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1948/12/07 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 水産委員会 第2号
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1948/12/07 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 水産委員会 第2号

#1
第004回国会 水産委員会 第2号
昭和二十三年十二月七日(火曜日)
    午前十一時零分開議
 出席委員
   委員長 西村 久之君
   理事 冨永格五郎君 理事 馬越  晃君
      川村善八郎君    關内 正一君
      仲内 憲治君    夏堀源三郎君
      野上 健次君    椎熊 三郎君
      三好 竹勇君    坪井 亀藏君
      鈴木 善幸君    宇都宮則綱君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 周東 英雄君
 出席政府委員
        水産廳長官   飯山 太平君
 委員外の出席者
        水産廳次長   藤田  巖君
        專  門  員 小安 正三君
    ―――――――――――――
十一月六日
 漁船保險対策に関する請願(馬越晃君紹介)(
 第八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國政調査承認要求に関する件
 漁業法制定に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○西村委員長 これより会議を開きます。
 漁業法並びに漁業法施行法制定に関して政府より説明を聽取いたしたいと存じます。水産廳次長藤田君。
#3
○藤田説明員 この漁業法及び漁業法施行法は非常に廣汎な規則でございますので、その大体の骨子の御説明をいたしました方がかえつて御理解いただけるかと思つておりますので、漁業制度改革に関する件といたしまして、この漁業法の改正の大体の構想を書いてありますので、これによつて御説明をいたしたいと思います。一應朗読をいたします。
   漁業制度改革に関する件
  漁業生産力を発展させ、漁業の民主化を図ることは、日本の民主化並びに経済再建の重要な一環であるので、行き詰つた現行漁場関係の整理を前提として新たに漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業從事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面の総合的高度利用を図るため、現行漁業團体制度の改革と相い俟つて、左記構想により現行漁業制度を改革する。
 一、沿岸漁場の全面的整理
  1 新法施行の際現に存する漁業権は、地区別又は漁業権の種類別に、新法施行後二年以内において政令の定める期日に一律に消滅させ、同時に計画的に新漁業権の免許を行う。
  2 右の漁場整理のため消滅する漁業権及びこれを目的とする入漁権、賃借権並びに使用貸借による借主の権利を有する者に対して、政府は補償金を交付する。
  3 2の漁業権について先取特権又は抵当権を有する者は、補償金に対してその権利を行うことができる。
  4 補償金の交付は、都道府縣ごとに設置される漁業権補償委員会の定める補償計画に從つて行われる。
  5 補償金額は、「別表一」に掲げる算式による額の範囲内においてこれを定める。
  6 補償金は、三十年以内に償還すべき政府発行の証券をもつて交付する。
  7 補償の財源は、政府の徴收する漁業権の免許料、漁業の許可料及び内水面における料金に求める。
 二、漁業権及び入漁権(現行制度との主たる異同)
  1 漁業権の種類及び存続期間
   a 定置漁業権
    五年 小型定置漁業は許可漁業とする。
   b 区画漁業権
    五年 現行通り。
   c 根付漁業権
    十年 現行專用漁業権より魚類を除く。「慣行」「地先」の区別を廃止する。
    〔註〕1 現行の「特別漁業権」のうち、第三種から第八種までの漁業は許可漁業とし、その他は自由漁業とする。
    〔註〕
TT 更新制度は廃止する。但し、区画漁業権のみは、存続期間の延長を認める。
  2 漁業権は物権とみなし、土地に関する規定を準用する。
  3 漁業権は貸し付けることができない。
  4 漁業権の讓渡性及び担保性
   a 区画漁業権以外の漁業権は、これを移轉し、又は差し押えることができない。但し、定置漁業権については、抵当権の実行に因る場合はこの限でない。
   b 定置漁業権及び区画漁業権は抵当権の目的となしうるが、競落人は免許の適格性を有する者に限定される。
   c 区画漁業権は移轉することができるが、相手方は免許の適格性を有する者に限定される。
  5 入漁権は物権とみなし、すべて設定行為によらしめることとし、「慣行」と「設定」の区別を廃止する。
  6 漁業権の免許は、都道府縣知事が漁業調整委員会の意見をきいて法定の適格性(「別紙一」)と優先順位(「別紙二」)に基いてこれを行う。
 三、指定遠洋漁業
  1 大型捕鯨業、以西トロール漁業、以西機船底びき網漁業又は遠洋かつおまぐろ漁業(以下「指定遠洋漁業」と総称する。)については、「許可の定数」を定め、適格性の規定に反しない限り、船舶の使用権に、実質上許可が伴うように措置する。
  2 法定された許可の「適格性」及び「許可の不当な集中」との関連において新法施行の際現に指定遠洋漁業の内容たる漁業の許可を受けている者について新法施行後一定期間内に再審査を行う。
 四、漁業調整委員会及び中央漁業調整審査会
  1 漁場の総合的高度利用及び漁業に関する紛爭の調整を図る民主的な機構として、漁業調整委員会を設置する。
  2 漁業調整委員会は、海区漁業調整委員会、連合海区漁業調整委員会及び市町村漁業調整委員会とする。連合海区漁業調整委員会は、二以上の海区にわたる問題の処理のために設置される。(瀬戸内海のみは常設のものを置く。)
  3 漁業調整委員会は、関係者に対し、漁業調整上必要な指示をすることができる。都道府縣知事は、必要があると認める場合は、所定の手続を了した後関係者に対しこの指示に從うべきことを命ずることができる。
    都道府縣知事が免許等漁業権に関する重要な処分をするときは、海区漁業調整委員会の意見をきかなければならない。
  4 構成
   a 市町村漁業調整委員会
    漁民委員  七人(選挙制)
    公益代表委員
          三人(知事選任)
   b 海区漁業調整委員会
    漁民委員  七人(選挙制)
    学識経驗委員
          三人(知事選任)
   c 連合海区漁業調整委員会は、関係各海区漁業調整委員会の委員の中から選出された同数の委員(必要あれば学識経驗委員を加える。)をもつて構成する。
    〔註〕 北海道に関しては特例を設ける。
  5 abの漁民委員について、選挙権及び被選挙権を有する者は、原則として、関係市町村の区域内に住所又は事業場を有する者であつて、一年に九十日以上漁船を使用する漁業を営み又はこれに從事するものとする。
  6 中央漁業調整審議会
    漁業法の施行に関する重要事項を審議するため中央漁業調整審議会を設置する。
   漁民委員  十人
   学識経驗委員 五人
   農林大臣の申出により内閣総理大臣が任命する
  7 委員の任期は二年とする。
  8 專門の事項を調査審議させる必要があるときは、專門委員を置くことができる。
 五、土地及び土地の定着物の使用
   土地又は土地の定着物が海草乾場、船揚場、漁舍等の漁業上の施設として利用することが必要且つ適当であり、他の物をもつて代えることが著しく困難である場合は、これを使用しうるように措置する。
 六、内水面漁業
   内水面(主務大臣の指定する湖沼を除く。以下同じ。)の特殊性に即應し、増殖事業を積極的に展開するため、海面と異なる特殊規定を制定する。
  1 内水面においては、原則として料金を政府に納めなければ水産動植物の採捕又は養殖をすることができない。
  2 内水面においては、区画漁業権以外の漁業の免許はしない。
  3 政府は料金收入の一部を財源として内水面における基本的な増殖事業を行う。
  4 内水面における水産動植物の採捕及び増殖に関する事項を処理する民主的機構として漁業者、遊漁者及び学識経驗者の中から知事の選任する委員をもつて構成する内水面漁場管理委員会を都道府縣に設置する。
  5 委員は十人、任期は二年とする。
 七、瀬戸内海漁業調整事務局
   瀬戸内海の特殊事情に即應し、繁殖保護と漁業秩序の維持の完璧を期するため、瀬戸内海漁業調整事務局を設置し、漁業法の施行に関する事務の一部を分掌させる。
#4
○西村委員長 次の別表一は数字にまたがつておる計算方法でございまするから、これを朗読することを省略いたします。
#5
○藤田説明員 それでは漁業制度改革に関する大体の構想を御説明申し上げます。漁業におきましても、農業と同じく民主化の問題が取上げられるわけでありますが、これは農業と漁業との相違からいたしまして、その民主化の方法その他につきましては、相当かわつた点があるわけであります。そのかわりました点が、漁業制度改革に関する具体的な実施方法において現われておるわけであります。第一点は農業の民主化と申しますことは、農業は現在地主から土地を自作農民に渡すということが民主化の問題であります。そうしてこれは農業本來の性質からいたしまして、農民は自分の所有する土地の上に労力を加え、あるいは資材、資本を投下いたしまして生産力を上げることができる。ほかのものとは関連なく自分の力でその効果を上げることができるわけでありますが、漁業については水面が一帶でございます。そうして一つの漁場を中心といたしまして、各種の漁具、漁法によつて、多数の漁業者が入り合つて同一の魚種をとつているというような関係でございますので、これを個人的に考えて行くわけには行かないわけであります。どうしても漁場を本位にいたしましての調整方式を考えざるを得ない。その点が相違の第一点であります。從いまして農地改革におきましては、まず具体的に個々のものから漸次やつて行くことができたのでありますが、漁業権制度の改正におきましては、これを一つの漁場を中心にして計画を立てて、その漁場内の漁業権につきましては、これを一律に変更消滅させ、また新しい計画に基いて漁業権の免許を行う、こういうやり方をしなければならぬという点が相違であります。それからもう一つの点は、農業におきましては、地主の手から耕作農民が土地を買い受ける、こういうかつこうになるのでありますが、漁業権の場合におきましては、それは逆に、いわば漁業会の手から漁業権を現実に経営するところの漁業者に渡す、こういう問題になるのであります。これはちよつと数字で申し上げますと、現在漁業権が免許されておりまする数字が、昭和二十一年六月現在で四万四千四百五十八件でありますが、この四万四千件のうち、專用漁業権はほとんど大部分が漁業会に所属されております。それからその他の漁業権につきましても、漁業会が持つておりますものが全体の六〇%、個人が持つておりますものは三五%、会社の持つておりますものは四%、こういうふうに漁業会が権利を六〇%も持つておるわけであります。この形は地主が土地を多数持つておるという形とは違うのでありまして、從來漁業者は漁業会を通じてその漁場に対して、その漁業権の行使方法について発言権を持つ、つまり権利を持つておることによつて、その権利を通じて漁民自体の地位を守り、また利益を保全しておつたのであります。この形は私たちは決してこれは間違つておるとは思えないのであります。從つて私どもの当初の案では、むしろこの方向を推進いたしまして、漁業権自体はすべてこれを漁業者團体の手にゆだねる、そうして具体的な経営は、これをその團体の総意によつて個々の契約者と契約をいたしまして、適当なる者と契約させる、こういうような方式が、日本の沿岸漁業の実情から考えて適当であるというふうに私どもは考えたのであります。しかしながらこれは実際問題といたしまして漁業者團体、すなわち漁業協同組合が任意に設立され、加入が自由である團体であること、及び独占禁止の建前からいたしまして、この原則を貫くことができなかつたのであります。從つて現実に経営する者にこれを與える、こういうふうな方式をとります結果は、漁業会の持つておりますところの漁業権を取上げまして、これを現実に経営する者に渡すということになるのでありますから、この実際のやり方といたしましては、場合によりますと漁民の手から漁業権を取上げ、個々の企業家に渡すという危險を多分に包藏しておると考えておるのであります。從つてこの点については、私どもといたしましては補償の金額についてはこれをできるだけ有利に考えてやるということが第一点。第二点は現実に経営せんとするところの漁業者團体については、これは漁業権の取得の場合の優先順位において、できるだけ優先的な地位を保たしめる。この二つの考え方から、漁業者團体が漁業権を持つて、みずから経営する機会をできるだけ與えたいというふうに、全体の構想としては考えておるわけであります。
#6
○西村委員長 この際お諮りいたしますが、農林大臣に対しまして鈴木善幸君より特に要求がありまして、質疑をいたしたいという通告があつたのでございます。農林大臣は予算総会に今から御出席の御都合があられるそうでありますから、説明の中途でありますけれども、一應藤田次長の説明を中断いたしまして、農林大臣に対する鈴木君の質問を許したいと思います。
#7
○西村委員長 御異議ないようでありますから、その通り取計らいます。鈴木善幸君。
#8
○鈴木(善)委員 大臣も非常に御多忙のようでありますので、簡單に御質問申し上げたいと存じます。
 まずお伺いしたい第一点は、水産試驗調査機関整備の問題であります。この水産試驗調査機関の整備の問題は、わが國の行き詰まつた漁業の現実から見ましても、これが打開の方向といたしましては、どうしても徹底せるところの試驗研究調査の上に立つて、科学的、合理的な漁業経営を進める以外に方法はない、こう私どもは考えておるのであります。現在わが國の漁場は海区の制限を受けておるのでありまして、この限られた海域内における水産資源を十二分に試驗調査の上に立つて有効に開発することが増産の要諦である、こう考えるのであります。また漁業の方法、あるいは漁船、機関等の問題にいたしましても、科学技術の導入によつて経営の合理化をはかり、高度の生産力をそれによつてもたらすという観点からいたしましても、非常にこの問題が重要であると思うのであります。さらにまた限られた海域から生産の減退は免れないのでありまして、この少い漁獲物を最高度に利用する、これが消極的意味における増産になるわけでありますので、加工、保藏その他の問題につきましても、これまた完備したところの設備、科学技術の導入によつて漁獲物の処理を完全にする、特に冷凍あるいはカン詰その他の施設につきましては、諸外國に比してわが國は決してすぐれておるとは考えられない。先般の冷凍まぐろの輸出にいたしましても、非常な不良品を出して拒否されておる。漁業者がこの困難な生産事情下において、せつかくとつて参りましたところの魚がそのように輸出を拒否されるというようなことは、まことに遺憾千万であるわけであります。また養殖方面の点でも、資源を増殖培養しつつ、ここに合理的な收獲をあげて行くということが、今後のわが國の漁業の方向でなければならない。これらの問題を考えます場合に、試驗調査機関の整備という問題は、わが國の水産の振興上から言つてきわめて重大な問題である、こう考えるのであります。しかるに飜つてわが國の試驗機関の現状を見まするに、各都道府縣に置かれておりますところの水産試驗場は、きわめてわずかの予算に制限を受けておる。從つて優秀なる技術者といえども招聘することができない。そこで民間の業者のあとをついて行くような、きわめて低調な試驗研究しかできないというのが現実であります。各府縣の水産試驗場に対する漁民及び業界の不信の声は、全國的な輿論に相なつておると思うのであります。私は各府縣に指導機関としてもつことは必要であろうけれども、試驗機関としてはむしろ生産諸條件、資源関係等を考慮して、海区別に國立の整備したところの水産試驗機関を設置する必要を感ずるのであります。この海区別の水産試驗機関に、優秀な技術と必要なるところの予算と、有能なるところの職員とを配しまして、十分わが國の水産業の現状を打開するに足る新しい方法を講ずることが必要だと考えるのでありまするが、この点に対する農林大臣の御所見と、当局の今後に対する具体的御計画とをお願いしたいと思います。
#9
○周東國務大臣 お答えを申し上げます。ただいまの鈴木さんの御意見はまことに同感であります。日本の置かれた現在の地位において、水産の増殖、漁撈、加工、貯藏という面に対して、もつと具体的に調査研究を進めて將來の計画を立てるということにすべきだ、それについてはばらばらな少額な予算でなく、現在の水産試驗研究機関については、もつと大きくして、海区別に試驗調査機関を組みかえ、府縣水産試驗所長は指導の地位に立つべきではないかという、御意見まことにごもつともであります。從來とても水産試驗機関というのは、國及び各道府縣等に別々にあつたわけでありますが、今お話のように水産というものは、たとえて申しますと産卵地区と成長期地区というようなものもいろいろ違うでありましようし、また水産漁獲物を貯藏加工し、場合によつてはときを異にして長く必要物を分配することもできるわけであるし、また繁殖等の施設いかんによつては、沿岸にもつと大きな魚族をふやすこともできるのであるから、それらについて、お話のようにもつと大きく予算を立てるべきだということについて、かねがね政府でも考えておつたのでありますが、今日まだ十分な予算のないことを遺憾といたします。ただ方向といたしましては、水産廳が設置されました今日、お話のように試驗調査機関というものは國がやることにいたし、そうして大体の方向として、海区別に数区に分つて、ここに重点をおいてやる方向に予算も組まれておるわけであります。從つてこの國の水産試驗研究の機関を中心として、都道府縣等にある水産試驗場、また水産関係の学校というようなものを動員して、指導に当らしめるという方向に進んでいるようであります。しかしこの予算はまだやはり少いのでありますから、皆樣の御協力を得まして、だんだん増加いたしまして御趣旨に副うようにはからいたいと私も考えている次第であります。
#10
○鈴木(善)委員 ただいまの大臣の御意見によりまして、政府のお考えが明確になつたことを非常に喜ぶものであります。この問題は全漁村、全水産界の要望でありますので、ぜひ大臣におかれましても、今後強力にこれが実現に御盡力いただきたいということをお願いするものであります。
 次に第二の質問は、水産の教育の問題であります。特に現在問題となつておりますところの水産大学の所管の問題につきまして、大臣の御意向を承りたい。現在高等水産学校は文部省の所管になり、水産講習所は農林省の所管になつて参つておるのでありまするが、これらが学制改革に伴いまして水産大学に昇格すべきものであることは当然であると思うのでありますが、その所管を文部省に全部ゆだねる御意向であるか。またこの機会に産業省としての立場から、産業の業界に密着するところの実践的な学徒を教育する意味合で、農林省に水産大学を全部移すようなお考えがないかどうか。私の考えをもつていたしますならば、教育の学術的な統一という面から考えますならば、文部省に持つて行くことも考えられるのでありまするけれども、眞に業界の要望する、業界の実情を十分取入れた実践的な教育を施す面からいつて、單なる形式的な教育の一元論というものにとらわれずに、産業省である農林省において水産大学を所管して、十分必要なるところの教育の措置をとることが、今後の日本の水産の発展の上からも、業界の実情に即した教育を施す上からも非常にいいことではないか、こう考えるのでありますが、これに対する農林大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
#11
○周東國務大臣 お答えをいたします。從來水産講習所というものは農林省の所管のもとにあつて、この水産講習所出身の方々が、その後いかに水産業界に貢献したかということは、すでに世論が一致して認めているところであります。從つてそういう過去の経驗からいたしましても、水産教育というものが水産行政並びに水産の実態に即して行われることが、最も適当であつたことの証拠であると私は考えます。從つて学制改革後における水産講習所の昇格による水産大学の所管に関しましても、私どもとしては、ぜひこれは從來通り水産行政をつかさどる農林省において、漁撈養殖等の実際に即應しつつ水産行政と相見合つて、そうして技術並びに教養を高められるようにして行くことが、過去の実例からいたしましても最も適当であると考えておりまするが、いろいろと大学に昇格するならば、学制統一の上から文部省へということがありまして、今そこのところを折衝いたしておる最中であります。私どもはどこまでもセクシヨナリズムでこれを農林省に置くというのではなくて、実質上水産教育というものを過去の実績から見ても、どこに所管せしめることが國の立場から見て最もよろしいかという面から考えて、今いろいろと折衝しておる最中でありますが、なかなか問題はむずかしい状況にありますので、これもまたかつて水産委員会が独立して置かれたように、ひとつ皆樣の御協力を得たいものと考えております。
#12
○鈴木(善)委員 水産講習所の所管の問題につきましての大臣の御意向ははつきりしたのでありますが、私はこの際水産講習所だけでなくて、同じ水産大学になるところの從來の文部省所管の高等水産学校も、同じような趣旨で全部産業省たる農林省に移管をして、農林省は業界の発展に必要な人材を養成する上から、十分責任をもつて予算をこれに計上するという方向をおとりになることを、切に希望するものであります。特に大臣の御意向ははつきりしたのでありますから、文部省あるいは閣議等におきまして強力に大臣のお考えを御推進あられることをお願いするものであります。
 次に第三の点は水産廳の機構改革の問題であります。私どもは、近い將來に水産廳を水産省にまで昇格せしむることを強く要望いたしておるものでありますが、その前にまず現在の水産廳の機構を整備強化する必要があると思うのであります。それは今度水産業協同組合法案も通過いたしまして、協同組合の組織の設定、その他協同組合の指導という問題が非常に重要になつて参るわけでありますが、現在の水産廳には協同組合課というような、團体を直接指導する部局がないことを非常に遺憾とするものであります。この協同組合課という團体指導をする課を設置して欲しい。
 それからさらに漁業経営の問題が非常に現在行き詰まつておりまして、これが解決なくしては水産業の壞滅をもたらす破局的な段階に向つておるのであります。この際水産金融問題を解決いたしますためにも、水産金融課を設置して、十分有能な職員をここにすえて、関係方面と十分緊密なる連絡のもとに、水産金融問題を急速に解決していただく必要があると思うのであります。
 それからもう一つは、漁業労働関係の問題が今後日本の漁業発展、民主化の上から大きく取上げられて來ると思うのであります。この漁業労働問題を主管するところの漁業労働課というような課がこれまた必要であると思うのであります。これらの少くとも協同組合、水産金融、あるいは漁業労働課とか、あるいは労政課とかいうようなものを設置する御意向があるやどうかということをお伺いしたいと思います。
#13
○周東國務大臣 ただいまの御意見ごもつともでありますが、今お話のような課の設置につきましては、今愼重に研究しておるわけであります。協同組合課等は必要ではないかと思うのです。水産金融については、現在総務局に金融課というものがありますし、これは全体的に見るようになつておるようであります。労働関係につきましても、現在の状況から見ていろいろと事務当局で研究しておる最中であります。ただいままだはつきりとしたことを申し上げる機会になつていないことを御了承願います。
#14
○鈴木(善)委員 これで私の質問を終ります。
#15
○西村委員長 馬越晃君。
#16
○馬越委員 私は周東農林大臣に二点についてお伺いしておきたい。先日開きました本委員会におきまして、飯山水産廳長官から、私どもは非常に大きな惡いニユースを伺つたのであります。と申しますのは某方面から高級魚類の再統制の意向を日本政府へ傳えて來たというような御発言があつたのであります。その当日の委員会におきましては飯山長官はそうした示唆があつたというようなお話でありましたが、いずれにいたしましても、そうしたような事柄があつたことは確かだと思うのであります。現在の第二次吉田内閣におきましては、生鮮魚介類の統制を撤廃するということを天下に公約しておられますし、何も吉田内閣ばかりではありません。それは片山内閣においても芦田内閣においても、生鮮魚介類の統制撤廃ということは熱望いたしておつたことであるし、本委員会におきましても、たびたびこれをとらえて、これが実現をはかるべく努力して参つたのでありますが、これはなかなか諸般の事情が許さなかつた。先般の委員会におきましては私は統制撤廃ということは、おそらく現下の情勢においては困難なのではないか。それよりは現実的な問題として、高級魚類の品種の拡張をはかるというところに持つて行く方が実際的ではないかということを私は申し上げたのであります。しかるに先日の委員会におきましては、それどころではない。反対の現象を示して高級魚類の再統制をするというような状態に立ち至つておるということを聞きまして、私どもは愕然といたしておるのであります。この問題につきましての前後の事情、並びに今後とられんとするところの周東農林大臣の御決意のほどを承つておきたいと思います。
 それから第二点は、先般申し上げましたように、現在の水産行政に対する機構はそれぞれその人を得て、今日くらい水産行政に対して強力なる人的機構を整えたことは、おそらく今までにないだろうということを申し上げておつたのでありますが、吉田内閣は総選挙を控えておるのでありまして、総選挙がすめば好むと好まざるとにかかわらず、第二次吉田内閣は総辞職をしなければならないことになつておるのであります。でありますから第二次吉田内閣の今後の壽命というものは限られた状態にあるのであります。次にどういう内閣ができますかは予断を許さないのでありますけれども、おそらく今日のごとき強力なる人的機構のもとに行くようなことはむずかしいのではないかと考えるのであります。でありますからこの際せつかく周東農林大臣が御就任になられたのでありますから、何でもかまわぬ、一つこれという仕事を残していただきたい。以前には水産廳独立の問題を大きく取上げまして、これが実現をはかりました、また水産委員会を独立して設置することを目標に、これも成功いたしました。第三國会におきましては協同組合法案を必ず通すということで、これも目的を達しました。何かここに一つでもこれをやつておく、わが國水産行政のためにこれだけは一つ周東農林大臣の置みやげとして、就任の記念の仕事として残して置くというようなことを、この際やつていただきたいと思うのであります。こういうような事柄に対して、農林大臣は何をやろうというように考えておることがあるかどうか、あるとすれば具体的に御構想を示していただきたい、以上二点お尋ねいたします。
#17
○周東國務大臣 最初の御質問でありますが、高級魚の再統制をやるようなかつこうになりはしないかというお話でありますが、私はただいまのところまだその話を聞いておりません。いろいろと水産の全面的な統制の解除というような問題が起つておりますときにおきまして、私は現在の状況からいたしまして、よほど統制撤廃についての時期と方法を考えなければいかぬということを申して、いろいろ研究をさせておることは事実でありますが、そういう面があるいはいろいろと話合いに出たときに、あるいはお尋ねのような話が出たのかもしれませんが、今ただちに高級魚について再統制をやるという話は聞いておりませんし、まだ報告を受けておりません。今後の処置といたしましては、かなり水産漁業用の資材、石油等の輸入を受け、バーターをして出荷しております現在において、早急に全面的撤廃が困難としても、これらに対しまして時期方法を考慮しつつ、適当なときに、でき得る限り一般業界輿論の声に從うように進めて行きたい、こういうふうに考えておることを申し上げておきます。
 それから第二の点でありますが、今後総選挙後いかになるかお話の通りわかりませんが、少くとも第二次吉田内閣は憲法の命ずるところによつて総辞職することは当然であります。その短い間に何か置みやげせいという御鞭撻であります。非常に御激励は感謝いたしますが、短い期間に何をするかという問題でありますが、私はそういう事柄とは別に、置みやげとか何とかいう意味でなくて、ともかく現段階において、漁業関係において一番困つている問題は、金融と資材と漁村関係における課税問題だと思うのです。漁業権問題についても大きな問題が残されておる。これは当然しなければならぬ仕事であり、協同組合法案と車の両輪をなすべきものでありますので、これはできるだけ近い機会に出すということは申し上げたのです。出した法案をだれが処理するかわかりません。これは別個に考える必要がありましようが、ただいま申し上げたように、水産金融、資材、課税問題というものが大きな問題と思つております。しかしこれも、法案等の準備が必要なものについては時期がかかりますが、さしあたつて今應急の処置として考えられることは、金融問題についての應急処置をつけたいと、昨今いろいろ関係方面と具体案をもつて折衝いたしている最中であります。おそらく種々な業態がありますが、金融の梗塞によつて着漁もできないで、盛漁期を控えて困つている向きもあり、また沿岸の漁業にいたしましても、今後の漁業の崩壊を考えられるような業種もあるようであります。これらの救済的処置は臨機に應急につけたい、かように考えております。
#18
○馬越委員 非常にけしからぬことを私は承りまして、実に遺憾に存じております。農林大臣は某方面から高級魚再統制の意思があるような何らかの指示を受けておるということを御承知ないと言う、もつてのほかである。いやしくもこれほどの大事な大きな問題を、農林大臣が知らないなんというのは私はけしからぬと思う。もしそれ飯山長官が、これだけの一つの何かの指示を受けながら、その省の長官である農林大臣に報告をしていないというべきごときことがあつたならば、ゆゆしき問題である。私どもはこの委員会制度ができまして以來、鮮魚介の統制撤廃を強く叫んで参りました。ようやくにして闘いとつたものは、わずかな品種の高級魚の統制撤廃であつたのであります。これをしもただいま申すがごとく、非常にあやぶまれる状態に直面しておるのに、これを農林大臣に報告をせずして、農林大臣はこうした事実を知らずして、ただ漫然過しておるがごときは、私ははなはだ遺憾に存じております。これは一体どうなつておるのか、飯山長官ははたして上司に対して報告をしておるのかどうか、また農林大臣はこれの報告を受けながら放任をしておるのかどうか、この間の眞相を承りたいと思うのであります。
#19
○飯山政府委員 ただいま高級魚の統制の問題につきましておしかりを受けましたが、もつともと思います。私が申し上げた際に、私の申し上げ方が惡かつたので、そういう内示があつた、こういうことであります。その内示は私が就任する前にあつたように伺つたのでありますが、そのことを私といたしまして大臣に報告しなかつたということは下僚としてまことに仰せの通り責任重大であります。この点はまことに私といたしまして責任を感ずるのであります。しかし私のその当時申し上げたことは、統制はできるだけ撤廃に努力しなければならぬが、しかし逆にそういうふうな示唆を受けんとしているので、積極的に方策を講じかねる。しかしながらわれわれは統制の範囲で、許された範囲でできるだけその方向に向わなければならぬ。こういうふうに私申し上げたように思います。さようなわけでありまして、私の申し上げ方が惡かつたのであります。なお上司に対しまして私が報告を怠つたということにつきましても、私は十分責任を感じております。さよう御承知願います。
#20
○馬越委員 周東農林大臣にお願いしておきますが、以上のような実情にあるのであります。それは指示であるか、内示であるかの内容についてはつまびらかにいたしておりません。けれども何らかの指示があつて、すでにそれは一箇月以前にあつたのである。すでに一箇月以上の時日を経過いたしておるのであります。私どもはこの事実を非常に重大視しております。何らか農林大臣の政治的手腕をこの際発揮願いまして、こうしたようなわれわれの要望に逆行するがごとき事態の実現しないように、一段の御努力を切に要望いたしておきます。
#21
○西村委員長 ほかに農林大臣にお尋ねはございませんか。
#22
○夏堀委員 過般の新聞紙に、アメリカ海軍省からの発表として、太平洋漁場を開放するという意味の記事が発表になつておつたのであります。御承知の通り海区の拡張ということは、日本の今の漁業にとつて非常に重大な問題であります。しかし占領治下の現在の状態において、いわゆる太平洋漁場を開放するというのは、日本を含めてのことであるか、また日本を除外されての意味のことであるか、そうしてこの問題について、農林省の方で何かこの情報を接收しているかどうかを伺います。
#23
○藤田説明員 あの新聞記事が出まして、私の方から司令部の方に、その記事が事実であるか、また日本がいかに扱われるかという問題についてお伺いしたのであります。ところがあの記事は現在の國際國家間においてああいう議論が出ておるのであつて、日本は現在占領下である。日本のことではない。從つて日本は含まれておらないのであるから、その点は誤解のないようにしてもらいたい。こういうふうなお話がございました。そのことをちよつと申し上げておきます。
#24
○西村委員長 ちよつと速記をやめて。
#25
○西村委員長 それでは速記を始めて。
 これより漁業法制定に関しまして、政府の説明を続行いたします。
#26
○藤田説明員 先ほどの説明を続行いたします。今回の漁業制度改革の根本的ねらい方は、先ほどお話をいたしましたように、農業との相違はありますけれども、漁業の民主化及び漁業生産力の発展の見地からいたしまして、從來の個々の権利を中心に考えておりましたところの漁業権制度というものを、漁場を中心にして、漁場全体の総合利用をはかるという考え方から、漁場を中心にしたところの方式にかえて行く。これが根本的のねらいであります。從來の漁業権は、御承知の通り、たしか明治四十三年でございましたか、古い制度で出発をいたしております。それも封建時代からの慣行というものを尊重いたしまして、その当時の漁業権者というものを保護された。その後日本の沿岸漁業は、動力漁船も増加をして参り、あるいは漁場の状況も相当変改を加えております。あるいはまた人口増加の問題等もあるわけでありますが、漁業権については何らの変改を加えられないままに、ずつと現在まで推移しておる。その点で、あるいは漁業の生産力を発展させ、漁場全体の生産力を増強する上に、漁業権制度というものが非常に一つの支障になつておる点が生じておるわけであります。この点を改革いたして参りたいというわけであります。それで、やり方は、漁業法を施行いたしました際に、現在ございます漁業権というものを、地区または漁業権の種類ごとに、新しい法律が施行いたしましてから二年以内において、政令の定める期日に一律に消滅をさせまして、同時にその海区において計画的に漁業調整計画の樹立をいたしまして、その計画に基きまして新漁業権の免許を行つて行くというやり方をするわけであります。つまり土地のようにばらばらに地主と小作人との話のついたところからやつて行くというやり方ではなくて、各海区ごとに一律にこれをやつて行くという行き方が違うわけであります。そういたしまして、漁場整理のため消滅いたします漁業権、入漁権並びに賃借権、使用貸借による借主の権利、こういうものについては補償金を交付する。そうして新しく免許する者からは免許料を取立てる。あるいは漁業の許可料を取立てる。これが大体のやり方であります。それで大体漁業権の補償金額というものは、先ほど申し上げましたように、地主から土地を取上げて小作農民に渡すというのでなくて、漁業者の團体から漁業権を取立てて、これを経営するものに渡す、こういう関係になるわけでありますから、私どもといたしましては、補償金額というものをできるだけ見ようというような考え方で立案をいたしております。それで大体どのくらいになるかと申しますと、從來貸付をしておりますところの漁業権につきましては、これは定置、区画及び特別漁業権につきましては、昭和二十一年、二十二年、二十三年の三箇年の平均賃貸料の十一倍、それから專用漁業権につきましては、その賃貸料の十六倍、この限度において補償金額を算定する。それから基準年度において貸しつけていなかつた漁業権、つまりみずから営んでおります漁業権につきましては、定置、区画及び特別の漁業権については一應推定賃貸料というものを計算いたしまして、その推定賃貸料の十三倍であります。それから專用漁業権は三箇年の平均所得の五倍を大体限度とする。それから漁業権の賃借権または使用賃借による権利につきましては、目的たる漁業権の補償金額の二割というものを直接に出す。入漁権については平均所得の五倍を補償金として出す。こういうような算式をもつて計算をいたしておるわけであります。大体の考え方は、先ごろすでに実施されておりますところの財産税のかけ方に準拠いたしまして、なお漁業の事情からそれにより得ないところを修正いたしたわけであります。さよういたしまして、專用漁業権及びその他の漁業権の補償金額はどのくらいになるかと申しますと、私どもの一應の推定では、全体の金が百三十八億であります。その百三十八億の補償金額を一應利率五%、すえ置き期間なし、二十五年間の元利均等年賦償還の方法によつて毎年一回利子と同時に支拂う、こういう計算で考えております。さよういたしますと、百三十八億の補償金が、利子を寄せますと、大体二百四十五億になるわけであります。この二百四十五億の金を大体二十五年間に支拂うということになるわけでありまして、一年に大体十億ずつ支拂つて行く。こういうふうな計算になります。それに見合いになりますところの免許料及び許可料というものをどのくらいとるかということでありますが、大体私どもの推定では、現在の計算では、水揚げ高の平均三・六%というものをとりますれば大体補償金額及び行政処置とにらみ合いになる金額になると考えております。しかしながらこれは將來のインフレの関係がどうなつて参りますかによつて違つて來るのでありまして、インフレが進んで参りますれば、元の金はきまつておるわけでありまして、漁獲高というものは上つて行くわけでありますから、それの三・六%というものは、だんだん下つて行くというふうなことは考えられると思います。それが一應補償と免許料との大体の額でございます。
 それから漁業権及び入漁権について現行制度とどういう点がかわるかという問題であります。これは、從來の漁業権は、定置漁業権、区画漁業権、專用漁業権、特別漁業権、この四つがあつたわけでありますが、定置漁業権につきましては、免許の期間が從來二十年でございますのが今度は五年。小型の定置漁業権はこれを権利としないで許可漁業といたしたい。これは最高潮時における躯網の最深部が水深十五メートル以浅のもの、つまり十五メートルよりも浅いところに立つているような小型の網であります。そのほか特別なものは小さくても権利として私どもは保護する。つまり一定の小型の定置漁業はこれを許可漁業に落したというところが現行と違うわけであります。
 区画漁業権につきましては、期限が五年でありまして、内容は現行通りであります。
 專用漁業権につきましては、現在の專用漁業権のうち魚類を除く。そして大体根つき、磯つきの海藻、貝類及び特定の定棲性の動物、たとえばなまことか、うにとか、いせえびなど、こういうような特殊なものについてはこれを專用漁業権の内容とする。魚については原則としてこれを專用漁業権のそとに置くという考え方で進んでおります。それから慣行、地元の区別はこれを解消するというふうな考え方で行きます。
 それから現行の特別漁業権のうち、第三種から第八種までの漁業は許可漁業として、その他は自由漁業とする。特別漁業権という制度は、今度はこれを特に設けない。從來の舟引きであるとか、地引きで特定の網寄せ場あるいは網引き場を持つているようなものについて、これはむしろ許可漁業として考える。そして特殊な、たとえばくじらの網漁業であるとか、そういう種類のものは現在自由漁業としてございませんので、これを自由漁業として放任するというふうにいたしたわけであります。
 それから更新制度は今後はこれを廃止する。但し区画漁業権については存続期間の延長を認める。更新ではございませんが、区画漁業については増殖をやつており、期限が切れてすぐに権利がなくなるというのでは非常に困る場合があろうと思いますので、そのことから考えまして、存続期間の延長制度を認めております。
 なお漁業権は物権とするということは從來通りでありますが、漁業権は現実にこれを経営する者に與えるという原則からいたしまして、貸付はできない。漁業権だけ持つてほかの者に貸すことはできない。それから漁業権の讓渡性及び担保性についても、相当そういう建前から制限を加えておるわけでありまして、区画漁業権以外の漁業権、これは移轉または差押えができないことになつております。但し定置漁業権についてはこれは抵当権の目的となし得るのでありますからして、抵当権の実行による場合はこれは認めることに考えております。それから定置漁業権、区画漁業権については、これは抵当権の目的とはなし得るのでありますが、だれでも落すということでは優先順位及び適格性から困るわけでありまして、從つて競落人は免許の適格性を有する者に限定される。つまり免許の適格性を有する者である限り、抵当権の実行によつてこれを許された免許期間の間許す。また免許されることについてはこれは認めようということになつているわけであります。それから区画漁業権はこれは移轉することを認めておりますが、相手方は免許の適格性を有する者に限定されることになつているわけであります。つまり適格性と優先順位ということによつて今度新しく許すわけであります。問題はこの適格性と優先順位をどうきめるかということが、新しい漁業法の中心の問題になろうと思うので、その点についての御説明を申し上げますと、適格性の問題については根つき漁業権、これは個人には許せない権利の性質からいたしまして、関係漁民の三分の二以上を組合員とする漁業協同組合または連合会以外の者には適格性を持たせない。但し從來專用漁業権を持つております慣行のある市町村組合または財産区であつて、特別の事情によつて免許するが適当であるものには、例外的に適格性を認めよう、それ以外のものには適格性はないということであります。それから定置漁業または区画漁業の免許の適格性につきましては、法律で適格性なしときめておりますものは、漁業に関する法令の惡質な違反者または労働に関する法令の惡質な違反者、あるいは海区漁業調整委員会または市町村漁業調整委員会における投票の結果、おのおの総人員の三分の二以上によつて漁村の民主化を阻害すると認められた者、つまり漁村民主化阻害の事例ということを適格性の問題にするのでありますが、何が漁村の民主化を阻害したかということの判断は非常にむずかしいことであろうと思いますが、その調整委員会において投票をいたしまして、おのおの総人員の三分の二以上が、その本人は漁村の民主化を阻害する、この者に渡した場合は漁村の民主化上支障があるということが決定される者については、適格性なしとして却下されるということになるのであります。なお区画漁業権の一部につきまして、たとえばひび建養殖業または貝類養殖業を内容とするものについては、漁業権の行使につきまして團体的規制が必要であります。ちようどこれは根つき漁業権と同じような考え方をすることが穏当でありますので、これはみずから経営をしなくても、関係漁民の三分の二以上を組合員にする漁業協同組合またはその連合会が適格性を持たせるというふうになつておるわけであります。從つて今度の法律では、適格性の問題では根つき漁業権と一部の区画漁業権については、みずから漁業を営まない者についても團体について適格性を認める、それ以外のものについては、漁業または労働に関する法令の惡質違反及び漁村民主化の阻害事例、これが適格性の問題になります。これに通つた者はすべて一應資格ありと認定されるのであります。從つてその資格ありと認定された者が多数出た場合に、だれに許すかということが優先順位の問題になる。優先順位の決定のやり方といたしましては、定置漁業の場合について申し上げますと、まず優先順位は多数申請者の中から漁業者または漁業從事者であるか、しからざる者かということにわけるわけであります。漁業者または漁業從事者はしからざる者に優先するわけであります。それからその次に申請にかかる漁業と同種の漁業に経驗があるかどうかということによつて判断をして、その中でわけるわけであります。さらにまた当該海区において経驗があるかどうかということによつてわけるということによつてだんだんわけて來て、最後に残つて來る者が一番の優先順位ということになるわけであります。しかしながら最後にこれらの資格をすべて持つた者がおそらく多数残るであろうと考えられるのであります。その最後に残つた同順位者の間において優先順位をどうしてきめるかということになるのでありますが、この優先順位は具体的に法律でこまごま書くことはとうていできないのでありますから、これは漁業調整委員会において判断をするということになるわけでありますが、その判断事項といたしまして六つあるのであります。たとえば労働條件、それから地元地区内に住所を有する漁民、特に当該漁業の操業により從來の生業を奪われる漁民を使用する程度、第三に当該漁業の経営に地元地区内に住所を有する漁民の参加する程度、第四に当該漁業についての経驗の程度、資本その他経営能力、第五に当該漁業にその者の経済の依存する程度、その六に当該漁業の漁場の属する水面において操業する他の漁業との協調その他水面の総合的利用に関する配慮、これらの事項を勘案いたしまして、だれを最も優先的な者ときめるかということを市町村漁業調整委員会において決定するわけであります。それからひび建養殖業及び貝類養殖業及び眞珠養殖業以外の養殖業を内容とする区画漁業の免許の場合につきましては、住所をどこに持つかということを優先順位決定の項目の中に加えてあります。つまり住所が地元にある者はしからざる者に優先する、こういうように考えております。それからまたそのうちかき垂下式養殖業及び海藻類の養殖業には漁民團体優先の規定を設ける。一般的に地元の一定の民主的な要件を備える地元の漁民團体には優先的な規定を設けております。從つて第三國会において通過しました水産業協同組合法に基いてつくりますところの漁業協同組合または生産組合につきましては、この一定の民主的な要件を備えるものと私どもは考えておりますが、それには一般の者より優先的な順位を與えておるわけであります。なおその申請にかかる漁業に高度に依存するところの孤立部落、いわゆる村張組合というもので、どうしてもその漁業によらなければ生計が立たないといういうような場所でありますが、從來村張部落としてやつておりましたものについては、例外的な、最優先的な規定を置いておるというふうに考えております。それから眞珠養殖業を内容とする区画漁業につきましては、これは経驗を重視して特に当該漁業に関する進歩的企画の程度を問題とする。これは眞珠養殖業については技術というものが非常に尊重される建前からいたしまして、その事業に関する進歩的企画の程度を問題として考えておりまして、團体優先の規定は置かないというふうに考えております。
 以上が大体優先順位の規定でありますが、結局優先順位と申しましても法律の規定によつてふるいにかけられて落されるものはごく少数でありまして、結局多数のものが残つて、それは漁業調整委員会の決議によつてたれを優先的にするかということがきめられて、認められるということになるだろうと思うのであります。私どもといたしましては、いろいろ地元漁民の問題について考慮することを優先者の資格にしておりますが、從來これは漁業権を漁業者の團体が持つて、その漁業権を通じて発言をしておつたところの問題であります。それが今後は漁業権を通じて発言をすることができないのでありますから、われわれはそれを優先順位の中に入れて、漁業権を通ずるのでなく、漁民の選んだところの漁業調整委員会を通して、その漁民の從來の立場を保護する、あるいは漁業の生業を保護する、こういう考え方をとつているわけであります。
#27
○西村委員長 お諮りいたします。相当時間も経ちましたので、あとの説明は次の機会にお願いしたいと思いますが、御異議ありませんか。
#28
○西村委員長 それではそういうふうにとりはからいます。
 この際お諮りいたします。この漁業法及び漁業法施行法の制定に関しましては、本委員会といたしましては重大な関心を有しますので、委員会の活動を活発ならしめ、かつこれが積極的な調査を行いたいと思いますので、衆議院規則第九十四條によりまして議長の國政調査承認を得たいと思います。なおその手続を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
#29
○西村委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたします。
 それでは午後二時まで休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
ソース: 国立国会図書館
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