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1948/12/08 第4回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第004回国会 人事委員会 第4号
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1948/12/08 第4回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第004回国会 人事委員会 第4号

#1
第004回国会 人事委員会 第4号
昭和二十三年十二月八日(水曜日)
    午前十一時三十一分開議
 出席委員
   委員長 角田 幸吉君
   理事 根本龍太郎君 理事 赤松  勇君
  理事 生悦住貞太郎君 理事 館  俊三君
      淺利 三朗君    中野 武雄君
      平島 良一君    島上善五郎君
      前田 種男君    高橋 禎一君
      松本 瀧藏君    相馬 助治君
      徳田 球一君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 泉山 三六君
        國 務 大 臣 岩本 信行君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        法制部長    岡部 史郎君
        大藏事務官   今井 一男君
 委員外の出席者
        專  門  員 安倍 三郎君
十二月七日
 委員大内一郎君、大村清一君及び田中健吉君辞
 任につき、その補欠として中山マサ君、福永一
 臣君及び水野實郎君が議長の指名で委員に選任
 された。
同月八日
 委員玉井祐吉君辞任につき、その補欠として館
 俊三君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事玉井祐吉君の補欠として館俊三君が理事に
 当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給等に
 関する法律案(内閣提出第七号)
    ―――――――――――――
#2
○角田委員長 これより会議を開きます。
 昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給等に関する法律案を議題といたします。
 なおこの際おはかりいたしたいと存ずるのでありますが、本法律案が本委員会に付託されるまでの経緯におきまして、御承知のように議院運営委員会におきましては、本案の審査につきまして、大藏委員会及び労働委員会と本委員会とで、連合審査会を開くべきものとの決定もありましたため、去る六日の本委員会におきまして、右の連合審査を開くことを決定し、その旨大藏労働両委員会に申入れを行つたのでありますが、両委員会におきましては、連合審査について種々議論がありまして、結局連合審査に應じないという状況であります。つきましては、本案はすでに本委員会に付託されておるのでありまするから、この際いたずらに時日を遷延することなく、本委員会單独でもつて審査を進めてはどうかと存ずるのでありますが、これに御異議はありませんか。
#3
○角田委員長 御異議なしと認めます。それではこれより本案を議題としてその審査を進めます。まず本案の趣旨について説明を求めます。大藏大臣泉山三六君。
    ―――――――――――――
#4
○泉山國務大臣 ただいま議題となりました昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給等に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 最近の経済事情、ことに生計費の高騰による政府職員の困難な生活事情にかんがみ、すみやかにこれら職員の給與の改善をはかり、その生活を安定せしめることは、当面最も急を要するところであります。これがため、政府といたしましては、先般來財政、物價等諸般の事情を勘案しつつ、適正なる給與水準を決定すべく鋭意努力を続けて参りましたが、この間御承知の通り、臨時人事委員会から政府に対してこの問題についての勧告がございました。政府といたしましては、この勧告に示された政府職員の給與改訂案につき、愼重に檢討考慮を重ねて参つたのでありますが、目下の財政事情、物價体系に及ぼす影響等の点から総合勘案いたしますれば、遺憾ながらこれをそのまま実施することは、とうてい困難であると認めざるを得ないとの結論に達したのであります。しかしながら政府職員の生活事情は、年末を控えて一層困難の度を加えるものと考えられますので、これら職員の給與改善はもはや一日も遷延を許さない事情に立ち至つております。從いまして政府は、一般國民の消費水準、民間における一般勤労者の賃金の現状等を、かれこれ勘定の上、財政の許す限りの給與改善をはかることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容について簡單に御説明を申し上げます。この法律は認証官等他の法律に特別の定めある者を除く一般政府職員に対し、本年十一月以降の月收を平均約四割五分程度引上げることを目途といたしましたものでございます。この法律による給與は、俸給、扶養手当、勤務地手当及び特殊勤務手当の四種でございます。俸給は從前に比しておおむね三割二分程度を増額することとし、扶養手当は、從來は扶養親族一人につき二百五十円でありましたのを、妻とその他の扶養親族とに差別を設け、妻については六百円に、その他の扶養親族については一人につき四百円にそれぞれ増額することといたしたのであります。勤務地手当及び特殊勤務手当は、政府職員の新給與に関する法律(法第四十六号)の規定をそのまま準用することにいたしました。
 なお政府職員の新給與実施に関する法律(法第四十六号)は本年末で失効することになつておりますが、これにかわる新しい給與法の立案が遅れておりますので、さらに一年間延長して、明年十二月三十一日まで効力を有するものといたしたのであります。
 以上、この法律案につきまして立案の趣旨及び法律案の概要を御説明申し上げた次第でありますが、政府職員の生計の実情をおくみとりの上、すみやかに御賛成くださいますよう希望いたす次第であります。
#5
○角田委員長 赤松君。
#6
○赤松(勇)委員 この際大藏大臣にお伺いしておきますが、私ども日本社会党といたしましては、いわゆる今度の給與ベースにつきましては、七月の物價体系を起点といたしまして、七、八、九は六千二百円、十、十一、十二は七千二百円、これを地ならしいたしまして、六千六百円のベースを出しておるのであります。ところが、今回政府が國会に提出をいたしましたそのベースは、もとよりわれわれは賛成できないのでございます。ことにもう一つの問題は、この賃金ベースの裏づけになる財源の問題でございますが、大藏大臣御承知のように、本年度の予算に組まれました税收入は二千六百億円である。そうしてそこへ四百億円加わるのでございまするから、大体総計三千億円に達する。しかも十一月末までに徴收されたものは、わずかに千二百億円でございまして、あと千八百億円というものが残りの四箇月で徴收しなければならない。こういうことに相なるのでございます。申告課税の事業所得税がはたして政府の見込み通りにとられるかどうか、これは言うまでもなくわれわれは不可能であると考えておる。そうしてそういうようなきわめてあいまいな、不確定な自然増收の基礎の上に、今度の政府の提出になりまする給與の法律案が、あるいはまたその裏づけになる予算そのものが、今度の國会において否決されるような場合、政府はそれにかわる予算の組みかえ、たとえば人事委員会の勧告案になりまする六千三百七円ベースに基く予算の組みかえをする用意があるかどうか、もしそれができないといたしまするならば、衆議院がこれを否決した場合には、政府は一体どのような措置をおとりになるか、この際大藏大臣にお伺いしておきたいと思うのであります。
#7
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。政府が提出いたしました予算案につきましては、目下予算委員会等におきまして御審議を願つておる次第でありまするが、なおそのうち官公吏諸君の新給與に関しまする予算につきましては、まず本日提案理由を御説明申し上げました本新給與法律案に基いてこれができておることは申すまでもないのであります。しかしながらただいま赤松さんの御意見によれば、政府の五千三百三十円案は低きに失するやのお話でございましたが、政府といたしましてはただいま提案理由にもいろいろ御説明申し上げました通り、各般の事情を勘案して、これが最も適当である、かようの信念の上に立つものでございますので、本案は必ずや本國会において、各位の御賛成あるものと考えておりまするので、ただいま御指摘のような場合につきましては、何ら考慮をいたしておらないのであります。
#8
○赤松(勇)委員 少数党内閣でありまする吉田内閣の提出になりまする法律案なり、給與法案というものが、そのまま無修正、もしくはすらすらと國会で通過するというふうにお考えになつておる大藏大臣の政治常識を私は疑いたいのであります。われわれ院内でいわゆる野党が多数を占めておりまする際に、大藏大臣が考えておられるようなそれとは、逆な結果が生ずることはもとより想像できるのでございます。これは單に仮定ではありません。当然政府といたしまして、あるいは大藏大臣といたしまして、そういう場合にはそれにかわる具体的な対策なり、あるいは用意というものをお示しになるということは、当然の責任であると私は思いまするので、重ねて大藏大臣の所信をお伺いしたいと思うのであります。
#9
○泉山國務大臣 重ねてお答えを申し上げます。政府におきましては、本問題に関する限り、少数党なるがゆえに少数党に適当した案を提出いたしたのではないのでありまして、今日この段階において、何人といえども民間給與の水準、あるいは國民の消費水準、あるいはまた財政上の限界は、おのずからその間に判定が当然與えられることと考えられますので、かようの意味合いから、たびたび申し上げまするけれども、信念をもつてこの法案を提出いたしたのでありまして、これがただいま御指摘のように少数多数と、かようの政治常識とはおのずから別個の問題と考える次第であります。
#10
○赤松(勇)委員 御承知のごとく先般政府と野党側との協定が成立をいたしましてこのベースの問題を中心といたしました予算案の審議期間は大体きまつているのでございます。從いましてわれわれも責任がございますが、政府といたしましては重大な責任がある。ただいま大藏大臣は自分の主観的な希望を述べられたのでございますが、客観的に申しましてそういう事態が発生した場合には、たとえばこれをいわゆる議会の解散により総選挙を断行する限り、予算は成立せずにそういう形になるのでございますが、その際全國の二百五十万人の官公吏というものは、そのために非常な苦境に陷るのでございます。そこで大藏大臣にお尋ねしたい点は、そういう場合に、たとえば暫定的措置をおとりになるか、それとも参議院の緊急集会にこれをゆだねて予算の成立をはかろうとするのであるか、そういう点をお尋ねしておるのでございます。この二つのうち、いずれの方法をお選びになるかということを重ねて御質問をいたします。なお二点だけ簡單にお尋ねをいたしたいのでありますが、まずこの一点をお答えを願いたい。
#11
○泉山國務大臣 お答え申し上げます。たびたび申し上げるようでありますが、今日におきましてはいろいろさようの批評は私も耳にいたしておるのでありますけれども、しかしながら政府におきましても本案の立案の理由並びにその基礎につきまして十分御説明を申し上げれば、また十分御了承願えるものと、かような強い確信の上に立つておるのであります。以上をもちまして赤松さんにお答えすることは自然消滅をいたしたものと解しております。
#12
○赤松(勇)委員 どうも大藏大臣は主観論ばかりおつしやるので、ほとんど話にならぬのでありますが、その点につきましてはさらに私は後ほど、総理なり大藏大臣なりにお尋ねすることといたします。
 それでは次に質問者もあるようでございますから次にお伺いしたいのは勤労所得税の年末調整でございます。これは私の手もとに詳細な全逓の資料が参つております。この全逓の資料はあとから人事院の各位にお渡ししたいと思つておりますが、この資料によりますると年末に勤労所得税を一斉に差引かれまするならば、その窮乏は実に目をおおうものがあるのであります。そこで政府といたしましてはこの年末調整の問題をどのようにお考えになつておるか、どういうふうに調整をされようとしておるか、こういう点を明らかにしていただきたいのであります。
#13
○泉山國務大臣 ただいま御指摘の年末調整の問題は、政府におきましてもその実情に即應していろいろ研究を重ねておるのでありまするが、しかしながらただいまお話にございました通り、これを差引かれるならばというようなものではないのでありまして、当然差引かれるのであります。さようの点をあらかじめ御了承を願います、またこの問題が本新給與の問題とは別個の問題であることも、あわせて御了承願いたいのでございます。
#14
○赤松(勇)委員 これは今度のベースとはきわめて密接なる関係があるのでございまして、大藏大臣がわからなければ、今井給與局長からこの点に関しまして明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
#15
○今井政府委員 ただいま大藏大臣の申し上げたラインにおきまして、目下案を急いでおる段階であります。
#16
○相馬委員 これを機会に大藏大臣にお尋ねしたい。五千三百円というのはいろいろ実情を研究され、よくよくの御決意をもつて出されたものだと思います。その場合にこれが否決ないしは審議でごちやごちやになつた場合には、五千三百円というものは、もう政府にちやんと財源があるのですから、その中でもつて支拂えというような一時的便法の用意があるのですか、これは前に前例があるのです。それから地方公務員で地方毎に困つた公務員に対して、別な財源から流用して一時金に貸出す、こういう場合に、從來しばしば大藏省からは、そういうことを地方別にやられては困るということがあつたやに聞いておるのですが、この場合緊急措置としてそういうことを大藏省が許可する御用意があるかどうか、この二点について大藏大臣にお伺いいたします。
#17
○泉山國務大臣 お答えいたします。相馬さんのお尋ねの第一点につきましては、予算が成立いたさないということになりますれば、これは予算がございませんので、とうてい支拂うわけには参りません。法律案またしかりでありまして、法律が通りません場合におきましても、これは支拂いの道はないのであります。
 それから第二点は失礼ですが、地方の方で金を政府から借りられる場合でしようか。
#18
○相馬委員 流用の場合です。
#19
○泉山國務大臣 地方だけですか。
#20
○相馬委員 そうです。
#21
○泉山國務大臣 お答え申し上げます。その点につきましてもこれは政府において認めるわけには参らないことになります。
#22
○相馬委員 政府においては、たとえば北海道のような所の石炭手当等も、財源の都合だと思いますが計上してないのですが、これもこの際原則的に認められない、こういう強い御決意でしようか。よくよくの場合は、研究の上これに應じられる御用意があるのでしようか。
#23
○泉山國務大臣 ただいまの相馬さんの御質問の、よくよくの場合というのが、ちよつと私理解いたし兼ねるのでありますが、ただいま御指摘の手当の問題につきましては、かようなことを認めるわけには参らないのであります。しかしながらただいま御指摘のような問題につきましては、予算委員会の祕密会で申しました通り、十分國民の要望に沿うくふうをこらしておる次第であります。
#24
○淺利委員 從來寒冷地手当は支給されておるにかかわらず、今回の給與にはないようであります。これは今後別個に支給せられるお見込みでありまするか、あるいはこれは出さないというのでありますか、その点をお伺いしたいのであります。それからこれは大臣でなくてもよろしいのですが、この予算の上においては、特殊勤務手当あるいは時間外勤務手当というものは、ケースの上には現われておりませんが、これは見ておるのでありましようか、どうでありましようか。それが從來の平均としてはどのくらいあるか。大藏省の案には時間外の勤務手当はなく、ただ地域手当と扶養家族手当しかないようでありますが、その点は別個に計算されておるのでありましようか。その二点をお伺いいたします。
#25
○泉山國務大臣 政府委員から御答弁をいたさせます。
#26
○島上委員 大藏大臣はただいまの御説明で、政府職員の給與改善は一日も遷延を許されない情勢にある、だからそういう状況をおくみとりの上に、すみやかに御賛成願いたいということでしたが、私たちはもちろん大藏大臣よりも前に、政府職員の給與改善は一日も早くしなければならぬということを痛切に感じ、かつこれを主張しておつたものであります。ただ問題は今度出したベースとその内容にあるのであります。われわれはベースとその給與の方法が正しければ、当然ただちに賛成したいのでありますが、それが問題なのであります。そこで私はこのベースをきめた政府の考え方の根本的な点を一つお伺いしたいと思うのであります。すでにお読みになつて御承知だろうと思いますが、マツカーサー書簡は、政府職員の福祉並びに利益のために、常に十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負うているということと、それゆえにこそ公職が威嚴と権威と永続性とを具えており、公職につき得る機会が廣く一般から好ましい特権として認められ、かつ求められていると言つているのでありますが、私はこういうものから解釈しますれば、民間の賃金水準と比べて、これと同じもの、ないしはできればそれ以上のものであることが望ましいと解釈するのであります。今度政府が出した資料を見ましても、全國工業労働者の平均賃金は、八月にすでに五千四百五十九円になつている。それ以後十一月までに当然上つております。それなのに今度の五千三百円ベースは、一月に比して三割程度の上昇しか見ていない。民間賃金水準に比べれば、はるかに低いものしか見ていないというその考え方をお伺いしたい。そしてまず民間賃金水準より低くてもいいのか、それから民間賃金水準と、同等もしくはそれ以上でなければならぬと考えるか、その考え方をお伺いしたいと思います。
#27
○泉山國務大臣 ただいまの島上さんのお尋ねは、新給與を定めるその基本的な構想、かような点かと思うのでありまするが、これは提案理由にも御説明申し上げました通り、まず第一点はただいま御指摘の通り、マツカーサー元帥の勧告によつて、この度國家公務員法が改正せられまして、從いまして公務員諸君の地位がかわつて参つたのであります。まずこのことにつきまして深く認識いたしますことが一つ。他の一面にはこれまたただいま御指摘の通り、民間の給與水準と官公吏の給與を均衡をとるように配慮いたす、かようのことであるのでありまして、三千七百九十一円の今日の官公吏諸君の給與は、まことに低すぎるという認識の上に立つものであります。以上大体において二点の構想のもとに、他のいろいろな関係を考慮いたして決定いたしたのが、本法案の五千三百三十円であるというように御了承願いたい。
#28
○島上委員 それから私は、この賃金ベースをきめるについては、民間の賃金水準並びに物價水準等を勘案して、官公吏の生活にはこれだけの金が必要だ。たとえば六千三百七円なら六千三百七円、われわれは六千六百円を考えておるのですが、これだけの給與が必要だ。それをまずきめて、それに必要な財源を探す。こういうふうな考え方を持つておるのか。それとも、この資料によりますと、財政上の負担能力に制約されておる云々ということを書いてあるが、これだけ予算があるから、その予算の範囲内でこれだけやる。そういう考え方なのか。それをはつきり伺いたい。私たちは、民間賃金水準、物價等に比べて、どうしても六千六百円なら六千六百円の賃金は必要だから、それに必要な財源を探す、こういうふうにするのが必要であつて、財源が五百億しかないから五百億の範囲内でやるとか、三百億だから三百億の範囲内でやるということは、考え方が轉倒していると思うが、その点をお伺いいたしたい。
#29
○泉山國務大臣 まことにごもつともな御意見でございまして、政府といたしましても、その間に、財源の範囲内でやる、かような構想だけではなく、もちろんその賃金の構成という観点から立つておるのであります。しかしながら財源との見合いという観点に立ちますことは、これまた当然でありますが、他の一面におきまして、物價並びに賃金との関係、この点には深く留意をいたしたのでありまして、もしかりに上げ過ぎるというような結果に相なりますときは、島上さん御承知の通り、物價も高騰をいたしまして、せつかく上げました賃金もその効果は逆効果と相なる。かようなことを深く懸念いたしますので、いわんや財政的措置において、あまりに高きに失する場合には、必ずやそこに財政上のむりがかかりますので、それがまた物價を高騰せしめる要因になる。かようないろいろ複雑した観点にありますことを御了承願いたいと思うのであります。
#30
○館委員 大藏大臣に簡單に一つお尋ねしますが、人事院案の六千三百七円を政府は受諾をしておらないのでありますが、この人事院案の六千三百七円は、徹底的に政府では惡いということで受諾をしなかつたのかということをちよつと聞きたい。
#31
○泉山國務大臣 お答えいたします。政府におきましては、五千三百三十円を適当と認めてこれに決定いたした次第であります。
#32
○館委員 それでは質問いたしますが、大臣の説明要綱の中に、目下の財政事情ということが大きく取上げられておりますが、物價体系に及ぼす影響というものよりも、財政事情というものを取上げておる。そうして結論のところへ行つて、財政の許す限りの給與改善をはかるということの説明から受ける印象というものは、人事院案がいいとか惡いとかということでなくて、單に財政がこの通りであるからというような印象を受けておるのであります。また世間一般もそういう印象を受けた。そういう場合に、政府は五千三百三十円というものが、最も現実の給與水準の上において適当であると考えて、確信を持つておるのかどうか。持つておらないならば、次の第四回の國会の本格的な審議のときに、また追加予算を出すような、そういう不確定な心持からの五千三百三十円ではないかということを、われわれは考えざるを得ないのですが、その点はどうですか。確信を持つておられるのですか。労働者の給與は五千三百三十円で維持できるという確信を持つておるのかどうか。はつきり聞きたい。
#33
○泉山國務大臣 十分確信を持つておる次第でありますから、御安心願いたいと思います。
#34
○赤松(勇)委員 ちよつと確認しておきますが、さつきの相馬君の質問に対して、大藏大臣は、今度この予算案が修正もしくは否決になつた場合には、何らの緊急措置もしくは暫定措置を講じないということをさつき言われたが、それは確認できますね。重要な問題だ。
#35
○泉山國務大臣 重要な問題ではないようでありますから……。
#36
○館委員 大藏大臣は、五千三百三十円という賃金水準で、十分に労働者が食えるということを断言されたものであるということを私は信じておる。從つて、第四回あるいは正月解散後の國会においても、こういうものの追加がないものであるということを、大臣は確言されたということを聞いて私非常に驚いておるのであります。そういうことでありますけれども、実際において労働者の生活は食えないという現実の事態はおおうことのできないことであります。私は、それに関連して、さつき相馬君の質問の中に、暫定措置を講ずるか講じないかというような話があつたのでありますが、この暫定措置を講ずるか講じないかという相馬君の質問の中に、北海道の例の石炭手当あるいは寒冷地手当については、当局が何か言つているらしい。それがどうも暫定措置を講ずるか講じないかということに関連性を持つて、相馬君が質問しておられる。私もその点に非常に疑念があるのですが、予算委員会かどこかで、政府が祕密会を開いて、石炭手当あるいはその他の問題についての何かお話があつたようです。これは人事委員会としても、その点について直接はつきり聞いておく責任があると私は思うのでありますが、ここで、その相馬君の質問に関連し、さらに石炭手当及び寒冷地手当の問題に関連して、この人事委員会においても聞きたい。もし言えないならば、祕密会を開いてその間の事情を明らかにしたいと思うのであります。これは單に石炭手当及び寒冷地手当の問題ばかりでなく、われわれは五千三百三十円ではとうてい納得できない。それに関連性を持つて、その祕密会においてそれらの事項を審議したいという氣持である。われわれはこの五千三百三十円に賛成できないで、赤松君の意見ではないが、これが否決あるいは審議未了に終つたときにおける政府職員のこの暮における状態というものを考えますときに、今私が提案した祕密会の提案を取上げられて、はつきりその場で吟味しなければ、私たち人事委員会としての役目が勤まらない。こう思うのであります。
#37
○赤松(勇)委員 関連して。さつき確認を求めた際に、大藏大臣はこれは大して重要な問題じやないと言つておるが、二百五十万の官公吏は、正月を目の前に控えて食うや食わずにいるんだ。そういう場合に、五千三百円ベースによる予算案というものが、重大な修正を加えられたり、あるいはこれが否決になつたときには、政府として予算編成の義務がある。予算編成権は國会にあるのじやない。政府にある。マツカーサー元帥の意見、あるいは今度の國家公務員法の第一條にわれわれが規定せぬでも、当然政府は二百五十万の官公吏に対して親心を示す責任がある。それにもかかわらず、今の言葉は何だ。今の大藏大臣の言葉によれば、大して重要な問題でないという。大して重要な問題でないということは、もう一度あなたは言つてごらんなさい。これは重大な問題だ。
#38
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。赤松さんのただいまの御発言はまことに重大な御発言であります。私の申し上げたのは、先ほどのお尋ねにただいまお答えするのはさほど重大でない。かように申し上げたのでありまして、そのこと自体は重大であることは、私万々承知いたしておるのであります。
#39
○前田(種)委員 私は行政整理に関しては、公務員二百五十万に及ぼす影響がありますので、行政整理の問題については、十分本委員会で檢討を要する職務が與えられておると思いますので、行政整理に関するところの根本的の政府の方針を、もう一度本委員会を通じて明らかしていただきたいと思います。担当の岩本國務相の明確な、この点についての方針を示していただきたいと思います。
#40
○岩本國務大臣 ただいま行政整理の構想についてお尋ねがございました。きのうの本会議でお答えしたことでありますけれども、根本観念としては、日本の今日の経済状態から考えまして、國民全体が――公務員といわず、あらゆる全体が根限り、精限り働くという体制をとらなければ再建は困難である。この見地に立つのであります。しこうして今回公務員の給料問題等が論議せられております。私は予算関係当局者ではございませんけれども、できることならいま一息の待遇を與えたいということについては、何人も異議がないと考えます。それは財政上の都合ということが大きくあると思うのでありまして、そういう面から考えて参りますと、行政整理というものが絶対必要になつて來る。しかし行政整理をいたしまする場合においては、その裏づけであるところの退職金の問題とか、あるいは就職の問題、要するに善後処置というものが非常に重大な関連性というよりは、不可分一体のものがあるわけでありまして、これは非常に困難な事柄でございます。しかも從來行われましたような予算定員で、出血を見ないで云々ということであれば別でありますけれども、眞劍に実人員から相当数を行うという場合においては、これは相当重大な問題であります。しかしながらこれは不可分と考えまするがゆえに、どうしても両方を立てなければなりません。そこでたとえばかりに退職金の問題にいたしましても、これをどうはじき出すかについては、相当困難性がございます。たとえば十年在職された方が大部分よすのか、あるいは三十年勤務の方が多くよされるのか、あるいは入り立てのお方がどうかということによつて、退職金の規定の上から言つても、金額の上にも莫大な相違が起つて参ります。しかし退職金と申しましても、從來規定にあるところの方法だけでは、政府みずからがむりに整理をするという場合には、それだけでは済むまい。こういうことから構想いたしますると、金かさの上でも相当のことを考える。それを一時資金的にいたします場合には、その反面インフレという関係も起ります。でありますから、これは長年にわたる交付公債とか、これはまた構想でありますけれども、相当むずかしい問題がございます。しこうしてまたそのほかにもつと大きな問題は、就職の問題、これはたいへんなことでございまして、しこうしてこの裏づけ問題について、ただいま各方面へ問合せもしくは聽取中のことでございますので、それがきまりません以上は、政府の最終閣議決定とはなりません。從つて昨日は特に行政管理廳長官としての構想を述べろという質問でありましたために、私の構想しておる点を申し述べたような次第でございます。しこうしてここに再びきのうのような説を繰返しませんでも、人員の上においては、大体構想するところは一般会計で三割、特別会計で二割、公團二割、それから地方公共團体が政府に順應してもらつて二割の整理を期待する、こういう建前で申し上げたのであります。しかしかように人を減らせば、今のこの複雜煩瑣な仕事のままでは仕事ができませんので、それとタイアツプして機構の強力なる簡素化、しこうして事務のこれまた徹底した簡素化と迅速化というような問題を取上げておる次第であります。しこうして機構の簡素化の上において大きく浮び出る問題は、これは皆さん多年いろいろ御研究、論議になつております地方出先機関の徹底的な整理、あるいはまた地方委讓事務整理のうちには廃止もあり、委讓もございますので、それらとどれとどれとは、どう委讓してどれとどれとは廃止すべきかという点も、相当に研究を遂げておるような次第でございます。あるいはまた事務の上から申すならば、これまた問題の各省共管になつておるものを、つとめて一省が責任を帶びて解決する。たとえば相談がありましても、その省が責任を帶びて他省との折衝をするというような問題もきまりをつけたい。あるいはまたいろいろございますが、そういうふうに、機構の徹底した簡素化、事務の徹底した簡素化並びに迅速化、かようなものとにらみ合せてこの問題を解決したい。しかしこれを放つておきますと、そう言いながらだんだんと人員がふえて参りますために、ここで法律の名前はむずかしいのでありますが、略していえば今日以後のストツプ令――行政組織法の実施が四月一日でありますから、それまでの間において定員の増加とか、あるいは変更とかいう問題についてのストツプ令とも称すべき法律案を、ただいま実は折衝中でございますが、明日あたりは提案ができると存じます。しかして構想としては、一月末までに一切の準備を整えて、三月末までに一切の完了を遂げることを期待しておるようなわけであります。官制上の処置については、各省設置法及び定員法の中へそれを織り込みまして、四月一日よりは一切が整うという態勢でもつて参りたい。かように考えておるような次第でございます。なおその他具体的にわたりまして、この点がという御質疑がございました場合にお答えしたいと存じます。
#41
○前田(種)委員 今の國務大臣の答弁に対してさらに私は質問したいと思いますことは、行政整理をやらなくてはならぬということを諄々と説明されましたが、問題は肝腎な退職金の問題、就職の問題がなかなか困難で簡單に行かない。しかもこの関係は不可分である。私は政府として言わなくてはならない点が逆になつておると思います。なぜかと申しますと、六十万近くの行政整理をやることになると、結局二百七十万の公務員に対して大きな不安を提供したわけです。この不安を解除するためには、どうしても退職金の問題、就職の問題、いわゆる失業対策――とにかく万全な対策はなくても、應急の対策を先に示して、そうして行政整理をこうしてやるということでなければ、公務員はその不安がつのる一方で安心ができないと考えます。今日日本は戰爭のために國土は半減され、しかも人口は八千万で、年々何百万とふえるというような現状であり、しかも経済はまだ確立されていない。八千万の國民は外地には行けない。この狹い國土で、お互いが苦しい中で生活しなければならぬという今日の日本のみじめな現状のもとにおいて、しかも一方において行政整理をやる。しかも政府の行政整理に見ならつて、民間企業も大々的に企業整備をやるということになつた場合に、一体職を失つた大多数の國民は、どうして生活して行くかということを、まず考えてやらなくてはならぬと私は考えます。私はりくつの上においては合理的な企業整備、合理的な行政整理をやつて、もつと能率的にやるということを考えておるのです。しかし今日のような移民はできない。外地には行けない。國土は半減されている。経済は軌道に乘つていない。しかも人口はどんどんとふえるという日本の現状を見て、理想に近いような行政整理をやろうとしたり、あるいは企業整備をやろうとすると、大半の者を失業者として――一体その失業者をどうして救済するかということが確立されない限りにおいては、無責任に、むやみやたらに行政整理をやり、企業整備を主張するということは、為政者として愼まなければならぬ問題だと私は考えます。だからどうしても行政整理をやらなくてはならぬという政府の決意はわかりますが、それに先行するものは、どうしてもその就職のあり方、退職金の問題、いわゆる前段をなすところの國民生活の問題を、どういうふうに考えておるかということについて、國務大臣は正直に、容易ではない。なかなか成案は得らないと言われておりますが、得られないというだけで、行政整理を思い切つてやることは、これまた冐險だ。あるいはそうしたやり方は、見ようによつては今日選挙を前にして、民自党ができもせぬことを強く主張しておるというようにもとれる。しかし私はそうはとりたくないのです。実際日本の置かれておる現状から見て、失業の問題、あるいは二百七十万の公務員の生活不安の問題等を考えてみると、どうしても政府としては、行政整理をやろうとする場合は、もつと親心を持つて、万全な対策でなくとも、こういう対策をもつて、國民に対してもがまんしてもらいたいということを、はつきりと示さなくてはならぬと思いますので、なかなか容易ではないと言われましたその対策について、もう一度大臣の信念なり、政府の方針を承つておきたいと考えます。
#42
○岩本國務大臣 ただいま前田さんのおつしやつたことは、一々ごもつともであります。おつしやる通りに私も確認いたします。從いまして御趣旨に沿うような意味において日夜苦慮中でございます。しからば問題は、そのことが整わないうちに構想を発表するのはどうか、これも御意見の通りそういう見方もございます。但しきのうは構想いかんということで問われましたために、今まで進んでおりますありのままをお答えしたことであります。しかしながらときには、政府としては不見識にはなりましようけれども、要するに退職金の問題、あるいはまた失業対策、就職の問題、これが整わなければ、実は構想は持つておつても行えないことでありまして、これこそ不可分と私は考えておりますので、それが前後したということについては、ただいまおつしやいましたような御主張も、相当当然な理論を含んでおります。從いましてそうしたことの完璧を期するために、ときを問わず、これから両方タイアツプして発表ができますように全力を注ぎます。但しこの問題はまつたく重大でありますから、國家再建のために御意見等がございますならば、どうか超党派的に、どしどし政府に向つてもお示しを願いまして、皆樣のお力も借りて最善の策を案出したいと存じております。但し御意見の点はごもつともでございますので、十分深く善処する考えでございます。
#43
○前田(種)委員 今の点はこれ以上ここで應答してもあれですから、さらに別の機会に私の意見は十分申し上げたいと考えます。もう一点承りたい点は、先ほどの数字の中に特別会計二割、公團二割、それに準じて地方公共團体二割、一般会計三割という構想であつたのですが、現業関係の問題、いわゆる特別会計の二割――現状においても特別会計の面においては、特に現業廳においては人が不足している、もつと入れなければならぬという部署が國鉄、全逓その他にもあるのです。特に労働基準法を守つて行く上においては、どうしても手不足だという現業廳がたくさんあります。今回國家公務員法の施行とともに、直接には労働基準法は施行されないことになつたのでございますが、少くとも労働基準法の精神はこのまま、あるいはこれ以上のものが、國家公務員法の待遇の上において、基準として施行されなくちやならぬと私は確信いたします。そういう意味から行きまして、現業廳関係で二割を減らす、一方には労働基準法に準拠して行かなくちやならぬ。あるいはこの法律は適用外になつておつても、公務員の待遇の面においては、どうしても基準法に盛られておりますいろいろな問題を、政府は取上げて行かなくてはならぬと思います。しかしこの点で今のような過渡期であるから、公務員に関する限りにおいては基準法は適用せぬことになつているから、そういう点からがまんしてもらわなければならぬというような政府の方針が、基準法に準ずる内容は嚴として守つてやつて行くという方針であるのか、そういう点について大臣の見解を承つて置きたいと考えます。
#44
○岩本國務大臣 三割とか二割とか申し上げましたことは、一つの型を申しているのでありまして、昨日の本会議でも申し上げましたが、法令によつて、あるいは実際問題として皆無、一%も引けないという面もございましよう、しこうしてまた三割と申しましても、実情に照して、三割五分でもいいかと思うようなふしのところもございましよう。だからそれは一つの構想を申したのでありまして、そうした実際問題は、係がきまりましてから愼重に檢討した上で善処をしたいと考えております。しこうしてまた労働基準法を無視するか、あるいは全面的にこれを受入れるかということでありますが、実は個々の整理問題を完成するためには、ただいまある法規のほかに、別に何か方途を講じなければ実行できない面もあろうかと存じます。そういう点もただいま研究中でございます。しかしながら労働基準法そのままを受入れるのか、あるいは全面的にこれはかまわずに出しぬけにやるのか、こういうことに対しては、基準法の精神も深く翫味しつつ、すべてにがまんを願う点は願う。それは大いに考慮した上で、いろいろと編み出して行きたい。かように考える次第であります。
#45
○前田(種)委員 今の大臣のお言葉の中に、基準法その他の問題の法規以外に、別の方途を考えるというお言葉がありましたが、それは私の直感した氣持から行きますと、別の法律をこしらえて対処したいという意味ではないかと私は考えます。今の意味がその通りであるならば、別の法律をこしらえようという政府の考え方は、基準法その他のもの以外の、官公吏に適用する法規をこしらえようということであろうと思いますが、もしそうである場合には、今基準法に盛られておる内容よりも改惡されないようにわれわれは希望したい。特に公務員の地位が團体交渉権もない、罷業権もない、政治行動も許されないという公務員法が改正になつた以上は、そうした労働基準法の面における待遇というものは、ある程度確保しなければならぬということは、これは論をまたないところでありますので、もしそういう特別の法規をつくろうという構想でありますならば、ぜひともその内容は基準法以上のものでなくてはならぬという考え方を強く持ちますので、もしそういう構想のもとに、別途の方途を考えるという政府の意図がありますならば、もう一度その点を明確に御答弁願つておきたいと考えます。
#46
○岩本國務大臣 少しお聞き違いじやないかと思うのであります。労働法規の改惡とか、改正とか、そういう意味で私は申し上げておるのではなくして、ただいま申し上げましたような構想を実施に移す上において、どうも人事院の関係とか、あるいはその他いろいろな関係で、これを法律的にしなければ実行ができない、こういう面がことによれば起るのではなかろうか。そういう場合にはつくりますということでありまして、その趣旨は、この整理が今までの何かの法規に牴触してできないという場合、どうしてもこういうふうにしなければいかぬという場合の構想を申し上げたのでありまして、その中に今ある労働法規を改めようとか、どうとかいう意味においての新しいつくり方ということではないことを、はつきり申し上げておきます。
#47
○前田(種)委員 そうすればなおはつきりしておいてもらいたい点は、そういう別の法律をつくりたいという構想は、今の第四國会に提案する意思があるかどうか。もし次の國会ということになれば、議会解散後であれば、早くても二月、おそければ三月になります。先ほど國務大臣は三月末までに行政整理を完了したい政府の方針であるということを言われましたが、もし法律をもつてそうしたことをやろうということで、しかもそれが今議会に提案されない。二月もしくは三月にならなければ、そういう法律は出て來ないということになれば、三月末日にそういうことができないということになりますので、今議会にそういう法律を至急につくつて出す意思があるかどうかということを承つておきたいと思います。
#48
○岩本國務大臣 どうも少し食違いがあるように私は感じられます。つくりたいというのでは決してなくして、つくらなければいけないという面が、何か事務上に起る場合があつたときには、そういうことになるかもしれないのじやなかろうか。しかし從來の行政整理というのは、歴代内閣でときどき行われました。但し私の構想のような大規模なものではありませんでしたけれども、小規模においては歴代内閣である程度は行われたのであります。そういう場合には、別に法規もなく、法律もつくらずして、閣議決定か何かでもつて、こういう構想でというような行き方で行われたようであります。從いまして私どもも法律も何も要らずに、理想とするようなものが行われる場合に、あえてつくろうなどということは一つも構想いたしません。今まである法規の中で何かさしさわりがあつて、こういうふうに直さなければ法律対象の上から言つてまずいという場合にのみつくるということであつて、つくらずに行えるなら、それを理想とするわけであります。どうぞさように御了承を願いたいと思います。
#49
○相馬委員 岩本國務大臣にお尋ねいたします。前田委員が申しましたように、今度の出血整理をするためには、大臣も言つておるように、一時金の問題とか、就職とか、前提が必要だ。それが解決しなければやれない。率直にあなたが認めておられることに対しましては敬意を表します。しかし今の内閣としてどうしてもやるとおつしやる。それらの関係の見合せから、一体いつごろにやられる決意を持つておられるのか。この前提を解決していつごろやられるのかということを一点お聞きしたい。
 それから昨日の本会議で堂々たる雄弁をお聞きしました。しかし私一個の構想であるとおつしやつていることを聞きました。しかしながら事は非常に重大なんでありまして、一方労働大臣は、整理のようなことはやるけれども、出血はさせない、配置轉換のようなもので解決するというやの答弁をしております。総理も言うておるそうでありますが、そうして來ますと、あなたとしては閣議決定をとる自信があるかどうかという問題。もう一つは、あなたたちと同じ党の辻寛一君の御質問に対して答えられておるのでありますが、これは間違つたらお許し願うのでありますが、あなたはプリントを用意されて、堂々と答弁をされたということを聞いておるのであります。これは聞かれたからそこでぽんとやつたというのじやないということを意味するのでありまして、相当熟慮せられたところだと考えております。そこで閣議決定をとり得る自信があるかということをそれにからんでお答え願いたい。
 それから三点は、一時金の問題で、先ほど何やら公債云々ということを申しましたが、これは現実の社会からは、官公吏が首を切られてわずかばかりの金をもらい、あとは公債というようなことでは、これはもらわないのにひとしいのでありまして、問題としては、どういうふうに就職させるかということになると思うのであります。從いまして一時金、それから就職の問題に関して、あれだけの構想を発表されるのでありますから、労働大臣、大藏大臣とも、十分打合せの上と私は了解するのでありまして、このことについてもう少し具体的に、一時金並びに失業救済、すなわち就職の件についての、あなた自身のだけでもよいから、構想をお尋ねしたいということが三点であります。
 その次は、官公吏の整理と申しましても、いろいろやり方があると思う。しかし大臣のおつしやるところでは、持ちまわりの判こ主義はやめるというのですから、私は課長とか、局長とか、上の方の人を重点的に首を切るのだと一應は了解しておるのでありますが、事実私の考えておる通りなのかどうか。
 もう一つお聞きしたいことは、前田委員も触れられましたが、これらの行政整理をするについては、この民主主義の時代においては、整理委員会というような特殊のものをつくつて、すなわち全官公廳の下層の官吏をも委員等に加え、それから学職経驗者等も加えた最も合理的なものが必要だと思う。そういう構想があるかどうか。
 それだけのことなんですけれども、なおこのことは、私はあなたの構想に全面的に賛成であるから聞いているというふうに了解願つては困るのであります。私は全面的に反対なんですけれども、それだけの構想をされたので、以上四点についてとくと御見解を承つておきたい、こういうわけであります。
#50
○岩本國務大臣 お答えを申し上げます。第一の問題は私の構想をいつごろまでにまとめるか、しこうしてこれを閣議を確定せしめる確信があるかどうか、この二点をあわせて申し上げます。いつごろということでありますが、これはすべての確信がすつかり整い次第、最もすみやかに処理したい。大体いつごろと日は申されませんが、すみやかにということで御了承願います。それから閣議を通す確信があるかということにつきましては、私としては確信を持つております。
#51
○相馬委員 あなた一個の信念ですか、具体的に打合せの上ですか。
#52
○岩本國務大臣 打合せとか、打合せないとかいうことは私の確信をお聞きでございますから、私の確信を申し上げているのであります。
 次は公債云々ということでありました。これは仮定の話を申し上げたのでありまして、要するに一ぺんに大勢の整理をいたしますと、退職金の問題にいたしましても相当の額に及ぶのであります。だからある程度は――もちろん困難ではありますが、一時的に與えることが当然であろうと思いますけれども、それ以上の特別手当をする場合においては、何か交付公債的なものでも考えなければならぬのではあるまいか、これは私の考え方であります。
 それから持ちまわり調印の判を減らすという場合においては、上の方の者を減らすという構想においての、合議制の趣旨かどうかということのようでございましたか、上の者をよけい減らすとか、下の者をよけい減らすとかということの研究については、いまだ未決定で、未確信でございます。
 それからこうした大規模なことをなし遂げるためには、いろいろの層の者を入れて、整理委員会というようなものをつくつて行くことがいいように思うが、そういう構想であるかというお尋ねであります。この点はまことにもつともな意見のように存じますので、今後研究をいたしてみます。
#53
○角田委員長 この際委員諸君に御注意いたします。不規則な発言は御遠慮を願います。発言は委員長の許可を受けるよう、議事規則を御遵守願います。
#54
○赤松(勇)委員 岩本さんにお尋ねいたします。いろいろな議論にしましても、この議論の前提になるのは、あなたがきのう本会議で御発表なさつた一般会計三割、特別会計二割、公團二割、地方公共團体二割、こういう集約された数字が、はたして合理的な、科学的なものであるかということが問題なので、こういうことがはつきりしなければ、あなたのつまらぬ交付公債の構想など聞いたつてなんにもならない。そこで私はお尋ねいたしますが、あなたのきのうの本会議の説明を聞いていると、芦田内閣当時に、総理廳の官僚がつくつた数字を、そのまま発表されているような感じがする。もしそうでなくて、あなた独自の立場から、この数字が科学的に調査され、科学的に集約されているとすれば問題は別でございますか、一体どういう調査資料に基いて、こういうような重大な、二割、三割というような、天引行政整理の構想が生れたのか、その点をお聞きいたします。
#55
○岩本國務大臣 要するに実員の人員を見ます上においては、完璧無欠とは言われないと存じます。ただ行政管理廳で推定いたしております一般会計においては何分の欠員、あるいは特別会計においては何分の欠員、それらについても若干の資料はあろうかと存じますが、相当の確信をもつて調査をさしたわけであります。もしその調査方法についてのお尋ねであれば、政府委員に答弁さすことにいたします。しかしてまたお尋ねのうちの何割という問題について、科学的に云々という仰せでありますが、それは科学的であるとも、あるいはまたそうでないとも言われないのであります。
#56
○赤松(勇)委員 要するにあなたの今の御返事は、総理廳の統計によらずして、岩本さんがそれぞれの機関を通じて御調査なさつたのだというふうに了解いたします。しからばお尋ねいたしますが、國務大臣に対してこういう失礼な質問はいささかどうかと思いますが、私非常にうかつな人間でありまして、よく忘れるのですが、岩本國務大臣が行政整理を担当される職におつきになつたのはいつでございましようか。
#57
○岩本國務大臣 ちよつと日を忘れましたが、ただいまこういうことになつております。工藤國務大臣が行政管理廳長官であるわけでありますが、病氣の関係で事務が見られません。それで私が事務取扱ということで指名を受けたのでありますが、日をちよつと忘れましたから、もう一度調べてあとでお答えいたします。
#58
○赤松(勇)委員 先般私が吉田総理に質問いたしました際に、吉田総理も、増田労相も、今工藤國務大臣が病氣のために、早急にひとつ岩本國務大臣あたりを起用してこれに当らせたいということを御答弁なさつたのは、たしか十五日ばかり前だと思う。あるいは十日ほど前かもしれませんが、そうだといたしますと、おおまけにまけて十五日といたしましても、あなたが御就任になつて十五日の間に、こういうような調査がはたしてできるものか、できないものかを考えました際に、私は十日や十五日で、あなたがお調べになつたこの資料というものは決して合理的な、科学的なものではないと思う。一体あなたは、全國の公團から公共團体あるいは現業、非現業から全部お調べになつたのですか。どういうふうな方法でお調べになつたか。あなたの構想を御発表なさつたついでに、その調査のやり方についても御答弁願いたいと思います。
#59
○岩本國務大臣 日が短いうちにつくり上げたということですが、確かに長くかけて愼重にすることも結構なことであります。しかし現実の問題は、短い期間に私の構想をまとめたわけであります。しかして資料についてはそれぞれの向きに尋ねたのでありまして、今のところ御質疑のような点は議論にわたろうかと存じます。
#60
○赤松(勇)委員 よくわかりました。ただいま國務大臣から、十日か十五日の間にとにかくあらゆる努力を拂つて調査したものである、それ以上とやかく言うことは議論にわたるとおつしやつたのですが、一般会計三割、特別会計二割、公團二割、地方公共團体二割、昨日の発表では六十万人以上だと思いますが、家族を入れて四人としますと二百四十万人の人間である。この人たちを街頭にほうり出すか、ほうり出さないかというこの重大な問題を、あなたは神様ではない。神様だつてやれない問題を、十日や十五日の間にこれを調べる。そんなばかげたことがはたして許されますか。これも先ほどわが党の前田君が言つたように、民主自由党が総選挙を前にして、行政整理をやるのだということによつて、小市民やその他の人氣を得ようとする、いわゆる選挙の対策だと言われても、これは何も答弁できないと思う。もしそうでないとするならば、十日や十五日間で、どうして地方公共團体、公團、あるいは一般会計、特別会計を通じまして、こういうような六十万人の首を切るというようなむずかしい調査ができますか。そういう無責任なことを、昨日もいやしくも本会議で発表し、今もこの委員会であなたが答弁されることは、はなはだいかぬ。
 そこで私はさらにお尋ねいたしたいのだが、その十日か十五日の間に、一体どういうような機関を通じて、どのような調査をされたか。少くともこういうような発表をされる以上は、こういうような方法で、こういう合理的な調査をしたということの答弁をなさるのが、あなたの責任だと思います。重ねてあなたの調査の方法なり、あるいはどういう機関を通じてどういうふうな具体的な調査の結果、こういう数字の集計が出たのだということの、眞相を明らかにしていただきたいと思います。
#61
○岩本國務大臣 十五日とか、十四日とかいう期間は短いとおつしやいますが、それは行政管理廳にいたしましても、あるいは総理廳の人事課にいたしましても、各方面に資料がございます。しかしてそれを何割引くかということについては、これは政治家の認定でありまして、――だからそれには議論の余地があろうと思います――でありまして、ただいまの御意見はあなたの御意見として愼重に拜聽いたしておきます。
#62
○高橋(禎)委員 先ほどどなたかの御質問があつた点でありますが、岩本國務大臣は行政整理の善後措置として、退職手当の問題と失業対策の問題とは、結局不可分一体のものである。そして退職手当をどうするか、失業対策をどうするかという問題については、目下苦慮中である、政党政派を超越してこれに協力してくれ、というお話であつたのであります。その失業対策、就職の問題について、少くとも今日まで苦慮したその結果、大体整理したものをこの方面に向けようと考えておるというような、そういう点について多少具体的にお考えになつた結果が得られたかどうか。全然何も持たないで、ただ協力してくれ、みなの教えを受けるのだというふうなお考えであるか。その点についてお伺いいたしたいのであります。
 第二点は、この國家公務員法は、政府職員が職を離れました場合に、その後の生活を保障するということをもちまして精神としておると考えるのでありますが、その点を確認されるかどうか。二点についてお伺いいたします。
#63
○岩本國務大臣 お答え申し上げます。数回お答えいたしておりますように、善後措置というものは非常に重大でありまして、ただおつぽり出すという行き方は考えないのであります。就職問題及び手当の問題、この二つから固めて参らなければなりませんので、もちろん構想を話せとおつしやれば、公共事業とか、貿易振興事業とか、いろいろ考えられるわけでありますけれども、それには具体性がございませんので、このことは追つて適当の機会に、別の機会にお答えしたいと存じます。
 それから第二の問題はちよつと聞き漏らしましたが……。
#64
○高橋(禎)委員 國家公務員法は、政府職員が本人の意思に反して職を離れるという場合、もしくはその他の都合で職を離れるときに、少くとも懲戒処分でない場合、その後の生活を十分確保するということを精神としておると私は思うのです。その点について大臣は十分に考えておられるか、こういう趣旨です。
 それからただいまお答えになりましたついでですから、なお重ねてお尋ねしておきますが、別の機会に答えるとおつしやるのですが、現在具体的なものをお持ちになつておるのか、いないのか、それをお伺いいたします。
#65
○岩本國務大臣 第一の問題の方は、目下のところ具体的のものを持つておるとは申されませんので、この点ははつきりいたしておきます。但し各方面へ意向を問合わせ、もしくは聽取中であることは事実でございます。そういうものがまとまりましてから、お答えをいたしたいと存じます。
 それから第二の問題は、仰せられるところが非常にごもつともでありまして、お話のような趣旨において愼重を期したいと、かように存じます。
#66
○角田委員長 この際おはかりいたしたいことがあります。本日理事の玉井祐吉君が理事を辞任せられましたので、理事の補欠選挙をいたさなければなりませんが、これは前例によりまして委員長において指名することに御異議ありませんか。
#67
○角田委員長 異議なしと認めます。それでは館俊三君を理事に指名いたします。
 これにて休憩し、午後二時より開会いたします。
    午後零時五十七分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時四十一分開議
#68
○角田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
#69
○赤松(勇)委員 政府提出の法律案で、ただいま本委員会に提出されておりますいわゆる給與法案でありますが、この問題は全國二百五十万の官公吏に重大な影響がございます。本來申しますならば公聽会を開きまして、十分に関係の諸君の意見を聞きたいのでございますが、日にちの関係上公聽会の開催は不可能であると思いますので、参考人として次のような人の出頭を明後十日にお願いしまして、それぞれの意見を聞きたいと思うのであります。まず全逓の高原晋一君、慶應大学の永田清君、國鉄の大西要君、日本製鉄の永野重雄君、日教組の鈴木章介君、経済團連の石川一郎君、全官労の上野兼敏君、中労委の中山伊知郎君、以上八名の出頭を要求いたします。
#70
○角田委員長 赤松君の動議に御異議ありませんか。
#71
○角田委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。
 本案について大藏大臣の説明に引続き、政府委員より詳細な点に関する補足説明を聽取いたします。大藏省給與局長今井政府委員。
#72
○今井政府委員 午前中の大臣の説明に補足いたしまして、若干技術的な点、ないし事務的な点を御説明申し上げます。お手許に資料を差上げたと存じますが、その中の給與関係経済指標一覧表というのがございますが、これをごらんくださるとはつきりいたしますように、民間賃金は一月が税込みが二千九百五十一円、これが漸次上りまして九月が五千八百四十一円に相なつております。これを指数で現わしますと、一月を一〇〇として九月が一九七・九に相なります。なお一番上の覧にあります消費者物價指数、いわゆる俗に申すCPI、これは一月の二八六・五が九月は四一七・八、一月を一〇〇としまして九月が一四五・八、すなわちCPIの足取りより、賃金の足取りの方が高い、こういつたことが本年の特徴に相なつているわけであります。申し添えますが、昨年は九月にちようどCPIが倍額に増加いたしましたが、本年はそれが半分以下にとどまつているということが、本年の経済の特徴に相なつております。なおその次の欄にあります消費者價格調査生計費、一世帶当りの毎月いくらかかるか、この数字が、一月が六千四百九十七円でありましたが九月に九千二百十円に相なつております。この実際にかかつた生計費を物價の上つた割合で割りますと、そこに消費水準というものが出て参るわけでありますが、それが下から三つ目の欄にございます。これを指数で現わしますと、一月を一〇〇とした場合に九月が一〇〇・四、鉛筆で直してありますのは、これは実は日数が月によつて違いますので、それを調整したものであります。すなわち國民の消費水準は一月以降はほとんど動いておらない。実に落ち着いておるということがはつきりわかるわけであります。そこで官公吏の給與をどこにおくかという問題でございますが、官公吏ももちろん労働者でございますので、この勤労統計に現われました実質賃金の向上というものを考えなければならぬことは申すまでもありませんが、同時にまた國民の消費水準も考慮する必要があろう。特に官公吏はその仕事の性質上、物の増産とか、あるいは利益とかというものと見合いませんので、民間の賃金が非常に上る場合にも、それに必ずしも比例すべきでないのではなかろうか。また一面民間の賃金が反対にいろいろな関係から非常に下ります場合にも、また別の角度で動くべき性質をもつておりはしないか。こういつたことが今回の政府案の考え方の骨子になつております。民間の実質賃金は、その一番下の欄にございますように、税込みにしまして一月から九月までの間に一三五、税引きにしまして一四三、非常な向上を示しておるのでありますが、さらにこれを十一月に延ばしますと、これが一五〇以上になつておろうかと推定されるのであります。これを一月に対しまして、大体三割の増を押えましたものが、今回の五千三百円の基礎に相なつております。ただかように申し上げましても、これは單に國民の消費水準の價格と実質賃金の價格とが、一月以降どう動いておるかということを立証しただけでございますので、さらに勤労者の実際の生活水準が、絶対額におきまして、一般國民の消費水準とバランスがとれておるかどうか、こういつた問題が当然起つて参るわけであります。その点は御承知の総理廳統計局でCPSと兼ねまして、七月以降の國民の、いわゆる勤労者の收入調査をいたしました。俗にこれをFISと呼んでおりますが、このFISに現われました勤労者の七、八、九におきましての生活費は、七月が八千九百四十一円、八月が九千九百二十三円、九月が一万二百八十八円、かように相なつております。達観いたしまして、國民の消費水準と勤労者の水準はおおむねバランスがとれておると、かようにも考えられるのではなかろうかと存じておる次第であります。
 そこで具体的な問題に入るのでありますが、今回の政府案は、人事委員会の勧告を極力尊重する建前と、なお人事委員会の勧告の内容がわかりましてから初めて作業いたしました点等もございますので、基本的な考え方は人事委員会の考え方を基礎にして出発しております。人事委員会の今回の案の骨子は、成人職員のいわゆる乙地における七月の生活費を二千四百七十円、こういうふうに押えておるのであります。この二千四百七十円から税金と共済組合の納付金とを控除しまして、手取り二千二百四十円というものが、七月における必要な経費、かような考え方から出発しております。そこで政府におきましても、この二千二百四十円は長い間かかられての人事委員会の御研究の結果でもありますので、これを基礎にして考えたのでございます。ところがこの二千二百四十円は、申すまでもなく七月の数字でございます。七月のCPIはそこにもございますように三九四でございます。八月には若干上つて四二〇になりました。九月には下りまして四一七と相なつております。十月はさらに下りまして四〇七、かようになつております。われわれはこれが十一月には四二六に相なるものと、かように推定をしてそれだけ二千二百四十円をふくらましました。さらにこの四二六が明年三月までにはさらにもう一割上るであろう。從いましてその一割の上り方を中位を取りまして、五%だけの余裕をその上に加えたのであります。そういたしますと、手取りにしまして二千五百四十二円――二千二百四十円という人事委員会の七月の数字は、二千五百四十二円にならなければならぬ。かような結論が出て参つたわけであります。この二千五百四十二円に税金と國庫納金、共済組合納付金、この共済組合納付金は実は職員の性質によりまして、これだけ要らないものもあるのでありますけれども、今一番多いグループを取りまして、両者を加えますと、二千八百三十円に相なります。この二千八百三十円は乙地の成人職員の生活費でございますので、これを例の地域給の率を使いまして、それから一割引きますと、二千五百七十二円という数字が出て参ります。裸の数字でございます。この二千五百七十二円に当りますものは、技術的に申しまして、ただいまの職階制では四級一号ということに相なつております。人事委員会の勧告もさように指定して参つております。それを採用いたしますと、現在そこに当る人は千九百五十円の本俸でございますので、千九百五十円の本俸の人が二千五百七十三円にならなければならない。從つてこれを割りますと、そこに三割二分という数字が出て参ります。三割二分だけ現在の三千七百九十一円ベースの本俸をふやす必要がある。かような考え方に基きまして、むろんただいまの職階制を檢討いたしますと、この増俸割合につきましては、いろいろ議論も出て参ろうかと思うのでありますが、何分にも急ぎました関係、切りかえの便宜等もございますので、この三割二分を一齊に上から下まで均一に乘じました。そうして本俸の差額を出す。かような考え方に相なつております。
 それから次には、順序は悪うございますが、地域給の問題でございます。地域給の点は、現在全官公廳におきまして、一番厄介な、一番解決の困難な問題でございますが、これにつきましては、去る第二國会におきまして御議決になりました法律第四十六号の規定に基きまして、政府におきましては地域給審議会を設けまして、全官公廳の各組合から一名ずつの委員の御参加を願いまして、約四箇月にわたり議論を重ねたのであります。これの最もむずかしい点は、生活水準の違つているものを、どういうふうに調整するかという点でありました。長い審議、いろいろの資料をお互いに持ち寄りました結果、結局四割を最高にしまして、五分刻みで行うことが、この際としては適当である。日教組の一委員だけが、これに対して少数意見として現状維持ということを言われましたほかは、絶対多数をもつてこの案に決定をしたのでございます。そうして政府の方に答申が出て参りました從來の関係もございますので、政府としてはこの案を採用することがこの時代に最も適当である、かように考えまして、地域給はこの案を採用する建前になつて参ります。
 それから次に家族給でございますが、今回の人事委員会の案は、家族手当で家族の生活費を全部まかなうという建前になつておるのでありますが、現在の本俸の支給の仕方には、理論的には議論の余地があるかもしれませんが、本俸の中に勤続によつて昇給して行くという部分、すなわち、家族の生活費をカバーする部分を含んでおりまするし、またそういうふうにいたしまして、だんだん家族手当は減らして行つて、平時経済になつたならば、全部本俸一本にするということは正しい道のように認められまするし、さらに一昨年來わが國に参りました米國の労働事情調査團の報告書の中にも、この点ははつきりうたわれてもおりますので、家族の生活費全額を政府が持つという考え方は、民間の給與の実態その他から考えましても適当でない。民間の実態からいたしますと、おおむねただいま月收の一〇%ないし一五%程度に相なつているように見受けます。今回の人事委員会の給與に対する勧告は、これが約三〇%に相なるのでありますが、政府といたしましては、民間の家族手当の現状等からいたしまして、妻を六百円、家族を四百円といたしたのであります。なおこれと合せて申し上げますと、先ほど申しましたFISの資料によりますれば、世帶收入の中で、世帶主が勤労によつて得ます部分は約八〇%という調査結果が出ております。すなわち家族の中にも收入を得る人があるということが、資料的にも現われている点をここに考慮いたしました。なおもう一言申し上げておきたい点は、すなわちこれが生活費をどのくらいカバーするかという問題でございます。これにつきましては一枚目の表の次の欄にございますように、この問題はやり方が非常にむずかしいのでありますが、われわれの方では便宜本年一月の臨時給與委員会でやりました方式そのままを採用いたしました。すなわち平均家族数を一・五人であるといたしまして、乙地におけるCPS、これの九月は七千八百五十三円でありますが、これを二・五人の家族数に引き直す場合には、昨年以來六一・二五%という数字が普通使われておりますので、その数字を採用いたしますと四千八百十円という数字になります。この四千八百十円は五千三百三十円ベースの税引である四千九百五十七円に比べますと、そこに若干の余裕がございます。一月の臨時給與委員会では、乙地のCPSの九〇%をカバーするという目標で結論が出されたのでありますが、それに比べますれば同じ方式でやりますと、このくらい上つた数字が出て参ります。
 数字的な説明はそのくらいにいたしまして、以下法律の條文につきましてごく簡單に申し上げておきます。今回の法律案は建前といたしまして、去る第二國会を御通過願いました法律である俗に申します二千九百二十円の法律を、そのまま延長するという考え方でできあがつております。從いまして、きわめて簡單な書き方をしてございます。必要な数字以外には全然手を触れないという考え方でございます。すなわち第一條はこの適用者の範囲を、從來の例によりましてきめたものでございます。第二條は法律第四十六号を使うということを單にうたつたものであります。第三條は本俸の表を三割二分の方法で全部増しているということの説明だけでございます。このうちの三号に少しむずかしいことが書いてございますが、この三号の文句は、職階制をとりまして以來、その俸給の幅の外に出ている人間が暫定的に出て参つたわけでございます。この関係はこの前の國会でも問題になりましたが、去る四月の政府対全官公の妥結の際に、例の十六割を確保するという約束がございましたので、職階制の本來から申せば、そのわくの最高を超える俸給は受けられないわけでありますが、それを当分の間十六割をかけて、その額は確保しようという、ああいう約束から出て参つた例外者が若干あるのでございます。その人たちも同じように三割二分の増俸を受けるということを規定したものでございまして、その意味から言いますと問題を含まない規定かと存じます。四号、五号につきましては、これは俗に申します最低年齡保証給という規定でございまして、これは昨年の二・一ストの解決のために設けられました全官公のインフレ対策改善委員会の席上におきまして、一定の年齡ごとに、いかなる職種に從事するとを問わず、ある程度の金額はこれを保証するという約束がございましたが、その約束をそのまま活かしまして、ベースの上つた割合だけふやして行くという意味のものがこの規定になつております。第四條は扶養手当の月額の変更がうたつてあります。なお地域手当につきましては現在の法律四十六号は割合を明示してございません。この割合は別に定めることになつておりますので、この点は法律の改正は要しませんので、予算はさような見地で見積つてございますが、法律の條文は落してございます。附則につきましては特に申し上げる点もないかと存じます。ただ第七條は、法四十六号の有効期間を一箇年延長する。むろん人事院規則が出ましてストツプする場合は別でありますが、一箇年延長するという規定でございます。これは人事院の勧告にもございました線を、そのまま採用いたした次第でございます。
#73
○角田委員長 これにて本案の趣旨の説明は終りました。この際本案審査の参考といたしまして、人事院より提出されておりまする政府職員の新給與実施に関する法律を改正する法律に関する人事院試案について説明を求めます。岡部政府委員。
#74
○岡部政府委員 昨日当委員会の御要求に基きまして、政府職員の新給與実施に関する法律を改正する法律に関する人事院試案というものを、お手もとに御参考に差上げたわけでございまするが、それにつきまして御説明申し上げたいと存じます。
 この人事院試案は申すまでもなく先月九日臨時人事委員会から内閣総理大臣に対して提出いたしました勧告案の趣旨を立化すれば、こういうようになるという案でございます。すなわち勧告案がとつておりまする原理原則を法文化したというまでのことでございます。これを法文化するのには新しい法律の形式をとることも可能でございまするが、また現在の新給與実施に関する法律を、できるだけ適用して行くことも考えられるわけであります。その利害特徴はいろいろあるわけでありまするが、新給與実施に関するいわゆる法律第四十六号は、新給與に関する実施機関といたしまして、新給與実施本部というようなものを設けております。現在のところこの給與の実施に関しましては、やはりこのような新給與実施本部という機関を、暫定的にも利用した方が便宜であるというような考えから、結局そういう観点におきまして、この法律第四十六号の改正案の形で行こう、但しこれは全面的な全文改正の形をとつたわけであります。全文改正の形をとりますと同時に、從來の給與関係の法律、政令等で整理を要するものは、この際整理をすることにしたわけであります。どういう法律を整理したかということは、これを附則において具体的に規定してあるわけでございます。
 それからもう一つの特徴は、しばしば國会において國家公務員法の御審議の際にお尋ねいただいた点でありまするが、この給與の基礎となる勤務條件に関する基本的な原則、これは労働基準法が一應はずれまするが、はずしたあとでこの労働基準法はこれを準用するという建前になつておるわけであります。しかしながら労働基準法はこれをいつまでも準用しておくわけではないので、具体的にその勤務條件は法律をもつてこれを規定するように、議決いただくということを申し上げておつたのでありまするが、この給與に関しましてそれの一番の、すぐ裏づけの基礎になりますものは勤務時間であります。そういうわけでここに勤務時間に関する規定をこの法律案の中に盛り込むことにしたのが一つの目新しい特徴であります。
 その次にこの法律の建前を申し上げますと、これはあくまで國家公務員法の一部をなす――といつては言い過ぎでありまするが、國家公務員法の原則に從つて、國家公務員に関する給與を規定する法律である。こういう建前から、この法律の適用を受ける範囲は、國家公務員法に規定する一般職全部を包含する、特別職はこれを除くのでありまするが、一般職に関する者は、これを包含するのを原則とすることにいたしたわけであります。そういう意味におきまして法律第四十六号よりは、その範囲が廣くなつておるわけであります。
 その次の特徴といたしましては、この給與に関する人事院の権限は、國家公務員法においてその原則が規定されておるわけでありまするが、それの具体化といたしまして、この給與法において、人事院の給與に関する権限をはつきり明示いたしまして、給與実施本部がその実施機関となる点を明らかにした次第であります。
 それからこの法律の正確なる運用を確保する意味におきまして、この法律の三十一條においてでありまするが、罰則を設けることもこれに含ませたわけであります。これがその次の特徴となろうかと思うのであります。
 それから法文の内容についてでありますが、これは先ほども申し上げて來ました通り、勧告案の内容そのままを法文に取入れたわけであります。すでに何回も各方面から御説明がございました通り、給與の基準といたしましては、中等度の労働を営む独身男子職員の生計費を計算いたして、これを標準小都市におけるいろいろな資料に基きまして、二千四百七十円とする。それから第二の基準点としては、最高位の局長とか、次官クラスの給與を、これに対應する民間給與と均衡をとりまして、一万五千五百円と押える。これに理想曲線を求めまして、その間にすべての職位をはめ込んだというのが、その建前になつておるわけであります。この点につきましては御説明申し上げるまでもないことでございます。そういう給與の基本にいたしまして、それに地域給を合理化する、あるいはそれぞれその職務の特殊性に基きまして、俸給の調整額を考える。それから扶養手当につきましては、これは國家公務員法がとつております能率給、職務給の原則とはいかにも相反するようでありまするが、これは國家公務員法が、理想は掲げながらもなお現実の事態を考慮しなければならないことをやはりうたつておるのでありまするが、そのままその精神を具体化したという意味におきまして、現在の経済的、社会的事情のもとにおいては能率給、職務給一本では行けない。どうしても生活給を職り込まなければならない。しからばその生活給の建前といたしましては、家族を扶養するに必要なだけの手当を與えなければならない。こういう理想と現実との調和を、この扶養手当において認めておるわけであります。勤務地手当につきましては、勧告案が採用しておる原則をそのまま法文化した次第であります。その他できるだけ給與の種類その他につきましてもこれを合理化する。それからその他の法律に分散しておりまするような制度、超過勤務手当の問題であるとか、それから休日給の問題であるとか、そういうものをすべてこの法律によつて盛り込んで、できるだけこれを体系化する、給與のあるべき姿にする。この法律はあくまで法第四十六号が暫定的な法律であるという建前におきまして、これを全面的に改正したこの法律も暫定的な法律であり、ほんとうのあるべき給與法は、まつたく別にあらためて御審議をいただくのがほんとうの建前でありまするが、暫定的な法律の建前は、やはり昭和二十四年十二月三十一日限り、その効力を失うということになつておりますので、その暫定的な性質は明らかでありますが、その暫定的な性質の中におきましても、できるだけ給與の合理的な、あるべき姿を織り込まうと努力した案というように御了承いただきたいと思うのであります。
 はなはだ簡單でありますが、これをもちまして大体の御説明といたします。
#75
○角田委員長 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十一時より開会いたします。
    午後三時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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