたのであります。本委員も昨年経済事犯の罰金の不均衡、殊に短期の自由刑と比較してもその間に権衡の失しておることを指摘しておいたのであります。本改正を見るに至りましたのも実はそういうところから來ておると思いまして。その点は賛成であります。併し或る意味においてすでに遅かつたと考えるのであります。併しとにかくこういう案ができたことは大変結構でありまするが、今までの当委員会における各委員の発言によりましても、いろいろの点について欠点がないとは申せないのであります。尚更に今後においてこれは臨時措置法となつておりますから、そのときどきに應じて変更せられる意思も無論あろうと思いますが、大いに研究と檢討を重ねられまして、次の会期等におきまして適当なる措置を講ぜられるように希望して賛成をいたして置きたいと思います。
#57
○星野芳樹君 労働者農民党を含む無所属懇談会を代表してちよつとこの法案について意見を言つて置きますが、経済界の変動、貨幣價値の変化に伴つて罰金刑を大幅に上げるということは当然の措置であつて、今回これが行われることは当然でありますが、何分法案の内容を見ると互いに相矛盾しておる所もあり、均衡を失しておる所もあり、我々としては緊急措置としてこれを賛成いたしますが、かかる杜撰な法案をそのまま長く残されては、國会の体面にもかかわるので、次國会においては精密にこの矛盾した点を補正した法案を直ちに上程するように要望して賛成するものであります。
#58
○岩木哲夫君 民主党を代表しまして申上げたいと思います。只今両委員より御意見がありました通り、暫定的措置とは考えられますが、その罰金科料刑罰の経済事情に伴う上昇率等につきましては、相当矛盾があるように考えられるのであります。殊に体刑科料罰金等の刑罰も、相対的な関係から見ましても幾多の矛盾も感ぜられましようし、旧刑法の制定された当時と今日におきまする経済事情のみでない、社会事情等におきましても、相当の変化があります。こうした点から見ましても、今回の罰金科料刑罰の暫定的措置と雖も、かような措置につきましては、相当疑問を持つており、当然修正さるべきものであると思うわけであります。が併し現下の経済事情や諸般の事態からこれを引下げ改正することの趣旨は我々におきましても賛成の意を表するのであります。近き將來に当然補正改正されんことを要望いたしまして、原案に賛成する者であります。
#59
○大野幸一君 私は日本社会党を代表しまして賛成の意を表する者であります。刑法上罰金ということは刑罰に相当するものであつて、これは愼重審議我々の委員会で審議しなければならないものであります。併しながら前の委員の御発言にもあつた通り、この必要性を認めつつこの法案に対して不満を持つていたというのは、内容の充実、深切さを欠いていたという点でありまして、そういう意味で一時はこの委員会においても可決することの空氣が甚だ困難であつたようでありますが、幸いに法務政務次官の御斡旋によりまして全会一致で今度可決されるようになつたのでありますが、それには條件があります。どうか皆さんから述べられた條件を急速に充たして頂くことを希望いたしまして、賛成の意を表する者であります。
#60
○遠山丙市君 民自党を代表いたしまして、賛成の意を表する者でありますが、この物價の騰貴は何も昨日今日急に始まつたことではない。而も相当期間が経過して、ここに何十倍というものを取り上げて、この法案を提出するに当りましても、余程政府は私は今まで長い間怠慢の譏りだけは免れないものであると考えておるのであります。こういう法律の改正のうちにおいて特に懲役刑とか禁錮刑というようなことになりますと、可なり愼重でありまするが、とかく金の面、いわゆる罰金というようなことになりますると、とかく軽く取扱う虞れがあるのであります。誠に私は遺憾であります。いずれにいたしましても、懲役、禁錮、罰金を通じまして、基本人権に誠に重大なる影響があるものと考えるおるのであります。今度この立案をせられまするに当りましても、恐らく急に、聊か慌てて立案されたのではないかと見られる節もあり、而も本委員会に御提出になつて誠に短い期間で、おいそれこれを片付けろというようなことは、誠に委員会といたしましても迷惑至極に考えしおるのであります。昨日かなんかもちよつと話が出たようでありますが、予算案の伴わないところの法律案は、而も本委員会等にかかつて來るもの等は、まあ大部分、殆んど全部といつてよろしいが、衆議院先議という形で行つておる。これは予算の伴なつておるものでありますれば止むを得ぬことでありまするが我々も相当勉強もし檢討も続けて行く上においては、予算の伴つておりません法律案というものは、相当量こちらの方にも先に廻して頂いて、十分研究をさして頂くということが政府のとるべき措置であろうと考えておるのであります。いずれにいたしましても、相当議論がありましたように、その内容はよく檢討いたしますれば不完備、不整備の点が多々あるということは争いのないことであると思うのであります。先程來各委員からお述べになつたように、次回國会あたりには十分に御整備を願いまして、納得の行くような時間を與え、そうして、檢討を続けて整備せられるような肚づもりでおつて頂きたいということを申上げまして、賛成をいたします。
#61
○國務大臣(殖田俊吉君) 各委員方の御意方の趣はよく拝承いたしました。一々御尤もの御意見と存じますので、近き將來におきまして必ず御要望に副いますよう善処いたしたいと考えております。
#62
○委員長(伊藤修君) では討論はこれを終結することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(伊藤修君) では檢討を終結いたしまして直ちに採決に入ります。本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#64
○委員長(伊藤修君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたします。尚本会議における委員長の口頭報告の内容については予め御了承を願つておきます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(伊藤修君) 多数の意見者の御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
    遠山 丙市  齋  武雄
    大野 幸一  宮城タマヨ
    星野 芳樹  岩木 哲夫
    深川タマヱ  松村眞一郎
    鈴木 安孝  岡部  常
#66
○委員長(伊藤修君) 尚この際お諮りいたしたいと存じますが、檢察及び裁判の運営に関する調査のために、各班に分けて調査に議員を派遣いたしたいと存じます。その派遣地及び各班の員数、日数等は委員長に一任願いまして本件を御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(伊藤修君) それではさように決定いたします。これを以て散会いたします。
   午後零時二十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           鈴木 安孝君
           遠山 丙市君
           岩木 哲夫君
           深川タマヱ君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
  國務大臣
   國 務 大 臣 殖田 俊吉君
  政府委員
   法務政務次官  鍛冶 良作君
   檢 務 長 官 木内 曾益君
   法務廳事務官
   (檢務局総務課
   長)      野木 新一君
   法務廳事務官
   (調査意見第一
   局長)     岡咲 恕一君
   法務行政長官  佐藤 藤佐君
  説明員
   最高裁判所事務
   次長      五鬼上堅磐君
ソース: 国立国会図書館
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