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#1
第004回国会 厚生委員会 第1号
昭和二十三年十二月四日(土曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 佐々木盛雄君
   理事 村上 清治君 理事 田中 松月君
   理事 山崎 岩男君 理事 野本 品吉君
      内海 安吉君    角田藤三郎君
      師岡 榮一君    山崎 道子君
      金光 義邦君    成島 憲子君
      平工 喜市君    榊原  亨君
      齋藤  晃君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 林  讓治君
 出席政府委員
        厚生事務官   慶松 一郎君
 委員外の出席者
        議     員 太田 典禮君
        厚生事務官   濱野規矩雄君
        專  門  員 川井 章知君
十一月二十八日
 委員山下榮二君辞任につき、その補欠として師
 岡榮一君が議長の指名で委員に選任された。
十二月二日
 松本瀧藏君辞任につき、その補欠として野本品
 吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
 理事大石武一君及び野本品吉君の補欠として村
 上清治君及び野本品吉君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の補欠選任
 國政調査承認要求に関する件
 委員派遣承認申請に関する件
 予防接種問題に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 まず理事補欠選任の件を議題といたします。お諮りいたします。去る十一月二十六日に理事大石武一君、同じく二十七日に理事野本品吉君が委員を辞任されたので、その補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#3
○佐々木委員長 異議なしと認めまして、理事二名の補欠選挙を行います。
#4
○山崎(道)委員 理事の補欠選挙に関しましては、選挙の手続を省略して、委員長において指名あらんことを望みます。
#5
○佐々木委員長 ただいまの山崎君の動議に御異議ありませんか。
#6
○佐々木委員長 それでは村上清治君及び去る二日委員に再指名いたされました野本品吉君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#7
○佐々木委員長 次に本委員会の運営を円滑ならしめるために、衆議院規則第九十四條により、國政調査承認を要求いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
#8
○佐々木委員長 御異議がなければさよう決定いたします。要求書を朗読いたします。
   國政調査承認要求書
 一、調査する事項 厚生行政に関する事項
 二、調査の目的 公衆衞生、社会保障、婦人兒童保護等に関する諸調査並びに対策樹立
 三、調査の方法 関係各方面より説明並びに意見聽取、資料の要求等
 四、調査期間 本会期中
  右により國政に関する調査をしたいから衆議院規則第九十四條により承認を求める。
 以上が國政調査承認要求書であります。
    ―――――――――――――
#9
○佐々木委員長 次に日程掲載の予防接種に関する件を議題といたします。まず委員長から政府側に一言申し述べておきたいのでありますが、今回京都市におきまして発生いたしましたジフテリア注射の副作用事件は、その及ぼすところがきわめて廣汎かつ深刻でありまして、ようやくその緒につきました予防接種法の実施の前途に大きな暗影を與えるものでありまして、國家の衞生行政のためにもまことに憂慮にたえない次第であります。もとより本注射実施に関する製剤檢定等が厚生省の責任に基いてなされております以上、その責任の帰趨はおのずから明らかなところでありまして、当局はこれによる犠性者及びその家族に対する弔意、慰藉はもとより、患者の治療につきまして万全の措置を講ずるとともに、生活上の援護を要する者に対する処置につきましても、また当然適切な方法を講ずべきであります。この意味におきまして先般当委員会におきましても、あるいはまた本会議におきましても、政府側の意向を求めたわけでありまするが、その後政府はこれに対しましてどういう措置をとられたか、あるいはまたその当時大いに研究して、これから研究の結果に基いて諸君にお諮りをしたいというようなお話もあつたようでありまするが、それらの点につきまして政府はどういうふうにお考えになつておるかというような点につきまして、まず政府側の意見を最初に求め、それから逐次各議員の質疑にはいりたいと考えます。
#10
○林國務大臣 先般京都府において施行されましたジフテリア予防注射の結果、多数の事故者の発生を見ましたることは、まことに遺憾にたえないところであります。当時の状況及び本件発生の原因につきましては、前回の委員会において事務当局より詳しく御説明申し上げたと存じますが、その原因は大阪日赤の医藥学研究所が本件予防液をつくります際、五リツトル入りの容器四個で製造し、一個につき三百五十本ずつの二〇cc入り製品をつくり、しかもこれを同一の製造過程により製造されたかのごとく、一まとめにして八号という製造番号を付した点にあるのであります。大阪府の監視員は、一千本全部が一製造番号になつておりますから、当然一製造過程からできたものとして、そのうちから規定の試驗品をとり、これを予防衞生研究所に送付し、同所で檢定の結果合格と判定されました。この四個の容器のうち、いずれか一個は有害であつたと結果からみて推定されるのでありますが、この有害な容器からでき上つたものがたまたま採取されず、從つて檢定を受けなかつた結果となつたのであります。この場合業者は四個の容器で製造したのでありますから、それぞれに異なつた製造番号を付して檢定を申請するか、あるいは最後の製造過程において、四個のものを一個にまとめて均質化をはかるべきであつたのであります。この点に今回の事件の原因があると存じます。そもそもこのような生物学的製剤につきましては、旧藥事法第二十二條第三項に基く生物学的製剤製造檢定規則によつて製造の基準が定められ、予防衞生研究所で製品の國家檢定を行つておりますが、さらにまた都道府縣の吏員が監視員となつて巡視もし、製造業者は主任技術者として、厚生省が認めた資格のある医師その他細菌学的知識を有する者を置かなければならないこととされております。さらにまた厚生省では万一にもかような事故を起さないように、これらの監視員、主任技術者の教育には万全の努力をいたしており、たとえば問題の製剤が製造された昭和二十二年には、監視員に対しては三回、主任技術者に対しては二回の講習会を行つておる次第であります。なお一製造過程ででき上りましたものについては、一つの製造番号を付し、その中から檢査員が八本の試驗品を拔き取ることになつておりますが、この拔取り檢査による檢査方法は、科学的に正しい方法と認められております。從つて今回の事件につきましては、製造業者たる日赤医藥学研究所が檢定規則の趣旨に違反いたしていることは明白でありますので、これに対しましては去る十一月二十七日付をもつて、業務停止の行政処分をいたしました。なおその他刑事上、民事上の責任につきましては、それぞれ檢討されなければならぬと存じます。なお大阪府の監視員が拔取り検査に行つたとき、右の事情がはたしてわからなかつたかどうか、監視員としての專門的注意義務を十分果したにもかかわらず発見されなかつたかどうかは、現在のところではよくわかりませんが、事実の認定は專門的な、かつきわめて微妙な問題になりますので、最後の決定を得るためにはなお調査を要するものと認められます。被害者に対しましては、まことにお氣の毒にたえないところでありまして、これらの法規上の責任は別といたしましても、できるだけの弔慰の方法をとりたいと存じますので、目下大藏省と協議している次第であります。なおこの点につきましては、予防接種法が今年できましてから初めてのことでありまするし、なお考えてみますのに、昨年度は一昨年に比較いたしまして予防患者が約四分の一に減つておるというような実情にあつて、今後におきましても予防接種というものがぜひとも必要であるけれども、このたびのような結果を見るに至りましたことはまことに残念でありまするが、なおこれらに対しまするところの救済の方法につきましては、今日一定の規定というものができておりません。そこでわれわれは道徳的の点からも、その他あらゆる点から考えまして、できるだけ今日の被害をこうむつた方々に対しては、相当のことをいたさなければならぬものと考えまして、今朝あたりも次官を中心といたしましてこれが研究をいたしますとともに、今後の結論を出したい。こういうつもりで調査をし、またどれだけ慰藉の方法を講じたらいいか。まだ具体案を見出すことはできませんけれども、鋭意大藏省とも折衝いたしまして、できるだけ満足し得られるような方向に持つて行きたい。こう考えておるわけであります。さよう御了承置きを願いたいと思います。
#11
○佐々木委員長 なお委員長から総括的にちよつとお聞きしておきたいのでありまするが、今日までの患者が八百数十名、そのうち入院した者が百数十名、不幸死亡いたしました者が八人というような報告でありましたが、その後さらに承りますと、十二月一日におきましては、後麻痺患者が約二十名発生したことを報告して参つておりまするが、この調子で行きますると、さらに百名程度の同様の後麻痺患者が現われはせんかという報告を受けておるのでありまするが、その後の患者の模様並びにこれに対する対策なども重ねて承つておきたいのであります。
#12
○濱野説明員 ただいままでわかつておりますものは今委員長からお話の通りでそれに死者が一名ふえて九名であります。患者数は大体私が参りましたときに七百五十二名であります。その八百何十名の患者の中には、先ほど大臣がお話になりましたように、製作ナンバー八番でない九番のものの患者もおります。私どもの方では十万何がしの予定人員に対して、九万五千名注射いたしました。そのうちただいま申しました七百五十余名の者が檢定ナンバー一一三号から起きた患者であります。残りの五十名内外は九万五千名の中から反應があつたものであります。これは注射の技術問題から見ますれば、京都市におきましては非常に正しき注射をし、よく消毒をし、予防接種そのものも非常にはつきりしたものを示しておるのでありますが、ただいま大臣から御説明がありました檢定番号一一三号において毒素が混つておつたことをわれわれは非常に残念に思います。七百五十余名のうち、病院に入りましたのは二百数十名でありまして、先般も私が参りまして患者さんにお会いもし、見舞もいたして参りましたが、毒素が行きました関係上、後麻痺患者が若干出て参りました。これはたいがい第一回で注射をし、また第二回の注射をした方に起きましたので、後麻痺が少し遅れて出たようにも存じますが、もう少し出るのではないかと思つております。治療に対しましては特に注意をいたします。なお子供でありますので、肺炎その他余病併発も非常に心配されます。要するに七名だけが直接死にまして、あとの二名がただいまの報告では肺炎様の症状であります。小さい子供でありますので、からだにそういう損害をこうむつて、肺炎その他の余病が出ることを非常に憂えておりますが、それに対しては極力現地においてそういうことの起りませんように、医師各位にお願いしておる次第であります。さよう御了承願います。
#13
○佐々木委員長 本件に関しまして質疑に入りたいと思います。
#14
○榊原(亨)委員 まずお承りしたいことは、この前本会議におきまして太田典禮君がこの問題をいち早く取上げまして、この問題に対していかなる補償をするかということを厚生大臣にお伺いされたのでございまするが、そのとき厚生大臣の御答弁は、國家補償の問題については関係当局からの強い示唆もあるから、ますますこれをやつて行くということでございましたが、予防注射による間違いが起りました場合に國家補償をするということにつきまして、関係当局からさような示唆がございましたかどうか、承りたいと思います。
#15
○林國務大臣 それはまだないそうであります。
#16
○榊原(亨)委員 速記にも明らかなるごとく、厚生大臣ははつきり太田君の質問に対して御答弁なさつているが、それはいかなることによつて御答弁なさいましたか承りたい。
#17
○林國務大臣 そういう政府の責任のある損害のありました場合は、当然責任を負つているものは補償すべきものと考えておりますが、今のところにおきましては、予防接種法ができましても、そういう事柄については別途にまだ規定ができておりません。それで私どもはそれにかわるべきところの、被害者に対してはできるだけ損害をかけないような慰藉をいたしたい、こういう意味に基いて申し上げたわけであります。
#18
○榊原(亨)委員 厚生大臣はその場合に、はつきりとこれは連合軍の方からも強い示唆があるということを御発言になつておられるのでございますが、私はおそらく厚生大臣はこの方の御專門でないからごむりなことであると思う。たいへん失礼な話でございますが、おそらく國家補償という言葉を社会保險その他の國家保償とお間違いになつて、メモに書いたものをお読みになつた。山崎道子さんの質問に対する答弁と間違つて厚生大臣が御答弁になつたのではないかといううわささえ起つておるのでございまして、私はこれ以上しろうとの厚生大臣を責めることはいたしませんが、非常に明らかであります。この前の本会議における太田典禮君の眞劍なる御質問に対して御答弁が十分できておらない、從つてここであらためて太田君も御出席でございますから、その点についてはつきりしたお答えをお願いしたいことが第一であります。それから先ほどから政府当局の御答弁を聞いておりますると、責任の所在はどこか知らぬけれども、被害を受けた者については慰藉をするということを再三おつしやつておられたようでございまするが、太田君のこの前申しましたことも、私の申し上げることも、今回の不祥事件についてもさようでございまするが、予防注射法によつて病氣を予防するために注射をするということに対して、今後いろいろな障害が起つて來ると思うのであります。このことに対して國家がどういう責任を負うかという原則をまずきめていただいて、その原則がきまつたら、それによつて今回のごとき不祥事に対して処置をする、こういうことでございませんければ、臭いものにふたをするごとく、今回そういう不祥事件が起つたことに対しても、口をふさいで何をかやろうというふうな、拔本的なことでなしに、今現在起つておることだけに目がくれておられるように私は先ほどの御答弁を承つておるのでございます。これは林厚生大臣は御存じないかも知れませんか、予防注射をしなかつたなら三千円の罰金を食うのであります。國民は罰金を食うから、仕方がなくしなければならぬ。そしてやつた場合に被害を受けた者に対して國家が何の補償もせぬ、これは実に重大な問題と思うのであります。たとえばBCGの注射をいたしましても、かゆいものができてなかなかなおらぬというようないろいろなことが起るのでありますが、この問題を解決しませんと、病氣を予防するために國家が強制的に注射をするということに大きな障害が起るのでありまして、まずその点の政府のお考えをはつきりと承りたい。これが前の本会議における太田君の緊急質問の要旨であります。
#19
○林國務大臣 ごもつともな御質問でありまして、先ほど申し上げました通り、予防接種法ができましてから、それに対する解決の問題がついておりませんから、今後その問題につきましては、こういう場合の起きたときにおいては國家がどういうように補償するということを研究して、その問題を解決するように努力いたしたいと考えます。
#20
○榊原(亨)委員 ただいま厚生大臣から非常な誠意ある御答弁を承つたのでありますけれども、この問題は本会議で質問されましてからすでに相当の期間を経ておるのであります。厚生大臣は、これは初めて質問の要旨がおわかりになつたのですから、その答弁でけつこうでありますが、事務当局におきましては、相当具体案をお考えになつていらつしやると思うのでありますが、その点について承りたい。
#21
○濱野説明員 予防接種法が施行されまして、まつたくわれわれ予期しなかつた事件が起きまして、先般委員会並びに本会議において御質問ありました。私たちこのよつて來る原因を、つぶさに先般御報告申し上げたように考究しております。同時に私たちが法律をつくる場合におきましてはこういう事件が起ることは考えておりませんことが起きまして、また將來におきましても、太田議員からお話のように、注射その他におけることも考えられますので、ただいま予防接種に伴いますそういう障害にあつたものに対する國家の補償という問題について、法律化しなければならぬと考えてまして、資料その他をとりそろえまして考究しておる次第であります。
#22
○榊原(亨)委員 もう一つこの際私ははつきり申し上げておかなければならぬことは、今回の不祥事の犠牲者があまりに大きいことに目がくれて、過分と申しますか、適当以上の厖大な補償をされるというようなことがございますと、それが先例となつて、今後予防注射につきまして起つてくる災害についても相当のことになつてくる。國家の負担ということと、また責任者の負担ということをはつきりしておきませんと、いろいろな不祥事が起ると存じますので、この際はむしろ当面の問題は当面の問題として緊急の処置をなさると同時に、予防注射そのものについて不祥事が起つたときには、國家はどの程度の補償をする、並びにその責任はどこまで及ぼすというようなことまでも大至急にこれを御制定くださいまして、そして委員会なら委員会にお諮りくださることをお願いいたしたいと思います。今度だけで済むというようなことで、大いに國庫の補助金でも出してやるというようなことをやりますと、將來に非常な禍根が残ることになる。反対のようなことを申し上げて失礼でありますが、その根本問題をまずおきめくださつて、それに準じておやりくださることをお願いいたしたいと思うのであります。
 もう一つ、これはこまかいことでありますが、今回不祥事を起しましたところの監視に立会いました監視員の履歴は、どんな履歴でございますか。
#23
○濱野説明員 監視員は、地区駐在防疫官として防疫の事務をやつて來ている男であります。ちよつと出身学校は私忘れましたが、細菌方面の研究を相当した男であります。この間私も会いましたが、非常に詳しく知つておりました。その上にまたもう一人防疫官がついており、その上にまた課長がいるのでございます。その行きました山口という監視員は相当の力のある者だと私は考えております。
#24
○榊原(亨)委員 それでは今回かくのごとき不良なる藥品をつくりました研究所の設備は、現在の製藥常識から申して設備が完全であつて、これらの危險を起さないような十分な設備があるということをお認めでございますか。
#25
○慶松政府委員 これを許可いたします際には、当然その点について地方廳の監視員等が実地に檢査をして、しかるのちに復申書をつけて私どもの方に参るわけであります。なおこの製造所につきましては、厚生省の係官等も出向きまして、かつ関係当局側の人々とともに行かれまして、そして惡いところ等を直させまして、いわゆる細菌製剤をつくります場合には、最小限度の要求がございまして、その要求には合つておつた次第であります。
#26
○榊原(亨)委員 この製剤所は今までに檢定に合格した藥品を出しておりますか。
#27
○慶松政府委員 もちろん出しておりまして、同じくこのジフテリア予防液も出しております。今回不祥事を起しました藥品は、本年の九月に檢定に合格いたしたものでございますが、すでに本年の一月に檢定に合格した同様の品物を出しておりまして、それは何らあやまちを起しておりません。
#28
○榊原(亨)委員 もう一つ承りたいことは、この不祥事を出しました藥品の製造当時におきましては、この研究所の責任者は病氣で欠席しておつたというようなことはございませんか。
#29
○慶松政府委員 この研究所の責任者であります秋山博士は、当時病氣で休んでおつたと私は記憶しております。
#30
○榊原(亨)委員 これらのことは、いずれ調査委員その他によつてなお明確になることだと思いますが、もう一つ別のことを承りたいのであります。この前から私はこの問題に対する政府の責任の限界ということについて御質問申し上げたところが、それに対して厚生政務次官は十分責任を負う覚悟である、なお調査して云々ということを、この前の委員会において御答弁なさつておるのでありますが、この点に関しまして、具体的な政府の責任の限界というものについてのお考えがございますか。まだきまつておりませんならば、きまつておりませんでけつこうでございます。今後どうするという厚生大臣のお考えを承りたいと思うのであります。
#31
○林國務大臣 目下人事課長の方でその状況を取調べておりまして、責任者そのものに対して、この際は画期的な問題でありますから、責任をとるべきところのものは十二分に責任をとらしめるというような方法を講じたいと考えております。
#32
○榊原(亨)委員 この際特に厚生大臣は、こういう厚生の問題についてはまず御経驗が少いかと思いますから、私から申し上げるのはたいへん失礼でございますが、申し上げます。むしろ死亡いたしましたものは、もう命がなくなつてしまつたというようなことから、十分氣の毒ではありますが、まだよいのであります。麻痺を起したということになりますると、ほとんど一生どうにもこうにもならないという状態になるのでございまして、これは関係の專門家からもお聞きになればわかるのでございますが、ただ普通麻痺したとかいうような状態ではないのである。從つてこの被害というものは実に大きなものでございまして、私の承るところから申しましても、京都の衞生部長の方へ夜夜中に親の方から電話をかけまして、いろいろ不平を言つておるという状態でありますので、この場合政府がこの監督上の責任をお負いになる場合に、ただ單に名目的な責任をもつて、そうしてこの場合糊塗されることにおきましては、これらの被害を受けた者、家族の方々あるいはその被害を受けた方の周囲の方々というものの非常に大きな不満、あるいは予防接種についても今後非常な障害が起るということをよく御勘考くださいまして、納得が行くような正しい、公明な責任の限界をはつきりさせて処分されることを希望する次第であります。
#33
○田中(松)委員 ただいま榊原委員から詳細に質問がありましたから、あらためてお伺いすることもございませんが、率直に申しますると、私も卒先して予防接種法はぜひやるべきであるというて、いろいろ反対の声もございましたけれども、自分のことのようにして、反対の声を押えて予防接種法に賛成したものでございますが、今度の問題が起りまして、私は内心みずから自分を責めておるのでございます。といいますのは、私にも小さな子供がおりますが、この前自分たちが進んでつくつたあの予防接種法が適用される場合に、少々の罰金ぐらいはかまわぬから、もうやらせまいという氣持が率直なところ起つております。それに対しましては、むろん私どもはしろうとでございまするから、專門の方々から見られるというと、たつた一回、何万べんのうちの一ぺんの特別の事情である。それですべてを律するのは、それはしろうとのあさはかな考えだ、こういうようにお考えになるかもしれませんけれども、全國民の中で、そういうふうに堀り下げたところまで考えるのは專門家だけでありまして、もう九分九厘までの人は私と同じような考えを持つておるに違いない。それで今榊原委員から詳細にわたつて質問があり、当局も誠心誠意それに対應する策を御発表になりましたから、ここにおる私どもは、それである程度納得ができましたが、しかし世間一般にはこのことはわかりません。結局私が今率直に申し上げましたように、少々の罰金はかまわぬから、予防接種はもうやめたという氣持をまだ持つておるに違いはない。そこでこれからどうする、こうするというようなことをおつしやいましても、なかなか一日や二日、三日でできることではございませんが、予防接種の必要は、今日をまたず、明日をまたずやらなければならないかもしれません。ただいま榊原委員に述べられた誠意ある当局の御方針を何かの形で天下に表明して、私と同じような考え方をもつて予防接種を恐れておる人たちの誤解を解き、安心するような方法を講じてもらいたい。それでないと、やらなければ罰金だ、やるとひどい目にあうやらわからぬ。そういうことでは、せつかくの予防接種法をつくつたことで、私どもは大罪を犯したような氣持がするのでございます。方法はどういう方法か知りませんが、一人でも多くの人にただいま述べられた趣旨が徹底するように、そうして安心して國民全体が予防接種を受ける氣持になるように、適当な方法をぜひ責任をもつてひとつやつていただきたい。これは打明け話でございますが、実は予防接種法をつくることはつくつたけれども、当分の間はあれは暫定処置で、延期するような法案でも議員側から出さねばならないじやないか、そういう意見が率直のなところお互いのうちにはあつたくらいでございますから、その重要性を十分御認識いただいて、今後十分責任をもつておられることは、ただいまわかりましたけれども、それをあまねく天下に表明するような方法を講じていただきたいということをお願いしておきます。
#34
○林國務大臣 御希望のお話ごもつともだと考えます。なおその方法などにつきましては、今後再びこういうことのないように檢査などを十分いたしますとともに、ただいまおつしやいましたような御希望は、私どもにおきましてもそういう感じがいたすのでありますから、そういうような趣旨を十分徹底させるように今後とりはからいたいと考えております。
#35
○野本委員 われわれが非常な期待をかけて成立させました予防接種法が、その実施の初頭におきまして、このような不祥事を起しましたことは、御同樣まことに遺憾にたえないところであります。しかしできてしまつたことはやむを得ないのでありますが、私どもの心配しまするのは、予防接種法の施行された劈頭においてこの不祥事が起つたということから、今後の予防接種法の円満完全なる遂行の上に障害を來す。それによつて今度は救わるべき今後の幾人かのものが救われないということになりますと、これはきわめて重大な問題だと思う。從つてこの問題の解決処理につきましては、事務的な形式的な、通り一ぺんのことで糊塗することのできるような簡單な問題でなくて、きわめて深刻な問題であると私どもは考えております。今まで政府当局のいろいろな説明によりまして、種々苦心され、また対策等につきましても考究されていることはわかるのでありますが、私どもといたしますと、この法案を成立させました國会といたしましても、責任を感じなければならぬと思いますので、從つて國会の立場におきましても、現在における詳細な事情を聞いて、一應調査する必要があると思います。なお新聞紙その他の報道するところによりますと、單に京都市だけの問題でなしに、松江の方面にも同種の事態の発生しておるということを承つております。かようなことを考えますときに、私どもは一方におきましては、政府の最善の考慮に期待すると同時に、國会といたしましても、これに対して責任のある調査研究をいたしまして、両々相まつてここに拔本的な対策を立て、そうして國民にその眞相を傳えて、今後の予防接種法の遂行の上に遺憾のない方策をとるべきであると思います。委員長はこの点についてお諮りを願いまして、適当な方法をお考え願いたいと思います。
#36
○佐々木委員長 ただいま野本君の御発言になりました、京都市におけるジフテリア不祥事件に関する調査並びに研究の件に関しましては、後ほど理事会におきまして対策を考究した上決定したいと考えまするから、さようにとりはからつていかがでございましようか。
#37
○野本委員 私といたしましては、委員長のお話の通りに、理事会においていろいろ打合せて御決定願つてけつこうであります。
#38
○佐々木委員長 さようとりはからつてよろしゆうございますか。
#39
○佐々木委員長 しからばさようとりはからいます。
 なお引続いて、本件に関して各委員より政府当局に他に御質疑はありませんか。
#40
○齋藤(晃)委員 先ほどからいろいろ榊原委員から質問がございましたが、このたびの事件は、患者を見ましても無心な兒童に関することでありまして、その家族に対しましては、私どもはまつたく耐えられない同情を持つのであります。これにつきましては、先ほど質問がありましたように、もしこれに対する対策が完全でございませんければ、今施行の最初に当りまするこの予防法の將來に対して、非常な危惧を持つのではないかと考えますので、政府はこの際すみやかに根本的な対策を講じていただきたい。それにつきまして私ども考えまするのに、要はこの事件の発生につきましては、製薬会社に対して現在までの厚生省がいかなる監督の方法を講じておるか。あるいは今後こうした事態の発生につきまして、製薬方面に対して新たにいかなる監督の方法を考えておるか、これを一應お聞きしておきたいと思うのであります。
#41
○慶松政府委員 当然製薬会社につきましては、從來の薬事法によりますると許可制度でありまして、相当な規格の製造設備、あるいは技術を持たなければ許可をしておらないのであります。一方この監督につきましては、先般御設定になりました薬事法に基きまして、薬事監視員なるものを地方廳並びに厚生省において任命いたしまして、これをして監督に当らしておるのでございます。もちろんこの監督は常時行つているのでありますが、一方周期的にも定期的にも、これの全國一齊の監督もやつております。また私どもが現在考えておりますことは、その監督を嚴重にいたしまして、少しでも正しくないとか、あるいは不潔であるとか、あるいは技術が拙劣であるというようなところにつきましては、適当な処置を講じますとともに、今日では資料の割当等をやつております。資材の割当を政府でやつております関係上、その資材の割当をとめますとか、あるいは品によりましては製造をとめますとか、そういう処置を講ずる所存でおります。
#42
○齋藤(晃)委員 藥事法によりまして監視員が任命せられていることは承知いたしておりますが、この監視員を任命するに当りまして、政府はいかなる方法をとつておりますかお聞きしたいと思うのであります。
#43
○慶松政府委員 監視員の任命は、地方においては地方長官、厚生省においては厚生大臣がやることになつておりますが、地方の監視員は、任命されましたならば氏名その他経歴を全部厚生省に報告することになつております。そういう方法で任命をいたしております。但し話が具体的になりますが、新藥事法の設定以前におきまする細菌製剤監視員の任命、これは別の生物学的製剤製造檢定規則に基いてやつておつたのでございますが、それらの任命は厚生省に地方廳から禀議いたしまして、厚生省の承諾のもとに地方長官が任命している、こういうことになつております。さよう御承知を願いたいと思います。なお從來のいわゆる細菌製剤監視員も、今般の藥事監視員の中に含まれるようになつた次第であります。
#44
○佐々木委員長 他に質疑はありませんか――なければ私よりもう一度お聞きしておきたいのでありまするが、今度のジフテリア副作用患者に対しまして、京都市並びに府当局から死亡者に対する葬祭料であるとか、患者に対する見舞金であるとか、患者並びに付添人の通院の交通費等として、すでに支出いたしました経費は約四百万円に達しておるのであります。さらに今後のこれら患者に対する費用の補給といたしましても、当面のところ二百万円くらいがどうしても必要であるということを地元からしきりに当厚生委員会まで申し出して來ているわけでありますが、ただいま厚生大臣からきわめて誠意ある御答弁を承りまして、今後の政府の措置に非常な期待を持つているわけでありまするが、すでにこれらの点につきましても、大藏当局とも話合いが進められておるということでありまするが、どの程度まで進んでおるか、あるいはそれらの点につきまして、もしお話をしていただく段階に達しておりましたならば、地元としては焦盾の問題でございまするので、何かその内容につきまして承ることができまするならば非常に幸いだと思つております。
#45
○林國務大臣 ただいま委員長からのお話は、私ども厚生省当局に対しましても、京都府、京都市からも切々たる御要求があります。また私どもといたしましても、法の上の問題は別個といたしましても、当然このたびの問題は將來のためにも考えなければいかぬことであると考えまして、大藏当局とは事務的にも、また政治的にもいろいろ折衝中であります。しかしまだ具体的に物質上のものはどれくらいのものを支出し得られるか、どういう方法によつてこれが解決をつけようかということの段階になつておりませんことを、はなはだ残念に思います。もちろん物質上によつてすべてが補い得られるものとは考えられませんが、できるだけ大藏当局あたりとも折衝いたしまして、またこれが予防接種法ができましてからの先例にもなるわけでありますから、先ほど榊原委員あたりからの御注意も十分考慮いたしまして、万全を期したいと考えます。
#46
○佐々木委員長 この際委員外の太田典禮君から発言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。
#47
○佐々木委員長 御異議なしと認めまして、発言を許します。太田典禮君。
#48
○太田典禮君 京都市並びに京都府の地元からたびたび私の所へ來ておりますが、それによりますと、すでに入院患者に対しては京都市として五千円、京都府として二千円、外來患者に対しては京都市として二千円、京都府として二千円、死亡者の葬祭料として京都府が一万円、京都市として一万三千円の金を厚生省の了解を得て支出しておるというのでございますが、了解を得ないでも当然支拂うおつもりであつたと思うのであります。その他治療費については、今委員長から御報告がありましたが、総額にいたしますと現在すでに二千五百万円は計上しなければならぬだろうという厖大な数字になつているのですが、大藏当局へも直接いろいろ歎願したそうですが、そして今厚生省でも努力してもらつておると思いますが、こんな厖大なものを計上する見込みがつくのでございましようか、それとも厚生省として、予備金でやるというように簡單に片づける御方針でしようか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
#49
○林國務大臣 ただいまの問題につきましてはどれほど出るということ――たとえば傳染病予防法に基いたところの三分の一づつ持つということも考えられますが、それはそれといたしまして、なお別途――このたびの問題は將來のためにも考えなくてはいけませんので、そういう從來の規定で出せるものだけは出させまして、なおあとに残りましたものを地元の状況とわれわれの方の今後の問題などを考えまして、できるだけ努力をいたして、多額のものを差上げる方法をとりたいと考えております。今それを予備金から支出するかどうかということは、大藏省と折衝いたしておりますから、その点少しお待ちになつていただきたいと思います。
#50
○太田典禮君 こういう場合に監督不行届という政府の責任はもちろんあると思うのでありますが、これを賠償するということになれば、製造所の方に何か負担させるということがあり得ると思うのであります。どうせ訴訟にでもなればそういうことになると思いますが、そういうことにまでならないとすれば、政府としてはその製造所に対して何らかの負担をさせるという意思はございませんか。
#51
○林國務大臣 私からお答えいたします。ただいま製造業者は当然賠償の責任があるもののように考えますが、その実際から考えてみまして、現在の日赤の研究所というものは、多くの財源を持つておらぬ実情にあるもののようにわれわれに報告が來ております。それで要求すべきことは要求し得られると考えますけれども、実際の効果あらしめ得られるかどうかということについては、私ども現在この問題につきましては、製造業者に対して疑問を抱いておるわけであります。
#52
○太田典禮君 どうせ製藥所というものは、いろいろの問題が起ればこういうことがあり得ると思うのですが、そういう能力のないような自己設備については――これは調査されなければわかりませんが、私の聞いているところでは、軍の拂下げ建物で、土足で上つているという。ああいうところでワクチンをつくることさえ問題だということを聞いておるのでありますが、そういうところを許可したことに対しては、当局としてよほど大きな責任があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
#53
○慶松政府委員 細菌製造所につきましては、先ほども申しましたが、大体いわゆる最低限度の基準というのがございまして、それには少くともこの研究所は合致しておつたと思います。但し少くともあまり上等なものではないということは、私は言えると思いますが、その点はなはだ微妙なところがあると存じます。
#54
○太田典禮君 次にお伺いいたしたいのは、すでに二十人ほどの後麻痺の患者が出ております。これは身体障害を起し、不具者になるわけでございますが、これに対しては相当の補償をすべきだと思うのであります。これは強制であるから、当然戰爭による不具者の場合に準じて扱うほどの義務があるのではないかと思うのでありますが、その点についてはどのようにお考えになりますか。府市としては五万円ぐらいの慰藉料ということを言つているが、はたしてそれでいいかどうか。それ以外に政府当局として何らか保護の処置をお考えになつておりますかどうか。
#55
○林國務大臣 その点は十分考究いたしまして、できる限り満足の行くような方法を講じて行きたいと考えております。
#56
○太田典禮君 ありがとうございました。
#57
○佐々木委員長 この際お諾りいたします。先ほど野本委員から御要求の動議もきわめて緊急と考えられますので、本件に関し理事会を開き協議をいたしたいと思いまするから、暫時休憩いたします。
    午後十一時四十九分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後零時二分開議
#58
○佐々木委員長 休憩前に引続き再開いたします。
 ただいま理事会で協議いたしました京都市におけるジフテリア予防接種異状副作用事件の実地調査のため、委員派遣の件につきお諮りいたします。派遣委員の氏名は佐々木盛雄、山崎道子、山崎岩男、野本品吉、榊原亨の五名、派遣の期間は十二月六日より同十一日までの六日間、派遣地名は京都市並びに大阪市であります。以上でありまするが、御異議ありませんか。
#59
○佐々木委員長 御異議なければさように決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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