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1948/12/09 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 水産委員会 第3号
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1948/12/09 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 水産委員会 第3号

#1
第004回国会 水産委員会 第3号
昭和二十三年十二月九日(木曜日)
    午前十一時二十三分開議
 出席委員
   委員長 西村 久之君
   理事 冨永格五郎君 理事 馬越  晃君
      川村善八郎君    仲内 憲治君
      夏堀源三郎君    加藤 靜雄君
      庄司 彦男君    大森 玉木君
      椎熊 三郎君    三好 竹勇君
      岡田 勢一君    宇都宮則綱君
 委員外の出席者
        農林事務官   松元 威雄君
        專  門  員 小安 正三君
        專  門  員 齋藤 一郎君
十二月八日
 委員關内正一君辞任につき、その補欠として關
 内正一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 漁業法及び漁業法施行法制定に関する説明聽取
  請 願
 漁船保險対策に関する請願(馬越晃君紹介)(
 第八号)
    ―――――――――――――
#2
○西村委員長 これより会議を開きます。
 一昨日の会議に引続きまして、漁業法及び漁業法施行法制定に関しまして、政府より説明を聽取することにいたします。水産廳松元説明員。
#3
○松元説明員 今回は、今まで漁業調整委員会の機能については御説明いたしましたので、漁業調整委員会の組織につきまして御説明いたします。
 漁業調整委員会は、海区漁業調整委員会、連合海区漁業調整委員会、市町村漁業調整委員会の三種類になります。それから中央漁業調整審議会は、形式上は漁業調整委員会へ入れておりませんが、実質上は漁業調整委員会の一種でございます。これはその組織も権限もその他の委員会と違つておりますために、名称も審議会という名称を使つておりますが、実質は漁業調整委員会の一種であります。
 海区漁業調整委員会は大体一つの縣を三つないし四つくらいに漁業状況の同じようなところを見てつくりまして、その海区ごとに置くわけでございます。全國で大体二百七、八十くらいになる予定であります。これが一番中枢的機能を営むわけでありますが、その下部機構としまして、市町村單位に市町村漁業調整委員会を置きます。それから海区と海区にまたがる問題、この海区委員会は大体漁業状況の同じようなところを單位として置くわけですが、どうしても海区と海区にまたがる問題がありますから、この問題を解決するために連合海区漁業調整委員会を随時必要に應じてつくります。但し瀬戸内海だけは、海区と海区にまたがる問題が非常に複雜に入り組んでおりますので、常設の瀬戸内海連合海区漁業調整委員会を設けております。これが委員会設置の一般の原則でありますが、ただ北海道につきましては特例を設けております。北海道は市町村の区域が相当廣うございますし、漁業状況から申しましても、大体内地で海区にわけた單位が北海道ではほぼ市町村單位にあたつております。その関係で市町村ごとに海区漁業調整委員会を置いております。その代り市町村委員会は置きません。そうして海区委員会に市町村委員会の権限も両方営ましております。
 漁業調整委員会の組織は漁民が選挙した委員を主体としまして、これに知事の選任した委員を若干名加えております。海区委員会の委員の人数は原則として十名、そのうち七名が漁民の中から漁民が選挙した委員、残りの三名が知事が学識経驗者の中から選任した委員であります。この選挙権及び被選挙権でございますが、これが非常にむずかしいものになつております。大体の考え方は、相当程度に漁業で飯を食つている人間、これに選挙権及び被選挙権を持たせようということになつております。この相当程度に漁業で飯を食つている人間ということを、技術上どうやつてきめるかということがなかなかむずかしいわけであります。從つて一應原則として、関係市町村の区域内に住所または事業場を有する者であつて、一年に九十日以上漁船を使用する漁業を営むか、あるいは漁船を使用して行う水産動植物の採捕または養殖に從事する者、これに選挙権及び被選挙権を認めております。しかしこの原則に対しまして、各海区によつていろいろ特殊の事情がありますから、今申しました漁業者の範囲をあるいは拡張することもございますし、縮小することもございます。その点は知事がその海区の事情に應じて、海区漁業調整委員会の意見を聞いてきめるようにしております。たとえば一年に九十日以上というところを、地域によつては、この漁業では一年に五十日以上であれば資格があるとか、あるいは逆に百五十日以上でなければ資格がないとか、あるいは漁船を使わない漁業であつても、あまでありますとか、そういうものについては、漁船を使わなくても選挙権はあるというふうに範囲をかえられるようにいたしております。この中で一年に九十日以上漁業を営むかどうか、この判定が実は非常にむずかしいわけであります。形式上はこの選挙は都道府縣の選挙管理委員会が管理することになつておりまして、選挙人名簿は市町村の選挙管理委員会がつくることになつておりますが、実際問題として、この選挙管理委員会で一年九十日以上漁業をやるかどうかの判定はなかなかつかないわけであります。從つて具体問題になると相当紛糾が起るかもしれませんが、この点どうにも明確な線の引きようがなかつたわけであります。農地の場合ですと三反歩以上耕作しているとか、あるいは三反歩以上土地を持つているとかいうことで、三反歩という明確な基準がありますから、非常にはつきりするわけであります。漁業の場合、そういうふうな明確な線はどうしても引けなかつたわけであります。それで一年に九十日という線を引いたわけですが、この判定は末端では大体漁民の社会通念できめて行くよりなかろうと思つております。この九十日というのは、現実に沖へ行つてやる日数ではありません。準備期間ももちろん含んでおります。從つてその判定がますます困難になつて來るわけであります。そこで選挙しましたあとから、あの男は九十日の資格がなかつたから選挙権がないのだといつて、選挙無効になるおそれが生じますために、普通の選挙とは違いまして、一旦選挙権を認めて選挙した以上は、選挙の効果を爭わせないような措置が必要ではないかと考えております。それからこの選挙は農業と違いまして、地主代表何名、小作代表何名、自作代表何名というふうな利益代表制にはいたしておりません。この点は一番議論になる点ではないかと思いますが、漁業の場合ですと、農業と違いまして利害対立も非常に複雜にからまつております。たとえば大きな対立を考えますと三つございます。まず地域対立、つまり部落と部落間の対立、それから業種対立、たとえば定置と刺網の対立、定置と小づりの対立というふうに、業種間の対立がございます。また経営者と労働者、あるいは小生産者というような階層的な対立もございます。そういうような対立がいろいろ複雜にからみ合つておりますために、利益代表制をとることができなかつたわけでございます。また事柄の性質上、利益代表というものではなくて、この委員はそういう利益ということから離れて、全体的見地から、最も公正に行動するという性質のものでございますから、思い切つて全体延べ選挙にしたわけであります。そうしますと理屈は確かに通るのでありますが、事実問題として、海区は縣を三つか四つに割つた單位でございますから、なかなかよその市町村の人間のことはわかりません。そのために結果としては、あるいはきわめて地域対立になるおそれもございますし、あるいはまた業種対立になつて、ある業種ばかりたくさん出て、逆にある業種は出ないという危險性ももちろんございます。あるいはまた経営者が全部出てしまつて、労働者あるいは小さな漁業者、そういう零細な漁民は少しも出ないということも、もちろん予想されます。その点は漁民の判断にまかしております。最初の選挙で妙な結果になるかもしれませんが、妙な結果になれば、漁民が自分でさとるであろう。そうして次の選挙には必ずりつぱな選挙をしてくれるであろうといつて、漁民の意識にまかしておるというふうにいたしております。またそういう延べ選挙でございますから、場合によつてはある地区からちつとも出なかつた、あるいはまたある業種からちつとも出なかつたというふうになる可能性がありますために、その委員がその海区全体の事情を必ずしも知つておるとは限らない、そのために專門委員制をとりまして、專門委員を十分に活動させるようにしております。実際問題として定置の問題を審議する場合には、定置関係の人間を專門委員に選ばなければ審議できない。この專門委員は何人置くということを限定しておりませんし、必要に應じて随時置けるようにしております。もちろん專門委員は議決権はございません。
 これが海区委員会の委員のきめ方でございますが、市町村委員会も大体これにならつておりまして、市町村委員会は、漁民が漁民の中から選挙した漁民委員が七名、それからこの点は海区委員会とは違うのですが、知事が市町村の公益を代表すると認められる者の中から選んだ委員が三名、合計十名でつくります。この市町村の公益を代表する人間というのは、学識経驗委員とは若干性質が違うのでありまして、場合によつてはこの公益代表ということで、漁民以外の勢力が委員会を左右することも考えられるわけです。ただ一部におきまして、末端の市町村においては漁民だけで判断するのは危險だ、むしろ漁民以外の人間も入れた方がいいのじやないか、たとえば引揚者の問題であるとか、復員者の問題であるとか、そういう問題を処理するために、市町村ではむしろ全体という見地から考えたらいいのではないかという議論もありまして、この公益代表委員というものを認めたわけであります。
 それから選挙権及び被選挙権は、これは大体海区委員会の場合と同様でございますが、違う点は、海区委員会の場合ですと「関係市町村の区域内に住所又は事業場を有する者」としておりまして、事業場を有しておつても選挙権はございますが、市町村委員会の場合ですと、事業場を有する者は選挙権はありません。住所を有する者に限定しております。これはこの二つの委員会の権限にも関係しておるわけでございますが、海区委員会の場合ですと、その海区内の全部の漁業に対して権限を持つておる。よそから來る人間であろうと、その海区に住所を持つておる人間であろうと、その海区内で漁業をする者に対しては全部持つておる。そのために選挙権も住所を有する者に限つておらないことにしたわけであります。ところが市町村委員会の場合にはこれと違つて、市町村の住民以外には権限が及ばない。つまりよそから入つて來る者に対しては市町村委員会は口をきけない、その選挙権の方も限定して、住所を有する者に限つたわけであります。北海道につきましては、先ほどどこに置くかという点で、一般の原則に対して特例を設けたわけですが、その関係上この委員会の組織につきましても特例を設けまして、その権限が海区委員会と市町村委員会と両方の権限を持つというために、その構成も海区委員会と市町村委員会と両方からみ合せたようにしております。從つて漁民が選挙した委員が七名、この点は同じですが、残りの三名のうち二名が学識経驗委員、それから一名が公益代表委員というふうにいたしております。
 それから連合海区漁業調整委員会、これは常置のものではなくて、問題のたびごとにつくるわけであります。そうして海区と海区にまたがる問題の処理でございますから、その委員は関係の海区委員会の委員の中から同数の人間を互選してきめることにいたしております。これは同数にいたしませんと海区に不公平になるわけでございます。從つて同数にしております。この海区委員会の委員と申しますと、漁民委員だけでなくて、もちろん学識経驗委員でもさしつかえございません。そのだれを出すかということは、各海区委員会の自由であります。そのほかに必要があります場合には、学識経驗委員、これを海区委員会の委員の中から選ばれた委員の半分以下に限つて置くことを認めております。同数の人間が出るからして、そのためにまとまりがつかない、それを裁くのが学識経驗委員になるのではないかというふうに思つております。一應この法律の建前では、海区委員会というものは決して海区の利益を代表するものではない。從つてよその海区の人間に対しても公正に行動するというふうに割り切つてはおるわけですが、どうしても海区対立になりがちでございます。そのためによその海区からの人間はシヤツト・アウトする、自分の海区の人間に対して有利に扱うということが懸念されますから、この懸念を裁いてくれるのが連合海区漁業調整委員会の運用だろうというふうに思つております。
 この漁業調整委員会の権限につきましては、前の説明で大体説明があつたことと思いますが、もう一度繰返しますと、大体大別いたしまして二つの権限を持つわけです。一つは知事の諮問に対して意見を述べるというふうに知事から聞かれて意見を述べるという形の権限、これと自分から積極的に動く場合の権限の二つ持つております。つまり漁業の免許をします場合には知事は海区委員会の意見を聞いてきめる。それから漁場計画をつくる場合には海区委員会の意見を聞いてきめる。それから漁業権の免許を與た後に、漁業権に制限條件をつけるとか、あるいはまた漁業権の変更を許可するとか、あるいは取消すというような、漁業権に関する重要な処分をする場合、この場合は知事が委員会の意見を聞いてきめるわけでございます。それからこの権限は漁業権の免許だけに限りませんので、法律では規定しておりませんが、許可についてもやはり意見を聞かせるつもりでおります。取締規則をつくる場合でも、実際問題としてこの委員会の意見を聞いてつくる。それに基いて許可をする場合にも委員会の意見を聞くというふうにして、大体委員会の意見を聞かせることにしております。この委員会の意見を聞くと申しますと、この聞き方でございますが、これは單におざなりに聞く諮問機関というようなものではなく、実際問題としてはこの委員会の意見と違つた決定は知事はまずできませんから、事実上はこの委員会がきめるということになるのじやないかと予想しております。それから委員会の方から積極的に動く場合、これは委員会が関係者に対して漁業調整上必要な指示をすることができるのでございます。これは今度の漁業法の建前が、從來の漁業法では漁業権というものを主体にしまして、漁業権を免許して、その権利と権利の間で問題を解決して行くというふうにしておりましたけれども、今度は権利というものの範囲をぐつと縮めております。権利の範囲を縮めて、残りを許可漁業にするとか、自由漁業にしておいて、その間の調整を指示でさばいて行くわけです。これは漁業権で規律しますと、どうしても権利者が強くなりますし、一旦権利となると、固定して融通性がなくなります。その関係上調整のしやすい、融通性のある、具体的な必要に應じてこまかな注文をつける、そういう指示ということにして漁場の秩序を保つて行こうと思つておるわけでございます。從つてこの指示がどの程度までうまくできるか、漁民が実際この指示に対してどれほどの権威を認めて行くか、その指示に從つて漁業して行くかによつて、今度の新しい漁業法の成功、不成功はきまつて來るわけでございます。ところが、この委員会の指示という形、この委員会システムというものは、これは相当漁民がなれませんとなかなか運用しにくいものでございます。漁民一般の通念では、漁業会が漁業権を持つて、漁業会の総会でいろいろ発言するという方が発言しやすいのであつて、自分たちの代表を委員に選んで、委員会の指示でそのことをきめて行くというのは、なれなければなかなかうまく行かぬものでございますが、最初は多少うまく行かぬことがあつても、この指示というものを大いに活用して行きたいと思つております。
 この指示の拘束力でございますが、委員会が指示をしただけではただちに法的効果はないわけでございます。委員会がある指示をした、ところがその指示に対して言うことをきかなかつた人間があつた場合には、委員会から知事に対して、指示に從わなかつた者に対して、指示に從えという申出をすることができる。そして知事がそれを審査いたしまして、もつともだと思う場合には、その指示に從えという個別命令を出します。そしてその個別命令に違反した場合に罰則がかかつて來るというふうにいたしたのでございます。從つて委員会のこの漁業権の免許とか許可の場合に、実際委員会が免許、許可をきめて行くという権限と、この指示という権限と、二つの大きな権限によりまして、事実上調整委員会というものは、いわば漁場を管理するというような非常に強い権限を持つことになります。そこで先ほど申しましたこの委員会の選挙で、たれを委員会の委員に選ぶかということが、決定的な問題になつて來るわけです。この法律が施行になりましてから、実際上免許、許可をするまでには二年間ございますから、その間の準備期間の間に漁民の意識を高めて、選挙に関心を持たせるようにするということが、一番重要なことではないかと思つております。
 それから市町村委員会であります。話は前後いたしますが、これは沿海市町村には全部置きます。それから沿海でなくても、漁民が相当おる市町村には、たとえば岡山縣で從來は漁民がたくさんいた、海に沿つていた所が埋立てのために海に沿わなくなつたというような地域では、海に沿わなくても市町村委員会を置きます。それから漁民数が非常に少い場合には置かないこともあります。その場合には、その近隣の市町村委員会が権限を持つことになります。それから漁民数が非常に少い場合には、二つ以上の市町村を合して市町村委員会をつくることもあります。それからまた市町村内部の部落で非常に業態が違う場合には、市町村を二つにわけまして、おのおのに部落委員会を置くことも考えております。
 それから中央漁業調整審議会でありますが、これは先ほど申しました通り、その委員会の構成も権限も海区委員会や市町村委員会と違つておりますために、名称も審議会としております。そこでこれは具体的な問題をさばくのでなくて、漁業法の施行に関する重要事項の諮問機関ということにいたしております。これは選挙ではございません。そして人数は十五人でございますが、その中で漁民から選んだ委員が十名、学識経驗者の中から選んだ委員が五名として、その選び方は農林大臣の申出によつて、内閣総理大臣が任命するというふうにいたしております。委員の任期は二年でございますが、この二年が長いか短いかについていろいろ議論がございます。あまり長くなるとボス化するおそれがあると考えられます。逆にあまり短いと、ほんとうの仕事ができないということも考えられます。從つて一應二年という線を引いたわけでございます。以上大体漁業調整委員会の組織でございます。
 次は土地及び土地の定着物の使用でございます。これは從來の漁業法でも、ある程度土地を使用し得る規定は置いたのでございますが、それは目的が非常に限定されておりました。そしてある漁業では漁業を営む場合に漁業権とか、漁船の許可とか、漁船、漁具のような通常の手段のほかに、土地及び土地の定着物が必要不可欠であります。たとえば海藻などは海藻ほし場というものがどうしても必要になつて参ります。また漁業をいたします以上、どうしても船を引揚げるための船入澗とか、船揚場というものが必要不可欠になつて來るわけであります。從來こういう土地を個人が持つておりまして、漁業者がどうしてもそこを使わなければ困るというために、あたかも農地の不在地主のような関係を生じておつたものが相当あつたわけであります。具体的に一番著しい例は、北海道の海藻ほし場とか、あるいは福井縣における船入澗の問題とか、そういう問題があつたわけでございます。今度の漁業制度の改正にあたつては、單に漁業権の改正だけでなくて、こういう漁業権に必要不可欠の土地とか、その定着物にも手をつけなければ漁業政策ができないという見地から、こういうものに対して使用権を設定できるようにしたわけでございます。一般に土地とか土地の定着物とかの代替性のないもの――漁船、漁具でございますと金でかえ得るという代替性がありますが、土地とか土地の定着物には代替性がありませんから、こういうものをある事業のためにかえるということがどうしても必要で、土地使用法とか、鉱業法とか森林法とかいうものではいろいろ規定を設けておりますが、今まで漁業は公益事業でないという見地から、その使用権を設定するとか、あるいは收用するとかいうことは、非常に限定されておつたわけでございますが、その点を今度は廣げたわけでございます。その場合漁業権に附属しておる土地とか建物、こういうものを從來の漁業者が持つて開放しないということも考えられますから、これも使用できる措置を講じたわけでございます。このやり方は、土地とか定着物がほしいと思う人間は、知事に対して認可申請をするわけでございます。知事は認可申請がありますと、その申請者と、土地とか土地の定着物を持つておる権利者と市町村漁業調整委員会、この三者の意見を聞いて、認可するかどうかをきめるわけでございます。認可がありますと、今度は権利者に対して使用権を設定してほしいということを協議するわけでございます。協議がまとまらなかつた場合には、市町村漁業調整委員会は裁定をして、その裁定によつてきめて行くというふうにいたしております。これが土地またはその土地の定着物の使用に関する規定でございます。
 以上は大体海面におきます漁業についての規定でございますが、内水面漁業では、今度は全然規定を別にいたしております。從來内水面漁業は、大体海と同じにいたしておりましたが、内水面の特殊の事情に應じての規律というものができておらなかつたわけであります。内水面の特色として一番大事な点は、内水面では増殖をしなければ漁業が成立しない、増殖が漁業の生命であるということが、内水面の一番重要な特色であります。内水面で増殖をしないと、てきめんに魚が枯渇してしまう、逆に増殖すればてきめんにその効果が現われるということになつております。もう一つの特色は、海の場合ですと、漁業者は割合はつきりいたしております。相当專業の漁民もございます。ところが内水面漁業は、專業の漁民というものが非常に少いのでございます。大多数は百姓が主体である百姓漁民、さらにもつとたくさんあるのは、いわゆる遊漁者でございます。このごく少数の專業漁民と多数の百姓漁民と、さらに多数の遊漁者を対象といたしまするために、海と同じような規定ではいかぬわけであります。もちろん内水面と申しましても、霞ケ浦とか琵琶湖、あるいは北海道の風蓮湖とか猿澗湖、こういう所は海と同じような規律でやつております。そのために内水面といつても主務大臣の指定する湖沼は別にいたしております。内水面では、今申しました通り増殖が生命でございますから、まず増殖をしなければ漁業権は免許しません。從つて区画漁業権以外の免許はしないわけであります。從來は專用漁業と申しまして、ほんとうに増殖するのではなくて、ただ補助金をもらつておざなりに孵化放流をやつて行く、そうしてほかの人間をシヤツト・アウトするというように惡用されるものが多かつたのであります。從つてこのために積極的に増殖をする区画漁業権以外は免許は認めないことにしております。それから内水面は関係者がたくさんあつて、関係の水系も非常に長大である。そのために個人が主体となつて管理することはなかなか困難でございます。たとえば孵化放流をいたしましても、だれがとるかわからぬというわけで、ほんとうに管理できませんから、個人が主体では増殖はまずできにくい、どうしても國がやつて行かなければならぬというわけで、國が基本的な増殖をすることにしております。そしてそのほかに個人の責任でできることがあれば、区画漁業権を免許して行こうというふうに考えます。
 國が増殖事業をいたします場合に、その財源として料金をとつて行き、この料金を納めなければ魚をつつてはならぬというふうにしております。もちろんこれも全部の漁業について料金をとるわけではありません。國が金をとつて増殖をして行くというものに限つております。ところが内水面の場合、はたしてこの料金がどのくらいとれるかという点が問題でございます。專業漁民――あるいは專業でなくても漁民であれば、何とかつかまえられるのですが、遊漁者を対象にして、はたして料金をとれるかどうか。数から言うと数十万、百数十万になりますが、その人間からどれくらい金がとれるかということが一番難点になるわけでございます。相当國民の道義観念が行き渡つておれば、金を納めますが、今の状態ですと、ただ盗みどりするということが十分考えられるわけであります。料金の納め方はやかましいことを言わないで、大体遊漁券というものを発行しまして、どこでも手軽に賣るようにしたいと思います。漁業会でも、タバコ屋でも、駅の賣店でも賣るようにして、それを買いさえすればよいというふうにいたしております。この料金と漁区とは別問題でございまして、料金を納めれば何でも漁業をやつてよいかというと、そういうわけではありません。やはり数を限定する必要のある漁業、たとえばえり梁漁業とか網漁業などは、料金のほかにやはり許可制度をもちろんしいております。料金の額は漁業方法によつても違います。網の場合には幾ら、えり梁の場合には幾ら、つりの場合には幾ら。あるいは通用する地域によつて違えております。たとえば全國通用の遊漁券は幾ら、あるいはこの川の遊漁券は幾ら、あるいは時期によつても違えております。そういうふうに漁業の種類、方法あるいは時期とか場所によつて、いろいろ料金のわくをかえて行こうと思つております。この料金を財源にして、内水面における基本的な増殖事業を行うわけでございますが、もちろん國がやると言いましても、國が役人を雇つて全部やるわけではございません。重要なところは國が直接やることになりましようが、相当の部分は大体縣にやらせ、料金という形で納めたものを國がプールして、必要に應じて縣にわけてやる、縣はさらに地元の組合などを使つて行くというふうに考えております。從つて國がやるといつても、國が全部やるわけではなくて、料金のプールと増殖計画というふうにお考え願つたらよいのではないか。料金のプールと増殖計画をつくるのは國であつて、具体的の増殖行為は末端の漁民がやるのではないかと考えます。
 この内水面における水産物の採捕増殖事業に関する事項を処理するために、都道府縣ごとに内水面漁場管理委員会というものを置きます。これは選挙ではございません。これは選挙権を有する者をとらえにくいために選挙にいたしておりません。また増殖計画を立てますために相当高度の技術的知識を必要といたします関係上、知事の選任にいたしております。これは漁業者代表と、遊漁者代表と、学識経驗者を代表する者、この三者の中から知事が適当に選任して、合計十名でつくるということにいたしております。もちろん内水面漁場管理委員会は縣一本でございますから、これは大体大綱を立てるのみであつて、実際の仕事は、さらにその下に各水系ごと、あるいは湖沼ごとに專門委員会をつくつて運用して行きたいと思つております。これが内水面漁業の概要でございます。
 それから瀬戸内海に限りましては、瀬戸内海漁業調整事務局というものを設置することにしております。これは瀬戸内海というものは、非常に入会関係が複雜でございまして、各縣が各縣限りの意思で規律するということはできません。たとえば岡山縣でございますと、目の先の島が他の縣に入つておりますので、縣限りでやることは実態に沿いませんので、瀬戸内海というものは一單位として規律しなければならない。そのために瀬戸内海につきましては、連合海区漁業調整委員会を一應設置しております。それに対應いたしまして、縣知事のみに任せないで、本省の出先機関を置いて、瀬戸内海漁業調整事務局が、瀬戸内海全般を掌握して行く。そうして縣知事を使つて行くというふうに考えております。具体的に、免許は事務局がやるのか、あるいは知事がやるのか、あるいはどの許可は事務局が許可して、どの許可は知事が許可するという具体的のことは、まだ決定はしておりません。
 最後に、これは少し特殊になりますが、指定遠洋漁業についてであります。これは今度の漁業法改正の趣旨とは、ちよつと違いまして、少し性格が別のものでございます。この指定遠洋漁業についての規定は、大体大きくわけますと、從來と違つている点は三つございます。
 一つは許可の定数、数をはつきりきめるという点が一つでございます。もちろん從來も許可する以上は、定数ということは予想はされておりましたが、それがはつきりきまつておりませんでした。それを今度は許可の定数というものは、はつきり合理的にきめて行こうというようにしております。これが第一点でございます。もう一つは、許可をする場合に、行政官廳の裁量権というものを、なるべく認めないというふうにいたしております。もう一つは、指定遠洋漁業の許可は、船ごとに許可をするわけでございますが、その場合、船が移つたら、必ず許可もしてやる。たとえば許可を受けておる人から船を買つた場合には、買つた人間に必ず許可をするというふうに、船と許可と一致するようにいたしております。この三点が從來と違う点でございます。從つて許可をする場合には、漁業権の場合と同樣の考え方で、適格性がございます。適格性をパスした場合には、あとは優先順位というものは置いておりません。これは考え方としては、適格性がある者にはだれでも許可する、但し許可すべき数に対して、申請者の数が非常に多い場合には、くじできめるというふうに、くじ引き制をとつております。この点は、行政官廳の裁量権は入れられない、といつて、これを入札制にすることもできませんし、優先順位もきめがたい。そうしてまたこれは沿岸漁業と違いまして、資本漁業として確立しておるものでございますから、むしろ思い切つてくじで公正にやらしたらよいのではないかというように考えまして、くじ引き制をとつております。それから一旦許可をもらいますと、そのあと許可は、特別の事情がない限り続くように処置しております。從つて許可の期間の満了した場合には、必ずさらに許可をする、いわば許可の更新というものを認めております。それから許可を受けた者が、許可を受けた船舶で漁業をやめて、ほかの船舶で漁業をやろうという場合にも、必ず許可をやるようにしております。許可を受けた船が滅失したり、沈沒した場合には、代船の建造も認めております。それから許可した船舶を相続したり、讓り受けたりした場合には、必ず許可をしてやるというふうにいたしております。こういうふうに、沿岸漁業と違つて資本漁業の特殊性にかんがみまして、適格性さえあれば、だれでも自由に認めるという形にいたしております。それから過渡的な措置といたしまして、漁業権の再割当と同樣な考え方で、この指定遠洋漁業につきましても、現在許可を受けておる人間を一旦全部再審査いたします。但しこれは漁業権の場合と違いまして、一旦消滅さして、新しく割当をし直すというのではなくつて、先程申しました適格性があるかどうか、あるいは許可の不当な集中ではないかどうかという点を考えまして、大体この二つの條項にあてはまらない人間を落す、適格性のない人間は許可しない、あるいは不当に持ち過ぎておる人間は落していくというふうにして、再審査を行うことにいたしております。言い落しましたが、指定遠洋漁業というのはどういう漁業かと言いますと、大型捕鯨業と、以西トロール漁業、以西底引遠洋かつおまぐろ漁業、この四つでございます。大型捕鯨業というのは、南氷洋を別にしまして、沿岸捕鯨のうちで、ミンク以外の捕鯨船でございます。トロールは、これは以西に限つております。現在以西しかございませんが、將來北洋トロールその他ができました場合には、これは指定遠洋の中に入れます。これにつきましては、許可の数はまだきめられないわけでございますから、落したわけであります。底引も以東は別にいたしまして、以西に限つております。遠洋かつおまぐろと申しますのは、現在のかつおまぐろは二十トン以上でございますが、これは百トン以上でございます。これにはずれました以東底引でありますとか、あるいは母船式でありますとか、あるいは百トン以下のかつおまぐろ、これも本省の許可といたします点は、從來とかわりございません。
 以上で大体大ざつぱの説明を終つたわけでございます。
 施行法について説明を補足いたします。施行法のおもな規定は、これは補償に関する規定でございますが、これは前回御説明いたしました。そのほかの規定はつなぎの規定でございます。それは先議会を通過いたしました漁業権等臨時措置法、この中に漁業権の新規免許はしないとか、変更の許可はしない。あるいは讓渡抵当権の設定は認可を受けなければならないとか、あるいは漁業権の賃付契約の解除は認可が必要であるというふうにいたしておりますが、これと同樣の措置を漁業法施行法で講じております。つまり漁業法施行法が施行になるまでは漁業権等臨時措置法でやつて行つて、施行法が施行になりましたあとは、臨時措置法は廃止いたしまして、漁業法は施行法で規律するというふうにいたしております。その他の施行法の規定は、大体先ほど御説明いたしました指定遠洋漁業をもう一回再審査し直すという規定、それと農林省設置法を改正して、瀬戸内海漁業調整事務局を設置するという規定、その他財團抵当法の改正でありますとか、そういうつなぎの技術的規定でございます。大体法律的技術的規定でございますから、特に御説明は省略させていただきます。
#4
○西村委員長 大体これをもちまして、漁業法並びに漁業法施行法の概略の政府の説明を終ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○西村委員長 この際日程を追加いたしまして、本委員会に付託になりました請願を審査いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
#6
○西村委員長 御異議ないようですから、その通り決定いたします。
 追加の日程第一、漁船保險対策に関する請願、文書表番号第八号を議題といたします。紹介議員馬越君の説明を求めます。
#7
○馬越委員 この際漁船保險対策に関する請願について、趣旨弁明をいたしたいと思うのであります。これはすでに第三國会におきまして、各委員の御紹介によつて請願が数通出ておりますし、この内容につきましては、皆さん方も十分御了承のことであります。また第三國会の本委員会におきましては、この種請願は全部採択済みになつておることでありますので、あらためて私からこの必要性を説くまでもないと存ずるのであります。政府におかれましては、漁船保險に関する数々の請願につきまして、すみやかにこれが実現を期するよう一段の御努力を願いたいと思うのであります。内容については十分御承知のことと存じますので、これを省略することにいたします。何とぞ各位の満場の御賛成を得まして、すみやかにこれが実現できますよう、御協力をお願いいたしたいと思います。以上。
#8
○西村委員長 本請願に対する政府の所見は、ただいま紹介議員たる馬越君からお述べの通りに前に説明を願つておりますから、これを省略することにいたします。
 本請願に対し御質疑はございませんか。
#9
○西村委員長 御質疑ないようでありますから、以上をもつて請願の審査は終了いたしましたので、採決いたします。右の請願は採択とし、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。
#10
○西村委員長 御異議ないようでありますから、その通りとりはからうことにいたします。右請願は採択し、内閣に送付すべきものと決定いたします。
 報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
#11
○西村委員長 御異議ないようでありますから、その通り決定いたします。
 本日の会議はこれをもつて散会いたします。
    午後零時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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