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1948/12/18 第4回国会 参議院 参議院会議録情報 第004回国会 地方行政委員会 第3号
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1948/12/18 第4回国会 参議院

参議院会議録情報 第004回国会 地方行政委員会 第3号

#1
第004回国会 地方行政委員会 第3号
昭和二十三年十二月十八日(土曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○警察問題に関する件
○地方自治法の一部を改正する法律案
 に関する件
○全國選挙管理委員会に関する件
  ―――――――――――――
   午前十時四十二分開会
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより委員会を開会いたします。先ず最初に警察問題に関する件を付議いたします。國家地方警察本部の方から、最近新聞紙上で報道されておる鴻巣、大宮、福島等の自治体警察の紊乱と申しますか、それについて説明を求めます。
#3
○説明員(小倉謙君) 最近新聞紙によつて傳えられております埼玉縣の鴻巣町及びその附近における元関根組の乾兒の暴力行爲事件でございますが、これはすべて自治体警察の管内において発生したものであります。又犯行後相当日数を経過しておりますので詳細の点については、調べにくい点もあるのでありまするが、大体の状況は次のような状況でございます。先ず鴻巣町における事件は、本年の二月中旬に関根組の輩下の野本某外七、八名が、同地の元博徒の親分で、現在は瓦製造販賣を営んでおります碓井某、これは元博徒でありますが、この碓井某のところに参りまして、賭博の上りを取つておるようだから、小遣銭を呉れと、金銭を強請りに來たのであります。そうして酒や食物を提供せしめ飲食中に伊報せによつて駈けつけた関根組の大幹部である藤田卯一郎それから福田武夫、この福田武夫は朝鮮人でありますが、これらの数名の者即ち関根組の乾兒達に屋外に引張り出されまして、何をやるか、というようなことで棍棒その他で殴打されて頭部に打撲傷を負つた、こういうような事件であります。この事件につきましては、所轄の鴻巣町警察署に被害届がなかつたのでありますが、密告によつて警察署員を現場に急派したようであります。ところが被疑者達はすでに逃走後であつたので檢挙することができなかつた、こういうような状況であります。
 この傷害事件に関しまして、その直後被害者の碓井は北足立郡上尾町居住の博徒野口某、これも矢張り関根側の人間であります、この野口某から治療費の名儀で現金四万円を恐喝されて取られている。又前に申上げました朝鮮人といわれております福田武夫及びその乾兒に、やはり碓井は拳銃日本刀で脅迫されまして治療費を寄越せということで現金三万円を強奪されているのであります。この傷害事件にからむ恐喝傷害事件に関しましても、当時被害者は後難を恐れまして届出をしなかつたのであります。所轄の鴻巣町の警察署ではその捜査に著手するに至らなかつたのであります。
 それから次に大宮市内における福田武夫等の犯行であります。これは本年四月上旬頃、その筋から暴力團が担当市内に横行しているから嚴重に取締をするようにという命令がありましたので、内偵をいたしました結果、福田武夫その他数名の者が、大宮市内の市会議員の同地のテキ屋の親分である右田某に対しまして、右田の乾兒との喧嘩について因縁をつけ、現金二万円を喝取した事件が明らかになりました。その他の恐喝事件がありましたので、福田その外四名の逮捕状を得て捜査を続けたのであります。すでにその当時福田は坂本警察署に檢挙せられておりましたので、これは他の事件で檢挙されておりますので、証拠物と共に関係書類を坂本警察署に引継ぎまして、大宮警察署としては捜査を打切つたのであのであります。尚坂本警察署におけるこれらの事件の揉み消しに関する涜職事件に関しましては、すでに新聞に詳細載つておりますので御承知のことであると思いますが、これらの関係の警察官に対しては、すでに担当の処分が行われた模樣でございます。
 それから浦和市における事件の概要でありまするが、大宮市内の土建請負業福島某という者が、浦和市内の土建請負業齋藤某と、競馬場の工事入札のことから反目いたしまして、今年三月下旬に、この両者が鬪爭をしようとした際に、福田武夫及びその乾兒数名が福島方に加勢をしたのであります。ところが福島の乾兒達は、自分の親分のことについて福田に出し拔かれたというようなことで憤慨しまして、福田らに対して食つてかかつた。これを知つた土建請負業の池田某が、その喧嘩を取鎭めたのでありますが、所轄の浦和市警察署におきましても、密告によつて現場に署員を出しまして、福島及びその乾兒数名を檢挙したのであります。その翌日ですか、福田武夫が数名の乾兒を連れて鬪爭の際、仲裁に入つた池田某の所に來まして、警察に密告したのは怪しからんというようなことで因縁をつけて、首を貰うからという脅迫をして立ち去つたのであります。このことを聞いた池田某の実兄は、福田の泊先に行きまして、現金十万円を提供したのであります。この事件につきまして、浦和市の警察署において四名を檢挙したのでありまするが、この捜査を余り深く掘り下げなかつた模樣でありまして、主犯の福田を逮捕するに至らなかつたような事情があるようであります。
#4
○委員長(岡本愛祐君) 今本会議が始まりましたから、十分間休憩いたします。
   午前十時五十三分休憩
   ―――――・―――――
   午前十一時十九分開会
#5
○委員長(岡本愛祐君) これより委員会を再開いたします。休憩前に引続いて説明を求めます。
#6
○説明員(小倉謙君) 事件の概要につきましては、以上申上げましたような通りでございます。
 以上申上げましたようにこれらの暴力行爲を行いました者に対する捜査が、鴻巣、大宮、浦和等の自治体警察署において積極的でなかつた点があるように私共は感ずるのであります。一面その原因としてこれらの事件がいずれも博徒同志の爭いであつたことと、又被害者が後難を恐れて届出をしなかつたというようなことも考えられるのでありまするけれども、いずれにしましても消極的な点が窺われるのであります。詳細な点につきましては、いずれも自治体警察内部のことでございまして、十分な報告に接しておりませんですが、とにかく暴力團の取締は、これは全國一齊に今日世論の要望に應えまして、警察として努力をいたしておるのであります。自治分警察管内の事柄とはいいましても、これらの事件につきましては私共警察に同じく職を奉ずる者といたしまして、相当反省をいたしておるような状況でございます。
 尚埼玉縣の警察隊長とも連絡いたしまして、更に一層暴力團の取締りについては十分な努力をするようにいたしておるのであります。
 次に福島の事件でございますが、福島縣内におきまして相当暴力團、或いはそれに類似するようなものの檢挙をいたしております。この福島縣におきましては、福島市の警察署その他の関係の自治体警察署が國家地方警察の福島縣本部と非常に緊密な連絡をいたしまして、いずれも積極的に取締りに当つております。自治体警察署の内部にこれらの暴力團、或いはボス等と惡い因縁があるようなことにつきましては私共報告を受けておりませんし、又そのようなことは大した問題では恐らくあるまいと存じておるのであります。
#7
○委員長(岡本愛祐君) 速記をちよつと止めて……。
   〔速記中止〕
#8
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて……。只今自治体警察の問題につきまして、地方の小都市でいろいろの事件が起つております。それについて説明がございました。自治体警察の元締をいたしますところが現在の警察制度にはないのでございます。これで強いて國家地方警察本部の方にその説明を求めておるような次第でございますが、それが今説明がありましたように少し突つ込んで聞きますと、よく分らないというようなことになつておるのであります。これは甚だ治安上から申しましても困りますことであります。この点を前の治安及び地方制度委員会におきましても警察制度の改正の問題といたしまして、何とかしなければならないということを考えおるのでありますが、尚この委員会におきまして皆樣方の御意見を拜聽しまして、この自治体警察の元締と申しますか、世話役と申しますが、そういうものを作つて行く必要がある、こういうふうに思う次第であります。
 次に議題に供しますのは、地方自治法の一部を改正する法律案、これは昨朝、在外同胞引揚問題に関する特別委員会の方から要求がありましたので、この地方行政委員の委員の発議といたしまして、この法律案を発議することにいたしたいと思うのであります。その案文はお手許に廻してございます。これは御承知の通り先般本院で可決をされ、又衆議においても可決をされまして法律となりました特別未帰還者給與法の制定によりまして、「もとの陸海軍に属していない者で昭和二十年九月二日から引き続き海外に在つてまだ帰國せず、且つ、ソビエト社会主義共和國連邦の地域内において未復員者と同樣の実情にあるもの」等に対して諸手当を給與することになつたのであります。ところが同法の施行の関する事務はどこで取扱うかということが決めてないのであります。それでこの同法の施行に関する事務、即ち諸手当の給與事務を都道府県及び特別市をしてやらせようということを明らかに規定する必要がある、それで地方自治法の附則の第十條に「都道府縣及び特別市は、軍人の属であつた者の身上の取扱に関する事務及びその家族等に対する俸給その他の給與に関する事務を処理しなければならない。」こういう規定がございます。これにここに揚げてございますように、「その家族等に対する俸給その他の給與に関する事務」の下に「並びに特別未帰還者給與法の施行に関する事務」ということを加する。そうしてその但書に「政令で特例を設けることができる。」、こういう但書を設ける、こういうふうに改正しようというのであります。もう一度読んで見ますと、「都道府縣及び特別市は、軍人軍属であつた者の身上の取扱に関する事務及びその家族等に足する俸給その他の給與に関する事務並びに特別未帰還者給與法(昭和二十三年法律第 号)の施行に関する事務を処理しなければならない。」こういうふうに改七する。で但書は「但し、政令で特例を設けることができる。」こういうことになるのであります。それからこの第二項の方は現在の條文は「前項の事務の処理に関しては、政令で特例を設けることができる。」こうあります。これが只今の第一項の但書になりましたから、「特例」というところを「必要な規定」と、こういうふうに改める。「前項の事務の処理に関しては、政令で必要な規定を設けることができる。」こういうふうに書くのであります。これは從來から不備でありまして、そういう規定が必要であつたのですが、この機会にそう直そうというだけのことであります。御質疑がございましたら自治課長が見えておりますからお願いをいたします。
#9
○吉川末次郎君 これは総理廳自治課からの提案でございますか。
#10
○委員長(岡本愛祐君) これは今申しましたように、在外同胞引揚問題に関する特別委員会から言つて來ました。実は向うの原案は少し違つておつたのです。併しそれは工合が惡いので、それでこういうふうに私の手許で直しまして、昨日在外同胞引揚問題に関する特別委員会に私が出席いたしまして、向うの説明を聽き、私の意見を申しまして、そうしてこういうふうに改めまして、向うもこれで結構だ、こう言つておるのであります。
#11
○吉川末次郎君 大体結構だと思うのですが、政府側の意向を一廳聽いて置く必要があると思います。
#12
○政府委員(鈴木俊一君) この御提案の内容につきましては、政府といたしましても異存のないところでございます。第二項の、「必要な規定」というふうに変えまして、施行令に相当するような政令を設けるという点でありますが、これは特別未帰還者給與法の対象になります特別未帰還者というものは、どういうものであるか、この法律自体では明確でございませんので、やはり市町村長等に本人から或いは本人の家族、関係者等から届出させるということにいたしまして、対象を明確にいたした上で、特別未帰還者として給與その他の措置を講ずるということになるだろうと思うのでありますが、そういう関係の事項はやはり必要な規定といたして政令で書くという考え方で、第二項の点を規定いたしたのであります。只今委員長の仰せの從來不備の点ということでありますが、これは今までは、とにかくそれでやつて参つたのでありますが、軍人軍属であつた者ですでに戰死の公報があるに拘わらず、未だ遺骨を貰つていない家族でありますとか、遺族でありますとか、或いはその間の事情が不明な者がありまして、而も從前の軍関係の復員局等でよく分らないものがある、そういう者につきましては、これも関係者から届出をして貰つて、最後の締め括りを付けたいという要望が、これを相前後をいたしましてありましたので、そういうことも政令で届出の方法を規定したいというふうな考えで、第二項の改正をお考え下すつたと思うのであります。大体政府といたしましても、そういうような行き方で行つて頂きますならば異存がない次第でございます。
#13
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。尚申落しましたが、それではこの特別未帰還者に対する給與事務というものを統轉します元締はどこだという点、これは厚生省の援護廳の援護局でやらせたいという在外同胞引揚問題に関する特別委員会の意向でございました。政府と打合せの結果、大体外務省でなくして、援護局でやる方が政府も適当だこういうふうに認めまして、別に内閣委員会の方でこの官制の方の管轉、所轉関係の訂正をするような手筈になつております。それだけ申上げております。
 それでは本案によりまして、本会議に発議することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(岡本愛祐君) それではそういうふうにいたします。発議者は私と理事三万ということにお願いして如何でございますか。
   〔「異議なし」と呼び者あり〕
#15
○委員長(岡本愛祐君) そういうことに決定いたします。
 それではこれはまだOKがとれておりませんから、早速OKをとる運びにいたします。そうして本会議に提出いたすことにいたします。
 次に全國選挙管理委員会に関する件を議題にいたします。御質問がございませんか。岡田君から要求されておつたのですが、岡田君は今日席を外されましたから、どなたからか御質問願いたいと思います。この度の衆議院の選挙に関しまして、いろいろ質問が残つておるのであります。それに対する御質問を願いたいと思います。
 先ず最初に私から質問にいたします。選挙運動期間中に新聞社から頼まれまして、そうして時局の問題について寄稿をするというそのときに、或る政党の政策に触れまして、或る政党を攻撃するということになつたとします、それは差支ないのであるか、選挙違反になるのであるか、その点について御説明を願います。
#16
○政府委員(郡祐一君) 選挙運動に関しましては、特例法で種々嚴重な制限を設けておりまするが、その新聞への寄稿が選挙運動に触れておりません限り、特定の候補者の選挙運動になりません限りは、政党の政綱、政策等について賛否を述べますることは差支ないことを存じます。新聞紙等も記事の取材等について可なり注意深くいたしておりまして、大新聞につきましては紛れはないと思いますけれども、新聞と申しましても地方紙、或いは小さい新聞等で記事の扱いなり、又地方紙等はその取材の範囲等から、特定の候補者の選挙運動に類するような場合がしばしばあろうと思います。大新聞については新聞社自身が自制いたしておりまする部分も相当ありまするが、地方紙その他につきましては寄稿されます側においても新聞の法規その他について十分併せて御注意下さることが望ましいと思います。
#17
○委員長(岡本愛祐君) 柏木君御質問ありませんか。
#18
○柏木庫治君 選挙に携わる選挙運動者、選挙運動をする者は、金銭の責任者と参謀というものと、それからビラなどを出した責任者と、選挙事務に携わるものと、これがいわゆる選挙運動者という者としてここの範囲に限つてよろしいのであるか。それから実はあなたの説明を今まで十分聽いていなかつたものでありますが、應援演説をやる者は選挙運動者ではないという、そういう点を、明確に選挙運動者であつて、例えば年始状を出してはならんというようなことを絡み合うのでありますが、そこを一番聽きたい、そこの限界をはつきりいたして頂きたいと思います。
#19
○政府委員(郡祐一君) 選挙事務に從事いたしまする者の部数等の制限を現在のところでは從來のように詳細に規定しておりません。ただお尋ねになりましたところは、恐らく年賀状の配布禁止について起つて参るだろうと思います。單に数回候補者の演説会において演説だけをいたすというような程度の運動をいたすに止まりまする場合には、年賀状の禁止の特例には入らないと思います。ただ應援者であると同時に、その候補者と殆んど行動を一にしておりまして、年賀状の禁止に当る選挙從事者の範囲に入ると考えられる者も起つて参ろうと思います。お話のように應援演説だけをするに止まるという限度ではあの禁止の入らないと考えております。
#20
○柏木庫治君 現実の問題でありますが、應援演説をいたす者で、譬えて申しますと、私の甥が出る、私が應援してやらなければならないというので、殆んど半月くらい應援演説でありますから、行動を共にいたしまして演説をいたすのであります。先つきの言葉で、候補者と行動を共にするということでぶつかるのでありますが、專心應援演説をやるとすれば、候補者と行動を共にする、日数が非常に多いのでありまして、そうして又若し時間がありましたならば、譬えて言えば、三軒か五軒か自分の特別の知人のところをちよつと訪問してするというようなことも候補者は知らないけれども、私の三十年來の友人が五人、三人おつた時に、その家を訪問するというようなことは、今言うた年賀状問題とどうなるか。行動を共にするということで、應援演説をする者は概ねその何日間かは行動を共にしておるのであり、その場合が多いのでありますから、この点をはつきりして貰いたいと思います。
#21
○政府委員(郡祐一君) 只今の御設例になりましたような限度に達しまするならば、あの法律の対象に含まれることに相成ると存じます。
#22
○柏木庫治君 含ま……。
#23
○政府委員(郡祐一君) 含まれる。特定の候補者について特別の繋がり等はなく、單に選挙の際に依頼されて、種々の候補者について應援演説だけに参つて直ぐ戻つて参りますとか、又相手方の候補者の数は一人であつても、同じように單なる應援演説をいたして、直ぐ住所に戻るという限度は、含みませんが、御説明のように候補者と行動を共にし、必ずしも候補者と一種の連絡等がございませんでも、知人等に選挙演説を依頼するというような限度になればやはり年賀状禁止に含まれるものと考えます。
#24
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは國家地方警察の方で選挙取締に関する会議を開いておるそうであります。その大体決つたことを、取締方針の決つたことについて御説明願いたいと思います。
#25
○政府委員(武藤文雄君) 選挙につきましては、御承知の通りその実施の運営というものは、各都道府縣の公安委員会或いは市町村公案委員会が運営を管理しております本質といたしまして、大体お互いに歩調を揃えて行こう、こういつた氣持でやつたらどうかというような意味で大綱を考えたわけです。申すまでもなく選挙の自由を確保し、その公正な運営をしようといす、そのために特に衆議院議員選挙法百四十條の三で公案委員と警察官、檢察官は嚴格に公正に執行しなければならないという義務規定が設けられたにも鑑みまして、法律の執行に当つては苟くも一党一派に偏したる選挙干渉の疑惑が持たれることのないようにして行くことは勿論であるが、國家警察と自治体警察との密接な連絡をして、飽くまで嚴正公正な取締をする、そして取締に対しては断乎とした態度を以つて、これに臨むという、飽くまで公正保持ということに、先ず取締り態度を嚴格に定めておるわけです。取締につきましては、先ず第一に問題になりますのは、防犯に関する都面でございます。防犯につきましては御承知の通り、衆議院議員選挙法百四十條の二で選挙管理委員会は選挙違反その他選挙に関し特に必要な事項の周知徹底、或いは棄権防止について、選挙管理委員会が担当されることになつておりますが、又警察といたしましても、犯罪予防ということはこの本來の職務でもあるということから考えまして、選挙管理委員会の実施する防犯措置に対しては警察といたしましても、積極的にこれに協力する、こういつた立場をとつております。勿論棄権防止とか、その他いわゆる啓蒙運動、こういつたような種類のものについては、警察当局としては関與しないけれども、犯罪の予防ということについては積極監にこれに協力して行くという立場をとりたいと思います。
 その次に警察官に対する教養でありますが、これは法令がいろいろ新らしいものができ、或いは改正せられておりますので、どうしてもこれらの新らしい法令について、警察官に関係法令の周知徹底ということが、特に痛感されておるわけであります。この点に対しての具体的な教養ということには特に意を用いておる、資料なども作りまして、そうして警察官には十分に新らしい法令についての教養を徹底するということを狙いとしております。
 次に警察官の配備、配置の問題でありますが、これについては何と言つてもいろいろ自轉車とかその他機動力を持つことが必要であります。一方においてこういつた資材を整備するということに、努力をいたしますと共に、又警察官の配置などについても、十分考慮いたしまして、選挙取締において遺憾のないようにいたすように留意いたしております。
 その次は自治体警察と國家警察との関係、その相互間の協力の問題であります。自治体警察との協力につきましては、警察法の五十六條でも定められておりまして、特に今回の選挙において、自治体警察と國家警察との間において、取締の間に齟齬を來たすことがないように特に緊密な連絡を置かなければならない、そのための措置といたしましては、都道府縣において地方の実情に應じて公案委員会連合会などの協議により選挙取締に関する國家地方警察と自治体警察との行動、連絡協議会、こういつたものを、名前はいろいろあると思いますが、こういつた國家警察と自治体警察の連絡機関を設けて、そうして歩調を一にして、嚴正取締の徹底を期するといつたことにいたしたいと思います。從來も都道府縣においてはそれぞれかような連絡機関が実際できておりますので、こういつたものを利用して、殊に選挙のように取締の整一を必要とするものについては、こういつた協議会等を活用することによつて、自治体警察と國家警察との間に齟齬を來たさないように、十分留意して行きたいとかような所存であります。更にこれは都道府縣でありますが、その下の國家地方の地区警察署においては、その附近の自治体警察とも協力をして、そうして選挙法令の解釈或いは質疑等の統一を図り、そのためにお互いに係りを派遣し合つて、十分連絡をとつて、齟齬を來たさないようにする、かような方途を講じて、國家警察と地方警察との間に齟齬を來たさないようにして行きたいと思うのであります。
 それから違反取扱の場合において、告訴、告発の取扱の点であります。選挙は國民自ら自分で行うものであるというような考えからいたしましても、選挙に関する不正或いは違反に関する告訴、告発その他の申告については、警察といたしましても最も誠実にこれを捜査する、そうしてその処理の経過についてはこれを明らかにして、記録を作製して行き、聊かも疑点の残らないようにして置こう、かような考えを持つております。尚違反については、今回は特に選挙公営というものが行われる、これが無意味に終らないように、その公営の適正な遂行としては、警察としても十分関心を持つて行きたい意向でございます。大体非常に一般的でありますが、本部といたしましては、かような氣持で臨み、飽くまでも嚴正公平な立場で臨み、それから警察官に対して、特に新法令の趣旨の徹底教養というものに意を用いて行く、第三には自治体警察と國家警察との間に齟齬を來たさないように万全を図つて行く、かような立場で取締に臨んで行きたいと思います。
#26
○委員長(岡本愛祐君) 御質疑はございませんか。
#27
○柏木庫治君 これは質問というより私の意見を混えたお尋ねなんでありますが、警察官という職務の上から、先つき申しました犯罪に向つては嚴正に取締るということなんでありますが、そうして又後に選挙は人民がやるんだから、國民をして自由にやらせる、私はこの氣持の中に本当に選挙は國民がやるのであるから、國民をして自由にやるように教育して行くというような心持が根本であつて、そうして若し犯罪があつたときはそれは取締る、許さない、こういうのは結構でありますが、警察官本來の在り方として、若し犯す者があつたら嚴重に罰するぞといつて、どつかに犯罪はないかというような、その方が主になつての行動になり勝ちじやないかと思うのでありますが、私はこの際從來の日本は選挙に対しての監督と申しますか干渉と申しますかは、実にそはれもう話にならないような、話題にいつも上ることでありますが、人がポスターを立てておる。そうするとこれが道路に着板が轉がつておつて交通の邪魔になるからこれを誰かが立ててやつた、それがもうすでに選挙違反になつたという時代があるのでありますが、そういうやはりずつと流れが若し少しでもあるならば、民主主義の実に自由な選挙は非常に阻害されるのじやないか、だから國民全体がもう選挙なら触わらんようにさへすれば心配はないのだというような考え方が実際に非常に流れておるのでありますから、そういう從來の誤まれる、國民の心を縛るような、脅かされるようなことが新憲法下完全に拂拭されて、國民の自由意思によつて何らの屈托もなく、明朗に選挙のできるように遠いところから監視するというような私は在り方の方がいいので、そういうふうに進めて行つてこそ本当に新憲法精神に合するのじやないかというふうに考えるのでありますが、警察当局者は御自分から顧みてどちらの部類にまだ警察の態度があるかということを一つ虚心にお尋ねしたいと思います。
#28
○政府委員(武藤文雄君) お話の点は十分我々同感できる点であります。選挙というものが自由に民意を表明しなければならない、自由に國民の意思というものが反映しなければならない。言い換えれば選挙というものは國民が自由にこれを立派なものとして作つて行くということがその本來の使命であり、又警察といたしましても國民のために、國民に代つて警察というものが運営されて行く、いわば警察と國民とは対立のものではなくて、國民に代つて治安維持、秩序維持というものを図つて行くわけであります。從つて警察として無用の干渉は、只今お引きになつたような、曽つてあつたような惡いような取締方法というものはこの際是非とも拂試しなければならないのであります。ただ警察といたしましては、この國民の代表によつて作られたところの法律というものを飽くまでも嚴正に執行する役割を持つており、これを曲げて運用するということも許されない、この國会において作られた法律というものを飽くまでも忠実に履行して行く、不偏不党、公正な立場でこれを実施して行く、これが即ち警察の本当の在り方である、かような意味において選挙を自由に國民の意思を暢達する方法によつてやるようにしなければならないという点は全然同感であります。その線に沿つて、又この國会において定められた法律というものを正しく執行して行くというのが警察の國民のための職責であるというふうに考えおり、御趣旨の点も十分了解できるのであります。國民によつて自由に選挙が行なわれる、そのためにこれを保障するところの國会において定められた法律というものを、これを忠実に警察としては執行して行きたい、かような所存であります。
#29
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質疑はございませんか……。請願、陳情が残りましたが、月曜日にいたはことにいたします。今日はこれで閉会いたします。
   午後零時六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           吉川末次郎君
           岡田喜久治君
   委員
           黒川 武雄君
           重宗 雄三君
           林屋亀次郎君
           柏木 庫治君
           太田 敏兄君
  政府委員
   総理廳事務官
   (総理廳官房自
   治課長)    鈴木 俊一君
   全國選挙管理委
   員会事務局長  郡  祐一君
   國家地方警察本
   部部長
   (刑事部長)  武藤 文雄君
  説明員
   國家地方警察本
   部搜査課長   小倉  謙君
ソース: 国立国会図書館
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