くにさくロゴ
1948/12/23 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 懲罰委員会 第4号
姉妹サイト
 
1948/12/23 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 懲罰委員会 第4号

#1
第004回国会 懲罰委員会 第4号
昭和二十三年十二月二十三日(水曜
日)
  ―――――――――――――
  委員の異動
昭和二十三年十二月二十三日(水曜
日)委員池田七郎兵衞君の辞任につ
き、その補欠として油井賢太郎君を議
長において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○議員中西功君懲罰事犯の件
  ―――――――――――――
   午後四時四十八分開会
#2
○委員長(太田敏兄君) 開会いたします。本日議長から、議員中西功君の懲罰に関する件を本委員会に付託されましたので、これを御審議願いたいと思うのでありますが、打合せたいことがありまするので、暫時休憩したいと思いまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(太田敏兄君) それでは暫時休憩をいたします。
   午後四時四十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時十八分開会
#4
○委員長(太田敏兄君) 休憩前に引続いて開会いたします。中西議員の申出によりまして、発言を許します。時間は十分。
#5
○委員外議員(中西功君) 私の昨日の発言について、懲罰が問題になつているわけでありますが、今速記録をちよつと見ますと、公務員法を押しつけるような野郎は、このような安い賃金ベースを、このようなものを作るのであると、その次に、野郎という言葉が惡ければ、私は幾らでも取り消しますというふうになつております。更に一番ずつと後の方になりまして、取消せ、失言、というような沢山の言葉がありました時に、私はちやんと取消してある。こういうふうに言つております。從つて私はこの本会議の議場において、この問題を取り消しているわけであります。從つてこの上なぜこのような問題を取り立てて、そして懲罰動議を出さなければならないか。私には全然この点が理解できないのであります。而も若しこのようなことで以て、議員の行動に対して、いろいろ懲罰が続々と出て來るというような、若し先例を作ると、これは非常に由々しき問題になりはしないかということを感ずるのであります。これは御存じのように、例えば食堂においてもいろいろのことが実際あります。そういうことを我々が一つずつ今後お互いが揚足を取るようになれば、実に收捨の付かないようなことにさえなるのじやないかという氣がするのでありまして、この点について懲罰委員諸君の、私は非常な熟考をお願いたいと、こう思つておるのであります。尚この「野郎」という自葉自体、私自身が御存じのように、この中で取消しておるのでありまして、從つてこの問題についてどう考えておるかということも必然にお分りだと思うのであります。ただ私が今日本会議で申上げた弁明に、このように取消しておるのに対して、尚挑戰的になされるということに対して、私の意見を申上げたのであります。いろいろのことを今日申上げましたが、不逞の輩ということを言つた吉田首相は、この前の時も、今度の場合においても、これを取消しておりません。不逞の輩ということが、若し許される言葉であるならば、許されるとするならば、そんな言葉も同じような意味で許されなきやならないと思う。ともかくも私はそれを取消したのであります。私は問題の所在は、その野郎という言葉がどうであるかないかということでないと思うのであります。それは私自身取消しておるのであります。問題はこの意味において、取消をした上においても尚、公然とはつきり本会議で取消した上も、尚こういうことを懲罰にかけなきやならないかどうか、そういう点をはつきりと、この懲罰委員会において私は問題にして貰いたいと思うのであります。さつき申しましたが、この吉田首相が日本帝國という失言に対しまして、この取消を一應しました。で取消したことによつて問題はそれで一應解決したわけです。併し私は昨日の私の演説は民主自由党に対しては確かに大きな痛棒であつたと思います。私は民主自由党を政敵として、徹底的に批判したわけであります。私がどういうふうな言葉を使おうと、民主自由党並びに吉田内閣の政府に対して非常な徹底的な批判を、特に勤労者階級としての非常な憤激を以てこの政府を批判しておるという内容は一つも変らないのであります。從つて又そういうふうな政治的の問題は何ら問題となろう筈はないのであります。併しこのような場合に、吉田首相の日本帝國という問題と、私が吉田内閣に対するそういうふうな痛烈な批判をするという問題と、我々が考えて見ますときに、吉田首相のその帝国という言葉を幾ら取消しても、彼がその内容においては結局同じことである。私自身も野郎という言葉を幾ら取消しても、それは私が吉田内閣に対して痛烈な批判を持つているということは、これは一つも変りないのであります。今日日本の労働者階級が、特に公務員法の制定以來、そういう氣持を持つている。私は労働者階級から選出された一人として、そういう氣持を持つて、この議場で発言しているということは事実であります。而もこの予算案が……私のインチキという問題も問題になりましたが、この予算案インチキであるということは、これはこのインチキという言葉を幾ら取消しても事実だと思います。結局私は、私が申しました言葉が惡ければ取消すというふうなことと、そうして私が持つているこの政治的な内容、私は自分のそういう政治的な内容を決して隠そうとしないのであります。吉田首相はそういう点で極めて曖昧にこれを葬むりましたが、私はそういうふうにはつきり申上げます。ただその表現が惡かつたということに対しては私は取消するのでありまして、その点懲罰委員の諸君のはつきりした洞察を願いたいと思つております。昔の貴族院が今日参議院になり、これは大きな変化である筈であります。曾て私は被圧迫階級の一人として、あの貴族の人々によつて、或いは帝國主義的軍國主義者によつて支配されておつた軍閥日本の下に、私たちはその手下共に、この野郎、こん畜生と言われて日夜苦しめられた來た。併しそのような時代が今過ぎて、この白亞の殿堂は決してそういうような昔の軍國主義者、或いは貴族たちの独占するところではない筈であります。この殿堂の中ではいろいろの力が闘つておると思います。私は貴族を代表する人々が、心行くばかり貴族趣味を発揮するのは非常にいいと思います。又我々が從來の被圧迫階級の要求や氣持を率直に表現して、そうしてこの議会において活動するのも、これ又民主主義として許されておると思うのであります。この参議院がともかくも参議院になつた、その非常に大きな民主的な意義と、同時に又その一員としてこの我々議員が今日政治をして來ておる。こういうふうなことを我々が本当に自覚するならば、このような些少な問題、私はこれがかくも問題になるということは非常に民主主義的な精神から見れば、非常に遺憾なことではないかとさえ思うのであります。私は懲罰委員並びに國会の心ある人々が、本当にこの問題を正しく見られ、そうして、眞に公平なる判断を下されんことを切にお願いしたいのであります。このような小さな問題が一つの先例となり、今後いろいろのことが行われるとするならば、この國会が、人民が由々しきいろいろの束縛を受けて、結局自由でさえも、必要な自由でさえも束縛されるということになるのを私は切に恐れますが故に、この問題をどうか正しく解決して頂きたいと切にお願いするのであります。これを以て私の弁明といたします。
#6
○委員長(太田敏兄君) 中西君にお尋ねいたしますが、「公務員法を押しつけるような野郎が」ということを申されておりますが、これは、これを押付けるのは具体的には誰を指すのであるかということをお聽きしたいのです。
#7
○委員外議員(中西功君) これは私はこの全体の論旨から見て分りますように、これは提案者であるところの吉田内閣であることは極めて明瞭だと思います。
#8
○委員長(太田敏兄君) それから次に、野郎という言葉が惡ければ、私は幾らでも取消しますと言われておりますが、これは、この言われた意味は、自分でそういう言葉を使つたことが惡いと思つて言われておるかどうか。
#9
○委員外議員(中西功君) その点は、確か先にもちよつと申しましたが、私が私たちが、公務員法の制定に対し、こういうふうな憲法の蹂躪、憲法における國民の基本條項の蹂躪、特にこの直接には労働者階級に対する能業権や、そうしたものの剥奪、こういうものに対して私たちは非常な忿懣を感じておる、そうしてそれを提案した政府というものに対しては、非常な憎しみさえ感じておる、その氣持は、これは私がさつき申しましたように事実であります。ところで私がそういうふうな氣持を表現した言葉として、野郎という言葉が非常に惡い、皆樣の判断で惡いというふうなことならば、私はそれは私の本意でないわけであります。表現が惡いという点では本意でないと思いますが故に、私はそういう言葉は惡ければ幾らでも取消します、こういうふうに思つて取消したわけであります。
#10
○委員長(太田敏兄君) 重ねてその点をもう一度お尋ねいたしますが、只今の御弁明によりまして、皆が惡いと思えば取消すというのは、自分自身で、あなた自身で野郎というような言葉を使つたことが惡いと思つておられるかどうか。
#11
○委員外議員(中西功君) 私は惡いとも、いいとも思つておらんのです。
#12
○委員長(太田敏兄君) それでそうすると、先の本会議の弁明は取消す意思があつたのかどうだつたのか。
#13
○委員外議員(中西功君) 私はそのあとでちやんと取消しておる、この速記録の中で言つております。だからはつきり取消しておるわけであります。
#14
○委員長(太田敏兄君) 取消す意思はあつた。……。
#15
○委員外議員(中西功君) そうです。
#16
○委員長(太田敏兄君) それからこれも本日の本会議の御弁明の中で、野郎という言葉の字義について三つの解釈があるというようなことを申されておりますが、そういうふうに野郎という言葉は必ずしも惡い言葉でないというふうな意味に取れる御弁明であつたので、それからそういうことから見まして、取消しになつていなかつたようだというような見方もありますので、この点をお聽きしたいと思います。
#17
○委員外議員(中西功君) だから私はあの演説の最初で、はつきり取消してある、だのにこのような問題が出されるということに対して、私は一言申上げたいと言つて、最初の演説を切つておるわけであります。その場合、野郎ということのいろいろの原語を言つたのは、これは一つ若し私が一般的なこの言葉を私自身が、いわば或る意味でこじつけて解釈するならば、私がこのような即ち田舎おやじだとかいうふうに解釈するということも、私にはそういう自由がある筈だ、言海のあれを引用して私はそう申上げたのであります。その三つの意義について、一應そういう意味があるわけであります。これを私としてはどちらの言葉であるというふうに言訳する自由が私にはある筈だ。で、その点は野郎という言葉が、いわば一方的にはいわゆる馬鹿野郎だとか、そういう人を軽蔑するような言葉として問題が起つて來る。又起つて來ておるわけであります。だから野郎という言葉自体が、それ自身が、もうすでに極めてよくない言葉、即ち不穏当な言葉である、こういうふうに言われておるのに対しましては、私として、そういうふうにこの問題をわざわざ取上げて來ると言うならば、私の方にもこれは田舎おやじだというふうに言う自由がある筈だ、こういうようなことを私は申したのであります。
#18
○委員長(太田敏兄君) 只今の御弁明を更に追及するようでありまするが、野郎という言葉は、戰後文化國家を標傍し、又文化國家たらんとしておる日本の現状におきまして、ふさわしい言葉であると考えられておるかどうか。
#19
○委員外議員(中西功君) その文化國家ということの内容が非常にいろいろあると思います。曽つて日本の貴族たちが極めて上品な言葉を吐いて、そうして恐らくこの貴族院においてそういう上品な言葉ばかしを言つておつたことだろうと思います。併しそういうふうな上品な言葉が使われておつた貴族院が、果して文化國家の貴族院であつたかどうか、これは私は疑問だと思うのであります。從つて文化國家という言葉には、いろいろ一言では盡せない内容があると思います。私たちは決して貴族の代表でもなく、或いは大金持の代表でもなく、私たちは今まで搾取され、抑圧され、そうしてそうした階級の代表者として國会に來ておるわけであります。今そういうふうな階級が、実際に日本のそういう言われておる文化的な思惠に浴しておるかどうか。決して満足には浴していないと思います。從つて私はこれがこのような実際にいろいろの文化國家と言われる場合の内容があるのであれば、本当に平民らしい言葉を使うということも、そのことから直ちにこれが文化的に低いとか、そういうことも私は言えないと思いのであります。例えば非常に田舎の、或いは漁村の極めて素朴な言葉によつて語られたものが、そうしてその漁民や農民の眞実を傳えるものが、そのような偉大な作家がその言葉でたとえ語つたとしても、その作品が本当に農民や漁民を描いておるならば、これは私は偉大な文化的作品だと思うのであります。ですから單に文化國家というような言葉によつてそういう問題を私は推し測ることはできないのだ。如何に奇麗な言葉で書かれておつたとしても、何ら文化的な作品にならない。併し如何にきたない言言で語られておつたとしても、それは偉大ないわゆる作ともなることができると思うのであります。從つて私はその單なる言葉、この一つの言葉を以て、文化國家であるとかないとか、そういうことは実際は言えない。むしろ私は本当の眞実をはつきりと露呈することが眞の文化である。そういう意味に私はこの文化という問題を理解しているわけです。
#20
○委員長(太田敏兄君) 外に御質問ございませんか。
#21
○油井賢太郎君 ちよつと中西君に伺いたいのですが、この後の文句によつてですね。「公務員法を押しつけるような野郎が、このような安い賃金ベースを、このようなものを作るのである。」と言われたのは、安い賃金ベースを作つたというのは野党三派修正案であつた筈ですが、今あなたのお話を聽くと如何にも吉田内閣が作つたようなお話でありますが、我々はあの時のあなたから受けた印象は、我々を非難されたというふうにこの言葉によつて受けたのであります。これは或いはあなたの言葉の綾の間違いでしたかどうか、その点をお聽かせ願いたい。
#22
○委員外議員(中西功君) 私はこれはさつきの速記録があつて非常にいいと思いますが、その前、前日の給與法案の場合においても、この給與なるものが実質において五千三百円ベースであるということを非常に強調している筈であります。勿論私は六千三百円、これは決して本当のベースではなくて、これは実質上五千三百円のベースであるし、同時に又六千三百円に対しても我々共産党はこれに賛成を表していないのであります。だから私のこの言葉の、発言のあれで行くならば、公務員法というようなものを作るものが必然にこのような安い賃金を作るんだ。それは先にもありますように、不可分の関係にあるのだということを言つているわけです。でその場合私は民主党が六千三百円ベースを支持されたことも知つておりますし、又民主党の修正案なるものが実質的に五千三百円と同じものだということは、政府自身がはつきり申しているところなんであります。その点を民主党の人がどういうふうに考えているか、それは私は知りません。併し若しですね、民主党の人が私がここで言う安い賃金ベースということが、あの六千三百円ベースが結局において五千三百円なんだということをはつきり民主党の人が承認されるならば、それは或いは私のこの言葉はその方向にそれと関連があると言われても、それは私はしようがないと思う。併し若し民主党の人が、いや、あれは六千三百円のそのままのベースなんで、五千三百円と違うのだと、こうお述べになるならばそれはこの場合これに当嵌らんと言つていいと思う。
#23
○油井賢太郎君 今の賃金ベースの観念の相違ということは、これは改めてお互いに論議するところでありますが、とにかく野党三派の修正案の賃金ベースを、あなたは非常にこれに関連して非難されているように我々は受取つたということを一應お含み置き願いたいと思う。それだけ私申上げておきます。
#24
○委員長(太田敏兄君) 外に御質問ございませんか。
#25
○松井道夫君 「野郎」という言葉は通俗的の言葉で、要するに学問のない人の間でもこれは喧嘩口論の時に主として用いられる言葉で、私は非常に國政を談ずる、殊に國会において國民を代表して國政を談ずるには不適当であると思う。それで先程あなたの言われるところによると、それが適当であつたとも不適当であつたとも考えておらないと言われるのですが、私は非常にこれは意外とするところなんです。要するに我々はあなたを懲罰に付するかどうか、或いはどういうそれに対する懲罰を適用するかということを議しておるので、そういうことが非常に重大資料になる。それで先程からいろいろと委員長から聽いておられるので、あなたは一体「野郎」といつたような言葉が今の國会の壇上から言うについて不適当な言葉であるとは考えておられないのですか。
#26
○委員外議員(中西功君) 例えばそういうことは……
#27
○松井道夫君 いや、結論だけ伺いたい。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)
#28
○委員外議員(中西功君) 私はさつき……
#29
○松井道夫君 そんならあなたは將來もそういう言葉は繰返されますか。
#30
○委員外議員(中西功君) その点では私は繰返さないと
思つております。
#31
○松井道夫君 繰返さない。然らばやはり不適当な言葉と思つておられるのではないのですか。
#32
○委員外議員(中西功君) それは私はさつき申しました。
#33
○松井道夫君 率直に言つて貰いたい。
#34
○委員外議員(中西功君) 私が言いましたように、私はこの言葉がさつきいいとも惡いとも思つていませんと、こう申しましたように、極めてこれは言葉の綾みたいな言葉に使う。私自身も使つたわけなんで、こういう言葉は絶対にいけないのだ。議員としてこういう言葉は絶対に使つてはいけないのだ、こういうふうなものでは私はないと思つております。
#35
○松井道夫君 國政壇上の文化談義としては或いはこういう言葉を使うことがあるかも知れない。併し昨日のような討論の場合そういう言葉を用いることは、これは聽く方は皆通俗的の意味に解するのですから、そんな字引を調べて考えるわけではない。率直にあなたの言われる言葉の印象を受けるわけなんです。そういう場合に使う言葉としては、不適当だとは考えておりませんか。
#36
○委員外議員(中西功君) その点はつきり申しますと、私はこの議場において、我々國会議員が余程卑猥な言葉でない限りは、殊に例えばまあこういう今の「野郎」というような、これに馬鹿野郎ということも付くでしようが、そういうふうな言葉は絶対にこんなものは使つてはならんというふうな言葉ではないと私は考えております。併し私も國会議員として皆さんと一緒にやつて行くわけなので、今後、これはとにかく不適当な言葉だということに皆さんの意見が大体において一致しておるなら、それは私は院議を、いや皆さんの氣持を尊重して、そういうものは使わない。今後は使わないということは言えると思うのであります。
#37
○松井道夫君 いや、私の聽いておるのは僕らの考えではない。あなたの考えを聽いておる。
#38
○委員外議員(中西功君) ですから……。
#39
○松井道夫君 待つて下さい。私は昨日のことを取上げておる。昨日のような場合にああいう言葉を使われたことを不適当と思つておられるか、どうかということです。我々は眞劍に討議しておりますから、誤解して貰つては困ります。眞劍に討議しております。あなたの率直なお考えを伺いたいのです。惡かつたら、不適当だと思えば、不適当だと言つて頂いて一向差支えないのです。
#40
○委員外議員(中西功君) 私も……。
#41
○松井道夫君 結論はどうですか。昨日の具体的な事件を取上げておる。
#42
○委員外議員(中西功君) 私は率直に申上げますと、一般には、國会においてこの言葉を使つても、例えばこのような言葉が絶対使えないという言葉ではないから……。
#43
○松井道夫君 それはあらゆる場合がありますから、それは使われる場合があるかも知れないが、昨日のことを取上げております。
#44
○委員外議員(中西功君) 昨日の場合、さつき申しましたように、私は公務員法の問題、或いは安い給與の問題、これを作つた政府に対して、私は非常な憎みを感じております。
#45
○松井道夫君 分つておる。それでああいう言葉が飛出したということは、これは、あなたのいう意味は了解できる。併しながらああいう言葉が飛出したということは、不適当だと思つたかということを聽きたいと思います。野郎という言葉を、將來どういう機会に使うことが不適当であるというような考えを聽いておるのではありません。昨日の場合が不適当であつたかどうかということを率直に結論を伺つております。
#46
○大野幸一君 松井君の質問に対しては、イエス、ノーを要求することになりますが、答えなければ答えないでもよいのです。それで中西君のなんでは、よいとも惡いとも考えないが、議院が、私の言葉が惡いと言えば、私はそれに承服するというように、私はこういうふうに了解しておる。
#47
○松井道夫君 私の聽きたいのは、野郎という言葉の談義ではない。昨日の場合、野郎ということを言われたのが、不適当であつたかどうか、どう考えておられるかということを聽くのです。答えられなければ、答えられないとおつしやられて結構。
#48
○遠山丙市君 今中西君が取消しいおると、こう言われましたが、取消しておると言われたその言葉は、野郎という言葉が惡ければ、私は幾らでも取消しますと、こういうようなるお言葉があるのですが、これを指さして取消すと言われておるのですか。
#49
○委員外議員(中西功君) 私は、ちやんと取消してある、とこう書いてある。
#50
○遠山丙市君 取消してある、それはやはり言葉が惡ければ……。
#51
○委員外議員(中西功君) 取消せ、取消せ、とこういう要求がここに出ておる、下から彌次が出ておる。だからちやんと取消してあるということを答えた。
#52
○遠山丙市君 それからそういうような非常に彌次がいろいろ出ておりますね。その後で今のような言葉が出たのじやないですか。私はこれは訳したのを見ておりますが、失言だと呼ぶ者があるとか。いろいろありました後で、野郎という言葉が惡ければ私は幾らでも取消します……。
#53
○委員外議員(中西功君) それは直ぐ言つたわけです。
#54
○遠山丙市君 これは可なり進行してからですよ。
#55
○委員長(太田敏兄君) この際休憩いたしまして打合会をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(太田敏兄君) それでは暫時休憩いたします。
   午後五時五十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時二十八分開会
#57
○委員長(太田敏兄君) それでは休憩前に引続きまして開会いたします。質疑は終つたと認めまして討論に入りまして、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(太田敏兄君) それでは討論に入ります。
#59
○松井道夫君 中西君の昨日の演説について考えて見まするに、野郎という言葉を使つたことが不穏当なこと、即ち野郎という言葉の不穏当なことは、これは申すまでもないことであります。國家公務員法を押付ける野郎という、その野郎が何を指すのかということが問題であつたのでありまするが、懲罰の動議にありまする関係方面を指すものではないことは、中西君の弁明並びに中西君の演説の全趣旨から言いまして明らかになつたと思われるのであります。併し懲罰の動議に出ましたような誤解を招くような表現でありましたことは、これは何としても不謹愼であるに違いないのであります。それで本件は懲罰に付すべきものであると考えられます。而してその懲罰のいずれに処すべきかは、中西君が率直に用語の不穏当を認めなかつたこと、これは中西君の立場から言えば或いは求めることが非常に無理なことであるかも知れませんが、認めて呉れなかつたこと、これは遺憾でございまするが、今の國会法の百二十二條第一号にございまする「公開議場における戒告」、これが最も適当であると思うのであります。以上意見を申上げます。
#60
○委員長(太田敏兄君) 他に御意見は……。
#61
○遠山丙市君 只今松井委員から御発議になりましたように、本件は先程來の中西君の弁明から推しまして、懲罰に付するということについては同意いたします。而ういたしまして、如何なる懲罰に付するかということにつきましても、百二十二條第一号に掲げられておる戒告で臨みたいとこう考えておるわけであります。
#62
○大野幸一君 私は、中西君の言葉のうち、惡ければ取消しますというその言葉は、慣例語としてしばしば用いられていることでありまして、他の人がこういう場合に用いたならば問題にならないと思います。從つて原則としては無罪でありまするが、本日、中西君の弁明中、院議でその言葉が不穏当であれば、私は將來いたしませんと、こういう弁明がありました。野郎という言葉は、参議院議員として本会議場において用うべきことでは絶対にありません。從つて院議として、惡い言葉であるということを戒告する必要がありますために、この場合に「公開議場における戒告」という懲罰は或いは適当と存じますので賛成いたします。
#63
○星一君 議員の言葉は簡明で明瞭でなければならんと思います。野郎という言葉だけでなしに、押し付けるような野郎と言つたのでありますから、現在の政界の段階において、この押し付ける野郎ということは、中西君の言うた民自党の内閣を言うたというのみに止まらんかも知らん。だからそういう明瞭を欠いた言葉を使い、殊に議員としての使うべからざる言葉を使つたということは、やはり議員として不穏当なことであろうと思いますから、今の戒告に賛成します。
#64
○油井賢太郎君 私は中西君の言動中、國会議員を非常に侮辱したように國民に受取れる点があるのを誠に遺憾とするものであります。官報にあの節の言動というものが記載されて、全國津々浦々の國民に行き渡るものであります。その場合あの文句の中に、安い賃金ベースを作つたものを非難しておる、而もそれが如何にも國会議員の大半を占めておるものに適用されるというふうな感じを國民に與える点があるのであります。こういう曖昧な、而も言葉上から言いましても、誠に不穏当な野郎というような言葉を使つたということは、國民に対しても、國会議員の立場上から見ても甚だ遺憾に堪えないところでありまして、この点から見ても、率直に陳謝の意を表すべきであつたと思うのでありまするが、率直なる陳謝もしないという点につきましては、今後よろしく戒告等の処置によつて注意を促す必要があると思います。よつて戒告ということに賛意を表するものであります。
#65
○委員長(太田敏兄君) 外に御発言ありませんか。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(太田敏兄君) それでは別段の御意見がなければ、これより採決に入ります。只今松井君外三君から戒告の懲罰に処すべしという御発言がございましたが、國会法第百二十二條による「公開議場における戒告」の懲罰に付するということに御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#67
○委員長(太田敏兄君) 全会一致と認めます。よつてさように決しました。つきましては、戒告文は委員会が起草することになつておりまするので、その文案は委員長に御一任を願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(太田敏兄君) では委員長のところで作成いたすことにいたします。では審査報告書に御署名を願います。
  多数意見者署名
    遠山 丙市  荒井 八郎
    大野 幸一  齋  武雄
    油井賢太郎  星   一
    野田 俊作  大山  安
    松井 道夫
#69
○委員長(太田敏兄君) それではこれを以て懲罰委員会を散会いたします。
   午後六時三十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     太田 敏兄君
   理事
           荒井 八郎君
           松井 道夫君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           遠山 丙市君
           油井賢太郎君
           星   一君
           大山  安君
           野田 俊作君
  委員外議員
           中西  功君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト