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#1
第004回国会 厚生委員会 第2号
昭和二十三年十二月十一日(土曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 佐々木盛雄君
   理事 村上 清治君 理事 田中 松月君
   理事 野本 品吉君
      庄  忠人君    角田藤三郎君
      山崎 道子君    小野  孝君
      金光 義邦君    武田 キヨ君
      成島 憲子君    平工 喜市君
      榊原  亨君    齋藤  晃君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 林  讓治君
 出席政府委員
        大藏政務次官  塚田十一郎君
        厚生政務次官  庄司 一郎君
        厚生事務官   宮崎 太一君
        厚生事務官   慶松 一郎君
        厚 生 技 官 濱野規矩雄君
 委員外の出席者
        厚 生 次 官 葛西 嘉資君
        厚生事務官   安田  巖君
        厚 生 技 官 石橋 卯吉君
        專  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
十二月七日
 委員大村清一君辞任につき、その補欠として福
 永一臣君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員福永一臣君辞任につき、その補欠として大
 村清一君が議長の指名で委員に選任された。
十二月八日
 委員松谷天光光君及び村上清治君辞任につき、
 その補欠として堀江實藏君及び田中萬逸君が議
 長の指名で委員に選任された。
同 日
 委員田中萬逸君辞任につき、その補欠として村
 上清治君が議長の指名で委員に選任された。
十二月九日
 委員野本品吉君辞任につき、その補欠として船
 田享二君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
 委員船田享二君及び益谷秀次君辞任につき、そ
 の補欠として野本品吉君及び坪内八郎君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月十一日
 委員小野孝君、鈴木正文君及び庄忠人君辞任に
 つき、その補欠として一松定吉、君大石武一君
 及び田中萬逸君が議長の指名で選任された。
同 日
 理事村上清治君及び野本品吉君の補欠として村
 上清治君及び野本品吉君理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月十日
 社会保障制度審議会設置法案(内閣提出第一八
 号)
 國民健康保險の診療施設に対する國庫補助増額
 の請願(山口好一君紹介)(第五五号)
 同(吉川久衛君紹介)(第五七号)
 あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の一
 部を改正する請願(内海安吉君紹介)(第六四
 号)
 成年男女の身体檢査実施の請願(笹口晃君外一
 君紹介)(第六八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の補欠選任
 社会保障制度審議会設置法案(内閣提出第一八
 号)
 予防医学に関する件
 療術行為に関する調査機関設定に関する件
 派遣委員の現地調査報告の件
    ―――――――――――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 まず理事補欠選任の件を議題といたします。お諮りいたします。去る十二月八日の理事村上清治君、同じく九日に理事野本品吉君が委員が辞任いたしましたので、その補欠選任を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
#3
○佐々木委員長 御異議なしと認めまして、理事二名の補欠選挙を行います。
#4
○榊原(亨)委員 理事の補欠選任に関しては、先例により選挙の手続を省略して、委員長において指名あらんことを望みます。
#5
○佐々木委員長 ただいまの榊原君の動議に御異議ございませんか。
#6
○佐々木委員長 それでは去る八日委員に再指名いたされました村上清治君及び十日委員に再指名いたされました野本品吉君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#7
○佐々木委員長 次に社会保障制度審議会設置法案を議題にいたします。まず政府より提案理由の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#8
○林國務大臣 ただいま議題となりました社会保障制度審議会設置法案について、提案の理由を御説明申し上げます。
 社会保障制度につきましては、政府といたしましてもかねてより研究調査を進めておるところでありますが、本年七月連合軍より勧告の次第もありまして、早急にこれが具体化をはからなければならないと考えております。しかしながら本制度は政府行政の各部門にも種々の関係があるばかりでなく、國民各層にも深い利害関係がありますので、本制度の企図、立案等につきましては、各方面の利害関係者の意見も十分に聞き、愼重に審議する必要があると存ずる次第であります。從來厚生大臣の諮問機関として、社会保險制度調査会が設けられておりましたが、以上のような社会保障制度の重要性にかんがみましてこれを廃止し、新たに内閣総理大臣の所轄のもとに、社会保障制度審議会を設くることにいたしたいと存ずる次第であります。
 何とぞよろしく御審議くださるようにお願い申し上げます。
#9
○佐々木委員長 これより質疑に入ります。田中松月君。
#10
○田中(松)委員 まだただいま法案をいただいたばかりで、目を通しておりませんので、あるいははつきりこの法案にうたつてあるようなことをお尋ねするかもしれませんし、まつたく私の思いつきのお尋ねをするかもしれませんが、その点前もつてお含みを願つておきます。
 大体この審議会をつくるについては、委員構成分子が当然考えられておりましようが、それにつきまして、どういうお含みで委員を選ぼうとしておられるか、そういう点について一通りお示しを願いたいと思います。
#11
○宮崎政府委員 この社会保障制度は、御承知のように、從來の社会保險の各制度を統合いたしますのみならず、社会事業の方面にも相当これが入りますのと、それから從來衛生行政と言われました公衆衛生事業あるいは予防衛生事業、それから医療機関等の各方面に関係することでもございます。また國民生活の保障ということから見ますと、國民所得の相当部分をこの制度によつて運用するというふうに、経済財政方面におきましても影響の多い制度でございます。この意味におきまして、この法案の第五條に委員の顔ぶれについて條文が載つているのでございます。國会議員、関係各廳の官吏、学識経驗のある者、使用者、被傭者、医師、歯科医師、薬剤師その他の社会保險事業に関係ある者の中から四十名の委員を選ぶということになつているのでございます。先ほど申しましたように、厚生行政のほとんど全般及び各省にわたります社会保障に関する行政にわたりますのと、財政経済に非常に大きな影響を與えまする関係上、各方面の方々を網羅しなければならぬと思うのでございます。その意味におきまして、國会議員の中から両院の選ばれます議員の方々十名、それから関係各廳の官吏、これは関係の深い、たとえば厚生省、労働省、大藏省、運輸省というような社会保障制度に関係の深い各省の官吏――大体私どもは次官ぐらいが適当じやないかと思つておりますが、そういう各省の官吏、その他人事委員会とか、そういう関係の委員会の方々、そういうような点を関係各省の官吏として考えているわけであります。それから学識経驗ある者というのは、これは社会保障制度及び財政経済その他に学識経驗を持つておられる方方、大学の教授の方々、あるいはまた社会保險をよく知つておる人、あるいはこの社会事業に非常に深い経驗を持つている人、あるいは医学衛生の方面に深い関係のある人を選ばなければならぬと思うのでございます。それから四番目はここに使用者、被傭者、医師、歯科医師、藥剤師と具体的に名前があげてありますので、使用者、被傭者はいわゆる保險の事業主になるわけであります。被傭者は要するに被保險者になるわけでありまして、事業主、被保險者等の中から若干名、それから医師、歯科医師、藥剤師はそれぞれこの社会保障に関係のある團体でございますので、その團体の方の推薦で医師、歯科医師、藥剤師の方が大体出て來られるものと存ずるのであります。それからその他今あげました以外に、社会保險として関係のある者と申しますと、あるいはこの健康保險組合連合会だとか、あるいは國民健康保險関係の團体というものが該当するのではないか。こういうふうに存じておりまして、いずれにいたしましても、その関係の方方を集めておりまする團体の推薦によつて具体的な人が選ばれるのであろうと存ずるのでございます。
#12
○田中(松)委員 この第五條の三にあります学識経驗のある者という内容でございますが、今までともすると学識経驗ある者という場合、今御指摘になりました大学の教授とか、あるいはその道の專門家というような者に重点を置き過ぎておられるようでございますが、私はそういう專門的な――言葉は当らぬかもしれませんが、極端に言いますと、机の上で勉強された方たちも必要でありますが、実際そういう学術的な、いわゆる世間ありふれた学者というようなものとは縁が遠いかもしれませんけれども、実際勤労階級の中にあつて、社会保障法を実際必要とするということを身をもつて体驗しておるようなものがおるわけでございます。いわゆる民主團体なんかの代表者というようなもの、そういうものを学識経驗ある者の中に含め得るかどうか。こういう色わけは当らぬかもしれませんが、机の上で、あるいは図書室の中で勉強した学者というものも大切であるが、そういう面には暗いけれども、実際この社会保障法というようなものの必要を痛感しておる、今はやりの言葉で申しますと、民主團体の代表者というものもぜひ入れなければ、生きた、血の通つたものができないと考えておりますが、この点についての当局のお考えを伺いたいと思います。
#13
○宮崎政府委員 ただいま田中さんの御質問でございますが、仰せの通り学識経驗者の中には、内外のこの道の学問をいたしました大学教授の方々もおられますし、それから実際社会保障に專念いたしましたその道の大家という人もおられるのでございますが、それ以外の社会保障制度を熱望し、身をもつて体驗している方々で、ある階級あるいは階層を代表する人というような点でありますが、被保險者と申しますと、第四号の被傭者というところへ入るのでございますが、それ以外に、ほんとうに学識経驗があつて、必要だと思う方々があれば、私どもはしたいと思うのでございますが、ただ何分にも各項目十名あてという限定がございますので、その順序等はよく具体的に研究してみたいと存じているのでございます。
#14
○田中(松)委員 私の申し上げます委員を使用者、被傭者の中に含ませるということには、私どもとしては承服しかねます。あくまでもこれは学識経驗のある者の中に入るべきであつて、これは私ども「学識経驗のある者」という解釈について、何も初めから警戒したわけではありませんので、この場合はそういう弊害はないかもしれませんが、過去においてこういう委員会ができるときに、ほとんど例外なしに受けた印象というものは、そういう人たちばかり集まりますると、どうしても机上の空論みたいなことばかり、理論的なことばかりいたしまして、文字に書いたものは非常にりつぱなものができておるが、文字に書けないものは血の通つていないものができ上るということが往々ありましたので、こればかりが例外であり得ようはずがありません。そういう過去の苦い経驗からすると、ぜひこの中に私どもの念願するようなものを入れていただかなければならぬと思いまするが、この限られておる十名の中にそれを入れたらいいのでございまして、何もそれを過半数とるとか、大部分それで埋めるという意味ではありません。ぜひこれはその中に入れてもらわなければなりません。そういう点について、ただいまのお答えでは、言葉は露骨ではなかつたけれども、第三の学識経驗という中には、そういうものは含めない意図のように伺いましたが、もしそうであつたならば、私どもは過去の経驗から推しましてどうしても承服できませんが、四の「使用者、被傭者」の中から出て來るというお考えは、これは当局としては今までそういう型があつたのでございまするから、むりとは思いませんけれども、しかし今までの慣例はそうであつても、実際問題としてはそういうものにとらわれずに、ほんとうに生きたものをつくるというのが社会保障法のねらいでありますから、生きた血の通う社会保障法をつくり、審議会がすでに過去のような形式一点ばりのものに堕してしまつたら、後になつていいものが生まれて來ようはずはございませんので、あまり露骨な言葉を使うようでございますけれども、この一点が審議会が生きるか死ぬかのかぎだと思いますので、あくまでも私はこの「学識経驗のある者」という中にそういうものを何人か含めるべきであると思います。もう一度この点について考慮の余地はないかどうか、お伺いしたいと思います。
#15
○宮崎政府委員 私たちの考えを申し上げたのでございまして、まだ十分具体的に檢討しておるところでございませんので、田中委員の仰せの点ごもつとものところもございますが、私ども具体的の選考にあたりましては、十分考慮して行きたいと思つております。
#16
○榊原(亨)委員 この保障制度の審議会の設置のいきさつについては、十分了承しておるのでありまするが、ここに委員全部が納得するような意味におきまして、こういう審議会を設置しなくても、日常の厚生機関によつてこういうことが運営されないのでありまするか、その点についての御意見を承りたいと思います。
#17
○宮崎政府委員 こういう制度につきましては、かつて社会保險制度調査会がございまして、調査ができ上つておりますが、なおこの審議会をつくるかどうかということにつきましては、ただいま榊原委員の仰せになりましたように、アメリカの調査團の勧告がございます。その勧告によりますると、審議会を設けて、そこで十分檢討すべきであり、またでき上つた社会保障制度につきましても、そういう審議会によつて運用して行くのが民主的であるという趣旨の勧告がございますので、その勧告の線に沿いまして審議会をつくつて、そうしてこの大きな問題、しかも厖大なる勧告について日本の國情に合つたようなものをつくりたい、こういう趣旨で審議会を設けたのでございます。それともう一つは、イギリスほど全部にわたるものではございませんが、この制度は御承知のように、アメリカにおいてもいろいろな研究をなされておる問題でもございまするし、イギリスではすでに実施している問題でございます。日本におきましては、御承知のように健康保險は二十年前から始まつておりますけれども、その後社会保險の各種の法規が、時を異にして違つた形でいろいろと出ております。そういう方面を合せると同時に、イギリスのような大きなものにまで進むかどうか、またこの勧告書によつてどういうぐあいにやつて行くかという問題は、各方面の権威者を網羅しまして、その権威者の知識の総合されたものによつてつくらねばならぬと存じますので、この審議会をつくるという考えで政府から提案されたものと存ずるのでございます。
#18
○榊原(亨)委員 社会保險制度調査会官制の人員と今度できるこの制度とは、人員の上においてどれくらいの違いがございますか。
#19
○宮崎政府委員 社会保險制度調査会におきましては会長一人、委員三十人以内をもつて組織することになつております。また必要な事項がございますると、臨時委員は数の制限なしに置くことになつております。今回の審議会におきましては委員は四十名、そうして委員の中から会長を選ぶということになつておりますが、臨時委員は制限がございまして、十二名で組織するということになつております。
#20
○榊原(亨)委員 審議会の幹事三十名は行政官廳の官吏及び学識経驗ある者の中から選ぶようでありますが、行政官廳の官吏は兼任でございますか。それから先ほど田中委員からのお尋ねもありましたが、学識経驗者の大体の範囲、標準をお示し願いたいと思います。
#21
○宮崎政府委員 この種の仕事は事務的に相当な準備、研究を要するものと存ずるのでございます。しかも先ほど申し上げましたように、委員の方々は斯界の権威者であるということでございますので、非常に御多忙であり、しばしば会合をお願いし、長時間にわたつて御審議を願うことは困難であろうと存ずるのであります。その意味において幹事において相当勉強し、また相当正確な案を練りまして委員会の御檢討を願う、こういうことになるのが本筋かと存ずるのであります。その意味において委員会に提出すべき案の檢討でございますので、社会保險制度に関係のある各省の役人を中心にして、この道の大家である学識経驗者、あるいはこの道に長い間苦労しておつた方々によりまして案を練つて、そうしてそれよりも廣い範囲の委員の方々に御檢討を願う、こういう形になろうかと存ずるのであります。
#22
○榊原(亨)委員 それでは兼任でございますか。
#23
○宮崎政府委員 兼任でございます。專任の人はおられません。
#24
○榊原(亨)委員 先ほど田中委員からも、五條の委員の構成についてのお話がございました。その中で使用者、被傭者というのは團体から選ぶというお話でございましたが、それでは具体的にどういう團体を考えていらつしやるのでございますか。
#25
○宮崎政府委員 團体と申しますのは正しい意味の團体であるかどうか知りませんが、一つの機構を持つておられるとするならば、たとえば使用者については経営者連盟というような種類の團体、こういうような考えであります。これはもちろんそれときまつておるわけでございませんが、かりにあげますれば、経営者連盟のようなところが使用者になりはせぬか。それから被傭者と申しますと、あるいは労働團体に頼まなければならぬのではないか。こういう氣がするのでございますが、この点につきましてはまだはつきり私ども、どことはきめておりませんが、要するに被傭者、使用者の多数を擁している團体にお願いする、こういう考えであります。
#26
○榊原(亨)委員 三項と四項のことにつきましては先ほど田中委員からもいろいろ御質問があつたのでございますが、たとえば四項にいたしましても、十名ということが限定されております以上、使用者並びに被傭者の代表もきわめて少いことと思うのであります。予算委員会その他の公聽会等におきましても、各種のかような團体から代表者を出します場合でも、たとえば國鉄とか、あるいは労働組合とか、いろいろな團体があるのでございまして、その場合に一人あるいは二人の代表者を出す場合に、その選択におきましては非常な問題が起つて來ると思うのでありますが、この点の当局のはつきりした御見解がなければ、数の上において將來いろいろな問題が起るのではないかということをおそれておるものでございますが、失礼でございますが、重ねて具体的なお考えについて承りたいと思うのであります。
#27
○宮崎政府委員 私も数の点においては非常に心配しておるのでありますが、御承知のようにここに大分具体的な名前が上つておりますので、その十名をどう割るかということにつきましては、今からよく研究いたしまして、法案が通過いたしましたときにおいて支障のないようにいたしたい、こういうように存じております。
#28
○榊原(亨)委員 これらの社会保障制度審議会の構成については大体了解したのでありますが、その機能につきまして、総理大臣に勧告を行うということが書いてございますが、この社会保障制度審議会というものは、國の予算についての裏づけがございますか。質問の要点がはつきりしないのでありますが、予算と無関係にいろいろなことを考えて勧告いたしましても、必ずそれができるとは限らないと思うのであります。教育委員の問題につきましても、かような問題が、しばしば現実に問題になつているのでありますが、理想案はなるほどできますけれども、実際上において、これを國が行おうとするときにできないというふうなことが、しばしばいわれているのであります。こういう審議会ができまして、なるほど理論上、実際上はかくあるべきものだということを勧告いたしましても、國の財政がこれを許さぬということで、これがいろいろ頓挫を來すということになると思うのでありますが、その國の財政とのにらみ合せにつきましてどういう点において調整をはかるか。具体的にこの機構の上においてできますでございましようか、承りたいと思います。
#29
○宮崎政府委員 この審議会はここにありますように、内閣総理大臣の所轄に属しておりますので、意見はもちろん内閣総理大臣を通じて國会に申し上げますけれども、それで國会が縛られるわけでもございませんし、また政府もその勧告は尊重いたしますけれども、その勧告に必ずしもよらなければならぬということはないと存じます。ただ実際問題といたしまして、ここに入つております者が、政府の役人としては最高に位するような役人であり、また集まつておられる方々は國会議員の方々であり、また斯界の権威者であるといたしますならば、非常に権威のある案になると思うのでございます。そういう権威のある案でございますので、その案を尊重しなければならぬことは事実だと私は思うのでございますが、その権威のある案をつくります際において、大藏省当局等が入つていろいろ意見を鬪わす関係にもなつておりますので、國家の予算と対立するような案はできないのじやないか、こういうように存じておりまして、形式的なりくつから申しますと、意見は尊重するが縛られない。実際の内容から申しますと、意見が食い違うような案ができないであろうと私は存じておるのでございます。
#30
○齋藤(晃)委員 私はこのたびの社会保障制度審議会の設置が、非常にわが國の社会保險あるいは社会事業の將來につきまして、重要な意義を持つという考えによりまして、非常にこの制度の設置を喜ぶものでありますが、しかしこの審議会の内容を見まするに、あまりにも内容が厖大なものであつて、私ども具体的にこの内容がはたして十分に審議ができるであろうか、こう実は考えるのであります。
 第一に、第二條の「社会保險による経済的保障の最も効果的な方法につき」ということがありますが、この経済的保障の最も効果的な方法について、もう少し具体的に御説明願いたいと思うのであります。そうしてこれらの各方面についてのあるいは、立法的な、あるいは運営に対する方法が審議されるとしましたならば、第三條に特別の事項を調査審議するために臨時委員を置くということがこの法案に示されておりますが、私はこの臨時委員というものの特別の事項とはいかなる重大なることをいうか。むしろこれは小委員というような專門的な委員がつくられることが必要ではないか。臨時委員よりは常置されるべき專門の委員の制度が必要ではないか、こう考えまして御意見を伺いたいのであります。
 それからなお先ほど榊原委員からも質問がございましたが、さきに委員が四十名あるにかかわらず、さらに幹事を三十名置く、幹事の選任の方法につきましては、内閣総理大臣がこれを命じ、または委嘱する。内閣総理大臣が委嘱するというようなことはあまりにも具体的でない。委嘱ということにつきましては、いかなる方法をそのもとにおいてとられるか、私ども内容から考えまして、屋上屋ではないかというような考えも持つものであります。
 それから最後にこの審議会には書記局も置かれる、こういうような内容になつておりますが、しからばこの審議会に対する、あるいは予算面についての具体的な何か案がございますか、それについてお伺いしたいと思います。
#31
○宮崎政府委員 お答えいたします。第二條の「社会保險による経済的保障の最も効果的な方法につき」ということでございますが、社会保險による経済保障でございますので、保險の形体による経済的保障ということでございます。現在やつておりますのは健康保險のような疾病に関する保險、年金保險のような養老年金、あるいは傷害事項に対する保險というようなことになりまして、老人になりましたときに年金をもらえる、けがをいたしましたときに生活に困らない程度の年金をもらう、病氣にかかりましたときに疾病の治療をしてもらう、あるいは治療の経費等をもらうということで、そういう経済的の保障を現にやつておられるわけでありますが、これをどの程度に拡張するか、あるいはこれ以外にどういう方法で保障をするかというと、保險の形式による経済的保障の効果的な方法を講ずる。こういうことでございまして、社会保險によるということで相当なわくが私はあるものと存ずるのでございます。そこで委員の人選等におきましても、そういう意味においての権威者を網羅する、こういう結果になるのでございます。
 それから臨時委員よりも專門委員が必要でないか、こういう御意見がありましたが、私どもといたしましては、これを急速に研究をする意味におきまして、從來の各省関係との折衝、あるいは各省関係の連絡調整事項が非常に多い関係をもちまして、幹事の活動を相当重要視しておるのでございます。それで幹事の方でいろいろ各省にわたる事項を調整した案をつくりまして、委員会のおいて御審議を願う。その際におきまして、定まつておられます委員だけではある特別なる事項、たとえば経済方面から見たらこれがどうなるか、あるいは女子の労働者については、日本は纎維工業が盛んである、纎維工業の立場から見たならば、この女子の労働者の年金状態はどうしたらいいかというような点を檢討いたしますときに、纎維工業の経営者の方にそのときだけお知惠を拜借する、こういう場合もあろうかと存じまして、專門事項につきまして臨時委員をお願いする、こういう意味でございます。それで常置の專門委員を置くということにつきましては、実はあとでお答えしたいと思つておりましたが、專任の職員はこの委員会には一人もおらぬのでございまして、今日財政経済の困難なる折柄でございますので、このために職員に專任の人は一人も見ていないのでございます。それで專門委員も、そういうように專門として常置せられるというような予算等も考えておりませんので、すべて臨時委員、幹事ということで、兼任の形で行くのでございます。
 それから幹事の委嘱でございますが、これは先ほど申し上げましたように、官廳の官吏に対して総理大臣が任命する。それから学識経驗者につきましては、今まで申しました幹事以外で、社会保障の制度についての経驗のある方々で、委員にできなかつた人で、ぜひお願いしたい人を総理大臣がお願いする、こういうことでございます。
 それから予算につきましては、本年度の通常予算に三百万円の社会保障制度の調査の費用が載つておるのでございます。そうしてこの種委員会を予想いたしまして、経費等もあらかじめ考えられておりますので、それをもつて充てたいと存ずるのでございます。
#32
○齋藤(晃)委員 なおお聞きしたいのでありますが、この臨時委員の任命であります。そういたしますと臨時委員の任命は、第五條の各号の人々の中から、委員のほかに新たにこれを選任するというのでしようか。
#33
○宮崎政府委員 委員以外の人を新たに委員にお願いをするのであります。
#34
○平工委員 ただいま三百万円の中からというお話がございましたが、これは中からというのをもう一歩進めて、この社会保障制度審議会設置について、全部でどれだけの経費ということをやはりはつきりお答えを願いたいと思います。
#35
○宮崎政府委員 大体三百万円のうち六十七万三千円がこの委員会の経費に予想されております。
#36
○野本委員 先般議院運営委員会を通じまして、今度の國会に提出を予定されておりました法案については、一應私ども承つておつたのでありますが、そのときに、この法案の提出は予定されておらなかつたように思うのでありますが、突如としてこの法案を提出された理由につきまして、御説明を願いたいと思います。
#37
○佐々木委員長 ちよつと速記を止めて。
#38
○佐々木委員長 速記を始めて。
#39
○野本委員 この案と直接関係ある問題ではありませんが、実はこの前の國会の閉会まぎわにきわめて多数の厚生省関係の法案が提出されましたときに、私は法案の審議に対する責任を考えますと、軽重本末に序列をつけて、どうしても通さなければならないものだけを通すように持つて行つたらどうかということを申し上げたのでありますが、一氣呵成に、十ぱ一からげというような形に法案の通過したのを思い出すのであります。おそらくその法案の中に、今度京都で事件を起しております予防接種法も入つておつたのではないかと私は記憶する。この法案も割にせつぱ詰まつて出されまして、私どもとしては研究の時間等も與えられないで、責任をもつて審議ができなかつたと思う。もう一つは、これは一つの審議会の設置であるから、簡單な審議会の機構をきめるのであるからというふうにお考えになるかもしれませんが、この審議会ができるということは、ただちに保健その他に関する各種の社会施設に非常な影響を持つて來ると思う。從つて私は簡單な一つの審議会の機構を定める法律であると、そう軽く考えたくないと思う。從つて私どもはもう少しこの問題につきまして、ゆつくり考える機会を與えていただきたい、かように考える。なおその勧告によりまして、何がなんでもこの國会において成立させなければならないものであるかどうかということについて、お伺いしたい。
#40
○佐々木委員長 速記中止。
#41
○佐々木委員長 それでは速記を始めてください。
 それでは社会保障制度審議会設置法案に関する審議は一應これで打切りまして、午後二時よりさらに再開して質疑を継続したいと考えます。
    ―――――――――――――
#42
○佐々木委員長 次に先般京都大阪方面にジフテリア予防接種副作用事件に関し実地調査のため、委員三名が十二月六日より十日までの五日間にわたり視察をして参りましたので、その報告をいたすことにいたします。
 それでは私よりその報告のきわめて概要を申し上げたいと思います。京都市に起りましたジフテリア予防注射にからむ不祥事件の発生に対しましては、すでに皆樣その全貎は先般御了承のことと考えます。そこで私たちが参りまして見ましたときの模樣を、概略だけを申し上げることにいたします。
 委員一行は七日の日に京都へ参りまして、府並びに市の当局といろいろ懇談をいたしました後、患者の入つておりまする各病院をまわつて実情を調査して参つたのでありますが、その惨状はまつたく目も当てられないような状態であります。注射いたしました腕の局部がざくろのように腐りまして、またこぶしほどの大きさの肉がぽつかりと腐つて落ちてしまいまして、骨までが現われておるというような患者が非常にたくさんありました。その後後麻痺の症状を起しまして、のどがはれ上つて食事が通らぬ。私たちが行きましたときも、すでにのどがはれ上つて、おとといから食事が通らず、お乳も飲みませんということを母親から聞かされまして、涙を催したのであります。あるいはまたその麻痺のために腕がふらふらになつてしまうとか、あるいは腰がふらふらになつてしまうとか、首がふらふらになつてしまいまして、生涯を不幸な不具者として生きなければならぬというような、哀れな幼兒も多数見受けられたのであります。またある患者のごときは、ちようどわれわれが参りましたときに、兄弟ともこの副作用にかかりまして、六才になる兄の方がわれわれの参りました前日でありますか、死亡いたしましたが、弟の方がまた腕の肉がぽつこりと落ちておりまして、それをほうたいをしておる現場を見たのであります。この弟も元氣ではありましたが、つまり重体のようでありました。ところがその両親が、今度の病氣の原因をつきとめて、再びかくのごとき不祥事件が起らないようにしてほしいというようなけなげな氣持から、進んで兄を解剖台に送られまして、きのうその手術が行われたあとであるというような現場などを見まして、一同非常な哀れを催したわけであります。そういうわけでありまして、その結果死にましたのが今日まで、十日現在におきましてすでに三十余名に達しました。さらに專門の医者並びにわれわれの視察からいたしまして、あと数十名の者が死亡するのではなかろうかと考えられまするし、かつまた現在入院しております者も、私はつきりは記憶いたしませんが、百二、三十名を出入りしておるのではないかと考えるのであります。從いまして一生不具者とならなければならぬ者も、またかなり出て來るのではないかと考えるわけであります。とにかくその現場は見るにたえないものであります。ところが今度の接種事件というものは、御承知のように予防接種法というものができましたために、京都市におきましては、一般にはよくありますいわゆるマツカーサーの命令だというわけで、これを受けないときには三千円の罰金に処せられるというわけで、とても三千円の罰金などとられたのではたいへんであるからというわけで、罰金こわさに進んで自分の子供に注射さしたというような家庭が多いために、被害者の家庭は総じて中流以下ないし下層階級のまことに氣の毒な家庭であつたのであります。そのために、子供が入院しておりますので母親が付添いをしなければならぬ。また母親だけでは足りないから、男親も付添しなければならぬ。ところが日雇い労働者などが多いために、付添いに病院へ來ておりますと、自分たちが働くことができない。それで生活費が全然入つて來ないために、自分の着物を賣り、あるいはふとんを賣り、迫り來る寒さに対して自分たちの着ているものをはいで病院の栄養費などに注ぎ込んでいるというのでありまして、子供は病床に病死をし、その家族たちはまさに餓死寸前を彷徨しているというような重大な社会問題なども起しているように見受けて参つたのであります。そこでこれに対する救助の対策といたしましては、京都市並びに府におきましては、大体それぞれ死亡者に対して一万円あるいは一万二、三千円のものをお見舞をし、あるいは重症者に対しては五千円内外、あるいは軽症者に対して三千円内外のものを贈つておりますことは、この委員会においても太田典礼君などから御説明された通りでありますが、もとよりそれでは足りませず、京都府並びに市当局から再三陳情に参られまして、厚生当局ともいろいろ折衝され、厚生大臣も大藏大臣も非常にこのことについて考慮を拂われました結果、厚生大臣の交際費の全部をも割いて、約百三十万円程度のものが見舞金に送られたような次第でありますが、もとよりそれでは足りません。すでに京都府並びに市当局から出しております対策費は千五、六百万円を超過をしているようでございます。これに対して國家がどの程度の補償をするかというようなことも重大な問題であろうと考えるわけであります。もとより今度は予防接種法という法律によりまして、國家が強制的に接種をし、そのためには三千円の罰則規定まで設けて、強制的に行つた接種の結果がかくのごとき不祥事態を巻き起したのでありまして、ドイツにありましたリユーベツクにおけるBCGの注射のために八十数名の犠牲者を出した当時におきましても、ドイツの國家はこれに対して生涯を保障するほどの補償をしたということも、正確には知りませんが、承つておるようなわけでありまして、この問題に対して國家がどれほどの補償をするかということは、將來の予防対策の上におきましても、重大な問題であろうと考えるわけであります。從いましてこれらの点につきましては、委員各位からさらに御意見の開陳があると考えまするが、さような次第であります。
 なおさらに、災いのもとをつくりました注射液をつくつております大阪の日赤の製藥所へ翌日参つてみたわけであります。ところがわれわれの非常に意外に考えましたことは、人命に関する重大なる藥をつくつておるところでありますので、さだめし完璧の裝置があるであろうことをわれわれは期待して参つたわけでありますが、現場へ一歩足を踏み入れてみますと、まつたくわれわれの期待と相反しまして、その設備等のあまりにも乱暴であることに、われわれはしろうとながら驚いたような次第であります。これは軍の兵舍のあとにつくられた、にわかづくりのバラック建の製藥所であります。この中で獸医学校を出られました方が主任となられて、あと中学校卒業程度の方二、三名が補助員として、この細菌の操作に当つておられたようでありますが、たとえば密閉した細菌室の暗室なども、なるほど電氣をつけて入つてみますと、完全に密閉されておるようでありますが、一たび電氣を消しますと、壁のファイバーのテックスの張つたところに一分あるいは二分ぐらいのすき間がありまして、風の日などは相当の塵埃なども舞い込んで來るのではなかろうかとすら思われるようなところであります。平生はおそらく土足でここに出入しておつたのではなかろうかとすら、われわれは疑いを抱かざるを得なかつた状態であります。そこですでに皆さんも何回となく政府当局から御説明を承られましたので、御承知とは思いますが、このジフテリアの注射液は四つのびんでつくられまして、その中の一つのびんについてのみ、この製藥所はモルモツトの自家檢定をやつたわけでありますが、他の三つのびんにつきましては、このモルモツトの自家檢定なども行つていないのであります。なぜさようなことをしなかつたかということにつきましては、一方的には申し上げることはもとよりできませんが、あるいはモルモツトの入手がきわめて困難であつたということが一つの理由であるというようなことは、大阪府の防疫課長もこれを認めておるようであります。あるいはまた一回の一びんの檢定料が二千四百円とかするというので、その会社の経営上、経費の支出が困難であつたというようなことすら、疑われておるというような状態でありまして、わずか数頭あるいは数十頭のモルモツトのかわりに、何十万という人間が動物試驗に供せられたとすら考えざるを得ないようなわけでありまして、この点につきましては、われわれしろうとながらきわめて遺憾に感じた次第であります。そこでこれに対しましても、大阪府の衞生部長あるいは防疫課長からいろいろ承りましたが、行政上の大した措置もとられていないようでありまして、現在は京都市の警察が、警察力でもつてこの事件の眞相を取調べているというようなわけでありまして、そこに何ら行政的な責任も果されていなければ、措置もとられていないということにつきましては、一行きわめて遺憾に考えた次第であります。そういうわけでありまして、私からもいろいろ当局に質問を申し上げたいこともたくさんありますが、これは今後各委員の中から御質問が出ると思いますので、一應私は省略いたしまして、きわめて大ざつぱでありましたが、現地に参りました実情についての報告は、この程度にとどめておきたいと考えます。
#43
○野本委員 ただいま委員長から報告のありましたように、私も現地の状況を見まして、実際何とも言えない氣持になつて参つておるのであります。同樣の事態が松江においても発生しておることを聞いておりますが、その方の状況につきましてはどうなつておりますか、お話を願いたい。
#44
○濱野政府委員 たいへん今度の問題については申訳ないのでありますが、ただいまお尋ねの島根縣の実情を申し上げます。島根縣におきましては、先月の十四、五日ごろに約千百名に対しまして予防接種を行いました。そのうち二百六十八名が罹患いたしました。そうして病院に入院された者が、私の参りましたときは五名でございました。島根縣におきましては、今の日赤のワクチンが、向うに同樣の一〇一三号というものが一部に行つておりましたが、これはただちにとりやめたのであります。後に、同じく日赤から出ておつたものでありますが、ほかのワクチンを使いまして右樣な事件が起きましたことは、返すがえすも恐縮に存じます。島根縣におきましては、前例があつてわかりましたので、患者に対しましてはすぐ治療血清をどしどし注射をいたしまして、私の方から血清その他治療品を届けまして、きのうも重ねて私の方から問い合せたのでありますが、ただいまのところ非常に経過がよいように報告しておりました。
#45
○野本委員 製藥の現状を見ていろいろ感じたことがありますが、製藥を許可する場合に、人命に関する仕事をするのでありますから、設備の完璧を期するということも当然でありますけれども、その責任者及び從業員、特に責任者の良心的な製藥ということが一番大事な問題になつて來るので、許可の場合に、設備だけでなしに、責任者の人物というようなものについて從來考慮が拂われておつたかどうか、この点をお伺いいたします。
#46
○慶松政府委員 もちろんすべての製藥の許可に関しましては、その点十分考慮が拂われておりまして、責任者の履歴書その他等を必ず製藥の許可申請につけさせておるのでございます。
#47
○野本委員 履歴書というものは一片の形式であつて、どういう学校を出て、どういう仕事をやつてきたということだけがわかるのでありましてその者の人格というもの、良心的な行動をする人間であるかどうかということの判定はきわめて困難である。そういう点についてまで注意が拂われておつたかどうかについて伺います。
#48
○慶松政府委員 当然新しい藥事法におきましても、あるいは古い藥事法によりましても、藥事に関しまして何らかの罪を犯したというような者は、その点で一切許可いたしませんし、また特に細菌製剤につきましてはその重要性からみまして、必ずそのときに責任者の経歴につきましては、それに関係のあります傳染病研究所、あるいは現在におきましては厚生省の予防衞生研究所の係官より、この人物がそういう仕事をやるに適当しているかいないかということを聽いている次第でございます。
#49
○野本委員 今度の大阪の日赤の製藥責任者は相当長期にわたつて病氣をしておつて、現実に製藥の責任をとることができなかつたというのでありますが、そのことは政府としては承知されておつたのでありますか。
#50
○慶松政府委員 今回の問題に限定して申しますと、この製造は大体十一月の末に終つておりますが、その責任者である秋山博士は、その直前までは病氣でなかつた様子でございます。
#51
○野本委員 これは今後の問題でありますが、私が強く主張したいと思いますことは、この種の業務を許可する場合には設備、それから技術各般の調査も当然必要でありますが、特に人間を選ぶという点について最も重点を置かれなければならぬ。いかに完全な設備でも、いかにりつぱな経歴、履歴をもつておりましても、その者の人物いかんによりましては、これが下の者にまかせつきりになり、あるいは粗漏な措置がとられるというようなことになつて來るのでありまして、この点につきまして將來十分御注意を願わなければならぬと思うのであります。
 次の問題といたしましては、予防接種法によりまして、全面的に各種の予防接種が行われるのでありますが、日本の現在の製藥技術それから製藥設備、それらをもつて完全に予防接種法が施行され得るという確信をお持ちになつておりますか。
#52
○慶松政府委員 私どもはただいま野本さんのおつしやいましたような意味におきましては、十分な自信をもつている次第でございます。
#53
○野本委員 大阪の日赤の製藥設備は日本の製藥をやります各種の工場、その他の設備からみまして、あれが上位にあるか、中位にあるか、下位にあるのか。その点についての御見解を伺います。
#54
○慶松政府委員 正直に申しますと、下位にあると存じます。
#55
○野本委員 設備が下位にあるということをお認めになつておりますが、その下位にあるものに、今度の予防藥というものをつくることを安心して許されたのでありますか。
#56
○慶松政府委員 私どもは今回予防藥の製造を依頼いたしました際には、そういう氣持でもちろん頼んだ次第であります。
#57
○野本委員 さきの委員長の報告にもありましたけれども、私どもしろうとが見てさえも、きわめて不安を感ずるようなものがあるのでありますが、あれが日本の相当な学者、それから政府の相当な技術家から見てさしつかえないということになりますと、私どもは日本の科学者の科学的な良心を疑わざるを得ない。これはその当時十分であると認められたというならば、それだけのことになりますけれども、それにしましても、関係者の科学的良心を疑わざるを得ないのでありますが、よその製藥する場所もまたあの種の程度のものであるということになりますと、單にジフテリアの注射藥をつくることだけでなしに、その他の製藥におきましても、寒心にたえないものがあるように思うのですが、厚生省の方としましては、細菌製藥の現状を見られたと思うのでありますが、あの現状で皆様とすればさしつかえないとお考えになつておるのですか。
#58
○慶松政府委員 これは正直に申しますと、私ども從前より設備の改善その他につきましては、戰爭中といえども非常な努力をし、かつそれに要します資材等の斡旋等もやつて参つたのでございますが、何分相当な工場が戰災を受け、災害を受け、またそれらの復旧に対しましても多くの資材を要します。かつ特に細菌製剤等に限定して申しますれば、細菌製剤の製造工場に対しましては、司令部側も非常に熱意を持つておられ、多くの指導をしておられますので、それらの設備の改善につきましては、できるだけ資材の供給等をやりました私どもといたしましては指導もやつて参つており、また現在やつておる次第でございます。しかしながら御承知の通り、今日いろいろな点で資材が不足いたしておりますので、まだ十分でない点もあることは遺憾な次第でございます。
#59
○野本委員 京都の不祥事件が起りましてからすでに二箇月を経過しておるのでありますが、この間細菌製剤を許可しております工場、事業場等の設備、それから現実に仕事をしておる者の調査とか指導とかを、その京都の事態が起りました後に何かなさつておりますか。
#60
○慶松政府委員 京都の事態が起りましてから、ただちに各細菌製剤、特にジフテリア予防液の製造所の主任技術者を、各自の記録を持参させて私の方へ呼んでおるのでございます。全國の全部の製造所の技術者に、個々に私の方へ來てもらいまして、そうして十分に檢討を加え、注意を與えておる次第でございます。これは先月中でございましたが、なお本月の三日と四日に監視員を集めまして、それに対しましても十分注意し、それからまた改善すべき点につきましては改善するよう、いろいろな指示等を與えておる次第でございます。
#61
○野本委員 入院しております子供の父兄の生活がきわめて困窮しておるということを、委員長から報告されておるのでありますが、現実に私たちがなくなつた子供の全家庭を訪問してみたのであります。いずれも生活が非常に豊かでない者ばかりが多い。そこで一つの方法として私考えますのは、この際便宜的な應急措置としまして、これらの生活を保護するために、生活保護法等の特例というようなことを考えて、これを適用することがきわめて事務的にも実施の上から言つても適切な方法ではないかと考えたのでありますが、この点についてお考えをお伺いしたいのであります。
#62
○濱野政府委員 私も先般参りまして野本議員の仰せのごとく痛切に感じました。また京都府市から参られます方ともとくとお話を申し上げまして、何とか政府といたしましては仰せのごとき処置をいたしたいと存じて、極力努力いたしております。ただいままでできます方法といたしましては、傳染病予防法に載つております治療法その他の方法によりまして、相当のことができるように存ぜられます。また大藏当局ともその点につきまして話をいたしまして、特に全体の患者さんに対しまして、仰せのようなことができますように府とも連絡いたしております。
#63
○野本委員 大藏当局と折衝されておるそうでありますが、ややもしますと、大藏当局等はかような特例的な措置に対しまして反対する場合が多いのでありますが、この点について大藏当局は好意的に協力する態勢を示しておりますかどうか。その点をはつきりお伺いしたい。
#64
○濱野政府委員 好意的に相当協力してくれるように、私たちは確信を持つております。
#65
○野本委員 なお入院患者の療養の問題でありますが、食物等を見ましても、私どもが見ましては完全なものが與えられておらない。そこであれらの子供たちに、せめて完全な栄養をとらせるように、万全の措置を講じなければならぬと思いますが、これらのことにつきまして、何か政府としまして指示なり協力なりをされておりますか。
#66
○濱野政府委員 入院患者の栄養につきましては、こちらから行きました者、また私自身行きましたときもよく聞きましたが、牛乳その他は多分に行つておるという話を聞いて帰つて参りました。また私たちとしては、厚生省でつくりました栄養食を與えることも努力いたしております。何か昨日承ると、卵が非常に行つておらぬという話を聞きましたので、きのうまた重ねて、そういうことのないように注意いたしております。
#67
○野本委員 なおそれと関連してのことでありますが、たんたん寒さに向つて來まして、暖房、病院の炊事その他に燃料等が相当必要な時季が迫つておりますが、これはだんだん聞きますと、京都府等でも相当心配しておるようでありますが、これらの点については、そちらは何か協力しておるのですか。
#68
○濱野政府委員 私も先般参りましたときに、暖房、それから今の薪炭のことにつきまして一應係官に問い合してみました。今のところ十分手持ちで間に合うということでありました。もし不足の場合には言つて來い、農林省と連絡するからという話をしておきました。
#69
○野本委員 今度の京都及び松江の事件は、昨晩私は郷里にちよつと用があつて帰つたのでありますが、すでに群馬の一角まで非常に大きなシヨックを與えておりまして、今後の予防接種を施行する上において非常に不安を持つておるのであります。私は今まで経過を見ますと、これは私の主観でありますが、政府の方では、事態の眞相を國民に知らせて不安を除去するという誠意のある努力がないように思うのでありますが、かようなことに対しまして從來どういう措置をなさつておりますか。
#70
○濱野政府委員 当初御承知の通り京都府から連絡がありまして、こちらの方面もまさか毒素が入つておるとは存じません。そういう意味におきまして極力檢査いたしまして、毒素の入つておりますことがはつきりいたしますや、これを新聞機関その他に正確に報道し、並びに毒素のなきものにおいてはかくのごとく安全に注射を打つておるということを繰返し報告いたしました。なお先般、今月の六日だと記憶しておりますが、予防衞生研究所長並びに私どもの防疫課長がラジオにおける対談におきまして放送しましたが、これは不十分でございますし、また先般当委員会で正しく理解させ、よくそういうことのないようにというお示しがありましたので、ただいま放送協会と連絡をとりまして、重ねて極力努力しております。近々インタビユーの形において、第三者の質問によりましてとくと御了解を願う。二十日までに時間がとれる、こういう内報を得ております。なお全体がはつきりいたし、経過がはつきりいたしましたならば、これを厚生時報その他におきましてはつきりと示して行きたい。そして今日の災いを契機として、將來こういうことを十分注意して、みなが安心してその注射を受けられますように努力して行きたい、これに対して極力努力いたして参りたいと存じます。
#71
○野本委員 從來ややもすれば、この種の事件が発生しますと、きわめてこの扱いが消極的であり、故意に事態を隠そうとするような傾きもないではなかつたと私は思うのでありますが、今度のこの事態は、すでにそういうようなことが許されるような安易な事態では私はないと思う。事件の全貌を率直に國民全部に知らせることによつて、積極的に今後の予防接種法というものが行われ、それによつて幾万、幾十万の人が救われるような結果をもたらすよう、面子であるとか、行きがかりであるとかいうようなものを一掃して、完全な予防接種法施行のために、國民全部が、関係者全部が協力するという氣持をつくることが一番私は大事だと思います。かような点から考えまして、その責任の地位にある者といたしましては、ずいぶんつらいこともあろうと思うのでありますが、將來幾万、幾十万の人たちを救うためであるという大きな氣持になりまして、政府といたしましても、特に直接その仕事に関係した者といたしましても、率直に全貌を知らせて、そうして將來に不安を残し、禍根を残すことのないように努力すべきであると思うのであります。ただいまお話を承りますと、そういうことに努力しておるようでございますが、一段とこの点についてお考えを願いたいと思いますので、その点について御意見を伺いたいと思います。
#72
○濱野政府委員 野本委員の御説、まつたく私たち身にしみておる点でありまして、この事件が起りますや、先般御報告申し上げましたように、ガラス箱の中でこれを調査するという態度を極力当初からとりまして、そういう方式で調査がはつきりいたしましたのですが、なおこれに関連いたしまして、先般栃木縣でもこういう問題がありまして、ただちに係官を出しました。そしてただちに各縣に――栃木縣で注射のときは、消毒の不備の関係でこういう事件があつた、注射を打つときにはもう少し消毒を嚴重にするようにと注意いたしました。また三重縣でも若干そういう報告を受けたので、昨夜私の方から係官が参りました。それにつきまして皆さんの御安心のできるまで、そういう事件のありましたのを徹底的によく調査をいたしまして、何ら面子の問題でなしに、國民が安心されますことが、私たちの実際の責務であり、義務でございますので、これに対しましては当局といたしましても十分努力して行きたいと存じます。どうか何分よろしくお願いいたします。
#73
○野本委員 この事態の処理、收拾のいかんということは、將來の日本の予防衞生の上に非常に大きな影響を持つて來るのでありますが、結論は出ておるかどうかわかりませんが、現段階におきまして、國もしくは関係者の責任に関します政府の御見解を承りたいと思います。
#74
○庄司政府委員 ただいままで委員長初め各委員の皆さんより、まことに公正妥当なる、そして特に厚生省を御鞭撻くださるありがたい御忠告をいただきまして、まことに頭が下らざるを得ないのであります。しみじみと痛恨の念にたえない次第であります。お話のごとくこの際政府は明白な措置をとつて、國民をして納得していただけるようにあくまでも善処いたしたいと考えております。実はただいまの野本さんより御懇篤なる御忠告があつたとまつたく同様の御趣旨の御忠告が――数日前に高松宮邸をお借りして、サムス代將ら一行と厚生行政上に関する、特に予防医学関係、あるいは社会保險等に関するアメリカのおみやげ話を拜聽して御指導を受けました。その際にただいまあなたがおつしやつていたと同様な強い御忠告を承りました。またさような御忠告がかりになくとも、ごもつともなことでありまして、われわれはこの製藥所を前々内閣の時代に許可したとか、あるいはその製藥に前の内閣時代において合格の檢査票を與えたとか、そんな責任のがれなことは考えておりません。少くとも厚生省の首脳部は、一貫性を持つた責任観念の上に立たなければならない、でなければ委員諸君よりほんとうに信頼を受け、また熱愛されるところの厚生行政がとれないと思います。そういう意味で、この非常な損害を與えた製藥所に対しましては、ただちに営業の停止、閉鎖を命ずるとともに、一方また法規により告発の法律的措置をとつたような次第であります。また直接責任の関係にある、あるいは指導的な監督的な立場にある官公吏につきましては、せつかくただいま調査中でありますから、臭いものにふたをするというような一時を糊塗するようなやり方でなく、断固として適正なる措置に出でたいと考え、せつかく調査を急いでおるような次第であります。
#75
○野本委員 國がこの問題に対してどういう責任を負うべきかということにつきましては、私は後刻厚生大臣の出席を期待いたしまして、さような点についての質問は留保いたしますが、ここで一つ参考までに申し上げておきたいと思う涙の出るような話があります。それは京都の病院を視察いたしまして、父兄の方とごく短時間ではありましたが、座談会をいたして、そうして父兄の率直な意見をわれわれは聞きました。おそらく父兄の口からは、不平不満の声のみが爆発的にわれわれに集中されてくるのではないかと思つたのでありますが、その中の一父兄は、われわれの子供の問題、われわれの生活の問題について御心配をいただきたいことは当然であるけれども、そのときに落してくれては困る問題がある。それは私たちの子供の病氣を直そうとして不眠不休努力されておる病院の医療從業者の人たちに対しましても、府なり國なりは見落されることなく、これに対して報いる道を考えていただきたいということを言われております。私はこの父兄の言葉は、眞劍になつて努力されております医療從事者の活動の有様を、きわめて簡單ではありますが、ほんとうに雄弁に物語つておるものとかように考えます。私の希望いたします点は、厚生省当局その他大阪の府市等の方々が、やはりかような言葉をもつて感謝され、敬慕されるに値するような実際の行動をとることに、最善の努力をしていただきたいということであります。一應これで私の質疑は打切ります。
#76
○山崎(道)委員 すでに委員長から、また野本委員からいろいろと御報告がございましたので、私は簡單に御質問してみたいと思います。
 私は今回の事件を國難だと痛感いたしております。地元に行つてみまして、特にその感を深くいたしたのでありますが、前々國会において予防接種法を通過せしめた私たちも、心から責任を感じておるものでございます。あの法案が審議されるとき、ことに榊原委員からは、これがほんとうにやれるのか、自信があるのかと念を押した御質問があつたように私は記憶しておるのでございますが、はたせるかな今回のような重大事件を惹起し、聞くところによれば、すでに外國においてさえ、日本ではワクチンをつくる能力がないのではなかろうか、むしろアメリカあたりにできた藥を持つて行つて、日本の予防接種をやらなければだめだというような世界の輿論さえ起きつつあるということを聞きまして、ほんとうに胸も痛む思いがしておるものであります。この不祥事が起きましたことにつきましては、すでに原因は明らかにされておるのでございますが、今野本委員の申されましたように、もつともつとほんとうにありのままの姿を國民の前に発表していただきたいということを、私はまず冒頭において要求しておくものであります。
 それからただいま濱野予防局長は、すべてをガラス箱の中でというようなお話でありました。私はもとよりそれを希望しておりますが、ここにどうも私の納得の行かない問題が一つあります。それはこの不祥事が起きましてから、日映がニュースにそれをとつた。ところがこれに対しまして厚生次官から、ぜひカットしてほしいと百五十フィートのカットを要求して、それをカットさせた。そしてこれに対して日映側からは二十五万円の損害賠償を要求しておるということを私は知り得ておるのでございますが、いかなる理由のもとに実情を撮影したニュースを百五十フィートもカットしなければならないかという点につきまして、ちよつとお伺いしたいと思います。
#77
○石橋説明員 ただいまお話がありました日本ニュース映画の問題でありますが、これは京都で実際にとられた映画をこちらに持つて参りまして、厚生省に何かこれに対して言葉を入れろといつて持つて参つたのでございます。ところがその当時は、先月の二十日ごろでありましたので、まだ原因がはつきりとわかつておらなかつたのであります。いわゆるジアテリアの毒素ということがはつきりわからなかつたので、厚生省としましても、それに対して何らかの國民が納得できるような言葉を入れることができなかつた。それからもう一つは、その映画は今のお話の中にありましたように、子供がたくさん入院しておつて、局所が非常にひどくなつておるのをとりまして、あとは子供が痛がつておるような、ちよつと死顔に近いような場面をとりまして、それでお母さんが泣くところと、あとは棺桶を持ち出す場と葬式、それだけのところなんです。それで予防接種によつて続々と死亡者というアナウンスをつけて、病院の子供の悲惨な場面だけをとりまして、それに厚生省で何とか説明を加えろと言いましても、私どもは説明の言葉がない。それならそうしておくということで、一應はでき上つたのでありますけれども、厚生省としましても、もつと原因をはつきりした形で言える時代になりますれば、そういうものに対してもはつきりした、見る人が納得できるような説明がつくのでありますけれども、調査に行つた石橋防疫課長は默して一言も語らなかつたというような形で、二十一日の火曜日から出しますニュースに組込んであつたのであります。それを前の晩になりましてお願いして、とるようにしていただいたのでありますが、その後賠償の問題については私どもはまだ聞いておりません。一應快くとつてやるということにまで話はついたように思つております。私も次官と一緒にそのときお願いに参つたのですが、とることだけは承知していただいて、あとの賠償の問題については、まだ詳しくは聞いておりません。
#78
○山崎(道)委員 私が聞いておるのとはいささか相違があるのでございます。これに対しまして悲惨なところばかりをとらないように、いろいろ注意もあつて作製したということも聞いておりまするし、また悲惨なところがあるならば、厚生省ではもつとその原因を社会に知つてもらいたいということもつけ加えてとるように努力すべきではなかつたか。また聞くところによると、その筋からも、あれはカットしてはいけないという言葉もあつたということも私は聞いておるのでありまして、どうも消極的に過ぎるのではないかと私は考えております。それからただいまの御答弁の中で、二十日の日までまだ原因がわからなかつたというのはおかしいと思う。どうも今度のやり方に対して私は非常に不満であります。なぜならば、注射したのが四日、五日であり、患者が出て参りましたのは七日ごろで、土曜、日曜であつたために遅れて八日にこれが問題になつたということでございますので、八日からいろいろ最高の知力を盡して檢査されたと思いますが、二十日にはほんとうにわからなかつたのですか。
#79
○石橋説明員 ジフテリアの毒素が藥の中に残つているのだということは、二十二、三日ごろにはつきり動物実驗の成績が出て参りまして、われわれとしても知るようになつた。それまでは現場においても非常に熱心にやつてくれてはおるのでありますけれども、毒素が藥の中に入つていることは確かめられなかつたのであります。ですからだれかが藥を入れたのではないかということまで疑つて、いろいろの方面の檢索まで行われておつたのであつて、そのころにはその点がわかつていなかつたことは事実であります。それからフイルムをとりますときには、私どもがついておりますれば、ぜひお願いしても多少明るみのあるところを入れていただく。たとえばジフテリア患者が今までたくさん出ていたのが、この注射で減つたのだという一つのグラフでも入れていただけば助かると思うのでありますけれども、とりましたのが現場でありますので、私どもと関係なくとられてしまいました。病院でもとつては困るという話をしたのだそうでありますけれども、やはりその部分だけはとつたことから、でき上りのフイルムが悲惨なものになつたいうことになりまして、相済まないと思つております。
#80
○山崎(道)委員 二十日には原因がはつきりつかめなかつたとおつしやいましたが、早くジフテリア毒素であるというようなことを言い出した人があつたように聞いております。そういうときには、少くともその注射をしてそうなつたのだから、一人でも二人でもそういうことを言う人があつたならば、次善の策として、そういう治療方法をとらるべきであつたように私は考える。その点は私はしろうとでございますが、しかし私はさように考えて、非常に遺憾に思うものでございます。もつと早くに血清注射がなされたならば、あのかわいそうな子供をあそこまで殺さなくてもよかつたとしみじみ考えておりますので、不満の意を表明するものでございます。それと同時に、國立の檢定所が東京に一箇所しかないということについて、今後ワクチンの製造と、強制予防接種になつております関係上、全國のものを國立の檢定所でやらなければならぬという場合に、東京一箇所であることが、東京へ送つて檢査しておるので非常に遅れて困るということを私は聞いておるのでございますが、当局といたしましては、関西方面に一箇所國立の檢定所というようなところをおつくになつて、即時にこれがやれるような態勢を整えようというお考えをお持ちでございましようかいかがでございましようか。
#81
○慶松政府委員 一時そういうことも、私どもはすでに過去におきましても考えたのでございますが、予算等の関係で実現しなかつた次第でございます。しかしながら檢定の事業その他を強化するということにつきましては、目下私ども厚生当局におきまして檢討中でございます。
#82
○山崎(道)委員 それから先ほどの御質問にも十分出たのでございますが、あの製藥所を見まして慄然たるものがあつたのでございます。私は國が制定して強制的にこれをやらせる予防接種のお藥が、ああいう所で、しかも民間のまことに設備が不完備な所でやらせるというところに幾多の問題が起きて來ると存じますので、この際、すぐ予算がないということでお逃げになるのでございますが、これを一擲いたしまして、人命を扱つて行くのだから――今度も、注射さえしなかつたならば死ななかつたという声が高いのでございます。死んだ子供をかかえて、かあちやんが惡かつた、かんにんしてくれと言つて狂えるごとく泣いております母の姿を見ますときに、私は予算などでこの問題を左右しておるときではないと存じますので、この際私は國立の製藥所をつくつて、完備した製藥所によつて責任のある藥をつくらなければならない、かように強く考えておるものでございますが、この点につきましてひとつ御見解を伺いたい。
#83
○慶松政府委員 実は一般的に申しますと、私どもは國が製藥をやるということは大体從來は反対の考え方を持つて來たのでございます。しかしながらこういう特殊なものにつきましては、十分考慮する必要があると今のお言葉でも痛切に感じておりますので、その点はあらためて檢討させていただきたいと存じます。
#84
○山崎(道)委員 私は全部の藥を國でつくれというのではない。特殊な藥、これに対してはひとつ実現してほしいと思つております。それから今回のこの不幸なる問題が起きました直接の原因といたしまして、結局モルモットが不足していたということを私は聞いて來た。モルモットがあつたならば、あんな不祥事を起さなくても済んだということを聞いたのでございます。このモルモットなどはやはり民間の製藥所の手腕によつて手に入れるほかはないのでございますか。こういう國の大事なお藥をつくつておる所に対しましては、國でこういう問題を心配して優先的にまわす、そうして遺憾なく試驗ができるようにというような方向は、今まではとられていなかつたのでございますか。また今後そういうことについてどういうお考えを持つておいでになりますか。それを伺いたい。
#85
○慶松政府委員 おつしやいます通り、当時モルモットが不足しておつたことは確かでございます。しかしながらそれは理由がございまして、実はモルモットを培養しておりますのは埼玉縣下でございます。あるいは関西地方におきましては、岐阜縣下等の農家で培養しておるのでございます。ところが関東地方におきまして、ちようど昨年風水害がございまして、その時にモルモットがすつかり流れてしまつたことがございます。そういう次第で当時いささか不足であつたのでございますが、今日におきましては、その点はずいぶん改善されております。しかしその試驗動物のせわは戰爭中から厚生省でやつておりまして、今日でもやつております。またその点につきましては関係当局も非常に力を入れてくださいまして、今日ではほとんどその点解決されておると存じております。
#86
○山崎(道)委員 災害でモルモットが流れたということはりくつにならぬと思います。私は今後だつてそういう問題が起きて來ると思う。いつどんな問題が起きないとも限らない。そういうときにはぜひ、藥はだめにしても、こういう不祥事を起さないようにしてもらわなければ迷惑いたします。
 それから政府当局がいろいろ先ほどから御答弁において誠意は見せておいでになるようでございますが、私たち委員としては不満でございます。この重大なる問題に対して大臣が出席していない。いろいろ理由もあるでしよう。理由もあるけれども、どんな委員会に出ていても、たとえ本会議があつても、この大事は問題を審議しているとき、大臣が出ていないことはもつてのほかだと私は考えるのでありますが、いかなる理由でここに出ておいでになりませんか、伺いたい。
#87
○庄司政府委員 ただいま林厚生大臣は、副総理の資格において、参議院の質疑にぜひお答えしなければならないことがあるので、参議院へ行かれたのであります。総理大臣は予算総会の方の質問に應ぜられておるのでありまして、そんな関係で、はなはだ申訳ないことでございますが、林さんは参議院の方へ行かれておりまして、私代理をさせていただいて、ここに出席している次第であります。午後は何とか都合してもらつて、御趣意に沿うようにいたしたいと思います。
#88
○山崎(道)委員 私は速記の関係もあるだろうと思つて質問は継続いたしましたが、大切な点は質問するわけに参りません。参議院でどんな質疑應答があるか知らないが、いかなる問題が取上げられておるか、知らないけれども、私たちはだてやものずきで京都まで調査に行つたのではない。しかもこの問題が今日報告され、審議されるということは林大臣も知つていたはずである。少くとももし御誠意があるならば、この問題が取上げられたならば、ただちに私は大臣の出席を手配なさるのが当局の当然なすべき責務だと思う。私はまじめに誠意を持つてやると言つておられるけれども、そこに不誠意を見出さざるを得ないのでございまして、満腔の不満をもつて、質問は大臣がおいでになつてからにいたしたいと思います。実際大臣も一ぺん京都においでになつた方がよろしい。これは行つて見なければわからないのです。委員長から、また野本さんから御報告がありますから、私は省略はいたしましたけれども、ともかく注射しなければ死ななかつた。死んで行く者は六箇月から一番大きいのが六つでございます。政府の手によつて殺されたような子供を、なお多くの子供の幸福のためにと思つて、その親たちは進んで解剖に供しておる。にもかかわらず続々と死んで行く。これではわが子の犠牲が何にもならなかつたということで親は泣いております。私たちも、委員が三班にわかれまして、各遺族を御弔問いたしたのでございますけれども、私たちがまわつているうちに、死兒がまた新たにふえておるということで、私たちが参りますと、一軒のごときは最初から最後まで一言も口をきかない。ただ子供をかかえて、かあちやんが惡かつた、注射さえしなければお前を殺さなくても済んだ、かあちやんを許してくれと言つて泣いておりました。ある親は、三千円の罰金がたいへんだと思つて、私たちは貧乏で三千円の罰金が拂えないから、注射をして、そうして子供を殺されました。もし金があつたら、私はこの子供を殺さなくて済んだと言つて、泣いておる母もあるのでございます。それからまた一面におきましては、ああよかつた、うちでは注射しなくても三千円罰金を拂えば済むのだ、だから注射しないで子供を殺さなくて助かつた。あすこは貧乏で注射したから子供を殺したのだというようなことを言われて、くやし泣きに泣いておる親もあるのであります。これらに対して私たちの責任はほんとうに重いと思う。私は一議員としての立場からいたしましても、身も世もなく。そうしてその晩は宿屋に泊りましたけれども、眠れば夢を見る、かわいい子供が口を開いて、そこから歯が二本か四本のぞいて、あどけない死顏をしておる、私は夢にまで見て悩んでおります。おそらく行かれました委員長もあるいは專門員も、野本さんも同じ思いをしておられると思う。こうして自分たちの手で殺したような形になる。しかもこれを日本國内だけでなくて、世界に向つても私たちはこの原因、今後の方法等を明らかにしなければならぬこのときに大臣が出席されないということは、私はほんとう残念でございます。午後は必ず御出席いただきまして、そうして國家としての責任等について、十二分に御相談いたしたいと思いますので、ぜひ午後は間違いなく御出席いただきますことを、私は重ねて要求しておきます。午前の質問はこの程度にしておきます。
#89
○佐々木委員長 ただいま山崎委員からの御要請もありましたので、厚生大臣並びに関係政府委員、さらに大藏関係の方々も全員御出席ののほどを委員長よりもお願い申し上げます。
 それではこれより午後二時まで休憩いたします。
    午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二十八分開議
#90
○佐々木委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 社会保障制度審議会設置法案を議題といたします。引続いて御質疑はありませんか。――ないようですから、これにて質疑を打切ることに御異議ありませんか。
#91
○佐々木委員長 御異議がなければ、本案に関する質疑を打切ります。
 次に討論に入るのでありますが、討論に関しましては別に通告もございませんので、ただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
#92
○佐々木委員長 それではこれより社会保障制度審議会設置法案の採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の諸君は御起立を願います。
#93
○佐々木委員長 起立総員、本案は原案通り可決いたしました。
 なお議長に提出いたします報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたのでありますが、御異議ありませんか。
#94
○佐々木委員長 異議なければさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#95
○佐々木委員長 次にジフテリア予防接種副作用に関する件を議題として質疑を続行いたします。野本品吉君。
#96
○野本委員 午前中の委員会におきまして、こまかに具体的な事柄についてはいろいろ質疑をいたし、意見を述べておいたのでありますが、大臣がお見えになりましたので、私は大臣に二、三お伺いいたしたいと思います。
 実はわれわれの現地視察の結果から得られました具体的なる事実、それから実に深刻な印象等につきましては、午前中るる申し述べましたので、そのときに大臣がおられたならばと思つておつたのでありますが、おられませんで実に残念でありました。この問題につきましての眞相状況等につきましては、それぞれ関係係官等から御報告を聽取されておるところで、大臣におかれましても、詳細に御存じのことであろうと思いますので、私のお伺いいたしたいと思いますことは、政府といたしましてもかように重要な問題に対しまして、あらゆる角度からの御檢討を続けられておることと思いますが、そこで國家賠償法というような点から、この問題をどのようにお考えになつておられますか、政府の御研究と御見解等をまずお伺いしたいと思います。
#97
○林國務大臣 先ほど御報告のありましたときに私欠席をいたしまして、まことに申訳ございません。ただちようどこちらの方の委員会の開かれました際に、参議院の本会議におきまして当該大臣として出席しなければならなかつた関係上、そこへ参つておりまして、欠席をいたしたわけでありますので、その点あしからず御了承をお願いいたしたいと考えます。
 先般京都の方に御足労願いました委員各位のお取調べ、また御苦心のほどを政府の係官などからも大要了承いたしまして、御苦労であつたことをまことにお察し申し上げますとともに、種種御研究また御報告くださいましたことを、この際に厚くお礼を申し上げておくわけであります。その後も本日の新聞などによりますと、すでに三十五名の多きにわたつて死亡者を出しましたということは、まことに遺憾のきわみでありまして、政府といたしましてこれが法的の根拠がどこにあるかなどということは、今後十分檢討いたした上のことであろうとは考えますけれども、道義的に考えましても、何とかそのなくつた方々にお報いをいたし、また重症であられる方、なお引続いて病床におられるような方々に対しましても、弔慰並びに御慰問を申し上げたいと考えまして、一通りの手続はとりまして、それぞれの手配はいたさせたわけであります。先般も京都府からもわざわざおいでになりまして、京都府で直接にお当りになりました方々の御苦心、またまのあたりそういう実情を見た方々の非常に悲痛なるお話も伺いまして、私どもといたしましては、ことごとく同感であつたのであります。そこでわれわれも何とかしてまとまつた金額を京都の方にお持ち返りを願い、また今後において贈るような方式をしきりに大藏当局とも折衝いたしまして講じたわけでありまするけれども、なかなかこちらの方の考えておりますようなところまでは参りかねたのであります。京都からの御出張の各位も、佐々木委員長などにも種々お骨折りを願いまして、一應納得してお帰りを願いましたとともに、今後の問題につきまして、なるべく多く地元などにも負担をかけないようにというような氣持をもつて一通りの処置をし、なお今後の処置をとりたいと考えておるわけであります。
 國家においての賠償についての問題でありますが、今後はどうしても、何かこれらのようなことが重ねて起ることがないように念願をしなければならぬのでありますけれども、もし再びそういうような不幸なことがあるものといたしますならば、これを成文化いたしまして、そういうような方々に対しましては、適当に処理するような方法を講じなければなるまいかと考えまして、画期的のこの事件の起きました場合を一つの契機といたしまして、事務当局とも十分檢討いたしました上で解決をつけたいと考えておるわけであります。
#98
○野本委員 ただいまの御答弁によりますと、法的な研究はいまだしておらないということでありますか。
#99
○林國務大臣 一通り処罰と申しますか、それを明らかにするために、こちらの方からも業者に対しては告発をいたしております。それから監督その他の問題につきましては、爾來取調べをいたしておりまするけれども、ただいままでは今日その結果その他を申し上げる機会になつておりません。しかしながら責任のありますものといたしましたならば、相当にこれに対しての処置を講じたいと考えております。
#100
○野本委員 まだ結論には到達しておらないというお話ですが、それが午前中にも申しましたように、國民の不安と疑惑とを深からしめるもとになるのでありまして、すでに事件が発生しましてから一箇月を越えております。そしてこの間現地の特況も調べ、それから関係者等についての調査も終つたのでありますから、私どもの考え方からしますれば、一應この問題についての法的な見解というようなものが、すでに結論に到達しておるべきであると思うのであります。それがまだそういうふうになつておらないということは、少し怠慢のそしりを免れないのではないかと私は思います。結論として公表することができないにいたしましても、今までいろいろ調査研究を遂げられました現段階における見解を伺おうと言つているわけであります。
#101
○葛西説明員 多少事務的になりますので、私から今までの法的方面におけるところの研究の結果だけを申し述べさせていただきたいと思います。まず一番の原液をつくりました製剤所側の責任と、それからこれを國家檢定をいたし、あるいは採取して参るというような仕事の第一線の官吏、公吏の側における責任と、第三はこれを監督いたします厚生省の責任というようにわけて申し上げる方がよいかと思いますが、その中でまず第一の製剤所の方における責任につきましては、これは先ほど大臣からも御答弁がありましたように、一應私どもの方としては適当でない、責任があるものというような見解でございまして、製剤所に対しましてはすでに先月、日附は十一月二十七日かと思いますが、閉鎖命令を藥事法の規定に基いて出しております。それからこれが旧藥事法の規定に基いて藥事法違反であるというような観点から、檢察廳に対しまして、厚生省の名においてこれを告発いたしております。これら製造者にかような責任があるのでありまして、事実は御承知の通りでございますが、あの事実をもとにいたしまして法律上の責任があるという点においては、私どもの方といたしましては一應結論を得て、そういうふうにいたしているのであります。それからこれをとりわけて参りますとインスペクターの責任というようなもの並びにこれを監督いたします府当局の当局者の責任というようなものにつきましては、まず前者についての点でございますが、これは製造工程を一應記録にとどめておいて、それを見て実際にその製造の記録、それから現状に臨みましたその状態において、役人として拂うべき当然の注意を拂つたにもかかわらずああいうことを発見できなかつたかどうかというような点に関する問題であります。これらの点は、一つは法律上の点から調べて行かなければなりませんし、もう一つは医学の方面からも見て行かなければならぬ。この点については法律の方を檢討いたしますとともに、医学上の点につきましては、各予防衞生研究所の権威のある方、それから大学等の権威のある方々にこれらの記録について、その現状においていかに判断をすべきであるかというような点について、まだ実はデリケートなところがありますので、実は当局のしつかりした結論は、いろんな方面から集めました材料によつて、これはかく判断すべきものであるという点についての見解で、それぞれ各方面に照会をいたし、愼重にやらなければならぬといつてやりました関係上、ただいままで実は集まつておらないような現状であります。法律上の調べによりましても、現状がどうであるというような点と、それらの記録の作成並びにそのときおつた人たちのいろいろな採取の際における注意義務というような点にもやや関係がございますので、これらの点につきましては、一應書面をもつて調べて來たその方々に、現地に数回行つていただいておるのでありますけれども、さらに法律学というか、医学の観点からもう一ぺん行こうというので、現地に係官を派遣して、実地に檢討しておるような次第ごでざいまして、医学法律両方面から見て、今申し上げたような次第で、いまだ結論に到達しておらないと申し上げなければならぬような現状でございます。
 第二のあとの方の、それを監督いたしまする大阪府知事以下の衞生部長、そのほかのものの監督というような点になりますと、今出ました事実を基礎にいたしまして、これを監督すべき責任にある大阪知事以下の職員の責任ということになれば、それから自然発生して來る、そういうことになります。
 それから第三に、厚生当局の責任という点、これは大臣からも申し上げたと思いますが、私ども決して責任を回避するというふうな態度を持つものではございません。これはほんとうに、純粹に冷嚴な法規の解釈というような点から解釈すべきものだと心得ております。かような立場からいろいろ檢討いたしたのでございます。これは大学の教授の方にも実はお目にかかつて、こういうふうな事案について、地方の知事に委任してある事柄についての監督上の厚生大臣の責任、たとえばかかる事件に対する責任、そういうようなものは行政法上いかに考うべきかというような点について、大学の先生の御意見も聞いたのであります。そんなようなことで、実は第一線の先の方の関係がまだわかりませんものですから、自然その次に出て参ります責任の点についても、いまだ結論に到達していない、こういう現状でございます。現状だけを申し上げておきます。
#102
○野本委員 その問題はきわめて重大な問題でありまして、これは單に京都の一地区に起つた問題ではありませんので、相当大きな政治問題化するおそれもないではない、私どもはかように考える。從つてただいまのお話によりますと、まだ研究の途上にあるということでありますが、一刻も早くこれに対しましては結論を見出して、そして政府のとるべき、あるいは製造者のとるべき、あるいは府等のとるべき責任を明確にすることが、本問題を紛糾させないだけでなしに、一般國民に不安を與えることを避ける上からいつてもきわめて必要なことであると思いますので、できるだけ急速にこの点の研究を進めていただきたいと思います。
 次に先ほどのお話によりますと、いろいろとお骨折りで、一通りの手配、手続等はおとりになつたと言われておりますが、今まで断片的には、手配、手続等をお伺いしたのでありますが、いま一應私はこの際、事件の発生以來今日に至るまでおとりになりました手続、手配等を詳細にお伺いします。
#103
○濱野政府委員 私から申し上げたいと思います。本事件は十月の十九、二十日に第一回の予防接種をいたしまして、第二回が十一月の四日、五日でありました。私たちの耳に入りましたのが十一月九日であります。ただちに電話をかけ、いろいろ連絡をとりまして、十二日の日に本省から京都府との話合いのもとに柴山技官と黒川技官を現地に派遣いたしたのであります。この間京都府廳におきましては、御承知の通りただちに細菌学的に病源研究をいたしておりましたが、私どもの方からも参りまして、資材その他の調査をした上採取して、これを東京に持ち帰りました。なお大阪の現地に駐在防疫官を一名駐在してありますが、この人が十一日の日に京都の実情を見て、ただちに資料を持ちまして、十三日の日に入れ違いに参りまして、この実情をただちに予防研究所長と副所長並びに檢定部の部長の三人に來てもらいまして、それについていろいろ相談いたしまして、ただちに研究をすることになつたのであります。十三日の日に京都府に第一の犠牲がありまして、何ものであるか原因がよくわかりませんので、私たちは十六日の日に予防衞生研究所の中に厚生省といたしましての調査委員会を持つて、そこでいろいろ各方面の方にお集まりを願いまして、原因を究明するとともに、そこから中村檢定部長を班長といたしまして実地に調査に行つてもらい、並びに防疫課長その他が製造所その他をもう一ぺん見聞すべく十七日の夜行で現地に参つた次第でございます。それから資料をとつて参り、その資料その他によりまして毒素ということがわかりました。これを先般申し上げましたように、二十五日の日に東京と京都両方におきまして発表するとともに、完全に毒素である以上血清その他をさせて、万全の処置をとるよう努力してまいつたのでございます。なおその後死者が一時中絶いたしましたが、毒素による後痲痺によりまして、御承知のごとく尊い犠牲がふえてまいつたのでありますが、この間われわれといたしましては後痲痺の血清を続けて、極力その治療に努力すると同時に、現在いる患者につきましては、いろいろ衆智を集めて、治療その他によつて努力いたし、また先ほど申し上げました十一月十七日の日に防疫課長が参りましたときには、とりあえず大臣の代理といたしまして、防疫課長をして病人並びになくなつた各家庭を大臣の名において御弔問申し上げたのであります。なお続いて逐次係官を京都方面に出しまして、私も二十七日の日に京都に参りまして、それぞれの処置をとりましたが、ワクチンの不備の点につきましは、ただちに各縣に打電いたしましてこれをとり、並びに先ほど申しましたように、各業者を集めまして再檢討をいたす等、あらゆる万全の策をいたしました。なおその間に、先ほどお話になりました製造所の閉鎖を命ずる等、その他それぞれの方面の処置は講じた次第であります。なお今月に入りまして、一層京都府の方々とも連絡をとりまして、大藏当局その他に対しましての賠償、弔慰金その他に対する支出に対しまして全面的に協力するとともに、厚生省の次官の手元におきまして、先ほど次官が御答弁になりましたように、そういう法的のこと、事務的のこと、そういうような面についての調査会を先月末から逐次開きまして、徹底的に調査いたしている次第であります。
#104
○野本委員 先ほどのお話の中に、委員長等のお骨折りによつて、厚生省としては一應恒久的な金の支出等も考えられたと言われているのでありますが、これは実は京都の陳情隊とそれから厚生当局との間の交渉でその金ができたのでありますか。その金のできたことを私ども委員会としては何ら関知しておらないのであります。陳情に対して政府の方で親切にとりはからつた、こういうような経路なんですか、その点をお伺いいたします。
#105
○林國務大臣 それは根本は、厚生省と大藏省とが折衝いたしましてできたわけであります。その間において京都府の実情を直接にうかがわせますこともかえつて便宜であろう。それからまたたまたま厚生委員会の佐々木君などもおられたわけですから、よくその実情をお聞きを願つておくことの方がどうであろうかというような心持で、根本は厚生省と大藏省と折衝いたしまして方法を講じたわけであります。
#106
○野本委員 佐々木委員長がこれに関係されたというのでありますが、それは委員会として、あるいは委員会の委員長という立場において関係されたのでなしに、たまたまその間にそういう話をする機会があつたというふうに考えることが適当なのでしようか。
#107
○林國務大臣 ただいまお話になりました後者の方で、委員長として特においでになつてせられたというわけじやございません。たまたまい合しておられたわけですからお願い――お願いと申しますか、とにかく御参考までにいろいろ伺つていただいただけにすぎぬのであります。
#108
○野本委員 大藏省との折衝がこちらの思うように行かないと言われるのでありますが、大藏省の人たちはこれを事務的に処理しようとする氣持が強いのではないかと思うのであります。現地の惨憺たる悲惨な状況を見るならば、何人といえども目をおおわざるを得ないのであります。そこで大藏省が厚生省の要求に対して難色を示しておるのは一体どういう点にありますか、この点をお知らせ願いたい。
#109
○林國務大臣 大藏省の難点につきましては、法的にどこに根拠があるかというような点も考慮せられておる模様であります。それで先ほども申し上げました通り、できるだけ規定の上において考慮し得られるだけの御心配を願うようにして、一つの結果を見るに至つたわけであります。なお折衝の点を事務次官から御説明申し上げます。
#110
○葛西説明員 その時分大藏省と折衝いたしました者といたしまして、野本さんのお尋ねでございますので、若干補足さしていただきたいと思います。この問題は死んだ方に対しまするいろいろな補償は、政府の方でやりますのは法律の根拠に基かずに、いろいろと大藏省においても他の例等もございまして、そういうふうな件を当初はいろいろ比較をされておりましたことは事実であります。しかし今回の事件は、御承知のように非常に異例な事件であるのでありまして、非常な異例でありまするから、そういう権衡論等はある程度無視をしていただきたいということを大臣もお願いいたしましたし、私ども特にお願いいたしまして、その点はある程度認めていただいたようなかつこうになつておると思います。ことにこれは御存じと思いますが、政府の名におきまする見舞金というようなものの贈呈という点についてでございますが、さらにあの氣の毒な方々の治療に関しまするいろいろな経費というようなものにつきましても、これまた從來のいろいろな、あるいは傳染病予防法でありますとか、あるいは予防接種法でありますとかの補助というような率等にも関係なく、相当高率――これはまだ決定はいたしておりませんが、かかりました費用に対しまして相当な高率な補助をするというふうな点についても、それらのいろいろな法規等に関連なくやろうというような点についても御了解を得たような次第でございます。
#111
○佐々木委員長 この際野本委員初め全委員に御了解と報告をするわけでありますが、午前の委員会におきまして、大藏大臣の出席の要求がありましたので、委員長より早速その手配をいたしましたところ、大藏大臣は御承知のように予算委員会で、午前午後引続きまして目下手が放せないというようなわけでございます。なお重ねて予算委員長にも私から懇談をいたしましたが、どうしても放せないからがまんをしてくれないかというわけでございます。今大藏政務次官がこれまた大藏委員会に出席されまして答弁中でございましたが、幸いお見えくださいましたので、皆さんにお諮りをするわけであります。この際本件に関して特に大藏省に対する御質問の方がありますれば、政務次官も大藏委員会の方でしきりに要求されておりますので、この際大藏政務次官に対する質疑をしていただきたいと存じます。
#112
○野本委員 ただいま厚生次官の説明によりまして、前例等にはあまりこだわらずにということでありますが、もう前例とか法律の末梢的な解釈とかいうことを超越した、非常に緊急かつ重大な問題になつておる。從つて私どもとすれば厚生当局の要求に対しまして、大藏省はかような点にこだわりなしに、思い切つた財政的なる支出を考慮すべきであると思うのでありますが、この点について大藏省はどう考えておりますか、お伺いしたい。
#113
○塚田政府委員 この点につきましては、実は発生直後にいろいろ厚生省御当局及び佐々木委員長から御交渉を受けまして、私も非常に実は心配をいたしておつたわけであります。その後自分の委員会の方の多忙にまぎれて、あまり関心を持たずにおつて、まだ事件が最終の決定のところまで行つておらないということを聞いて、実は非常に遺憾かつ恐縮に存じておる次第であります。ただいままで大藏省において御交渉を受けて了解をいたしております点は、ただいま葛西厚生次官の説明にありました通りであります。見舞金を差上げたい。治療費の一部分を補助して上げたい。その場合において、こういうものを出します場合には、それらに類似の他の案件において過去に出しましたもの、それから最近に出しましたもの、その後の物價の上り方等を考慮いたしまして、大体出て來る標準というものはおのずからあるわけであります。それに予算の上の制約というものもあるわけなのでありますが、事態の非常に重大なという点にかんがみまして、なるべく一つ最大限の努力をして、たくさんのものを、しかも早急に差上げたいという氣持で解決に当つております。ただ今もいろいろ本席に参ります前に、主計局長とどの程度まで事務が進捗しておるかということを打合せて参つたのでありますが、まだ残念ながら金額その他につきましては、御報告申し上げる段階にまで至つておりませんので、これは今後早急に解決をいたしたい、かように存じておる次第であります。
#114
○野本委員 早急と言つておりますが、そんないつだかわからないような、のんきなことを言つておられる事態でないと私は思うので、大藏省の方はやはりそういうことを早急に解決しようとする熱意があるならば、直ちに現地に行つて、あの悲惨な状況を視察するだけの熱意をお持ちになつておりますか。
#115
○塚田政府委員 どうも今も申し上げました通り、当初は非常に心配しておりましたが、間でちよつと自分の方の委員会の用件に追われておつて、関心を薄くしておりまして、まことに申訳なかつたのでありますが、早急に大臣と相談をいたしまして、何らかの処置をいたしたいと思います。
#116
○野本委員 大臣あるいは次官等は中央のこういう情勢において、なかなか出かけることが困難であるかもしれませんが、少くとも人道的に見ましても、世界に例のないような大事件の突発に対しまして、大藏当局は関係の下僚を出張させて、実情を正確に認識して、急速に公正な処置をするだけの熱意を示さないということは、あまりに私はこの問題を甘く見ておるのではないかと思います。今晩にもすぐさま現地に係官を派遣して、実際の状況を視察させ、急速にというような言葉でなしに、ほんとうに即刻これに対する適当な結論的な措置を講ぜられるように、この際強く要望してやまないものであります。大藏大臣に対する質問は私はそれだけにして、他のことは保留いたしまして、皆さんの方に一應お讓りいたします。
#117
○山崎(道)委員 私はただいま大藏当局からのお話を伺いまして、どうも解せないのでございます。自分たちの方の仕事というようなお言葉でございましたけれども、これは一厚生省の問題ではないと考えておるのでございます。私たち委員といたしましては、予防接種法を通過させて、そうしてこれが國家の強制接種になつておる。しかもこの問題が起きましてから、世界の輿論、世界の注目は、日本のこの問題の上に集中されておるといつても私は過言ではないと思うのであります。私たちはこのワクチン等は、これからは日本の製品をもつて少くとも中華民國あたり、あるいは東洋の諸國に対しましては、これをもつて今後日本再建の基盤たらしめるくらいな覚悟を持ち、希望を持つてやつておりましたのに、日本にはワクチン製造の能力がないのじやないかということさえ世界で言われておるのでございます。これに対しまして、國家はあげてこれが解決にもつと熱意をもつてやつていただきたい。どうも政府当局におかれまして、なわ張り的な考え方――この言葉を私はいつも使つて憎まれるのでございますが、こういう考えがあるのじやないですか。ことに厚生行政に対して、政府全般の考え方が非常に間違つておると思うのであります。軍國主義時代ならばいざ知らず、文化國家をもつて日本の今後の生きる道と規定して出発いたしました今日の段際におきまして、もつと厚生行政に対して、私は熱意を持つていただかなければならないと強く要求いたすものでございます。ただいま野本委員の申されましたように、とにかく現実は皆さん方の御想像以上のものでございます。被害者がほとんど庶民階級でございまして、子供は入院してごろごろ死んで行く、隣のベットの者がきようも死んで行く、また死んだ、また死んだ、歯の拔けたように死んで参ります現状を見つめながら、なおその子供は、きのうもきようもお乳を飲みません。おやじさんは仕事を休んで病院にかけつけておる、着物を脱ぎ、ふとんを賣り拂つておる、この寒空に向い、ふとんがなければ困ると知りつつ、これを賣り拂つてその日の費用に充てるという惨状を呈しておる。しかも京都府におきましては、すでに二千万に達する費用を暫定的にくめんしてそれに費しておる。こういうことを考えますときに、私はもつともつと眞劍であつてほしいということを強く要望いたします。大臣あるいは次官、もしお子様がこういうことになつたとしたならばどうでございますか。國の強制接種であつたということをお考えいただきまして、やはり製剤業者に責任がある、あるいは監督の上においてどうであるというようなことは將來の問題であります。現実にただいまをどうするかということが私たちの最も伺いたいことであります。殊にドイツにおきまして、これがまだ強制接種にならないときに、結核予防藥BCGを飲ましたことによつて子供がなくなつた事件がございます。六十八名の死亡者を出した事件が突発いたしまして、このときにはずいぶん大騒ぎになつたのでございますが、これに対しましてとりあえず多額の弔慰金を支出しておる。あるいは病氣の残つた者に対しては、全治するまでその治療費、生活費を終身保障しておるというような例がございます。強制でないときにおいてすらこれだけのことがなされた、ことにナチス政権下においてなされた。今日の日本におきましてこういうことが起きたのでございますから、私は法律的にはわかりません、けれども私はそういうものを乘り越えて、國家でこれらを終身保障する用意があるかどうかということを伺いたい。
 それからいま一つは、もしもここで病氣が直つたというような現象がございましても、腎臓等を冒されておる場合、一年後あるいは二年後にもしこういうものが出て、一生不幸にならないとも保証できないということを私は聞いたのでありますが、こういう場合にも、私は國家で補償すべきであると考えておるのであります。これらに対しましてもつと責任のある御解決をしてくださるおつもりであるかどうかということについて、私は責任ある御答弁を伺いたいのでございます。
#118
○塚田政府委員 ただいまの山崎委員の御発言、それから先ほどの野本委員の強い御希望、十分に了承いたしました。先ほど私が申し上げました答弁で、自分の方の仕事にと申しまして多少誤解を生じたかと思いますが、ただ事実はその通りであつて、恐縮いたしておるのでございますけれども、いつも國会で大藏政務次官はたいてい大藏委員会に引張られて、そちらの方の仕事で大半の時間をつぶされてしまつておりますので、つい注意力が散漫になつておることを恐縮に存じておりますが、皆様方のきようの御発言は了承いたしましたから、誠意をもつてこの解決に当りたいと存じております。
#119
○山崎(道)委員 葛西次官からのお話で大分お考えが違つて來たというので、私も非常に明るい氣持がいたしたのでありますが、この際ひとつ念のために私申し上げさせていただきたいのでありますが、この問題が厚生省と大藏省との間にとりかわされて、相談が起りましたときに、大藏省では前例がないということを言われたようでございますが、こんな前例があつたらたいへんでございまして、これは世界的にも前例がないことでございます。だから私は、國難だと申し上げておるのでございます。でありますからこれをもつて、やれ水源地でおしめの洗濯をするためにチブスが発生したときに國家補償はできないとか、あるいは船が沈没したときの問題とか、そういうものをぜひ頭から取去つていただきまして、そういう問題とは違いまして、これは國家の命令で注射した、注射さえしなければ死ななかつた子供でございます。しかも罰則までつけたということを強くお考えいただきまして、世界に前例がないとか何とかにこだわらずに、重ねて誠意ある解決をし、そうして國民大衆を納得せしめ安心せしめて、今後の予防接種をして支障なからしめていただきたい。でなくては、今多くの人は、注射など罰金を拂えばよいのだ、もう決して注射などしないという考え方が瀰漫いたしております。これは一小部分の悲劇で幸いに食いとめることができましたけれども、このために予防接種が行われないということになりましたならば、何百万の赤ちやんが今後病氣によつて死ぬのであります。こういう不幸を私はさせたくない、多くの子供の生命を守りますために、日本の文化國家としての体面を維持いたします上に、ぜひ國内的に國外的にも、この際思い切つた補償をしていただきたいことを重ねて要求いたしまして、大藏当局に対する質問はこれをもつて終ることにいたします。
#120
○野本委員 昭和二十二年十一月一日に大阪の日赤の藥学研究所の秋山靜一氏から國立予防衞生研究所長小林六造あてに「ジフテリヤ予防液明礬トキサイト研究依頼書」というものが出ております。これによつて見ますと、問題になつております予防液は、全部自家檢定の結果、無毒試驗に合格しておるということになつておる。この事実を予防衞生研究所長、厚生省は認められておられたのかどうかということをお聞きします。
#121
○慶松政府委員 当然それは私の方では認めざるを得ない次第でございまして、事実各製造所が檢定に出しますには、自分のところの檢定報告ををつけて出すことになつておりますし、その報告書によつて私どもは判定いたしておる次第でございます。
#122
○山崎(道)委員 野本委員から詳細にわたつての御質問がございましたので、私は二、三点だけお伺いいたしたいと思います。私は厚生委員会におきまして、常々不良藥品の取締りにつきましては、うるさいくらいにお伺いをいたして参りまして、その都度責任ある取締りをしておるというふうに御答弁をいただいて参つたのでございます。ところがそれがどの程度に責任のある取締りであつたかということを、私は疑問を持つのであります。ことに大切なジフテリアのワクチン製造業者である日赤のあの施設を見まして、慄然としたことは午前中に申し上げましたが、なおこの日赤は、二十二年の四月にジフテリア・ワクチンをつくることを許可されておりますが、今日まで四十回の製品中、これを檢査されまして、実に十八回の不合格品を出しておるというのでございます。ところが四十回のうち十八回も不良品を出しておるメーカーを、なお継続して許可して行つたこと、それと同時に、それだけの不良品を出しておるならば、どこかに欠陷があるのではないかということもお考えをいただいて、もつと親切にあの製藥所を檢査する必要があつたのではないかと思うが、これらもなされていない。だから私に言わせますならば、不良藥品があるかないかをただ檢査するだけで、あとはそのまま放置しておるのではないか。それならば断じて國民の一人といたしまして安心できないのでございますが、これはどういう程度の責任を持つておやりになつておるかということを私は伺いたい。人命をあまり安々と扱われてはかなわないであります。
#123
○慶松政府委員 具体的にこの研究所だけについて申しましても、御承知の通り、藥務局は今年の七月十五日から発足いたしたのでありますが、この研究所は、今年の十一月の事件が起ります以前までに、二回人を派遣いたしまして、そのたびごとにいろいろな注意をいたしております。それ以前におきましても、たびたび人を派遣いたしまして、おそらくその間に厚生省から行つておるだけでも、年に四回くらいは行つております。そうしてよほど整備されたと私どもは報告を受けておつた次第であります。
#124
○山崎(道)委員 これは大阪府廳で伺つたことでございまするが、現在監視官が四名で、これでは大阪のようにメーカーの多いところではとても手がまわらない。しかも優秀な人がいない。それに対して、政府から依頼されているのだけれども、これではとても手が足りないからということをしばしば厚生省当局へは要請してある。それからその費用等も、今日までほとんど本省から送られていない。ですからある程度地方の監督権を強化してもらうか、それでなければ政府所属になすべきではなかろうかということが言われておつたのでございまするが、厚生省としては、四名の監視員で事足れりと考えておいでになるのであるか。あるいは費用等はどうしても送ることができないのであるかどうかお伺いいたしたい。
#125
○慶松政府委員 今回の事件にかんがみまして、私どもすでに大体の対策を立てたのでございます。それは、ことに監視員の制度の強化ということでございます。監視員の制度は、從來細菌製剤、すなわち今回事件が起りましたような問題につきましては、從來から細菌製剤監視員というものがございまして、それがただいま仰せになりましたように、大阪府におきまして四名であつたのでございますが、先般御制定になりました藥事法に基きまして、藥事監視員なるものの制度がはつきり法的にきまりまして、それによりまして大藏省から予備金あるいは追加予算等を頂戴いたしまして、この費用が相当になりましたので、ごく最近でございますが、各府縣に配付をいたしたところでございます。それによりまして、從來よりもよほどこの点強化され、かつ改善されることと私どもは存じておる次第であります。
#126
○山崎(道)委員 それからこれはメーカーの責任といわれておりまして、それは明らかでございますけれども、また一面から考えまして、メーカーに対しこの保護処置が講じられていないのではなかろうか。すなわち、たとえばアルコールなどにいたしましても、その他資材なども最上のものでなければならないのに、これらが十分でない。從つてマル公では資材が入つていないということが一つ。それからいま一つは、資金の回收が半箇年くらいかかる。ですからたいていのところでは参つてしまうのです。これに対して、政府の指定した製剤所であつたならば、これらの入用なものならば、再優良品を必要なだけ保障してやらなければならぬ。一面責めるだけでは私はむりだと思う。資金の回收が半年もかかるというようなことは、あまりにも私には不可解なことだと思う。これに対しまして御答弁を願います。
#127
○慶松政府委員 大体重要な藥で、特に今回問題になりました藥でございますとか、あるいは性病の藥でございますとか、そういつたものは私どもの方で大体計画的に生産をしておりますし、かつそれをつくりますメーカーも、数量その他を計画的に願つておるのであります。それに対しましては、大体今日資材等も統制的に配給されておりますので、優先的にその資材の割当は、私どもの方で確かにやつております。それとただいま仰せになりました資金の回收の点でございますが、これは今日いずれも、ほんとうに申しますと非常に困難な点はございます。しかしながら最も重要な藥につきましては、その融資の点におきましても、大藏当局その他と折衝の結果、最優位、すなわち術語で申しますと甲類に入つておりまして、その点につきましてもできるだけの斡旋を私どもいたしておりまして、大阪でございますれば、大阪に私どもの方からたびたび参りますし、また大藏省あるいは日銀その他の関係者等とも一緒に参りまして、これらに対しまする融資の点に対して斡旋をいたしておる次第でございます。
 また最近特に製剤の必要なものに対しましては、國家で買上げ等の措置も講じておりますし、さらに來年度の予算におきましては、國家である程度のものを買い上げまして、そうして資金繰りを良好ならしめるようにいたすべく、目下努力いたしております。
#128
○佐々木委員長 この際ちよつと御報告申し上げておきます。それは先刻來、野本委員初め各委員からの御熱心な御要請がありましたのにこたえまして、大藏当局におきましては、本日ただちに現地に係官を調査に派遣することになつた旨、ただいま塚田政務次官から通達がありましたので、御報告申し上げます。
#129
○山崎(道)委員 それでは藥務局長は、資材は計画的な製剤をして行くだけのものは、十分に行つておるという御見解でございましようか。
#130
○慶松政府委員 これは切符制でございますが、私は十分なだけの割当切符は出しておると思つております。
#131
○山崎(道)委員 それでは現地の調査に行きました私たちの誤りで、向うが偽りを言つておるかもわかりませんが、この点はよく調査してみたいと思います。
 それから私非常に恐ろしいと存じますのは、京都のジフテリアの問題が起きましてから、ただちに國会の医務室へ参りましていろいろ調べていただいた。そうしたら、ほんとうに恐ろしいような状態なんでございます。靜脈にさします注射液が、透かして見ますと、夾雜物がたくさん入つております。これがみな一流の品物ばかりで、武田製藥であるとか、三共であるとか――ここに私見本を持つております。これをひとつどうぞお調べをいただきまして、もしこの中のものがここの血管にでも参りましたら、それつきり死んでしまうと思います。これは私が申し上げるまでもなく、ここには優秀な博士がおそろいでございますから、私はよくおわかりだろうと思います。この箱のごときは、一箱全部が不良品だといわれております。私は何にも知らずに注射してもらつておる。もし大臣でも、下手をしたら死んだかもしれない。これは國会の医務室でありますが、この中にもいろいろ入つております。みんなこうして見ますときに、恐ろしいような状態だと私は思う。お医者さんもそう言う。だから私は、どこで檢査しておるのかと思つて恐ろしいのです。これなどもそうでございますが、まつ白でなければならないはずのものが色がついている。これはどういうわけかいろいろ聞いてみたところが、古いからだ、ほこりになつておるという。古いからと言われても、賣られていたら新しいか古いかわからない。これはその製藥の年月日を見ると、古いとは見られない。こういうものが今は公々然と賣られ、そうして医者によつて注射されておるからこそ、私たちが大阪に調査に参りましたときに、新聞に、靜脈注射をしてその注射が終るか終らぬうちに、顔面蒼白になつて死んでしまつたという問題が出ておつた。これでは一体私たちどこにたよつたらいいか。先日は輸血によつて性病をうつされ、一生かたわになり、盲になるということになると、今の私たちはまつたく生きておるのが恐ろしいぐらいに思うのでありまして、これらに対しましてどの程度の檢査がなされ、どの程度の責任をもつてやつてくれるのかということになると、何もかもいやになるような氣がします。これについて、ひとつ局長の責任ある御答弁をいただきたい。それでここへ持つて來たのは一部であります。どうぞ医務室へ行つて見てください。こんな不良品であります。一回でもよろしい、責任をもつてやれば、こういうものが出て來る。ですから拔取り檢査は、義理や何かでやられたら困る。この点、もつと責任をもつて檢査をしていただいて、そうしてその不良品に対しましては、全部回收をして行く何らかの方策を講じていただかなければ、私たちは安心して生きて行かれない。これはひとしく國民の声だろうと思う。ぜひ私たちの安心の行き、納得の行く御答弁を願いたいと思います。
#132
○慶松政府委員 具体的な問題といたしまして、國会の医務室のその藥につきましては、現実にひとつ私どもの方で試驗をいたしまして、そうして確かに不良であるならば、それらの会社を嚴重に処罰することにいたします。また私どもといたしましては、常に申し上げております通り、私にできますだけの責任をもつて善処いたしますことを、この際申し上げる次第であります。
#133
○山崎(道)委員 これはお断りしておきますが、前大藏大臣の北村さんが注射を受けようと思つて持つていらつしやつて、ちようどその場にいたから、ちよつと待つてくれと言つて、見たところが不良品らしいということで、取上げたのだそうであります。ですから皆さんが持つていらつしやつた藥であります。買つて來ては持つて行つて、注射をしていただいておりますが、ぜひ私は局長を信頼いたしまして、今後十分この点に御努力くださることを切にお願いいたします。
 私はこれらのことをいろいろ考えますと、結局問題は責任感が薄らいでおる、ここに帰着するのではないか。この不幸な現象を惹起いたしましたのも、やはり製剤所の所員の人々の責任感の薄らいだことが、こういう問題を起したものと私は思ふ、私は、おそらくモルモットのかわりに子供を犠牲にしたというふうには、解釈いたしておりません。けれども今まで大丈夫であつたのだから、なあにこれでいいだろうということで、責任ある工程をとらなかつたことが今日のこの問題を起しておる。あるいは監督官にしてもその点がある。拔取り檢査の場合には、私はそういうことがなきにしもあらずと思います。でございますから、私どもを初めといたしまして、とにかくその衝に当る者が、もつと責任をもつてやつていただく。ことに人の命を扱うこうした製藥等に対しましては、もつと綱紀の粛正と申しますか、こうした点を強く御指示いただき、人的資源の厚生問題について十分な御配慮をいただきたいと思う。そうして今後再びこういう不幸なことを起すことのないように切にお願い申し上げます。ことに京都の問題に対しては、今こうしておりましてもかわいそうな子供たち、家族の面影が胸に浮んで参りますので、ぜひ一日も早く安心の行くような処置を講じていただきたい。ことに私どもの出張いたしました宿のもとへ、共産党の党員が二十名近く押しかけて参りまして、われわれはいろいろなことを伺いました。そしてその決議文も預かつて、委員長にお渡ししておるようなわけでございます。こうしたものを私たちは断じて政爭の具に利用しようとは思つておりません。どうかこういう混乱が起きないように、十分なる解決の方法を講じていただきたい。
 またあまり十分なことをして、今後もしもこれが前例になるといけないというようなことを言われる方がございますが、私はこれをまた前例として、今後こういうものが起きるというような不安があつてはならない。もし不安があるならば、強制接種をやめなければならぬ。私は断じてそういうことはないと確信いたしておりますので、この不幸なることによりまして、即刻対策が講ぜられますることを、なき子供たちの霊とともに、私は政府にお願いいたしておきます。お尋ねするのはこれだけであります。
    ―――――――――――――
#134
○野本委員 この際委員長にお願いしておきたいのでありますが、私はこの事態の非常に深刻かつ重大な点を考え、またこれに関する措置が適当に行われるか行われないかによつて、將來予防接種法というものが円満完全に施行されるかどうかを決定する非常に重大な問題でありますので、この問題を中心とし、あわせてこれに関係のある各種の問題について厚生委員会はどう考えるか、厚生委員会の見解はどうであるかということを、やはり一應まとめて表明する必要があるのではないかと思つておりますので、この点について皆様にお諮りを願つて、御賛同を得ますれば適当に御処置願いたいと思います。
#135
○佐々木委員長 ただいまの野本君の動議に対して、御意見がありましたら承りたいと思います。
#136
○榊原(亨)委員 先ほどからの当局の説明によりますと、法的責任についていろいろ御研究中のように存じておりますけれども、先ほど山崎委員のお話を承りましても、四十回のうち十八回の不良品を出しているその工場によつて藥品が製造されつつあつたということは、たとえ法的な責任はございませんでも、道義上の厚生省の責任は、私は重大と考えるのであります。また予防注射藥、血清類の工場の監査は、いろいろ厚生省において嚴重に取締つておられるはずであります。またそういう御言明を得ておりますけれども、先ほど山崎委員が実物をもつてお示しになりましたが、私ども医業に携わつている者の実際上の経驗から申しましても、これらは安心して厚生省の監査だけにまかしておくことはできないと信じておるのであります。また先ほどいろいろ優先的に資材を割当てているというようなお話がありましたけれども、たとえばこれらの檢定に使いますモルモット等の動物についても、はたして優先的にこれを配給しておられるかということにつきましても、私どもは疑いなきを得ないのであります。元來これらの重要なる予防に使います藥品を、ある一定限度の利益を得て会社、工場がつくるということ、それ自身に私はむりがあるのではないかと思われるのでありまして、どうしてもこの場合こういうものは利益を無視して完全なる設備のもとにこれを製造すべきものだというような考えも持つておるのでございまして、この際野本委員のおつしやいますように、厚生常任委員会としては近い日にちにおいて再開をし、当局のこれらの点における具体的な今後の方針をお示し願い、また私どもの立場としても当局に相当強く要求すべきものだと存じておりますから、この際野本委員の御提案にはしごく賛成を表するものであります。
#137
○平工委員 野本委員の御提案にまつたく賛成でございます。その方法については、非常な御努力をいただいた野本先生、山崎先生、それからこの道の権威者としての榊原先生、その他まだ権威者もおりましようが、特別この問題だけに関する小委員会を持つて、ひとつ特段の御努力をお願いして、一つの案をこしらえていただいて、できれば明後日にでももう一度厚生委員会を開いていただいて、そして対策を講じていただいてはどうかと考えます。
#138
○佐々木委員長 それではただいま野本君御提案のジフテリア事件に関する当委員会の態度表明の件に関しましては、小委員会をつくるとか、あるいはその他の措置につきまして、後刻理事の方、あるいは提案者の方と相談の上、適当にとりはからいたいと考えますが、御異議ありませんか。
#139
○佐々木委員長 御異議なければさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#140
○佐々木委員長 なおこの際武田委員より、療術師法設定に関する調査機関の件について発言を求めておりますので、これを許します。武田委員。
#141
○武田委員 本年一月一日から施行せられました法律第二一七号のあん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法、あの営業法を改正しまして、そうしてその他の療術のために新しい開業を認めたり、あるいは既得権の今までに制限されておりますのを撤廃するための請願がこの前の國会、あるいは今國会にも出ておるのでありますが、それにつきまして本年六月二日の日でございましたか、國会でやはり厚生委員会の席上において、政府の方ではこのあん摩、鍼灸、柔道整復師以外の療術の問題につきまして、調査研究機関を設けるということについてわれわれは要望いたしておりました。政府の方でもこれに努力しようという御答弁があつたのでありますが、その後の経過について御報告願いたいと思います。
#142
○安田説明員 今日あいにく主管局長がこちらにお見えになつておりませんので、かわつてお答えいたしたいと思います。ただいま申されました通り、第一國会でそういつた医療類似行為は、現にやつておるものは昭和三十年まではできる、その他は一應やめになるという法律が施行されまして、施行になつたばかりのところでございます。この前お尋ねになつたようないきさつは存じませんけれども、この点については相当強い見解を持つておる向きもあるようでございますので、なお研究はいたしますけれども、私からすぐにどうという御回答はいたしかねるのであります。
#143
○武田委員 ただいまの御答弁によりますと、政府としては医療類似行為に対しては、相当嚴重な考え方をしておるということで、それに対してさらに調査し、研究するというような意向は持つておられないというように伺つたのでありますが、そういう事実でございましようか。
#144
○安田説明員 調査研究機関を設けるという話であつたが、それがその後どうなつたかという御質問であつたのでありますが、その点はなはだ何ですが、よく存じません。ただこれは先般設けられたばかりの法律でございますと、なおいろいろ関係筋の問題もございますので、研究はいたしてみますけれども、今機関を設けるというようなことについては、ちよつと私から何とも申上げかねる次第でございます。
#145
○武田委員 私はあの六月二日の委員会に出席しておつたのでありますが、そのときに厚生当局は、療術の効果が認定されれば、療術を許すというような意味に考えられることを御答弁なすつたと今でも記憶しております。これについては、できれば委員の方から調査研究をしていただくようにということを要望して参つたのでございます。今までも、前の一松厚生大臣のとき、さらに竹田厚生大臣のときも続けまして、やはり療術師の一つの医療類似行為というものをできるだけ認めるように、これをりつぱなものに持つて行きたいということで賛成されたということを、本年の三月二十四日に全國療術協同組合の代表の黒田、東村の二人の人に言われたと私は聞いております。なお國会におきましても、現在治療室を設けておりまして、そこには國会議員を初めとして、國会職員も行つておるのでありますが、大体現國会議員の中で、三百四十二人という数がみなこの療術行為が治療上に非常に効果のあるものである、あるいは疲労回復のために効果があるということを認めて賛成をしておられます。ことに現在の厚生政務次官の庄司先生は、第七十六議会に衆議院で療術の効果を発表されまして、これについてはたいへんに強力に御支持になつておられたということを私は知つておりますので、この際政府としてこの療術師法というふうなものを、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の中に加えられて、これを修正されるというような御意向がありますかどうか。これに関してひとつお答え願いたいと思います。
#146
○庄司政府委員 私は去る七十六議会において――ですからおそらく今から約十年前の議会だと思いますが、当時の請願委員会において、いわゆる療術治療師関係の問題について、私の体驗を発表したことがございます。ただいまもいわゆる療術家あるいは治療師と呼ばれておる、たとえばただいまお示しの指圧療法と言いましようか、あるいはマッサージ、その他物理療法、あるいは電氣療法といいましようか、そういう日本政府の公認したる、免許状を與えたる医師にあらざる者が医師類似の行為をしておる。それらの業者の中に人格も氣高い人、また学識経驗等も豊富な人、施術においてもきわめてまじめな人々、そういう療治家のおることを私は知つております。しかるに中にはきわめてインチキな者もございます。加持祈祷というようなものもございますし、はなはだ非科学的なもので、いわゆる一般患者にかえつて迷惑を與えておるような者も決してないではございません。しかしながらきわめて眞劍に、まじめに、人格者であり、またその療術なるものも多年研究されて何ら弊害を與えていない、社会的にも、人間の肉体生命にも弊害を與えていないような療術家、あるいは指圧の大家というような人々に、何らかの方法において公然と、政府公許のもとにそういう営業をやらしめる時代が一日も早く來れかしと祈つておるものであります。今回私政務次官を拜してまだ約一箇月半程度でございまするが、去る本月の三日、衆議院としては同僚の内海代議士が全國療術協同組合でありましたが、その組合の名において、組合長元代議士の守屋榮夫氏が代表者となられて、本國会に公式な請願書を御提出になられ、また厚生省にも私の部屋を御訪問いただいて、陳情書を御提出くださいましたことを知つております。そこで厚生省全体としての空氣をまだ私は打診しておりませんけれども、ただいまお示しのような意味において、療術行為が無害にして有益なるものであるならば、それらの業者の方々が一層この後抜をみがき、業を習い、あるいは社会的に信頼される人格者の人々が多くなり、そうして営業法といいましようか、單行法といいましようか、あるいはただいまお話の第二百十七号のあん摩、はり、きゆう、柔道整復、それらの関係の法律の中に加えられるような日が一日も早く來ることを私は希望しております。あるいは單行法として、そうした方々が國家、試驗なりあるいはその他の方法によつて、有為なる諸君が公に営業が昭和三十年後においてもでき得るような時代の來ることを熱願してやまない一人であります。ただわれわれはただいま申し上げたように、本月四日にそういう陳情書をようやく御提出を願つたのでありまして、本國会においても請願に対しては、政府として嚴粛なまじめな御答弁をしなければなりませんが、私の一存としては、でき得るだけそういう日が早く來れかしと念願してやまないものであります。それについても今昭和三十年まで暫定的にその営業を許されている業者諸君が、一層講習会とか演習会とか、それぞれの会を持たれ、大学その他の先生方より必要な学問上の生理とか、あるいは解剖とか、その他の学習等も受けられ、國家社会より眞に信頼される程度の業者となられ、インチキなものが自然淘汰されて行くというような体制を期待してやまないのであります。せつかく守屋会長の名において、また内海代議士の御紹介において陳情書も出ております。また國会にも請願書が出ておりますので、適当な機会に厚生省内部で協議といいましようか、あるいは懇談と申しましようか、関係各局長、課長等と御相談申し上げて、前議会のことは承知しておりませんけれども、調査会なりあるいは調査の機関なり云々というお話がもしお示しの通りでございますならば――これは決して私そのことを疑うわけじやありません。むろんそういうことは速記録等にも載つていることと思いますので、すみやかに適当なる調査の方法をとるがためには、省内の意見が幸いに一致いたしまして、調査会等のようなものを設け得る機会があれば、まことに幸甚であると考えている次第であります。
#147
○武田委員 ただいま庄司政務次官の誠意のあるお答えをいただきまして、私はたいへん喜んでおりますが、この前に、私の記憶するところによりますと、これに関して調査研究の機関を設けるようにということの要望はたしかそのときその委員会に出席せられました榊原委員の方からも、私の方からもそれを申しまして、政府はそれを了とせられたはずでございます。でございますのに、先ほどの政府委員の御答弁によりますと、まだ今年出発したばかりの新しい法律であるから、これに関してすぐにどうこうという、これに対する修正とか、その他の手を打つということについては、ちよつと考えられないというふうに私は承つたのでございます。しかし医療類似行為の人たちのやつております仕事は、これは法律ができるからできないからというのではなく、現在は三十年までは継続してやることを認められております。そして一方には國民も非常にこれを要求しておる仕事であります。だからやめようといつてもやめられない状態なんです。なおこのままで放置しておきますならば、先ほど政務次官も言われましたけれども、こういう社会情勢の際でございますから、インチキなものも非常に今ふえておりますので、どうにも手を打つことができない状態になりはしないかと思います。どの方面から考えましても、政府としては早急にこれに対して研究をし、そうしてあるいはこれをりつぱに、いわゆるかわらと玉とをよりわけるといいますか、とにかく民間で間違いのない療術行為が行われるような対策を講じなければいけない、私はそう考えております。一方指圧その他の療術師の間では、自発的に研究講習会などを開いておりまして、私は廣島縣でございますが、あの方面、あるいは大阪とか四國とか、いや全國的に方々に講師を派遣し、あるいはその地方の医科大学などとも連絡をとりまして、非常にまじめに研究しているところもあるのでございます。こういうものをただそういう人たちの手にばかりまかしておかないで、政府の方としては、もう三十年になつたらやめるんだから、そのままの状態でいいというのではなくして、何とかこれをりつぱなものに持つて行くように御努力を願いたいと思います。政務次官のお話によりまして、それに対しての御熱意があることを私は確信しておりますので、政府としては早急にその方について手をつけられるようにひとつお運びを願いたい、こういうことを私はお願いしておきます。
#148
○榊原(亨)委員 ちよつと中座いたしましたので、要点が違つておるかもしれませんけれども、この療術師のことにつきまして委員会をつくつて、政府においてその技術について檢討を加えるということにつきましてぜひお願いしたいことは、第二國会において私が述べたところでありまして、久下政府委員からこれに対して、早急にこれを設立してやるというお言葉を得ております。ところがそれがいまだできていないということになりますと、これはやはり厚生省は、議会においてはやるやると言つて、議会が済むとやらぬということの一番いい例だと私は思うのであります。先ほど政務次官のお話は、少しく私どもの考えとは違うのでありまして、私どもは調査委員会をつくつていただきたい。と申しますのは、療術行為が六百種類からあるのでありますから、その六百種類の中で科学的の基礎があるものはどれであるかということを、まずそこで振りわけていただく。そうして科学的基礎があつて、これは認可してもいいということになりましたら、そのものに從事する方を、今後はいろいろ技術なり学術上の経驗を積まず、こういうことは当然でありますが、まずその六百種類の療術行為がはたして科学的の基礎があるかどうかということをふるいわける、そういう調査機関をまずつくつていただきたい。こういうことを私はお願いしたはずであるのであります。さらにそれがきまりましたら、今度はそれらの方々が大学に行かれる、あるいは專門家について学術を習われるなりされまして、この療術を行う上の技術を修練されることが必要でございますが、現今のごとき状態でございますれば、六年たとうが八年たとうが、一松元厚生大臣が言われましたように、ダイヤモンドをかわらと一緒にしてしまつているというようなわけでございますから、これらの方々に対して、ぜひとも早急に根本的な基礎的な調査機関をお設けくださることを御要望しておく次第でございます。その点について、これを至急実現されることをお願い申し上げます。
#149
○安田説明員 私、ただいまのいきさつを詳しく存じませんために、見当違いの御答弁をいたしまして、まことに恐縮に存じます。もしお許し願えますならば、次の機会に、あるいは事実おいでになつていただいてもけつこうでございますが、医務局長なり、あるいは久下次長の方から御答弁いたすようにとりはからいたいと思います。
#150
○庄司政府委員 ただいまの榊原委員の御発言は、私に対する特に御指定の御注文ではございませんけれども、いま一回簡單に私の所見を述べさせて、明快にさせていただきたいと思うのであります。私は根本的にこういう考えを持つている人間でありまして、病を治療するということは、決してお医者さんだけが万能じやない。百パーセントお医者だけじやない。お医者の力は最も重大性を持つており、偉大なる力を持つていることはむろんであります。けれども人の病をいやしたり、あるいは健康を増進させたりすることは、これはお医者だけの專賣特許ではない。私はこういうことを考えております。私はキリスト教徒でございますが、聖書のマタイ傳の中に、十二年間血漏をわずらつていた婦人がうしろに來て、その衣のすそをさわつてなおそうとした話があります。耶蘇は汝の信仰汝の病をいやせりと教えておるのであります。これは今の指圧療法に当てはまるかどうか、私は知りませんけれども、多分今アメリカに流行のクリスチャン・サイエンス的なものがその流れをくんでおると思います。実はこの間私どもの所属の総裁の吉田さんが指圧療法を受けられました。そしてたいへん経過がよく、健康体に復されたということを一週間ほど前に林厚生大臣から承りました。そんな関係で、指圧療法も相当効果のあるものであると考えておるものでございますが、ただ先ほども申し上げたように、なかなかインチキなものも相当あるようでございまして、お説のようにりつぱな療術を持つている方も相当ございます。現に私、仙台でございますが、仙台の高等学校の教授で、文学士で、かたわら余技として療術所をやつている指圧の大家を知つておりますが、非常にまじめにやつてくれまして、特に貧民階級のために無料奉仕をしております。そういうけつこうな方もございます。ただいまの御熱心な御発言をそのまま私は御信頼申し上げまして、前國会等において厚生省の政府委員から、早急に調査会のようなものをつくるという意味の御答弁がもしありましたならば、たとえ政府がかわり、内閣の名前がかわりましても、先ほど申し上げた厚生省の一貫責任の上において、早急に調査会のようなものをつくりまして、玉石混淆のものを、よいものはよい、惡いものは惡いとしてふるい落して、よいものは保護助長するという建前にして行くことが当然のことである。こう考えられますので、お説のあるところをあくまでも尊重いたしまして、厚生省内の協議会等に諮りまして、それらについて最も眞劍な協議会等を持ち得るような措置に進ましていただきたい、こう考えておる次第でございます。
#151
○佐々木委員長 本会議も始まつておりますので、簡單にお願いいたします。武田君。
#152
○武田委員 それではただいま政府委員のおつしやいましたように、この次に厚生委員会をもう一度開いていただきまして、その際に政府の方でこれに対しどういう御方針をとつておられるか、あるいは現在どれだけのことをしておられるかということを承りたいと思います。
#153
○山崎(道)委員 私はもう今日さんざんしやべつたのですから、簡單に申し上げますが、どうも法律をつくるときには厚生省はまことに御熱心ですが、できてしまうと何だか責任を果していないように思うのです。優生保護法においてすでにしかり、生活協同組合法においてもそうである、兒童福祉法もそうである。ですから私たちは今後厚生委員会でこしらえた法律がどの程度に施行されておるかということを調査する機関をつくりたいということさえ考えている。從つてただいまのお答えは、庄司政府委員にもないお言葉だと思います。ただいまおつしやつたことが事実とすればというようなことをおつしやつたのであります、けれども、われわれ委員としてここで申し上げていることは、責任をもつて言つておる。ことに榊原さんが質問して、そして政府当局も答えた、これは私どもも記憶がございます。それで療術行為の問題に対しましては、私たちの方へもずいぶん陳情が來ているし、私も実際の上において必要なものだと思うものがたくさんございます。從つてこの点に対しては、至急それをやつてもらいたいと思いますので、次の委員会にぜひとも責任当局の御出席を私も強く要望いたしておきます。それから法律を責任をもつて施行していただきたい。
#154
○庄司政府委員 わかりました。
#155
○佐々木委員長 各委員の御意見もありますように、療術行為に対する調査機関設置の件に関しましては、次会の当委員会に関係者の御出席を特に要望しておきます。
 それでは本日はこれにて散会いたします。次会は十三日午前十時より開会いたします。
    午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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