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#1
第004回国会 文部委員会 第2号
昭和二十三年十二月九日(木曜日)
    午後三時三十四分開議
 出席委員
   委員長 圓谷 光衞君
   理事 松本 七郎君 理事 久保 猛夫君
      古賀喜太郎君    平澤 長吉君
      水谷  昇君    受田 新吉君
      高津 正道君    小島 徹三君
      西山冨佐太君    野本 品吉君
      松原 一彦君    黒岩 重治君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 下條 康麿君
 出席政府委員
        文部政務次官  小野 光洋君
        文部事務官   辻田  力君
 委員外の出席者
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
十二月九日
 委員船田享二君辞任につき、その補欠として野
 本品吉君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月八日
 教育公務員特例法案(内閣提出第一二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 教育公務員特例法案(内閣提出第一二号)
    ―――――――――――――
#2
○圓谷委員長 これより会議を開きます。
 教育公務員特例法案、内閣提出第一二号を議題といたします。本法案は昨八日、本委員会に付託になつたのでありますが、これより提案の理由を御説明願います。
    ―――――――――――――
#3
○下條國務大臣 本委員会に付託されました教育公務員特例法案について、その提案の理由を御説明いたします。
 六、三の義務教育制を根幹とする新学校制度は、今や着々実施を見つつあるのでありますが、直接新教育実施の任に当る学校の校長、教員等の選任を公正かつ適切ならしめるとともに、教員の地位を確立し、もつて教員をしてその職務に專念させることは、教育刷新、教育振興の基礎條件であり、現下における喫緊の要務と存ずる次第であります。國家公務員たる者については、國家公務員法の規定がありますが、これを全面的にそのまま学校教員に対して適用することにつきましては、その職務と責任の特殊性にかんがみるとき、必ずしも適当ではなく、かつ、不十分と思われる点も存するのであります。これについては國家公務員法自体におきましても、かかるものについて特例を設け得べきことを規定しているのであります。
 ここにおいて政府は、さきに第二回國会に國家公務員法の特例法として、教育公務員の任免等に関する法律案を提出いたしました。しかし同案は、國会の会期の関係上成立を見るに至らなかつたのでありますが、國会においては同案の重要性を認めて閉会中も審議を続行する旨議決され、從つて第三回國会に継続案件となつた次第であります。しかるところ、第三回國会において同案に対する一般法たる國家公務員法の改正が行われましたので、これに伴つて同案にも所要の修正を施す必要が生じました。また一方においては、教育の地方分権を目ざす教育委員会法は、去る七月十五日公布施行され、十一月一日から都道府縣及び五大市その他若干の市町村において教育委員会が成立いたしました。公立学校の教員は、現在官吏の身分を有しており、かくてはこれらの者の身分の所轄廳たる教育委員会の性格に適應しないので、この際これらの者の身分を地方公務員に切りかえることが、適当であるとともに、教員の人事に対する教育委員会の関係を具体的に明示する必要があるのであります。
 以上の点に基き「教育公務員の任免等に関する法律案」は、先に第三回國会の承諾を得てこれを撤回し、さらに檢討を重ねたのでありますが、成案を得ましたので、ここにあらためて「教育公務員特例法案」として提出いたした次第であります。
 以上がこの法律案の提案理由でありますが、次にこの法案の要点を説明いたします。
 まず本案の適用範囲でありますが、それは國立及び公立の幼稚園から大学までの学長、校長、教員及び部局長並びに教育委員会の教育長及び專門的教育職員であります。本案ではこれらの者を総称して、教育公務員と称することといたしました。從つて國立学校の校長、教員等は國家公務員たる教育公務員であり、公立学校の校長、教員等並びに教育委員会の教育長等は地方公務員たる教育公務員ということになるわけであります。
 次に一般公務員に対する特例として規定いたした主要な事項は、次の三点であります。その第一は、採用及び昇任の方法に関する点であります。國家公務員法によりますと、職員の採用及び昇任は原則として、すべて競爭試驗によることとなつておりますが、一般に教育者たる必要な人格的要素は、競爭試驗によつてはとうてい判定しがたいものと考えられます。しかも高等学校以下の学校の校長、教員並びに教育委員会の教育長等の教育公務員につきましては、嚴正な手続を経て下付される校長もしくは教員または教育長等の免許状をもつていることが、必須の資格要件とされているのでありますから、その上に競爭試驗を行うことは不必要であり、また不適当とも考えられるのであります。特に大学の教育公務員につきましては、その職務の性質上、きわめて專門化された学力、技能を必要とするのでありまして、競爭試驗によることは不適当でもあり、かつ、実施困難の場合が多いとさえ想像されるのであります。以上申し述べました理由により、教育公務員の採用及び昇任は、競爭試驗によらず適正な選考によつて行うべきであり、この点に関する規定を本案に設けたのであります。
 第二は、研修に関する点であります。教育公務員は、その職責の遂行上、当然研究と修養に努めなければならないものでありますから、この点について、國家公務員法の教育訓練に関する事項を、積極的に拡充明示して規定いたしました。
 第三は、学問の自由の保障と大学の自治の尊重に関する点であります。大学の教員の人事に関しましては、從來、慣例上、大学自治の原則が認められていたのでありまして、今後も大学の自治的運営にまつことを本体とし、その任免、分限等については、大学の自治機関の定める基準により、各大学で自主的に行うのが適当と考えるのであります。從いまして、その採用及び昇任の方法のほかに、分限、懲戒、服務等について相当の特例を設けました。その他、校長、教員等の特殊な職責上、結核性疾患による休職については、その期間を二年とし、その間俸給の全額を支給し得ることとして、被教育者、教育者双方の保健の促進を期し、また校長、教員等が本務以外に教育に関する他の職務に從事することができる規定を設けるなど、一般公務員に対する特例を規定いたしました。
 以上簡單ながら、この法律案提出の理由と内容の大要について説明いたしましたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに議決あらんことをお願いいたします。なお足らない点は政府委員をして説明いたさせます。
#4
○辻田政府委員 ただいま大臣から本法案の提案の理由並びに法案の主要な事項につきましてお話がありましたが、私から法案について若干詳しく申し上げてみたいと思うのでございます。
 教育公務員特例法案は四章からなつておりまするが、第一章の総則は、この法律の趣旨を明らかにいたしまして、また法律中特に概念を明らかにしておかなければならない事項につきまして、定義を明らかにしているのであります。なお從來官吏の身分を持つておりました公立学校の教員は、この法によつてはつきりと名実ともに地方公務員としての身分を有することになつたことを、明らかにしておるのでございます。第二章は任免分限、懲戒及び服務等の事柄を規定してございます。これはこの法案の中核的部分とも申すべき点であろうと存じます。すなわち國家公務員法の一般的規定の特例を、これらの事項について定めたものでございまして、第一節におきまして大学の学長、教員及び部局長に関する任免、分限、懲戒及び服務等の事柄を規定した次第でございます、第二節においては大学以外の学校の校長及び教員の任免、分限、懲戒及び服務等に関する事柄を書いておりますが、第三節において教育委員会の教育長及び專門的教育職員に関することを規定してあります。この幼稚園から大学に至るまでの学長、校長、教員等につきまして一般法から特に特例を設けました点は、先ほど大臣からお話がありましたように、採用及び昇任につきまして、一般法では競爭試驗によることを本体としておりますが、特例法案につきましては選考によることを本体としておるのであります。なお大学の自治の保障と学問の自由の保障というふうな観点からいたしまして、大学につきましては單に採用昇任の方法のみならず、轉任あるいは降任及び免職あるいは休職、懲戒といつたような事項につきまして、廣範に大学の自治機関によつて、それぞれのことを規定しておるのであります。それから次に第三章におきましては、研修の事柄について規定しておりまして、教育公務員がその職責を遂行するためには、当然研究と修養に努めなければならないのでありますが、それは單に教育に從事しておる者の義務としてのみでなく、権利としても研修をなし得るような機会を持たなければなりませんので、從來單に自発的に行つておりましたが、これを法の根拠のもとに行うことができるようにいたしたのでございます。それから第四章は雜則とありますが、普通の一般の公務員でありますと、國家公務員法によりまして職務に專念しなければなりません。從つて私の職務を兼ねることについては、非常にきつい制限があるのでありますが、教員の場合におきましては職務に專念することは必要でありますが、一面において兼職も相当認められなければなりません関係にありますので、一般法からの特例を設けることにいたしたのでございます。なお附則におきまして施行に関する関連の事項とか、あるいはこの法案が法となつた場合に、ほかの法案との関係において制定を要する事項、あるいは経過的に処理すべき事項等について、若干の規定を設けた次第でございます。
 以上でこの法案についての概略を御説明いたしましたが、從來の取扱いと、この法律の施行に伴いまして著しい最大障害と思われます点につきまして、あるいは重複する点もあろうかと思いますが、それを申し上げて御審議の御参考にしたいと思うのでございます。
 第一の点は教員等の身分についてであります。從來官吏の身分を有しておりました公立学校の校長、教員等はすべて地方公務員となりまして、國家公務員法の適用を受けなくなるのであります。これはこの法案の第三條によるのであります。次に大学について申上げたいと思うのでありますが、大学については從來國立総合大学の総長は教授等の選挙によつて、また教員につきましては教授会の選考に基きまして、任命する慣例になつておつたのでございますが、この法案では大学の管理機関が定める基準によりまして、大学の管理機関自身が選考を行うことになるのであります。これは本法案の第四條に規定しておるわけでございます。第二点は從來慣例として認められておりました任期あるいは停年ということについて、法律の根拠に基くものにいたしまして、それを大学の管理機関が定めることにいたした次第でございます。第三の点は本人の意に反する轉任、降任、免職並びに懲戒の場合には、必ず大学管理機関の事前審査を経てこれを行うこととしまして、從來よりも一層大学教員の身分を保障し、大学の自治を確立することにしたのでございます。これは法案の五條、六條九條に関連する事項でございます。次に服務につきまして國家公務員法に掲げるもののほか一定の事項につきましては、大学管理機関が定めることにいたしたのでありまして、このことにつきましては、從來の高等專門学校でそのまま残るものにも、原則的には準用することとなるのであります。次に大学のことにつきもう一つ申上げますことは、大学の教育公務員の任免権につきましては、從來一、二級官の区別に從いまして内閣総理大臣、文部大臣があつたのでありまするが、今後は國立学校は文部大臣、公立学校はその大学を設置した都道府縣または市町村の長ということになるのであります。以上が大学についての事項でございます。
 次に高等学校以下の学校につきまして申し上げたいと思います。第一の点は從來校長、教員等の採用は別に志願者名簿等を作成せずに行つておりましたが、今後は大学以外の公立学校の校長及び教員については、都道府縣教育委員会で採用志願者名簿を作成いたしまして、その名簿に記載された者の中から、都道府縣別の学校については都道府縣の教育委員会の教育長が、市町村立の学校については市町村教育委員会の教育長が、選考することになつておるのであります。しかもその際には必ず教員についてはその学校の校長の意見を聞かなければならないことになつております。次の点は校長、教員の結核性疾患のために休職する場合の期間の問題でありますが、從來は一年でありまして、その間において俸給の三分の一を給せられることになつておりますが、その法案においては期間を満二年に確定いたしまして、その間俸給の全額を支給することができることにいたしたのであります。次の点は公立学校の教員等の任命権者は、從來は都道府縣知事であり、市長村は何らの権限を有していなかつたのでありますが、今後は、縣立の学校については、都道府縣教育委員会が、市町村立の学校につきましては市町村教育委員が、教員等の任命を行うこととなるのでございます。これは十五條に入つております。次に研修についてのことでありますが、研修については、從來は特に法律の規定がなかつたのでありますが、今後は法律の根拠に基いて、種々の研修に関することを行うことにしておるのでございます。
 次に他の職務の兼職のことについてでありますが、單に服務規律には、官吏は本属長官の許可を得るにあらざれば、本職のほか給料を得て他の事務を行うことを得ずとありましたが、本法案におきましては、法律もしくは人事院規則に特別の定めのある場合、または所轄廳において許可をすれば、他の職務に從事し得ることとしまして、その範囲を廣くしたのであります。
 以上簡單でありますが、本法案の内容の概略と從來の取扱いと著しく相違いたします点について申し上げた次第でございます。これは内容のことではありませんが、皆さんのお手元に差上げてありますものは本印刷ではありません。急速に法案を提出いたしました関係上、仮りの印刷になつております。事務局の方でいろいろ骨を折つていただいたのでありますが、きよう中に印刷ができてあすには御配付できると思います。この点をお傳えしておきます。
#5
○圓谷委員長 引続いて質疑に入ります。
#6
○久保委員 お聞きしたいことがたくさんあるのでありますけれども、全般にわたることについてだけきようお聞きいたしまして、小さい部分は逐條審議のときに讓りたいと思うのであります。
 教育委員会法を審議しますときに一番痛切に感じたことは、ああいう重要な法律を審議するのに、われわれが時日がなかつたことであります。これはもしも用意ができておれば当然早く出さるべきであり、公務員法の審議と並行してなさるべき性質のものであつたと思うのに、今日まで出なかつた。われわれは別に議員提出でここに出そうと考えたのであります。文部省は教育の復興を担当するところの省であつて、いわゆる教育を擁護し振興する直接の責任者であります。教育なりあるいは生徒指導等の問題については、常に親心をもつて一日も早く、身分なり環境を、よくしてやらなければならぬと私は思うのでありますが、教育委員会法を審議のときにそれを痛切に感じ、自分の職責が十分はたされなかつたことを非常に遺憾に思つておるのであります。今回もまたどうもそういう氣がするのであります。こういう文部当局の教育に対する態度を、私はまことに遺憾に思うのであります。その点大臣から直接承りたい。どういうお考えによつてあなたは五日か一週間かもつと前に、これが提出できなかつたかという問題、これは單に形式的なことではありません。われわれはほんとうに教育なり教員なり学校なりという立場に立つて、考えるべきものであると私は思うのであります。それが一つ、その次はこれと関連した問題でありますが、大学法案がまだ未決定のままであつて、大体経過は劔木学校教育局の次長から聞いたのでありますが、その見通しが容易につかない。わが日本の文化水準というものをほとんど決定するような重要な法案が、いまだ五里霧中の状態であることは、非常に私は憂えるものであります。それとこの教育公務員法とは関係があるのでありまして、この大学法を文部省として成案を得て議会に提出されるところの時期は、およそいつごろと考えておられるのか。これも大臣から直接承りたいと思うのであります。
 第三点は研修に関してですが、第三章の十九條から二十條はまことにこういうことでなければならぬと思うのでありますが、この研修の内容を見ますと、教育公務員というものは常に一つの職責の遂行上、絶えず研究と修養に努めなければならないという第十九條の第一項、これは非常に廣い意味だと解します。それをもう一つは研修の機会を與えられなければならない。すなわち一つの研修の機関によつて、特別な方法によつて研修されると、こう二つに考えられますが、これはともに特別の費用を要することは言うまでもありません。そこで考えられますことは、この研修をするためには、教育公務員はほかの公務員と違つた特別の研修のための費用を給與されねばならない。すなわち毎月の俸給、手当のほかに、研修のための費用というものが給與されなければこれはできないことである。今日本一册が百円以下のものはほとんどありません。月に三册の本を読むとしても大体千円ぐらいの金が必要である。そういう点をどういうふうに考えられておるか。もう一つは教員が研修する場合に旅費なり、日当なり、宿泊料なりが消費されてしまう。今日までで、私が知つている範囲内においては、教員の場合に限つて正当なる旅費等の支給がないのであります。これを地方教育公務員で規定されております地方の学校職員の場合におきますと、その費用は地方公共團体で出される。ところがさきに決定しましたところの教育委員会法というのは、その点が一番欠点と思つておりますが、財政的に非常に弱い法律で、ここで教員が研修しようとすればなお生活に困るのです。こういう規定を設けることは必要であるけれども、これと関連してどういうことを考えておられるか。その考えておられることの一つとして先に通りました教育委員会法を、もつと財政的に、いわゆる予算の上で完全なものとするための修正をする意思があるが、用意があるかということを承りたいのであります。
 その次に十四條は長期休養の期間でありまするが、これは大学の國家公務員の規定を受ける國立学校の校長、職員、それから、そうでない公立の教員、大学以外の官立の校長、職員によつて違つておりますが、これは同様でなければならないと思うのであります。主として結核などになるのでありますが、結核の場合に、一方では二箇年となつており、一方でははつきりしていなくて、第七條に「長期の休養を要する場合の休職においては、個々の場合について、大学管理機関が定める。」とはつきりしていない。私はこういうものは大学であろうが幼稚園であろうが、すべて同様でなければならないと考えるのであります。それをなぜここにはつきり両者を別々に考えられたか。これは小さいことのようでありますけれども、私の考えとしてはこういう問題は同様に取扱うべきものだという考え方に立つのであります。
 第五点は、第十三條には校長及び教員の採用の選考を規定しております。この規定は教育委員会法の第四十九條によりますと、「教育委員会は、左の事務を行う。但し、この場合において、教育長に対し、助言と推薦を求めることができる。」とあつて、教育委員会がその事務を行い、すべて任免その他の人事は一切含まれておるのであります。その人事をやる以上は選考は当然その中に入るべきであるにもかかわらず、この教育公務員特例法の十三條にわざわざ選考ということだけを、教育長がはつきり行うと特別取出した理由はどこにあるのか。こういうことをする必要は全然ないはずであります。すでに教育委員会法の四十九條に、こういうことは教育委員会がやるということにきまつておるのでありますから、これは非常な矛盾だと思いますが……。
#7
○下條國務大臣 第一点の、この法案提出に触れました点につきまして、まことに私も遺憾に思つております。実はこの法案は國家公務員法とともに審議されると思いまして、第三國会において提出することを申し上げておいたつもりですが、その後いろいろの事情によりまして、ついに第三國会には提出ができなかつたのであります。しかしその後に至りましてある一点、いろいろ審議の困難な点が逐次良好に向いまして、大体まとまることになりましたので、今回提出する次第であります。遅れました点につきましては、私どもまことに遺憾に思つておるのであります。
 第二点の大学法案の提出時期でありまするが、ただいま大学法試案というものを、教育刷新委員会の案と二つ、相当相違があります案ができておりまするので、これを非公式に発表しまして社会の批判を受ける。そしてなるべく早く國会に提案して、御審議を煩わしたいというふうに考えております。
 それから研修につきましていろいろ御述べになりまして、まことにごもつともに思うのであります。教育の方が、あるいは旅費の関係とか滯在費の関係とか、また家庭から遠く離れて非常に不自由な生活をしていることは私も聞いております。この研修制度が確立いたしまして、中央地方にいずれ適当な研修所ができると思いますが、現在文部省にありますのはきわめて小規模なものでありまして、これを拡充いたしまして相当な規模にいたしたいと思つております。そのときには今お話の点につき、相当考慮しなければならんのではないかと考えておるのであります。
 それから休職期間の問題ですが、これを立案したときの趣旨は大体こういう程度につきましては、大学管理委員会の自治権にまかせまして、適当な機関をきめてもらうつもりで書いております。從つてほかの大学以外の高等学校以下の場合と、相違があるというふうに御了承願いたいと思います。それから十三條につきましては政府委員より御説明願いたいと思います。
#8
○辻田政府委員 教育委員会法の四十九條と本法案の十六條との関連の問題について、私からお答え申し上げます。教育委員会法第四十九條によりまして、教育委員会に人事権があるということは疑いないところであります。それについてこの本法案の十六條によつて、人事権を削減したという氣持は全然ございません。ただ本法案の十六條におきましては、人事につきましてそのように至りますまでの手続上のある部面を、この教育長が行うという問題でありまして、任免の件は教育委員会に嚴然として存しておるのであります。從つて教育長が選考いたしましても、それを拒否することはできるわけでございます。この点につきましての矛盾は、教育委員会の四十九條とこの法案の十六條との間に矛盾するところはないと信ずるのであります。
#9
○久保委員 文部大臣に重ねてお尋ねしますが、第一項の問題は漠然とした話で、第三國会に提出するつもりであつたけれども、諸般の事情でできなかつた。第四國会でやつとまとまつたから出したというお話でありました。やつとまとまつたのはいつか、それが一つ。はつきり何月の何日ということを承りたい。私は文部大臣なり文部省の誠意が足らないということに、不満を持つて伺つておるのであります。それから第二点は申し上げませんが、第三に私がお尋ねしたのは地方の大学なり、新制高等学校以下の校長あるいは教員は、教育委員会法によつてすべてその適用を受けておるわけですね。その教育委員会法というのは教育予算をとる上において、非常に大きな欠陷を持つております。これは全國の声であります。委員会法を審議するときにその点はわかつておつたが、はたしてそうであります。そこで教育公務員の研修等は今の教育委員会法ではとうていできないことで、そこで教育委員会法を改正する意思あるいは用意があるか、どうかということを聞きたいのです。
 それから次の長期休養の期間の問題でありますが、自分のことを申し上げて惡いのですが、私の女房を結核にしたことがあります。その例で申しましても、ただちに結核ということがわかつて、その治療に入つたんでありますが、まるまる三年を要しております。それで專門の医者にいろいろ聞いてみたのですが、二年でよくなれば非常に初期ですが、大体三、四年は考えねばならぬというのであります。私は自分の女房の例から考えてみても、また結核專門の医者の意見を聞いてみても、ここで三箇年と規定すべきではないか。それは結核のことをいろいろ話しても始まりませんけれども、そう考えたからそう申し上げたのであります。
 それから辻田局長がお話になつたことはよくわかる。私もその点は何とも思いませんが、それであれば四十九條のあの規定によれば、教育委員会がやるべき仕事の手続上の一つのことであります。こういうことを取り上げるならば、なぜこれだけを一つ取上げてここに書かぬでもいいことを書いたかということを、私は聞いております。
#10
○下條國務大臣 これは記録にとどめないでいただきたい。
#11
○圓谷委員長 ではさようにいたします。
#12
○下條國務大臣 それから教育委員会法のことにつきまして、私は実は十分お答えしなかつたかと思いますがそれはいろいろ実施した後に、報告によりますと、お話のような点も十分認めなければならぬと思いますので、これにつきましては関係方面と協議の上で、別の機会におきましていろいろ改正について、考慮したいということを申し上げておきます。
#13
○久保委員 まだやつておりませんか。
#14
○下條國務大臣 今調査中であります。それから休職期間の二箇年につきましては、実は相当研究した問題でありまして、まず第一年に治療をして、病氣自体をなおす。あと一年で休養をする。これで二年でよかろうということになりました。それは私も大分問題にした点でありまして、いろいろ省内で研究した結果、二年でよかろうということできめたのでありますから、御了承願いたいと思います。
#15
○辻田政府委員 教育委員会法の四十九條と、本法案の十三條に関連の問題でありますが、これは久保委員の仰せの通り教育委員会法におきまして、人事権の大綱ははつきりと定まつておることでございまして、それをこの法律によつて動かすというふうな考えは全然ございません。ただ先ほど申しますように、この法律は身分に関する手続に関しまして、規定しなければならない性質のものでありまするので、その点につきまして、大学以外の学校の校長及び教員に対して選考するという大原則があります。その選考についてたれがするのかわからないということでは困りますので、教育委員会の教育長がこれを、公立の学校についてはするということを、手続上明らかにしたわけでございますので、その他の意味はないわけでございます。從つて、このために教育委員会が特別の権限を侵されることはないと思います。
#16
○黒岩委員 第一点は久保委員からもお尋ねがありましたが、本日この法案が提案になりましたところ、漏れ聞くところによりますと、政府の方針としては十二、三日ごろに衆議院を解散するという方針をおとりになつておるそうであります。してみると二、三日でもつてこの法案の審議が完結できるというお見込であるか。また審議未了になることを予定してお出しになつたか。その点の文部大臣のお考えを承りたいと思います。
 第二点は教育公務員の身分を規定いたします法律を、独立法としてお考えになつたことがあるかないか。私が考えますのには、教育公務員というものは一般國家公務員というものは一般國家公務員とは、その立場をよほど異にするもので、本法案によりますと、國立の大学の教育公務員は國家公務員という身分であり、さらに教育公務員である。高等学校以下の教育公務員は地方公務員であつて、さらに教育公務員である。二つの身分を持つような結果になつておると思いますが、國家公務員法によりますと、一般國家公務員は時の政府の指揮命令を受けて教育事務に携わるものである。從つてその身分が人事院に直接左右される。ところが大学でありましても人事院から離れて、その特別の機関において身分を扱われることになりますし、また地方の教育公務員におきましても、教育委員会によつてその身分を扱うものでありますので、その点から考えましても全然國家公務員なり地方公務員とは、立場を異にする身分ではないか。こういうような考えから私は教育公務員法というものは、独立法として規定せられるべき性質のものであるというように考えるわけであります。この点につきましてこの特例法をお出しになるまでの文部大臣の御考慮になりました点を率直にお聞かせを願いたいと思います。
 第三点は学問の自由を保障せられるということは、この法案に盛られました非常な重要な点であるということを考えまして、この点については全幅の賛意を表しておるわけでありますが、おそらく教育というものの内容が学問というものに限るのかどうか。私の考えますところによりますと、生徒指導の社会的訓練というものが、教育の内容として非常に重い意味を持つものではないかと思います。かような点から考えますと、教育者は單に学問の自由を保障されるのみならず、一般社会の事柄につきまして自由に研究し、自由に批評する自由も與えられなければならぬと考えるのであります。かつての教育者が、非常な社会的制約を受けまして、萎靡沈滯をしておつたことは御承知の通りであります。それがために教育がいろいろ時の政府の異動によつて左右せられ、戰爭の方面にまで教育が利用せられたということは、苦い経驗であつたのであります。これは要するに教育者を一つの象牙の塔の中に閉じこめたというところに、大きな欠陷がありはしなかつたか。將來の民主主義をつくる教育者はもつと廣い面に立つて、自由を保障されなければならぬと考えるのでありますが、学問の自由のみ保障しまして、他の面について制約を加えるがごとき観があるところの國家公務員法を適用し、さらに特例法としての本法案をお出しになつたという点から考えまして、私の考えますことと政府のお考えになりますこととに、大きな食い違いがあるのではないかということを想像するのであります。その点につきまして大臣の率直な御見解を披瀝していただきたいと思います。
#17
○下條國務大臣 第一のこの法案の審議についてのお尋ねでありますが、御承知のように十二日までにすべての法案を議了していただきたいという考えでおるのであります。その一端としてこの法案につきましても、まことに審議期間が短かくて恐縮でありまするが、適当な御審議をいただきまして、それまでに御審議をいただきたいと存じます。それから第二点につきましては教育公務員に関する規定につきまして、教育公務員を取出してそれに関する特別な單独立法をつくるというようなことも、考えられないことはないと思いますが、しかしながら文部省としてこの法案をつくりました考え方は、教育公務員もやはり國家公務員であり地方公務員である。ほかの公務員と一般的には相違はない。ただ先ほど述べましたような職務の内容、責任の重要等の特殊性に基きまして、必要な限度に特別な規定を設ければいいという考え方をもちまして、特例法を立案した次第であります。第三の学問の自由とともに研究の自由もあることは、私も承知しておりまして、この点は私もお考えと違つておらないと思つております。
#18
○黒岩委員 重ねて二つだけお伺いしたいと思いますが、地方公務員法はまだ制定せられておらぬと思いますが、政府としては、地方公務員法案をおつくりになります場合、單独立法として考えられるのでありますか。または國家公務員法の特例法としてお考えになつておられか。その点をおわかりになつておれば、表明していただきたいと思うのであります。それから第二点は私の質問した点と政府のお考えになつている点と、矛盾をしなかつたという御回答でございましたが、その点がこの特例法の中に盛られていないと思います。なおその点についての御檢討を願いまして、さらに逐條審議のときに私の意見も申し述べたいと思うのでありますが、これは保留しておきます。
#19
○下條國務大臣 地方公務員法につきましては、一應の案ができたのでありますが、まだ発表申し上げる程度に達しておりません。この教育公務員法の特例につきましては、第三十三條に規定がありまして、地方公共團体の職員に関して規定する法律があるとしまして、実はその内容がはつきりいたしませんが、かような漠然たる規定をいたしております。
#20
○松本(七)委員 第一点は黒岩議員が指摘された点ですが、先ほどの提案理由の説明でも大臣からお話がありましたように、特に教員の職務と責任の特殊性にかんがみて、こういう特例を設ける必要があるというお話ですが、やはり黒岩委員の御指摘のようにどうしても國家公務員、それから地方公務員と教育公務員という三つを三本建にして、單独法をつくる必要があるのぢやないかと思います。現在はこういう特例で行つてもさしつかえありませんが、將來單独法で三本建で行く御意向が、多少でもおありかどうかどうかということをお聞きしたいと思います。
#21
○下條國務大臣 ただいま提出しました特例法案以外に、別に單独立法にいたす考えは現在持つておりません。
#22
○松本(七)委員 その必要性を將來も全然お認めにならないかどうか。
#23
○下條國務大臣 ただいまのところ必要と考えておりません。
#24
○松本(七)委員 第十三條の先ほど久保委員から御指摘になつた点でありますが、これと四十九條関係であります。教育委員会法の四十九條は國会で修正いたしまして、原案では教育長の助言と推薦を求めてやるというのを、國会では消極的に助言を求めることができるというように修正されたわけであります。そこでたとい手続上の問題としても、これを選考するものは教育委員会ということになつておるのが正当だと思います。教育委員会が選考する場合に、必要と認めた場合に教育長にその選考についても助言と推薦を求めるということで、初めて教育委員会と矛盾がないのではないか。わざわざここで選考そのものを、たとい手続上の問題としても教育長にということを明記することは、これは明らかに教育委員会法四十九條と矛盾すると思います。この点はもう少し明確にしてみたいと思うのであります。
#25
○辻田政府委員 委員会法四十九條と本法案の十三條との関係について、重ねて御質疑でございますが、この選考というような事柄は相当事務的にいろいろ書類をつくるとか、帳簿を整えるとか、いろいろ問題があります。その中でいろいろ事務に非常に関係が深いのでありますから、そのためには事務局長的な性格を持つております教育長に選考をさせるのが事務処理の上からいつても適当であると考えたのでありまして、教育委員会の持つておりまする人事権を侵害するというふうな考えは、全然ないことを重ねて申し上げます。
#26
○松本(七)委員 その意図のないことははつきりしておりますが、それは委員会において、そういう必要のあるものは教育長に助言と推薦を求めるんですから、それをわざわざこの法律で教育長というものを強く出すことは、非常に誤解を招くおそれがあります。これは再考の余地はないかと思います。
#27
○辻田政府委員 ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、本法案の中にも第十五條におきまして任命権の問題ははつきりしておりますし、まだ教育委員会法自体にもはつきりしておるわけであります。ここでは第十三條の問題は選考の手続についての規定でありまするので、そのために教育長がこれに当るということを書きましても、四十九條には矛盾抵触しないというふうに考えております。
#28
○松本(七)委員 解釈はかりに抵触しないとしても、教育長が非常に重きをおくように運用される危險があると思います。この点は留保いたしておきます。次は十四條の休職の点ですが、年限については先ほど久保委員から、一般世論も滿三年ということを適当という議論がありますが、この点はさつきの御答弁で置いておきます。ただこの期間中は俸給の全額を支給することができるとなつておりますが、俸給となつておる以上、基本給という意味と解してよろしうございますか。この俸給は給與全体か。それとも、いわゆる基本給だけか。お伺いします。
#29
○下條國務大臣 これは本俸だけでございます。
#30
○松本(七)委員 それから研修の第二十條ですが、これも久保委員から指摘されたように、いろいろ出張費、図書購入費、そういうものを自費でやらなければならぬから、非常に実際の活動がやりにくいということで、第四項として研修に要する費用は、國又は地方公共團体において計上しなければならぬという一項を入れていただきたい。
 すなわち第二十條の第四項として研修に要する経費が必要だと思いますが、それをどうしてやらなかつたのか。それを伺つておきたい。
#31
○辻田政府委員 第三章の研修に関しまして、費用の問題について当然考えるべきであるということは、私たちもまつたく同感に存じておるのであります。ただ給與等についての関係は、國家公務員法の本則によるということになりましたので、その第三章の研修の中には研修費に関する点を除いたのでありまして、研修に関する面は別途考究されるべきものであると考えます。
#32
○松本(七)委員 そうすると、この法律でもつて経費の保障規定を設けることは、國家公務員法と抵触するということですか。
#33
○圓谷委員長 ちよつと速記をやめてください。
#34
○圓谷委員長 速記を始めて……。
#35
○松本(七)委員 次は第三十四條の「この法律若しくはこれに基く命令又は他の法律に特別の定があるものを」云々とありますが、その中で、政令で、國立学校の学長、校長その他の特別の定めをすることができる。こういう規定がありますが、これは必要があるときはやはり所轄の廳の教育委員会という制度ができている以上は、政令でやらずにやはりそういう所轄廳でもつてやるべきだと思うのですが、これを政令とした理由を承つておきたいと思います。
#36
○辻田政府委員 この公立学校の学長以下教員の方々の規定につきましては、近い將來に地方公務員法ができますと、それが一般法になりまして、この教育公務員特例法が特定の法案になるのであります。しかしその地方公務員法が制定されますまでの間におきましては、この法律に根拠をもちまして、それによつて授権された政令によつて規定することができるというふうにして、根拠はこの法律に置くということになつておるわけでありまして、これを將來地方公務員法におきまして、どういうふうに規定されますかわかりませんが、現在のところでは暫定的な規定としまして、法律の授権に基く政令によつて定めるのが適当であろうと考えます。
#37
○松本(七)委員 この案の中に大学管理機関という文句がたくさん出てくるのですが、その構想をひとつお述べ願いたい。
#38
○辻田政府委員 大学管理機関という文字が方々にございますが、これは近い將來に大学法または大学設置法というふうな法律が出た場合に、それではつきりするわけであります。しかしこの問題につきましてはまだ先ほど大臣から説明がございましたように、関係方面と折衝中の問題でありますので、内容をはつきり申し上げる時期に達していないのであります。ただしかしそれまでの間におきましては、附則の二十五條におきまして、それぞれ現在までの慣行に準拠いたしまして読みかえる規定をつくつて、それによつて支障のないようにしておるわけであります。
#39
○松本(七)委員 大学管理機関について大臣にちよつと伺いたいと思いますが、それは留保しておきます。
#40
○圓谷委員長 大臣は十分間ばかり予算委員会に参りましたので、大臣に質問される方は留保して他の質問をお願いします。
#41
○水谷(昇)委員 先ほど問題になりました第十三條でありますが、教育委員会法の第四十九條は原案が修正になつたのでありますが、その修正になつたいきさつはよく辻田局長も御存じの通りであります。教育長の権限が増大して、教育委員会がロボツトになるというようなおそれから修正したのでありまして、その点から考えますと、第十三條の選考は教育長がする。ここにかつこして選考権者というふうに書いてありますが、そういうことにはつきり規定すると、教育委員会法の第四十九條の修正が意味をなさぬと思います。これはぜひひとつ修正をしなければならぬと思いますが、もう一回御意見を伺います。
#42
○辻田政府委員 十三條におきまして選考権者という言葉を使いましたので、あるいは誤解を招いたのではないかと思うのでありますが、これは十三條の前段に書いてありますものを、一一繰返してこの條文の中へ書くことがあまり繁雜に過ぎるというために、選考する人というような意味で書いたのであります。結局選考の問題と任命との関係についての問題で、いろいろ御質疑があることと思うのでありますが、選考はあくまでも任命に至りまする中間の手続にすぎないのでありまして、最終的の決定権は委員会自身がもつておるわけであります。從つてまたその教育長が選考いたしましても、それを委員会においては拒否できるのでありまして、この選考したものは必ず委員会で認めなければならぬ、すなわち委員会がロボツトになるというようなことは考えられないのであります。ただこの選考という事柄が非常に事務的な知識、技能等を必要といたしますので、教育長に持つて行つたのでありまして、その教育長は教育委員会自身が任命することは、もちろん申すまでもないわけでありますが、この教育委員会が信任して任命したところの教育長に対して、その事務的な整理をさして、そこで教育委員会で審議して採用するかいなかを決定するということになりますので、この教育長が選考するということは、手続上としては適当であるというふうに考えるのでございます。
#43
○野本委員 大臣に対する質問は後刻に保留いたしまして、一、二伺いたいと思います。大臣も言われておりますが、文部省は教員及び教育の擁護者であるということをおつしやつております。それは当然なことであります。そこで私が率直に伺いたいと思いますことは、教育公務員法の特例をここでつくるということが、具体的に教員を、教育をどれだけ擁護する実をあげようとしているか。この点を全般にわたりまして具体的に御説明を願いたい。
#44
○辻田政府委員 ただいまの御質疑に対しまして、條文について御説明を申し上げたいのでありますが、まず大学以外の学校の校長、教員について申し上げますと、この法案が出ない場合におきましては、これらの方々は官吏の身分をもつておるわけでありまして、從つて國家公務員法がそのまま適用になるということになりますると、採用、昇任等につきまして競爭試驗を受けなければならないことになります。大学以外の学校の校長及び教員は、御承知の通りそれぞれ免許状を必要とするのでありまして、免許状を得る場合におきまして、すでに相当嚴正な試驗を経ておられるわけであります。その方々にまた再び採用について競爭試驗をするというふうなことは、いたずらに不必要な負担を課することになりまするので適当でない。免許状を持つておる方方については選考だけをすればいいということでありまするので、その点は競爭者に対して負担を軽くするという意味になるのでございます。
 次に大学の方について申し上げますと、採用、昇任については、大学についても同様のことが言えまするが、本人の意思に反する轉任の場合、あるいは降任の場合とか、あるいは免職の場合、あるいは懲戒の場合というふうな本人のいわゆる不利益処分を受ける場合に、國家公務員法がそのまま適用されますると、これは事前の審査ということはないのでございます。ただ事後におきまして不服のある者が事後救正を申し出まして、それによつて初めて審査されるということになるのでありまするが、この教育者の場合におきましては、事前におきまして審査して、その審査の結果によるのでなければ、その意に反する轉任とかあるいは降任、免職、懲戒というふうなことはできないのでございます。
 なお先ほど落しましたが、休職等につきましても、結核性の疾患の場合におきましては、大学以外の学校の方々につきましては、國家公務員法がそのまま適用になりますると、從來は休職期間が一箇年間でありまして、その間におきましては俸給の三分の一しか給與はもらえなかつたのであります。今回の國家公務員法の改正によりまするとその規定はなくなりまして、人事院自身で定めまして、その定むるところによる。またその特別な定めがなければ、その間における給與も無給であるというふうなことになつておりまするが、この場合におきましては結核性の疾患の場合には、満二箇年間の休職期間を保障する。それからその間において俸給を全額――これは先ほど申しましたように本俸でありまするが、本俸は全額支給することができるというふうにいたしまして、教員の任務と申しますか、地位を保障するようにしたわけでございます。大体この法案全体につきまして一つ一つ申し上げれば限りないことでありまするが、そういうふうに全体が大体この教育者の地位身分というものを保障するような仕組みで、考えられておるわけでございます。
#45
○圓谷委員長 お諮りいたします。本日は質疑をこれでやめまして、明日十時より委員会を開きたいと思いますが、いかがですか。
#46
○圓谷委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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