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1948/12/12 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 文部委員会 第5号
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1948/12/12 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 文部委員会 第5号

#1
第004回国会 文部委員会 第5号
昭和二十三年十二月十二日(日曜日)
    午前十一時五十五分開議
 出席委員
   委員長 圓谷 光衞君
   理事 松本 七郎君 理事 伊藤 恭一君
   理事 久保 猛夫君
      古賀喜太郎君    平澤 長吉君
      星島 二郎君    水谷  昇君
      渡邊 良夫君    高津 正道君
      田淵 実夫君    松本 淳造君
      小島 徹三君    西山冨佐太君
      大島 多藏君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 下條 康麿君
        國 務 大 臣 森 幸太郎君
 出席政府委員
        文部政務次官  小野 光洋君
        文部事務官   剱木 亨弘君
        文部事務官   茅  誠司君
        文部事務官   辻田  力君
 委員外の出席者
        文 部 次 官 井手 成三君
        総理廳事務官  羽場 一郎君
        專  門  員 宇野 圓空君
        專  門  員 武藤 智雄君
十二月十二日
 委員豊澤豊雄君辞任につき、その補欠として大
 島多藏君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月十一日
 新聞出版用紙割当事務廳設置法附則第三項の規
 定に基く同法の継続に対する國会の確認を求め
 るの件(内閣提出、議決第二号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 ザビエル來訪四百年記念式典に対し國庫補助の
 陳情書(長崎縣議会議長岡本直行)(第二六
 号)
 教育予算増額に関する陳情書外一件(岩手縣下
 閉伊郡茂井川口ハル外十八名)(第二九号)
 縣教育委員会委員選考費全額國庫負担の陳情書
 (福岡縣議会議長稻貝稔)(第三〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 教育公務員特例法案(内閣提出第一二号)
 新聞出版用紙割当事務廳設置法附則第三項の規
 定に基く同法の継続に対する國会の確認を求め
 るの件(内閣提出、議決第二号)
  請願
 一 教育予算増額に関する請願外十六件(石川
   金次郎君紹介)(第二七号)
 二 山形市立科学研究所における超短波研究費
   國庫補助の請願(海野三朗君紹介)(第五
   三号)
 三 教育金融金庫設置の請願(黒岩重治君紹
   介)(第五四号)
 四 手藝料の独立並びに手藝教員檢定制度を復
   活する請願(黒岩重治君紹介)(第五六
   号)
    ―――――――――――――
#2
○圓谷委員長 これより会議を開きます。
 本日の日程の順序を変更いたしまして、日程第二、新聞出版用紙割当事務廳設置法附則第三項の規定に基く同法の継続に対する國会の確認を求めるの件を議題といたします。政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○森國務大臣 今議題になつておりまする新聞出版用紙割当事務廳設置法の継続に関する國会の承認を求める件でございまするが、新聞用紙割当事務廳設置の法は國家行政組織法の趣旨に基いて立案せられまして、第二回國会を通過して、本年八月三日から実施されたものでありますが、有効期間がはつきり定めてないのでありまして、毎通常國会ごとにこの法律を無修正で継続させることについて、國会の議決による確認を求めることに附則でなつておるのであります。これは関係方面との話合いで定められたのでありまして、用紙割当等を引続き行う必要があるかいなか。必要がある場合、現行割当制度を存続させることがいいか惡いかについて、國会に再審議の機会を與えるために、こういうふうに附則が設けてあるのであります。以上本議案を國会に提出しまして、御承認を得たいと思うのであります。
 本法律は本年八月実施されたばかりでありまして、この法律に伴つて審議会が設置されることになつておるのであります。しかし関係方面では、いまだこの審議会施行に対しての承認を與えておらないのでありまするが、本年中には何とかしてこの審議会を実施できるように、政府として努力をいたしたいと思つておるのであります。今議会においては、この法律の無修正継続ということの御承認を得たいと思いまして、本案を提出したわけであります。
#4
○圓谷委員長 これより質疑に入ります。
 ただいまの森國務大臣の御説明によりますと、新聞出版用紙割当事務廳設置法は、國家行政組織法の定めるところに從つて立案されまして、今年の八月から法律第二一一号をもつて公布されたのでありますが、ただいま御説明になつたうちに、今後新聞及び出版物に対する用紙の割当の決議機関である新聞出版用紙割当審査会、これは今立案中で近くこれが発足するお見込みになつているのですか、どうですか。
#5
○森國務大臣 これはこの法案が設定されると同時に、政令をもつて新聞出版用紙割当審議会令というものが出ておるのであります。これは從來民間人で組織されておつた割当委員会を、法的なもとに直すという建前で政令ができておるのでありまして、この政令の内容は、新聞部会と雜誌出版部会の二つに委員会がわかれておりまして、いずれも十人ずつの委員組織になつております。新聞界からは昭和十六年以前より存続する東京または大阪における一般日刊新聞から一人、昭和十六年以前より存続する東京または大阪における一般日刊地方新聞から一人、昭和二十年十月より創刊にかかる一般日刊新聞から一名、業会新聞または機関新聞から一名、その他の非日刊新聞から一名、この五人が業界から出ております。また学識経驗ある者から、宗教界、教育界または科学界から一名、それから文化界、労働界、農業界、商工業界から各一名ずつ、この十人をもつて新聞部会が設置され、また出版部会の委員では東京における出版業者の大なるものから一人、東京における出版業者の中の大なるものにして、雜誌等も発行している者の中から一人、東京における出版業者の小なるものの中から一人、東京における出版業者の小なるものにして雜誌を発行している者の中から一名、東京以外における出版業者の中から一名このほかに今新聞部会で申したように、宗教界、教育界、科学界、文化界、労働界、農業界、商工業界の学識経驗者より五名、いずれも十人の委員組織で審議会ができて、この割当廳においていろいろの事情によつて原案をつくつたものをこの委員会へ付議して、それが妥当であるかどうかを審議して割当分量を檢討することになつております。これは政令とともに関係方面の了解を求めるはずになつて、すでに政府としてはこの成案とともにその筋に了解を求めておりますが、どういう関係でありますか、未だに承認を得られないというようなことで、それがために從來民間の自治的にできておつたところの委員会を、当分の間それによつて処理するよりしかたがない。こういう不自然な形になつております。しかしもともとこの政令の趣旨に沿つて関係方面との了解を得て、ぜひとも本年内にはこの政令に基いた審議会の設置を正当なルートに乘せたい。かように考えているわけであります。
#6
○松本(七)委員 例のレマルクの凱旋門が飜訳として市場に出ておるのでありますが、これは聞くところによると正式の飜訳権料を拂つていないということであります。しかもそれはある年はベスト・セラーに数えられた書物でありますが、こういうものの用紙の割当はどうなつておるのでありますか。
#7
○羽場説明員 ただいまの書籍につきましてはこれは飜訳権の問題で、所管は文部省の関係にあると思いますが、割当の方はまだ第一回の分をおそらく割当てしておるわけなのでありますけれども、一應全然問題のない條件のときに割当てしたのでありますが、その後の措置につきましてはさらに研究してみたいと思つております。
#8
○松本(七)委員 問題のない條件のときというのはどういうときですか。
#9
○羽場説明員 飜訳権の問題は実は私の方で取扱つておりませんので、申請のあつた書籍につきましては、一應内容判断という立場から割当をしておるわけであります。
#10
○松本(七)委員 そうすると飜訳権の調査なしにどんどん割当てられるのですか。
#11
○羽場説明員 それはただいまの出版協会がその飜訳権の問題を取扱つておりますので、一應割当をきめておりましてもその飜訳権の問題についてはつきりするまでは、いわゆる切符を発行しないという状況にあるわけであります。
#12
○松本(七)委員 そうするとあとから飜訳権の問題が出たときに、もし正式の飜訳権がないというときには、その割当のあつたものはどうなりますか。
#13
○羽場説明員 その割当は取消すということになります。
#14
○伊藤(恭)委員 この出版用紙割当につきましては、從來初版のものは非常にむずかしいような状況にあるようでありますが、しかしながら現在の社会の民主化をはかるためには、実際それを研究して、十分なる力を持つておる人がこれを発行したいというようなときには、これは当然許可すべきであると私は思う。ところが以前からのものはこれをほとんど黙認的に許可せられるけれども、初版のものは非常にむずかしいということで、社会一般では非常に困つておる点が多いのであります。そういう点については――もつともこれはその筋の関係もあるでありましようが、これはやはり政府としては十分にこれを檢討して、初版であろうが、何であろうが、許可すべきものは当然取入れてやつていただくようにしなければ、ほんとうの民主化ができないということを考えますが、その点の御意見をひとつ伺いたい。
#15
○森國務大臣 ただいまの御意見まことに同感でありますが、御承知のこの新聞用紙、雜誌用紙はある数量を商工省の方から割当てられておりまして、これを増減することはその出版物の増減に比例しないのである。たとえば新聞におきましても、この十一月八日に購読者の自由意思によつて新聞の轉読をいたしました。そしてその増減によつて現在割当てておる。甲の新聞から乙の新聞、乙の新聞から甲の新聞という移動を認めたのでありまして、あるいは一紙ふえれば一紙が減るというような條件に、新聞用紙の用紙というものも一定のわくにはめられておるのであります。雜誌におきましても、すでに今日発刊されておる雜誌等においては、それだけのわくをはめられておりますので、新しき雜誌を発行する、書籍を発行するという場合には、過去の実績からそれだけのものを生み出して行かなければならぬ。もとより日刊雜誌とか、週刊雜誌というものと性質が違いまして、市販のものは初版、重版になりましても、その部数がある程度ふえるものもありますし、減るものもありますから、新聞のようには考えられませんけれども、できるだけ市販のいいものはこれを出して行きたい。これは一箇月ごとに割当原案をきめて委員会でやつておるのでありますが、そういうふうに商工省の方から雜誌にはこれだけ、新聞にはこれだけとはつきりしたわくをきめて、與えられておる範囲において仕事をするのでありますから、出したいと思う雜誌も思うように出せないこともあるわけであります。しかし予定しております重版のものがそう毎月々々出て來るものではありませんから、これを一四半期、一期ごとに雜誌、書籍等をにらみ合せて、出版部において審議してきめるわけであります。しかし今のようないい雜誌とか書籍が今後どんどん出て行くのでありますから、そういうものは審議会、專門学識経驗の人たちとよく相談されまして、特に出すべきものだというものに対しては融通性をもつて初版を認めて行くというように、委員会では努力しておるわけであります。今申しましたように、新聞は一紙がふえれば一紙が減るというきゆうくつなことになつておるわけであります。御参考までに御承知くださることかと存じますが、新聞は運輸上非常に損紙がありまして、一割を新聞社に損紙として認めておるわけであります。この損紙が新聞社の自由な出版の方へまわつたり、あるいは出版協会の関係のない原料として利用されたりする場合もあるというように、正当のわくで出たものが出版のわく以外に発行される場合もあるわけであります。さよう御承知願いたいと思います。
#16
○松本(七)委員 先だつての新聞の報道では、婦人雜誌の三社、主婦と生活、スタイル、ハンド・ブツク等が用紙割当の三十倍から五十倍の発行をやつておるということで、送檢されておるということですが、こういうものについてどう処置されておるのですか。
#17
○森國務大臣 書籍出版の方、雜誌の場合においては一定のわくがはめられてあるのでありますが、御承知の通りザラといいますか、仙花紙が統制されておりませんために、仙花紙が利用されているのが多いのであります。今日新年発刊の婦人雜誌などを見ましても、正規の紙でなしに仙花紙が使われているのであります。そういうために仙花紙も統制しなければいけないということを、関係方面からも注意を受けているのでありますが、仙花紙の統制をやつていいか惡いかということは、非常に一般出版界に影響することが多いので、今愼重に考えているわけであります。しかしあまり目に余るような仙花紙がそういう方面に利用されるということになりまして、先般ああいうふうな処置に出ざるを得なかつたということを、御承知を願いたいと存じます。
#18
○圓谷委員長 質疑を打切りまして討論に入りたいと思いますが、いかがですか。
#19
○圓谷委員長 異議なしと認めます。よつて質疑はこれにて終了いたしました。これより討論に入ります。
#20
○水谷(昇)委員 ただいま大臣初め当局の御説明を伺いまして了承いたしましたから、原案に賛成いたします。
#21
○伊藤(恭)委員 先刻ちよつと質問しましたように、政府としては今後最も適切なる方法を講じていただくということを前提といたしまして、私は無修正で賛成いたします。
#22
○圓谷委員長 これにて討論を終結いたしました。
 これより採決をいたします。新聞出版用紙割当事務廳設置法附則第三項の規定に基く同法の継続に対する國会の確認を求めるの件を議題といたします。本件に確認を與えることに賛成の諸君の御起立を願います。
#23
○圓谷委員長 起立総員、よつて本件は確認を與うべきものと議決いたしました。
 これにて暫時休憩いたします。
    午後零時十八分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後一時四十九分開議
#24
○圓谷委員長 これより再開いたします。
 各派共同提案による教育公務員特例法案の修正案が提出されております。まず修正案の説明を求めます。松本七郎委員。
#25
○松本(七)委員 私より各派共同提案にかかる修正案を御説明申し上げます。まず修正案文を朗読いたします。
  教育公務員特例法案の一部を次のように修正する。
 第十四條第二項中「俸給の全額を支給することができる。」を「給與の全額を支給する。」に改める。
 第三十三條中「國立学校の学長、校長、教員又は部局長の例に準じ、」を削る。
以上の二点でございます。最初の十四條の点でございますが、これは特に教員が結核性疾患のために休職する場合に、原案では「休職の期間中、俸給の全額を支給することができる。」となつておりましたのを、「俸給」を「給與」に改め、「支給することができる。」を「支給する。」に改めたわけであります。元來結核性疾患は消費病と呼ばれるほど非常に費用がかかるのでありますし、一般の世論も、また当委員会においても、休職期間も二年では短い、三年にすべきだという意見さえ出ておりました。ところがこれが諸般の事情から二年にとどめなければならないようになりましたので、せめてその間の療養費收入をできるだけ多く確保する必要があることは当然であります。しかし「俸給」ということになりますと、政府の答弁にもありましたように、基本給だけということに限定されますので、それに手当その他を含めたものにすべきである。その必要から「俸給」を「給與」と改め、かつ「支給することができる」というふうになりますと弱いというので、はつきり「支給する」ということを明記いたしたわけであります。
 次に第三十三條でございますが、これは、公立学校の教員というものは、教員という身分と同時に地方公務員の身分をあわせ持つことになりますが、地方公共團体の職員に関して規定する法案が制定されるまでは、政令で國立学校の学長、校長、教員または部局長の例に準じて特別の定めをするということに原案ではなつております。大体本法の第三條によりますと、「公立学校の学長、校長、教員及び部局長並びに教育長及び專門的教育職員は地方公務員としての身分を有する。」と明記してございまして、公立学校の教職員は明らかに地方公務員でございます。從いまして地方公務員法が制定されるまでの間、特別の定めをする必要がある場合には、当然一般の地方公務員が現在適用せられている規定によるべきであると思うのであります。それにもかかわらずこういうふうに公立学校の校長云々という文句がございますと、せつかく今までの既得権を侵害されるおそれも多分にありますし、今後政令が発せられる場合に、この法律案で特に教員というものを重要視して、いろいろな特例を認めたその趣旨に反する危險が多分にありますので、これを除いて修正したわけであります。この点は、今後政令が発せられる場合には、一般の地方公務員は現在適用せられている規定によるべきであるという意思を、ここにはつきり表示したものであるということを特につけ加えて申し上げておきたいと思います。
 以上の趣旨によつて修正案ができましたので、何とぞ全員の御賛成を願いたいと思います。
#26
○圓谷委員長 これより教育公務員特例法案並びに各派共同提案による修正案を一括して議題といたします。討論に入ります。討論は通告順によつて行います。水谷昇君。
#27
○水谷(昇)委員 ただいま上程中の教育公務員特例法案に対する修正案並びにこれを除く原案に、民主自由党を代表いたしまして賛成の意を表明いたします。
 本法案は、教員すなわち教育公務員の職務と責任は、他の官公吏と同一に扱うことが適当ではなく、かつ不十分であるという特殊な理由に基いて優遇する特例法でありまして、すでに第二國会に教育公務員の任免等に関する法律案として提案されたものでありますが、國会の会期の関係上成立を見るに至らなかつたのであります。しかるところ國会においては閉会中も審議を続行することに決議せられたほど、同案の重要性を認められた次第であります。從つて第三回國会に継続案件となつたのでありますが、第三國会において同案に対する一般法たる國家公務員法の改正が行われましたので、これに伴つて同案にも所要の修正を施す必要が生じたことと、また一方教育委員会法が去る七月十五日公布施行され、十一月一日から都道府縣及び五大市その他若干の市町村において、教育委員会が成立いたしましたこととにより、官吏の身分を有しておりまする教員の身分を地方公務員に切りかえることと、教員の人事に対する教育委員会の関係を具体的に明示する必要のため、教育公務員の任免等に関する法律案は撤回され、さらに檢討を重ねて、あらためて教育公務員特例法案として提出せられたものであります。そこで本案を愼重審査いたしましたところ、その特色とするところは、一、採用と昇任は官公吏のような競爭試驗をやめてすべて選考主義によること、一、大学の人事については、採用、昇任、退職、懲戒等一切の身分関係は大学の管理機関にまかせ、学問の自由と自治を尊重すること、一、教育公務員はその職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならないこと、これがために研修に必要な施設や計画を行うこと、一、休職については、大学は大学管理機関で独自に行い、高等学校以下は、結核性疾患のため長期の休養を要する場合の休職においては満二年とし、その間休職者に給與の全額を支給すること――これは原案の第十四條の第二項では「俸給の全額を支給することができる」とあつたのを、「俸給」を「給與」とし、「支給することができる」を「支給する」と修正したので、原案よりも修正案の方が優遇の程度が高まり、かつ確実になつたわけでありますから、この修正案に賛成する次第であります。次には、懲戒については、國家公務員法では、懲戒を受けて不服の場合にあとから説明書の交付を請求することができることになつているが、大学の場合は、懲戒を受ける前に懲戒審査を受け、さらに不服の場合にはそのあとでも請求ができるというように、二重の道が開かれておること、一、第二十一條において校長、教員等が本務以外に教育に関する他の職務に從事することができる規定を設けてあることなのでありまして、以上はいずれも一般公務員に対する特例を規定したもので、教育公務員の特殊性にかんがみてまことに適切妥当であると存じます。この意味合において、第十四條、第三十三條の修正案並びにこれを除いた原案に賛意を表明いたします。
#28
○圓谷委員長 田淵君。
#29
○田淵委員 社会党を代表いたしまして討論いたします。米國教育使節團の報告書、並びに連合國の日本の教育制度に対する管理政策におきまして、教育の絶対的自由ということと、教育の自由の裏づけをなすところの教育者の自由ということが、保障されなければならないというふうに申されておるのであります。この精神と並行的にわれわれは教育基本法を制定したのでありますが、この教育基本法に盛られておりますところの精神も、また教育の自由というところに力点を置いておると思うのであります。從つて教育の自由ということはどこまでも保障されなければなりませんとともに、教育者の自由が保証されなければならない。教育者の自由が保障されるということは、とりもなおさず教育者の社会的、政治的活動の自由もまた保障されなければならぬということになることは、明確だと思うのであります。これは一つは教育公務員なるものが、地方公務員をも含めますところの國家公務員、一般公務員とその性格において相違する点を持つておるところからも、規定されるべきものだと思うのであります。申すまでもなく國家公務員は國家本來の機能たる立法、特に行政、司法の機能を担当する人々であります。言いかえれば國家機能の手段そのものであります。從つて機能上法律の忠実な実施と政府の仕事の能率的な運営を、最高の職務とするものであります。公共に対する義務を負い、政府の直接管理に從わなければならないのであります。これに引きかえまして教育公務員は國家の機能を担当し、またはこれに協力する公民を育成養護するところの、すなわち養い育てるところの人々なのであります。そこで機能上國民的、公民的、人間的能力の育成養護をその職務とするものでありまして、常に自主的活動に任ずべきものでなければならぬと思うのであります。ここに一般公務員と教育公務員との相違の核心がある、性格の相違点があると思うのであります。こういう立場、観点からわれわれは國家公務員、地方公務員をも含めたところの國家公務員と教育公務員との扱いに、異なる規定がなくてはならない。そこで申すならば教育公務員法とも称すべきものを、單独立法する必要があるということを強く主張したいのであります。今回提出されましたところのこの教育公務員特例法案は、教員の任免、服務等に関するところの身分上の規定、分限上の規定というものを主としているものでありまして、ただいま申したところの教育公務員法と称すべきものではないと思うのであります。こういうわれわれの考え方からいたしますならば、將來政府においては教育公務員法案なるものを用意されることが必要であり、また政府においてそれが不可能であるならば、國会において、当委員会においてその立案をなすべき要があるのではないかと考えるのであります。けれどもこの教育公務員特例法案は、予想されます教育公務員法案との関係におきましては、そこに齟齬するものが一般的には見られないのでありまして、この法案の限りにおいては、われわれはこれが審議に協力しなければならないという立場をとつたのであります。但し條章の各部分にあたりましてはなお修正する点が認められまして、先ほど修正案の説明において明らかにされましたところは、修正の要があるというふうに認めたのでありますが、諸般の事情からその修正原案なるものが、全般的には許されなかつたという関係から、あげられました第十四條及び第三十三條の修正に賛成したいと思うのであります。第十四條は一言にして申しますならば、教員生活を積極的に保障しようとする規定でありますので、まことにけつこうだと思うのであります。第三十三條は、これは教育活動を、つづめて申せば保障するところの強い規定のように考えるのであります。なおこれだけをもつては足りませんけれども、この限りにおいては賛意を表したいと思うのであります。從つて修正案に賛成いたしますとともに、修正案を除くところの原案に社会党としては賛成いたしたいと思うのであります。討論を終ります。
#30
○圓谷委員長 伊藤君。
#31
○伊藤(恭)委員 私は民主党を代表いたしまして各派共同提案の修正案に賛意を表するものであります。但し私の信念の一端を述べて、將來一層の適正をはかりたいということを念願しております。教育民主化のためにすでに都道府縣の教育委員会が出発し、さらに近く地方教育委員会も全面的に発足することになつておるので、公立学校以外の教職員は、國家國務員とは異なる機構となつておるようにわれわれには考えられます。もちろん教職員も社会公共の奉仕者でありますから、十分にその義務と責任を果さなければならないことは当然でありますが、從來の官公吏に準ずるような機構とは大いに差があります。実は私たちは昨年から教員身分法というような案を考慮して、教育民主化のために最も適切なる措置を研究して來たのでありますが、この教育公務員特例法案は、ほとんど國家公務員法案に準ずるようなものに感じられますので、相当の修正を企図して來たのでありますが、その筋の強い意見もあり、わずかに第十四條の第二項と第三十三條の中のある一点の修正のみでは、われわれとしてはまだあきたらない点がたくさんあり、なお修正を加えたい点がたくさんあります。すなわち今後必要に應じて随時修正することを條件といたしまして、今回はひとまずこの各派共同提案の修正案を採決するということに、われわれ賛意を表するものでありますが、われわれの持つ信念の一端を申し述べまして、今後ともこれを適正に、必要に應じて修正することを保留していただきたいということを述べて、この案に賛成する次第であります。
#32
○圓谷委員長 大島君。
#33
○大島(多)委員 私は國民協同党を代表いたしまして、ただいま上程中の教育公務員特例法案の政府原案、並びに各派共同提案の修正案に、若干の意見を述べまして賛成するものであります。
 さきに成立いたしました國家公務員法の審議の際、教育に関して特に重大な関心を有するわが党といたしましては、教育の本質よりいたしまして、教育職員を一律に同法案をもつて律することの不適当なゆえんを極力主張し、少くともこれを特別職のわくに入れ、教育職員に対しては別に教育公務員法として單独立法の必要性を説いたのでありますが、不幸にしてわれわれの主張はいれられなかつたのであります。その結果教職員は全面的に國家公務員法の適用を受けるようなことになります。さような不都合を幾分かでも緩和し、教職員のために幾分かでも有利にするために、文部省当局がかねて用意をし、準備を進めて参りましたのが本法案なのでありますが、本法案を檢討いたしますと、われわれの平素の主張が幾分盛られておるという程度でありまして、われわれの主張とまだ相当の距離を発見することは、はなはだ遺憾に思う次第であります。たとえば先ほど田淵委員からお話がありましたような点、それから研修に関する章を設けながら、これに十分なる経費の裏づけをなさなかつた点とか、あるいは結核性疾患にかかり、長期の休養を必要とする場合において、われわれは満三年の休職の期間を主張したのに満二年となつた点などは、ぜひとも修正を必要とすると思うのでありますが、十分なる審議の期間なきため、不満足なる結果に終つたことをはなはだ残念に思うものであります。しかしわれわれが最初から主張し、修正のため必死の努力を続けて來た第三十三條の修正が各位の御賛同を得まして、幸いに修正の目的が達せられましたことは、せめてもの慰さめであるのであります。なお幾多申し上げたい意見もありますけれども、他は省略いたしまして、次期國会におきまして、本法案が有する不備の点は修正さるべきであり、かつわが党はその目的に向つて不断の努力を継続する意思のあることをここに表明いたしまして、本法案並びに修正案に賛成する次第であります。
#34
○圓谷委員長 久保君。
#35
○久保委員 新自由党は本法案の修正案と修正案を除く政府原案に賛成するものであります。國家公務員法ができて、教育公務員が國家公務員一本で律せられるということの不都合さは、十分斯界で認められておつたのであります。今回この教育公務員の特殊性に基いてこの法案が上程され、ここに修正案並びに原案について、各党賛成の意見が述べられまして、まさに可決されようとしておりますことを私は非常に喜ぶものであります。
 思うにこの法案というのは、日本の教育というものが、新しくわれわれが今生み出そうとする日本の再建に、最も根本的な役割をする。教育なくしては日本の再建はできないのだという観点に、この法案が立つておるということ、そしてその教育をなし遂げるところのものは、かかつて教育公務員にあるという立場から、その教育公務員の特殊の事情、それを考えてこの教育公務員の任免、あるいはその他のことで教育公務員の立場を庇護し、そして別のこうした規定を設けようとしたのでありまして、これはまことにけつこうなことだと思うのであります。ただこの機会に二、三の希望を政府当局に申し上げておきたいと思うのであります。本法のいずれは解説というものがつくられると思うのであります。関係者に対しては政府当局において講習、傳達等のこともまた行われると思うのでありますが、そうした機会には、まず第十三條のこの規定、すなわち教育長が本法では選考権者という言葉を使つてある。われわれの考え方からすれば、これは教育委員会法の四十九條と矛盾するような感じがするのであります。選考権というものは人事権の一部をなすものであり、從つて人事権を持つ教育委員会が選考権者でなければならない。あえて選考権者という言葉を使うならば、その選考権者は教育委員会でなければならないと私は思うのであります。しかしながらこれは政府当局の説明なり、あるいは関係方面の解釈におきましては、教育長の選考権というのは選考事務という程度のものであり、それは本案の第十五條で、任命権がはつきり教育委員会にあるということで、今私が申しました選考事務というような意味に全然とれると思うのでありまして、そういう点を間違いなく関係者に傳達され、解説されんことを希望するのであります。
 その次は、本法と関連して大学法の成案を急がれたいということであります。本法ではその第二十五條で、大学管理機関という言葉を読みかえることを規定してあるのでありますけれども、これでは、早く大学法というものができて、そうしてこれがはつきりしなければ、國家公務員たる教育公務員の人事問題は、はつきりしないと思うからであります。
 第三点は、これも前の方が申されたことでありますけれども、逐條審議のときにも申しました通り、教育者がほんとうに教育を行うためには、研修ということが絶対に必要である。研修ということがない教育者は、教育力というものがない。――教育力と私が申しますのは、教授力ということではありません。教授力をも含めたもつと廣い意味の教育力であります。この教育力というものは、研修のない人にはできないことであり、最も大事なことであります。その研修の規定があることは、私は非常にけつこうなことだと思うのでありますけれども、これもその費用の規定がない。費用の規定がないということは、こういうことについて非常に認識の足らないわが日本の今日の学界では、えてしてこういうものを無用なものだと考える。まだ費用の足らないことからして、教育者にせつかくの研修の機会が與えられても、その教育者を経済的に非常に苦しめる結果になつておる。過去においてそうであつたばかりでなく、現在もまた同樣の状態である。私はこれを考えるときに、実にこの点を心配するのであります。しかしながら、文部当局におきましてもこの点はよく認識されて、これについてのいろいろな計画や調査等も進められておるということを聞いたのであり、関係方面でも、何もこのことについては理解がないことではないのでありますから、ぜひこの点の規定をこの法案にはつきりするごとく、準備を進められたいと私は希望するものであります。
 第四点は、さつき申し上げました通り、私はこの法案の成立を非常に喜ぶのでありますので、從つてこの法案が一日も早く施行されることを希望するのであります。その一日も早くこの法案が施行され、これが効力を発するためには、これに関する政令が必要である。從つてその政令をどうか一日でも早く出していただきたい。そうしてこの法案の効果が早からんことを希望するものであります。以上四つの希望を申し上げまして、本法の修正案並びに政府原案に賛成するものであります。
#36
○圓谷委員長 これにて討論は終りました。
 採決いたします。採決の順序を申し上げます。まず各派の共同提案による修正案、次に原案を採決いたします。まず各派共同提案による修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
#37
○圓谷委員長 起立総員。よつて本修正案は可決いたしました。
 次に修正の部分を除く原案について採決いたします。修正の部分を除く原案に賛成の諸君の御起立を願います。
#38
○圓谷委員長 起立総員。よつて本案は修正議決されました。
#39
○下條國務大臣 ただいま本委員会において、内閣提出の教育公務員特例法案を修正議決せられまして、まことにありがたく存ずる次第であります。実はたいへん遅れて提案いたしまして、審議期間もはなはだ短いので、御審議の御都合の惡いことを考えますと、まことい申訳ないように思うのであります。にもかかわらず、きわめて迅速に御審議を煩わしまして、遂に修正議決を得ましたことは、当局としてまことに感謝にたえない次第であります。御承知の通りに、文部当局といたしましてはあくまで教員の味方でありまして、この法案もまたその線に沿いました教員擁護の規定であるのであります。今後御趣旨を体しまして、また久保委員がお述べになりました四つの御希望等を十分尊重いたしまして、この案が両院を通過いたしましたあかつきには、その運営につきましては遺憾なきを期したいと思つております。ここにあらためてお礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#40
○圓谷委員長 お諮りいたします。請願日程が残つておりますが、いかがいたしますか。
#41
○水谷(昇)委員 引続き審議を進めていただきたい。
#42
○圓谷委員長 水谷委員の動議に御賛成ですか。
#43
○圓谷委員長 それではそのようにすることにいたします。
 暫時休憩いたします。
    午後二時三十分休憩
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    午後二時四十二分開議
#44
○圓谷委員長 再開いたします。請願に関する審査をいたします。
 日程第一、教育予算増額に関する請願外十六件、文質表番号第二七号。
#45
○水谷(昇)委員 教育予算増額に関する請願の要旨を、紹介議員にかわつて御説明申し上げます。
 戰爭による荒廃から文化社会の建設へと立ち上る國民の意欲の中核となるべき教育の問題は、その重要性に比してあまりにも僅少な教育予算のために置き去りにされている。六・三制の教育制度も教育施設の貧困、教育関係者の生活の窮乏、また内容の伴わない空虚な現実の姿であります。教育委員会法の制定によつて、教育は名実ともに國民のものとなつたのでありますが、教育財政の貧困はその前途に暗い影を與えておる。國家再建の基盤は教育にあることを信ずる。私どもは義務教育費全額國庫負担はもちろん、教育の重大性にかんがみ教育費の大幅増額をここに強く要望するものであります。どうぞよろしく御審議の上御採択あらんことをお願いいたします。
#46
○圓谷委員長 政府の説明を求めます。
#47
○剱木政府委員 教育予算の増額については、新学制の実施とともにこれまで努力して参つたのでございますが、はなはだ遺憾ながら國家の財政その他の都合によりまして、十分な計上を見なかつたのは残念に考える次第であります。六・三制の予算についても、ただいま人員の自然増加の分についての建築は、二十三年度で一應数字的には終つたのでございますが、非常にたくさんの二部制及び仮教室その他寒冷地地方における設備等、まだ完成すべきものが非常に残つておりますので、この予算の増額については大いに努力したいと思います。
 なお教育委員会法ができて教育が教育委員会の手に移つたのでございますが、その予算の獲得の面についても、できるだけ早い機会に教育財政を確立する意味において、学校財政法というふうなものを制定して御協賛を得たいと思つて、ただいま研究を進めている次第でございます。ただ御請願の中にありました義務教育費全額國庫負担については、國家財政と地方財政とをにらみ合せてこの問題を決定すべきものと考えますので、義務教育費を全額國庫負担にするということは、現在のところでは断言することはできないと思います。
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#48
○圓谷委員長 日程第二、山形市立科学研究所における超短波研究費國庫補助の請願、文書表番号第五三号。
#49
○松本(七)委員 紹介議員にかわりまして請願の趣旨を御説明申し上げます。東北大学の電氣通信研究所超短波工業研究部門が、戰時中山形縣の大石田町に疎開しまして研究を続行して参りましたが、研究の成果はきわめて良好なることを山形市は聞きまして、山形縣地方産業の一段の振興をはかる目的から、山形市小白川町九一五番地所在の市有建造物、戰時中は機械工養成所でありましたが、これを無償提供して、東北大学への復帰を中止して、昨年十一月山形市へ誘致実現いたしました。爾來市の補助金、有志の寄付等によりまして必要経費の一部に充てて、着々研究の実をあげまして、養蚕、釀造方面においてはすでに実用化の域に達しまして、目下農業、工業等の各分野にも実地應用を試みておる現状であります。農業縣、養蚕縣として、また工業振興策として今後高度の科学技術を攝取し、質、量両面の向上をはかりまして、地方経済の振興を期し、もつて日本再建に資することは山形市の責務でありまして、今般機構を改善し、設備の充実を期しまして、研究の実地應用については積極的運営の必要を痛感しまして、あらためて山形市立科学研究所を設置して、目的達成の決意を新たにした次第であります。しかるところ以上の目的達成に要する研究費、研究設備費、必要資材整備費等については相当臣額を必要といたしまして、遺憾ながら山形市財政よりこれをまかなうことは不可能であります。しかもその責任の重大なるのに感じて、目的達成のために深慮いたしておるのであります。さような事情でありますから、この経済発展のみにとどまらず、日本経済振興のために、諸般の事情を御賢察の上何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。
#50
○茅政府委員 請願の御趣旨に沿いますためには、科学研究費交付金をこれに充てるのが適当かと考えるのであります。この科学研究費交付金と申しますのは、昭和二十三年度におきまして一億四千万円が計上されておりまして、これを日本全國におきまするところの基礎研究の方面に配分しておるのであります。その配分の審査は日本学術会議に委託しておるのでありまして、ただいま御請願になりました山形市立科学研究所におきますところの研究項目につきまして、書類を御提出になりますれば、学術研究会議においてこれを受けまして、正式の審査を経て交付金を決定することができるかと考えます。ただここに一言つけ加えたいと思いますのは、この一億四千万円は相当多額ではありますが、これが日本全國の基礎研究に使われておりますために、一項目当りの平均はわずかに一万八千円にとどまつておるのでございます。そういうような関係から御請願の趣旨に十分沿いかねるのではないかと思います。請願の趣旨を考えてみますと、公立の研究所を補助するという目標であるようでございますが、そういう経費は目下のところ計上してございませんので、自然科学研究費交付金によるのが目下のところは妥当と考えられます。
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#51
○圓谷委員長 日程第三、教育金融金庫設置の請願。
#52
○水谷(昇)委員 教育用品の生産配給のための教育金融金庫設置の請願について、その趣旨を説明いたします。
 教育振興の具体的基盤として教育用品の生産、配給等万般の向上をはかるため、教育金融金庫を創設していただきたいと存ずるのであります。請願の理由は文化國家建設の民族的大目標達成のため、その根本として教育の振興が叫ばれ、各種の困難を排除して六・三・三・四の新学制が実施され、これの裏づけとして、教育用品各種の生産並びに配給の向上がはかられております。しかして全國一千八百万学徒の年間需要量は、生産原價において五百億の巨額に上つており、國家産業の重要なる一部門を占めております。しかしながらこれら厖大なる金額と数千種にわたる教育用品の生産も理科学機器、教育ノート等のわずかな一部を除いて、ほとんど大部分は融資準則の丙順位におかれ、何ら資金的に特殊援助の道が講じられていない現状であり、これがため中小企業にある教育用品の生産配給等は、極度の困難に陷り、必要教育用品はまつたく生産減少のやむなきに至り、ためにせつかくの新教育制度も物の面よりして運営上幾多の困難に直面する実情にあり、あるいは学童、学生の勉学上の主食ともいうべき教育用品に高價なやみ價格を生じ、経済面よりして教育の機会均等も危ぶまれる結果を生じつつあるのであります。これら諸種の障害もその根本は教育用品の生産配給に、何ら金融的措置の講じられていないためであり、最近個々の具体的折衝によつて金融的援助を受けた部面もわずかにありますが、これまつたく九牛の一毛にもしかず、しかも個々の具体的折衝ということは、実際上の不便のため実質的に役立つことが少い実情であります。ここにおいてこの際ぜひとも國家の強力なる施策によつて教育金融金庫を設置して、教育用品の生産、配給等万般の向上をはかつていただきたくお願い申し上げる次第であります。右の次第でありますから、何とぞ請願の趣旨を御採択の上、しかるべく実現方おとりはからいくださるよう、重ねてお願い申し上げます。
#53
○剱木政府委員 この件につきまして、文部省として考えを申し上げます。請願の御趣旨にあります通りに、現代の教育を実施する上につきまして、教育用品のきわめて重要なる役割を占めておるということは、申すまでもないことでございます。非常にこの点に困難が終戰後存在しておるのでございますが、この需給関係につきましては、経済安定本部及び商工省等の当局と密接なる連繋をもちまして、逐次需給関係の改善に向つて努力をいたしておるような次第でございます。なお教育用品の確保向上のために、今御請願に述べられましたように、金融関係の非常に重要なことは、申すまでもないのでありまして、その円滑化に対しましても金融優先順位表の改訂でございますとか、配給手形制度の確立等、諸般の具体的な方策をとりまして、これが実現方にただいま努力をいたしておるのでございます。しかしただいまのところでは、なお十分なる対策を講じておるとは残念ながら申されないのでありまして、御請願にございました教育金融金庫というようなものを設けることは、その方途といたしましてはきわめて重要な、かつごもつともな御請願の点と考えますので、この点につきましては、十分にその研究をいたしてみるつもりでございます。
    ―――――――――――――
#54
○圓谷委員長 日程第四、手藝科の独立並びに手藝教員檢定制度を復活する請願。
#55
○伊藤(恭)委員 請願の趣旨を簡單に申し上げます。現代日本の産業、経済、貿易、風潮、生活各般の実情にかんがみ、日本独特の手藝を振興させることは焦眉の急策であり、その基調をなすものとして、学校における手藝科の独立と手藝教育檢定制度の復活を、急速に実施していただきたいというのが請願の趣旨であります。その理由といたしましては、戰後疲弊したわが國の國力を回復するためには、貿易國策を強力に推進することが肝要であります。しかして物資の缺乏せる現状においては、わが國独特の技術と文化を生かすことであり、これまた世界の平和と文化に貢献するゆえんでもあります。國内的には荒廃した社会民心を美化し、困難なる経済生活を営む國民に家庭授産の道を開き、あわせて文化國家建設の民族的大目標達成の見地よりして、日本美術の再建は今や緊急の國策であります。これら貿易、産業、生活等の根本をつちかうものの一つは、学校における手藝教育であり、同時に優秀なる手藝教員の養成であり、このためには学校における手藝科の独立と手藝教員檢定制度の復活等が、その根本となつて参りますが、日本の從前の教育史を通じて継続して実施せられて來たところのものが、戰時中廃止せられて、そのままになつておりますから、以上の理由に基いて、ここに学校における手藝科の独立と手藝教員檢定制度との復活を、即時実施していただきたくお願いする次第であります。以上の理由によりまして、どうぞ請願の趣旨を御採択いただきますようにお願いいたします。
#56
○剱木政府委員 請願の御趣旨にあります手藝教育は、日本の独特の技術と文化を向上させます上において重要であり、かつ日本の現下の貿易という面から申しましても、また國内生活の文化的な建設という面から申しましても、非常に重要であることはまつたく御同感でございます。これが新しい教育の中に今まで入つていなかつたのでございますが、文部省といたしましてもその重要性にかんがみまして、新制高等学校の教科課程の中に、來年度すなわち二十四年度から一教科といたしましてこれを加えることに予定をいたしまして、ただいまその準備をいたしておるのでございます。なお手藝科の教員の養成につきましては、近く教員免許法案を研究してつくりつつあるというような現況でございまして、この免許法の立案にあたりましては、この点も十分考慮いたしまして考えたいと存じます。
#57
○圓谷委員長 これより採決を行います。
#58
○松本(七)委員 動議を提出いたします。すなわち日程第四の請願は採択の上、内閣に送付するのを適当と認めますので、さようとりはからわれんことを希望いたします。なお残余の請願については、その決定を延期せられんことを希望いたします。
#59
○圓谷委員長 ただいまの松本君の動議に御異議ありまんか。
#60
○圓谷委員長 御異議なしと認めます。それではさようとりはからいをいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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