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#1
第004回国会 文部委員会 第4号
昭和二十三年十二月十一日(土曜日)
    午後一時四十六分開議
 出席委員
   委員長 圓谷 光衞君
   理事 松本 七郎君 理事 伊藤 恭一君
   理事 久保 猛夫君
      古賀喜太郎君    平澤 長吉君
      水谷  昇君    山名 義芳君
      受田 新吉君    高津 正道君
      田淵 実夫君    松本 淳造君
      豊澤 豊雄君    黒岩 重治君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 下條 康麿君
 出席政府委員
        文部事務官   剱木 亨弘君
        文部事務官   辻田  力君
 委員外の出席者
        專  門  員 宇野 圓空君
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
十二月十日
 委員野本品吉君辞任につき、その補欠として船
 田享二君が議長の指名で委員に選任された。
同月十一日
 委員一松定吉君及び船田享二君辞任につき、そ
 の補欠として最上英子君及び豊澤豊雄君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月十日
 山形市立科学研究所における超短波研究費國庫
 補助の請願(海野三朗君紹介)(第五三号)
 教育金融金庫設置の請願(黒岩重治君紹介)(
 第五四号)
 手藝科の独立並びに手藝教員檢定制度を復活す
 る請願(黒岩重治君紹介)(第五六号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 教育公務員特例法案(内閣提出第一二号)
    ―――――――――――――
#2
○圓谷委員長 これより会議を開きます。前回に引続いて質疑を続行いたしたいと思います。
#3
○黒岩委員 昨日御質問申し上げました点の御答弁を願いたいと思います。
#4
○辻田政府委員 昨日黒岩委員から轉任の問題につきまして御質疑がございまして、お答えいたしておりませんので、この際お答えさせていただきたいと思います。從前三級官の教員の人事については、各都道府縣知事がそれぞれ任命しておつたにもかかわらず、その状態において轉任ということが認められておつたが、今回これが教育委員会に任命権が移つた。その場合に轉任ということが認められないのは、理論が一貫しないではないかという御質疑であつたと思います。それにつきまして御答弁いたします。
 從來は教員は官吏の身分を持つておつたのでありまして、その任命権は知事のもとにありましたが、官吏の身分を持つておつた関係上轉任ができたのであります。今回はそれがそれぞれの地方公共團体の公務員ということになりますので、その間において轉任ということが認められないことになつたのでございます。
#5
○黒岩委員 重ねてその点についてお尋ねいたしますが、都道府縣立の学校におきましては、同府縣の設立であります関係上双互の轉任ができることは、松原委員の質問に対してお答えがあつてよくわかつております。また一つの委員会内におきましても、学校数は相当数あることが予想されます。してみるとその一つの委員会内の学校内の轉任ということがあり得るわけであります。そうすると大学に対して轉任に関する規定がある以上、大学以外の学校に対してもそれに対して規定があるべきだと考えますが、この点についての御見解を承りたい。
 第二点は、なるほど官吏の身分であるがゆえに、都道府縣をまたいでのいわゆる出向きができたということが從來の例でありますが、実際問題といたしまして一つの都道府縣内のいくつかの委員会に所属している教員が、他の委員会へ任地をかえる場合に、一々職を免じて移らすという扱いは、いろいろな点において支障があると思います。それはほかの委員会の管内の学校に移ろうとする者は、現在職を奉じているままにして、希望を自分の希望する委員会に出さなければならぬと思います。そこで任用が決定して、初めて現在の学校の方へ辞表を提出するということになるのであります。そういたしますと委員会相互の間に優良なる教員の奪い合いという現象が起りやすい。事実において自分の行先ということを確かめ得ずして、辞表を出す者はなかろうと思う。そうするとやみ取引をしておいて逃げて行くというような、いわゆる学校をかえる方法をとるということになると思います。何らか法の上において今までの都道府縣間に行われておりました出向きという形式をとることが可能であれば、その辺の人事の円滑なる移動が行われ得るのではないかと考えますが、この第二点につきましても法の上においてその余地があるかないかという点を、御説明願いたいと思います。
#6
○辻田政府委員 まず第一の点でありますが、大学に関しましては轉任の規定があるが、大学以外の学校については轉任の規定がないのはどういうわけかということでありますが、それについて大学につきましては一般的の轉任の規定はないのでありまして、この場合大学について規定してありますのは、本人の意に反する轉任に関しての救正の規定があるわけであります。それでその点につきましては十五條三項によりまして、不利益処分の行われた場合の救正規定として、この第三項が設けられておりますので、それによつて処置ができます。
 それから第二の点でありますが、これは現在一般の地方の吏員につきましても、甲の縣から乙の縣に行く場合は、一旦退職しまして、その上で乙の縣に新規の採用になる取扱いになつておるのでございますが、從來の地方の一般の吏員と、その点轉任については教員についても同じような形になるわけであります。
#7
○黒岩委員 第一点についての御回答を承りますと、大学以外の教育公務員は意に反しての轉任はやつてよろしいという裏書きができるものと理解いたしますが、そういう考えでありますか。つまり大学の方は意に反して轉任をさす場合の規定をきめてある。けれども大学以外の学校についてはそれをきめてない。そういうことになりますと、ただいま申しました通り大学以外の学校の教育公務員は、意に反する轉任をしてもよろしい。こういう解釈ができると思いますが、この点についての御意見を伺いたいと思います。
#8
○辻田政府委員 言葉が足りませんでしたので、あるいはそういうようにおとりになつたのかもしれませんが、大学以外の学校におきましても、意に反するような轉任はできるだけ避けなければならぬと思います。しかし実際にできることはできるのであります。これはそのために非常な不利益を本人が受けた場合に、それを救正する道を十五條三項において規定してありますので、この点は大学の方に関しまして規定してあるものに照應するわけであります。
#9
○圓谷委員長 次に第三節に入りまして、第三節の御質疑を願います。
 なお大臣は予算委員会の方に出られてから、あとこちらに参られるそうであります。どうぞ御了承を願います。
 第三節で質疑がありませんければ、第三章に移つてよろしゆうございますか。
#10
○圓谷委員長 それでは第三章に移ります。
   第三章 研修
  (研修)
 第十九條 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
 2 大学及び大学附置の学校の教育公務員については大学管理機関、大学及び大学附置の学校以外の國立学校の教育公務員については文部大臣、大学及び大学附置の学校以外の公立学校の教育公務員並びに教育長及び專門的教育職員については当該教育委員会(所轄廳という。以下同じ。)は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奬励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
  (研修の機会)
 第二十條 教育公務員には、研修を受ける機会が與えられなければならない。
 2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
 3 教育公務員は、所轄廳の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。
#11
○久保委員 この十九條の第一項は、これは與えられた研修の機会と、それから教育公務員がみずから絶えず研究と修養に努める。その両方を言つたものだと私は理解するのでありますが、そういうふうに考えてよろしいであろうか。
 第二項の四行目に「それに要する施設、研修を奬励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。」とある。その内容について聞いてみたいと思うのであります。
#12
○辻田政府委員 第一の御質問につきましては、その通りでございます。第二の問題は、いろいろな点が考えられるのでありますが、またそれぞれの学校の種類あるいは程度によりまして、それぞれ異ることがあると思いますが、今考えられますことを若干申し上げてみたいと思います。まず研修に要する施設といたしましては、学校内の研究室の整備充実、教育研究所あるいは研修所の増設拡充、第三には大学研究室、師範学校各種の研究所の施設の利用等、それからまた図書館、博物館、公民館というようなことが研究に要する施設としては考えられます。第二は研究を奬励するための方途としては、学校図書の増加充実、あるいは研修の機会、たとえば内地留学あるいは外地留学というふうな研修の機会を與える。第三には昨日來いろいろお話がありまする研修に要する費用のごときものの支給というふうなことが考えられます。なおそのほかに各種の講習会を実施して、それによつて研修を励むというふうなことは、從來もやつているのでありますが、今後も行われることと思います。
#13
○久保委員 そうしますと、文部省としては、教育公務員が自分で求めた機会、方法によつて研究と修養に努める場合、その経費を何らかの方法で支出しようとする用意があるかどうか。たとえば研究費というようなものを特別に教育公務員に対して將來設定しようという意向なり、あるいはその計画なり、そういうものがあれば承りたいのであります。
#14
○辻田政府委員 研究費という名目で若干の経費を支出しておりますが、詳細な数字を持つておりませんので、その点につきましてはあとから御説明をいたします。なおそのほかに科学研究関係の費用が出ておりまして、このために昭和二十二年度の予算に計上したものは、人文科学関係では千六百万円、自然科学関係では八千四百万円、合計一億円の金がそれぞれ研究者に交付されております。
#15
○久保委員 こういうふうに特別に國家公務員法の附則十三條に規定してある公務員の特殊性によつて、例外を設けることができるということになつているようですが、その一つとして、この教育公務員があるわけなんですが、その教育公務員よりほかに、こういう修養あるいは研究等に努めなければならないというような特別の責任といいますが、そういう拘束を受けているものが、ほかの公務員にありますか。そうしてもしそれがあつたとすれば、その人のためにはどういう待遇が特別に與えられているか。これを具体的に御説明を願いたいと思います。
#16
○辻田政府委員 國家公務員法が制定されまして、附則十三條に基きまして、特例としてこういうふうな規定が設けられていることにつきましては、現在のところ承知しておりません。教育公務員以外には承知していないのであります。と申しますのは、附則十三條に基いて特例を設けているものは、今のところないというふうに承知しております。しかし研修の施設につきましては、たとえば鉄道とか逓信とかいう方面において、あるいは外務省の関係において研修所というようなものを設けたり、あるいは講習所を設けまして、そこでそれぞれ特別の研究についての施設をしていると聞いております。それらの詳細につきましては、ただいますぐお答えいたしかねます。
#17
○久保委員 教育公務員のために研究費の名目で出されているところの総額と、大体その学校別でそれが支給されているとすれば、学校別で一人当り一箇月どれくらいの額になつているか、それを承りたい。
 それから科学教育費としてこれが別に出ている。それが大体どういう程度になつているか。これは学校種別によつて相当違うと思いますが、大学の場合と、あるいは新制高校の場合とは相当開きがあると思いますが、その額も承りたい。今できなければ、あとでもけつこうです。
 それから今回教育長なりあるいは專門教育職員なり、そういうものの養成講習のようなものをやつているようでありますが、二億円程度でしたか、これは大体國費をもつて用意されておつたのではないかと聞いておつたと思いますが、実際満足に研習ができるように現在與えられておるかどうか。その内容として一人が一日食費、宿泊費としてどの程度支給されておるか。そして旅費としては、二等が出されておるか、三等が出されておるか。それから日当というものは別にどれくらいを計上してあるか。それを聞きたい。それからもし教育長の指導養成と教育專門職員の場合と差があるとすれば、どんなふうになつておるか。
#18
○辻田政府委員 ただいま御質問がありました研究費に関するそれぞれの計数の問題と、それから教育長の講習会の費用の問題は、これは文書にしまして差し上げたいと思います。今ちよつと手元にございませんので、お許しを願いたいと思います。
#19
○久保委員 この研習と研習の機会という十九條と二十條については、この経費をこの法の上に規定せねばならないという考え方から、今日関係方面と交渉したのでありますが、このことについてはあとで委員長かどなたかから報告があると思う。しかしちようどここに関係があるから承つてみたいと思うことは、関係方面の方でもそれは一應なるほど了解するのであります。從來こういう場合には打切り旅費その他の方法で実に正当な、研習のための当然出さねばならない費用を出されなかつた。從つてこのままにしておいたならば、とうてい研習というのは機会を與えられても、実際の研習ということをしようとすれば、教育公務員を苦しめるばかりになるという実情を訴えてみると、向うでももつともだと考えるのでありますけれども、ただそれを今さらに他の関係方面と折衝に当ろうとすれば、大体そのために総額において國としてはどれくらいの経費がいるのか。それから地方公共團体としてはどれくらいの経費がいるのか。それはこの第十九條の二項の内容に関係することでありますが、それがどうも今ただちに資料がここに出ない。それではこれ以上この短時日で交渉を続ける方法がないのであります。そこで文部省に聞きたいことは、そういう点について一應考慮を拂つて、そして資料がここにある程度用意されておるとすれば、どの程度考えてみられたのであるか。いわゆる経費がどの程度で上るかという見込みを立ててみられたか、その点について聞いてみたい。これはこの十九條、二十條をつくられるときには、この立案者としては当然一應考えてみられて折衝されたものと私は想像するのです。その立案されたときにどういう経費が必要であつたか。國としてとる場合におよそどれくらいの研修費が必要であるか。あるいは地方公共團体としては――これは数によつて違いますけれども、教育公務員の数によつて考えてみて、およそどういう程度を考えてみえられたか。この点について承つてみたいと思う。
#20
○剱木政府委員 教育の研修につきまして、経費並びに計画についていろいろお尋ねがございましたが、この研修に要します経費を大体二通りに考えることができると思います。
 その一つは、ここにあります調査研究をして行くという面で、各教授、教員が学校の中におきまして研究をするための、いわゆる研究費の問題でございます。その一つは現職教育と申しますか、再教育と申しますか、講習その他その職務にありながら、外に出て研修をするという場合があると思います。前の研究費につきましては、現在大学等につきましては各講座に研究員が参つているわけでありますが、この新制大学の切りかえとともに、この研究費のことにつきましては、できるだけの増額を計画して行きたいと考えております。ただその総額につきましては、今全体の総額をどれくらいということは計算中でございまして申し上げかねます。それから現職教育の面におきましては、現在もすでに行つておりますが、各講習会を相当廣般にわたりまして、各科目、学科別、学校種類別にわたりまして、これは非常な数にわたりますが、ただいまそれを予算的に計画いたしております。なおこれに関連いたしまして、將來の問題といたしましては、中央にただいま教育研修所というものがございますが、これは今研究所的な面が非常に強くて、研修所として地方からの教員の再教育の場にするというような現状ではございませんが、これを根本的に改革いたしまして、全國的な意味の研修所に持つて行きたいというので、教育研修所のあり方につきまして、今根本的に再檢討いたしているのでございます。今行われております教育長とか、指導主事とかいつたような講習は將來の計画といたしましても、現在何ら一定の設備がございませんで行つているわけでございまして、できますればこれを恒久的な施設として、相当拡充して行きたいと考えております。
 それからこの教育委員会で行われます地方ごとに行う現職教育につきましては、相当地方費の負担も大きくなることでございますので、これはやはり一定の規格を定めまして、それに対しましては國庫で負担をいたしますなり、また地方財源としての処置をとらなければならないと思つて、これは詳細にわたつて今研究しつつあるのでありますが、その金額の総額につきましては、今辻田局長から申し上げましたように、まだこの案をつくりつつある状態でございまして、今の予定金額は申し上げられますけれども、確定的なことは申しかねる状態でございます。
#21
○久保委員 昨日の委員会で私は勤務成績ということのむずかしさについて、お尋ねしてみたのであります。そのとき辻田局長は教授力という言葉を使われた。この教授力というようなこと、生徒兒童に対する人格的な影響力というようなことは、これは一にかかつて教職員の研修いかんにあるのである。私が今さらここで申すまでもありませんけれども、私はたとえば教育の考え方の違いかもしれませんが、バートランド・ラツセルの書であつたと思うのですけれども、教育の作用というのは、結局成長してやまないところの一つの人格が、未完成のより低い人格に対する成長の過程における影響である。こういう意味のことを彼の著書に書いてあつたと思うのであります。はたしてそうだとするならば、その教育の作用というのは、教育公務員というものが研修ということにいかに努め、自己拡充の人生過程をいかに高次なものにするかということにかかつておると言わねばならない。もしこれをなおざりにするならば、教育というものは、ただおとなと子供との間における知識的な、技術的なみぞを埋めてやるという、そうしたものにすぎないことになるだろうと私は思うのであります。そういう意味において、この研修がいかに重大であるかということは、論をまたないことであります。しかるに研修ということについて、十九條に責任を負わせ、二十條においてそのこまかな点を規定しておるということは私は非常に賛成である。賛成であるのでありますけれども、これを立案するときに、それではいかにして研修をするかという、その実質的の裏づけとなるところの費用について考えが及ばなかつたということ、規定することを考えなかつたということ、しかもまた立案のときにその経費を規定しようとするならば、当然そこにどの程度必要であるかという、おのずからそこに具体的な数字が出て來る計画がなければならないのに、それがいまだに出ておらないということは、私は実に恐れ入つたことだと思います。そういうことではたして教育というものを進めることができるかどうか。私はそういう考え方によつて、この教育立法の原案をつくられたことは、非常に遺憾にたえないのであります。どうかこの点については私がさつき申し上げました通り、関係方面でさえすでになるほどそうだということは了承できるのであつて、ぜひこの点は具体的に案をもつて、そして資料をもつてさらに折衝せねばならない、こう思うのであります。ぜひそうしていただきたいと思うのであります。はたして文部当局においては、そういうことはいらない。もう当然それは地方なり國家なりの財政の程度に應じて出すべきであつて、それにまかすべきだ。こういうことで研修の経費をこの法案に規定する修正の意思がないのかあるのか。私は当然そうなければこのことは行われないと思うのであります。その点について重ねて文部省当局の意見を承りたい。これは大体大臣に聞きたいことでありますけれども、大臣はおられないし、学校教育局長がおいでくだされば、日高局長から直接聞きたいと思いますけれども、局長ははたしてこういうことで教育の研修が行われると思われるのか。そしてこれが行われないとするならば、そういうことで日本の教育ができるとお考えであるかどうか。これは根本的な問題であると私は思う。そこで教育局長にかわつて劔木次長、それからこの立案にあたられた辻田局長に聞いてみたいと思うのであります。
#22
○剱木政府委員 今数字がまとまつていないと申し上げましたのは、私どもがこの計画を無視したり、またおろそかにしているという意味では決してございませんけれども、学校教育局といたしましては、教員研修の問題が最も重要な問題の一つであると考えまして、各面にわたりまして計画をいたしておるのでございます。ただこの法律でその額をきめますことが非常に困難であるということにつきましては、さきにちよつと申し落しましたが、研修の最も重要な面は、長期にわたりましてほんとうに研修を続けて行くという問題で、特にその最も効果的なものといたしましては、ただいま現にごく少数については行つておりますが、内地研究、内地留学という制度でございます。半年なり一年なりもしくはそれ以上に越しまして、研修の期間を認めてやるということでございます。なおそれに加えまして、もしできますならば、現在では非常に困難でございますけれども、將來学校の教師が海外に留学いたしまして、その研修を完成するということがぜひ必要であると考えまして、それに対しても実は内心から熱望しておるわけでございます。この計画は、実は終戰後ただちにそういう計画につきまして、関係方面とも話し合つて参つておるのでございまして、その状況ができる状態になりますれば、最も早い機会にそれができるものと私ども期待いたしておるのでございます。從いましてこの研修計画は、現在この程度であるということを限定して参りますことは、非常に困つた問題が起ると思います。ただ現在の計画がどの程度かということにつきましては、これは計画といたしましてはすぐにでも出すことができると思いますが、研修の経費はこの程度で行くのだということをあらかじめ予定してしまうということは、非常に危險であると考えまして、さきに申しましたように、私も申し上げた次第でございますから、その点につきましては御了承願いたいと思います。
#23
○辻田政府委員 昨日も申されたのでございますが、この原案を作成いたしまする場合におきましては、研修につきまして、特にそれに要する費用を考えなければ意味のないことでありますので、昨日もいろいろお話のありましたように、われわれといたしましても、原案としては研修に関する費用のことについて、規定をいたしたかつたのでございます。諸般のいろいろな事情でそれが規定できなくなりましたが、しかしわれわれとしては法規の上でそれが規定されなくても、そのこと自体は非常に必要なことでありますので、予算措置等によつてしなければならないというふうに考えておる次第でございます。それで文部省としては直接の衝に当つております学校教育局におきまして、先ほど劔木次長から話がありましたように、具体的に研修についての諸般の計画を進め、またそれに要する費用について要求をすべく準備しておる次第でございます。なお先ほどもお話がありましたように、いわゆる普通の研修に要する費用、それからなお毎日絶えず研究に努めなければならぬ関係上、一定の俸給のほかに一定の給與と申しますか、研修費として経費を必要とするというようなことについても、研究を進めている次第でありますので、御了承を願いたいのであります。
#24
○久保委員 そうすると今の答弁では、私が希望するところは文部当局もこれを是認しておられるようであります。そこで辻田局長のお話しでは、そうした規定をここに設けたかつたけれども、諸般の事情でできなかつたそうであるならば少し劔木さんは私の質問を誤解しておられたようでありますが、非常にこまかな経費をここに規定するというのでは私はない。國あるいは地方公共團体で研修に要する費用の計上を、ここに規定いたさねばならぬというそれだけのことである。それを規定するためにはどれくらいの研修費が必要であるかということを、あらかじめ大体持つておらねばならぬ。その用意があるかということを聞いた。その用意は辻田局長にあるとおつしやるのですね。そういう材料はあつた。用意しておつたという御答弁だつたと思うのですが、そうですか。
#25
○辻田政府委員 そのとき具体的には計数をもつてその準備をしておつたということは申さなかつたと思いますが、われわれとしましてはそういう経費に関することを、この中に規定いたしたかつたということを申し上げたつもりであります。
#26
○久保委員 それではいかぬ。それは一應わかりますけれども、こういう経費を伴う計画的なことを規定する以上は、それがどれくらいの経費がいるかという用意がなければいかぬ。劔木さんが言われるように、どこで線を引くかということは困難であるけれども、どこかで線を引かなければならない。この法案で例をとりますと、結核の患者は二箇年の休養が與えられている。二箇年の休養なんというのはむりな線の引き方である。しかし、ここで一應引かなければこの法案ができないのである。三年で引くか、五年で引くか、專門家に聞くと五年か六年かと言うかもしれません。二年というのは非常にむりである。しかし経費その他の関係もありましようし、あるいはこれに類似する法案との関係もあつたりして、結局二年に落着いたんだと思う。むりであつてもそういう落着き方をせねばならない。從つて地方によつて経費の面があまり大きくなつたりしても困るというようなことで、結局研修費がどのくらいいるかというのをつくる場合に、一應この程度はという、どこかに線を引くことはできることである。それができなければ私は政治や行政はできないということになると思う。そういうものはどうしてもなければならないと思う。それが用意されておらなかつたのであるならば、これが日の目を見なかつたのは当然である。そこで、そういう意見があるということと、まだ用意ができておらないことがわかつたのでありますから、どうかひとつこれは科学的な基礎に立つて、その点を規定の上にはつきりするように將來したいものだ。その努力をお願いしておきたいと思うわけであります。
#27
○圓谷委員長 私から一つお聞きしたいのでございますが、教育者の研修費、これを奬励するところの方途、それから研修に関する計画という中に、予算措置その他のことをお考えになつて、今後実施されるということですが、この中に教育者として最も必要な講習に行くことも必要でしよう、長期の研修、海外に派遣することも必要でしようが、教育者はその特殊性にかんがみて、不断に読書しなければならぬと思う。そこで読書費、一册の本も三百円くらいするのですが、この本を買う金を現金でやるような計画が考えられたかどうか。他の公務員、たとえば鉄道の現業員は被服の貸與を受けておりますし、また警察官等も被服を支給されている。これはその職務を執行するに必要なために、服とかくつが支給なり貸與されるということであれば、研修官が特殊性として特に修養が大切だとするならば、現在の教育者には本も買えません。これらに対する読書の費用というものを特別に御考慮になつたことがありますか。また今後そういうことをお考えになるかお聞きしたい。
#28
○剱木政府委員 非常にごもつともな点だと思います。これはかつて教員に対する研究費の問題が問題になりましたときに、種々論議された点でございますが、研究費に対する関係が給與の関係から申しまして、現在給與のほかに研究手当というものを出せないという状況で、俸給の切りかえに際しましてその特殊の地位を考慮するよりほかに、方法がつかなかつたのでございます。しかしお説の通り、実際教育職員としましては、その特殊性に應じて研修の面から申しましても、読書費その他の重要な面があると考えるのでございます。今直接には読書費という点は各個人に対する支給としては考えていないのでございますが、新しい中学校、小学校の教育の体系におきまして、現在まで非常に貧弱であつた学校の図書館、図書室のようなものを、今後学校における教育の中心に持つて行くような考え方をもちまして、今後各学校に図書の設備の充実につとめて行きたいと考えているのでありまして、小学校、中学校におきましてはまだ教室そのものが完全に建て上つておりませんが、できるならば図書館なり図書室の設備になきましては、六・三の進行とあわせて新年度から計画をして行きたいと、現在考えている次第でございます。
#29
○圓谷委員長 教育者の読書費というものが、他の公務員の被服と同じ重要なものであるとするならば、一年に相当額の、普通に読めるような金を特に教育者に対して出してもいいと私は考えているのですが、こういうことはもし文部省当局あたりがお考えになるとするならば、國会に提出して世論を喚起して行けば、この問題はむりな考えでないと思うのですが、ただ個人に與える考えはない。図書館その他の設備で行くということであれば別ですが、そのいうことをお考えになつていなかつたのですか。他の公務員との関係で私はむりでないと思う。
#30
○剱木政府委員 非常にごもつともでございますけれども、いわゆる教育者が本を買つて読むという場合になりますと、小学校の先生から大学の先生までお読みになる本を、どういうふうにして算定して行くかという問題があると思います。予算的な考え方といたしましては、先生のお読みになる本は、学校でそれを買つて図書室に備えて行く。それはいつでも先生が御自由に読めるというふうにいたしました方がいいのではないか。またそれは一人の先生がその本を読むだけではなしに、あらゆる先生がその本を利用することができるというので、むしろ学校の図書館なり図書室を中心としてそれを拡充して行くという方法を、図書に関する限りはとつて行くのがいいのではないかと、ただいま考えておる次第であります。
#31
○圓谷委員長 第四章に移ります。
   第四章 雜則
  (他の職務の從事)
 第二十一條 教育公務員は、法律若しくは人事院規則に特別の定がある場合又は所轄廳において教育に関する他の職務に從事することが本務の遂行に支障がないと認める場合のほかは、給與を受け、又は受けないで他の職務に從事してはならない。
  (教育公務員以外の者に対するこの法律の準用)
 第二十二條 國立又は公立の学校において教員の職務に準ずる職務を行う者並びに國立又は公立の各種学校の校長及び教員については、政令の定めるところにより、この法律の規定を準用する。
#32
○水谷(昇)委員 第二十一條によつて、教員は教育に関する他の職務を兼務することができるということに解釈いたしますが、それでよろしゆうございますか。
#33
○辻田政府委員 二十一條は、國家公務員法の百一條に関する一種の特例をなすものでありまして、國家公務員法の百一條では、國務に專念する義務をうたつております。從つてこの場合の適用といたしましては、國家公務員法では、國家公務員が他の國家公務員を兼ねることを指しておるわけであります。それで二十一條は、それに対應する規定でありまして、教育公務員が教育に関する他の職務に從事することについての規定でありまして、教育公務員が、しかもそれは同一の職務、たとえば國立学校の先生が他の國立学校の先生を兼ねるというようなこと、あるいは公立学校の先生が他の公立学校の先生を兼ねるということについての規定でありまして、その他の場合、たとえば一般のほかの文化事業に関係するとか、あるいはまた國立の学校の先生が公立の学校の先生に入ると、いうふうな場合には、これは國家公務員法の百四條によりまして、その方でその許可を受けて就職することができるいうことになるわけでございます。從つてごたごたいたしましたが、二十一條は國家公務員法の百一條に関する特例であるということを申し上げたわけであります。
#34
○圓谷委員長 これにて質疑は終了いたしてよろしうございますか。
#35
○圓谷委員長 異議なしと認めます。よつて質疑を打切りまして、これから討論に入りますが、暫時休憩いたします。
    午後二時五十五分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後三時六分開議
#36
○圓谷委員長 再開いたします。
 久保委員から質問が残つておるから、もう少し質問いたしたいという申出がありました。これを許します。
#37
○久保委員 もう一箇所ですが、第二十五條に関して、第四項に第五條、第六條及び云々となつております。ここで私が伺つておきたいのは、第五條というのは轉任を規定したものであり、第六條は免職等を規定したものである。そこでここに書いてあるように、学長にあつては協議会、教員にあつては評議会、部局長にあつては学長と大学管理機関を読みかえる。こういうことになつておる。そこでこれは本來であるならば、第五條、第六條のところで質問するのがほんとうであつたかもしれません。私が聞いてみたいことは、第五條ではその意に反しては轉任ができない。今の大学管理機関の審査の結果によるのでなければ、本人の意に反して轉任はできない。それから第六條では免職はできない。こうなつておる。そこでこれは学校教育局長に聞きたいのですけれども、学校教育局の関係か、大学の教育局長か、でなければ事務次長か、あるいは大臣でないと困る問題です。
#38
○圓谷委員長 それでは大臣が來られるまでこのままで――ではお見えになりましたから……。
#39
○久保委員 大臣がお見えになりましたから、質問を続けます。
 第五條、第六條を見ますと、轉任は本人の意思に反してはなされない。あるいは免職もなされない。それは大学管理機関の審査の結果によるのでなければできないとなつておる。そしてその管理機関の内容として第二十五條の第一項の四号に「学長にあつては「協議会」、」協議会の審査の結果でなければ学長の轉任あるいは免職はない。大学の教員にあつては評議会の審査の結果、部局長にあつては学長、こういうふうなことになります。そこで考えられますことは、新たに新制大学が発足しようとしておるのであります。この規定は新制大学をどういうふうに発足させるかということに、非常に重大な関係がある問題だと思うのであります。從來の專門学校が大体大学に学部として昇格する機運にあり、從來の大学はもちろんそのまま設置されるという機運に今日あるのでありますが、この実際を調べてみますと、支那事変以後日本の專門学校以上の増設あるいは学部の充実等は、戰爭遂行の線に沿うてできておのであります。從つてある学部は非常に狹められ、ある学部は非常に大きく厖大なものになつておるのであります。それで具体的に私は今ここに資料を持ちませんけれども、たとえば経済学部であるとか、法学部であるとかいうのは非常に狹められたものの一つであり、理学部であるとか工学部であるとかいうのは膨脹したところのものであります。それが今日そのまま残されておる。そして何も私は工学部や理学部や医学部が、將來少くなつてよいと考えるのでありませんけれども、とにかく戰時型のまま今日学校が残つておる。そこで新制大学をつくりますときに、これは將來の日本の國土計画なり、あるいは産業等を考えて整理統合、小さ過ぎるものを大きくして行かなければならないものもあろうし、大き過ぎたものは小さくするものもあつてしかるべきものだ、こう考えるのでありまするが、そのときにここに主として大学の教員でありますが、教員の配置がえということがどうしても大きく考えられて來るのであります。それが今この法律が出ますと、教員にあつては評議会の審議によつてでなければ、本人がいやだということであれば轉任もされないし、免職もできない。こういうかつこうになつておると、新制大学がスタートするときに、これが非常に困つた問題を起して來はせぬかということを恐れるのであります。そういう点について特別の措置が考えられておるかどうか。全然そういう機運はないとお考えであるか。ないとすればどういうわけでそれがないか。そういう点について文部当局の、幸い大臣がいらつしやいましたから、大臣、局長さん等の意見を聞いてみたいと思うのであります。
#40
○下條國務大臣 大体私から申し上げて、なおこまかいことは政府委員から申し上げます。私の知つておる範囲内では、終戰後大学の講座の整理をいたしまして、たとえば造船であるとか、あるいは航空機の講座というものはなくなつておるわけであります。それから今回新制大学を発足するにつきまして、まだ実は大学設置委員会の方から詳細な報告をもらつておりませんから、確実なことは申し上げかねますが、実際の問題として教職員の配置轉換ということは、お話の通り、相当大きな問題であろうと思います。ただその大学にふさわしいようなりつぱな教授は、数の面においては非常に少いのでありますが、その線からドロツプする者が相当あるのではないかということを心配しております。そういうものの配置轉換につきましては、設置委員会でも問題になつておりまして、いずれ何か適当な措置を講じなければならぬ。その場合に今お話のような、その意に反するという規定のために、それができなくなりはしないかというお尋ねも、ごもつともと思いますが、事実におきましては適当な措置が講ぜられる。たとえば今一應考えられている方法としては、その学校の教授にもならず、助教授にも資格がないというような者は事務の方にまわすとか、いろいろの処置を講ずるように内々話し合つておる程度であります。それらのことで一應まず処置ができるのではないかと考えておりますが、なお詳細のことは政府委員から申し上げます。
#41
○剱木政府委員 大体今大臣から申し上げた通りでございますが、ただ法文系統につきましては、終戰後相当教職員その他につきまして復元の処置をとつたのでありますが、なお今度の新制大学の切りかえにつきまして、講座とか、そういつた方面におきましては、一つの学校でできるだけ学科を縮小しまして、間口を狹めて奥行きの深い大学につくるということに、各学校が努力しておる次第であります。これに関する教員の問題でございますが、今大臣からもお話がございましたように、大学の教授として残れない者もあり得ると思いますし、また一面ある大学では不必要でございますが、他の大学では非常に必要としておるという面もございますので、この教授の配置轉換等につきましては、各大学なり学校と協力いたしまして、あつせん委員会のようなものをつくりまして、その間の調整をする。こういように考えております。なお大学の教授に不適当でございましても、新制高学等校及び中学校の面におきましては、非常に数的にも質的にも教員を必要といたしておりますので、この配置轉換の方は比較的容易にできるのではないかと想像いたしております。
#42
○松本(七)委員 教職員の配置轉換は、新制大学の行方と密接な関係があるわけですが、先般の新聞紙の報ずるところによれば、何だか新制大学の設置が非常に見通しが困難で、そのために推進本部というようなものを文部省に設けるというようなことでありますが、その内容等を詳細に御報告願いたい。
#43
○下條國務大臣 お尋ねの新制大学設置推進本部、これは仮称でありますが、そういうものをつくつたのでありますが、これは別に法規に基かないで、内部限りの一つの組合せをつくつたのであります。御承知の通り現在新制大学に関する事務は、学校教育局でやつておるのでありまするが、実際問題として非常に今度の仕事は、たとえば新制大学に昇格するについての審査決定をすること、それからその関係に必要とするところの大学法その他の法令――五つか、六つあると思います。それからそれに必要とするところの予算を組み立て、それを安本とか大藏省へ交渉する。また必要な資材を考えなければならない。大体この四つの部門が必要であります。そこでこれに対應いたしまして、企画部、法制部、財務部並びに資材部、この四つの部をつくつたのであります。とにかく六・三制関係のことは、大体御承知の通り中学校の建設に関することは、この二十三年度で一應学級増加に基くものは終りますが、あとはまた二部教授、仮教室等の関係の予算は前からできておりますが、その予算を通すということであります。今後の文部省の大きな仕事は、新制大学をできるだけ早く年度内につくり上げて、二十四年度から新発足したいということで、省の全部をあげてこの事業にかかろうという建前をとつたのであります。すでに発足以來毎日のように会議を開きまして、諸般の準備体制を整えまして、なるべく早く着々事業のでき上るようにいたしたいと考えております。
#44
○圓谷委員長 ほかに御質疑がございませんなら、これで質疑を打切つてよろしゆうございますか。
#45
○圓谷委員長 御異議なしと認めます。
 ちよつと休憩いたします。
    午後三時二十五分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後四時三十九分開議
#46
○圓谷委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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