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#1
第004回国会 労働委員会 第1号
昭和二十三年十二月八日(水曜日)
    午前十一時十四分開議
 出席委員
   委員長 綱島 正興君
   理事 山花 秀雄君 理事 川崎 秀二君
   理事 中原 健次君
      尾崎 末吉君    倉石 忠雄君
      松崎 朝治君    三浦寅之助君
      亘  四郎君    辻井民之助君
      村尾 薩男君    山下 榮二君
      赤松 明勅君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        労働政務次官  鈴木 正文君
        労働事務官   賀來才二郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 濱口金一郎君
十二月二日
 委員植原悦二郎君、松田正一君及び船田享二君
 辞任につき、その補欠として尾崎末吉君、亘四
 郎及び大島多藏君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
    ―――――――――――――
十二月三日
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第六号)
同月四日
 職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職
 業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決
 を求めるの件(内閣提出、議決第一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 合同審査会開会に関する件
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第六号)
 職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職
 業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決
 を求めるの件(内閣提出、議決第一号)
    ―――――――――――――
#2
○綱島委員長 これより会議を開きます。
 本委員会に付託せられました公共企業体労働関係法案並びに職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関し議決を求めるの件、の二案の審査に入るに先だちまして、まず政府側より提案理由の説明を求めます。労働次官。
#3
○鈴木(正)政府委員 ただいま議題になりました公共企業体労働関係法案につきまして、その提案理由と大体の構成について、御説明申し上げます。まず提案理由の第一といたしましては、七月二十二日付をもつて、マツカーサー元帥より当時の芦田内閣総理大臣に対して、國家公務員法の改正に関する書簡の参りましたことは、すでに御承知の通りでありますが、この書簡におきまして、現在特別会計によつて行われている鉄道事業及び專賣事業については、公共企業体への組織が之が示唆され、第三臨時國会におきまして、日本國有鉄道法及び日本專賣公社法が成立いたしたのであります。
 この二つの法律によりますと、これら公共企業体の職員には、國家公務員法が適用されないことになるのであります。このために公共企業体の職員には、労働組合法及び労働関係調整法が適用されることになります。しかしながら公共企業体は、一つの企業体ではありますが、その特異性にかんがみ、完全國有の法人として、國家の嚴重な管理と監督のもとに運営されることになつておりまして、一般民間の企業またはある程度の國家の管理を受けている企業とは、その性格を異にするものでありまして、マツカーサー元帥の書簡にありますように職責の責任の遂行を怠ることによつて公共企業体の業務運営に支障を起すことのなきよう、公共の利益を擁護する方法が確立されなければなりません。このため公共企業体の職員の労働組合及び労働関係については、労働組合及び労働関係調整法の規定いたしますもののみにては、不十分と考えられますので、これに対処する必要な措置を講ずるため、この法案を提出いたした次第であります。
 第二の理由といたしましては、公共企業体の労働関係は、第一に述べましたような公共企業体の性格から、共通の特異性を持つものでありますので、日本國有鉄道と日本專賣公社とに、別個の労働関係に関する法制的措置を講じますことは適当でなく、かつまた公共企業体の労働関係を統一的に把握する見地よりしまして、不適当であると考えられますので、この法案によりますように、統一的取扱いをいたすよういたしました。
 第三の理由といたしましては、公共企業体の職員には國体交渉権は、労働組合法の定めるところにより、完全に保有するのでありますが、これが行使の方法につきまして、從來一般組合においては、ややもすれば混乱を生じ、無用に労働紛爭議を生ぜしめている傾向があります。しかしながら、かかる混乱はつとめて排除されることは望ましいことでありますが、特に公共企業体において、これら無用な紛爭議を極力排除することにより、正常な團体交渉を保障し、これによつて職員の地位の維持向上をはかり、もつて、公共企業体の能率発揮と、正常な運営を確保しようとする法制的措置を必要としたことであります。
 第四の理由といたしましては、公共企業体の職員には、國家公務員に認められるその地位に関する特別の保障がありませんから、これにかえて完全な團体交渉と、適正迅速な調停と、嚴正なる仲裁との制度を確立することにより、職員の生活の安定を保障する必要があるのでありまして、これに関する法制的措置を講ずるを必要としたことであります。なおこの点に関しましては、御承知のように先ほど申しましたマツカーサー元帥の書簡におきましても、かかる仲裁、調停の制度が設けられることが示唆されております。続いて法案の大体の構成について御説明願い上げます。第一章の冒頭におきまして、この法案の目的が、公共企業体の職員の苦情と紛爭とを友好的かつ平和的に調整するため、團体交渉の慣行と手続とを確立いたしますことにより、公共企業体の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進することにあることを規定いたしまして、立法の趣旨を明らかにいたし、さらに関係者が公共企業体の重要性にかんがみ、紛爭をできるだけ防止し、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を盡すべきことを義務づきている次第であります。
 第二章におきましては、職員の組合に民主性、自立性を保障するための規定を設けますとともに、公共企業体の廣く國民に開放すれるべき性質より、オープン・シヨップ制を規定し、さらに公共企業体の運営を正常に確保する必要上、職員の組合に加入し得ない者の範囲を明らかにしておるのであります。しかしながら、一方においては職員の組合が健全に発逹いたしますことは、民主主義の発逹にきわめて望ましいこてでありますから、職員が組合員であること、組合の正常な行為をしたことを理由にして、いかなる差別待遇も受けないこととし、万一かかる差別待遇がなれましたときは、仲裁委員会の命令によりかかる行為の取消しを命ぜられることにいたしまして、労働組合法第十一條違反処理に伴う欠点を是正いたし、職員の組合の健全なる自主的発逹に、法上の保護を與えております。
 第三章は、團体交渉の手続に関しますものでありまして、この法案におきましてははなはだ重要な部門であります。まず第八條において團体交渉の範囲を明確にいたし、團体交渉の対象から、公共企業体の管理及び運営に関する事項を除き、さらに同樣第二項において、その範囲を明示して、労働條件に直接あるいは密接に関連あるものに限り、團体交渉が行い得ることとして、この交渉範囲をめぐつて生ずる無用の混乱を避けております。
 第九條より第十四條におきましては、團体交渉が公共企業体を代表する交渉委員と、職員を代表する交渉委員によつてのみ行われ、しかも交渉委員は團体交渉を行うに適当な、あらかじめ定められた單位ごとに設けられることを規定いたし、團体交渉の統制ある慣行を確立しようとしております。これらの單位または交渉委員は、公共企業体または職員の自主的決定にまつのでありますが、これがいろいろな事情によりまして、企業体または職員がみずからでは決定し得ないときは、労働大臣が、当事者の意向、特に職員の意向を十分に尊重して、單位については労働大臣みずからが、職員の交渉委員については、労働大臣の定めた手続に從つて、職員自身によつて決定されるよう措置いたして、つとめて自主的に決定されることを建前としております。しかし以上の点につきましては維労働組合運動発逹において、日の浅いわが國におきまして、いまだ慣行的に確立されたものはないのでありますから、多少実施上困難があるかと思います。しかしながら組合が一つの企業体に二つ以上存在します場合、往々にして組合相互におきまして團体交渉について爭いを生じ、このため職員に無用の紛糾を引越すことも、アメリカ等におきましては從來経驗されているところであり、わが國におきましても最近においてはこのおそれもあるわけでありまして、この第三章で規定しますような手続により、これらの無用の混乱を防ぎ、よき慣行を確立することにより、團体交簿の円滑な、かつ正常な発逹を願い、この点からの労働関係の不安を除きたいと存ずる次第であります。
 團体交渉に関しましては、これが公共企業体の職員に対する重要性にかんがみ、特に第十五條において、毎年一回は基礎的労働條件の確定のため團体交渉が行われ、これにより労働協約を締結することを特に法律上の必要事といたしております。しかしながら公共企業体の予算経理については、國会及び政府の嚴重な監督下にあることが予定されますので、これに関連して國会の所要の措置がとれらるまで、労働協約の効力の発生を停止するの規定を第十六條に規定いたしております。
 第四章におきまして職員の爭議行為を禁止いたすことにいたしておりますが、これは公共企業体が完全國有法人でありますので、これに対して爭議行為を行いますことは、ひいては國家に対し脅威を及ぼすことになり、さらに公共企業体が再建途上の國家経済と國民の福祉に占める重要性にかんがみまして、これが業務の運営の停滞は寸時といえども許されません。かかる事情よりして、やむを得ず爭議行為禁止の措置を講ぜざるを得なかつたのでありますが、しかしこの反面におきましては、完全なる團体交渉権の行使と、公正な調停及び仲裁機関の迅速的確なる活動により、職員の地位の向上については、十分なる保障がなされることになつております。
 第五章におきましては、苦情及び紛爭の調整と、調停の方法と、その機関を設け、苦情処理の適正なる解決のため、苦情処理共同調整会議を公共企業体の交渉單位に設けしめ、職員の日常の不平を迅速に解決して行くことにし、これによつてなお解決しないものは、調停委員会の調停にまつことといたしております。
 調停委員会は、日本國有鉄道及び日本專賣公社ごとに別箇に設け、中央及び所要の地域に設けることにいたしておりますのは、この二つの企業体の業種の相違にかんがみて、別箇にいたしておる次第であります。この調停委員会は三名で構成され、その中の三名は企業体と職員との推薦する者から選び、他の一名は、この二名の選ぶ者を当てることにいたしておりますが、これは調停に当る委員に、関係当事者の意向をよく理解し得る者を得ることにより、苦情及び紛爭の解決を迅速にするためであります。調停の開始のうち、強制調停が労働、運輸、大藏の各大臣によりなされることになつておりますが、これは労働関係に関する統一的行政運営の上からは、まことに異例でありますが、公共企業体と特に密接なる監督大臣との関係から、かかる方法をやむ得ずとり、これにより公共企業体の紛爭を迅速に解決する必要があると考えられたためであります。
 第六章におきまして仲裁に関する方法、機関を設けておりますが、労働紛爭議に占める仲裁の制度はまことに重大でありまして、これが運用は、特に愼重かつ的確でなければならないものと信ずるのであります。特に本章におきましては、強制仲裁の制度が設けられているのでありまして、事はさらに重大であろうと考えております。このため公共企業体の仲裁委員会には、事務に練逹にしてかつ公正な人を得なくてはならぬと存じますので、これが人選は特に労働関係について経驗が深く、かつ中正なる立場にある労働委員会と、船員中央労働委員会の会長の選択する人々を委員の候補者とすることにいたし、以上の必要に應じ得るものと考えております。しかも仲裁も調停のごとく、これを実行して行く上に、関係当事者の意向をくみ得る人であることがまた必要でありますので、関係当事者に、中労委と船員中労委の会長の選んだ委員候補者を決定して、内閣総理大臣に届け出しめることにいたしております。しかしこの関係当事者の協議が三十日以内に整いませんときは、仲裁委員の調停委員会の委員とは異なる性格から見て、中労委及び船員中労委の会長が、みずから三名の委員候補者を選び、内閣総理大臣に届け出、これに基いて委員の委嘱がなされることになつております。かくのごとくして選ばれた仲裁委員会の委員は、どこまでも嚴正中立でなければなりませんので、一方に偏することのないよう一定の欠格條件を定め、さらに事務遂行に支障なからしめるため、一定の罷免條件を付しております。
 次に仲裁の開始のうち、特に重要なるものは三点であります。その第一点は、調停にかかりまして調停委員会が事案を審査いたしまして、調停にては解決困難と認められるもの、またはその他の理由で至急仲裁を要すると判断される事案は、その調停委員会の決議により仲裁に付することにいたしたこと。第二点は、調停が開始されてから二箇月経過しても、なお解決し得ない事案は、自動的に仲裁に付されることにいたしたこと。
 第三点は、労働、運輸、大藏の各大臣から仲裁の請求がなされたとき、仲裁が始まることであります。
 以上三点は関係当事者の意思にかかわらずして、事案が仲裁にかかるいわゆる強制仲裁であります。労働関係の調整は、自主的になされることの望ましいことは、自主的になされることの望ましいことは、労働関係法規の基本的精神でありまして、強制仲裁のごときことは、この精神からはやや離れております。しかしながら、爭議行為の実行を禁ぜられた労働者の地位をよく保全し、向上せしめますには、事案の解決が迅速になされなければならぬのであります。また一方には労働関係の不安をいつまでも残しますことは、公共企業体の正常な運営と、能率の発揮の上から見まして、重要でありますので、かかる強制仲裁の制度を設けざるを得ないのであります。しかしながら、強制仲裁の制度の運用は、よほど適正に行わなければ、重大な結果さえ引起されることが予想されます。かかる理由よりいたしまして、この章に定められます仲裁に関する諸規定の運用は、まことに重大といわざるを得ません。
 以上この法案を提出するに至りまして理由と、法案の構成の概略について説明いたした次第でありますが、この法案につきまして十分御審議の上、各位の御賛意を得て、その成立の得られますことをお願いいたす次第であります。
 次に職業安定委員会委員の旅費支給額改訂案を審議せられるにあたりまして、本案の提案理由を御説明申し上げます。
 第二回國会に提案しました職業安定委員会委員旅費支給額は、本年六月三十日議決を得まして、ただちにこれを実施しておりましたが、最近の経済事情、特に現在進行中の物價改訂等による影響によつて、はなはだしく低額に失するに至りましたので、これが支給額の改訂につきましては、職業安定法第十二條の規定に基いて、これを両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会の議決を得なければならないことになつておりますので、ここに提案する次第であります。
 本案の目的とするところは、職業安定委員会の委員が委員会に出席する場合、または実情調査等、公務のために本邦内を旅行する場合において、それに要する鉄道賃、船賃、車馬賃、日当、宿泊料等の旅費を支給するのでありまして、この支給額は一應官吏の旅費額を基準として定めましたことは、第二回國会に提案いたしましたときに、御説明申し上げた通りであります。すなわち今回官吏の旅費支給額が暫定的な改訂が行われましたので、職業安定委員会委員に対する支給額も、それに準じて改訂しようとするものでありまして、その増加額は一律に官吏の相当職の増加額と同等に増加した次第であります。以上本案の趣旨及びその内容の大体について御説明申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに議決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○綱島委員長  まず職業安定法第十二條第十一項の規定に基き、職業安定委員会委員の旅費支給額改訂に関して決質疑を行います。御質疑はございませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○綱島委員長  御質疑がないのでありますから、質疑を打切りたいと思いますがいかがございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○綱島委員長 御異議なしと認めます。職業安定法に、職業安定委員会委員の旅費、日当及び宿泊料の金額は、両議院の労働委員会の合同審査会の議を経て、國会の議決を得なければならない。その金額を変更するときも同樣とする、と規定されておりますので、この際合同審査会を開かなければなりませんが、本日の午後二時、参議院第十三号室におきまして、合同審査会を開きたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○綱島委員長 御異議がなければ、さように決定をいたします。
    ―――――――――――――
#8
○綱島委員長 次に公共企業体労働関係法案を議題といたしまして、審査に入ります。この際お諮りいたしますが、本案の審査につきましては、熱心に委員諸君からの御審査がいたされたのでありまして、その質疑應答の内容につきましては、本案審査事情をいろいろ考慮いたしまして、この部分につきましては援用いたしまして、この部分につきましては援用いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○綱島委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。
 次に質疑に入ることにいたします。なおちよつと申し上げますが、労働大臣はただいま参議院の本会議に出席いたしておりますので、それが済み次第こちらに参ることになつております。労政局長も間もなくこちらに参りますが、その間に御質疑がございましたら、次官、及び政府委員がおりますから、どうぞ御質疑を願いたいと思います。
    〔速記中止〕
#10
○赤松(明)委員 去る4日だと思うのでありますが、理事会において決定した事項として私たち委員の方へ通逹があつたのは、本公共企業体企業体労働関係法に関する修正意見があれば、六日中に委員部を通じて関係当局と連絡をとる準備を進めてもらいたいということがあつたから、急拠わが党としては意見をまとめまして、公共企業体労働関係法の修正意見を委員部の方へ提出したのでありますが、もちろんそれでいいかどうかは目下進行中であるからわからない。しかし時間の関係もあり、相当大幅な修正でございますので、後刻この修正意見をそのまま提出しますから、これを速記の上にとどめてもらうことにして、私がここで本修正意見の逐條説明をすることは、時間の関係上避けます。
#11
○綱島委員長 皆樣にお諮りいたしますが、赤松委員の修正意見の意見書の、提出せられたる全文を速記録にとどめることにして、朗読その他のことを省略することに、皆樣御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○綱島委員長 御異議なしと認めまして、採録することにいたします。
 ただいま労働大臣も見えましたから、十九條以下末尾に至るまでの逐條審議を開始いたしますが、いかがでございますか。
#13
○中原委員 日程外にわたつてはなはだ恐縮ですが、労働大臣に、現在継続されております民間主要企業の給與問題を中心とする紛爭議に関して、その後の経過をこの場合承つておきたい。
#14
○増田國務大臣 参議院の本会議で実は私に対する質問もございまして、今質問者が質問中でございますところを、私は本委員会に一審重点を置いております関係上、おじやました次第でございまして、参議院で質問をお聞きしないで、ここでお答えする、こういうことになつておりますから、きわめて短時間であることをどうか皆樣に御了承願いたいと思います。
 そこで今中厚委員の御質問のうち、私は電産と石炭爭議のことに限つて――その他のことについても御質問があればお答えしますが、まずこの二つの問題についてお答え申し上げて御了承願いたいと存じます。
 電産につきましては、去る九月十七日に加藤労働大臣が從來の爭議を強制調停に付しまして、調停期間中一箇月の間は御承知の通り凍結期間がございまして、十月十七日までが爭議行為に入るを得ずという状態でございました。ところが爭議行為に入ることができないこの一箇月以内において、調停は成功せず、十八日以後はいつでもストライキその他の怠業行為、あるいはその他の團体行動をとり得る、こういうことになつたのでございまするから、ときどき地域鬪爭等がございました。しかし私といたしましては、凍結期間が過ぎましても、できるだけ早く調停をしていただきたいということを、中労委の会長以下に懇請いたしまして、十一月初旬に調停案が出ました。その調停案は、われわれといたしましては大体において妥当であると認めまして、これを具現化することにせつかく努力中でございます。しかしそこに持つて來て、ちようど十月の六日に三原則というものが関係方面その他からわれわれ――もちろんわれわれの責任でございまするが、ああいうことに相なりまして、具体化が多少延びております。今のところどうして延びているかと申しますと、あの調停案を具現化するためには、三十数億の金が必要になつて参つておりまするが、その財源といたしましては、企業努力の方面がある程度と、料金の値上げがある程度、それから政府の補給金がある程度、こういうことになつております、そのうち料金の値上げにつきまして関係方面とまだ交渉中でございますが、一般物價に影響がある値上げはいけないということが、三原則の一つに相なつております。そういう関係でまだ了解を得るに至つておりません。これの了解が得られますと、急速にこの電産は妥結に到逹し得るという見込みでございます。せつかく努力中でございます。せつかく努力中でございますから、どうぞ御了承願います。
 それから石炭爭議は、御承知の通り先月の十日から十六日まで、それから先月末から今月の二日にわたりまして、前には一週間、後では三日間の部分的の地域鬪爭がございまして、二十万トン近くの減産を來したということは、私も非常に遺憾に存ずる次第でございます。できるだけ早くこれも妥結に到逹いたしたいと思つて、せつかく努力中でございまして、一昨日、ともかくも團体交渉に入つてくれということを懇請いたしました結果、経営者側におきましても、労働者側におきましても、團体交渉に入つております。この團体交渉が再び決裂いたさないように、政府といたしましても極力努力中でございます。
 その他繊維あるいは金属、いろいろな点がございまするが、まずこの電産と石炭を解決して、金属方面は同じ山のことでもございまするし、解決して行きたい。繊維は少し別でございまするが、やはり労働省といたしましては、せつかく努力中でございます。これもストというような行為に入らない前に解決いたしたいと思つて勉強中でございます。以上をもつて御了承願います。
#15
○中原委員 経過の大要は了承いたしましたが……。
#16
○綱島委員長 中原さん、大臣は参議院で質問中に立つて見えたそうで、答弁をして、もう二十分たつたら、また見えるそうですから。
#17
○中原委員 そうですか。それではまた後刻に留保さしていただきます。
#18
○綱島委員長 そのほか、政府委員に対して、この逐條の御質疑はございませんか。――それでは逐條審議をこれで終ることに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○綱島委員長 御異議なしと認めまして、逐條審議を終ることにいたします。これからあとは、すべて理論的に総括して御質疑を伺うことにいたします。それでは一應これで休憩いたしまして、零時二十分より開会いたします。
    午後零時一分休憩
    ―――――――――――――
    午後一時十四分開議
#20
○綱島委員長 休憩誠に引続いて会議を開きます。
 公共企業体労働関係法案を議題に供します。先ほどまでに逐條審議を終りましたので、あらためて総括的な御質疑のある方は、どうぞ御質疑をお始めください。
#21
○倉石委員 法案の十六條についてもう少しお尋ねしたいことが残つておりますので、伺います。「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又國会によつて所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」こうなつておりますが、この公共企業体の運営当事者がそういう行為をなされて、しかもそれが國会で承認を得られなかつたときの取扱いはどうなりますか。
#22
○賀來政府委員 この條文におきましては、國有鉄道法、専賣公社法と関連して、こういう規定が入つて來たのであります。この法文だけで行きますと、もし國会の承認を経なければ、その協定は履行できないということになつております。
#23
○倉石委員 その次の第十七條においては、「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害をする一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」となつておりまして、これはこの公共企業体に勤められる職員を拘束する規定でありますが、今日まで行われている爭議の状況を見ますと、あながちその企業体に属する者の行為のみによつて、爭議が行われているとは言いがたいのでありまして、第三者がこの企業体の職員に、ここに禁止されているような行為、つまり煽動とかいうふうなことをした場合に対する罰則は、どうなるか。この点をお尋ねしたいと思います。
#24
○賀來政府委員 この点は、もし職員外の人がそういうことになります場合に、一般刑法の適用されるような行為でありますれば、そちらの方で処断されるということになるわけであります。
#25
○倉石委員 政府当局もよく御承知の通りでありますが、たとえばここにきめられている國有鉄道及び専賣公社、こういつたような企業体に対する労働爭議の実情をよく見ますと、ここにいわゆる第三者というものの介入が非常に多いということを、われわれは見のがすことができないのでありまして、この第三者の行う煽動によつて、ただいま労政局長のお話によりますと、刑法上の問題を引起した場合には、その方で取締られるというようなお話でありますけれども、ここにいう刑法上の犯罪を構成するかいなかは別問題でありまして、嚴密にいつて刑法に触れるような行為でなくても、しかも本法が要求しているような、正常な労働爭議をするということの妨害になるような行為がしばしば行われている。これに対して私はこの條項に非常に欠けるところがあるのではないか、かように思われるのでありまして、たとえば「若しくはあおつてはならない。」というようなことでありますが、このいわゆるあおるというような事柄は、第三者によつてしばしば行われている。それが刑法上の犯罪を構成しない限りは、何らそれに対應すべき方策がないということになれば、これは非常な無意味なものになつて來すると思うのであります。この点に対する御意見を承りたい。
#26
○賀來政府委員 先ほど申しましたように、公務員法と違う点は、職員外の者の行為についてはこれには規定がないことであります。もし第三者の立場にあります者が、そういうことをやりまして、業務の執行が阻害されるというふうになりますならば、業務妨害等で刑法上の犯罪が構成せられると考えますが、この公共企業体の組合におきましては、組合が非常に自主的に、民主的に動くことを期待しておりますから、またさようになるように、これが運営せらるべく規定されているわけでありますから、われわれといたしましては、この組合はさような他の第三者からあおられて、さようなことになるということは、ないのではないかということを考えております。
#27
○倉石委員 私ももちろん労政局長の御説明のように、健全なる労働運動が、公共企業体の勤労者によつて行われることを、國民の一人として期待いたすのでありますけれども、從來の経驗を見ますと、さようなことを申して樂観をしていることが不可能な状態であることは、よく政府も御承知のはずであります。しかし私は、根本的にわれわれの考えを申しますならば、労働運動というものが自主的に、なるべく外部からの制圧を加えないで、健全な発逹を期待するという点については、われわれもまつたく同感なんでありまして、私は政府のただいまのような労働組合運動に対する指導方針に対しては、満腔の賛意を表するものでありますけれども、私は委員の一人として、この十七條の規定は、やがては本法の運用の上において、非常なるトラブルを起す原因になるであろうということを警告すると同時に、政府はこれに対してもう一段の考慮をせられるように希望いたしたいのであります。これに関連いたしまして、一つお尋ねをしておきたいと思いますのは、この組合の交渉委員となる者は、組合員外でもよろしいということになつているようでありますけれども、これも今日までの日本における労働爭議の状況を見ますと、いうまでもなくアメリカの訓練された労働爭議、あるいはまた英國のようなあの穏やかな労働爭議、しかもこれは経営者も勤労者も、非常に産業状態並びに労働運動に対する理解を持つておられるから、ああいうようなことができるのでありますが、この第三者的な人が介入することによつて、非常に弊害が多かつた。しかも本法によつて交渉委員は組合外の人でもよいということにされた政府の所見を、われわれは承りたいと思います。
#28
○賀來政府委員 わが國の現在の労働組合法におきましては、第三者と申しますか、直接雇用関係のない人が、組合の承認があれば、加入いたしまして組合活動ができるということになつておるのであります。この公共企業体労働関係法においては、組合員は職員でなければならないという制限が設けられておるのであります。ところで組合法において、職員でない者も組合員としての活動ができるという立場をとつておりますのは、組合側の保護と申しますか、組合員が経済的な生活向上のために、團体交渉をする場合には、いろいろ專門家を必要といたしましようし、また幾多の経驗を持ておる者を必要とする、かような場合があることを予定いたしまして、さようなことになつておるのであります。ところでこの企業体においては職員のみで組織するということになつておりまして、ただいまの組合法が規定しております点においてはやや欠ける点がありますから、公共企業体のこの組合においては交渉委員、すなわち場合によつては專門的な知識も必要である。場合によつては多年の経驗に基く交渉をする必要であるということも考えまして、これはこの組合においても認むべきである、かような考えで認めておるのであります。御意見のようにアメリカ及びイギリス等においては、非常に発逹した状態にありますが、アメリカにおいてもやはり專門的家な意味、あるいは非常に経驗の深い人を組合の交渉委員として使うことを認めておりますし、場合によつては弁護士的な立場もとつておる。こういうふうなことからいたしまして、この点は認めなければならないであろう。特にこの法案全体としては、罷業権なんかも禁止をいたしておるような状況でありまして、組合員の不平不満を的確に表現させますとともに、公共企業体と対等の立場において、合理的な交渉ができ得るという面からいたしましても、かようにすることが適当であると考えた次第であります。
#29
○倉石委員 その点は了承いたしました。その次の第十九條の苦情処理共同調整会議の双方の代表者が、著しき不適格者であるという場合には、だれがこれを罷免する権能を持つておりますか。
#30
○賀來政府委員 この法文には規定がありませんが、この交渉委員の選出方法自体が、自主的に選出することを期待いたしております関係からいたしましても、おそらく組合は自主的に不適任な場合はリコールをやるであろう。かように考えておるのであります。
#31
○倉石委員 その公共企業体の代表者二名ですが、この二名に対しても、同樣なことが考えられるのであります。はなはだしき不適格者であるという場合には、何人がこれを罷免することになつておりましようか。
#32
○賀來政府委員 十九條のこの交渉委員の今の御質問の点は、二項の細目でおそらくきめるであろう、かように考えております。
#33
○倉石委員 第二十三條の調停委員会の事務局員は、何人がこれを任命せられますか。この事務局員は第四條の管理、運営または機密のいずれかに属するものではないかというふうな見解もとれるのでありますが、こういう事務局員というものは現実の日本の労働組合のあり方を見ますと非常に大切なポストなんであります。ここではきわめて軽く取扱われているようでありますけれども、この事務局員をだれが任命するか。また事務局の局員に対しては政治的中立性というふうなものを強調する必要があるのじやないかと思われるのでありますが、政府の御所見を承りたい。
#34
○賀來政府委員 この調停委員会は國家機構の一部であります。從いまして、この事務局の職員は公務員として國家公務員正の適用を受けますし、任命は労働大臣がそれに当るのであります。御意見のように、調停委員会、あるいは仲裁委員会の事務局というのは、嚴正なる中立的な立場に立たなければならないのでありますが、これらは労働大臣の任命あるいは公務員法の適用によりまして、運用につきましては、御意見のように万全を期せなければならぬと考えております。
#35
○倉石委員 もう一点お尋ねしておきたいのでありますが、三十四條第五項を見ますと、「運輸大臣若しくは大藏大臣又は労働大臣が仲裁委員会に仲裁の請求をしたとき。」と書いておりますけれども、労働行政の最後的責任は私は労働大臣にあると思うのでありまして、また本法施行の責任は労働省にあると思つているのでありますから、その統一性を確保することによつて、行政の一貫性を持ち得るのであつて、運輸大臣や大藏大臣が労働行政に直接的行為をなされるということは、不適当ではないかと私は思うのであります。すなわち運輸大臣、大藏大臣はこの場合労働大臣をして行わしめるというふうにすべきではないか、こういうことを考えるのでありますが、当局の御意見を承りたいと思います。
#36
○賀來政府委員 御意見はまことにごもつともでありまして、この法案の研究過程におきましては、御意見のような議論が強く行われたのであります。しかしながらこの公共企業体に対します運輸大臣及び大藏大臣の立場は、使用者的な立場でなくして、監督的な立場にある。この企業体の運営を正常ならしめるために、公共企業体労働関係法の運用に関しましては、やはり強い監督的な立場にあり、責任がある運輸大臣が、同時的に労働大臣と同じように、この請求権を持つということにつきましての所管省の強い意見も出まして、最後的にこの法案のように、意見を一致さして提出した次第であります。
#37
○倉石委員 私はやはりこの第五項も將來いろいろなトラブルを起す理由になると思うのでありまして、役所が一の問題を共同に管理することによつて、いつも非常な事務の澁滞を來しているという点から見て、この点は將來運営の上に改めらるべき時期があるであろう、なるべくすみやかにそうなることを期待いたしまして、私は一應質問を打切ります。
#38
○中原委員 労働大臣に先ほどの日程外の質問を続けさしていただきます。民間の主要企業に対するその後のいろいろな経過については、おおまかな要点を拝聽いたしましたが、そて大切な問題は、たとえば電産にいたしましても、石炭にいたしましても、これらの関係労働者から見れば給與問題を中心としてこの爭議が起つておるわけであります。從いまして給與問題といえば、年の瀬もすでに迫りつつあるこのときにおいて、いまだ、なおかつ妥結の見通しを持ちがたい状態にあるということは、労働行政当局としては、はなはだ遺憾ながら、その責任の一半を負わなければならないという事情に押しやられておるのではなかろうか。從つて石炭に関する場合は、今團体交渉の入つておるということでありましたが、この團体交渉の経過にしましても、過去の経驗からいろいろ考えますと、これはまたいたずらに時間を遷延せしめて行くというおそれがあるということと、あるいは電産の場合はほとんど方策盡きたというような形、そういう感じを與えるような御説明があつたと思うのであります。もちろんこれをそのまま放置されるとは思いませんが、電産の場合にいたしましても、年の瀬に押しやられつつあるこの逼迫した時間の中で、今後どのような方策をもつて、これが解決のために努力されるお考えであるか、この点を伺つておきたい。
#39
○増田國務大臣 微妙な点についてお答え申し上げかねところは、どうか御了解願いたいと存じます。場合によつては特別の機会をつくりまして申し上げてもよろしいのであります。電産の爭議経過の私の説明の中に、万策盡きたというようなことをお感じになつたという中原さんのお質問でございますが、決して中労委の調停案を具体化するために、努力中でありまして、その具体化の中に條件が三つばかりございます。すなわち、まず企業努力で、ある程度の金を稔出する、それからその次には、料金を、一般物價水準に影響のない方面について、ある程度値上げをする。そこである程度の財源を稔出する。さらにそれでいけなかつた場合には、これは三原則の一つの例外にもなりますが、超過料金をこの電産の方へ向けてもらう。こういう方向で進んでおります。というのは、政府の補給金を出さないという趣旨を必ずしも害すわけではございません。超過料金というものは元來日発その他の收改になるべきものである、こういう考え方もあるのでございまして、それが罰金という趣旨から、今財政收入になつておりますけれども、本來の性質がそういうものであるからして、これは必ずしも補給金と見ないでもよろしい。会社自体が非常に赤字に苦しんでおるときは、会社の出しておる電氣の超過使用量に対するものであるからして、これは一種の收入と見てもよろしいのではないか。この点は相当御了解を得ております。まん中に申しました料金の点は、今せつかく交渉中でございます。これは必ずしも絶望ではございません。御了解を得るために極力努力中であります。この御了解が得られますれば――必ずしもあの額になるかどうか存じません。というのは、中原さん御承知の通り、十一月の消費者物價指数というものは減つて來ております。CPIがある程度減つて來ております。そうなりますと、多少金額を是正しなくてはならぬということになりますから、多少数字の狂いはあるかもしれませんが、今そういう状況で進行いたしておりますので、さつきお述べになつたように、絶望ではございません。しかし早くなければいかぬじやないかというお説は、全然賛成でございまして、まさに今、年の瀬を迫つておる時期でございますから、できるだけ早く、できれば今週中にも妥結に到逹いたしまして、そうして電産労働者も経営者も、一生懸命仕事に萬進していただくように、われわれは心掛け努力をいたしております。石炭についても同樣でございまして、年の瀬が迫つているのに、どうするのだというおしかりはごもつともであります。これもできれば今週中、あるいは遲くとも來週中くらいまでには早く妥結に到逹いたさせたい、今両当事者それぞれそういう心持で努力くだすつている点は、私深く多といたしております。いずれわれわれも、最初からあつせんをいたしておりますることでございますから、りつぱな妥結案を得るために、努力をいたすつもりでございます。関係筋その他に対しましても、引続き努力中でございます。以上をもつてお答えといたします。
#40
○中原委員 追加予算の大要をちよつと拝見しますと、電氣産業に対しては格別な措置が発見されないように見受けたのであります。從つてただいまのお言葉のように、いわゆる三原則の問題に関連してか、ただ企業自体の努力によつて、あるいは料金の値上げその他そういう措置によつて何とかなるであろう、またなさなければならない、こういうようなお話でありましたが、この場合一應政府として考えなければならぬと思うことは、しからば電氣産業、石炭企業関係の経営自体が、ほんとうに経営側の申しておりますように、採算割れで経営困難であるというような状態を率直にそのままお認めになるかどうか、われわれはこの点もまた相当檢討を要するのではないかと考えておるのであります。從つて國家がある程度まで協力しなければならないという企業であるならば、その企業の経理に対しましては、かなり深入りをした國家としての取扱い方がなされなければならぬのではないかと考えるのであります。結局経営が赤字なるがゆえに、経営が困難であるがゆえに、ただその場合は料金のつり上げでもつて行く、あるいは補給金を云々するということをもつて行く、すべての財源の一切がそういう手続によつてのみ考えられるというのではなくて、経営自体の運営の中に、從つて、また経理の中に、相当部分つつ込んで行ける点があるのではないか、このような危惧を私は持つのであります。幸いにそうであればはなはだ好都合なんであります。というのは、すでに石炭企業等の多くの経驗から考えても、政府の計算いたしました計算と、経営者自身の計算いたしました計算との間に、相当大きな開きがあるというようなことから考えてもわかるように、実際は、今日のこういう混乱期に乗じて、経営者側が自分の損失の肩がわりに――損失というよりも、むしろそういう一つの事情を機会として、國に責任を轉嫁して行く動きがあるのではないかというきらいの見受けらける点が、多々あるのであります。こういう点は政府として相当考えなければならぬのではないか。もちろんこれは労働大臣の権限の範囲内においてはどうかと考えまするけれども、すでに労働行政の主務大臣として、問題が労働者の給與賃金に当然関連があるのでありますから、こういう点についても相当御方針を持たれることが、私は当然なのではないかというふうに考えるのであります。こういう問題について一應御見解を承りたい。
#41
○増田國務大臣 中原さんの御質問は私全然同感でありまして、政府が從來から多大の補給金を出しているというようなことを、漫然継続すべきでもございませんし、その問題は別といたしましても、現在としては、とにかく補給金を出すようなことによつて労働爭議が解決せられるようなことは、これから後も繰返すべからざることであると私は思つております。そこで補給金その他いかに適正に使用されておるか、融資にしてもどんなふうに使用されておるかということは、これは嚴密に監査をする必要があると私は思つております。経理内容または経営内容の監査については、電産については中労委の付設された何か委員会があるそうでありまするが、これはきわめて臨時的なものであります。せんだつて電産労働者諸君とわれわれ会見いたしましたときに、そのことを要望しておりましたが、ごもつともだと思いまして、むしろ恒久的な常任委員会的な、経営内容の監査委員会というようなものが設置されることが望ましい。これは主務省あるいは商工省でございましようが、関係省それぞれ入りまして、適正妥当なる経営をしておるかどうか、ここにむだがありここに穴があるというようなことをわれわれ檢査いたしまして、そしてしよつちゆう赤字融資だとか、あるいは補給金だとか、あるいは値上げたとか、こういう便利な抜け道へ逃げて行かないようにすることは、單に電氣産業のみならず、石炭産業についても、繊維産業についても、金属産業についても、私は全産業について必要ではないかと思つております。ことに電氣と石炭は御承知のごとく國家管理下に置かれておるのでございまして、單に國家管理というかさをかぶせてあるからというだけで、ほうつてあることはまことによろしくない。われわれは石炭國家管理には反対いたしましたが、いやしくも國家管理法が施行されておる現在においては、この管理法を十分に活用すべきである、こう私は思つておる次第であります。
#42
○中原委員 大臣の御見解にもあるように、実際一般國民という廣い立場から考えますと、電氣産業のごとき、あるいは石炭産業のごとき、特に復金融資等もかなりゆたかに、しかも言いかえれば、思う存分と言いたいほどに融資を利用いたしておるのであります。それにもかかわらず、なおかつその企業に関係する労働者の最低の生産を維持するだけの給與を與えることができないというようなことであつてみれば、われわれから考えますと、どうもその間にとんでもない穴がほかの方に明いているのじやないか、その方面に向つてどんどんそれらの融資を抜かしておるのではないか、あるいはその他國家の補給金にしても、そういうような扱い方になつておるのじやないか、という疑念が当然これに伴うて起るわけであります。というのは、経営が困難であろうと考えられる節が、どちらかといえば独占企業なるがゆえに特に少いのでありまして、むしろ困難というよりは、このときを一つの機会として、そういう見のがすべからざる一つの方法が織り込まれておると見ることができるわけでありまして、今後私はこの点について一層強く國が手を加えて行く。そして願わくばそういう眞相を審査するために一つの特別な民主的な機関を設定して、その機関が容赦なく檢討して行くだけの権限と機会が與えられるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。これは話が少し横道に入りましたけれども、そういう見解を持つているということを付言いたしておきます。
 ここに私が氣づかつておりまするのは、その財源の捻出の方法いかんは、これはもう全然別にいたしまして、今日問題になつておりまする給與の増額分というのは、決してゆたかな余分な増額分ではない。いわばぎりぎりの最低の線を要求しているにすぎないのでありまして、その最低の線が確保されないようなことでは、労働者が眞に次の労働問題に備えることができない。つまり不可避、必死の状態に追い込まれて要求をいたしておる給與の増額であるわけでありますので、この点については労働大臣は大臣の首にかけても、あくまでもその線を守るために御努力が願いたい。ことに私は今度上程されました追加補正予算の中を拝見しますると、どうもそういう意味においての努力がはなはだ不十分なのではないか。もしほんとうに十分な努力が拂われておるならば、人事院の勧告ベースの六千三百をさらに一千円も下まわるような数字をもつて、この予算が編成されているというようなことはないわけである。これはもちろん國家公務員に関する問題でありまするけれども、しかしそれの関連がやはり他の企業にも及ぶわけでありまして、そういうような考え方で――しかもいわゆる寒冷地手当等のごときが非常にやかましく問題になつております矢先に、その寒冷地の手当等の問題はまつたく表面に出ておらない。むしろその五千三百三十円とかいわれる政府の予定ベースの中に、寒冷地手当が織り込まれているというようなことをも聞き及ぶのでありまして、もしそういうようなとりはからいでは、おそらくどの企業部面に対しましても、やはりほんとうに誠実を盡して御努力を願うことがむずかしくなるのでやないか。ほんとうに労働者の最低生活線を維持させなければならぬという熱意を持つならば、こういう点において、もはやすでに私は相当議論が起つて來るはずのものではないか、このように考えているわけであります。聞きがごとくんば、労働大臣はこの予算の編成についても、相当意見をお持ちになられたということは、私もこれを了承いたしておりますが、労働大臣としては、労働階級がほんとうに背水の陣をして要請している最低の一線は、あくまでこれを確保せしめるように御努力を願わなければならない。たとえば今度の法律案から受ける権限がかなり織り込まれている。從つて労働階級は労働大臣にある程度まで期待を寄せなければならないような関係に、たとえば今回のこの労働関係法にしましても、置かれておるわけでありまして、その期待を寄せなければならない関係に置かれておる労働者の立場から、労働大臣が労働者の立場から、閣議その他機の関において意見を強く持つてくださるということであれば、当然ここに労働階級としては一つの頼みを失うことになるわけでありまして、こういう点についても大臣としてはいろいろ御意解もあると思いまするが、私が氣づかつて特にお尋ねいたしておりまする中心点は、その給與の基準をどの線に、あるいはどういうふうな努力によつて、労働者の要方に近づかしめるように、あるいは少くとも要請にこたえるように、努力しようとしておいでになるかということなんであります。その点についていま一度御見解と、その間の事情を拝聽いたしたいと思います。
#43
○増田國務大臣 もとより私は労働大臣でございまして、サービスという言葉はあまりかないのでございまするが、――どういうわけだというと、サービスという言葉は非常に昔風俗関係で濫用したことがありますので私はきらいなんですが、しかし私は労働者の友であるという意味合いにおきましては、何人にも讓らないだけの熱情を傾倒して、努力をささげなくてはならないと思つております。そこで労働條件の維持なり改善なりにつきましては、一生懸命努力いたしております。一般産業労働者につきましても、労働條件の改善については努力努力いたしておるつもりでございますが、中原さんの御期待に沿い得ない点はまことに汗顔の至りでございますけれども、この上とも御鞭撻を願いたいと存じます。そこで公務員給與でありますが、いわるゆ六十三百七円が五十三百三十円になつたということ、労働大臣の努力の不足であるというおしかりでありますが、巷間六千三百七円といわれておりますその数字は、非常に宣傳價値はございまするが、公務員の大多数の人は、その内容を見たときには実はあまり喜んでいないのであります。というのは結局家族手当が非常に多いために、しかも特地が五割、甲地が一割、乙、丙地がゼロという常識を欠いた割合になつているために、今特地で千二百五十円の家族手当をもらう人があるとすると、それに五割を掛けました千八百何十円というものが、家族の一人づつにつくことになるのであります。從つて絶対額においては六千三百七円になつておりますが、公務員の一人々々をとらえてみますと、必ずしも助かつていないことになるのであります。というのは、中原さん御承知の通りに人事委員会の六千三百七円ベースは、独身者一人の基準を二千四百何十円かに立てております。ところがわれわれの今度出したのは、それよりもはるかに基準が上まわつている次第でありまして、いわゆる最低生活賃金はむしろ高まつておるのであります。家族の関係が妻が六百円、その他が四百円となつたのも、それは一般産業労働者のことを考えた次第でありまして、一般産業労働者の方も、千二百五十円まで上げればいいではないかということになるのですが、これは一般産業界の現状に照してむりなことでありますし、結局われわれといたしましては、全産業労働賃金、全公務員労働賃金については、調和ある賃金体系を得るために努力すべきである、こういう見地から考えまして、家族給はまずあれくらいが大体において妥当ではないかと考えます。それから地域給の特地が五割、甲地が一割、乙と丙とは零というのは、これはまことにかわいそうな案でございますし、どういうわけで人事委員会の諸君がああいう案を立てたか、われわれ今もつて了解に苦しんでおります。ある特定の地域では五割であるのに、その隣は一割であり、そのすぐ隣はゼロであるということは、常識的見地から見ましても非常におかしなことである。そこでわれわれの案は四割、三割五分、3割、二割五分、二割、一割五分、五分、ゼロという九段階の地域給を支給することになつておりまして、この地域給のことだけについては、われわれは改善であると思つております。それから独身者の公務員の最低生活賃金が人事委員会案よりも高まつておるということも、改善であると思つております。そこで五千三百七円となつたのは、今申した通りの理由も相当あるのでございまして、もし人事委員会の勧告案が四百円ないし六百円なりに是正されるとする。それから四割、三割云云ということになつて來ますと、私は金額は相当減つて來る、五百三百三十円に近づいて來ると思う次第であります。ことに中原さんは御承知の通り、独身者の公務員は全体の五二%もあるわけでございまして、もし大衆という見地から見ますと、この独身者公務員は助かる案になつておる次第でございます。もとより六千三百七円よりも絶対額の数字が少いという点については、われわれよくわかつておる次第でございまして、この点努力の足りなかつた点はよく了承しておりまするが、引続いて努力をするという点で、どうぞ御了恕願いたいと思う次第でございます。
#44
○中原委員 私は人事委員会の六千三百七円を支持して申したのではないのでありまして、これは誤解のないように願いたいと思います。私は給與ベースの問題については、もちろん全官公労組の要請しておる手取り七千三百円ベースを支持して参りました。從いましてあの人事委員会の構想については、労働組合間においても相当批判されておるのでありまして、幸いに特に顯著な悪い部分である地域差の問題については、政府が九段階にまで細分してこれを処理されたことについては、私はむしろこれを喜ぶのであります。ただ問題は、それにもかかわらず絶対額の数字が少い。もちろんそこにはいろいろ弁解の諸事情はあると思いまするが、それにもかかわらず、どのような取扱い方がなされましようとも、絶対数字の五千三百三十円、しかもその中に寒冷地給までが織り込まれておるということを聞くに至りましては、おそらく労働階級の生活は保障されがたいということだけは間違いないのであります。從いましてこの追加補正予算に現われました数字は、どのような弁明にもかかわらず、労働階級を生かすことには困難である。労働階級がほんとうに次の労働を再開するつめの用意をするには足りないということだけは、はつきりと申し上げることができるのでありまして、もちろんこの点についてはおそらく予算委員会が相当審議をするのでありましよう。そしてまた労働階級を眞に保障される点に近づかしめるために、予算委員会はいろいろ努力するであろうと期待しておりますが、ただ労働大臣としては、この問題に対しては決してこれをもつてやむを得ずとするのではなく、あるいはまた万全を盡したが、まず当面これでやろうというふうに、これを合理化する立場に立たれるのではなくて、あくまでこれではいけないという立場に立つていただきたいということを、私は強く懇請いたしておきます。またどのような結果になりましようとも、支拂いの期日が当然問題になると思います。おそらく最初決定をいたしまする日がかりに十五日あるいは十三日といたしましても、問題はいわば年末の必要に間に合つて行かなければならないということであります。もしその期日が間に合わないようでは、せつかくどのようなとりきめがなされましても、受取る側から申しますると、およそ意味を半減いたしますから、どのような努力を拂われましても、この点についての支拂いの條件を確保するという御努力は、願わなければならぬと思うのであります。從いまして先ほどの給與措置について、その支拂いをほんとうになし得る時期はいつごろであるかということについての、大臣の重見解をあわせて承つておきたいと思うのであります。
#45
○増田國務大臣 お答え申し上げます。十三日に議決していただくといたしますれば、年内において、たとい山間僻地でありましても、遠隔の土地でありましても、本人の手元に渡るように処理をなし得るというのが、大藏大臣以下財務当局の言明でございます。それ以上のことは私は今のところ申し上げることができないのであります。
#46
○中原委員 もちろん大藏当局り立場でないために、明確なことが御発表しがたいと思いますが、ことに中央の國会におけるこの決定が、地方のまた諸支拂いにも関連し、影響して行くわけでありまして、たとえば地方公務員、あるいは教職員その他の地方関係の諸支拂い等も当然問題になるわけであります。從つてそれらのものをも考慮の中に入れて、極力というよりも、むしろ絶対にすべて年内にこれを支拂い得るというところへ、ひとつ御努力が願いたい。この点については大藏当局を徹底的に御鞭撻願いたいと思うのであります。
 なお私は本労働関係法についての質問の殘りが三、四ございますが、赤松君の御発言があるようでありますから、一應質問を留保いたしまして、この場合ひとまず打切ることにいたします。
#47
○赤松(明)委員 まず労働大臣にお伺いしたいのであります。それは私委員として公共企業体労働関係法に対する態度を、御参考までに申し上げてきおきます。本法案の審議は第三臨時國会より本第四國会に持ち越されて、その間私としては各同僚委員の発言、あるいは労働大臣その他の方々、政府当局者の御答弁、そういうようなものから大体の腹構えができまして、去る日、本委員会において理事会を開いて、決定した修正意見があるならば、六日中に要するにこれを関係当局と連絡をとる準備をせいということでありましたから、私はその日に準備をして國会の委員部を経て渉外課の方へ出しておきました。こういう状態でございますから、原案に対しては大幅修正の意見を持つ本委員としては、論議をする余地を残さない。そこで日程外にわたりますが、その日程外にわたる点で二、三質問をしておきたいのでありますが、それに関連して、もし國家公務員法、あるいは公共企業体労働関係法というものが前内閣の時代に提出せられておつたとして、野党のお立場に立つたとしたならば、おそらく増田労働大臣以下、今日のいわゆる当局者の、われわれ委員に対するお態度は、かわつておつたのではなかろうか。過去のあらゆる法案の審議の過程を通観してみて、少くともこうした原案をおつくりになつた責任者は、増田労働大臣ではなかつた。あるいはまたかつての芦田内閣当時の加藤さんでもなかつたであろう。おそらく法制貿やその他の一、二の方々によつて、こうした原案がつくられ、その間その筋の意見や何かは徴しただろうけれども、しうしたいわゆる官吏の一部の方々が、当面責任ある方のところへ持ち帰つて來て、これ以上にはどうにもならないものだというふうな、原案の押賣りをやる場合が非常に多いということをお考え願いたい。参考までに言えば、経済力集中排除法というものは、当時第ニ國会であつたけれども、商工省より提出せられた。しかも商工省の当時のいわゆるお役人の中には、当時の商工委員会に出て來て、この点と、この点は悪いと思うんですけれども、どうにもなりませんから、委員の力をもつてしい、この審議の結果において何とか関係当局の御考慮を願つてもらえないか。こういう率直な意見を展開された方があつた。これをもつてして、経済力集中排除法というものがその後いろいろ論議されるようになつた。これだけの熱意のある態度をもつて、原案を提出せられる側から出てくれるということは、私は客観情勢下にあるところに、しかも本案を審議するわれわれの立場としてまことにありがたい。少くとも日本人同士の血の通う氣持において、いじめたりいじめられたりするのでなくて、これに協力していただくということが最も正しいことではないか、こういう氣持を持つております。私は各党提案のかつこうにしたい思つたけれども、各党々の立場もあるだろうし、特に六日までという議会の通告でありましたから、わが党だけで出しておりますけれども、もし各委員の御賛成があれば、私たつは私たちただ一党の、あるいは一人の手柄顔にしようと思つておりません。これについては当面の責任者としての労働大臣も最善を盡して、いわゆる修正意見に――民自党の方々にうのみにせよと言つても、おそらく忸怩たるものがあるのではなかろうか、こういうことを考えております。この点しいてお答えを必要といたしませんが、労働大臣その他の方々には、いわゆるこの修正意見がよりよいものであるならば、これに同調して、これを通すことに努力をしてもらうという心構えを持つていただきたいということを、要望しておきます。
 それから昨日の本会議で、辻議員の質問に答えられた岩本國務相が、明年三月三十一日までに、行政整理あるいはそういつた名目によつて、五十幾万、六十万に近い者を整理をする、これを近い閣議に提出して、閣議を必ず通して、皆さんの前に実現して見せるのだ、こういうお答えがあつたわけでありますが、社会保障、少くとも失業保險、こういつた社会保障の立場をとつて置かずして、三月三十一日までにいわゆる首切りを六十万やられるということは、單に官公廳のみならず、これがおそらく民間労働者一般に対するところの風潮になつて、收拾つかない混乱を來す、しかも今日生産第一主義をとるところの民自党が、その内閣が、こういつた無責任であると――おそらく與党、野党三派で勝手氣ままに妙な協約をとりかわして、十二日までに予算の審議を終るのだ、その他の審議も終るのだと、審議権に対するわくをかけることをやつておいて提出した不信任案を可決するのだというようなことに判をついておる、そうすれば当然十二日あるいは十三日に解散がある、そうして四十日以内に選挙がある。政治空白はおそらく避けられまい。しかる後にどの党が第一党になるかわりませんけれども、いずれにしても三月三十一日までという心構えはまことにけつことだが、しかしいささか無責任な放言でなかろうか、いわゆる世道人心を迷わす言葉でなかろうか。労働大臣としては、同僚として、同じ一党の立場におられるのであるから、おそらくお答えはしにくかいもわかりませんけれども、われわれ聞いておかなければならないのは、來年三月三十一日までに、労働大臣は同じくその閣議において、岩本さんの発言に同調されるのであるか。おそらく対加補正予算の財源、そういつたものに対して困難をしておる今日の現況において、六十万、七十万の失業者を出すことに対する社会保障の立場がとれるかとれないか。これをお考えになつた場合、これが正しい御答弁であつたのかどうか。――少しく時間的に制約されておるようですから、質問の要点がそれるかもわかりませんが、整理して申し上げますと、岩本さんの言つたことが閣議に提出された場合、労働大臣としての御態度はどうあるべきか、どうお考えになつておるか、そうしてまた岩本さんが御提案になるとして、それに同調せられる御意思であるならば、その社会保障の都合いを一体大藏当局とどういうかうこうで決定して行こうとせられるか。こういう心構えでおありであるならば、この際承つておきたいと思います。
#48
○増田國務大臣 赤松さんの御質問にお答え申し上げます。昨日の岩本國務大臣の本会議における発表は、岩本國務大臣があの発表のときお断りしたように、自分は行政管理廳長官事務取扱として申し上げるのであり、岩本個人でもございません、そういう意味においてお聞きください。こういうことを前提として、われわれもともに拝聽した。こういうことになつております。もつとも閣議にもああいうことを報告して來た事実はございまするが、まだ閣議としては諮つたことはないのであります。從いまして閣議において將來問題になつたときに、労働大臣としてどういう態度をとるかという、赤松さんの御質問にお答えすることになりますが、私といたしましては、まだそのときまでの心構えが具体的にできておるわけではございませんけれども、ただ三月三十一日までに、受入れ態勢もないのに、ほとんど何らの処置もせずに、五十七万のいわゆる血の出る首切りをするということについては、これは深甚な考慮を拂わなければならぬと思つております。その内容については、今あまり考えていないのでございます。――もつともある程度考えた案もございまするが、たとえば民主自由党の政務調査会あたりで言つておるところは、そうして一年間なら一年間ぐらいは俸給の支給を継続いたしまして、その間において配置轉換なり、職業あつせんなりを、当該官聽の長官において責任をもつて配慮しなくてはならぬ。こういうようなことを政策の一つとして言つたこともあるのであります。とにかく職業安定関係の受入れ態勢というようなものや、その他いろいろな一時退職金だとか、あるいは一般の産業方面における積極的な受入れ態勢というものが整わないときに、むやみにダンビラを振りまわすということはよろしくない、こう考えておる次第でございます。
#49
○赤松(明)委員 おそらく労働大臣としては、大体その程度のお答えしかできないと思いますが、注意をしておきたいことは、こういうことが最も生産を増強しなければならない折において、少くとも責任がある立場にある人が、個人であるとか何とか答えておるが、閣議において必ず通して見せるんだということを付言して言われておつたことについては、かつての内閣などに例をとつて言うと、解散をやらなければいかぬと言つたことに対して、閣内不統一ということので、その閣内を追われたという人もある。労働大臣その他にも何らの連絡もせずして、無責任に個人の放言――しかも個人の放言とは他人は聞き取らない。これはやはり吉田内閣の方法論だと考えるに違いない。こういう場合には、友情として注意をしてやつてもらいたい。また適当な機会に、本会議においてわが党の方からも質問をするかもわかりませんが、労働大臣としては御研究をしていただいて、労働大臣としての正確な見通しというようなものをひとつ考えておいてもらいたい。
 それからもう一点、予算委員会であつたと思うのですが、総理大臣は暫定的な講和会議が近い將來に行われるのではなかろうか、こういうことを仰せられていたようです。ここで私はこの食糧問題、労働問題、ともにこれを解決するには――現在の立場においては、少くとも海外の同胞を、たとい受入れ態勢があろうと、なかろうと、ソ連にある五十万、こういつたような者を引返せなければならぬ。しかし今日政府の要路の方々や、あるいは労働対策を檢討しておるというような方々も、日本の勤労力を無血のうちに海外へ受入れてもらうことに対てしの努力というものは、全然行われていない。もし貿易関係、あるいはそういつたようなものが暫定的な措置として、平和会議の前提として行われることになるならば、同時にわれわれの過剰人口の整理といいますか、こういう面において、日本の勤労力というものが世界に冠たる状態にあつたことをもつてして、いわゆる労働問題の根本的な解決の問題として、海外各地へ受入れ態勢を整えていただけるということを、貿易問題と同時に考えておく必要がありはしないかと私は考えておる。こういつた点について、労働大臣に何か御腹案があれば承つておきたいと思います。
#50
○増田國務大臣 先ほど赤松さんの御質問のうち、私の答えがまだ足りない点がございましたから、一應補足させていただきます。それから今の御質問にお答えをいたします。赤松さんは閣内不統一とおつしやいましたが、決してこれは閣内不統一でも何でもございませんで、岩本國務大臣が答弁をする際に、こういうお答えをしたことは、われわれが同樣に認識しておるところでございましよう。こう申したわけであります。すなわち同樣な認識とは、岩本さんは行政管理廳長官事務取扱として、從來管理廳において取調べたとことろを申し上げます。この意味においてお聞き取りを願います。こうお断り申し上げたわけでございまして、本日新聞を見ますと、あたかも吉田内閣の政策のごとく出ておりまして、これはわれわれもちよつという考えもいたしたわけでありますが、どこどこまでも閣内を統一して、しかも行政整理、産業合理化ということは民主自由党の公約でもございますし、その公約を果すべく善処いたしたい、こう存じております。
 それから吉田総理は外務方面については実に練逹堪能の方でございまして、われわれも暫定條約なりその他のことは実は初耳でございますが、もしああいうようなことに相なるといたしますと、國内の余剰労働力の適正なる処理というものも問題になるとは存じますけれども、しかしこれは私の一個の見解――と申してはなんですが、見解をもしこの際申し上げることを許していただくならば、私はやはり、日本は懲罰を受けておるのであるから、侵略主義者ではない、軍國主義者ではないということを証明するだけの信用の期間が、ある程度いりはしないかと思つておる次第であります。その事実が具体的に、客観点事実によつて証明された後においては、やはり八千万の國民は、この島嶼でなかなか生活が苦しいであろう、そこで世界の各國家において同情してくださるだろうと私は思う次第でございます。
#51
○赤松(明)委員 私の質問はこのぐらいにしておきます。
#52
○綱島委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。明日は午前十一時により開会することにいたします。
    午後二時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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